>>664 ことみ「残念ながら、定量的な考察に欠けているの。反物質は宇宙一強力な爆弾、という思い込みが一人歩きしているようなの」
ことみ「地球破壊に必要なエネルギー(地球を一様密度の球体と仮定して、球のなす自己重力場に抗して球の全素片を無限遠方に引き離すために必要な仕事)は、約2*10^32ジュールなの」
ことみ「E=mc^2に従えば、この2*10^32ジュールのエネルギーに相当する質量は、なんと2.5兆トンにもなるの」
ことみ「比較のために、原油タンカーの中でもとびきり大きいのが50万トンくらいだそうなの。2.5兆トンというのは、巨大タンカー500万隻ぶんの質量なの」
ことみ「地球を破壊しようと思ったら、宇宙でいちばん強力なはずの反物質爆弾でさえ、これほどの量が必要なの。地球という惑星が、いかに大きなものかが窺い知れるの」
ことみ「なまじ宇宙の広さを知っているだけに、私たちは地球を必要以上にちっぽけなものだと考えがちだけど、それはとんでもない思い違いなの」
ことみ「さて、劇中で地球はかいばくだんが実際に使われたことはないけど、もしその名のとおりの機能を持っているとするならば、少なくとも反物質爆弾や、それよりもエネルギー密度の低い核爆弾などではなさそうなの」
ことみ「ネズミへの恐怖に狂っているからといって、パワー手ぶくろやおもかるとうも使わないで、生身のドラえもんが巨大タンカー500万隻を両手で持てるとは考えられないの」
ことみ「ここから言えることはひとつ、地球はかいばくだんは“核でも反物質でもない、現代科学の枠組みを超越した22世紀の未来技術”だろうということなの」
ことみ「亜空間に貯蔵した地球を破壊できるほどの大量の爆薬がテレポートしてくる装置だとか、突然地球が破壊されるという極超低確率の量子状態をムリヤリ実現する装置だとか……空想するしかないけど、とにかく現代科学をはるかに超えていることだけは間違いないの」