つ【ゲンジ丸】
ここで大穴、タカ坊の両親が休暇で帰ってくるとか。
ダニエルをおいて他にない
ここで菜々子ちゃんの登場
先 代 委 員 長 を忘れるな
ミルf(あqwsでrftgyふじこl
超久々に投下してみる。
誤字脱字があったら、ご勘弁のほどを。
以下、12レスほど続きます。
路地を曲がればダッシュはそこまで。後はチンタラ歩いて商店街へと向かった。白い太腿やふくらはぎを露わ
にしてママチャリのペダルを漕ぎつつ家路に急ぐ女子高校生どもを品定めしながら、俺は往く。声をかけてみた
いなぁとほんの少しでも思った女子生徒は、寺女が二名、うちの生徒が一名、西高が一名、市立商業が二名。特
に、市立商業のツインテールの娘は良かったね。その娘、街灯の下にいたから顔がバッチリ見えた。色白で髪は
ほんのり茶色がかっていて、胸もそこそこあって、背も姉貴くらいはありそうだった。そして笑顔が可愛いんだ
わ、これが。その娘がピンク色のケータイで誰かと喋っていなかったら、現在の任務を放棄してご挨拶に行った
ね、絶対。……でも、ケータイの相手が彼氏だったら? そう思っちまうと、途端にテンションが落ちてしまう
ガラス細工なハートの俺。貴明にチキンを伝染されちまったか!? 畜生め。
まあいいさ。二兎を追う者は一兎をも得ず、ってな。俺の目標は、あくまで、あの双子ちゃんよ。サヨナラ、
市商のツインテールちゃん。惰弱な貴明からあの二人を……って、待て。俺、二兎を追ってるじゃねえか!?
ならば、答えは至極簡単。ドラフト一位の指名候補、姫百合瑠璃ちゃんに猛アタック。これ。今は、逃げ場を探
しているだけの彼女を、どうにかして、心の底から「雄二お兄ちゃん好き好きー」な方向へ持っていかないと。
無論、彼女の心を奪うだけではダメ。珊瑚ちゃんも俺を恨むことなどない、すっきりしたカタチでないといけな
い。でも、どうする? 言うほどイージーじゃねえぞ、これって。
でもよ、誰からも恨まれることなく誰かの心を奪うなんて、出来るんだろうか。出来ないんだろうな。そうい
うものなんだろうな。だから有史以来、痴情のもつれでの人殺しが絶えないんじゃないのか。
俺も周囲から見れば、まだまだ伸び盛りのガキ。人の痛みを知ってオトナになるための踊り場に、俺は居る。
ウチに棲息しているボス猫だかメスゴリラもそれを見透かしていやがるから、俺に対して何かと思わせぶりな態
度を取るのだろうな。何か悔しいぞ。畜生め。
とにかく。今は、『雄二お兄ちゃん好き好き大好き☆めっちゃ愛してる大作戦』を成就させること。ただそれ
オンリー。その後のことは、考えなくていい。とりあえず、今は、な。
俺は、貴明とは違うんだ。このみと同じ布団でおねんねして、チンポが震度1程度も反応しないインポな貴明
とは違うんだ。やるしかない。迷っちゃいけない。姉貴が俺を見ている。男になれるかどうか、俺を見ている。
試していやがる。畜生め。だったら、見せてやろうじゃねえか。いつまでも、ハナ垂れ小僧扱いはゴメンだ。
やや薄暗い商店街の街灯には、『さくら通り商店街』と書かれた垂れ幕が釣り下げられている。この商店街、
俺が餓鬼の頃、そう、少なくとも小学校四年くらいの頃までは、もっと人通りがあって、肉屋魚屋八百屋豆腐屋
パン屋電気屋その他諸々の店舗のオッサンオバハン達にも活気があって、姉貴や家政婦さんにお使いを頼まれて
足を踏み入れるたんびに威勢のよい声が響いていたものなんだが、今は、悪いが、見る影もねえや。シャッター
が閉まったままの空き店舗が目立ち、色とりどりのスプレーで意味不明な記号だか文字が書き殴られている姿は
哀れみを誘う。俺が餓鬼の頃に比べて、この近辺の人口は増えているはずなんだが、近辺の再開発ビルに入って
いる店舗や駅前の大型スーパーマーケット、そこかしこに点在するコンビニその他の巨大資本に客を奪われてい
ったわけだ。
俺が幼稚園の頃にミニカーを買った玩具屋は、今ではシャッターが降りたまんまで店主は行方知らず。小学生
の頃にガンガルのプラモデルを買った模型店は、休業した後でなぜか居酒屋になり、それも一年保たずに今度は
コンビニになり、それは三年ほど続いたがやはり潰れ、今は子供向けのパソコン教室になっている。でも、外か
ら見る限り生徒の数はまばらであって、潰れるのは時間の問題だろうな。
この商店街で盛り上がるのは、年に一度の七夕祭りくらいなんだが、近年は青年会議所の連中が盛り上げよう
と鼻息荒く意気込みすぎてか迷走し、何の脈絡もなくヨサコイ踊り大会が始まったり、リオのカーニバルに出て
くるようなダンサーたちが会場中で踊り狂ったりしている。俺はな、射的で欲しくもない縫いぐるみをゲットし
てこのみにくれてやるとか、どっちが先に屋台を征服するかを貴明と競い合い、どんどん焼きとか焼き烏賊とか
チョコバナナを腹を壊すくらいに食いまくれれば、それでよかったんだ。どこで間違ってしまったんだろうな、
俺たちの商店街は。俺ならこうする、という考えはあるけれど。例えば、どうせ踊るのなら、織り姫と彦星に扮
した男女ペアで……。
……俺なら……か。
俺が自分の将来について考えたとき、やはり地元の有力者の子弟ということで、親父の事業(これがまたよく
わからないんだ。手前らの仕事のことは、一切俺たちには言わないからな)を引き継ぎつつ、ゆくゆくは地元の
リーダーとして市議会議員の候補に擁立されたりとか、色々と面倒くさい人生が待っているんだろう。そんなこ
と、姉貴の方が、俺よりもずっと、百万倍くらい向いているんだけどな。『向坂』という名前しかないんだ、今
の俺には。能無し二世タレントや、才能がないのに親父のコネでドラフトで獲ってもらう野球選手みたいなもの
なんだ。そして、そういうイヤらしい奴らは、俺は反吐が出るほど嫌いなんだ。俺は、動物園のパンダかコアラ
にはなりたくないんだ。俺は、そういう連中とは違うんだ。違うと思いたい。違うと、思わせてくれ。
できることなら、家の呪縛から逃れたい。大学だって、ここから通える首都圏の大学じゃなくてさ、遠く離れ
た関西の大学に行きたいんだ。関西だったら、双子ちゃんのことを考えれば丁度いいだろう。関西の出身なんだ
よな、あの二人は? そして、あわよくば、そこに生活の基盤を築いてしまいたい。とりあえずその第一歩とし
て、応援するプロ野球チームを、巨人から阪神に乗り換えておいた。職業野球といえば巨人、巨人こそ職業野球
の最高峰と未だに信じて疑わない姉貴には知られないように、こっそりとな。巨人が阪神にボコられて機嫌が悪
い姉貴を慰めつつ、心の中では「勝ったー勝ったーまた勝ったー、弱い巨人にまた勝ったー、地下鉄電車ではよ
帰れー」と叫び、脳内では六甲颪を三番までキッチリ唄う。もう準備は万端。あとはちょっと本気で勉強して、
あっちの名の知れた大学に潜り込めばいい。理由はどうとでも付けられる。こっちに戻ってきた姉貴みたいに。
姉貴に出来て、俺に出来ないはずはない、はずだ。俺は、チキンじゃない、チキンじゃない。ここから尻尾を巻
いて逃げ出す、エスケープじゃないんだ。俺に合った、より良い人生を求めてのエクソダスなんだ、それは。
でも、と俺は考えてしまう。俺は、将来何をしたいんだろう? 何が出来るんだろう? 俺に合った職業って
何だろう? 出来ることって? コンビニのレジ打ち? エロ雑誌の編集者? パチ屋の店員? ポン引き?
それとも、姫百合姉妹の、ヒモ?
そこまで考えたところで、俺は唾を吐き、ビールの空き缶を蹴っ飛ばした。空き缶は英会話教室の看板に当た
って跳ね返り、カラランと再び地面に転がった。俺を咎める者など、誰もいない。たとえ空き店舗にトラックで
突っ込んだところで、このわびしい商店街では、何事もなかったかのように、八百屋や魚屋のオッサンが虚ろな
目で、ええらっしゃいませぇえぇらっしゃいませえゃすいょやすいよぉーと、選挙カーみたいに連呼しているだ
けなんだろうよ、きっと。
普段は行かない酒屋で、首尾良く『山春もろみ醤油』の2リットル瓶と料理酒をゲットした。『山春もろみ醤
油』は5000円もしやがる。2リットルで5000円だぞ。以前、貴明にそれを話したら、「お前の家には、
海原○山でも住んでいるのか?」と言われたものだ。ウチにはさすがに海原○山はいないが、エサの味にはやた
らうるさいメスゴリラを飼っているから、似たようなものか。こんなのを買うのは、ウチみたいな金が余ってい
る家か、料亭くらいだろうな。畜生め。
任務を果たした俺は、意気揚々と帰途につこうとしたのだが、ここでちょっとした用事を思い出した。
ガムを切らしていたのを忘れていたんだ。ああ、どうして今日の帰りにコンビニで買っておかなかったんだ。
これも修学旅行の会合の時間が押したせいだ、あの笹森とかいう変な女のせいだ、畜生め、などと毒づきつつ、
ここから一番近いスーパーマーケットへ行くことにした。重い瓶を二本も抱えて、かったるいけど仕方がない。
ガムがなければ、家の中でウダウダ過ごしているとき、口の中が寂しくてたまらないんだ。
ガムならなんでもいいってわけじゃねえ。俺が愛してやまないのは、「キチリッチュ」フルーティーミントの
ボトルタイプだ。俺にとっては「キチリッチュ」以外はガムじゃねえ。ただの味の付いたゴム製品。ゴムだぜ、
ゴム。想像してみろ、輪ゴムやコンドームやジェット風船なんか食えるか? 食えねえだろう? 俺に「キチリ
ッチュ」以外の、本当にゴムみたいな二流メーカーのガムを食わせてみろ。「このガムを作ったのは誰だぁ!」
と菓子会社に乗り込んでいってやるからな。俺はマジだぜ。畜生め。
スーパーマーケット(とはいえチェーン店ではなく、個人レベルの小規模な店だ)に着く。ああ、瓶が重い。
この商店街には、荷物の一時預かり場所くらいねえのか。ねえんだろうな、聞いたことがないもの。だいたい、
この商店街には駐輪場すらロクにない。そこかしこに放置された錆びた自転車が、商店街の寂しさを増幅させて
いる。ここから一番近い駐輪場が、ここから徒歩五分の駅のガード下ってどういうことだ。あのな、需要がない
とか、そんなのは言い訳だ。こんな体たらくだから、みんなは大きな買い物などする気にならず、車でスイスイ
行ける量販店に客を奪われていくんだ。そういうことは、誰かが指摘してやらなきゃならない。畜生め。
でも、このスーパーは、レジの女の子が可愛いから、ちょっとだけ許そう。店主が面食いでさ、俺と趣味が合
うんだ。やっぱ、レジは男には打ってほしくないね。やっぱり、可愛い女の子が「いらっしゃいませぇ」とか
「ありがとうございましたあ」と言ってくれないとね。
スーパーに乗り込み、首尾良く「キチリッチュ」のボトルをゲット。さあ、どこのレジに並ぼうかな、などと
レジの女の子を品定めしていたところ、レジ近くの特売品売場に、一際目立つ“女の子”が立っていたのに気付
いた。店員さん? いや、違う。髪は鮮やかなブルーのドールヘアー、耳には銀色のアンテナみたいな物体がく
っついていて、顔立ちはちょっと憂いを湛えているように見えるがかなりの美少女、そして白と紺のツートンカ
ラーのメイド服を着ている。ああ、間違いない。あれはメイドロボだ。でも、あんなモデルは知らないぞ。新型
か? それとも、どこぞの金持ちがカスタマイズした特注モデルか?
おおっと、丁度近くに店主がいた。早速捕まえて、レッツ聞き込み。ゴーゴー。
「なあなぁ、おいちゃん。あのメイドロボ風の女の子さぁ、最近よく来るの? それとも……買ったのかい?」
「メイドロボ買う余裕なんざぁ、ありゃしねえよ、ぼっちゃん。もちろん、お客さんだよ」
ここの店主はいい人なんだが、いつまでも俺のことを「ぼっちゃん」と呼ぶんだよな。人前ではやめてほしい
んだがなぁ。恥ずかしいから。
「んーあー、あのメイドロボさんね、ここ最近だけどね、来るよ、毎日のように。でもよぉ、それがどうしたの
さ、ぼっちゃん。気になるのかい?」
「いや、見慣れないタイプだからさ、つい、な……」
「んーあー、俺も見たことねえし知らねえよ。見た感じは、四菱インダストリーやジャストエンタープライズ製
じゃなくて来栖川っぽいけどな。実はな、俺も気になってさ、ちょっと声掛けてみたわけよ、ぼっちゃん」
「そこんとこ詳しく」
「ああ、この近所の高級マンションにな、居候しているとか、なんとか……ああ、ボクたち、それ散らべちゃあ
ダメだよぉ……」
店主は、売り物のお菓子を散らかしているお子様たちの方へ慌てて行ってしまった。歪んだゆとり教育の生み
出した恥知らずな餓鬼どものせいで、話を聞き損なったじゃねえか。畜生め。ゆとり教育クソクラエだ。
再び俺は“彼女”に目をやった。“彼女”はまだ、どこか憂いを湛えた瞳のまま、特売品売場に佇んでいた。
今日の特売品は、醤油だった。1リットルボトルで99円か。『山春もろみ醤油』とは、えらい違いだな。醤油
の山の前で、“彼女”は何を迷っているというのだろう。賞味期限とか、気にしているのか?
「なあ。どれを選んでも、おんなじだぜ?」
俺は思い切って“彼女”に声をかけた。
「……本当に、同じなんでしょうか?」
“彼女”は俺を見ずに、そうつぶやいた。
「どういうことだい、そりゃ? 同じ工場で同じように瓶詰めしているんだから、同じに決まっているさ」
「でも、私の作る料理は……違うんです。る……いえ……ご主人様と同じレシピで作っても、同じ材料を使って
も、ご主人様の料理とは、同じ味には、ならないんです……それどころか……」
「そりゃあ、当然だよ。俺には姉貴がいるけどさ、姉貴が作る肉じゃがと、俺が作る肉じゃがでは、味が違って
当然だぜ?」
まあ、俺は、肉じゃがなんか作れないんだけどな。モノの例えってヤツだ。
「君は、ご主人様とは違うんだからさ、味が違ったって仕方ないじゃないか。そのご主人様が、君の知らない隠
し味を使っているかもしれないじゃないか」
「……」
“彼女”は何も言わずに、醤油の山を見つめたまま、俺の話を聞いている。
それにしても、話し方といい、態度といい、メイドロボらしくない娘だな。俺はさらに続けた。
「君がどっかのチェーン店、例えばラーメン屋で働いていてさ、よその店と同じ味のとんこつラーメンを作らな
ければならなくて、それで出来ないのなら怒られても仕方がないけどさ、そういうわけじゃあないんだろう?」
「でも……私がいくらビーフシチューを作っても、ハンバーグを作っても、ご主人様は『こんなん、見てくれだ
けの蝋細工と一緒や、こんなもん食い物と違うわ』と立腹されて……未だに、全部召し上がっていただいたこと
はありませんし、時には、箸さえつけていただけないことも……」
「ひでぇよな、そいつは……」
俺は呆れて、つぶやいた。この娘のご主人様は、美食倶楽部の会員ですか?
その時、“彼女”は初めて俺を見た。
“彼女”の瞳を見て、俺はたじろいだ。困惑した。“彼女”は明らかに怒っていた。ロボットが怒るのかよ?
それ自体、俺には信じられない光景だった。
「……ご主人様は、酷くも悪くもありません! 悪いのは……ご主人様の期待に応えられない私の方です!」
“彼女”は絞り出すようにそう言うと、俺から目を切り、ツカツカとレジへと向かっていった。オバサンの群
れはモーゼに割られる海のように、“彼女”を避けるように道を開ける。
「おい、待ちなよ!」
俺はとっさに叫んだ。周囲のオバサンや若奥様たちが、一斉に俺に注目した。
「……何でしょうか!?」
“彼女”は怒気を含んだ声で、振り返りもせずにそう言った。
「醤油、買わねえのかよ!?」
“彼女”の買い物かごには、買おうとしていたはずの醤油が入っていなかったのだ。
「……」
“彼女”は歩みを止めると、気恥ずかしそうな様子で俺の元へ戻ってきた。
心なしか、頬に赤みが差しているように見えた。可愛いな。素直にそう思った。
「さっきはゴメンな。悪気はなかったんだ」
俺は“彼女”の耳元で、こっそり謝った。
「……もう、いいんです」
“彼女”は醤油をかごに放りこみながら、ボソッと言った。
俺は“彼女”の買い物かごを覗き込んだ。豚肉の切り身の入ったパックを見て、気付いたことがあった。
「あと一つ、教えてやるよ」
俺は店主に聞こえないように、さらに小声で言った。
“彼女”は鬱陶しそうに俺を見た。
「この豚の切り身な、下にでっかい脂身が隠してあるぞ」
「どうして、そう言えるんですか?」
“彼女”も空気を読んで、小声で聞き返した。
「見てくれのいいヤツを選んだだろう? この肉、脂肪が少なめの綺麗な赤身に見えるよなぁ」
俺は、パックをツンツンつつきながら言った。
「それが一番良さそうに見えましたから。良い物を選ぶのは、消費者として当然だと思いますけど」
「良さそうなヤツが、どうしてこの時間まで売れ残っていると思う?」
俺は自分の腕時計を見せながら言った。時間は午後6時53分。専業主婦の皆さんなら、とっくに夕食の仕度
をしている時間だ。
「……どうしてでしょう?」
「専業主婦の皆さんはみんな、これがフェイクだってわかっているからさ。まぁ、お約束みたいなものだな」
これは、家政婦さんに聞いたことの受け売りだ。俺も旧家の嫡男とはいえ、小学生の頃はお使いによく行かさ
れたものだ。社会勉強ってやつだな。それで、一番見かけが良さそうな肉を買ってきたら、家政婦さんが呆れた
ように口を酸っぱくして、俺に色々とレクチャーするわけだ。「“ぼん”は人がいいですからねぇ、気ぃつけな
さいよぉ」てな具合に。で、実際にパックの中を見てみると、どうだい。赤身の下には、脂身の塊みたいなクズ
肉しかないわけだ。そいつを見たとき、俺は思わず笑っちまったよ。
ああ、“ぼん”ってのは、俺のことな。家政婦さんは今でも、俺と二人きりになると、俺のことを“ぼん”と
呼ぶ。家政婦さんにとって、一生、俺は“ぼん”なんだろうな。
「昔はどうだったか私にはわかりませんが、この時代にそんなことをしていたら、お店は信用を失ってしまい、
あっと言う間に廃業へと追い込まれてしまうはずです。私は、お店を信じます」
メイドロボの“彼女”は、俺の目をしっかり見て、気丈に言った。純粋だねぇ。
「そうかい。まぁ、無理強いはしねえさ」
“彼女”は俺に一礼すると、レジに向かっていった。
「がんばれよ、メイドさん。一生懸命やれば、いつかきっと、ご主人様も認めてくれるさ!」
俺がそう激励すると、“彼女”は少し振り返り、微笑みを返してくれた。
ちょっとお人好しだけど、頑張る“女の子”が見せた天使の微笑み。俺の欲望と謀略にまみれたハートが、少
しだけ洗われた、そんな気がした。
哀しみ、怒り、少し照れて、そして微笑む、感情が豊かな可愛いメイドロボちゃん。また、いつか逢いたいも
のだ。そういえば、“彼女”の名前は、なんて言うんだろう。それだけでも、訊いておけばよかったかな?
俺はガムの勘定を済ませ、店を出た。メイドロボちゃんの笑顔を見た後では、いつもは可愛いと思って見てい
たレジの姉ちゃんも、どうということはない、凡庸な女に見えた。行きがけに見た市商のツインテールの娘も、
どんな顔だったのか思い出せないや。
「あのぅ……」
家に戻ろうとしたとき、誰かが俺に声をかけてきた。
声の主に振り返れば、そこには“彼女”が立っていた。
「おう、さっきのメイドさんか。どうした? 何か、買い忘れでもしたのか?」
「いえ、その……先程は、はしたなくも大声を上げてしまい、申し訳ありませんでした。せっかく、心配してい
ただいたのに、恥をかかせてしまったみたいで……」
可愛いメイドさんは頭を下げて、俺に謝罪している。まぁ、俺も無意識とはいえ、“彼女”を傷つけるような
発言をしてしまったわけだし、そこまで卑屈にならなくってもいいのにな。
「いいっていいって。それより……俺、向坂雄二ってんだ」
俺は先手必勝、自己紹介。相手がロボットだろうが、このまま名乗らずに別れるのも気持ち悪いし、“彼女”
の名前も訊きたいからな。
「桜坂公園の通りを左折して、その坂道の突き当たりにある、共学の高校って言えばわかるかなぁ? そこに通
ってるんだよ」
「……え、そうなんですか?」
“彼女”はそう言った後、小声で「一緒なんだ……」とつぶやいたが、何の事やら。とにかく、俺は続けた。
「この商店街は、俺の庭みたいなものだからさ、困ったことがあったら、いつでも俺に訊いてくれよな。人間で
あろうがなかろうが、君みたいな可愛い娘なら全然問題ナッシングだから。幽霊やバケモノの悩みだって聞いた
ことがあるんだぜ、俺は」
ウチに、幽霊やゴリラのようなバケモノがいるのは事実だからな。嘘は言ってないぜ? 幽霊、俺見たことあ
るよ? 金縛りにあったことだって、一度や二度じゃないぜ? 明治維新の前から増改築を繰り返して、あそこ
に建っている屋敷だからな。幽霊や妖怪の二匹や三匹棲みついていたって、これっぽっちもおかしくないんだ。
親父もいつか冗談まじりに言っていた。戦災を奇跡的に免れたのも、そいつらのおかげじゃないかって。
「私……HMX−17a、通称“イルファ”と申します。また、お目に掛かることがありましたら、その時はま
た……色々とご教授ください」
俺に向かってご丁寧に頭を下げている純粋なイルファちゃん。偏屈なご主人様にゴミクズのように罵倒されよ
うとも、真摯な気持ちで尽くそうとする、純真なイルファちゃん。人間よりもヒトらしい、聖女のような娘だ。
汚れを知らぬイルファちゃんの澄み切った双眸が、再び俺を捉えた。その可憐な眼差しは、俺の中に巣くって
いる邪念怨念肉欲征服欲その他諸々の邪な思念を洗い流すどころか、ジャンピングニーパッドを喰らわせ、蹴破
った。俺は、KOされた。実に見事だ。俺は、涙が出そうになった。声を上げてわんわんと泣きたくなった。で
も、そこをグッとこらえた。この場に、涙は似合わないから。
「……ああ、待った待った!」
去って行くイルファちゃんを、俺は強引に呼び止めた。
「これ、持っていきなよ!」
俺は『山春もろみ醤油』を、彼女に差し出した。
「いい料理を作りたかったら、まずは材料からだ。こいつはきくぜぇ〜〜〜! きっとご主人様も大満足だ!」
「もろみ醤油……? でも、お醤油は買いましたし……それに、これ、随分と高そうに見えますけど……」
「高い? そんなもん、大したことねえって、ホントに。よし、君の醤油と物々交換といこうじゃないか。それ
なら、文句ねえだろ? ほらほらっ!」
俺は彼女の買い物かごから99円の醤油を引ったくり、『山春もろみ醤油』を強引に押し込んだ。
「はい、まいどありぃ!」
俺は終始笑顔、イルファちゃんはちょっと困り顔。
「……本当に、よろしいのですか? ご主人様には、何て説明すれば良いのか……」
「友達に貰ったって言えばいいじゃねえか。メイドさんに友達がいちゃ、おかしいかい? そうだ、説明に困っ
たら、俺の名前を出せばいいよ。ここら一帯で、俺の名を知らないヤツはモグリだぜ」
少しの間押し問答になったが、結局イルファちゃんは根負けして、またご丁寧に頭を下げて去っていった。
ガンバレ、俺の理想のメイドさん、いや、聖なる乙女よ。辛くなったら、いつでも俺の胸に飛び込んできな。
ああ、心が温かくなったぜ……。
はうっ!
急激に、俺のハートの温度は氷点下に達した。この手元に残った99円の醤油について、姉貴や家政婦さんに
どう説明したらいいんだろうね? 『山春もろみ醤油』って買い直せないかなぁと思って、己の財布を見る。所
持金は……1531円。はい、無理。うっひょう。
こうなれば、もう仕方がない。これしかなかったと言って、開き直ろう。開き直れ。開き直れば。どうにかな
る、かな? ならねえだろうな、畜生め。さぁ。雄二くん、ファイト……ファイ、ト……だよっ……。
この十数分後、俺は姉貴の渾身のアイアンクローを喰らったあげく、来月の小遣いを十分の一に削られるハメ
になったのだが、そいつはまた、別の話な。うっひょう。
以上です。それではまた、気分が乗った時に。
うっひょう。
おかえりー!
まってたよー!
懐かしいな。。。GJ!
なんかところどころから顔を出す佐藤大輔テイストがたまらなく美味。
美味、いわゆる( ゚Д゚)ウマー
GJです!
連休も明けたことだし・・・・
Tender Heartマダー?(・∀・)
GJ
よ〜しみんな、せかすぞ〜(^o^)/
せ〜のっ!
巫女みこナース!
おーい、だれか巫女さんと看護婦さんが出てくるTH2SSを書いてやってくれ……
神社が寂れすぎて巫女いねーじゃんか
ブルマで練習してる格闘家とか
弱小サークルの部長とか
筋肉爺とツンデレ娘ならいるかも
595 :
ぼのぼの:2005/07/23(土) 11:41:07 ID:9RZAdXE40
カンゴフって・・・いつの人間?
「看護士」じゃ萌えねーからだろ
597 :
帰り道:2005/07/23(土) 23:24:53 ID:N5i478JB0
「はぁ…」
小さくため息をつく。
今日も一人で夕暮れの坂道を降りていく。
なにも約束なんかしなくても、校門のところで待ち合わせて、一緒に帰るのがすごく自然だった。
それは今まで当たり前のことすぎて、なんとも思っていなかったのに。
こうして一人で帰っていると、どれだけ彼が隣にいた時間が幸せだったかを、痛感する。
でも、実際にはゲンジツは厳しい。もう、今日で4日連続だよ。一人で帰るの。
校門で彼を待っている時間は、日増しに5分、10分と長くなっていた。
昨日はさすがに日も落ちてしまい、お母さんに怒られたし。
今日は昨日よりは早めに切り上げたといっても、昨日の今日の話なら、またお母さんの雷が落ちるかもしれない。
でもね、待つのをやめちゃったら…もうきっと、彼は手の届かないところにいってしまう。
そしてそれは物心がついてからずっとそばにいた、彼への想いを少しでも分かって欲しくて続けていること。
好き、なんだもん。妹としてしか見られていないって分かっていても、その気持ちは変えようがないんだもん。
思わず続いて出そうになったため息を飲み込んだ拍子に、一人事が口から溢れてしまった。
「タカくん、明日は一緒に帰ってくれるよね…」
口から出た思いに、思わず涙ぐみそうになる。
でも、まだ大丈夫だよ、まだ…
明日の朝にはまた元気な笑顔でいないと、そう思って一歩、強く道を駆け出す。
と、そのとき、ペコン…!と足元から間の抜けた音がする。
「あ…あれっ!?あわわっ!」
今日のお母さんの雷は、当社比2倍以上になりそうだった。
598 :
↑作者:2005/07/23(土) 23:25:27 ID:N5i478JB0
誰もイナイ、初心者が投下するなら今のうち…
巫女さんも看護士さんもなくてゴメンナサイ。
タカくんの呼称がモノローグ内で彼にしているのは仕様です。
このみの頭の中まで電波色にしたくなかったので…
靴底がはがれるエピソードってゲーム開始2日目なのが、細かな矛盾。
文章の体裁のため、ちょっとそこだけは見逃してください…
「たかあきくん、学校の裏山に神社があるの、知ってる?」
「うん、まあ。行ったことはほとんど無いけど」
確か小さな鳥居にお社と賽銭箱があるだけの寂れたとこだった。格闘系の同好会が一時期
練習場所にしていたという話も聞いたことがあるけど、実際にあそこで誰かが集まっている
姿を見たことはない。活動停止になったとも、大きな場所に移ったとも噂では聞くのだけど。
「うん。でもね、実は由緒のある場所らしくて、10年に一度大きな神社から人が来て神事を
行うらしいの。保存会の人たちもいるんですよ〜」
「へえ。でも、たしかに人を見ない割にはいつも綺麗に掃除されてるよね」
「うんうん。今日先生の所にきてた保存会のおじいさんに話を聞いたら、あそこの神様は家内
安全、交通安全、勝利祈願、安産祈願、健康回復、恋愛成就、なんでも叶えてくれる偉い神様
なんだって」
「……そりゃまた」
神様の世界にも器用貧乏っているんだなあ。
「で、その凄い神社がどうしたの」
「あっ、そうそうそうなのよ〜! それでねたかあきくん。その保存会の人たちが言うには今年が
その10年に一度のお祭りがある年らしくて、すぐそばにあるこの学校にも協力をお願いしに来ら
れたそうなんですけど……」
「なんとなく話はわかった。つまり――」
言いつつ俺はテーブルの上に置かれた風呂敷包みを指先でつついた。
「学校側は――というか対応した先生が、愛佳を生贄にさしだした、と」
「推薦した、と言って欲しいなぁ」
困ったように笑いながら、風呂敷をめくってもう一度中身を確認する愛佳。
そこにあるのは、汚れひとつない白と目に鮮やかな朱の、時代がかった巫女服だった。
「いちおう、学業優秀、性格温和、容姿端麗というふれこみで先生は紹介してくれたんだから」
腰に手を当てて、ちょっぴり得意げな顔をする愛佳だったけど
「……で、おだてられてほいほいっとその話を受けちゃったわけか」
と俺がつっこむと、その澄まし顔は一瞬でへにゃっと泣き顔になる。
「ううう……たかあきくん意地悪……」
「ごめんごめん。でも、確かにまあ適役だと思うな。巫女服、似合うとおもうよ」
「そ、そうかなぁ」
巫女服の上着を制服の胸元にあててくるりと回る愛佳。
うん、やっぱり似合うと思う。気軽に愛佳に雑用を押しつける先生たちには正直あまりいい
感じはないんだけど、たしかに、成績性格容姿の三つの面で巫女らしさを満たせる人材は
愛佳くらいしか思いつかないな。タマ姉は成績と容姿は飛び抜けてるんだけど、性格が戦巫女
だし……。
「あれ、でも確か巫女ってもうひとつ大事な条件がなかったっけ」
思わずつぶやいた言葉は愛佳の耳に入ったらしく、朱色の袴を手に、え?と振り向いた。
「もうひとつの条件……?」
「そう、えーっと確かおt」
言いかけて、俺は慌てて言葉を飲み込んだ。
が、すでに遅し。愛佳は朱袴を胸元で握りしめ、上目遣いでこっちを見ている。
顔はもう、袴よりも鮮やかな朱色に染まってしまっていて。
「あ、その……」
何かフォローしようとする俺の言葉も空回りしてしまう。
おそらく、俺のほうがはるかに紅い顔をしてると思う。
――本当、余計なこと思い出さなければよかった。
巫女のもう一つの条件。
それは、乙女(処女)であること。
――つい先日までは、その条件も満たしていたんだけど。
「こ、断って、こようか」
まっ赤な顔で愛佳が言う。
「い、いや。先生に言うことでもないし」
まっ赤な顔で俺が言う。
あとはもう、ただただお互いの目をちらちらと伺いあう気恥ずかしい沈黙が延々と続いたわけで。
とりあえず、罰があたらないように、帰りにふたりでお参りに行ったのでした。
※おしまい※
とりあえず巫女話を作ってみましたよ。
委員ちょ書くの初めてだからちょっと変なのはごめんしてね。
ナースは誰かにまかせた!
俺はもう無理!以上!
ちょwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwww
GJ!なんかヤってもういういしい二人萌え
GJ!!!
テラモエス!
ゴロゴロと萌え転がったYO
>>600 や ら な い か ?
うほっ!GJ!!
ジャンクション レスつけ待った 甲斐あった
東鳩2で巫女(巫女服に非ず)が似合うのっていいんちょと…草壁さんくらい?
他の皆は巫女ってイメージが沸かないんだよな。
会長は逆の意味で似合いそうな気がするが
「いかがですか貴明様。似合いますでしょうか」
「似合ってる……と思うよ。でもイルファさん、ひとつ聞いていい?」
ソファの上に通学鞄を置きながら、俺は頭を振った。目眩がしそうな気分だった。
ここは第二の我が家、というより今や自宅よりも長い時間を過ごしている姫百合家のリビング。
その室内の風景は昨日までとなにも変わらない。ただひとつ、イルファさんがいつものメイド服
ではなく――ピンクのナース服姿で俺を出迎えた以外は。
「どうして、看護婦さんの格好なの?」
「あら貴明様。いまは看護師って言わないと怒られちゃいますよ?」
くすっと笑ってイルファさんは冷蔵庫から麦茶を出し、ソファのいつもの場所に腰掛けた俺に差し
出してくれた。帰り道が暑くてのどが渇いていたから、ありがたく俺は受け取り一息に飲み干してし
まう。
「はい、貴明様。おかわりどうぞ」
「あ、ありがと――って、もしかしてイルファさん話逸らしてる?」
「そんなことは全然です。別に後ろ暗いことでも秘密でもなんでもありませんから」
と、言う割にはイルファさんの表情にはいつもの朗らかさがない。そんな微妙な感情の変化を表現
できる機体の精巧さに驚くべきなのかもしれないけれど、今はそんなことよりイルファさんの心の方
が気になって仕方がない。
黙ってじっとイルファさんを見つめていると、耳カバーのせいで落ち着きの悪いナースキャップを
両手でいじっていたイルファさんは結局それを頭から外し、それを見つめながら小さく息をついた。
沈黙に、先に耐えきれなくなったのは俺のほうだった。
「……ねえ、イルファさん。もし言いにくいことなら、無理には聞かない。でも――」
「貴明様」
「なに、イルファさん」
俺の言葉を遮って名前を呼んだイルファさんは、まっすぐに俺の目を見つめ、微笑みながら言った。
「貴明様は、私たちメイドロボが付くことが出来ない職業がある、ということを御存じですか?」
「うん、詳しくは知らないけど……ロボット三原則に反する職業には就けないっていうことだよね」
「はい、その通りです。つまり、ロボットは人間に危害を加えてはならない――」
そこでイルファさんは言葉を切って、俺を見上げた。
「ご存じでしたか? メイドロボは、医者にも、看護師にも、なれないんですよ」
は? と俺は声を上げてしまった。
「そんなまさか。だってこの間テレビでも見たし」
「ええ、病院に勤務するメイドロボはたくさんいます。その中には、今の私のように看護師の格好
をして働いている機体も大勢います。HM−13「セリオ」シリーズは特にその方面でのベストセラー
になりました」
「じゃ、じゃあ!どうして!」
「すいません、説明が不正確でしたね。正しくは医者や看護婦になれないのではなく……人を相手
に医療行為を行うことが禁じられているんです」
驚いた。
驚いて言葉がでないでいると、イルファさんはナースキャップを指先でくるくる回しながら説明
を続けてくれた。
「さらに詳しく言うと、ですね。ガーゼを交換したり、傷口を殺菌したり、止血をしたり、という
ことは許可されている場合も多いんです。でも、手術を行ったり、人体にメスを入れたり、注射や
採血を行うことは――「人間に危害を加える」ことを禁じた三原則に抵触する、そうです」
「危害って!だってそれは」
「貴明様」
名前を呼ぶ優しい声に冷静さを取り戻し、俺は浮かしかけた腰を落とした。
「――ごめん、イルファさん」
「いいえ、ありがとうございます。私たちのことをそんな風に想ってくださって」
ぺこ、とイルファさんは小さく頭を下げて微笑んだ。
「でも私は、この決まりがそれほど間違いだとは思わないんです。なぜなら――万が一不幸にして患者
様が亡くなられた場合、手術を執刀したのはロボットでしたと聞いてご家族の方はどう思われるでしょ
うか。毎日注射や点滴をしていたのはロボットでしたと聞いて、納得されるでしょうか」
「……でも」
「貴明様。私たちメイドロボには、今や心があります。珊瑚さまの開発される新しい技術はそれをさらに
人間に近い形へと進化させられました。それはもはや、魂、と呼んでも良いかもしれません」
でも――と、つぶやいた一瞬、イルファさんの視線は下に落ちた。
「私たちには……命が、ないんです」
「イルファさん」
「私は来週から来須川の関連病院で、メイドロボとしては初めて、実験的に臨床作業に従事する
ことになりました。三原則の解釈を緩和する動きがあるんです。このことは――初めてお伝えす
ると思います」
初耳だった。
そうか、じゃあこの今着ているナース服は……。
「はい、今日制服が届いたので、試しに着てみたところだったんです」
「そうだったんだ。なんだ、僕はてっきりイルファさんの趣味かと思ったよ」
なんだか重たい話の流れだっただけに、俺はなんだか気が抜けて笑ってしまった。
笑って、いつの間にか口の中がカラカラになっていることに気が付いて麦茶に手を伸ばした時――
イルファさんが言った。
「――怖いんです」
「え?」
「この服を着て、来週、実際に病院で患者様の前に立っている自分を想像したら――怖いんです」
きゅ、と引き絞られた指にナースキャップが歪む。
それにすら気が付かない様子で、イルファさんは言葉を続ける。
「私のような命のないものが、人のいのちを扱っていいのでしょうか。人のいのちは、わたしたちの
メモリのようにバックアップできません! リブートできません! 私のせいで患者様が命を落とす
ようなことがあったら私は……わたしはッ!!」
「イルファさんっ!」
声を上げて、僕はイルファさんの肩を掴んだ。
「イルファさん顔を上げて。俺を見て!」
「貴明、さま……」
「イルファさん。俺は――イルファさんが今感じている恐れを拭ってやることはできない。だって俺は
メイドロボじゃない。医者でも看護師でもない。おまけに言うなら、病気も怪我もほとんどしたことが
ない。だから来週から現場に立つイルファさんに偉そうなことなんて、とても言えない――でも!」
もどかしさに、俺は涙ぐみそうになる。
どうすればこの気持ちが伝わるだろうか。この、信頼が伝わるだろうか。
「でも、これだけは言うよ。俺は――俺だけじゃない、きっと珊瑚ちゃんも瑠璃ちゃんも、あの長瀬って
博士だって――イルファさんになら、命を預けていいって! 命はあっても心のない医師の手にかかるより
人間でなくたって誰よりも僕らを思ってくれているイルファさんを信じるって!」
掴んだ肩を引き寄せ、目をのぞき込むようにしてそう言った。
「貴明様……」
「きっと、すぐには難しいかもしれないけど……いつか、僕らだけじゃないみんなも、そう思う時代が来る
と、信じるよ」
「――はい」
イルファさんは、大きく開いていた目を急にうつむくようにして閉じ、そう小さく答えてくれた。
「あーーーーーっ! 貴明がイルファ泣かしとる!」
瑠璃ちゃんの声が背後から響いたのは、その直後だった。
「たかあき、いじめかっこわるいで〜?」
「さ、珊瑚ちゃんまで……」
「あー! しかもイルファにやらしい服着せとる! この……へんたーい!」
「ちょ……まっ……誤解ぁっ!」
慌ててイルファさんの肩から手を離しすものの、問答無用の回し蹴りが俺の意識をあっさり
刈りとり――。
イルファさんの看護実習の練習台にされたのを知ったのは、夜中意識が回復してからのことだった。
※おしまい※
すいません、巫女の条件を書いた者です。
無理、とか言いながら、考えてたら書けちゃいましたんで貼らせてください。
巫女みたいな萌え展開にするつもりが、やたら重い話になりましたが反省してません。
あと、スレ容量をかなり超えてしまいましたことは心よりお詫びします。
埋め立て完了ということで、どうぞ次スレへ!(^^;)
最後に一言!
巫女みこナース! 達成!w
>>615 興味深く読ませていただきました。
社会的な問題提起、面白いと感じましたです。
今だから言おう…よっちのSSを誰か書いてくれ!
>タマ姉は成績と容姿は飛び抜けてるんだけど、性格が戦巫女だし……。
ツボった。
>>617 ねこっちゃとタマ姉が同級・・・?
なら雄二が彼女らと会って、「姫川先輩が俺の姉貴だったら良かったのに」などと
思ってねこっちゃにモーションをかける話はどうだろう。プリキュアのなぎさの弟
みたいに。
一つ上だろ
うむ、琴音や葵の学年はこのみたちの入学と入れ違いで卒業している。
浩之やあかりの学年は貴明たちと入れ違い。
つまり琴音たちと貴明たちは一年間だけ重なっている。
…だよね?(汗)
623 :
617:2005/07/25(月) 20:05:41 ID:GBIoM9Bq0
重大な指摘どうも。あるところで見たタマ姉のCGに「この体でとても琴音ちゃんや葵ちゃんと同い年
とは思えない」とキャプションが付けられていたのを参考にして、それをそのまま話作りに使わせて
いただいたのですが改めて調べてみたら
>>621-622さんの説が正しいということが判明し、該当箇所を
加筆修正しますた。
でも雄二×琴音ってのは面白そうなんで何らかの形で書いてみたいです。無印アニメで琴音とくっついた
雅史がファンから嫌われたことを考えると行くところまでは行けないでしょうが(苦笑)。
新スレまだ?
それとももう設置してあるの?
書き込むにも書き込めないすよ。
626 :
ぼのぼの:2005/08/01(月) 13:06:47 ID:wXIDWi2y0
hosyu
627 :
名無しさんだよもん:2005/08/01(月) 17:05:57 ID:GcaGCNQC0
ほ
しな
629 :
名無しさんだよもん:2005/08/02(火) 23:37:45 ID:NJ9ENHsU0
いいんちょ
の
ほっぺ
よりも
633 :
名無しさんだよもん:2005/08/03(水) 16:26:00 ID:Rx5YXJZG0
こまき
いいんちょ
635 :
名無しさんだよもん:2005/08/03(水) 19:40:48 ID:5z0RAw8M0
の
おなか
と
ぬるぽ
ガッ
チョーン
せーのっ
642 :
名無しさんだよもん:2005/08/04(木) 10:18:48 ID:2PImhrQL0
バンザイ
るーこ
644 :
名無しさんだよもん:2005/08/05(金) 10:51:14 ID:tz1evjbm0
てんぺら
アホ毛の
中の人も
はいてない
そして
誰も
が
望む
永遠は
653 :
名無しさんだよもん:2005/08/12(金) 22:50:01 ID:Kp/4r6400
あるよ
でも実は
親父が
半裸で
白目を剥いて
涼宮茜の
服を
1枚1枚
脱がしていき
たかったのに
親父が
ゆびらまくまして
ぶったね!
と、言うと
全裸になり
潤んだ瞳で
やらないか?
でも僕は
守りたい世界があるんだ!
あと
は家に帰って
ご飯を食べて
PC版ToHeart2の
ゲンジマルで
オナニーして寝るだけ
Heartのない12月
第一章 終
超先生の次回作にご期待下さい
来週からは
ちゃんと学校に行きますから
勘弁して下さい……
そんなこと言ってホントは
喜んでるんじゃないのと
訴えかける
その女の名は
巫女みこナース(・∀・)!!
左舷!弾幕薄いよ!
そんな妄想ばかりしているから
パンストに異常な愛情を
もてあます
空虚な日々
だけどおまえは
国民新党
しかし俺は
魔法先生
今日も今日とて
それはかなわず
イナバ物置
100人ハメても
だいじょうV
と見せかけてテコンV
巨体がうなるぞ
そして、うねり打法は
輝く夜空のように
草壁さんが
(・∀・)チャーララーラララーラーララーラララ
こん平でーす!
山田くーん
わぎゃないざー
ナムコ
クロス
アウッ!!
と、このみが言うと
埒外
ガイガン起動
第二章 終
超先生の次回作にご期待下さい
駒大苫"小牧"
が全国早口言葉選手権大会で
ガスバスガスバツ・・・あれ?
もう、遅すぎた・・
だって・・・優勝したのに・・・
理屈はいいからもっとトマトを食べるんだ!
こんなにもアカいのに
いいんちょの経血が
猫に舐められる
その猫を
猫ジュース
にして飲むんよと命令する会長に
タマゴサンドと猫ジュースか
猫ひろしが乱入
すると大音量のパワーホールが
電動型オナホール
今なら布団圧縮カバー10枚付きで
通常の3倍の
ワックスを
身体中にかけられた由真が
大量のきな粉の中へ
そしてきな粉女と化した由真を見た愛佳が
美味しそうに嘗め回す
するといきなりゲンジ丸が
俺のキンタマを見てくれ
と叫んだ雄二に噛み付き
歯が折れた
第三章 終
もうちょっと続くんじゃ
そこから倍以上続く訳だな
ゆうじの ぼやきは やみに のまれた
コンティニューしますか?
YESorNO?
3
2
1
せーの!
犬ファ
淫ファ
イルファ!
ミルファ!
最後は貰った…と、思うニダ。
| \
|Д`) ダレモイナイ 不法投棄スルナライマノウチ
|⊂
|
|
| TH2
| TH2TH2 T
| TH2TH2TH2TH2
| TH2TH2TH2TH2TH
唯一神又吉イエスの政策
1. 年金問題・医療・介護・財政破綻の根っこはひとつ
2. 郵政民営化は絶対不可
3. 全失業者の救済
4. 憲法九条改悪不可
5. 首相小泉純一郎の靖国参拝不可
6. イラクは世界で守る所
7. 普天間基地移設は本土へ
8. 拉致問題について
9. 人権擁護法案不可
顔 意味
(・V・) (ははははは)
p(^−^)q (ヒャ〜 おもしれ〜)
(>、<) (応援ヨロシクっ!)
(M) (マリオが大好きだよ)
(・○・) (鼻がカユイ)
(^U^) (だーい満足)
(^板違い^) (板違いですよ〜)
(==) (最近ゲームつまんないですね)
(l l) (悲しいよ〜)
(・w・) (パズルゲームが好きです)
(’’) (カービィが大好き)