葉鍵的SSコンペスレ15

このエントリーをはてなブックマークに追加
607人には言えない趣味 その1
人には言えない趣味

 我慢が出来なくて。
 あんまり良くないって判ってるけど………。
 止まんない。
 机に向かいつつ。
 ノートを広げつつ。
 ダメだよね。
 本当はこんなことしちゃ、イケないよね。
 でも、指が………。
 下着の中へと勝手に。
 ……ちゅく……。
「っん!」
 体がぴくりとケイレンする。
 やだな、最近敏感になってきちゃった。
 毎日、こんなこと、やってるから。
 ………耕一お兄ちゃんのせぇだよぉ……。
 わたし、前はこんなにエッチじゃなかったもん。
 耕一お兄ちゃんが、いっぱい気持ちいいことするから………。
 お兄ちゃんが帰った後も、わたし…。
「楓、初音ぇ。夕ご飯出来たわよぉ」
「ひゃいっ!」
 ガンッ!!
「っい!」
 い、痛ぁ〜い。
 膝、机の柱に、思い切りぶつけちゃったよぉ。
「早く降りて来ないと冷めちゃうわよぉ〜」
「い、今降りるからっ!」
 急ぎ下着を上げ、扉に手をかける。
 廊下に出た瞬間、楓お姉ちゃんと目があった。
608人には言えない趣味 その2:2005/03/27(日) 23:56:54 ID:ExkM+t+y0
 思わず目を逸らす。
 別に悪い事しているわけじゃないけど。
 ついでに頬も熱くなった。


「いただきます」
 机の上には湯気と共に、美味しそうな匂いが立ち上る。
「悪いね、今日は品数が少なくて」
 梓お姉ちゃんがすまなそうな顔をしつつ呟いた。
「しょうがないじゃない。みんな中間テストで忙しいんだから」
 千鶴お姉ちゃんが優しくフォローを入れた。
「もし良かったら、明日から私が料理を…」
「千鶴姉、今は掻き入れ時で忙しい時期じゃないの?」
 すかさず突っ込みを入れる梓お姉ちゃん。
「そ、そうだよね。丁度、紅葉のシーズンだし、千鶴お姉ちゃんもお仕事大変だから、
わたし達でなんとかするよ」
「あら……、そう?」
 シュンと落ち込む千鶴お姉ちゃん。
 ごめんねと心の中で謝った。
 千鶴お姉ちゃんの気持ちはありがたいけど、さすがにテスト前は………ちょっと………。
「三人とも勉強はすすんでいるの?」
 千鶴お姉ちゃんの声に、ピタリと箸が止まる。
 ごめん……実は全然すすんでいない。
 だって、ひとりで部屋にいると……。
 ……………ついつい、しちゃうんだもん。
「千鶴姉。心配しなくても、ウチはみんなちゃんと勉強しているから。その辺は
心配しなくても大丈夫さ」
 梓お姉ちゃんがチラリと視線を向けてきた。
 うぅ、そんな目でわたしを見て欲しくない。
「……耕一さん、勉強しているかしら」
 千鶴お姉ちゃんの声に、静かにご飯を食べていた楓お姉ちゃんが顔を上げた。
「耕一の事だから、アルバイトに精を出しているかもね」
609人には言えない趣味 その3:2005/03/27(日) 23:58:04 ID:ExkM+t+y0
 湯飲みにお茶を入れつつ、梓お姉ちゃんが答えた。
「ねぇ、千鶴お姉ちゃん」
「何かしら、初音」
「確か来月の連休、耕一お兄ちゃんが来るんだよね」
「えぇ、確かその筈よ」
 千鶴お姉ちゃんの顔がほころんだ。
「どうせ飯をたかりに来るだけだろ?」
 口ではあーいう梓お姉ちゃんも、どこか嬉しそう。
「楓お姉ちゃん。耕一お兄ちゃんが来たら、どこか遊びに行こうよ」
「………」
 無言の視線。
 わたしの方を向いたまま。
 無表情なまま。
 わたしを見ていた。
「………そうね」
 一言呟くと、楓は席を立った。
「ごちそうさま」
 脇目もふらず部屋から出ていった。


 わたしの名前は柏木初音。
 昔の名前はリネット……らしい。
 私を好きだと言ってくれた耕一お兄ちゃん。昔の名前は次郎衛門……だったらしい。
 前世では、お兄ちゃんとは夫婦だった……らしい。
 でも次郎衛門は、死に別れたエディフェルのことが、本当は好きだった……らしい。
 そしてエディフェルの現世の姿は、楓ちゃんお姉ちゃん……だと思う。
 あくまで『らしい』『だと思う』でしかない。
 何故なら、あの洞窟……九死に一生を得て、耕一お兄ちゃんと結ばれた洞窟で得た知識は、
どれもこれも真実なのかどうか、確かめようのないものだから。
 だから、わたしは『らしい』としかいえない。
610人には言えない趣味 その4:2005/03/27(日) 23:58:55 ID:ExkM+t+y0
 でも、ひとつ気になることがある。
 それは………。
 楓お姉ちゃんのこと。
 もし、わたしと同じ知識を有していたら……。
 複雑な気分。
 わたしは耕一お兄ちゃんのことが大好き。
 耕一お兄ちゃんも、わたしのことを好きだと言ってくれた。
 幸せだけど、それは確かに幸せなことだけど………。
 楓お姉ちゃん。あの日から笑わなくなった。
 もともと感情を顔に出さないほうだけど。
 そして………わたしを見る目が少し変わった。
 どこか悲しげな目で、わたしを避けるようになった。
 やっぱり、わたしと耕一お兄ちゃんが恋人同士になったから……。
 お姉ちゃん達には何も話していないけど、勘の鋭い楓お姉ちゃんのことだから気付いたのかもしれない。
 きっと間違いなく、楓お姉ちゃんも耕一お兄ちゃんのことが好きなんだろう。
 教科書を広げたまま。
 ノートを広げたまま。
 さっきから勉強が手につかない。
 机に座ってから、悲しげな楓お姉ちゃんの視線が頭に浮かんで。
 悩んでも、結論なんて出ないのは判っているのに………。
 あの日から出口のない迷路をさまよっているわたし。
「試験勉強、すすまないよぉ………」
 溜息をついた。
 そうだ。
 いいこと思いついた。
 梓お姉ちゃんと一緒に勉強をすればいいんだ。
 ひとりでするよりは集中できそう。
 わたしは早速勉強道具一式を手に持ち、隣の部屋へ向かった。
 コンコン。
 扉を軽くノックしてからノブに手を掛けた。
611人には言えない趣味 その5:2005/03/28(月) 00:00:08 ID:ExkM+t+y0
「梓お姉ちゃん、一緒に勉強し…よ………ぅ」
 真っ暗な部屋。
 電気が消え窓にはカーテンが引かれていた。
「………ん、はつね?」
 眠そうな梓お姉ちゃんの声。
「ごめんなさい。もう……寝ていたの、梓お姉ちゃん」
「う、うん。あたし、夜よりも早朝のほうが勉強はかどるから……」
「そ、そうなんだ。お休み梓お姉ちゃん」
「うん、お休み初音」
 わたしは静かに扉を閉めた。
 梓お姉ちゃんて、前から朝起きるの早かったよね。
 じゃぁ、どうしよ。
 楓お姉ちゃんとは……………。
 今は、やめたほうがいいかも。
 暫く廊下で悩んだ後、結局自分の部屋へと戻った。
 わたしも早く寝て、明日の朝に梓お姉ちゃんと一緒に勉強しよう。
 上着を脱ぎ、寝間着に着替えた。


 ………………。
 時計の音がカチコチと気になる。
 眠れないよぉ……。
 普段より2時間は早いから。
 遠くで鳴く虫の声。
 私は毛布を深く被った。
 ……………。
 …………ん。
 ………ぁっ。
 いつの間にか、右手がショーツの中へ。
 眠れないから。
 寂しいから。
 気持ち…いいから。
612人には言えない趣味 その6:2005/03/28(月) 00:00:49 ID:zB7k0l7k0
 一回すれば、疲れて眠くなるかな。
 きっと眠くなるから。
 そう自分に言い訳しつつアソコへと指を沈める。
 …………いつも思う。
 何か足りない。
 気持ちいいんだけど。
 やっぱり、耕一お兄ちゃんのアレが………。
 でも、他に代わりになるモノなんて………。
「うぅ、ぁふぅ」
 もう、ぬるぬるになってる。
 敏感になってる。
 お兄ちゃん。
 耕一お兄ちゃん。
 おにい…ちゃ……ん………………。


「初音、おはよう」
「……おはよう、梓お姉ちゃん」
「昨日はごめんね」
「う、うん。わたしこそ、起こしちゃってごめんなさい」
 わたしは目蓋を擦りつつ答えた。
「寝不足なの初音? 勉強も大事だけど体壊したら意味ないよ」
 思わず返事につまる。
 勉強……してたわけじゃないから。
 昨夜、止まんなくなって。
 一晩中エッチなこと、してたから。
 激しく自己嫌悪。
「梓お姉ちゃん、私も朝ごはん手伝うね」
「悪いね。サラダ作るから、そこのニンジン皮を剥いて細く切ってくれる?」
「うん。コレね」
613人には言えない趣味 その7:2005/03/28(月) 00:01:42 ID:zB7k0l7k0
 寝不足でふらつきながら、わたしは野菜籠から赤いニンジンを一本取り出した。
 細くて丸くて長い棒。
 ………ちょうどいいかも。
「初音。それ、どうかしたの?」
 お鍋を掻き混ぜつつ、梓お姉ちゃんが不思議そうな目でわたしを見ていた。
「うん。ひとりでエ………」
 わたしはハッとして口を手で塞いだ。
 な、な、な、な、なに言っているんだろ、わたしっ!?
「ひとりで……え?」
 梓お姉ちゃんが、わたしの顔を見つめる。
「ニンジンで何をするの? 初音」
「え……」
「え?」
「え…」
「え?」
「え、絵を最近、趣味で描いてるのっ!」
 背中に冷たい汗をかきながら。
 顔を引きつらせながら。
 わたしは咄嗟にウソをついた。
「あら、初音ったらそんな趣味があったの?」
 振り向くと、後ろに千鶴お姉ちゃんが。
 さらにその後ろに楓お姉ちゃんが。
 3人の視線がわたしと、わたしの握るニンジンに集まっている。
「そ、そうなの。最近、わたし絵に、め、めざめて、その、美術の時間に、先生に……ほめられて」
 ウソに、ウソを重ねるわたし。
「そうなんだ。画けたら、あたしにも見せてよ」
「う、うん」
 どんどん自分のクビがしまってくる……。
 それにもまして、無言でたたずむ楓お姉ちゃんの視線が痛かった。


「一応、ニンジンとっておいたから。あと適当に他の野菜も」
614人には言えない趣味 その8:2005/03/28(月) 00:02:43 ID:zB7k0l7k0
「あ、ありがとう梓お姉ちゃん」
 学校から帰宅すると、籠に盛られた幾種類の野菜がわたしを出迎えた。
「これ、お父さんが昔買ったまま、使わなかったスケッチブックよ」
「大事に使うね、千鶴お姉ちゃん」
 二人の姉に礼を述べながら、内心青くなっていた。
 夕ごはんを終えると、わたしは自分の部屋に籠もった。
 野菜とスケッチブックをたずさえて。
 真っ白な紙を前にして、頭を抱えた。
 試験勉強もすすんでいないのにぃっ!
 でも、絵を描かないとみんなに………。
 自業自得とはいえ泣きたくなった。
 とりあえずニンジンを手に取る。
 やっぱり、アソコに入れるのは……そうじゃなくてっ!
 しっかりしてよ、わたしぃ!
 もう…全部、耕一お兄ちゃんが悪いんだ。
 前はこんなにエッチじゃなかったもん………。
 でも、それを受け入れたわたしが一番悪いんだけど。
 …………わたし、あまり絵を描いたことない。
 この際だから、試験勉強が忙しかったということにしようかな。
 それでも、テストが終わったら描かなくちゃいけないだろうけど。
 コンコン。
 突然叩かれる扉。
「初音。お風呂沸いたわよ」
 楓お姉ちゃんの声。
「う、うん。わかっ……きゃっ!」
 腰掛けたベッドから立ち上がった瞬間、歩こうとして椅子に足を取られた。
 倒れまいと伸ばした手が野菜の籠に当たり。
 絨毯の上に大根や玉葱と共に転がった。
「どうしたの、初音」
 ガチャリと開かれる扉。
「な、なんでもない」
615人には言えない趣味 その9:2005/03/28(月) 00:03:31 ID:zB7k0l7k0
 床にぺたりと座りながら、わたしは答えた。
「…………初音。ニンジン、役に立ちそう?」
 冷ややかな視線と言葉。
「え………」
 楓お姉ちゃんの見ている場所。
 まくれたスカート……と、そこから覗くように股の間に転がったニンジン。
「あっ!」
 ニンジンがまるで、わたしの下着から………。
「ち、ちが、違うの、コレは…」
「早くお風呂に入りなさい」
 ガチャンッ!
 とりつくしまもなく閉じられる扉。
 ………………。
 うわぁ─────っ!
 楓お姉ちゃん、完璧に誤解してるよぉっ!
 どうしよぉっ!
 どうしよぉっ!
 どうしよぉ───っ!
 多分、楓お姉ちゃんのことだから、他の人には言わないと思うけど。
 でも、でもぉ……。
 ………………お風呂入りながら考えよ。


 体に湯を掛け、足を浴槽へ。
 あ、ちょうどいい温度。
 体を湯船に沈め一息ついた。
 頭に巻いたタオルを直しつつ天井を見上げた。
 …………なんて楓お姉ちゃんに説明しようかな。
 普通に転んだだけと言うしかないけど………。
 信じてくれたらいいけど。
616人には言えない趣味 その10:2005/03/28(月) 00:04:41 ID:zB7k0l7k0
 突然、ガララと脱衣所が開く音。
 誰だろう。
 布の擦れる音。
 服を脱ぐ様子が磨りガラス越しに見えた。
 わたしがお風呂に入ってるの知らないとか。
 でも、脱ぎ終えた衣服が脱衣所に残ったままだから、普通気がつくはず。
 そう思っていると、今度は浴槽の扉が開かれた。
「か、楓お姉ちゃん……」
 わたしは目を丸くした。
「初音。たまには一緒に入っても………良いでしょ?」
「……うん」
 特に断る理由もなかった。
 湯を体に浴びせ、楓お姉ちゃんも湯船の中へ足を入れた。
 ウチのお風呂は広いから、二人でも楽に入ることが出来るけど………。
 わたしと正対する形で楓お姉ちゃんは座った。
 どうやって話せばいいんだろうか。
 いきなりだから心の準備が…………。
「ねぇ、初音」
「な、なぁに楓お姉ちゃん」
「勉強、すすんでる?」
 う…………。
 あぅう………。
「あ、あんまり」
 正直に答えた。
 ウソをついてもしょうがないから。
「多分、そうだと思ったわ」
 え、多分……て?
「だって、初音。毎晩あんな事してるから」
 ふぇっ!?
 思わず、湯船の中でひっくり返りそうになった。
「あ、あ、あんなこと………って?」
617人には言えない趣味 その11:2005/03/28(月) 00:05:28 ID:zB7k0l7k0
 心臓が破裂しそうなくらいドキドキし始めた。
「初音。私達の一族には不思議な力がある事………知っているわね」
「うん……」
 怖ず怖ずと頷いた。
「私、何となく判るの」
「な、なにが?」
 嫌な予感がしてきた。
「家族の感情よ」
「感情?」
「そう、強い感情」
「た、たとえば……」
「怒っていたり、笑っていたりすると、家の中だったら何となく判るの」
「そ、そうなんだ……」
 それって……もしかして。
「おかげで、私も勉強がすすんでいないの」
「え?」
 まさか、まさか………。
「誰かさんが毎晩、エッチなこと考えているから」
 うわぁ─────っ!
 やっぱりぃっ!!
「ご、ごめんなさいっ!」
 あまりの恥ずかしさに楓お姉ちゃんの顔を見る事が出来ない。
「どうして謝るの?」
「そ、それは……」
「どうして?」
「わ、わたしが、毎晩エッチな事して………」
 恥ずかしいよぉ……。
「楓お姉ちゃんの、べ、勉強の邪魔を……」
「ウソよ」
 …………う、そ?
 今、楓お姉ちゃん、なんて……。
618人には言えない趣味 その12:2005/03/28(月) 00:06:11 ID:zB7k0l7k0
「私にそんな便利な能力、あるわけないでしょ」
「え?」
 え?
 まじ?
 うそ?
 うそぉっ!?
「初音。あなた毎晩エッチにな事してたのね」
 うぁわぁわぁあああっ!!
 バシャ。
 お湯の中に顔を沈めた。
 恥ずかしい。
 本当に恥ずかしいよぉっ!
「ニンジンもあんな事に使っていたのね」
「ち、違うのっ!」
 お湯から顔を上げ、慌てて否定した。
「使っていないの?」
「使ってなんか、ないっ!」
「どうして?」
「だって、大きく…て……」
 あぅ。
 か、楓お姉ちゃんの目が………吊り上がってる。
「何と比べて、大きくないの?」
「それ……は……」
 墓穴を掘っちゃった………。
「何が、ニンジンと比べて小さいの?」
「…………」
 あぅぅぅ………。
「黙っていても判らないわよ」
「ご、ごめんなさい」
 再び謝罪の言葉を、わたしは口にした。
619人には言えない趣味 その13:2005/03/28(月) 00:07:10 ID:zB7k0l7k0
「何を謝っているの?」
「……………」
 どうしよ。
 どぅしよぉ……。
 返答の代わりに涙が溢れた。
「初音。別に泣かなくて良いのよ」
 わたしの頬を流れる涙。楓お姉ちゃんが指ですくった。
「ニンジンの件は黙っていてあげるから。その代わり……」
「その代わり?」
「私に見せて」
「み、見せる?」
 何を?
 わたしは首をかしげた。
「初音が毎晩していることを」
「ぇええっ!」
 それって。
 まさか………。
「お風呂上がったら、私の部屋に来て」
 そう言うと楓お姉ちゃんは湯船から立ち上がった。
「楽しみに……待ってるから」
 ガラリと音を立てる扉。楓お姉ちゃんは脱衣所へと姿を消した。
 ジャボンッ!!
 全身をお湯の中に沈めた。
 頭ごと。
 このまま、深く沈んでしまいたかった…………。


「本当に、やらなきゃダメ?」
 椅子に座ったまま、無言で頷く楓お姉ちゃん。
 恥ずかしぃよぉ………。
 私は楓お姉ちゃんのベッドに腰掛けショーツを降ろした。
620人には言えない趣味 その14:2005/03/28(月) 00:07:50 ID:zB7k0l7k0
「電気、消してもいい?」
「………暗くしたら、良く見えないでしょ?」
 楓お姉ちゃん、目がマジだ………。
 私は観念して、ネグリジェの端をゆっくりたぐりあげた。
 露わになるわたしの性器。
 こんな明るい所では、耕一お兄ちゃんにも見せたことがないのに………。
「まず、どうするの?」
 低い楓お姉ちゃんの声。
「指で……」
「してみせて」
「ぅ……うん」
 頷きつつ、アソコに指を這わせた。
 顔は火が出るくらい熱くなって。
 ついでに………。
「んっ!」
 アソコも、かなり濡れてる……。
 恥ずかしいから。
 いつもより、なんだか……。
 …くちゅ。
 にちゅ。
 エッチな音。
 いつもより、ぬるぬるになってる。
「初音、足を広げて」
 楓お姉ちゃんが椅子から降り、わたしに近づいて来た。
「う、うん」
 太股をゆっくり広げる。
「もっとよ」
「はんっ!」
 太股を当てられた手が、わたしの足を強引に広げた。
 …にちゃぁ……。
 パックリと開かれる私のアソコ。
「み、みないで……」
621人には言えない趣味 その15:2005/03/28(月) 00:08:44 ID:zB7k0l7k0
 羞恥心で頭がカーッとしてくる。
 何も考えられないくらい。
「続けて、初音」
「うぅ……」
 もう嫌……。
 視線が食い込むなか、再び指を動かす。
 ………なんか、いつもと違う。
 いつもより敏感で。
 いつもより糸を引くくらい濡れて……。
 にちゃっ!
「ひぃっ!」
 ゆ、ゆびが…。
 楓お姉ちゃんのゆびが…。
「んぁ。だ、だめぇ…」
 ぴちゃ。
 にちゅぴち。
「はんっ! くふぅっ! そんな…ぁんっ!」
「初音。ココ、気持ちいい?」
「ふぁ…はぁっ!」
 おまめの部分、撫でられ…んんっ!
「こっちに、指とか入れるの?」
「こ……こっち?」
 ずりゅ…。
「ふぁああ!」
 楓お姉ちゃんの指が、わたしの中に……。
「一本じゃ物足りない?」
 ぢゅり…。
「ひんっ!」
 じゅちゅり…。
「はぁああっ!」
「三本も入れば十分かしら?」
622人には言えない趣味 その16:2005/03/28(月) 00:09:30 ID:zB7k0l7k0
 ずちゅ。
 ずりゅるる……。
 掻き回されてる。
 わたしの中を、掻き回せれて……る。
「この後は、どうするの?」
「どうする……って」
「いつも耕一さんに、どんな事をされているの?」
「それは……」
 ちゅぷっ!
 ずちゅっ!
 ぢゃくっ!
「ひぃっ! やめて、そんなに強く…はぁっ!」
「ねぇ答えてよ、初音」
 やっぱり、楓お姉ちゃんは………。
「許して……」
「ゆるす?」
「許して、楓お姉ちゃんっ!」
「何の事?」
 執拗にわたしを攻め続ける三本の指。
「お願いだから…ゆるして………」
 哀願した。
 目から涙がこぼれた。
「さっきから何を謝っているの。私は初音が、どんなふうに愛されているのか
知りたいだけよ。それなのに、どうして謝り続けるの?」
 許して、もらえないんだ………。
 悲しかった。
 とても、悲しかった。
「いつもは………」
「いつもは?」
「口で……」
「口でどうするの?」
623人には言えない趣味 その17:2005/03/28(月) 00:10:08 ID:zB7k0l7k0
「アソコを、舐めて……」
 にゅろ…。
「あっ!」
 ぴちゃ。
 ぢゅるるぅ。
「ふぁああああっ!」
 アソコが。
 敏感な部分に。
 楓お姉ちゃんの唇が、舌が。
 ぴちゃる。
 ちゅりっ!
「くはぁっ!」
 吸われて。
 揉まれて。
 アソコの中も、指が、動き続け……って!!
「ひぃっ! はぁあ!」
 刺激がっ!
 気持ち良すぎてっ!
「かえ、で、おねぇ…ぁあああっ!」
 あんっ!!。
 ひぁああああああああああああっ!!!
 んぁあああ…………………。
 ふぁあ……………。
 はぁ………。
 ………。
 …。
「初音。イッたの?」
「…………」
 わたしは顔を手で覆いながら、首を縦に振った。
「耕一さんと、こんなふうにエッチしているの?」
 返す言葉なんて頭に浮かばなかった。
624人には言えない趣味 その18:2005/03/28(月) 00:10:52 ID:zB7k0l7k0
「……………私にもしてよ。初音」
「…ぇ?」
 服を脱ぐ音。
 パジャマのズボン。
 水色のショーツ。
 わたしの目の前で、楓お姉ちゃんの下半身を覆う布が消えていく。
「私にも、気持ち良い事、してよ………」
「う、うん」
 ベッドの上で横になる楓お姉ちゃん。
 両足の膝を立てた状態で。
 気怠い体を起こし、わたしは白い太股の間に顔を近づけた。
 ………こんなふうなんだ。
 楓お姉ちゃんの性器。
 間近で見るのは初めてだった。
 自分のすら、あまり見たことないから。
 …にちゅ。
 人差し指でそっと触る。
 ピクリと細い足が震えた。
 濡れていた。
 ピンクの割れ目は、ぬるぬるになっていた。
 楓お姉ちゃんも興奮していたんだ………。
 口をアソコに近づける。
 変な臭い。
 わたしのも同じ臭いがしたのかな……。
 れろ…。
「ふぅっ!」
 楓お姉ちゃんのあえぎ声。
 ぺろぺろと舐めて上げた。
「ぁあ、んんっ!」
 さっきのわたしと同じ……。
 なんとも表現しがたい味がした。
 耕一お兄ちゃんもわたしとする時、舌で同じ味覚を感じているのだろうか。
625人には言えない趣味 その19:2005/03/28(月) 00:11:32 ID:zB7k0l7k0
 ちろ。
 にちゅ。
 ちゅる。
 楓お姉ちゃんのアソコを。
 なるべく感じるところを。
 女の子同士だから。
 楓お姉ちゃんの気持ちいいところも、多分わたしと一緒だろう。
 おまめの部分。
 指で皮の部分を引っ張って。
 プリッと現れた真珠のような肉の芽を。
 わたしは丹念に愛撫した。
 感じているのは聞こえる声と、震える腰の動きから容易に想像できた。
 気持ちいい?
 楓お姉ちゃん気持ちいい?
 さっきのお返しとばかりに、わたしは舌で攻め続けた。
「あふっ! ふぁあああああああああっ!」
 激しくケイレンする体。
 楓お姉ちゃんは、あっけなくイッてしまった。
「ふぁ、はぁ、ふぅ」
 顔を上気しつつ甘い吐息を吐き出していた。
「ふぁ…。はぁ、ふぁあああ……」
 鼻をすする音。
「うぅ、うぁあぁ……」
 目に当てられた指。
 その間から流れ落ちる雫。
 いくつも、いくつもこぼれ落ち、シーツを濡らしていった。
 押し殺した嗚咽と共に。
 やっぱり………。
 楓お姉ちゃんは耕一さんを愛しているんだ。
 深く、とても深く。こんなに苦しむくらい。
 その姿を見て、わたしの目頭も熱くなった。
 胸がギュッと苦しくなった。
626人には言えない趣味 その20:2005/03/28(月) 00:12:33 ID:zB7k0l7k0
 これと似た光景を、遠い昔に見たような気がして………。
 わたしはベッドに手をつき四つんばいの格好で、泣きじゃくる姉の耳元へと這っていった。
「楓お姉ちゃん。今度の週末、ふたりで耕一お兄ちゃんの所で行こぅ」
「……はつね……」
「耕一お兄ちゃんに、愛してもらいに行こぅよ」
 ずっと、考えていた。
「わたし、ひとりだけ幸せになることなんて、できない…………」
 幸せを独り占めすることなんて、できないから。
「大人になったら、ふたりで耕一お兄ちゃんの赤ちゃんを産もうよ」
 わたしは笑った。
「ふたりで、耕一お兄ちゃんの子供を育てようよ」
 楓お姉ちゃんに笑って欲しくて、わたしは笑顔を一生懸命つくった。
「きっと、そのほうが楽しいと思うから………」
「良いの? 本当に良いの初音」
 わたしは微笑みながら首を縦に振った。
 そっと向けられる二本の腕。
 わたしを包み込み、やさしく抱きしめてくれた。
 これでいいんだ。
 これで。
 向かい合う唇。
 自然に重なり合った。
 心が、とても安らいだ。
 そして、長い間抱き合い続けた………。
 静かな時が流れた。
 優しい時間が流れた。
 もう、いいかな………。
 目を合わせる。
 いつもの楓お姉ちゃんがそこにいた。
「わたし、そろそろ自分の部屋に……」
 離れようとするわたしを、楓お姉ちゃんが離すまいと引き留めた。
627人には言えない趣味 その21:2005/03/28(月) 00:14:31 ID:zB7k0l7k0
「ねぇ、初音……」
「なぁに、楓お姉ちゃん」
「もう少し、しない?」
「え?」
 …くちゅ。
「…んっ!」
 わたしのアソコへと、一本の指がするりと入り込んだ。
「とても、気持ちよかったから……」
「もう一回するの?」
 はにかかみながら楓お姉ちゃんは頷くと、わたしにキスをした。
「んん……」
 舌がお互いの口の中で重なり合う。
 なんか気恥ずかしいけど、気持ちいい……。
 わたしも楓お姉ちゃんの太股の間に指を割り入れた。
「んふっ!」
 ぴくりと楓お姉ちゃんの背中が震えた………。


(終わり)