ToHeart2 SS専用スレ 3

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585名無しさんだよもん
由真&るーこ(ぁ
586名無しさんだよもん:05/02/14 00:43:08 ID:l9kxMlGf0
>>549
シャーマンの中にファイアフライが紛れ込んでいるのを発見したような
インパクトがあったぞ。るー☆
587516 ◆X9yFPnzr86 :05/02/14 00:54:20 ID:CwNiGw8wO
由真&愛佳
もしくは姫百合姉妹が妥当な線でしょうか

ミルファとシルファは資料が少ないので難いですね

あとは……るーこと花梨とか…?

思いついたら書いてみようと思いますのでよろ
588名無しさんだよもん:05/02/14 00:55:17 ID:26W+wsVE0
花梨&瑠璃
589名無しさんだよもん:05/02/14 02:22:30 ID:gQ6Ig/DX0
花梨&このみの異色のコンビ
590名無しさんだよもん:05/02/14 03:02:35 ID:euNLvHmp0
花梨と琴音
綾香と由真
上記にもあったけど、
姫百合姉妹と郁乃&このみ
591名無しさんだよもん:05/02/14 03:05:22 ID:gQ6Ig/DX0
1のキャラとのコラボはつながりの深い2の良いところだわな。
592名無しさんだよもん:05/02/14 06:09:31 ID:i2XVNs7F0
イルファ×瑠璃
玲於奈×薫子
いいんちょ×郁乃
よっち×ちゃる
593名無しさんだよもん:05/02/14 06:43:12 ID:IfbHiOFkO
ダニエルXゲンジ丸



ダニエル「ほれっ!ヌシの濃ゆい精を儂の中に注ぎ込むんじゃ!」
ゲンジ丸に背をむけ四ん這いになるダニエル。
ゲンジ丸「ばう!ばう!」
ぱんぱんぱん!
ゲンジ丸は誘われるがまま、己の分身を目の前の穴に押し入れる。
ダニエル「!!!
おぉぉ…これは、また…ヒトでは味わえぬ快楽よ!!」
肛門に力を込める…と同時に……


スマソ…本当に…スマソ…m(__)m
書いてて氏にたくなったよ…
594名無しさんだよもん:05/02/14 06:46:35 ID:z9ogqZSI0
ゲンジ丸、随分アグレッシブだな。
595名無しさんだよもん:05/02/14 12:16:45 ID:TASgWO5R0
普段うごかねえくせになw
596名無しさんだよもん:05/02/14 14:18:03 ID:Ptg/TQec0
タマ姉のED後のSSってあったっけ?
なかったら挑戦してみたいんだが・・・
597名無しさんだよもん:05/02/14 16:16:22 ID:gXzKnYd80
>>596
別にあっても挑戦するのは問題なくない?
というか書いて( ゚д゚)ホスィ…
598名無しさんだよもん:05/02/14 16:22:38 ID:uFnh9N+I0
>>596
前スレにあったが気にせず挑戦してくれ。
俺の好みで恐縮だが月光華園っていうHPのタマ姉SSは凄いいい出来ダタヨ。
599名無しさんだよもん:05/02/14 16:49:02 ID:Ptg/TQec0
>>597-598
過去スレ読んでないし、SSサイト巡りもやらないので
ネタが被るとアレかな〜と・・・・・

取り敢えず、前スレのログ見て、
ネタが被んないようなら明日までに上げられるように頑張ってみまつ(´-`)

ただ、そんな長いのを書こうとしてないんで期待しないで・・・
忘れた頃にやってくるって感じで・・・・・
600名無しさんだよもん:05/02/14 18:16:32 ID:ondquHdA0
チャレンジ精神に溢れてる人募集中
601ちょっとだけ続いた話 (1):05/02/14 20:34:02 ID:Ptg/TQec0
5月1日(土)

「タカ坊・・・タカ坊・・・」
ユサユサ・・・ユサユサ・・・
「タカ坊・・・タカ坊・・・」
ユサユサ・・・ユサユサ・・・プニ・・・・・・・・ん? プニ・・・? 何か前にも同じことがあったような・・・・・
「ん・・・・・タマ姉・・・?」
「起きた? タカ坊」
気がついたらいつの間にか朝になっていた。どうやら、看病したまま寝てしまったらしい。タマ姉も今さっき起きたばかりみたいだ。
「あのままずっと一晩中看病しててくれたんだ・・・」
そう言って、タマ姉が穏やかに微笑む。ハッと、昨日のことを思い出してつい顔を赤くしてしまう。
「あ〜ら、朝っぱらから何を考えてるのかな〜? フフッ」
妖艶な笑み。だけど、いつものようなゾクッと背筋が凍るような感じはしない。やっぱり、お互い告白して気持ちを確かめ合ったからだろうか。だけど、何だか照れ臭い。
「タカ坊も健全な男なワケだし? 朝から興奮するのもわかるけど」
タマ姉の言葉でさらに顔が火照る。
「違うの?」
「違わないけど・・・」
「ま、それはさておき。昨日から制服のままだからそろそろ着替えたいんだけど・・・着替えるところ見る?」
って突然、何てことを言い出しますか、この人は。だが、ここでまた慌てると今後、タマ姉にずっとペースを握られかねない気がする。いや、実際もうかなり握られてるけど・・・
「わかった。じゃあ、俺も一度帰るよ。着替えたいし。」
さすがにこっちも一度、家に戻って着替えないと。このみは・・・・・先に行ってるからいいのか。何だか、少しだけ心の奥がズキッと痛んだような気がした。
「あら、つれないのね。」
タマ姉は本気で残念がってるようだった。う〜ん、ホントに主導権を握れるようになるんだろうか・・・?惚けていると、
「タカ坊、ちょっとだけ部屋の外で待ってて。朝食を作るから一緒に食べましょう。」
そういって、タマ姉が微笑んだ。
「あれ? 具合はもう良いの?」
「ええ。一晩中、タカ坊が看病してくれたんですもの。」
確かに、昨日と比べてタマ姉の顔色が良い気がする。
「お礼にご馳走を作ってあげる。勿論、昨日の「おわび」とは別よ♪ 腕によりをかけちゃうんだから。」
思い出すとまた赤面しそうになるので、慌ててタマ姉の部屋から出た。
602ちょっとだけ続いた話 (2):05/02/14 20:35:02 ID:Ptg/TQec0

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ふと、玄関の方の扉が開く音がした。
「ふ〜、やっと帰ってこれた。これから学校ってのがまただりぃけどな。」
どうやら雄二が帰って来たらしい。
「あれ、貴明? こんな朝っぱらから何でこんなとこに居んだ?」
タマ姉の部屋の前で待ってた俺と鉢合わせした。
「何だ。姉貴に迎えに来させられたのか? ・・・それとも、まさか・・・・・・」
「いや、雄二、これは・・・・・・」
「昨日、誰も居ないのをいいことに、おおかた姉貴に無理矢理連れ込まれたんだろ? そうなんだろ?」
怪訝な表情をする雄二。ふぅ〜っ、とため息までついている。
「いくらなんでも手が早すぎだろ、姉貴・・・。まあ、結果的にお前もまんざらじゃなかったみたいだし? もうちっと、目立たないようにやってくれれば俺としちゃOKなんだけどな・・・。で、どうだったよ?」
雄二の顔がニヤついている。
「なっ、どうって・・・・・」
すると突然、タマ姉の部屋のドアが開いたかと思うと、中から伸びてきた手が的確に雄二の顔面を捉えた。
ガシッ
「あだだだだっだだだだだだだだだだだだだ」
朝イチの挨拶代わりのアイアンクローといったところか。
「誰の手が早いって? 雄二ったら、朝っぱらから寝ぼけてるのかしら」
ギリギリギリ、と例のごとく締め上げられる。
「今、目が覚めました!すぐ、目が覚めました!もう、目が覚め・・・・・・・ぺきょー」
雄二が事切れそうになる寸前、やっとのことでアイアンクローが解かれた。
「タマ姉、もう着替え終わったんだ?」
「ええ。いつまで経っても、タカ坊が覗く気配ないし。」
ええと、俺にそんな勇気はないデスヨ?
603ちょっとだけ続いた話 (3):05/02/14 20:36:23 ID:Ptg/TQec0
「で、何で貴明がこんな時間からウチに居るんだ?」
やっと、落ち着いたのか、雄二が尋ねてくる。
「それは・・・・・・」
「昨日、私が熱出して、タカ坊がずっと看病しててくれたのよ。」
タマ姉が助け舟を出してくれた。
「へぇ〜〜、やるじゃねぇか。ウチの姉貴と二人っきりなんて怖かったろうに・・・」
ガシッ
「あだだだだだだだだだだだだだだだだだ」
「雄二が前もって謝った意味がやっとわかった気がするよ、何となく。」
「ん、タカ坊、何か言った?」
「あ、いや、何でも-------」
と、急に目の前が景色が揺れる。目眩・・・か? よろけそうにになったが、壁に手を付いて何とか倒れるのだけは免れた。
「タカ坊!?」
慌ててタマ姉が俺の身体を支えてくれる。
「さっきは寝起きで気付かなかったけど、タカ坊、もしかしなくても熱あるでしょ?」
「いや、ちょっと立ちくらみしただけだよ。」
というものの、身体に力が入らない。ちょうど、昨日のタマ姉の状態だ。タマ姉の風邪を貰ったかな?
「雄二、タカ坊は今日は休ませるから、学校行ったら先生に言っておいて。今度は私が付きっきりで看病するから。」
「タマ姉、俺は大丈夫だから・・・」
「病人は無理しないで大人しくしてるの。」
真剣なタマ姉の迫力に負けて、諭されてしまう。
「何だ、姉貴も休むのか? まあ、それならそれで良いけどよ。で、このみはどうするんだ?」
「朝、会ったら伝えておいて。心配するだろうし。”事情”は私が後からでも直接話すから。」
「そう・・・か。わかった。取り敢えず、貴明が休むってことだけ伝えとくよ。」
「お願いね。」
-----そう、このみには話さなくちゃいけない。昨日、タマ姉と気持ちが通じ合った後、看病を続けながらそれは考えてた。でも、それはタマ姉からじゃなく、俺から伝えなくちゃいけない。そんな気がする。
「タマ姉、このみには俺から伝えないと・・・・・」
「いいから、私のベッドを貸してあげるから少い横になりなさい。お薬とか用意してくるから。」
「でも、タマ姉・・・・・」
604ちょっとだけ続いた話 (4):05/02/14 20:37:12 ID:Ptg/TQec0
昨日の今日だけど、このみに伝えるなら早い方が良い。わだかまりを残さないためにも。
「タカ坊。言うこと聞かないと、お姫様だっこで無理矢理ベッドに連れてくわよ?」
うげ、それはイヤだ・・・。だが、どうもこのままだとタマ姉はホントにやりそうだ。ただでさえ、もともと腕っ節で敵わないのに、こっちの体調が悪いんじゃ抵抗のしようがない。しぶしぶタマ姉の部屋に戻る。
「じゃあ、雄二。後はお願いね。」
「ああ。じゃ、行ってくるよ。・・・ふぅ、貴明も可愛そうに・・・・・ナンマンダブナンマンダブ」
こらそこ、念仏を唱えるな、念仏を。
さすがに、立ってると辛いのでここは遠慮なく、タマ姉のベッドに横にならせて貰う。何だか良いにおいだ。昨日は気付かなかったけど、さすがに”タマ姉も”女の子なのか部屋からは良いにおいがする。こんなことは口が裂けても面と向かって言えないが・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「ん・・・・・・・・。」
いつの間にか眠ってしまったらしい。寝不足+風邪では当然といえば当然か。気付いたらもう昼をとうに過ぎていた。
「起きた?」
タマ姉は、ちょうどタオルを絞っているところだった。どうやら、俺が寝てる間ずっと看病してくれてたみたいだ。
「気分はどう?」
心配そうにこちらを見ている。いきなり、心配掛けちゃったな・・・。
「グッスリ寝たからもう大丈夫だよ。」
と、起き上がろうとするが、やはりまだ今ひとつ力が入らない。
「もう、無理しないの。せっかくお姉さんが看病してあげてるんだからゆっくり寝てる。」
そういうと、タマ姉はイタズラっぽく笑った。
「『昨日の続き』をするには早く治さないとね。」
昨日と同じこと言ってるよ。だから、続きって何さ・・・。まあ、わかってるけど・・・
「やっと、気持ちが通じ合えたのに、ホント、災難続きね。私たちって。」
「タマ姉・・・・・あのさ、タマ姉。このみには俺から伝えるよ。」
「・・・・・そう。」
タマ姉は優しい笑顔で頷いた。
605ちょっとだけ続いた話 (5):05/02/14 20:38:20 ID:Ptg/TQec0
「いや、俺から伝えなくちゃいけないんだ。このみは俺の大事な”妹”だから・・・」
「タカ坊がちゃんと話せば、このみもわかってくれると思うわ。というより、あの子はタカ坊以上にタカ坊の気持ちをわかってる。」
「タマ姉・・・・・」
「じゃあ、そんなタカ坊に勇気をあげる。」
そういうとタマ姉はゆっくりと顔を近づけてきた。唇と唇が重なる。この間のデートの時とは違う、仮初めじゃない正真正銘の恋人同士のキス。ほんの数秒だったけど、永遠とも思える一瞬。
いろいろと回り道をしたし、まだ問題も山積みだけど、それでも、タマ姉とならどんなことでも乗り越えていける気がする----。
606名無しさんだよもん:05/02/14 20:41:25 ID:Ptg/TQec0
長くてすみません。後、エロ期待した人、漏れには無理だ・・・_| ̄|○
初SSなんで読みにくい部分は多々あると思うけど、勘弁してください。

後、このみとの修羅場も考えたけど、
そこまで書くとToHeartじゃない気がしたんでやめときました。

分けて投稿するの苦労したヨ・・・(;´Д`)
607名無しさんだよもん:05/02/14 20:52:24 ID:gXzKnYd80
>>606
…つーかもう書いたのかよ!はやっ

初SSと言われなきゃ気づかんほど良かったよ
ネタの被りもないし、タマ姉ほのラブでイイヨイイヨー
ホント(*^ー゚)b グッジョブ!!
608名無しさんだよもん:05/02/14 21:03:22 ID:Px8B4bUw0
>>606
(・∀・)イイヨイイヨー
609名無しさんだよもん:05/02/14 21:08:22 ID:ondquHdA0
>>606
誰も忘れてないよー
610名無しさんだよもん:05/02/14 21:10:24 ID:dzILNUeR0
>>606
原作とのシンクロ率が高くて、物語の延長を望んでる読者には打ってつけの
内容だと思った。
一つの話として完結するお話もいいけど、この話のように、
原作の続きを垣間見せてくれる内容のものもいいねぇ。
611名無しさんだよもん:05/02/14 21:16:59 ID:i2XVNs7F0
そしてベッドに横になっているタカ坊の縦になってしまったタカ棒を治めてくれるんですね。
612516 ◆X9yFPnzr86 :05/02/14 22:02:25 ID:CwNiGw8wO
すごいなぁ>>606さん
俺は今由真&愛佳ネタを考案中…。
全然思い浮かばない…
613跳躍するジャンクション 第一話 0:05/02/14 23:04:34 ID:h2/OkFMI0
双子BADの後日談ということで、ちょっと書いてみました
いつもとは文体を変えてみたが、面白いかどうかは別問題……
話の筋自体は、すっきりわかりやすいものを目指したつもり

以下、しばらく続きます
614跳躍するジャンクション 第一話 1:05/02/14 23:06:05 ID:h2/OkFMI0
 要するに、日曜ってのは絶好のナンパ日和なわけでさ。うちみたいな土曜もある学校も、週休二日のとこも休
みなわけでさ、街にもキレイブス問わず女の子がいっぱいなわけよ。
 だから俺も行ったよ、駅前に。彼氏に振られてブルーしてるカワイイ女の子とか、いいフェイスやいいボデ
ィーしてるけどファッションがダセえおかげで持てない美女の原石とか、そういうのを発掘するのが無上の喜び
なわけ。純情気取って家でウダウダしてるチェリーボーイとは違うわけですよ、なぁ貴明。
 俺様も自分で言うのはアレだが結構なイケメンだしさ、退屈させない自信もあるわけ。だからさ、今日は一人
くらいは釣ってヨシにしようかと思って何人かにお声掛けしたけどさ、うーん、ダメだね。なんでだろうね。
 口説くときはさ、真剣そのものだよ。相手を運命の女性とひたすらに信じ、全身全霊で相手を愛して褒めちぎ
る。口説いてるその瞬間だけでも、口説きにかかってるこの女は、俺にとって女神になるわけ。この状態ではカ
ンペキ俺の片思い。どんな言葉を使ってでもまずは振り向いてもらわなくちゃならないわけ。そうしなければ、
同じステージにも上がれやしない。初めて会う女の子と同じステージに上がって、同じものを食って、どうにか
して同じベッドで寝たいわけよ。どうにかこうして寝た後は、相手にもよるけど、どうやって次の一発をヤる
か。もうそれなのよ。まあ俺様も、まだまだ汚れを知らないな純朴な青年ですから、口で言うほど上手くはいか
ないけどね。とにかく、スタートラインに立つにはどうするか。俺は貴明みたいに、黙っていても女の方から寄
ってくる羨ましい男じゃない。悔しいけど、事実。だからこそ、攻めなきゃいけない。こっちから!
 だけど、この日は当たりが悪い、最低最悪。どいつもこいつも口を開けば、「ウザイよ、ガキ」とか「バカじ
ゃないの」とか「もっといい口説き文句を考えたら?」とか、そんなんばっかり。おまえらもう少し素直になっ
てさ、思考をオープンなワールドワイドにしてさ、真剣になってるこっちの気持ちに応えてみる気はないのか
ね。「ウザイ」とか「バカ」とか貧弱な語彙を並べ立ててさ、まったく。俺の口から出るのは、ため息ばかり。
615跳躍するジャンクション 第一話 2:05/02/14 23:08:07 ID:h2/OkFMI0
顔だけでも言葉だけでも女は釣れない。まだまだ全身から沸き上がる熱い情熱とかオーラが足りないのかな? 
極めて短い片思いは、片思いのままでことごとく霧散しちゃいました。ボンッ!てなもんだ。あーあ。

 昼になれば、一人寂しくヤックの窓から良く晴れた空を仰ぎ見る。青いキャンバスに白い雲がゆたっている。
おおい雲よぉ、どこへ行く? 素直なギャルが引っかけ放題の国があったら、是非教えてくれえ。
 振られた女にゃ興味ないけど、あいつら、俺がガイジンだったらついてきたかな? クルマに乗ってたら話く
らいは聞いてくれたかな? そんなことをふと思った。バイク(原付じゃねーぞ)やクルマの免許、早く欲し
い。でもウチの学校厳しいから、在学中は免許取れないんだよな。クソ親父もきっと反対する。「お前に乗り物
は100年早い」って。100年も経ったら死んでるだろうがよ。おい親父、俺は知ってるんだぞ。別邸にハー
レーダビッドソン持ってて、年甲斐もなく黒い革ジャン、マッカーサー元帥みたいなグラサンでバッチリ決めて
さ、企業の社長連中や重役どもとツーリングして遊んでるってことを。バイクなりクルマがあれば、少なくとも
ガキ扱いはされないだろう……てのは早計ってやつかな? 暴走族(あ、今は“珍走団”って言うのな)みたい
に、クルマ転がしててもお子様な連中はいるけど、それはそれ、これはこれ。まぁ本音は、彼女と一緒にドライ
ブしたい。そんだけ。
616跳躍するジャンクション 第一話 3:05/02/14 23:09:14 ID:h2/OkFMI0
 憂いを抱いたロンリーガイの俺。窓際で黄昏れてアイスコーヒーをチューと吸ってたら、神様っているんだ
ね。運命的な出会いを授けてくれたわけ。外を見るとさ、すごい女がいた。背がスラッと高くて、色白で、髪は
ポニーテールに纏めてて風になびき、おまけにすげえ巨乳で、ケツを振り振りしながら歩いてたわけよ。黒いワ
ンピースが大人っぽくてさ、足のラインも引き締まってて素晴らしいのなんの。ファッション雑誌の中から逃げ
てきたモデルちゃんみたいでさ、もう一目惚れ。歳は、いくつかなぁ? 二十歳くらいかなぁ? でも、愛があ
れば歳なんか関係ないっ! ここであの娘のハートを射止め、ラブラブ街道をひたすら驀進して、封建的価値観
とメスゴリラの支配するプリズンからエクソダスするんだ! 今こそ、青春の逆転ホームランをぶちかまてや
る! 俺はポテトを残らず口に放り込み、アイスコーヒーで流し込むと、一目散に外へ出た。
 青空の下を、彼女の尻を追って駆ける駆ける。パーマのババアも風船持ったお子様も、俺にとってはただの背
景。俺が唯一存在を認めているのは、かの絶世の美女のみ。ようやく追いついたのは、スクランブル交差点の手
前。信号が赤でよかったよかった。天も我に味方せり。俺はポーンと跳躍して、彼女の横にスクッと降り立つ。
綺麗な顔は良く見えないけど、とにかく俺は攻撃開始、攻める攻める。もう攻めの一手よ。クビになった野球選
手が合同トライアウトに挑む心持ちで、全身全霊をかけて俺は行ったさ。
「ねぇ彼女カノジョぉ、すっごいキレイな髪だよね。天使の羽みたいに、春風になびいちゃってさぁ。ほんっ
と、かわいいよねぇ。モデルさんやってるの? それとも女優さん? さっきもどっかの映画監督が、血眼で君
のことを見てたよ? 君を主役にしたいってさ。でも、そいつの撮る作品、きっと他の役者が逃げちゃって映画
にならないよ。君があんまりまぶしすぎるからさぁ、君のプロモーションビデオになっちゃうこと請け合い! 
いや、その方が大ヒットするから問題ないってか?」
 笑ってるよ、彼女。口に手ぇ当てて、可愛く笑ってるよ。うふっ……ふふふ……って。綺麗な指だなぁ。許さ
れるなら、是非ペロペロしゃぶりたいねぇ。こんな手でしごいてもらったら、一発で昇天しちゃうよね。
617跳躍するジャンクション 第一話 4:05/02/14 23:10:12 ID:h2/OkFMI0
 こういう女は、野郎に興味がなければシカト決め込むか、手ぇヒラヒラさせて“シッシッ”ってやるかのどっ
ちか。とにかく面白い男だって思わせれば勝ちよ。いざ勝負っ。
「ねぇ彼女ぉ、ここにはよく来るの? この辺じゃぁ、あんまり見かけないよね。見かけたらすぐわかるって。
だって君みたいな超絶セクシーな美女、一目見たらもう二度と忘れねぇ、絶対忘れねえ、メモリーの一番大事な
ところに記憶されてさ、網膜にも焼き付き起こしちゃうもん。君を忘れる奴は人間じゃねえよ、カカシ。そう、
カカシか泥人形!」
 彼女はクスクス可愛く笑ってる。脈あるぞ、これは!! この素敵なお姉さん、いったいどんな女なんだろう。
ウチを暴力で支配しているメスゴリラとは違って、優しくて、包容力があって、甘えさせてくれて、アレする時
も「雄二くん……お姉さんが全部教えてあげる……」って具合で優しくリードしてくれちゃったりして!? 手取
り足取り手コキパイズリ、最後は俺がリードして、マングリ返しで突っ込んで激しく腰を跳躍させるの。彼女は
デカいオッパイをブルンブルンさせながら、二人が繋がってる汁まみれの場所を見せつけられて恥ずかしくなっ
ちゃって、喘ぎまくってイクの。いいよね。すごくいいよね。他の女ともそこまでしたことはないけれど、こん
な天使みたいなお姉さんならノープロブレム! もっと知りたい、君のこと。俺は攻めるさ。どこまでも。
「よし、超プリティーな君が何者か当ててあげよう。あっ、わかった。天使の国から逃げてきたんだろう? き
っと、そうに違いないっ!」
「その天使は、こんな顔してるのかしら?」
 その天使ちゃんはウフフッて笑うと、俺の方に振り向いたわけ。太陽みたいな満面の笑顔でさぁ。
618跳躍するジャンクション 第一話 5:05/02/14 23:11:09 ID:h2/OkFMI0
 ああ、彼女は満面の笑顔だったさ。実に楽しそうでさ。この世に恐ろしいものなど何もないような表情でさ。
その邪悪な瞳とトゲを含んだ妖しの指で、俺を捕らえて放さない。この世界に舞い降りた、堕天使だったさ。

 この女……姉貴だったさ。

「残念でした、カカシさん。ナンパされちゃったのは、これで二度目かしら?」
 ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!
 ああそうだよ、二度目だよ。前回は、髪をアップにしてたとき! この歩くブラクラめ! ブラクラはPCを
再起動すればおしまいだけど、こいつはトロイの木馬みたいにいつまでも覚えてやがるし、ついでに食い物を奢
らせ、買い物にも付き合わせて荷物持ちをさせやがってくれるから、なおタチわりい。むしろ、歩く“ワンクリ
ック詐偽”と言うべきだな。ああ、この日も奢らされたさ、高いケーキ2つと美味しい本場物の紅茶を。しめて
1650円(税込)。「声を掛けてきたのは雄二なんだから、あなたが払うのは当然でしょ?」だとよ。へいへ
い、自己責任ってヤツね。クソ。
619跳躍するジャンクション 第一話 6:05/02/14 23:11:58 ID:h2/OkFMI0
 エロマンガとかの題材に『姉萌え』ってジャンルあるよな。他の連中も「雄二いいよな、あんな綺麗な姉ちゃ
んがいてさぁ」なんて気軽に言ってくれちゃったりするけど、俺は奴らの言ってることが解らねえんだよなぁ。
そりゃあ姉貴を一人の“女”として冷静に見たら、まあ、モデルみたいな体型した美人だと思いますよ。顔も、
アイドル気取りのしょぼい連中よりはずっといい。事実、芸能プロダクションのスカウトに声掛けられたって言
ってた。名刺を俺に見せびらかして、呆れたように鼻で笑ってたっけ。でも、近親者だからこそ実感できること
だが、どう考えても恋愛の対象にはならないね。あれは、女じゃないもの。ギャルの皮を被った『向坂環』って
いう別の生命体だもの。統制社会の頂点に立つ、スターリンやポル・ポト、拳王に匹敵する絶対支配者だもの。
生まれたときから、俺はヤツの正体をまじまじと見てきているんだ。どこの世界の女の子が、健全な青少年の日
常生活を恐怖と暴力で支配しますか? ちょっぴり寝過ごしただけの可愛い弟相手に乱暴狼藉を働きますか? 
オヤツから貯金箱の中身までガッチリ管理統制しますか? 私的な用事にもかかわらず、こっちの用など顧み
ず、人を下僕のように駆り出しますか? 端から見れば面倒見のいいお姉ちゃんかもしれんけど、『あなたのモ
ノは私のモノ、私のモノは私のモノ』というジャイアニズム全開の姉貴に萌えろというのは、俺にはできない。
金貰っても無理。日本の国家予算をやるって言われても無駄。ダメなモノは、ダメッ!!

 ケーキを美味そうに食っている姉貴を見ると、どうしても思うよ。これが姉貴じゃなかったらなあって。俺の
理想の女性に最も近いのが、姉貴(外見のみ)だなんて。クソ。ワンピースの隙間から、白いレースのブラがチ
ラチラ見えてますよ、お姉様。お嬢様教育されてるくせに、俺の前では地のガサツで荒っぽい部分を大股開きで
見せつけやがる。アイドルの皮を被ったメスゴリラめ、畜生。ああ天よ。なぜ俺にこうも試練を与えるのだ!?
620跳躍するジャンクション 第一話 7:05/02/14 23:13:49 ID:h2/OkFMI0
 夜中にコッソリと、人の中身だけを取り替えられる機械ってないかなぁ。どっかのマッドサイエンティストが
作っていないだろうか? それが手に入るのなら、先祖伝来の壺や刀剣を売り払っても惜しくはないぞ。取り替
える相手は誰がいいだろう? 例えば、このみはどうかな? ……ダメだ。嬉々として貴明の元へ行っちまう。
「タカくんタカくん、わたしこんなにオッパイ大きくなったよ」って。チビ助は貴明真理教の狂信者、かつデカ
尻巨乳主義に取り憑かれていることは、こちとらお見通しなんだよ。貴明が双子に振られたかも知れないと聞く
やいなや、小躍りして再び貴明に擦り寄り始めている、ふてえお子様だ。それじゃあ、小牧愛佳はどうだ。よく
気がつくいい嫁さんになるんじゃないかと密かに思っているんだけど。そのかわり、うちのクラスが、姉貴が中
身の小牧に制圧されることになるな。外面小牧で性格姉貴……やべえ、全く想像できねえ。何より、クラスのみ
んなに迷惑がかかるからやめといた方がいいよな。……なんだ、まるで使えねえじゃん。機械いらねぇ。

 青空マーケットに付き合わされて、荷物をしこたま抱えて帰宅すると、チェリーボーイの貴明からTEL。
 奴曰く……。
「最近……珊瑚ちゃんたちが、おかしいんだ。校内で声をかけようとしても逃げるようなそぶりを見せるし、電
話にも全然出てくれないし……」
 彼女たちに対して曖昧な感情しか持てず、曖昧な態度でモラトリアムを気取っていたくせに、今さら何を言う
のかね、この小僧は。
「だから、振られたんだろ? お前が純情気取りでつれないからさ、いい加減に飽きたんだろうよ」
「俺はあのふたりの……」
「お前は面倒見のいい『兄ちゃん』でいたいんだろ? 恋人じゃなくてさ」
 貴明は、何も答えない。
「ズバリ訊くが、あのお姫様たちを“女”だと思ってないんだろう?」
「そうかもしれない」
621跳躍するジャンクション 第一話 8:05/02/14 23:14:47 ID:h2/OkFMI0
 そういうことは即答するんだな。とことん情けない野郎だ。そりゃあ、奴がここまで女嫌いになったのは、姉
貴に弄ばれたトラウマもあるかもしれないが、奴もいい年齢じゃねえか。一生そうやって女怖い女怖いって生き
ていくのか? ネコ型ロボットなら道具でも出すところだが、俺には便利なポケットはないし、なにより奴のた
めにならない。ここは心を鬼にして、カツを入れてやらねばっ。
「まったく、呆れた奴だな。姉貴が嘆く気分もわかるわ。そんな不誠実な、煮え切らない態度ばかり取ってるお
前みたいな奴にな、彼女なんか出来るわきゃねえだろっ。チビ助すら持て余しているお前には一億年早いわ!!」
「俺な、お前の言ってることが解らないんだよなあ。珊瑚ちゃんや瑠璃ちゃんを“女”だと思うことと、俺が避
けられてることと何の因果関係があるんだ?」
「はぁ? お前、本気で言ってるのか?」
「だってさ、俺のことが本当にふたりにとって邪魔になったら、瑠璃ちゃんが真っ先に俺を排除にかかると思う
ぜ。珊瑚ちゃんもあれでなかなかしっかり者だから、本当に俺が嫌いになったらハッキリ言うと思うんだ」
 貴明よぉ。君には呆れた。実に呆れた。女心のカケラも解らぬ男の言うことか? このみの下心など何も考え
ずに、このみと一緒の布団でおねんねしてる奴の言うことか? 自分が姫百合姉妹にしてきたことを、胸に手を
当てて考えてみろってんだ。そうだよ。面倒くさがって逃げて愚痴こぼしてばっかりいたじゃねえか。虫がよす
ぎるんだよ、お前は。もっと言ってやれ!
「だから飽きられたんだよ。ふたりにとってどうでもいい存在だから、わざわざ排除する必要もないわけだ。珊
瑚ちゃんにとっても、お前のことなど『近寄らんといて』とか口にする価値もない存在なんだよっ。言わば、お
前はふたりの中で予選落ちしたんだ。唐突に訊くが、お前は今までに同じクラスになった奴の名前を、全員分覚
えているか?」
「そんなわけないだろう……いきなり何を言い出すんだ……」
622跳躍するジャンクション 第一話 9:05/02/14 23:15:55 ID:h2/OkFMI0
「もはや友達でもないどうでもいい存在に成り下がったから、名前すら思い出せないわけだ。名前も顔も思い出
せない奴は、お前の中で存在自体が消去されたんだよ。要するに、お前の存在はふたりに否定されたんだよ。い
や、『否定された』と言うより『否定しようとしている』と言った方がいいかな」
「いい加減なことを言うな」
 貴明め、ムカついてるムカついてる。だが、俺のムカつき具合はこんなものではない。いつぞやに遊園地で味
あわされた敗北感、俺は決して忘れてはいないぞ。
 お前はもっといい男になれると思ったんだがな。俺以上のナイスガイになれる素質があると思ってたのにな。
全て俺の気の迷いだったようだ、残念だよっ。そろそろ、とどめを刺してやる。
「いい加減なものか。自分たちのことを本気になって見てくれない男のことなど、脳内からキッパリ消去したい
んだろうよ。お前みたいなチキン以下の七面鳥ボーイには、珊瑚ちゃんも瑠璃ちゃんも任せられねえ。ふたりが
そんなに心配だったら、ふたりとも俺が面倒見てやるよ。それでいいだろ? 解ったら、チビ助と一緒にピザで
も食って寝ちまえ。お前にはまだ、帰れる場所があるんだ」
「……雄二にアドバイスを求めたのが間違いだった。時間の無駄だった」……ガチャン。
 けっ、切りやがった。後ろで聞き耳立ててた姉貴が「まるでハイエナね」と苦笑いしてた。『ふたりとも俺が
面倒見てやる』って言ったことを指しているのか。ハイエナ? 結構じゃないか。自分でエサを採ろうとせず、
メスに任せっきりの怠惰なライオン。ライオンが悠然と見逃した獲物をハントする孤独なハイエナ。どっちが懸
命に生きていると言える? 貴明は、自分がライオンだっていうことにすら気付いていない。ある意味、とても
可哀想なヤツだよな。
623跳躍するジャンクション 第一話 10:05/02/14 23:16:33 ID:h2/OkFMI0
 ふたりとも、俺が面倒見る、か。悪くはないアイデアだが、さてどうしたものかな。貴明にはああ言ったが、
本当にふたりの中で貴明の存在が消えたかどうかなんて、直撃してみなければわかるもんか。奴のことが気にな
ってはいるが、何らかの事情で隠し事をしているのかもしれない。まあいいさ。いつもの俺様のように、まずは
ポジティブにぶつかってみてから、どうするか――つまり、珊瑚、瑠璃のどちらを攻略するか、それとも本当に
ハーレムで片手うちわでウハウハな状況に持って行くかは、それから考えればいいさ。俺の勘では瑠璃ちゃんの
方が与しやすしと出ているが、さて!?

 消灯しても、目が冴えて眠れやしねえ。どうにも、ふたりと貴明のことが気にかかって。あれこれ考えても仕
方ないことなんだけど、俺は本質的にいい人だから、やっぱり略奪愛なんか出来るかなあ、出来ねえかもなぁ、
なんてな。
 布団の中で悶々としていると、どこからか、フウ、フウ、フウと荒い息づかいが聞こえてきた。泥棒かと思っ
て、こっそりドアを開け、忍び足で廊下に出る。フウ、フウッ、フウ……って声、どうも姉貴の部屋からみたい
だ。今この家にいるのは、俺と姉貴だけのはず。静まりかえった廊下に、かすかに聞こえる荒い呼吸。呼吸の合
間に、それは誰かの名前を呼んでいるようだった。俺が姉貴の部屋近くの壁に耳を付けて耳を澄ますと、“珍走
団”のゴッドファーザークラクションが遠くに響き、声はかき消されちまった。そんなもん、今時流行らねえん
だよクズどもが。まあ、なんとなく事情は読めた。ワンモアタイム、もう一度聴いてみよう。“あの名前”が出
たら確定なんだが。
 ……はあ、はぁ……ぼう……ぼぉ、……ぼお……ぼお……ヵぼおっ、たかぼおっ!
 ……。

 声は止んだ。当確が出ました。メスゴリラが発情していたようです。
 なぁ姉貴よ、貴明のことをチキンとか意気地なしとかボロクソに言ってたけどさ、そういう姉貴はどうなんだ
よ? 本当はアンタも好きなんだろ、奴のことが? やっぱり貴明のことが好きだから、会いたいから、短い間
だけでも一緒に過ごしたいから、こっちに戻ってきたんだろうが。姉貴なら貴明の一匹や二匹、強引にでも自分
のモノにできるだろ? 実際、やろうとしてただろ? どうしてお姉さん気取りで引っ込んじまうんだよ。アン
タだって、大概じゃねーか。馬鹿だよ。姉貴も、貴明も。罪な野郎だよ。まったく。俺は壁に軽く蹴りを入れ、
それから小便に立った。肌寒い廊下にいて腹が冷えちまったよ。
 メスゴリラだなんだと言ってても、この世にたった二人の姉弟だもの、気にはなるさ。まあ俺としては、あの
二人がくっついてくれると嬉しいってのもあるんだけどな。言うまでもない、俺が自由になるしな。それに、奴
と本当に兄弟になるのも悪くはないだろ。今までだって似たようなものだったんだし。かなり、いや相当なヘタ
レだけど、悪人ではないしな。うん、いいかもしれないな。
 そんなことを思いながら水を流してドアを開けると、目の前に般若が立っていた。それは俺のこめかみを禽獣
のように掴み、グイとねじりあげた。奴の手からは、賞味期限切れのヨーグルトみたいな臭いがしていた。
625名無しさんだよもん:05/02/14 23:20:27 ID:h2/OkFMI0
以上。誤字脱字があったらご容赦を

連載モノの予定で始めたんだけど、私事(転職)で忙しくなってしまった
ヘタすりゃ一週間くらい間が空いてしまうかも知れない ( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \
626名無しさんだよもん:05/02/14 23:22:42 ID:QD9ljJxmO
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
GJ!
627名無しさんだよもん:05/02/14 23:31:33 ID:PxnOI0jO0
単発でも充分面白いって(w
アンパン日記を髣髴とさせるSSだったよ。
628元祖!メイドロボのテスト:05/02/15 01:00:57 ID:rTTWyzyS0
う〜、いつつ・・・。
まだ頬が痛む。
おかげで目はぱっちりと覚めたんだが・・・。
きゅっと水道の蛇口をひねり、出てくる冷水で顔を洗いながら鏡で頬の赤くなった部分をさする。
なんか学校で誰かに誤解を招かれそうだな。
特に女の子にうるさいあいつなんかには余計なことまで詮索されそうだ。
蛇口を閉め、かけてあるタオルで顔を拭く。
そしてそのままリビングへと向かう。
「おはよう、貴明くん」
「おはようございます」
すでに神岸さんとこのみが朝食の準備をしていて中には換気扇をつけているのにもかかわらず、魚の焼く匂いが充満していた。
「これはアジの開きですか?」
「うん、冷蔵庫に入ってたから勝手だけど使わせてもらったよ。もしかして駄目だったかな?」
「あ、全然大丈夫です。基本的にうちの冷蔵庫はこのみに任せきりになっちゃてますんで。このみがOKならほとんどは大丈夫ですよ」
「うん、わかった。それじゃあ今度からはこのみちゃんに聞くことにするね」
神岸さんはテーブルを拭き終わると再びキッチンへと戻り、すれ違い様にこのみが焼けた魚をテーブルへと運んできた。
「よいしょっ、タカ君、もう座ってていいよ」
「いや、俺も手伝うよ」
俺にだって飯を盛るくらいはできるし、二人だけじゃ悪いもんな。
というよりはこれは自分でやらないとまた昨日のようなことを引き起こされかねないからな。
「俺の分に・・・と。このみ、どれくらいがいいか〜?」
「う〜ん」
ちょっと考えたが頬をちょっぴり赤めて、
「大盛で」
と、答えた。
ハイハイ、大盛ね。
恥ずかしがらなくてもお前の胃の大きさはわかっているつもりだよ。
神岸さんは・・・普通でいいよな。
それと浩之さん・・・。
629元祖!メイドロボのテスト:05/02/15 01:02:07 ID:rTTWyzyS0
あれ、浩之さんは?
「あれ?浩之さんはどうしたんですか?」
「さっき起こしたんだけど・・・。まだ眠っちゃってるのかな?」
そそくさとリビングを出て行く。
『浩之ちゃん。浩之ちゃん、起きてよ』
予想的中らしく、やっぱり寝ていたみたいで神岸さんの起こそうと頑張っている声が聞こえてくる。
『起きないと無理やりやっちゃうよ。それっ!』
『あひゃっ!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ』
・・・・・・・・・。
一体何をやってるんだろう?
「痛いよ、浩之ちゃん」
「お前が無理な起こし方をするからだろ」
額を抑えた神岸さんとオレンジのTシャツに綿パンツ姿の浩之さんがともにリビングへと入ってくる。
「だって〜、なかなか起きないんだもの」
「限度があるだろ、限度が」
まださっきのことで揉めているらしい。
一体どんな起こし方をしたんだろう?
・・・・・・起こすといえばマルチはどうなったんだろう?
「浩之さん、マルチはどうしたんですか?」
「ああ、さっきスリープモードを解除したばっかりだから今はシステムが立ち上がってるとこだよ。すぐに来るさ」
「はわ〜、おはようございます」
噂をすれば何とかってやつだ。
黄色パジャマのマルチが眠そうに目をこすりながらこちらへと歩いてくる。
昨日のうちに神岸さんが着替えさせて布団に寝かせたらしい。
お、一回あくびもしたぞ。
やっぱりどう見てもメイドロボになんか見えないよなぁ。
すごく自然すぎるってか・・・。
630元祖!メイドロボのテスト:05/02/15 01:02:59 ID:rTTWyzyS0
それより眠たそうだなぁ。
それじゃあ、ここはひとつ―――。
「マルチは食べ物も食べれるんだよな」
「はい・・・少しくらいなら・・・」
「じゃ、はい」
と、目の前に出したのはコップ一杯の牛乳。
「これで目を覚ませな」
「ありがとうございます・・・」
ゆっくりと手をかけると冷やされた牛乳をこくんこくん、と少しずつ飲み込んでく。
あっという間にコップは空になり、口の周りがちょっと白っぽいけどマルチはすっかり目を覚ましたようだった。
「ご馳走様でした」
「お粗末様」
にこっと笑ってコップを取り上げて流しへと置いておいた。
「それじゃ、ご飯にしましょう」
「はーい」
みんなそろって椅子へと座る。
久々だな、うちでこんな風に大人数で朝食を取るなんて。
親父たちが行って以来かな。
「いただきま〜す」
「いただきます」
631名無しさんだよもん:05/02/15 01:38:26 ID:/TbBx2kj0
>>625
に〜ちゃんの文章おもろいなぁ〜。
ジェットコースターみたいに勢いあって楽しかったで☆
632名無しさんだよもん:05/02/15 02:53:20 ID:rdMCamnGO
ギャルゲ板の本ヌレでネタになってる草野球編を書いてホスィ。
633名無しさんだよもん:05/02/15 03:50:19 ID:iuJjB/Tn0
あれはきっちり書けば面白そうだな
こみパOVAの3話みたいになりそうだがw
634名無しさんだよもん:05/02/15 08:37:10 ID:Bushtfd30
>>624
ハゲワロスw
話としてもまとまってておもろい
ここ最近は雄二ブームですか先生
635名無しさんだよもん:05/02/15 10:54:33 ID:L9Gwd/Iu0
雄二の勘では瑠璃の方が与しやすいのか。
636606:05/02/15 10:57:28 ID:NFXnWXd/0
遅レスだけど、取り敢えずレスだけでも・・・

>>607
>…つーかもう書いたのかよ!はやっ
書いた時間短かったのは、一気に書かないと頓挫すると思ったんでw
元々、筆不精だし・・・・・

>>610
>物語の延長を望んでる読者
ノシ
ってか、タマ姉シナリオ短過ぎ・・・・・('A`)
このみシナリオだとタマ姉にもフォロー入るのに
タマ姉シナリオだと、このみはおろか三人娘も放ったらかし・・・


野球SS、面白そうですね。
相手チームが出来れば(誰かが)書けそうな気も・・・

後、ここってやっぱ非・微エロ系のSSって少ない?
まあ、21禁板だから仕方ないのかもしれないけど・・・
漏れは、エロを書くにはまだまだ力が足りない・・・・・
637名無しさんだよもん:05/02/15 11:04:26 ID:Gr59Nu7P0
相手チームはCLANNAD or1のキャラで。
638名無しさんだよもん:05/02/15 11:25:46 ID:nBlFQ36t0
サッカーなら書けそうだけど、あんまりSS向きではないわな。
永田さんあたりなら余裕でできそうだけど。
639名無しさんだよもん:05/02/15 12:17:06 ID:E3Yfp5sU0
意表をついて相手チームは北朝(ry
6400/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:38:49 ID:LCH7a5g90
 前回までのあらすじ
 貴明と愛佳が結ばれたことで、必然的に出会った雄二と郁乃。郁乃が雄二をいい男と言ったことを拡大解
釈した愛佳の後押しで、ふたりは友人となり、今は恋人関係。
 郁乃に無理やり連れ出された海で通り雨に降られた二人はホテルで雨宿り。
 そしてついに二人は結ばれた……のだけど。
 ちょっと長めなエピローグの始まり。

第一話から第十一話はこちらで。
ttp://www.geocities.jp/koubou_com/
6411/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:39:31 ID:LCH7a5g90
 滑らかな長い髪をゆっくりと撫でていた。
 不思議なもので一度達してしまうと裸で寄り添いあってることの照れくささはまったく感じなくなっていた。
「……ちょっと寒い」
 空調が効き過ぎているのかもしれないと、ベッドの傍にあるパネルを操作する。それから重めの布団に二
人して潜り込むと、郁乃は雄二に抱きついてきた。
「ん、あったかい」
 左腕を曲げて、腕の上の頭を抱え込むように撫で続ける。余った右手で郁乃の肩に触れる。ゆっくりと肩
から腕にかけて手のひらを動かすと、郁乃は少しくすぐったそうに身をよじった。
「……もう」
 ぎゅっと郁乃の手が雄二の鼻をつまむ。
「ごめんごめん。ギブギブ」
 鼻をつまんだ手を取って、握る。
「……雄二さんは優しいよね。……でも、あたし知ってるの。雄二さん、優しいだけじゃないよね」
「……え?」
「ううん。独り言」
 そう言って首を振る郁乃の顔は幸せそうに見えたので、雄二はそれ以上なにも聞かなかった。
「あ、そうだ。雨止んだかな?」
 ベッドから抜け出して、窓を小さく開ける。小さく切り取られた空は、さっきまでの雨が信じられないほどの
青さだった。
 振り返るともそもそと郁乃も布団の下から這い出てくる。
「シャワー浴びないと……。雄二さん、手伝って」
 伸ばされた郁乃の手を掴んで、その軽い体を抱き上げる。
「お姫様ダッコされて初めて通るドアは風呂場です」
 そう言ってくすくすと郁乃が笑った。
6422/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:40:13 ID:LCH7a5g90
「あんまり乾いてないね」
 顔を見合わせて苦笑する。
 風呂から出てきて服を着ようとしたものの、脱ぎ散らかしたままの服はほとんど乾いていない。とはいえ、
外は快晴だし、もともとずぶ濡れというわけでもなかったから、そのまま袖を通してしまう。
 お金を払ってホテルを出ると、濡れた地面に太陽の光が反射して、きらきらと世界が輝いていた。
「ちょっと眩しい……」
 雄二は日傘を二度三度振って雨の滴を払うと、車椅子に深く掲げた。
「そろそろ帰らないと委員ちょがパニックで入院しかねないな」
 懐から電源を切っておいた携帯電話を取り出して電源を入れる。そしてそのまままた懐に戻そうとしたとこ
ろでメールを着信する。メール受信欄を開くと、
「げ、34件、マジかよ……」
 何件か貴明から来たものもあったが、それ以外はすべて愛佳からだった。おそるおそる最新のものを開こ
うとしてボタンを押した瞬間、着信があってそのまま画面は通話中に変わる。
「あ、はい、えーっと向坂です」
 慌てて携帯電話を耳に当てる。
――向坂くんっ! なにやってたんですかっ!
 その瞬間耳を貫いたのは、携帯電話としてありえないほどの怒声だった。耳がキーンとなる。
――……あ、あや、ご、ごめんなさい。すみません。すみませんすみませんすみま……――
 一方で電話の向こうでは周りに謝っているらしい愛佳の小さな声が聞こえる。
――コホン、向坂くん、郁乃はそこにいるんですか?
「ああ、ちゃんとここにいるぜ」
 ほう、と電話の向こうから聞こえる吐息。
――分かりました。とりあえずそれならいいんです。でも、せめて連絡はつくようにしておいてください。
「ごめんな、委員ちょ。悪かった」
――心配してたのはあたしだけじゃないですから、すぐ戻ってきてくださいね。
「ああ、分かった。ちょうど今から帰ろうと思ってたとこなんだ」
6433/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:40:56 ID:LCH7a5g90
 電車に乗って二人の街に戻る。
「お姉ちゃん怒ってた?」
 恐る恐るという雰囲気で郁乃は雄二の顔を伺う。雄二が苦笑いして郁乃の頭を撫でた。
「いや、でもすごい心配してた。謝らなきゃな」
「うん。そうだね」
 二人で電車の窓から青空を眺める。太陽は傾き始めていたが、まだまだその強さを保ったままなので、雄
二は注意して郁乃ができるだけ日陰になるような位置に車椅子を止めている。
「……本当はね、やっぱり不安だったの」
 郁乃の目は青空と、行き過ぎる風景に向けられたままだ。雄二は一瞬だけ郁乃の顔を見たが、郁乃の視
線を追うように窓の外に目を向けた。
「雄二さんがあの人と歩いててね、すごくお似合いだって思ったの。……それでね、ああ、あたしはあんなふ
うに雄二さんと並んでは歩けないんだって分かっちゃったの。それがね、悲しかった……」
「……大丈夫さ。郁乃だって歩けるようになる」
「うん。でもね、もう平気……」
 郁乃の手が伸びて、雄二の手を掴んだ。ぎゅっと握り締めあう。
「雄二さんがね、あたしの全部を受け入れてくれたから……、もうなにがあっても平気なの」
 二人は微笑みあう。
 柔らかな時間は穏やかに過ぎ行き、あっという間に二人を見慣れた街まで連れて行った。
 電車から降りてすぐに雄二は携帯を取り出す。罪滅ぼしというわけではないが、愛佳にはこまめに連絡を
入れたほうが安心だろう。そう思ってリダイヤルするとすぐに愛佳は出た。
「ただいま。もう駅についたよ」
――あ、それだったら北側の改札に出て頂けますか? その、もうついてますから。
「お、了解」
 電話を切ると、くいくいと郁乃の手が雄二の服を引っ張った。
「お姉ちゃん、なんだって?」
「もう駅についてるらしい。というか、ずっと駅で待たせちゃったかもな」
6444/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:41:38 ID:LCH7a5g90
 愛佳に言われたとおりに北改札に向かうと、自動改札機の向こうに手を振る愛佳が見えた。こちらが手を
振り返すと、ほっと両手を胸にあてて息を吐いた。実際に郁乃の姿を見るまで心配でならなかったのだろう。
 改札を出ると、すぐさま駆け寄ってくる。
「もー、本当に心配したんですよ!」
 ぷんぷんと両手を振り回す愛佳。
「悪かった悪かったって」
「お姉ちゃん、ごめんね」
 郁乃も素直に謝る。愛佳の手がその頭を撫でた。
「いいのよ。お姉ちゃんも郁乃の気持ちもっと考えてあげないとダメだったね」
 そしてくるりと雄二に振り返る。
「向坂くん、その申し上げにくいのですが、うちの両親の気が少し立ってますので、病院へは」
「あ、そうか、すまん。ちゃんと謝りに行ったほうがいいんじゃないか?」
 ふるふると愛佳が横に首を振る。
「今日のところはあたしが取り持っておきます。少し時間を置いたほうがいいと思いますので」
「委員ちょがそう言うんだったらそうするよ。その、全部俺が悪かったということにしておいてくれないか」
「それは……ダメ」
 郁乃が雄二の服を掴んで、首を横に振る。
「お姉ちゃん、あたしが雄二さんにお願いしたの」
「……はいはい。二人とも悪かった、ということでいいですか?」
 愛佳の微笑みに二人は顔を見合わせあい、そして頷いた。
6455/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:42:20 ID:LCH7a5g90
「まったく……本当に心配したんだからね」
 もう何度目だろうか。雄二と別れた後、車椅子を押す愛佳は何度もそう呟いていた。
 最初は神妙な気持ちでそれを聞いていた郁乃だったが、流石にそれが二桁を数えようという頃になると、
そうも言ってられなくなってくる。
「お姉ちゃんは心配性すぎるのよ」
「だってあんなことがあったすぐ次の日なのに……」
 それは郁乃もそう思う。随分と無茶をしたものだ。もし郁乃が愛佳の立場だったらもっと怒っていただろう。
しかし――。
「うん。そうだね。でもね……海いけて本当に良かった……」
 それが郁乃の純粋な気持ちだった。
 そっと目蓋を下ろせば、青い空に青い海、雲の白と潮の白、潮騒まで甦ってくるように思える。
「本当に、もうこんな無茶は止めてね。どうしても行きたいところがあるなら言って。お願いだから……」
「……お姉ちゃん……」
 郁乃は少し微笑んで、愛佳に手招きをする。
「……?」
 首を傾げて、愛佳が車椅子を止め、郁乃の前に回った。
 郁乃はさらに手招きをして愛佳の顔を呼び寄せる。
「……あ……」
 そして郁乃の手が愛佳の頭を撫でる。ゆっくりと慈しむように。
「ごめんね。心配させちゃったね」
「……いいのよ。もう。なにもなかったんだから……」
 なにもなかった。その言葉が郁乃の悪戯心を刺激する。
「ね、お姉ちゃん、貴明とどこまで進んだの?」
「なっ、なによ。急に」
 愛佳の頬に朱が差す。
「まさか――まだ――キスだけなの?」
 くすくすと郁乃は笑う。その笑みに余裕が混じっていることに愛佳は気付く。
「ま、まさか……って、郁乃、まさか、え、ええっ、ええええぇぇ!?!?」
6466/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:43:03 ID:LCH7a5g90
 郁乃と別れた後、雄二はまっすぐに家に帰った。郁乃との確かな絆を手に入れた今、春乃に謝罪しなくて
はいけない。ひとつはもう確実に春乃に振り向くことはないということ。そしてもうひとつは昨夜の酷い態度に
ついて、だ。いくら余裕が無かったとは言え、あれは男の態度ではなかった。
 玄関を上がり、まっすぐに春乃が滞在している客間に呼びかけるが、返事がない。そっと障子を開けて見
たが、どうやら留守にしているようだった。仕方なく自分の部屋に帰ると、部屋が片付けられていた。絨毯の
オキシドールが広がった後が少し色落ちしている。あの後、春乃は一人で後片付けをしたのだろう。
 心から申し訳なく思ったが、相手がいないのではどうしようもない。
 雄二はベッドに寝転がると目を閉じた。
 一日郁乃の車椅子を押していて疲れていたのかもしれない。
 そのまま雄二は深い眠りに落ちていった。
 ――――。
 どんどんどん!!
「雄二、起きなさーい!!」
 雄二は夢も無い深い眠りから浮き上がるように目覚め――なかった。
 頭が、体が重い。
 いつ眠ったのかは思い出したのに、眠った瞬間に目覚めたような気がする。しかしカーテンも閉めていな
かった窓から差し込んでくるのは確かに朝の光だった。
 ドアを開けて中を覗き込んできた環が、雄二の様子に気付いてベッドの脇までやってきて、雄二の額に手
を当てる。
「雄二、あんた熱あるじゃない」
「……うそ、マジかよ。バカは風邪引かないんじゃなかったのか?」
「自分でそれ言ってる時点で頭回ってないでしょ。アンタ。ちょっと寝てなさいよ」
 布団の上に寝てたのを、環に無理やり布団の下に押し込まれる。
 どたばたと環が春乃を呼ぶ声が聞こえたりして、少しすると救急箱を抱えた春乃を連れて環が帰ってき
た。二人並んでベッドの脇に腰を降ろし、救急箱から体温計を取り出すと雄二に咥えさせる。
 おわ、咥えさせるならその前に拭けよ、姉貴。と思ったものの、咥えさせられた以上喋るわけにもいかず、
頭もまた回らなかったので雄二はそのままにしておいた。
6477/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:43:46 ID:LCH7a5g90
「――8度1分、まあ医者にかかるほどでもないわね。今日は一日寝てなさい。いいわね?」
「あ、でも郁乃、迎えにいかないと」
「雄二、アンタはバカだけど今日は輪をかけてバカになってるようだから、素直に私の言うことを聞くように。
郁乃さんに風邪がうつったらどう責任取るつもり?」
「あ……そうか……」
 以前に聞いたような気がする。郁乃はただの風邪でも大事になってしまうのだ。
「私が行って伝えてあげるから、安心して寝てなさい。いいわね?」
「……分かった」
 頭が回っていないのは間違いないようなので、逆らうに逆らえなかった。――それからどれくらいの時間が
過ぎたのだろう? 春乃がこまめに額に乗せられたタオルを変えに訪れる度に目が覚める。もとより眠りは
深くないので不快ではない。春乃がまだいるということはそれほど時間が経っていないのだろうか?
「……春乃さん……」
「はい」
「……ありがとう。それとごめん」
 春乃が首を傾げる。
「どうして謝られるのでしょうか?」
「……キミの気持ちは嬉しい。でも応えられない。俺の気持ちは変わらない」
 春乃は何も言わずに雄二の額から乗せたばかりのタオルを手に取り、もう一度冷水につけなおすと、細い
腕で力を込めて絞り、さっきよりも広めに折りたたむと額から目にかけてまでをタオルで覆った。それで雄二
にはなにも見えなくなる。
「雄二様がそう仰ることは分かっておりました」
 ふぅと春乃が長く息を吐く音が聞こえる。
「私ももう無理は言いません。体面の問題もありますから、明後日の見合いだけは形だけでも来ていただき
ませんと困りますが、お父様もおじさまも私の方から説得してみせます。愛する人と結ばれたいという気持
ちはよく分かりますから」
「ごめん……、ありがとう……」
「いいえ、お気になさることはありません。雄二様にはこれで貸しひとつですわ」
 そして次の瞬間、雄二の唇に少し湿っぽい感触が触れる。
「……これで貸し借りなしです」
 びっくりしてタオルを外そうとした雄二の手を、春乃の手が押さえる。
「……お願いです。何も仰らないでください。何も見ないでください。何かを感じたのならお忘れください」
 震える春乃の声に、雄二はもう何も言えなかった。
6488/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:44:30 ID:LCH7a5g90
 風邪薬の所為だろうか、意識は飛び飛びで時間の感覚はまるでない。寝ているようで起きているような感
覚。春乃はずっと雄二の傍にいる。流石にそろそろ雄二にも春乃が学校を休んだということが理解でき始め
ていた。それはこれが最後だからだ、と、雄二にも分かる。
「――雄二、ちゃんと寝てる?」
 ドアが開いて環が顔を見せる。環は郁乃に伝言を伝えに行ったはずで、学校を休むわけはないだろうか
ら、すでに時間は放課後を回ったということなのだろう。雄二にはあまり実感が無い。
「……雄二、あのね……」
 環がらしくもなく口ごもる。
「……意識はっきりしてないようだけど、言わなきゃいけないと思うから言うわ」
 環の苦虫を噛み潰したような顔。環のこんな顔を見れるのは雄二のこれまでの人生でもそう何回もあるま
い。奥歯をかみ締め、環は言葉を探している。
「あの……私は席を外しますね」
 空気を察したのか、春乃が立ち上がって部屋を出て行く。それを見送ってたっぷりと時間を待ってから、環
がゆっくりとその言葉を吐き出した。
「……郁乃さんが合併症を起こしたわ……」
「……え?」
「……状態がね、あまり良くないらしいのよ……」
「どういうことだよ!」
 飛び起き――ようとして、ぐらりと視界が揺れ……床に倒れる。
 慌てて駆けつけた環に支えられてベッドに戻った。
「郁乃は、郁乃は大丈夫なのか?」
「……朝の状態ではなんとも言えない……」
「俺か!? 俺の所為か!? 昨日、郁乃を海に連れ出したり……」
 そして抱いたりしたから……!!
「……そう、かもしれないわね……」
 目を伏せて環は首を横に振った。
6499/9 ただ心だけが 12:05/02/15 20:45:12 ID:LCH7a5g90
 環が部屋を出て行ってすぐ雄二は携帯を充電器から取り上げた。メモリーから愛佳を選び出し通話ボタン
を押す。呼び出し音を聞きながら雄二は心の重みは胃の辺りに落ちてくるのだということを知った。
 この電話が愛佳に繋がったとき、なんと言えばいいのだろうか。雄二には考えもつかない。ただ電話しなく
てはいけないと思っただけだ。
 かたかたと耳に当てた携帯が震えている。否、それを持った雄二の手が震えている。
――留守番電話におつなぎ――
 一度切ってかけなおす。
 愛佳は病院にいるのかもしれない。いや、そうだとしたら電源を切っているはずだ。愛佳は必ず病院に入
る前に携帯の電源は切るようにしていた。
 るるるる、と呼び出し音が鳴り続ける。愛佳は出ない……。
 もう一度切って、リダイヤルする。
 お願いだから出てくれ、という思いと、いっそこのまま愛佳が電話を取らなければいいのに、という思い。
 どちらが自分の本当の思いなのか分かるより前に、ぷつっという音とともに通話が繋がった。
「もしもし、委員ちょか!?」
――……向坂くん……。
 愛佳の声は冷たく、重い……。
「郁乃は……、郁乃は大丈夫なのか?」
――それが……その……昼過ぎから病状が急変したそうで……
 体の中を冷たいものが滑り落ちていく。
――……今は……面会謝絶に……
 愛佳の声は疲れ果てている。魂のほとんどをどこかに持っていかれてしまったような沈んだ声。
「委員ちょ。なにか、なにか俺にできることはないのか?」
 熱の所為で考えがまとまらない。ぐらぐらと視界が揺れる。
 愛佳からの返事は無い。沈黙が重くのしかかってくる。
 やがて……
――……向坂くん……、郁乃は向坂くんと結ばれて幸せだったんですよね……。
 携帯の向こうから聞こえてくる愛佳の声が、雄二にはどこまでも遠く、遠く聞こえた。
650ただ心だけが 12:05/02/15 20:45:56 ID:LCH7a5g90
 今回からはすこし長めのエピローグ。次回で終わるか、まだ先かは、なんとも。
 郁乃の病気はなんなんだ、という話題がちらりと出てましたが、特定の病名をしっかり出して作品を書くの
であれば、それこそ実際に取材に出かけるなどしなければ、同様の症状に苦しむ方、そのご家族の方に強
い不快感や悲しみを与えてしまうかもしれないと思い、わざと自己免疫疾患に類する病気の症状を混ぜこ
ぜにしております。一体なんていう病気なんだと深く考察して、こんな病気はねぇよというのは当然ですので
ご承知くださいませ。
 原作のほうでもはっきり当てはめることができないように書かれていたのだと個人的には思っております。
 ところで天使の卵っていい小説だったよね。俺の恋愛小説の原点でもある作品です。
651名無しさんだよもん:05/02/15 20:52:29 ID:zqzNHjMa0
>>650
GJ!

…けど、郁乃ー!(つдT)・゜。
652名無しさんだよもん:05/02/15 20:56:49 ID:LCH7a5g90
480k越えたから勝手に自分とこのテンプレ案で新スレ立ててきた。

ToHeart2 SS専用スレ 4
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1108468421/
653名無しさんだよもん:05/02/15 20:59:04 ID:Z8TJjt6t0
654名無しさんだよもん:05/02/15 21:01:07 ID:Z8TJjt6t0
>>652だったorz
655名無しさんだよもん:05/02/15 22:39:55 ID:YyO+leMn0
>650,652
乙。
エピローグという感じのしないエピローグですな。

656名無しさんだよもん:05/02/15 22:43:15 ID:l51YZALd0
>>650
正直に言おう。
最近俺はあなたのSSを読むためだけに2chに来ている。
激しくGJだ!!
657名無しさんだよもん:05/02/15 22:51:12 ID:Qe8BeCk0O
>>650
フオ〜!続きが気になる!!
658名無しさんだよもん:05/02/16 00:35:18 ID:NY2FI3fu0
>>650
天使の卵。いい小説だったと思うぞ。
ただ、郁乃ー。生きて欲しい。
659名無しさんだよもん:05/02/16 01:05:45 ID:TBEJSwUm0
>>650
この作品を読んだとき、昔見た映画のことを
(確か骨肉腫に罹った少女を題材にしたもの)、
懐かしく思い出していました。
当時、子供心に強く感じた無力感が、今また
思い返されるのです。あのときの私は、医学の
進歩を強く願ったものでした。

キャラの幸福を願う心はあれど、それはまずは
さておいて、貴殿の目指したかった結末を、
私も見てみたいのです。
物語を読み終えた後、それについてずっと考え
続けられるような余韻を、貴殿の作品に求めて
いるからかもしれません。

続きが、楽しみです。
660名無しさんだよもん:05/02/16 01:30:55 ID:fxXzIa3uO
>>650
今まではROM専だったが言わせてくれ。
ホンッットに続きが楽しみです。
雄二がめちゃくちゃカッコいいなぁ。
>>659の言うような、考えさせられるような、それでいて心地よい余韻が残るような素晴らしい締め括りを期待しています。超がんがれ
661名無しさんだよもん:05/02/16 02:02:57 ID:CHWrGnjAO
雄二x郁乃の人…


当スレのSS番付1位に認定しますた。


お め で   ♪
(゚∀)人(゚∀゚)人(∀゚)
662名無しさんだよもん:05/02/16 05:19:21 ID:0mT1bYpq0
>>650
天使の卵。
良い小説だ。大好きな小説だ!
だが言わせてくれ。郁乃、生きろっ(つД`)
あなたのSSは大好きだが、
天使の梯子編書いてくれるって言ってもそれでも郁乃には生きて欲しい。_no
663531:05/02/16 06:43:00 ID:DKE2F1yo0
ttp://www.geocities.jp/saotome_99/twoface01.html

凄いペース遅いですが1話目うpしました。
我楽多工房さんと内容かぶりそうで「やべぇ!」と内心焦ってる次第です。
未だに方向性が決まりません。
やっつけ仕事の賜物ですねorz
664名無しさんだよもん:05/02/16 09:41:44 ID:u5Wx1sKG0
つi
665名無しさんだよもん:05/02/16 10:26:52 ID:YUK3p37j0
>650
投下を始めてから、楽しみに読ませてもらっています。

言うか言うまいか悩んだのですが、どう思っているのかも知りたいので書かせてもらいます。

8話以降、どうにも話の雰囲気が変わってしまっているような気がしてなりません。
シリアスになった、物語が佳境の入り口に入ったというだけではないような気がします。

まるでゲーム本編の中盤以降のような、読者の気持ち、キャラの気持ちが追いついていないように思われます。
郁乃あたりなんか、初めてできた友達への独占、嫉妬からの勘違いでしたという最後まで想像してしまうような展開です。


ともあれ、物書きとしてのルール、ポリシーを持たれて描かれており、非常の面白いと思っていることにかわりはありません。
ちょうどその時期、体調も崩されていたので、いろいろあったのでしょう。

次、楽しみにしてます、がんばってください。
666かおりんAfter 1-1:05/02/16 20:23:25 ID:tR9rjBc40
あれから幾つかの季節が過ぎ去り、新しい出会いの季節または始まる。
「えへ〜、タカくん、タカくん今日から新学年だよ」
俺の隣を歩くこのみが嬉しそうな顔でそう言った。
「別に進級なんて留年しない限りするもんだし、
 俺なんて進路関係で面倒だし。別に嬉しくもねぇな・・・・」
俺の言葉を聞き、このみは少し機嫌を悪そうな顔をして。
「も〜、タカくんは浪漫がないよ〜。新しい友達とか新しいクラスとか楽しみじゃないの?」
「浪漫って、お前は雄二かよ・・・・」
「いいこと言ったぞチビ助!!そうだ、新しい出会いだ。恋の一つや二つが待っているものなんだよ!!」
少し上の方から声が聞こえてきた、そうか話をしている間にいつもの待ち合わせに着いたんだな。
「ユウくん、おはよ〜。ユウくんならわかってくれる気がしてたよ〜」
「おはよ〜さん、なんかこのみと雄二の意見が合うのもめずらしいな」
いつものように挨拶を済ます。でも今年からいつもいたはずのタマ姉がいない。
「そうか、タマ姉は今年から九条院の大学なんだよな〜」
「うん、ちょっと寂しいけど・・・。またいつか必ず会えるから。このみはその時が楽しみだよ〜」
そうだな、どんなに離れても自分がその人を思う限り必ずもう一度会えるんだよな。
「へへへ、こっちは姉貴が向こうへ言ってくれたおかげで晴れて自由の身だぜ」
「そんなこと言ってもタマ姉が帰るときに寂しそうにしてたのはどこのどいつだよ」
「ぐっ・・・うるせぇよ、お前こそ遠距離恋愛中の彼女とはどうなんだよ!!」
「ぐ、別にそんなこと今は関係ないだろうが!!」
「もう、タカくんもユウくんも喧嘩してないで学校行こうよ〜、初日から遅刻なんて嫌だよ」
「まぁ、そうだな。とっとと行って新しいクラスのメンバーの面でも眺めに行くか」
そうして俺達はいつもと変わらない通学路を歩き出した。
「わ〜、タカくん掲示板の前が人でいっぱいだよ」
間もなくして学校につき、クラス発表の紙が張られている掲示板を見に来たがいいが暫く見れそうもない。
「それじゃ、このみは2年生の方に行って来るね。帰りは玄関で待ってるね」
そう言ってこのみは2年生の掲示板へ向かっていった。
667かおりんAfter 1-2:05/02/16 20:24:30 ID:tR9rjBc40
「貴明さんに雄二さん、おはようございます」
後ろから俺達を呼ぶ声が聞こえ振り返ると草壁さんが立っていた。
「おはよ、草壁さんはクラスの発表もう見たの?」
「いえ、私も来たばかりなのでまだ見てません。また一緒のクラスになれるといいですね」
そう言って俺の方へ微笑んだ。
「お二人さん、もうそろそろ人も散ってきたから見に行こうぜ」
雄二にそう言われ、掲示板の方を見てみると来た当事よりだいぶ人が減っていた。
「よし、そろそろ行くとしますか」
そうして俺達は掲示板の方へ向かっていった。
「そいじゃ、まずは順番に沿ってA組だな。えぇ〜と・・・・おっ、俺の名前発見したぜ貴明」
「俺はお前の名前のすぐ下だよ。大体、あいうえお順なんだから俺達は番号近いだろうが
 それにしても・・・・お前とはいつもクラスが一緒だな・・・呪われてるのか?」
「まぁ、そう言うなや。で、草壁さんはどうだった?」
「残念ですが、私は一緒のクラスではないみたいです。でも一つ気になったことがあるんですよ」
「そっか、草壁さんは違うのか〜。で気になったことって?」
俺がそう聞くと、草壁さんが掲示されている紙を指差しながら。
「ここですよ、この名前って確か」
そう言われ彼女の指差す方を見てみると。
「えぇ〜っと、笹森花梨。って笹森さんと一緒か落ち着けなそうだな・・・・」
「違いますよ、貴明さん。その上ですよ」
どうやら違ったようだ、また掲示板に目を戻す。
「ん〜っと、工藤玲於奈?・・・・って工藤さん!?なんで同姓同名とかじゃ・・・」
「貴明、この名前はあんまりいないだろうよ・・・・でも本人だとしてもどうして?」
「ですよね・・・私もこれが気になっていたんですよ。あっ私はさっき見てきたんですけどB組でした」
そんな疑問を抱いているうちに予鈴が聞こえてきた。
「まぁ、教室に行けばわかるだろうよ。行こうぜ貴明」
「あぁ、そうだな・・・」
疑問を残したまま俺達は新しい教室に向かって行った。
668かおりんAfter 1-3:05/02/16 20:26:00 ID:tR9rjBc40
「タカちゃ〜ん、一緒のクラスだよ!!
 これでいつもの様にミステリな話し合いがいつでもできるんだよ」
教室に入るなり笹森さんが俺の方へ向かってきた。
「そんな話し合いしたこともなければこれからもする気はないよ」
俺がそう返すと笹森さんはつまらなそうな顔をして。
「もう、タカちゃんはその場の空気を読んでないんだよ、こう言うときは
 『会長!!ミステリ研の未来は輝かしいものになるさ俺達二人で頑張って行こう!!』
 ぐらい言うのが普通だよ」
「俺には笹森さんの普通がまったくわからない」
「もう!!タカちゃんにはUFOが来たってUMAを発見しても呼んであげないんだから!!」
由真?どうしてそこで由真が出てくるんだ?俺が疑問に感じていると笹森さんは席の方へ戻って行った。
どうやらこのクラスに俺の安息の場がないことが教室に入った途端に判明した。
「お〜い、そろそろお前ら席に着け」
暫くして新しい担任の教師が入ってきた。
「今日からお前らの新しい担任だからな。一年間よろしく頼むな」
担任はよくある無難な挨拶を始めた。だが俺は俺の隣が空席であることが気になっていた。
「そして、お前らに重要な連絡がある」
嫌な予感がする・・・・これは朝の疑問の答えなのだと思う。
「転校生がいるんだ。前に少しこの学校にいたんだが短い期間だったから知らない奴も多いだろう」
あぁ・・・やっぱり。でも何故、彼女がこの学校に?薫子からは何も聞いてないし・・・・。
「よぉ〜し、入って来い」
教室の入り口が音を立てて開いた。生徒の視線はその方向へ向けられる。
俺も雄二もその方向へ目を向けてしまう。やはり彼女だ。
「工藤玲於奈です。これから一年間皆様よろしくお願いします」
彼女は挨拶を済ませ、一つの空席に腰を下ろした。そう、俺の隣だ。
「それじゃHRは終わり、始業式まで少し時間があるから自由にしてていいぞ。ただし教室からは出るなよ」
さて、それでは俺の疑問の答えを聞かせてもらうとしますか。
そうして彼女の方に目を向ける。
669かおりんAfterの人:05/02/16 20:30:07 ID:tR9rjBc40
少し前に言われたように続編らしきものを書いてみました。
投稿するか悩みましたがとりあえず投稿です、容量がギリギリですが。
今回は期限的な制限がないのでのんびりとやっていきます
古いのはスレや保管庫に置いてありますので、気の向いた方はどうぞです。
670名無しさんだよもん:05/02/16 20:32:05 ID:NANt0q5HO
リアルタイムキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
かおりんはずっと読んでました。
だから激しくGJです。
最後まで楽しみにしてます(・∀・)
671名無しさんだよもん:05/02/16 20:53:18 ID:yQv6N3rw0
三人娘ファソには嬉しい限りです。
672名無しさんだよもん:05/02/16 21:07:13 ID:NANt0q5HO
あげてしまった…orz
スマソ
673名無しさんだよもん:05/02/16 23:30:36 ID:tEW1KRpE0
これはまさか3Pの予感か!そうなのか!
674名無しさんだよもん:05/02/17 03:03:42 ID:izAu16xw0
かおりんアフターを書いてくれるとは思わなかった…。
かおりん自体まだ出てきてないけど、楽しみにしてますよ!
つーかサブキャラSSたまんねぇ
675名無しさんだよもん:05/02/17 09:40:08 ID:kSSldplr0
かもりんとの掛け合いがいかにもという感じでナイスだ。
676名無しさんだよもん:05/02/17 11:14:13 ID:01CIgw3w0
494KB
677名無しさんだよもん:05/02/17 16:50:08 ID:eN69hH7u0
>>665
また翻訳サイトの中の人か
678:05/02/17 17:38:43 ID:uO/Nq//U0
再録でスマソだが、投下。
679▲バカップル▲:05/02/17 17:40:23 ID:uO/Nq//U0
 桜色のタイが、風に舞い踊る。
 ひらりひらり、止むことなくいつまでも。
 それはみんなから、愛佳への感謝の気持ち。

 さあ、顔を上げて。
 涙を拭いて、上を向いてごらん。
 愛佳には泣き顔なんか……かなり似合うけど笑ってる方がずっと素敵だから。

 あ、校舎の屋上からこっちに向かって手を振ってる。
 おーーい。ほら、手、振り返してみよう。
 おーーーーーーい。

 ね? 誰も愛佳を無視したりしないし、冷たくしたりもしない。
 だってみんな、愛佳のことが好きなんだから。
 ……もちろん、俺もそんな愛佳のこと大好きだよ。

 愛佳……
 んっ……



「あいつ、学校サボってキスなんかしてやがる……ゆ、許せん!」
「ふぅん、ちゃんとうまいことやってんじゃない」
「ひゃ〜、全校生徒の前で…だいた〜ん」
「先生! まだ5月だというのにこの暑さは近年稀に見る異常気象であります!」
「バカップルだ……」
「バカップル……」

「「 (…………しまったー!!) 」」
680▲羞恥プレイ▲:05/02/17 17:41:54 ID:uO/Nq//U0
「るー☆」

 ……るー。

「なーなー、貴明元気ないなー。どないしたん?」

 別に元気ないってわけじゃないけど。

「ほなら、何で下向いてんの。ひょっとしてお腹痛いん?
 いくら瑠璃ちゃんのごはんおいしいからって、がっつくからやでー。あかんなー、もう。あかんあかん」

 いや俺が気にしてるのはご飯のことじゃなくて、こっち。

「……腕?」

 そう、腕。何故か両横から俺の腕にしっかと絡められてる珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんの腕。

「なーんもおかしなことあらへんよ? ウチと瑠璃ちゃんが貴明とくっつくんはらぶらぶらぶー、の証やで」
「ち、ちゃう、そんなんちゃうもん! ウチ、貴明とらぶらぶらぶーなんてしてへんもんっ!」

 ……えーと。でさ、珊瑚ちゃん。登下校の時にベタベタするのはもうちょっと控えない?

「なんで?」

 なんでって、ほら、皆注目してるし。瑠璃ちゃんもすごく恥ずかしがってるし。
 俺だって今にも顔から火が出そうなくらい恥ずかしいよ。

「それがええんやないかー」

「「 え 」」
681名無しさんだよもん:05/02/17 20:22:57 ID:sCDNUSdT0
         ,. -- ── -
       , ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:` .、
     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
    /:.:.:.:.:.:./:.:.:/:/:.:.:.:./:.:.:/i:.:/l:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.',
   /:.:.:.:.:.:/:.i:.//-Hイi:/ i:./‐i-/i:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
   /:.:.:.:.:.:.iレ レ /__レ リ/  /'" レ l/i:.:.:.:.:.:.:.:.:i
  /:.:.:.:,.:.-!弋'T fi l     ィ T ァリレi/l:./i/
  /:.:.:〈 ヽil  l .| tj.|     |l;i } l/i:.il/l/
 ,':.:.:.:.:ヽ   ゝ.,__」     l:; 」 i/:.! '
  ⊂二 ̄⌒\          /:.:.:| ノ)               
     )\   (    _   ./:.:.|i:.; / \
   /__   )  . __ . <:.:.iヽ:./ /^\)
  //// /       ⌒ ̄_/
 / / / // ̄\      | ̄
/ / / (/     \    \___ 
((/         (       _  )
            /  / ̄ ̄/ /  
           /  /   / /   .       ((( ))).
         / /   (  /           ( -Д-) 
        / /     ) /             ⊂  ._.つ  
      / /      し′             人 Y
    (  /                        し'(_)
     ) /       ...::::::..:::...:...:..  ........      ...:::::::::::....: 
     し′   .....:::::::::::::::::::::::::::.::::::  
     ..::::.::::::::::::::::::::::..::::::::::::::'             
682名無しさんだよもん:05/02/17 20:41:00 ID:01CIgw3w0
498KB
683名無しさんだよもん:05/02/17 21:21:21 ID:pKSFvNpo0
ギャグものはかなり好きです。
684名無しさんだよもん:05/02/17 23:19:50 ID:3GZXoHvS0
なれなれちゅうい
685名無しさんだよもん:05/02/18 12:17:29 ID:Yc0bkvfZ0
ラストだったら郁乃SS書く
686名無しさんだよもん:05/02/18 12:41:25 ID:gjxZtzaW0
オーラス恋人選び
687名無しさんだよもん:05/02/18 14:55:45 ID:mnJxuHXy0
旭化成グループの提供でお送りしました
688名無しさんだよもん:05/02/18 15:58:50 ID:b6i5+hi50
      /`ヽ∠> 、
 +  / /,´     ヽ
     |/〃,´  j、    ヽ
     {  { ノ__ノハ_,,,, } }       
     i  Y''"_,、 _、{ノjノ   +
    (i  l`' ̄ノ ヽ  ゞ;l  
.     iヽ l r `__"_ヽ ,|;/ 
     | .iヽ、~`'''''" /;;ヾ これで終わりか?    
     | i/`r、_-,,,,,,r"ノ''ii{      
     / \ `ー- '"ヽ`ヽ、
  ,-'"~ i   ヽ   /,,\||  ` ::
  ;;,,   フ  ヽ. 〈/ヽ, |   ::''
   '';;,, \   ヽ |  ヽ |,,::''
     '';;,,\   ヽ|,,;;;;;::::
689名無しさんだよもん
                              ζ               /ヽ   / |
                             / ̄ ̄ ̄ ̄\           | |  / /
     ,‐ヽ  /"ノ                /         \           | ヽ‐'、/__,-‐つ
  _  \ \ | /               /\   \   /|      ,,---、/二、 ヽ、,,-'"      
  \゙゙''ヽ‐-‐'"゙''|  ___            _|||||||   (・)  (・) |     ヽ‐-、   ヽ  二ニ⊃
    ゙゙''ゝ  ,‐''''ヽ',,,,-ヽ  ,-‐'''''''''''‐-;;.、 ^ (6-------◯⌒つ |''‐-、       |‐--,,,,、__/  
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       |       / |    ヽ、‐ニ     ^ ^     ‐'''''|   //  \ヽ─‐''"ノ
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