乃木将軍、敵将ステッセルと会見す

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1名無しさんだよもん
【大本営発表一月九日】 一月五日、旅順近郊の水師営にて、乃木希典大将と
露将軍ステッセルが会見せり。会見は左の如くなり。

ステッセル 「貴国皇帝陛下よりの優渥なる御思召を伺い、この上もなき感激を催せり。
承れば、将軍の二児には共に戦死せられしとかや、私が児を思う情より酌みて、
親たる将軍の情たるや如何ばかりぞと」

乃木将軍 「代々サムライの家の事なれば、天皇の為に身を殺すは当然なり。
二児の如きは少しだに意に介し居らず」

ステッセル 「然りとは、健気(けなげ)なり。国家のために家族的幸福と利益とを
ことごとく犠牲に致さるとは真に大人(たいじん)の道なり。ああ、貴国の将士の
勇敢なる実に因る所あるを悟れり」

乃木将軍 「勇敢なりとは、貴国の将士の事なり。健気(けなげ)とは将軍の言行なり」