1 :
名無しさんだよもん:
「勝者は北川、配当はなんと100倍だ!」
こんな感じで
あほ
3 :
名無しさんだよもん:04/09/09 15:38 ID:pZLHZpt+
ぼけ
まさか、こんな事になるとは思わなかった。
というか、ありえない。
俺が提案した事になっているクラス対抗競輪大会。
オリンピックの自転車競技を見て、少しばかり競輪にはまっていた俺は、
昼食時の話題作りと思って、冗談混じり、ではなく冗談で言ったまでだ。
しかし考えてみれば、あいつだって一応は生徒会長だ。
文化祭の催し物の一つくらいを決める権利はあったんだ。
そして、俺は提案者としての弱みを握られてしまった事になる。
裏で蠢く陰謀、無駄にやる気満々の参加者達。
そんな中、審判席に座る俺が居た。
駄スレ
初芝げっと
競技は2クラスで行われ、各クラス4人ずつ選手を走らせ、
最終的に1着を取った選手側のクラスが勝利となる。
自転車はもちろん競技用ではなく、生徒会で用意した通常の市販品を用いる。
新鮮な事もあるのだろう、各クラスとも楽しげに競技に挑んでいた。
文化祭のメインイベントにもなっているし、それが微笑ましい光景を作り出している。
それ自体は非常に歓迎できる事だ。
だが、一歩間違えば、俺は退学間違い無し。
卒業目前にしては実にリスキーな役回りだ。
そして、退学の理由というのが、大方予想がついていると思うが、
この大会の裏で行われている、一部の生徒と関係者による賭博行為だ。
表向き、俺が主催している事になっている為、非常に性質が悪い。
しかも関係者の一部には、庶民的ながらも、それなりの権力を持った人間がおり、
それに有利な結果が出るに越した事は無い、という通達を
実際に主催している人間から伝えられている。
要は、八百長にチャレンジという事だ。
もちろん、賭博行為がばれても、八百長がばれても、失敗しても、俺が飛ぶ。
とどのつまり、俺はあれよあれよの内に仕立て上げられたスケープゴート。
笑顔で自転車に跨るクラスメイトを、高鳴る胸で見送る事しか出来なかった。
8 :
コテとトリップ:04/09/09 20:44 ID:Fvtlqw1i
悪いことはいわねえ、まくりの井上だけは出しとけ、な?
まくりの井上って誰だ?
茂徳じゃないんだよな?
10 :
コテとトリップ:04/09/09 21:36 ID:Fvtlqw1i
スーパースプリントの小川も入れとけ、な?
レースは始まった、俺が転校して来た3年B組の一回戦だ。
運動神経が最も良いと言われている相沢と、その親友らしい北川のサポートと、
捲り要因の陸上部員を中心にラインを組むらしい。
相手が1年だし、目ぼしい奴も居ないし、クラスメイトに軍配が上がることが
大方の予想だ。
で、その軍配が上がる確率が明らかに高いから、下手な操作はリスクが高い。
小銭を賭けて、彼等の大一番に向けて軍資金を稼ぎたいような奴しか賭けないレースだろう。
たかが学校の行事だが、それでも目の付き易いところでは黒く染めない。
頭の悪い連中の集まりかと思っていたが、少なくとも上層部はそれほどでもないらしい。
特設バンクに目を向けると、最終周回までウマに構えた北川がギリギリまで引っ張って、
一気に相沢が仕掛けて行った。
明らかに脚色が違うし、余力も十分で勝利はほぼ間違いないだろう。
ここでは番狂わせが起きない方が喜ぶ人間は多い。
力差が微妙になってこそ、やる事がやり易いからだ。
上位独占でゴールしたクラスメイト達に笑顔を向けながら、時間を確認する。
そろそろ定時連絡の時間になっていた。
連絡先が二箇所あるのが面倒だが、仕方ない。
次のレースまで席を外す事を別な審判員に伝えて、審判席を立つと、とりあえずトイレに向かった。
12 :
コテとトリップ:04/09/10 00:37 ID:VPdpRPi5
堀口出せよー!
つうか祐一ってそんなに運動神経よかったのかよ。
で、北川の大ギアいくつよ?
つうかぶっちゃけ、競輪なんてよく分かんない、競馬専門だし。
誰も見てなさそうなスレだから久々に何か書きたいなぁ、と思っただけです。
競輪の公式サイトとか、知ってそうな人のサイトから言葉パクッてるだけなんで、
もし、分かりやすいところとか、オススメのところがあればむしろ教えて下さい。
14 :
コテとトリップ:04/09/10 00:49 ID:VPdpRPi5
なんと、どおりで・・・
つうかよくわからんもんをよく書こうと思うなあ
チャレンジスピリットは買うが。好きな人が見たらどうなんだろうね
あんたも競馬が好きなら想像してみちゃどうよ?
ようするにおれがいいたいのはだ、
だれも見てないんだから好きに書き殴っちまえw
中野浩一だけ出しときゃだれもケチつけねえと思うぜ。マジでマジで
なんとなく行き当たりばったりで書いてたから、
競輪はアクセントにしか使わないつもりだった。
でも言われてみたらファンの人には申し訳ないですね。
出来るだけ底の薄さが見えないように気をつけます。
ご忠告、ありがとうございます。
明日、つうか今夜も落ちてなくて、苦情が無ければ、
先も書いてみます。
無 1 ハクオロ トゥスクル 逃げ 早逃げどこまで
○ 2 国崎往人. 滋賀・73 逃捲 二の脚あり
△ 3 神尾晴子. 大坂・61 追込 差せるか
× 4 水瀬名雪. 北海道・81. 捲逃 強力新人
◎ 5 神尾観鈴. 兵庫・81 追込 ゴールっ…
無 6 河島はるか 東京・74 マーク 伏兵
注 7 ウルトリィ. トゥスクル 追捲 二段駆け
▲ 8 深山雪見. 静岡・79 自在 前々自在
無 9 美坂栞. 北海道・81 追込 追走一杯
A53C9@76
8
ガツチリとまとまった近畿・中部勢が主力。
ハクオロの逃げを早めに国崎が捲くって決着か。
驚異のスピードを持つ水瀬とそれに乗る深山も。
あ、滋賀も近畿だった。栞も83期だ。板のほとんどの奴にはさっぱりわからんだろうが。
「ああ、俺だ」
今時の学校は携帯電話で堂々と連絡が取れるのが楽だな、と思いつつ笑顔で仕事の話をする。
連中も俺の正体は知らないだろうし、友達と話してる風にしておけば大丈夫だろう。
用件と集合場所を伝えて通話を切ってから、メールで本命の用件と集合場所を伝える。
気を抜いても手は抜かない方が痛い目を見ない。
本当かどうかは知らないが、俺は勝手にそう思っている。
電話をしまうと、今度は生徒会室に歩を進める。
次のレースまでは5分以上あるし、そろそろ顔を出さないと拙いだろう。
軽くノックをすると、軽やかな返事で返される。
「やあ君か、おはよう」
「おす、決行対象は決まったのか?」
生徒会長様は作った表情で髪をかきあげながら、殊更きざったらしく言葉を繋ぐ。
「そう焦らないでくれ、宗一君」
19
20
21
生徒会長様……久瀬とか言ったか、そんな感じの奴がいやらしく目を向けてくる。
迫力のある目でもないし、とてもじゃないが俺の事を勘定できる男にも見えない。
将来性は無いことも無いのだろうが、所詮は小者という気がする。
「大体、どうやって工作してくれるんですか?」
「さあ、決まってから考えるよ」
今度は顎を突き出して見下すような目で、フン、とか言っている。
アホか、コイツは。
「出来れば知った顔の連中のほうがやり易いけどな」
一応、彼の喜びそうなことを言ってみる。
案の定、目を開き、素で口の片方を吊り上げる。
いだけど。
「なるほど。 あなたは転校して来たばかりですし、それは道理ですね」
「うん。 ただ、あいつらは結構強いみたいだけどな」
「出来れば、一番目立つ舞台の前で決めたいですね。 例えば……」
そこで少し溜めた。
演技派気取りか?
「例えば、そう。 準決勝とか」
なんか、一番目立つ舞台のような気もするんだが、とも言えず、頷いておいた。
こいつがどんな手段を想定しているのかは分からないが、俺の目的の為にも、本気で勝
負してくれるレベルが嬉しい。
そういった意味では、決勝よりも準決勝の方が向いているかもしれない。
別に博打がどうなろうが知った事じゃないし。
とりあえずのターゲット・ポイントが決まったところで、背を向け、右手で別れを告げた。
やっぱりこいつは面白い奴だった。
嫌いだけど。
「おっ、那須だ」
審判席に戻る途中、クラスメイト達に会った。
レースに出ていた北川と、陸上部員の連中だが、相沢はいないようだ。
「お疲れさん、さすがに強かったな」
「当たり前だろ。 でも結構、疲れるもんだな、これ」
北川は任務の対象ではないが、任務の対象と近い人間だった。
それだけにこういう話しやすいタイプだったというのは素直に嬉しい。
転校初日から教科書を貸してくれた時は驚いたが。
「あのさ、次のレースってどこが相手だか分かる?」
北川と俺の会話の間に陸上部員の片割れが口を挟む。
「う〜ん、確か2年のどこかだったと思うけど」
正直、本当に憶えていない。
「頼りない審判長だな……」
「悪いな。 でもさ、転校して一ヶ月の人間を抜擢する方がおかしいぞ」
「その辺の経緯、知らないし」
陸上部員のもう片方が余計な事を話そうとするので、二の句を告がせる前に口を開く。
「てかさ、お前ら、どこに行くの?」
「ああ、休憩。 教室にジュース置いてあるからさ」
「ふ〜ん。 でも相沢は?」
三人の背中にオーラが見えた、気がした。
「……あいつは男同士で休憩する奴じゃないしな」
「……しかも無駄にカッコイイとこ見せてやがったな」
「……部長がタオルとジュース持って行ってたぞ、俺らには一言も声をかけないくせに」
連中の様子から、察しが着いた。
そういえば相沢は陸上部の部長で、これまたクラスメイトの水瀬と仲が良いんだったな。
しかも同じ家に同居していて、恋人関係で、春には水瀬の母が事故ったが、奇跡的な回
復を見せて、何の障害も残っていない代わりに、二人の仲は深まった、と。
っと、連中は暗い話題で盛り上がってしまっている。
俺は用事を思い出した、とだけ告げてその場を去った。
その後も順調にレースは進んだ。
各学年10クラスの学校なので、決勝を含めて最大5レース、1回戦をシードしても4レース
走らなければならない。
1日にそれだけレースをするというのも普通に考えれば厳しいと思うだが、そこは高校生
の若さでカバー、という事になっている。
優勝候補の一角に挙げられているうちのクラスは、順調にベスト4進出を決め、クラスメ
イト達に素直な喜びを、一部の連中に邪な喜びを与えていた。
もちろん、俺も喜んでいる。
俺自身の仕事がやりやすくなったからだ。
なにせ、生徒会長という後ろ盾が居るのだから、色々と都合が良い。
まあ、それでもバレたら面倒な事になるし、そもそも失敗は許されない。
なんて言ったって俺は―――、っと、軽い振動が通信の着信を告げてきた。
ちっ、たく、折角の決め台詞が。
丁度レースの合間だったので、審判席から離れて、電話に出る。
「もしもし」
が、返事は無い。
「もしもし!?」
「おっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃぃ!!」
耳がキーンとなる。
そっか、自衛隊でもここまでの妨害電波をって、これはあれか。
「皐月、うるさい!」
「だって、遅いんだもん。 プルルルルって10回くらい鳴ってたわよ!?」
「お前なぁ……。 まあいいや。 で、準備は出来たのか?」
「え、うん。 一応出来てるけど。 ホントにあれだけでいいの?」
「構わないよ。 ただ、……う〜ん、そうだな、一応直前にメール入れる。
空のメールだけど、それが届いたら打ち合わせ通りに宜しく」
「はいはい……。 でも恥ずかしいなぁ、やっぱり」
最後まで渋りながらも、納得して電話を切ったらしい。
まあ、なんのかんのであいつなら大丈夫だろう。
電話の彼女は湯浅皐月。
俺と「本当のクラスメイト」だ。
俺自身、平凡な高校生活の裏で、ちょっとした仕事をやっているのだが、その手伝いを
やってもらっている。
他にも何人か手伝ってもらっているが、皐月には身体を張った仕事が多い。
それを何の疑問も無く受けて、遂行してくれるのは助かるのだが、たまには疑って欲し
い時もあったり。
まあ、皐月だからなぁ、と納得せざるを得ないんだけど。
さてと、あいつばかり働かせていると後で文句を言われそうだ。
時間も迫ってきているし、そろそろ俺も動こうか。
準決勝となった次のレースは、屈指の好カードになった。
これまでのレース振りから優勝候補に数えられていた3年B組。
そして陸上部の短距離エースが所属している2年D組。
3年B組は相沢を中心に、他の3人がチームワークで巧くレースを進めて勝ち進んできたが、
2年D組の方はエースの捲りに全てを賭ける男らしいクラスだ。
そんなわけで、強いだけでなく魅せるという面でも、生徒達からの注目が集まっていた。
これから俺のする事は、それに水を差す事になるのか。
それとも、より一層の盛り上げに加担する事になるのか。
俺の勘としては、後者の可能性のほうが大分勝っていると思う。
まあ、それだけあいつに関する情報の信憑性が高いという事を認める事になるのだが。
なにせその情報の出所が俺のナビの……って、そんな事はどうでもいい。
そろそろ、あいつの迎えに行ってやろう。
「お、ゆかり、似合ってるじゃないか。」
文化祭という事もあって、一般の客も入り混じって賑わう生徒玄関。
そこに、黒髪をポニーテールにしたポッチャリ系の女の子がいた。
俯いているが、そこはかとなく可愛い雰囲気を醸し出しており、何人かの生徒が見ている。
まあ、可愛いだけでなく、一部の生徒には有名だった女の子に似ているからかもしれな
いが。
「あ……宗一くん……。 なんかみんな見てて、恥ずかしい」
少しきょろきょろしてから、声を潜めて続ける。
「やっぱり、変装してるからかなぁ?」
その子は、俯きながら目線だけを上向かせて言う。
これがまたエライ可愛いから困る。
「悪いな、ゆかり。 でもすぐ済むと思うから、やる事やったら着替えて良いぞ」
「うん……」
彼女は伏見ゆかり。
皐月と同じで、俺の本当のクラスメイト。
いつも来ている制服ではなく、この学校の制服を身に纏って、黒髪ロングのかつらを
被って貰っている。
ちょっとした作業の為の、ちょっとした変装だ。
別に変な格好ではないので、変装で目立つというよりは単に本人が目立っているとしか
思えない。
それに気付かず、変装している事で目立っていると勘違いする辺りがエライ可愛いから
困る。
「あのさ、宗一くん」
なんでもこれに西洋剣を持たせると、相沢祐一に関連のあった生徒に似るらしい。
その生徒の名前が……川澄舞と言ったか。
「ねえ、宗一くんってば」
「ああ、悪い悪い、聞いてなかった」
「もう、私は宗一くんのお手伝いでこうしているんですよ? なのに無視するだなんて」
「ごめんってば、仕事が終わったら模擬店でなんでも買ってやるから」
「じゃあいいです……、ってそうじゃなくてね」
機嫌は一発で直ったらしいゆかりが、少し不安げな面持ちで尋ねてくる。
「私、その川澄さんに似てるの?」
そうそう、その川澄の外見の特徴は、綺麗な黒髪ロングのポニーテールとモデルばりの
スタイル。
で、とりわけ乳がでかい。
ゆかりの外見の特徴は愛くるしい童顔、痩せてはいるんだけど、なんとなくポッチャリ
した雰囲気。
で、武器になるくらい乳がでかい。
「……うん、似てる、と、思うよ」
「ホント?」
デフォルメする際、大事なのは最も際立った特徴を強調する事。
そう信じた俺は、こくりと頷いた。
「じゃ、じゃあ配置についてもらおうかな」
「うん、分かった! 頑張るよ!」
今回の作戦、ゆかりがコケなければ、成功の確率は高いと言える。
つうか、躓くところがそれしか考えられないとも言えるのだが。
大きく深呼吸しながら、予め指定した場所に向かうゆかりの後姿を、少しばかり複雑な
心境のまま見届けると、レースの準備を進めるクラスメイト達の輪の中に向かった。
なにをする気なのだろう
バンクの脇で固まり、作戦会議をしている相沢達を見つけると、携帯から用意していた
メッセージをとある人物に送る。
かなり複雑な暗号処理を施しているが、俺とそいつの間では共通語と同じ意味しか持た
ない。
予想通り、相手から即座にメッセージが返ってくる。
「OK、Sir」の文字に安心すると同時に、相沢たちの元に辿り着いた。
このタイミングは見てたな、絶対。
携帯を握った右手をそのままポケットに突っ込むと、相沢に声をかける。
「おす、エース・相沢のご機嫌はどうだい?」
もう作戦も固まっていたのだろう、談笑していた四人と、マネージャーのポジションに
居た女子何人かがこちらを振り向く。
女子には見ない顔もいたが、うちのクラスではないだけだろう。
「お、那須。 お前の企画のせいで明日は筋肉痛だよ」
「はは、その前に今日ヒーローになれるからいいだろ」
「それはどうかな、結構キツイんだぜ、これ」
俺と相沢の会話に割り込む影。
「そうだよ〜、那須君。 祐一、脚パンパンなんだから」
ええと、確か、水瀬名雪だな。
「代われるものなら代わってやりたいんだが……」
「んなこと言ったって、那須は審判長だろ? 代われるわけねーだろ」
今度は北川が口を挟む。
場は軽い笑いに包まれ、緊張感が一気に解けて行く。
これなら良い走りが出来るだろう。
だから、俺はポケットに突っ込んだままの右手で携帯を操作する。
今度はメッセージを用意してもいない、なにせ空のメールを3人に送るだけだからだ。
「そろそろレースだな」
このまま緊張感が解けてもらっていては困る連中がいる。
その連中の為にも自分の声で再度状況を理解させる。
「おっ、そうか……」
相沢がストレッチを始めようとした瞬間。
ガシャン。
遠くで、遠くで何かが割れる音。
どんなに小さくても耳にさえ届けば響く音―――ガラスが割れたらしい。
一瞬戸惑いが空気を支配する。
そしてその空気を切り裂くのは。
「キャァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッ」
女の子の悲鳴と相場が決まっている。
っつうかやり過ぎだ、加減の知らぬアホめっ!
どんだけの声出してやがるんだ!
悲鳴というより、絶叫じゃねぇか!
「な、なんだっ!?」
それでも狙い通り陸上部員と北川が辺りを見渡す。
そして俺は視界の隅に「それ」を確認すると、丁度隣にいた相沢の肩を叩く。
「おい、あいつ、なんか物騒なもん持って行ったぞ!」
「な、何!? ……って、舞!?」
仮想川澄―まあ要するにゆかりだが―は打ち合わせ通りに木刀を携え、バンクの
ど真ん中を突っ切って音の発生源に走って行く。
普通ならどうなるか分からないが、レース間のインターバル。
文化祭のイベントで警備員なんて配置されていない以上、審判員が息を抜いている今な
ら誰も捕まえられない。
それでもハラハラ見守ってしまったが、結局ゆかりは転ばずに、バンクを抜けて校舎の
人ごみに紛れていった。
ホッと一安心、後で甘いお菓子を奢ってやろう。
「ま、舞!!」
俺は叫んで走り出そうとする相沢の肩を掴んで引き止める。
「相沢、もうすぐレースだ」
「だ、だがなっ!」
「何がなんだか分からんが、どうせレースなんてすぐ終わる」
「そんなこと言ってもな、俺にはレースよりも大事なっ」
「あ〜、え〜、生徒会長の久瀬です。 たった今、校舎で器物が破損したようですが、
特に危険はありませんので、ご来場の皆様につきましては、引き続き文化祭を
お楽しみ下さい」
ナイスタイミングで放送が入る。
なかなか使えるじゃないか、ボンクラ君。
「そういう事だ。 あっちの方は俺が見てくるから、今はレースに集中してくれ」
「……ちっ」
「悪いな、こっちにも進行ってもんがあるんだ」
まだ動揺する連中に文句を言わせる間を与えずに、俺は審判席に急ぐ。
既に審判員は集まっていたので、生徒会長の申し付け通り、普通にレースを進める事を
言い伝えた。
「じゃあ、俺はちょっと見てくる。 すまんが、進行を頼むぞ!」
「あっ、あの、那須さん!?」
2年の副審判長が呼び止めようとしているが、今の俺には聞こえていない。
事態を把握している俺が進行してはダメだからな。
進行もあたふたしないとレース全体が揺れてはくれない。
最後の最後はエース対決になるであろうこのレース。
どちらのチームにも動揺が走っただろうが、エースの片割れの相沢は、誰よりも動揺を
抱えてレースに挑む事になる。
そうすればレースの勝敗は自ずとどちらかに傾く、という理屈だ。
ボンクラ会長はその理屈で納得してくれているし、俺自身、子供騙しながらも的を得て
いると思う。
だが、裏の裏にいるホントの俺の気持ちは……。
走って校舎に駆け込むと、中はまだ少し騒然としている様子で、全速力で走る俺もさし
て目立たない。
目指すは一路屋上、バンクも見えるその場所に、仲間達が待っている筈だ。
大きな音を立てて、屋上の扉を開放する。
仲良く談笑する二人と、少し離れて立つ一人。
共通するのは、視線がバンクから俺に向いた事だけだ。
「お疲れさん」
三人がそれぞれの微笑を返す。
第一段階は成功だった。
「宗一、ホントにこんなんで上手くいくの?」
皐月が素の顔で聞いてくる。
まあお前は咆えただけだしな、なんて言ったら「ブッコローーース」とか言われるんだ
ろうな。
「大丈夫だと思うけどな。 動揺していた事だけは間違いない」
「そりゃ誰だって動揺すると思うけどね」
「しかしゆかり、よく転ばなかったな」
話し足りなそうな皐月を逸らして、その隣にいたゆかりに声を掛ける。
「宗一くん、それはちょっとひどいです……」
「いや……、なんというか、一番難しい役だったしさ」
実際、人目につくわけだし、一番難しい役であった事は違いない。
だが、消去法でいくとゆかりしかいなかったとも言える。
用意していたガラスを人目につかないように割る……普通に危ない。
ガラスの割れた音を聞いて人ごみに紛れつつ叫ぶ……恥ずかしいからやらせたくない。
乳が大きければなんとかなりそうな変装…………。
拗ねるゆかりを一先ず置いておいて、「普通に危ない」役の人間にも目を向ける。
既に、ジッと見つめる瞳が待ち受けていた。
「うっ……」
「ハイ、宗一」
「え〜と……その、無事そうだな、リサ」
「ええ、用意していたガラスを割るだけだけど、普通に危なくて怖かったわ」
げっ。
「何を言うか。 お前なら何てことないだろうが……」
大体、なんで俺の考えている事が分かる。
分かりやすいのか、リサが鋭いのか……ってそういうレベルじゃないと思うが。
彼女はリサ・ヴィクセン。
俺の仕事を直接的にサポートしてくれている仲間だ。
長身と、それを彩る抜群のプロポーション。
さらに長く艶やかなブロンドの髪。
極めつけは整いすぎた目鼻立ち。
待ち行く人は老若男女問わずに、振り向いてしまう本物の美女だ。
それでいながら仕事は……まあいいか。
とにかく才色兼備で、彼女をモデルにした映画でアカデミー賞だって取れそうな人材だ。
しばし雑談をしていると、たどたどしい声がバンク側から聞こえてくる。
「始まるね」
「ああ」
見ると選手達がスタートラインに並ぼうとしていた。
こんなものは、たかだか文化祭の1イベントに過ぎない。
それでも高校生なら、そういう無駄なイベントに熱中できる。
ましてや準決勝まで来た連中なら、夢中で本気になって走ってくれるに違いない。
そんな中、相沢祐一は今の状態でどんな走りを見せてくれるのか。
「まっ、普通に走ってくると思うけどな」
「そしたら、あたし達がやった事は無駄になるじゃない!」
独り言に突っ込まれる。
「いや、無駄じゃないさ。 そういう人間だって事がわかる」
「そんなもんなの?」
「ああ、それにここを勝ってもらってからが本番だしな」
先頭員がスタートラインの前に立ち、スターターがピストルを構えた。
間もなく、号砲が響き渡り、準決勝が始まった。
今まで通り、半ば強引に北川がウマに立とうとする。
相沢はそれを見ると並んで引っ張る感じから、並走状態に持ち込み、すーっと引いて番
手を確保した。
先程の事件などどこ吹く風とばかりにいつも通りの展開だった。
ただ、いつもと違って捲り他の陸上部員も全体の3、4番手に入り、前4人が3年B組、後ろ
4人が2年D組という2分戦になった。
しかも相手はエースを番手ではなく、最後方に構えさせている。
2年D組は特に作戦など持ち込まず、エースに全てを託してきていたのだが、ここに来て
含みのある展開に持ち込んだ。
レースは300mのバンクを5週。
実際の競輪に比べたら短い距離だが、なにせ素人だけに体力はかなり消耗するだろう。
淡々として流れて打鐘前1コーナーから動いたのが2年D組のエースを除いた3人だった。
すっと外から前を行く3年B組の連中に被せるように動くと、審判員が退避した4コーナー
の出口から一気に動いたのが最後方に構えていた陸上部の短距離エース君。
「なるほど、考えたものね」
リサは思惑を理解したらしい。
2年D組の作戦は3人で相手の外に壁を作り、エースが一気に捲って突き放してしまえ、
という事なのだろう。
素人考えといえば素人考えだが、脚力が人によって差がありすぎるだけに、リードを
奪ってしまえば勝ちきれる、というのがこれまでのレースの流れだ。
そのレースの流れを完璧に作り出せる作戦だったと言える。
が。
「でもさ、宗一」
「あん?」
「あの作戦ってさ」
「うん」
「あの金髪が頑張ればどうにでもなるよね?」
「俺もそう思う」
そう、北川が突っ張って、内を開けてやれば番手に構えている相沢が一気に抜け出せる。
問題は北川が相手のエースに対して突っ張りきれるか、相沢に追い込む脚が残っている
かどうか。
だが、ここで思わぬサポートが生まれた。
相沢の後ろに構えていた陸上部A君(仮名)が、外に張っていた相手と競って、少し外に
押し出したのだ。
相手の先行選手と、番手との差が開き、さらに捲ってきた相手のエースも外に膨らまざ
るを得なくなった。
それを見た相沢が何か指示を出したのだろう、北川が一気に踏んで加速していく。
お互いの先行選手同士が競る展開になって、相沢の眼前にスペースが広がった。
「へぇ、頭良いね」
「考えてやったんならな」
すかさず相沢は相手の先行選手のラインに飛びつくと、相手のエースの出方を窺った。
既に相手も自分の直後まで押し上げている事を確認すると、自分も一気に踏んでいった。
容易く先行していた二人を交わすと、後は一車身差のリードで、アスリートを相手にど
こまで頑張れるか、という形になった。
トップスピードは明らかに追いかける相手選手の方が上。
3コーナーを抜けたところで、ほとんど並ぶ格好になって4コーナーのカーブ。
脚色は完全に外の2年生だったが、巧みなコーナーワークで僅かながらリードを取って
ホームストレッチに帰ってくる。
あとはどこまで粘れるかという感じだったが……。
「粘っちゃったね……」
「そうだな」
相沢は僅かなリードをむしろ広げるような感じでゴールした。
見事な勝利と言えるし、素晴らしいレースであったと言える。
会場は先程の事件を忘れて拍手喝采。
「やれやれ、俺の予想通りとはいえ、会長には怒られるな、こりゃ」
「でも、これだけだとあの相沢君が、ど根性の持ち主だと証明されただけなのではない
でしょうか」
ゆかりがなにやら呟く。
誰に向けて、というわけでも無いらしいが、一応答えておく。
「そう、相沢祐一は優男な外見に似合わず、根性があるし、動揺していてもそれを振り切
れるハートの強さもあるらしいな」
「或いはただのバカとも言えるわね」
リサが余計なツッコミを入れるが気にしないでおく。
「でも宗一くん、これでどうやって相沢君に特殊な力があるかどうかを見極められるの?」
「見極められない」
「え?」
43 :
名無しさんだよもん:04/09/15 18:23:09 ID:b58TnOUh
「残念ながら、相沢にそういう力があったとしても、引き出そうと思ったら大変な事になる」
「それは確かに……」
「だからな、俺はあいつの性格とか、内面を調べたいんだ」
ゆかりと皐月が首を傾げる。
ちょっと可愛いな、と思いつつ言葉を続けていく。
「本当に特殊な力とやらで一連の事件が全て収束したのか。 俺はそうは思わない」
チラとバンクに目を遣ると、賞賛の輪の中を抜け出していく相沢が見えた。
大方、川澄の影を追いかけに行くのだろう。
「そんな便利な力の存在を確かめる前に、あいつの持つ強さがどれほどのものを確認でき
れば、事件が収束していった理由が見えると思うんだ」
「確かに、彼が特殊な力を持っているとしても、彼自身はその事を知っている素振りはな
いわね」
リサが補足してくれるのに合わせて、言葉を繋げる。
「そう、だとしたらその特殊な力、いや、事件を解決した力といっても良い。 そいつが
発動する原因を知りたい。 その為には相沢を調べる事が一番なんだ」
ゆかりは分かったような分からないような表情を浮かべていたが、その脇の皐月は。
「うん、まあ、よく分からないけど。 とりあえずあんたの調査は前進したわけよね」
「そうなるな」
「うし。 じゃあ次はどうするの?」
とりあえず、暇なのが嫌そうだった。
orz アゲチマッタ……
45 :
コテとトリップ:04/09/15 19:34:42 ID:nga8Qzys
気にスンナよ!
46 :
(ノ>ヮ<)ノシ☆:04/09/15 19:40:46 ID:X8/+bSKz
気にしないでくださいっ
>>44 気にスンナ!
気にすべきとこはそこじゃない。
>>47 そうですね、内容が問題なんですよね。
たったこれだけでも文章にして、色んなビデオを見て、
競輪の奥の深さが垣間見えました。
難しすぎです。
しかもそれをカバーするほど物語としての面白味や地の分が付いてきませんし。
行き当たりばったりで書いてるせいで、整合性が既に取れてないのは
分かっているのですが……。
この先は開き直って、マンガのサッカーやバスケのように、
適度にアレンジした競輪を描こうと思います。
って、あと一戦だけですが。
49 :
☆ヾ(>ヮ<ヽ):04/09/15 20:10:34 ID:X8/+bSKz
気にすべき所はそこじゃないですっ
「そうだな、悪いけど、もう頼むような事は無いかな」
「えっ、嘘!? あれだけ!? だってあたし、悲鳴をあげただけだよ!?」
悲鳴なんて可愛いものだったっけ、なんて事は言えない。
「いや、あれだけで十分すぎるほど効果があったんだ。 流石だよ、皐月」
「え、あ、そ、そう!?」
褒めてやると、こちらが嬉しくなるくらい反応してくれる。
愛いやつめ。
「ゆかりもリサもありがとな。 ちょっと俺は行ってくるから、時間まで文化祭を堪能し
ていってくれ」
微笑みと共に頷いてくれる二人に背を向けると、屋上の出入り口から下に降りようと
した、その時。
「ヘイ、ソウイチ!!」
「のわっ!!」
出入り口のドアの裏側に張り付いていた黒い人間が出てきやがった。
「寂しかったぜぇ、俺っちだけ一人ぼっちでよぉ」
「人違いだ」
無視して階段を降り始める。
後ろで何か騒いでいる声が聞こえるが、とりあえず無視した。
本当に時間がおしているんだから仕方あるまい。
ちなみに、今の奴も俺の仕事を手伝ってくれている人間で――って、別に今回はあまり
関係ないから脇役Aとでも覚えておいてくれ。
校舎の廊下を歩いていると、既に騒然とした雰囲気は無くなっていた。
大した出来事ではなかったし、校舎全体に響くような音でもなかったら、1階以外は
こんなものだろう。
人が溢れて雑然とした廊下を歩いて目的地である、生徒会長室の前に辿り着く。
今日だけでここに何度通っただろうか。
まあ、これが最後になるだろうが。
どうでも良い事を考えつつ、ノックをし、返事と同時くらいにノブを回す。
「君か……」
怒りを隠そうともしないボンクラが、入ると同時に睨んでくる。
とはいえ、蛙に睨まれた蛇の心境に過ぎないが。
「全く効果が無かったんじゃないのか!?」
「ああ、すまん」
「くっ。 君が出来ると言ったから信じたんだぞ!」
「ああ、すまん」
内心、笑いが止まらないのだが、あまり苛めるとこれ以上、仕事をしてもらえなくなる。
仕方がないので餌を撒く。
「だが、こんなこともあろうかと、次の策を考えている」
「本当だろうなっ。 上はかなりピリピリしているんだぞ!」
「すまないな。 ただ、最後にもう一度だけお前の力を貸して欲しいんだ」
「なんだとっ!?」
「頼む、お前にしか出来ないんだ!」
苦笑を隠す為に頭を下げる。
それに、今のボンクラは怒りを収めて、自分の評価に酔っている筈だ。
それを見たらツボに入る可能性が高いので、それを防止する為でもあるのだが。
「ふ、ふん。 そうか。 やはり僕が手を貸さないとダメなんだな」
「ああ、頼む!」
「まあいいだろう。 で、何をすれば良い?」
本当に扱いやすい人間を与えてくれてありがとう、と神に礼を述べてから作業内容を伝
える。
「それだけで構わないのか?」
「ああ、でも準備の時間を潰す事ができるし、気懸かりも残せるからな」
「ふむ……、確かに効果はありそうだな……。 分かった、早速やってやろう」
作戦は第二段階まで成功したらしかった。
あとは既に種を仕込んでおいた第三段階が上手くいくかどうかだが、それが失敗したと
しても大勢には影響ないだろう。
ほぼ描いていた通りの仕込みを終えた俺は、審判員としての最後の仕事に向かった。
>>49 オナニースレにしてしまった事が問題なんですね……。
しかもスレ違いで、すみません。
でも、こんな内容でも、もう少しで終わりそうなので、
最後まで書いてもいいでしょうか?
54 :
コテとトリップ:04/09/16 22:34:36 ID:nQnQByj6
いいよ、おれが許す。最後までいっちゃってくれよ
気にスンナ、もっと図太くなれ
そうなのか?
校舎を出る際、放送が耳に入る。
「3年B組の相沢祐一君、至急、生徒会長室まで来て下さい。 繰り返します……」
使える、使えないは別として、律儀で扱いやすい奴である事は間違いないな。
これで相沢は久瀬に捕まって、川澄が何かやったのではないか、と絞られるわけだ。
久瀬には決勝戦のスタート直前まで、相沢を捕まえておくよう伝えてある。
そうすれば3年B組にとっては作戦を打ち合わせる時間が無くなり、相沢にとっては気懸
かりを残したまま、久瀬にある事ない事を説教された上でレースを迎えることになる。
こんなの悪質な嫌がらせにしか思えないが、相沢にとっては試練になり、久瀬にとって
は利益に繋がる可能性がある行為。
正直言えば、俺に取っては勝ち負けなんてどうでも良いし、ギャンブルだってどうでも
良い。
だから相沢にこんな事をするのは心苦しいのだが、それでも一つだけどうしても確認し
たい、いやしなければならない事があった。
とある事件以来、俺はずっとそれを確かめる事だけに時間を費やしてきた。
皐月、ゆかり、リサには度々手伝ってもらっているし、相棒(男)には俺が費やしている
以上の時間を割いてもらっている。
そろそろ、その答えを出したかった。
そしてその答えに最も近いと思ったのが、他ならぬ相沢だった。
バンク脇の審判席に戻ると、審判員に掛け合っている3年B組の連中がいた。
「どうした?」
「あっ、那須! ちょうど良かった、相沢がいなくて大変なんだよ!」
北川の矛先がこちらに向くと、副審判長がホッとした様子で別な作業があるとか言って
離れていく。
それを見届けると北川に向き直す。
「大丈夫だよ。 会長だって分かっているさ、相沢はレースまでは戻ってくる」
「それはそうかもしれないけど……」
「俺は何で呼ばれたのかよく分からないが、さっきの相沢も普通じゃなかったし、何か
あったのか?」
ま、なんで相沢がそうなったのかは俺は知っているんだけどな。
細かい事情なんて転校生の俺には分からない、という事にしておかないと、色々と面倒だ。
「それは……、俺も詳しくは知らないけど、窓ガラスが割れたのに関係あると思う」
「窓ガラス? 割れた? どこの?」
「えっ、だってさっき、そういう音したろ?」
「ああ、あれか。 あれは窓ガラスじゃなくて、出し物で展示していた物の置き場所を変
えようとして、落としちまったらしい」
「へ? それにしてはスゴイ音だったぞ?」
「そりゃそうだよ、結構なサイズの物が2階から落ちたんだからな。 物が物だし、怪我人
が出なくて本当に良かったよ」
「そ、そうなんだ……」
北川だけでなく、その場にいた全員が狐に包まれたような表情をしている。
殆ど嘘は言ってないし、真相を見ている人間なんて一人しかいないんだから、別に問題
無いだろう。
「とにかく、気持ちは分かるけど、準備はしておけよ。 お前らが走れなくなったら意味
が無いからな」
「それは大丈夫だけどな……」
「とりあえず、俺もそろそろ準備があるから。 ま、頑張れよ」
「あ、ああ。 頑張ってみるけど……」
俺が作業をする為に審判席の中に入ろうとすると、北川達も渋々とその場を離れていった。
窓ガラスが割れた事がトリガとなった事件についての知識は、それなりにあるらしかった。
だからこそ、逆に言い包め易いとも言えるのだが。
審判席の自分の席に座ると、既に大方の仕事が終わっていることを確認し、北川の周り
にいた女子を思い出した。
水瀬の他で同級生は一人だけで、確か美坂とかいう奴だ。
あとは実物で見た事がないのが3人いたが、全員、事前に写真で確認した顔だった。
まあ、ここまでは予定通りだわな、と思っていた時、タイミング良く携帯にメールが
入ってくる。
多分、屋上から見ていたリサか、相棒だろう。
メールは簡単な一行。
「2コーナー奥」
指示された場所に目を向けると、本物の川澄と、その友人らしき人物が、人ごみに紛れ
て立っていた。
川澄は無表情だが、友人は少し心配そうな表情を浮かべている。
という事は、相沢の呼び出しは聞いていたんだろうな、或いはもっと前から居たのかも
しれない。
とにもかくにも、ミッションは用意していた三段階の仕込みが全て成功したらしい。
となると、最後にケアレスミスさえしなければ大丈夫だな。
ケアレスミス、この場で考えられる事は、一部の連中がレース前に相沢に声を掛ける事。
ならば真っ直ぐ、チームメイトの元に送り届けてやれば良い。
そう思った俺は、時計を確認し、まだレースまで余裕があることを確認すると、トイレ
と偽って席を立つ。
目的地は相沢を確実に最初に補足できる場所、生徒会長室前だ。
レースの3分前、いまだ生徒会長室のドアは開かない。
さすがに心配になるような時間になっていた。
久瀬は相沢に個人的な恨みもあるようだし、万が一、レースに間に合わせない可能性も
無くは無かったが、そこまで馬鹿な男でもあるまい。
あと1分待って、それでも出てこなければノックするかと思っていたところで、目の前
のドアが開いた。
そして物凄い勢いで横に引かれると、悲鳴にも似た音を、ドアが搾り出す。
全く意に介さない様子で歩き出そうとしたところで、ようやく相沢は俺に気づいた。
「那須……」
「どうした、何かあったのか?」
そ知らぬ顔で聞いておく。
相沢は一瞬、怒気を含んだ息を吐き出したが、転校してきたばかりの俺という事を気
遣ってか、口は開かなかった。
力無く首を横に振ると。
「いや、何でもない。 迎えに来てくれたのか?」
「ああ、遅いからさすがに心配になってな。 踏み込もうか悩んでいたところだ」
「そっか、悪かったな」
「いいさ、それよりも早く行こう」
相沢は頷くと、俺を先導するように歩き出す。
そういえばコイツは、頭に血が上ったとしても、そうそう簡単には他人に当たらない人
間だったな。
表向きだけでも冷静に振舞えるというのは重要な能力だ。
それ故に冷たい人間に見えるんだが、ホントのところ、中身はどうなんだろうな。
結果的に、俺の心配は杞憂に終わった。
二人で特設会場に辿り着くと、相沢は時計を確認し、軽く上体を捻りながらバンクの内
側、スタートラインのすぐ脇に用意された選手待機所に向かった。
決勝戦というだけあって、ギャラリーが多い為、外から特定の声を聞き取る事は難しい
だろう。
俺は選手の集まりが遅れた為に、スタートを5分だけ遅らす事を放送すると、そのまま
相沢達の輪に向かった。
一応、審判長という立場だし、準備状態を確認する意味も持ってはいた。
しかし、実際には相沢の直前の様子を確認したかったのだ。
「すまない、このくらいしか時間は取れなかった。」
「いや、十分だ。 サンキュな」
相沢は簡単にストレッチをしながら応える。
パッと見、落ち着いている様にも見えた。
逆に言えば、テンションが上がっていないとも言える。
確かこいつは、見た目に反して火事場の底力タイプの人間だったはず。
となると、今の状態は望ましくないはずだ。
そこに火を加えたらどうなるか、これで確かめられそうだな。
上々の調査結果を得られた俺は、その場をまとめる為に周りの連中にも声をかけておく。
「相沢はこんな調子だけど、皆で力をあわせれば、きっと大丈夫だ。 頑張ってくれよ」
「あ、ああ。 任せておけ!」
北川が空元気を出してくれる。
本当に友達想いな奴だな。
こういう奴って、クラスに一人くらいいるよな。
俺は他の審判員の目を誤魔化す為、対戦相手となる3年E組の連中にも顔を出す。
適当に応援の言葉を告げ、5分遅れた件の謝罪をすると、審判席に戻った。
いよいよ、決勝戦の幕が上がる時が来た。
俺は、このレースが自分自身の未来に続く道筋を照らし出してくれる事を祈りながら、
スタート準備の合図を出した。
合図に応じてスタートラインに付く、両チームの選手達。
なんだかんだいって、相沢を除いた7人はこれまで通り、いやこれまで以上の気合を漲
らせている。
観客も増え、両チームの応援団以外からの声も響かせている。
或いは、仲間内で賭けている連中もいるだろう、それはそれで楽しそうだし結構な事だ。
そして生徒会室を使って、真剣に賭けている連中もこのレースに熱い視線を送っている
事だろう。
どうせ大した金が動くわけでもないし、それはそれで結構な事だと思っている。
あとは、俺自身が納得する結果を出してくれれば最高だ。
スターターが俺を見た。
俺は頷きで返す。
間もなく号砲が響き渡った。
先頭員が8人を引き連れてスタートしていった。
ウォーミングアップにも似たゆったりとしたスタート。
両チームの機関車役が相手の出方を伺いながらも、両者とも前に出たがる。
ここでハプニングが起きた。
いつもは番手につける相沢が、サドルを踏み誤りでもしたか、車上でバランスを崩し減
速してしまったのだ。
ラインを作りかけていた後続もちょっともたつき、北川が単騎で先行するような格好に
なってしまったのだ。
北川が先頭、その後ろにE組の4人がラインを作り、さらにその後ろに相沢以下がライン
を作る形になった。
E組は各部活動で上位に位置していた面々で構成されたチームで、体力も運動能力も高
く、総合力では抜けている。
その相手が完全にラインを組み立てているのに対し、北川がレースを組み立ててチーム
プレイで勝ち進んできたB組は、戦術の核となる北川を単騎の形にしてしまっており、明
らかに厳しい展開となった。
1周目をそのまま終えると、2周目の2コーナーで相沢が一瞬だけ妙な挙動をした。
多分、相沢を注視していた俺と、その場で彼だけに声援と視線を送っていた二人にしか
分からないような、微妙なものだった。
しかしそれは、相沢が自分と生徒会長が探していた川澄舞が、自分も知っている友人と
二人で、そのレースを見ている事に気が付いた事を教えてくれた。
2周目のホームストレッチではそれを証明するかのように、困惑した表情を浮かべる相
沢が回ってきた。
3周目も隊列は変わらず2コーナーを迎えると、相沢が今度は確かに川澄達が待つ場所に
視線を送り、小さく頷くのが見えた。
バックストレッチを通過する彼は、落ち着いた表情に戻っていた。
そして打鐘前でやや静かになったバンクにB組の応援団が待機する3コーナーから、大き
な声援が響く。
おおむね黄色い声に彩られたそれの中から、相沢の下の名前を呼ぶ声が幾つか拾う事が
出来た。
多分、相沢の耳にも届いている事だろう。
打鐘前のホームストレッチを通過する彼は、これまで通りの凛々しい表情を浮かべ、バ
スケのチェンジオブペースにも似た雰囲気を漂わす。
2コーナーも、3コーナーも、今度は脇見をせず、一瞬のタイミングを窺っているよう
だった。
そして、彼が仕掛けたのは先頭員が退避するかどうかの時だった。
先行選手のかまし先行のようなタイミングで一気に捲くりを仕掛ける。
捲くりと呼ぶには早すぎるそれに、7人の対応が一瞬遅れた。
その隙に相沢はトップスピードに乗り、ホームストレッチの外から前を行く選手を一気
に交わしていく。
それを機に、観衆のボルテージも最高潮に上がる。
負けられないとばかりに1コーナーにトップスピードで進入していくB組の陸上部コンビ。
そして気を取り直したE組はウマ役が相沢を内から追い上げて、それにピッタリと番手の
選手が続いていく。
小細工無しの捲くり合戦のような状況になっていた。
相沢はかなり長い間踏み続けていたが、後続の様子を窺う際に一瞬スピードを緩める。
だが、直後にE組の二人が、そしてその外からは陸上部コンビが捲くってきている事を
見ると、すぐに踏みなおした。
自分が玉砕したとしても、陸上部コンビに託す事が出来ると思ったのだろう。
相沢は3コーナーを回っても先頭をキープした。
無我夢中で踏み続ける彼の外から、E組の番手に構えていた選手が差してくる。
それを過ごさせたウマ役が外に大きく膨らみ、B組の陸上部コンビに外を回させる、反
則ギリギリだが、テクニックの範疇だった。
だが、これでかなり長い間仕掛けている相沢と、B組の番手に構え続けたエース役の選
手のマッチレースになる。
そうなれば当然、後に仕掛けたはずが断然有利だった。
4コーナーでは二人の差がほぼゼロになる。
二人から離されたところではE組のウマと、B組の陸上部コンビが外に膨らんだ隙に、誰
かが内に突っ込んだが3番手に上がったに過ぎない。
レースは最後のホームストレッチを迎えた。
相沢が限界を感じさせない脚を見せれば、相手もピッタリ外に並んで意地を見せる。
「相沢っ!!」
自分が思わず相沢への声援を送ったことに、自分で驚いてしまった。
白熱したレースに、俺までもが飲み込まれていた。
そのくらい見応えがある両チームのエースによる競り合い。
誰もがどちらに軍配が上がるのかに興味が無かった最後の直線。
二人の外からいつのまにやら追い込んできた一台。
金色に彩られたそれが、一気に外からエース二人を交わし去って決勝戦を通過していった。
一瞬、バンクも、スタンドも、空気が固まる。
ド派手なガッツポーズを見せながら金髪が何事かをアピールしている。
その時、生徒会室に仕込んでおいたマイクが実況役の声を拾った。
「勝者は北川、配当はなんと100倍だ!」
「まあ、あれだ」
俺達は帰りの車内に乗り込み、ようやく落ち着いた。
最小限の通信機器しか装備させていない移動用のワゴンは、見た目と反して最高の乗り
心地を提供してくれている。
「相沢も普通の人間だったっていう事だな」
いまだ衝撃の結末に対しての動揺が残り、反応の薄いメンバー。
仕方なく話を続ける。
「やっぱり、非現実的な超能力だとか、妙な道具だとか、そういうのはあいつとは関係な
い。 考えてみれば当然の事だよな。 ちょっと女好きで優しいだけの、ただの優男な
んだからな」
そう、相沢は普通の学生だった。
過去に彼の身の回りで何かが起きていたとしても、少なくとも今は普通の学生だった。
いや、彼を調べる限り、今だけではなく、ずっと普通の学生だった。
「宗一くん、じゃあ一連の事件が、ああいう結果を招いたというのは……?」
「そうだよ、あんな奇跡みたいな事が、あんなに固まって起こるわけ無いじゃない」
ゆかりと皐月がようやくレスポンスをくれる。
リサと、運転している相棒は聞き耳を立てるだけみたいだ。
「確かにな、ほんの半年前のあいつの身の回りに起きたことは解せないことが多い」
意識不明の状態が7年も続いていた少女が、何の前触れも無く目を覚ました事。
重病の少女が、数万分の一という可能性に打ち勝って、回復した事。
出自が一切不明の戸籍の無い少女が、優しき家庭に救われた事。
割腹し、治療が遅れながらも、命を取り留めた少女がいた事。
そして、重態で明日をも知れぬ状態であった女性が、突如意識を取り戻した事。
全て、今年の春に、相沢祐一の関係者に起きた事だった。
普通なら絶望に押し込まれそうな状況の中、相沢祐一は耐え続け、身の回りの人間と励
まし、協力し合って生きていたらしい。
ただそれだけでありながら、奇跡とも言える事実が5つ続いた。
俺達はそれに疑いを抱いた。
いや、正確には俺以外の4人は、そこに何らかの力が働いたのでは、と疑った。
命が関わる問題が大きかっただけに、命を操作するような能力や薬品の存在を疑ったのだ。
俺も疑いはしたが、それ以上に彼自身に興味を持った。
「皐月、奇跡ってさ、起こるから奇跡っていうんだよな」
「そりゃあね」
「じゃあさ、起こるか起こらないかは、常にフィフティ・フィフティなんだよな」
「え……、そうなの……かな」
混乱する皐月に代わって、リサが突っ込みを入れてくる。
「それはいくらなんでも強引だわ」
「いや、だって起きたんだもん。 仕方ないだろ」
「それはそうだけど……」
「全ての事象がフィフティ・フィフティである以上、5つの結果が全てイエスだった。
32分の1の結果を引き当てた、たったそれだけの事だ」
正しいことは正しいが、どこかおかしい理屈に、皆が黙る。
「ただ、起きた事は、やっぱり奇跡的な事だった。 それは間違いない。 でも、奇跡的
な事ってファンタジーの世界で起こるだけじゃない、リアルでも起きるんだ」
俺達は、実際にそんな事を見てきた。
魔法のような力が、故意に引き出せる事だけは間違いない。
「そして相沢祐一の身の回りで、こんな冗談みたいな事が起きた。 そして5人に関わって
いた人間で最後までマトモだったのはあいつだけだった。 だから、あいつが奇跡を引
き起こしたことは間違いない」
皐月が我が意を射たりとばかりに身を乗り出してくる。
「じゃあ、やっぱり!」
「だけどあいつは普通の学生、人間だ」
「なんなのよ、あんた」
逆ギレされるが構わない。
「そんな普通の人間が、大切な人間の事を想うだけで奇跡を起こせた事、それが俺は嬉し
いんだ。 まだ、人間は……人類は守るだけの価値があるんだって分からせてくれたから」
「宗一……」
俺は、妙な立場の人間だった。
人類を守るという、妙な立場の人間だった。
そんな立場になった理由は……今はどうでも良いか。
とにかく、そんな俺が一番気になっていた事。
それが人類を守る事の意味、価値。
相沢は、その想いの強さで奇跡を引き起こした。
奇跡は起こるから奇跡なんだ。
だけど待っているだけじゃ起こらない。
限りなくありえない軌跡を描き、結果に繋がるからこその奇跡。
その軌跡を描いたのは間違いなく、相沢の想いの強さだ。
もしかしたら、相沢は過去に何か大きな後悔を抱いていたのかもしれない。
そしてそんな後悔をまた味わうのが嫌で、土壇場でそこまでの強さを見せられたのかも
しれない。
それはまあ、憶測でしかないが。
とにかく、そこまで、人の為に、人を想える人間がいる事が嬉しかった。
それはもちろん、自分の為にしている事でもあるのだろうが、それは些細な事だ。
「まあね、物にだって想いは宿るっていうしね」
皐月がフォローを入れてくれる。
無理なことに納得できるのはこいつの良い所だ。
それにこいつの言っている通り、物だって使い手の想いを受け続けることで、何かが宿
る事がある。
ならば、人が人を想い続ける事で、何かが起きる可能性は否定は出来ない。
まさしく超能力と同じだ、人の想いって。
「良かったですね、宗一くん」
「ああ、ありがとな、皆のおかげだ」
ゆかりが、いつもの最高な笑顔で微笑んでくれる。
一気に和ませてもらえる。
そう、考えてみれば、これだってゆかりの想いが成している事なんだ。
「それにしても、生徒会長の事は使うだけだったのね。 宗一も冷たい……」
リサが鋭い突っ込みを入れてくる。
しかしそれの対策は今回は大丈夫だ。
「いや、それも悪いと思って、置き土産は残してきてある」
「何を?」
「川澄と、その御学友……倉田とか言ったか、を呼び出す手紙はあいつの名前で出させて
ある。 今頃礼の一つも言われてることだろう」
「それだけ?」
「純情な恋する男にとっては重要な事だ」
その先があるかは分からないけどな。
とにかく。
俺の確かめたかった事が、ようやく確かめる事が出来た。
これから先は、俺が試される番だな。
俺が人類のことを想い続けなきゃいけないんだから。
それが、その勇気をくれた相沢祐一に対する最高のお返しになるのだし。
そして俺はこの先も探し続けるのだろう。
想いという力を齎す、心がどうして人類に芽生えたのか。
そのルーツを。
多分、一生を掛けて、探し続けるのだろう。
70 :
おしまい。:04/09/19 00:56:25 ID:17JFNvFH
長々と書き込んで申し訳ございませんでした。
これが最後の書き込みになります。
軽い気持ちで書き始めて、オチが思いついた頃には既に話が破綻しており、
無理矢理にまとめただけでした。
それでも、とりあえず書き上げられました。
葉鍵板にSSを落とすのなんて、ずいぶんと久しぶりでしたが、
やっぱり、なんとなく楽しかったです。
久しぶりなせいで、元々稚拙な文章がますます稚拙になってしまいましたが。
とにかく、コテトリを初めとして、黙認してくださった方、ありがとうございました。
そして少ないとは思いますが、読んでくださった方、ありがとうございました。
ではでは。
直線の長いバンクだな。
ではでは。
73 :
名無しさんだよもん:04/09/20 00:31:09 ID:+NtYz+28
北川だけワロタ
ではでは。
あぼーん
76 :
名無しさんだよもん:04/09/26 21:43:59 ID:UY0G+Si4
Routesスキ-としてはageとくわ
正直、今まで見たRoutesのSSでは一番感動したし
いいじゃないか。
悪い意味じゃなくて二時創作なのがもったいないと思う。
感動するほどは感情移入出来なかったけどうまく書けててうらやましいと思った。まとめ方も文章も。
もっと書いて欲しい。
78 :
名無しさんだよもん:04/10/14 21:07:42 ID:lkCs+9UA
┌──________________________──┐
│ \.. 2CHバニラ アイスたっぷり、うまさ大満足age!!. / │
│ /. . \ .│
│ \ ____ . _ ___ . . / │
│ /. ∧_∧ | | __| |_ | | \.....│
│ \. ( ´∀`)  ̄| | ̄ ̄ | |  ̄| | ̄ ./....│
│ /. ( ) | ̄  ̄ ̄|  ̄ ̄| | ̄ | ̄  ̄| \ │
│ \. | | |  ̄| | ̄ ̄ / /  ̄| | ̄ . ./. ..│
│ /. (__)_) |  ̄ ̄| / / | ̄  ̄ | \ │
│ \  ̄ ̄ ̄  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ./. .│
│ /. 希望小売価格<税別>100円 種類別ラクトアイス ..\ ..│
│ \.. /.. .│
└── ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄──┘
オレの推理する葉鍵競輪(但しKanonのみ)
自力タイプ(逃げ・捲り)
祐一・北川・舞 なので3分戦
ライン・・
あゆ
本命ライン 祐一 名雪 ・・・逃げる祐一を3人で番手競り
真琴
対抗ライン 北川 香里 栞 ・・・北川の早掛けに期待のライン
穴ライン 舞 佐祐理 ・・・結束固い捲り一発ライン
レース経過
すんなり舞が前を取り、北川が中団。祐一は後方待機。
周回中、祐一のケツは終始競り。
青板(残り3周)で後ろから煽られた北川が、イヤイヤのろのろとかまして出る。
舞は追わず、祐一がじわじわ上昇して中団に。
赤板(残り2周)で先頭の北川が捨て身のダッシュ!
瞬間的に栞はちぎれ、祐一が続く。1角でアウト競りの軽量あゆが金網まで吹き飛ぶ。
2角でイン競りの真琴が名雪と接触して落車。
打鐘では 北川-香里 祐一-名雪 舞-佐祐理 となる。
ラスト1周ホームで早掛けし過ぎた北川力尽く。
祐一が猛然と踏んで出るが、この展開をすっかり読んでいた香里が
強烈なイン粘りで1角で名雪を張り飛ばす。
バックでは 祐一-香里 舞-佐祐理 となり、ここから舞が佐祐理のために早捲り
して出るが2センターで香里に張られて失速! 佐祐理はインを突く。
最後の直線は粘る祐一の外を香里が踏み、佐祐理がインで接戦となるも
そのまま祐一が逃げ切り、香里2着、佐祐理3着。
以下、舞、名雪、北川、真琴あゆ(落)、栞(棄権)
・打鐘前に先頭誘導員の秋子さんをかわしたらいけません。(333かもしれないが)
・香里は茂徳ですか?
・赤板から出ててバックで早捲りもない。
82 :
葉田信鍵 ◆.T76NLtXTY :04/10/26 20:29:36 ID:iZCXaCmO
____ ____ __/_ ー | ヽ
_|_ |、 /_l_  ̄ ̄| ̄
人 | ヽ. / | . | 」 ├ |
/ \ | | ⊥!ノ \_/
クソスレと思って、スルーしてたけど、SSだけはまあ面白かった。
>79-81も、物語り調にして書けば面白かったのに。
84 :
名無しさんだよもん:04/12/11 18:23:00 ID:CURP79cV
かもね
85 :
ポストマン ◆mGZfoq5fBY :04/12/24 16:03:00 ID:X5Q3YZR/
1000スレ突破記念火気庫ヽ( ´∀`)ノ ボッ
レースつながりでこんなの考えてみた。
施行コース:鈴鹿サーキット
1:神尾晴子(ホンダCBX400) スタート地点:メインストレート(1周)
2:深山雪見(スズキジェベル250XC) スタート地点:逆バンク
3:柚木詩子(ヤマハビーノ) スタート地点:スプーンカーブ出口
4:折原浩平(自転車+七瀬留美) スタート地点:バックストレッチ
5:国崎往人(リヤカー+お米20キロ+なぎちる) スタート地点:130R
6:神尾観鈴(車椅子) スタート地点:ゴールライン200m前
はたして先頭でチェッカーフラッグを受けるのは誰か?