>>404をみてたら何とはなしに自分の弱点を言って胸つねられてあふ〜んになるエロマンガを思い出した。
406 :
すのぷ〜野郎:2005/06/30(木) 00:55:37 ID:tdO2uXG/O
風太郎がエロガキになったのは俺のせいかな…
風太郎のエロさを勝さる男(反転前は女)キャラはいるのか!?
【半妖狐魔法少女キューティアリスF:第1話沢渡有子誕生】
いつものように楽しい水瀬家の食卓、しかも明日は休日いつにもましてにぎやかなはず
なのだが、なぜか当家の一人娘いちごジャンキーこと名雪の姿が見えない。早速そのこと
に気が付いたのは、水瀬家の居候その3たい焼き食逃げ前科2犯の月宮あゆだった。
「あれっ秋子さん、名雪さんが居ないよ」
「なんだ名雪のやつまた寝てるのか?しょうがないなあいつは」
「そうよ昼寝に決まってるわよ。ほっといて食べよう、真琴おなか空いちゃった」
居候その1お節介相沢祐一と、居候その2肉まん娘沢渡真琴は、名雪の不在をあまり気
にしていないようだが。食逃げ以外ではよい子(お人好し)のあゆは違っていた。
「じゃあボク起こしてくるよ」
そう言って立ち上がろうとしたところを、水瀬家の家長であるジャムおば、もといお姉
さんの秋子さんに止められた。
「あらあら違いますよ、名雪はちょっと用事でしばらく帰ってこないの。だからあゆちゃ
ん、今は呼びに行かなくて良いのよ」
「そうなの、じゃあ頂きまーす」
「「頂きまーす」」
秋子さんの説明にあゆも納得、4人で楽しく食事を始めたのだった。
美味しい料理を存分に食べて満ち足りた気分だった3人なのだが、リビングで談笑して
いるうちに祐一と真琴の様子がおかしくなってきた。
「おかしい、なんだか体が熱くなってきたぞ」
「えっ、祐一も?真琴もそうなんだけど」
発熱で真っ赤になった顔で向かい合う祐一と真琴。
「うぐぅ二人とも大丈夫?秋子さん大変だよ、祐一君と真琴が苦しんでるよ」
「はっ、真琴、まさかまた消えるんじゃあ」
「ううん、あれとは違うと思うけど……でもなんだか熱いのよ」
「そうか、それなら良いんだが、けどそれにしても酷く熱いな」
誠が消えたときのことを思い出したらしく取り乱した祐一だが、真琴の返事にやや安堵
したようだ。もっとも状況は全然改善されていないのだが。
「秋子さーん早く来てよう」
一方二人を見守るしかできないあゆはほとんどパニック状態だ。
「あらあらどうしたのあゆちゃん、夜に騒いでは近所迷惑よ」
あゆの声を聞きつけて、ようやくキッチンから秋子さんが顔を出した。
「秋子さん、祐一君達が熱を出して苦しんでるんだよ」
「心配しなくても大丈夫ですよ」
「えっどういうこと?」
「大丈夫すぐにわかりますよ」
涼しい顔の秋子さんにあゆの方は戸惑うばかりだった。
一方当事者二人はと言うと……。
「おい真琴熱いんだからくっつくな」
「真琴はくっついたりしてないわよー。祐一こそ離れなさいよね」
なぜか背中からくっついていき……。
「うぐぅ、ふ、二人がくっついていくよ」
そして祐一と真琴の体が突然光り出して、あゆはびっくりしたのかそのまま気絶してし
まったのだが、秋子さんは落ち着いてただ一言。
「あゆちゃんも案外だらしないわね。仕方ないから二人が気が付くまでお茶でも飲んで待
ちましょう」
約30分後、まずは真琴?が気が付いたようだ。
「うーん、一体なにがあったんだ?」
「気が付きました祐一さん」
「えーと、はい。あのー、なにがあったんですか?」
「待って下さい、まずあゆちゃんを起こしてもらえますか。それから説明します」
静かな口調ながら有無を言わせぬ態度の秋子さん、それを悟って真琴?(祐一?)は早
速あゆの体を揺すりだした。
「おい、あゆ起きろ。こんなところで寝たら風邪をひくぞ」
「うーん、真琴ちゃん眠いよう」
「誰が真琴だ!寝惚けるな」
あゆの頭を軽くこづく真琴?
「痛い、起きたよ。真琴ちゃん乱暴だよ」
「まだ寝惚けてるなわたしは祐一だ」
一人称が俺からわたしに変わっているのだが、自称祐一は気が付いていないようだ。
「でも、君は真琴ちゃん……と思ったけどよく見たらちょっと違うような。それにその頭
に生えてるのは耳なの?」
「そんなことより、真琴は何処だ?」
「だから君が真琴ちゃんだよ。それより祐一君が居ないよ」
「だからわたしが祐一だって」
どうやらこの会話、このままではキリがなさそうだ。
その様子を黙ってみていた秋子さんだが、しばらくすると落ち着いた声で話し始めた。
「はい二人とも起きましたね。状況は把握できましたか?」
「「秋子さん一体どうなってるんですか(の)?」」
「はいなんでも聞いてくださいね、最初の質問はなんですか?」
「「真琴(祐一君)はどこですか(なの)?」」
どうやら二人ともまずはそれが気になっていたようだ。
「二人ともここに居ますよ」
ニコニコ笑ってそう答える秋子さん。
「「どこに?」」
「ここです」
相変わらず微笑んだまま、真琴?を指さす秋子さん。
「「えっ、どういうこと(なの)?」」
「あなたが祐一さんで、同時に真琴でもあるんです。そしてあなたは今日から魔法少女と
して愛と平和のために戦うのです」
「魔法少女?マンガみたいで恰好良いよ……わっ、わたしはなにを言ってるんだ?って言
うかなにがなんだかわけわかんないし」
「ボクもわけがわからないよ」
「そうですね、では順を追って説明しましょう。まず今悪い魔法少女の復活でこの街に危
機が迫っているのです。そして悪い魔法少女と戦うために、祐一さんには魔法少女になっ
て貰ったのです」
「ちょっと待って下さい、魔法少女って?わたしは男ですよ」
「でも今は女の子ですよ」
「それがよくわからないんですけど、あゆはわたしのことを真琴って呼ぶし」
「だって君は真琴ちゃんだよ。ちょっとだけ祐一君に似てるような気もするけど」
「いやだからそんなはずないって、わたしは男だぞ。例えば胸なんか膨らんでるわけない、
って膨らんでるよ。……え、えーとこれはなにかの間違いだ。その証拠にちゃんとあれが
……ない、つるつるだー!わたしはどうしちゃったんだー?」
祐一は自らの胸と股間に手を当てて困惑することしきりである。
「はい真琴ちゃん、えっと祐一君なのかな?とにかく鏡」
祐一に手鏡を手渡すあゆ。祐一はパニくりながらも素直に鏡を受け取り、早速顔を映し
てみると。
「この顔は、真琴?でも髪の間に見える茶色いもこもこの三角形はなんだ?」
「だから、それが祐一君の顔なんだよ。って祐一君、祐一君」
「おやおや、また気を失ってしまったようですね。祐一さんも案外打たれ弱いですね」
「そう言う問題じゃないと思うよ」
幸い祐一は今度は五分ほどで目を開けた。そして心配そうにのぞき込んでいたあゆに向
かって開口一番。
「うーん、わたし変な夢を見た。わたしが真琴になってて」
「祐一君、それ夢じゃないよ」
あゆは祐一の胸をむんずとばかりに鷲づかみした。
「けど、なんでボクよりちょっとだけだけど大きいのかな。なんだかむかつくよ」
「わっ、あゆ、おまえなんちゅうことをするんだ、ってそうじゃない、なんでわたしに胸
があるんだー?」
「はいはい、いい加減にしてくださいね。二人とも落ち着いてわたしの言うことを聞いて
もらえませんか」
いい加減に騒動を見かねたらしい秋子さんが止めようとしたのだが。
「わーわー!えらいこっちゃー」
「男の子なのにずるいよ祐一君」
二人とも秋子さんの言うことを聞いちゃあいねえ状況なので、秋子さんは大きく深呼吸
した後。
「甘くないジャムはいかがですか?」
「わっはい、今ちょっと体調が悪いの遠慮します。それでなんでしょうか秋子さん」
「ボ、ボク今お腹はすいてないよ。もちろんお話はちゃんと聞くよ」
まさに鶴の一声、いきなり床に正座してしまう二人だった。
「では、説明を続けます。実はわたしが先代魔法少女で、魔法少女は血筋が重要なのでや
むなく甥である祐一さんに魔法少女になって貰ったのです」
「えーとまあ、そこに拘ると話が進まないので百歩譲って秋子さんが先代だったと言うと
ころと、血縁が重要なのは了解したとして、それなら名雪の方が適任じゃないんですか?」
祐一の指摘に秋子さんの顔が今日始めて曇った。
「残念ながらそれはできないのです」
「どうしてなの?」
「実は名雪が悪い魔法少女なのです。正確に言うと悪い魔法少女に取り付かれてしまった
のですが……。油断でした、まさか百花屋のいちごサンデーに呪いが掛っているとはさす
がのわたしも気が付きませんでした」
「いちごサンデーに呪い?」
祐一とあゆの目が点になった。
「ええ、名雪が千杯目のいちごサンデーを食べると呪いが発動するようになっていたので
す。一杯一杯の呪いの量が微量なので不覚にも見逃してしまいました。そして悪い魔法少
女になった名雪は家を出てしまったのです」
「じゃあ名雪さんが居ないのはそのせいなの?」
「はいそうですよ」
「えっと、まあそこまでは一応理解したことにしましょう。けど、どうしてわたしが真琴
でもあるんですか?」
「そうだよ、祐一君真琴ちゃんにそっくりだよ」
「それにはちゃんと理由があります。やはりわたしの直系である名雪の方が祐一さんより
はるかに魔力が強いのです」
「つまりわたしでは名雪に太刀打ちできないと?」
「はい、ですから祐一さんの力を補うために妖狐である真琴と合体して貰ったのです」
「合体って、ロボットアニメみたいで格好いいよ。ってわー、わたしはまたわけのわから
んことを言ってるぞ」
どうやら時々祐一の意志に反した言葉が出てくるらしい。
「わっ、祐一君落ち着いて」
しばらく後、ひとしきり騒いで落ち着いたらしい祐一に向かって再び語り始める。
「合体と言っても肉体は見ての通り真琴ベースですし、祐一さんが自覚しているとおり精
神は祐一さんベースです。ただ多少は真琴の部分も有るので、時々真琴的な言動をしてし
まうのですね」
「なるほど、そう言われればなんだか肉まんが食べたくなってきたよ」
「そう思ってちゃんと準備してありますよ」
どうも祐一とあゆがパニくっている間に準備してあったものらしい、肉まんを差し出す
秋子さんだった。
「わーい、秋子さんありがとう。モムモム美味しい」
「こうやってみてると真琴ちゃんにしか見えないよ。でも羨ましいなあ、ボクもたい焼き
食べたいよ」
「もちろん、たい焼きもありますよ」
「わーい、頂きまーす!」
早速たい焼きにかぶりついたあゆだが、次の瞬間。
「ウグゥー!」
ばったりと倒れたあゆの口元からこぼれ落ちたたい焼きの断面には紫色のジャムが。
肉まんに夢中のマコピー祐一は全然気が付かなかったが、倒れたあゆの体が光を発して
その後あゆのからだが急速に縮んでいく。
そして光が収まったとき、姿を現わしたのは身長1メートル強ほどに縮み5等身程度に
なってしまったあゆだった。しかも兎耳の如きものが頭の上でゆらゆらと。ちなみに服装
は紺のブルマーと白い体操服でブルマーに穴が開いて兎みたいな丸い尻尾まで。
そのころ祐一はようやく肉まんを食べ終わって我に返った。
「あれっ、あゆは?……わー!あゆが縮んでる、しかもウサギー!」
「うーん、祐一君五月蠅いよ」
あゆは祐一の大声に驚いたのか、白い毛が生えてグローブのようになった手で破滅的に
可愛らしい仕草で目を擦りながら体を起こした。
「あゆー、お前縮んでるぞ」
「えっ、どういうこと祐一君?」
「えーい、鏡を見てみろ」
「わっ、祐一君なにするの?」
ちびあゆは祐一に抱えられて鏡台の前まで連れて行かれる。
「ほれっ、これがお前だ」
「うぐぅ、大変だよ胸がペッタンコ」
「驚くのはそこじゃねえ!」
祐一はあゆを一喝して頭を軽くポカリ。
「痛いよ祐一君、耳のことも縮んだのもわかってるけど、女の子には重大な問題なんだよ」
「もともとたいしてなかっただろうが」
「違うよ、同じ成績が悪いのでも30点と3点じゃあ全然違うんだよ。第一祐一君の胸だ
って40点位しかないよ」
「あゆ、言ってて自分でむなしくないか」
「ちょっとだけ」
哀れむような祐一の視線に負けて、情けなさげに頭を垂れるあゆだった。
その後とりあえずリビングに戻って、秋子さんに詰め寄る二人。
「秋子さんこれはどういうことですか?」
「ボク、子供になっちゃったの?」
「二人とも落ち着いてください、これにはちゃんとした理由が有るんですよ」
「「理由?」」
「はい、つまりですね、魔法少女にはお供のマスコットが付き物、今からあゆちゃんはサ
ポート役兼マスコットのアユアユなのです」
「いきなりそんなの酷いよ」
「うんうんマスコットって魔法少女には付き物だよね」
あゆの方は到底納得出来ないようだが、またもや一時的にマコピー化した祐一だけはお
気楽だった。
「これも愛と平和のためです」
「それさえ言ってればいいの?」
「アユアユのエネルギー源はたい焼きですよ」
この一言であゆの態度が激変。
「それなら良いよ」
「お前本当にそれでよいのかよ」
「うん、ボク、愛と平和のために頑張るよ」
「あのー秋子さん、聞き忘れてましたけど、マスコットのアユアユが兎なのはいいとして、
どうしてわたしに狐みたいな耳と、おまけに尻尾まで付いてるんですか?」
「良くないと思うんだけど」
「合体の副作用ですね」
アユアユの抗議はさらりと流して、秋子さんあっさりと断言。
「何とかならないんですか?」
「無理です。それはともかく、休みが開けたらその姿で学校へ通ってくださいね。ちゃん
と沢渡有子と言う名前で手続きも済んでいます」
「はあ、沢渡祐子ですか、苗字は真琴で、名前はわたしの一を子に変えただけなんですね」
半分投げやりにそう答える相沢祐一改め沢渡有子、もう逆らう気力もなくなったらしい。
「いいえ違いますよ有子の有は有り無しの有です」
「なんで字を変えるんですか?」
「わたしの趣味です」
「はー、趣味ですか?」
「それだとアリスって読めるね」
突然横からアユアユが口を出す。
「了承、魔法少女としての名前は魔法少女キューティアリスFにしましょう。ちなみにFはフォ
ックスのFです。ちなみにフォックスは狐のことですよアユアユちゃん」
怪訝な表情のアユアユに向かって説明を追加。
「もうなんでも好きにしてください」
秋子の暴走に有子としては脱力感漂う声でそう答えるのがやっとだった。
しばらくして、有子は突然なにか気が付いたようだ。
「ところで秋子さん、愛と平和の為って具体的にはなにをすればいいんですか?」
真剣な表情になり、そう訊ねた有子だが。秋子さんの答と来た日には……。
「そうですね、究極的には名雪の解放ですが、まずはある人の愛をかなえるのです」
「ある人って?いや、それより猛烈に悪い予感がするんですが」
有子の疑念を無視するように話を続ける秋子さん。
「その人にはもうこの家に来て貰っています」
「あのー、秋子さん、わたしの疑問に答えてくれてないような気がするんですが」
「さあ来てください、天野さん」
「天野ー?」
ゆっくりと姿を現わしたのは秋子さんの言葉どおり、真琴の友人天野美汐なのだが、本
日はめずらしく白のノースリーブのワンピース姿、しかも麦わら帽付である。まだ4月だ
というのにまるで避暑に行くお嬢様のような場違いな姿だ。
「天野、ちょっと季節はずれじゃないのか?」
「なんだかお嬢様っぽいんだよ」
「いいんですよわたしは」
「いや、意味わかんないし」
しかし美汐はそれには答えず。
「キャー真琴可愛いー!しかも中身が相沢さんなんて最高です。まさにわたしのために用
意されたような存在、ああこれも、運命なんですね」
「おーい、天野さん、もしもーし」
自分の世界に入り込んでしまった美汐の目前で手を振る有子だが。
「駄目だよ有子さん、全然見えてないみたいだよ」
「そうだな、きっとまたなにか妄想してるんだ」
有子とアユアユが顔を見合わせて溜息をついていると、美汐が突然かっと目を見開き有
子を抱きすくめた。
「わっ、天野なにをする」
「ああ、真琴、真琴、真琴ー。可愛いです、もうたまりません。最高です」
「うぐぅ、天野さんが壊れちゃったよー」
「天野苦しい」
「ああなんて素敵」
抱きついたまま有子と頬をすり寄せる美汐。
「おい天野、しっかりしろー。正気に戻ってくれー」
「わたしは完全に正気ですよ。それが証拠に」
ムニュ。美汐はいきなり有子の唇を奪った。
「おわー、天野なにを、フンガフンン」
「うぐぅ、怪しい光景だよ。ボク子供だからよくわからないよ」
顔を手で覆いつつ、指の隙間から美汐と有子の抱擁を見つめるアユアユ。
アユアユの視線も気にかけずすっかり有子とのキスを堪能して、美汐はようやく有子か
ら唇を放した。
「プハー、もう最高です」
「天野さんオヤジ臭いよ」
幸いなことにそんなアユアユのつぶやきは耳に入っていないらしい。
「天野お前なんってことを……ん?なんだこれは?」
紅潮した顔で美汐に抗議していた有子だが、なにやら異変を感じたようである。
「ああこれが男の感覚……相沢さん、真琴、どちらに反応したのでしょうか?」
「ま、待て、お前なぜそんなものが……ひょっとして男だったのか?」
驚愕のあまり美汐を突き飛ばしようやく有子が美汐の手を振り解いたのだが、美汐のワ
ンピースの股間が不自然に盛り上がっている。
「相沢さん違いますよ。わたしは女のままですよ。ただこれが付いているだけです」
美汐がガバッと大胆にワンピースをめくり揚げると、白いショーツから元気にはみ出して
いる男のシンボルがそそり立っていた。
「えっと、それは明らかに本物。お前一体なにをしたんだー!……けどこれ、なんだか見
覚えがあるような……」
「見覚えがあるのも当然ですね、それは祐一さんのものですから」
「わっ、秋子さん。そう言えば見ていたんですね。いや、それよりなんでわたしの物が天
野に付いているんですか?」
「天野さんのご要望とわたしの趣味の一致です」
「そんな馬鹿なー!」
有子の絶叫に驚いたのかアユアユが気絶。
「有子さん気を付けてください。アユアユちゃんは聴力が強化されているので大声は厳禁
です」
「あのー、それってサポート役としてして務まるんですか?」
「大丈夫です、本来は能力を調節できるのですが、アユアユちゃんはまだ慣れてなかった
んですね。わたしも説明してませんでしたし」
「そうですか。ってそれより、趣味ってなんですか?趣味って?」
「そう興奮しないでください、冗談ですよ。本当はちゃんと理由が有るんです。有子さん
は魔法少女のエネルギーはなんだと思いますか」
「えっとなんでしょう……あー、有子わかった。やっぱり魔法少女の力の源は愛だよね」
「正解です。さすがですね有子さん」
「わーい有子誉められちゃった」
「ああ、時々真琴化するのも可愛い」
もう辛抱たまらんとばかりに美汐は有子の頭を撫でる。
「あぅー美汐、なんで有子の耳を触るの?」
耳の裏を触られて可愛く小首を傾げるマコピー有子を見て相好を崩す美汐だった。
一時はすっかりマコピー化しうっとりと美汐に頭を撫でられていた有子だが、ハッと我
に返って。
「ちょっと待って下さい秋子さん、その愛ってもしかして?」
「はい、正解です。もちろん愛有るセックスのことです」
「えっーと、難しい話ばっかりで、わたしもう眠くなっちゃいました。お休みなさーい」
危険を感じてそろりとこの場から退散しようとした有子だが、ガシッと秋子と美汐に両脇を固められてしまった。
「駄目ですよ有子さん、逃がしません」
「そうですよ、わたしでは不足だって言うんですか」
「嫌だー!わたしは突っ込む方は好きだけど、突っ込まれるは嫌いだー!」
「食わず嫌いはいけませんよ有子さん」
「そうです。優しくしますから」
「嫌だー!誰か助けてくれー!」
悲鳴を上げて抵抗する有子にかまわず、ずるずると秋子さんの寝室に運んでいく。
「嫌っ、助けてー」
いつの間にか悲鳴が少女らしくなっているのだが、有子本人は気が付いているやらいな
いやら。
有子は秋子さんのベッドの上に投げ出され二人がかりで服を剥かれてしまう。
「嫌っ、嫌っー!」
ジタバタと暴れても二人がかりだから抵抗もむなしいものだ。瞬く間に可愛いピンクの
ブラとピンクのストライプのショーツだけに剥かれてしまった。
「はい無駄な抵抗は止めてくださいね、自分が痛いだけですよ」
「こ、こんなの、愛のあるセックスじゃないわよー!」
「大丈夫です、終わるときには愛で溢れてますよ」
「ええ、わたしの方の心は相沢さん、いえ、もう有子さんとお呼びすべきでしょうか、有
子さんへの愛で張り裂けそうです」
「それに有子さんのショーツはもうグッショリですよ」
「そうですね、乳首もピンと立ってますよ」
「あぅー」
反論が出来ずに全身を真っ赤に染めて顔を背ける。
「これは、祐一さんが真琴をきっちり開発したせいですから、自己責任ですね」
「可愛い真琴を存分にしたなんて羨ましすぎます。わたしも祐一さんと……」
「あぅー」
もはや、これ以外の言葉がでない。おそらく真琴の気持ちがようくわかったことだろう。
「天野さん、その願望は置いておいて、今は男として頑張ってくださいね」
「はっ、確かにそうです。わたしとしたことが妄想の世界に行ってしまうところでした」
秋子さんの言葉で我に返った美汐は、もはや抵抗の気力も尽きたらしく顔を背けたまま
無抵抗になった有子のブラに手をかける。
「はーい、これを脱ぎ脱ぎしましょうね」
「あら、祐一さんにあれだけ触られたのに可愛いピンク色。乳輪はちょっと大きめですね」
秋子の批評にますます顔を赤らめる。
「次はこっちをご開帳ですね」
「いやっ」
小さくそう声を上げ、嫌々とばかりに下半身を揺すりはしたもの大して意味はなく。
「やっぱりびっちょりです」
「あらあら有子さんは感じやすいんですね」
「では有子さんのここを観察させていただきます」
「うー、恥ずかしいよう」
「ふーんお豆ちゃんは結構大きめですね、皮は剥きやすいと」
「アーン」
有子は嬌声を上げ精一杯体をのぞけらせる。
「感度良好、毛はわりと薄目、と言うか細くて柔らかいんですね。あらー、お口が物欲し
げにパクパクとして涎が出てますよ。そんなに肉まんが欲しいんですか?」
「あぅー、そんなんじゃないわよー。美汐は意地が悪いよ」
「あらっ、意地悪なんて心外ですね。わたしは有子さんを可愛がってあげたいだけですよ」
「そんなの嘘よー!」
「あらそんなに嫌がるのなら仕方がありませんね。これでは強姦で魔法のエネルギーには
成りません。仕方がありません美汐さん、今日の所は止めておきましょう」
「えっ、止めちゃうの?」
「ええ、愛のないセックスでは逆効果ですからね」
「残念です。有子さんに協力出来ると思ったのですが」
事態の急変に呆気にとれた有子を解放し、先ほどまでの行為で乱れた衣装を直し始める
秋子さんと美汐である。
「さあ、美汐さん。このままでは収まらないでしょうからわたしがお相手しますね。今は
名雪の部屋が空いていますからあそこでやりましょう」
「あー、もう待ってよう。このままじゃ蛇の生殺しよ。途中で止めるなんて最悪よー」
本気で寝室から出ていこうとした秋子さんと美汐を呼び止める。
「やっぱり有子さんは真琴同様天の邪鬼ですね」
「あーん有子が悪かったわよー。入れてー!」
有子が美汐に飛びついていき、再びベッドに押し倒された。
実はもう我慢できない状態だった美汐は有子に覆い被さると、いきなり挿入。もはや刀
と鞘の如くセット状況にある祐一と真琴のものゆえ、なんの抵抗もなくピッタリと収まっ
ていく。
「あっあーん良いようー!美汐、それ最高」
「すごく具合がいいです。女性とはこんなに気持ちがいいものなのでしょうか?それとも
真琴のものだからでしょうか?」
「あーもう壊れちゃう。もっと突いて」
「あっ、あー止まりません」
「あらあら、若いって良いですね」
微笑ましそうに見ている秋子さんだが、なんだかちょっと羨ましそうでもあった。
それで結局選手交代。
「あーん、なんで秋子さんまでペニスがあるのよー。凄い、凄すぎるー」
「さすがは秋子さん、このポーズ参考になりますね」
「うぐぅ、ボク子供だからよくわからないよ」
ようやく起き出してきて室内を覗いているアユアユ。
結局深夜まで有子の嬌声が絶えることはなかった。
「あー!今気が付いたけど魔法少女なにのまだ一度も変身してない」
「次回に期待ですね」
「次回ってあるの?」
「さあどうでしょう?」
「ところでボクはなんで兎なの?」
「月に兎は付き物だからですよ」
「なるほど、月宮だから兎ですか。シンプルですが素敵ですね」
>>410-424 ま た K A N O (ry
確かにネタとして動かしやすいのはわかるが。
しかしロボットアニメ合体というかフュ〜ジョン!ハッ!というか邪教の館といおうか…。
とりあえず、変身したらしたでまたグチャエロ方面に突っ走ることになるんだろうなw
ああ…次は伝奇物だ…
>>410-424 どっちかというと祐一とあゆを融合させて、真琴をマスコットにした方がスッキリしたのではないか?
君がけも耳好きというならこれで正解だろうが。
「小さいな…随分と」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
「こ、このガキ!小学生のくせに、私の胸を『評価』し・・・しやがった」
「評価?それは違うよ…春原さん。「評価」するというのはね…その対象が評価するに値するから「評価」すると言うんだ
貴女の胸は評価するに値しないほど、貴女の胸は小さいんだよ…
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
「こ…こいつ!」
「止しなさい!春原!今のアンタじゃ、アイツに口喧嘩では勝てない!ここは退くのよ
「許せねえ!私の目の前で「胸が小さい」と言われて怒らない奴はいねぇ!岡崎、私はこいつをブチのめす」
「そうですか…残念です…あなたは「選ばれるべき胸」ではなかったのに、ぼくに挑むとは…いいでしょう
スッ
「消えた!?どこ!」
「あなたの負けです…春原さん」
「な、低身長を生かして、車の陰から、こっちに移ってきやがった!」
「あなたは…ぼくを倒すという「覚悟」を持っていたようですが…
ぼくの貴女の胸をなんとか揉む「覚悟」の前に敗れ去った…それが貴女の敗因…さぁいきますよ
「ん!?んふぁ!?」
「くくく(実はぼくは貧乳が大好きだ。今、この瞬間、僕の気持ちは、最高に「ハイッ!」てヤツだぁぁ!!!)
2年後
風太郎「な、なぜ!?動かん!?2年間揉んでいるのに、なぜ動かん!なぜ、ジャンプしても動かん!?この胸あぁぁ!??WRYYYYYYYYYYYYYYY!!?」
本当にごめんなさい
電波です、僕は電波です
こういう電波は好きです
もっとやってくれw
…ないすえれくとりっくうぇーぶ
>>410-424 kanon uzeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!
女性化から始まるKANONが批判される理由はやはり、
女性化→スタイル良くない→即エロ が主流なのからか?
もし、そうならば
反転済み で始めた方が批判されないのか?
ウザイと思ってるヤツは直ぐレスするが、ウザイと思って無いヤツは別に反応しない。
オレはkanonネタ別に全然構わない。 自分に合わないと思ったらスルーするが。
気にせず好きなネタで始めるのがよいかと。
そして…スレは動き出す
↓お題「夏」
夏い暑
>>437 に呼応
お題・夏
朋美:無駄に蒸し暑いわね…って春原、何よそのジト目は
陽子:いーえ何でもありませんし夏だって胸の谷間にあせもできて困ったりなんて出来ませんよ…
朋美:贅沢な悩みね…
陽子:どっちがですかねぇっ!!(゚皿゚)∞
>>400 個人的には、
S 秋江、岡崎母
A 朋美、往穂
B (該当者ナシ)
C ひろみ
D ゆう、北川
E 久瀬、陽子
と思うのだが、どうか。
【半妖狐魔法少女キューティアリスF:第2話初変身】
街の愛と平和のを守るために秋子さんの手で真琴と合体された上に、沢渡有子(魔法少
女キューティアリスF)と改名されてしまった相沢祐一。魔法エネルギーを蓄えるためと
いう口実で、秋子さんと美汐に散々オモチャにされてしまったのだった。ちなみに巻き添
えを食ったあゆはマスコットのアユアユにされてしまっている。
さて翌日、真琴が秋子さんに頼んで体験入学したときに作ってもらっていた制服を試着
してみる。
「うーん、ぴったり。って真琴用だから当然か」
「似合うよ有子さん、ボクも制服を着て学校へ行きたいよ」
「あらあら制服は無理ですが学校には一緒に行って貰いますよ。魔法少女とお供は一心同
体少女隊です。当然常に一緒にいないといけませんからね」
「一心同体少女隊?」
「ボク、よくわからないよ」
「あーあの昔のお金をかけても売れなかったアイドルグループですね」
すかさず相づちを打った美汐なのだが、すぐに有子の突っ込みが入る。
「天野、やっぱり年を誤魔化してるんでしょう?」
やることを済ませたら言葉遣いが女性らしく変化したのだが、本人はあまり自覚がない
ようである。
「失礼ですね。そんなことはないですよ、絶対に」
「ところでどうやってアユアユを連れて行くんですか?学校は託児所じゃあないですよ」
アユアユを一瞥しながら秋子さんに質問。
「酷いよ、ボク有子さんと同い年」
「でもその姿では絶対に高校生には見えませんね」
「うぐぅ」
「まあアユアユちゃんを学校に行かせる方法は後で説明します。それはともかく有子さん、
昨夜のお楽しみで魔力も貯まったことですし、一度変身してみましょう」
秋子さんの言葉で昨夜のことを思い出して真っ赤になって恥じらう有子、まあ肉体的に
は処女ではなかったとは言え、有子としては初めてなのだから当然かもしれない。
「そうやって恥じらうところも可愛いですよ有子さん」
美汐に追い打ちをかけられ更に赤くなった有子だが、気を取り直して。
「あのー、ところで秋子さん、変身ってどうやるんですか?」
「簡単です。両腕を胸の前でクロスさせて、ジャムジャム最高ミラクルチェンジと呪文を
唱えるだけでよいのです」
「それだけ、ですか?ちょっと気になる呪文ですけど、まっいいか」
ちょっと拍子抜けしたようだが、素直にポーズをとり、呪文を唱える。
「ジャムジャム最高ミラクルチェーンジ」
と有子の体が光り輝き、その光が治ると不思議の国のアリス風エプロンドレス姿の有子
が立っていた。
とりあえずは鏡で自分の姿を確認してみる。
「えーっと、変身って服が替わるだけですか?それにこの服動きにくそうだし、全然戦闘
向けじゃないような気がするんですけど」
期待はずれだったのか、有子の口調がやや失望したようなものに変わっていた。
「一見そう見えますが、この服の防御力なら5インチ砲の直撃にも耐えられます」
「5インチっていうと、えっと……12.7センチ。ってことは戦車砲でも平気?」
計算してみてその力に驚き、呆然とそう呟く。
「はいそうです。それと活動性の方も心配いりませんよ。ちょっと足を思いっきり上げて
みてください」
「こうですか?……エイ、ヤー!」
秋子さんに促された有子は、右足を頭より高く蹴り上げた。
「うわー、おっとと。……真琴の体柔らかい、こんなに高く上がるなんてびっくり」
思ったより高く上がって驚いたらしく、思わずバランスを崩してちょっとよろめいた。
「ほら邪魔にならないでしょう、一見普通のエプロンドレスのスカートとペチコートにし
か見えませんが、実は前後と両サイドにスリットがあって四分割になってるんですよ」
「それだと足に絡んだりしませんか?それと、風でも吹いたら直ぐに翻ってパンツ丸見え
になるのでは?」
「大丈夫ですよ、生地が特殊コーティングされていますからそんな心配はありません。そ
れと下はレオタードになっていますから万一見えても平気ですよ」
秋子さん会心の作だとばかりに自慢げである。
「いや、それでも見えるのは嫌なんですけど」
「どれどれ?」
「うわっ、天野勝手にめくらないで」
美汐に背後からスカートをまくり上げられ、顔を真っ赤にして慌てて後ろを押さえる。
「あまりハイレグじゃないから大丈夫ですよ。透ける白でもないようですし」
しれっとそう答える美汐。
「いやそう言う問題じゃなくてね」
「でも、ボクはとっても恰好良いと思うよ」
「えっそう」
例え相手がアユアユでもやはり誉められると満更でもないようだ。
「そうですよ有子さん良く似合ってますよ」
「もう天野までおだてないでよ」
「いいえ本当に可愛らしいですよ」
「あぅー、秋子さんまで。有子恥ずかしいよ」
どうやら誉められると真琴化する傾向があるようである。
「やはり真琴が混ざっている分おだてに弱いんですね」
「そうですね、のりやすくて助かります」
と言う秋子さんと美汐のひそひそ話は、すっかり舞い上がっている有子と、本気で感心
しているアユアユには聞こえていなかったのだった。
「あっ、そう言えば元に戻る時はどうするんです?」
「同じポーズでリリースと言うだけで良いんですよ」
「えっと、こうかな、リリース」
「あーあ、もう元に戻っちゃった、つまらないよ。けどいいなあ、ボクも変身とかしてみ
たいよ」
アユアユは本気で羨ましいようで、相当に不満げである。
「あらあら、アユアユちゃんも変身できますよ」
「えっ、そうなの?」
アユアユの顔が明るく輝いた。
「はい、その姿では学校へ行けませんからね。右手を高く挙げてたい焼きチェンジと叫ん
でみてください」
「たい焼きチェンジ?あんまり格好良くないけど、まあいや、やってみよう……たい焼き
チェンージ!」
有子同様にアユアユの体が光に包まれたのだが、光が治ると……。
「あれー秋子さん、アユアユが消えちゃったよ」
アユアユの姿が見えず戸惑う有子。
「ボクちゃんといるよ。でも、ここどこ?ボクはどうなったの?」
部屋のどこからかアユアユの声はするのだが、姿は何処にも見えない。
「有子さん、どうも下の方から声がするみたいですよ」
「そう言えばそうだね。でもどこにも居ないよ」
「声はすれども姿は見えず、こんな謎なことはないでしょう」
騒ぎ立てる有子と美汐を微笑みながら見ていた秋子さんだが、頃合いよしと見てか床の
上からなにかを拾い上げて二人の目の前に差し出した。
「これがアユアユちゃんですよ」
「これは、キーホルダーじゃないですか」
「たい焼きですね」
「えー、ボクたい焼きなの?こんなの酷いよ」
「まあこれなら学校へ持っていってもいいか」
「うぐぅ、連れて行くじゃなくて持っていくなの?」
「へー、この姿でも話せるんですね」
「ねえ、ボクの言うこと……誰も聞いてくれないんだね」
「秋子さん、これ元に戻るんですか?いくらなんでもこのままじゃあ可哀想ですよ」
「これじゃないもん」
「心配ありません、アユアユちゃんが戻りたいと思えば直ぐに戻れますよ」
「それなら安心ですね」
「あっ、戻れた。良かったよ、あのままだったら共食いに成っちゃうもんね」
ボカッ、アユアユの頭を軽く叩く有子。
「お前はそれしか気にならいのか」
「うぐぅ、だって重要な問題だよ」
「ところで名雪のことはどうしましょう?居場所はわかっているんですか?」
例によってアユアユの嘆きを無視して話題を変える有子。最早デフォルトであろう。
「いいえわかりません。それにとりあえず名雪のことは今は手を付けない方がよいと思い
ますよ」
「それはどうしてですか?」
「有子さんが魔法少女に慣れていない状態で名雪と接触するのは危険です。向こうから出
てくれば別ですが、なるべくなら接触しない方がよいでしょう」
「そうなんですか」
「名雪さん可哀想だね」
しんみりと呟くアユアユ。
「それはさておき有子さん、ちょっとこれを着てみましょう」
またもやアユアユの呟きは流され、秋子さんが自分の学生時代のものらしいブレザータ
イプの制服を持ち出してきたのだが、スカートが酷く短いように見えるのは気のせいだろ
うか?
「秋子さん、これスカートが短すぎ」
「そんなことはありませんよ。さあ着替えましょう」
「あぅー!」
さて所変わってここは森の中、悪い魔法少女になってしまった水瀬名雪改め魔法少女ミ
スティ・ナユキが、魔法で作った隠れ家である。
「お腹空いたよ、御飯まだ?」
「もうすぐ出来るケロ。後五分ほど待つケロ、ナユキ様」
フライパンを器用に操ってチーズオムレツを作りながら律儀にそう答えるのは、ミステ
ィ・ナユキの使い魔その一、元は名雪のお気に入りの縫いぐるみだったケロピーである。
誰でも想像が付くように、ケロピーはナユキの魔法で生物化しているのだ。
「ナユキ様、いつまでこうしてるんですか?」
多少不満そうにそう突っ込んできたのは、たいぎそうに梁の上に寝そべっている一見1
0歳くらいに見える半ズボンをサスペンダーで吊った男の子。だがよく見ると頭には猫耳、
更に尻からは長い尻尾が伸びていた。
「斉藤君、なーにが言いたいんだよ?」
ナユキに睨まれて、ひらりと床に飛び降りた猫ハーフ斉藤少年。
「魔法少女ってものは食っちゃ寝しかしないんですか?」
「うー、そこを突かれると痛いんだよ。魔法少女にはなってみたものの、どうも具体的な
侵略のビジョンが掴めないんだよね」
「それで思いつかないから、とりあえず使い魔を作ったり、猫アレルギーを治して町中の
野良猫を手下にしたりしたんですね」
斉藤の突っ込みにナユキとしてはとりあえずは無言で苦笑いするしかない。
しかし、そのうちちょーっとばかり腹が立ってきたようだ。額に青筋を浮かべて斉藤を
睨み付け、不自然に低い声で。
「確かにそうなんだよ。でも斉藤君、使い魔の分際で生意気だよ。これはお仕置きが必要
だよね」
「ええーと、遠慮しときまーす」
身の危険を感じたのか後ずさりする斉藤。
「だーめ、逃がさないんだよ」
がっしり斉藤の華奢な肩を掴んで微笑むナユキ、その微笑みが怖いのだが。
「わー、嫌です放してください……わーん脱がさないで」
ナユキが斉藤のシャツを剥ぎ取ると、恥ずかしげな仕草で胸を隠す。よく見ると思春期
にさしかかったばかりの少女のように、かすかに膨らんでいるのだった。
「御免なさい、反省してますからもう止め下さーい!」
「駄目だよー。ここまできたら自分でも止められないんだよー」
委細かまわず、今度は半ズボンをパンツと一緒にずりおろした。
「ワーン、酷いです」
ぺたんと床にへたり込んで泣き出してしまった斉藤。よく見ると女の子座りだが、小さ
いとは言え男のシンボルもちゃんとある。
「ほら、その邪魔者をどけて自分で広げてみせるんだよ」
「うー、もう恥ずかしいですよ」
体を丸めて床に蹲り動こうとはしないが。
「斉藤くーん、二度とは言わないんだよ。痛い目を見たくなかったら素直に言うことを聞
いた方が良いんだよ」
「わ、わかりましたよう。言うことを聞きますからアレだけはやめて下さい」
どうもなにか相当に強烈なお仕置きをされたことがあるらしい。斉藤は渋々ながら立ち
上がりゆっくりとだが足を開いていく。
「早くするんだよ」
「こうですか?」
ナユキに急かされて、元々小さい上に更に縮こまってしまった竿を右手で持ち上げ、左
手をその下に回す。
「早く!」
ナユキに一喝されてビクッと体を震わせた後、斉藤は左手を下腹部に当ててゆっくりと
裂け目を開いていくのだった。
つまり一見半猫少年の斉藤、実は半猫両性具有人だったのだ。
「さすがはわたしの魔法、完璧だよ」
「ナユキさまー、恥ずかしいですよう」
「うんうん、その恥じらう姿が良いんだよ」
悪い魔法少女としてたがが外れて、煩悩を全開にさせているのだった。
「じゃあ早速可愛がってあげるよ。うー、もう猫さん最高だよ。辛抱たまらんだよー」
「あれー」
早速斉藤を押し倒し蹂躙していくナユキ。
「あーん、止めて下さい」
最初はあらがっていたものの、しばらくすると。
「うにゃあ、にゃあにゃあ」
気持ちよくて人語を発することができなくなったらしい。
「猫、猫最高、可愛いんだよー」
「うにゃーん!」
一戦交えた後、覚めてしまった食事を魔法で温めて食べているナユキと斉藤。
「本当は祐一を斉藤君みたいにしてやりたかったんだよ」
行儀悪くオムレツを頬張りながら話し始めたナユキ。このあたりが名雪と異なり悪い魔
法少女である証なのだろうか?
「どうしてされなかったんですか?ナユキ様の力なら簡単でしょう?」
ナユキの力を知っている斉藤としては当然の疑問であろう。
「それが駄目なんだよ。祐一はお母さんの結界で守られているからね」
「結界くらい、ナユキ様の力で簡単に破れないのですか?いくら秋子さんが先代魔法少女
でも今はさほどの力はないのでしょう」
「それは確かにそうなんだけど、そう簡単にはいかないんだよ。力押しで結界を破るのは
簡単だけど、それをやるとお母さんや祐一が死んだり廃人に成っちゃう可能性が高いから
ね。力では上だけどまだまだお母さんの経験にはかなわないんだよ」
「なるほど、亀の甲より年の功ですね」
「それお母さんの目の前で言ったらただじゃあ済まないよ」
('A`)コテハンヨロ
同時刻水瀬家
「あらあら、お仕置き決定」
有子に浴衣(自分の娘時分のもの)を着付けていた秋子さんが、ちょっと手を止めてそ
う呟いたので有子は怪訝な表情になった。
「秋子さん、なにか言いました?」
「いえなんでもありませんよ。それより有子さん、次は振り袖を着てみましょうね」
「えー、もう良いですよ」
「有子さん、わたしも見たいですから是非着て見ましょう」
「ボクも見てみたいよ」
「そうかな、美汐やアユアユがそう言うなら有子着てみてもいいよ」
お約束で着せ替え人形にされている有子。結構うんざりしているのも事実なのだが、誉
められるとついつい真琴化して乗ってしまうのだった。
再びナユキの隠れ家
「うっ、今なにか悪寒が」
突然ブルッと震えた斉藤。
「斉藤君ご愁傷様、きっとお母さんに聞こえたんだよ」
「そんなー、ナユキ様なんとかして下さい」
ボロボロ涙をこぼしながらナユキに泣きついていく斉藤だが、ナユキの答は悪い魔法少
女に相応しく冷たいものだった。
「これも運命ケロ、諦めるケロ」
「そんなー!」
ああ、哀れな犠牲者斉藤の運命や如何に。
「まっ、斉藤君の運命はともかく、わたしは絶対祐一をゲットするんだよ」
その祐一が女の子に成ってしまっているとは、知らぬが仏のナユキだった。
祐一と謎ジャム婆あ
Uzeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!
454 :
すのぷ〜野郎:2005/07/02(土) 22:32:58 ID:PY2KaWLVO
>>440 個人的には反転芳野をBランクくらいのイメージで書いてる。
「――――――おい『風太郎』しっかりと撮れただろーなッ!」
「……」
「今の春原の、必死に胸を大きくしようと努力してる際の必死の形相を!」
「うん、撮れた。今、動画をメールで送る…………転送できた」
「うおおおおお!!良ぉお〜〜〜〜しッ!
よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし
よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし 立派に撮れたぞ!風太郎」
「………」
「これは『好奇心」だ風太郎!この『好奇心』が刺激されるほど、夜に使う『パワー』が湧いて来るものだ
早く見たいッ!俺は、『姉』が「おっぱい」大きくする作業を早く見たいと思っていたのだッ…」
「……………」
「そうだ、すまない忘れてた。ごほーびをやるぞ、よく撮れたごほーびだ2本でいいか?」
「………」
「3個か!?ヒトデをすり潰したドリンクが『3個」ほしいのか?3個…イヤしんぼめ!!後日、そちらに配送するからな」
「……(ニヤッ)」
「よし、今後も頼んだぞ(こーゆう若くて何も知らん奴は利用できる…私の夜のために『利用』させてもらうよ…)」
本当にお前はいいよ風太郎…心の底から「良ぉお〜〜〜〜しッ!
よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」と思っているからな…)
ピッ……
「……とんでもない弟を持ちましたね…春原さん。まぁ僕は春原さんを拝められて、その上ドリンクまでもらえるから得なんですけどね」
「あと…芽衣也さん。今は協力してても、最終的に春原陽子さんは僕が頂きます」
僕は電波だ 本当に電波だ
クラナドファンの方すみません
21、316、428と僕の投下した物は全部電波になってます
本当にすみません
荒木絵の反転蔵キャラが見たくなってきたなぁw
ジョジョネタ良いよー
ぐっどえれくとりっくうぇーぶ
ドクター高槻の奇妙な生活見ていて、ふと思ったんだが、
高槻はなんのキャラだったけ?
オリキャラ。
…ま、いいか。
>>461 いくらまるっきり別人になってるからってなあ…w
>>460 MOON.のキャラだよ。
実は初代スレですでに反転ネタが出てたりする。
466 :
名無しさんだよもん:2005/07/03(日) 19:14:46 ID:rmeUG6cu0
今更だけど、個人的妄想だと北川は北欧系クォーターで、
巨乳とまではいかないにしてもスタイル抜群という脳内設定。
単に胸が大きいんじゃなくて、スタイル全体のバランスが絶妙なんだろうな。>北欧系クォーター北川
性格も良いし男子人気高そう。
しかし本人は報われ難い片想いに身を焦がしてる罠。そう考えると(男側にとっても)ひどい奴だな美坂薫。
それと遅レスだが
>>409 まだ未知数の部分は多いが悪初音君とか。
>>467 タマ兄を忘れてないかい?
直接的に夜這いとかしそうなイメージあるんだがタマ兄。
貴子さんも大変だ。
「コテハン希望」「('A`)コテハンヨロ」
の意味がわからない…
作者にコテハンにしろというのか、それとも
旧コテハンに帰ってきて欲しいというのか…
前者じゃない?
【半妖狐魔法少女キューティアリスF:第3話初登校】
さて週が開けて転校生としての登校初日、お約束のように祐一として通っていたクラス
に編入された有子である。ちなみにたい焼きキーホルダーに変身したアユアユは、有子の
鞄にぶら下がっている。
有子が廊下で待っている間、ホームルームの中で担任の石橋がいつもの如く投げやりな
口調で連絡事項を発表していた。
「えー、今日はいくつか連絡がある。まず水瀬は当分休学するそうだ、それと斉藤は行方
不明だ、更に相沢は突然転校になった。でまあ代わりと言ってはなんだが、今日から転校
生が来ることになったぞ。沢渡君入りたまえ」
かなり重大なことをこともなげに言ってのけているのだが、いつものことなので生徒達
は気にしていないようだ。まあそれはともかく、ドアを開けて有子が入室してくる。
「あ、あのー、転校生の沢渡有子です。よろしくお願いしまーす」
どうも真琴の人見知りが表面に出たらしく、ややおどおどした態度だ。それでも有子が
ぴょこりと頭を下げると、それに合わせて耳と尻尾がぴょこぴょこと揺れる。
「可愛い」
「なあ美坂、あの子見覚えがあるんだが」
「そうね、相沢君の知り合いの真琴って子に似ているような気がするわね」
「ひゅーひゅー」
「頭に変な物が付いてるぞ」
「バカねカチューシャに決まってるわよ」
「けど、尻尾みたいなのが見えるぞ」
お約束の美少女転校生の出現、しかも怪しげな風体とあれば、生徒達がざわめくのは当
然であろう。
「あー、五月蠅いぞ。質問が有るなら手を挙げてするように」
煩わしくなったのか石橋は面倒くさそうにそう言って椅子に腰掛けた。
「はーい沢渡さんはどこから来たんですか?」
「東京の○○区からです」
「相沢と一緒だけど、なんか関係有るの?」
「遠縁になります」
ここで一呼吸。
「ちなみに当然ながら水瀬秋子さんの関係者です」
有子が付け加えたその一言で、それまで好奇の目で有子を見ていたが生徒達の視線が一
変、全員が固まってしまい教室内の温度が3度ほど低下したようでもある。
しかししばらくして当初の衝撃が治ると、生徒達にもようやく落ち着きが戻ってきたし、
どこにでも勇者と言うかバカはいるのものである。
その調子のいい男子生徒Aが元気良く手を挙げて質問。
「質問、その犬の耳みたいなものはなんですか?それとお尻のは尻尾ですか?」
「狐の耳と尻尾です」
下手に誤魔化してもどうせ直ぐにばれてしまうと、ここのところは正直に答えることに
したようだ。
「なんでそんなものが付いてるんですか?」
めげずに引き続き質問されるが、いい加減にこの話題がわずらわしくなったらしい有子
はここで切り札を切るることにした。そこで軽く深呼吸した後に真面目な態度で。
「秋子さんの趣味です。それ以上追求したい人は居ますか?」
「「「「「「「「「「いませーん!」」」」」」」」」」
声をそろえてそう答え、ガクガクブルブルと震え出すクラスの一同。
「じゃあ質問はもうないですか?」
「「「「「「「「「「意義ありませーん!」」」」」」」」」」
こうして転校生への質問タイムは無事に?終わりを告げたのだった。
「えーと質問はもう無いのか。……では沢渡の席だが……丁度空いたことだし相沢の席で
良いな。おい北川手を挙げろ」
面倒くさげに質問タイムを眺めていた石橋が適当に有子の席を決め、声をかけられた北
川がやる気なさげに手を挙げる。
「へーい」
「沢渡、今のアンテナ男が北川だ。それでお前の席はその右隣だ。ではホームルーム終了、
一時限までもうちょい時間があるが、他のクラスの迷惑になるから騒ぐんじゃないぞ」
適当にそう言い残し無責任一代教師石橋は教室を出ていった。
取り残された有子はしょうがなく、元の自分の席につくしかない。
「えっと北川君ですね。よろしく」
「ああ、こっちこそよろしく。ところで君、相沢の彼女の真琴って子と苗字が同じだし、
良く似てるけど親類?」
この質問は予期していたので答えは準備していた有子だったが……。
「ゆ、祐一なんか、有子の彼じゃないわよー」
ついつい「彼女」の言葉に、真琴の天の邪鬼な部分が反応してしまったのだった。
「えっと、なんで君がそんな照れたように否定するわけ?」
当然の如く怪訝な表情になる北川。
「あぅー、え、えーと……それはつまり、そのー真琴はわたしの妹で、祐一とは幼なじみ
で、そのー、まっ、昔いろいろあったのよー」
はっきり言ってしどろもどろな答だが、幸い北川はそれ以上追求してこなかった。見て
いて可哀想になったのか、単におかしな子だと思っただけかもしれない。
そこでやや強引に話題を変える。
「まっそれはともかく、教科書はあるかな?無ければ見せてやるけど」
「あっうんありがとう。でも祐一と教科書交換したから大丈夫」
「交換?」
「あーあの、つまり祐一と真琴は家庭の事情でわたしと交代に実家に戻っちゃったから。
その、複雑な事情があって細かい説明できないんだ。それで了解してもらえるかな?」
「オッケー、まあみんないろいろあるよな。まあとにかく仲良くしようぜ。こんな可愛い
子と知り合えてラッキーだしな」
「あぅー、そんな可愛いだなんて……有子恥ずかしいわよー」
有子が恥ずかしがって身もだえると、耳と尻尾がそれに合わせて元気に蠢くのだった。
「それ、本当に本物なんだな?」
目を丸くした北川の問いかけに真顔になった有子は……。
「だから、さっきそう言ったでしょう。君変なやつだね」
「いや、君も変なやつだと思うぞ」
「そう?」
などとやっているうちに教師が姿を現わし、一時限目が始まるのだった。
その後の授業は無事に終了したのだが、秋子さんの名前での脅しが利きすぎたのか、北
川の他は昼休に校内を案内してくれた香里以外に誰も声をかけてくれ無かったわけで。
有子としてはクラスへのとけ込みに失敗したかなと少々不安であった。
放課後有子が校門を出ようとしたとき、屋上から誰か女性の高笑いが聞こえてきた。
「わーははは!わたしはこの街を支配すべき魔法少女、ミスティ・ナユキだよー。街の征
服の手始めにこの学校を頂いちゃおうかと思ってるんだよ」
声に驚いた有子が振り返るとそこに立っていたのは、黒のバニースーツとおぼしき衣装
を身に纏ったかなりスタイルの良い少女と、その横で片膝を付いている黒い袖無しレオタ
ードの猫耳少年?だった。
「と言うわけで、この学園はたった今からわたしが占拠したんだよ。あーっははは!」
再び高笑いを始めたナユキ。
周囲の生徒達も異変に気が付き、屋上を見上げて口々に喚き始める。
「あれは誰だ?」
「さあ見たこともない美少女だぞ」
「胸でけえ」
「やあねえ、あんな恰好恥ずかしくないのかしら」
「頭おかしいんじゃないの?」
「顔は可愛いのに、頭の方がアレなのね。可哀想に」
「素敵なお姉様」
「あの男の子可愛い」
かなり様々な反応であるが、男子の間では美人、女子の間ではなにあのキ○ガイと言う
のが大勢のようだ。一部ショタや百合も混ざっているようだが。なんにせよ誰一人危機感
など持っていないようである。
ちなみに、はっきり言って胸が二回り以上大きくなっているほかは水瀬名雪そのままの
姿だし、名前にもなんのひねりもなく正体モロバレだと思うのだが、ナユキの魔法の力な
のか誰もナユキの正体が名雪だとは気が付いていないようだ。
まあ天然で有名な陸上部長名雪と、高笑いをしながら高いところに上りたがる危ない女
性とが同一人物だとは到底思えないだけかもしれないのだが。
さて一方有子の方はと言えば。
「ねえ有子さん、あれ名雪さんだよね。どうするの?」
「どうするって、秋子さんになるべく名雪と接触するなって言われてるし」
「でも学園の危機だよ」
「いや、あの調子で危機になるかどうかよくわかんないし。もう少し様子を見ましょう」
などとアユアユと小声で相談している有子であるが、端で見ていればたい焼きキーホル
ダーと会話しているかなり危ない少女である。幸い周りの注意がナユキに向いていたので
気付いた者は居ないようだが……まあもう少し気を付けるべきであろう。
文書くの早いね
「ところで有子さん、名雪さんすごい恰好だよね」
「うん確かに、胸の谷間も露わな上にスーパーハイレグのバニースーツに超ミニスカート」
「それも、あのスカート股間を隠す役には全然立たない飾りだよね、フィギアのユニフォ
ームみたいだよ」
「お供の子の恰好も凄いね、黒の猫手袋と猫ブーツ。でもあの子なんか見覚えがあるよう
な気がするのよね」
「ウナー」
ナユキの様子を校門の影から観察していた有子だが、足元の鳴き声に気が付いて下を見
下ろすと、そこにいたのは真琴の飼い猫のピロだった。
「あっピロだー。どうしたのピロ?勝手に学校へ来ちゃあ駄目でしょう」
有子がピロの前でしゃがむと、ピロはピョンと有子の足の上に飛び上がってきた。
「ウナー」
「えっ、なに?」
なにやらもの言いたげに立ち上がり有子の胸に前足をかけてくるピロ。
「もう、駄目よピロ服が汚れちゃうでしょう」
「それどころじゃないよ有子、秋子さんからの伝言だよ」
有子の耳元に口を寄せて突然話し始めたピロ、有子は驚いて危うく腰を抜かす所だった。
「あぅー、ピロがしゃべったー」
「しっ、これも秋子さんの力だよ。それでね、今ナユキと接触しては駄目だから早く帰っ
てこいって」
「でも、この状況を放っておいてよいの?」
心配そうな声で口を挟むアユアユ。
「あのねえ、現段階ではナユキも大したことはできないから放っておいても平気だって」
「そう言うことなら帰りましょう」
あっさりとそう決断する有子。
「本当にそれで良いの?」
「アユアユはアレに付き合いたいの?」
「ボク、あんなの相手にしたくないよ」
有子が指さしているナユキの高笑いを見てアユアユも即答。
「ねっそうでしょう。じゃあ帰りに肉まんとたい焼きを買って帰るわよ」
元気良く尻尾を振って歩き出す有子に、ピロとアユアユも賛同の声を上げる。
「ウナー」
「わーい」
こうして無責任にも有子はその場から立ち去ってしまい、最初の魔法少女同士の激突は
回避されたのだった。めでたし、めでたし?
一方ナユキの方は精神が異常に高揚しているのか、気持ちよく高笑いを続けていた。
「あーっははは!愚民達を見下ろすのはもう最高だよ」
「あのーそれは良いんですがナユキ様、学園を制覇してどうするんですか?愚民達も数減
ってきましたし」
さすがに付き合いきれなくなってきたのか斉藤がおずおずと口を挟む。実際退屈したり
あきれ果てて帰ってしまった生徒もかなり居るようだ。ひまなのか野次馬根性が旺盛なの
か北川のように残っている生徒も多いのだが。
しかし学校当局や生徒会は、この事態をどうにかしようとはしないのだろうか?
「あーっははは、あーっははは」
ナユキの高笑いが一向に終わらないので、斉藤は有子が帰ってしまったころに再びため
らいがちに声をかけてみる。
「あのー、もしもしナユキ様、聞いてますか?」
さしものナユキもさすがに笑い疲れたのか、斉藤の方を不機嫌そうに振り向いた。
「なんだよ、斉藤君五月蠅いよ。なにか文句があるの?」
ナユキに睨まれて萎縮した斉藤だが、なけなしの勇気を振り絞って進言。
「いえ別に文句じゃないんですけど、ただ高笑いしていてもしょうがないかなーって」
「ふーん、随分偉そうな口を利けるようになったんだよ。このわたしがなにも考えずにた
だ高笑いしていたわけがないんだよ」
とりあえずそうは答えたものの、実のところなんのビジョンがあるわけでもないようだ。
腕を組んでしばらく考え込んでしまったナユキ。
やがてポンと手を叩き。
「そう言えば肝心なことを忘れていたんだよ」
「肝心なことなら忘れないで欲しいよな」
小声でそう呟く。
「うん、今なにか言った?」
「ゴ、ゴホン、なんでもないです、咳をしただけです、はい」
「それなら良いんだよ。さあ作戦開始だよ」
「そういわれてもなにをすれば良いんですか?」
「斉藤君は黙ってわたしに従っていれば良いんだよ、頭脳はわたしだけでよいからね」
「はーそうですか」
気分は溜息ばかりですの斉藤だった。
「じゃあ行くよ。あーっははは!これより学園の支配者ナユキ様の要求を伝えるから聞き
漏らさないようにするんよ」
前置きを終えて声を張り上げるナユキ。
「では要求だよ、まずは学校を壊されたくなかったら三年の相沢祐一を生贄として差し出
すんだよ、それといちごサンデー三杯もね」
「ナユキ様生贄って随分露骨な要求ですね」
斉藤の突っ込みは無視。
「さあ十分だけ待ってあげるよ。早く祐一といちごサンデーを差し出すんだよ」
「おーいそこの女、相沢は転校しちゃったぞ」
ナユキの通告に回答したのは北川だった。しかし祐一の名前まで出ているのにどうしてナ
ユキの正体に気が付かないのだろうか?
「嘘はいけないんだよー」
間髪を入れずに返答、どうも信じたくないようだ。
「嘘じゃないぞー、今朝石橋がそう言ってたからな」
「ガーン!わ、わたしはなんのためにここまで来たんだよ。終わった、全ては終わったん
だよ……斉藤、引き上げるよ」
ガックリと肩落すナユキ、こころなしか自慢の巨乳も小さくなったように見える。
「あのー、転校先に追っかけていかないんですか?」
「斉藤君、それが駄目なんだよ。わたしは地域限定魔法少女だから、この街を出たらただ
の女の子に戻っちゃうんだよ」
「そうだったんですか……はっ」
瞬間斎藤の顔色が変わったのだが、それにナユキも気がついたようだ。
「斉藤君、今逃げようって考えたでしょう。でも駄目だよ、この街を出てても君が元に戻
るわけじゃないんだよー」
そう指摘されて動揺する斉藤。
「そ、そんなことあるわけないじゃないですか。ぼ、ぼくはナユキ様のそれはもう忠実な
しもべですよ」
「そう、その言葉忘れるんじゃないよ。では愚民ども、さらばーだよ」
そう言い残して一瞬で消え去るナユキと斉藤。
あとには呆気にとられた野次馬達が取り残されたのだった。
「今のはなんだったんだー?」
「俺が知るか!」
かくて学園の危機は有耶無耶のうちに去った。
「やはり、生徒会長である僕の人徳のお陰ですね」
いたのか久瀬。けど多分それはないと思うぞ。
ちなみにそのころの有子達。
「ねえ有子さん、もう第三話も終わりなのに全然魔法少女らしいことしてないけど良いの
かなあ?」
キーホルダーから使い魔の姿に戻してもらってたい焼きを頬張りながら、ふと頭に浮か
んだ疑問を口に出すアユアユ。
「あぅー、うんぐんん……じ、次回はちゃんと魔法少女することになってるのよー」
図星を突かれて、一瞬肉まんを喉に詰まらせかけた有子だが、どうにか体制を立て直して
そう答えた。
「そうなの?それと今回は全然エロもなかったよ」
「子供がそんなこと気にするんじゃありません。次回はちゃんとあるからいいの。まっ、
わたしがするんじゃないけどね」
有子の意味深な台詞で今回はお終い。
そいじゃわかりやすく。
ID:bqfViw/z0はコテハンを付けてくださいませんか?
もう寝るノシ
つ【妊娠】or【専用】
>>484 【妊娠】…と言えばハクオロおかーさん。
女高槻とか柳川裕子(鬼モード)あたりは、逆レイプからの強制中出させのコンボで
「これじゃ妊娠しちゃうかもね?」と笑いそうな。
【専用】の方は……なんかほとんどの反転ヒロインが多かれ少なかれ
誰かの専用になってる気がするんだがw
逆ハーレム作ってる奴もいるけど。
「貴子〜。いるか〜?」
十分に時間を置いた上で、貴子の部屋までやってきていた。
しかし何度ノックしても貴子は出て来ない。というか人の居る気配がない。
席外してんのか、もしくは…まだ風呂に入ってるんだろうか?
「もっ、申し訳ありません!遅れましたぁ!」
トタトタと激しくもないが忙しない足音と共に背後から貴子の声が聞こえた。
「ああ、気にすん―――なっっ!?」
振り返って視界に飛び込んできた貴子は……バスタオル一枚で戻ってきやがった…。
身を包むタオルの大きさは身体を覆うには十分であったが、制服のスカートよりさらに
上の方まで覗く御足が眩しいぜ…。
髪を乾かす時間もなかったようで、やたらと艶っぽい。そそるわコレ。
胸の部分は、かなりの高さまでタオルが引き上げられているので谷間こそ確認できないが
布一枚の下から自身を誇張するバストは何て言うかもう辛抱たまらん状態ですばい!
「―――っっじゃねえっ!!そ、そそ、そんなカッコでだな!家ン中歩いたりしたら…」
ああくそ…。自分でも解るほど弛んだ顔して何言ってんだか俺は。
当の本人は自分の格好の事を指摘されても、遅れてきた自分の不備を嘆いたまんまだし。
―――その時だ。俺の対姉貴専用レーダーが姉貴の動向を察知した。
なーんて、難しいハナシじゃあない。
貴子の部屋は姉貴の部屋の隣なんだから姉貴がすぐ側に居るのはアタリマエ〜。
…………やべえっ!!
今の状況を姉貴が見たらどう思う?
→貴子の部屋の前→貴子はバスタオル一枚→ハタから見ると困り顔→ワーオ!
…俺死んじゃう!!
ガチャリ、と姉貴の部屋のドアノブが回る音がした。
その音は俺にとっちゃ、拳銃の遊底を引いた音にすら聞こえた。
「あっ、雄二さん!こっち!」
同じくドアノブに気付いた貴子は、訪れるであろう地獄を前に足が竦んだ俺を引っ張り
自分の部屋に押し込んじまった。
彼女が何を思って俺を助けようとしたか知らないが、背に腹は変えられん!ってことで
その善意に与りつつ、姉貴がこの部屋に入って来る様なもしもの事態に備え、隠れる事にする。
クローゼットかベッドの下か、一瞬迷ったが、イナズマのような閃きを便りにベッドの下へ
潜り込んだ。
ドア越しに二人の会話が聞こえてくる。
「貴子さん!貴女またそんな格好で!」
「す、すみません…御見苦しい所を…」
「もう…しょうがないわね…。それより、ユウが此処にいなかった?声が聞こえた気が
したんだけど、貴子さん、もしかしてあいつに何かされなかった?」
「いいえ。確かに雄二さんとはそこで顔を合わせましたが、驚かせてしまったみたいで
そのまま戻っていってしまわれました」
「そう…。あんまり甘やかしちゃ駄目よ?あいつには前科があるんだから」
嘘を言うな嘘を!
「それと貴子さんも!いくら癖とはいっても、タオル一枚だなんてはしたないわよ?
おいおい直しなさい、よろしい?」
「はい、しかと」
会話の流れから姉貴にお辞儀する貴子の姿までもが浮かぶなか、ドアの閉まる音がした。
次いで部屋のドアがゆっくりと開かれる。万一に備え、奥へ身を潜める。
「雄二さん?あれ…?」
それも杞憂。入って来たのが貴子だけだと確認してベッド下から這い出る。
「よっと……げっ!?」
見上げて…硬直。バスタオル一枚な貴子をローアングルでモロですよモロ。
当然「見え」はしねえんだが……。
「ぐっ……ぅっ」
「あの…どうかなさいましたか?」
チョッピングライトもんだぜ…これは。
「な…なんでもねえんだ。それより、服…着ておけって」
「いえ。このままで構いませんよ?」
何を言うかコイツは!俺が構うんだっての!
「それに、ひとと部屋を同じくして着替えるのは、いくら相手が雄二さんといえど私も
恥ずかしいですし…かといって私の長湯でお待たせさせた上、廊下で着替えを待って
頂いている間に環さんと会うかもしれません」
クソ…テコでも動かねえなこりゃ。無視して部屋の外で待ってても果たしてちゃんと
着替えてくれるかどうか。
昔っから厭な方面に頑固だったが、今も継続中ってか。
貴子を直視しないようにあさってを向いて話し掛けることにした。
「なぁ。河野貴明って覚えてるか?」
「?何方です?私が戴いた『河野』の遠縁の方ですか?」
―――チッ……たしっかに、キツイわこいつぁ。
これが自分自身への反応だったんだ…貴明がどうにかなっちまってもおかしかねえ。
同時にあン時の俺の洞察の無さに、拳に篭める力が増す。
だからこそ気負いもある。
今俺が会話してる貴子がナニモノか定かじゃねえが彼女を追い詰めるだろう結果に変わりない。
「貴子はさ、今の自分ってどう思うよ?」
「どう…とは?」
「今の貴子さ、なんか…おかしいぜ。自分でも無理してるって思わねぇのかよ」
「………私は、いつも通りに振舞っているだけですよ?」
「『いつも』って何だよ!何時の事をいってんだよお前は!」
「ゆ、雄二さん落ち着いて…」
「貴明は!貴子はどこに引っ込んじまったんだよ!」
顔の表面からガァっと熱が込み上げて来たのが解る程、興奮しきっていた。
まだ数言交わしただけなのに、この気持ちの悪さは何だってんだ!
「雄二さんは…私が……御嫌いなのですか?」
俺の視界に割り込みながら、胸に手を当て、瞳も若干潤んだ眼差しで訴えかけてくる。
とても演技には見えなかった。
そんな貴子の姿を見てると、決心が鈍る。
すぐにでも目の前の女の子を抱きしめて「好きだ」と囁いてやりたい。
迷いという名の誘惑がむくむくと膨れ上がり、俺の意思に向けて鎌首を擡げる。
「………私は………雄二さんのこと…好き、ですよ?」
「っっ!!?」
おいおいおいおい……っ。
マジかよ。何だよそりゃ。反則だろうが!
今まで女の子から「好き」なんて言われた事のねぇ俺が、しかも初恋の相手にだぜ?
「好き」って言われたらガード不能じゃんよ。
「雄二さんのココ…辛そうですよ?」
囁きも甘く、貴子は横合いから俺の腰の辺りに手を翳す。
彼女の言う通り…俺の分身はすっかり自身を誇張していやがった。
こやつめ!こんな状況でおっきしちゃうようなキカン棒に育てた覚えはねぇぞ!
「私の所為でこんなになってるんですよね…。いいんですよ、私なら…雄二さんの望むままに…」
「俺…は…俺は……」
ぐらぐらと理性が崩れていく。それでも一抹の想いは残されている。
こんなカタチで貴子を手に入れてしまって良い訳が無い、と。
ここでミスったら取り返しのつかないことになっちまいそうで、貴子との距離が絶望的に広がっちまいそうで。
けど―――
「………抱いて下さっても…」
しな垂れかかると共に、耳元でトドメの一言。
「貴子!」
「あっ…」
俺弱ぇぇーと思いながらも理性は白旗を上げ、感情の赴くままに貴子を懐に抱き入れる。
やーらけー……それに、いいにおいだ。
女の子の風呂上りってこんなに良いにおいなのかよ…。
なんてタチの悪い魔法だろうか。近付けば近付くほど離れられなくなる。
「心臓の音、どくどくいってます…」
言われずとも判り過ぎてらぁ。まるで全身が脈打ってるような錯覚を覚えるほど昂ぶってやがる。
こうして身体を密着させているだけで互いの体温はひとつになったよう。
そうして俺はゆっくりと…深く…甘い毒で自分を納得させていった。
―――本当にこのまま抱いてしまってもいいのか?
いいんだ。
―――それで貴子は本当に幸せになるのか?
なれるさ。
貴子は俺が好きで、俺も貴子に惚れ切ってる。どこにも問題なんて無い。
「ふふ…」
腕の中で貴子が俺の股間の腫れ物をいたわるように撫で回す。
気持ちがいいのと裏腹に全然刺激が足りなくて、無意識にずい、と腰を押し出していた。
それに応えるようにジッパーを下ろす音がして、これから起こるであろう事にごくりと生唾を飲む。
俺は負けじとタオルの上から胸に触れた。
「んっ……」
厚めの布の上からでも、男が持ちえない確かな弾力が指先を愉しませてくれる。
「やっ、雄二…さん…」
屈み込む形だった貴子が体制を整え、改めて向き合う。
俺たちは身長もそう差は無いんで同じ目線でモノを見ることが出来る。
貴子の顔は上気したように火照り、瞳は虚ろで目の焦点があってないのでは?というほど頼りない。
それがまた奇妙に淫靡なのだ。
唇は見たことの無いくらい艶光りしており、そのぷるるっと音がしそうなほど柔らかそうな
果実を貪りたくなり、彼女の肩に手を回し引き寄せる。
「貴子……」
ぐぐっと、吐息すら感じ合える距離まで来た時だ。
「えっ?」
虚ろであった彼女の目に光が灯った。
それに構う余裕は無く、いよいよ唇が触れ合おうとした―――
「い、イヤだ!!」
瞬間。
目を閉じ準備完了だった俺は貴子に突き飛ばされた。
「………ぁ」
何が起きた!?
たっぷり十秒程硬直していた俺が動き出すのと同時に貴子が叫ぶ。
「ご、ごめんなさい!……ごめん…なさい……キスは…キスだけは駄目なんです…」
魔法が……解けてゆく。
俺は、何を見ていた?今の貴子の表情には本当に嫌悪の色が出ていた。
もしかして俺は―――
「………ですが―――」
そして再び虚ろな瞳へと変貌していく。俺を映していない瞳に。
「―――『こちら』は、雄二さんが望むままに御奉仕致しますよ?」
俺に圧し掛かるようにズボンの留め具を外し、トランクスの膨らみを撫で回す。
いきり立つ自身とは別に、あれだけ篭っていた身体の熱は瞬く間に冷えていくのが分かる。
「手がよろしいですか?それとも口での御奉仕がよろしいでしょうか?」
……誰なんだ…この女は…。
もしかして俺は―――とんでもない思い違いをしていたんじゃねえのか…?
「…やめろ…やめるんだ」
「?お気に召しませんでしたか?なら…」
「いいんだ。もう……もういい」
顔を見るのも辛くて、服を正し部屋から逃げるように…いや、実際逃げ出した。
「左様ですか。おやすみなさいませ」
背中に受けた何事もなかったかのような貴子の声に懼ろしさすら感じた。
「ハァッ、ハァ、っっ、ハァッ……っく…」
全速で自分の部屋の前まで駆け戻り、崩れ落ちるように脱力。
気を抜けば――いくつもの理由はあったが何より俺自身の不甲斐無さに――泣いてしまいそうだった。
俺は…また、やっちまったのか?
また貴子の事を考えてやれずに…突っ走っちまったのかよ。
俺が欲しかったのは俺の中を占める貴子であって、貴子の身体目当てだったわけじゃねえ!
「なのに…なのによぉ!」
ダンッ
貴子を傷つけた……。
『今の貴子』が表面上どうあれ、きっと俺がやったことは心の奥底のどっかで沈殿物の
ように消えることなく、燻り続けるだろう。
俺に出来ることは、もう無いんだろうか?
俺が不用意に動きゃ貴子を苦しめるだけなんだろうか…。
―――
――
―
「っざけんな!!!」
ガッ
頭を壁に叩きつける。
情けねえ……情けねえ!!
俺は誰だ!?あいつにとって何だ!?
俺は貴子の…貴明の―――ダチだろうが!!
「姉貴ィ!開けてくれ!」
正直なところ今日は貴子の部屋に近付きたくなかったが、来た路を引き返し姉貴の部屋のドアを叩く。
「煩いわよっ、何時だと思っ………ユウ…?」
夜半の押しかけにいつも通りの説教モードを覚悟したが、俺の何かを感じ取ったのか
神妙な顔つきに変わる。
「話があんだよ。凄ぇ……すげえ大事な話が」
「……入りなさい」
通された先で姉貴は椅子に座り、俺に習うよう促すが立って話す事を選んだ。
そんな些細な違いでも自身を奮い立たせるには必要なこと。
「話って云うのは?」
「貴子を、元に戻したいんだ」
「!!ユウ、あなた……!」
「わかってらぁ!病院で言われた通り記憶を戻す事がヤバい事だってのは!
けど、けどよぉ…」
「何があったの?言いなさい」
ぴしゃりと有無を言わさず説明を求められる。
でも、いたずらに心配されるよか、話しやすいっちゃあ話しやすい。
「貴子に…誘惑された」
「なんですって!?」
「待てって!それも…俺が迫ったからワリィんだ。俺が考え無しに貴明のこと引き摺り
出そうとしたから。俺は…誘いにノっちまった」
「まさかアンタ…!タカ坊を!?」
姉貴は立ち上がり俺の襟元を引っ掴みガクガク揺さぶる。
「止めたっての!ちっとばかし触っただけだ!」
「それでも十分重罪よ!」
怒鳴りつけながらも俺を解放し、気が抜けたように再び椅子に座り込む。
「わかってるの?タカ坊が自分にされた事を思い出させたりしたらどうなるか…。
最悪タカ坊の心が壊れてしまうかもしれないのよ!?」
「今だって十分ボロボロだろうが!いつまでもあのままにしてたら…あの貴子と
一緒に貴明だった頃のモンみんなみんな消えちまう!
駄目なんだよ…そんな貴子じゃ。駄目なんだ…」
「雄二…あなたタカ坊を…?」
「ああ好きさ!うン年前に女装したカッコのあいつ見てからずっとだ!
でもよぉ、俺が好きなのは俺の言う事ほいほい聞き入れる貴子のツラした女じゃねえ。
バカやってる俺の事冷たくあしらったり、女嫌いで甘々のお人好しで、しかも元男で、
そんなんでもずっとダチでやって来た貴子じゃねえとダメなんだよ!」
「ユウ…」
初めて、初めて自分の本当の、本当に想ってた事を誰かに話した。
貴子への告白した時は、言ってみればライクであって、今話したことは嘘偽りのないラブだ。
貴子がポンコツになっちまって改めて、しかしやっと確信が持てた。
俺はあいつ以外の女じゃもう駄目だってこと。
「ん…もう、まいったわね…」
姉貴が珍しく自分の髪を掻き毟っている。実際はそんな表現よりずっと優美じゃあるんだが、
人にそんな醜態を見せるのは姉貴の性格上まずありえない。
「そ〜んなに真っ直ぐ言われちゃ応援しないわけにはいかないじゃない」
「姉貴…!」
「で?あんたはどういう方法で愛しの君を連れ戻そうっての?」
「ぐ…あのなあ」
「なによ。好きなんでしょ?ベタ惚れなんでしょ?ならいいじゃない」
ちょっと頼りになると思ったらこれだ。
また姉貴の『俺恥ずかしいメモリー』のネタが増えちまった。
いや告白したことに後悔はないが、姉貴の手に掛かると面白おかしく改変されちまうんだよな。
「これを渡しておくわ。どう使うかは、あなたが決めなさい」
ポーチから取り出し、投げ渡されたのはどこの家庭にもありそうな鍵。
「こいつは?」
「タカ坊の家の合鍵」
「なんでそれを姉貴が!」
その手のものは全部チビ助ン家で春夏さんが管理してる筈じゃあ…。
「しかもこれっ本当に複製した『合鍵』じゃねえか!」
装飾が全く無く、刻印すら無い鍵がそれを物語っていた。
「あら、だってそれ、タカ坊の家の庭に捨ててあったの鍵から作ったのよ?」
それ…『隠してあった』って言うんじゃ…。
「いーのよ。人にバレたのにそのまま隠し場所変えずにいたタカ坊が悪いの」
と、そこまで言って今まで人をおちょくって楽しむような笑みから一転。
「いい?例えタカ坊が自分を取り戻しても、迂闊な言動は控えなさい。
特にタカ坊を女の子扱いするのは御法度。
自分が襲われたのは自分が女の子だから…きっとそんな強迫観念に囚われているでしょうから」
こく、と頷く。わかってる。
例え俺が貴子に許されなくとも、俺は貴子の全てを認めてやらなくちゃならないんだから。
結果、永久に嫌われる事になっても。
「頑張れ、雄二」
頑張れ―――なんて無責任でなんて力強い言葉だろう。
姉貴の確かな信頼を受けて俺は床についた。
翌朝。誓いの朝。
驚くほど頭はすっきりとしており、時刻は目覚ましの鳴るほんの数分前。
申し合わせたような目覚めだった。
時計のスイッチを切り、制服に着替える。河野家には放課後行く事にした。
貴子と話す為に学校を休む事くらい気にも留めないが、昼間、この屋敷には人が多すぎる。
俺にしちゃ弱気だが姉貴のサポートも欲しい。
全ては日が暮れてからだ。
「あれ?雄二さん、珍しいですね。こんなに早くに着替えまで御済になっておられるなんて。
あっ…私ったら珍しいだなんて御無礼を…おはようございます、雄二さん。
朝食の用意は出来てますよ」
いつも通り…気味の悪さを通り越して清々しい程いつも通りな貴子だった。
昨日あった事なんて微塵も気に介していない。
…気に介す?そんなんじゃねえ…。
そうやってその日一日あった事リセットしながら生きてこうってのかよ貴子?
俺は貴子から『いつも通り』の施しを受け学校に向かう。
そんなものは今日限りにしてやる、と誓いながら。
放課後を迎えた。
決して急がず、河野家へ足を向ける。
姉貴から借りた鍵の所為か、不法侵入感バリバリで家の中に上がる。
貴子がウチに来て一ヶ月以上は経ってるのに家の中は埃すらろくに見つからない。
春夏さんとこのみ、もしくは姉貴辺りが定期的に訪れているんだろうか。
俺は以前貴子が入院して、三人で来た時に入った部屋へ向かった。
貴子の説得にはあのアルバムが不可欠だ。
その他にも『貴子が孤児なんかじゃない』という裏付けになりそうなものを見繕う。
問題は果たしてこの材料だけで貴子が全部を思い出すことが出来るか、だ。
いよいよとなれば、口頭だけであいつが元は男だった事を思い出させなけりゃいけない。
重い足取りで西日を背負い帰路についた。
「ユウ。私も隣に居るから。何かあったらすぐ呼ぶのよ?」
夕食も終え、昨日と同じく貴子の部屋の前に俺は立っている。
彼女には既にすぐ行くから、と自室で待たせてある。
「入るぜ」
ノックに続き部屋に上がる。昨日の今日で着替えの途中だったらどうしようかと思ったが
仕事着、メイド服のままで待っていてくれた。
昼間どう切り出すか、ずっと考えあぐねいていたが、貴子が、貴明が知る俺らしさ、
真っ向玉砕で行くのが一番だと結論着けた。
「貴子、お前が自分について知ってる事全部、もっかい教えてくれ。
それとちょっと此処に名前書いてくれねぇか」
「はい?ええと…河野貴子、十六歳、最近まで向坂の施設で生活していました。
向坂家の御意向から住み込みの使用人を勤めさせて頂いております」
言い終わるや、「河野貴子」と書き出された紙をよこす。
「サンキュ。んで、悪いがそりゃ全部嘘っぱちなんだ。お前もわかってるだろ貴明?」
「なに…を……突然何を言い出すのですか?貴明?何方なのですか?私は…」
「こいつを見な」
四の五の言わせる前にアルバムを開き、目の前へ差し出す。
「…わかりません」
俺は何も聞いちゃいない。なのにこの返答。手応えありだ。
「何がわからねえ?俺は何も聞いてないぜ?それとも見覚えでもあんのか貴明?」
「私は!―――いえ……知りません」
「知ってるのか?何を」
「わかりません。雄二さんの幼馴染の方でも写ってらっしゃるのですか?」
…もう一押し。
「俺のアルバムじゃないんだぜ?何で俺が写ってると?」
「だって此処に…」
そうしてある一点を指差す貴子。
捕まえた……かな。
「確かに…その写真に写ってんのは俺さ。けどなんで俺だって分かった?」
「え?」
このページは予め意図的に写真を入れ替えておいたのだ。
そして俺が写ってるのは貴子が指差した場所に収められた唯一枚。
しかもこの時の俺は、姉貴が邪魔した所為で、貴明と揃って顔が写ってない写真だ。
そう、俺達にしてみれば共通の思い出の写真。
「しかも今お前は幼馴染って言った。よりにもよって何で幼馴染だ?
俺との関係を聞くなら他に幾らでも聞き様があった筈だぜ?」
「そんな…ちがう…わた、し…わたしは……」
胸の奥が痛む。けどココで立ち止まるワケにゃいかねえ!
「次にこいつ。お前ン家から拝借してきたもんだ。物持ちが良くて助かったぜ」
取り出したるは貴明の中学の頃のテストの答案用紙。
そこに先程名前を書かせた紙を並べる。
「よっぽどの事がなけりゃ二、三年かそこらじゃ筆跡なんて変わらねぇ。
特に自分の名前の書き方なんてもんは」
「これは…これ…っ…」
「施設時代に通ってた、なんて言うなよな!言えるのかよ!?なんて学校でどのクラスだったのかが!」
「嫌……や…です……こんなの…」
「思い出せよ貴明!!いつまでも引き篭もってなんていられねえだろうが!貴明!!」
「やめて…!もう…やめ―――」
「無かった事になんて出来ねぇんだよ!!」
「―――もうやめろよ!!!!」
…………………………………
「貴明…」
「なんでだよ!?どうして思い出させる!!?俺は、俺は……!!」
「あのままでっ……っっ、いいわきゃねえじゃねえか!」
「お前に何がわかる!俺はあいつらに…!あんな…あんなっ!!」
「わかるかよ!!わかんねえよ!わかんねえけど……けどなぁ!
カラッポの思い出抱えて生きていけるハズねえだろうが!!」
「うっ…うぅっ…ちくしょう……ちくしょう……うわあぁぁぁぁああああああああああっっ―――」
やっと戻ってきた貴子。
俺の大好きな貴子。
けれども、その慟哭は姉貴が駆け付けた後も尚続き、貴子が気を失ったような眠りに
つくまで収まる事はなかった。
∧||∧
>486
がががぐがげぐがが。……キツイわコリャ。だが雄二、お前はよくやった…
スマン、野暮なこと聞くようだけど、
貴子は例の事件がきっかけで、記憶喪失になり、もう一人の貴子になった。
でも雄二の計画で、記憶喪失だった頃の記憶を持ちながら貴明に戻った。
で、あってる?
それとも、記憶喪失になって、もう一人の貴子になったんじゃなくて、
記憶喪失のフリをしていたんだけど、雄二の計略でバレたってコト?
多分前者だよね?ちょっとバカな漏れには難しすぎて。。。orz
後者だと思う。ただ、普段はそんなこと意識しないほどに自然に「演じている」状態だったと思うが。
あれだよ。ネカマやってると相手の書き込みに無意識にネカマ人格が反応するのをすごくしたような奴
…なわけないかorz
でもそれじゃあ、貴明の意識持ちながら雄二のちんこさすったりしたの?
いくらパーフェクトネカマでもそれはちょっと… じゃない?w
自己欺瞞のきっかけがあれだから、性に対して必要以上に(強迫観念?)積極的になってるものだと思う。
だってそれを嫌悪したら、自己欺瞞のきっかけのあれも嫌なものって点では同じだ。
あれを受け入れるためのニセ人格なんだから。
…でもあれの最中にキスはされなかったからキスに嫌悪感が出てるんだと思う。
親からの虐待を正当化し受け入れるために「もう一人の自分」をスケープゴートとして作り上げ、
多重人格になった児童みたいなものか…。
「貴子」のキャラクターでいる時は「貴明」としての意識はほとんどなかったのかも?
とりあえず
>>500GJ。
>>500 _ ∩
( ゚∀゚)彡 GJ! GJ
( ⊂彡
>>500 GJ! 雄二ガンガレ。超ガンガレ。そして貴子はもっとガンガレ。
ところで、反転本出すなら出典としてここかまとめサイトのアドレスを
本に載せた方がよかですかね?一応「反転」というネタをお借りしているので…。
むしろ情報うp
全力で買うから
う〜む、文章から前者の様な気がしたんだがなぁ・・・・
しかし>505の言ってることも解るような解らないような・・・
>506の様な考え方もあると。。。
今後の展開でそこら辺が解るのかも知れないし、あまり重要じゃないのかも知れないし、
あまり今は深く考えないようにした方がイイか…
お騒がせスマソ。
>>500 元の貴子の今後が気になりますね。
そして雄二はどう出るのか…。
>>508 是非とも情報plz おいらのアンテナは感度が低いんです…
全力で宣伝しますので。
アドレスに関してはお任せします。「『葉鍵 性別反転』などでググって下さい」とかでもおk。
今日は七夕。ということで小ネタ
ふゆ「織姫と彦星って、何だかんだで一年に一回はちゃんとデートできるんだから、
実は結構恵まれてるじゃないかな…」
あきら「また急なスケジュール変更でデート潰されちゃったの?」
ふゆ「うん…orz」
あきら「あなた達の天の川は年中激流みたいね…」
さつき「見て見て! 掘り出し物ゲットしてきたわ!」
結一「掘り出し物って言われても…七夕用の竹だろ?」
さつき「チッチッチッ。 これこそ伝説の“願い事を書いた短冊をつけると本当にかなう竹”よ!」
スフィー「じゃあ、例えばそれに『ホットケーキ死ぬほど食いたい』って書くとかなうのか!?」
さつき「イエース! …ま、その場合、リアンあたりが事故って示談金やら何やらがガッポリ手に入って
結果的にホットケーキ食べまくれるようになるんだけど」
結一「猿の手かよ!」
七夕だが、SS書く時間がなかったので、小ネタ投下
燈人「今日は七夕だね。浩子ちゃんは、短冊にどんな願い事を書くの?」
浩子「そうねぇ・・・」
と相づちを打ちながら、願い事を考えるために自分の現状を振り返る。
いつも口うるさいが、明るく気さくな態度で場を賑やかす保志。
反対に、おとなしくて無口だが、意外としっかりした所もある芹哉。
その弟で、エクストリームチャンピオンだが、さびしがり屋な所もある綾哉。
綾哉に憧れ、エクストリームに情熱を燃やす葵。
クラス委員で関西弁、色々あったが人をまとめる事が得意な智。
諺オタクがたまにキズたが、紳士なレナード。
制御出来なかった超能力を、努力によってコントロール出来るようになった琴音。
失敗も多いが、献身的に身の回りの世話をしてくれるバトラーロボのマルチ。
そして、いつも一緒にいて空気みたいだが、もはや無くてはならない存在になってしまった・・・
燈人「どうしたの?」
浩子「うん・・・まぁ、今が幸せだから、いいかなぁって。」
そう言いながら、そっと燈人の手を握り、握り返してくる燈人の温もりを感じながら、幸せをかみしめる浩子であった
七夕アナザー
燈人「今日は七夕だね。浩子ちゃんは、短冊にどんな願い事を書くの?」
浩子「そうねぇ・・・」
と相づちを打ちながら、願い事を考えるために自分の現状を振り返る。
いつも口うるさく、情報を集めて虎視眈々と自分を狙ってくるパパラッチ野郎。
反対に、おとなしくて無口だが、悪魔を召還して自分を奴隷にしょうとするオカルトオタク。
その弟で、エクストリームチャンピオンだが、何気にあまえてくるマザコン。
エクストリームに情熱を燃やすが、それ以上に練習の際にいきすぎたスキンシップを図ってくるショタ小僧。
クラス委員で関西弁、色々あってクラスを支配し、自分まで支配しようとしてくるメガネ。
弓道部に所属し、切れたら真っ先に標的として自分を狙ってくるクレイジーヤンキー。
コントロール出来るようになった超能力で、色々といたずらしてくるネクラ少年。
献身的になのは良いが、失敗が多く、かなりの被害を与えてくるポンコツロボット。
そんな中で唯一まともで、そして、いつも一緒にいて空気みたいだが、もはや無くてはならない存在になってしまった・・・
燈人「どうしたの?」
浩子「うん・・・あの・・・燈人と一緒にいたいって・・・あっ、ずっと一緒にいてくれるよね、燈人?」
つい願い事を本人に言ってしまい、潤んだ目で愛しい少年を見る少女。
燈人「もちろん。ずっと一緒だよ、浩子ちゃん。」
そう言いながら、そっと浩子の手を握り、握り返してくる浩子の温もりを感じながら、幸せをかみしめる燈人であった。
(もうこれで浩子ちゃんは僕の物・・・今まで放置していたけど、邪魔な奴らはこれから・・・・・・くすっ)
浩子の未来はどっちだ?Σ(゚д゚lll)
そんな二人を物陰から見つめる一人の少年。
「あぁ……藤田さん…………他人の物になっちゃう藤田さんも素敵です…」
出し損ねたラブレターを握り締めながら、
理央はうわごとのように浩子への想いをぶつぶつと呟き続けた。
理央くんが忘れられてるのがかわいそうだったので、ついw
>>512-515 おお、こんなにも七夕SSが、GJ!
関係ない事だけど、デパートに寄ったら
水着が売り出しされてたの見て。もうそんな時期かと
今のうちからダイエットを始めましょうという合図ですよ。
ダイエットが必要そうな反転キャラはいますかね?
「うー雄はるーを侮辱した。るーを侮辱することは許されない罪だ。覚えておけ、必ず死より辛い罰が下るだろう。
…だってさー。るーこちゃんって可愛いけど相変わらず言ってることわけ分かんないよなぁ」
俺はさっきるーこちゃんに言われたことをそのまま口真似した。
るーこちゃんってば全然冗談が通じなくてさ、俺がちょーっとからかっただけなのにすんごい目でこっち睨んでこう言ったんだよ。
るーこちゃんの言ってることは相変わらずいつも意味不明だ。
「なあ、貴明、お前もそう思わねえ?」
「―……」
俺は振り返って後で歩いている貴明にそう言った。
けど、振り返った先の俺の顔を見つめる貴明は何かやたら深刻な顔しててこっちが吃驚したね。
「…雄二、そのさ、マジで気をつけろよ、お前。るーこの言ってること、たぶん冗談じゃないだろうし」
「はあ? 冗談じゃないって…るーこちゃんはただの普通の女の子だろ?
そんなどこにでもいる女の子がどうやったら死より辛い罰ってやつを下せるんだよ」
貴明の真剣な言葉を俺はケラケラ笑って返した。こいつは昔から真面目だったけどまさかるーこちゃんの冗談を真に受けるとはね。
「そんなに心配しなくとも、何もねえってきっと。お前は何でも深刻に考えすぎなんだよ」
「―……」
バンバンと肩を叩いて笑い飛ばす俺とは逆に貴明の表情は曇ったままだ。
相変わらず冗談の通じねえ奴だな、ほんと。
そんなことを思いながらいつも通り貴明と二人で家へ帰っている途中だった。
俺がるーこちゃんのその言葉の意味を身を以って実感することになるのは。
「なあなあ、それよりこれ見てくれよ」
辛気臭え話してるのは性にあわねえ。
俺はさっさとその話を切り上げておもむろに鞄から一枚の写真を取り出した。
「じゃーん、緒方里奈のサイン入り生写真。苦労したんだぜー、これ手に入れるの。ほれほれ、お前も見たいだろ?」
「……バカだな、お前」
はあ、と呆れたように一度大きく溜息を吐いた貴明の冷たい視線を軽く往なしながら俺は秘蔵の写真をヒラヒラとさせた。
こんな家宝にすべき貴重な一品に目もくれないとは、本当にダメな男だぜ、貴明。
そんな事を思って写真を貴明に無理矢理渡そうとした瞬間だった、唐突に強風が吹いたのは。
「あーッ!」
手から手へ渡ろうと不安定に揺れていた写真はあっさりと風に吹っ飛ばされる。
まさに一瞬の出来事だった。
「待て、俺の緒方里奈!」
風で吹っ飛ばされた写真。俺は周りも見ずに無心にそれを追った。
あれを手に入れるのにどれだけの時間と金費やしたと思ってんだ!
だから俺は自分の状況にも貴明の声にも気付かなかった。
「雄二!」
貴明の叫びに気付いたのは俺が写真をその手に取り戻した瞬間。
体が下へと落下を始めている時だった。
そう、俺は写真を追うのに必死で勢い余って橋の手すりから足を踏み外していることに気付いていなかったのだ。
足の下は底の見えないどでかい川。
「…ッ!」
マジかよ。人間ってのはあまりにも驚きすぎると悲鳴なんてもんはでねえらしい。
景色がスローモーションで俺の目に映る。
真っ青な顔して橋から手を伸ばす貴明。
思わず手から滑り落ちた緒方里奈の写真。
ああ、俺死ぬのかな。一度も彼女できないで童貞のまま死ぬなんてだっせぇ。
せめて、最後に一度でいい、あの子に会いたかった。
一度だけしか会えなかったけど、今でも忘れてない。初恋の、白い君。
「雄二――ッ!」
貴明の悲痛な叫びが俺の遠のく意識の奥底で響いていた。
「悠里、悠里、しっかりしてよぉ…」
女の子の、声がする。俺、生きてるのか…?
「目、開けてよぉ…」
幻聴じゃない。これは、女の子の泣き声だ。
誰だよ、俺の側で女の子泣かせるなんていうダセェ真似したの。慰めるくらいしろよな。
つーか、何かやたら体が冷たいっつーか、寒い気がする。
でも、寒さを感じるって事はとりあえず死んでないってことだよな。
俺は気力を振り絞って瞼を上げる。
「……悠里?」
目を開いた先に女の子がいた。目から大粒の涙をぼろぼろ零してこちらをじっと見つめてくる。
「泣くなよ……」
誰かは分からない。けどそう言わずにはいられなかった。ゆっくりと手を伸ばしてその涙を拭う。
その少女は、何となくどこかで見たような顔立ちだけど、美少女には変わりはない。
俺が安心させるように微笑んでやると、その子はさらに大粒の涙を零して、俺に抱きついてきた。
「おわッ、ちょ、君…!」
「悠里ッ! 悠里ぃ! 良かった、良かったよぉ…」
神様、俺ってもしかしてどこかでフラグ立てちゃってましたか?
今まで彼女の一人もできなかったのはこんな美味しすぎるイベントのためですか。
大泣きをする少女を抱きしめ返したまま俺はそんなことを思った。
「悠里」が誰なのかとか、体が何でビショビショだったのかとか、そんなことはもうどうでもいい。
俺はようやく訪れた俺の人生の春の始まりを感じさせる今の状況に酔いしれていたんだから。
この時俺は、貴明がどうなったのかとか、そんなことは何も考えていなかった。
そして、るーこちゃんの言葉のその本当の意味さえも、まだ分かっていなかったんだ。
「何でさー、あたしってモテないんだろ」
今日も冗談半分でるーく君を逆ナンパしてみたのに、思いっきり睨まれちゃったし。
侮辱したとか何とか言ってたけど、るーく君ってかっこいいけど今流行の不思議系ってやつでいまいちついていけない所があるのよね。
罰がどうとか言ってたけど、天罰なんて個人の希望でどうとかなる問題じゃないわよね。
「やっぱりおっぱい小さいからかなぁ…。大きくなるよう努力してるのに…」
「あんたの場合、胸の大きさより普段の態度の方が問題だと思うけど?」
「うっさい、でか乳。どうせアンタにはあたしの気持ちなんて分かんないわよ」
あたしの後をついて歩いてくる幼馴染はちょっとむかつくくらい発育がいい。
お陰でどうしようもない鈍感なのに不思議とモテてたりする。
うちの兄貴も「やっぱり貴子は抱き心地がいいな〜」なんて実の妹のあたし以上に気に入ってたりする。
それなのに本人は男が苦手。
あんまり面識のない男と話してる時の貴子なんて顔真っ赤にしてしどろもどろで正直見てられない。
でも逆にそこが初々しくて男にうけてるんだから世の中って不条理よね。
「べ、別に好きで大きくなったわけじゃないし…。それに、悠里は痩せてるし、軽いからいいじゃない…」
しかも貴子はあたしから見たらすんごく羨ましい体系してるくせにそれがコンプレックスだったりする。
貴子は昔から発育が良くて、よく男からそういう対象として見られてきた。
顔もそこそこ可愛い上、嫌と言えないお人好しで体をジロジロ見られても抵抗する術を持たないから男たちの格好のターゲットってわけ。
電車に乗れば必ずと言っていいほど痴漢に合うし、隙あらばパンチラや谷間を拝もうと視姦しまくられることも少なくない。
あたしはそんな貴子の性格を知ってるし、放っておけないと思うからそういう輩からよく貴子を守ってきたんだけど、
そんな体験のお陰で貴子は元からの男性恐怖症にさらに拍車をかけてしまった。
最近では兄貴と幼馴染の好巳くらいとしかまともに喋れないんじゃなかろうか。
親友としてはその辺がちょっと心配なのよね。
「大体彼氏彼氏って…男がそんなにいいの?」
「当たり前じゃない! あたしは今年こそ緒方理雄みたいなイケメンの彼氏作って結婚するって目標があるんだから」
このままずっとあの家にいたら兄貴にいつか殺されるわ。だからとっととお嫁に行って幸せにならなきゃ。
こんな焦り、男性恐怖症の貴子には理解できないかもしれないけど。
「男ってそんなにいいもんじゃないと思うけど…」
「あたしは夢見てるからいいの。いつか緒方理雄みたいな人が迎えに来て幸せにしてくれるって。
あーあ、うちの学食がジャニーズ学食だったら良かったのに」
「ジャニーズ学食って何よ…」
そりゃあ昔から男に酷い目に合わされてきた貴子から見たらいつまでも王子様を夢見てるあたしは馬鹿みたいかもしれないけど、
女の子だったらちょっとくらい幸せな結婚夢みたいじゃない?
ちょっとでも可愛くなるようにお化粧したり、服選んだりするのって結構楽しいし。
でもだからこそ、そんなことすら許されない貴子がちょっと可哀相になる。
貴子は元が可愛いからお化粧したりすればもっと可愛くなるのに、女としてコンプレックスがあるみたいだからそういうのに本当に無頓着。
服だってあたしが選んであげてるし。でも本人は男が苦手だからモテてもあまり嬉しくないのかもしれないけど。
けど逆にそういう純朴さがその性格と相俟ってうけてるんだから逆効果よね。
「それよりもさ、じゃーん、見て見て」
くよくよ悩んでるのは性に合わない。
だからあたしは鞄の中から今日貴子に一番に見せたかった物を出した。
「…何それ?」
「緒方理雄のコンサートチケット。しかも最前列。取るの大変だったのよー。最前列なんてきっともう二度と取れないし!」
「…ふーん」
にこにこと笑うあたしとは対照的に貴子は本当に興味なさそう。
ファンクラブ会員ですら滅多に取れないような特等席なのに!
「ほらほら、もっとよく見てよ。整理番号だって一桁なんだから」
そう言って半ば無理矢理貴子にチケットを渡そうとした瞬間。
「あッ!」
突然吹いた強風でチケットが飛ばされる。
「ま、待って〜」
あたしは形振り構わずそれを追いかけた。
だって最前列なんてきっともう二度と取れない!
生緒方理雄を間近で見る最初で最後のチャンスかもしれないのに!
「悠里!」
「え…?」
貴子の悲鳴が聞こえた時には全てが遅かった。
あたしは無意識の内に橋の手すりから飛び出してチケットをゲットしていた。
当然、下は冷たい川。
「ひゃあああッ!」
う、うそー!? あ、あたし死んじゃう!?
まるで流れるみたいにゆっくりと景色が変わる。
体がどんどん落下していく。
「悠里ッ!」
「ひッ!」
体がガクンと揺れて落下が止まった。貴子が腕を伸ばして片腕であたしの腕を掴んでる。
「貴、子…」
「悠、里…しっかり、して…」
貴子の苦しそうな声。当たり前だよ、貴子、あんまり力ないのに片腕だけであたしの体支えてるんだから。
「諦めちゃ、だめ…」
貴子、やっぱりあんたって馬鹿。でも、そんな貴子が大好きだったよ。
もし男だったら彼氏にしても良かったくらい。
だけど、守ってあげられなくて、ごめんね。
せめて、あんたが誰かと結婚して幸せになるのを見届けてから死にたかったな。
「あッ…!」
貴子の手からスルリと腕が抜ける。
どんどん下に落ちていく体。
目に映る、泣きそうな貴子の顔。
死ぬのなら、その前に、あたしを好きになってくれる誰かとキスしたかったな。
「悠里――ッ!」
最後に聞こえたのは貴子の声。あたしの意識はそのままゆっくりと沈んだ。
「おい、雄二! 雄二! しっかりしろよ!」
「ぅ……?」
男の人の、声がする。あたし、死んじゃったんじゃないの…?
「馬鹿雄二、こんなんで死んだら一生呪ってやるからな!」
やだな、あたし男の人に一生恨まれるなんて絶対やだよ。
まだ彼氏の一人もいないのに、呪われるなんてあたしが何したっていうの?
それに何か寒い。服、体に張り付いて気持ち悪い。
あたしは全身全霊の力をもってして重い瞼を重力に逆らわせた。
「雄二…?」
「え…?」
目を開けた先にいたのはちょっと可愛げのある顔をした男の子。
瞳がちょっと潤んでるから、泣きそうになってたのかもしれない。
「…ッ」
その子はそれを見られたのが恥ずかしいのか、手でグイっとそれを拭った後、あたしを見据えて言った。
「この馬鹿! 全く、お前はいつも無茶しすぎるんだよ…。こっちが一体どれほど心配したと…」
「ご、ごめん…」
彼が誰だか分からないけど、何だかえらく心配してたみたいなので一応謝っておいた。
そうしたら彼はほんの少しだけ表情を緩ませた後、微笑んだ。
「分かったなら、もう二度とこんな真似するな。もう一回やったらタマ姉に言いつけるからな」
ああ、この人、笑うと本当に優しい顔になる。ほんの少しだけ貴子に似てる気がした。
そんなことを思いながら、あたしの頭には、何故かるーく君のあの言葉だけが何度も繰り返されていた。
メイド貴子たんに激しく萌えつつ
>>238の設定にも萌えたので自分で書いてしまった…。
雄二は優季にしようかと思いつつも草壁さんと被ってしまうので。ってゆーか、反転雄二難しくて書いてて激しく違和感が…。
るーこが雄二が何て呼ぶか分からんかったです…。
初めて反転物書いたんで拙い代物ですが次回以降があるならこの二人以外も出ます。
わーい、ここはチェリーウッドだー(マテ
兎も角GJ!!
次もどんどん期待してますー。
ヤヲイとレズにしかならない気もするなw
というか珊瑚と瑠璃とイルファが…
>>517 春原や久瀬は必須かと
Aあるかどうか、わからないAA胸を少しでも目立てさせる為に
元々細いウエストを更に細くさせないと胸を少しも強調できないから、必須
まぁ風太郎や祐佐が貧乳好きなら関係ないことだが
>>516 順調着実な発育の結果、毎年のように去年の水着ではサイズが合わなくなってしまい
「ったく、めんどくさいなぁ。お金もかかるし」とブツクサ言いながら新しい水着を物色する浩子。
流行りモノには弱いが貧乏性でもあるため、水着選びとなるとどれにしようか延々悩むふゆ。
とにかく地味で露出度低めな水着を探す貴子。
そもそも水着なんて子供時分から持ってない往穂。(黒シャツが水着代わり。濡れても透けにくいし)
>>531 地味で露出度低めな水着…スクール水着だな
>>532 それだ!!
当然胸にはゼッケン(名前はひらがなで)がついてるんだよな。
巨乳で生地の押し上げられたスクール水着・・・誰かSS書いて〜
つ【海】
>黒シャツが水着代わり
ゑろいな
なんか貴明の女性恐怖症って、性別反転させた場合の方が説得力出てるんですがw
>>517 はじめさんも地味にダイエットやってそうだな。
一人暮らしのグータラ大学生にどこまでできるかは疑問だが。
>>536 「だいじょーぶだいじょーぶ、私着やせするタイプだから。
それに、ワンピースのほうが意外と身体のラインって目立つもんなのよ」
……とか云って三角ビキニ着てそうな気もしますが。
おかげで周囲は屍血山河。
>>537 裕子さんが
「初音の為なら、こ、これくらい・・・」
と対抗しようとすると、
「裕子さん!それ、ほとんど紐ですよ!」
と初音に止められるのを想像してしまった。
選ぶに事欠いてブラジル水着だったりするのか!?
540 :
524続き:2005/07/11(月) 02:27:35 ID:MVKgygv70
反転東鳩2続きです。駄目な方はNGワードに「罪」「罰」でスルーヨロ。
土台固めつーかプロローグだけでどれだけかかってんだ…orz
>>527 色々考えてるんでヤヲイとレズにはならんと思うので安心をw
神様、俺の春は今始まったんですね。
腕の中の感触に感動しながら俺は思わずこの瞬間に感謝したさ。
今までこんなにも女の子と密着したことがあっただろうか。いや、ない!
よし、忘れない内にこの感触を楽しんでおこうじゃないか。それでは遠慮なく思いっきりギューっと。
「ちょ、ちょっと、悠里、痛いよ…」
「あ、ごめんごめん」
ああこの感触。感動的だぜ。柔らかくていい匂いがする。これぞまさに俺が求めていたもの!
それを手放すのは名残惜しかったが、これ以上やって不審に思われるのも不味いから俺はようやくその子を解放した。
「でさ、悠里って誰?」
「…は?」
俺の言葉に目の前の少女の表情が凍った。いや、「は?」とか言いたいのは俺の方なんだけどさ。
「ゆ、悠里…大丈夫? 今ので記憶喪失になっちゃったとか…?」
「あのさ、俺、悠里じゃなくて雄二だから。似てるけど微妙に違うから。雄で第二子だから雄二。誰かと勘違いしてる?」
「悠里…?」
俺の言葉に彼女の顔が真っ青になる。その顔にもう涙はないけど明らかに焦っている。
「う、嘘…。だって私の目の前にいるのは正真正銘悠里じゃない…。い、今ので多重人格になっちゃったの…?」
「多重人格ぅ?」
何だか目の前の彼女と思いっきり話が噛み合ってない。
彼女は完全に俺を他の誰かと勘違いしてるみたいだ。
「ところでさ、貴明知らねえ? あ、貴明ってのは俺のダチなんだけど…たぶんそこら辺にいたと思うんだけどさ」
そこで俺はようやく貴明がいないことに気が付いた。
俺がどれだけ意識を失っていたかは分からなかったが、あいつは気絶した人間を放っておけるような薄情な人間じゃないはずだ。
キョロキョロと辺りを見回していると、俺の側に紙切れが落ちていることに気が付いた。
それを何となく拾って見てみる。
「…緒方理雄コンサート…?」
こりゃまた命知らずな芸名の奴もいたもんだ。思いっきり緒方里奈のパクリじゃねーか。
しかも俺がチケット取った緒方里奈コンサートと同じ名前で同じ日で同じ会場。ここまで徹底してるなんて凝ったネタだ。
…ん? 同じ日で同じ会場…?
「―…嘘だろ……」
ちょっと待て、それはありえないだろう。しかもこれはドームツアーのソロコンだ。
他のアーティストと日程が被るなんてありえねえ。
ならこのチケットは偽物か? でもこれはどう見ても正規のチケットだ。
俺を「悠里」と呼ぶ少女。「緒方理雄」コンサートチケット。何かが激しく噛み合ってない。
何かを激しく違えている。まるで俺の存在が異常だというかのように。
「あ、あのさ、君の名前教えてくれるかな?」
「名前…?」
俺の言葉に少女の表情が歪む。そしてまた俺に詰め寄ってきた。
「ゆ、悠里本当に大丈夫…? 貴子、河野貴子だよ? 分かる?」
「貴、子……」
はは、こりゃあ悪い冗談か?
貴子。河野貴子。同姓同名だとか似た名前だとか沢山いる。
それでもこれは。
「そのさ、俺の名前は分かるか? フルネームで」
返ってくる答えなんて分かってる。でも、俺はトドメを刺されなきゃあ気がすまなかった。
俺の予感を確信に変える為に。
「悠里。向坂悠里。タマ兄の妹で私の親友だよ…」
はは…やっぱりそうか。今、俺は悪い夢か何かを見てるのか?
今の俺の周りは全部が少しずつおかしくなってるみたいだ。
親友は女に。好きだったアイドルは男に。一体何の冗談だ?
「あのさ、河野貴明…なんていう知り合いはいないよな?」
「貴明…?」
やっぱり覚えがないらしい。俺はその反応を見るや否や自分の股間へと手を伸ばした。
「ゆ、悠里…!」
それを見ていた貴子、と名乗った少女が慌てる。
けど、そんなのは気にしてられない。だって俺にはそこにあるはずのものがなかったんだからな。
それどころじゃないさ。
そして俺はその後自分の胸を触ってみた。
パッと見洗濯板みたいだが、確かにそれはあった。小ぶりだけど、柔らかなものが。
「マジかよ…」
こんな話信じろってか? どうやってこの状況を飲み込めって言うんだよ!
目が覚めたら自分は女になってて親友も女で姉貴は兄貴に。悪い冗談にもほどがある。
「…ふ、ははは…」
もう笑うしかないぜ。これがるーこちゃんの言ってた罰か?
こんなありえないことが。俺に一体どうしろって言うんだよ…。
「悠里…?」
ただ笑うしかない俺を目も前の子がまた泣きそうな顔で見つめている。
「ねえ、本当に忘れちゃったの…? 自分のことも、私のことも…。本当に全部…忘れちゃったの…?」
この子は意外と敏いみたいだ。
今までの俺との会話で、俺の様子がおかしいことに気付いただけでなく、俺が「悠里」と「貴子」を知らない所まできちんと理解している。
「い、嫌だよ…忘れちゃ……。返して…悠里を返して!」
そう言ってまたわんわんと泣き出してしまった。
その子を目の前に、俺はどうすることもできない。
それでも何か放っとけないから、もう一度抱きしめてやった。
その細い肩は明らかに貴明とは違う。そして、この子は貴明以上に不安定だ。
何がこの子をそうさせているのかは分からない。
そりゃ親友が突然多重人格やら記憶喪失っぽくなったらパニくるかもしれない。
でも、だからってここまで取り乱すもんだろうか?
何一つ分からなかったけれど、とりあえずこの子を放っておくことはできなくて、俺は暫くその子に胸を貸してやっていた。
なあ、貴明。お前は今どうしてる?
「んじゃ、とっとと帰るぞ」
「ちょ、ちょっと〜」
目の前の男の子はそう言うとさっさとあたしから背を向けてしまった。
外見は可愛いけど意外と愛想ないみたい。
「女の子置いていくなんて最低とか思わない?」
「はあ?」
その子が思いっきり呆れたようにあたしを見た。何か視線が物凄く冷たいんですけど。
「お前、頭大丈夫か? 今のでどっか打ったか? お前がおかしいのは元からだけどな」
「し、失礼ね〜! それが初対面の相手に向かって言う言葉!?」
「初対面? お前さ、マジでおかしくなったか? それにその妙な女言葉やめろよ。気持ち悪ぃ」
「き、気持ち悪いって…あたしは女なんだから当然でしょ!」
何こいつ。外見に反してすんごい失礼じゃない?
初対面の女の子にここまでズケズケと失礼なこという奴って早々いないわよ。
「―…雄二、とりあえず今すぐ病院行け。脳外科より精神科か、この場合?」
「ちょ、ちょっと勝手に話進めないでくれる? それに雄二って誰よ。あたしは悠里。幾ら色気がないからって男の名前で呼ぶなんて酷すぎるわよ」
何だろう…こいつと話してると無駄にムカムカしてくる。
勝手に男扱いするし、頭が可哀相な人みたいに言うし、ほんと最悪!
「雄二…?」
「それよりあんた、貴子知らない? この辺にいたと思うんだけど…」
あたしを思いっきり変な目で見てくるそいつを無視してあたしは貴子を探すことにした。
今頃心配しすぎで泣いてるかもしれない。
普段素っ気ないけど、本当は友達想いの子だから。
それに、今の貴子はあたしがついてないと危ない。
早く見つけてあげないと。
「貴子って誰だよ。お前、新しい女とここで待ち合わせでもしたのか?」
「貴子はあたしの親友。新しい女って…どういう意味よ、それ。あたしの親友は後にも先にも幼馴染の貴子だけよ」
「幼馴染…?」
目の前の子がさっきまでの視線とはまた違った視線であたしを見てくる。
そんなに変なこと言ったのかな、あたし。
「貴子―貴子―…ってあれ?」
とろとろと歩き回るあたしの足元に一枚の写真が落ちていた。
そこに映っているのはとても可愛い女の子。悔しいけどちょっと完全に負け。
サインみたいのが入っててそこには…。
「緒方里奈…?」
へー、こんな面白い芸名の人もいたんだ。思いっきり緒方理雄意識してるわね。
名前のインパクトで売ろうって魂胆かしら。
「あー、良かったな。お前、それ家宝だとか言ってたもんな」
ひょいと、後からさっきの男がその写真を覗き込んでくる。
でも言ってることはわけが分からない。だってこれはあたしのものじゃないもの。
家宝って何? あたしの家宝は緒方理雄のサイン入り生写真だけよ!
…ん、家宝?
「うっそぉ…」
この写真、よく見たら凄くおかしい。
だって、この写真に入ってるサインの日付、あたしの持ってる緒方理雄のやつと全く同じ。
しかもその中に写ってる少女のアングルや背景、それも全部同じなの。
…こんな偶然ってあるの? どう見てもコラージュや合成って感じじゃないし。
サインの筆跡すら凄く似てる。書いてある名前は違うのに。
よくよく考えたら今の状況っておかしいことだらけ。
貴子の代わりにいたあたしを「雄二」と呼ぶ男の子。「緒方里奈」というアイドル。
あたしの知ってるものが何一つない。まるであたしの全部を否定してるみたいに。
それにさっきから彼はあたしを男扱いしてる。一体どういうこと?
「…ね、ねえ、あたしの名前、聞いてもいい?」
「…? 雄二だろ。向坂雄二。お前、ほんとに記憶ぶっ飛んだか? ちゃんと俺やタマ姉のこと分かるか?」
向坂雄二…。似てるけどそれはあたしの名前じゃない。それにタマ姉って…。
「あ、あのさ、念のため聞くけどあんたの名前って…?」
「…やっぱお前、今ので頭がいかれっちまったみたいだな。河野貴明。覚えてないか?」
「貴明…」
「向坂雄二」「河野貴明」「緒方里奈」そして「タマ姉」。
この単語から分かることは一つしかない。
「お、おい雄二!」
あたしは思わず自分の胸を撫でてみた。
ない! そりゃたしかに微々たるものだったかもしれないけど、今まで頑張って育ててきた胸が!
「う、嘘でしょ〜」
これはあたしの人生で最大のショックよ。今までしてきた努力は一体何だったの…。
しかもよく見たら今のあたし、学ラン着てる。その上目の前の男の子より背が高いの。
これって、完全に男の子の体になっちゃったってことよね…?
「さ、最悪…」
よりにもよって男だなんて…これじゃあかっこいい彼氏作るなんて夢のまた夢じゃない。
あんまりにもショックなことがありすぎると人間って泣いたり笑ったりできないみたい。
「ゆ、雄二…?」
何か目の前の子が困ってる。
そりゃ困るわよね、いきなり目の前に中身が女な男っていうか女言葉喋る変態みたいな男が現れたら。
でもね、困ってるのはあたしも同じだから。
だっていきなり男になったなんて…信じられるはずない。
これがるーく君の言ってた罰ってやつなの? そうだとしてもこれってあんまりじゃない?
あたし一体、どうすればいいの…?
「あ、あのさ、雄二。とりあえず家戻ろうぜ。今はゆっくり休んだ方がいい。それからタマ姉に相談して…」
目の前の貴明、と名乗った少年はあたしの様子がおかしいのに気づいてか、そう言ってたぶんあたしのやつだと思う鞄を取ってきてくれた。
もしかしたらあたしが彼の言う「雄二」じゃないって気付いて気を使ってくれたのかもしれない。
「うん…」
あたしはそのまま彼の後をついていく。
何かもう何が何だか全然分かんない。この世界はあたしの知らないことだらけで、思わず泣きそうになる。
でも泣いたりなんてしない。それよりも気がかりなことがあったから。
ねえ、貴子。あんた今、ちゃんと笑えてる?
「岡崎さん、寝る部屋は祐ちゃんと同じ部屋でもいいですか?」
「別にかまわな…「えぇっ!」
私の台詞を遮るように芳野祐香が声を上げる。
「えーと…芳野さんは嫌なの?」
「いや、違う。嫌ではないんだ。ただ、私の寝言はうるさいから岡崎に迷惑を掛ける」
「別に気にしないけど」
「恥ずかしい寝言とか言ったら私は…大海原に身を投げだして…」
「祐ちゃん、そんなに大げさに考えないで。そうだ、一緒にお風呂にでも入れば打ち解けられますよ」
「えぇー…」
芳野さんが子供のような声を上げるので私もそれに続けた。
「確かにこの歳で一緒にお風呂はね…」
「そんな事はない。裸の付き合いはいいものだと私も思う。ただ、岡崎は胸が大きいからきっと私は劣等感に苛まれてしまう…そうなったら私は…富士の樹海に手ぶらでおもむき…」
「祐ちゃん、あんまり僕を困らせないで。ふぅくんがあんな状態なのに、祐ちゃんにまで何かあったら、僕は生きていけないよ」
「ごめんなさい…」
芳野さんはシュンと下を向いてしまった。
見た目はこんなに大人っぽくて美人なのに、中身の方はかなり子供っぽいみたい。
公太郎さんは落ち込んでいる芳野さんの頭を撫でると、立ち上がった。
「じゃあ、僕は買い物に行くので岡崎さん、祐ちゃんのことよろしく頼みますね」
「私のほうが岡崎より年上なのに意地悪なことを言わないで」
「意地悪なんて言ってないよ。祐ちゃんが心配させるようなことばかり言うから」
「そんなことない、公太郎さんはいつも私に意地悪してる」
何だか不毛な言い合いが続きそうだったので私は二人の会話に口を挟む。
「あのー、買い物に行くんじゃなかったんですか?」
「あぁ、そうでした。有難う、岡崎さん」
いかにも常識人といった感じの公太郎さんは、思い出したように玄関の方に足を向けた。
「まだ話は終わってない、公太郎さん、行っちゃ嫌」
「祐ちゃん…」
泣きそうな顔をして、子供のように公太郎さんの服の裾を引っ張る芳野さんを見ていると、何とかしなければと思ってしまう。
「買い物なら私が行きましょうか?」
言ってしまった。
「それがいい。働かざるもの食うべからずだ。公太郎さん、これで話ができる」
「はぁ…まったく祐ちゃんは相変わらずなんだから…。岡崎さん、お願いできますか?今メモを書きますから」
「はい、解りました」
自らの申し出により、私は公太郎さんのメモを持って商店街に繰り出した。
「えーっと…まずは…」
私がメモを開いたその時だ。
「朋美!」
聞き覚えのある声と共に長髪の男が走ってくる。
「京?」
「よぉ、奇遇だな」
「そうね」
確かにこんなところで会ったのは初めてだ。京の私服も初めて見た。
「珍しく陽平とは一緒じゃないのか」
「私とアイツをワンセットにしないでよ。あんなバカとは縁を切ったわ。今後口もきかないつもり」
「マジかよ?」
京の声が心なしか明るくなったのは気の所為だろうか。
「そういやおまえ、制服のままお使いか?」
「そんなところよ」
深く突っ込まれるのも嫌だったのでそう言って適当に流しておく。
「それなら、荷物持つの手伝うか?」
「暇なの?」
「当たり前だろ?忙しかったら手伝わねーよ」
「そう、じゃあ頼むわね」
「おぅ」
大した荷物じゃないんだけどね。
私は京と並んで商店街を歩きだした。
「しっかしおまえもお使いなんてするんだなー」
「悪い?」
「いや、んなことねぇよ。陽平のとこに泊まってたみたいだし、家出かと思ってたんだけどな」
その京の台詞に、私の胸がズキリと痛む。まだ、家出中なのは変わっていないのだ。
無事に買い物を済ませ、私は伊吹宅に向かう。
が、荷物を持って隣を歩く京を見て、私は足を止めた。
「朋美、どうした?」
「ここでいいわ。ありがと」
あぁ、失敗した。持てない荷物じゃなかったんだから、京に手伝わせるべきではなかった。
「…朋美?」
「ごめん、本当にここでいいから…」
私は京と目を合わせないようにしてポリ袋をひったくる。
「何かあったんだろ?」
やっぱりそう。京はいつでも人の心に入ろうとする。
「…意味が解らないわ…」
私は、ちゃんとしらばっくれる事ができているのだろうか。
「陽平と、何かあったんだろ?」
「アイツの話題を出さないで…」
元はと言えば京が春原にあんな事をしたから…。
友情のラインを越え、脆くなってしまった関係はすぐに壊れて…消え去った。
男女間の友情が成立していた頃の絆も一緒に。
「じゃあ…」
京が私の体を引き寄せた。
「陽平のことを考えたくないならさ、オレのこと考えてくれないか?」
何を…言っているの?
「オレは、朋美のことが…」
これ以上、聞いてしまってはいけないと思った。
「だ…だめ…!」
私は思わず京を突き飛ばして走りだした。…いや、走って逃げた。
551 :
すのぷ〜野郎:2005/07/11(月) 08:34:35 ID:1Q4FdPu5O
朋也を反転すると杏に似てるのに、杏を反転しても朋也とは似ても似つかない。
…俺の書き方が悪いのだろうか。
552 :
名無しさんだよもん:2005/07/11(月) 11:12:25 ID:YLUFpbcW0
>>541〜546
>>547〜550
GJ!
共に続き気になってたので。
さらに続きを楽しみにしている。
>>551 >裏杏≠表朋也
まあそんなもんでしょう
554 :
名無しさんだよもん:2005/07/11(月) 17:32:55 ID:6mHAoibH0
おお、連投。
>>553 まあ、あれかスマブラで言うロイとマルスみたいなモデル変えキャラか
【半妖狐魔法少女キューティアリスF:第4話ファーストミッション前編】
魔法少女になって一週間が過ぎたある日、いつもの如く美汐に腰が立たなくなりそうな
ほどしっかりと愛されて上気した表情のまま、秋子に呼び出された有子=アリスだが、秋
子の指令に頭を悩ませることになるのだった。
「さあアリス、いよいよあなたに使命を与えます。それはクラスメートの北川さんの想い
を叶えることです」
「北川の想いを叶える、ですか?」
「やっぱりお相手は香里さんかな」
「そうですね、北川さんと香里さんが両想いになればミッション完了です」
鷹揚に頷く秋子さんだが、有子の方はどうしたものかと悩むことしきりである。実際、
美汐との件をのぞけばこれが初任務、緊張するのも仕方ないことかもしれない。
とりあえず朝になったので学校へ向かう有子だが、さてどうすれば上手くいくんだろう
と思い悩み、ついつい独り言が多くなってしまうのだった。
「うーん、わたしは恋愛ごとは苦手なんだよね。真琴との時は意識してこうなったわけじ
ゃないし、天野のとだってわたしが積極的に出たわけでもないし……他には恋愛なんてな
全然縁がないし……。こうしてみるとわたしって、受け身で恋愛関係には疎いのかな?」
「うぐぅ有子さん、ボクのこと忘れてるよう」
キーホルダーアユアユの不満げな声が鞄から聞こえてくる。
「あっ後免、そう言えばあゆが初恋だったわね。でもあれは子供の時の話だしねえ。美し
い思い出ではあるけど、この場合あまり参考にならないと思う」
「確かにあまり参考にはならないのかな?」
「そうそう、あゆはたい焼きを与えておけば落とせるもんね」
「うぐぅ酷いよ、ボクそんな単純食いしん坊じゃないよ」
キーホルダー姿のまま器用にも涙目で抗議するアユアユだった。
「後免、後免、冗談よ。でもアユアユと話してたらなんか気が楽になってきたわ。ありが
とうね」
「ボク、役に立ったの?それならまあいいのかな?ちょっと誤魔化されたような気もする
けど」
「ところでアユアユ話は変わるんだけど」
そう言いながらアユアユキーホルダーを手にとって顔の前まで持ち上げる。
「なに有子さん?」
「ねえ髪留に変身できない?考えてみたんだけどキーホルダーだと常時身につけてってわ
けにはいかないでしょう」
「そうだね。ちょっと待っててやってみるよ。たい焼きチェンジ!」
サイズが小さい分光も小さかったが、その光が治ると無事に髪留に変身したアユアユが。
「よし成功。じゃあ学校に着いたら付けてみるね。それまでちょっとここにいてね」
「うんわかったよ」
アユアユ髪留をポケットにしまって学校へと急ぐ有子だった。
トイレで髪を直した有子、思い通りにきまったのか浮き浮きとスキップしながら教室に
向かっていく。尻尾が元気良く揺れるのはともかく、時々制服のミニスカートから白いコ
ットンのパンツがちらついて男子生徒達に目の保養をさせている。しかし本来男の祐一は
もちろん、真琴もそう言うことに無頓着ゆえ、本人は全然気が付いていないのだった。
そこで教室に入るころには北川のことなどすっかり忘れていたのだが、授業が退屈でぼ
んやりとしていたときに唐突に使命を思い出した。ちなみにサポート役のはずのアユアユ
はすっかり眠りこけている。やっぱり役に立たないかもしれない。
とりあえずは昼休みに北川を呼び出すべく、そっとメモを渡してみる有子である。そこ
で北川が渡されたメモを開いてみると。
「昼休み話があるの、屋上前の踊り場で待ってるからばっくれないでね。U子」
でまあ昼休みになったので、有子はさっさと教室を出て踊り場へと向かう。
なお有子になってから学食を勝ち抜く体力がないので、念のために菓子パンを常備して
おり、北川を待つ間あんパンを頬張っていると。
「あー、有子さんずるい。ボクも昼ご飯」
あんこの匂いに釣られてか、アユアユが目を覚ましたようだ。
「その姿でもお腹へるんだよね。一体何処に入るんだろう?」
「難しいことはボクもわからないよ。でもお腹へるんだもん、そのあんパン頂戴」
「はいはい」
あんパンを小さくちぎってたい焼き髪留の口元に持っていくとあんパンが消滅してい
く、実際どういう仕組みなのだろうか?
そうこうしているうちに階段を上ってくる足音が聞こえてきた。
「アユアユ、とりあえずストップ」
「うぐぅ、まだ食べ足りないのに」
慌ててアユアユの食事を中断したのだが、当然ながらアユアユは不満げである。
とその直後角を回って北川が姿を現わす。ぎりぎりセーフといったところか。
「よう沢渡お待たせ。で、俺になんのようだ?」
「えっと単刀直入に言うと、恋愛関係」
あっけらかんとそう回答する有子、もしかしてなにも考えていないのかもしれない。
「れ、恋愛関係?」
「うぐぅ、有子さんストレートすぎ」
たじろぐ北川と、有子にだけ聞こえるように突っ込むアユアユ。
「ちょっと待て、沢渡の気持ちは嬉しいんだが俺には心に決めた人が」
「やあねえ、別にあんたに告白する気なんて無いわよ」
北川の誤解から来る発言を慌てて遮る。
「いや、そこまではっきりと否定されると傷つくんだが」
そうは言ったが目が笑っているからそんなに傷ついたわけでもなさそうだ。
「後免わたしデリカシーないから。でさあ、君の恋愛を応援しようって思ってるんだけど」
全然反省がない有子である。
「お前なあ。まあ沢渡に他意がないのはわかるけど、俺が好きなやつわかってるのかよ?」
「香里でしょう。北川は隠してるつもりかもしれないけどバレバレだって」
「お前本当にデリカシー無いな」
「だから、そう言ってるじゃない。でさあ、北川が嫌だっていってもわたしは協力するか
らね。っていうか決定事項、秋子さんの命令だから」
衝撃の告白に一瞬絶句する北川。
「おい、それじゃあ断わりようがないじゃないか。……しょうがねえなあ、せめて足は引
っ張るなよな」
「もう失礼ね」
「まあそれはともかく、お前座るときもう少し気を付けた方がいいぞ」
「えっ、どういう意味?」
「さっき上がってくるときパンツ見えてたぞ」
「あぅー、北川のエッチ!あんたもデリカシーないわよー!」
頬を紅潮させた有子、北川に平手打ちを食らわそうとしたが、北川はひょいと避けて、
ニヤニヤ笑いながら階段を駆け下りていった。
「あはは、じゃなあ沢渡。眼福、眼福、目の保養」
北川が帰っていった後。
「ねえ有子さん、秋子さんのことばらしちゃってもいいの?」
「別に話しちゃ駄目って言われてないからいいんでしょう。けど北川のやつむかつくー、
秋子さんの命令じゃなかったら邪魔してやりたいくらいね」
むしゃくしゃしたえいか、やけ食い気味にカレーパンを飲み込む有子だった。
さてとりあえず北川に支援を表明した有子ではあるが、本人の自覚通り恋愛には疎いの
だった。
そこでまずはラブレター作戦、うっかり差出人を自分の名前で書いてしまい、待ち合わ
せ場所に行った北川は香里にからかわないでと殴られた。
続いて北川とベタベタして焼き餅を焼かせよう作戦、どうやら香里は北川など全く意識
していないらしい、結果完全に無視された。
等々、なにをやっても上手くいかない。
それで仕方が無く、手っ取り早い方法として北川をフェロモン体質に変えては見たのだ
が、学校中の女生徒に追い回されるようになったというのに、肝心の香里だけは北川に見
向きもしない。
「うーん、おかしいわね。これが名雪の妨害なのかしら?」
自分の作戦のまずさを棚に上げている有子だが、もちろんそれは完全な誤解である。
前回の件で完全に拗ねているナユキは、隠れ家でイチゴサンデーのやけ食い決行中。
「ケロピー、イチゴサンデーお代り」
「ナユキ様それ5杯目、いくらなんでも食べ過ぎですよ」
「五月蠅いよ斉藤君、わたし意見するとまたお仕置きだよ」
「ナユキ様、太るケロよ」
イチゴサンデーのお代りを給仕しながらボソッと呟くケロピー。
「うー」
魔法少女になってもスタイルは気になるらしい。
さて一方の有子であるが、失敗に多少は落ち込んでいたものの、直ぐに気を取り直して。
「まあ一度や二度の失敗にめげないで頑張ろう。やはり現代戦の勝利の鍵は情報ね。よし、
香里の家に忍び込んで情報収集よ」
まあくじけないのは良いのだが、そう言うことは最初にやってくれ、北川が事情を知っ
ていたらそう思うに違いなかった。
とにかく情報収集と称して変身し、夕食後に美坂家の天井裏に忍び込むアリス。最初に
覗いたのが栞の部屋で、バケツサイズのアイスを食べる栞を見て胸焼けがしたりというハ
プニングはあったものの、無事香里の部屋の天井裏に到着。
早速観察を始めたのだが、真面目な受験生の香里、しっかり勉強しているだけだった。
「なにこれ全然つまんない」
「ねえ有子さんは勉強しなくて良いの?」
「わたしどうせバカだし、この将来不安定な状況で勉強する気になると思う?」
「確かに」
「って待ちなさい、アユアユにバカ呼ばわりされるとなんかむかつくんだけど」
「うぐぅ、そう言う意味じゃないよう」
などと多少不穏な雰囲気もあったが、下の状況にはなんの変化もなくついにマンガと肉
まんを取り出しくつろぎ始めるアリス、もちろんアユアユもたい焼きを食べている。
長期戦覚悟で準備がいいとも言えるが、ちゃんとやる気有るのか?
結局おやつを食べ終わると、二人とも退屈のあまりいつしか居眠りしてしまっていた。
しかし他人の家の天井裏に潜んで肉まんを方張りながらマンガを観賞、あまつさえ居眠
りまでしてしまう水色エプロンドレス姿の魔法少女とマスコットと言うのは、端で見てい
るとかなり情け無いものがあるのではなかろうか。
ちなみに上で騒いでも誰も気が付かないのは、結界のお陰である。まだ未熟な魔法では
なく、妖狐の方の力だったりすわけだが。
「すやすや、もう肉まん食べられないわよう」
「ボクもたい焼きでおなか一杯だよ。くー」
あまりにもベタベタな寝言であったが、そのうちにアリスはなにか異変を感じたらしく
ふと目を覚ました。おそらく狐耳のお陰で通常の人間より聴力が優れているのだろう。
「うーん、なにか下の方からクチャクチャと怪しげな声がする」
そこで再び下を覗いてみると、ベッドの上に寝そべった香里の指が怪しげな動きを……。
「あ、あれは……あれってもちろん自分で慰めるってやつよね」
「そうそう、一昨日有子さんが秋子さんと天野さんの目の前で実演させられたやつだね」
「アユアユ!そのことは忘れなさい!良いわね」
「う、うぐぅー、わかったよう」
よほどアリスの剣幕が怖かったらしくアユアユは涙目で、内緒だが少々ちびったらしい。
まあそれはともかく、上から観察されているとは気が付かず香里の淫靡なお楽しみは続
いていた。アリスが最初に見下ろしたときは胸はセーター上から触るだけ、スカートは脱
ぎ捨てていたものの、ショーツはそのままで右手がその中に潜り込んで怪しげな動きをし
ているだけだった。しかしアリスがアユアユと話している間にもどかしくなったのか真っ
赤なショーツは太股の当たりまでずり下がり、セーターをめくり上げショーツとおそろい
のブラが姿を現わした。
「流石は香里、予想を裏切らず派手な下着ね」
「確かに大人の魅力だよ」
「わたし達じゃあ似合わないもんね。でも自室で別に誰に見せるわけでもないのに、いつ
もこうなのかしら?だったら凄いわね」
達のところでちらりとアユアユを見たりする。所謂同病相憐れむと言うやつだろうか?
「それより香里さんって胸大きいんだよね」
羨望の響きがこもった声とともにお返しとばかりにじっとアリスの方を見る。
「なによその視線はー。アユアユなんかペッタンコじゃない」
「うぐぅ、本当はちゃんと普通にはあるんだよう」
「まっそう言うことにしておきましょう」
一応これが手打ちだろうか?
そうしているうちにも今度はブラカップを上にずらし、更に最初は声を押し殺していた
ようだが、徐々に声が大きくなっていく。そしてその内容はと言うと。
「アーン名雪、わたしの名雪、一体何処に行ってしまったの?」
「香里って名雪が好きだったの?」
「うぐぅボク子供だから良くわかんないよ」
「けど、こういう光景って凄いよね。自分もあんなことをと思うと……なんか見てる方が
恥ずかしいよ」
普段は子供っぽい表情のアリスだが、この時ばかりは上気して淫蕩な表情だ。
そうかと思えば。
「栞、栞、アーン栞、もうたまんない」
「えっとシスコン?」
「危ない関係だよ」
「なんか壮絶な乱れっぷり」
「うぐぅ、手首が消えちゃったよ」
「あっ、あれはつまり、その……だから、ねっ」
「それじゃあわかんないよ」
「だから、あそこに手首まで入れちゃったの」
最初はなんとか誤魔化そうとしたが、ついにアユアユの素直な疑問の視線に耐えきれな
くなって正直に話す。全身茹で蛸常態だが。
「さ、沢渡さんもたまんない。ああ、欲しい欲しいわ」
「えっ、わたしー?ひょっとして誰でも良いの?」
「でも女の子ばっかりだよ」
「ああ沢渡さん、あの子も妹にして可愛がりたい」
「な、なんかここにいるのまずいような気がしてきた」
なんだか心細げに自分の体を抱いて小さく震えるアリス。
「ついでに月宮さんをペットにして可愛がりたーい!」
「ボクついでなの?」
「いや、そう言う問題じゃないと思う」
アユアユはペットにしたいの意味がよくわからなかったようだ。
その後も食い入るように香里の痴態を見つめ続けていたアリスだが、ふと我に返って。
「わかった、香里はレズっ娘なんだ。どうりであの格好良くなった北川に見向きをしない
はずよね。わたしの魔法だから完璧なはずなのに変だと思ったわ」
もっと早く気付いてくれ、それにその認識は大間違いだぞ。
「じゃあ北川君が女の子だったら良かったんだよね」
ポン、アユアユの何気ない発言に得心がいったのか思わず手を打つアリス。
「アユアユ、ナイス。その手で行きましょう。アユアユもたまには役に立つわね」
「うぐぅ、ボクなにか言った?」
アユアユは自分の言葉の意味を把握していないようだ。
「つまり香里はレズで北川が男だから相手にしない、だったら北川が女だったらいいのよ」
「そんな単純な問題かなあ?」
「良いのよ、解決策ってものはシンプルな方がいいの」
「流石は有子さんだよ」
自信たっぷりに断言するアリス。単純で押しの弱いアユアユは納得したようだが、本当
にそれで上手くいくのだろうか?
「そうと決まれば長居は無用、行くわよアユアユ」
「えっ、どこへ?」
「バカねえ、北川んちに決まってるでしょう」
こうして屋根裏から人影が消えたのだが、そんな状況に気づきもせず香里は相変わらず
お楽しみにふけっていた。
さてアリスの方は何も考えていないかのようにいきなり北川の部屋に飛び込む。
「わっ、お前誰だ?」
「あなたに愛と幸せを授けに来た魔法少女キューティ・アリスFよ」
突然の乱入い驚いた北川の詰問にさわやかかつ自信たっぷりに回答。ところで魔法少女
のお約束か、大して姿は変わっていないのに北川は闖入者の正体が有子だと気が付かなか
ったようだ。
それにしても登場と言いこの答と言い、正直非常に胡散臭い。北川も当然の如くそう思
ったようだ。それにフェロモン体質のせいで今日一日女性に追いまくられたので、普段温
厚な北川もかなり気が立っていもした。それで冷たく拒絶したのだが。
「いや、それ信じられないし。とりあえず帰ってくれる」
「もちろんただだから遠慮は無用よ」
聞く耳持たないようだ。
「いやちょっと人の話を聞け」
「問答無用、アリス・フラーッシュ!」
アリスがそう叫びながら右手を北川に向けて振り下ろすと、指先から光線が発せられた。
「ウッギャー!」
光線の直撃を受けた北川はしばらく悶え苦しんでいたが、結局気絶した。
「ねえ有子さん、これで良いの?」
「うんこれで大丈夫、朝起きるときには女の子になってるから。これであとはアフターケ
アだけね」
「アフターケア?」
「うん、アルルバムの写真や持ち物はもちろん、周りの人の記憶とか、戸籍とか住民票と
か学校関係の書類とかを変えておかないとね」
「ふーん、そうなの。大変なんだね」
素直に感心し、尊敬の視線でアリスを見つめる。
さて満更でもなさげなアリスは得意げに胸を張って。
「まずは身の回りのものから。またまたアリス・フラッシュ!」
すると北川の部屋が光りに溢れ、それが治るとまず薄汚れた茶色のカーテンがクリーム
色に変わり、壁のグラビアアイドルのビキニ姿のポスターがジャ○ーズのものに変わる。
更に掛けてあった制服もあの赤い女子用のものに変わっていた。
「有子さん、凄い」
「まっざっとこんなもんよ。もちろん見えないところもバッチリよ」
確かに凄いが本当にそれで良いのだろうか?
「ところで有子さん、全開の予告に反して今回もエロがなかったよ」
「でもちゃんと魔法少女らしくなったでしょう。それに後半はエロ展開になるから大丈夫よ」
「魔法少女らしかったかなあ?それに本当にそんな予告して大丈夫なの?」
「そ、それは……ちゃんとそうなるのよ。多分そうなるのよ。そうなるんじゃないかな?まちょ
っと覚悟はしておいてね」
「それ敗北宣言?」
「あぅー」
KANON好きなぶん、今の流れは辛い
>>556-566 相変わらず性別反転させてる意味がない内容だなおいw
スラップスティックは嫌いじゃないがね。
コソーリ |・)みんながジャムに釣られてる今のうちに‥‥
【ストッキング+足コキ=?】木田朱鷺乃スレpart39(22)/おまえらの幼なじみってどんな奴?(128)/NASTYガール監禁凌辱拷問調教(妄想)スレ四日目(982)/同級生をミスリードしてエロい事を言わせるスレ(855)/かずき×志子推進派が集うスレ(112)/
NASTYガールスレは、ソフトSM・ハードSM・マジ拷問虐待の三派入り乱れて
すごい事になってそうだな。
反転宗一も純情処女版とクール非処女版の二通りあるしバリエーションは豊富だ。
そして俺も便乗。
【うほっ】御堂に水を掛けまくるスレ【いい幼女】(203)/五月雨堂店主に望むコスプレをageるスレpart24(785)/
夏でも鯛焼き売るよ!大谷貴野スレpart3(141)/柳川裕子は隠れM これ定説(998)/
ジャムネタは、いいかげん吐き気がする。
謎ジャム婆が出てきた時点で糞SSになるのは、目に見えてる。
>>556-566 残念ながら作風がここの住人とはあってないと思う。
学園スレあたりで1レスに収まるぐらいの短文連作形式で書くようにすれば実力を存分に発揮できるのでは?と勧めてみる。
もう400kb越えていたか
何か今スレは少数長編で賄われていたな
と懐かしんでみる
>>576 ちょwwwwおまwwwwwジョジョwwっうぇwww
>>572 ここの比じゃなく住人の好き嫌いが激しいからやめといた方が…。>学園スレ
作品投下や感想よりも設定議論(とも呼べない煽り合い)の方が盛んだし。
“四番、キャッチャー・ハクオロ”
「攻守の要、ハクオロ選手が打席に立ちます。今月は調子があまりよくありませんが今日はどうでしょうか、解説の風太郎さん?」
「風太郎、未亡人もいけますっ」
「‥‥えー、おっとハクオロ選手打ちました!打球はショート方向に飛びます!ハクオロ選手走る、走る!間に合った!これは内野安打になります」
「ゆれる胸がたまりませんっ」
「‥‥いい走塁でした」
“5番、ショート・河野”
「ルーキーを5番起用とは思い切った采配ですが、この選手はどうですかね風太郎さん?」
「風太郎、貧乳でも愛さえあれば無問題ですっ」
「‥‥えー、いったんCMです」
感心するほどの守備範囲の広さ(つーか節操のなさ)だな風太郎w
だめだ、違うとは判りつつもクラナドやりたくなってきたw
「ご、ごめんね…」
俺の腕の中で暫く泣き倒した少女が目を真っ赤に腫らしたまま申し訳なさそうに言った。
こっちを見ようとしないのは泣いた姿を見られたのが恥ずかしいからだろうか。
「いいっていって。それより、さ」
すすっと俺から身を離す少女を見ながら俺は少しだけ躊躇った後、意を決して言った。
「俺、これから家に帰ろうかと思うんだ、一応。このままここにいてもどうにもならないし。
でもさ、こんな状態だから一人で行くのはちょっと抵抗があるかなー…なんて……」
一緒について来てくれなんて情けなくて言えるかー!
大の男が女の子にだぞ!? あまりに情けなくないか、それは。
男として…どうしても超えちゃならねえ一線な気がするんだ。言えるわけねえ。
「一緒に行けばいいの…?」
ああ、君はやっぱり天使のようだね。
俺が最後まで言うのを躊躇った部分を彼女は敏く理解してくれた。
「ああ、うん、まあそういうことなんだけど…」
「そうだよね…タマ兄に相談した方がいいよね、悠里のお兄さんなんだし」
ああ、それだよ、一番の問題は!
その「タマ兄」ってやつだよ、俺が怖いのは!
だってあの姉貴の男版だろ? 一体どれほど強烈な野郎が待ち構えてるんだって話だ。
下手したら俺本気で殺されちゃう。
「家は分かる? 案内した方がいいよね…」
「いや、家は分かるんだ、ちゃんと。何つーか、心の整理がつかないって言うか…」
ああ我ながら情けねえ。見ず知らずの兄貴に怯えるなんてよお。
しかしあの姉貴を知ってる人間なら条件反射で怯えるよな。うん、俺は悪くない。
一人で納得してる俺を余所に、貴子と名乗った少女は俺――この世界では悠里と呼ばれてるらしい――の
鞄と思われる物を拾って歩き始めてしまった。
俺も慌ててその後をついていく。
「あの…悠里じゃ、ないんだよね…?」
「ああ、うん。まあ、そうなんだけど」
彼女が小さな声で控えめに問うてくる。
彼女は今の状況を飲み込めてないにせよ、今「悠里」と呼ばれている子が本来の悠里じゃないことに気付いている。
「多重人格ってやつかな…?」
「いや、それとはちょいと違うかもしれねえ」
「違う?」
そりゃ普通はショックで多重人格って思うわな。俺も普通の多重人格ならどれほど良かったかって本気で思うぜ。
「何つーか、まあ今の俺が君が知ってる「悠里」って子とは別の人格でその「悠里」って子の体使ってる…って時点では多重人格
っぽいんだけど…。俺の今までの記憶と「悠里」って子の境遇が似通ってるのに微妙に違うっつーか…あーもうめんどくせえ!」
あー自分で言っててわけ分かんなくなってきた。
「何か自分で言っててわけわかんねえけど、とりあえず俺は男で今まで君や緒方理雄の性別が逆転してる世界で「向坂悠里」と
同じ境遇で「向坂雄二」って名前で生活してきたんだけど、気がつけばこの悠里って子の体に精神だけ入ってたってわけ!」
はあはあ、説明するだけで息切れするぜ。つーか、自分で言っててわけわかんねえよ、この説明。
当然この子が聞いても理解できねえよなぁ。
「…っつってもわかんねえよな、こんな説明じゃ。ありえねえ話だし」
「うん、ごめん、無理」
気持ちは分かるから君を責めたりはしないぜ、貴子ちゃんよ。
とりあえずこんな馬鹿げた話、真面目に聞いてくれるだけでもありがたいぜ。
「でも…」
不意に彼女が口を開く。
「悠里じゃないっていうのは分かるから…」
「俺の話、信じてくれるってことか?」
「信じるっていうか…わけ分かんないけど、でも信じるしかないのかなって…」
何ていうか、この子、どっちかっていうと状況を理解してるっていうより状況に流されてるって感じだよなぁ。
そういや、貴明の女版だもんな、この子。
貴明も巻き込まれ系の流され系でその上困ってる人間は放っておけないお人好しだったからなぁ。
そのせいでミステリ研なんつー怪しげな同好会に引きずり込まれたり、自転車女と成り行きで勝負続けてたり、
委員ちょの書庫整理手伝ってたり、いつまでもチビ助の面倒見てたり、姉貴に尻に敷かれてたりするんだからなぁ。
ああ、それと本人曰くるーこちゃんにも振り回されてるんだったか。羨ましいことに、瑠璃ちゃんと珊瑚ちゃんにも懐かれてるしな。
しかも女関係にはからきしで、お前男として情けねえ! そんな消極的なお前の相手はアグレッシブな姉貴くらいしか務まらねえよ!
と、渇の一つでも入れたくなるんだがこれが女になってみたらどうだ。
何だこの思わず守ってあげたくなる系は…!
男として情けねえ部分は女になるとこんなにも凄まじい破壊力となるのか!
ああ、そういやあいつもいつ姉貴に童貞奪われてもおかしくない雰囲気だったしな。
野郎だからどうとも思わなかったがこれが女となるといつ襲われるか分からんようなこんな放っておけない子になるのか!
貴明、お前なんで女として生まれてこなかった。女だったら即座に口説いてたぜ。
そんな俺の邪な想いに気付いたのか、彼女はすすっと俺との距離を取ってしまった。
「その…雄二、君? …は男、なんだよね…?」
「ああ、雄二でいいよ。うん、まあそうなんだけど…」
「男……」
…向こうの貴明が女が苦手だったみたいに、こっちの貴子は男が苦手ってことか?
女が苦手って言うと「お前、男として…!」と、責めたくなるが、男が苦手って言われても逆に可愛いっつーか燃えてしまうのが不思議だ。
貴明、お前やっぱ女として生まれてきた方が絶対人生色々得してたと思うぜ?
「でも変な感じ。だって体は悠里なんだもん。男の子って言われてもあんまりそんな感じしないな」
「はは…確かに今は傍から見たら男言葉喋る女だもんなぁ」
つーか、現時点で俺はこの子に男として見られてないっていうか恋愛対象として眼中外っつーことですか。
俺としては貴明の女版だろうがレズになろうがこんなに可愛けりゃ何でもオールOK!って感じなんだけど。
いや、しかし女の体じゃいざって時に突っ込めないのが問題か。つーか、下手したら俺このまま一生童貞?
だからと言って男とヤるなんてぜってえ考えられねえ! 何が悲しくて女の子の体とはいえ毛むくじゃらの男に押し倒されなきゃならねーんだ。
もし一生このままでも俺はレズとしての道を選ぶね、絶対。
「悠里は…どうしてるのかな…」
「さあ…どうなってるんだろうな。つーか、本当の俺の体も今どうなってんのかなぁ」
少年Y君、突然の事故で意識不明の昏睡状態!なんていう事態になってたりするんだろうか。
それとも、俺の体が気絶してる間に女になってて、貴明や周りの体も全部性転換してたってことだろうか。
そっちのがまだ説得力ありそうな気がするが、そうなると貴子の態度はおかしいよな。
ああもうどれだけ考えてもわけわかんねえよ!
「これで本来の俺の体にこっちの悠里って子の精神が入ってたらおもしれーんだけどな」
「それって入れ替わりってこと?」
「漫画みてーな話だけどな」
「でもそうだったら面白いね」
俺の冗談みたいな一言を、貴子は意外と真面目に受け取ってくれた。
「男の子かぁ…。一度なってみたいな」
「貴子…ちゃんは男が苦手なんじゃないのか?」
「貴子、でいいよ。悠里の体でそう呼ばれても違和感あるし。って、何で男の人が苦手って知ってるの…?」
「いやあ、はは…何つーか勘? っていうか、さっきの馬鹿げた話で言うなら俺の知ってる男の君が女が苦手だからなんだけど」
「ふーん。男の子の私かぁ」
貴子はそう呟いた後本当に小さな声で言葉を続けた。
「本当に男の子…だったら良かったのにな」
「え…?」
「ほら、もう着いたよ」
俺がその言葉を聞き返した時にはもう、向坂家は目の前だった。
家の外観は全く変わらない。
けれど、この中にいるのはあの姉貴の男版だ。
こりゃあ俺の人生でも五本の指に入る恐怖体験だぜ。
「んじゃあ、行こうか」
そう言って先を歩く貴子。
魔王とのご対面はすぐ目の前まで迫っていた。
「なあ、何か喋れよ」
「何か…って何を?」
「何でもいいから。雄二が黙ってると落ちつかねーんだよ、お前いつも騒がしいから」
「だから、あたし雄二じゃないんだって」
「いい加減その女言葉止めろよな、新手の嫌がらせか?」
「あんたこそ嫌がらせ? さっきから完全に頭がおかしくなったみたいに扱ってさ。ちょっとはこっちの話聞けっての」
「頭がおかしくなったんじゃないなら何なんだ?」
ようやくさっきの子があたしの話を聞く気になってくれたみたい。
さっきからこんな会話を繰り返したままあたしたちはちょっと距離を空けて歩いてる。
「うーん、一種の多重人格みたいなもん? あたしは「雄二」って子じゃないから。
ちゃんと女の子だしね、この体は「雄二」って男の子のものみたいだけど」
「多重人格ぅ?」
その子がようやくこちらを振り向く。思いっきり変な顔して。
「多重人格っつったらやっぱり頭がおかしいんじゃないのか?」
「だから違うってば。あたしは今まであんたや緒方里奈って子の性別が逆の世界で生活してた「向坂悠里」っていうの。
性別は女。兄貴の名前は向坂鐶」
「向坂…悠里」
その子はようやくあたしの話を聞き入れたみたいで、もう一度ゆっくりとあたしの名前を噛み砕いていた。
「そのさ…まあお前の話が本当だとしても、なら何でお前が雄二の体使ってるんだ? 本当の雄二はどうした?」
「だーかーら、そこがちゃんと分かってればあたしもこんなに困らないわよ。そこが分かんないからどうしようもないの。
もしかしたら元のあたしの体にその雄二って子の精神が入ってるんじゃない?」
気絶してる間にあたしの体が男になって貴子の体も…って考えたんだけど、それはありえないわよね。
そうだったら名前とか緒方里奈の存在とか説明できないもの。
それに、本当にあたしの体が男になったなんて嘘でも考えたくない。
「だからあたしの知ってるアンタは本当は女だったの。河野貴子って名前でね。信じられない話、だけど」
「俺が…女……」
あたしがそう言うとその子は急に黙りこくってしまった。
あら? 意外にもあたしの話信じてくれてる?
そういやこの子って貴子の男版だもんね。
貴子も結構人のこと簡単に信じちゃう所があったから。しかもお人好しで困ってる人放っておけないし。
こうやって巻き込まれても面倒見ちゃう辺りとか似てるわよね。あたしの言う事に簡単に流されてるし。
貴子はそのせいでミステリ研なんていう怪しげな同好会に騙されて入れられたり、未だに自転車男との勝負続けてたり、
委員ちょの書庫整理だって自分から進んで手伝ってるし、今でもチビジャリのお世話して、兄貴にベタベタされてるしで何か放っておけないのよね。
そーいえばるーく君の奇想天外な行動にも飽きもせず付き合ってたっけ、あの子。一年生の双子の面倒も見てたわよね、羨ましいことに。
でも、そう考えるとこっちの貴子に当たるこいつは意外と女が駄目だったりするのかしら?
そーいえばさっきから微妙に距離空けて歩いてる気がするしね。
「ねえ?」
「何だよ」
「あんたってひょっとして女駄目?」
「ッ!? な、なん…!?」
あー、これって思いっきり図星ね。
へー、無愛想な奴かと思ってたけどただ単に女が苦手だったってわけね。意外と可愛い所あるじゃない。
「何でいきなりそんな事言うんだよ!?」
「んー? 何ていうか女の勘? 女なめてると痛い目にあうわよ?」
何か動揺してるこいつって意外性があってちょっと可愛いかも。
貴子って同性から見て結構苛々しちゃう所もあるんだけど、男だとこういう風になるわけね。
お姉さんに受けそうなタイプよね、こういうのって。
あたしも嫌いじゃないんだけど、ちょっと頼りないかなー。ま、そこがいいって人も多いんだろうけど。
男でも女でもモテそうな辺り役得なタイプね。
「でもお前を女として見ろってのはちょっと無茶な注文だぞ。外見は思いっきり雄二なんだからな」
「まあそうなんだけど…でも今まで女として生活してきたんだから仕方ないじゃない?
でもあんたがこんな馬鹿みたいな話信じてくれたのってちょっと意外」
「別に信じてるわけじゃねえよ。でも…それ以外考えらんねーし。つーか、雄二が女に目覚めたって考えるより大分マシな話だからな…」
「た、たしかに…」
そりゃ親友だと思ってた男がいきなり女に目覚めたら引くわよね。
そんな事考えるんだったら状況に流された方がマシよね。
「それじゃ、お前の話でいくならお前の本来の体に雄二の精神が入ってるってことになるのか?」
「そうだったらいいわね」
「じゃあ、お前は女版雄二ってことか?」
「その「雄二」って子がどんな子か分からないけどたぶんそういうこと」
「…これまた微妙だな」
「し、失礼ねー!」
そりゃ今は男の体だから女って言われてもピンとこないかもしれないけど「微妙」って!
とりあえず分かる事はこいつは貴子の数倍失礼だってこと。
貴子も結構ズケズケいう所あるけどね。すぐ「無理」とか言って否定するし。
「でもそうなると俺も女なのか…。女の俺なぁ…。正直想像できねえ」
「結構似てる所あると思うけど? 童顔だし、何か結構苛々する所とか」
「お前のそういう本人目の前にしてズケズケ物言う所雄二そっくりだな」
「でもあんたより貴子のが可愛げあると思うけど」
「雄二は普段から軽い分お前よりまだ憎らしくないよ」
「―……」
「―……」
何だろうこの微妙な空気。でも変な感じ。
今日初めて会ったばかりなのに、何かずっと前から友達みたいな感じがする。
不思議と最初の不安だった気持ちとかなくなったみたい。
それにこいつ、本当に女が苦手なのかしら?
あたしと話してても全然そんな感じしないけど。
―…まあ、男の体だから女として認識されてないって言われたらそれまでだけどね。
こいつに女として認識されて嬉しいかって言われても微妙だし。
でもだからと言ってこのまま男として生きていけるかって聞かれても無理な話よね。
かっこいい彼氏は欲しいけど、ホモは勘弁!
でもあたし、女の子って興味ないの。参ったわ…。
「ほら、もう着いたぞ」
気がつけばあたしたちはもう家の前に着いていた。
色々深く考えてなかったけど、この中にはあの兄貴の女版がいるのよね…。
いまさらのように体に鳥肌が立ってきたわ。
一体どんないかつい女が待ってるっていうの。女子プロレスラーみたいなのが出てきたらあたし、本当に死んじゃうかも。
ああ、想像しただけで背筋が凍りそう。
正直、この子がいなかったらあたし、一人でなんて絶対この屋敷に入れない。
同じ女の子に怯えるってのも変な話かもしれないけどあの兄貴の女版だもの。
絶対強烈な女に違いないわ。でも傍から見てて女に怯える男っていうこの構図って相当微妙よね。
でもこの恐怖はきっとあたしの人生という名のノートに伝説として書き込まれるような一大事になるはずだわ。
「んじゃあ、行くぞ」
そう言って彼は見た目だけは全く変わらない家の中へとっとと入ってしまった。
いざ、行かん魔女とのご対面。女なら、ここで負けてたまるかど根性よ!
この先、関わってくる人間が増えることでどんな違いが出てくるのか楽しみだ。
今は焼き直しって感じがしてしまうので。
……しかし、タマ姉は雄二ボディ悠里にどんな反応するのやらw;
「なに薄気味悪いしぐさしてるのよ!」とついいつもの調子でアイアンクローとかw
つーか何か。どうやらタマ兄というのはレスラー並みの体格か。
紳士ぶるのが似合うかどうか難しいな…。
あれか、耕一みたいなのを連想すればいいって事なのか
594 :
名無しさんだよもん:2005/07/14(木) 14:18:07 ID:GDPyhnQH0
精神じゃなくて肉体ごと平行世界にいってたらどうなるんだ?
貴子はまだかー!
陽子もまだかー!
ならば、自分の脳内で書いた話を
書き込むといい。妙な充実感と緊張感が溢れだす
新たな挑戦も少しばかり必要だ
ま た 陽 子 厨 か
ええい!厨と呼ばれようが知ったことか!
陽子かわいいよ陽子
この訴えは死んでも続けるつもりです。
600 :
名無しさんだよもん:2005/07/15(金) 03:21:20 ID:UIS42T+N0
∩
( ゚∀゚)彡 陽子 !それ、陽子 !!
⊂彡
春原が女だったら一番蔵のメインヒロインらしくなるかも。
陽平自体がさりげなく蔵でだよもんを一番使ってるような気もするし(勝平かもしれないが)、羽も似合う。
朋也が春原の部屋に行くため、色々な手段で女子寮に忍び込むだろうから、毎日がゾリオン編のごとくスリリングになりそうだが。
女子ラグビー部もあるんだろうか?
「ただいま、タマ兄」
ついにこの時がやってきてしまった。
俺は思わず息を呑んだね、魔王の登場に。
「おかえり、たー子、悠里。今日は随分と遅かったね?」
で、出たー! タマ兄こと男版姉貴が!
しかし思わず一瞬身構えてしまった俺の予想とは裏腹に、タマ兄こと向坂兄は随分と普通の美男子だった、パっと見。
いや、普通ってのはおかしいかもしれねえ。
流石は姉貴の男版とでも言うべきか。芸能人みたいなルックスにスタイルしてやがる。
確かに元の俺に似てるっちゃあ似てるが全体的な華やかさが違う。
背もスラリと高けえし、顔立ちなんかも俺より随分と精悍に見える。
けどなよなよした印象を与えねえのは骨格が意外とガッシリしてるからだろうか。
同じDNA継いでるのにこの差は何だ? 赤いだけに姉貴――いや、今は兄貴か――は通常の三倍成長が早いのか?
こりゃあそこら辺の女子がキャアキャア騒ぎそうだぜ。
自分で言うのも何だが俺りゃあ今まで多少はイケメン面だと思ってたんだが、その自信を根本から崩される勢いだぜ。
恐るべし、向坂兄。
「悠里、何ぼーっとしてるんだ。そんな所で立ち止まられたら迷惑になるだろう?」
「あ、ああすまねえ」
「…?」
そうだった、男版姉貴に魂奪われてる場合じゃねえ。
何とかしてこの状況を伝えねえと。
…と、俺がそんなことを思っている瞬間に頭に不思議な感触。
ん? 何だこれは? 拳みたいな?
「〜ッあ、だだだだだッ!」
「すまねえ? 向坂の女がそのような言葉を使うなどと俺は教えた覚えはないよ、悠里?」
ぐりぐりぐり、と恐らく男版姉貴のものと思われる拳の関節が俺の米神にめり込む。
女相手だから手加減はしてるんだろうけどその破壊力たるや姉貴のアイアンクローにも負けぬとも劣らない。
こっちでもやっぱり弟、いや妹いじめは健在なのか、姉貴よお!
「待って、タマ兄! 今悠里は悠里じゃないの!」
「…はい?」
「ぐへえ」
貴子の一言が男版姉貴のグリグリ攻撃を止める。…あのまま続いてたら確実にあの世行きだったぜ、俺。
こっちの俺も苦労してんだな。
「そのことについて話したいことがあるから…少しいい?」
貴子の真剣な表情に、男版姉貴の表情も変わった。
その雰囲気が冗談だとかそういった類のものではないと悟ったんだろう。
「…分かった。それじゃあ奥で話そう。とりあえず上がって。俺はお茶の用意をするから」
そう言ってようやく俺を解放した男版姉貴。
今の俺はぶっちゃけアクシズに特攻するシャ○みたいなもんだと思うんです。
行った先には自分に恨みがある怖い元カノがいるシ○アの恐怖が今ちょっと分かったぜ。
グレネー○ランチャー構える前にファン○ルで撃沈されそうな状況であります、隊長。
「大丈夫」
貴子がそう言って背中を押す。
「そりゃタマ兄は怖い所もあるけど、ちゃんと話の分かる人だから」
今の俺の支えは君が隣にいる、それだけだよ。
よし、俺はラスト・サムライ!
トム・○ルーズやケ○・ワタナベだって吃驚のジェダイの騎士だ!
赤いダースベ○ダーになんて負けてたまるか!
俺は意を決して屋敷の中へと足を踏み入れた。
「…で、今は入れ替わって悠里の体の中にどこの馬の骨とも知らない男の精神が今入っていると? つまりはそういうことだね?」
「つまりはそうなんですけど…」
こ、怖ぇえええ! あの威圧感は男になろうが存分に健在でした。
思わず無意識の内に正座にもなってしまいます。対して男版姉貴はどかりと胡坐なのにそれがかえって様になってるんだよなぁ。
「とてもじゃないが、信じられない話だが…」
「でも実際彼は悠里じゃないみたいだし…」
流石に貴子は流せても姉貴までは無理ってか。姉貴の男版はさっきから訝しげにこちらを見ている。
「よし、悠里、今ここで「スキスキタマお兄ちゃん大好き〜。悠里はお兄ちゃんの虜です〜」と、言ったら
向坂の力を総動員して本物の緒方理雄に会えるよう計らってやろう。どうだ?」
「いや、俺そこまで自分捨てたくないっス」
「…確かに悠里じゃないみたいだ」
何だ今の超絶アホな質問は!? やっぱりこいつも頭の中身は姉貴と一緒なのか!?
つーか、こっちの俺はそれしきの事で判断されるような小さな人間なのか!?
たったそれしきのことで自分を捨てられるのか!? 弱ぇえええ!
でも俺も生緒方里奈と引き換えだったらそれくらい言っちゃうカモ。
ああ、思いっきり姉貴に読まれてる、俺の中身を。
「それにね、タマ兄。一応心当たりが…ないわけじゃないの。詳しくは言えないけど…ってゆーか、言っても信じてもらえないと思うけど…」
「…たー子がそう言うのなら信じないわけにはいかないかもな。信じられない話だけど」
はあ、と溜息をついてこっちの姉貴つーか兄貴は優雅な仕草で髪を掻き揚げた。
何か些細な仕草ですら色気がある辺り、さらに敗北感を感じてしまうぜ。
「ところでさ…心当たりって?」
隣に座っている貴子に俺は小声で問うた。
「…るーくの言ってたこと。嘘みたいだけど…るーくはその、普通の人とは違うから…」
そういや貴明もるーこちゃんに気をつけろとか言ってたか。
るーこちゃん、そんな偉大な力があるならもっと世の為人の為使おうぜ。
たとえばうちの学食をメイド学食にするとか。うちで雇っているのをメイドさんに変えるとか。
「…とりあえず、たー子は席を外してもらえるかな? 一応、妹の体を使っている以上言っておかねばならないこともあるしね」
「あ、うん…」
そう言って貴子はすすっと部屋を後にしてしまった。
今俺は死刑宣告をされた気がしたんだが、果たして生きてこの部屋を出られるんだろうか。
こっちの男版姉貴と二人っきりで部屋にいるだけでチビりそうだぜ。
恐る恐るお兄様を見てみればお兄様は思いっきり不機嫌そうなお顔でこちらを見つめてらっしゃっていました。
怖ぇえええ!
「…全く、厄介な事になったね」
はあ、と吐く溜息すら処刑台への階段を一段減らすかのようです。
あああ、マジで俺生きてここを出られんのか!?
「正直、君のことはどうでもいいし、悠里のことに関してもそんなに心配はしていないんだ。
悠里は一応向坂の末席に身を置く女である以上どんな状況であれ巧く生き抜けるよう教育してきたつもりだし、
たとえ多重人格であったにせよ、元に戻ったらちゃんとそれなりに生活していけるとは思う。俺やたー子も全力でその手助けをするしね」
こっちの俺は意外と姉貴――いや、今は兄貴だが――に信頼されてるらしい。
それが幸せなことかは別として。
「問題は…たー子のことだ。…君が悠里の体を使っている以上言っておかねばならないことがあってね」
貴子。彼女のどこに問題があるというのだろう。
「これは…内密にして欲しいんだが、彼女はつい最近…ハッキリと言うが集団レイプ未遂…にあってね」
「レ、レイプー!?」
ちょっと待て。今思いっきり過激な単語が飛び出さなかったか!?
そんな単語、CERO15じゃ規制に引っかかってしまいますよ、お兄さん!
「俺には九条院にいた頃…何人か舎弟がいてね。彼らは育ってきた環境のせいもあるんだろうけど、少々偏った考え方でね。
基本的に男尊女卑な上、婚前前に女人と付き合うのは漢の道に反する!
なんていう極端な考え方を持った子たちだったりして、彼らがその元凶になってしまったんだが」
舎弟ねえ。向こうの姉貴を慕う九条院の子達は何度か見たことあるが、雰囲気的には「御機嫌よう、お姉様。
今日は下級生からお茶会のお誘いがありましてよ?」なんていうイメージだったんだが舎弟というと「オス! 兄貴!
今日は例の派閥の奴等から果たし状が届いてましたっス!」っていうむさ苦しいのを想像してしまうのが不思議だ。
実際どういう奴らなのかは別として。
「彼らは俺がたー子を構うのが気に食わなかったらしい。寸前で何とか止めに入れたから良かったものの、もしあのままだったらたー子は…」
こっちの姉貴――面倒だから兄貴と呼ぶことにするが――の、拳に力が入ったのが分かった。表情が芋虫を潰したようなものに変わる。
「随分と…酷いことを言われて…写真も撮られたみたいなんだ。幸いその時俺が現場を押さえて、
彼らが暫くは学校に来れないようにしたんだが…全部奪ったと思ってた写真のネガが現像されて学校にばらまかれてしまってね」
性別が逆転しただけでこんなにもハードでバイオレンスな世界になるのか。
向こうは貴明が男な分レイプだとかそんな物騒なことはなかったしな。何か靴に画鋲突っ込まれたりとかはしてたみたいだが。
むしろ平和でまったりしすぎで物足りないほどだったがこっちはそれとは真逆だ。
とてもじゃないが「さわやかなハートフルラブストーリー!」なんて言えねえぜ。
向こうの世界と同じなのは春の高校が舞台って所だけかよ。
向こうの世界と同じなのは春の高校が舞台って所だけかよ。
「その前からたー子は彼らに悪い噂を流されたりしてね、学校では悪い意味で注目の的…という状態なんだ。
俺が…彼らを納得させる為に恋人のフリを頼んだせいで俺との関係を邪推する噂も流れてしまったしね…」
今は兄貴、が自嘲気味に笑う。あっちの姉貴が貴明を大事にしてるように、こっちの兄貴も貴子を本当に大事に思ってるんだな。
「たー子の髪、ちょっと前まで長かったんだ。でも、彼らに切られてしまって…。その時に気付けば良かったんだ。
でもたー子はそれをイメチェンだと言って隠したから気付くのが遅れたんだ。ショックだったろうね、
たー子は俺や好巳に長い方が似合うって言われて以来ずっと伸ばしてたから。もしかしたら一人で泣いてたかもしれない」
彼女があれだけ不安定なのはそんな事があったからなのか。
確かに、女子高生が一人で背負うには重すぎる現実だ。
男が必要以上に苦手になっても不思議じゃない。
「たー子はそれ以来今まで以上に男性に対して拒絶反応が出てしまってね。
今では俺や好巳に対してすら一定以上の接触は避けてるほどだ。そして今たー子が拠り所としていたのが悠里だったんだ…」
ああ、だからあの時彼女はあれほどまでに取り乱したのか。
この世界でたった一人の気を許せる相手を失ってしまったから。
「…雄二君、と言ったか? これは俺の個人的な頼みなんだが…彼女を、たー子を守ってやって欲しい。
俺や好巳もできるだけサポートする。できるならこの腕で抱きしめて安心させてやりたい。
けれど、本人が拒絶している以上どうしても入り込めない部分がある。しかし、体は悠里である君だけは別だ。…頼む」
「お、おい…!」
あ、あの姉貴が頭下げてる!? こんな光景きっと二度と見られねえ!
…いや、あのプライド高い姉貴が頭を下げるほどに、大事なんだな、貴子が。
こんな見ず知らずの男に頭下げなきゃならねえほどどうしようもねえ状態に一番歯痒さを覚えてるのは他でもねえ、
たぶん向坂鐶、こいつ自身なんだろうな。
「わぁったよ。頼むから頭上げてくれよ」
俺の一言に向坂鐶は頭を上げ、こっちを見つめてきた。
「そんな事情知った以上放っちゃおけねえ。命に代えても守ってみせるぜ、あんたの大事なお姫様をよ」
「…すまない」
くっそぉ、あの姉貴がこんなに謙虚だと調子狂うぜ。
けど、こんな姉貴は向こうじゃぜってえ見れねえからな、貴重だぜ。
「…それと、これは個人の頼みでなく忠告なんだが」
さっきまでの真剣な表情はどこへやら、向坂鐶の表情は今度はまるで獲物を捕らえた猫科の動物みたいに不敵に歪んでいた。
「たー子のことを男の邪な目で見た時は…どうなるか分かっているね?
それと君にはこれから悠里として生活してもらうんだから言葉遣いには気をつけてもらわないと。
家にいる時は…仕方ないが学校にいる時には悠里になりきってもらう」
「それって今日から俺に女として生活しろってことかよ…。無理だ! 俺は今まで男として生きてきたんだ、そんなの無謀だ!」
「無理だろうが無謀だろうがやるしかないんだよ、君は。
可愛い妹の体を乗っ取って可愛いたー子の側にいるのを許してやってるんだからそれくらいこなしてもらわないとね」
ニヤリと笑った向坂鐶の表情はまさしく向坂環そのものだった。やっぱこいつ絶対姉貴の男版だ!
「…返事は?」
ベキボキゴキと、お兄様の拳からいい音が鳴る。
こ、怖ぇえええ! この威圧感はまさしく姉貴だ。さっきの謙虚な態度はアレか!? あの姉貴の猫被り男版か!?
くっそぉ、すっかり騙されたぜ。
「分かりました、お兄様…いえ、分かったわ、兄貴!」
俺、弱ぇええ! と、思いつつ兄貴の迫力の前に俺は屈するしかなかったのです。
この構図は向こうの世界と何一つ変わらねえ。結局はこういう運命なのかよお。
「うむ、よろしい」
にっこりと微笑む兄貴を目の前にしたら思わず舎弟ができるのも納得してしまう俺がいたのでした。
「お話、もう終わったの?」
「ああ、まあな…」
部屋から出て本来の俺の部屋があった場所――たぶん今は悠里の部屋だろう――に帰れば、貴子がいた。
貴子はレイプ未遂事件があって以来この家に身を預けているらしい。
流石にそんな目にあった子を誰もいない家に一人で帰すのはあまりに危険だろう。
だからあの時彼女は「ただいま」と言い、こっちの兄貴は「おかえり」と言ったのか。
「そのさ、俺は中身は男だけど…一応女の体だからさ、今まで通り接してくれていいから。気を使うなっていうのも無理な話かもしれねえけど…」
「悠里…」
ああ思いっきり彼女に「雄二」として認識されてない。でもまあいいか、今は。
今、彼女に必要なのは自分を支えてくれる力強い腕じゃなくて、親身になってくれる親友だ。
「雄二…だっけ? 優しいね…」
あ、一応認識されてはいるのか。
無造作に切られた髪が今の彼女のボロボロの心みたいに見えた。
「これから大変だろうけど、頑張って。私も元に戻るまで協力するから! とりあえず明日はるーくを捕まえないとね」
一人で気合をいれる彼女。それは何だか空元気に見える。
「ところで、雄二は元は男の子なんだよね? 男の子ってどんな感じ?」
「どんな感じ…ってまあ普通だよ。何つーか、俺の今までの生活はすんごい平和だったし。
…まあ、こっちの「タマ兄」の女版は強烈に怖かったけどな」
「たしかに…怖くないタマ兄って全然想像できない…」
貴明と貴子の場合経験の違いのせいか微妙に違いがあるのに姉貴と兄貴の場合大して違いがねえからなぁ。
どっちにしても怖ぇのには変わりねえが。
「でもいいな…私も男の子になりたかった…」
「え…?」
貴子の声が不意に揺れる。
「私が…女の子だったから? だから体見られたり、触られたり、あんな事されたりするの?
嫌だって…怖いって…何度も言ってるのに…全然止めてくれなくて…。
抵抗しても捻じ伏せられて…ぶたれて…。タマ兄がこなかったら私…私……」
貴子の目から涙が零れる。そのまま俺の胸に顔を埋めてシャックリを上げる。
「好きで…女の子に生まれたんじゃない! 男の子だったら良かった! 何で、あんな…あんな…!」
今まで張り詰めていたものが一気に切れた。そんな感じだった。
貴子はただ俺の腕の中で泣き崩れるだけだ。
「どうして…悠里まで取るの!? 私…悪いこと何もしてないのに何で…!」
「貴子…」
ああそうだ。この子は悪いことなんて何一つしちゃいない。
彼女が女の子だったからか? こんなにも身も心もボロボロになるまで傷ついてるのは。
男の一方的な暴力が彼女をこんなにも傷つけているのか?
守ってやりたい、彼女を。もう傷つかなくていいように。
そのためなら俺は親友でも構わない。せめて彼女の心が癒されるまでは。
「貴子…お前は俺が守るから、絶対に……」
そのまま貴子は意識を失うまで泣き続けた。
今では唯一の心の拠り所だった親友を失くしてしまったという事実が彼女の張り詰めていた糸を切ってしまったのかもしれない。
「ようやく、落ち着いたみたいだね…」
「あ、姉…いや、兄貴……」
俺の腕の中で泣き疲れて眠ってしまった貴子を兄貴がゆっくりと抱き上げ、部屋へと運ぶ。
「ごめん…ごめん、たー子……」
そう言ってそっと瞼の上にキスを落とした。
本当に彼女が大事なんだな。
――明日から俺の新しい生活が始まる。
向坂悠里として、女として、学校に通うことになる。
けど迷いはない。
こんなにも真剣に生きようと思ったのは初めてかもしれない。
今までただ単にダラダラと生きてきただけだった。
けれど今は違う。俺は自分の意志でこの子を全力で守りたいと思った。
俺は、この為にこの向坂悠里の体になったのかもしれない。
陽子な流れの中連投スマソ。ようやく書きたいとこまできた。ついでに一緒に陽子たんカモーン!と叫んでみる。
次回は悠里編。以前このスレで出てた「たー子」使わせて貰いますた。
そして三人娘スマン。でも三人娘は男になったら嫌な奴度鰻上りな気が…。
東鳩2はあんなにもほのぼのなのにメイド貴子たんといい貴子は不遇の星の下に生まれてるとしか思えなくなってきたw
DQN男を引きつけるオーラが出てるんだろうか。それが貴子クオリティ?
>>590 当初から予定していた今後の学園編では貴子と貴明とで性格や置かれている立場が
大分違うのでプロローグ部分はあえて取っ付きやすいように焼き直しに近い状態にしますた。
>>592 タマ兄は身長あるんでガッシリしててもスマートな印象になってるかと。一見するとサッカーとかのスポーツ選手っぽい感じで。
>>594 タマ兄の場合男イラネ→雄二即座に退場。な気もw
>貴子は不遇の星の下に生まれてるとしか思えなくなってきたw
それ、不幸(な設定)にさせてる本人が言う台詞じゃないと思うんだが・・・・
>>612 不幸がはまりすぎてしまう幸薄勤労少女ふゆみたいに半分ネタで書いたつもりだったんですが、
不快な表現を使ってしまったことを深くお詫びします。
スレを汚してしまい、申し訳ありません。
設定が似合うか似合わないかは、最終的には読んだ人間が判断することだ。
>>602-609 急にシリアスな展開になったな…。
しかしそれだけに雄二in悠里ボディが貴子のメンタルリハビリの役に立ちそうだ。
> よし、俺はラスト・サムライ!
> トム・○ルーズやケ○・ワタナベだって吃驚のジェダイの騎士だ!
> 赤いダースベ○ダーになんて負けてたまるか!
あんた所詮はパダワン扱いですからー!残念!
616 :
名無しさんだよもん:2005/07/15(金) 17:16:49 ID:NIi/ImdK0
それにこれは十分に良作だ。
次回に期待大。
陽子陽子と騒がれてるが、天いなの続きも読みたいな……。
朱鷺乃さん、かむばーっく!!
618 :
名無しさんだよもん:2005/07/15(金) 18:33:06 ID:UIS42T+N0
たしかにおもろいけど、
ぶっちゃけ雄二・貴子編よか悠里・たかあき編の方が気になるんですよ。
ウホッな展開になるのか?
それはビジュアル的にどーよ?
621 :
名無しさんだよもん:2005/07/15(金) 21:06:46 ID:UIS42T+N0
ビジュアルよおか女版雄二とタカ棒のコンビが見た印やワシは。
雄二が貴明の棒で遊ぶわけか…
623 :
名無しさんだよもん:2005/07/16(土) 06:13:20 ID:2AWSAlPh0
速く続きが読みたいぜ ですぅ
>>610 ( ゚∀゚)o彡゜ タマ兄!タマ兄!
もともとのスペックが高いタマ姉が反転するとここまで男前になるのか。惚れちまいそうだぜ。
などと本編の内容に関係無いところで悶えてたりするわけです。
しかしますます目が離せない展開に・・・
>貴子は不遇の星の下に生まれてるとしか思えなくなってきた
原作で異性が苦手と設定されたキャラの悲哀かもしれない
しかしこうもスレで雄×貴の流れが続くと自力でタマ×タカ分を補給したくなってしまうではないですか・・・TH2未プレイなのに
625 :
名無しさんだよもん:2005/07/16(土) 13:01:38 ID:i5Q5cERXO
とりあえずsage進行で一緒にサターンでもやりながらマターリ待とうぜ。
サイバーボッツ(゚д゚)おもすれー
とかなんとかいいながらあげちまった‥‥orz
超兄貴やって別の世界に逝ってくる‥‥
>>624 その衝動を是非とも形にして投下するがよろし。
風太郎ハァハァ
629 :
名無しさんだよもん:2005/07/16(土) 15:34:00 ID:KCn32ZF20
学校へ登校する学生が多く見られる朝、それは聞こえてきた。
長髪の女生徒に襟首を捕まれ、そのままズリズリと引きずられる男子学生が大声で叫んでいる。
「ちょ、ちょっと待って下さい岡崎さん!」
「なに風太郎? 人の胸触るような奴にかける情けは無いわよ」
「そっ、そんな! ちょっと触れてみただけです! 無罪です!」
「……岡崎法廷では『痴漢は死刑』なの。鷲掴みにしといて何言ってんのよこのちびっ子」
「さ、裁判長! この法廷は一体どうなってるんですか!?」
「あら、知らなかった? 岡崎法廷の第一条は『私がルールだ』なの。
……ついでに今ので法廷侮辱罪も追加ね」
「弁護士! 誰か腕の立つ弁護士を!!」
そのままズルズルと引きずられ、いつしか男子学生の声は聞こえなくなった。
その日の昼休み。
荒縄でぐるぐる巻きにされ、股間に『小指サイズ』と書かれた紙を貼り付けた風太郎が発見される。
やっちまった。sage忘れた。
orz
なんか思いついたので、暇つぶしにでも。
>>629 チ●コが小さい程、頭が良いという説があるが…
>股間に『小指サイズ』と書かれた紙を貼り付けた風太郎が発見される。
風太郎は賢いとうことか
風太郎がエロガキ設定というのはすでにデフォなのか…。
17歳(?)にもなって小学生レベルのエロっぷりに和む。
なんか異様にネタにしやすいんだよな、風太郎。
ここらで一発かっこいい(まともな)話をplease.
いや、それ以前にヒロインの話が読みたいわけです。
風太郎で盛り上がっててはいかんのです。
スレッドの容量制限ってどのくらいだっけ?今451kb
500kbですな。
じゃあ、800ぐらいまで小ネタと雑談で温存するお
とりあえずレス読み返して今瞬間的にできたプロット
朱鷺乃と透セクース→しのぶ♀目撃→自分も透の事を思ってる事に気が付くしのぶ♀→しのぶ♀と付き合う事になる透→しかし体のを止めない朱鷺乃→朱鷺乃に詰め寄るしのぶ→スクールデイズ2
やべ、言ってるそばから容量無駄図解しちまったorz
じゃあオレはメモ帳に書いて様子を見る
>>636 俺の最新のトラウマやめてトラウマ。
せめてなし崩し3Pで。
あと、知らん間に恒例になってる次スレのテンプレネタもキボン。
640 :
名無しさんだよもん:2005/07/16(土) 23:25:12 ID:i5Q5cERXO
>>639 じゃあ、なし崩し3P→「お姉ちゃんどいて、そいつ殺せない」→('A`)クビチョンパー
またあげちまた‥‥orz
もしくは透が全部後ろで糸を引いてた→(調教えろえろ)→ハーレム
>>641 何その隠しかつエロゲ的にはトゥルーエンド。
京と智美で陽子を朝から晩まで仕込ry
やべぇ朋美だorz
ここの流行はorzです。
元凶は自分ですかそうですか。
恵と朱鷺乃の話……。
うおおおおお! 萌え上がれ俺の妄想力(コスモ)!!
646 :
名無しさんだよもん:2005/07/17(日) 19:19:50 ID:3XAa2miy0
SSまだー?
妄想が小宇宙になる時代がきたのか・・・・・・
>>646 まずはsageとレスを読むことを覚えろ話はそれからだ
ネタも無いし800までマタリと最近影の薄い反転キャラかセガサターンの話でもしようぜ
実は今まで反転されてないキャラとかいないのか?蔵や東鳩2はまだ出揃ってない気もする。
殆どのキャラが反転された今
影の薄いキャラが目立つチャンス
CGの無い、名前有りキャラが目立つチャンス
なんというか…夏ですな
うん
じゃあとりあえずイズミとノブコを反転だ!
どこにも絡まねえ…
反転カペーシナリオ想像したらとんでもないことになった
どうしてくれるんディスカ
こんな夜更けに、闇と風の中に馬を走らせるのはだろう。
それは兄と妹だ。兄はおびえる妹をひしと抱きかかえている。
兄 「妹よ、なぜ顔を隠すのだ」
妹 「兄様には魔女が見えないの。赤いマフラーを巻いて、長い衣を着ている・・・」
兄 「あれはたなびく霧だ・・・」
魔女 「かわいい巫女や、一緒においで。面白い遊びをしよう。岸辺にはきれいな花が咲いているし、金の服を私の参謀がたくさん用意して待っているよ」
妹 「兄様、兄様!きこえないの。魔女がわたしになにかいうよ」
兄 「落ち着きなさい、枯葉が風にざわめいているだけだよ」
魔女 「いい子だ、私と一緒に行こう。私の妖精族がもてなすよ。お前をここちよくゆすぶり、踊り、歌うのだ」
妹 「兄様、兄様!見えないの、あの暗いところに魔女の妖精が!」
兄 「見えるよ。だが、あれは古いしだれ柳の幹だよ」
魔女 「愛しているよ、巫女や。お前の美しい姿がたまらない。力づくでもつれてゆく!」
妹 「にいさま、にいさま!魔女がわたしをつかまえる!魔女がわたしをひどい目にあわせる!」
兄はぎょっとして、馬を全力で走らせた。あえぐ妹を両腕に抱え、やっとの思いで館に着いた・・・
腕に抱えられた妹はすでに死んでいた。
リアンノン「…みたいな事やってたんでしょ?やっぱり」
アウロン(♀)「しとらんわ!」
テンプレネタってこんな感じ?ちと長すぎかもしれんが。
東鳩2の反転SSを書こうと思ったけど、本編でたかあきの女装の話って
誰シナリオでどの辺だっけか?PS2でもう一度その辺を読みたいのだが・・・
幼き頃にタマ姉がたかあきを女装させ→雄二が目撃、たかあきだと知らず、
ずっと片思いみたいな話だったと思う。
>>659 4月26日の放課後選択で2階教室にいる雄二を選択しる。
ただ、他のヒロインルートに入ってるともう強制イベントが始まってる時期
かもしれん可能性あり。
期待してるんでガンガレ。
やっと解除された…ocn
さすが風太郎! 他反転キャラには出来ない事を平然とやってのける
そこにシビれる!あこがれるゥ!
>>629 風太郎は度胸あるな
17歳になっても胸揉むわ、スカートめくる 犯罪だぞ
風太郎は圧力に屈しない男ですからっ!
大気圧には屈してるように見える
665 :
テンプレ案:2005/07/19(火) 09:04:14 ID:hZFsd04TO
アロウン「‥‥」
蝉枝「‥‥」
アロウン「‥‥地味って‥‥」
蝉枝「‥‥なんだ?」
アロウン「あ、いえ、なんでもないです‥‥」
蝉枝「‥‥そうか」
アロウン「‥‥」
蝉枝「‥‥」
不運ヒロインを分けると、
ふゆ→薄幸、オロオロ娘。
貴子→不幸、オドオド娘。
となるかな?
京=朋美は違うだろ。京を反転しても朋美にならんし。
雄二が反転して、執事萌えになったとして。
由真反転の将来が執事なんて事になったら、どうなるんだろうか?
ちょっと楽しそうだ。
>>665 やっぱそういう役回りなのか魔女様w
がっつりエロネタでも来れば話は変わるんだろうが。
妹萌え過ぎ野郎アルサルを正道?に立ち返らせるべく、彼の初体験の相手を務めることになるアロウン(♀)とか。
669 :
元380:2005/07/20(水) 01:30:44 ID:asibL0p50
蝉枝さん影薄いですか…_| ̄|○|||
影が薄いと云うより、最近SSがないんでねぇ……。
Nasty girl奈須牟祢…
話題にならないほど地味か…orz
過去SSを見ると反転美鈴も何気にエロガキだったりする
反転東鳩2SSまだ〜?
全く関係ないけどGZシリーズでギルベイダーが再販されるらしいね。
とりあえず加速させる
テンプレその他次スレ用の準備も必要なわけだが…
>>656か
>>665で構わないか、それとも別ネタを投下するか、
…どうします?
で、次スレは
>>700あたりにたてて貰う、てところでどうか
まだ次スレ立てなくて良いよ。速すぎ。
950過ぎてからでいいよ。過疎版で板一つ完全消費するのに結構時間掛かるのに
今から立てても無駄になるし、もったいないよ。
また前みたいに古いスレがいつまでもあってどっちが本スレか混乱する。
だから950くらいでいいんじゃないかな?あせって立てる意味もないしさ。
>>676 しかし今容量が460KBだから連投や長編投下されたらヤバイぞ。
連載中のSSも何本かあるし。
職人さんも投下するべきか微妙な容量だと思ってるんじゃね?
次スレを誰が立てるかはともかく、テンプレは決めておいてもいいんじゃないかと思う。
テンプレは新しいネタが来ないなら
>>665でいいんじゃないかな?シンプルだし。
>>669 蝉枝さんは影薄くないよ!派手な展開がないだけで!
>>671 えにし共々女醍醐にオモチャにされた話が今のところのピークか…。
確かに少ない。
次スレは490kbになってからでも十分間に合う
そうだな、下手に過疎化が進んだら目も当てられん。
ここで唐突に反転東鳩と反転東鳩弐のクロスを書くべきなんだと思うんだ。
>>679ー680 確かに前スレ、前々スレみたなことにはしたくないしな
今日から本格的に夏休みみたいですね
もうそろそろハクオロさんにスポット当てても良いと思うんです
夏なんでこれからSSが増えるといいな。
では水着ネタのSSでも考えるか。
じゃあ、あれだ。
大統領からの以来でNASTYなエージェントがV字の紐みたいな水着を着らせてスイカを買いに行かされる、夏真っ盛りな恥辱ミッション
なんだその過去最高の支持率を打ち立てそうな大統領はw
NASTY「せ、せめてサングラスかけさせて…」
様子は全部ロシア系の諜報部員によって全世界に配信され、
途中で同じスーパーに買い物に来た義理の兄に会えたり、
同じく料理の材料買いに来てたクラスメイトに会えたり
買い食いする同級生と出くわしたり、
老人会に集団セクハラされたり、
車のシートが変な振動をしたり、
傭兵さんに逆さ釣りにされたり、
お姫さまにへんな歌にされたり、イベント盛り沢山
一度はやってみたかった
性別反転してどれだけ気づかれずにいられるか実際に試してみました
風太郎ー!
「やっほー、かずきちゃん。久しぶりだね」
「……ああ、ふゆ。……おはよう」
とある大学の廊下で、背の低い少女―――藤井ふゆが、自分の先を歩く少女に話しかけた。
目の下に隈を作り、ゆっくりした動作で振り返ったその少女はふゆの友人、千堂かずき。
本来なら美少女なのであろうその姿は、色々な意味でボロボロであり、見る影も無い。
「また徹夜したの?」
「まぁね……原稿の締め切り近いし」
とてとてと駆け足でかずきの横に並ぶふゆ、かずきは眠そうに目を擦る。
最近講義に出てないと思ったらやっぱりか、とふゆは困ったように苦笑した。
「ちーす、ふゆ、かずき!」
「きゃ!?」
「っと!?」
と、急に二人の肩が、挨拶と共に後ろからバンと叩かれた。
驚いてふゆとかずきが後ろを振り向くと、そこにはやはり、二人の悪友である女性の姿。
「はじめちゃん、おはよー!」
「……こっちは眠いってのに、あまり衝撃与えないでよ……」
「何言ってんの、朝の挨拶は人との信頼関係を築く上での大切な行為よ!」
「もうお昼だけどね」
「あれ? そうだっけ?」
そう言ってわざとらしく豪快に笑う彼女は柏木はじめ。
自他共に認めるグータラ大学生である。
男性のように高い身長と広い肩幅、そしてその溢れんばかりのたわわに実った胸の大きさは、密かにロリ属性全開のふゆの憧れだった。
元々まったくの他人だった三人。ふゆやかずきは大学内にそれぞれの交友関係を持っているが、講義が三人で被り、同じ教室になることが多いので、いつの間にか、こうして仲良くなっていたのである。
いぢめられっ子属性のふゆ、右脳使う絵描きのくせに妙に現実主義なかずき、自由奔放で何者にも囚われないはじめ。
見事に性格も外観もバラバラの三人だったが、だからこそ、気が合うのかもしれなかった。
「二人とも、最近はどう?」
「んー……前に話した真央くんと少し仲良くなったかな。でも、最近弥生さんがどんどん厳しくなってきて……」
「私は志子の馬鹿が煩くて……オチオチ同人誌も描いてられないわ」
「あはは、相変わらずだね、二人とも。ちなみに、私は変わりなし、かな」
講堂内をゆっくり歩きながら、三人で雑談をする。
何故か美形の男達に囲まれる性質を持つふゆとかずき、だが現実は少女マンガのようには行かず、色々と悩みをはじめに相談したりしていた。
そのはじめも美男子揃いの四人兄弟を従兄弟に持っているのはご愛嬌である。
ふと、そのはじめが唐突に話し出した。
「そういえば思い出したんだけど、知ってる? 駅前の芸人の話」
「何それ?」
興味を持ったらしいふゆに、ニンマリと笑って話を続けるはじめ。
「いや、私も噂を小耳に挟んだだけで実際に見たわけじゃないんだけどさ。なんでも、手を振れずに人形を操るらしいよ」
「わぁ、すごいね! 一体どうやってるんだろう?」
「どうせ糸かなんか使ってるんでしょ」
「いや、話によると、タネも仕掛けもないそうよ」
はじめの言葉に、ふゆは目を輝かせ、かずきは胡散臭げに目を細めた。
そんな二人の様子を満足げに眺めた後、はじめは待ってましたとばかりに切り出した。
「ねぇ、もう講義も無いでしょ? だからさ、今からその芸人を見に行かない?」
所変わって、駅前。
普段から人通りの激しいその場所のとある一角に、人だかりが出来ていた。
ある女性を取り囲むようにして、各自多種多様な表情を浮かべているが、全員に共通しているのは、『驚き』という感情である。
輪の中心にいるのは、銀髪の女性。黒いシャツにジーンズという男性的な服装をした彼女は、右手をかざし、真剣な顔で一心に何かを念じていた。
右手の下には、古ぼけた一体の人形。
その人形が、まるで生きているかのように歩き回り、踊りを見せ、偶に転んでは子供達の笑いを誘う。
やがて、人形が中世の貴族のように儀式的な礼をすると、周囲の者達が、鳴り止まんばかりの拍手を彼女に浴びせた。
そのまま、群集は彼女に脇に置かれた缶詰の空き缶に、財布から取り出した小銭を投げ込む。
そして、満足気な表情で、もしくはタネや仕掛けが分からずに悩んだ風に首を捻って、各々帰宅への道を進んだ。
女性が空き缶の中の小銭を数えていると、ふと、まだ客が一人残っている気配を感じ、顔を上げる。
そこには、彼女と同じ銀髪―――いや、これは『白』と呼んでも差し支えないかもしれない―――をした女性が立っていた。
古ぼけた服装を身に纏い、筋肉質気味で健康的な肌が半袖の先から見え隠れする。
何か威圧される威風堂々したその女性は、まるで戦国の侍、鋭利な刃物のようだった。
「いや、見事な芸であった」
白い髪の女性が話しかける。
銀髪の女性は、随分古風な言葉遣いをする女だな、変わっている、と心の中で感想を洩らす。
「見てたのなら、金を払え。俺は芸人だ。無料奉仕する気はないぜ」
随分と男らしい口調で、銀髪の女性が白髪の女性を睨む。人のことは言えない。
白髪の女性はふむ、と頷いて、
「もっともだ。しかし、残念ながら、生憎今は金の持ち合わせが無い」
「なんだと?」
「そう睨むな。ちゃんと見合った代償行為をしよう」
「あ?」
私も事情により旅をする身。金の大切さは身を持って知った。見た所、その人形芸で金を稼いでる様子」
「見りゃ分かるだろ、そんなもん」
「人が集まれば、より多くの金も集まるのだろう。待っていろ、今からその人形芸の噂を広めて来る。そうすれば、私の払わなかったお代分よりも稼げるだろう」
「……成程、な」
銀髪の女性が頷くと、白髪の女性は踵を返して歩き出した。もう行動しようとするらしい。
そんな彼女を、
「待て」
と、銀髪の女性が引き止める。
「何か?」
「そのままトンズラこく可能性が無いとも言い切らない」
「トンズラ? トンズラとは何だ?」
「……逃げるってことだ」
呆れた風に銀髪の女性がそう言うと、ムッとした様子で白髪の女性が反論する。
「そんなことはしない。私は軍人だ。軍人は市井の者を騙したりはしない」
「……は? ……軍人?」
「あ、いや……失言だった、忘れてくれ」
唐突に狼狽する白髪の女性、銀髪の女性は胡乱気に彼女の瞳を見つめる。
真っ直ぐ帰ってくるその眼は、何となく信じてもいいんじゃないか、と思わせるものがあった。
「……分かった。行っていい、その代わり大勢呼んで来いよ」
「了解した」
もう一度歩き出した彼女の背に向かって、今まで忘れていた言葉を口に出した。
「お前、名前は?」
「―――蝉枝。坂上蝉枝だ」
「……俺は国崎雪穂。よろしくな」
「さつき〜!」
「ん……?」
宮田さつきは床掃除をしていた手を止め、自らの名を呼ばれた方向を振り向いた。
お下げ髪をした地味目の少女、しかしてその実態は骨董品屋『五月雨堂』店主である。
元はただの大学生であったが、海外へ出かけた両親の陰謀により強制休学、そのまま店長の座を継ぐしか道が残されていなかったという、ふゆに負けない不幸街道を驀進中だった。
それでも、やはり男に囲まれる性質は三人に負けず劣らず、その辺りを考慮すれば幸せなのかもしれない。
「あれ……ふゆ、かずき、はじめ! 久しぶり!」
自分の見知った顔を見つけて、さつきは破顔して手を振った。
実はこのさつき、休学する前はふゆ達と同期であり、共に四人で悪友コンビを築いていたのであった。
「さつきちゃーん!」
「きゃっ!?」
ふゆが突然駆け出し、満面の笑みを浮かべながらさつきへと飛びついた。
思わず避けるさつき、ふゆはそのままの勢いで道路へと猛烈なダイビングヘッドをかました。
ズシャァッ、という凄まじい音と共に、土煙がもうもうと巻き上がる。
「うぅ、痛い……」
「ご、ごめ、大丈夫!? つい癖で……」
頭に大きなたんこぶを作って涙目のふゆ。さつきは慌てて駆け寄り、その頭を撫でる。
「何やってんのよ……」
かずきが可愛そうな物でも見るような目付きでふゆ達を見下ろした。
はじめも、やれやれとばかりに首を振っている。
さつきはゴホン、と一つ咳払いをして、
「どうしたの、こんな所まで」
「ちょっとね。さつきは駅前の芸人の話、知ってる?」
「芸人?」
さつきは顎に手を添えてうーんと唸り、やがて手をポンと叩く。
「ああ、そういえばスフィーがそんなこと言ってたわ」
「スフィー君? あ、そういえばスフィー君は今日どうしたの?」
何とか回復したふゆが店内を覗き込み、宮田家に居候している少年、スフィーを探してキョロキョロと見回した。
背が低い者同士、何か通じる者があるのかもしれない。
「スフィーならリアンに会いに言ったわよ。……それより、その芸人がどうしたの?」
「……なんかねー、いつの間にかみんなで見に行こうって話が出てるんだけど」
「さつきも一緒に行かない?」
かずきが眠そうに、はじめが無駄に元気溌剌とした顔でさつきに誘いかける。
さつきは一瞬迷った後、
「まぁ、面白そうだしね」
と、快く笑顔で同意した。
いそいそと『ただいま休業中』という看板を入り口の扉に立てかけ、着ていたエプロンを店内に放り投げる。
「ちょっと、そんなことしていいの?」
呆れ顔で訊ねるかずきに、大丈夫、と茶目っ気たっぷりに微笑むさつき。
こうして凸凹コンビを再結成した四人は、一路駅前へと向かうこととなった。
……その途中、白髪の女性が警察官と何か問答しているのを見かけるまでは。
702 :
上の作者:2005/07/23(土) 23:45:39 ID:5Kyt11ip0
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
もう二度としません。首吊って反省します。生まれてきてすみませんでした。
ちなみにadultはyoungと区別する為のもので決してエロという意味ではございません……
705 :
一発ネタ:2005/07/24(日) 02:01:20 ID:rnrmkXLr0
ある朝、宮田さつきが不安な夢からふと覚めてみると、
ベッドの中で自分の姿がスクール水着の、とてつもなくエロスな少女に変わってしまっているのに気がついた。
薄いポリエステル質の背中を下にして、仰向けになっていて、ちょっとばかり頭をもたげると、
まるくふくらんだ、濃紺色の、ダブルフロントの分け目を入れられた下腹部が見えた。
「スフィーーーーーーーーーーーー!」
ある暑い、夏の日の朝であった。
夏コミには反転本でるのだろうか…
707 :
609続き:2005/07/24(日) 22:48:14 ID:FXcqq2FV0
今回エロではないですがちょいと下品なので注意。
>>702 吊る必要はどこにもない!GJ!Adult編続きもyoung編も期待してます。
「タカ坊!」
家に足を踏み入れようとした時、いきなり後ろから声をかけられた。
その瞬間。
「キャア!」
あたしの体は後から突進してきた何者かによって見事に吹っ飛ばされた。
な、何…?
「もう、家に来るなら来るって先に言ってくれれば色々準備してたのに〜。今日は夕飯はどうするの?」
「タ、タマ姉…苦しい…」
あたしを吹っ飛ばした声の主の方を見れば凄く綺麗な人があいつをすりすりと自分の方へと抱き寄せていた。
「あ、あの…」
「ほら、雄二。ぼうっとしてないでお茶くらいお出ししなさい。
仮にも貴方も向坂の人間なんだから今からちゃんと最低限の礼儀くらい弁えておかないとだめよ。
相手がタカ坊と言えどお客様には変わりないんだから」
「はあ…」
この規律や礼儀への拘り、もしかしてこの人兄貴の男版…?
えぇぇえええ!? ちょっと待って、あの兄貴が女になるとこんなに美人になるの!?
あの兄貴とは思えないほど気品に溢れているわ。あの暴力兄貴とは全く違うわ。
どうして同じ人間なのにこうも違うの? あたし、思いっきり損してない?
しかしあたしのそんな勘違いも一瞬で終わってしまうのだった。
「あ、お茶の前にはい、これ」
「…何?」
「買い物。行ってきてくれるわよね? 今日はタカ坊、うちで夕飯食べていくんでしょ? ならたまには奮発しないとね。とゆーわけで」
「な、何であたしが…」
「―……」
あたしは一瞬何が起きたのか分からなかった。
こちらに伸びてくる女版兄貴と呼ぶには失礼なくらい綺麗な人の手。
「タ、タマ姉、ちょっと待った…!」
あいつの静止の声がかかったのは一瞬遅かった。
「〜わ、割れる割れる割れる! い、痛い痛い!」
「姉の言うことは黙って聞く。それに何? 「あたし」? それは新手の嫌がらせかしら?
それとも大事な息子を手放す覚悟ができたってことかしら? そうねえ「妹」の方がまだ可愛げあるわよねぇ」
前言撤回。この人、いやこいつ絶対あの兄貴の女版だ!
「分かったらさっさと行く。本当に大事な息子奪われたくないでしょ?」
にっこりと笑う「タマ姉」はあの兄貴にそっくり!
向こうの兄貴が魔王ならこの人はさしずめ女帝って感じかしら?
パっと見モデルみたいな美人なんだけどやっぱり中身は唯我独尊の暴君。
相手に有無を言わせない迫力がある。
あたしはそのまま家に足を踏み入れることもなく買い物へと使いっぱしられたのでした。
「タ、タマ姉…ちょっと話が……」
こちらに申し訳なさそうな顔を向けてくるあいつ。でも絶対許さない。
あとで覚えとけ!
「あ、あのー…」
「あら、おかえりなさい」
恐る恐る家に足を踏み入れたあたしを出迎えたのはさっきの暴力女だった。
思わずガバっと身構えてしまう。
「先ほどは大変失礼しました。タカ坊から事情は聞いたわ」
「へ…?」
さっきまでの暴君ぶりが幻であるかのように兄貴男版と思われる女の人は行儀良く頭を下げた。
これはこっちも拍子抜けするわ。
「事情を知らぬとはいえ、先程までの無礼、お許し下さい。向坂の人間として恥ずべき行いだったと反省しております」
「は、はあ…」
これも兄貴がよくやる演技の一部かしら? と、疑いたくなるのはさっきの傍若無人っぷりな行いを見てるせいかしら。
でもこうしてると本当に深窓の令嬢みたい。
顔なんかはあたしに似てるけど気品が違う。物腰も優雅でいかにもお嬢様って感じ!
しかも悔しいけどナイスバディ! そのよく育った乳をあたしにも半分分けてもらいたいわ。
ってゆーか、あたしの周りってどうして無駄に胸ばっかり成長してるような女ばっかりなの?
あたし、いかにも引き立て役だわ…。
「あの、あたしの話、信じて頂けたんですか…?」
「その判断はこれから致します。正直とてもじゃないけど信じられない話ですが、可能性が全くないお話でもありませんから…」
何だか考えの読めない表情をして彼女はあたしからスーパーの袋を受け取る。
「もしこれが全部雄二の演技だった場合私の完敗です。ご褒美として後で本当に女にして差し上げるだけです。
もしも多重人格だとしても貴方は雄二とは別の人。お客様である以上手荒には扱えませんから」
にっこりと笑いつつも彼女の言っていることは恐ろしい。
が、頑張れ、こっちのあたし…。もし本気で女にされたらごめん。でもそれあたしのせいじゃないから、たぶん。
「買い物、お疲れ様でした。それより先に湯を浴びては如何ですか? 湯加減も丁度良くなっておりますよ?詳しいお話はまた後ほど。
今はまだお客様をお迎えする準備もできておりませんから…。上がってくるまでにお夜食の準備もできているでしょうし…」
「はあ…」
ああこっちでは別にあたしが夕食作る必要はないのよね。
向こうでは家事は女の仕事、家を守るのが男の仕事って感じであたしが毎日三食作ってたんだけど、こっちは全く逆なのよね。
ん? なら向こうの兄貴は大丈夫かしら?
でも貴子がいるなら平気かー。って、それ以前に貴子がこっちのあたしにちゃんと慣れてるかが重要なんだけど。
こっちと同じ現象を起こってるなら中身は男でも体はあたしだろうから平気かしら。
「さ、ここで立ち話も何ですし、中へどうぞ。タオルや寝巻きはこちらで用意しますから」
「あ、はい、おじゃまします…」
自分の家に「おじゃまします」って言うのも変だけど、完全にお客様扱いされた今、何だかそう言わないといけない気がした。
何だか狐に騙されたような気分になりながらあたしはようやく自分の家へと帰ったのだった。
「はあー、何だかすっごく疲れた…」
家の間取りは向こうと全く同じだった。
だから別に迷うことなんてなかったんだけどお姉様と呼ぶに相応しいような
こっちの兄貴こと環さんに案内されてあたしは脱衣所へと足を踏み入れた。
途中であのクソ貴明に会ったから思いっきりガンつけておいた。
アイツがもうちょっと早く止めてくれればあたしは環さんに変なイメージ持たなくて済んだのに〜!
数々の無礼な発言といい許すまじ、河野貴明。
後で一発殴っておこう。折角の男の子の体なんだからグーで思いっきり。
一回グーで殴ってみたかったのよね! 結構スカっとしそう!
向こうで誰かをグーで殴った日には兄貴に「品がない!」ってグリグリで殺されるわ。
この機会に思う存分楽しんでおかなくちゃ。
そんなあたしの楽しい気分も服を脱ぐまでだった。
上機嫌のまま上着を脱ぎ捨て、ズボンを脱ぎ捨てたあたし。後はトランクスだけ。
別に男の下着なんてどうともないの。毎日兄貴のやつを洗ってるし。
でも、その油断があたしのその先の恐怖を予想させる判断能力を奪っていた。
「―……」
ズボンを下ろした先にあったもの。
―…何アレ?
え、今の何?
ちょっと待って、い、今のって……。
「イィヤアアアアア!」
家が揺れた。後に環さんとあいつはそう言うんだけどその時のあたしにそこまで考えてる余裕はない。
「な、何!? 何事!?」
「お、おい、大丈夫か!?」
ガララっと脱衣所のドアが勢い良く開く。
そこから環さんと貴明が中へと突っ込んでくる。
「キャッ、ゆ、雄二ちょっと…!」
「ば、馬鹿服着ろ、お前…!」
「へ、変なのついてた…」
「はあ!?」
あたしの脱ぎ捨てた服をあたしの体にかけながら貴明がこっちを覗き込んでくる。
ああもう泣きたい。
「変なのついてた〜!」
「変なのってお前…」
「何、あの気持ち悪いの!?」
「き、気持ち悪い……」
あたしはついに泣き出してしまった。
だってショックよ。大ショックよ。
嫁入り前の体なのに〜。
精神的に陵辱された気分だわ! これは許せない辱めだわ!
何でこんなコートマンに遭遇した時のような気分にならなきゃいけないのよ〜。
セックスの時、あれを女の中に挿れるって知識としてはあったけどまさかあんなのだとは思わなかった!
無理! 絶対無理! あんなの体に突っ込むなんて!
一般的なカップルって凄いことしてたのね。あたしには無理。
今なら貴子の男が嫌って言ってた気持ちもちょっと分かるわ。
男って凄いわ…あんなのつけて生きてるなんて…。
あんなのが兄貴や好巳にも…ああだめ、考えただけで意識が遠のく。
「し、仕方ないだろ、今のお前は男の体なんだから!」
「で、でも〜」
「これからトイレだってその体で行かなきゃならないんだぞ!」
ト、トイレ…。そうだわ、忘れてたけどトイレ…。
つまり男が並んであそこからあれが…。
もう、無理…。想像が追いつかないってゆーか、もうあまりの事態に意識を保っていることすら…。
「お、おい! 悠里!」
「し、しっかりして…!」
ああ兄貴、貴子、好巳、このまま先立つ不幸を許して…。
この生活には予想以上に無理があったみたい…。
「うう〜ん」
「良かった…目が覚めたみたい」
「おい、大丈夫か?」
ああ、何か似たような状況が前にもあったような…。
そうだ、あの時は目が覚めたら男の子になってたんだ。
今都合良く元に戻ってたら良かったんだけど、そうはいかないみたい。
その証拠に今あたしの目の前にいるのは貴子と兄貴じゃなく、貴明と環さん。
「あたし…」
「ごめんなさい…もう少し配慮が必要だったわね…。こちらに落ち度がありました」
「いえ、そんな…」
あれは全面的にあたしが悪いのに…。いや、むしろ全部事前に男のアレがどんなものか説明しておかなかった貴明のせい!
事情を知ってるんだからもう少し気を使ってもいいんじゃない!?
でも、人のせいにした所で今の状況が変わるわけでもないのよねぇ…。
「でも、これで貴方が雄二じゃないって確信が持てたわ。こんなことになって大変でしょうが、元に戻るまで私もタカ坊も全面的に協力しますから」
「はあ…」
何か返事をする気力も沸かない。もう大変とかそういう次元の話じゃない気がしてきた。
「申し訳ないけど、こうなってしまった以上貴方には暫く向坂雄二として生活してもらいます。でも、安心して。
タカ坊や私や幼馴染のこのみも全力で補助しますから。女の子に男の子の生活を強いるのも酷だと思うけど、
何とか元に戻る策が見つかるまでは家ではともかく、学校ではこの事態を隠し通してください」
「はい…」
ああやっぱりこの人兄貴の女版かも。こういう時、ほんとにしっかりしてる。頼りになる姉御って感じ。
美人でナイスバディなのにその上しっかり者なんて羨ましい。ずるい。
あたしとは大違い。同じ向坂の女なのに、環さんはどうしてこんなにも素敵な人なんだろう。
あたしもこうなりたかった。
ヤバ、何か情けなくて泣けてきた…。
「すみません、少し一人にして頂けますか…?」
「え、ええごめんなさい。こちらこそ長居をしてしまって。さ、行くわよ、タカ坊…」
「あ、ああ。とりあえず無理すんなよ」
そんなの言われなくても分かってるわ。
パタリ、と襖が閉まって部屋に一人取り残されると今まで堪えていた涙が急に溢れてきた。
何で? あたし、そんなに弱くないはず。
今までずっと貴子を支えてきたじゃない。
でもこの世界に貴子はいない。
こっちの兄貴は綺麗で聡明なお姉さんで、別にあたしがいなくても何一つ困らない。
この世界に、あたしを必要としてくれる人なんてどこにもいない。
あたし、本当にここに居る意味があるの?
環さんやあいつに迷惑かけてるだけじゃないの?
もし向こうの世界の貴子がこっちのあたしを気に入ったらあたしの居場所、本当にどこにもなくなる。
あたし、今まで貴子に必要とされてると思ったけど、本当は違う。
あたしが貴子を必要としてた。あたし、本当は貴子がいなきゃ何もできない。
どうしよう。今更こんなことに気付くなんて。
こんな弱いあたしなんていらないのに。
――明日からあたしの新しい生活が始まる。
でも、あたし、どうしたらいいのか分からない。
本当にこっちの世界で男の子として生きていけるの?
どうしよう、涙が止まらない。泣きたくなんてないのに。
もうどうしたらいいか分からない。
何であたしはこの体になっちゃったんだろう…。
>>708-714 悠里も悠里でキッツイ状況になってるな…
この深刻な孤独感疎外感からどうにかして抜け出すのが第一の課題か。
それにしても、雄二の方は自分(悠里ボディ)の裸見たとき平気だったのかね?(w
480KB超えたし、そろそろ新スレ立てる?
もう、口もきいてくれそうに無かった。
岡崎が僕を無視しているのは僕の責任だと思う。
僕があの状況に流されなければ。
ヤケになっていた岡崎を止めていれば。
そして、京にあの事がバレそうにならなければ。
いや、そもそも…僕が男じゃなければ…。
岡崎と、ずっと一緒にいられたのに…。
僕は後悔で埋め尽くされた気持ちのままふらりと外に出た。
「春原?」
どこかで聞いたような女の人の声に呼び止められた。
「春原だろう?どうかしたの?」
「芳野さんこそどうしたんスか…」
元カリスマMC。もともとは弟がファンだったんだけど、その美女っぷりに僕もファンになった人。
最近この街で見かけてサインをせがんだが、やはり引退後だしもらえなくて。
まぁとにかく、会ったら挨拶をするくらいの仲だ。
「私は客を迎えにきた。それよりも、私で良ければ話を聞くが」
不思議と考えるより先に口が動いていた。
「岡崎を…好きな人を傷つけちゃったんです。もう許してもらえないかも」
「岡崎…?」
芳野さんの表情が一瞬変わった気がした。
「芳野さん?どうかしましたか?」
「いや、何でもない…」
明らかに動揺している。僕、何かまずいことを言ったんだろうか?
「え、えっと…じゃあ、話聞いてくれて有難うございました」
これ以上芳野さんに迷惑をかけるわけにもいかない。
僕は芳野さんに軽く頭を下げて、その場を後にした。
少し歩いていると聞き慣れた男女の声が聞こえてきた。
「朋美、頼むから聞いてくれ」
京が岡崎を追い掛けてその手を引っ張っていた。
僕は慌てて建物の影に隠れる。
「…何よ」
岡崎の声が答える。
「オレはおまえがずっと好きだったんだ…」
「…私は…」
「陽平とは縁を切ったんだろ?もう、オレが身を引く理由はない」
「京…」
「朋美、好きだ…」
耳を塞ぎたかった。買い物袋がアスファルトに落ちる音。
「ん…」
重なる影…。胸が締め付けられる。
心が痛くて、耐えられなくて、僕は…逃げた。
ただ、がむしゃらに走る。
そして、考えは確信に変わる。
やっぱり、僕が男に生まれたのは間違いだったんだ。
岡崎を傷つけて。京の気持ちを潰して。
友達に戻りたい。友達でいい。僕が女だったら…!
718 :
すのぷ〜野郎:2005/07/25(月) 23:14:43 ID:llSngT5bO
今回は春原視点でお送りします。
ようやく書きたかった場面に近付いてきた…。
何この王道展開。GJ
>友達に戻りたい。友達でいい。僕が女だったら…!
かくして春原はモロッコへ…だったらイヤン
質問なんですがこのスレって同じ作品のSSでも
作者によって全くアナザーの世界ってのでも良いですか?
果てしなく続く青空と、降り注ぐ陽光の元、燦然と煌く紺碧の大海。
穏やかな波風と、遠くから流れてくるカモメの鳴き声。
豪華客船『白皇』は、太平洋上をのんびりと航海していた。
日々、中央ホールで開かれるダンスパーティも夜になるまでは開催されないので、それまで乗客達は自分の客室でくつろぐことになる。
中には、各地に設えた談話室等で、雑談に興じる者も数多くいた。
そして、ここでも……
「あーっ! ちょっとひろみ、私のケーキ食べたでしょっ!?」
「えー、知らないわよそんなの」
「このっ、ゆうまで! 待ちなさーい!!」
「ヤだよーだ!」
ある巨大談話室の内部で、女の子達の姦しい声が響いていた。
二大悪戯っ娘、折原ひろみと相沢ゆうのターゲットにされたのは、この中で一番手を出してはいけない気がするNo.1、岡崎朋美である。
美しい顔立ちに阿修羅の如く怒りを滲ませ、殺意の波動を撒き散らしながら追いかけっこをするその傍らでは、
「ちょっと、うざいから静かにしなさいよ……」
木田朱鷺乃がソファーをまるごと占領して寝っ転がりながら、眉根を寄せて文句を吐く。
ただ、船酔いでもしたのかその顔は真っ青で、あまり覇気は感じられない。
「あんまり暴れないで、カメラに映らないからっ!」
ハンディカムを片手に装備して録画しながら、三人に狙いをつけているのは藤田浩子。
ぶっきらぼうだが根は優しく、リーダーシップが取れているので、この集団の班長的存在と化している。
「ボク、目立つのはちょっと……」
那須牟祢は誰に言うでもない独り言と曖昧な笑顔を浮かべながら、浩子の背中側に回り込んでその場所を維持していた。
優秀なエージェントは、公の場に姿など現さないのである。
そんな涙ぐましい努力をする彼女を、
「何か変だよ、牟祢ちゃん……」
長瀬祐子が苦笑して眺めていた。
ティーカップの紅茶を一口啜りながら、ゆったりとした動きで視線を横にずらす。
そこには、
「……」
「……」
男が苦手な河野貴子と、唯一の男性メンバーである天沢郁巳が、かなりぎこちない感じで向かい合って座っていた。
貴子は顔を伏せ、チラチラと窺うように何度か郁巳に視線を這わせ、郁巳はかなり困った顔をして、明後日の方向に視線を逸らせつつ頭を掻いている。
そしてその隣、
「……」
同じく無言に、しかも無表情で、松浦亮子がボーっとしていた。
先程からピクリともしていないところを見ると、もしかしたら目を開けたまま眠っているのかもしれない。
そんな光景が、この談話室の中に広がっていた。
総勢十人。
全員が花も恥らう女子高生(一人除く)である。
事の発端は一ヶ月前、とあるテレビ番組で『豪華客船の旅にご招待』という企画が始まったのが最初である。
自分で葉書を出したもの、友人に勝手に葉書を出された者、多種多様な参加希望者の中で、見事に選ばれたのがこの十人だった。
企画内容としてはバラエティで、ダンスパーティの行われる豪華客船に何の予備知識もないまま放り込まれたら、という状況を視聴者が見て楽しむというものだ。
そんな訳で、どうせなら花があった方がいい、というプロデューサーの独断と偏見もあり、女子高生ばかりが選出された。
すぐ誰かに頼らないように、スタッフも誰一人として参加せず、カメラ撮影も彼女達に任せるという徹底振りである。
本当に最低限の知識とドレス、後は各自の用意した荷物だけを持って、乗船と相成った。
今日で三日目。
最初は右往左往していた彼女達も、最近は落ち着きを見せ始め、こうして昼時のまったりとした時間を過ごしている。
……このまま、何事もなく終わる。
そう信じていた者は、果たして何人いたのだろうか。
『船内の皆様にご案内致します』
三時を過ぎた辺りで、突如室内スピーカーから、放送がかかった。
それまでの喧騒が嘘だったかのようにピタリと静まり、全員が顔を上げてスピーカーを注視する中、放送は続けられる。
『ただいま、原因不明のトラブル発生につき、止む無く船体を停止させております。皆様方に置かれましては、予めご了承くださるよう、お願い申し上げます。なお、トラブルは一時的なものであり、すぐに再稼動することを、お約束致します』
「……船体が、停止?」
一人呟いたゆうが備え付けの窓から外を覗き、ひろみも後ろからそれに続く。
確かに、『白皇号』はその動きを止め、海上に静かに佇んでいた。
「沈んだりしないでしょうね」
「怖いこと言わないでよ……」
朋美がポツリと呟いた言葉に、浩子が呆れた風に返す。
二人共、沈むなんてこれっぽっちも考えていない顔だ。
「原因不明のトラブルって何かな?」
「さぁ……判別つかないわね」
部屋の片隅では、祐子と貴子がひそひそと雑談を交わしていた。
こちらは心持ち、不安そうな顔をしている。
「揺れないならOKだわ……」
「……」
逆に朱鷺乃は先程よりも安らかな顔で寝相の修正を行なっていた。
その隣で、濡れタオルを持った亮子が、朱鷺乃の介抱を行なっている。
「まさか……でも……」
牟祢は部屋の扉の横に陣取り、顎に手を添えて考えに没頭していた。
エージェントである自分を狙った事件なのではないか、それを疑っているのだ。
「……ふぅ」
そして。
ソファに腰掛けながら、天沢郁巳は天を仰いで深い溜め息を吐いた。
「どうして、こう立て続けにトラブルが起きるかなぁ……」
そもそも、この女性だらけの集団の中で唯一の男性である郁巳の参加経緯について話さねばなるまい。
といっても理由は至極簡単簡潔、写真が同封されていなかったので、この企画のプロデューサーが『郁巳(いくみ)』という名前を見て、女性だと勘違いしてしまったのだ。
最初に十人が集められた時、何故か紛れ込んでいた男である郁巳を最初は降ろそうかと考えられた(本人もそれを望んだ)が、これはこれで面白そう、という安易な理由により、こうして参加者として乗船している。
人は彼のハーレム的状況を幸せだと思い、やっかむだろうか。否。何だか個性的で無限のエネルギーに満ち溢れている乙女達に囲まれて、郁巳はすっかり消耗しきっていた。
ひろみやゆう等とは簡単に打ち解けたが、他の女性陣とは微妙に距離を置いているし、特に二大女王の朋美と朱鷺乃とは、あまり会話をする機会が起きないし、そもそもする気がない。
そして一番の問題は、先程向かい合って座っていた、男性不信の気がある少女、河野貴子である。
更にこのトラブル。何か疫病神でも憑いてるのか、と頭の中に麗しい女魔王閣下の姿を思い浮かべつつ、郁巳はもう一度深い溜め息を洩らした。
ちなみに、相部屋なのは男と一緒に寝ることをまったく気にしないひろみと亮子。
それはそれで悲しいものだった。
首、吊ってきますから。
浩子と貴子が一緒にいるのは、きっと不思議素敵夢時空なのです……
ていうか、当方Routesと東鳩2やったことありませんから……残念……っ!
待て待て、完結を希望する。
エスポワール並のバトルが繰り広げられたら楽しそう。
>>726も
>>728もGJ!
ところでもう500kb近いし新スレ立てようとしたけどダメだった…
誰か頼む。
・・・・しまった。 スレ数更新するの忘れてた。
ホントなら18スレだorz
ホントごめんなさい。邪魔なようなら削除して新スレ立て直して下さい。
スレたてとかなれないことするんじゃなかった。反省してまふ。。。
いやいや乙だよ
>>731 数字は別にいいんじゃね?
洋上の船…ここから鎖に持っていくのを期待してもいいだろうか…
新スレが即死回避したら埋めに恒例反転最萌投票でもするかね
_| ̄|○ ←反転集結adult編でもyoung編でも忘れられてる城戸芳美
いや別に責めてる訳じゃないよ?
>>726 続きでちゃんと出してくれれば無問題w
SSのネタ思いついたけど
チキンなんで投下できない
>>737 出すだけ出してみ。
職人の気が向けば書いてもらえるぞ
>>737 ネタだけならそう構える事もないだろう
SSならちと勇気が要るけどな
∧__∧ =ャ=ャ
/ \ =ャ=ャ =ャ=ャ
>>595 >>683 | (゚) (。) | =ャ=ャ
>>692 >>611 |┌ ⊂⊃ ┐| =ャ =ャ=ャ=ャ
>>740 | \___/ | =ャ=ャ =ャ =ャ
\ \|/ / =ャ=ャ =ャ=ャ
595人気が羨ましい
いや、明らかに同一の粘着だろ‥‥
次でスレスト↓
うぇ、よく考えたら512kで落ちるんだったorz
そろそろ旧作の反転キャラも出張ってきてほしい‥‥
GJ!
元から女の春原と只の岡崎物って何でこんなに少ないんだろう
さて、御堂がちっちゃくなって岩切と戯れていたとき。
蝉枝は坂神家の居間で「てれびじょん」とにらめっこをしていた。
ソファにゆったりと身を沈め、身体にはちゃんと休息を取らせているが、
そうしている間にも現代社会に関する情報の収集には余念がない。
「おお……本当に宇宙空間が無重力だったとは……」
「それでは蝉枝さん、今日はこのあたりで失礼しますね」
「うむ、道中気をつけろ」
「ふむ……大相撲も国際化の時代なのか……変わったな」
「あ、蝉枝。先にお風呂入ってるね」
「承知した」
「それでは、今日のMHKニュース7、これで失礼致します」
眼鏡を掛けた男性アナウンサーが画面に向かって一礼をして、
そうしてお目当てのニュース番組は終了した。
(しかし…情報機関も随分と発達したものだ。)
蝉枝は、昔のことを少しだけ思い出し、目を閉じた。
耳を済ませば、今にもあのとき憧れた香水の宣伝歌がラジオから…