558 :
名無しさんだよもん:
お、おい、おいっ
559 :
書いてみた:正暦1016/04/02(土) 00:34:31 ID:Kw2sGS2e0
商店街周辺
「ぐ・・お」
男がうつぶせに倒れる。
彼女は死亡を確認するため、男に銃を向けながら体を軽く蹴った。反応は無い。
「ふぅ」ため息をしながら銃をおろす。
そして男の銃(ワルサーPPK)を奪うとそれをスカートのポケットにしまった。
―午前7時頃:駅前:―
「私が来ることちゃんと憶えてるかな、お兄ちゃん」春原芽衣は、電車を降りながらそうつぶやいた。
まあ、確かに変な兄だけど約束忘れたりってことは無かったし、学校行ってても寮の管理人さんが入れてあげるって電話で言ってたし、大丈夫か。
そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか入り口に着いていた。
えーっと、たしかここから・・
芽衣が胸ポケットから地図出そうとしたその時、
―光―
いくつものフラッシュライトを一斉浴びせられたかのような光が芽衣を襲った。
反射的に目をつむる。その刹那、芽衣の体にものすごい衝撃がかかり一気に吹き飛ばされた。
そして意識を失った。
芽衣が目を覚ました時、街はすでに瓦礫の山と化していた。
「な、何、何があったの?なんで、こ、こんなになってるの?」
―落ち着いて、落ち着いて私、落ち着け―
あまりに現実ばなれ(過去に広島、長崎で起こったことだが、少なくとも芽衣にとっては)していたせいか、深呼吸三回ですぐに平静を取り戻した。
―とりあえず電話しなきゃ―
しかし、「壊れてる・・・」
吹き飛ばされた衝撃で携帯は破損していた。
―とりあえず、寮に行こう―
今もあるのかすらわからない。でも他にむかうべき所は無かった。
560 :
芽衣編:正暦1016/04/02(土) 01:07:42 ID:Kw2sGS2e0
しばらく道なりに歩いていると、人影が見えた。―生存者!?―
「おーい!ここですよー!」
駆け寄りながら叫ぶ、声に反応して男が振り向く。
だがその様子は明らかにおかしい。あの光のせいじゃない、何か別の恐怖におびえているようだ。
思わず芽衣は足を止め、「あの・・たいじょうぶ?」と訊いた。
男はつぶやいた。「こ、殺して、やる」
「えっ?こ、なに?」
男は銃(グロック18C)を芽衣に向け、―パンッ―発砲した。
弾は芽衣の右耳のすぐ横を―ビュンッ―と、空気を裂きながら通りぬけた。
芽衣は腰を抜かした。
―えっ?!銃?ホンモノ!?なんで私に?!―
―パンッ―
二発目は芽衣の足元に当たった。
「ひあっ!」
まるでそれがスタートの合図だったかのようにめいは全速力で走り出した。
芽衣は何も考えて―いや、考えられていない。
ただ、全速力で走った。
途中で放棄されると、その、なんだ、困る。
意味わかんねえよっ!
智代の形をした機械は膝をつき、射撃の構えをとっていた。
変貌したその左腕の先に、球状の炎が煌々と灯される。
プラズマ砲――
「プラズマ球の温度は約5500度、太陽の表面温度に匹敵する」
火球は豆電球ほどの大きさに圧縮されながら、
闇夜にマグネシウムを燃やしたように激しい閃光を放ちつづける。
超小型の太陽という常套句が、やけにふさわしかった。
途方もない隠し玉もあったものだ。
訪れる戦慄に、芳野はわずかに奥歯をきしらせる。
その表情に満足したかどうか、厳かに機械は宣告する。
「――死ね」
左腕の先から火球は飛び立った。
プラズマは流星のように駆けた。
照準のど真ん中にあった芳野。
咄嗟に身を翻す。
射線を体が本能的に避ける。肉食獣を見た兎のように。
一瞬前まで芳野が存在した位置を、小さな太陽が貫いた。
「得意のスパナも、こうなっては形無しだな」
「こいつ……!」
怒りとも恐怖ともつかない声が芳野の口から漏れる。
機械のかざす砲口には、もう新しいプラズマが灯っている。
ためらいも容赦もなく、次弾を放つ。
「せいぜい頑張って、寿命を伸ばすといい!」
……まさに脱兎。
考える時間はない。
その敵に背を向けて、芳野は思い切り駆け出した。
そして、いくつもの太陽が芳野を焦がし苛んだ。
実は、夜空には星の数ほどの太陽があり、それらは常時新しく生まれているという。
無数の火球をかいがいしく生産し、芳野へと投げてよこすプラズマ砲は、
もはや宇宙の偉大な力をさえ思わせた。
身をかわしたはずの芳野のツナギに、茶色い焦げ跡がいくつも残っていた。
布地の下の皮膚が、火傷に爛れているのを感じる。
強力な輻射熱。
それは直撃を免れてさえ、なお相手を焼く。
「ぐぅっ……!」
火傷に特有の体液が流れる。
いかん、意識が……!
火線を闇雲に避けるうちに、芳野の体は掩護物の裏に飛び込んだ。
「それで逃げたつもりか……」
機械の頭脳は、ある失望と侮蔑を模倣する。
芳野は太く高い、一本の桜の大木の陰に隠れたのだ。
――確かに、直接照準から隠れるだけなら充分だろう。
だが火炎攻撃を前にしながら可燃物で遮蔽をとるなど、愚の骨頂以外の何物であろう。
よほど焦っての判断ミスか。
それとも機械の私が、桜並木を焼くのに少しでも躊躇すると思ったか?
「スパナで足を分解されたときは驚いたが……。
この絶対的な火力の前には手も足も出まい。さらばだ、人間よ」
電力をフルに投入したプラズマ球が、砲口を離れた。
***
「アハハ。だから言わねえことじゃねえよ」
桜の木の下にぐったりと横たわる芳野に、唾を吐きかけるように愚者は言った。
「お前はドジこいたのさ。かつて、罪が発覚したオレのようにな。
俺は牢屋暮らしで済んだがお前は死ぬぜ。まったく笑っちまうぜ、アハハ」
(まだだ……俺はまだ負けてはいない! 俺は最後の一瞬まで……)
「バカだなお前、あれにどうやって勝つ気よ? 勝つ計算があるんなら言ってみな」
愚者は顎の先で桜の向こう側を指した。
――機械は、もう芳野にとどめをさす必殺の火球を撃つ頃だろう。
(それは……愛を諦めない心で……最後に捨て身の突進を……)
「アハハ。救いようのねえバカだな、お前」
(なんだと……)
「バカなお前に教えてやる。お前、勝算がねえって自分でもわかってんのを
愛が云々って得意の台詞でごまかしてるだけだろ?
もっと具体的に、勝つプランを考えろっつうの。計画的に、狡猾によ」
(……俺に、どうしろと言うんだ……)
「アハハ。オレと同じことはしたくねえんだろ? てめえで頭冷やして考えな……」
***
(狡猾か……俺に足りないもののひとつは、確かにそれだ。
あいつのような、後ろ指を差される悪事には決して手を染めまい。
それでも、敵に対してずるく立ち回ることはできる。
桜の高木。地の利。俺だけが利を得る立場。俺が知っていて敵の知らない事実。
考えろ、利用しろ、何がある?)
炎が迫る。
桜の幹に接触した小太陽が、激しく爆ぜる。
「スパナの攻撃圏内に近づくまでもない。
私は一切のリスクを負わずに、お前だけを焼き殺すことができる。
常に相手よりも有利な状況を作る――それが戦術というものだ!」
黒煙をもうもうとあげ、赤々と燃え上がる桜の大木を目の前に、
機械の頭脳が次に模倣したのは勝利の誇りだった。
プラズマをあらかた撃ち終えた機械が、砲身の構えを解く。
砲身は複雑なモータ音とともに、
何段階もの変形とともにもとの左腕へと収まっていった。
「どれ、奴の焼死体を確認してやろうか」
右脚を引きずって歩き出す。
赤外線を捕らえる機械の目も、このまぶしすぎる猛火を見通すことはできない。
だが、木の下。
機械の目が可視光で捕らえた視界に、芳野の骸は存在しない。
「馬鹿な……!」
幹の近くに、他に掩護物となりそうなものがあるはずもなかった。
機械の頭脳が、円周率の長大な桁を求めるように混乱する。
「どこに逃げ場があるというのだ!?」
「ここだ」
その声が、上方から、降りてきた。
「送電線だと……!」
気づいたときには遅かった。
左腕を火砲へと変化させる。だが、落下はそれ以上に早い。
プラズマ砲が点火したとき、すでに敵は砲身の内側の間合いを落ちていた。
重力の勢いを借りて、袈裟斬りのように左の肩口から鉄塊が強打する。
それは芳野のスパナのレンジ。
ボルトを外すという単純な工程、芳野ならそれを微小時間で完了できた。
砲身が、胴から落ちる。
それはすべてを決した。
「坂上をかたどって作られただけのお前は知るまい。
人々の幸せな暮らしのために、つねに変わってゆくこの町の姿をな。
お前の知らないこの町のことを、俺は利用した――それが地の利というものだ」
送電線――。
それは町の空にかかり、人々に文明の力を供給する網。
芳野はその地理的配置や物理的特性をあらかた頭に叩き込んでいる。
学園のシンボルである立派な桜並木。
樹木が送電線の高さまで、力強く生長していることが幸いした。
桜並木の坂道 011 芳野祐介 ラブアンドスパナ、ほか工具一式
桜並木の坂道 021 ドッペル智代 不明
568 :
芽衣編:正暦1016/04/02(土) 10:39:22 ID:Kw2sGS2e0
569 :
芽衣編:正暦1016/04/02(土) 11:28:55 ID:Kw2sGS2e0
3分ほど走ったのだろうか、芽衣は走るうちにある程度の平静を取り戻していた。
男はなおも銃を撃ちながら追っる。
「きゃっ」
芽衣は何かにつまずきいて転んだ。その間に男が間をつめてくる
「はあ、し、死ねぇぇぇ!」
―バンッ―
撃ったのは男ではなかった。転んだ拍子に見つけた――警察官の死体から銃を奪った芽衣であった。
男は仰向けに倒れた。その衝撃で男の銃がまた火を噴き、ホールドオープン(弾切れ)になった。
―私、人を撃ったの?あの人死んだの?―
芽衣はしばらくの間からだが震えて動けなかったが、平静を取り戻して男の死体を(したくは無いが、この状況じゃあ武器は多いほうがいい)調べた。
男の銃と換えのマガジンを四本(一本はすぐ交換することになったので予備は三本)手に入れた
―お兄ちゃん、大丈夫かな―
わからない、でも今考えても仕方が無いことだ。芽衣はまた歩き出した。
意味わかんねぇよっ!
>芽衣編
・いったんメモ帳で全部書いて、それから投稿しよう
・話数と総レス数を名前欄に書こう
・場所と装備アイテムを最後に付記しよう
何だかよく分かんないけど、男の銃がGlock 18CだったりWalther PPKだったりするのはなぜ?
光パワー
ファミリーレストラン「Ernesto Host」。
長い坂の道沿いに、それはいつの間にか築かれていた。
「――星がひとつ、落ちたか」
男の心に、ひとしずくの悲しみが訪れる。
生命の光が一際大きく瞬き、そして消え去るのを感じた。
男は理解した。
宮沢有紀寧という、少女の死を。
「土方店長。彼女では、奴らにはかないませんでしたか」
「残念だがな…。光に選ばれたあの子なら、あるいはと思ったが…」
破壊結社MIO。その力は、あまりに強大。
(敵を滅ぼします。わたしが止めてみせます!)
兄を失い、町を失い、すべてを失った少女はそう言っていた。
店長と呼ばれた男に、その闘志を止めることはできなかった。
充分な食料と装備を与え、その門出を見送った…。
あまり時間は残されていない。
複数の光が、すでにMIOによって奪取されている。
趨勢を決するには…
「いかなる力や知があっても、いかなる武器を用いようと、
ひとりの人間にできることなどちっぽけなものだ」
店内には、この戦を戦い抜くための物資が蓄積されている。
食料、水、武器、弾薬。だが…。
「最も重要なのは、光をもって共に戦う、仲間を集めることなのだ」
「ではやはり…あの人がキーパーソンですか」
「そう、あの『岡崎くん』だ」
岡崎――。
「…いや、この時代ではまだ『古河くん』か」
岡崎――旧姓古河。
彼女の強い心は、やがて光を集結させるだろう。
いや、なんとしても、集結させねばならん。
時の旅人として、この過ちを修正するために。
古河渚は岡崎朋也と恋に落ち、やがて光の子「岡崎汐」をなした――
過去から未来へつながる、それは因果の連鎖。
引きちぎらせてはならないのだ。
疲れた…。
高校の隣にある、兄の住むという学生寮。
そこに辿り着くには、悪夢のように長い坂を踏破せねばならない。
道の真中で、春原芽衣はがくりと両膝を地に落とした。
ピストル男がいきなり襲い掛かってきてからこっち。
ポケット地図に書いてあるのとはかけ離れたこの町を、こうして何時間歩いたのだろう?
駅から学校まで、孤独と不安に耐えながら、必死に足を前へ前へ出す。
でもすでに、乳酸が全身をギシギシ言わせてる。
ピストルって、意外と重いんだ。もう、歩きたくないよ…。
…不意に、控えめな看板が坂の道沿いに姿を現した。
ファミリーレストラン「Ernesto Host」。
あのお店、やってるのかな…。
やってなくても、椅子に座るくらい、いいよね…。
お冷やくらい、くれないかな…。
朦朧とする意識の中。
全身を最後の力で引きずるように、芽衣は坂の上のその店に体を運んだ。
「――店長。お客様がいらっしゃいました。
1名様。女性、13歳程度。自動拳銃を携行するも、攻撃意図はないようです」
「状態はどうだ?」
「疲労は激しいようですが、目立った外傷はありません」
「そうか。席へご案内してくれ。もし追っ手があれば…私が守ろう」
ファミレス 欠番 春原芽衣 所持品:奪った拳銃
欠番 土方店長 所持品:不明(店には大量の物資)
有紀寧は第9話の登場時からいきなり武器を所持していますが、
彼女のような反乱分子にMIOが武器を支給するわけがないので
きっとMIOに対抗する支援組織があるのだろうと思い、
また病院があるならファミレスがあってもいいようなので。
あと、とりあえず岡崎汐は確実に存在するようですので
未来の朋也と渚が結婚するのも確定していると考えました
577 :
芽衣編:2005/04/02(土) 18:47:55 ID:Kw2sGS2e0
>>575さんとは繋がってません。
>>569の続き
すでに何人殺しただろうか。
突然、実家にある兄の漫画にあった台詞が頭に浮かぶ。
―最初のやつが撃てるか撃てないか、それで銃が使えるかどうかが決まる―
確かにそうだ。すでに罪悪感やためらいは無くなっていた。回数を重ねるにつれて・・・
芽衣は頭を横に振り、考えを断ち切る。―こんなこと考えてる場合じゃない―
警官の銃は弾が無くなった。途中で別の死体を見つけたので時々弾を補充できたが、もうありそうに無い。
芽衣は警官の銃を捨て、PPKに持ち換えて歩きだす。
7分程歩くと、スピーカーを付けた一台のワゴン車が低スピードで走っていた。
芽衣はワゴンの前に立ち、進路をふさぐ。「止まって!」
ワゴンは止まり、スピーカーから声が出る。
「何か御用かな、お嬢さん」
やんわりとした、老人の声が聞こえた
「あの―」 近づこうとしたが、
「おっと!これ以上近づかんでもらおうかの」老人は制止した。
―えっ?そうか私、銃もってるから―
突然老人が尋ねた。
「どうじゃお嬢さん、楽しんどるかね?」
芽衣は驚愕した。老人の言葉が信じられなかった。
―楽しむ?これを?この人もおかしいの?―だがそんな印象は受けない、思い切って訊いてみる。
「何言ってるの!人が大勢死んでるのよ!それを楽しめなんて!」
「あんたも殺したんじゃろう?」
老人が問う。極度に混乱し言葉に詰まる芽衣。今まですぐに平静を取り戻してきた芽衣だったが、今回は違っていた。
たしかに私は人を殺した、でもそれは仕方なかったから、あっちが襲って来たから、
「殺していく内に罪悪感や、ためらいも無くなっていった、そうじゃないか?
「ひっ」声が漏れる。―図星だった―
578 :
芽衣編:2005/04/02(土) 18:52:19 ID:Kw2sGS2e0
芽衣は叫びながらワルサーを連射した。フロントガラスが砕ける。
弾切れを起こした時点で、芽衣は我に返った。老人は姿が見えない。
―あ・・、こ、殺しちゃったの?あの人は?―芽衣PPKを捨て、ワゴン車に駆け寄る。
突然老人は車内に潜めていた上半身を起こし芽衣に発砲した。芽衣が反射的に身をかがみ、ワゴン車の前に隠れる。
老人はアクセルを――踏まなかった。「ふむ、いいじゃろ、相手をしてやろう」そう言って運転席にドアを開ける。
その間に老人は運転席を側転で脱出し、ワゴン車で身を隠した。
「ふっ!」芽衣はいっきに体を起こしながら、グロックを車内に発砲しつつワゴンから見て左に走り、元・民家の瓦礫に身を潜めた。
「どうせなら派手に行くかの」老人は身を隠した状態のままワゴンの後部座席のドアを開けると、大きな銃を取り出した。
―FNミニミ―本来は戦争で敵兵をはなぎ払うように連射する個人携帯が可能な、軽機関銃と呼ばれる部類の銃―いや、マシンガンである。
「さあ、楽しませてくれるかの」
彼女は体勢を低くしたまま動きはじめる。
―――その顔は、喜びに満ちていた―――
芽衣自身は、そのことに気づいていない。
芽衣は、倒壊してほとんど繋がった瓦礫に身を隠しながらワゴンに近づく。
ワゴンの影から老人が飛び出してきた。
「ふっ!」芽衣は老人向けて連射した。だが老人は思った以上に速く、なかなか当たらない
―速い!ほんとにおじいさんなの?―だが芽衣の顔は歓喜に満ちている。
「ふむ」老人は走りながらマシンガンを砲火しつつ瓦礫に隠れた。芽衣はとっさに身を隠す。周りの瓦礫が削られた。
―ちっ、あんなもんが相手じゃ不利ね、なんとか・・・そうだっ!―
芽衣はグロックのマガジンを取り替え、銃をいじくると、低姿勢のまま静かに移動し始めた。
老人は瓦礫を盾にしながら、芽衣のいる瓦礫の裏側にたどり着いた。
無言で瓦礫から飛び出し、マシンガンを構える。
芽衣の姿は無かった。
―逃げたかな―だが気は抜けない、周辺を探索する。
579 :
芽衣編ラスト:2005/04/02(土) 19:00:15 ID:Kw2sGS2e0
芽衣は逃げてはいなかった。静かに老人の後を付けていたのだ。
―グロック18―この銃は拳銃にもかかわらず、フルオート機能がある。
―あの老人は常人離れしてる、周りに注意を払っている時は隙はないと思う。じゃあ隙が出来るのを待って、そこを狙う―
「ふぅ、おらぬか」老人はそうつぶやくとミニミを右手で持ち、携帯電話を取り出した。
芽衣は思った。―今だ!―静かに老人の近くの瓦礫に移動する、そして――
「わぁぁぁぁぁぁぁ!!」芽衣は叫びながら飛び出し、引き金を引く。老人が振り返り、その目が見開かれる
その刹那、グロックから放たれた散弾が、老人の胴体に吸い込まれた。
老人はミニミと携帯を落として仰向けに、まるで社交ダンスの基本ポーズの様な体勢で倒れた。
「勝った?わ、私勝った!!」芽衣は立ったままグロックを降ろし、老人に向かって歩みだし―
―ドンッドンッ―
老人は瞬時にポケットから拳銃(USSR マカロフ)を取り出し撃っていた。
その弾は二発とも、芽衣の心臓を打ち抜いた。 芽衣は仰向けに倒れ、絶命した。
「ふぉふぉふぉ。おしかったのお、お嬢ちゃん。ボディアーマーじゃ」
老人はいくつもの穴の開いたジャンパーの上からそれをなでた。
「む・・」―肋骨を一本やったか―
老人は立ち上がり芽衣に近づくと、ポケットをさぐり、入れっ放しだった学生証を取り出した。
「春原芽衣。春原?ああ、彼の・・」
老人は学生証をジャンパーのポケットに突っ込むと、携帯を拾い上げ電話を掛けた。
「もしもし?伊吹先生」 「幸村先生?何処にいらっしゃるのですか?」
「ちょっと道草をな。すぐ戻る」 「わかりました」
幸村は電話を切りミニミを拾い上げると、
「ああ、そうそう。お嬢ちゃんは殺しを楽しんでたんじゃない、闘いを、楽しんでいたんじゃなあ」
幸村はワゴンに乗り込み、瓦礫の街へと消えていった。
芽衣(死亡)グロック18C
幸村 FNミニミ マカロフ
芽衣編END
本編、がんばって下さい。
>>575さんも。
ワラタ
意味わかんねえよ!
お、おいおい!
矛盾の処理ってどうすんの?
早いモン勝ち? 後から上書き? そのつど協議?
朋也はA(アルファ)の姿を見て、頬に汗を垂らした。
「こいつ、首が180度回転してるぜ」
「し、死んじゃったかなぁ・・・あはは」
「あはは、じゃねぇよ!ってこれ、笑い事じゃないし!」
「ほら、春原もへこんだりしても大丈夫じゃん」
「あいつと一緒にするんじゃねえよ!あれは、人間を超えた生き物なんだ!」
杏がな、なんだってーと言ってる瞬間、信じられないことが起きた。
A(アルファ)が立ち上がり、背中ごしに杏の手足を羽交い締めにして、倒れ込んだのだ。
いや、A(アルファ)だけではない、B(ブラボー)、C(チャーリー)・・・すべて何事も無かったかのように立ち上がり、朋也が気づいた時にはずでに包囲されていた。
が、そんなことより朋也は、もう一つのことに驚いた。それは、
「あ、あの人たち・・・白目向いてます・・・」
彼らが一つ一つ語るに耐えないほど、あからさまに死体だったからだ。
椋は不安でいっぱいになった。
そして、ただ、彼女は朋也に抱きついて、不安をぬぐうしかなかった。
「あ、ちょっとだめだよ朋也君。僕の彼女に手をだしちゃー」
口を膨らませて怒ったジェスチャーをした勝平が、本屋のひしゃげたドアをくぐって、悠々と現れた。
すると、一斉にスメルライクティーンスピリッツたちが勝平の進む道を開く。
「お前、勝平!?」
「あ、名前覚えていてくれたんだ。朋也君にはてっきり忘れられてたのかと思ったよ」
「なんで、お前そんなに冷静なんだ・・・まさか」
「うるっさいなぁ。どっちでもいいじゃん。そんなの僕の勝手じゃん」
「ことみに続いて、お前もか!?」
勝平は頭をぽりぽりかくと、安全装置をはずして、トリガーを引いて、朋也の額に冷たい銃口を当てた。
「僕のことなんて、忘れてたくせに」
「お、お前、撃つなよ!絶対撃たないでくれ!マジで!撃つなよ!そ、そ、そ・・・そんな、わけないだろうが。。。」
勝平はくすっと笑った。そして、銃を下げる。
「別に撃たないよー。やだなぁ・・・別に朋也君が僕を忘れてたなんて、どうでもいいことだし、それより椋ちゃん。さ、一緒に行こう」
朋也に抱きついていた椋は、おそるおそるまるで子ウサギのようにおびえる表情を、異常な勝平にむけた。
「大丈夫だよ。おびえなくても、僕はネクロマンサー、死者を操れる能力を持っているんだ。いっぱい生徒がいた学校もこの力でほとんど殺したし、残っていた仁科さん、渚さん、その父と母、全部殺してる。だから、僕が最強だったりするわけで・・・一緒にいれば大丈夫だよ」
「これ全部、お前が・・。」
「死なないと発動しないからね。少し放っておいた」
椋は恐怖のあまり、声をしゃくりあげて、泣き出した。
そして、勝平に向けて、やたらめったら本を投げて、後ろに後退していく。
「ちょっと勝平!椋に何かしたら、あんたをブルドーザーでひき殺して、骨を木に蒔いてやる!」
「って、それやりすぎだよ!」
ゾンビが揺れ動く恐怖の場所で、あくまで勝平は普通だった。
「ま、いいや・・・常套句だけど、お姉ちゃんがどうなってもいいの?」
A(アルファ)は杏の手を無理矢理引きちぎろうとした。
「痛!」
「やめて!やめてください・・・一緒にいきますから!だからお姉ちゃんを助けて」
「んじゃいこう」
勝平はおびえる椋の手を引っ張って、本屋の外に出た。
そこには、目をつぶったまま決して開かない有紀寧が立っていた。
「なんか、ハーレムみたいだなぁ。ふふふ・・・これで、椋ちゃんと有紀寧ちゃんとあーんなことやこーんなことできるよ♪」
「有紀寧さん・・・死んじゃったの?」
「そだよ。自動モードにすれば、ちゃんと元通りにしゃべったりできるはずなんだけど、おかしいなぁ、有紀寧ちゃんは目をつぶって、全くしゃべらないんだ」
「勝平さん、あなたがこんな人だとは思いませんでした!」
「嫌って結構だよ。どうせ、愛なんてないしねー。愛があったら、僕はガンで死ぬことなんて無かった」
椋は言葉がでなかった。勝平は死んでいる。
そうなのか?ただ、確かにそれを証明するように彼の手は冷たかった。
「椋ちゃんが移ろい気味の売女じゃなければ・・・あの自暴自棄に陥っていたボクを助けてくれて、ガンから救えてたはずなのにね、恋人になれるかどうかもわからない朋也君のところにいっちゃうなんてさ」
「ごめんなさい・・・」
「あ、いいよ。これでボクにも得たものがあったから、この世に恋愛は存在しない。ボクが椋ちゃんに一目惚れするような、椋ちゃんが朋也に憧れるような、”恋”はあると思うけど、恋に愛は存在しないんだ。
恋と愛は一緒じゃないんだとボクはわかっちゃったのさー」
椋はうつむいたまま、無言の有紀寧と気楽な勝平とともに、桜の花びらとともに消えていった。
そして、1時間後の本屋。
スメルライクティーンスピリッツがばたばたと地面に倒れていった。
「何で助けなかったのよ!朋也ぁあああ」
涙を流した杏は朋也を殴りつけた。
「俺が助けたって、やられるだけだ。・・・ごめん。俺できないわ」
「いつも、自嘲ばっか!」
声は無人の街に寂しく轟いていた。
001 岡崎朋也 唐揚げ弁当
002 藤林杏 辞書いっぱい
003 藤林椋 本屋でぱくった占いグッズ
007 柊勝平 44マグナム
020 スメルライクティーンスピリッツ 死亡
>>583 そこは次の作者にまかせればいいんじゃね?
実は芽衣は分身の術の使い手だったのだ。とか
何だかよく分かんねぇよっ!
591 :
芽衣編は:2005/04/02(土) 21:02:18 ID:Kw2sGS2e0
本編をあまり意識せずに書いたんで無視してもいいですよ。
っていうかぶっちゃけ(ry
593 :
名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 21:42:51 ID:EF5HeRiL0
お、おいおいっ
594 :
名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 21:46:07 ID:Kw2sGS2e0
意味わかんねえよっ!w
>>577 ここはリレー小説投稿する所じゃないの?
お、おいおい!
599 :
名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 01:08:11 ID:o9iJrBKg0
お、おいおい!
お、おいおい!?
何だかよく分からないけど、行くよっ!
何だかよく分からないけど・・・イクよ・・・イクよ・・・。 あぁあ・・・イクッッッ・・・!!!
604 :
名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 15:51:57 ID:o9iJrBKg0
揚げ物
なあ、暇な奴だけでいいからさ、
一番いいと思った話を挙げてみないか?
作る側のモチベーションも上がると思うし、
人を楽しませる文章を目指して質も上がると思うんだけども。
「うっ、ぐほっ、ごほっ」
地面に仰向けで倒れていた芽衣は胸の痛みで意識を取り戻した。
「ん、げほっ、げほっ」
咳とともに吐血をする。
「あ、あれ?私、撃たれたんじゃ・・・」
撃たれた胸へと手を当てる。
「っ・・・つぅ」
胸がズキズキする。
尋常じゃない痛み・・・。
おそらく肋骨が何本か折れている。
「・・・・・・・・・あっ・・・」
胸元から出てきたのは芽衣が中学生になるときに兄からもらった1000円の銀のペンダントだった。
高価とは言えないけどお金をケチる兄が1000円も出して買ってくれた大切なペンダントだ。
そのペンダントがかろうじて二発の弾をすんでのところで貫くことだけは逃れさせた。
そう、芽衣は死んではいなかったのだった。
弾の衝撃によって肋骨を数本やられ、心臓と呼吸も一時期完全に止まってしまったが奇跡的に息を吹き返したのだ。
もしかしたらペンダントには奪われた『光』がまだ残っていたかのもしれない。
「お兄・・・ちゃん」
その瞳からは涙が滲み出てきた。
涙は痛みから来るのか、それとも兄への感謝で流したのかは当の芽衣しかわからない。
「お兄ちゃん・・・まだ・・・まだ、私・・・生きてるよ」
芽衣は必死に手を伸ばて先ほど道へ投げ出してしまったグロック18を拾い、よろけながらも横の電柱に捕まって立ち上がった。
「お兄ちゃん・・・」
ふらふらとした足取りで兄がいるはずの寮へと足を向ける。
「まだ・・・生きてるよね」
もちろんそんなことは芽衣にはわかるはずがない。
だけどそっちへ行けば何かがあるんじゃないかという予感はあったからだろうか。
ゆっくり、一歩ずつ先へと進んでいくのであった。
春原芽衣 (重症) グロック18
勝手ながら579の続きを書かせてもらいました。
何となく続けたい気もするので575に続ける風に書かせていただきました。
殺してしまった579の中の人には申し訳ないです。
ただ芽衣が朋也や渚たちとは別に影でいろいろやるのも面白そうなんで続けさせてもらいます〜。
お、おいおい!
目を覚ましたとき、芽衣はファミレスのソファの上にいた。
「ここは…?」
「やあ、気がついたかな?」
年配の、穏やかな物腰の男がすぐに近寄ってくる。
「そうだ!私、おにいちゃんを…ぐっ…」
慌てて身を起こした芽衣の全身に激痛が走る。
「まだ安静にしていなくちゃいけないよ!我々が手当てしたとは言え、ひどい怪我に変わりはない。」
「おじさん、誰ですか?私を助けてくれたの…?」
男は芽衣の前のテーブルに水を置き、ソファにゆっくりと腰を下ろした。
「私は土方。このファミレスの店長だよ。さっき、この近くの道路で倒れていた君を見つけてね」
「おじ…いえ、土方さん!今、何が起こってるんですか?何で町が…!」
「全ては、MIOという組織のせいだ。奴らが、この町…いや、世界に核を落とした」
「嘘…!?何で、そんなことを!?」
「奴らの目的は定かではない。ただ、私は、奴らを止めるためにこの時代に導かれたのだと信じている。」
「導かれた…って…土方さん、あなたは一体何者なんですか?」
土方の眼が、芽衣を正面から射抜いた。
「Civil Legion Against Destruction(破壊に抗う町民部隊)―――通称CLANの隊長だ。」
「くらん…?」
「ああ、『家族』という意味だよ。こんな時こそ一致団結し、悪に立ち向かいたいという意味を込めてね。」
芽衣は当惑した顔で土方を見た。
「まあ、隊長といっても、私と彼女しかいないんだけどね。」
土方がキッチンの方を振り向いた。
ウエイトレスの制服に身を包んだ若い女性が芽衣に微笑み返していた。
「それで…その立ち向かう悪っていうのは…MIOって何なんですか?」
「ああ、今説明しよう。」
土方が制服のポケットに手をやり、紙切れのようなものを取り出した。
「MIOを構成するメンバーの表だ」
『MIO構成員』
『唯一神』 幸村
『二帝』 賢帝・伊吹公子 知帝・一之瀬ことみ
『三幹部』 乾 ??? ???
『四天王』 坂上智代 柊勝平 杉坂(消滅) ???
『下っ端軍団員』
「そこに記されている、『唯一神』等の名詞は、奴らの組織の称号の様なものだ。上に位置しているものほど権力が強い」
土方は更に言葉を続ける。
「四天王は下位に位置してはいるが、二帝・三幹部に匹敵する戦闘力を持つとも言われている。
何故権力が弱いかといえば、四天王の多くは幸村によって、蘇生・洗脳され、操られているからだ。」
「蘇生…って、死んだ人が生き返るんですか!?」
芽衣が信じられないという顔をした。
「あいつならそれが可能なんだ。恐らく、現存する中で最強の光、『獅子王』を持つ幸村なら。」
「ししおう…?」
「日本刀の形状をした光だ。その一振りは、死者を蘇らせ、 生者を死人に変えるという。詳しいことは分からないが…」
芽衣の喉がごくりと鳴った。
「あの…土方さんは、何故、そんなことまで知っているんですか?敵の組織の機密事項をこんなに…」
土方の目が曇った。
「鋭いね…できれば、このことは話したくなかったんだけど…」
「有紀寧ちゃんの…MIOに戦いを挑んだ少女の…服に、盗聴器を仕掛けて置いたんだ。」
「え…?」
「気は進まなかったが…結果として、有紀寧ちゃんの死を無駄にせずにすんだ。
盗聴器を通して、MIOの様々な情報を知ることが出来た。奴らの居場所もだ。」
「な、何で…何で止めてあげなかったんですか?有紀寧さんをっ!」
芽衣は思わず叫んでいた。
「止まらなかったんだよ、彼女は。そして僕たちは準備の整っていないあの時点で行動するわけには行かなかった。だから彼女は一人でいったんだ」
「そんなっ…一緒に付いて行って上げれば…!」
芽衣は更に口を開きかけたが、土方の顔を見て息を飲んだ。
土方の頬を涙が伝っていた。
「僕たちには使命があるから…未来からこの時代に導かれたのには、何か、理由があるはずだから…」
キッチンのウエイトレスも嗚咽を漏らしていた。
「無駄死にはできない。この町を救うまでは。」
芽衣は恥じ入るように眼を伏せた。
「すいません…何も分からずにひどいことを…」
「いや、いいんだ」
涙を拭うと、土方は窓の外を指差した。
「見えるかい?あの病院が。あれがMIOの本拠地だ。そしてあれも町の意思に導かれた未来の建造物…」
「僕らが使命を果たす場所だ。」
ファミレス 欠番 春原芽衣 所持品:グロック18
欠番 土方店長 所持品:不明(店には大量の物資)
芽衣関連のこと、病院の時系列の問題等で混乱していたので、整理をするつもりで書いてみました。
>>579>>606の両方の話から繋がる様に書いたつもりです。
あと早速訂正で申し訳ないんですが、CLANはCivil Legion Against Nucleus(原子核)の略にしてください…orz
何だかよくわからないけど、なんか未曾有の展開だよっ!
あと、町が廃墟になった直接の原因は核兵器(
>>1等の初期設定)ですか?
それとも「核兵器を遥かに超える幻想世界の光パワー」(
>>157、
>>368等)ですか?
すいません、その辺の選択は後続の方に任せます。
38話ではあくまで、町を荒廃させた爆発を核兵器によるものと『土方が認識した』ということでお願いします。
あと今更ですが、まとめサイト乙過ぎです!
616 :
名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 19:40:28 ID:PGeeeWKy0
>>157.
>>368が合理的
もし核なら放射能で幸村等もいずれ THE END
放射能が届かない位置なら爆炎どころか爆風すら届かない=街は崩壊しない
617 :
名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 19:41:42 ID:PGeeeWKy0
光パワー
「さて…釈明をしてもらおうかの、柊くん」
口ひげを蓄えた幸村老人が、険しい表情で切り出した。
「釈明? さあ、ボクが何か謝るようなことしたかな。思い出せないねぇ」
対面する少年…柊勝平は、曖昧な笑みを浮かべてのらりくらりと答える。
「こわっぱが、何をとぼけるか。
麾下に与えた一個小隊をみすみす失いながら、《光》のひとつも回収できぬ役立たずめ…」
「ああ、そういえばそうか。ごめんね」
「あまつさえ…《光》も持たぬそんな虫ケラなど、速やかに殺害せよと命じたはずじゃぞ」
老人は、勝平の傍らで震える少女…藤林椋をねめつけた。
「椋さんのこと? 別にいいじゃん。ちょっとはボクにも楽しませてよ」
勝平は不平に口をとがらせた。
「…わしの期待をくじき、我が組織の法にたてつく狼藉者め」
「うっさいなあ。だから謝ってんじゃん」
少年の小賢しい表情と態度が、幸村の逆鱗に触れた。
腰の鞘から白刃を抜き放つ。
老人の手に、一種霊妙な剣気を漂わせる長い東洋刀があった。
「このわしへの無礼、万死に値する。罪には罰で応えるのがわしの法じゃ」
「えー…」
「わしの《光》…『獅子王』の錆としてくれる!」
「…ちょ、ちょっと」
踏み出す一歩。
白刃の間合いに捉える。
裂帛の気合とともに斬りかかる。
有無など言わせぬ!
それは疾風か、稲妻か。
刹那に訪れる切っ先は不可避。
瞬時であった。
獅子王の刃が一直線に、勝平の頭頂から股座までを疾駆した。
まさに一刀両断――
勝平の体が、数学的なまでに完全な対称形に分割される。
垂直二等分された勝平が、びちゃりと音を立てて地に崩れた。
袋を破ったような血しぶきが一気にぶちまけられた。
「…きゃあああああぁぁっ!!!」
寸秒を置いて、状況を把握した椋が叫ぶ。
悲鳴がこだまする中、老人は刃にこびりついた血を振り落とした。
抜き身の刀を構えたまま、老人はゆっくりと椋に歩を進める。
「さあ、次はお前の番じゃな…」
椋は口を開いたまま、一歩も動けない。悲鳴さえあげられない。
獣と獲物だった。
「…た…たすけ…て…」
――少年の声がした。
「ちょっと、ひどいよ幸村さん。ボクに楽しませてって言ったでしょ」
それは、ついさっき斬られた彼の口から。
幸村も椋も、その方向にさっと向き直った。
「ほう、これは…」
「…かか…勝平…さん…?」
勝平は立ち上がっていた。
異様な光景だった。
勝平は二つに分かれた自分の体を、まるで糊付けをするように、貼り付けた。
「どう? 驚いた?」
すべては元通りだ。
床にこぼれた大量の血液のほかは、さっき斬られたことさえ忘れさせるように。
「ボクの体は癌細胞に侵食されてるんだよ。全身をね。
アポトーシス(細胞の自死)を器質的に排除する特殊な遺伝子を持った癌細胞…」
突然の銃声。
右手に持った拳銃、スミス&ウェッソンM629。
勝平は自分の頭を、こめかみから撃ち抜いてみせた。
声にならない叫びとともに、椋が恐怖に腰を落とす。
そして、トリガーからゆっくりと指を離す勝平の右手。
「…この不死身の細胞が、ボクに最強の再生能力をくれるんだ」
44マグナム弾を6発収めたシリンダーが1/6回転する前に、傷口はふさがっていた。
「そう、ボクは、死を超越したってわけさ!」
「幸村さん、ボクの《光》が必要なんでしょ?
だったらボクの注文、ちょっとくらい聞いてもいいと思うなあ」
勝平が言う。
「面白いこわっぱじゃわい」
幸村はくつくつと笑い、納得したように刀を鞘に収めた。
「その女は好きにするがいい」
「ホント? やったねっ」
そう言い残すと、老人は立ち去った。
「癌…か」
小賢しい。奴こそ、組織の癌ではないか。
だが…癌にも利用すれば価値はあるというわけか。奴の再生能力のように。
勝平の肉片が、獅子王の刃にわずかにこびりつき、びくびくと蠢いていた。
不死身の細胞が、本体から離れても生命を維持するのだ。
「愚か者め。わしの『獅子王』の真価を、お前ごとき小物に見せてやると思ったか。
『その一振りは、死者を蘇らせ、生者を死人に変える』…」
老人が短く念じると、白刃は妖しく光った。
ただちに、肉片の動きが鈍る。
それは火にくべた枯葉のように急速に壊死し、やがて腐りながら落ちた。
「柊とやら…わしと対等の土俵に立ったと、せいぜい思い込んでおるがいい。
駒には、機嫌よく働いてもらわねば困るからの」
MIO本部 欠番 幸村俊夫 獅子王
007 柊勝平 44マグナム
リアルタイムで見たけど、幸村&獅子王がかっこよすぎてなんかもうワロタ
おいおい、ちょいグロおもしろいよ!
624 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 02:02:11 ID:sX1m7wOG0
>>383の続き
灰色の空。
時間という概念がない空間。
無機質な物質たち
…いや、すでに物質であるかさえ分からない。
幸村は[そこ]に立っていた。
――幻想世界。
クックック…。
ついに…ついにわしはやったぞ。
意識と自我を許された存在。
まだ体はない。
だが、それも想定内だ。
記憶がある。
元の世界にいた頃の自分の体の記憶がある。
ゆえに、体の具現化も可能だということだ。
幻想世界の少女がそうであるように。
光が集まり、幸村を包む。
「お…おお…」
彼の器は、まだ若き活力に溢れた20代の姿へと形作っていった。
(ことみよ、感謝するぞ。さすがは一之瀬の娘というべきか)
心の中でほくそ笑む。
ことみと、そして…例の少女を探さねばな。
625 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 02:17:51 ID:sX1m7wOG0
夢を見ていた。
パパとママの夢。
二人とも笑っていた。
頑張りなさいって頭をなでられた。
私たちはことみを愛していましたよって抱きしめてくれた。
心がぽぅっと暖かくなった。
私…頑張るよ。
夢から覚める。
ここは…。
ここは、幻想世界。
そうか…辿りついてしまったんだ。
じゃあさっきの夢はまんざら夢でもなかったの。
暖かかった記憶を手放さないように、自分の体をぎゅっと抱きしめる。
その体は小さかった。
まるで[あの頃]のように。
願いが体を形作る。
私は子どもに戻りたかった。
………。
違う…ずっと子どものままなんだ。
あれから変わらずに。
626 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 02:23:12 ID:sX1m7wOG0
ぎぎぎ。
何かが擦れ合う音がする。
この何もない世界で?
音の方向を見ると、ガラクタでできた人形が立っていた。
「お客さん」
ぎぃ、と人形が体をひねる。
その先にひょこっと体を出した少女。
突然の来訪者にも関わらず、その表情はどこか嬉しそうだった。
「岡崎…汐ちゃん?」
「うん」
無邪気な立ち振る舞いから、どこかその姿形より幼く感じた。
「私はことみ。ひらがなみっつでことみ」
627 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 03:05:53 ID:sX1m7wOG0
「これはこっち」
汐ちゃんと人形が、ガラクタをせっせと集めている。
彼女は無垢な少女だった。
まるでこの一連の全てを壊した黒幕だとは思えない。
「何をしてるの?」
私は尋ねる。
「飛行機を作るの」
「飛行機?」
「うん、遠くへ行きたい。ここから出れるかもしれないから」
「ことみちゃんも手伝ってくれるとうれしい」
「飛行機を飛ばすには、揚力が必要なの」
「揚力?」
「流れの中に置かれた物体に対して,流れに垂直方向に働く力のことを「揚力」と呼ぶの。
流体が動くことで,又は物体が流体に対して動くことで生じる浮揚力であることより,
「動的浮揚力」とも称されるの」
「むずかしい…頭がクラクラする」
628 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 03:22:35 ID:sX1m7wOG0
ここでは食事を取る必要がなかった。
お腹も空かない。
眠くもならない。
疲れもしらない。
現実の縛りから解放されていた。
でも、現実にいた頃の記憶が、擬似的に疲れを呼び起こす。
だから、丘の上で少し休んでいた。
向こうでは汐ちゃんと人形がせっせとガラクタを運び続けている。
ここでは時間もない。
だから未来もなく、過去もない。
現実から干渉することはほぼ不可能。
それでいて、現実とリンクしており、こちら側から干渉することができる。
核を思い起こすような爆発を発動させたように。
その方法は分からない。
汐ちゃんが鍵を握っている。
幸村先生の狙いはそれだった。
全くリスクのない安全圏からの攻撃。
それは実質、世界の支配を意味する。
「幸村先生もこちら側へ来ているはずなの。汐ちゃんと会わせるわけにはいかないの」
決意を込めるように一人つぶやく。
「それは残念だったな」
不意に後ろから声。
幸村先生だった。
629 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 03:37:45 ID:sX1m7wOG0
すっと後ろに飛び退いて間合いを取る。
武器はない。
本で読んだ空手の型を形だけでも構えた。
向こうは若い成人男子。
こちらはまだあどけなさが残る少女の姿。
どう考えても分が悪かった。
「くくく…やめておけ、無駄だ」
私を見て不気味に笑う。
「もう薄々分かっているだろう。この世界に死はない」
「いわば…ここが死後の世界というべき場所なのだからの」
「一時休戦というわけだ」
そう言って私の前を素通りする。
そして…。
「ついに見つけたぞ…岡崎…汐!」
幸村の目はしっかりと汐ちゃんの姿を捉えていた。
630 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 03:55:52 ID:sX1m7wOG0
ガラクタ人形が汐ちゃんを守るように立ちはだかる。
その手には木の棒を持っていた。
この男からでる悪意を感じ取ったのだろうか。
「フン…ガラクタ風情が姫を守るナイトのつもりか」
口元に歪んだ笑みを浮かべる。
「それとも、現実で守れなかった記憶が残っているのか、岡崎朋也よ」
「えっ?」
私の口から驚きの声が漏れる。
朋也…君?
「…まあ、いい。幻想世界の少女よ、現実への干渉方法を教えろ」
「素直に教えれば危害を加えることもない」
一歩一歩と幸村先生は汐ちゃんに近づいていく。
「そんなことさせないっ!」
私は慌てて二人の間合いに両手を広げて入った。
「この子たちは、ここでただ平凡に暮らしていただけなの。私たちの闘いに巻き込む必要はないの!」
「ほう…この戦を引き起こした張本人がか…?」
汐ちゃんがビクッと体を震わせる。
「自惚れないで!張本人はあなたでしょう!?」
「はっはっは、確かにそうだな。街の願いを誤作動させて、世界の破壊を仕向けたのは私だからな」
「なっ…!?」
そうか、そういうことだったのか。
世界の崩壊も彼女の意思ではなく、幸村の仕業。
「勘違いするなよ…死や苦痛からは解放されても、半永久的に体を拘束し続けることはできるんだぞ」
余裕の笑みを浮かべていた幸村の目が鋭くなる。
631 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 04:06:31 ID:sX1m7wOG0
どうする?
戦うべきか。
こちらの戦力は少女二人とガラクタ人形。
…あまりに無謀なの。
でも、逃げても脚力の差でまず追いつかれてしまう。
どうすれば…。
「待ってっ」
二人を制止し、汐ちゃんが一歩前へでる。
「あなたの言う通りにするから、みんなにひどいことしないで」
その瞳は真っ直ぐ前を見据えていた。
「ククク…いい子だ」
歪んだ笑みを浮かべる幸村。
「では、教えてもらおうか」
「こっち」
そう言って汐ちゃんは私たちに手招きした。
632 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 04:08:46 ID:sX1m7wOG0
疲れた…
今日はここまで
幻想世界のほうも面白くなってきたね
お、おいおい!
なんだか意味わかんねぇよ
>>632 一度メモ帳に書いてから投稿しなよ
じゃないと推敲も出来ないし、どうしたって長ったらしくなる
ひとまず名前欄に「クラナド戦記第○○話○/○」くらいはいれよう。
あと一応言っておくけど、
>>631の続きを他の人が書くかもしれないんだからねっ
芽衣編の再来はごめんだよっ
…あとsageないか?なんか最近ageる人が多いんだけど
書き手本人がageてるくらいだからな・・・
ハカロワを経験していない世代なんだろう
641 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 18:05:53 ID:es1zAOVMO
どうせ過疎板で人少ないんだし、
ageることにそこまで過敏になるのもどうかと思うぞ
つーか創作なんてみんなの目に入ってナンボだろ
せっかくまとめサイトまで作ったんだしな。
もう少し賑わってもいい稀ガス
つーかこのくらいの規模が荒れずにマターリできてベストだ。
644 :
'ヽ/ヽ@派遣社員:2005/04/04(月) 18:14:44 ID:b9N4IweEO
お、おいおい!
>>624-631 何だかよくわかんないけど、以前のMOONを彷彿させる”狂気”が足りないと思うよっ!
646 :
名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 23:44:35 ID:zNNegTAQ0
「無駄死にはできない。この町を救うまでは。」
「これで、勝ったつもりか?」
坂上智代―――の形をした機械が芳野に語りかける。
だが、左腕・右足がもげ、体中の皮膚が剥がれ落ちたその姿は、もはや智代には程遠かった。
「私はまだ戦えるぞ!」
左足一本で立ち上がる、が―――
ガクン!
すでに芳野によって弛まされていた左ひざのネジが抜け落ち、再び地に膝をつく。
「ああ、勝ったつもりだ。」
芳野が冷然と言い放ち、スパナを、しっかりと握りなおす。
「最期くらい大人しく分解されたらどうだ?女の子らしく、な」
「……たかが…人間ごときに、ここまで追い込まれるとはな…!」
機械が芳野をキッと睨む。
塗装が剥がれ落ちた左顔面で、赤い光がチカチカと不気味に点灯していた。
「だが、お前の勝ちではない。引き分けだ。」
機械の右顔面に残った表情が冷酷な笑みを映す。
「何だと…!?」
「私の体内に仕掛けられた自爆装置を作動させる。この辺り一帯を吹き飛ばす威力だ。逃げ場はない!」
「!!」
「人間ごときと相討ちとは甚だ不本意だがな…負けるよりは幾分マシだ」
機械の両眼が怪しく光る。
「果てろ!この桜並木と共に!!」
桜並木の坂道を静寂が支配する。
芳野の首筋を一滴の汗が流れ、足元に落ちた。
だが、いつまで待っても爆発が起こる気配はなかった。
「…何故…作動しない?」
「…?」
智代も芳野も、何が起こったのか分からないでいた。
「くそっ、何故だっ!何故命令を受けつけないっ!!」
苛立つ智代の声が場に木霊する。
≪ここで、自爆装置は作動できない≫
機械の智代の頭の中で、語りかける声があった。
「!!…これは…私の人格プログラムのベースとなった、オリジナルの意思…!?」
ハッとした顔で視線を宙に彷徨わせる。
「何故だ!何故オリジナルが私の邪魔をする!!」
≪…約束したんだ≫
「約束…!?」
≪この桜並木は、いつか、鷹文と共に歩む道だから。だから、壊すわけにはいかない!≫
「弟との約束だと!?ふざけるなっ!くだらない愛情などさっさと捨ててしまえ!!」
「捨てられるものか」
芳野がスパナを正面に構えていた。
「ぼろぼろになっても救ってくれる。生きる意味を与えてくれる。その愛を!」
高まる芳野の想いに呼応するかのごとく、スパナが光り輝く。
「捨てられるかぁーーーっ!!」
スパナが発する光が宙に何度も線を描く。そして―――
「くそぉーーーーーーーっ!!」
一際高い絶叫の後、智代の目から光が消えた。
「機械のお前には、永劫解らないだろうがな」
智代の機能停止を確認し、スパナを工具入れにしまう。
と、共に全身から力が抜け、忘れていた全身の痛みが蘇ってくる。
目の前で繰り広げられた死闘を思い返し、芳野は未だに生があることを感謝せずにはいられなかった。
「さて…余りゆっくりもしていられないな…相楽を追わなければ」
傷ついた体を引きずり、桜並木の坂道を下りて行く。
(みんな無事だろうか…相楽が付いていれば…まあ、大丈夫だろうが…)
一歩踏み出すたびに肋骨の辺りが激しく痛む。
(く…折れているかもしれないな…蹴られたところが熱い…)
それでも、仲間との再会の約束を果たすため、芳野は休むことなく坂を下って行く。
と、芳野の視線の先、一本の桜の木陰に一人の女性の姿が在った。
「これで、勝ったつもりか?」
更にその奥の木、そのまた奥の木からも続々と女性が姿を現す。
「ば、馬鹿な…!」
思わず振り返る芳野。
彼の背後でも無数の女性が―――智代が、芳野を見つめていた。
「どうした?たくさんの女性に囲まれているんだぞ。」
何人もの、いや、何台もの智代が口を揃えて芳野に語りかける。
「こういう時は嬉しそうな顔をするものだ」
桜並木の坂道 011 芳野祐介 ラブアンドスパナ、ほか工具一式
桜並木の坂道 021 ドッペル智代軍団 プラズマ砲
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
何だかよく分かんないけど、窮地だよっ!!!
銀河ギリギリぶっちぎりの凄い奴思い出した。
メタルクウラ100匹
もちろんメタルクウラを参考にしましたw
あの、満身創痍の状態で、無数の敵に遭遇する絶望感を伝えられたなら幸いです
654 :
535:2005/04/05(火) 01:42:29 ID:hrcrI6xj0
何だかよく分かんないけど、まとめサイト更新したよっ!
5話か10話くらいごとに更新しようかと思います。
一匹一匹が智代クラスでプラズマ砲持ちだからなぁ、収拾大変そう。
ぉぉおおおおおおおおおいぃぃいいぃいぃぃッッ!!!!!
>>655 少年漫画の王道で、集団になったとたんに弱体化するんじゃね?
ぃいいいいいいみわかんねぇぇえぇぇぇよォォッ!!!!
659 :
名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 10:09:18 ID:9C76vpDQ0
救いage
>>654 芽衣編の整理までしてあって驚きました!銀河ギリギリぶっちぎりの乙です!
イメージイラストを凄く楽しみにしているんだけど、誰か描いてるのかな。
早苗さんの「私のパンは世界を超えたんですねーーーーー!」に吹いたw
今までに出た光は、芳野、幸村、智代、風子、公子の5個だよね?
光は全部で13個って書いてあったけど、残りの8個の光は誰の光なの?
例えば土方とかは光を生まないよね
原作通りだろう。
違うかもしれんけど。
土方さんを舐めるなよ。
土方さんは、
「無駄に元気なヤング達よ、夜中にバーバー走るくらいなら、ちょっとずつでいい!
オラに元気を分けてくれ!!」
つって集めたエネルギーを手のひらから光の玉にして出すぞ。
意味わかんねえよ!
何だかよく分からないけど、行くよっ!
/゚ 。
/ . ゚
, ' 。 ・
` ー _ - ' ゜
。 . 。 ゚
: 。
゚ .
ヾ冖フ ヾス
[ ,] [ ] 、_ノ、_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_
|. i /l,ィ .! ノ
. ! }.r`'j7 ! _) 皆オラに光を分けてくれ!!
! `、亠 { ヽ
} _l _,l_,j '^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
ヽシ_,-i {
/`´~バ}
. / j ! ←土方
∧ '"/`,イ
! ヽ'/l_ j
/ \,/ }\,!
.ァ、ヽィ <`-イ
. |. `iT. ヽ j
\ll' `'
669 :
名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 00:11:08 ID:ukzds6z/0
元気玉
age
>>657 メタルクウラは増えても弱体化しなかったけどな。
なあ、暇な奴だけでいいからさ、
一番いいと思った話を挙げてみないか?
作る側のモチベーションも上がると思うし、
人を楽しませる文章を目指して質も上がると思うんだけども。
お、おいおい!
/  ̄ ⌒ 丶 / ̄ ̄ ̄ ̄
_ - / \ | もうちょっとだけ続くんじゃ
/::::::::::;;;;;) /ヘ /⌒\ 丶∠_____
(:::::/;;::::::;;;;;;) | へ : /___ ト〜 ー _
⊥::::::(;;::::;;;;;;;;;) ┌〜^~ /ー―ヽー/~) | / 丶〜
/:::::::::(;;;:::::);;;::く |⌒~/R;;: ::::;;;;;リ /∂| ):〜─ _ / \ ̄ ヽ
(;::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;| |_j| 丶___ノ ;/| ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`\/\:::::::\
)::::::;;;;し::::::::::;;;;;;;ノ | | ヘ 丿 rこノ~ノ⌒ー _;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ::Y \
し;:::::::::;;;;;;;;::::);;;;;;;;;;) y し〜⌒〜、/:: r |;;;: \ ;:: |:| 〜 _ \ \
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気に入ったのあげるのはいいが荒れそうで恐い。
必死な奴とかでてくるだろうし。
腕を分解するごとに、赤い血の濃霧がだんだん濃くなっていく。
桜散る道はまるで梅の花が舞っているかのように赤く染まっていった。
芳野は腕からこぼれ落ちそうになるスパナを、両手でぎゅっと握って、体全体の力で持ち上げるように横に構えた。
「俺の愛はまだ尽きていない!」
頭の裂傷が目から顎にかけて血の河を作り出し、今ですらプラズマ砲は直線的に突進する芳野の皮膚を削り取っていく。
彼の進む道には、鋼鉄の瓦礫がどんどん積まれていく。
時間すら忘れるほど、だが一体どこまで彼は私を壊し続けるのだろうか?
「そうだな。足と手を切断し、人豚にでもしよう。これは歴史に初めて現れた女性がやった実に女の子らしいものだ」
スパナはそう言った智代を壊した。
その智代は横目づかいで”まだいるぞ”とでも言うように後ろの一列に歩いてくる智代を見ていた。
そしてその瞬間、芳野より早く限界がスパナにきたのだ。
尖った先の部分が半分根本からぽきりと音を立てて壊れてしまった。
心の支えであったスパナが折れ、同時に芳野にも限界が訪れた。
彼は桜の木に寄りかかり、ずずずと体を崩すように倒れ込んだ。
「まだ・・・俺は・・・風子を助け・・・公子。お前を・・・会って、助ける・・・」
智代たちは道に一列に並んで、銃殺刑をするかのように、プラズマ砲を構えた。
「失礼します・・・これは!?」
土方はファミレスの地下へ芽衣を連れて行った。
そこにはMIOを破壊できる力が存在するからだ。と語尾を強くして彼は言ったのだ。
長い階段を抜け、鉄の重いドアを抜けた先には、芽衣が見たこともないような兵器があった。
重厚な鋼の化け物。
戦車がその空間に存在していた。
「前方に長く延びた砲塔と、被弾軽視を考えた傾斜のついた全面装甲、
トップアタック攻撃を回避するため、表面部の鋼を爆発させて遠くに吹き飛ばすERA(爆発反応装甲)が鋼鉄の重厚さをかもしだしておる。
中身もすごい!衛星とのデータリンクによって敵位置がマップ上に光点で示され、砂嵐や大雪でも射撃管制に不備は一切存在し無い!
装甲防御力も前作メルカヴァMK4とは桁違いであり、」
「店長・・・芽衣さんが対応に困ってますよ」
芽衣は愛想笑いを浮かべて、まるでカーネルおじさんみたいに笑顔を硬化させていました。
「いやいや、メルカヴァのすばらしさに圧倒されておるのじゃよ。それでな・・・」
「説明が長いんですよ!たくっ軍オタはこれだから・・・店長は棺桶戦車チハにでも乗っていてください」
「いいよ。チハたんバンジャーイ」
「うぜぇ・・・」
「あの、お話を割って申し訳ないんですが、この戦車を使ってMIOを攻撃しろということなんですね」
「はい。そして、あなたが操縦者だ!」
ぴきーんと指を指すウェイトレスのお姉さん。
すいません。言ってることがよくわかりません。
「え!ちょっと待ってください。私は日本に住む普通の女子中学生なんです。それをわかっていますよね?こんなの操縦できるわけがありません」
「あなたには光の力があるんです!」
しゃきーんと芽衣の肩を抱き、空をゆびさすウェイトレスのお姉さん。
「うわぁ・・・それわしがやりたかったのにぃ」
スパロボもののノリについていけない芽衣は、キティちゃんのような能面顔になってしまいます。
「え?ですから、たぶんできないと思います。お詳しいあなた方がやったほうがよいと思うんですが・・・」
「メルカヴァMK5は人命尊重と電子機器の発達で必要乗員数は2名になったのじゃ。ということで詳しい操作説明はもう一人の操縦者に聞いてくれ」
「CLANの存亡この一戦にあり各員一層の努力をせよ!ホホホホホ」
芽衣は引きずられて、コックピットによいしょっとつっこまれました。
そうすると、画面の電子機器が一斉にぴかっと映りました。
男臭い外見とは裏腹に、芽衣の家にあるTVより繊細で綺麗な画面が映し出され、クーラーも効いて涼しく快適な乗り心地です。
「これってプラズマかな・・・たぶん違うよね。なんか、悔しい」
「そのレバーを引いてくだサーイ」
メガホンから声が出されています。
芽衣は頭に装着し、指で集音器を口に当てました。
「え、ホントにやるんですか!?私はただの女子中学生でして・・・」
「中学生?ノンノン気にしない。私はただのインド洋よりちょっと西の、地中海よりちょっと東の、ただの某外国人デス。YOUは守りたいものがあるんでショウ?」
「え・・・はい」
芽衣の頭に春原の白歯を立てて笑った姿が思い浮かびました。
「頭の画像は置いておいて、そうです」
「私にも守りたいものがあるんデース。」
芽衣は決心したように、頭を振った。
それと同時に床がぐんぐんと上がって、戦車は公園に現れた。
「では、イキマース!学校の坂下へ!」
「あれ?病院に行くんじゃないんですか?」
「守りたい同僚がいるんですヨ・・・そこには。」
「あ、すいません・・・えぇっと・・・お名前を伺ってよろしいでしょうか?私は春原芽衣」
「砂漠のジョニーと呼んでクダサーイ」
「わかりました。では・・・発進致しますね」
芽衣はマニュアルをざっと読むと、戦車を最大速力時速80kmで猛然と走らせた。
(待ってて、お兄ちゃん!)
桜並木の坂道 011 芳野祐介 工具一式
桜並木の坂道 021 ドッペル智代軍団 プラズマ砲
公園 欠番 春原芽衣 メルカヴァ操縦席
欠番 ジョニー メルカヴァ砲塔
ファミレス 欠番 土方店長 不明(店には大量の物資)
欠番 ウェイトレス 不明
GJ!
外人誰だと思ってたらジョニーがいたか…
意味わかんねえよ!
ジョニーキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
683 :
名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 17:06:05 ID:apJ5Xwe1O
何だかよくわからないけど、いくよっ!
戦車一台で敵の本拠地に乗り込ませたら、思いっきり由紀寧の二の舞でわ。
685 :
名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 22:46:37 ID:ukzds6z/0
どうした門下(´<_`)
戦車はアレよ。
きっと光パワーでシオマネキに変身するんだ!
芳野の顔を四方からプラズマの眩い光が照らす。
「おれは…負けない…」
「まだ口をきく余力が残っているのか。呆れたしぶとさだな…」
智代たちの群れが蠢く。
「だが頼みの綱のスパナも折れた今、今度こそ貴様の負けだ」
芳野は折れたスパナを握り締めた。スパナから、力が流れてくる。
「スパナが折れようが関係あるか!俺の心はまだ折れていない!」
スパナが光輝き、本来の姿を取り戻す。
「何て男だ…いいだろう…」
智代軍団が一斉にプラズマ砲を収納する。
「もはやお前を人間ごときと馬鹿にはしない。最強の敵と認め、こちらも最高の技で葬ってやろう。」
無数の智代たちが陣形を整える。
「今我々が何台残っているか教えてやる。64台だ。」
「それがどうした?」
「この64台が今から64撃ずつお前に蹴りを浴びせる。私の奥義、『64×64コンボ』、その身で味わうがいい」
「ああ…来い!」
その声を合図に智代たちが一斉に地をける。そして―――――
ズドン!
鋭い蹴撃が芳野の体を宙に浮かせる。
「ぐっ…!!」
息がつまる。しかし痛みは無かった。
すでに痛覚を麻痺させるほどのアドレナリンが芳野の脳から分泌されていた。
その高揚感は、ドラッグによるものと似ている。しかし、芳野の頭はあくまで冷静なままだった。
ズドン、ズドン!
次々と、突風のように、眼にも留まらぬ蹴りが芳野に襲い掛かる。
しかし、そんな状況下で芳野は―――――
―――――音を、聴いていた。
自分の骨がミシミシと軋む音。64台の智代が大地を蹴る音。
鋭い蹴りが空気を割く音。体に足がインパクトした時の音。
(聞こえる…やつらが織り成す連続技のメロディーが!)
智代たちは気付いていなかった。
寸分のタイミングの狂いも許されない連続技。
それを繋げる中で生まれてしまった、自分達の動きの法則性に。
そして、その法則を芳野が『音楽』として理解したことに。
「ここだっ!」
芳野のスパナが一台の智代の踝を捉えた。
「馬鹿なっ…!?」
うろたえる智代を尻目に、一気にスパナを回転させる。
智代の足が空中で音を立てて分解された。
「次は、右だ!」
芳野の右方から襲い来る、次なる智代。
しかし、その攻撃もスパナが受け止める。 そしてまた一台の機械が部品へと帰した。
(何故だ?何故こいつは私たちの攻撃が読める!?)
機械の頭脳の中に混乱が生じる。
(まさか攻撃に法則性でもあるのか?そんなはずはない!あれば私のコンピュータが解析しているはずだ!)
機械の出す結論とは裏腹に、目の前で次々と智代が分解されていく。
「ちっ!やむをえんっ」
智代たちが攻撃を止める。
「どうやったか知らないが、まさか『64×64』まで破られるとはな…!かくなる上は――――」
「チョト待ってクダサーイ!」
素っ頓狂な声が場に響く。
「じょ、ジョニーさん!?生きていたのか…!」
芽衣とジョニーが桜並木を駆け上がってきていた。
「助けに来マーシタ!本当は戦車で来たんデスが、仲間たちにまで砲弾が当たりかねないのでデ置いてきマシタ…」
ジョニーの言葉に、芽衣はふと違和感を覚えた。
「ジョニーさん…仲間…『たち』って…?助けに来たのは芳野さん一人でしょ?」
「まさかあなたが来てくれるとはな…助かったぞ」
智代が親しげにジョニーに話しかける。
「可愛い娘たちが壊されるのを黙って見てられマセーン」
ジョニーが智代の肩を愛おしそうに撫ぜる。
「既に何体かの『同僚』は壊されてしまったようデスが…また作ればいいことデス」
「な、何を言ってるの…?」
芽衣の顔が恐怖に染まる。
「理解が遅いデスね…こう言ってるんデスよ。」
ジョニーの顔つきがさっきまでと変わっていた。
「ミーはMIOが放ったスパイだったト」
「う、嘘…」
芽衣の顔が青ざめる。
芳野が芽衣を庇うかのように一歩前に出た。
「ジョニーさん…あんた…!!」
「感謝してクダサーイ…」
「MIO三幹部の一人、砂漠のジョニーの手で葬られることをネ!」
桜並木の坂道 011 芳野祐介 ラブアンドスパナ含む工具一式
021 ドッペル智代軍団 プラズマ砲
欠番 春原芽衣 グロック
欠番 ジョニー 戦車(坂下に停車中)
戦車内のディスプレイには、衛星とのデータリンクにより桜並木周辺のリアルタイム画像が表示される。
芽衣が戦車を操縦する中、その画面にじっと見入るジョニー。
ふいに、画面内の光点のひとつが弱々しく瞬きを始めた。
「What……?」
光点はまもなく消え去り、ジョニーははっとして叫ぶ。
「ジーザッス……! ユースケの《光》の反応が消えマーシタ!」
「ユースケ? その人が、ジョニーさんの同僚?」
「イエス、イエース! 速やかに現場に急行せねば彼の命の危険がRED ALERTデース!」
芽衣が聞き返すと、ジョニーは大声でまくしたてた。
ナビゲーション画面を見て、操縦する芽衣は言いにくそうに返す。
「でも、この距離じゃ間に合わない! あと少しなのに!」
「今は1秒でも惜しいデース……!」
衛星画像をにらみつけるジョニー。
必死に手立てを考える。どうすれば、どうすれば芳野に助力ができる?
***
芳野は両膝を屈し、桜の幹に力なくもたれかかる。刀折れ矢尽き、といった風情だ。
骨を蹴り折られ、全身を高熱に焼かれ、生命力も気力もとうに朽ちていた。
「はぁ……はぁ……」
その手にあったただひとつの武器も、もう残っていない。
喘ぐように息をするだけの芳野に、複数の声が降りかかる。
「この私たち殺戮機械を前にしながら、愚かでひ弱な一匹の人間がよく戦ったものだ」
「だが、それもここまでのようだな」
満身創痍の芳野を見下ろす、智代型自律戦闘機械の群れ。
鋼鉄の軍団が構え筒の姿勢で、プラズマ砲の左腕をずらりと並べていた。
「善戦に敬意を表して、苦しませず一瞬で焼き殺してやろう」
「無数の火球の高熱に焼かれ、原子一個も残さず解離されるんだ」
「どうだ、女の子らしいだろう」
いくつもの宣告が浴びせられる。
それらの意味はただ一つ――芳野祐介の、絶対的な死。
ごめんなさい。orz
なんだか裏切りとかスパイとか多すぎるけど行くよっ
・・・ついにこの瞬間がきたか。
696 :
名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 00:18:55 ID:5fdPdrgI0
裏切りは良い。
先が読めない。
・・・それとも俺が馬鹿なだけ?
>>691の作者ですが、
>>692の方がクオリティ高くて鬱ですw
>>692の続きも凄く気になりますし…
とりあえず
>>692の話も全部出してもらって、どちらを取るかそれから選ぶとかはナシですか?荒れる元ですかね
お、おいおい!
お前、それおいおいじゃなくて丸井って読むんだよ!
いや、意味わかんねぇよ!
>>697 スレの皆さんの決定に従います。
僕のは戦車がドッペル軍団を倒すってだけの話なので、まったく深みがないですorz
>>701 僕はジョニーが味方になると、敵キャラが不足して今後の話が動かしにくくなるかなと思ったんです
芳野とジョニー、同じ工作に携わるもの同士、因縁もあるかなと思って、こういう展開にしました
ただ、ドッペル軍団でやれるネタは出尽くした感があるんですよね…
この辺でドッペル軍団を倒した方が話が広がりそうですね…
混乱するからやめようぜ
裏切りはギリギリまで味方だと信頼してた奴がやるから面白いんであって、
一話前で”味方”のラベルを貼られたばっかりの奴が”実は敵でした”って言われてもな…。
俺は
>>692のも見てみたいな。
とりあえず意味わかんねえよ!
スレの方で多少混乱してもまとめサイトがあるしな
お、おいおい!
709 :
692:2005/04/08(金) 01:38:21 ID:nXFUMoGk0
お蔵入りも惜しいものですし、とりあえずトウカしてみます。
>>687-691さんに取って代わるつもりはありません。NG等出ても文句は一切言いません。
万が一トラブルがあったら
>>692と今からのは存在しなかったものとして進行してください。
レス数は5です。(1/4は間違いでした)
まるで計ったように同時に、目の前に並んだあまたの砲口に火が灯る。
それはいつか昔、ショウビズの舞台で自分を飾った無数のスポットを思い起こさせた。
灯火は照らし出すのだろう。観衆の望む俺の姿を。かつては自分の歌を、今は自分の死を。
(ここまでか……)
芳野は観念とともに目を閉じる。
それでもなお、眩しすぎる火球は瞼を貫いて感じられる。
そして――
ひときわ大きな、すべてを包み込む炎と爆音と衝撃が届いた。
……何が起きたのか、芳野には理解できなかった。
「何が起きた!?」
「縦隊後方に6時方向より被弾! 120-125mm級の戦車砲榴弾と思われる!」
「ただちに部隊を展開し、迎撃する!」
「プラズマ砲列構え筒! その人間は後だ!」
機械たちの怒声が聞こえる。
……なぜ俺は、生きている?
……なぜ、機械たちは大騒ぎをしているんだ?
***
砂漠のジョニーと恐れられた彼の戦術判断は、素早かった。
戦車の到着が間に合わないと見るや、彼は叫んだ。
「こうなったら他に手はナッシング! "Indirect Fire" を使いまショウ!」
「インダイレクト・ファイア? 何それ? どこのインディーズバンド?」
芽衣は怪訝に首をひねる。
「オゥ、ソーリー。アナタの知ってる言葉で言えば『間接照準射撃』デース」
「知らないよ……」
間接照準射撃――
古くは別働隊(前進観測班)の観測報告、今では衛星画像などの電子情報をもとに間接的に目標位置を知ることにより、
砲撃手が直接視認していない敵を砲撃する技術である。
「へえ、そうなんだ。でも、それってすごいいい加減じゃない?」
視界内にない敵を撃つだけに、射手の技量が強く求められるものでもある。
誤射の危険が高まるのはどうしようもない。湾岸やイラクでの米軍の戦禍を見れば明らかだ。
「それはオフコース、ミズ・スノハラ!! アナタの腕を信じてマース!」
「えええーっ!?」
「この急な坂道で主砲に仰角がついている今しか、間接照準射撃のチャンスはアリマセーン!」
「できるわけないじゃん!! ありえなーい!!」
「人の命がかかっとるんデース! さっさと撃ちなサーイ!!」
……そして、その戦果がこれ、というわけだ。
まもなく、無限軌道が地面を削る轟音とともに、戦車の巨体が坂道の下から這い上がってきた。
ハッチからは、異国風の顔立ちをした男が身を乗り出す。
「ヘイ、ユースケ! 聞こえマスカー!?」
「……そ……その声……は……?」
同じ釜の飯を食った、あいつの声。
「よく聞きなサーイ! 《光》とは、アナタの『想い』がカタチを託されたものデース!
アナタの心が折れたとき、《光》もまた折れるのデース!」
「……俺の……心……が……」
「諦めてはいけまッセーン! アナタにあってファッキン(くそったれ)マシーンどもに無いモノ、
それは誰かの幸せを強く想う、アナタのHOTなハートデース!!」
「……HOTなハート……」
音が聞こえる。
それは、旋律。
バスドラ三発。三発目に重なるハンドクラップ。
うねる。高まる。鼓動。熱気。それが合図。
マイクを手に取る。リードボーカルだ。
「それが……愛……か」
誰かのために、自分のために。歌うこと、忘れないこと……。
生命としての役割を止めかけていた芳野の指が、大切な何かを思い出したようにぴくりと動いた。
「敵戦車発見! イスラエル陸軍制式MBTメルカヴァの改良型らしい」
「ERA(リアクティブアーマー)の増装甲を施しているな」
プラズマ砲を構えた機械たちが、迫り来るジョニーの戦車に相対した。
「ヘイ、このスクラップども!! 騎兵隊の参上デース!!」
「ばかめ! ERAはあくまで、成型炸薬弾のモンロー効果に対抗するためだけの装甲!
凡百の劣化ウラン弾でさえ貫通できるそんなもので、このプラズマの砲列を防げるものか!」
「撃てーっ!!」
規則正しく並んだ砲口が、横殴りの雨のような無数の火球を投げ放った。
だが飛来するプラズマ球を確認し、ジョニーはあくまで冷静。
火球で埋め尽くされるディスプレイに、芽衣は狼狽する。
「ジョ、ジョジョジョニーさん、どうするの!?」
「Hahaha……2005年の現在、イスラエル陸軍に就役するMBTは『メルカヴァMk“4”』が最新デース。
にもかかわらず、この戦車が『メルカヴァMk“5”』である理由……
そう、未来からやってきたアメィズィング・テクノロジーの片鱗をお見せしまショウ。
ミズ・スノハラ、左手のブルーのレバーを思いっきり引き、叫びナサイ!」
「え? え、えと、こうですか!?」
がくんとレバーが移動する。芽衣の操作に呼応するように、戦車がかすかに揺れる。
「「テスラ・フィールド!!!」」
芽衣とジョニーが同時に絶叫を発した。
「これは……!?」
この上なく正確な狙いで戦車を目指したプラズマ球が、ことごとくその軌跡を反らしてゆく。
ラザフォード散乱の実験のように。不可視の盾がそこにあるかのように。
それはまるで、神の見えざる手が、ジョニーと芽衣を危険から護るかのように。
「ジョニーさん、これスゴーイ!」
「アハン? 核融合炉に応用されているプラズマ磁場閉じ込めと同じ原理デース。
戦車の周りに強力な磁場を生み出し、フレミングの左手の法則でプラズマを弾き飛ばしマース。
ちなみに弾丸が鉄かニッケルかコバルトでできていれば、実体弾も防げマース!」
モーゼの十戒伝説のように、戦車はプラズマの大波を大胆に渡ってゆく。
磁場の障壁を盾に、ぎりぎりと戦車は機械の隊列に迫る。
智代の形をしているだけの機械に、動揺という感情は本質的に存在しない。
にもかかわらず――それらの動作には、明らかに混乱の色が見てとれた。
「くっ、撃つな! プラズマはテスラフィールドに防がれる! 電力の無駄だっ!」
「かくなる上は人海戦術だっ! 突撃して砲塔上部ハッチを破り、乗組員に直接攻撃、破壊する!」
自律戦闘機械の群れが、軍隊アリの絨毯のようにわっと戦車へと飛び掛かる。
それを狙い済ましたように、ジョニーはハッチを開け、砲塔上部の機関銃座についた。
「Hahaha……アナタがたゴッドフォーセイクン(神に見捨てられた)ロボットどもに
人間と同じ天国があるかどうか知りませんが、あるなら冥福を祈りマース! エイメンッ!!」
機関銃は1分間に1000発の12.7mm徹甲弾をばらまく。
大陸の大瀑布をちょうど90度傾けたような、濁流のような機関銃弾が軍隊アリの絨毯に押しかかった。
軍隊アリの最前列を、鋼鉄の滝がじりじりと削ってゆく……。
「ひるむな! 私たちには生への執着も、死へ」 一機が被弾し、機能を停止した。
「死への恐怖も存在しない! 他の全機が破壊されて」 一機が被弾し、機能を停止した。
「他の全機が破壊されても、たった一機が目標まで辿り着けば勝利だ」 一機が被弾し、機能を停止した。
……智代の絨毯は、先細りになりながら、確実に戦車へと収束していく。
「シット! ミズ・スノハラ、アナタも援護してクダサーイ! 敵が多すぎマース!」
「がってーん!」
ハッチから身を乗り出した芽衣も、車内に備え付けのPDW(短機関銃)で弾幕を張る。
どのくらいの時間、撃っていたのだろうか。芽衣はすでに泣きそうな顔になっていた。
「ジョニーさあん、弾が切れたよう」
「ジ、ジーザッス! しぶといマシーンどもデスネー!? ……オゥ、ウップス!?」
カキン、カキンと軽い音が、ジョニーの指先のトリガーから跳ねた。
機械の軍団を破壊しつくし、鋼鉄の瓦礫を山のように築いて、――そうして機関銃座の弾が尽きた。
「寄り切ったぞ……」
金属の冷たい手が、ジョニーの首根っこをつかんで言う。
残りのすべては撃破したのだ。最後に撃ちもらしたのは、たった一機。
絨毯の先端に躍り出た最後の一機が、登頂を果たしたように、機関銃座に登りつめていた。
「そうだ。私は……私たちは、しぶといぞ。勝利を諦めない姿勢、実に女の子らしいだろう」
――はるか先の桜の根元。
――すでに戻っていた。男の目には生命の光が。男の手には勝利への鉄塊が。
桜並木の坂道 011 芳野祐介 所持品:ラブアンドスパナ含む工具一式
021 ドッペル智代軍団 所持品:プラズマ砲
欠番 春原芽衣 所持品:グロック18C
欠番 ジョニー 所持品:不明
「本文長すぎます」とか言われて予定レス数超過してしまいました。ごめんなさい
715 :
'ヽ/ヽ:2005/04/08(金) 01:53:00 ID:MNQMebRpO
ピューっと吹くジャガー思い出して笑いながら読んだのは俺だけではないはずだ。
>>687の作者です
2つの42話のうち、どちらを取るかについてですが、その選択は後の人に任せませんか?
次に芳野編の続きを書く人が自分の書きたい方を選び、
選ばれた方を公式の42話にすれば、後腐れなく治まると思います。
ID変わってますが692です。
次の書き手さんに任せる、で賛成です。
おいおい!
意味わかんねえけど、応援したいよっ!
720 :
名無しさんだよもん:2005/04/08(金) 23:37:04 ID:38MyDjDD0
721 :
'ヽ/ヽ:2005/04/08(金) 23:50:07 ID:MNQMebRpO
芳野がギター弾きながらギターマンとか出したらおもしれぇのに。
何だかよく分かんないけど、お前も書けよっ!!
お、おいおい!!
意味わかんねえよ!
─────なんだかよく分からないけど、
行くよ・・・・。
726 :
'ヽ/ヽ:2005/04/09(土) 02:09:16 ID:3D8xCEXYO
アナタの心が折れたとき、
プラズマはテスラフィールドに防がれる。
意味わかんねーよ!
なんだかよくわからないけど、じゃあ1番は・・・?
何だかよく分かんないよっ!
桜並木は暗闇に包まれていた。
夜桜は風にそよぎ、満開の木々から朝から夜まで降り続いた桜が石畳の道を桃色に染め上げていた。
坂道に芳野祐介は存在しない。
いるのは、たった一人。
レイジングヒトデを手に持った伊吹公子が待ちくたびれたように背中に手を組んで、木に寄っかかっているのみだ。
彼女は不安そうに、体の周りを回転する二つの魔法円を夕方からじっと見続けていた。
いや正しくない、初め回っていたのは数十個の魔法円であった。
それが、だんだんと減り、この二つの魔法円だけになったのだ。
消えない魔法円をぴんと指ではじくと、彼女はがっくりと腰を落として体育座りをした。
「消えてください・・・お願いだから。祐介さん・・・頑張って」
「い、いや!誰か!誰か助けて!」
勝平はだらしない顔を向けて、椋にじりじりと近寄っている。
「いいじゃん。これから楽しいことするんだから」
「うっ・・・ぐす・・・うぇ・・・お姉ちゃん助けてぇえ・・・・」
椋は冷たい牢獄のような地肌をさらした床に泣き伏した。
勝平はあきれるように肩をすくめると、
「ま、逃げられないから」
と言った後、重苦しい鉄扉をドンと大きな音を立てて閉めて、大きな居間に出た。
「五月蠅いの・・・」
ことみが目をこすってソファーに寝ころんでいた。
「あれことみちゃん起きてたの?」
「そうなの・・・ちょっと賢帝さんに頼まれて、重い計算をしたら、デフラグ(最適化)するのに時間が掛かってよく眠れないの」
「賢帝?ああ、公子ちゃんのことね。そういえば、夕方から見かけないけど」
「んっとね・・・なんでも、愛で地球を救うらしいの。さすがプロ市民の日教組なの。アハハ」
ことみは突然奇声をあげた。
「気持ち悪いなぁ」
「それでなの。それを魔法による思考分岐空間で証明するらしいの」
「思考分岐空間?」
「考え得る限りの仮想的実験を脳内で行う。これを思考実験というの。もし、この思考実験で絶対にある事象の存在を確認できないとしたら、それは背反的にその事象が絶対に存在することを証明するの。有名なところではシュレディンガーの猫があるの。」
「思考実験ねぇ。でもさぁ、人間の脳の考えることなんて、限界が無くない?ボクだって、時々さっき言ったこと忘れたりするしさ。妄想なんていくらでも考えちゃう」
「・・・あなたが言うとなんとなく納得できるの。そう、その弱点を150年先の未来を読むことができる私の力を使って、全てのパターンを考えるわけなの」
「ふぅん。機械で全て考えちゃうんだ。でもさー機械なんてボクは信用できないけどね。計算と現実は違うしー」
「だから、この思考実験を現実にするの。魔法の力によって」
「魔法?」
「賢帝は仮想的な現実をもう一つ作りだし、そこで苦難にぶつかり多岐に分岐していくあらゆる現実が、それを乗り越えられることによってその事象を視、聴、味、触、味覚の五感を用い、明示的に証明しようと試みたの」
「え・・・?」
頭にハテナを浮かべる勝平にあきれて、ソファーに毛布を掛けて、ことみは寝る準備を始めた。
「要はなの・・・芳野祐介さんが愛で全ての困難を乗り越えれば、よいということなの。もし一つでもできなければ、その困難を永久に繰り返す。
もう一つの現実の終わらぬ輪廻を繰り返すの
老いることもなければ、何を学ぶでもない。永遠の無為な繰り返し。それは誰にも助けてはもらえないもの。術者ですら、助けることはできない・・・
」
「・・・怖いね」
勝平はそう言いつつ、顔をでれんと崩した。
Yシャツからことみのたわわな胸の谷間が見えたからだ。
「むにゅむにゅ・・・他人の不幸は蜜の味なの」
芳野祐介は智代と戦っている最中に公子の思考分岐空間に知らず知らずのうちに入り込んでしまったのだ。
おかしく思わなかっただろうか?ドッペル智代というアンドロイドがプラズマ砲を手に持ち、どこに隠れていたのか何百体も出現し、
あまつさえイスラエル製の戦車が何の変哲もないレストランの地下から飛び出てくるおとぎ話を、この矛盾に満ちた不思議としか言い表せない空間を現実と思えるか。
この思考分岐空間は数ある苦難を統一的にこなしていたが、ここで仲間の裏切りと仲間の危機という二つに分岐した。
その二つを彼は乗り切り、現実の夕闇の桜並木に帰ってこられるだろうか。
桜並木の坂道(現実)005 伊吹公子 「レイジングヒトデ」
MIO本部 007 柊勝平 008 一之瀬ことみ 003 藤林椋
桜並木の坂道(仮想)011 芳野祐介
どちらも捨てがたいので、二つとも使うのはだめですか?
なんだかよくわからないけど、凄いよっ!
要するにスレ内で物語が2つに割れてしまって、
それが思考分岐だかなんだかで分岐した二つの流れですよ、と。
おいおい、自分で言ってて意味わかんねぇよ!
でもGJです。
意味わかんねーよ。
うむ、マジで意味わかんねえよっ!
優しく言い直すと夢オチなんだろうけど、行くよっ!
・商店街の書店
001 岡崎朋也 所持品:唐揚げ弁当
002 藤林杏 所持品:辞書いっぱい
・校舎周辺を移動中
012 古河秋生 所持品:タバコ、ライター、バット
013 古河早苗 所持品:レインボーパンほか
014 古河渚 所持品:なし
018 仁科りえ 所持品:多数の武器
・桜並木の坂道(現実)
005 伊吹公子 所持品:レイジングヒトデ、ゼウクシスの魔筆、智代の『光』
・桜並木の坂道(仮想)
011 芳野祐介 所持品:ラブアンドスパナ含む工具一式
021 ドッペル智代軍団 所持品:プラズマ砲
欠番 春原芽衣 所持品:グロックC18
欠番 ジョニー 所持品:不明
・桜並木周辺
004 春原陽平 所持品:銃、某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
016 徳田悠作 所持品:なし
・桜並木周辺を移動中?
017 坂上智代 所持品:不明
・MIO本部
003 藤林椋 所持品:本屋でぱくった占いグッズ(奪われたかも?)
007 柊勝平 所持品:44マグナム
008 一之瀬ことみ 所持品:多数の武器
欠番 幸村俊夫 所持品:獅子王
欠番 一ノ瀬ことみ 所持品:なし
宮沢有紀寧(勝平の支配下) 所持品:不明
・ファミレス
欠番 土方店長 所持品:不明(店には大量の物資)
欠番 ウェイトレス 所持品:不明
・幻想世界
欠番 岡崎汐 所持品:不明
欠番 ガラクタ 所持品:不明
欠番 一ノ瀬ことみ(純粋知性体) 所持品:不明
欠番 幸村俊夫(純粋知性体) 所持品:不明
・現在地不明
欠番 岡崎直幸 所持品:四條から買った『光』
(010小川一哉、019杉坂、020スメルライクティーンスピリッツは戦闘不能)
GJ!
両方の戦いが終われば現実に戻って来れるのか
そうすると芽衣とジョニーの扱いはどうなるんだろう
744 :
'ヽ/ヽ:2005/04/10(日) 14:05:31 ID:i34hsmTtO
お、おいおい!
意味わかんねーよ!
夜の帳がつるべのように落ちてゆく。
急速に闇夜に覆われる深い雑木林の中を、歩きつづける四人がいた。
彼らの目指すは、丘の上に見える病院。そこには生存者がいるかもしれない。
そして、その窓から一瞬見えたあの光の正体も気にかかる。
しかし…。
「ぜぇぜぇ…おいおい、意味分かんねぇよ!」
四人の中で最も頑丈そうな男、秋生が疲労に息を弾ませていた。
「もう何時間歩いたか知れねぇ。なんで辿り着かねえんだ?」
「………」
他の三人は、返事をする気力もないほど疲れ果てていた。
病院があるのは、あの「町の願いが叶う丘」だ。
秋生はその位置をこの上もなく知っている。目隠ししたって歩いて行ける場所だ。
道に迷うことなどありうるはずもない。だが、現にこうして途方に暮れている。
「何だかよく分かんねぇけど、行くぞっ!」
「はぁ…はぁ…。あっ…」
秋生が気勢を吐いたそのとき、渚が足をふらつかせて、その場に倒れこんだ。
「渚っ!?」
秋生と早苗と仁科が同時に振り返った。
「ちょっと疲れが溜まったみたいですね。しばらく休めば元気になりますよ」
渚を草の上に寝かせタオルで汗を拭うと、早苗は安堵に微笑んだ。
「ごめんなさいです…わたし、足手まといになってしまいました」
「俺こそすまねぇ。もうちょっと気を遣ってやらなきゃいけなかったな」
夜の闇が降りてきた周囲と、渚たちとを見比べて、仁科がぽつりと言った。
「もう歩くのは危険でしょう。今夜は、ここでビバークするしかないですね」
「そうだな…」
薪を拾い、火を焚く。
炎を円陣のように囲んで、四人は地面に腰掛けた。
「パンをたくさん持ってきましたから、食べましょうね」
「みなさん、戦闘糧食要ります? 筑前煮おいしいですよ」
食糧の備えがやたら万全な女性軍だった。
簡素な味だが、空きっ腹には楽園に流れる蜜のように心地よく染みわたる。
全身に補給される食の喜びが、いつしか四人の呼吸を落ち着かせていた。
渚は上着を毛布のように羽織り、かすかに寝息を立てていた。
地面にごろりと大の字になって、秋生は真上を眺めた。
丸天井のような雑木林の枝葉に、隙間からはるかな空が覗く。
暗い紫色に過半を染められた空には、すでにかすかな星が瞬いている。
「なんで辿り着かねえんだ…?」
秋生は先ほどの問いを繰り返す。誰にともなしに。
「GPS衛星からの応答もありません。方位磁針も駄目みたいです」
所在無くぐるぐる回る磁針とにらめっこをして、仁科もため息をついた。
「いったいどうなってるんでしょうね…あの病院、地図にも載ってませんし…」
焚き火の明かりが、仁科の広げた地形図と、それに目を落とす早苗の横顔を照らす。
林の向こうから、ぱきり、ぱきりと音が聞こえた。
枝を踏んで、歩いてくる足音だ。
「…生存者でしょうか?」
足音の方向に拳銃を向け、仁科は表情を固くした。
「敵か味方か知れたもんじゃねえ。早苗っ、お前は渚のそばにいろ」
秋生は袖をまくり、バットを構える。どこから球が来ても打ち返す強打者のように。
近づいた人影が、焚き火にほのかに照らされる。
丈の長いコートと背広を身につけた、中年の男。
きちんとした紺の背広に、薄手の生地のコート、フレームレスの眼鏡。
足には黒光りする革靴。手にはジュラルミンケース。
雑木林の獣道には似つかわしくない、トラッドな正装に身を包んだ紳士だ。
「…ゼウクシスの魔筆によって作成された“絵画迷宮”だよ、ここは」
「ゼウクシスのナントカだとぅ!? てめぇ、さては伊吹のアマの仲間かっ!」
紳士にバットの先を突き出し、秋生は叫ぶ。
「ほう、伊吹先生をご存知かね…ならば話が早い。
この絵画迷宮は、現実と幻想を交錯させ、近づく者の知と理を惑わす領域。
あなたがたのような侵入者を、病院へ辿り着かせぬための場だ」
紳士はジュラルミンケースを開け、一台のノートPCを取り出す。
ごとりと地面にケースを置く。その上に腰掛け、膝に広げたノートに電源を投入する。
まるでピアニストのようにキーパッドに指を揃えると、紳士は告げた。
「…あなたがたに今やってこられても困るのでな。物理的に排除しに来た」
「ノートパソコン、だと…?」
「ああ。今日びの研究者は、これがないととても仕事に…」
「先手必勝っ!!」
言うが早いか、仁科の拳銃から紳士の脳天へと9mmの弾丸が放たれる。
「…危ない女の子だ」
弾丸が紳士に辿り着くことはなかった。彼は盾のようにノートを顔の前にかざしている。
銃弾はその表面にわずかな傷をつけるのみで、あらぬ方向へ跳ねていた。
仁科が唇を噛む。正面からの銃撃は無駄ということか。
「では、私からもお返しをさせていただくよ…」
全ユニックス発動開始、マスマティカ始動。入力。全パケット、通信線解除。
最後のパラメータ、k-termより全サブルーチンへ。
紳士はキーパッドに指を走らせる。アッチェレランドの旋律を奏でるように。
スフォルツァンドの勢いで、エンターキーが叩かれる。
「何か、やべぇぞ。みんな伏せろっ!」
そのとき、世界が“ずれた”。
秋生のバットの上半分がごとりと落下した。
それは包丁で豆腐を切ったように滑らかに、横一線に切断されていた。
その延長上に切断線が伸びて、秋生の右の耳朶から頬骨までを斬り裂いている。
スリットのような傷口から溢れ出す血を、秋生は押さえつける。
「何じゃこりゃあ…っ!!」
「驚いたかね? 私は『重力波干渉不連続面』と名づけているが、平たく言えば“空間の断裂”だ。
空間そのものを切り離すことで、物理的特性に関係なくあらゆる物質を斬る…」
秋生の背後で、枝葉が激しく擦れて、一本の大木がメキメキと倒れる。
その樹もまた、豆腐のように滑らかに切れていた。
「…ふふふ。遭遇戦が古河ご一行様とはもっけの幸いだな。貴重なデータが取れそうだ」
「やめてくださいっ! こんなことを、伊吹先生が望んでいるんですかっ?」
早苗が秋生の前に出て、紳士に詰問した。
紳士は眉一つ動かさず応じる。
「早苗さんとおっしゃったかな。あなたも教壇に立ったことがあるのだろう?」
「どうしてわたしのことを…!?」
「調査済みでね。知を生業とするあなたなら、私の気持ちを理解できるはずだ。
“知ること”の愉悦を。この世のあらゆる現象と法則を、脳細胞に刻み付ける恍惚を!」
紳士は再びキーに指を叩きつける。
またしても世界が断裂して、周囲をなで斬りにする…。
「てめぇ…!」
「生命は一瞬…されど、方程式は永遠!!
科学の発展に、身を挺して貢献してもらおうではないか」
雑木林
012 古河秋生 所持品:タバコ、ライター、バット(切断された)
013 古河早苗 所持品:レインボーパンほか
014 古河渚 所持品:なし
018 仁科りえ 所持品:多数の武器
欠番 紳士 所持品:ジュラルミンケース、ノートPC
>>743 まあ、後続の作者の裁量でしょう。
お、おいおい!
どんどん現実離れしていってるこれ
意味分かんねえよ!!
>>752 いまに始まったことか?
俺こういうの好きだぞ
もっとやれw
意味わからなすぎて1周すれば、意味分かるようになるかもな
とりあえず、空間の断裂と聞いて某キースを思い出したのは俺だけじゃないはずだ
殺気だけで回避するリーマンが登場ですか
魔法熟女登場あたりからU-1に負けない何かを感じて読めなくなった…
結局作者が好き勝手に超設定入れられるロワもどきかよ、とひねくれてしまう俺は最高の負け組
たしかに、「俺設定」に溺れないことは大事だな
ただ、今んとこは全然許容範囲
書き手さんたち乙です
それ言い出したら、序盤でいきなりことみやゆきねぇが銃振り回すのがそもそもおかしい
「魔法とかSF兵器は超設定だからダメ。
一介の女子高生が特殊部隊並みに銃火器を扱うのは超設定じゃない」
ってんじゃ理屈が通らない。
原作が光による奇跡を公然と示している以上、今更超設定も何もないでしょう。
むしろ銃兵器マニアの自己満SSとかの方が嫌だな俺は
>第44話
第35話の書き手と同じと見た。すなわち、
サ ン デ ー 読 者 の 予 感 ! !
>>761 芽衣編のことかー!
763 :
名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 00:40:35 ID:GmIKi8ySO
まぁ、原作の智代自体現実離れしてっからいいんでないかい?
764 :
名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 03:44:47 ID:jzWymDojO
久しぶりにスレ見たら、なんかすごいぶっ飛んだ話に発展しててワロタ。
書き手さんたち頑張ってくれよ。
765 :
'ヽ/ヽ:2005/04/11(月) 07:46:22 ID:BxsMnVTEO
意味わかんねぇよ
何だかよく分からないけど、お前も書けよっ!
ヒント:名無しが主役
意味わかんないまま最後まで突っ走ったりしてほしい
769 :
'ヽ/ヽ:2005/04/11(月) 10:57:41 ID:BxsMnVTEO
おいおいとよくわからないけど以外のレスはしない方がいいと思ってたけど、せっかくだから一度だけマジレス。
このスレは確かにU-1とかロワの臭いがプンプンするけど、繋げるという点に関しては別物だと思う。
明らかにおかしいのとかわけわかんねぇものも上手く次に繋げれるってのはすげぇよ。うん。
超設定でもなんでも、NGだとか矛盾だとかで投げっばなしにしないってのは素敵じゃんか。
あとは、書き手が「〜の作者です」とかトリップをつけ始めたらスレ終焉のサインだと思ってる。俺はそういうのが嫌い。
だからコテでは書いてない。にゃりにゃり。
まぁつまりは意味わかんねぇよの精神を忘れずにって事だ。
>>757 >殺気だけで回避するリーマンが登場ですか
直幸パパの予感。
文句言ったら作者側もビビって書けなくなるだろう
俺達が書いていいのはこれだけだ
何だかよく分からないけど、行くよっ!
ところで俺は37話のカッペイのセリフにフォローがないのが気になってしまうんだが。
「古河家族と仁科は僕が殺した」とかいうやつ。
こういう特別な理由のないムチャ振りは流石に控えるべきじゃないか?
しかも朋也、それ聞いてもノーリアクションかよっ!
俺は脳内削除してた。
ブラフとみるか、妄想とみるか。
こういう無茶苦茶までストーリーに反映させてやる必要はさすがに無いと思う。
お、おいおいっ!
意味分かんねえよ!!
作者はカッペイの狂気を表現したかったのかもしれないが、いまいち何がしたいのか分からなかった
自分には分かりきってることでも、他人が見たら説明不足、なんてことはよくあるから、
自分の文を客観的に見直すことは必要だと思うよっ!
何だかよく分からないまま、マジレス終わりだよっ!
魔剣アンサラーキボンヌ
キボンヌ久しぶりに使った
じゃあ俺は魔弾タスラムキボンヌ
キボンヌ使ったの初めてだ
じゃあフラガラッハとブリューナグキボンヌ
長腕ルーグつながりで
33話からこっち春原周辺の進展がないから、そろそろ書いてほしいもんだな
何だかよく分からないけど、行くよっ!
次スレのこととか、そろそろ考えた方がいいかもしんない
何だかよく分からないけど、行くよっ!
お、おいおい!
つーか、このスレは、
「お、おいおいっ!」と「意味わかんねえよっ!」と「何だかよくわからないけど〜」
が実質、5割くらいを占めてるから
これがなければ、次スレまで大分持つと思う。
「美佐枝さん、白馬の騎士がやってきたよっ!」
「春原、あんた……!」
「わーっ、ヘンな人ですっ! でもぷちカッコイイですっ!」
似合わないポーズを決める春原。
その数歩先では、あわや肌を晒すかと思われた美佐枝が風子とともに歓声を上げる。
「このヘタレクズがァ! よくも、よくも俺様のお楽しみをよォー……!」
「おっと、動くなよっ! 動くと撃つからなっ」
春原の手には拳銃。銃口の先には地に伏せる徳田。
形勢は決した。
(ありえねえ……春原みてーな犬のクソにこんな目に合わされるなんてよ……)
徳田と、その眼前に据えられた銃。
それは否応なく、本能的な恐怖を呼びおこす。すなわち――死、あるのみ。
春原が引き金にわずかに力をこめれば、確実に具現する。
だが……。
(俺も数え切れねぇ悪事を働いてきた……まともな死に方ができるなんて初めから思っちゃいねえ。
それに、こんなクズに命乞いなどできるはずがねぇだろーが!)
春原へのあまりにも大きな怨恨と恐怖は、男を自暴自棄へと追い込む。
徳田は春原へ叫んでいた。
「撃ってみろやァ!! 根性あんならよ、アァー!?」
仁王立ちに立ち上がり、さらに声を荒げる徳田。
春原のささげ持つ銃身をわしづかみにして、自分の左胸に押しつけてみせる。
「ホラよ、ここが心臓だ!! さっさと撃たねェか、ウスラボケが!!」
「ひぃぃぃっ!?」
烈火の形相とともに絶叫する。
優位に立ったはずの春原が、逆に気圧されているようにも見えた。
「徳田っ、やけになんのはやめなさいよっ!」
「これは男と男の根性の勝負だ、オラァ!! 撃てェェェ!!」
美佐枝をさえ口汚く罵りながら、憤怒の睨みを春原へ向ける。
「ひぃぃ……ぃ……」
その銃口は、いつしか怯えて震えていた。
春原の恐怖に、生まれた隙。
徳田の殴打がそこに突き刺さった。
「調子乗ってっと殺すぞォ! ダボがァー!!」
「……ぐげっ!?」
右拳で春原の顔面を捉え、同時に左で拳銃を引き剥がす。
死ぬ覚悟も、殺す覚悟も、とうの昔に、できている。
そして――銃声。
二発だった。
「あれ……? 熱……い……?」
春原は何も理解できなかった。
気がつくと腹部に赤い穴が、目玉のように二つ穿たれていた。それだけだ。
「春原……!!」
「ヘンな人がっ!?」
「騒ぐんじゃねー!! クソアマどもが!」
続けざま、離れた二人に銃弾をばらまく。
美佐枝が風子をかばって地に伏せ転がると、鉛の弾丸が地表をえぐり空を裂いた。
「……結局は、ここぞってときに情け容赦なく相手をぶっ殺せるかどうかさ。てめーらと俺様との決定的な違いはよ」
銃声。
さらに一発の弾丸が、春原の腹部にめり込んだ。
すでに意識を失いかけている春原は、か弱くひくつくばかりだ。
「サップや曙みてーなテレビのプロ格闘家よりよォ、ネコでもウサギでも平気で殺せるそこいらの中学生の方が怖ぇんだぜ」
――思い出す。
――同級生を袋叩きにしてカネを奪ったことがある。
――捕まえた野良猫をナイフで八つ裂きにしたことがある。
――下級生の女を脅し、大量の酒を呷らせて犯したことがある。
いま、徳田の脳裏に湧き上がっているのは、それと同じ種類のスリル。
「思えば生きた人間を殺すのは俺も初めてさ。どんな反応すんのか楽しみだなァ、あー……?」
頭部に狙いを定める。それは、春原という人間の全てが書き込まれた器官――脳。
「死ね、春原」
「うん。救いようのないクズだな、お前は」
徳田の背後に気配があった。
いや、この距離まで気配に気づかなかった……と言うべきだろう。
常人の軌を逸した腕力で、後ろから首根っこをつまかれる。
「ぐへぇっ……?」
鋼鉄の枷をはめられたように、徳田は動けない。
短い嘆息とともに、言い放つのは少女の声。
「お前は相手を平気で殺せるの自慢らしいが……私もお前を殺すのに、罪の意識など微塵もない」
極刑の宣告だった。
音速の何かが翻る。
それは伝説に不良殺しと謳われる最終兵器、坂上智代の蹴撃。
旋風が徳田の頚椎を横切ると、その頭部が半回転した。
桜並木周辺
004 春原陽平 所持品:某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
016 徳田悠作 所持品:銃
017 坂上智代 所持品:不明
お、おいおい!
意味分かんねえよ!!
何だかよく分からないけど、春原が超ピンチじゃないかっ!
人間を超えた回復力で何事もなかったように復活するに一票。
サッカー部員は蹴り殺される予感。
ゴキリ
音が鳴る。
首をありえない角度に曲げられた徳田の身体が、ゆっくりと傾いていった。
ドサリと音を立て、徳田は―――さっきまで徳田だった肉体は、春原の横に倒れこんだ。
地面に這いつくばっていた春原と徳田の目が合う。
「徳田…っ!」
その眼に、もはや生気は宿っていなかった。
「下衆めっ」
智代が吐いた唾が、徳田の顔にかかる。
「智代っ…お前…!!」
春原が這いつくばったまま智代を見上げた。
「坂上…智代…!何であんたが此処に来るのよっ!!」
美佐枝が愕然とした表情で言い放つ。
「あいつは…芳野は、無事なんでしょうねっ!!」
「ああ、あいつか。」
智代は桜並木での出来事を思い返す。
智代の繰り出す無数の蹴りを受け、いつしか芳野は意識を失っていた。
「終わりだっ」
とどめを刺そうとした、その時だった。
「待ってください」
桜並木に燐と響く声。伊吹公子だった。
「彼のとどめは私が刺します。少し試したいこともありますので。」
智代は奇妙に思ったが、断る理由もなかったので、公子にその場を任せて美佐枝達を追ってきたのだった。
(二帝ともあろうものが、仕損じることもないだろう…)
だから、美佐枝の問いにこう答えた。
「あいつなら死んだ。」
美佐枝が八ッと息を呑んだ。
風子の手から滑り落ちたヒトデがアスファルトに当たり、カラカラと音を立てる。
「死…んだ…?嘘よ…!」
かすれた声でそう話すのが精一杯だった。
「なに、悲しむことはない。すぐにお前もあいつの後を追わせてやろう。」
ゆっくりと、智代が美佐枝に向かって歩みを進める。
「あ…あ…」
呆然と立ち尽くしたまま、一歩も動けない美佐枝。
二人の距離が、一歩、また一歩と縮まって行く。
「ん…?」
智代の足が止まる。
春原が立ち上がり、両手を広げていた。
ポタポタと腹部から零れる血がアスファルトに染みを作る。
「相変わらずしぶといな、春原。」
感慨深げにで春原を一瞥する。
「そして相変わらず馬鹿だ。大人しく寝ていれば楽に死ねたものを。」
「ははっ…お前こそ、相変わらずキツめの冗談が好きだなっ!」
春原が弱々しく笑う。
「冗談でこんなことをやると思うのか?」
智代が顎で徳田の死体を示す。
「ははっ徳田のやつ、いつまで死んだふりしてるのかなっ」
春原は徳田の、180度回転した顔を見ないようにしながら明るい声を出した。
「やれやれ…待っていろ。今そこに美佐枝さんの死体も並べてやる。そうすれば馬鹿なお前でも状況が理解できるだろう。」
智代が春原の横を通り、美佐枝に近づいていく。
「待てっ!」
その肩を春原が掴んだ。
「邪魔だ」
智代が春原の手を掴んで振り払おうとする。しかし―――
(…!?こいつ…なんて力だ!!)
ギリギリと音を立てて春原の手が智代の肩に食い込む。
「…言えよ…」
春原は目に涙を溜めていた。
「冗談だって言え!智代っ!!」
「しつこいぞ…!信じられないならはっきり言ってやる!私はお前達を皆殺しに来たんだ!」
智代が両手を使って春原の手を肩から引き剥がした。
「…っ!!本気なのかよっ…!」
唇をかみ締め、うつむく春原。
その顔に、決意の表情が浮かんだ。
「…だったら…僕がお前を止める!お前の友達としてっ!!」
春原が智代に迫る。
「私を止める…?お前ごときがか…?」
既に夜の帳は下りていたが、暗闇で智代の両眼が鋭い光を放つ。
「ああ、止めてやるさ!お前を殺してでも止めてやるっ!あいつなら…そうするはずだっ!」
春原が岡崎ラップ入りのラジカセをちらりと見て叫んだ。
「自惚れるな!私の本気の蹴りは、今までの様に甘くはないっ!!」
言うが早いが、智代の右足が地面から消える。
一閃。
夜の冷たい空気を蹴撃が裂く。
月明かりが照らすのは、粉砕された春原の顔面。
…の、はずだった。
「え…!?」
智代が愕然と目を見開く。
彼女の右足は春原の顔のわずか右に外れていた。
「おまえの蹴りは、見飽きてんだよぉっ!!」
この世でもっとも多く、もっとも近くで、智代の蹴りを見てきた男――――春原。
彼の拳が智代の頬を捉えた。
桜並木周辺
004 春原陽平 所持品:某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
017 坂上智代 所持品:不明
016 徳田悠作 死亡
お、おいおい!
何だかよく分からないけど、某ラジカセが登場したことにちょっと感動した。
802 :
名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 19:45:25 ID:doAfBpgO0
>781だが、リクエストしたらその通り出てくる書き手諸氏に乾杯!!
まれにみる良スレ期待age
803 :
535:2005/04/13(水) 20:14:57 ID:lvhKquRy0
何だかよく分かんないけど、まとめサイト更新したよっ!
ストーリーに合わせて人物紹介も更新してますが
思考分岐空間がらみの記述はギミックがよく分かんないので適当です。
804 :
'ヽ/ヽ:2005/04/13(水) 20:37:51 ID:tZ+suXOEO
お、お、お、お、おいおい!
>>803 狂おしい程乙!
ところで芳野がいつ思考分岐空間に囚われたかについてですが、
>>735の記述を見るに、ドッペル智代や、戦車の存在は、現実にはありえない「お伽話」とされているので、
僕はドッペル智代の登場以前だと考えました。
ということは、芽衣やジョニー、ドッペル智代は思考分岐空間に囚われたのではなく、最初からその空間内に存在する登場人物で
あったとする方が適当だと思うんですが、どうでしょうか?
この考え方だと本物の芽衣は今もレストラン内にいるってことになります。
806 :
'ヽ/ヽ:2005/04/13(水) 21:23:19 ID:tZ+suXOEO
意味わかんねぇよ
芽衣がレストランに居るって事は
CLAN実在で戦車は思考空間?
>>807 とりあえず戦車が実在しないのは
>>735から確かだと思います。
この前提を踏まえると、芽衣については、戦車に関する部分のみ思考空間内の出来事と取るか、
登場時点から既に思考空間内の人物だったととるか、どちらかだと思います。
前者を取れば本物の芽衣はレストランにいて、CLAN実在。後者を取れば本物の芽衣は未登場で、CLANは実在しないことになるかと。
僕も思考空間が何なのかよく分かってないので、つっこみどころがあれば、ガンガン突っ込んでください。
俺も似たような事考えてた
CLANを活かさないのは勿体無いから、出来れば前者になって欲しいね
俺は、735のうち「あまつさえイスラエル製の戦車が〜飛び出てくる」
の部分だけ脳内削除してたな。
つまり、CLAN実在、芽衣とジョニー実在、戦車実在、ドッペル仮想。
流れ的には、
芳野が智代にボコられる
↓
公子出現、思考分岐空間を作成
↓
芳野が思考分岐空間に捕らえられ、「光」の反応が消える
↓
「光」が消えたのを受けて、芽衣たちの戦車が桜並木に急行
↓
桜並木で戦車が思考分岐空間に捕らえられる
っていうような感じ? 俺は思考分岐空間は
桜並木周辺に仕掛けられた一種の空間系トラップだと思ったんで…。
うーん、余り脳内削除が横行すると良くないような気がするんだけど…
43話の作者に詳しく説明を伺いたいところですね。
そもそも43話の作者以外で、思考分岐空間を完璧に理解した人がいるんですか?
どうもあれ以来芳野の話が進んでいないみたいですし。
>余り脳内削除が横行すると良くない
ごめん。まったくもって同意。
>そもそも43話の作者以外で、思考分岐空間を完璧に理解した人がいるんですか?
そう喧嘩腰になるこたーないんじゃないか?
確かに何だかよく分かんない文だけど、
曖昧ってことは裏を返せば、後続の書き手がいろいろ設定できる余地があるってわけでしょ。
だいいち作者自身だって、たぶん現時点で答え用意してないと思うよ。
あんまりな悪送球でなければキャッチしてやるのも書き手の役目では?
これは「余り脳内削除が横行すると良くない」ってのと根は同じだけどね。
気をとり直して、お、おいおい。意味分かんねえよっ!!
813 :
811:2005/04/14(木) 00:10:49 ID:qJdZfiOt0
>>812 >そう喧嘩腰になるこたーないんじゃないか?
喧嘩腰だなんてとんでもない!そんなつもりで言ったんじゃないんです。
思考分岐空間ていうのが凄い難しい概念で理解できなかったので、もう一度噛み砕いて説明して欲しいと純粋に思っただけです。
内容が悪くて理解できないのではなく、内容が高度すぎて理解できないってことです。
814 :
'ヽ/ヽ:2005/04/14(木) 00:24:29 ID:tuv94Z3hO
とりあえずおいおい!
815 :
名無しさんだよもん:2005/04/14(木) 01:13:28 ID:KhMvpl8S0
とりあえず、作者自身の後づけ説明って基本的にウザイしな。
読み手が感想として「あれはこういう意味かな」って考察すんのはいいけど、作者がごちゃごちゃ出てきて説明し出すと非常に萎える。
純粋に書かれた作品だけで勝負して欲しいし、それが舌っ足らずなら次の書き手がテキトーに補足して次に繋げたらいいじゃん。リレーだし。
このスレの基本精神。
なんだかよくわかんないけど、とりあえずいくよ!
生まれては消えて行った数々のリレースレ最大のタブー「とりあえずの排除」
ここではこんなにも噛み合っているわけだな
818 :
名無しさんだよもん:
意味分かんねえよっ!!