NETANNAD -ネタナド- 制作スレ part5
1 :
名無しさんだよもん:
ネタナドSS大募集!
現在、TEAM NETANNADでは完全版「NETANNAD Ver.2.0.0」を鋭意制作中です。
で、その完全版に組み入れるおまけシナリオを募集しています。
我こそは、という方は是非とも完全版の完成に御協力下さい。
ちなみに降って湧いた企画なので、期間が極めて短くなっておりますが御容赦下さいませ。
要項
・募集内容
ネタナドの物語の内容を酌んだSSを募集します。
もともとネタナドからしてクラナドをデタラメにデフォルメした物語なので
基本的には何でもアリです。
・応募形式
このスレッドに投下して下さい。
・採用方法
このスレッドにおけるコンペティション形式とし、
2本(応募が多い場合には検討)を採用させていただきます。
要するに「このSSが良かった」というレスが多い方から2本のSSを
完全版のおまけシナリオとして組み込ませていただきます。
はっきりと結論が出ない場合には空気を読んでスタッフが決定。
・応募〆切
7月23日(急な〆切でゴメンナサイ…)
・採用者への賞品等
なんもありません。
なんで落ちたんやろ……。
この三連休で追加シナリオ全部あげようと思う。あげたい。
圧縮の所為
乙
サイトまだ落ちてる。
どこかに、
・1ファイルサイズ上限100MB
・転送量無限
・アダルト可
・無料
なサーバーはないものか。
結構レスあるように感じてたんだがなあ……ぬかった。
落ちたスレ残り500だし、ちょうどいいくらいだと思ってたのに。
気を取り直してラストスパート逝きますか。
即死防止に表に出さなかった設定を開示
・カルマの性癖
東京、中京には少数ながら数匹の変異種猫が活躍しており、
それらは何れもスメールに使役されるものであるため交流があるが、
カルマは決して変異種猫とは交尾をしない。
曰く「脳味噌が入ってる雌は雌じゃない」
変異種猫には人間と同じように発情期は存在しないが(要するに年中発情)
周囲の猫たちの発情期に他の雄猫を打ちのめして好みの雌猫と交わっている。
そうした雄猫との喧嘩において人間的な知恵は一切使わない。
10 :
ヨリタケ:04/07/16 22:06 ID:HniqgpUg
かっこわるー。
まあこう言う事もアルデナ。
・智代のアーガタ
某部員達など比べものにならないほど屈強な男。
智代が到着するやいなや犯そうとして片玉を失う。
時を経て再訪した智代をまたも犯そうとして陰茎を失う。
朋也たちが弥勒との決着をつけるまえにホルモン採取用のプラントに送られる。
・朋也が渚を選んだ場合の智代
愚者と同じ死に方をする。腕はついたままだけど。
胸毛の生えた中年親父に孕まされることみとどっちが不幸かは知らない。
・朋也のKパーツ
来栖川電工社製ATP変換モジュールKRI-0型。通称キリオ。
脳波による指令を左右の腕に伝達する分配器を使用者の心臓に
埋めこむ必要があり、その危険から実験データがとれず実用化されていない。
猿を被験体とする実験ではおおむね良好な結果が得られている。
従来の片手型Kパーツと比較して左右共に同程度のエネルギー出力を実現。
体内のATPを消費する構成に変わりはないため、同一の生体が射出できる
エネルギーの総量は従来器と同等。
表向きの開発コンセプトは「スパルタクスの戦いの多様化」であるが、
身の危険を顧みずキリオを埋めこんだ現行の使用者は
専ら朋也と同様に暗殺目的でその特性を利用している。
13 :
ヨリタケ:04/07/16 22:54 ID:HniqgpUg
私のカラダを駆け抜けてイッタのね…。
削除人が…。
いやん。
14 :
ヨリタケ:04/07/16 22:54 ID:HniqgpUg
こんなキビしいとは思ってなかった。
スレの死亡判定。
16 :
名無しさんだよもん:04/07/17 00:00 ID:63jjyII/
トンクスは早く女をつくれ
17 :
ヨリタケ:04/07/17 00:02 ID:BQE1GWMz
アメリカ牛肉輸入再開バンザーイ。
18 :
ヨリタケ:04/07/17 00:05 ID:BQE1GWMz
世の中には2種類の人間がいるんだ。
でも昆虫は何万種類もいるんだ。すごいだろう。
なんでおれの色恋にとやかくいわれなかんのだ!
20 :
紫の人:04/07/17 00:34 ID:9EE4T+ZW
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┗┳┳━━┃超┃━━┳:::::::::::::::::スレチガイダロ:::::::::::::::
┃┃ ┃先┃ ┃┃::::::::::::∧_∧::::::::::::::::::::
┏┻┻━━┃生┃━━━━ ::::<`ш´ ;>:::::::::::
┗┳┳━━━━━━━┳━┛::::::( )::::::::::::::::::
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┃┃ ┃┃
┃┃ 即死回避祈願
┃┃ ┃┃
┃┃ ∧_∧ ┃┃
┃ ( ´Д`)
_( つ ミ_____
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| ネ タ ナ ド |
南海上をかすめた暴風の渦がもたらした大量の蒸気が、
大気中に伸びた寒気と暖気の境界を経由して雪崩れ込み、無色透明の弾丸と化して、
大洋の西の縁にひっそりと位置する島嶼群の全域に容赦なく突き刺さろうとしていた。
鉛色に低く渦巻く天然の暗幕の他に視認し得る物のない虚空に
降って沸いた瀧の束は、数秒をおかずその降下運動を終え、
一帯を瀑布の飛沫と轟音に押し包み、無機質に張り巡らされた高架網を、
洗練を競う建築物の群れを、流れ落ちる水流の束で侵食して行く。
地表に到着して溢れ返った奔流は、出口を求めて多孔質の路盤に吸い込まれ、
濁流と化して側溝を満たす。
そのビル街をひとつ隔てた、排水設備の整備など望むべくもない一帯が
箍の外れた天空からの放水を免れ得べき理由はない。
鋭角を虚空に向けて横転したコンクリートの瓦礫を流れ削り、
路面を縦横に走り、所により段差すら生じている亀裂に先を争って殺到し、
行場を失ったものは俄か作りの貯水池を形成し、その水面に無数の環を描く。
この天からの弾幕の中、都市計画からすら見放された一角に、
路上に溜まった雨水を蹴散らし、息を荒げて駈ける複数の靴音が響いていたとしても
それが他者の関心を呼ぶことはまずありえないであろう。
たとえ激しい雨音に断末魔の悲鳴と聞えなくもない音声が微かに混じっていたとしても、
それが空耳でなかったか否か、確認に出ようとする者がどれほどいるであろうか。
知るべからざる闇の底を覗き込んだ者の残骸が、また一個、荒れ果てた路上に転がる。
逃亡者達は、いつしかその数を瞬く間に減じていた。
遺された者達は、名もない低所得者居住区の袋小路に何時しか追い込まれていた。
「ちょっと、あんたがこっちだって言うからこっちに走ってきちゃったじゃないの。
妹ともはぐれちゃうし、一体どうするつもりなのよ!」
「そ、そんな事言ったって…そもそも計画を立てたのはそっちですよねええええ!?
オレだって妹見失っちゃったし…」
「あ、あの、今は早く、別の逃げ道を見つけるのが先決ではないか、と思うのですが…」
―その通りね、もう遅いようだけど…
袋小路の出口に、何時しか黒い影が佇んでいた。
鈍る気配すら見せようとしない雨脚に頭上を叩かれながら
細身の体躯を黒主体のシックな衣装に身を包み、
静かに、しかし一部の隙を見せることなく、彼女は逃亡者達に向き合った。
「門衛に色仕掛けを仕掛けた所に、バイクと部活仲間の集団でなだれ込む。
…素人同士のレベルでは、考えられない作戦ではないかもしれませんが、
それでいやしくも国家中枢をどうにかできると思いますか?」
諭すように女性の言葉は続く。
「…知恵と洞察力を備えた貴方という存在がありながら、
杜撰な計画に押し切られてしまった。… もう少し貴方に積極性か指導性があったなら、
あの3人に劣らない鮮やかな方法で、我々の裏をかいたかもしれませんが…」
「あ、あの3人…?」
貴方と呼ばれた、内気な雰囲気の癖毛の少女は、うつむき気味に答える。
「確かに私は、物静かな陰に決断力と情熱を隠した、
『あの方』のような資質は持ち合わせてはいないかもしれません… ですが…」
「もう1つ忠告しておきますが、お2人の妹さん達は、既に私達の手の中に在ります。
今後無謀な行動に出ないならば、当面身の安全は保証しましょう…
しかし、さもなければ…」
どうにか仲間の2人の少女を庇って追手と対峙する形だけは崩すことなく、
膝と唇をガクガクと震わせて立ち竦む少年の心臓の辺りに向かって、
女性の右腕が持ち上げられ、その掌は鈍い光を発し始める。
「次は、本気で、撃ちます…」
「どうして!どうしてなんですか、先生!!」
これ以上の問答を拒絶するかの如き女性の意思を表現するように、
女性の掌にまばゆいエナジーが凝縮し、弾ける。
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!」
ニーソックスの勝気な少女に咄嗟に襟首を引っ張られ、
無様に仰向けに転倒した少年が一瞬前まで立っていた地点は、
半径1メートル近くにわたって深さ数十センチのクレーターと化し、
降りしきる豪雨にもかかわらず流入する雨水をたちまち蒸気に変えて行く。
濛々たる湯気が、追手と逃亡者との間に俄かに立ち昇った。
その煙幕による視界の遮断を嫌うように、追手の女性がクレーターの左側に回り込む。
ニーソックスの少女は、この一瞬を見逃さなかった。
「今よ!ひとまず逃げるわ!…ちょっとあんた、いつまで腰抜かしてんのよ!」
彼女を先生と呼んだ逃亡者達が、痛々しい悲鳴を発しつつ、
もつれる足で消えた方向を向いたまま、構えた右腕を下ろして行く女性は、
艶やかに光るショートの濡れ髪を間断なく流れ落ちる水滴を拭おうともしない。
頭上を走る高架を通過する車の前照灯の照り返しは、
その凛とした表情に潜んでいるかも知れない陰影を照らし出すには
あまりも不十分であるようだった。
走り疲れた逃亡者達は、崩折れるように、何処とも知れない廃屋の軒下にうずくまっていた。
「ぐす…ひっく…」
「ど、どうして先生が、あたし達の前に…」
「ち、畜生ーーーーーーーー!」
3つの嗚咽は、激しい雨に掻き消されても掻き消されても、止むことを知らぬかのように、
いつまでも荒れ果てた路地裏に響いていた―
「外が騒がしいですね…」
建て付けの悪いガラス窓をガラリと開けると、途端に激しい雨脚が
容赦なくその質素な家屋の住人に襲いかかった。「キャッ!?」
慌てて閉めた窓を流れ下る水の膜に、一瞬到達の遅れた透明な弾丸がバラバラと十字砲火を走らせる。
古風なリボンを豊かな黒髪に結んだあどけなさの残る風貌を少しかがめ、
少女は自らの小さな体を影にして窓に移る室内の反射を防ぎ、
この季節の夕刻とは思えぬ暗がりと化した外界の様子をなおも伺おうとする。
「ああ、こんなに吹き込んじまったのか…」
隣室から入って来たつなぎ服の男が声をかけた。
「ええ、誰かが走る音とか、悲鳴みたいな声が…」
「雨音と聞き違えたんじゃないのか?」
そういわれると、窓辺に立つ少女にも確信はない。
「たとえ何か騒ぎがあったにしても、どうせ食い逃げや引ったくりの類だ。
こんな天候を突いてこの界隈をうろつこうって輩にロクな奴がいる筈ない」
「でも…」
「仮にロクでもある奴が果敢な行動に打って出ていたとして、俺達はどうすればいい?」
テーブルの手近な椅子に腰を落とした男が、独り言ちるように呟く。
「下手に手を出して、今度は君が連れて行かれればいいのか?」
そう語る男の視線は、少女を捉えようともせず、目の前のテーブルの表面を泳いでいるかのようだ。
しかし男の目が実際にそこを捉えているのかどうか、些か疑問ではあった。
「…いや、いっそ俺を、と頼んで聞いてもらえる物なら、御の字なんだがな…」
「止めてください!」
最低限の調度のしつらられた、簡素だが清潔な室内に、高く細い声が室内に響く。
はじかれるように視線を上げた男の目が、窓と壁に挟まれた部屋の隅に背を預けて俯く少女の
華奢な肩が震えているのを認めた。
「…すまない―」
雨音に掻き消されそうな微かな嗚咽の下から、いいえ…という小声が聞こえるまでに、
数十秒とも数時間とも知れない居たたまれない時が流れた。
「だが、分かってくれ…君を君のお姉さんと同じ目に遭わせることは、それだけは絶対にできないんだ。
あの3人はきっと動く。あいつらならこの状況を何とかしてくれるだろう。きっとな。
あいつらが無事でいる限り、この家は完全には潰されずに済むかも知れん。
だが、俺達が下手な動きをすれば、俺達のどっちか1人位を見せしめで持って行く位の事は
平気でやられかねないんだ。
その時、俺は君の代わりに連れて行かれることができる自信がない…」
「どうせなら私が連れて行かれたいです!」少女は必死で抗議した。
貴方を失うぐらいなら…その言葉を少女は飲み込んだが、彼女が飲み込んだのはその言葉だけではなかった。
(お姉ちゃんを、追いかけて、逝かないで…)
言い得る言葉ではなかった。
数ヶ月前の春の日。自らが生きていた懐かしい時代から忽然とこの時代に転移させられ、
肩を寄せ合ってゼロからの生活を築いて来た3人は、突然精神的支柱である優しい微笑を失った。
同じく連れて来られ、この時代を支配する狂気に果敢に挑んだ3人の知己を庇護した懲罰を
一身に受けるかのように、男の想い人である自分の姉は暗黒の巨塔に消えた。
この日から遺された2人の男女の関係性は、呪縛されたかのように時を止めた。
姉への背信となる全ての言動と選択肢を、なす術なくその最後の微笑と背中を見送った者達から奪い去って。
「もうよそう、この話は」
長く重苦しい沈黙を、男の沈んだ声が破った。
「明日の仕事は往復だけで半日かかる。悪いが弁当をもう1食分用意してもらえるかな…
買出ししなきゃ無理なら、とても頼めないが…」
「あ、いえ、買い置きがあるから何とかなります。何がいいですか…」
「そうだな…ハンバーグとか大丈夫か?」
…
ささやかではあるが一見満ち足りたな住まいの住人達を、
重く補い難い、ある欠落感が支配していることは、覆うべくもない事実のようであった。
数ヵ月後。
駅最上階のラウンジバーにのカウンターに、シックな黒服に身を包んだショートカットの姿があった。
200年以上も前に建築されながら、幾度もの戦禍を奇跡的に生き延びた
円筒形の独特のフォルムの摩天楼は、この時代にあってもなおそのポストモダン性を失わない
白亜の姿で、洗練を気取る階層を惹き付ける有数のスポットたり得ている。
裾野に無数の灯火を従えた漆黒の塔が照らし出される、早くも暮れなずみ始めた中京の夜空を見遣る
黒服の女性の細い指先が、薄紅色のカクテルグラスの縁を物憂げになぞる。
彼女は1人ではないようだ。
彫りが深く、顎の長い栗毛の男が隣席から語りかけている。男の操る日本語は流暢だ。
やがて女性は、エスコートするように肩に手を回す男に促されながら、立ち上がった―
NETANNAD SIDE STORY Picaresque Tears TO BE CONTINUED …
書きかけながら即死回避支援ついでに応募。
あと何レス要るっけ?
三十で大丈夫かと。
つーか、全体的に一文が長すぎて光景が思い浮かべ辛い。
もう少し細切れにした方が良いのでは。
関係代名詞多用翻訳文体とよく言われる(;´Д`)
気をつけ松thx neyott
連中もスメールにいたという設定か。
しかし逃亡→その後を書くとなると膨大な量にならんかね。
杏と春原がアーガタだったりして中でどんなやりとりするかとか、
そこらへんが読みたいと個人的な願望を述べておきますです。
暗色系でコーディネートされたトレードマークの衣装は、
既に取り払われ、ありふれた痴情劇は、
観客なきクライマックスを迎えようしている…
一見そのように見受けられた。
見えない何かがねじ込まれ、出入りでもしているかのように、
女性の口が大きくこじ開けられて波打ち、
首には縄も巻かれていないにもかかわらず
約3センチもの太いみみず腫れと凹みが生じ、
両手首がピアノ線で拘束でもされているかの如くに高々と掲げられて
同様の不可思議なみみず腫れを生じている…
そうした多少の不自然な点は見受けられた、にしても。
…いや、それだけではない。女性の脆弱な各部を捕らえる数箇所の接点からは
時折痙攣を伴った微かなスパークが上がり、
その度に女性は不自由な口から苦悶とも他の衝動とも知れない悲鳴を漏らし、
知的だったその表情は、徐々に朦朧の度を加えて行く。
手に従って従順に形を変えて行く美しい丘を焦らしつつ、
心持ちペースを落とした栗毛の男が、
耳元に囁きかける。
「さあ、吐いて頂きましょうか、マドモアゼル…
あと数分ぐらいは、貴方の脳神経もこの刺激に持ちこたえる筈…
その前に貴方の知るスメールのセキュリティ情報をすべてお教えくださることに
同意して頂かないと、
貴女のその知性を湛えた美しい恥じらいの表情は、永遠に失われてしまう…
我々の手の内で、ただ我が身をよじらせ、涎をたらすだけの獣と化した貴女の記憶を
薬理的に無理矢理引き出すことも出来なくはない…
それも悪くはないかもしれませんが、少し勿体無い気もしないではないのですがね…」
ん…んはあ…あなたの…くにの…
じょうほう…よういんも…
しつが… おちたものね…
ハワード…空挺…少佐…
数瞬後、栗毛の男の相貌が一変した。
両者の体勢には、一見何の変化も認められないが、
男の顎は上を向き、両眼は飛び出さんばかりに見開かれ、口はパクパクと開閉し、その顔色は見る見る蒼白と化して行く。
女性に思いもかけない名前を口にされた事だけが原因とは考えがたい変化だ。
「ぐ、ぐう…あ、貴方も、こんな…能力を…?」
「もっとも、あなたの国のやり方は、200年以上、 変わっていないのでしたね…
貧しく、追い詰められた国に、 自国企業の草刈場にするのに都合の良い制度を押し付け、
従わない国々を焦土にしては、住民を捕らえて拷問と陵辱にかける…
…貴方の身元…目的…… ぜんぶ…スキャンさせて…もらいました…
あと…1時間ぐらいは…かかるかと、思いましたが…
これだけ…簡単に…プロテクトを破られて…
はぁ…その上に、そんな悪趣味なことをささやかれては…
これ以上…貴方のお手並みを…拝見する気にも…なりま…
ああああああああっ!!」
脂汗をにじませた女性が再びのけぞる。
「ク、ククク、面白い…
私をはめていたのは貴方の方だった…
私の手に堕ちたように装い…なが…ら…逆に…私をスキャンしていた…
こう、仰りたいのですか、マドモアゼル・イブキ?
見くびって頂いては…困りますな…
この体勢から…私が…貴方を…にどうにでもできる状況にある、
それを、お忘れでは…」
男が触れている訳でもない女性のありとあらゆる感覚神経中枢を覆う皮膚が
数を増した不可視の触手にぞわぞわと捕らえられ、
覆うものもない脆弱な各部が摘まれたかのように歪み、
先刻のスパークを伴う波動が、全身の敏感な部分を介して送り込まれる。
「は、白痴をいたぶる羽目になるのもいささか興醒めですが…
まあ美しいことですし、仕方が無……何!?うわああッ!」
突然部屋全体に閃光と放電音が満ちたかと思うと、男の体はベッドから弾き出され、
向かいの壁まで吹き飛ばされた。
予想も付かない打撃に受身も取れなかったことによるしたたかな打撃の苦悶とともに
驚愕の表情を浮かべた男は、しかし壁面に押し付けられ、ずり落ちることすら許されない。
そのまま再び口を開閉させながら目を剥き、顔面を紫に染めて行く。
「無駄です。貴方の能力による私の身体への支配力は遮断されました」
いつの間にかベッド上にすっくと立ち上がった女性が、
引きつる男の両眼を見据えて語りかける。
それは授業中に私語をした生徒を静かにたしなめる口調そのままだ。
何1つ覆うもののないその肢体が、戦神のみの備える機能美をもって、
スイートルームの弱い暖色系の照明に浮かび上がる。
「そろそろ女性への敬称を、貴方のお国の言葉に直されませんか?
相手を見くびってはいけない。貴方の言葉でしたね。そのままお返ししましょう。
私の陵辱に夢中になって、簡単に自分のプロテクトを解いてしまうようでは
何の仕事にもなりませんよ。もっとも貴方にこの先仕事があれば、の話ですが。
…仕事柄、私の体目的を装ってスメールを探って来られる方とは、
こうして接触しない訳に行かないのです。おいでになるならもう少し様々な鍛錬を積…」
こう言い終らぬうちに、室内の照明が弾け飛んだ。
襲い来る硝子片を、手すら動かすことなく瞬時に薙ぎ払う。
再び視線を戻した壁面に、磔となった栗毛の男、いやハワードの姿はなかった。
吹き込む強風で、カーテンが激しく煽られている。
照明の失われたホテル最上階の窓が中空に向かって大きく開け放たれ、
巨大な塔がその裾野に見渡す限りの地上の星空を従えているのが一望できる。
それらを見やる女性の瞳が、冷ややかに細められた…
絵路カコイイハム子キターーーーーーーーーーーーー!
(;´Д`) ハァハァ
中京から北西の郊外に位置する中規模なベッドタウン。
古来、鳥を用いた潜水漁の伝統を有するその一角にも、
深まる秋が、何千年も飽くことなく繰り返される人の愚行に溜息を漏らしながら、
遥か上空を訪れ去る雁行の群れと綾錦をもたらそうとしていた。
秋風立つ丘陵地に建つ、廃校を利用して設けられた、低所得層向けの職業訓練校。
各種の不要不急の資料や機材が雑然と押し込まれたその一室の会議机を、
苦渋と憔悴の色濃い3人の男女が囲んでいた。
「…じゃあ、どうやればいいっていうんでしょうかねええええっ!?教えて下さいよ!?」
「…そ、それはぁ…」
雑多な箱や立看板に塞がれかけた窓を、赤い西日が足早に通り過ぎ、
めっきり短くなった昼の時間の終わりを告げる。
この学校を拠点とする、過去からの転移者達のネットワークを介して得た
魔塔に関する断片的な情報をもとに仲間と共に乗り込み、
その陣容を僅か3名に減じて無残な逃走劇を演じてから、数ヶ月。
以来、焦燥に満ちた激論と、重苦しい沈黙とが、交互にこの場を支配していた。
「…あれだけの巨大な塔に収容した人口を賄うだけの物資を、
彼らはどうやって搬入しているのでしょう…」
長い癖毛の少女が躊躇いがちに口を挟んだ。
「え?それは…地下からでも運び込んでるんじゃない?
地上部分があんななんだから、地下だってかなり深いでしょうし…」
「確かに仰る通りです…ですが、塔に運び入れた後はどうなのでしょう?
仮にパン屋さん1軒やって行くだけでも、毎日大量の材料を仕入れる筈です。
その仕入れ業者があるとして、そこへはどこから持ち込まれるのでしょう?
トラックで更にどこかから持ち込まれているのか。それとも…」
「そうか!物流の経路を辿って行けば、いずれは、
管理エリアと居住区との接点に行き当たる。こう仰りたいんですねええっ!?」
「はい…そして重要なのが、次の点です。
物の搬入を目的とした、この内と外との接点がどんな状態にあって、
業務に携わっている人達の構成がどうなっているのか…」
「というと…?」
「管理側に属する人達が、あの塔の中に充満した電磁波か化学物質の影響を
完全に遮断することができるのかどうかは、よくわかりません…
ですが、少なくとも一般の収容者と同じ居住エリア内にいる時は、精神支配の解除はしていない、
というより、できたとしても極めて難しい筈です。
瞳を絞ったり開けたりことのできる人があの中にいれば、
スメール攻略をもくろんで潜入した人達を含めて、とても人目につきやすい筈ですが、
あの中でそんな人を見かけたことはなかったような気がします。
また、管理者側の人間をあの精神支配の下に置くことは、大きなリスクを伴うことになります。
禁忌によるショック症状や、暴力的行為への躊躇に容易に陥っていては、
いざという時に敵に対して大きな隙を与えることになりますから…」
「ふむ…」
「可能性は2つです。
まず、搬入施設から居住エリア内の最初の需要者までの行き来を一般の街の人間に担当させている場合。
その場合には施設内部まで、スメールの精神支配が及んでいる可能性が高いです。
仮にも一般の人を外界との接点に招き入れるのです。しかも洗脳下にあるとはいえ、過去から捕らえて来た人を。
せっかく施して来た洗脳を一時的にも解いてしまっては、 どんなことを目論まれるか分からない、 というのが、
少なくともあちらの心理でしょう。
この場合、街の人間として、搬入業者に潜り込むことで、接点に接近する機会を待つ。
次に、搬入施設とエリア内の最初の需要者との行き来を、管理者側自らが行っている場合。
この場合、少なくとも車を降りて街の人たちの目に身を晒している間は、
スメールの精神支配に服している可能性が高いです。」
「そこを襲い、うまく行けば、そいつが持っているIDや武器や毒電波遮断装置を奪う、と。
だが、しかし、うまく行くのか…?万一の場合、俺やこいつの妹が…」
「そうです…私には、可能性を探る事はできても、お2人にご決断を促す事はできません…」
癖毛の少女は伏目がちに言葉を切り、そして継いだ。
「ただ、私は、先生のお言葉がずっと気にかかっているのです。
先生は『当面』身の安全は保証する、と仰いました。
その『当面』とは、具体的にどれほどの期間なのか… その期間が過ぎたら…どう…なるのか…」
「…くっ…!!」
「『無謀な行動に出るならば』 … 先生はこう言ったわ」
大きな瞳を上げて、ニーソックスの少女は、一語一語を噛み締めるように言葉を紡いだ。
「こうしてただ時が過ぎるのを待っていたとしても、結局妹を救うことにならないのだ 、とすれば。
たとえかなわないにしても、せめて、示してやろうじゃない。
あたし達だって、無謀とは言わせないような行動で、先生やあいつらに衝撃を与えてやれるんだってことを。
『あの3人』にも負けないほどの衝撃を、ね。
きっと先生もそれを待っている。その時こそ、先生の本当の気持を話してもらえる。そんな気がするんだ…」
「『あの3人』に負けないほどの、か…
そうだな…きっと…」
暗く沈んだ敗残者達の双眸に、再び決意の光が灯ろうとしていた。
近未来編のテキストって何KBぐらいですか?
脱出したホテルの向かいに建つ高層ビル。
屋上の物陰の給水塔にもたれ、ハワードは荒い息をついた。
眼下には中京の夜景がどこまでも広がる。
容易な獲物とタカをくくったのが敗因か。
それにしても一介の工作員程度の女が、切り札の筈の武器の両手を封じられてなお
あれほどの反撃を…しかも俺をスキャンしただと…?
あの化け物の塔といい、やはりこの国の技術力は、侮りがたい水準に達しようとしている。
どんな手を使ってもそれを暴かなければ、我が国の世界戦略は崩壊しかねない。
幸い、反重力装置の補完を受けて、自由に滑空できるこの隠し能力は、
あの女ごときの及びもつくまい。ここは一時撤収して、戦術の練り直しを…
隠し持った反重力装置のスイッチの1つを押すと、内部に巻き取られていたベルトが
両端から飛び出、腰に巻きつく。
飛び上がろうと、見上げたハワードの両眼が、再び驚愕に見開かれた。
自らの上空3メートルほどの中空に、漆黒の塔を背景にして、
黒装束の追手は文字通り「佇んで」いた。
夜空を渡る強い秋風の中で、細身のシルエットは、
あたかも空中回廊に足を止めた夕食後の散歩者のように
無駄な力を抜いて、微動だにしない。
いかなる殺気も窺うことのできない静かな視線が、ハワードの安息の終焉を
無言のうちに宣する。
はじかれたように舞い上がったハワードだったが、飛び立ちざまに
激しい勢いで繰り出された不可視の空拳がその鳩尾を捕らえた。
一瞬の身のこなしで急所直撃は免れたが、反吐を吐いた表情のまま、
ベルトを支点として空中にだらりと崩折れるような苦悶の姿勢は免れない。
「く、くう…貴方は…あの塔の中で…何が起きているか…」
「知っています。そして私達は、正にその犠牲になるためにこの地に現れた」
「で、では何故加担するのですか?
私達は、貴方方の苦悩を…そう、人道的…見…ぐはっ!!」
宙を切り裂いたもう1発のボディブローに、ハワードは悶絶する。
「人道的見地、と仰るのですか?
先程の貴方お言葉の後に続けて、もう1度仰っていただけると、興味深いのですが…」
女性の美しい瞳が冷ややかさを増す。
「この時代の私達は、『時』という触れてはならない領域に踏み込んだ。
あれがこの国1箇所にあるだけで、これだけの犠牲が出ている。
まして他の国々、いわんや貴方方の国までがこんな技術を確立したら、
世界はどうなりますか?」
「で、では、貴方は一体どうするつもり…」
「少なくとも貴方方のように、あの技術を狙っていらっしゃる方々の手を
借りるわけには行かない。
これは私達の問題。あれを産み出してしまった私達が決着をつけるべき…」
その女性の言葉が最後まで続かないうちに、ハワードの時間稼ぎは終わった。
渾身の気合を込めた全出力の光弾が、中京の夜空を切り裂く。
灼熱の閃光が消えた夜空に、女性の姿はなかった。
安堵と共に苦痛と疲労が一気に襲い、ハワードは脱力した。
その刹那、彼は背後に気配を感じた。
途中出遭った同業者らに、半ば呆れて無茶をするなと進言されながら、
中京一円からの修理依頼を5件こなして、短い秋の1日は、瞬く間に暮れた。
日もとっぷりと落ち、肌寒さ日ごとに募るバラック街の夜道を、
つなぎ服の男は帰宅の途についていた。
自分の味覚の好みを憶え、時々派手な失敗をしでかしながら
休む暇もなく甲斐甲斐しく家事をこなし、
精一杯の微笑で帰宅の労をねぎらってくれる、あどけなさを残す少女が待つ自宅。
そして、そんな少女と自分に常に包容と安らぎをくれた心の支えが、
突如として失われた、自宅へと。
他を圧倒して黒々とそびえる巨塔を仰ぎ見る。
自分が愛した人であり、自分を慕ってくれる少女の姉である人。
あの塔が突然、その人と自分とを隔てる牢獄と化して…もう半年以上になる。
以来、姉への追慕と悲しみと罪悪感に身を焦がしながら、
妹の中で堪えきれず募り続ける自分への想いに心揺さぶられる自分をも否定しつつ、
悲嘆と葛藤を忘れようと、がむしゃらに働いて、ここまでやって来た。
51 :
紫の人:04/07/17 23:53 ID:OSw81OeC
今日は妹の誕生日プレゼント買いに行ってたら時間がなくなってしまいました。
次の休日はいつだ…
あと2週間で7月が終わりだと!?
org
あの塔からの脱出という空前絶後の離れ業を演じ、
その心肝を寒からしめた、3人の仲間を庇護したのは自分なのに、
なぜ彼女が…
できるものなら、今からでもあの黒い壁を蹴破って、自分があの人と入れ替わりたい。
そんな行動に出る事が、遺されることとなる少女に何をもたらすかを、考えなくて良いのであれば…
その自分達が口を封ぜられるでもなく、こうして一見自由の身として暮らし続けている。
その意味を考える。
いま1度、上空を仰ぎ見た。
行き交う車の明りが建造物の壁面と垂れ込めた雲に映え、
あの圧倒的な巨塔をまざまざと浮かび上がらせている。
その姿はさながら、地を這う衆生達を招き寄せんとする仏塔を装い、
物理法則を無視して通常と正反対の方向に伸びる、逆像の蟻地獄だ。
弱々しい光の明滅に少し視線をずらすと、現在いる裏通に立つ、傾きかけた街灯が目に入った。
その頂上に据え付けられた裸電球は、ちらちらと瞬きながら、
半壊した廃屋の立ち並ぶ弱々しく照らし出す。
虫達はしきりに羽音を立て、飽くこともなく裸電球に体当たりを試みている。
掌ほどもありそうな薄茶色の蛾がまっしぐらに光源に衝突し、
力なく落下して行った。
何気なく近寄って見ると、羽の片一方のみを痙攣させ、
断末魔の苦悶を終えようとしている。
もう片方の半身は、熱源にまともに接触したのであろうか。
◇sKyOkYkn
↑
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
そう、
もう一度天を仰ぎ、心の中で呟く。
俺達は放免されたのではない。むしろ逆だ。
奴等は手ぐすね引いて待っているのだ。あの日別れた3人が進退窮まって、
あるいは懐かしさや望郷の念に耐えかねて、俺達にいま1度接触して来るのを。
俺達は連中を惹き寄せるために、それだけのために泳がされた誘蛾灯だ。
この地に飛ばされて来た者達を口を開いて待ち構える、あの塔のように。
だからこそ、もし連中にどこかでばったり遭うことがあったとしても、
そのような素振りは絶対に見せてはならない。
闇夜に光を求める虫達のように、彼らが俺達の家という在り地獄の罠を訪ねてきた時、全てが終わる。
彼らの命運が尽きるとともに、俺達を泳がせておくべき利用価値も失われた時、
俺はもとより―いや、それはいい―風子までも、姉のもとに送られてしまうことになろう。
それだけは避けねばならない。
俺が何とかして守ることが出来るのは、いまやあいつだけなのだから。
万一彼等を見かけても、全くの他人として行き違う。
このことは風子にも繰り返し言ってある。
彼らも分かってくれている筈だ。それが互いにとって最善の道であるということを。
そして信じるのだ。
逆に考えれば、こうして俺達が一網打尽にされることなく泳がされ、
用済みにされていないことこそ、
スメールの威信を賭けてその全力をもって追われている筈のあいつらが
無事でいる―少なくともその安否を追っ手の側に掴ませていないことの何よりの証だ。
そして、塔にとって、俺達を泳がせてまで捕捉したいほどの脅威である
あいつらが無事でいる限り、
いつかこの状況に何らかの突破口が開かれる可能性は、決してゼロではないのだ。
フフ、「便りのないのは何とやら」とは、巧いことを言った奴がいるものだな―
雲に遮られた夜空をもう1度仰いだその目の端が、
何か違和を覚える対象を捉えた。
今のは…
闇夜をも凌ぐ漆黒を湛えた山塊―
それとコントラストをなすように
妙に薄明るく浮かび上がった夜空を、何かが落下して行く!?
まさか…
スメールからの脱出劇を事細かに物語る、あの3人の言葉が脳裏をよぎった。
空中を舞い、反重力ベルトを用いて辛くも地上激突を免れ…
しかし―
一瞬はっとする。
もし今の落下者が、あの廃ビルを「もう一度」潜伏場所に用いようとしたならば?
あの場所が既に官憲の掌握するところとなっているとは思いもかけずに…?
まずい。隠れ場所なら、あと1箇所ぐらい教えてやれる心当たりがないこともない。
無論あいつらとは限らない。敵とも味方とも知れないし、人間であるとすら…。
しかし、それにしても、この虫の知らせにも似た予感は何なのだ。
帰宅の方向からはさほどずれていないとは言え、
あえて立ち寄らなければ帰宅し得ないというようなポイントでもない。
だが…
この先に、自分と到底無縁でない事態が今正に起きようとしている!?―
この理由もない予感は、もはや彼を押し留める事が出来ないまでにその心中で増大していた。
矢も盾もたまらず、芳野は今垣間見えた落下物の在ると思しき方向へと駆け出していた。
NETANNAD SIDE STORY Picaresque Tears TO BE CONTINUED …
名前欄に『#任意文字列』ね
あ、ありがとうございますでつ…お騒がせ始末た(;´Д`)
60 :
三告平:04/07/18 01:17 ID:R9OsWRAH
>>58 何かサイトスペースに難儀してるみたいね。場所貸そうか?
興味があったらメールください
(ただ、日月と仕事で缶詰なので返信は火曜以降になります)。
ちなみに場所はここになる。
http://202.222.30.100/~netannad/ あー、お前誰っていう疑問がきっと沸くと思うので自己紹介しておくと、
いつまでも葉鍵板から卒業できないただの空気固定です。はい。
うわあ、スレ落ちちゃいましたか…。
すみません、最終締め切りを今一度教えていただけませんか。
最終〆切は7月末日でございます。
組みこまなかんので曲は30日までにいただけると嬉しい。
>60
最萌は遠くなりにけり、といった感がありますな。
サイトスペース変更することはおれも何度か考えて伝の字に提案しようと思ったけど、
結局with2chのあそこが「広く認知されたnetannadの公式サイト」なのであって、
今さら別の場所に移しても普及しないと思う。御協力のお言葉は有り難く。
トンクス様。
戦国時代編 神君伊賀越え〜風子忍者衆参上をぜひ書いてください。
『右府死せり!』
吉とも凶とも判然せぬ報は直ちに全山を駆け巡った。
恨み冷めやらぬ伊賀焼き討ちからはや幾星霜。
だが忍びたちの心に怨敵誅されるの悦びはない。
誰もがいつかはこの手で、と思い描いた暗き夢は夢に終わった。
懸案は現実――伊賀が向後刀を捧げるべき将にある。
『お風いけませぬ。まだ結論は出ておらぬ。
徳川が我らを富み栄えさせる明日もあるとなぜ分からぬ』
『姉上こそ! とと様を、はは様を八つ裂きにした者をお忘れか!
魔王の腰巾着など恐れるに足りませぬ!
伊賀のくノ一の矜持をかけ風は参ります!
いざ! ( >ヮ<)つ☆』
『お待ちなさい! お風!』
豊臣、徳川の間で震撼する戦国の世の終わり。
己の誇りをかけ家康暗殺をもくろむくノ一お風とその身を案ずる姉お公。
敵か味方か。お風に立ち塞がる甲賀の摩利支天春原。
豊臣に使役さる風来の剣士柊を交えて三ツ巴の戦いは続く。
TEAM NETANNADが贈る渾身の時代ビジュアルノベル。
「NETANNAD戦国時代編 神君伊賀越え〜風子忍者衆参上」
灼熱の夏空の下、忍者お風の宿願は果たされるか――
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
エロエロならば良しッ
いや……ネタですよ?
既に夜の帳に覆い尽くされた中部地方の空に溶け込むように、
黒い人影は地上を警戒するかのようにゆっくりと降下を続けていた。
不安定に明滅を続ける弱々しい裸電球の下にうずくまる、朽廃しかけた街並が、
徐々にその足元に迫って行く。
灯の消えた多くの廃屋に混じって、つましい窓明かりが
地区のそこここに幽く浮かび上がり、その住人達の暮らし向きと生き様を偲ばせる。
子供が鉄棒から飛び降りた時ほどの姿勢の乱れもなく
すっくと降り立ったのは、瓦礫に埋め尽くされた空地であった。
―いや、袋小路と呼んだ方が正確であろうか?
その瓦礫が、空地の中央部で激しく散乱していた。
投棄された分厚いベニヤ板が真っ二つにへし折られて地面に十数センチ食い込み、
その箇所を中心として、コンクリート片や角材が円を描くように飛散している。
破砕された木屑の断面は、その生成から経過した時間の短さを示すように真新しい。
それはあたかも、つい先程この地点に、ある程度の重量のある物体による
激突があったことを如実に物語ろうとするかのようだ。
黒服の女性はゆっくりと視線を上げた。 ―あの男には都合5発の気弾が命中している筈だ。
内1発はハワードの反重力ユニットを直撃し、この墜落の直接の原因となった。
どの程度の損傷を与えたかはともかく、墜落地点から動き得ないほどの落下速度を許すほどの損傷ではなかったことは
この地点に落下者の姿がないことから明白だった。
隠れているとすれば―
一呼吸して、何時でも両掌に熱塊を召喚できる体勢を整え、
女性は空地中にうず高く散乱した崩れた外壁や廃車の山を見回した。
その刹那。
女性のシックな黒服が四方に弾け散った。
つなぎ服の男は、荒い息を整えつつ、前屈みになって立ち止まった。
大した距離ではなかった筈だが、昼間のオーバーワークが響いたのか。
方向に大体の当たりをつけて走ってきたものの、薄暗い入り組んだ路地とバラックの続く一帯で
遠方に認めた落下物の位置を特定することの難しさを改めて思い知る。
落下物の正体を推測させる兆候さえも、依然つかめてはいない。
しかし、万が一あの3人が再び危機に在り、既に敵の手の回った隠れ家に不用意に飛び込んでしまった場合、
彼らをおびき寄せるために泳がされている自分や少女の利用価値も同時に失われることになるという焦燥感と、
それだけでは説明しきれない虫の知らせにも似た漠たる予感は
先程にもまして彼の鉛のような足を駆り立てていた。
方向を知る道しるべとなり得るどんな微かな声や物音も聞き漏らすまいと
もう1度深く呼吸した、その瞬間、瓦礫がガラガラと崩れ落ちるような音が彼の耳を捉えた。
暗色で統一された女性の衣服が突然消し飛び、
同時に女性の華奢な身体は数メートルも吹き飛んで、
前方に傾きかけて立つ廃棄されたコンクリート壁に打ち付けられる。
そのまま壁面に貼り付けられる形となった女性の背後に、
全身を出血と打撲傷が覆う栗毛の男が、よろめきながら姿を現した。
覆いかぶさるなり、接触面全てを通じて、
男の最後の力を振り絞った神経ショックが打ち込まれ、
あわせて性急過ぎる一体化の苦痛が女性を襲う。
壁面と自分との間に強引に挿し込まれる不躾な手に、著しい嫌悪を憶えながら、
女性の鋭敏な感覚は、この空地に急速に接近しつつある足跡と気配とを捉えていた。
その気配の主の誰たるかを悟った時、
彼女はこの闘いをあと一瞬たりとも長引かせる訳には行かないことを知った。
朽ちて傾きかけた家屋と至る所に投棄された廃物の並ぶ
曲がりくねった裏路地の角を、いくつ駆け抜けたことか。
直線距離にすれば、目と鼻の先にある音源と思しき地点だったのだが。
この先は、廃材がうず高く詰め込まれた、行き止まりの空地になっていた筈だ。
そのような場所でこの時分に、破砕音を立てつつ繰り広げられる事態とは…
この角だ。裸電球の据え付けられた電柱のあるこの角を曲がれば、
さほど広くはない、袋小路状の空地のほぼ全体を、見渡せる、筈…
その瞬間、うらぶれた廃材置き場から、あらゆる視神経を切り裂かんばかりの
真昼をも凌ぐ白熱光が、バラック街の夜闇を切り裂いた。
72 :
伝乃字 ◆f2q2/UL0ts :04/07/18 21:49 ID:90n1gBea
ちなみに、シナリオ投稿してくれる方は、
「スレッドへ投稿前の、変に改行していないデータ」を送ってくれると助かります。
例:
http://yellow.ribbon.to/~netannad/ex.html あと、「ここで改頁してぇ!」という場合は、改頁したい場所に半角の円マーク(\)を入れると良いです。
>Tonksさん
イベントCGの導入とかはどんな感じですか?
イベントCG閲覧モードの実装とかせにゃならんので、もし全て出来てるなら送って欲しいのですが。
>>72 了解致しますた。ちなみに1頁あたり26×14までだったでしょうか?
照明もろくに灯らぬ裏通りを、目を凝らして駆け抜けて来た目には、この光芒はあまりに強烈だった。
漸くどうにか視界が戻り、我に返るまで、何分間、呆然と立ち尽くしていただろうか?
いまだ消えない、網膜に受けたショックの名残を振り払おうとするように、2度、3度と頭を振ると、つなぎ服の男は空地にゆっくりと歩み寄って行った。
近づくにつれ、冷え冷えとした夜風にある異変を感じた彼は、一瞬足を止める。
鼻腔をくすぐる、一種の刺激を帯びた、どこかで嗅いだことのある、生々しい…
その臭気の正体に思い当たった時、彼の足はひとりでに、殺伐とした空地に向かって駆け出していた。\
闇の中に静まり返る瓦礫の山に入るや否や、その匂いは今までの数十倍の強度で、つなぎ服の男のの鼻と喉元に襲い掛かった。
必死でこみ上げるものをこらえながら、周囲を窺う。
空地の中央部の瓦礫が、何か重い物でも落下したように、円形に飛び散っている。
闇の中に黒くうずくまる廃材の群れが、かねてから散乱していたものなのか、新たに飛散したばかりなのかは、先程の閃光の余波覚めやらぬ夜目には、直ちに判断がつきかねた。
向かいに見えるコンクリート壁の残骸に目が留まる。これもひどく傷み、汚れが黒々と…
…黒々と?
斜め上を走る高架道路を丁度通過した車のランプが乱反射し、時ならぬカクテルライトを空地に投げかけて行った。
照射時間にして僅か1、2秒のその光源は、しかし、足元の木片やコンクリート片に飛び散った、鮮烈な朱を映し出すには十二分なものだった。
そして正面の壁の残骸にべっとりと貼り付いた、夥しい…
ついに口を押さえうずくまった男の目が、血痕に覆われた瓦礫の間に何かを捉える。
布地…?この手触り、長らく雨ざらしになっていたような感じではない…
…だが、それにしても、なぜこんなに気になるのか…?
手にして立ち上がる男の頭上の高架を、別の車とその前照灯の照り返しが通り過ぎた時…
絶望と悲嘆に満ちた絶叫が、荒れ果てた夜の廃材投棄場に響き渡った。\
―少女は、冷え始めた料理を前に、何度目かの溜息をついた。
日が落ちると同時に、室内にまで訪れる肌寒さは、秋の足音と共に、急速に深まって行く。
十分な防寒剤を用いることもかなわないバラックでは、なおのことだ。
質素ながらも、清掃と整頓の行き届いた、居間にかかる時計を見遣る。
今日の修理の仕事は、中京一円に散らばって5件だと聞いてはいたが、それにしても聞いていた帰宅予定を大きく過ぎている。
少女は自らの義兄となる筈だった男の判断と行動に、崇拝に近い信を置いていた。
依頼段階の聞き取りで作成するチェックシートによって修理すべき機器の症状を把握した上で、要修理箇所の程度と作業所要時間を大きく読み違えるような人ではない。
そして、この日の依頼はすべて、そのような依頼内容の明確な案件ばかりの筈だった。\
テーブルに目を戻した少女は、男の不在を象徴するように料理を乗せたまま並ぶ食器を、所在なげにもう1度眺めた。
思えば自分達姉妹が忽然とこの時代に姿を現した時から、あの人は常に自分達と共にいてくれた。
あの人自身が食べていくのだけでも精一杯だった筈なのに、精一杯の激励と支援を惜しまず、時分のパーツを手に入れたばかりか、姉に職まで見つけて来てくれてしまった。
あの人の目が、誰を向いているのかは知っていた。
だから、義妹として、すばらしい姉と義兄に恵まれることができるなら、幸せだった。幸せだと思おうとしていた。\
その幸せの設計図は、半年前のあの日、無残にも引き裂かれた。
私達みんなの身代わりとなろうとするように、最後まであの微笑を残して歩み去った姉。
連れ去られようとする姉を追いかけようと、半狂乱になった私を、あの人は押し留めてくれた。
いっそ自分が姉を追いたかっただろうに。
あるいは、あの暗黒の塔に挑む修羅の道に身を投じようとする3人の親友達に、最後のはなむけを贈りに行きたかっただろうに。
私が身代わりに追って行ったところで、姉を取り戻せることなどできる筈がない。むしろ彼に更なる迷惑を背負い込ませることにもなりかねない。
―頭の隅で分かっていながら、あの時の私は、泣き叫ぶ他に、自分が壊れてゆくのを押し留める方法を知らなかった。
愛した人を目の前で連れ去られながら、私を制止し続けてくれた彼の心中がどれほどのものであったのかに、思いを致すことさえ出来ずに。
彼の強さ、優しさ、大きな犠牲と苦悩を代償に、数限れず姉と私にして来てくれた大恩なくして、今の私はない。
姉の喪失に張り裂けそうな気持ちを押さえつけ、遺された私を守るために、更にがむしゃらに頑張ってくれている彼。
そんなあの人に、こんな私が自分の想いをぶつけて、更なる苦悩を背負い込ませるようなことなど、どうして出来ようか?
それは姉への裏切りとなるだけでなく、彼に残酷な選択を突き付けることになるという意味で、彼に対する裏切りともなるだろう。
私の想いを無碍にするか、姉を裏切るか、という、つらい選択を。
そして彼は、苦しんだ末に、後者を選択する事は決してないだろう。
彼がそういう人であるということを、私は知っている。
だからこそ、私は彼を…
そんな私が、せめて彼にできる事は、少しでも彼の心身の労苦を紛らせ、この家が彼にとって安らげる場所となれるよう、自分にできる事を精一杯すること、それしかない。
全てが解決し、姉がこの家と家族を、再び優しく包んでくれる日が訪れるまで。
それとも、彼の想いが苦く遠い追憶に変わり、彼に相応しく、彼にとって重荷となることのない、素晴らしい人が、現れる、まで…
>了解致しますた。ちなみに1頁あたり26×14までだったでしょうか?
横26文字、縦が14行です。
ただもし改頁を入れて下さるのなら、余裕を持たせるために最大12行くらいが良いかもしれません。
夜風が薄い硝子窓を叩き、肌寒く人恋しい気持を更に加速させる。
カーテンを引き忘れていたことに気付いた少女が、窓辺に歩み寄ろうとした時―窓の外が、時ならぬ真昼のような閃光に包まれた。
簡素な室内照明の薄明かりに慣れた少女の目にとって、この光芒は少なくとも十数秒にわたってその視力を奪うに十分なものだった。
何かの事故か?稲光か?―いや、そういうものではなかった気がする。適切な表現かどうか分からないが、まるで誰かの想いの爆発、絶叫が光となったような…
哀しく、苦悶と決意に満ちた魂の発露。そして何故か懐かしい―どこか、とても身近で感じた事があるような…\
漆黒の闇が戻った戸外を窺おうとするが、いまだ網膜に強烈に残る残像を感じながら暗闇を見通そうとするのは、予想以上に困難な作業だった。
思わず窓に施したロックに手を伸ばす。
この街の治安状況も考え、夕方以降は全ての窓と出入り口に施錠すること。俺を確認しない限り、絶対に扉を開けないように、という忠告が耳をよぎる。
が、外を見たい、今の現象が何だったのか知りたい、すぐに閉めるだけ、という念が、彼女の意識を支配していた。
ガラガラと滑りの悪い戸車が鳴り、予想以上に温度を下げた秋の夜気が一気に室内に流入する。見慣れたバラックと廃屋の並ぶ裏通りが、闇の中に無言で伸びていた。
先程の光芒と関係のありそうな痕跡は、既に視認することができない。
溜息をついて再び窓を閉めようとする。何とか戸車を外さないように。
―見下ろした目線の先にある窓枠を、何の前触れもなく掴む、何者かの両手首が現れたのは、その時だった。
>>77 ありがとうございまつた
どこをどう歩いたのか。気がついた時、つなぎ服の男は、自宅から程近い裏道を、糸の切れた凧のように蕭然と歩いていた。
想い人が突然連れ去られた時から、心のどこかで覚悟はしていた。あの微笑で語りかけてくれることが、二度と、ない、かもしれない、という漠たる覚悟。
しかし―
あの人の静かで、柔和で、それでいて凛とした人となりにこの上なく相応しかった細身の体躯を包むシックな装い。
あのような形で再会すること、このような形で触れること―それだけは、想像すらしなかった。したくなかった。
肩を寄せ合って笑い合った、あのささやかな我が家の、ほんの目と鼻の先に、彼女はどんな想いで降り立ち、どんな、想いで…\
ぼやけた瞳の奥に、短い時間を共に過ごした家族を思い描いた瞬間。―遅れた夕食を共にすべく待ってくれているであろう小柄な姿に思いを致し、彼は硬直した。
早く帰ってやらなければ、あの子の心配を増すばかりとなる。…だが…どう、説明すれば良いのか?
あれほどまでに狂乱してその身を案じた姉が、再び少女に優しく語り掛ける日が来ることを心の支えにして、日々明るく立ち働くあの子に?
いくら歩を遅めようとしても、間近にまで迫った我が家までの到達時間を、分単位以上先送りにすることは困難なようだった。
下手をすれば、見えてきたあの窓から顔を出されて、帰宅を逡巡する姿を見咎められ、かえって不審と追及を招きかねない。\
やむをえない。とりあえず、もう1度現場を見極めることにして、今日のところは何とか誤魔化すしかあるまい。
もっともあれだけの血糊の付いた現場を、あの魔塔の目をくぐって、検分する機会を得ることができるのかどうか…
それにしても、あんなに窓を開放して、寒くないのか?無用心だから暗くなったら閉めるように言ってあるのに、少なくとも室内にはいるんだろうな?さしあたりこの話題で話を逸らして…
そこで彼の逡巡は中断した。窓から聞こえる物の壊れる音、そして聞き覚えのある、細く高い声で叫ぶ悲鳴。
全ての思考をかなぐり捨て、彼はカーテンが秋風に揺れる自宅の窓めがけて、今日何度目かの全速で走り出した。\
あんた頑張り屋さんだな。読んでないけど。
近況
・オプションで右クリックでも戻れるようにした
・CGモードで、致命的なバグに気づく
・タイトルにSE追加
いい加減寝る。
物流を辿るとはいえ、あまり長期間をかけることはできない。
スメールの精神支配が進行性のものであることは、抵抗組織のネットワークを通じて得られる断片的な情報を介しても聞き及んでいた。
何より前回潜入時に接した周囲の人間を見ても、周囲への関心、感情の変動といった人間的な反応の喪失の度合が、収容された期間の長い者ほど深刻であるという傾向は容易に見て取れた。\
タイムリミットが迫っていると見られる妹達の救出のためにスメール再攻略を決意した、3人の男女の行動は早かった。
可能な限り人目を避けるために、物資の搬出入は夜間に行われている可能性もある。
あのエントランスは意識回復後もかなりの時間にわたって神経系統に支障を及ぼす。
少しでも早くその影響から脱し、行動を開始するには、中京駅へと向かう快速を1本逃すことすら避けるべきことのように思われた。\
肌寒さを感じ、ニーソックスの少女は目覚めた。重く痺れる頭を数回振ると、間近に石膏ボードの天井が目に飛び込む。
二段ベッドの上層に部分に、毛布もかけられずに放り込まれていたようだ。季節は異なるが、前回と同じシチュエーション。ということは、今回も下段は…
「ねえ、起きてるの?」
「うう…け、蹴らないで…ひ、ひぃぃ…ぐう…」
やはりそのようだ。
天井の迫った狭い空間で頭を打たないよう、目覚めきれない手足で寝床を探る。余った枕カバーが手に触れた。下段の枕元あたりを目掛けて、それを投げ落とす。
「ぶぁっ…うわああ!ま、まだ死ぬには早いですよねぇぇぇ?」
「当たり前でしょ?何寝ぼけてる訳?」\
「また、寮の部屋なんスね…」「ええ…」
「…また、一緒なんスね…」「…ええ…」
前回も今回同様、両名はこの塔のシステムによって、学校寮の同じ部屋の上下段に配属されていた。すなわち、強制された配偶者・アーガタとして。
すれ違う想いを抱えた2人は、そのまま自らに割り振られた寝台にいまだ知覚・運動機能が十分に回復していない四肢を伸ばし、暫し沈黙した。
窓を見遣ると、黒々と浮かび上がる校舎の上空に、明々と上限の月が上がっている。
時間はまだ、先程乗り込んだ夕刻から、さほど経過してはいないようだ。
「外は曇り空だったみたいなんだがな…」「今月今夜のこの月も、時間を知るには便利かもね…」
「今夜ばかりは宇(そら)宙と見紛う豪華版プラネタリウムに感謝、スか?」\
再び沈黙が両者に訪れる。
「…ねえ…」「ん?」
「先生が言ってた、『あの3人』って…やっぱり、あの3人、なのかな?」
「わかんね…でも…」「…でも?」
「もし、あいつらもこの世界に連れて来られてて、しかもチームを組んでるんであれば…こんなふざけた塔の弱点を見つけ出してひっくり返すぐらいの事は、やりかねないような気もする。
どんなとんでもない事でも思いつきかねない奴に、どんな壁でも蹴破りかねない奴に…」
「通報しちゃお?」「ひぃぃぃぃ!やめでーー!」
「クス、冗談だってば。大体しようにも、どこへ通報すりゃいいのよ?」
「ほっ…
…そして、あいつ、か…」
「…」\
ニーソックスの少女の脳裏に、「あいつ」と呼ばれた男
が浮かぶ。
もしも。このベッドの下段にいるのが…\
ギシッ、ギシッ…1回、2回、寝台の梯子が軋む。
梯子段の数は確か…
体が緊張にこわばり、顔が上気して口の中がカラカラに…
両肘と片膝を立てて、梯子のある足元の方を覗き込む。
最後の梯子段に手をかけて、あいつの頭があたしの足元に
姿を現す。
うっかり身動きもできない上段の狭いスペースを挟んで、
仰向けのあたしと、足元のあいつが向き合う。
月明かりに半分照らされたあいつの顔が、気持ち俯いて、
赤らみ…
その視線の先には、片方上げたあたしの自慢の脚、
短いスカート、そして…\
あわてて閉じようとするあたしの片膝を、あいつの手が、
そっと押さえる…
蹴飛ばすこともできるのに、体がこわばって…
…違う?目が合った途端に、そらせなくなって…
持ち上げられた片膝を起点に、全身の力がスーッと抜けて
行く…
そのままあいつの体がずり上がり、あたしはあいつという
新たな天井で、もう身動きもできない…
あたしを完全に組み敷く形になったあいつの顔が近づいて
来る…
全身の皮膚という皮膚からあいつの温かみが感じられて…
もう、目を、開けて、いられ…
ああ、$1…! $1ー!!
…!?…く…くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ…!!
エロカワ(・∀・)イインチョKITAY⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
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l リノリ从)) z_ ‐- - _ ____
l ll#゚Д゚ノ∫ -- ̄z__ -_/ 和 / 人 _Λ∩
|l⊂) と)ソ彡 _- ̄ = ̄−/ 英 /<ガッ>゚皿゚)/ ひぃっ
ノノとく/_l〉リ ーz_ _  ̄ ‐ ̄_(三三(/ ∨ /
(_ノ
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(⌒\ l リノリ从))
\ l ll#゚Д゚ノ∫
(m) ⌒\
liノ / /
( ∧ ∧
ヘ丿 ∩゚皿゚;) ひぃぃぃぃぃぃぃっっ!!
(ヽ_ノゝ _ノ
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.'´, ヽ ,;⌒⌒i.
(((ハリ j !⌒ヽ ( ;;;;;) ______
. ll、゚ヮ ゚∫l E) ,:;;;) | |
. n⌒ ( ) ヽ| |/ |;,ノ | すめーる→ |
(ヨ ) ・ ・/il∨∨ .| / .,i |______|
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( vヽ , ,,,丶, | |,,,;. ;i, ‖ヽ
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し' ヽ) ,, .、 ヽ .. ヽ丶,.ヽ ‖、,,
しまった。このゲームの場合、Extraに組み込むのなら別に「既にこの画像を見たのか?」
なんていう判定必要無いじゃないか……。
Extraに行ける=トゥルーエンドを見ている=全てのCGを見ている
って事になるんだから。
◇sKyOkYkn ◆P9.e4E7Rywさんへ
最後で失望させるのは嫌なので今のうちにお伝えしとかにゃならんのですが、
昨夜ヨリタケに尋ねてみましたところ「おまけシナリオのCGを描く余裕はない」
つーことで、公子先生のエロ絵はもとより杏や春原などの立ち絵も期待できない
ということになってしまいました……。紫の人はそれどころじゃないし。
おまけシナリオとして使う場合、公子、風子などの立ち絵だけは出して杏たち
は立ち絵なし(あるいは影絵)というのはいかにもバランスが悪いし、また、
「どんなに長いやつでもおk」と公言しておきながら撤回するようで心苦しいのですが、
あまり冗長だと「なんだこりゃ?」ということにもなりかねない。
従って、◇sKyOkYkn ◆P9.e4E7Rywさんの書く物語が完成をみ、このスレにおいて
大いに好評を得たとしてもおまけシナリオとして採用できない可能性があります。
水さすようでマジ悪いと思うんだけど、腹のうちを正直に言えば、
その1/10くらいのボリュームでもう少し面白いものを書いてほしい。
トンクスはっきり言うなあ。わかるけど。
まぁこの時期に来てのおまけシナリオ要請自体
「?」って感じだったし書いてる人はそんな落ち込まんことだね
まぁ、はっきり言わなきゃ2chの意味が無いしな。
つーか、ビジュアルノベルは小説とは違うぞ
>>85
この差し迫った時期にSS募集しといて、いざやる気のある書き手が現れたら
厳しく批評するというのは人としてどうかとも思ったんだがね……。
歯に衣着せず言いたいこと言い合って作ってきた作品だから。
というか、>88の最後2行はおれの一読者としての感想だと考えてください。
>>91 >この差し迫った時期にSS募集しといて、いざやる気のある書き手が現れたら
>厳しく批評するというのは人としてどうかとも思ったんだがね……。
詰まらんと思ってるSSを自ゲームに入れるのはある意味、ユーザーに対して失礼に当たる気がする。
そんな訳で、別に構わないのでは。
まぁ、同人だからその辺の馴れ合いもアリだとは思うけど。
というか今さら2chでやる意味がわからんなぁ
スタッフ大募集って時期でもないだろうに
HPに籠もって完成したら適当に宣伝にくりゃいいじゃん
「く」…まだ奈落の底に錐揉み落ちる感覚が残っている。
禁忌に触れた副作用の悶絶に陥ってどれだけ経ったのか?
気が付くと下段の寝台からしきりに呼びかける声がある。
「大丈夫か?しっかり…」「あ、あたし…?そっか、またトリップしちゃったんだ…」
「…勘弁してよ…上であんな声出されちゃってさ…
それも他の奴の名前なんか思い切り叫ばれた日にゃ…」
そうだった。「…ゴメン…」「…いや、俺の方こそ、つい愚痴っちまって…悪いのはこのシステムなんだよ。
家畜じゃあるまいし、人を勝手にペアリングしやがって…人の気持ちなんか無視して…」
「あんた…あんたは今の聞かされて、気分悪く…」
「なる訳ないでしょ?俺は仮にもここじゃあんたのアーガタだよ?俺の事より…そこのドア口…」
\
まだ残る悪寒をこらえて、狭いスペースの中で体を反転させ、部屋のドア口を覗く。
毛布をかけられたうつ伏せの癖毛の少女の姿が、月明かりにぼんやりと浮かび上がっていた。
助けに降りようとしたが、まだ体がいうことを聞かない。
「ど、どうしちゃったの、あの子?…あれ、今回は一緒の寮だったのかしら?」
「わかんないけど…入って来て、しばらく立ち竦んで、いきなり倒れちまった。
…丁度あんたがクライマックス入ってる時だったかな…」\
あいつの名を呼びながらトリップする自分の声が、あの子にも禁忌を…ということは、配偶者ならざる異性に対する煽情を…その煽情の相手とは、つまり…
「毛布かけてあげたの、あんたなの?体動かないのに…」
「そりゃ…でも、あんな大人しい子が、体に手を這わせながら失神してるとこなんて見てられないっての…俺だって一応男なんだから…てか男なんだけどな…」「…」\
「ねえ…もし、もしよ、あんたと付き合ってもいい、って娘がいたら、付き合う?」
「…気持だけ貰っとく、かな?」「…え?」
「何百万人も男と女がいる中で、気持と気持がまっすぐ向き合う相手と巡り合う。それが、付き合うってことなんじゃないか、って思うんだよね。
滅多にあることじゃないんだろうけど、だからこそそのお互いを捜し求めることに醍醐味があるっていうか…
付き合ってもいいって言ってもらえるのは有り難いけど、それはその子が付き合いたいと思ってくれてるというのとは別のニュアンスだと思うし…
その子に対して俺の気持ちが向き変わるかどうかはまた別だし。―なんか柄にもない事言わされちまったな」
「…」\
「…なあ、話を戻すけど…」「…え?」
「あの3人ならこんな塔ぐらいひっくり返しかねない、って言ってたよな?―俺達は、どうだと思う?」
「…決まってるじゃない。ひっくり返しちゃうわよ。
この子がブレーンについて、このあたしが暴れまくって…
それに…」「…それに?」
「…なんでもない。ただ…」「?」
「生まれてこのかた、自分の身にこんな事が起きるなんて夢にも思わなかったけど…
正直この命が明日あるかどうかも分からない、それが怖くないといったら嘘になるけど…」「…」\
「それでもあたしは、こんな時代に飛ばされて、このチームを組んで、あんたとこんな話をすることができたことを良かったと思ってる。
こんな事がなかったら、みんなの普段見えない一面を知ることは、きっと出来なかったと思う。
あの大人しい子があんな堂々と自分の洞察を展開できて、
それに…」「それに…何スか?」
「なんでもない♪」「気になるじゃない!教えてよ?」
「クスッ。無事に塔を出たら教えてあげる。ホラ、あんたはもう動けるでしょ?時間は限られてるのよ。
早く起きてシャキッとする!」
「ヘイヘイ委員長様…」「何か言った?」「ふるふる…」
「う…」「あ、あなたも気付いた?」「は、はい…」
その時、ドア口に人影が現れた。\
だらだらしてんのは近未来編の序盤もどっこいどっこいの気がする
げ、こういうことになっていたか。
当初構想した場面同士繋ぐのに必要な場面がどんどん膨張して書いても書いても終わらなくなっちまった。
まあリクエスト頂いたくだりまで投下したし、気分を味わえたから良いけど。
他の方は懲りずにガンガン上げて頂きたい。
おまけシナリオとしては、やっぱり使い難いものがあると思うな。
ネタナド自体もそうだが、ゲームである意味が薄い。
「ふあ……」
ここへ来てもう何度目になるか分からない生あくびを噛み殺したあと、
読むともなしに読んでいたハードカバーをぱたんと閉じた。
『ツァラトゥストラはかく語りき』というどこぞの哲学者の散文で、
ことみは面白いと言って薦めてくれたのだが、
俺には偏屈な誇大妄想狂が町を歩いては誰彼かまわず説教する
どうしようもない物語にしか思えなかった。
巻末の説明を読めば19世紀の終わりに書かれた本だということだ。
100年以上の歳月を経て今も読まれているのを考えれば
きっと価値ある内容なのだろうが、
残念ながら俺にはそれを理解するだけの頭も根気もないようだ。
静謐な図書室にことみが本の頁をめくる乾いた音だけが響いている。
彼女はいつものように上履きも靴下も脱いで裸足になり、
床に置いたクッションに座って書淫に耽っている。
周りにはいかにも難しそうな分厚い本が並べられていて、
その結界の中にあってことみは心から落ち着き、
大好きな読書を楽しんでいるように見える。
もっと簡単で取っつき易い本を探してもらおうかとも思ったが、やはりやめておいた。
俺はもう一つあくびをして……大人しく眠気に身を委ねることにした。
『よく晴れた麗らかな春の日には、三角帽子の小人たちがやって来る』
既に微睡み始めた頭に、
いつかの帰り道でことみか聞かせてくれたおとぎ話が蘇った。
あれもたしか今日のように、
全身の力が抜けてゆくような陽気の夕方だった……。
『見つからないようにこっそり近づいて、目の中に砂をふりかける。
眠りの精霊サンドマン。いたずら好きの小人たち――』
俺はここに来て寝てばかりいるな……。
そんなことを思いながら、俺は束の間の午睡に埋没していった。――
扉が開く音に跳ね起きた。
ぼんやりとした視界に映ったのは教師ではなく、見知った女生徒の姿だった。
「あれ、岡崎?」
「なんだ……智代か」
智代は「どうして開いているんだ?」と呟き、
後ろ手に扉を閉め図書室に入ってきた。
「おかしいこともあるものだ。今は閉室中のはずなんだが」
「どこぞの図書委員が鍵をかけ忘れたんだろ」
「そうか……。それは良くないことだな」
「人間だからうっかりということもある」
「うむ。たしかにそうだ。
開いていないと思って職員室から鍵を借りてきてあるから、私が閉めて出よう。
ところで――」
智代はそこまで言うと俺から視線を外し、
黙々と読書を続けていることみに目を遣った。
本の中に入ってしまっている彼女は智代が入ってきたことなど、もちろん気づいてない。
「おまえの後ろで本を読んでいる人は誰だ?」
「ん? ああ。ことみ」
呼びかけても返事がない。
こういうときどう言えば彼女が『こちらの世界』に戻ってくるのか。
何度も迷路を抜けてきた今の俺は知っている。
「ことみちゃん」
「朋也くん?」
ことみは弾かれたように頭を上げ、不思議なものを見るような目で俺を見つめた。
隣で智代が「ことみ……ちゃん?」と訝しそうに呟く声が聞こえた。
改めて知らされたが――この歳でちゃんづけはかなり恥ずかしいものがある。
「自己紹介しろよ」
俺がそう言うとことみは少しだけ脅えた目でこちらを見て、
そのあと立ち上がり姿勢を正して智代と向かい合った。
「こんにちは。一ノ瀬ことみです」
「坂上智代という。よろしく」
「ひらがなみっつで、ことみ」
「え? ああ。私は『知る』の下に『日』がついた『智』と……」
「呼ぶときはことみちゃん」
「……私のことは呼び捨ててくれていい」
対処に困ったのだろう、智代は助けを乞うような目で俺を見た。
そんな彼女を見てことみも縋るような視線をこちらに向けてきた。
俺は笑いを堪えて2人に手を繋がせた。
「よし。なら今日からおまえらは友だち同士」
「……智代ちゃんとお友だち?」
「え? まあ――それは構わないが」
「決まりだな。こいつ……ちょっと変わってるだろ?
あまり友だちがいないんだ。
だから、良かったら親しくしてやってほしいんだ」
「――分かった。そういうことなら喜んで引き受ける。
一ノ瀬ことみさんか。どこかで聞いたことがある名前だな。
……!
ひょっとして、この人があの一ノ瀬ことみさんか!
全国模試でいつも十指に入るという……」
「そうか。智代も知ってたか。有名人だなことみは」
俺たちが揃ってまじまじと見つめると、
ことみはきょとんとした顔で見つめ返してきた。
「それにしてもおまえたち、授業中なのにどうして図書室にいるんだ?」
「こいつは特別なんだよ。
授業に出なくてもいいことになってるんだ。
何しろ全国レベルの秀才だから」
「名誉図書委員なの」
ことみは誇らしげにそう言って智代に図書室の鍵を差し出した。
プレートの裏にマジックで『ことみ』と書いてあるあの鍵だ。
智代はしばらくそれを観察してから、俺を見て
「おまえはどうなんだ?」と質問してきた。
「え? ああ俺も特別。名誉図書委員」
「嘘をつくな、嘘を」
「智代の方こそ、どうして閉まっている図書室になんか来たんだ?」
「私か。授業が自習になって、
教科書の先の方を読んでいたら調べたいことが出てきてだな。
図書室で資料を探してみようと思ったんだ」
「何に関する資料だよ?」
「原始キリスト教の成立とグノーシス主義の相関についてなのだが――」
それを聞くとことみはすっと本棚の奥に消えた。
そして程なくして数冊の分厚い本を抱えて戻ってきた。
「このご本は『ヨハネによる福音書』を題材として、
初期教父への正統信仰へと発展する思想と、
グノーシス主義者による異端的な再解釈とを対比的に説明したもので――」
ことみは自分が持ってきた資料を逐一智代に説明して聞かせた。
聞き慣れない呪文のような単語が一頻り飛び交った。
俺にはまったく理解できなかったが、
智代は小さく頷いては感心の表情でことみの説明に聞き入っていた。
「――この2冊を読んでみることにする。どうもありがとう。助かった」
役に立つ資料が見つかったらしく、智代はことみに深々と頭を下げた。
……最初はどうなるかと思ったが、二人はいい友だちになれるかも知れない。
密かに感慨を抱く俺の目の前で、ことみはおもむろに弁当の袋を解き始めた。
「朋也くん。お昼にしましょう」
そんなことみの様子を認めて、智代の表情が再び硬くなった。
彼女の次の一言がはっきりと予想できた。
「図書室は飲食禁止のはずだが……」
「あれだ。さっきも言ったようにこいつは特別なんだ」
「おまえはどうなんだ?」
「俺も特別」
「嘘をつくな、嘘を」
俺たちの声など耳に届いていないように、ことみは弁当を広げていった。
「朋也くんと、半分こ」と言いながら、
彼女の分と俺の分の二揃いの箸をケースから取り出した。
「いつも、ここで――二人で食べているのか?」
「いや……いつもというわけじゃない」
昼食の準備を終えたことみは俺たちを見つめ、
少し考えたあと「智代ちゃんも食べる?」と言って首を傾げた。
「今日のお昼は、三人で半分こ」
「三人じゃ半分にならないだろ」
俺が思わず笑うと、ことみは「でも……」と呟いて悲しそうに俯いた。
フォローを入れようと口を開きかけたところで、強い力で腕を引っ張られた。
智代はそのままずるずると俺を図書室の隅まで引きずっていき、
「やっぱり、そういうことなのか?」と囁いた。
「……何の話だ?」
「岡崎は――どうして図書館にことみさんと二人でいて、
一緒に昼食をとったりするんだ?」
額をつき合わせるようにして、いつになく真摯な表情で智代は質問してきた。
「どうしてって……。どうしてだろうな」
本当にどうしてだろう?
別に俺は読書が好きというわけではないし、強いて理由をあげるとすれば――
「……落ち着くからかな」
「落ち着く?」
「ことみといると落ち着くんだ。妙に懐かしい感じがして」
「どきどきしたりはしないのか?」
「何だそれ?」
「いや――何でもない。忘れてくれ」
智代は恥ずかしそうな、けれどもどこか安心したような顔でことみを振り返った。
見れば彼女は床に広げた弁当を前にしてしょんぼりと俯いたままだった。
智代はふっ、と息を漏らした。
さっきとは打って変わって、自信に満ちあふれたいつもの表情に戻った。
「いい天気だから中庭に出ないか?」
「……え?」
ことみが顔をあげた。
智代は二冊の資料が置かれたテーブルに戻り、
「もう少しで昼休みになる」と言った。
「今日は私も弁当を持ってきているから。
中庭に持っていって、そこで一緒に食べよう」
ことみは驚いたような顔をこちらに向けてきた。
俺が頷いて見せると、柔らかな笑顔で「うん」と返事をして、
広げていた弁当をもう一度まとめだした。
昼休みまであと十五分だった。
うまく収拾がついたのでもう一眠りしようと俺はテーブルについた。
だがすぐに教室に帰ると思っていた智代は資料を開いて読み入り始めていた。
「教室に帰るんじゃなかったのか?」
「この時間なら帰るよりここで自習していったほうがいい。
――それとも、私に帰ってほしい理由でもあるのか?」
「いや……。そんなのはないけど」
「なら文句はないな」
智代はそう言うとまた熱心に活字を追いだした。
ことみは既に弁当を片づけ終わり、智代と同じように本の中に入ってしまっている。
俺は小さく溜息をつき、窓の外に広がる中庭の風景を眺めた。
麗らかな春の快晴に既視感を覚えた。
こんな情景を――俺はどこかで見たことがある。
そこであいつのことを思い出した。
坂の下で立ち止まり先に進めないでいた年上の少女。
あいつは今日も中庭に来るだろうか?
そうすれば今日の会食はもっと賑やかなものになるだろう。
暖かい大気の中に、ほんの少し寝入った――
チャイムの音と、隣で誰かが椅子を引く音――
窓の外には、木陰にちょこんと座っているあいつ――
今日、友だちになったばかりの智代とことみ――
それから『あちらの世界』を旅していることみの隣で、
痺れを切らせた智代が駆けこんでくるまで、
俺はしばらくの間、満ち足りた浅い眠りの中にあった。
end
皐月さんへ
ここ見てくださってるか分かりませんが、皐月さんに依頼しております曲は、
この「after」のBGMにと考えています。それで、前スレでは、
・Etude pour les petites spercordes(ことみテーマソング)
・彼女の本気(智代テーマソング)
の2曲について編曲をお願いしましたが、どうもあっちいったりこっちいったり
すると落ち着きがない気もしてきたので、ことみテーマソングの編曲でもって
BGMを通したいと思います。
つまり、智代テーマソングの編曲に関しては依頼の取り下げということになります。
もう取り掛かってしまったとか、作ってしまったということでしたら
連絡いただければ、何らかの形で対処させていただきます。
何か未曾有のオマケだな
イインチョの妄想の方がまだ読めるw
オマケってのはああいうもんでしょ?
本編の1、2割相当分を2,3日で書いちゃう速さがあるなら、
別の枝編でも書いてもらった方がいい。
本編の1〜2割っつーともっととんでもない量になるんだが……。
それにいくら速く書けても最初の2行で読むのが嫌になるようなお話じゃね。
「誰にも負けない」のafterか…お見事。
作業経過
・サウンドモードもボタン化
・イベント時の差分切り替え部をピクセルフェードへ
・オプション等で右クリックすると「戻る」へカーソル移動
誰か他にSS投下する香具師いるの?
漏れも1本寄付しようと思ってたけど、今見たら使用キャラグラ制限あるみたいだし
>>115みたいな一目で読む気が失せるようなレスのつく所に投下するのがなんか勿体なくなった。
Tonksの癖のあるじれったいテキストで綴る悲恋物語と、
荒らしが湧いては住人が庇っていた雰囲気が気に入って出入りしていたのが、遠い昔のことみたいだな。
悲しいこと言わないで、できりゃ書いてほしいな……。
◇sKyOkYkn ◆P9.e4E7Rywさんの書いてくれたものにきつく言ったおれに
そんなこと言う資格あるかわからんけど……。
ぶっちゃけ、おまけシナリオとしてはどうにも使いようがなかったんだ。
一生懸命書いてくれてるのがわかったから余計やりきれなくなって、
なんだかんだでブレーキかけるつもりで辛辣なレスをつけたんだと思う。
あと「スメールを脱出しえたのは3人のみ」という前提が崩れているのが辛かった。
自分の書いたものに二次創作がつくなんて今までなかったから、
「ここだけは譲れない」ってものが胸の中でむらむら燃え上がって
感情的になったのかも知れん。それは書き手を募った者として恥ずべきことだ。
ただつまらないと思ったのも事実だ。だからそうレスをつけた。
たしかにかばってくれる人はいたけど、裏を返せばおれの書いたものを
つまらんだのくそなどだの言ってくれる人もいたわけで、
それが葉鍵でものを作ることなんだと思って今日までやってきた。
せっかく書いてくれてるんだから率直な感想をつけるのが礼儀だと思ったし。
まだSS投下してくれる人がいるかわからんけど、新しい作品が投下されて、
それを読んでつまらんと思ったらおれはやっぱりつまらんと言うと思う。
逆に自分の書いたものを読んでつまらんという感想ならそう言ってほしい。
おれの理解に間違いがなければここはずっとそういう場所だったよ。
だからおれはおれで最後まで自分の流儀を通させてもらう。気を悪くしたらごめん。
121 :
ヨリタケ:04/07/20 21:50 ID:XS0Y0Sjf
122 :
ヨリタケ:04/07/20 21:53 ID:XS0Y0Sjf
芋焼酎の今ハヤリの飲み方。
1、焼酎を燗にしてから、水で割る
2、一度冷蔵庫で凍らせてから解かして飲む。
3、水と混ぜて、よく振ってから飲む。
さあどれだ!
そして俺は冷酒と梅酒意外飲めない。苦くて。
123 :
115:04/07/20 22:17 ID:cQG2/7eE
ごめん…言い過ぎた。外からも人が来てるってこと忘れてた。
>>121 nagisa_ev1gの唇いいな。エロい。
早苗さんのエロ絵一枚でいいから描いて欲しいが、だめかー。
でもお疲れさん。あんたの絵が入ったネタナドやるのが楽しみだ。
何処が言い過ぎなんだ。
>115のレスくらいで投下する気が失せる奴なんぞ放っとけ。
>>62 解りました。
あと十日足らずですね…頑張りましょう。
「もう……。そんなこといいよ。ね? 一緒になろ?」
早苗さんはそう呟いて俺の性器に指をのばした。
既に先端からにじみ出ていた液体を優しく塗り広げてゆく。
堪えきれずに快楽の呻きを漏らした。
彼女の指先が動くたびに脊髄が焼け爛れてゆくのが分かった。
脳からはひっきりなしに一つの命令が送られてくる。
目の前にいる女と交合せよ、と。
それは甘美な……抗いがたい誘惑だった。
右手で俺に触れたまま早苗さんはジーンズを脚から抜いた。
そして潤みきった目で俺を見た。
その目は何も――俺さえも映していなかった。
A.早苗さんを抱くことはできない
B.この人は可哀相な人だ
>127の選択肢でA.を選んだ場合→メインルート(振り切って屋上へ)
以下、B.を選んだ場合→早苗BAD ENDルート
***********************************************************
――この人は可哀相な人だ。
俺の目の前にいるこの人は今や性交して子供を生み落とすだけの家畜で、
それさえも叶わず身悶え苦しんでいる。
身を焼き尽くすような性欲の中に、縁まで瞳孔が開ききった瞳で俺を見つめている。
「朋也……ちゃん。ね? ……助けて」
早苗さんの目から一筋の涙が頬を伝った。
それが何のための涙か――何を思って流された涙か分からなかった。
遠い日の記憶。まだ俺たちがあの町にいた頃、
ふらりと訪れたパン屋で迎えてくれた無邪気で朗らかな早苗さんの笑顔が蘇った。
その笑顔は……俺のせいで失われた。
彼女を彼女たらしめていた暖かな家庭は、
俺の逃亡の贖(あがな)いとして破壊された。
「ほんのちょっとでいいから……。ね?
我が儘を言って、朋也ちゃんを困らせたりしないから……」
――夜までにはまだ時間がある。
甘く危険な誘惑の声が再び頭に響いた。
逡巡している俺を見て早苗さんはセーターを捲り上げ、
慣れた手つきでブラジャーを外した。
少し形の崩れかけた、けれども十分に美しい乳房が露わにされた。
「朋也ちゃん……。私のおっぱい、吸って」
ヨリタケへ
すまんが今朝はここまでしか書けなかった。
できれば今日中、遅くとも明日の朝までには仕上げる。
セーター半脱ぎのまま他の着衣は全て取り去った騎乗位の絵をお願いしたい。
若干上から覆い被さるような感じで、扇情的に。
以前に指を絡め合う云々について説明したけれど、
前戯にもその絵を流用したいので、指とか手とか出さないほうがいいかも。
今日投下したシーンや、互いの性器をいじりあっているシーンに
使っても違和感ないように描いてくれると嬉しい。
>>114 別の枝編なんぞ書かれたら、それこそ大迷惑だと思うが…
131 :
紫の人:04/07/21 12:40 ID:MsEeVwRS
何故だろう。紫の絵はとてももどかしい。
下手じゃない気がするが、絶対上手くない。
どこかが明らかにおかしい。
133 :
皐月龍斗:04/07/21 15:39 ID:+wwlrOpE
どうも皐月です。
Etude pour les petites spercordes(ことみテーマソング)の
アレンジが完成しました。
ttp://www.mirage-of-key.com/Etude.lzh こんな感じでいかがでしょうか?
このアレンジはあんまり原曲と変わらないのでパン(音の左右)で色々遊んで見ました。
カラカラという音があっちこっちから聞こえると思います。
この曲はループ用に作ってあります。
そのためイントロが少しさびしいかもしれませんがループさせて聞いてみてください。
少しはマシに聞こえるかもしれません。
自分なりには本家本元のCLANADのイメージで作ったつもりです。
しかし本家本元は元気のある曲のため微妙にネタナド風にアレンジしました。
もし駄目の場合は返信をよろしくお願いします。
感想を書いてくれる方がいましたらうれしいです。
134 :
皐月龍斗:04/07/21 15:42 ID:+wwlrOpE
CLANAD→CLANNADです。
分かるとは思いますが・・・
135 :
紫の人:04/07/21 17:49 ID:MsEeVwRS
>135
漢智代に注文一点。眉。ここでは既に覚悟完了している。
凛として迷いのない、意志を秘めた眉&表情でお願い。
>133
微妙に気怠い感じがテキストにマッチしとるように感じた。
俺はこれでいいと思うんだがどうだろうな。
早苗さんのエロシーンなかなか進みません。
ヨリタケ君に「え? ネタナドってエロゲーだったの?」
と言われて歯噛みしたのは記憶に新しいところです。
♪誰か僕に僕に エロ文の 綴りかた教えてよ〜。
Afterはどこから入るようにするんですか?
・Extraの中
・トップメニューから(クリア→トップ→Startの下かExtraの下にぼわぁ〜と表示)
・Start→選択
>>琉球さん
良いと思いますよ。
原曲の雰囲気を残しつつ、ほんの少し暗めな感じが合ってるかと。
Extraに「ADD SCENARIO」の項目を設けて、
他のおまけシナリオと並列で、と考えていたのだが。
afterだけ独立させるのもいいが、そうするとおまけ3本は欲しいなあ。
ここんとこのスレの流れからしてそれだけの本数は集まりそうにないが……。
あと琉球さんはまだで、曲うpしてくれたのは皐月さんですぜ?
3本は……。
>皐月さん
申し訳ありませんでした。
暫定的にafterだけ独立させるほうでやっといてけれ。
投稿がないようならおれがルドルフのに加えて残り2本書き下ろすよ。
つまり「Extraの下に表示」でおねがい。連レスすまん。
142 :
紫の人:04/07/22 00:00 ID:zCVnzRnS
ヨリタケ先生に補助線の弾き方を教わってたので
渚エンドのイベグラ線画は間に合いませんでした。
おそらく今月の休みはあと2日あるので
10時間労働の日が少なければなんとか間に合うかと…
来週のシフトは大丈夫だろうか…
ああああああ
143 :
ヨリタケ:04/07/22 00:05 ID:VjQeRurR
↑
苦痛に耐えてよく頑張った!感動した!
>128の続き
**************************************************
初めてここを訪れ、彼女が赤ん坊に母乳を飲ませているのを見たときのように
――いや、あのときとは比べものにならないほど激しい欲情を覚えた。
それでも俺は躊躇した。
ぎこちなく後ずさりをして早苗さんから離れようとした。
彼女はそんな俺を逃すまいと「えいっ!」というかけ声と共に飛びかかり、
俺の頭をその胸にかき抱いた。
「ねえ……吸って? 朋也ちゃん……」
暖かく柔らかい谷間に顔を埋めたまま、俺は鼻から息を吸いこんだ。
噎せ返るような女の匂いが鼻孔から脊髄を抜け、全身の血液に溶けていった。
――そこで理性は弾けた。
俺は早苗さんの背中に腕をまわし、
飢えた野犬が肉のわずかに残った骨にむしゃぶりつくように、
どちらの胸のものか分からない乳首に吸いついた。
「あん……ああ。朋也……ちゃん」
早苗さんの指が俺に触れた。
さっきと同じように先端から滲み出た液体をすくいとり、
触れるか触れないか分からない優しい指づかいでそれを塗り広げてゆく。
145 :
ヨリタケ:04/07/22 00:26 ID:VjQeRurR
http://netannad.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20040721214408.jpg 相当一生懸命描いた絵!
いままでで一番いっしょうけんめいとゆっても過言であるまい。
しかし!メタセコ(3Dソフト)のキャプチャ画面を下絵に使って見た結果!
パースがなんかクルッとる。
なんじゃそりゃあ!?3Dソフトのキャプチャ使ってなんでパースが狂うんだよ!?
そう言うモンなんだヨ!ファッキン。死ね、死ね。
いや、どうなんだ?
おいらのソフト、OC3+には、パース変形機能がないので、こういう作業に全くむいてない!
格子柄をサクっと変形させてー、てな真似が出来ぬ。アホか。
次のバージョンにはサスガにつく、つけ、つかないワケがないので大丈夫。
だから今は寝る。
OC3のフォトショに対するアドバンテージは「安い」「バカでも使える」「ALT回転表示」など。
それ以外は蹴っ飛ばしたくなるようなアレなのだ。
不覚にも喘ぎ声が漏れた。
早苗さんの指は信じられないほど巧みに俺の弱い部分を探りあて、
反応を確かめてはそこばかりを攻め立てた。
負けまいと早苗さんの性器に手を伸ばした。
そこはもうどうしようもないほどにどろどろだった。
涙さえ流して頻りに訴えている通り、
彼女はこの中に俺を収めたくて堪らないでいるのだ。
ちょうど俺が彼女の中に入りたくて堪らないでいるように……。
胸の谷間から頭をあげ、早苗さんと見つめ合った。
彼女は唇の端からだらしなく涎を垂らし、
切れ切れに快楽の溜息を零していた。
そうして見つめ合いながらも、俺たちは互いの性器を弄び続けた。
「朋也……ちゃん。気持ちいい……」
くぐもった声でそう呟くと、
早苗さんは唇を開いて小さく舌を突き出して見せた。
ついばむようにして俺はその舌を口に含んだ。
もう何も考えられないまま唾液を交換し合い、舌を舐め合い
――そうしているうちに早苗さんはゆっくりと腰をもたげ、
痛いほどそそり立った俺のペニスを呑みこんだ……。
「あ……あん。……ああああん」
147 :
ヨリタケ:04/07/22 00:29 ID:VjQeRurR
ソレでも別れられぬ古女房のなんとやら。
しっぽりと。
>146
絶妙のタイミングでインターラプトいれんじゃねえよ!
もう眠くてかなわん。残りは明日の朝だ。
寝起きにエロテキスト書く――あの苦しみをもう一度。
149 :
皐月龍斗:04/07/22 00:38 ID:FVrOpQ0s
こんなアレンジでよかったんでしょうか?
>135
確かにこの曲は少し暗いかもしれません。
けど自分なりにはシナリオとあわせてみたつもりですが・・・
もし他の人たちがリミックスを希望する場合はしますので
意見をよろしくお願いします。
それと曲はどこの提出すればいいんですか?
この掲示板でいいのかなぁ?
えーと、質問なんですが…
・投稿途中に途中でアクセス規制になったりしてご迷惑にならないように、
完成テキストのリンクだけをこちらに張らせていただくのでもいいですか?
・ネコにどこかで迷いが生じていた(まさか二重(三重?)スパイだった?)というのは、
作者様の設定に反しますか?
なんかいろいろ騒がしくなってるなw
>150
完成テキストのリンクを張る投稿方法はまったく問題ありません。
カルマの迷いについては具体的なところがわからないとなんとも言えないのですが、
猜疑心旺盛な猫なので、一度や二度は十賢者を疑ったかも知れません。
もっともそれは親を疑うようなことなので、カルマにはどうしようもないのですが。
>149
曲の提出というのが「ファイルの受け渡し」だとすればもう済んどります。
要はおれらがファイルをダウンロードできればいいので。それとも何か別のことかな。
早苗さんの中に入ったとき、
全身の神経がペニスから伸びだしてゆくのを感じた。
その神経はぬめらかな粘膜から触手のように侵入し、
彼女の身体を走る神経と絡み合った。
「すごく……。すごく美味しいよ? 朋也ちゃんの……」
たおやかな裸身を俺の上でぶるぶると震わせながら、
早苗さんは巧みに腰を回転させた。
速すぎず、決して遅くもないその律動は、
俺の中心に今まで感じたことがない種類の快楽をもたらした。
――これが交尾なのだと思った。
もはや目の前の女は本能に従順な一匹の獣に過ぎなかった。
言葉を成さない呻き声をあげ、涙と涎を絶え間なく流しながら、
俺という雄と交じり合うただの雌になり果てていた。
「あん……あん。あ……。もう、私……いく。いくいくいく」
早苗さんは俺の両肩に爪を立て、
上体をのけぞらせて腰の動きを小刻みなものに変えた。
彼女が呼吸を止めて身体を痙攣させるのと、
俺のペニスが大量の精液を吐き出すのとが同時だった。
早苗さんの腹の奥深く――淫らにぬめる穴の中に勢いよく射精を続けた。
半開きの唇がひゅっと息を吸いこむ音が聞こえた。
そうして彼女は再び腰を動かし始め……
俺の意識は真っ暗な闇の中に落ちていった。――
目覚めるとすでに明け方だった。
乾いた朝の光がブラインドの隙間から部屋に染みこんでいた。
こちらに背中を向けて、汗まみれの女が毛布も羽織らず寝息を立てていた。
思わず笑いが零れた。
俺は残酷な絡繰りをはっきりと理解した――これで帳尻が合ったのだ。
俺は自分の欲望のために早苗さんから全てを奪った。
そして彼女もまた同じように自分の欲望のために……。
俺はその先を考えなかった。
その先にあるものを考えることができなかった。
早苗さんが目を覚ましたらまた何回でも犯せばいい。
温かく溶けたヴァギナにペニスを挿し入れ、
粘膜を擦り合わせて彼女を悦ばせればいい。
今の俺にとってはそれが全てで――他のことは何も考えなくていい。
緩慢に日が高くなってゆく中で、
自分が夜の海原に漂っているのだという幻覚に襲われた。
月も星もない夜空と、どこまでも広がる凪いだ黒い海。
そのただ中にあって――俺はもうどこへも行けない。
沈んでゆくことしかできない。
小鳥のさえずる声が聞こえた。
隣で女が気怠げに呻いて寝返りを打った。
俺は彼女に向きなおり、その豊かな胸に顔を埋めて
……名残を惜しむように、少しだけ泣いた。
end
絶対に落とせない専門の試験のために徹夜して、
あと一時間で家を出ないと間に合わないってところで猛烈な睡魔に襲われて、
「よし一時間だけな」と目覚まし時計もかけずに寝ちまうような、
そんな弱さを誰もが心に持っていると思うのです。
……ごめん朋也。そして二人。