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生きてくの、嫌になったこと、あるよ、もちろん。
もう二度と眼が見えないんだって理解した時、死のうと思った。
先生や両親はいつか医学が進歩したら、きっと眼が見えるようになるんだから、
それまで頑張ろうって言ってくれたよ。
でも、私は自分の眼が二度と光を取り戻さないって知ってたんだ。
先生やお父さんやお母さんが嘘ついてるって知ってたんだ。
……だからね、死のうと思った。
私ね、あんまり考えるの得意じゃないけど、その時はいろいろと考えたよ。
ずっとずっと一所懸命考えた。
好きなドラマがあったんだよ。
大好きな俳優さんがいっぱい出ててね、毎週欠かさず見てたんだ。
一話終わったら、その次が気になって、
今度はどんな話だろうって考えながら過ごして、
次の回もまた面白くて……その繰り返し。
だからね、眼が見えなくなった時、一番悲しかったことはね、そのドラマ
の最終回が見られなくなったことだった。
考えこんでるうちに最終回が終わってね、友達がいつもみたいに電話してきたんだ。
私はもうすぐ死ぬつもりでいたから、なんとなく相槌を打ってたんだけど、
最後にこう言ったんだ。最終回、面白くなかったね、って。
みさきが考えた方が面白かったよって。
そしたら何だか馬鹿馬鹿しくなっちゃって。その程度のことで悩んでたんだって。
その時にね、先生の言葉を信じてみてもいいかな、って思ったんだ。
もし治らなくたって、綺麗な夜空を見ることはできなくても、
そこに星が輝いてるのを知ってる。私が立ってる世界に存在してる。
だから、この世界が好き。もう別の世界へ行こうなんて思わない。