うたわれるものの世界に葉鍵キャラがいたら

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1名無しさんだよもん
―――目を覚ますとそこは完全な「異世界」だった。

逆は良く語られるが、もしも逆に現代で過ごしていたキャラ達が、
「うたわれるもの」の世界に現れたらどうなるだろうか。
辺りを見回せば耳や尻尾のある人々、電気もガスも無く、……そして戦争。

現代に帰る方法を必死に探す人。
全てを忘れて、その世界でまたーりと暮らす人。
進んで戦いを求める人、止めようとする人。

―――そんな彼らを語るスレ。
2名無しさんだよもん:04/06/25 15:40 ID:ybODk1s/
2(σ・∀・)σゲッツ!!
3名無しさんだよもん:04/06/25 15:42 ID:iKhyZvrh
存在しません
4名無しさんだよもん:04/06/25 15:46 ID:5JAFmcDL
まこぴー
5名無しさんだよもん:04/06/25 15:54 ID:P4rg7Zvq
もしうたわれるものの世界に自衛隊がタイムスリップしたら
6名無しさんだよもん:04/06/25 16:07 ID:UbYQYDnn
もしうたわれるものの世界にエルルゥがいたら
7名無しさんだよもん:04/06/25 16:11 ID:raynf881
もしうたわれるものの世界にヌワンギが甦ったら
8名無しさんだよもん:04/06/25 17:37 ID:Ue+elwHk
スパロボα外伝?
9名無しさんだよもん:04/06/25 18:23 ID:QZqfY1Gt
ライブアライブ最終編?
10名無しさんだよもん:04/06/25 18:42 ID:wBmv++bE
>>5
燃料も弾薬もないので戦略的には絶対負けてしまいますけど。
11名無しさんだよもん:04/06/25 18:45 ID:CJuJpuMt
>10
戦国自衛隊
12名無しさんだよもん:04/06/25 18:53 ID:BjKkJiAp
>>10
想像力の狭い奴だな。うたわれるものの世界を征服しようスレじゃないんだぞ。
13名無しさんだよもん:04/06/25 19:06 ID:NUNV7quC
戦国の長島巨人軍
14名無しさんだよもん:04/06/25 21:21 ID:ewxFqA3N
永遠のアセリア駄スレ
15名無しさんだよもん:04/06/25 21:25 ID:+XkqjVM8
御堂がササンテに協力すれば歴史は変わっていた
16名無しさんだよもん:04/06/25 22:22 ID:wKFKJJwb
何だこの駄レスの数々は…
17名無しさんだよもん:04/06/25 22:25 ID:n7nolyBj
適当に妄想してみたけど、投下していい?
18名無しさんだよもん:04/06/25 22:31 ID:BvFe3ON0
許す。
19名無しさんだよもん:04/06/25 22:31 ID:sOrprFGM
OK、しのぶ
20名無しさんだよもん:04/06/25 22:34 ID:n7nolyBj
―――目が覚める。
辺りを見回すと薄暗い部屋。時代がかった屋敷のように見える。
ろうそくが闇の中に小さな明かりを点している。

(ここは、どこだ?)
「気が付かれましたか?」
「―――俺はどうしたんだ?何でこんなとこに寝ている?」
「あなたは、近くの森の中に倒れていたのですよ。」
祐一「そうか…名前を言ってなかったよな。俺は相沢祐一。そっちの名前は?」
エルルゥ「私の名前はエルルゥと申します…もう大分良いみたいですね。」
祐一「ああ、よく分からないけど看病して貰ったみたいだな。すまん。」
エルルゥ「いえいえ。これが私の仕事ですから気にしないで下さい。」
祐一(……何だろうか、彼女の顔を見ると違和感が…っ!)
祐一「―――そ、その耳は何だよ!」
エルルゥ「あ…そうでしたね。あなたは…」
祐一「こんな時にコスプレかよ…って、ちょっと待て!ここは、ここは一体どうなってるんだ。」
エルルゥ「あ、待って―――。」
彼女の静止を無視して祐一は立ち上がり、部屋を出て行こうとする。そして……
祐一「何だ―――何だこれ!一体どうなってるんだよ!!」

外に広がるのは…まるでTVで見るような、遥か過去の風景。それはトゥスクル城の日常の光景。
エルルゥ「ごめんなさい。でもあなた方はどうやら、遠い…遠いところからやってきたみたいです。
      分かっているのはそれだけです。力になれなくてごめんなさい…」
祐一「訳がわからない……はは、は、悪い夢だよな。」
エルルゥ「……。」
祐一「……おい、黙ってないで何か言ってくれ!じょ、冗談だろ!」
祐一(くそ、何で…何も思い出せないんだ。どうやってここに来たんだ俺は?)
エルルゥ「この国迷い込んできた人達。―――私達が『迷人』と呼ぶ人達はみんなここに来る前の記憶を無くしています。」
祐一「どういうこと…っ!あ、あんた今『人達』って言ったな!俺以外にもいるのか!」
21名無しさんだよもん:04/06/25 22:35 ID:n7nolyBj
祐一はギュッとエルルゥの肩を掴む。
エルルゥ「っ!い、痛いです。」
祐一「あっ、興奮しすぎたみたいだ。すまない。」
エルルゥ「いえ、自分の居場所を失う事は…さびしいことですから。」
祐一「で、ここに来たのは俺だけじゃないんだな。」
エルルゥ「はい、祐一さんのような…明らかに私達とは違う人々が、ここ最近頻繁に各地に現れていて…」
男「そして、その全ての人々はあなたと同じ状態でした。」
祐一「ん、あんたは誰だ?」
ベナウィ「申遅れました。私はベナウィ。トゥスクル国の侍大将を務めているものです。」
祐一「そうか…で、その俺に似た人達はどこに?
エルルゥ「たぶん、城下町にいると思いますが、もう少し休んでいかれたらどうですか?」
祐一「いや、すまない。少しでも早く俺がここに『迷い込んだ』理由が知りたいんだ。」
ベナウィ「そうですか…分かりました。もし何かありましたら、またここに戻ってきなさい。聖上はあなた方には寛大ですから。」
祐一「何から何まで助かる。エルルゥ…だったか?助けてくれてありがとう。」
エルルゥ「いえいえ、お知りあいと会える事を祈ってます。」
祐一は立ち去る。

ベナウィ「また、一人―――ですか。」
エルルゥ「ベナウィさんも大変ですね。うーんまだ増えつづけるんでしょうか?」
ベナウィ「分かりません。が、彼等は一体何者なんでしょう……」


こんな感じか?
22名無しさんだよもん:04/06/25 22:49 ID:fg01RE19
つーか、結城心一の「うたわれ痕こみっくHeart」にそーいう作品載ってるじゃん……
って、それは言わないお約束ですかですかですか?
23名無しさんだよもん:04/06/25 22:56 ID:n7nolyBj
まじかよ!
24名無しさんだよもん:04/06/25 23:00 ID:fg01RE19
「はっぱ刻を越えて」つー作品。
柏木四姉妹、芹香、いいんちょ、千紗の7名がうたわれ世界に飛ばされてくるという……
ちなみに原因はカミュが使った転移術。
25名無しさんだよもん:04/06/25 23:01 ID:n7nolyBj
( ・∀・)つ〃∩ ヘェー
26名無しさんだよもん:04/06/25 23:09 ID:Xq0kQ+QA
痕キャラが大暴れしても違和感無さそうだな
27名無しさんだよもん:04/06/25 23:14 ID:SS3W4jjh
アイスマンがアイス食ってる。もちろんガリガリ君。
28名無しさんだよもん:04/06/25 23:15 ID:Z+Yr2tp/
聖戦士スレ?
29名無しさんだよもん:04/06/25 23:24 ID:n7nolyBj
葉鍵板って末期だよね。
何となくな。
30名無しさんだよもん:04/06/25 23:26 ID:/TJx2QSL
うたわれの世界に飛ばされても全く違和感のないキャラもいる。
たまとか神奈とか。
31名無しさんだよもん:04/06/25 23:28 ID:n7nolyBj
>>14
永遠のアセリアっていえばあれだ。うる覚えだけど↓

トゥスクル国とクンネカムン国との戦場。
二人の男が対峙する。

朋也「す、春原…お前なんで!」
春原「岡崎かよ!…ごめんよ。実は椋が人質に取られていてよぉ。僕はどうでもいいんだけどって…ひぃぃ。」
一瞬どこから見つめているのだろうか、冷たい視線に見つめられる。
朋也「……なるほど、杏だな。杏に脅されているんだろう!」
春原「っ…言わなくても分かるだろう。だから僕は……僕の為に朋也。お前を倒さないといけない!」
朋也「そうか、俺はお前と戦いたくないんだが。くそっ。『仕方が無いよな』。」
春原「いやっ!ちょっと待て、お前言ってることと殺気の出方が違うだろ。」
朋也「すまない。春原。俺の道を進むには手を汚すしかないんだ…」
春原「っ!あんた本気ですね!ま、待て、ちょっと待っててば。ひぃぃぃぃぃぃ」
虫けらのように踏み潰される春原。

朋也「―――春原!!大丈夫か!」
春原「ああ、これぐらい大丈夫。ぐふっ。ってあんた本気だっただろ!」
朋也「すまない、春原。俺は杏と椋を救いに行かないといけない。」
春原「……行ってこいよ岡崎。僕は何とかなるから。」
朋也「ああ、後で迎えに来るからじっとしているんだぞ。」
春原「……多分大丈夫だ。」
戦場を去る朋也。

春原「っ、僕としたことがどじっちゃったよ。―――朋也……おまえは…しぬ…な…よ。ガクリ。」
春原はここに眠る。彼の戦いはここに終わっ



春原「って、僕死ぬの早すぎですよね!」
彼の苦難はまだ続く。
32名無しさんだよもん:04/06/25 23:50 ID:RTCLslUw
というかSS作るにしてもお題が難しすぎるんだYO!!
33名無しさんだよもん:04/06/25 23:51 ID:Y2J66MsK
つまんね
34名無しさんだよもん:04/06/25 23:54 ID:6O3es77Q
耕一や宗一だと、能力全開のお約束展開が待ってる気がする。
35名無しさんだよもん:04/06/25 23:55 ID:eDhs6X5n
チチウシヤムカイとナイチチヤムカイの間で戦争勃発!
36名無しさんだよもん:04/06/25 23:58 ID:n7nolyBj
リレーSSを狙ってるとしたら、こんなむずい題材はねぇな。
またーり妄想するか…

柳川とか、御堂とか、悪役系はニウェの国シケリペチムに降り立ったら
凄いことになりそうだな。
37名無しさんだよもん:04/06/26 00:16 ID:17N5GtuY
柳川はちょっと違う。
38名無しさんだよもん:04/06/26 00:17 ID:5jDE7HU8
…いや、俺も書いた後見直してそう思ったw
39名無しさんだよもん:04/06/26 00:46 ID:5jDE7HU8
トゥスクル城外にある、庭の木の下……

はるか「…ん、よく寝た。あれ?」
アルルゥ「じ〜〜」
はるか「尻尾?」
アルルゥ「びくっ!………じ〜〜」
はるか「……おいで。怖くないから。」
アルルゥ「こくり…おねえちゃん…んふ〜♪」
はるか「よしよし…えっと…ここはどこだろう?」
アルルゥ「……おねえちゃんも迷ったの?」
はるか「迷う?……よく分からないけどそうなのかな。」
アルルゥ「ん、おねえちゃんみたいな人、たくさんきてる。」
はるか「へぇ〜、この国の名前は?」
アルルゥ「トゥスクル。おと〜さんがおうさまのくに。」
はるか「聞いた事ないなぁ。でも……ここは暖かいね。」
アルルゥ「ん、お気に入りのばしょ。」
はるか「えっと、お名前は?」
アルルゥ「アルルゥ。おねえちゃんは?」
はるか「私?私は河島はるか。」
アルルゥ「はるか…おねえちゃん。ギュッ」
はるか「……アルちゃんどうしたの?」
アルルゥ「おねえちゃん、さびしくないの?」
はるか「ん〜、どうでもいいかな。ここは気持ち良いし。なでなで。」
アルルゥ「ん〜♪」
はるか(良く分からないけど…分からないことは後回し。)
アルルゥ「すーすー」
はるか「ふふふ、何だか分からないけど、こういうのもいいかも。」
はるか(寝よ…おやすみ…)
40名無しさんだよもん:04/06/26 01:25 ID:DGn1rbko
まごうことなき、またーりだな。
ほとんどのやつの第一印象は戦争スレみたいだがなここは。
41名無しさんだよもん:04/06/26 06:55 ID:fASeau1h
題材的には面白そうだけどSS書く能力が無いと言う無念
42名無しさんだよもん:04/06/26 10:45 ID:u9nWQ6vj
こぴぺ

95 名前:名無しさんだよもん[sage] 投稿日:04/06/19 22:35 ID:y07/Lh4h
ネタといってもあっちのスレの国崎inうたわれか?

観鈴のそばにいることを願った国崎。
しかし気づいた時に隣にいた人物は背に羽を持つ青年。
自分のことをディーと名乗った。
観鈴のいない、未知の世界にいることを苦悩する国崎。
そのそばでディーは、国崎のいた世界に興味を持つ。
ディーの教え子である、明るいけれど、なぜかそばに友達のいない、黒い翼を持つ少女。
その少女の笑顔のそばで、国崎は安らぎを感じ始めた。
ある日、国崎はディーから過去に戻ることができるかもしれないという話を聞く。
その夜、二人は、足を踏み入れた。オンカミヤムカイの深奥へと。

〜あやつれるもの〜
43名無しさんだよもん:04/06/26 10:47 ID:u9nWQ6vj
The 10,000th summer とか
44名無しさんだよもん:04/06/26 11:53 ID:Do5HW0s0
法術対決
45名無しさんだよもん:04/06/26 15:02 ID:xS4G8TC0
>>95
誰か言うと思った。
あのスレでも、その題材は難しいんじゃないのって言ってるな。
46名無しさんだよもん:04/06/26 15:45 ID:Ps6EZBRh
未だに空に封印されている神奈。・゚・(ノД`)・゚・。
47名無しさんだよもん:04/06/26 17:16 ID:sz6wrr2H
存在しません
48名無しさんだよもん:04/06/26 17:38 ID:ZsGi9eVV
存在しません
49名無しさんだよもん:04/06/26 18:00 ID:kMvuASGz
想像力の狭い奴だな。
50名無しさんだよもん:04/06/26 18:01 ID:ZsGi9eVV
存在しません
51名無しさんだよもん:04/06/26 22:06 ID:yjbeX7BC
    ∧∧
    (,/⌒ヽ、
    ,/     ヽ
   (____)


    ∧∧
    (Д゚,/⌒ 、
    ,/     ヽ
    (____)


   ∧∧
   (ДT/ヽ、
   ,/     ヽ
  (____)


     /|| ̄ ̄|| ∧∧
 ∫  l ||__||(,/⌒ヽ、
 旦 [l | ,,― とノ   ヽ
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(____)



  ∧∧/ ⌒ヽ、
  (  ( .:::::::::::::::)
    ̄ ̄ ̄ ̄
52名無しさんだよもん:04/06/26 22:41 ID:COIsUgmJ
存在しないものは存在しません
53名無しさんだよもん:04/06/26 22:44 ID:mgJTbalR
うたわれるものの世界にデジコがいたら
54名無しさんだよもん:04/06/26 22:47 ID:ZsGi9eVV
存在しないものは存在しません
55名無しさんだよもん:04/06/26 22:47 ID:qGipsHRs
真面目にネタに乗ってる奴が可哀想な流れだな
おのれ朝鮮半島。
56名無しさんだよもん:04/06/26 23:04 ID:ho/GJkEN
とりあえず、耕一や宗一とかがトゥスクル陣営なら
歴史変わりそうだな…
そんなのを語るスレか?
57名無しさんだよもん:04/06/26 23:06 ID:ZsGi9eVV
存在しません
58名無しさんだよもん:04/06/26 23:09 ID:cDlVdiV4
おまえらちょっとおちつけよ、
完投して喜ぶのが野茂、浣腸して喜ぶのがホモ。
打たれるのを嫌がるのが野茂、打たれるのを喜ぶのがホモ。
野茂はホモを狙わないが、ホモは野茂を狙うことがある。
好プレーするのが野茂、チンプレーするのがホモ。
家族でたのしく見るのが野茂のプレー、家族で楽しく見れないのがホモのプレー。
お尻を見せて球を投げるのが野茂、お尻を見せて球を揺らすのがホモ
アメリカで観戦するのが野茂、アメリカで感染するのがホモ。
野茂は講演に行くが、ホモは公園に行く。
タマを投げてチームを守るが野茂、タマを触って彼を攻めるのがホモ。
野茂はバーモントカレーが好きらしいが、ホモはバーの元彼が好きらしい。
野茂はお尻を向けて投げるが、ホモはお尻を向けて誘う。
野茂のプレーは素晴らしいが、ホモのプレーは凄いらしい。


59名無しさんだよもん:04/06/26 23:10 ID:ZsGi9eVV
存在しません
60名無しさんだよもん:04/06/26 23:11 ID:pXbM4w3Y
ZsGi9eVVはスクリプト




たぶんね。
61名無しさんだよもん:04/06/26 23:13 ID:wI5IJn6f
メギドの炎
62名無しさんだよもん:04/06/26 23:13 ID:ZsGi9eVV
存在しません
63名無しさんだよもん:04/06/26 23:15 ID:wI5IJn6f
もう一度
64名無しさんだよもん:04/06/26 23:16 ID:ZsGi9eVV
メキドの炎
65名無しさんだよもん:04/06/26 23:17 ID:pXbM4w3Y
ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!
66名無しさんだよもん:04/06/26 23:40 ID:BLODSqDz
留多炎
67名無しさんだよもん:04/06/26 23:41 ID:ZsGi9eVV
存在しません
68名無しさんだよもん:04/06/26 23:42 ID:pXbM4w3Y
ZsGi9eVV
69名無しさんだよもん:04/06/26 23:43 ID:ZsGi9eVV
存在しますん
70名無しさんだよもん:04/06/27 01:30 ID:Ur/TMCzE
キモいなZsGi9eVV
死ねよ
71名無しさんだよもん:04/06/27 01:39 ID:dX+PZMBr
重複だな。

Leaf「うたわれるもの」アルあそ!! 発売中!!Part27
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1083247744/
72名無しさんだよもん:04/06/27 01:41 ID:LqlAga/J
すげ。まだ誘導厨なんて基地外がいたんだ。
73名無しさんだよもん:04/06/27 01:49 ID:wqU5Rmmx
1ぐらい読んでくれよ。
74名無しさんだよもん:04/06/27 02:02 ID:Ur/TMCzE
361 名前:  投稿日:04/06/27 01:41 HOST:61.50.172.143
削除対象アドレス:
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1088145530/
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1088188556/
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1088255293/
削除理由・詳細・その他:
重複

leaf:Leaf・key[スレッド削除]
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku/1073492932/

で抗議を。
75名無しさんだよもん:04/06/27 10:07 ID:JuFSWNFY
なぁ、もしコレやるとしたらリレーSS的なものをやりたいのか、
それとも学園スレみたいな感じの会話主体のSSやシュチュエーションを楽しむのか、
>>1はどっちがしたかったんだ?

スマン、何か投下する勇気が無いんだ。
761:04/06/27 16:14 ID:wqU5Rmmx
後者。もう葉鍵板には職人がいないから書きやすくないとな。
なるべく語れそうなネタを振ったんだが…ダメか_| ̄|○
77名無しさんだよもん:04/06/27 18:37 ID:YqXqJKSH
そうでもないよ
78名無しさんだよもん:04/06/27 19:26 ID:KyCpiTpb
>>1は最初にちゃんとした方向性を作らなかったのが悪かったな
791:04/06/27 19:30 ID:wqU5Rmmx
ヽ(`Д´)ノ ソンナコトイワレテモヨォ
801:04/06/28 01:47 ID:uXZYh9qG
まぁ、遅いだろうけどとりあえず俺の思ってた方向性を書いときます。

時期設定は曖昧でまぁ、物語終盤、大体トゥスクルとクンネカムンが対立する辺りかねぇ。

トゥスクル国とクンネカムン国の緊張が高まる中、それは突然訪れる。
突然各地に異人達が現れ始めたのだ。
トゥスクル国に留まらず、この世界に次々と現れる。
高度な文明、知識、不思議な力、そして意思を持つ人々。
彼らが現れたことでこの世界はどう動くのだろうか。

↑みたいなうたわれIFが見たかったんだがな。
…かなり厨ぽい設定だが、それぐらいの方が良くないか?
お堅いルールばっかりよりもこんな感じの方がいいかなと。

一般人はまたーりうたわれのキャラとだべらせたり。
傭兵(生活あるいはハクオロ達に共感)として戦いに参加して、元の世界とのギャップをシリアスに書いたりな。
一般人は一兵卒でもいいじゃん、書き手が望んでるのはそんな「生と死の境目、一瞬の輝き」みたいだし。

そして話を続けていたら気づいたら物語が進んでいたと。
元の世界に戻る方法が判明するとか。

まぁ、やっぱ題材難しいかねぇ。
81名無しさんだよもん:04/06/28 03:33 ID:C1kA7pUs
何か見下してる感が>1の文章の端々から感じられてムカツク。
82名無しさんだよもん:04/06/28 03:41 ID:uXZYh9qG
すまんなぁ。
こういうものってみんなの意見で成り立つものだから
なるべく書きたくなかったんだ。

不快に思ったのなら申し訳無いとしか言えない。
83『ふたり。』前半:04/06/28 20:23 ID:q4q5YIr3
二人は考えている。過去の事。今の事。そして未来の事。

トゥスクルでもっとも賑やかな大通りの道端。黒シャツを着た目付きの悪い男が険しい表情をしている。
隣には綺麗な金髪の女の子。どこか心細い、今にも泣き始めそうな…そんな表情をしている。
そんな彼女の肩には何故か一羽のカラスが止まっていた。
町を行く人々には違和感があったのだろうか、彼らを見やると一瞬怪訝な表情をしては…そそくさと去っていく。
というのも彼らにはこの世界の住人としての特徴、ふさふさとした耳と、そして尻尾が無いからである。
そもそも彼らの服装は明らかにこの世界のそれとは異なっていた。
その生地一つにしてもこの国には存在し得ないもの、おそらく製造…作り出すことも不可能だろう。
おまけにその男が近づき難いような表情をしているからたまったものではない。
彼らが無事でいられるのも、全てはこの国の『皇』の治世が行き渡っていたからだ。

―――彼らがこの世界に降り立ったのは、一週間前。
降り立ったという言葉は相応しくない。迷い込んだと言った方がいいのだろうか。

気づいたら異世界にいたなんて漫画みたいだよな。
だが、これは現実だ。俺たちはここに存在しているんだから。

彼はこの世界に来てからの出来事を整理してみる。
84『ふたり。』前半:04/06/28 20:25 ID:q4q5YIr3
まずは…俺たちがこの世界に現れた場所、そこで起こったこと。
―――そこは『草原』。見渡す限りの平野。遠くには鬱蒼と茂る森林。そして山々。
現代の日本では本当に限られた場所でしかそんな光景を見ることはできないそんな場所。
そこに気づいたら二人はいた。本当にそれは唐突。
そして、彼らには直前の記憶がまったく無かったのである。
そう、それはまるで『夢』のようだった。

「……綺麗な景色。にはは……風が気持ちいい。」
観鈴は、そう言うとまるで空を飛ぶ為に風を受ける。そんな鳥のように両腕を大きく後ろに広げる。
今にも飛び立っていきそうな、そんな清々しい表情で風を楽しむ。
「ああ、本当にそうだな。」
往人は簡単な相槌をうつ。実際彼もそう感じたから。
「こんなところで寝転がったら気持ち良いだろうなぁ…にはは、いいこと思いついたよ。ふふふ。」
ニッコリと笑う観鈴は本当に今が幸せ。そう感じる。そんな笑顔に往人は一瞬見とれる。そんな隙に観鈴は…
「えいっ!」
「おわっ。こっ、こら観鈴!」
観鈴は往人に飛び掛り―――二人は大草原に体を投げ出す。緩やかな風が二人の間を抜けていく。
それは平和な風景…二人は暫くそんな『夢』に浸る。
そう『夢』の筈だった。―――だがそれは終わるかどうかが分からない。そんな代物だった。
85『ふたり。』前半:04/06/28 20:26 ID:q4q5YIr3
しばらくたったころ、夢特有の理不尽な進展が無いことからか、二人は事態の異常さに気づく。

「あれ?……おかしいなぁ?変だなぁ?なかなか目が覚めないや。」
「……どういうことだ?」
二人は立ち上がり、お互いの顔を見つめ…往人はおもむろに観鈴の両方の頬を掴むと
―――ぎゅっと左右に引っ張る。
「あううっ。ゆひとさん。いひゃい、いひゃいよぉ。やめへよっ。」
「……マジかよ。」
呆然として両手を離す。
「がおっ、酷いよ往人さん!ほっぺたが伸びてびろーんってなったら…ってあれ?」
観鈴は痛みを感じている。古典的な判別法ではあるがもしかしたら…
「ゆ、往人さん…あれ…夢、これって夢じゃないのかな?
えっと、それじゃぁ、ここはどこだろう?……何で、何でわたし達こんなとこに?」
「訳がわからん。でも、もしかしたらこれは…」

もしかしたら
―――本当にこれは夢では無いのかもしれない。

二人はそんな疑いを持つ。だが確信ではない。
夢では無い。と、仮定すると現状は幾らなんでもおかしい。
今まで暮らしていた夏の風景からはかけ離れすぎているし、突然テレポートでもしたというのだろうか?
あまりにもおかし過ぎる状況が彼らにここが現実であることを頑なに否定させる。
そう彼らがこの後に起こる事を体験するまでは……
86『ふたり。』前半:04/06/28 20:28 ID:q4q5YIr3
彼らはそんな考えを胸に秘めながら立ち上がる。彼らがまずした事。それは人里を探すことである。
心の中では否定しつつも、もしこれが『夢』では無いとするなら彼らには食料の備蓄も無く、
そのままその場所に留まっていては待っているのは飢えだけだった。困惑しながらも動き出す二人。
とぼとぼと、とぼとぼと。当ても無く歩き続ける。
歩くのに集中する間は余計な事を考えないですむせいか、二人は少しずつ冷静になってくる。
二人はただ先の見えない道を歩く。黙々と…
草原が途切れ、森に入り、気づいたら辺りは暗くなっていた。
そして二人は立ち止まる。

静けさの中二人の吐息だけが闇の中に響く。そんな中、今まで口を閉じていた観鈴が先に口を開いた。
「往人さん、はぁはぁ、往人さん…ごめんね。わたしあんまり歩くの慣れていないから迷惑になっちゃうかな。……はふぅ〜」
そういうとその場にへなへなと座り込む。顔には汗が浮かび、辛そうではあるが…まだ元気はあるようだった。
本当にまいっているなら、喋ることもできないはず。
「それは仕方ない。こんな事態誰も予想できないからな。あんまり無理をするなよ。…今は明日に備えて休むぞ。」
そう言って観鈴の頭に手を置くと、髪をくしゃくしゃっとする。
「うん。がんばるからっ。にはは。」
そんな、往人の行動に困ったような、嬉しいような、複雑な表情をする。彼女の不安がいくらか和らいでいく。

旅に慣れている往人にとっては、この程度の移動はそれほど堪える事は無い。だが、観鈴は別だった。
少女の足には負担が大きすぎた。舗装もされていない、
森や山道を歩く経験など一般的な現代人には滅多にないことだから。
登山を趣味にしているなら別だが…
往人は例外中の例外である。

夜もふけた頃、往人は観鈴を置いて、食料を求めて周囲を散策する。
87『ふたり。』前半:04/06/28 20:29 ID:q4q5YIr3
帰りは炎の明かりを利用するとして…こんな夜中じゃ、狩りは無理だな。
できれば兎や鳥が良かったんだが。仕方ない、山菜を探すか。

そう決断すると、往人は周囲に気を配りながら、ゆっくりと散策を始める。
暗い闇の中、月明かりだけが煌々と辺りを照らす。そう簡単に目的の物が見つかるとは思えなかったが、
往人には現状ではそれ以外の方法を選ぶ事が出来なかった。
やらないよりマシと、最初から目処をつけてそれを行う。
そんな中、何かを感じる。

―――それにしても、何だこの違和感は…何かが、ここは何かがおかしい…

散策するうちに、彼は周囲をうろつく生き物の気配に気づく。
往人は知る由も無かったが、この世界ではキママゥと呼ばれる…
猿のような生き物。当然往人がそれを見るのは始めてである。

何だ、どうなってんだこの世界は。あんな生き物なんて見たことが…
よく見ると周りの木や植物も見たことの無いものばかりじゃないか…
違和感はこれだったのか。っ!観鈴…観鈴は大丈夫か!!

そう思うと往人は全速力で観鈴の元に戻る。
こんな良く分からない生き物がいるところに観鈴を一人置いてきたことを、往人は悔やんだ。

間に合ってくれ!!
そんな思いを胸に、ただ炎を目指してひたすら駆ける。

「あれ、往人さんどうしたの?ご飯見つかったかな?」
急いで戻ってくる往人を見つけてか、何気ない返事を返す観鈴。往人を信頼する心が彼女を強くしていた。
―――だが、そんな彼女の背中に遥か上空から迫りくる影が一つ。
疾風にも似たその動きは、獲物を狙う鷹そのものだった。
この世界に鷹がいるのかどうかは分からないが。
88『ふたり。』前半:04/06/28 20:31 ID:q4q5YIr3
「観鈴!!後ろだ!くそっ間に合わない。」
「えっ?何が…きゃぁ!」」

無防備な彼女の背中に襲い掛かる黒い影。無情にも観鈴はそれを避けることが出来ず…
最悪の結末を迎えようとしていた…はずだった。
が、往人は観鈴の肩に乗っているそれを見つける。

「大丈夫か!なっ!」
「ガ、ガオ……?あれ痛くない。何で…」
観鈴は、自分の右肩に慣れしんだ重みを感じ、ふとそこを見ようとすると…
「カァカァ!」
耳元で、そんな鳴き声を発する黒い鳥がそこにいた。

「ああ!ソラだったんだ。何でこんなとこにいるのかなぁ?ダメだよ突然出てくるなんて。
 …あれ、往人さんどうしたのかな。そんな怖い顔をして。」
「く、くぉんのボケガラスがぁぁぁぁぁ、今日の飯はお前で決定だ!」

そういうと、すかさずソラの首を捕まえに行く。
「わっ、わっ、往人さん。首を締めちゃダメだよ!空が死んじゃうよぉ。」
「カァ―――ッ」
そんな往人の殺意が篭った腕を、飛び上がり華麗にかわす。
「締めねぇと食えねぇだろうが!」
「カァッ、カァッ!!」
急上昇、そして急降下。その嘴は見事に往人の頭に突き刺さる。
ぴゅーっと噴出す血。
「ぐあはぁぁぁぁぁぁ!!」
「にはは、往人さん人形劇じゃなくて水芸もできるんだね。面白い。」
「できるじゃねぇぇぇ!こ、殺す。」
89『ふたり。』前半:04/06/28 20:32 ID:q4q5YIr3
そんな一人と一匹を笑顔で見つめる観鈴。
(…往人さんと二人っきりの旅。楽しいなぁ。疲れたけど、夢だったらこのまま覚めないといいのに。
 でも、お母さんがいたらもっと楽しかっただろうなぁ。残念。……うう、おなかすいた。)

ぐ〜っと腹が鳴る。
山の中に往人の叫びが木霊している。結局二人(と一匹)は食事にありつくことが出来ずに
腹を空かせたまま一夜を超えようとしていた。

焚き火のぱちぱちとした音が聞こえる中、往人は今日の事について語り始める。
「ここは…どこなんだろうか。最初は夢だと思っていた。そして今もそうだと思っている。
 だが、少なくとも夢で有ろうと無かろうと、ここは俺たちのいた現実とは違う…それは間違いないようだ。」
「えっと、つまりここは異世界ってことかな。でも、わたし達が住んでるところとあんまり変わんないんだね。」
「そうだな…まだこの世界の住人と会うことが出来ていないから分からないが、
 少なくとも、ここにいる生き物達は、俺達の世界に存在するものでは無い。中には似ている物もあるが…」
「そっか…でも、わたしはこの世界が好きだよ。ソラもいるし、お母さんがいれば言うこと無しだけど
 …何より往人さん…往人さんがいるから。夢ならまだ覚めないで欲しいっ。」
先ほど思っていたことを、往人に告げる。俯きがちになるその顔は、ほんのりと赤く染まっていた。
「観鈴…。」
往人も気まずそうに目を背ける。二人の間に穏やかな、そして暖かい沈黙が走りぬける。
90『ふたり。』前半:04/06/28 20:33 ID:q4q5YIr3
だが、その沈黙は無情にも直ぐに破られることになる。

最初に異常に気づいたのは観鈴、そして往人も直ぐに気づく。
「……往人さん、あれ!」
「何だあれは…っ!人がいるのか?」
月明かりが彼らを照らす中、彼らは見つける。西の空に一筋の煙が立ち昇るのを。
「行くぞ観鈴。布団で寝れるかもしれないぞ。」
「うん。わかった。」
二人は先ほど見た煙の方角を目印に森を歩く。しばらく歩いていると、森が途切れ見晴らしのいい丘になっていた。
「あの向こうか?…しかし、妙に焦げ臭いな。ただの煙にしては強すぎるんじゃないか?」
「うーん、もう少しだから行ってみようよ。」
丘を登り始める。まだ見ぬ人々との出会いを求めて、意気揚揚と丘を登っていく二人。
…二人は既に夢を楽しんでいたのだ。

だが、それは最悪の形で裏切られることになる。

「―――な、に。」
「……そんな…こんなの、こんなのって無いよ!往人さん、ゆきとさ…ん。」
二人はその場に崩れ落ち、目の前に広がる光景を見る。

彼らが丘の頂上で見たものは…一つの村を中心に揉み合う人の群れ、
焼け落ちる家々、逃げ惑う人々、そんな中を縦横無尽に動く奇妙な機械。

つまりは―――戦争だった。
91名無しさんだよもん:04/06/28 20:53 ID:6YD0QkvR
後半にも期待
92名無しさんだよもん:04/06/29 10:15 ID:LYCctFkg
(`・ω・´)
93名無しさんだよもん:04/06/30 04:05 ID:c30aiCPn
ちょっと今日の夜中に投下するんで捕手。
94名無しさんだよもん:04/06/30 18:23 ID:uWFHwogC
マルチやセリオは大丈夫なのか
95名無しさんだよもん:04/06/30 20:02 ID:WkBcxxEg
>>94
電気が無いから致命的だよな…技術者がいればねぇ。
96『二人。』第二話:04/06/30 20:04 ID:WkBcxxEg
彼らのいる丘から、前方に見える光景。
炎、戦い、逃げ惑う人々、燃える家々、倒れこんでいる人々―――それは死。

パチパチと音を立てる赤い炎が、雲ひとつ無い夜空を真っ赤に染める。
それは、人によっては美しいという感想を抱かせるのであろうか。
だが、今ここにいる彼らにとって、それは…悲しい色。
悲哀に満ちた空だった。

「………」
往人は焼け落ちる村を呆然と見つめている。
彼らが現代で暮らしている限りは間違いなく見ることは無い光景
。ここが平和な世界では無い事を嫌でも実感する。
往人はただ混乱していた。先程との状況の格差が激しすぎて、頭を落ち着かせるのがやっとであった。
それに何よりも彼らにとって、戦争とは未知のものだったから。

くっ、この状況で俺は一体どうする。俺にできることは…観鈴を守る。それ以外のことができるのか?
俺たちは戦争を知らない、それに俺は武器となるものを何も持っていない…
これじゃ襲われている人々を助けるどころか、自分を守ることも、
そして…観鈴を守ることすら…無理だ。

側で座り込んでいた観鈴が呟く。顔色は悪く悲壮という言葉が相応しい。そんな表情で…
「ガ、ガオッ。これって…楽しい『夢』じゃなかったのかな?
 こんなの、酷いよ…わたしはこんな『夢』見たくないよ。望んでないよぉ!」
そう言うと顔を両手で覆い隠してしまう。目の前の光景…それを信じたくない一心で。だがそれは現実。
「カァ〜…?」
ソラはそんな観鈴を見て、困惑したのか?よく分からないといった鳴き声をする。
「落ち着け観鈴。」
往人は混乱しつつも観鈴をなだめ、そしてこれからすべき事を考える。
97『二人。』第二話:04/06/30 20:06 ID:WkBcxxEg
――だが、既に結論は出ていた。ここで全てが終わるまで隠れている。
そうすべきであろう事は、先程の考えでまとまっていた。
彼はただの旅人、戦士ではないのだ。村の人々を助ける…
そんなヒロイズムは元から彼には備わっていない。
そもそも、観鈴を連れてそれをすることなど不可能だった。
彼女を矢面に立てるなど…そう、考えられない。

だが、観鈴は違う。
「……助けないと。助けないと!まだ間に合うよ!」
「カァッ!?」
そう言うと観鈴は自身の身の危険も顧みずに戦場に向かって走り出す。
突然の動きに驚いたのだろうか、ソラはそんな観鈴から飛び上がりどこかへ飛びたつ。

駆け出す観鈴。混乱しているのもあるだろう。
だがそれ以前に、彼女は優しかったのだ。
目の前で傷つく人々。そんな様子を黙ってみている。
そんなことは彼女にとっては許されないことだった。

とっさの出来事に往人は反応が遅れ、そんな背中を呆然と見つめる。
「観鈴っ!!ダメだ!行くんじゃない!」
背中に向かって叫ぶ。だが、観鈴は止まることは無かった。ただ燃えさかる村に向かって走り続ける。
「くそっ、バカかあいつは。」
愚痴りながらも、必死で追いかける。
彼が現在の状況でできることは、彼女を命がけで守る。ただそれだけだ。
走り、追いかけながらも冴えない頭を必死に回転させて状況を整理する。
98『二人。』第二話:04/06/30 20:08 ID:WkBcxxEg
……どうやら、俺たちはこの世界に住む人々の争いの現場に居合わせたらしい。
どこかの国と国の争い?それともどこかの野盗による略奪だろうか…

往人は、もう一度その光景を見やる。
そこには、村に住んでいたであろう人を追いまわしている兵士…だろうか、遠目にはそう見える。
それに何だろう、トカゲのお化けの様なものに乗っている兵士。
この世界のウマのような物だろうか、そして…

あれは一体なんだ?周りのものとは明らかに違うが。

村の中心で暴れまわる機械らしきもの。全高は人間の3倍以上はあるだろうか。
全身を黒い金属の装甲に包み、右手には巨大な剣を持っている。黒い巨人。

――ロボット?そんなものがこの世界には存在するのか?

家々や、人々は遠めにも時代がかって見える中、それだけが異彩を放っていた。

……観鈴を追いかけるうちに、徐々に村に近づいていく。
焦げ臭い匂い、怒号、悲鳴。そんなものが近づいてくる中、観鈴が立ち止まる事は無かった。
そして二人は見つける。木々の合間に横たわる親子を。
彼女達は、明らかに現代人の服装とはことなっていた。
和服とも違う不思議な服装。そして、何よりも違和感を覚えたのは耳が動物のそれであり、
二人の服の隙間から…しっぽが出ていた。
だが今はそんな『些細』なことに気を配ってる暇ではない。

観鈴は横たわっている親子を見つけると歩みは次第にゆっくりになり、
ぽつぽつと歩くとその親子の前で止まる。
そして彼女はしゃがみこんだ。
99『二人。』第二話:04/06/30 20:10 ID:WkBcxxEg
「……観鈴。」
往人はそんな彼女に声をかける。だが反応は無い。
ふと、その親子に目を向ける。
必死に逃げてきたのだろうか?その背中には矢がいくつも刺さっている。
血だらけの彼女達に声を掛けてみるが、こちらも反応が無い。
――親の方は既に事切れているようだった。子の方はどうだろうか…
様子を見ようとする。すると観鈴が子供を抱きかかえようとする。
「ひっく…往人さん…この子、まだ生きてるよ…」
彼女は泣いていた。
泣きながら走っていたのだ。

観鈴はその子を抱きしめる。
その子の息は既に細く、目には既に光が無い。その生命の灯は消えようとしているのが目に見えて分かる。
観鈴もそれに気付きながらも、抱きしめる事しかできずにいる。

――助からない。そう往人は思う。
次第に観鈴の服が子供の血で赤く汚れ始める。だが、それも構わずに、躊躇無く彼女はその子を抱きしめつづけた。

「観鈴。だめだ。そいつはもう…助からない。ここを離れないとダメだ。…ここにいるべきじゃない。」
往人は泣きじゃくる観鈴に冷静に…そう告げる。自分たちが生きていく為に。
――そして、彼女の腕の中で命は零れ落ちる。
目を見開いたままの二人の瞼をそっと閉じる往人。ただ冥福を祈る。
彼にはそれしかできることは無かったから。

「…いや、いやだよぉ!ダメだよ。死んじゃいやだよぉ。―――いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
月明かり、そして炎に彩られた夜の中、観鈴の悲痛な叫びが木霊する。
いつもの彼女ならここで「ガオッ」の一つもあるのだが…既にその口癖すら消えてしまっていた。
……非現実的な状況の中に二人は在りつづける。
100『二人。』第二話:04/06/30 20:13 ID:WkBcxxEg
「観鈴…すまん。」
そう言うと、彼女の頬を軽く打ち…そして、強く抱きしめる。ただ強く。

「うぅ…往人さん?往人さ、ん…」
「―――俺達は…ここは間違いなく現実だ。この血の熱さは虚構なんかじゃない。」
「ひっく。でも、わたし、この子達を助けたかったよ。わたし達は…」
往人は語り続ける。
「…観鈴は優しいな。見ず知らずの他人の為に何かを成す事なんて、俺には考えられない。
 だがな、俺はそんな優しさがおまえ自身を傷つけるのが怖い。俺にはお前をこの暴力から守る方法は無いんだ。
 俺たちには彼らを救う方法なんて元から無いんだ…くやしいがな。
 だから、この二人の為にも、この村の奴の為にも、生きている俺達は逃げ延びないとな。
 それしか、俺たちが彼らに報いる方法は無い。」
一度言葉を切る往人。観鈴は悔しそうに往人の胸の中で泣きつづける。
観鈴の手が往人の服をギュッと握り締める。今感じている辛さを押し殺すために。
「それにな、お前がいなくなったら…晴子が悲しむ…俺もおまえを失ったらどうすれば良いか分からなくなる。
 だから危ない真似はやめてくれ。そして、そして必ず元の世界に帰るんだ。晴子の為に…俺の為にもな。」
もう一度強く、観鈴が壊れそうになるぐらい抱きしめる。
二人は沈黙する。しばらく経っただろうか?そして観鈴は口を開く。そして一言呟いた。
「お母さん…」
観鈴はそう呟くと、彼女の楽しかった日々を思い出していく。

脳裏に浮かぶのは晴子の姿、何が楽しいのか往人をからかっている。
面倒くさそうに、晴子に返事をする往人。
そしてそんな二人を見て楽しそうに笑う…自分の姿。
そんな当たり前であった日常を想像していくうちに彼女は平静を取り戻していき、一つの思いが浮かんでくる。

「……うん。わかった。がんばるから!また…一緒にみんなで笑いたいから。」
泣き顔の観鈴はそう答えて、もう一度往人に抱きつく。

真紅に彩られた戦場の傍ら、二人は固く誓う。
―――生きて帰るんだ。
101『二人。』第二話:04/06/30 20:14 ID:WkBcxxEg
「……ごめんね、わたし、あなた達の事助けられなかった…」
観鈴は二人の亡骸に手を合わす。往人もそれに倣う。
「わたし達、行かなくちゃ。必ず…必ず生き延びるからっ!。」
そして観鈴は最後に…告げる。

「だから…さようなら。」

「観鈴、とりあえずここを離れるぞ!」
「うん。観鈴ちん、ふぁいとっ!」
「カァッ!」
そう彼女は気合を入れる。いつのまに側にいたのだろうか。ソラが彼女を励ます。
本質的には彼女は…強いのだ。

キィン!!

そこに響く、突然の鋭い金属音。
二人が先程までいた丘に帰ろうとしたその時、後方で金属同士が火花を散らすそんな音。
それに合わせて聞こえてくるざわざわと囁く声。それに混じる怒号。混沌とした雰囲気が漂ってくる。
「っ!遅かったか。急いで逃げるぞ!観鈴っ何をしている!」
「往人さん。あれっ!」
振り返る往人。村から少し外れたとこだろうか。二人の視界には一人の女性とそれをとり囲んでいる兵士たち。
そして不気味な黒い機械人形。この位置からならはっきり見ることができた。
彼らは女性に注意を向けているのだろうか、こちらにいる二人には気付く事が無かった。
102『二人。』第二話:04/06/30 20:15 ID:WkBcxxEg
中心に立つ女性。白いシンプルなシャツに、同じく質素な青いスカートを着こなしている。
それに長い黒髪がどことなく彼女から清楚な雰囲気を感じさせていた。
だが、俯く彼女の表情を見ることはできない。
よく見ると一人の兵士が切りかかっていたが…女性は片手でその剣を受け止めていた。

「彼女は…っ!あいつの服装。俺たちと同じ世界の?」
「わたしたちだけじゃ無かったのかな。でも…あの人何だか…違う?」
「(ブルブルッ)」

そう。何かが違う。彼らは自然にそれを感じとる。ソラは…ただ震えている。
ざわざわと兵士達のざわめきが聞こえる。彼らもその異質さに気づいたのだろうか。
女性は未だに俯いたまま。

緊迫した状況の中で誰も動けずにいる。そんな中で状況は動き始める。
―――彼女を中心にまるで空気が凍り始めるような…そんな感覚を遠くはなれていた二人も感じる。
おそらく、その場にいたら動けなかっただろう。
彼女の意思が兵士達を釘付けにさせる。
冷たい、悲しい思い。それを二人は感じる。

「観鈴、隠れろっ。あいつは『危険』だ!」
「ゆ、往人さん。あの人…怖いよぉ――あぁ、ソラ、大丈夫っ!?」
ポテッっと観鈴の肩から地面に崩れ落ちるソラ。恐怖のあまりだろうか、既に意識は無い。
観鈴は怯えつつも急いでソラを拾い上げ、往人の後ろに隠れる。
殆ど意味は無いのだろうが、彼女の心に少しだけ安心という感情が浮かび上がってくる。
二人は今の状況に動くことも出来ず、その場で成り行きを見守ることになった。
103『二人。』第二話:04/06/30 20:16 ID:WkBcxxEg
彼らが事態を見守る中、彼女は冷たい空気を漂わせながら一言呟く。
それは、後方にいる往人達二人にも何故かはっきり聞こえてきた
。ただその声は冷たく…鋭く、だが悲しみに溢れていた。
「私は…あなた達を」
彼女は顔を上げ…兵士達に対して言葉を告げる。
それは彼らにとってきっと最後に聞く言葉。

「―――殺します。」
そう唱えると、長い黒髪を風に靡かせて…彼女は舞いはじめる。
兵士達の合間を…風のように。

―――それは死の舞。彼女が通り抜けた後には、犠牲者の血が舞い散り、残るのは赤く染まった彼らの亡骸。
そして赤く染まる大地と血化粧に彩られた彼女自身。
燃えさかる村の中を、彼女は舞いつづける。彼らを根絶やしにする為に。
彼女の赤い目は狩猟者のそれだった。
104名無しさんだよもん:04/06/30 20:25 ID:WkBcxxEg
>>91
SS書きを初めて、本当に初めて期待されたよ…嬉しかった(つд`;)

気付いたら、結構長くなりそうな話になってしまいました。
稚拙な文ですが、付き合ってくれるとありがたい。
105名無しさんだよもん:04/06/30 21:23 ID:4OdEWEOk
千鶴の登場か
106名無しさんだよもん:04/06/30 21:32 ID:0BzKGmyP
やべえチンコたってきた。
107名無しさんだよもん:04/07/01 02:21 ID:UijBjxCn
今、このSSを書いているのは>>1さんなの?
108名無しさんだよもん:04/07/01 10:48 ID:frxgCQzf
>>107
一応そうだけど…別に1とかそういうのは気にしないで欲しい。
109名無しさんだよもん:04/07/01 14:28 ID:gphwadO7
まったく別のSS投入したりしてもいいのかな?
リレーはまずそうだし
110名無しさんだよもん:04/07/01 15:44 ID:wcTTHnkm
別に聞かなくても…
がんがんいくしか。
111名無しさんだよもん:04/07/01 16:19 ID:frxgCQzf
>>109
もち ろん。
112名無しさんだよもん:04/07/01 19:09 ID:pSJ5J4Kq
もろちんに見えた
113名無しさんだよもん:04/07/01 21:44 ID:W2Pavfvb
職人期待sage
114『ふたり。』第三話:04/07/02 00:05 ID:duX40LM0
彼女は踊る。
月夜の下で。
ただ全てを赤く染めるために。

炎の色に染まるあの人は怖いけど…綺麗で
だけど、見るものを悲しい気持ちにさせるのは何でだろう。

草むらの影から、二人は呆然と彼女を見ていた。
ただ、見つからないように殺戮の風が止むのをじっと待つだけだった。
だが、観鈴は気付く…彼女の鬼のような仮面の下に潜む表情に。

止めないと…どうしてか分からないけど、そうしないといけない。
往人さん…ごめんなさい。やっぱり私は…目の前で苦しむ人を放って置けないよ。

観鈴は彼女に向かって駆け出す。彼女を止めるために。
「往人さん、あの人を止めないと…あの人も私たちと同じだから…」
「観鈴!!何でお前は!」
後ろで往人さんの嘆く声が聞こえる。私だって分かってる。彼女の側に行けばただではすまない事を。
でも、何故かは分からないけど…黙ってみているなんてやっぱりできない。
気付けばそこは地獄という表現が相応しい場所になっていた。

多数の兵士たちの亡骸。彼らは一撃で命を絶たれたのだろうか、
悲鳴一つ上げる事無くその場に倒れ伏していた。戦場は至って…静かになっていた。
そんな中を観鈴は、駆け抜ける。
「やめてください!」
観鈴は叫ぶ。だが、女性が振り返ることは無かった。彼女の目は正面の…巨大な黒い人形を睨んでいる。
「ガ、ガォ…」
観鈴は足を彼女に向けようとするも。生き物としての習性がこれ以上近づくなといっていた。

後ろから往人が近づき、観鈴を守るようにその前に立つ。
「あいつは、あの巨人と戦うつもりなんだろうか…」
往人は素直に思った疑問を呟く。あれだけの力を持っているとしても人間があれに勝てるものだろうか。
115『ふたり。』第三話:04/07/02 00:08 ID:duX40LM0
先に動いたのは巨人。
ずしん。ずしん。一歩ずつ彼女に近づいていく。
それは非常にゆったりした動きに見える。
ただ黙ってそれを見ている女性。逃げることもせず、だからといって近づくこともなく、ただ傍観する。
ゆっくりと、ゆっくりと近づき、巨人は彼女の元にたどり着く。
巨大な剣を振るう巨人、それは先程の動きとは打って変わって非常に鋭い一撃。

ブンッ!
風圧がかなり後方にいる、二人まで届く。二人は彼女の無事を確認するが…

既に女性の姿は無かった。どこへいったのか巨人の周囲を探す二人……
「……!」
そこに見たのは月明かりを背に上空から降りてくる影。
月に重なるそのシルエットは巨人の頭上。
そしてその手は…まるで『鬼』の手だった。
その手が頭上から巨人を引き裂く。完全に不意を撃つ一撃。
いくら巨人でもそれに耐えることは出来ないのでは?二人は思う。だが…それは違った。

ガキィン!!

巨大な金属同士がぶつかり合う音が戦場に響き渡る。
結局は…そんな爪でも巨人の装甲を打ち破るのは不可能だったのだ。
理性があったのか、女性は少しだけ意外な表情をする。
そんな彼女の不意を付く巨人の腕が迫り…彼女を軽々と吹き飛ばす。
116『ふたり。』第三話:04/07/02 00:11 ID:duX40LM0
鈍い音。そして衝突音。
気付いたら近くの家の壁の側に今まで巨人の目の前にいた彼女が倒れていた
…額から血を流しながら。

彼女が倒れたせいだろうか?場にあった冷たい空気が少しだけ緩む。
二人は金縛りから解き放たれると、彼女に向かってすぐに駆け出す。
「っ!おい、大丈夫か!あんた!」
往人は倒れ伏している彼女を介抱しようとする。

血を流す女性。だが、彼女は往人の顔を一瞥すると、少しだけ驚いた表情を見せるが直ぐにもとの修羅の顔に戻る。
「貴方がどなたか知りませんが…私を止めないで下さい。っ!!」
彼女が何かに気付く。少しだけ後ろで見ていた観鈴が二人に近づく強大な影を見つけるが…
既に影はその巨大な鉄の塊を振るい始めていた。
「往人さん!!あぶないっ!」

ガン!
往人の後ろで今度は鈍い金属音。
巨人が往人とその後ろにいる女性を同時に薙ぎ払おうとするのを、女性の異形の爪が止める。
少しでも遅ければ、二人の胴体は真っ二つだっただろうか。

「どいてなさいっ!…あなたには関係の無いことですから。」
女性が往人を一喝する。彼女がしようと思えば、彼を排除することは造作も無いことだろう、
だが少なくとも彼女に理性があるうちはそれは無いことが今の行動で分かる。
少しだけほっとする観鈴。

彼女と巨人の戦いが続く。巨人は全身を金属で覆われてるためか、名も分からない女性はただ巨人の剣を交わしつづける。
防戦一方だった。時々聞こえる金属音が段々と増えていく。
避け切れずに『爪』で防ぐしかないのだ。
そんな状況下でも、ただ彼女は冷静に勝機を伺っている。
117『ふたり。』第三話:04/07/02 00:13 ID:duX40LM0
その戦いは長く続いた。
避けては近づき、間合いを取りつづける女性。
巨人の剣がそんな彼女を捕らえきれずに周囲の建物を破壊していく。
既に村は原型を留めていない。
ただ見守るだけしか出来ない二人は…気付いたときにはその戦いに見とれていた。

そんな往人の後ろからやってくる、ヒズメの音。
それがどんどん近づいてきて…彼らの側に止まる。後方からそれに続く人々の足音。
もし彼らがこの村を襲う者に連なるものだったら…既に二人の命は無かったであろう。
だが彼らは違った。最初にやってきた男が二人にぶっきらぼうに声をかける。

「かぁ〜なんてこった、遅すぎたか。…あんた達は―――そうかこんなとこにもいたんだな。」
トカゲ?に乗る男は、まるでこれが当たり前の様に呟く。
往人は男の言葉が理解できることに少しだけ違和感を覚えるとともに、その後の言葉に疑問を抱く。
そして観鈴は彼とは違う面で苛立ちを覚える。死者達を助けることができなかった彼が、そんな言い方をすることに。
だが、彼女はそんな男に文句を言うこともなく、今目の前でおきている戦いに目を向けている。

騎乗の男もそれに気付いたのだろうか、目の前で戦う一人と巨人に目を向けた。
「な、何だあのねえちゃんは…素手で、アヴ・カムゥと渡り合うなんて、
 若大将でも…なにもんだありゃ?おまえらの知り合いか?」
二人は答える事無く、その戦いに見入っている。

アヴ・カムゥの攻撃をただ避けつづける女性。
戦いの中、彼女の服は所々が破けて、そして血で汚れている。
だが、『殺す』彼女とは違い、傷を負いながらも、踊るように巨人の周りを舞い続ける今の彼女は
―――純粋に美しかった。
118『ふたり。』第三話:04/07/02 00:14 ID:duX40LM0
彼女の不利を悟ったのか、騎乗の男は周囲の山々にも響き渡るような声で、彼女に声を掛ける。
「そいつの弱点はなぁ。鎧の隙間だぁ!よーく目をかっぽじって見るんだよ!」
その声にアヴ・カムゥの動きが止まる。

―――ザクッ

そのほんの一瞬。彼女の刃がその巨体に突き刺さる。
その腕は巨人の鎧にはじかれる事も無く突き刺さる。あっけなく崩れ落ち動きを止める巨体。

「―――ばけものか、あのねえちゃんは…」
あの巨人を呆気なく倒すことがどれほどの衝撃だったのだろうか、騎乗の男は唖然とする。
今まで呆然と見ていた二人はすぐに彼女に駆け寄る。
「おい、あんた大丈夫かよ。―――?」
「あ、あの、お姉さん―――?」
ただ俯く彼女に疑問を覚えるそして…同時に気付く。
今まであれほど激しい戦いを繰り広げていた女性は…


ただ、泣いていた―――
119名無しさんだよもん:04/07/02 09:23 ID:w2Eb3YAO
>>1に敬意を表する
120名無しさんだよもん:04/07/02 11:33 ID:W802uNGo
そんなことを言われても…(`・ω・´)
121『風は吹き抜ける。』:04/07/02 19:09 ID:JMAu0ND9
トゥスクル城から北に少し、夏の日差しの下、青々と茂る大地が広がる。
ここにはトゥスクルで暮らす人々を潤す広大な田園地帯があった。
作物の世話をする人々の合間を涼しい風が吹きぬけていく。
この国の皇ハクオロがこの地にもたらした栽培法により、この国の食料生産力は飛躍的に増大する。
トゥスクルがここ数年で強大な勢力となった要因の一つであった。
そんな田園地帯の所々にある背の高い建造物。
平坦なこの土地にはその姿はよく目立っている。
…風車だった。いくつもの風車が田園地帯の風景をより穏やかにしている。

一つの建造中の風車、男達が汗を流しながら作業している。
その傍らにある三つの影。
この国の軍事そして政務を影から補佐する侍大将ベナウィ。
その容姿と巨大な剣の差が見るものに鮮烈な印象を与える女性…カルラ。
そして異世界からやってきた少女。

少女がゆったりとした雰囲気で辺りにいる二人に語り始める。
髪を左右で髪飾りでまとめていて、どこか子供らしく見える。
この国の衣装を着ているが、それを普通に着こなしている。
むしろ似合っていて違和感という物が殆ど無かった。
この国に来てかなりの時間が経っているのが伺える。
それもその筈、少女…一之瀬ことみがこの世界にやってきたのは数ヶ月も前だった。

―――その小さな外見から誰が予想できるだろう。
彼女の頭の中にあるその膨大な知識が、この国、この世界の文明を何百年レベルで進めることができるということを。
122『風は吹き抜ける。』:04/07/02 19:11 ID:JMAu0ND9
彼女の話はどちらかというと講釈に近い類の物だったが、そばにいる男は興味深そうにその声に耳を傾けている。
「……この風車の基本構造はオランダ型なの。本当はプロペラ型がいいかもしれないけど、
 この国には強度的に羽に使える素材がないの。……それに風車と言えば誰が何と言おうと『この形』なの。」
(本当は作ろうと思えば出きるけど…あんまり急激な技術の進歩は混乱を生むだけだから、内緒にしておくの。)

嬉しそうに語る少女。ベナウィはところどころの単語が良く分からなかったが黙ってそれを聞いている。
カルラは興味が無さそうな風を装ってるのか、または本当にそうなのか、ことみを見ずに辺りの様子を見ていた。
「この辺りは海辺から近いから、お昼は陸の方が海よりも熱くなって気圧が下がるの。
 そのおかげで地表面では海の方から風が吹いてくる…その風の力を利用するの。
 風車を作っておけば秋になって収穫の時期になったときに、作物を製粉するのが凄く楽になるの。そうすれば…みんな幸せ。」
そう言ってにこりと微笑む。彼女の豊富な知識がその言葉となって溢れ出てくる。
溢れすぎて過剰になってしまうのが彼女の大きな欠点の一つだったが。

「なるほど。私にはあまり理解できませんが、ことみがそういうのであれば、
 正しいのでしょう。あなたにはいろんなところでお世話になっていますから。それに…」
「……ベナウィさん、カルラさん。みんな私のお友達だから。みんなが嬉しくなる。それが私にとっては何よりの幸せ。」
田園ののどかな風景を見ていたカルラがそのままの方向を向いたまま呟く。
「そうですわね。私も貴女の話は良く分かりませんでしたが、美味しい食事に有り付ける。
 それは喜ばしいことですわ。――それに、お酒があればもっと嬉しいですわね。」
そういって微笑を浮かべる。
123『風は吹き抜ける。』:04/07/02 19:12 ID:JMAu0ND9
「……お酒のお話は良く分からないの。作り方やどんな物で構成されているかは、分かるけど……
 私は飲んだこと無いから……ハクオロさんに聞いてみたらどうかな。お酒好きみたいだし。」
それに対してベナウィは呆れたような表情で片手で顔を覆う。
「……聖上はそんな目で見られているのですか…ふぅ、少しきつく言う必用がありそうですね。」
「あるじ様は巷では女好き、お酒好きと放蕩者扱いされてますからね。まぁ、嘘ではないでしょうけど。」
くすりと笑うカルラ。二人して彼らの主君をからかう。。
「うぅ〜、そんなつもりじゃなかったのに。」
ことみは二人の軽い冗談にちょっとだけ困った表情をする。
「……そうですわ。いい事を思いつきました。後々の為にも貴女にはお酒を覚えてもらいましょうか。
 お酒の味が分かるようになったら、貴女も美味しいお酒を作りたくなるでしょうし。ふふふ…」
ことみを見つめるカルラの目が妖しく光る。
「―――いじめる?」
怪しい気配を感じたのだろうか、ことみはそう言うとスッとベナウィの影に隠れる。
「冗談ですわよ。」
「カルラ…目が本気でしたよ。」
「あら、そうでしたかしら。うふふ。」
(半分は本気ですわ。)
そんな意図を悟ったのか。さらに縮こまるようにベナウィの背中に抱きつく。
「―――やっぱりいじめる?」
だが、そんなカルラにことみは怯えつつも、自分を取り巻く彼らの態度にぬくもりを感じていた。
彼らが工事の様子を見ているうちに、気付かないうちに時間が過ぎていき、少しずつ日が傾いていく。
124『風は吹き抜ける。』:04/07/02 19:14 ID:JMAu0ND9
この世界に来たときは両親を失った悲しみを抱えたまま、誰も信じることが出来ず、そのまま朽ち果てる。
少なくとも自分自身ではそうするつもりだった彼女。
しかしこの世界の人は強く、そして優しかった。多くの人が暗くただ過去だけを見てきた彼女に笑顔を向けてくれている。
そんな彼らにことみは次第に心を開いていく。
優しさに包まれる中、彼女は決意を固める。
この世界で彼女の持つ知識を役立てて、そしてみんなが幸せになれるようにする事を。
この世界で生きていくことを。
結局彼女は亡くなった両親と同じ思いを二人とは違う世界でかなえることにしたのだった。

―――夕日が空を赤く染めていく。そんな空を見つめながら彼女は思い出す。
ただ一つ、彼女が元の世界に残してきたもの。忘れられない楽しかった過去の記憶。
あの日、図書館で見た一人の青年の姿。
遠い日に彼女の両親の元で遊んでいた二人。今はもう二度と会えないであろうその人を。
(……朋也君。)
少しだけ目を瞑る彼女。

しばらくの沈黙。海からやってくる風が彼女の側を吹き抜け、その髪を靡かせていく。
いろいろな人々との出会いがこれからも彼女を変えていくのだろうか。

彼女は目を開いて、赤く染まる世界を見渡した。
―――彼女は前に進みつづける。見知らぬこの世界で。
125名無しさんだよもん:04/07/02 19:16 ID:JMAu0ND9
息抜きにことみタンを書いてみました。
こんな感じかなぁ。
126名無しさんだよもん:04/07/02 21:58 ID:A5GS6eQk
世界観がいいな。
127名無しさんだよもん:04/07/03 01:21 ID:k6lajKR/
観鈴はいいけど戦闘になるとまったくいいとこがない国崎
128名無しさんだよもん:04/07/03 13:17 ID:v8MVm6Y+
ことみタンのように、大局的な視点で物事を考えることが出来る、
知識のあるキャラが登場したことで、物語をよりよい方向に
進展させることができるのではないかと期待。
129名無しさんだよもん:04/07/03 17:43 ID:P2ZNqf3D
スーパー葉鍵大戦α外伝
130名無しさんだよもん:04/07/03 19:07 ID:KGbMOmwi
>>8
131名無しさんだよもん:04/07/03 21:25 ID:X56VWLtH
長くなったから前半だけ投下します。
132名無しさんだよもん:04/07/03 21:26 ID:cCJjBlcI
おうこいや
133名無しさんだよもん:04/07/03 21:27 ID:X56VWLtH
―――多くの人達が村を背に散っていった。あの日から三日。
救援に駆けつけたこの国…トゥスクル騎兵隊の副将を務めるクロウとその部下たちは仕事に追われていた。
怪我人の救助、行方不明者の捜索、死者達の埋葬。
とても数日じゃ終わらない仕事に、いくつものテントが張られている野営陣は熱気に包まれていた。
そんな様子をテントの側に座り、ぼ〜っと見つめている二人。
三日前の出来事が頭に焼き付いていて、二人はまだその衝撃から逃れられないでいる。

夏の日差しが強く刺す中、あくせくと働く耳や尻尾がある人達を見つめて、
この世界が彼らの住んでいる世界と明らかに違うことを改めて認識する。

「―――」
「―――」
ただ二人は黙りこくっていた。

―――あの日、あの出来事の後、クロウから一通りの説明を受ける。

この国の事。
この世界の事。
自分たちの事。
この戦いの事。
そして、往人達二人の事。

簡単な説明とはいえ、二人には膨大すぎる情報量だった。
それを一気に叩き込まれたのだ二人は未だにそれを整理できずにいる。
クロウの大雑把な説明もあっただろうか。
134『ふたり』第四話:04/07/03 21:28 ID:X56VWLtH
「まぁ、とりあえずあんたらも疲れただろう。飯を食わねぇと何にもはじまらねぇぞ。」
そう言って彼らに強引ながらも食事を与える。口は悪いがその心は彼らをしっかり見守っていた。
二人とも初めて見る食料に戸惑いつつも、空腹の中走っていたのだそれを見て同時に…
グゥゥ――
腹の音がなる。二人とも赤面しつつそれに手を付ける。

「…えっと、クロウさん。この芋みたいなのは?」
口の中に頬張りながら、疑問に思ったことを尋ねる。
「そいつは、『モロロ』と言ってな。まぁ、この国の主食だな。」
「美味しいかも、ニハハ。」
「空腹は最高の調味料っていうからな。」
「……おい、にいちゃんよ、それはどういう意味だ?」
そう言って、クロウは少しだけ不満そうな顔を往人に向ける。
だが、3人の間に徐々に笑顔がこぼれ始めた。

「ところで、千鶴と言ったか。あんたも食わねえか?こいつらも食ってるし、美味いぞ。」
クロウはテントの隅で膝に顔を付けて俯いてる、女性に声をかける。
彼女の名前は柏木千鶴。二人と同じ世界から来たという…
この世界には彼らみたいな別の世界からやってきた人が他にもいると、クロウから先程の説明で聞いていた。
「―――私には、構わないで下さい。」
そう冷たく言い放つと、彼女は自分の世界に閉じこもる。
「とはいってもなぁ。あんたも飯を食わねぇと死んじまうぞ。」
だがそんな言葉をかけられたにも関わらず、結局千鶴がこの時に動くことは無かった。
135『ふたり』第四話:04/07/03 21:30 ID:X56VWLtH
―――あの人どうなったのかなぁ。
往人は隣に座っていた観鈴が呟くのを聞く。
「さぁ…どうだかな。あの女そう簡単にくたばるタイプには見えなかったが。」
「……よしっ!わたし探してくる!」
スッと立ち上がり元気良く駆け出す観鈴。
往人はそんな彼女を尻目に、ただぼんやりと異界の空を見つめている。
「カァ〜」
そんな往人の隣でソラがやる気の無い鳴き声を出していた。

「うーーん、どこにいるのかなぁ。はぁはぁ。」
勢い良く駆け出したせいかあっという間に息が上がる。
夏の日ざしが彼女に容赦なく降り注ぎ彼女の額に汗を浮かばせる。
観鈴は作業をしている人達に千鶴の行方を聞いてはそちらに向かい、
聞いてはそちらに向かいを繰り返すうちに村の中に入り込む。
「酷いよぉ。何でこんなことするかな……」
既に亡骸は葬られてはいたが、粉々に打ち砕かれた壁、荒れている屋根、崩れ落ちている家。
それら村の建造物には、まったく手が付けられていなかった。
そんな荒れ果てた村を見て観鈴は3日前の出来事を思い出す。

「―――がんばらないと。」
もう一度、近くにいた人に行方を聞くと村外れにある墓地にいるのではと言われる。
直ぐにそこに向かう観鈴。そこには…沢山の墓らしきものがあった。
その一角。墓の前で座り込んでる女性。千鶴だった。
136『ふたり』第四話:04/07/03 21:31 ID:X56VWLtH
観鈴は数日前の戦いの様子を思い出す。
激しい戦い。血化粧に染まる彼女。
そして全てを凍らせるような冷たい…赤い目。
それを思い出して、少しだけ怖気つくも勇気を出して声をかける。
「あの…千鶴さん?」
その問いかけに対して、千鶴は黙って墓を前に目を瞑っている。
「―――ごめんなさい。でも、どうしても…どうしても聞かないといけないから。」
観鈴の心臓がドク、ドク、と大きく鼓動する。
観鈴はそんな自分の心臓の音が聞こえるような錯覚を覚える。
気の弱い彼女が今から聞こうとする重い質問。
それは彼女が産まれてから…初めての体験だろう。
観鈴は高まりを抑えながら…それを告げる。

「あなたは―――」
一度言葉を切り…そしてその言葉を伝える。
「何で、この村を襲った人たちを――殺したんですか?」
びくりと震える千鶴。彼女はずっとその言葉を投げかけられるのを恐れていたのだろうか。

場の空気が静まりかえるのを二人は感じる。
二人の間に、頭上の木の葉の陰からただ燦々と光だけがさしていた。
137名無しさんだよもん:04/07/03 21:31 ID:X56VWLtH
とりあえずここまで。
138『ふたり。』第四話:04/07/03 22:43 ID:X56VWLtH
千鶴は目を開く。
ゆっくりと墓の前から立ち上がり、墓の方を向いたままただ無言で佇んでいる。
流れる空気が重い、観鈴はその空気に耐え切れず弱音を吐く。
「ガオ、ご、ごめんなさい。あうぅ―――」
おろおろと今にも聞こえてきそうな観鈴。
この場から逃げ出したくなる彼女。そんな彼女を見ながら千鶴は語り始めた。
長い――彼女が体験したこと。その思いを。

「―――私は、彼らが…私の『家族』を殺した彼らがただ憎かった。
 そして…『家族』を助けることが出来なかった私自身も。」
千鶴は語り始める。少しだけ落ち着いたのか観鈴も姿勢を正すと、黙ってそれを聞く。

「私がこの世界に来たのは…そう。もう何ヶ月も前かしら。
 私はこの村の人たちに見守られながら目を覚ましましたの。
 最初は夢かと思った…突然見ず知らずの人達。おまけに耳や尻尾が生えてる。
 文化も私たちの住んでいる世界とは違う。
 そんな普通じゃ考えられない世界にいるのですから。
 だから最初はノンビリとこの世界を楽しんでいたの。」
そう言って、一旦言葉を切る。
そこに後方から来る二つの影。ソラとその後ろから往人が姿を表す。
「往人さん…」
二人が側に来たが、止まる事無く千鶴は語りつづける。
139『ふたり。』第四話:04/07/03 22:44 ID:X56VWLtH
「でも、それも一日、二日と日が経つにつれてこれは夢なのかと疑うようになってきました。
 一週間もしないうちに、私は―――自分の側に愛する妹たち…それに耕一さん。
 私の大事な従兄弟…好きな人。
 彼らがいないこの夢とも現実とも分からない世界に耐え切れずに塞ぎこんでしまい…
 その時はもう誰も信じることができなかった。」
観鈴は想像する。もし晴子が突然いなくなったら、往人が出て行ってしまったら…そんな光景を。
「お母さん…往人さん…いやだよ…」
思わず声に出てしまう。直ぐに顔を振ってその考えを追い出す。

「無為に過ごす時間、1週間…2週間。ただ時間だけが過ぎていきました。
 だけど、そんな私に村の人達はただ優しく、時には厳しく現実を見るように言ってくれました…
 私はそんな人達に恩を感じたのでしょうか、少しづつだけど暖かい何かを感じて…
 こんな私を『家族』として扱ってくれる彼らに、気付いた時には笑っていられるようになっていたのです。」
往人は思う。旅の途中。彼が転がり込んだ暖かい家の事を。
気付いたらそこに住み込んでいた自分自身を。
(…この人は俺と一緒なのか。)

「そして私は、耕一さん…妹たちの事を思いながらもこの村で生活していきました。
 子供達の遊び相手をしたり、時には私が故郷の料理を振舞ったりも…
 良く分からないけど、その時以来遠慮したのかしら、二度と作らせてくれませんでしたけどね。」
そういって、今まで冷たい表情をしていた彼女の表情が少しだけ和み。
くすり。と少しだけ笑う。
「私はもうこの村の一員、『家族』だったから。」
そうして、空を見上げる。
楽しかった日々を思い出しているのだろうか。
そんな彼女の表情は…穏やかだった。
140『ふたり。』第四話:04/07/03 22:46 ID:X56VWLtH
だが、その表情も直ぐに一転して曇リ始める。彼女は語りだすあの日の事を。
「でもそれも三日前。全てが崩れ落ちていきました。突然の襲撃。
 前々からこの村に武器があることに疑問を抱いていましたが…
 私はこの国が戦争をしていることを知らなかった。そんな現実を知りたくなかったから。
 気付いたときには、私は村の男達に逃げるように言われて…
 女の私は戦えないと判断したのでしょうね、早々に村の外の山林に追いやられてしまいました。」

「あんたは…何でその力を使わなかったんだ?」
後方にいた往人がその言葉を投げかける。事情を知らない彼には当然の疑問だった。
「私は…怖かったんです。この力が全てを傷つけてしまうことを、村人達を傷つけてしまうことを。
 そして…私の大事な『家族』に『ばけもの』と思われてしまうことが。」
それが彼女の最大の過ち。これからずっと心に残りつづけるであろう枷となるもの。
―――後悔。

「私は倒れていく彼らをただ遠くから黙って見つめている事しか出来なかった。
 迷いつつも走り出したときには…もう既に手遅れでした。」
ぽたりと千鶴の手のひら、握り締めていた拳から血が滴り落ちる。

「私は迷ってしまった自分が憎かった。助ける事ができた彼らを、
 自分の我侭な思いの為に見過ごしてしまった自分自身が。
 ―――そして自暴自棄になった私は、一つだけ残されたその道を選びました。」
「復讐…だな。」
往人は直ぐにその言葉を投げつける。
千鶴はその言葉に黙って頷く。

「気付いたときには、私の手は真っ赤に濡れていて…全てが終わった時。
 私はそれが何の意味を持たないことを。
 楽しかった思い出が、二度と戻ってくることは無いことを…私は知ってしまったのです。」
二人は黙って言葉の続きを待つ。
141『ふたり。』第四話:04/07/03 22:47 ID:X56VWLtH
「彼らに報いること…それは例え意味が無かろうとも、
 このままこの身が朽ちるまで戦いつづけること…
 復讐鬼と化す事。だからもう私には構わないで下さい。」
そう言い捨てると、彼女はこの場所を去ろうとする。
(初音、楓、梓…耕一さん。ごめんなさい。こんな私じゃもう戻れないから。)

彼女の壊れてしまった心、自分自身に対する憎しみで染まってしまったそれは、
自身を死地へと追いやる。
そうすることでしか、亡くなった村人達を置いて自分だけが生き続ける。
その意味を見出すことが出来なかったのだ。

「だめだよっ!」
観鈴の叫びが、墓地に響き渡り…千鶴の足を止める。
「だって、千鶴さんあの時…泣いていたのに…そんな優しい人が復讐なんて…だめだよ。」
千鶴は背中でその訴えを聞いている。
「俺はあんたの進む道をとやかく言える立場じゃないが、これだけは考えて欲しい。
 そのあんたの恋人か?そうなのかは知らないが耕一ってやつと、それに妹達、
 それに…亡くなった村の人たちがそれを望んでいるかどうかを。
 復讐鬼となるあんたを…誰も望んじゃいないはずだ。」
二人の言葉を聞き終える千鶴…だがその歩みは結局止まることは無かった。

「往人さん…千鶴さんがいっちゃうよぉ。」
「―――あいつの決めた道だ。俺たちにはもう何も言えない。」
二人は千鶴の後姿を黙って見つめていた。
142『ふたり。』第四話:04/07/03 22:49 ID:X56VWLtH
そんな二人の横を小動物の様に駆け出していく小さな影。
それは千鶴の後方に向かっていく。
「おねえちゃん…いっちゃやだよぉ。」
三人の話を隠れて聞いていたのだろうか。
後方の草むらから現れたその影は本当に小さい。
フサフサとした小さな耳、この村に住んでいた男の子だった。
体中に手当てを受けた後がある。だけど元気一杯に走って千鶴の足に抱きつく。

千鶴はただ黙ってその様子を見つめている。困った表情をして。
「おねえちゃんが出て行くいみなんてないんだから。
 だから行かないで!またみんなとあそんでよぉ。うぅぅぅ。うわぁぁぁぁぁん。」
男の子が泣き出す。少年の思いは純粋だった。

そんな様子を見た往人は、最後の言葉を千鶴に告げる。
「―――例えあんたが復讐鬼になったとしても、
 それ以前にあんたは―――この村の『家族』なんだろ?それが変わることは無いはずだ。」
そう往人は問い掛ける。

千鶴は、ただ一人黙って出て行くつもりだった。
村の人たちに自分のしたことが知られていたら。
そんな恐怖と、彼らに会ったら…出て行く決心が薄れてしまうから。

じっとその子を見つめていた千鶴の顔が…段々と崩れていく。
千鶴は男の子の泣き顔に、自分の心の底にしまいこんでいた後悔という名の感情をもう一度見つけてしまう。
「―――ごめんなさい。ごめんなさいっ!私は…みんなを守れなかったの!!」
心の声を抑えることが出来ずに、千鶴は叫ぶ。その後悔の思いを。
千鶴は男の子に抱きつき、ただ涙を流す。
心の底でわだかまっていた思い。
全てをそれに乗せて。
彼女は『鬼』である以前に人間なのだから
…優しい彼女はただ涙する。
143『ふたり。』第四話:04/07/03 22:50 ID:X56VWLtH
「グスッ、こんな。こんな化け物みたいな私でも…ここにいて良いのかな。」
彼女は一番恐れている思いを男の子に問い掛ける。
当然のように帰ってくる答えは…
「おねえちゃんは、おねえちゃんだよ。かんけいないよ。」
迷い無く少年は千鶴に答える。

鼻を一度啜ると、少年は言葉を続ける。
「それにね、おねえちゃんはわるくないよ…おとうさんもおかあさんも
 みんな…オンカミさまの元にもどっただけ。おとうさんが…これはしぜんな事だからって言ってたから…」
この国に住む人たちは強かった。
戦争が彼らから命を奪うと同時に彼らの心を強くしていた。

「ごめんなさい…ごめんなさい…」
千鶴はただその言葉を呟きつづける。
彼女の後悔が晴れる事は無いだろうけど、ただその言葉だけが彼女自身を癒す。

「往人さん…グスッ。」
「っておい。何でおまえが泣いてるんだよ!」
「だって、だって…勝手に…ズズッ」
観鈴が盛大にもらい泣きをしている中、往人は目の前で抱き合う二人。
少年と…今は少女のように泣くその人を見守っていた。
144『ふたり。』第四話:04/07/03 22:51 ID:X56VWLtH
―――その日の夜、往人達は旅支度を整えると、この国の首都トゥスクルに向かって旅立とうとしていた。
「まぁ、何だ。うちの大将の治める国だから大丈夫だとおもうが。一応用心しなよ。」
クロウはそう言うと、一太刀の刀を往人に渡す。
「私は…しばらくはこの村に残ります。私にはまだ守るべき人たちがいるから。大切な人達が。」
千鶴はそう言うと村の方を見渡す。
(私はどうするべきなんだろう。耕一さん…。)
そんなことを思いながら。

「世話になったな。」
簡単な別れの言葉を呟く往人。
「―――千鶴さん、クロウさん。また会えるよね。」
そんな観鈴に千鶴は優しい笑顔を持って答える。
クロウもそんな観鈴の視線に照れながらも黙って頷いた。
沢山の視線を背中に受けながら、二人はトゥスクルに向かう。

「正直…おまえが、あんな事を言うとは思わなかったな。」
「…あんなこと?なんのことかな。」
疑問を往人にぶつける。
「あの後、千鶴に聞いたんだけどな。おまえが最初に言った言葉だよ。
 千鶴はあの言葉が無ければ…全てを仕舞い込んだままだったからな。
 あいつは…おまえに感謝していた。」
「あう…そんな。でも、わたしも怖かったんだよ。」
思い返すだけで、体が引き立つような思いをする観鈴。
「昔のおまえじゃ、ただブルブル震えて、がおがお言ってるだけだったのにな。」
「ガオ…酷いよぉ〜わたしだって成長してるんだから。」
「まぁ、そうだな。」
そういって、いつかしたように頭に手を乗せ、くしゃくしゃっとする。
「―――ニハハ。」
嬉しそうな表情で往人の後をついて行く観鈴。
その肩に乗っているソラは、そんな観鈴をただじっと見つめていた。
(わたし、がんばるから。だから―――さようなら。)
観鈴は心の中で別れを告げる。
145コテとトリップ:04/07/03 22:58 ID:PE6Y9S/9
'`,、'`,、('∀`) '`,、'`,、
146名無しさんだよもん:04/07/03 23:03 ID:GHYM4hrz
('∀`)
(;∀;)
147名無しさんだよもん:04/07/03 23:12 ID:F7pVsO2z
あがってるし・・・
148名無しさんだよもん:04/07/03 23:49 ID:zGv+rHrb
構想は悪くないが…
悪役が欲しいな
149名無しさんだよもん:04/07/03 23:58 ID:X56VWLtH
>>148
俺の力じゃ、きついかもしれない。
魅力的な悪役…難しいなぁ。
150名無しさんだよもん:04/07/03 23:59 ID:Ff5u4ECw
スライムとなった高槻研究員くらいしか…
151名無しさんだよもん:04/07/04 00:00 ID:EWZfNXRC
>>149
例えば、誰彼の御堂とかさ・・・柳川だっているじゃん。
152名無しさんだよもん:04/07/04 00:02 ID:COk8THo/
月島とか醍醐とか御堂とかか、たかむら<<漢字が出ない。
誰彼やってたら、いろいろ増えるんだけどなぁ。
153名無しさんだよもん:04/07/04 00:02 ID:COk8THo/
切れた…たかむらは強すぎてバランス壊しそうだな。
154名無しさんだよもん:04/07/04 00:04 ID:6n/fgYZm
というか、書き手さんは
どういう方向性に持っていきたいんだ?
155名無しさんだよもん:04/07/04 00:07 ID:COk8THo/
>>80
ほんとは上の話も世界の説明のつもりで書くつもりだった。
156名無しさんだよもん:04/07/04 00:14 ID:MeN5L1fl
せっかくだから月姫やFateのキャラも出すべきだよな。
157名無しさんだよもん:04/07/04 00:16 ID:6n/fgYZm
そいつは…荒れそうだ
158名無しさんだよもん:04/07/04 00:17 ID:6n/fgYZm
やばい、上げちまった。
月入れないと今の板じゃ人増えないからな。
皮肉なもんだ。
159名無しさんだよもん:04/07/04 00:26 ID:kcSv7qh6
エルルゥと千鶴さんは息が合いそうだ・・・・・・・





チチチチチ千鶴さん違うんだ胸つながりとかじゃないんd
160名無しさんだよもん:04/07/04 00:31 ID:ZsQhbiPo
まぁ今更という気はするけど、トゥスクルトとクンネカムンが対決するような時期だと
逆に両国間の戦争に展開が絞られるし、国もこの二つくらいしか出せそうに無いから
いっそトゥスクル建国前からやってみてはどうかと思ったけど、後の祭かな。
161名無しさんだよもん:04/07/04 00:32 ID:3HOjQt6t
俺には夜空の星になった耕一と思わず誤爆したハクオロが見える
162名無しさんだよもん:04/07/04 00:35 ID:EWZfNXRC
>>160
回想シーンという裏技がある。
163名無しさんだよもん:04/07/04 00:36 ID:COk8THo/
別に設定なんて後から幾らでも変えれるから。
俺のスレじゃないし…それに実は物語開始時には既にいたとか。

というか、飛んでくる時期を自由にすればいくらでもOKだ。
164名無しさんだよもん:04/07/04 00:39 ID:WjsQpvug
いろいろなキャラが自分の意志で行動してるわけか。
あれだ、ロマサガみたいだな。
165名無しさんだよもん:04/07/04 00:45 ID:COk8THo/
小話集みたいに書いていこうかなと。
それで少しずつ物語の隙間を埋めていく感じで。
166名無しさんだよもん:04/07/04 01:04 ID:bs+J7+NQ
とりあえずみさき先輩とユズハの絡み希望!
167名無しさんだよもん:04/07/04 01:18 ID:bs+J7+NQ
よく考えるとこの世界にはカレーがなかったか
出直してきます
168名無しさんだよもん:04/07/04 01:22 ID:vY+RHleS
月島(兄)がクンネカムンでハウエンクアを電波で操作しつつ、
(原作の彼は月島に操られていたんだよ!! な、なんだってー(AA略)
ヒエンに妹とは何かを洗脳させていくシナリオマダー?

戦争を始めさせたのも妹をハクオロの魔の手から守る為だったんだよ!
な、なんだっt(略



169名無しさんだよもん:04/07/04 01:26 ID:EWZfNXRC
>>166-167
ことみんがカレー料理を考案することで一件落着。

私案だが、例えば立川郁美とユズハの絡みなどはどうか。
病弱な身体で、いつまで生きられるか分らない二人。
その二人が出会い、励まし会うことでドラマが生まれる。
更に、病弱な妹を思いやる二人の兄同士の間で、静かな連帯感が
生まれる――というのはどうかな。
170名無しさんだよもん:04/07/04 01:34 ID:COk8THo/
ヒエンをシスコン化させるのか…って
雫やってないし。

郁美とユズハも面白そうだなぁ…って
こみパやってないし(ノ`д´)ノ~┻━┻
171名無しさんだよもん:04/07/04 02:28 ID:vY+RHleS
>169
カレーがないならチマクをお食べ〜、と
郷に入っては郷に従え形式でもいいではないでせうか?
どちらにしても食料庫から食料がなくなる日は近いですが。

病弱と言うなら氷上シュン・美坂栞等もいますね。
見えてしまう現実を否定するシュンor栞と、見えなくも希望を持つユズハ。
似た境遇でありながら全く異なる思考を持つ二人は、今まで身近過ぎて見えてこなかった、
数々の死を見てきた者・己が守る者の為に他者に死を与えた者・そして霊と化した者達
(原作で「死んだら〜になる」とか言われてましたが忘れましたw)
彼らの、お互いの言葉を通してハンデを背負った自分達の生を見つめなおしてゆく・・。
ややDarkな話ですがこんなのも興味深いかと。アリキタリデスカネ。

また自分はディースキーなので思ったのですが、
歴史を影で操作中のディーに誰か一人密着させてみるのも面白いではないでしょうか。
彼の行いを間近で見、その生き方に対する彼の心に問う傍観者。
己が世界の子供ではない為にどうしていいか分からず、
仕方なく傍観者と供に過ごすディー。

己が子供達を愛するが為に、唯一の友と呼べた者を失うディー。
そこでもまた彼の心を問う傍観者と、問う側を見つめる分身と呼ばれし者。
そんな二人の物語。欝話、ドウカナー(・∀・)
172名無しさんだよもん:04/07/04 03:22 ID:9ZHOzHXi
>>166-167
いや、待てよ…
何でカレーが無いとみさき先輩を断念せざるをえない無いんだ?
まさかこの世界に召喚するために必要なのは!ナンダッテー略
173名無しさんだよもん:04/07/04 03:33 ID:9ZHOzHXi
>>171
それだけ妄想できれば十分だ
それを形にするんだ
いや、ぶっちゃけ面白そうだぞそれ
174名無しさんだよもん:04/07/04 10:07 ID:c6O2y9JI
電波やプロクシは危険
175名無しさんだよもん:04/07/04 14:24 ID:Eu/yf7pq
期待age
176名無しさんだよもん:04/07/04 17:27 ID:am+qfy+9
うたわれの衣装を着て、夕日で赤く染まる稲穂の海を見ながら
風を受けることみ・・・絵になるなぁ。
177名無しさんだよもん:04/07/04 17:31 ID:EWZfNXRC
千鶴さんがうたわれ世界の衣装を着たら、前世の姿(リズエル)に近くなりそう。
178名無しさんだよもん:04/07/04 18:23 ID:prkSu+8B
石原麗子や篁や日戸暁は出し難い
179名無しさんだよもん:04/07/04 18:29 ID:N7MLB6pM
…記憶を失わせて出すとか
誰かさんみたいに
180名無しさんだよもん:04/07/04 19:31 ID:GttSQLRM
あの四姉妹は全員そうだな
神奈は、そのままオンカミヤムカイにいても違和感無さそう
時代系のキャラが動かしやすそう
181名無しさんだよもん:04/07/04 20:59 ID:2krMMCU0
柳也が二ウェについて戦ったりとかな。
182名無しさんだよもん:04/07/04 22:58 ID:j3w4xLRB
神奈と会う前ならともかく
会った後は共感しないだろう
大志とか…共感するかもしれないが・・・

誰彼勢は普通に強い敵あるいは死に場所を求めて傭兵してそうだ
この世界は彼らにはあってそう
183もしヌワンギが生きていたら:04/07/05 00:21 ID:+43Jv6T5
「ふむ…どうしたものか。」
月夜の下、このケナシコウルペと呼ばれている国。
その辺境の山道をどことなく歩く女性。
この世界の服を着てはいるが、その上から明らかに異質な…真っ白な白衣を着ている。
その女性…霧島聖は、ただ当ても無くこの世界を旅している。

戦に溢れているこの世界で彼女はその手腕を如何とも無く発揮し、多くの人々を救ってきたのだ。
そんな彼女は、自分の体が思うように動かない…
疲れきっている自分の身をただ恨めしく思う。
「ふぅ、少し休憩するか。」
そう言うと、側にあった手ごろな岩棚に腰掛ける。
周囲には虫達の声だけが聞こえ、いたって静かな夜だった。
聖はそんな中、少しだけ今の状況を愚痴る。

「まったく、やはり一人旅ってのも楽じゃないものだ…あの男は、こんなことを何年も続けていたのか。」
聖の脳裏に写るのは、一人の男。霧島医院の前で面白くも無い人形芸をしては、へこたれていた男。
そんな情けない男が劇をする様が何故か思い浮び上がる。
「ふん、もうあの家には帰れないのだ。思い出しても仕方ないじゃないか。」
そう言って、その鬱陶しい映像を打ち消す。
だが、その片隅にいる元気そうにはしゃぐ少女が消えることは無かった。
「佳乃…」
楽しそうに往人の人形劇を見る女の子。
そんな可愛い妹の姿を打ち消すのは、彼女にとって容易な事では無かった。
184もしヌワンギが生きていたら:04/07/05 00:22 ID:+43Jv6T5
「ええい、女々しいぞ!」
そういって、自分の頬を両の平手で打つ。
乾いた音が、静かな夜の中を鳴り響かせる。

「はぁ〜」
聖を知っているものなら首を傾げるだろうか。
彼女らしくない溜息を吐いては、座っていた岩棚の上にそのまま寝転がる。
視界には…空には、彼女の暮らしていたあの夏の町と同じ模様。
満天の星空が広がっている。
例え時代が変わったとしても、それは変わる事無くそこにありつづけた。
(……私は、このままでいいのだろうか。なぁ、国崎君。佳乃…)
自分の白衣を見渡す。
長い間着ていたせいだろうか、それはところどころに解れがあった。
(とりあえずは…医者としての責務を果たす。この世界には私を必要としてくれる人が多くいるのだからな。)
迷いながらもその道に進むことが、彼女を支えている。

「エル…ゥ……」
どこからとも無く聞こえてくる声。
「んっ?」
立ち上がりその声の聞こえてくる方向に近づく。
そこには一人の男。どことなく生意気そうな顔をしている。
聖は黙ってその一人語りを聞いていた。
「俺は…俺は…」
「この戦をやめるよう……頼んで……いや、
 何としてでもやめさせてみせる。」
「それがお前への、せめてもの…」
「っ!!」
彼方から飛んでくる光。それを聖は見つける。
そのうちの一つが男の背中に突き刺ささった。
呆然としてうめく男。ぐったりと崩れ落ちる。
185もしヌワンギが生きていたら:04/07/05 00:22 ID:+43Jv6T5
その様子を確認したのか、数人の男達がその伏している体に近づく。
各々の手には武器が握られている。
(ちっ、物取りか―――助けねばな。)
目の前で殺される男。そんな様子を黙って見ていることはできなかった。
「そこの男たち。死にたく無いなら…ここから立ち去れ。」
物陰に隠れていた彼女は姿を静かに姿を表す。
その両手には彼女の愛用のメス。片手に4本づつ。
計8本のそれは、月の光に反射してキラリと輝いていた。
男たちはその言葉に一瞬だけ戸惑ったが…直ぐに表情を元に戻す。
「はぁ?何で俺たちがあんたの言うことを聞かねえといけないんだ?」
「―――引かないなら…死ね。」
彼らの足元に飛ぶ4本の光。
それは寸分違わずに男たちのつま先の前に突き刺さる。
「っ、この女なめたまねを…俺達はただ奪われたものを取り返してるだけだ!」
(奪われた…?)
ふと、疑問を覚えるが、男達がその体に突っかかろうと、飛び込んでくるようすを見せる。
「動くなっ!」
一喝。動きが止まる男たち。―――彼女の手には既に一本のメスも無かった。

スタタタタッ

上空から彼らの目の前に落ちてくるメスの雨。それを合図に彼女は強く語りかける。
「どういう事情かは知らないが、お前たちが奪おうとしているものは二度と戻らないものだ。
 ―――それとも、私がそれをお前たちから奪って見せようか?」
そういうと、懐に両手を差し込む。
186もしヌワンギが生きていたら:04/07/05 00:23 ID:+43Jv6T5
お互いの次の手を読もうとする。
そんな沈黙が周囲を包むなか、明らかに男達に動揺が走っていた。
そして、均衡は破られる。
「っ、おい、引き上げるぞ。こんな女に構ってる暇は無い。」
そう捨て台詞を残すと、どこへともなく引き上げていく。
彼らは危険を冒して目の前の獲物を捕らえるよりも、次の機会を選ぶことにしたようだった。

安全を確認した聖がその気配を収める…そして脱力。
「…ふぅ〜。どうやら私は賭けに勝ったようだな。」
そう言って、両手を懐から取りだす。その手には何も握られていない。
彼女の懐にあるはずのメスは…底をついていたのだ。

直ぐに倒れている男に駆け寄る聖。様子を見るが未だに意識は無かった。
流れ出ていく血が彼の傷の深さを物語っている。
「くっ、これはまずいな。直ぐに応急処置をしなければ命に関わる。」
そう言うと聖は直ぐに処置の準備にかかった。
次第に血の気が失せて行く男。冷静に処置をしていく聖。

一人の男の運命は異世界からやってきた一人の女性にかかっていた。
187名無しさんだよもん:04/07/05 00:24 ID:+43Jv6T5
とりあえず、こんなのを放り投げてみる。
188名無しさんだよもん:04/07/05 00:35 ID:dgFQF/q0
聖だとあれだ…調教だな
あわれヌワンギ('A`)
189名無しさんだよもん:04/07/05 01:17 ID:+43Jv6T5
ヌワンギの後ろでメスをちらつかせる聖。
嫌でも丸くなると思うんだが…そんな妄想をさっと書いてみた。

ディーと合うキャラってどんなキャラだろ。
やっぱり無邪気系かなぁ。
190名無しさんだよもん:04/07/05 16:07 ID:ZbceFa9z
>>169
とっことっこ、すたすた。
廊下に響く二つの足音。
片方はゆっくりと、もう片方はスキップで。
エルルゥの部屋の前で止まる。

エルルゥ「あっ、ことみさん。みさきさん。こんにちは、そんなに嬉しそうにしてどうしたんですか?」
みさき「カレー♪カレー♪」
ことみ「・・・みさきさんがどうしてもって言うから。今日は私たちが料理を作るの。」
エルルゥ「(カレーって何だろう?)へぇ〜ちょっと楽しみです。どんな料理なんだろう?」
みさき「ふふふ、そ・れ・は、トップシークレットなのだよ。食べてからのお楽しみ〜。」
エルルゥ「うぅ、そんなに勿体ぶらなくてもいいじゃないですかぁ。」
ことみ「・・・えっと、エルルゥさんにお願いがあるの。」
エルルゥ「??あっ、材料ですね。好きなものを使っていいですよ。調理場の皆さんに伝えておきますね。」
ことみ「ありがとうなの。・・・それでエルルゥさんのお部屋にあるお薬を少し貰えるかな?ちょっとだけ。」
エルルゥ「えっ!そんなもの、何に使うんですか?」
みさき「それも秘密だよっ(満面の笑み)」
エルルゥ「何だか少し不安になってきちゃいました・・・大丈夫なんですか?」
ことみ「(にっこり)」
みさき「カレー♪カレー♪ふんふんふ〜ん♪」
ことみ「・・・えっと・・・これと・・・これと・・・これかな。うん。」
手早く材料を集めるとお辞儀をして
とっことっこ、すたすた。
二人は部屋を去っていく。
エルルゥ「(心配です――カレーかぁ。ハクオロさんなら何か知ってるかも。)
191名無しさんだよもん:04/07/05 16:08 ID:ZbceFa9z
その夜。いつもの場所に集まる人々。

エルルゥ「ハクオロさん。カレーって何か分かりますか?」
ハクオロ「うーん。記憶にあるような、無いような。ん?この匂いは?」」
アルルゥ「・・・くんくん。くんくん。」
トウカ「むっ。(すんすん)美味そうな匂いですなぁ。」
カルラ「あら、香ばしい匂い。」
エルルゥ「良い匂い。心配なさそうですね。」
ハクオロ「何だか懐かしい匂いだな。うむ、美味そうだ。」
ことみ「お待たせしたの。ご飯かお芋と一緒にどうぞなの。」
みさき「(うずうず。うずうず。)」

全員「「「「「「「いただきます!ぱくっ。」」」」」」」
「ぐっ」「ん゛!」「びぐっ!」「ぴっ!」「あら?」「・・・」「♪」

ハクオロ「この辛さは。み、水をっ!」
エルルゥ「あう、あう、あう、辛い、辛いですっ。お水〜(どたどたどた)」
アルルゥ「!!!???(全身の毛が逆立つ)ピコピコピコ(どこかへ去っていく音)」
トウカ「ぴぎゃぁ゛ぁぁぁ゛ぁ!!がら゛い゛〜〜〜!!み゛ず〜ぅ〜(ぐったり)」
カルラ「この辛さ。味があって・・・いけますわねぇ。うん、お酒が飲みたくなりますわ。」
ことみ「・・・ちょっと辛かったかも。・・・死屍累々?」
みさき「ぱく。ぱく。ぱく。ぱく。うぅ〜久しぶりのこの味。ぱく。ぱく。ぱく。ぱく。」
ことみ「みさきさん嬉しそう。泣きながら食べてるの。」

阿鼻叫喚の会食。エルルゥが水を持ってくるまでそれは続いた。
192名無しさんだよもん:04/07/05 16:08 ID:ZbceFa9z
ハクオロ「ふぅ〜。カレーとは辛いものだったな。しかし(ぱく)この後を引く味が止められない。
エルルゥ「うぅ、そうなんだけど、わたしには数口で十分ですよぉ。口の周りがひりひりします。」
アルルゥ「・・・(びくびくとしながら、遠くの柱の影からこっちを覗いてる。)」
エルルゥ「アルルゥ。こっちにおいで。――うーん駄目みたいですね。怖がっちゃってる。」
トウカ「うぅ。そ、某としたことが取り乱してしまうとは・・・かれぇ恐るべし。」
カルラ「私は、とても好きですわ。癖になりそう。」
みさき「カレーが好きな人に、悪い人はいないよ。ぱくぱく。」
ことみ「カレーはいろんな香辛料や、薬草で作るの。健康に良いから広めるといいかも。」
みさき「ぱくぱく。」
エルルゥ「へぇ〜、そうなんですか。それで私の部屋から薬を持っていったんですね。」
ことみ「(こくり)カレーは薬膳料理でもあるの。」
みさき「ぱくぱくぱくぱく。」
ハクオロ「なぁ、先程から気になっているんだが。」
みさき「ぱくぱくぱくぱくぱくぱく。」
トウカ「・・・みさき殿、少し食べすぎではござらぬか?」
みさき「(聞こえていない)ぱくぱく×∞」
ことみ「・・・異次元?」
ハクオロ「おいっ!誰かみさきを止めるんだ!」
エルルゥ「みさきさん!しっかりしてください!みさきさんっ!」
みさき「美味しいよぉ。嬉しいよぉ。ぱくぱくぱく・・・・・・おかわりっ!!」

その勢いは余分に用意しておいた全てのカレーを食べ尽くす。
この世界からカレーという存在は消え失せる事になった。
193名無しさんだよもん:04/07/05 16:12 ID:ZbceFa9z
辛い話を書いてみました。

後日談

カルラ「そういえば、私にその作り方を教えてくださらないかしら?」
ことみ「うん。これとこれとこれを用意して・・・」
みさき「カルラさんとは良いお友達になれそうだよ♪」
194名無しさんだよもん:04/07/05 17:08 ID:sqqBI4in
カルラが作るのかっ!Σ( ̄□ ̄;)
すんげーオリジナリティ溢れる一品が出来そうだな…。
195名無しさんだよもん:04/07/05 17:33 ID:XW8lCjsT
     /|\       /|\
    / | ⊂l⊃⌒⊂l⊃ |  ヽ
    ( |  __/ヘ/ヘー-、_ |  |    でじこもうたわれの世界に逝くにょ〜!
 __  _√ /__N   \ / ⌒ヽ_
/ c ) / \N ヽ  、/l   ||  ( っ ヽ
ヽ   ( ( N >  < ノノl ノヽ/   ノ
 \/ヽN(  | ̄ ̄|  ノノ /\ /
   \/ \ ヽ_ノ  ノ /\/
    \( ̄/⌒ ヽ ' ̄)   /
      ( |  t   | ー )/
       ) ヽ_ |__/  (
196名無しさんだよもん:04/07/05 20:13 ID:yQHRRYvz
うたわれはまたーりと殺伐が混在してるのが(・∀・)イイ!!
197名無しさんだよもん:04/07/05 20:44 ID:ZqOoMY2u
祐一「とは言ってもなぁ…こんなだだっ広い中で同類探すのは…」
様々な獣耳が闊歩する中、祐一は途方にくれていた。
右を向けば犬耳、左を向けば猫耳、正面には狐耳。
その手の趣味がある人間にとってはまさにパラダイスだが、祐一にはそんな趣味はなかった。
祐一「仕方ない…地道に聞き込みしていくk」
??「ねこーねこー」
??「ヴフォォォー!!」
祐一「ん?なんだ…」
…ドドドドドドド!!
名雪「ねえぇェぇえごおぉォぉ雄雄雄ォゥッ!!」
ムックル「ヴ、ヴォォォォ――――ン!!」
祐一「ふぶしっ!」
100メートル7秒を切る超速に巻き込まれ、祐一は華麗に宙を舞った。
住民A「また出たな…ネェゴォ様」
住民B「オイデゲ様に次ぐヌグィソガミ…今日の犠牲者は迷人か」
祐一「(ピクピク)な、名雪…?ガクッ」
198名無しさんだよもん:04/07/05 21:31 ID:IfZPtI85
まさにその手の趣味がある人間の典型だな
というか幸せの海に溺死するんじゃないのか?
199名無しさんだよもん:04/07/05 22:17 ID:IfZPtI85
大志「まぁぁいぶらざぁ〜!よ〜く見ろ!この天国のような国を!」
和樹「何だこりゃ!あっちを向いても、こっちを向いても…獣耳かよ!」
大志「こんな経験滅多にないぞ!さぁ、書け!書くんだ!力の限り!吾輩たちの勝利は間違いないぞ。」
和樹「美味しいネタが所狭しと…良く分からんが書くぞっ。」
和樹のペン先が疾風の勢いで動く。
空に飛び交う原稿用紙。

大志「次のこみパは貰ったも同然!だああはぁっはっはっ。」
和樹(そういえば俺たちは何でこんなとこに…っておい!)
見渡すと…道のど真ん中に作業台。周りには怪しむ人々。

大志はツンツンと背中を突付かれる。
大志「あぁ?五月蝿いな。今、吾輩は忙しいのだ後だ後。」
もう一度突付かれる。
大志「ええいっ、うっとおしい!いい加減に…ま、まぃぶらざぁ〜。くっ!」
和樹は両手を挙げていた。―――兵士達の槍の穂先に首を挟まれて。

兵士「面妖な連中を連れてきました。ニウェ様。」
ニウェ「ふむ、この者達か…ひ弱な迷人達よ。生きたければ――何でも良い実力を示せ。」
和樹「おぃ!大志。何かいい手は無いか?俺はまだ死にたくないぞ。」
大志「(吾輩たちにできる事は…!)和樹…漫画だ。漫画を書け!」
和樹「(そんなもの…意味あるのか?)あ、あぁ。分かった。」
ニウェの顔を見るとささっとそれを題材に一つ書く。
勇ましき獣耳の皇の戦い。唸る槍。倒れ伏す敵。
大志「これでどうだっ!」
バサッとそれをニウェの顔に叩きつける。
兵士「ぶ、無礼者!!聖上!こやつら切って捨てましょう!」
ニウェ「ほう。……フン、お前たちに余の専属宮廷絵師を命じる。余の戦う様をしかと記憶せよ。」
大志「エクセレントだ!まぃぶらざー和樹。吾輩達は助かったようだ。」
和樹「マジかよっ!」
200169:04/07/05 23:46 ID:AetkuoAc
ちょとディーのシナリオだけ、構想が浮かみました。

無邪気(?)キャラとするなら、特ダネだとかドキュメンタリーとか
言って記者魂を発揮し、密着取材する志保。
シリアスキャラとするなら、
ゲーム題名とも・役割とも韻を含ませる事の出来る
「見届ける者」石原麗子というそれぞれのキャラ設定。(誰彼の麗子シナリオの副題です)
個人的には麗子の超設定を小さくし、麗子の性格は飽くまで
傍観者的で冷静であり、好奇心を持った人間風とし、
能力もディーと対等・又はやや劣る程度の能力とすれば
ディー自身からの興味も引く事が出来るし、面白くなりそう。
・・・・なのですが、どちらも最終的にはディーの心に迫る為、シリアス
になるのは確実。しかし



今のこの葉鍵学園風の空気壊したくないのでどうしましょうw
とりあえず流れに乗るぜヒャッホーイ!

201名無しさんだよもん:04/07/05 23:47 ID:nMyOhMhs
いっその事、うたわれ仮想戦記にしたら盛りあがらねぇか?
ニウェも出てきたし。
202200:04/07/05 23:47 ID:AetkuoAc
〜とある森の中にて〜

冬弥「目が覚めたら森の中とは参るなぁ」
彰「僕の夢の中にどうして冬弥が出てくるんだ、と思ったら実際は別世界にワープ。
とか小説もびっくりなんだもんね。」
冬弥「俺が出てくる前はどんな夢だったん・・っていい、その残念そうな顔から大体分かる。」
彰「何で分かるんだよっ!(顔真っ赤)」
冬弥「それにしても、何かこう、開放感がないか?」
彰「(まだ怒り気味)そりゃぁこんな大自然の中にいたら感じるかも。
星も都会とは比べ物にならないほど綺麗だし・・。ここで一生ってのも悪くないかもね。」
冬弥「そうじゃなくてこう・・肩の重さが取れたような。」
彰「ふぅん・・。(でも美咲先輩のいない世界なんだよなぁ、ハァ)」

(その頃二人の真上の木の枝に立つ影)
嫉妬マスクY(違うスレだろうと・異世界だろうと、
         冬弥君の浮気は大自然に変わって許さないからね・・・。)
203名無しさんだよもん:04/07/05 23:52 ID:IfZPtI85
学園スレぽい雰囲気と、戦記や、世界に対する葛藤。
その両方が書けるのがうたわれ世界のいいとこだろうな。

ともってたら何か来てるし…
Yは浮気した途端、冬弥の首を飛ばしそうだ((;゚Д゚)ガクガク
204名無しさんだよもん:04/07/05 23:54 ID:nMyOhMhs
大局的な話も欲しい、ことみの話みたいな。
205名無しさんだよもん:04/07/06 00:03 ID:WU2jgJR9
神奈とクーヤを会わせてみたい…
キャラ被ってるけど何故か気が合いそうだ
206名無しさんだよもん:04/07/06 00:55 ID:1iNIB0Hl
東国、ナ・トゥンクの海岸線を光岡悟は歩いていた。
海からの強い風が彼の着ている外套、そして銀色の髪を靡かせる。
その目前に見える数隻の船。それは小さな港に停泊していた。

あれは…そうかこの国では奴隷を扱っているのだったな。
この世では弱き者にはあのような運命しか残っていないのか。
俺は…彼らを救うべきなのだろうか。
光岡悟は自問自答する。胸の奥に、仙命樹の熱さを感じながら。
自分がこの世界でやっていくべきことを。
奴は…蝉丸は、この世界にいるのだろうか。

光岡はそう自分に問ううちに、無数の気配が船を取り囲み始めることに気付く。
かっての戦場で培われた経験が彼に意識させることなくそうさせる。
この気配は…多いな。数人の影が港の中に忍び込んでいくのを見る。
気配を殺して近づき様子を見る。右手で愛用の刀の感触を確かめる。
場合によっては使うか…むっ?
奴隷船から一斉に上がる火の手。それは夜空を燃やす。
そんな混沌とした中。一人の若者が指揮を取っているのが見えた。
後のこの国の皇となるデリホウライ。その人だった。
これは…叛乱か?賊にしては統率が取れている。
少しずつ救出されていく奴隷たち。
若き指導者は、彼らを守りつつ後退していく。
その背中を狙う、暗い影。
―――っ!
光岡は闇の中をかける。漆黒の闇は彼ら仙命樹を持つものに大きな力を与える。
一閃。真っ二つにデリホウライの後ろから近づいてくる影を両断する。
突然の乱入者に驚き、後ろを振り向く。そこには銀色の長髪。
「なっ、お前は何者?」
「光岡悟。義はお前に有る。―――助太刀させてもらうぞ。」
この世界での彼の戦いはここに始まる。
207名無しさんだよもん:04/07/06 00:59 ID:1iNIB0Hl
勝手に叛乱軍に加えてみた(´・ω・`)
強いキャラはマクロに一般人はミクロに書いていくと面白いか?
208名無しさんだよもん:04/07/06 01:00 ID:1iNIB0Hl
後、学園風の流れを断ち割ってスマソ
209名無しさんだよもん:04/07/06 01:36 ID:RBnOUd2y
うたわれってデカイ国のイメージは

トゥスクル+デリホウライの国+カミュ・ウルトの国
ニウェの国とその周りの小国
クーヤの国とその周りの小国

この三つだから、その辺りの時代設定が面白いんじゃない?
210名無しさんだよもん:04/07/06 02:11 ID:1iNIB0Hl
エルルゥ「ヌワンギ、ごめんなさい…」
ヌワンギ「あん、何だってんだよ、エルルゥどうして俺から遠ざかっていくんだよ!」
エルルゥ「わたしは、ハクオロさんについて行くって決めたの…」
ヌワンギ「何で…何であんなクソ野郎なんかに…待て、いくんじゃねぇ!」
エルルゥ「だから…」
ヌワンギ「ちきしょう。何で何でなんだよ!頼むからその先を…」
エルルゥ「さようなら。」
さようなら。さようなら………

ヌワンギ「エルルゥ〜〜〜!!!!」
ヌワンギ「ぐっ、あっ。っ!!――――夢か…お、俺はどうしたんだ?」
聖「むっ、気が付いたか。ふん、中々元気そうじゃないか。」
ヌワンギ「あん?…あんたは?」
聖「私の名前は霧島聖。旅の途中で倒れてるお前を見つけた。まぁ、感謝するんだな。」
ヌワンギ「ふん、俺は助けてくれって言った覚えはねぇが?」
聖「ほう、命の恩人にそんな口を聞くとは、相当性根が曲がっているようだな。」
ヌワンギ「…ちっ。どうせ俺は、曲がってるさ。ふん、そんな事は…」
聖「―――訳有りのようだな。全て話せ。今ここで。」
ヌワンギ「ああん?何でお前みたいな知らねぇ奴に…ひぃぃぃぃ。」
聖「(両の手でメスを構えながら。)とにかく話せ…お前もそれを望んでいるはずだ。」
脅されながらも今までの事情を話す。

聖「ふむ、そうか。――よし決めた。お前は私の助手になれ。私の旅について来るんだ。」
ヌワンギ「だ・か・ら!何で俺があんたみたいなおばんについて行かないとって…や、やめっ!」
スタ!スタタタタタタタ!ヌワンギの周りに突き刺さる8本のメス。
聖「おまえに選択権は無い。私がその性根を叩き直してやる!!」
ヌワンギ「ちっ、ちくしょう、何で俺がこんな目に。」
聖「それになお前はこの国にいると命は無い。それが分からないほどお前の脳は腐っているのか?」
聖「そして、今のお前がエルルゥとかいったな。その娘に顔を合わせる資格があると思うのか?」
ヌワンギ「―――ちっ分かったよ。あんたについて行けば良いんだろう。はぁ〜。」
聖「あんたじゃない、聖さんだ!」
―――こうして二人の珍道中が始まる。
211名無しさんだよもん:04/07/06 02:13 ID:1iNIB0Hl
という訳で、だれかヌワンギを調教してやってください(`・ω・´)
212名無しさんだよもん:04/07/06 06:48 ID:Q1tK1MGk
―――手首に食い込んだ荒縄が痛い。
床が揺れるたび、春原芽衣の顔が歪む。
今、芽衣は体を布でくるんだだけの裸同然の格好で座らされていた。
周囲には似た境遇の女性が大勢いる。
(悪い夢だよね・・・そうだよね、お父さん、お母さん、お兄ちゃん)
家族の顔を思い出すことで現実逃避をする。
だが、女性達から微かに聞こえる嗚咽が芽衣の心を現実に引き戻す。
彼女がこの異世界に来たからたった一週間。
浜辺に寝ているところを奴隷商人に発見され、そのまま商品として船に乗せられていた。

「あなた、泣いてるの・・・?」
突然、女性が一人近づいて声を掛けてくる。,
これまで、芽衣の方から何か問いかけても誰も答えてくれなかった。
他人に構う余力は彼女達に無い。
また、獣耳を持たない芽衣は異様な存在として人々の目に映っている。
もっとも、それ故に芽衣は清い体のままでいられたのだが。
「大丈夫かしら」
その女性は優しく囁き、いたわるようにそっと抱擁をしてくれた。
「う、うう、うああああああ・・・」
芽衣は女性の豊満な胸に顔を埋め号泣した。
この世界に来て初めて人の優しさに触れた気がした。

女性は悲しげにそんな芽衣を見つめていたが、ふと何かに気づいたように顔を上げる。
「嵐が来る? それも、とても大きな・・・・・・」
その女性、カルラは芽衣を抱く腕に力を込めた。
213名無しさんだよもん:04/07/06 09:13 ID:czg4JCfY
―手首に食い込んだ〜

にて、思わず調教中のヌワンギを思い浮かべてしまった漏れがいる。
_「|●アハハ

214名無しさんだよもん:04/07/06 09:24 ID:nOJBOITl
芽衣に何しやがる〜って春原が飛んできそうな勢い
この後嵐に会って、二人はトゥスクル行きか
(・∀・)イイヨイイヨ
215名無しさんだよもん:04/07/06 15:17 ID:ekis1sfx
ディー・麗子シナリオ、大学さぼって書いてみました。

二人とも本編とは大分性格違ってますw
麗子は本編を思い出しつつ説明書を見ながら書いたのですが、
70%ほど郁未になってしまいました。
麗子の素の顔に関して、おまけ小劇場を参考にしたのが原因です。
_「|●メンゴー

ディーに関してはまぁまぁいい感じになったと思いますが。

中盤でちとグロいかも知れない描写があるので注意お願いします。
また世界設定にこれ以上関与し過ぎない様、
オンヤミカムイ壊滅の所でしばらく侵攻させないようにしました。

書き手ヘタレですがどうかお許し願います。

それでは投下致しまする・・。
216見届ける者〜其の1:04/07/06 15:19 ID:ekis1sfx
火が燃えている。

その炎は、この場所で戦いが起こる前にあった全てのモノ、
人の営みの象徴たる家屋・畑を耕すための農耕具・
食料・家畜・鋼の兵器に全く歯がたたなかった矛やら剣やら。

そして敗者を焚き木としている。

側に一人の男が立っている。
猛々しく燃えるその炎に、端正な男の顔と立派な白い羽が朱く映ゆる。
年は20台後半だろうか、知性を感じさせながらも、
どこかまだ幼い所が見受けられる。

―しかしそれは容姿に限った場合―
端正な顔は不毛過ぎる戦禍を目の前にしても決して微動だにせず、
『かつて』の故郷に対する哀しみもなく、
その故郷を滅亡させた者に対する怒りも、憎悪も、人としての感情は見つけられない。
そこにあるのは自らに課した仕事を終えたという事しか存在しない。

何故なら彼の『精神』は人ではないのだから。

彼の印象を例えで表すとするならば氷。
しかし朱く暴力的炎と対照的なその無慈悲な氷の中に、
自分の子供を思いやるこの上ない愛が存在するなどと、誰が思うであろうか。

ヒエン「こんな所にいらっしゃいましたか。」
男「・・・制圧は完了したようだな。」
ヒエン「ええ、第一の懸念であったオンヤミカムイの撃破。
    これが成功した事で、残る障害はハクオロ皇のいる
    トゥスクルぐらいでしょう。」
217見届ける者〜其の二:04/07/06 15:20 ID:ekis1sfx
私は深い水底から意識が浮かび上がってゆくのを感じた。
その覚醒と共に知覚したのは、
背にする草の柔らかさ・どこか遠くで鳴く梟と思われる鳥の声。

―何故私が地面の上に寝ているのかしら。しかも察するに森の中のよう・・。
確か何時も通り高子さんが来る前に開院の準備をしてたら、
唐突に眠気が襲ってきたんだったっけ。この私が居眠り、何て大失態。
どうして私がこんな所で寝てるのかは知らないけど、
早く起きて準備しないと――――?!

目を開けるとそこに広がるのはやはり森、時間は夜のようだがさほど暗くはないので
奥深くではないようだ。辺りを見回してみるが自分の病院など見つかるはずも無い。
大分混乱しながらも、次第に事態を認識し冷静さを取り戻したのは
さすがと言うべきか。夢ではないのは肌に感じる草の柔らかさから否定しようがない。
まず彼女は今日の開院は無理だと言う事を認めた。
次にこの場所が自分の街ではない事も。

幸い近くに未舗装ではあるが道を見つけたのでそれを北に向かってみる。
途端、やや遠くの方から戦の叫び声が聞こえてくる。
鉄の武器が触れ合う音・死を振り切ろうとする兵士の悲鳴・巨大な兵器の足音。

戦争だけならイラクかどこかかと思えるが、ここは砂漠ではない。
しかし銃器の音が聞こえない事で一つの事実を知る。
―場所はともかく時代すら違うようね。足音は何だか分からないけど。
ま、どうやってここに送られたのかも・帰り方も分からないし、
とりあえずここがどこだか聞きに行ってみようかしら。
彼女は全てを受け入れた。―こうした事態に慣れているかのように。

距離が縮まる度に叫び声は大きくなるはずなのに、声は段々と弱まってゆく。
戦いが終わりかけなのだろう。―10分程歩くと最早声が聞こえなくなった。
218見届ける者〜其の三:04/07/06 15:21 ID:ekis1sfx
所どころに燃え盛る炎が見られた。鎧を着た異国の兵士の死体も。
その遺体をしばらく観察した後、彼女は舌打した。
―世界すら違うのね。
??「何者だ!」
麗子は振り向くと、そこに血に塗れた巨大な鋼鉄の巨人が佇んでいるのを発見した。
終戦後の敗残兵狩りをしていたらしい。
―さっきの足音の犯人ね。ロボット・・・というよりはモビルスーツ?
 客が少ない時に適当に見ていたロボットアニメを思い出した。
麗子「民間人よ。」言葉は通じるようなので普通に喋った。
この世界には来たばかりだし、死体に対する義理もないので無難な答えにした。
アヴ・カムゥ兵「ふん、その異国の服。迷い人か。異形の者と噂には聞いていたが、
直に見ると普通の人間だな。」
―あら、私が普通のニンゲンに見えるの?。まぁいいわ。
それよりマヨイビト?この異世界に私以外にも来た人がいるみたいね。
同じ世界の人とは限らないけれど。
麗子「普通だとか、年若き美人に言う台詞じゃないでしょう?それより私はこの世界に
来たばかりなんだけど、色々教えてくれないかしら?」
アヴ・カムゥ兵「はは、これは失礼。だが・・・主の要求に応える事はできん。
まず拙者はこの地域に存在する他国の者、全てを亡骸に変える任務を受けている。」

瞬間、巨人の腕が暴風を起こす。「だから応えても無駄になると言う事だ!」

麗子が1秒前にいた場所を巨大な剣が薙いだ。

アブ・カムゥ兵「な、避けただと?!ええい、どこに隠れた!」
そこには真っ二つになった女の死骸があるはずであったのに、
切った手応えすらなかった兵士は不安に襲われ、うろたえながら辺りを見回す。

―哀れなるは。任務に忠実であった、上司譲りの兵士の生真面目さか。
―それとも異形の者と話しながら、噂を噂と見過ごしてしまった故か。
219見届ける者4:04/07/06 15:22 ID:ekis1sfx
アヴ・カムゥ兵「ひぃぃぃぃぃぃ!」

―突如鋼が軋む音がする。
 見ると巨人の右腕の肘の辺りの部分が麗子に握られ、10分の一ほどに小さくなっていた。

―そして兵士自身の腕は、巨人の腕の圧縮に巻き込まれ
 鎧の隙間から血や肉を噴出しながら今や布切れのようになっていた。
 兵士は激痛で動くことすらままならない。

麗子「他人の質問にはきちんと答えなさいってお母さんから聞かなかったかしら?。」
―異世界だから聞いてないのかも知れないわ。

―麗子の手が兵士の左腕を掴むと右腕と同じように圧壊された。
  更なる痛みに兵士の脳は最早悲鳴を上げる事しか許さない。

麗子「多分他の兵士に聞いてもあなたと同じになるでしょう。任務に忠実で軍隊の鑑だわ。
だから話が良く分かっていそうな、それでいて聞いてくれそうな貴方の上司の居場所、
教えてくれないかしら。この辺りにはあなたの軍しかいないみたいだし。」
―息も絶え絶えになりながら、兵士は述べる。
アヴ・カムゥ兵「き・・・さ・・・ま・・、ばけ・・・もの・・か。」

麗子「だから、そういうのは女性に言う台詞じゃないでしょう?」
少し顔に笑みを浮かべる。

―今度は両足が縮んだ。

麗子「話せば楽にしてあげられるけど?。」
―兵士は最早考える事も出来なくなっており、そこには軍人としての理性等存在せず、
本能のみを通じて『楽になれる』という言葉に従った。

朦朧とした兵士の意識は、兜に両手が添えられたと知覚した直後、世界が一回転した。
―そして事実、痛みを感じることは永久になくなった。
220見届ける者〜5:04/07/06 15:23 ID:ekis1sfx
麗子は血を廃墟となった民家の水瓶の水で洗い落としたあと、
兵士から聞いた場所へ向かった。
現状を知る宛がついた今、無駄に兵士と付合う事もないので
見つからぬよう隠形で歩きながら、色々と思考してみていた。

―つい剣なんか向けてくるから頭に血が昇っちゃったわ。
全く、いつもだったら無駄に殺し何かしないのに。
鎧を脱がしてでも気絶させて、拷問するとかして聞き出せば・・・。ウフフ。
ああ、でも器具がない・・って、

―冷静になれたと思っていたのに案外まだ混乱しているようね。
成り行きとは言え、剣を向けてきたとは言え、
まだ何も知らないこの世界で人を一人殺してしまった。混乱するのも無理ないか。

誰が何の為にこの世界に私を送り込んだのかは知らないけど、
探し出したら責任取ってもらいましょうか。

まず今やるべき事は、

第一にこの世界について知ること。何時になったら帰れるか分からないから
しばらく暮らすことになりそうだし。
第二に私と同じような境遇と思われる『マヨイビト』と会って話を聞くこと。
この世界に来た理由が分かるかもしれない。
第三に寝る場所と食べ物のある所を探すこと。
空気は涼しいけどこう歩き詰めじゃいい加減疲れてくるわ。
第一と第三についてはこれから会う上司さんに解決してもらいましょう。
言うこと聞かなくても聞かせてみるわ。ウフフ。

―そして目的の場所を木陰から覗いた時、ウサギ耳の指揮官らしき男を
発見すると共に、常人には分からない 異質な気配を持つ男を見つけてしまった。
―でも最初に頭に浮かんだのは・・・ 
      『中々いい男』だった。まだ混乱してるとは。最早自分に呆れ果てた。
221名無しさんだよもん:04/07/06 15:23 ID:ekis1sfx
男「我は主達に力を与えた。契約に反せぬ限り自由に使うが良い。
 だが、今しばらくはこの均衡を崩さぬよう。」
ヒエン「は。では後始末もありますので某はこれにて。」
そう言って指揮官は部隊に戻っていった。
指揮官が去っていった後も、羽を持つ男は炎を眺めていた。
―空蝉・・・。元は我と同一でありながら思考を事にし離れた存在。
 いや、空蝉にとっては我のほうが離れた存在か。
考えながら男は苦笑する。
―噂によれば名君と名高いようだ、それでこそ我が空蝉ではある。
 彼奴の国に辿り着く前に、まだ残る様々な国の抵抗もあろうがそれについては
ほぼ問題あるまい。やはり難関は彼奴の国か。
 今はまだ、クンネカムンも急激な侵攻により戦力が分散した為国力は疲弊。
アベル・カムルも数が減りしばらく他国への侵攻はできまい。
しかし態勢が整った時、彼奴の国・・トゥスクルとか言ったか、が周囲の国と共に
どう出るかが興味深い。
敗北し、空蝉が眠りに着く。それも良し。
連合し、クンネカムンを打ち破り、我が再び眠りに着く。それも良し。

最終的に求める物は、主(ぬし)と変わらないのだから。

―ただ・・・気になることといえば、最近増えているという『迷い人』か。
異世界より到来し、様々な思惑を持ってこの世界に関与していると言う。
我が唯一与り知らぬ人々。我々は神と呼ばれし者であるというのに与り知らぬ者。

男は再び苦笑する。

元いた世界の進んだ技術を伝え、歴史を変えてしまっている者もいるとか。
―まるでお主の様だな、空蝉よ。

そこまで考えたとき、男は不意に何者かの気配を感じた。
222見届ける者〜7(上のは6です):04/07/06 15:24 ID:ekis1sfx
木陰から女が出てくる。

麗子「あなたがこの軍の大将さんかしら?」
ディー「・・・・主は・・、迷い人か?」

見慣れぬ服装、そしてこの世界の住人とは明らかに違う容姿。
しかしそれ以上に身に付随する、『空気』が

この世界のヒトとは違っていた。

麗子「私は何も知らないんだけど、さっき会った兵士がそう言ってたわ。」
ディー「我も噂に聞いていたが、初めて会うのでな。そうか・・。」
数秒ほどの沈黙。
麗子「さて、今言ったみたいに私は何でこの世界に来たか、
   又は送られたか知らないのよ。仕事の準備してたら眩暈がして、気付いたら
   こっちの世界にいたって感じでね。
   で、やっと生きてる人間に会えたと思って尋ねてみたら、
   任務に忠実な融通の利かない兵士さんで私に喧嘩を売ってくれたわ。」
ディー「兵士については我は問わん。軍には関与してないからな。
   一応主に喧嘩を売った兵士には哀悼の意を表するが。」
元来無口であるはずの彼は、急激な展開により多少、饒舌になっていた。

麗子「結局兵士の人は私の質問に知的な答えはしてくれなかったから、
お偉いさんの貴方方の居場所を聞いて、この世界の事を聞こうと思ったの。」

―迷い人は皆知らずにこちらへ送られているというのか
 何の為に、何者が送ってくるというのだ―

麗子「さっきの兵士の時は・・・ついカッとなってやってしまったけれど、
   今は(比較的、何だけどね)落ち着いているから
   貴方が何もしない限り私も貴方に攻撃したりしないわよ。」
ディー「我も主に興味がある。」
223見届ける者〜8:04/07/06 15:25 ID:ekis1sfx
麗子「一応取引は成立したみたいね。」
ディー「一時的なモノかも知れんがな・・。」
―お互い未知の存在でもあるのだから、安易に信用出来る筈が無い。

麗子「そうね・・。でも私自身も貴方を見てると、
   どっかの無口な軍人さんを思い出して興味が湧いてきたから、
   案外長続きするんじゃない?」
―その銀髪とか、無愛想な所とか偉そうな口調とかね。

ディー「ほぅ。私に似ている者が主の世界にはいるのか。」
麗子「あっちの方が弄び甲斐はあったけどね。
   とりあえず・・、
   どこか休む場所に案内してもらえないかしら?
   こんな所まで歩いてきて汗と埃で気持ち悪いのよ。」
―ディーは大神たる自分にこんな態度を取れる相手がいる事に、多少の驚きを
  感じていたが・・
  
  その悪びれない相手の調子を嫌ってはいない事にも気付いた。

ディー「では、主が一休みしてから改めて質疑の場を設けることにしよう。
    空を飛んでゆくのだが良いか?」
麗子「歩くよりは、私は絶対楽だし。何より楽しそうだからOKよ。」
ディー「・・・・途中で落としても知らんぞ。」
麗子「その時は貴方の羽を掴んで道連れにするから大丈夫。
   第一落ちても死なないし。」

ディー「ふっ、中々に楽しませてくれる。
    所で名前を聞いていなかったな、我はディーと言う。」
麗子「石原麗子よ。」

―こうして、異世界よりの来訪者は
 大神と呼ばれし者と共に初めて夜空を飛翔した―
224見届ける者作者:04/07/06 15:30 ID:ekis1sfx
とりあえず今書けるのはこれだけでした。
皆さんの意見を聞きつつ、
他の書き手さんのを見て精進しつつ、
(自分では大分抜けてる点があると認識していますので。)
構想が浮かべばまた書かせていただく事があるかも知れません。
では・・

(´・ω・`)ノシ
225名無しさんだよもん:04/07/06 16:28 ID:PTKmJJPZ
遠野志貴がうたわれの世界に逝って直死の魔眼で大暴れするSSきぼんぬ
226名無しさんだよもん:04/07/06 17:08 ID:nOJBOITl
なるほど、結構合いそうだな
誰彼やってないから分からないけど
下手に戦に手を出さないぽいし、良いんじゃないかな

俺はクーヤ様をトウカ〜
227自由:04/07/06 17:11 ID:nOJBOITl
見渡す限りの草原の中、空を見上げる小さな影。
顔を繊細な意匠が拵えてある頭巾らしき物で隠してはいるが、月明かりがその姿をどこか儚く見せる。

西の大国クンネカムン。その国の若き皇。
アムルリネウルカ・クーヤ。
少女は一人、誰もいない草原の中、物思いに耽る。

遠い、遠い過去に出会った遠国の男。
一代にして、国を起こし瞬く間に東の一強国とした皇。
月明かりの下での密会。
幾度となくその皇と会話するうちに彼の人となりが染み込んでくる。
彼は賢く、そして強き皇だった。全ては民のために、その為には自分の身をも投げ出す。
…そう。彼は何よりも優しかったのだ。
そんな男に彼女は信頼すべき何かを、そして…親愛以上のものを感じていた。

しかし、世界が二人を分け隔てる。
片や西の大国。そして東の新興国。
クンネカムン自体も新興の国ではあったが、その『忠実なる者』として与えられた力は強大で、
既に西の地は彼等民族によって支配されていた。
だが、そんな国民達は同様に急進してきた東の新国家に脅威を感じる。
彼らの民族――シャクコポル族は、『大いなる父』にもっとも愛されているとされ、
人種単体としての力を持たない彼らは、同じ『大いなる父』を信仰する他の民族に妬まれ、迫害されつづけていたのだ。
その長い間抑圧されていた意識が、開放され内に住むものを征服しきった今。
それが外に向かうのは仕方のないことだった。
また二つの国の間では、それぞれ信じる物が異なっていた。
シャクコポル族そしてそれに連なる者は、『解放者』ウィツァルネミテアを。
ウィツァルネミテアを信仰する者は『大いなる父』オンヴィタイカヤンを。
お互いに禍日神としていた。
宗教間の相違は憎しみを生み、戦いの原因となる。
228名無しさんだよもん:04/07/06 17:12 ID:dBGwhlaC
まああれだ、初っぱなからRRがあったり「?」のあとに「。」があったりする以外はGJ
続きを楽しみにしておりますノシ
229自由:04/07/06 17:13 ID:nOJBOITl
彼女は暴走する重臣達と、そして何よりも民意に押され、この世界を統一することを決意する。
―――その胸に、葛藤を抱えながら。

「…ハクオロ。余はそなたとは争いたくなかったのだ。」
彼女は誰もいない草原で呟く。
抑圧され、虐げられてきた国民達の皇として
素顔を隠してまで威儀を保ちつづけ、民達を指導していかなければならない事に対する重圧と、
彼女を慕ってくる民達を進んで導いて行くという責任感と、
彼女自身のハクオロに会いたいとする私的な思いが心の中で交錯し、彼女の精神を不安定なものにする。
少女の心にはそれはあまりにも重過ぎたのだ。
そして彼女は時々こうしてふらふらと一人宮廷を抜け出しては、この大自然の中に身を投げ出す。

それは二人がかって見た時と変わらずにそこにあった。
「美しい月だ…ハクオロも遠いトゥスクルの地でこれを眺めているのであろうか……ハクオロ。」
例え二人の立場が変わろうと、世界が滅びてしまおうと、
そこに在り続けるであろう月を見てクーヤは感傷の海に浸り続ける。
誰もいないこの闇の中だけが彼女の本心を晒しだし、そして、彼女自身を癒す。

そんな彼女の表情は頭巾がその顔を隠しており、見ることはできなかった。
230自由:04/07/06 17:15 ID:nOJBOITl
「―――本当に綺麗な月だ。こんな夜はノンビリと散歩したくなるよね。」

突然彼女の後方から投げかけられる言葉に、クーヤの心臓は跳ね上がる。
「なっ、そなたは何者!――余を狙う刺客の者か?むっ。」
月明かりがそこにいる少年の姿を照らし出す。クーヤと同じ程だろうか。
年端もいかないその体を見て、その考えを打ち消す。
「そなたは…迷人か。こんなところで何をしておる?」
「言葉のままだよ。本当に月が綺麗だ。ここで寝転がっていると…落ちてきそうなぐらい。」
そういうと、ドサッっと音を立て、その言葉どおり草原に横になる。
「変わったことをいう輩だな。そなた、名は?」
「僕は…名前が無いんだ。みんなは少年と呼んでいたけど。」
「――そうか、すまない。余の配慮不足であった。許せ。」
みんなは呼んでいた…そして、名前が無いと言うことに失言をしたと感じたのであろうか。
少しだけ語気が衰える。
「はは、気にしてないよ。何より僕はその代わりに『自由』を手に入れたのだから。」
「自由…か。」
それは産まれながらにして皇族であったクーヤにはもっとも遠い言葉。

「僕には勿体無いものだけどね。」
その打消しの言葉にクーヤは愕然とする。
「それは…何故だ!?そなた。…少年はそれを望んでいたのではないのか?
 だからこうやって、お前の好むこの月夜の晩を歩いているのであろうに。」
「そういえば、そうかもしれないね。でも、別に僕はこうやって歩くのが好きってわけじゃないんだ。
 ただ、外に出れたついでに何となくね。」
「それは、余の問いに全て答えてはおらぬ。ハッキリと申せ。」
クーヤは苛立っていた。
彼女がそれを望んだとしても永遠に捕らえうことの出来ぬ自由と言う言葉を、
やっと捕らえることができたというのに、それを自分には勿体無いと一言で捨てる少年の態度に。
231自由:04/07/06 17:16 ID:nOJBOITl
「そうだね、君の方が…この言葉を求めている。そんな気がするよ。」
「っ!!」
彼女の心を見透かすように呟くその言葉はクーヤを激しい感情の渦に追いやる。
「僕には感情と言う物が無いから。やりたいことも無いし、成し遂げたい思いも無い。
 この世界をただ傍観できる。自由と言ってもそんなものだから。」
その言葉を受け彼女の怒りは少しだけ静まる。
感情が無いと言う少年。そんな人間が存在するのだろうか。

「――少年、そなたの心は…壊れておるのか?」
「うーん、そうかもしれないね。でもこうやって君と話すのは中々悪くないかも。」
「それは…そなたの言葉は矛盾で溢れておる。
その『悪くない』と、そう感じる事こそ人間というものでは無いのか?」
「うーん、そんなの分からないよ。だって―――」

僕は人間じゃないから。
232自由:04/07/06 17:17 ID:nOJBOITl
その言葉は、周囲で鳴く虫たちの鳴き声さえも沈黙させるように錯覚させた。
実際にはそんなことは無かったが、二人の間は沈黙と言う言葉で支配されていた。
「―――少年。そなたの言ってることは余には理解できぬ。」
そんな言葉を投げかけながらも、クーヤは少年を興味深く見てた。
感情が分からないと言いながら、人間では無いと言いながら、その言動は人間のそれだったから。
むしろ、人間よりも、人間らしかったから。

「最後に、そなたは何故、余に声をかけた?」
彼女はこの国の皇。見知らぬ他人から話し掛けられることなど無いに等しい。
迷人とはいえ、彼女のその高貴な雰囲気におされ、普通は話し掛けるのを躊躇うものである。
少年はニッコリとクーヤに向かって微笑みながらその問いに答える。
「―――それは、君が泣いていたから。その変な頭巾なんて取っ払っちゃえば?女の子なんだから、そっちの方が可愛いよ。」
「っっっ!!??ぶ、無礼なっ!!」
頭巾の下で林檎のように真っ赤になっているであろう素顔を想像しながら、
少年はすっと立ち上がると、後ろに向かって駆け出す。

「おっと、そろそろ時間みたい。また会えるといいね。」
そういうと、ふっとその姿が掻き消えるように闇に染まっていく。
同時に雲の中に隠れていく月。周囲が闇で閉ざされる。
それは…少年がまるで月の精であるかのようだった。
駆けつける一人の足音を聞きながら、クーヤは不思議な少年との邂逅を心にしまいこんだ。
233名無しさんだよもん:04/07/06 17:20 ID:nOJBOITl
何となくこの二人は合いそうな気がする。
と言うわけで、ぶつけてみた。
234228:04/07/06 17:25 ID:dBGwhlaC
すまん、間に入っちまった…吊ってくる
235名無しさんだよもん:04/07/06 17:27 ID:nOJBOITl
ィ`
この世界は、話が作りやすくて良い
236名無しさんだよもん:04/07/06 19:14 ID:2ee1QaEk
このスレって登場したキャラの後の話を書くのってありだよね?
あ、『二人。』『見届ける者』をリレーするのは拙そうだけど。
237見届ける者作者:04/07/06 19:58 ID:+7RacTmp
私は登場キャラいじりは賛成ですね。
そうでないとスレが停滞してしまうと思うので。

また続きを書きにくい作品でも、他の国の情勢変化
(ハクオロがニウェを攻めたり、カルラツアレィの建国等)
で流れに乗って書くべき作品も出てくると思うので、
そうした場合書いても良いと思います。

書き手さんが今構想中〜、とか言う場合は見守っていなければいけませんけど。
238名無しさんだよもん:04/07/06 20:02 ID:fdQvLg5Y
野暮ですまんが。

×カルラツアレィ
○カルラゥアツゥレイ

まー、うたわれで一、二を争う程覚えにくい単語だからなぁ…。
239名無しさんだよもん:04/07/06 20:15 ID:1yyY95Hp
ソポク、ウー、ヤー、ターを助けちゃっていい?
実は助けられてました見たいな感じで。
さすがにテオロは無理だけど。

240名無しさんだよもん:04/07/06 21:37 ID:2Fu7FWV7
助けられたとしてもテオロが死んでいるとなると、
ソポクにとっては生き残っている事が悲劇かも知れない。
その場面がしっかり書いてあるなら、
何も言うこと無しと存じます、ハイ。
241名無しさんだよもん:04/07/06 22:28 ID:uX2lUZKw
チキにゃロキター
242悪夢の犬猿コンビ―その1―:04/07/06 23:03 ID:tYk0wgGO
「ダメダメダメーーーっ! こんなちんちくりんな絵じゃ詠美ちゃんさまからはめんきょかいでんは出ないんだからぁ!」
「デッサンが狂っとる。そのうえ仕上げが雑でベタがはみ出しとるやん。やり直しせぇ!」
さわやかな乙女の叱咤が、澄みきった青空にこだまする。
元人気同人作家の教える私設絵画教室に集う生徒が、今日も必死の形相で、やたらと文句の多い講師のやつ当たりをくぐり抜けていく。
そう、ここはおたくの園、代々森駅近郊の某アパートの一室……
としか思えないが、彼女達の背後にある窓からは地平線まで続く大地とその手前の三割ほどのスペースに申し訳無さ気にポツンと田園が有るという、代々森どころか日本でも見慣れない風景が広がっているのである。
いや、失敬。田園のもう少し手前に、牛のような動物や鳥が日向ぼっこしつつ和んでいるのを忘れてはならない。
それらのファクターが織り成す長閑な景色は、まさに鍬(くわ)と鋤(すき)と千歯扱き(せんばこき)が限りなく似合う風景である。
むしろ、そこに脱穀機やコンバインやトラクター等の農業機械が存在していたら、
ブッ○ュと金正○とビンラ○ィンがロイヤルミルクティーと生ハムメロンで潤いながらプレッツェル片手に歓談しているぐらい異質な光景である事は間違いない。
本来ならこの風景は、彼女達のいた時代より最低でも二百年から三百年ほど前の風景だろう。それもド田舎の。
何故彼女らがこんな所に居るかというと、その原因は数ヶ月前にさかのぼる事になる
243悪夢の犬猿コンビ―その2―:04/07/06 23:05 ID:tYk0wgGO
ある朝、目覚めたら知らない所にいた。目に眩しいほどの緑が木漏れ日に煌めく幻想的な風景。
私は、ここは桃源郷だと思った。疲れた体と精神を休める為に神様が与えてくれた世界。
甘い空気を存分に吸い、私は全知全能の神がこの世界に私を連れてきたことに感謝する…
「一体どこなのよここはぁーーーっ。なんで自販機もコンビニも無いのよぉーっ!」
「何度も何度も五月蝿いっちゅうねん! ちっとは黙っとられんのか! あんたは!」
わけなかった。
ちなみに、本日七回目のやり取りである。
目が覚めたら森の中、歩いても歩いてもそこにあるのは木、木、木。
レジャーで来たならまだしも、遭難するには最低のシチュエーションである。
もう二時間ほど歩いているが、いっこうに町、それどころか人っ子一人見かけない。
唯一見つけたのは、迷わないようにと目覚めた所の木にくくり付けたリボンのみ。しかも五回も。
食べられそうな木の実が有っただけに森の中で遭難したのは僥倖と思えたが、四方に広がる木の海は方向感覚と歩く気力を著しく狂わせるのに十分だった。
そして、先ほどのやり取りをもう十回ほど繰り返した頃であろうか、
「ふみゅ〜ん……。もうだめ〜、歩けないぃ〜」
「うちも……もう駄目かもしれん……」
二人は唐突に倒れた。
空腹や渇きによるものではなく、その無限に広がる富士の樹海の様な木々の海に絶望してしまったのである。
「ここで死んだら…夏コミの……原稿…が〜……」
「同人娘は…夏まで……死ね…へん…っちゅうのに……」
どこまでもお約束な二人であった。
244悪夢の犬猿コンビ作者:04/07/06 23:10 ID:tYk0wgGO
ついカッとなって書いた。由宇の関西弁が適当なのは反省している。

シリアスが続いているのでギャグを。笑えるかどうかは微妙かもしれませんが。
正直初心者SS書きなので恐る恐る投下。続き書いてますが、続けたい方いたらどうぞ。早い者勝ちです。
作者が自分語りするのは好きじゃないんでこれにて。
245名無しさんだよもん:04/07/06 23:14 ID:57stIzGt
最初の一節にワラタ
246名無しさんだよもん:04/07/06 23:34 ID:QiOQpBUw
朋也が出るとしたら、行方が気になるな
少なくともトゥスクルには、いる可能性は低いし
いたとしても辺境だったりね

戦場で出会うことみと朋也とか
であった時には敵同士


(゚д゚)ウマー
247遭遇:04/07/07 00:00 ID:u3A2EyS3
冬弥「開放感は良かったんだけどさ・・。」
彰「何時まで歩き続ければ・・。」
太陽が丁度上りきった所だろうか。鬱蒼と茂り、辺りには様々な動物の声が聞こえる
この森の中にも、
その光は容赦なく降り注ぎ、汗に塗れた二人の体力を奪っていた。

彰「アイスコーヒー、飲む?」
大学での昼食時用に、自分で魔法瓶に入れたヤツだ。
冬弥「ああ、助かるよ。」
冷たいその黒い液体を飲み干しながら、冬弥は一息吐く。
―確か昨日の朝、彰と電車の中で会ったんだよな―
 
登校中で周りが機嫌悪そうなサラリーマンばっかりだったから、
あんまり喋れないでいると、これまた唐突に眠気が襲ってきたんだ。
昨夜のうちに彰にも聞いてみたが、同じように眠気に襲われたそうだ。

某地下鉄事件みたく、ガスでも撒かれたのだろうか?

いやあの事件のは有毒ガスで、撒かれたら死んでるだろう。
撒かれたとすれば催眠ガスだが、俺達みたいな取るに足らない学生二人だけを
さらって、あんな所まで運ぶ理由は見つからない。

原因については考えても無駄って事か。

冬弥「しかしこのコーヒー美味いなぁ。彰が入れたのか?」
彰「ふっふっふ。伊達に長くエコーズに勤めてないからね。」
考えてみたら、フランクさんから色々料理を教わっているそうだし
コーヒーもその中に入っててもおかしくない。
そんな風にぼんやりと考えていた所。

彰「向こうに倒れてる人がいるよっ?!」
248遭遇〜2:04/07/07 00:26 ID:u3A2EyS3
詠美「夏・・コミ・・」由宇「まだ・・死ねへん・・・」
倒れていたのは同人に命をかけた二人の女性作家であった。

彰「大丈夫?!二人とも。冬弥はそっちの眼鏡の子の方を頼むよ!」
冬弥「分かった。おい、しっかりしろ。」
反応が無いのでがくがくと揺らしてみるが、
どうやら暑さで意識が朦朧としているらしくそれぞれ

詠美「煩い・・パンダ・・」 由宇「・・大きな・・お世話や・・アホ。」
等と倒れたまま悪口を言い合っている。

―面白いなぁ。
 吉○の漫才って見たことないけどこんなの何だろうか。
 っとぼんやりしてる場合じゃなかった、こんな開けた場所に置いといたら
 日射病になっちまうかもしれん。

彰「早く木陰に連れてかないと!」 
冬弥「ああ、だが一向に起きないから無理やり運びでもしないと・・・・ん?」
彼らは丁度、二人の同人作家
の寝言に共通の言葉が存在するのを見つけた。

詠美「夏まで・・・・なのに・・・」由宇「・・・シメキリ・・・」
―冬弥の頭に唐突に、『慢性シメキリ病』という言葉が浮かぶ。
 その訳の分からない言葉を振りほどくと、
 冬弥は二人の夢の原因を刺激してみることにした。

冬弥「今はもう夏だぞ!、暑いぞ!、〆切近いんじゃないのか?!」
249遭遇3:04/07/07 00:44 ID:u3A2EyS3
「〜〜〜!?、〜〜〜!、〜〜〜!」
途端それまで日差しにやられて何も考えられなくなっていた頭に、
鮮明なイメージが飛び込んでくる。

―この詠美ちゃん様が原稿の期限に遅れたですって?!そんな馬鹿な!
  まだラフぐらいしか書いてないのに〆切何てあり得ないわ!
  それに昨日はまだ3月だったはずなのよ?ああ、でも暑いわ
  クーラー付けなさいよね。クーラー?夏?
  ま、まさか本当に?!

詠美・由宇「シメキリーーーー?!」
がばっと起き上がろうとすると、途端に頭を何か硬い物に
思い切りぶつけてしまう。

―痛い、物凄く痛い。      痛さで・・・気が・・・遠く・・・。

         ぐわんぐわんと揺れる世界の中で
完全に意識が沈む前に詠身が見たものは、

      自分が頭をぶつけたであろう見知らぬ男性が、
同じく意識を失い後ろに倒れようとしている所であった―


由綺「・・・・・。」
その光景の一部始終を近くの木陰から見ていた者は、

あまりのお約束に

呆気に取られ呆然としていた。


250名無しさんだよもん:04/07/07 01:21 ID:qbHpqW1v
こみパのキャラはギャグがいいよなぁ
存分に漫画という文化を広めて欲しい。
GJ

書いてたら、被ったorz
251名無しさんだよもん:04/07/07 01:23 ID:qbHpqW1v
「だぁ〜はっはっはっ。まぁ、兄ちゃんたちとりあえず、飲め飲め!」
日本酒の一升瓶を片手に豪快に笑い出す女。深い森の闇の中、焚き火が辺りを赤く照らし出す。

―――森の中を彷徨っている二人。藤田浩之と、佐藤雅史。
彼らは小さな村を見つけては食料等を分けてもらいを繰り返し、情報を求めて大きな町に向かっていた。
「浩之〜ほんとにこっちの道でいいの〜?」
「うーーん、多分な。まっ、大丈夫だろ。(全然わからん。まぁ、適当にいけば人里があるだろ。)」
そんな二人に突然近づいてくる爆音の塊。物凄い勢いで距離が詰まっていき…
「「なっなっ、何だ!?」」
それは赤いモンスター。木々の間を器用に走り抜けて彼らの目の前に華麗に―――止まらなかった。

ペチッ!
「ぎにゃ!」

見事に宙に浮く雅史の体。浩之は木の葉のように浮いていく彼を見て。
(へぇ〜人間って意外と簡単に浮くんもんだな。)
っと、的外れな感想を抱いていた―――
252名無しさんだよもん:04/07/07 01:25 ID:qbHpqW1v
「あんときは、隣の兄ちゃんには悪いことしたなぁ。
 大事にならんでよかったわ。そん時の借りもあるんや。まぁ飲んどき。」
そういっては、一升瓶の先から浩之の目の前にあるどこかから持ってきたのか、小汚い器に並々と注いでいく。
「はぁっ?未成年に酒勧めていいのかよ。」
「ん、なに遠慮しとんのや。どうせ隠れて飲んでるやろ、うちの若い頃わなぁ、それはもう――
 ん?それともうちの酒が飲めないというんか?隣にいる兄ちゃんはいいのみっぷりやったで。」
そう言っては、注ぐのも面倒くさいと感じたのか、ぐいっと一升瓶を差し出す。
隣を見ると、白目を向いてぐったりとしている雅史。
まるで魚市場に並べられ、売られていくのを待ちつづけるカジキマグロのような状態だった。
晴子の酒に付き合って(付き合わされて)完全に潰れたなれの果てがこれだ。
浩之はその二の舞になるのはごめんだった。

「――そんなこと言わずに飲んでくれやぁ。ひっく。」
「って、あんたもう飲みすぎじゃねぇか?夜酒は肌に悪いぞ。ったく。」
(何で俺がこんな酔いどれの相手を…)
「元がいいから大丈夫や。うちの美貌に惚れるなよ。かっかっかっ!」
笑いながらも、もう一度手に持つ一升瓶を呷る。

しばらく飲む飲まないの攻防が続いていたが、
隣でぶっ倒れている雅史が寝言で『あかりちゃん、みんな〜元気かなぁ〜』
とむにゃむにゃと呟やくのを最語にそれは終わりを迎えた。

「―――兄ちゃんも誰か…そうやな、好きな奴、恋人、そんな奴はいたんか?」
そんな寝言に敏感に反応する晴子。
「ん、いやぁ、まぁ…そうだな。好きかどうかとは違うが、大事な奴はいたかもな。」
(って、何で俺はこんなくさいセリフを…ちっ!)
脳裏に過ぎるのは、彼の家の隣に住んでいた幼馴染の姿。
赤い髪をちらつかせ元気に浩之の名前を呼んでいる。
少しだけ静まる二人。
その短い沈黙を嫌ったのか晴子は、間髪いれずにまくし立てる。
253名無しさんだよもん:04/07/07 01:26 ID:qbHpqW1v
「そうかそうか……むふふ、よぉ〜しここは――エロティックな告白コーナーや!!」
パチパチパチと手のひらをならす。既にその目は据わっていた。
「はぁぁぁぁぁ!?」
「まずは兄ちゃんの番や、そのふか〜い事情を語ってもらおうか!
 兄ちゃんが終わったら次はうちの番!――兄ちゃんもうちの話を聞きたいやろ……そおやろぉ〜!」
そう言ってバンバンと、浩之の背中を叩く。
「いえっ、おいっ、まてっ!!っ!」
―――焚き火が夜の闇に晴子と浩之(と横で倒れている雅史)を赤く映し出す。
彼女の賑やかな声が、虫たちの声に混じって静かな森を変えていく。

しばらく経つと、疲れたのか晴子は横になってしまう。
その体からは、グガーグガーと豪快なイビキが聞こえてくる。
浩之は晴子が寝たのを確認すると、先程晴子に注いでもらった酒をちびちびと飲みだした。
見知らぬ世界の夜の中で飲む酒。安っぽいはずのその味は何故か美味く感じる。

「しっかし、こんなところでこんな――賑やかな奴に出会うとはなぁ。」
「―――ん、浩之…僕は一体。っ!頭がっ!いたた。」
のそりと起き上がる雅史。顔色は真っ青で、元からなよっとしている雰囲気がさらになよなよっとしている。
「おいおい、大丈夫か。もう少し寝ておけよ。」
「ううん、そうするよ。」
そう言って寝なおそうとする雅史。そこに晴子の寝言が聞こえてくる。
「――みすずぅ〜うちは、うちはな。―――会いたいんや。どこに――いるんや。」
そう呟くと、ごろんと寝返りをうち、先程までと同じ豪快なイビキを立てはじめた。
「この人も…僕達と一緒なんだね。」
「そうだな、残してきた奴…がいるんだろうな。」
そう言って、二人も晴子を見つめては感傷に浸っていた。
賑やかだが、少しだけ寂しいそんな夜は更けていく。
254名無しさんだよもん:04/07/07 02:10 ID:VyILBiGe
何だか結構な数のSSが投下されているな
中には先の気になる話もあるし

でも、何だか作品ばっかり突出していて意見交換が少ない
逆の状況のスレが多い中、贅沢な悩みではあるが(苦笑
そろそろ、何か話し合ったほうがいいんじゃないか
どんな感じで進めていくのかとか、舞台設定はどうだとか
あくまで提案だけど

合間合間にある対話形式のSSがいい感じにまたーり感を演出していて結構好きだ
期待AGE
255名無しさんだよもん:04/07/07 02:34 ID:qbHpqW1v
うーん。舞台設定か。

ハクオロ勢(ウルトリィとカミュは分からないけど)のいるトゥスクル。
デリホウライが治めるカルラゥアツゥレイ。(トゥスクルの同盟国で行き来自由)
クーヤ、サクヤ、ゲンジマル、ヒエン、ハウエンクアのいるクンネカムン。
ニウェ(この爺さん結構好き)の支配するシケリペチム。
そして神出鬼没なD。

頭の中の基本的な時間軸としてはこの辺りが健在で三勢力が争っている状況を想定してるかな。
争ってる国同士で、分け隔てられるキャラもいるみたいな状況。

過去の話もOKだろうし、これだけ国があれば結構幅が広いと思う。そのうちトゥスクルにヌワンギが戻ってくるでしょ。
まぁ、未来の話はどうかと思うけどね(展開を制限するし)
しばらくは時間軸を基本的に進めない方向でいって、戦争も小競り合い程度で留めて、設定を固めるとどうかな。
256名無しさんだよもん:04/07/07 02:47 ID:Qo6JoiWu
篁が南の小国に新国家を樹立したりしてな悪の園〜
257名無しさんだよもん:04/07/07 06:16 ID:jNZfbdLE
月姫キャラ(志貴とアルク)がうたわれ世界にはどっかで読んだな巫女アルク燃え

個人的には舞で見たい。
腹に剣ぶっさして自害したと思ったら兎耳の人の世界へ
思わず「うさぎさん」と可愛がろうとした舞は気付く
私もうさぎ耳…何故?
258名無しさんだよもん:04/07/07 09:49 ID:qW4LIMUt
うさ耳まいまい(*´Д`)/lァ/lァ
259名無しさんだよもん:04/07/07 10:38 ID:qpjlFg7l
「カ、カンホルダリ様、本日の報告でございま……」
「お前がやれ。俺を煩わせるな、糞蟲が」
「ひいいいいい! も、申し訳ございません!」
「退がれ、今日はもう誰も近づけるな」
「わ、わかりまし……」
「失礼します、お茶がはいりましたー」
「…なんだこいつは」
「ひ、ひいいいい、申し訳ございません! こ、こっちには来るなと言っておいただろう」
「でも、美味しくお茶が入ったんですよー。是非皇様にも飲んでもらおうと思ってもってきたんです」
「いつからお前は俺を無視できるほど偉くなったんだ、糞蟲が」
「も、申し訳ございません……先日より異世界から多くの異人がこの世界に出現してるんですが、その中の一人でございます」
「HMX-12 マルチと言いますー。よろしくお願いします」
「しかし、このマルチ、なんと申しますか、学者によると、非常に巧妙なからくり人形だとか……」
「…ほう」
「動力が『でんき』とかいう得体の知れないもので、彼女の持ってきた『ばってりーぱっく』とかいうものが無くなれば活動が停止できなくなるとのことです」
「でも、あと5日分しか残ってないんですー……」
「ただ今、学者によって『でんき』の研究が進んでおりますが、5日ではとても無理だと…」
「いいんです。電気がないなら仕方ないんですから……」
「………」
「…カンホルダリ様……?」
「……(萌)」
「私のことはいいんです、それよりお茶が覚めてしまいますよ? 皇様どうぞ」
「…ポナホイ」
「は、はひい!」
「国中の学者と識者を集め、5日以内に『でんき』について解明しろ」
「し、しかしそんな予算が」
「ガタガタ言うな。5日以内に出来なかったらお前の首が飛ぶと思え」
「こ、心得ましたあああああ!!!」
「ああ! ポナホイさんが泣きながら走り去っていきますう!」
「糞蟲だ、ほっとけ。それよりはやく茶をよこせ」
「え、あ、はい、どうぞー」
260名無しさんだよもん:04/07/07 10:38 ID:qW4LIMUt
舞「…うさぎさん……なでなでしていい?」
クーヤ「なっ、何者!よ、寄るな!そんな目で余に近づくんじゃない!」
舞「…かわいい。」
ナデナデ。さわさわ。ナデナデ。さわさわ。
クーヤ「わっ、わっ、余に触るでないっ。や、やめっ!―――あっ…っ…んっ!」
サクヤ「あぁ、クーヤさま。気持ちよさそうです。」
舞「…こっちのうさぎさんも。」
ナデナデ。さわさわ。ナデナデ。さわさわ。
サクヤ「あぅ…ふっ。ぅぅんっ!」


佐祐理「あれ?舞、こんなとこにいたんだ。…あっ」
視界には、並んで気持ちよさそうに寝ている3人の姿。
261名無しさんだよもん:04/07/07 10:41 ID:qpjlFg7l
>>260
うさみみクーヤ様あああああああああああ!!!!!!!!!!!!!

やべえよ、これ! 破壊力すげえよ!
262名無しさんだよもん:04/07/07 10:54 ID:ZIoGCKoJ
ハクオロを弟と思い込んでた北東の遊牧民国家はどうしませう。

個人的には
『「肉体」に関しては実際に弟であり、オロが復活の際に無意識に乗っ取ったが、
何らかの原因又は他者を犠牲にした事による精神ダメージを防ぐため、
その記憶を消した』何て考えてみたのですがどうでしょう。

顔が違うのは、
・逃亡中に瀕死の大火傷を負いオロが修復する時に気に入らなかいので変えた。
・耳を切られた(ドラえもん的発想)
などなど・・・(結局、弟は行方不明だったので妄想してみました。)

これに関してはぶっちゃけどこまで立ち入りたいかなので無視してOkと思います。

ただ、オロ’sと隔離しておいて、
トウカと突っ込み系キャラのコンビネーションを堪能してみたりすると・・

         .´   `v^)     __________
        〈(ハ从ノlハミi((.   /
         l人´д`l从 )) <  自害度120%増量中!
      ザクッ/ y┃  ヽ(   \
       Σ(m)二:;⊂[_ノ      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         (ノノノ |ヽ゚・.゚・*: .。.:,...
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

263名無しさんだよもん:04/07/07 11:00 ID:GXm/CDyb
>>259
ハゲワロタ
264名無しさんだよもん:04/07/07 11:16 ID:v4KhAN2Q
>>262
本編での設定は尊重しようや
265名無しさんだよもん:04/07/07 11:18 ID:qW4LIMUt
俺もワラタヨ、ってカンホンダリってロリかよ!

>>262
クッチャ・ケッチャだっけ?
どうなんだろう…微妙に本スレ向けな話題?

やっぱそれしかないな>>トウカ
カレーで気絶してたし。既に一度ぐらいやってるかも

おまけ

ヒエン「これは!聖上、それにサクヤ!大丈夫かっ!」
サクヤ「お兄ちゃん、ごめんね、あたし…穢れちゃった…」
クーヤ「ああっ…気持ちいい…(ほわぁぁん)」
舞「…うさぎさん(キュピーン)」
ヒエン「お前か!お前が聖上を、サクヤを!…なっ、馬鹿な某がこんな、っ。うあああああああああああああああああああ。」
佐祐理「あはは〜うさぎさんたちに囲まれて嬉しそうですね〜舞。」
―――彼女の通った後には追い詰められたウサギ達の山。取って食われるのを待つのみ。

ゲンジマル「某としたことが、聖上が傷物に…くっ、責任を取って自害いたす!(ブスッ)」
ヒヘン「大老!キャラが違っております!(気持ちよかったなぁ。ほわぁぁん。)」
266名無しさんだよもん:04/07/07 11:42 ID:ZIoGCKoJ
>>264
脳内設定多すぎだとめちゃくちゃになりますしね。


>>265
舞が・・国崎化してる・・

〜柱の影〜
ディー「・・・・(我にも耳があれば)」
麗子「何恨めしそうに見てるのよ。」
ディー「ムッ、如何に我とて時には我が子と戯れたいのだ(ややムキになりつつ)」

〜反対側〜
ハウ「くっ、何で僕だけノケモノなんだ。ドウセドウセドウセ・・・」











         .´   `v^)     __________
        〈(ハ从ノlハミi((.   /
         l人´д`l从 )) <  さすがは師匠!しかし拙者とて負けてはいられません!
      ザクッ/ y┃  ヽ(   \
       Σ(m)二:;⊂[_ノ      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         (ノノノ |ヽ゚・.゚・*: .。.:,...
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
267名無しさんだよもん:04/07/07 12:48 ID:qbHpqW1v
クーヤさまぁ(*´д`*)
ラビットキラーまいまいか

そいつは、いいなっ!
268名無しさんだよもん:04/07/07 14:55 ID:qW4LIMUt
  п
((`∀´)) <ヌー

  п
((`∀´)) <ワン

  п
(( ゚д゚))<ギョッ!


li ゝ゚ ー゚ノゝ・・・

  п
(( 'A` )) <ガタガタガタガタ
269名無しさんだよもん:04/07/07 17:37 ID:bNDvYUe+
セリオのサテライトサービス
270名無しさんだよもん:04/07/07 19:35 ID:MeZZBcJf
今日はまたーり派が優勢か
271名無しさんだよもん:04/07/07 19:40 ID:MeZZBcJf
セリオのサテライトサービスってもしかしたら使えるんじゃないのか?
『アマテラス』があるんだし、何か残ってそうだが
272名無しさんだよもん:04/07/07 20:06 ID:eqOXzTpj
>>255
未来と言うか、ウィツ戦とエンディングの間辺りの時間帯の話を構想中なんだが
それはアリでせうか?(´・ω・`)
273名無しさんだよもん:04/07/07 20:16 ID:r65Dc6RR
いいんじゃね?
一つのIF何だろうしいろんな展開があるだろ
結末が一つのリレーSSじゃないんだし
274名無しさんだよもん:04/07/07 20:53 ID:hBOE1w7k
>>271
軍事転用
275名無しさんだよもん:04/07/07 21:14 ID:MeZZBcJf
ギャグSSを書いたらトゥスクルが消滅する勢いだな
276名無しさんだよもん:04/07/07 21:31 ID:4hs/99nF
         , - == ニニ、 ‐- 、
        //‐ 、‐'´\‐- 、`ヽ、\
     /ヽ∠-イ   \  \ \ ヽ ヽ
   / / /  |! ヽ  \  \  \ヽ ヽ
  // / / l l |l  ヽ  \  \ 、\  l
. /// / , l  l l |ヽヽ 、\.  >─‐\\\ !
///  j ! !  !_l_L \ ヽ ヽ´ヽ\\  \ヽ ヽ
li l/l l l 、 ヽ´iヽjl  ヽ\ ヽ,ィ示テ、lヽヽ`!  !
l! l! l | ! 、\ヽjriテミ       {fじcj | l lノ|、  !
i ! ! | !ヽト、Nヾ.ゝtソ '      ̄` | .! l  |  !
   !iヽl  lヽ!ヽi ""   r‐、  "" ! j li  |   !
    ヽ   l l  lヽ、   ー'   ./l / l !  |   l   皇国の興廃此の一戦に在り!各員一層奮励努力せよ!
       ゝヽ ヽ i`   、__,. -'´ _,//l l l   |    !
       l l| \\ヽ、 _{´ ̄ ̄ 〃 .l /! l    |   l
        l l|  ヽ!、ソf{      / ,rノ ! il\  |    l
       //|  ,. l l'´ ! ヽー==''´/ / j !.  \|
       //ノ/ l l  |ヽ    /  / /ll   __`ヽ、
      .// jヽ\//   ! ヽノ/   /./ ll  /r'ニ‐rヽ
    //./\ヽ//ニニヽ ∠ニニ//ニjj‐'´彡/ ̄`l l
    /// l  j7/ゝニニVニニニ//ニ〃ニ/|    |
   .// .| j ///    ̄n }.  ̄ ̄// 〃    .|       |
  //  !ノ / l l    Uノ   / V/   {   |       |
277255:04/07/07 21:51 ID:+eHKsypa
ん〜ちょっと言葉がきつかったかな。
すまない。あくまでも俺の考えだから…束縛するつもりはないよ。
>>273みたいな意見の方が正しいかもしれないし。
いろんな展開があってもいいよね。

うたわれ再プレイ中、クーヤ様がやばいくらい(*´д`*)
278名無しさんだよもん:04/07/07 22:37 ID:4s7tbMtb
ユズハ-犬耳=みさき先輩
279名無しさんだよもん:04/07/08 00:14 ID:k5wrTtcC
妄想力が足りない。
ネタだしキボン
280名無しさんだよもん:04/07/08 00:49 ID:uhKOTqfF
とりあえずドリグラ×彰とOPにオボロ。

いっぽんいっとく?
281名無しさんだよもん:04/07/08 00:57 ID:N8FpmACQ
薔薇色の世界クルー!!
282名無しさんだよもん:04/07/08 01:11 ID:NQbPy58B
柳川裕也
283272:04/07/08 01:35 ID:H7804/p1
ご意見ありがとうございます。
とりあえず書いてみたので投下してみます。

時間帯は以前書いたとおり。
少々の誤字脱字は大目に見てやって下さいな。
284:04/07/08 01:38 ID:H7804/p1
「・・・こと、真琴っ!」
「んん・・・あれ、美汐?」
真琴が目を開けると、美汐が心配そうな表情で肩を掴んでいる。
「あぁ良かった、気が付いたのですね」
そう言って美汐はほっと胸を撫で下ろした。
「気が付いたって・・・あれぇ?ここどこだろ?」
きょろきょろと真琴は辺りを見渡した。
厚い雲に覆われた空と一面の雪景色はそこにはなく、青々とした木々が生い茂り、月明かりに照らされている。
しかもそのほとんどの植物が、今まで目にした事の無いものばかりだった。

「あぅーっ、ここどこなの?」
不安そうな目で美汐を見るが、彼女もただ困惑顔のまま首を横に振るだけだった。
「わかりません。私は体調が思わしくなくて保健室で寝ていたのですが、目が覚めたらここに・・・」
そう言う彼女の顔は心なしか青白い。
「保健室って・・・美汐、病気なの?」
「大丈夫、大した事はありません」
そう言って微笑んでみせたが、虚勢だった。
本当は頭痛が絶え間なく続き、足元もふらふらである。
『真琴を不安がらせてはいけない』
ただその意思だけが美汐を支えていた。
しかし、その笑みにどこか不自然な物を感じ、真琴は美汐の額へと手を伸ばした。
「あついっ!どこが大丈夫なのよぅ」
「熱があるだけですから、心配しないでください」
「あぅーっ、でもぉ・・・」
285:04/07/08 01:39 ID:H7804/p1
少しの沈黙が流れる。その時、不意に脇の藪が音を立てた。
そしてそこから姿を現したのは、銀の体毛に覆われた、虎に似た巨大な獣だった。
「と、虎!?どうしてこんな場所に?」
立ち竦む美汐の前に、真琴が立ちはだかった。
「み、美汐に手を出したら許さないんだから!」
そう叫ぶと、手近な石や枝を獣に向けて次々と投げつけた。
「ヴ、ヴォフ?」
しかし震えているためにそれはほとんど当たらず、当たったとしても強靭な体毛に弾き返されている。
「真琴、やめなさい!はやく逃げて!!」
「あっちいけぇ!ばかぁ!」
獣はただ困った顔をして二人を代わる代わる見ている。
そのうち投げる石もなくなり、真琴はただ震えて立ち尽くす。
286:04/07/08 01:40 ID:H7804/p1
『もうだめだ!』
二人がそう思った刹那、獣の現れた茂みの向こうから女の子の声がした。
「ムックル、おいで」
「ヴォフ〜ン」
女の子にムックルと呼ばれた獣は、嬉しそうにその子に体をこすり付けた。
その光景に唖然としている二人に、女の子は声をかけた。
「だいじょうぶ、こわくない」
「な、慣れているんですか?その虎」
恐る恐ると言った感じで、美汐は女の子に聞いた。
「ん、ムックルともだち。この子はガチャタラ」
「クルルッ」
女の子の肩からひょっこりと白い小さな生き物が顔を出した。
二人が今まで見た事の無い生物である。
「わぁ〜、可愛い」
「何なんでしょう、リスやヤマネとも違いますし・・・」
二人とも興味津々といった様子でガチャタラを見ている。

そこへ、様々な草の入った手かごを提げた女性が現れた。
「アルルゥ?そこにいるの?」
「あ、お姉ちゃん」
「もう、暗いから勝手に離れたらダメって・・・あれ、その人達は?」
美汐達は目を覚ましてからの出来事を語った。

「・・・と言うわけで、ここがどこなのかを知りたいのですが」
「えーと、ここはトゥスクルと言う國の近くにある村です。私達は薬草を摘みにこの裏山に来ていました。
あ、私の名前はエルルゥって言います。この子は妹のアルルゥ」
「あたし真琴っ」
「天野美汐と申します。ですがトゥスクルとは聞いた事の無い地名ですね」
その言葉にエルルゥは少し驚いたようだった。
当然である。トゥスクルと言えば知らない者はまずいない大国なのだから。
287:04/07/08 01:41 ID:H7804/p1
「あの、あなた方はどちらからいらしたんでしょう?」
今度はエルルゥの方から質問を投げかける。だが返って来た地名は、当然彼女の知らない場所だった。
「う〜ん・・・聞いた事ありませんねぇ」
「そうですか、ではここは一体どこなのでしょうか・・・」
そう言って美汐はうつむいた。
その表情は暗く沈んでいたが、それが困惑によるものだけでないとエルルゥは感じ取り、美汐の額へ手を伸ばす。
「あの、ちょっと失礼します。・・・やっぱり。火神がむずかってますね」
「(ヒムカミ?)大した事はありません、少し休めば良くなります」
「それでしたら、うちへ来ませんか?私こう見えても薬師ですから早く良くなりますよ」
「ですが、ご迷惑になりませんか?」
「そんなことないです。私とアルルゥの二人暮しですし、困っている時はお互い様ですから」
お婆ちゃんの受け売りですけどね。そう言ってエルルゥはクスッと笑った。
その笑みから、このエルルゥという少女は信頼できる人物であると美汐は確信し、好意に甘える事にした。
それに、彼女自身の体力もそろそろ限界であった。
「それでは申し訳ありませんが、お世話・・・に・・・」
「あぅっ!?美汐っ!!?」
最後まで言い終わらないうちに倒れそうになる美汐を、慌てて真琴が支える。
「眠っただけだから大丈夫です。ムックル、悪いけどお願いね」
「ヴォフ」
伏せの体勢になったムックルの背中にぐったりとした美汐を乗せ、彼女達は帰路についた。
288:04/07/08 01:41 ID:H7804/p1
パチパチと炭の爆ぜる音で美汐は目を覚まし、ゆっくりと身を起こした。
「ここは・・・」
「あっ、目が覚めたんですね。ここは私の家です」
そう言いながら薬を差し出すエルルゥを見て、美汐は自分の身に何が起きたかを思い出した。
『そうでした、私はあの時倒れて・・・』
そこまで考えてハッとする。
「ま、真琴はっ!?」
エルルゥは笑いながら美汐の背後を指した。
「でねでね、その肉まんってすっごーく美味しいの」
「おぉー」
「ヴォルルル・・・ジュル」
「ムックル、汚い」
「キュフーン」
そこには楽しそうに談笑する二人と二匹の姿があった。
「ふふっ、仲良くやっているみたいですね」
「そうですね。でも真琴さんがあんなに早くアルルゥと仲良くなれるなんてちょっとびっくりしました。
あの子すごく人見知りするから・・・」
「それはこっちもです、あの真琴があんなに楽しそうに・・・うぅ」
美汐は思わず熱くなった目頭を、袖口で拭う。
「すごく無邪気な人ですね真琴さん。まるで動物みたい」
「・・・そうですね」
少し複雑な笑みを浮かべて美汐はそう返した。
『あ、動物と言えば・・・』
「あの、エルルゥさん。少しよろしいですか?」
「はい、なんでしょうk・・・あにゃにゃにゃ〜!?」



   〜しばらくおまちください〜
289:04/07/08 01:42 ID:H7804/p1
「すみません、まさか本物の尻尾だったとは・・・」
「い、いえ、気になさらないで下さい。これが最初というわけではありませんから」
とは言うものの、尻尾は体の後ろへしっかりと隠されてしまっている。
「それに・・・」
エルルゥは少し寂しそうな笑みを浮かべて続ける。
「まるでハクオロさんが戻ってきてくれたみたいで・・・ちょっと嬉しかったです」
「ハクオロさん?」
「はい。とても強くて、頼りになって、そして優しい人・・・」
その口調とうっすら染まった頬から、ハクオロとは彼女の想い人であることを悟った。
それと同時に、自分の脳裏に何故か浮かんできた祐一の顔を美汐は慌てて打ち消した。
「あの、美汐さん。顔が赤いですけどまだ体調が優れないのでは?」
「は、はいっ!?あ、そ、そうですね、横になる事にします」
そう言って再び横になった美汐だが、最後に一つだけ気になった事を聞いた。
「そのハクオロさんは、今どちらにいらっしゃるんでしょうか?」
「・・・」
その一言に、エルルゥは寂しそうな表情になってうつむく。
「す、すみません。軽率でした」
「いえそんな、気にしないで下さい。それより今はもう少し眠るといいですよ」
「ありがとうございます。それではお休みなさい」
「はい、ゆっくり休んでください」
そう言い残し、エルルゥは外へと出て行った。
美汐は布団に潜り込み、真琴の方を見やる。
そこにはいつの間に寝てしまったのか、ムックルを枕にして安らかな寝息を立てる真琴とアルルゥが居た。
「あぅーっ、その肉まんは真琴のなんだからねぇ・・・むにゃむにゃ」
「んふ〜、ハチミツ〜・・・すーすー」
とても幸せそうな顔で寝言をつぶやく二人に、思わず笑みがこぼれる。
これから自分達はどうなるか全く分からないが、少なくとも今だけはそれも些細な問題に思えた。
「大丈夫、きっとどうにかなりますよね。相沢さん・・・」
そうつぶやくと、美汐もやがて眠りに落ちた。
290:04/07/08 01:45 ID:H7804/p1
「お婆ちゃん、今日女の人が二人うちに来たよ。私達の知らない世界から来たんだって」
小さな墓にエルルゥは語りかけている。
「一人は体を壊していたみたいでうちで休んでるの。・・・ちょっとハクオロさんが担ぎ込まれてきた時の事、思い出しちゃった」
懐かしさと愛おしさと、そして少しだけ切なさが入り混じった笑顔でそう言う。
「もし戻ってきたら、その時はお婆ちゃんの所に一番最初に連れて来るからね。だから・・・」
そこで一旦言葉を切り、彼女は星が燦然と輝き渡る夜空を見上げる。
「はやく戻ってきて下さいね、ハクオロさん・・・」
その声に応えるかのように星が一筋流れ、その星を映すエルルゥの瞳からもまた、一筋の涙がこぼれた。
291272:04/07/08 01:47 ID:H7804/p1
今の所は以上です。
拙い文章でスマソ&長々と失礼しますた。
292名無しさんだよもん:04/07/08 01:59 ID:bTyZoTVn
ハクオロ〜(つд`;)
293名無しさんだよもん:04/07/08 12:24 ID:0QHbYXx3
各キャラの後話が見たいな(特にシリアス)
ぶっちゃけ、登場シーンだけじゃあんまり面白く無いよね(´・ω・`)
294名無しさんだよもん:04/07/08 20:33 ID:SjVwW7lm
起承転結の「起」だけで良い物なんて中々ないからな
295名無しさんだよもん:04/07/09 00:04 ID:1FtULuXH
今後に期待age
296名無しさんだよもん:04/07/09 01:01 ID:+oP1bpz+
ヘタレながらまったりなWA勢+こみパ勢の、トゥスクル到着話を考えてみようと思っていたのですが、
確かにシリアス(というか戦争関連?)での刺激もいいかなと思ったので、
光岡の続きを考えてみたいのですがOKでしょうか?
297名無しさんだよもん:04/07/09 01:07 ID:JmudJtsg
個人的には書いてホスィ。
てか、各話の続きも気になってるんでそっちも見たいな。


節操無しな漏れ…orz
298名無しさんだよもん:04/07/09 01:50 ID:DME5fEYq
とりあえずずんどこ書いてっていんじゃね?
全部つなげなきゃいけないって訳でもあんめぇ。
全てが全てアナザーでもいいわけだし。
299名無しさんだよもん:04/07/09 08:50 ID:vc9o4K5P
作者がそこで打ち切っちゃってるのは、続けていいんじゃないかな
ヌワンギ+聖の全国行脚も面白そうかも
途中でお供が参加していったりして・・・
300名無しさんだよもん:04/07/09 10:28 ID:ewJDfVqt
このスレに何が足りないって?
AA分が足りないから、またーり感が今一

   / ̄ ̄ ̄ ヽ
< ̄ ヽ  /\ / ̄>
 / \ ヽ (@) / /
 |   \ ヽ_/ / |
 |┌――――── |     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | \______/|     | 
/|_/  /\/\ \」\ <  というわけで、私を出すんだ
|   /  ―ー \   |   |  
\/ \   ー  / \ノ    \_______________
      \__/
301名無しさんだよもん:04/07/09 11:18 ID:Nu7PYLo1
>>300

           '´∧~∧   
       .│ミ  T ヽ  
        │ レ´∀`/  <どちら様ですかな?
       _( ⊃┣⊂)   
      /_/三//.|    
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |        
    |国産モロロ . |/ 
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
302名無しさんだよもん:04/07/09 11:40 ID:9B8x2Fww
>>299
途中でお供、とはこうでありますか?

聖(桃太郎)&ぬわんぎょ(猿)+犬(ポテト)+鳥(そらorウルトorカミュ)
VS
千鶴又は柏木ファミリー(鬼’s)


ぬわんぎょが聖に盾にされるのだけは想像出来ますね。

303名無しさんだよもん:04/07/09 12:01 ID:ewJDfVqt
>>301

  '´∧~ヘ
 ||i| _,T_ ||       俺だよ、俺。…むしろお前だ。
 |||レ,_ノ`/||      n
/| |\//|\    ( E)  
. | .| ./ |  |,ヽ_/\
. |. | /  |ヽ|,, ||  /
304名無しさんだよもん:04/07/09 12:32 ID:OZ2/w2Uq
聖上は雪崩式リバースフランケンすら華麗に受けきるからな
305名無しさんだよもん:04/07/09 14:27 ID:ewJDfVqt
ハクオロ「ふ〜、今日は日差しが強いな。こんな日は外で一杯……ん?」
オボロ「……!!ュ………!!(ドドドドッ)……どこだ〜!!」
ハクオロ(また『あれ』が始まったのか?)
ハクオロ「どうしたオボロそんなに慌てて、こんな真昼間から鍛錬とは感心だな」
オボロ「ハァハァ。そんなことより兄者!ユズハを見なかったか?」
ハクオロ「(はぁ、やっぱりな)…ユズハならアルルゥ達と中庭、ほら、あれだ」
そこに見えるのはムックルを背に談笑する四人の姿。
オボロ「なっ、こんな暑い日に倒れでもしたらどうするんだ!今行くからな〜(ドドドドッ)」
ハクオロ「……行ってしまったか。オボロの突発性シスコンもこのところ落ち着いたと思えば、ふう〜」
ハクオロ「ん、そういえば…(もう一度見直す)今日はユズハ、アルルゥ、カミュと…みさきか」
ハクオロ(オボロはまだみさきとは会っていなかったか…ふむ。面白そうだ、ここはじっくり見物とするか)

ユズハ「…お兄さまは、どんな時でもわたしの事を守ってくださいました」
みさき「ふーん、頼れるお兄さんかぁ。羨ましいな〜私も兄弟が欲しくなってきたよ」
アルルゥ「時々暴走するけど」
ムックル「ぶぉん!」
カミュ「あはは、確かにあれは怖いよね。ユズっちもいつもびっくりしてるし…ってあれ?」
ユズハ「…あ」
遠くから怒涛の勢いで走ってくるオボロの姿。
オボロ「……っ!!」
みさき「あれ、何だろこの足音」
アルルゥ「ん、きたかも」
カミュ「あちゃ〜見つかっちゃったか、タイミング良すぎだよね〜」
ユズハ「お兄さまったら…クスクス」
306名無しさんだよもん:04/07/09 14:28 ID:ewJDfVqt
オボロ「ユズハーーー!(がばっ)」
みさき「キャッ!……なになに?」
ムックル「ぶぉ?」
アルルゥ「――あ」
カミュ「ありゃりゃ」
ユズハ「……?どうなさいましたか?」
オボロ「こんなところで遊んでたら日射病になるだろ!ん?ユズハ?あっ?」
みさき「うう〜誰かなぁ、ちょっとだけ苦しいかも(ごそごそ)」
カミュ「(つんつん)ボボロ。ユズっちならこっちだよ」
アルルゥ「オンボロ、おっちょこちょい」
オボロ「俺の名前はオボロだっ!って、ユズハが二人!?」
ユズハ「お兄さま、みさき様が苦しがってるから、離してあげてください」
みさき「しくしく、男の人に抱きしめられちゃった、もうお嫁にいけないよぉ」
オボロ「うわぁぁあぁ、すまない。そんなつもりは無かったんだ」
ユズハ「…みさき様とわたしを間違えるなんて、よっぽど焦っていたのですね」
みさき「ユズハちゃん、私の事はみさきでいいよ。みんなもそう呼んでるし」
みさき「え〜っと。オボロさんかな。ユズハちゃんと仲良くさせてもらってる川名みさきです。よろしくお願いします」
オボロ「ああ、さっきは…すまなかった。よろしく頼む」
オボロ(しかし、見れば見るほどユズハとソックリだ…綺麗な黒髪も目も…っ!」
オボロ「おまえ、まさか…ユズハと同じ?」
みさき「―――たぶんそうだよ。気にしないで…って言っても無理かな」
オボロ「そうか…いや、ユズハと仲良くしてやってくれ。頼む!」
みさき「もちろん。お願いされなくても、そうするつもりだよ。だって私たちは…」
アルルゥ「友達」
カミュ「そうそう、もう友達だからねっ!」
ユズハ「わたしの事は心配しないでください。わたしはみんなに…囲まれて幸せですから」
307名無しさんだよもん:04/07/09 14:30 ID:ewJDfVqt
オボロ「――お前達に感謝を。ここは引くとするか、ユズハ…無理をするなよ」
ユズハ「…はい」
みさき「あ、オボロさん」
オボロ「ん?何だ?まだ何かようがあるのか?」
みさき「(むふっ)えっと、えっとね」
オボロ「何だ。もったいぶらずに早く言え」
みさき「…乙女を傷物にした責任を取ってもらうよ―――お兄さま♪」
オボロ「なっ!ば、馬鹿!そんな呼び方をするな!」
オボロ(前言撤回だ。外見はユズハにソックリだが…こいつの中身は禍日神だ!)
アルルゥ「ボボロ、顔が林檎みたい」
ムックル「ぶふぅん♪」

ハクオロ「ふぅ〜これでオボロも少しは落ち着くと良いが…ん?お前達どうしたんだ?」
ドリィ「若様…」
グラァ「僕達…」
ドリィ&グラァ「「捨てられるのですか…」」
ハクオロ(くっ、急に涼しくなってきたぞ…オボロ…ィ`)
308名無しさんだよもん:04/07/09 16:40 ID:vsotHdbg
彰「う・・・・・・・ん・・。」
目が覚めると、どうやら自分がベットらしき物で寝ている事に気づいた。
彰「あれ?あの森の中で気絶してたはずなのに・・・。そうか、誰かに救助されたのかも。」
あんな所で寝て、熱中症にかからなかった事に安心する。あの暑さだ、悪ければ死ぬこともある。
そんな事を考えているとと突然ガチャリとドアが開く音がした。それに気づいて目を向けてみると、
ドアの側に見知らぬが優しそうな女性が立っていた。
エルルゥ「おはようございます、ようやく起きたみたいですね。」
彰「おはようございます。・・貴方が助けてくれたんですか?」
相手の顔を見ながら少し誰かに似てるなぁと思いつつも、彰は違和感に襲われた。
エルルゥ「いいえ。貴方たちを連れて帰ってきてくれたのはクロウさんと言う人ですよ。
      私は貴方と、他の3人が眠っている間の看護役でエルルゥと申します。」
その女性の話を聞いて、相手の名前がエルルゥであると知ると同時に、
違和感の正体が彼女の耳である事に気づくと猛烈な不安に襲われた。
−真面目な彰には他人の性癖に、ケモノ耳を付ける事がある等とは思い浮かばなかったから。

彰「え・・・っとっ、エルルゥ・・さん?その耳、一体何なんです?!」
焦りながらも、彼女自身に対する不信感は湧いていなかった彰は、率直に訪ねて見る事にした。
エルルゥ「うふふ。迷い人の皆さんはその事を必ず聞いてくるんですよね・・。とりあえず、
      彰さん。トゥスクル国にようこそ。」
頭が更に混乱してしまう。
―『迷い人』?救助されたんじゃないのか?『トゥスクル国』?そんな国世界地図にもあったか?
それよりも、結局あの人は何なんだ?冬弥とあの二人の女の子は―

考えに集中していたためか、先ほどの女性が誰か二人を連れてきた事に気づかなかった。
冬弥「おはよう彰。」
長年の友人の声に思わず振り向くと、そこには冬弥の他にもう一人・・・・
彰「由綺?!」
次々と襲い来る事柄に耐え切れず、彰はこんな事を考えていた。
―ああ、さっきの人って由綺に似てたんだ・・・。そう、地味な感じがする所が・・―
309名無しさんだよもん:04/07/09 17:26 ID:LzLTGBnX
ワケも分からず由綺と、エルルゥという女性に叩かれた後、
僕は3人と一緒に居間でお茶を飲みながら寝ていた間に起こったことと、今いる場所
―つまり自分自身の現状―を知ることになった。

彰「へぇ、由綺が助けてくれたんだ。」
由綺「そう。4人が倒れていたのを見つけて木陰に引っ張った後、どうにか街道まで出て助けを呼んだの。」
冬弥「ただ、どうして俺達をあんな山奥で見つけたのかは・・」
由綺「秘密」
彰・冬弥「・・・・・」
その時部屋の板戸ががらっと開いて、少し目つきの悪い男の人が入ってきた。
オボロ「ったく・・ああいうのはカルラだけで十分だってぇのに(ブツブツ)」
エルルゥ「お帰り〜。オボロ、顔・・・何か赤いよ?」
オボロ「うっ、な、何でもないですよ、エルルゥ姉さん(滝汗。それより、起きたみたいだな。」
彰「お世話になってます。」
オボロ「まぁ困ったときはお互い様だ。これからどうするとか、迷い人になっちまった自分の事だとか、
    ここでゆっくり考えていくといい。」
冬弥「とりあえず・・帰り道は分からないけど居場所は見つかって良かったな」
彰「そうだね、冬弥。でもこれから何をしようか。恩返ししようにも、戦争何て僕らにできっこないし・・。」
エルルゥ「恩返しなんてそんな・・。迷い人の方は皆親切で優しい上に楽しい方ばかりなので
      こちらとしても家族が増えたみたいな感じで嬉しいんですよ。」
ベナウィ「そうですね。ただ・・・・・食料庫の方はかなり厳しくなりましたが。」
オボロ「うおっ、何時の間にいたんだ。」
ベナウィ「失敬な。先程聖上がぼんやりとしていたので更に仕事を依頼してきた所です。」
エルルゥ「あんまりハクオロさんに無理させないで下さいね。」
ベナウィ「エルルゥ殿の食事を美味しく召し上がってもらう為と思えば良いかと。」
オボロ(負けるな・・兄者・・(´Д`;))
由綺「(話を戻して)そうですね・・。一気に5人も増えたんですし。」
ベナウィ「厳しくしなった原因の大半はあの方ですが・・。」
彰「うーん、こうなると僕等も何か出来る事したほうがいいよね・・。」
冬弥「そうだなぁ。まず俺達の得意な事で出来ないかな。」
310名無しさんだよもん:04/07/09 17:58 ID:LzLTGBnX
彰「そういえば一緒に倒れてたはずの女の子二人はどうしたんです?」
ここには見かけないので、参考にもなるかと思い聞いてみることにした。
オボロ「ああ、あのか な り 独特な二人だな。最初はナツコミがどーとか色々騒いでいたが、この世界について教えたら
    『シメキリセーフ』だとか言って大分落ち着いた。その後これを機会に絵の技術を磨こうとか
    って二人で喋り始めて、今は町だとか色々歩き回っているよ。
    あと前に漫画とか言う面白いもの見せてくれたら、それを教えて欲しいと頼み込む輩が出てきてな。
    町の中に教えるための小屋を建てて教えたりなんかもしてるな。」
冬弥「他にもここに既に一之瀬ことみっていう子もいたんだけど、その子は皆に俺達の世界の事を
    教えたりしているる。こないだ風車の実験機の作成を俺も手伝ったんだが、
    風が強すぎて柱が折れたりもしたな。年に似合わずかなり賢い子だった。」
由綺「みさきさんって言う人とか、本当にこの世界に溶け込んでるのよね・・」
冬弥「で、俺達なんだが。俺はAD又は喫茶店又は家庭教師のバイトで真面目でない大学生。
    由綺は人気アイドルの大学生。彰は小説好きの喫茶店バイトで、比較的真面目な大学生。」
由綺「歌を歌うとしたら、私達の世界のでも聞いてくれるかなぁ。この世界の歌は何も知らないし・・。」
冬弥「家庭教師なんて言っても、この世界で何教えていいのか分からないな。」
彰「僕は小説は読むだけだし、書いたとしても・・。残るは喫茶店・・。」
3人でうぬれー、と悩む。
エルルゥさんはお茶を飲みながら、優しい目でこちらを眺めている。
オボロさんはニヤニヤ笑いながら楽しそうにこちらの展開を見守っている。
ベナウィさんは・・何か言いたげだけどやっぱりこちらを見ている。
→仲間にしますか






―何て選択肢はないけどね。
彰「3人で喫茶店開けばいいんじゃないかな。」
311名無しさんだよもん:04/07/09 18:18 ID:xDZy+WRM
(・∀・)イイ!
312名無しさんだよもん:04/07/09 18:37 ID:elPZuMWA
長瀬一族は何してるんだろう(特に源之助)
313名無しさんだよもん:04/07/09 18:57 ID:LzLTGBnX
冬弥「料理とか飲み物どうするんだ?」
彰「それについては勿論勉強するよ。世界が違っても似たような食材があったりもすると
  思うから、そういうので僕等の世界の料理に近づけてみる。コーヒーは不可能と思うけどね。」
エルルゥ「喫茶店ですか・・料理も食べさせてあげるとなれば結構お客さん来ると思います。
      貴方方の世界の料理は珍しい味ですので、それにつられて来る人も多いでしょうし。
      あ、良ければ私にも教えてもらえます? 代わりにこちらもこの世界の料理を
      教えてあげますので。
      後、『こーひー』も今度チキナロさんに似たようなのがないか聞いて見ますね。」
由綺「私も料理手伝うよ。歌も覚えたら、喫茶店の中で歌ってみるのも面白いかも。」
冬弥「なかなかいい考えだな。歌声喫茶か・・。俺はやっぱりウェイターかなぁ。」
オボロ「こないだの『かれー』、も最初は慣れなくて辛いと思ったけど、
    今になって考えるとあの辛さも面白く思う。てわけで出来たら俺にも食べさせてもらえるか?」
ワイワイガヤガヤと今後の事について相談する僕等。

だが話が決まってしまった事でベナウィさんは言いたかった事が尚更切り出せなくなったようだ。
少し不憫に思うので敢えて聞いてみることにする。
彰「ベナウィさん、何か言いたい事あるんですか?」
視線がベナウィさんに集まる。
ちょっと直接過ぎたかな、と思っていると少し緊張しながらベナウィさんが漸く口を開いた。
ベナウィ「実は・・我が国には文官と呼べる方が余りにも少ないのです。
     武官であればそこにいるオボロを始め、クロウ・カルラ等様々な人材がいるのですが、
     書類の整理や新たな技術の開発・法律の整備等、平時の仕事をする文官が
     数人しかおらず、私を始めオウルォである聖上にも手伝っていただいている現状なのです。
     それで少しでも手伝っていただければと思ったのですが・・。」
冬弥「って言っても俺達がそんな事に関わっていいんですか?」
ベナウィ「貴方方は、他国に情報を流したりしたとしても利益がありますか?」
314名無しさんだよもん:04/07/09 19:48 ID:LzLTGBnX
冬弥「なるほど・・・。俺達は迷い人、他国に義理もないですしね。」
彰「じゃぁ喫茶店を開く日数を減らして、その日を手伝いに宛てればいいかな。」
ベナウィ「ありがとう、助かります。
      それにいい意味で、なのですが、どうやら貴方達はとても幸せに生きてきたようですね。」
由綺「え?」
ベナウィ「私達の様な戦国で生き抜いてきた者達は、必ずどこか暗い場所があります。
      ですから心の傷を隠しているカルラや、目で見えないが故にしっかりと見てくるユズハ殿。
      そういった人間が迷い人を信頼出来るのも、
      貴方達が歩んできた道から来る暖かさがあるからだと思っています。
      ですから・・・私も同じ暖かさを持つ貴方達を、信頼してみようと思ったのです。」
オボロ「中々いい事言うじゃないか。融通利かなくてもそういうトコを見る事が出来るベナウィ、
     嫌いじゃないな。」
ベナウィ「ふっ、貴方に嫌われても別に構いませんけどね。」
彰「な、なんか、大分買い被られてる気もするんですが(汗。」
オボロ「まぁまぁ、男に信頼されるという事は悪いコトじゃない。
     買い被られていたとしても、むしろそれに答えて頑張るのが男ってヤツだ。ウイッ」
エルルゥ「あ、オボロさん何時の間にお酒なんか!」
由綺「私女ですけど・・。」
オボロ「それにベナウィが認める程って事は、お前さん方は兄者の家族になる資格があると思う。
    どうだ、元の世界に戻れるようになるまで俺達と家族にならないか?」
冬弥「へっ?!」
彰「そりゃ、嬉しいですけど(滝汗。」
オボロ「嫌でないんなら決まりだなヒック。これからしばらく兄者や俺等のこと、宜しく頼む。」
由綺「そ、そんな唐突に(滝汗」
エルルゥ「しょうがないですね。じゃぁちょっと早いですけどお祝いの料理の支度しましょうか。」
彰「え、あ、僕も手伝いますよ」冬弥「お、俺も皿運びぐらいなら手伝えますし」
―うろたえる僕等二人。勢いに追いつけなくて混乱しているからだ。でも嫌ではない。
エルルゥ「家族になったんですから、こういう事は私に任せてくださいな。」
ベナウィ「では私は他の人を呼んできますね。」
           
315ヘタレ作者:04/07/09 19:51 ID:LzLTGBnX
ここまで書いただけで疲れました(´・ω・`)。
長時間見守っていただいてThxです、メモ帳に書いてからやれば良かった思います。
どうかこの続き、書いてやっていただけないでしょうか?
蔵・こみパが未Playなので、性格が掴み切れていないので
他の方お願いいたします・・。
316315:04/07/09 19:53 ID:LzLTGBnX
続きというかお祝いの会の部分、です・・・。
317名無しさんだよもん:04/07/09 20:37 ID:szFjtfeV
>LzLTGBnX

318名無しさんだよもん:04/07/09 21:12 ID:G3pVvRVs
えと、とりあえず他の作者さんにも言える事なんだが、「」の終わりに。は要らない。
それと「・・・」じゃなく「…(三点リーダ)」な。
強制はしないが基本なんで、よろしく。みんな中身は悪くないんで頑張ってくれ。
319名無しさんだよもん:04/07/09 21:34 ID:Ep3TckRc
>「」の終わりに。は要らない。

同じ事をブルーピーポーなお人が生前、主張してましたなぁ。しみじみ…。
でも本当はどっちでもいいんですよ。表現に正解なんてありません。
国語の授業じゃないんだから。むしろ「簡潔な文章でわかりやすく書く」ことが大事かと。


>「・・・」じゃなく「…(三点リーダ)」な。

これも上と同じ。どっちでもいいんです。口うるさい姑じゃないんだから。
好きなほうを使いましょう。状況や表現に合わせて書き分けたりも可。
320名無しさんだよもん:04/07/09 21:38 ID:B17NuTjD
容量の関係上「…」推奨
「・・・」=6Byte 「…」=2Byte
321名無しさんだよもん:04/07/09 21:41 ID:nLM5HTsL
案外言われないと気付かないもんだから仕方ないよ
俺はどっちかと言うと318の意見に同意

どちらにせよ創作って書きたい人が書きたい様に書くのが重要だと思う
このスレだと、その繋がりで世界観を作るのが楽しみだな
いろんな方向に伸びる可能性があるし、期待してる

何にせよみんな乙!
322名無しさんだよもん:04/07/09 21:44 ID:nLM5HTsL
間違えた。319だ。
あえて言うなら・・←これは点の数を微調整できる利点あり
323名無しさんだよもん:04/07/09 22:39 ID:IjZOQtZK
まぁ、いろいろあるだろうけど
いい感じなのであげとく
324名無しさんだよもん:04/07/09 23:00 ID:hX9kNlIn
うたわれの世界って文明で言うとどれくらいなんだろう
鉄が貴重っていうと、結構古いよな
325名無しさんだよもん:04/07/09 23:43 ID:DME5fEYq
そういやうたわれの世界って日本語使ってるのな。
326名無しさんだよもん:04/07/09 23:48 ID:AAgOad8D
暗黙の了解
327名無しさんだよもん:04/07/10 00:14 ID:rW5GzRUp
日本人の研究者が作ったであろう実験体の子孫だから、日本語話しててもおかしくはないでしょ。
……確かそういう設定だよね? やったの一年ぐらい前だから違うかも…。
328名無しさんだよもん:04/07/10 00:19 ID:ykur+oZv
舞台が日本なのは間違いないんだよな
言語体系が変わってる可能性もあるとは思うけど
大体は>>327であってる希ガスる
329名無しさんだよもん:04/07/10 00:29 ID:nerX2Sk0
〜四次元空間〜
ディえもん「翻訳コンニャク無期限式ー!」
ハク太「安直なネーミングだな・・誰が迷い人に食べさせてると言うのだ、ディえもん」
ディえもん「迷い人を連れて来たヤツに聞くがいい」
ハク太「それ以外に考えは浮かばなかったのか?」
ディえもん「ミコト・ムツミが作られた地区が日本地区で、喋らせた言語は勿論日本語。
       それが世界に伝わっているとも考えた。」
ハク太「そっちの方がスマートではないか、ディえもん」
ディえもん「後はうしおととらの時逆・時順だな、ハク太」
ハク太「文字の方はいかんともしがたいがな。だが何故最初にコンニャクをあげたのだ?」
ディえもん「楽しいからだ、ハク太。というかこれを出さないと私たちの出番もなかった。」
ハク太「・・・・・まだ出てもいないキャラもいるから、我々はいい方ではないか」
ディえもん「いざ出た時は?我々の出番がなくなるやもしれん」
ハク太「ディえもんは心配性なのか」
ディえもん「さすはがハク太。現実を知らんな。彼らがどれだけ出たがっているか、
       その地獄を見たことがあるか?!」
ハク太「ない・・・な」
ディえもん「私など最初に原作で出番があった時も、影だけだったのだぞ。それに(以下延々)」
ハク太「ディえもん分かった、分かったからもう今日は帰れ」
ディえもん「つれないなハク太。それじゃここまでだ、スレに戻っても夜に過労死だけはするなよ。
       どこでもポアー!」
ハク太「過労死か。一人だけなら大丈夫なんだがなぁ。しかしオ○ムとはネタが古いぞディえもん」
ディえもん「ドアーからのネタ語がこれしか浮かばなかった。後いい加減早漏直せよ」
バタン
ハク太「ディえもんだって元は同じだから早漏の癖に・・」
330名無しさんだよもん:04/07/10 00:32 ID:nerX2Sk0
バタン
ディえもん「ネタがかなり被ったな」
ハク太「Σ(´Д`;)聞かれた?!・・・・投稿が何時もどおり遅すぎなんだ」
ディえもん「(私も遅ければ・・・)じゃぁ今度こそさらばだハク太」
バタン
ハク太(遅いのも結構厳しいらしいぞ・・)
331名無しさんだよもん:04/07/10 00:52 ID:B9hntFYA
(;´Д`)?
332作者:04/07/10 00:59 ID:nerX2Sk0
(´・ω・`)―4次元空間内の出来事の為、スレ内での出来事とは無関係です―

では張り切ってシナリオ投下ドゾー
333名無しさんだよもん:04/07/10 01:05 ID:QJ9Nsjte
智代タンのトゥスクル仕官話希望
裏をかいてクンネカムンでクーヤ様と大陸統一を目指すってのもいいな
こっちも割と人材いるし
334名無しさんだよもん:04/07/10 03:34 ID:tOOAzDcQ
マルチの(実はカンホンダリの)その後が気になる…。
335名無しさんだよもん:04/07/10 09:03 ID:QwJRAGgc
むしろ智代ならオピニオンリーダーに据えることも可能。
もう少し人生経験が有ればね。
336名無しさんだよもん:04/07/10 15:33 ID:aZbyvxdH
動機が難しいな…
337名無しさんだよもん:04/07/10 16:10 ID:soDCLnuK
智代ならそのまんまハクオロ互換可。故にこれでは価値がない…。
338名無しさんだよもん:04/07/10 21:23 ID:DNo0rMps
黒歴史の再来
339名無しさんだよもん:04/07/10 21:47 ID:R/RqUWqG
蔵未Playなんだが智代はそこまでの人材なのかのぅ。
他スレで似た姓名繋がりという事で蝉丸と一緒に出てきたり、
格闘技術が綾香級とぐらいしか知りませぬ。
340名無しさんだよもん:04/07/10 23:38 ID:Eu2aNS6J
確かにカリスマ性や能力もあると思うけど
そこまでは言い過ぎかなとは思う
いいキャラではあるけどね

ちなみに喧嘩も相当強い模様
341名無しさんだよもん:04/07/10 23:54 ID:RvZo8cbs
むしろ東鳩の来栖川綾香なんかはどうかと。
カリスマ性や能力は申し分無いし、
何よりも「人の上に立つ存在」として、より優れていると思う。
トゥスクル仕官では、少し目立たなくなってしまうので、
クンネカムンでクーヤのブレインとなって、
戦争をより良い方向で終わらせようと努力するとか
そういう展開キボン。
342名無しさんだよもん:04/07/11 00:02 ID:0pfG41mM
書き手さん次第でどっちの方向にも
持っていけるからな
気長に見ていこうや

グローバルな世界観とローカルなまたーり話の共存(・∀・)イイ!
冬弥や彰の喫茶店話も見てみたいし
343名無しさんだよもん:04/07/11 00:28 ID:KkX3w0f+
綾香はどっちかってーと、個人活動向きで、あんま指導者タイプではないような気がするが。
344名無しさんだよもん:04/07/11 00:36 ID:rUGTQwYV
ニウェんとこにいるのが一番似合う気もする
345名無しさんだよもん:04/07/11 00:49 ID:0pfG41mM
あの二人は気が合いそうだな
最強を目指すって意思がいい感じ
ニウェは結構結構いいキャラなんだが本編が(;´Д`)
346名無しさんだよもん:04/07/11 00:57 ID:KkX3w0f+
葵ちゃんはオリカカンの所に置いて、孝行させよう。なんかあの人、病弱っぽいし。
なんかすごいなごむ光景が頭に浮かんだ。
347名無しさんだよもん:04/07/11 04:20 ID:K3Y0RW4R
ところで、ワープしてきた理由はどうする?

グエンディーナへの帰還魔法を打ち消そうと試みるスフィーとリアン。しかし、力及ばず失敗。
それだけには留まらず、魔力の干渉により魔法の性質に変化が生じ、
送信地点と受信地点の座標が暴走してしまう…。

なんてのを妄想してみたり。
あと、個人的にディー・麗子シナリオの続きが気になる…。
348名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 06:53 ID:4ZIIrWLJ
>>347
ウィツが争乱と進化の火種となるべく召喚した、ってのはどうだろう。
過去にも時々大戦や新国家樹立の際にはこうして過去から人々が召喚されていて、
客人神として一部に伝承されている…みたいな。

正直まだあいまいなままでいいと思うけど。
349名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 10:02 ID:O1FuG18b
LIVE A LIVEみたいな感じで
350名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 11:26 ID:DKrNjQaV
サモンナイトじゃん。
351名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 11:57 ID:4rSbeykZ
来たれよ…

○○○○○○○者…

人間に いまだ幻想をいだく者よ…

いざなおう…

真実を知らしめんために…
352『二人。』:04/07/11 17:45 ID:K5bXhAdz
青年は旅の人。
彼の道連れはふたつ。
手を触れずとも歩き出す、古ぼけた人形。
「力」を持つ者に課せられた、はるか遠い約束。


トゥスクルの町、そして城。わたしたちは沢山の人たちに出会った。
故郷を失い、この世界で暮らしている人々に。

彼らの多くは戸惑いながらもこの地で暮らしはじめていた。
生活の為に喫茶店を開く人。
漫画という新しい文化をこの地に広める人。
元気に虎と駆け回ってる人(とそれに跳ね飛ばされるかわいそうな人)
のんびりとこの世界の人々と語らっている人。
進んでこの国に技術を広めようとしている人。
中には永住を決意している人もいた。
その人の話を聞くと、何だかちょっとだけ寂しい…

いろんな人達がいた。みんな懸命に『今』を生きている人達。
でもわたしたちはまだ迷っていた。
わたしたちには、会いたい人がいるから。
お母さん…
353『二人。』:04/07/11 17:46 ID:K5bXhAdz
日陰になっている道端の店舗の間で、私たち二人は旅の疲れを癒すためにゆったりと休んでいた。
往人さんは道の側に行って、じーっと大通りを見ている。
「往人さん、こんなとこで…あっ」
ふと見ると、足元にはあの夏の日々、往人さんが扱っていた人形があった。
「ん?ああ観鈴か。いやな、日々の糧を得るのも大変なもんだな。…よっと」
往人さんは足元にある人形をじっと見つめると、それに力を込めている様に見える。

くぃ……てくてくてく。ぽて。
独りでに動く人形。立ち上がって、ちょこちょこ、ちょこちょこと歩いていく。
お約束どおりにぱたんと倒れるのが凄く可愛らしい。
私たちが住んでいた町じゃ、蹴っ飛ばされたりして酷い目にあったみたいだけど、この国だとどうなんだろう。
「うん。やっぱりその人形って可愛いよね」
「はぁ〜お前ぐらいだよ、そんなことを言ってくれるのは」
「でも、ほんとに可愛いよぉ。このてく、てくっと歩いていくところとか、何だか頑張ってるって感じがして」
「ふーん、って俺が不満を持ってどうするんだか」
そんな事を言うと、イジイジとしながらも人形を操り始める。
――しばらくすると、表通りを通っていた小さな子供たちが人形目掛けて押し寄せてきた。
「うわぁ、兄ちゃんそれって『方術』かよ」
「凄い凄いっ!あれ?でもお兄さん羽が生えてないよ…何でかなぁ?」

そういえば、往人さんの力もこの世界では割と普通みたいで、
『方術』と呼ばれているみたい。
でも、おんかみやりゅ〜?という羽が生えている人達にしか扱えないらしい。

翼人。
それは、往人さんが嘗て捜し求めていたもの。長い、長い旅をしてきた理由だった。
往人さんはこの世界に羽を持つ人々が生活している国があると聞くと、凄く喜んだと同時に何だか複雑な表情をしていた。
次の日にはぼ〜っと空を見るばかりで、まるで抜け殻のようになってしまった。
わたしには分からない。往人さんがこうなった理由が。
折角捜し求めていたものが見つかったのになんで…
354『二人。』:04/07/11 17:46 ID:K5bXhAdz
数日たった今、往人さんは外見上は元気があるみたいだけど、何だか無理をしている。
そんな感じがした。
「ん、ああ――まぁ、気にすんなっと!」
子供達に答えると、人形にいつにもまして力を込める。
宙を舞う人形。往人さんお得意の前方宙返り一回転半。
スタッと着地が決まる。嬉しそうにガッツポーズを上げる往人さん。
うん。かっこいい。
「ふーん、なかなかじゃん。でもそれだけじゃなぁ」
「それに、この人形…なんだかぼろぼろでかわいくない…」
「ぐぁっ…」
やっぱりどこに行っても往人さんは、往人さんだった。
すたすたと離れていく子供達の姿を呆然と見送るその姿は哀愁が漂っていて、何だか応援したくなる。
「往人さんファイト!大丈夫だから。そのうちみんな見てくれるよ」
「―――はぁ〜〜」
大きな溜息。やっぱりあの事を引きずってるのかな。元気が無いみたい。
このまんまだったらちょっと心配だなぁ。
黙々と、人形を動かす往人さんは何だか心をどこかに落としてきたように、上の空だった。
355『二人。』:04/07/11 17:47 ID:K5bXhAdz
―――かわいいにゃぁ
ゆったりとした時間が流れる中、突然前方の何も無いところから猫撫で声が聞こえてくる。
「うお!な、なんだ?」
往人さんの前方に突如現れた女の人、腰に刀を差して、何だかお侍さんのように見える。
うーん、全然気付かなかったよ。どこから現れたんだろう。さっきまで見なかったのに…
その人は何と言えばいいんだろう、そう蕩けそうな顔で、こちらを…人形を見ていた。
「あんた、この人形…かわいいって、気になるのか!」
往人さんが目を爛々と輝かせながら女の人に問い掛けている。
「…何ならもう一度見ていくか?――っ」
すたっ!とことことこ―――ぺこ。

「ほわぁぁん。やっぱりかわいいにゃぁ」
本当に幸せそうに往人さんの人形を見ている。ふにゃふにゃとしている表情が何だか面白い。
「にはは、おじぎだ」
「よし、次は…これでいくか」
張り切って人形劇をする往人さんも凄く嬉しそうで、次々と新しい技に挑戦している。

…しばらくそんな事を繰り返した後、満足したのか?往人さんは人形を仕舞い込む。
女の人はその場で固まったまま、少しの間ぼ〜っとしていた。
突然びくっと震えたかと思うと、辺りを見回して自分の状況を確認したのか、女の人は呟く。
356『二人。』:04/07/11 17:48 ID:K5bXhAdz
「くっ、民草に心配されてしまうとは…誇り高きエヴィンクルガ族として、
 武士として赦されるものではない…この上は腹を切って!」
そう言って、スッと腰に収めていた刀を抜く。刀身が太陽の光を浴びてキラリと光っていた。
「にはは、かっこいい。でも何を、…え゛!」
その人は、躊躇いも無くそれを自分に向かって振り下ろす。
一瞬の出来事にわたしはまったく反応する事が出来なかった。

「馬鹿かおまえは!」
側にいた往人さんが凄い勢いでタックルをお見舞いする。
間一髪でその刃が女の人に届く事は無かった。
「離せぇ!某を黙って逝かせてくれぇ。後生でござる!」
縺れながら転がりまわる二人を見て、周囲の人が
「はぁ、またトウカ様のあれが始まったか…」
「いつものことだから心配ないよお姉ちゃん」
わたしに向かってそんな声を掛けてくる。
そんな光景をわたしはただそこで呆然と見ていた。
辺りの歓声がそんな揉み合ってる二人を囃し立てる。

しばらくたって、二人は落ち着きを取り戻す。
私達はお互いに挨拶をして、簡単な自己紹介をした。
往人さんはまだ何か不満なようで、何だか言いたそうな顔をしていた。
357『二人。』:04/07/11 17:49 ID:K5bXhAdz
女の人はトウカさん。この国に仕えているお侍さん。
こうしてみると雰囲気もキリリとしていて、テレビで見たような武士というイメージに近かった。
――とても先程見たような蕩けそうな顔をするような人には見えない。

「先程は済まなかった。某、人形にはちょっと目が無いのでつい深入りしてしまった。面目ない」
「人形に目が無いか。こんなぼろっちいので良ければ好きなだけ見ていいぞ」
ぽいっと宙に放り投げられた人形。それはスッとトウカさんの手元に着地した。
「――なるほど、これは…大事にされてきたのだな。
 所々解れがあるが…長い年月をともに歩かなければ、ここまで思いが篭る訳が無かろうに」
「トウカには、そんなことが分かるのか?」
「ああ、某も…これを」
トウカさんは、ごそごそと懐から一つの古ぼけた…木製の人形を取り出す。
「あ、往人さんの人形となんだか…似てるかも」
「幼少の頃から共にあった人形だ。某の命…といっても過言では無い。
 時には見失った事もあったが、どんなことをしてでも手元に戻したものだ」
「そうか、俺のも子供の時から一緒だったからな。長い間ずっと一緒に旅をしてきた、そうずっとだ」
今まで楽しそうに話していた往人さんの表情が、一転して寂しそうな表情になる。
そんな様子に気付いたみたいで、トウカさんも少しだけ意気を落として尋ねる。
「――お主、何でそんな悲しい表情をするのだ?」
「その旅も…終わってしまった。俺には――目的が無くなってしまったんだ。何百年と続いてきた。俺達の思いが」
「あっ…」
358『二人。』:04/07/11 17:51 ID:K5bXhAdz
―――そうだったんだ…やっと分かった。
先祖代々伝わる思い。翼の少女を見つける事。
それはつい数日前、あの城で…成し遂げられたのだった。
例え異世界だとしても往人さんは見つける事が出来たんだ。
何百年と続いた往人さんとその先祖の思いは…叶えられたのだから。

だけど、それと引き換えに往人さんは失ってしまった。
これから辿るべき道を。
往人さんの人生は全てがそれだったのだから。

「俺は、俺は一体どうすれば…俺は翼の少女。それだけの為に旅をしてきたんだ。
 子供の時からな。その目的がこんな訳の分からない世界で見つかってしまうなんて思いもしなかった
 ――この先俺は何を目的に生きていけばいいんだ…くそっ!」
ダンと壁に拳を打ち付ける。その表情はただ苦痛に歪んでいた。
「―――」
トウカさんは答えない。ただ、目の前にいる、苦しんでいる男を悲しそうに見ている。
わたしは―――

賑やかな街角の一角。そこだけが辺りの喧騒から取り残されているような。
そんな感覚を覚える。
どれだけの時間が経ったのだろう――トウカさんが静かに語り始める。
「人にはいろいろな道があるものだ」
最初にそう言うと、優しい目でわたしたち二人を諭し始める。
「某も初めはエヴィンクルガ族として、当然の如く義の為に生きることに道を求めた。
 多くの戦場をその道を進む為に駆け抜けたものだ。今もそれが間違いであるとは思わない。
 だが、あのとき、あの戦場で聖上と出会った瞬間、全てが変わった。
 初めは謀略とはいえ敵同士であったが、そんな某に聖上は、暖かい言葉を掛けて下さった。
 そして聖上のお人柄、気高き意思、民を思う心、その全てに惚れこんだ某は一生を聖上と共に生きる事を誓ったのだ。
 今の某は…聖上の為に生き、聖上の為に死ぬ。それこそが某の新たなる道」
トウカさんは少しだけ呼吸を置くと、最後に一言呟く。
「――お主には既に『新たな道』があるのでは無いのか?」
その言葉に往人さんは、はっと思いついたように顔を上げると頷いた。
359『二人。』:04/07/11 17:52 ID:K5bXhAdz
わたしが進む道。
往人さんと共に歩む道。
例え元の世界に戻れないとしても…それは変わる事は無いから。
だからわたしは―――言わないと!

「がおっ。わ、わたしじゃダメかな、往人さん。わたしは往人さんがいないとダメだよ。この世界で一人じゃ…寂しい」
わたしは、自分の顔が真っ赤になるのを実感しながら、どもりながらも伝えるべき事を告げる。
往人さんはそれに…自分の頭に手を当てながら面倒くさそうに答えてくれた。
「―――そうだったな、俺、いや俺たちは決めたんだったな。あの時に二人でずっと一緒にいると」
あの日、炎に囲まれながら誓った約束。
「うん、だから。わたしたちはずっと一緒だよ。往人さんが嫌って言っても、ずっとついていくから!」
「そうだな。いつか二人であの平和な日常に戻れる日まで」
「――お母さん。うん、観鈴ちんがんばる!」

二人は向かい合い、お互いの顔を見つめている。
往人は何かを決意した表情を。
観鈴はただ笑っていた。元気良く、まっすぐに。
その微笑ましい様子をトウカが頷きながら見守っていた。
上空を一匹のカラスが羽ばたいている。
まるで二人を祝福するように。

進むべき道は既に決まっていた。
二人は戸惑いながらも、この世界での日々を歩み始める。
二人の道を。


青年は旅の人。
彼の道連れはふたつ。
夏の青空のように、清々しく笑う少女。
遠い見知らぬ世界で交わされた、二人の約束。
360名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 17:55 ID:Sr8iiaB3
とりあえず、翼人の事を勘違いしながらも、ゴールインさせてみました。
しばらくはトゥスクルで暮らすと思うので、仲間に入れてやってください(´・ω・`)
361名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 18:04 ID:MZzqT79+
超GJ!

ただ、再度野暮ですまんが。

○=エヴェンクルガ
×=エヴィンクルガ
362名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 18:34 ID:Sr8iiaB3
突っ込み感謝です(´Д`)
363名無しさんだよもん:04/07/11 23:51 ID:FsO51Uvs
下がってるんでage

というかこの二人生活できるんかいな
364名無しさんだよもん:04/07/11 23:51 ID:ChLEuuMb
GJ!
翼人の事を隠した事でシナリオの伏線にもなるにゃも。
解消するもよし、しないでも臨機応変にゃも。

>>『二人』作者殿
ちなみに現トウカ&カルラスレ783-785にて、
「エヴァンクルガ」とも間違って表記されているが
結局「ァ」については気付かれなかったほど間違われやすいにゃも。

正直朕は「エヴァ〜」の方が某アニメのお陰で浮かびやすいにゃも。
365名無しさんだよもん:04/07/12 00:09 ID:IQ5MeQDM
にゃもにゃもキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
って、どっちだったっけ?
ササンテ?インカラ皇?
366名無しさんだよもん:04/07/12 00:39 ID:k0DzQcfE
>365
どっちもでなかったにゃもか?
あと、にゃぷぷぷ、とか笑ってた気がするにゃも。
高貴なナイスガイの嗜みにゃもね。
367名無しさんだよもん:04/07/12 01:46 ID:kI4GvnlZ
>>365-366

にゃも=インカラ
にゃぷぷ=ササンテ
368名無しさんだよもん:04/07/12 10:10 ID:Oy+O+XG4
      ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 話の続きまだ〜?
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       | モロロ1ダース |/
369反乱軍その1:04/07/12 17:26 ID:Q5oPhpJk
―カンカンカンカン
燃え上がる炎に照らされた赤い夜空に、襲撃を知らせる鐘の音が鳴り響く。
デリ「ふん、町の軍が今頃動き出したか。貴様、我等に加勢するとか言ったが何故だ?」
退却時に殿を勤める部隊は時に死を任務とされるほど、過酷であり又重要な責を追う。
特にこの様に体力的に優れた剣奴だけならいざ知らず、その家族や子供・老人等も含めた
一般の人間を連れた場合、必然的に部隊の進行速度が遅くなる為に更に困難になる。
だが彼は、それを自分と数人の部下だけでやろうとしていた。
隠密裏に働く以上、戦場を離脱し易い人数であるのは重要である。
但し少数で守り切れると、自分の力を過信しているとも考えられる。
光岡「奴隷船から大勢が逃げ出してきたのでな、叛乱だと分かった。
   俺はこの国の政府には何の思いもないが、弱者がどこまで強者に立ち向かえるかには
   興味がある。そしてリーダーのお前が闇討ちに遭いそうになったので助けた」
退却に付き添いながら光岡は答えた。
デリ「・・・我等奴隷に加担するなど正気とは思えん、傍目から見ても勝ち目はない軍に何故身を投じる?
  単なる義侠心からなら御免蒙りたい、墓の数なら間に合っているのでな」
反乱軍と言えども所詮は剣奴を中心とし、他にスオンカスの施政に不満を持った少数の集まりだ。
それに恐怖政治を貫く強力な政府に対し叛旗を翻す者達に、堂々と支援などされはしない。
よって常に物資不足に喘ぐとともに、奴隷の家族等も養っているのでその経営は困難である。

助けた礼が一言もなかった事もだが、それ以上に他者を拒絶する反乱軍のリーダーに対し、
光岡は少し圧倒されてしまった。だがこの奴隷達の緊迫した現状も理解出来た。
光岡「義侠心はある。なければおまえ自身が言っている通り、そんな負け戦に酔狂で助けたりもせん。
   ならばこちらから言わせて貰うが、お前は死にたかったとでも言うのか?
   ・・・それとも赤の他人に助けられたのが嫌いだったのか?」
デリ「貴様・・・・・!」
光岡「貴様ではない、光岡と言う。」
図星だったのか、プライドを傷つけられた彼は思い切りこちらを睨み付け、拳を―
370反乱軍その2:04/07/12 17:27 ID:Q5oPhpJk
部下「リーダー、敵さん大分近づいて参りましたよ!」
この時既に奴隷達は山の奥深くにある、この地域の砦に収容され始めていたのだが、
未だ列は収まり切っておらず敵の足止めが必要であった為待機していたのだ。
デリ「ちっ・・・、ここは預けておいてやる。」
荒い息を吐きながら拳を元の位置に置き、代わりにその手にトンファーらしき物を着ける。   
部下に対し足止めの準備をさせながら再びこちらを向き、
デリ「俺の名はデリホウライと言う、誇り高きギリヤギナの末裔だ。
   その異様な出で立ち、スオンカスの密偵とも思えん・・・。
   加わりたいなら好きにしろ、ただし死んでも墓は作らんぞ」
光岡「ふっ。俺はこんな所では死なん、よってお前が墓を作らんでも問題は無い。」
愛刀に先ほどの血糊が残っていないか確認した後、もう一つ持って来ていた武器を確認する。

―トカレフ。犬養から支給された武器だ。
勿論貰っても使うことはないだろうと思っていたが、いざこの様な事態になれば話は別だ。
接近「できるのなら」愛刀で敵を切る事も出来るが、この世界には翼で飛行する種族もいるらしい、
そうした相手に対峙した時の他、戦術面では様々に使いようがある。
光岡「また加わる理由は義、だけではない。最初に言ったように反乱軍そのものにも興味がある。
   そして今では、お前にも興味が出てきた。」
デリ「何・・・・?!」
驚きを露にする。無理も無い、先程まで徹底して拒絶してきた相手にこう言われたのだ。
光岡「お前が何故他人を拒絶するのか、またその悲壮感はどこから来るのか。
   そしてそんな冷めた目をしながら、反乱軍に対して深く熱い思いを持っている事が
   何故かお前感じられ事。それらに対する興味だ。」
少し沈黙した後、デリホウライは淡々と語り始めた。
デリ「奴隷として生きて来た者なら誰でも思うことだ・・・・。
  虐げられる事が宿命ならば、誰しも悲観的になるだろう。
  それに抗おうと思う心が出てくるのも当然な。」
―この男の心はそれだけではないと感じつつも、『それ』が何か分からぬ光岡には聞く事はできなかった。
371名無しさんだよもん:04/07/12 17:29 ID:Q5oPhpJk
仙命樹の力も加わって研ぎ澄まされた光岡の耳に、追っ手の足音が聞こえてくる。
光岡「後はだな・・デリホウライ、お前のその自信がどの程度の物なのかも見てみたい。」
今度は苦笑しながら、デリホウライが答える。
デリ「言ってくれる・・・。戦闘民族ギリヤギナの力、雑兵風情には勿体無い物なのだが。
   今よりしっかりと見るがいい!」

―そうして、長い夜が始まった―
372反乱軍作者:04/07/12 17:41 ID:Q5oPhpJk
注)棒スレより転載のインカラ皇
            ,、_,,,、_r-、_,、_
        _,、-'`~^:::::::::::::::::::::::::::~'`-,_
     _,r'"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::"'v、
     j''゛:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`i    仕方が無いから朕の作品には全然及ばんが、
    f’::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}    こんなの投下してやるにゃも。
 ,.-f~::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∫
´ i!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;r−-::_:::::;:、::::::::::::::::::::::リ
 {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::r’    i~ ヽ::::::::::::::::::;j
 {::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  `,ニ,=_、! ,_=,1:::::::::::::;r″
  '!::::::::::::::::::::::::::::::::i! ー´二   ヽニヽ::::::;i''”  ,.、__,r‐-、
  ゙';:::::::::::::::::::_,-ヘ:i!       し、_,ム  V″   jノ~~~~ヽ
ヽ、 ゞ;:::::::::::l´..:..:.l“       レ',ニ,ニ,} ヽ __,-、/⌒ヽ、
  `丶、ゞ;::::::{..:..:..:..|     トミ二 ̄)  }└y'_,.='=‐、
       ``'┴-、..:|     ノ   `フ}  ハ /   -‐`ニ=┐
             `ヽ、 _'´   ー'ノ‐く ll!       ´
`>―-- .._      >、``ー‐く、}!  lヽ|         r=
´        `¨− .._ |〔 〕ト、.:.:.:.:`゙|.:.:.:||        !_
            `ヽ<l〔 〕ト、.:.:.|.:.:.;L|      /
               `ヽ<r=ヽ|.:/{.:|       /

373野暮男:04/07/12 19:38 ID:kI4GvnlZ
○=犬飼
×=犬養
374名無しさんだよもん:04/07/12 21:56 ID:LUhHM0Dg
乙。お茶どうぞ。

( ・∀・)つ旦~~
375名無しさんだよもん:04/07/13 09:10 ID:EUlaKE02
祐一「あててて…ひどい目にあったな」
??「じ〜〜〜」
祐一「しかし名雪もここに来てたのか…もしかして他のみんなも?」
??「(クイクイ)」
祐一「考えても仕方ないな、とりあえず」
??「…ガチャタラ」
バリバリ!!
祐一「ひばばばば!?」
??「ん」クィッ
祐一「あぢち…な、なんだ?」
??「おにーさん、ムックル助けてほしい」
祐一「ムックル?ていうかお前誰だ?」
アルルゥ「アルルゥ。ムックルはさっきおにーさんにぶつかったの」
祐一「俺は相沢祐一。祐一ってよんでくれ…あー、ムックルってさっき名雪に追いかけられていた虎のことか?」
アルルゥ「ん、ネェゴォ様に取り憑かれた。ムックル困ってる」
祐一「…名雪にイチゴと猫を見せたら餌食になるわな」
アルルゥ「ユウイチおにーさん…」
祐一「…まあ仕方ないか。あれを止められるのは俺と香里だけだし」
アルルゥ「ん?」
祐一「んじゃアルルゥ。道案内頼む」
アルルゥ「ん」
 
 
祐一「でも何で俺に頼んだんだ?」
アルルゥ「おにーさんネェゴォ様のこと知ってるから」
祐一「?そんなこと言ったか…って、あ」
名雪「ね〜〜こ〜〜♪」
ムックル「(ガタガタブルブル)」
アルルゥ「ユウイチおにーさん…」
祐一「虎相手にも猫魂か…ちょっとまってな、今止めてくるから」
アルルゥ「ん」
376名無しさんだよもん:04/07/13 09:30 ID:pW1lXRjM
祐一とアルルゥは相性良さそうだな

うたわれで猫耳というと、どのキャラだっけ?
ギリヤギナ族は狐耳だし…いたっけ?
377名無しさんだよもん:04/07/13 09:53 ID:Kk4GVccC
ユズハがそれかと。
オボロは違うっぽいがな。
378名無しさんだよもん:04/07/13 12:08 ID:JxHPPQDx
「ポナホイ」
「はひい! お、お呼びでしょうか……?」
「『でんき』の解明状況について報告しろ」
「は、はい! 学者たちによると雷の力を利用したものだそうで、摩擦などによって微量な『でんき』が発生することが確認され・・・」
「そんなことは聞いてない、糞虫が。期限は明日だ。わかってるだろうな」
「ひいいいいいいい!」
「皇様ー、お茶が入りましたー」
「うむ、ごくろう」
「『でんき』は必ず明日中に解明いたしま……」
ゴスッ
「びぶらっ!!」
「マルチが来たらさっさと出ていけと言ってるだろうが、この糞虫が」
「も、申し訳ありませ…」
「し、失礼します!」
「……なんだこいつは?」
「ひいいいいいいい! こっちには来るなとあれほど言ったろう」
「あ、あの、私、柏木初音と言います! …お茶菓子作ってみたんですけど、いかがですか?」
「お茶菓子はいいから! さっさとむこうに行きな…」
「さっさと答えろ。なんだこいつは?」
「ひいいいい! こ、この子もやはり例の異世界からの来訪者の一人で、城にて保護致しておりました」
「でも、お姉ちゃんたちとお兄ちゃんと離ればなれになっちゃって……(涙目)」
「………」
「カ、カンホルダリ様、もしかして……またですか?」
「……ポナホイ、至急こいつの家族を探し出せ。7日以内だ」
「そ、そんな人手は…」
「城下に腐るほどいる民共を使えば済むだろうが。ガタガタ言うな、糞虫が」
「は、はひいいいいいいいいいいいいい!!!!」
「はわわ、例によってポナホイさんが泣きながら走り去っていきますー」
「ところで初音、その茶菓子は何だ」
「あ、はい。私たちの世界で言うクッキーというお菓子をつくりました。よかったらどうぞ」
「わあ、とっても上手くできてますー! いつもと違う素材でここまで出来るなんてすごいですー」
「えへへへ、ちょっと苦労したけどね」
379名無しさんだよもん:04/07/13 12:29 ID:6Had7nFB
嗚呼…カンホルダリ……おまえは何処まで堕ちて行く?orz
380名無しさんだよもん:04/07/13 12:39 ID:pW1lXRjM
またーり(・∀・)イイ!!
GJ!
381名無しさんだよもん:04/07/13 23:59 ID:v5d8lB5M
期待sage
382名無しさんだよもん:04/07/14 01:07 ID:+/w153gz
なんかポナホイと春原は気が合いそうだな

春・ポ「ヒィィィィィ(゚皿゚)ィィィィイ!!!!!」
383名無しさんだよもん:04/07/14 10:59 ID:FRuBFvl2
      |ハ,_,ハ
      |´∀`';/^l
      |u'''^u;'  |
      |∀ `  ミ  ダレモイナイ・・・
      |  ⊂  :,    モサモサ スルナラ イマノウチ
      |     ミ_
      |    彡・|ノ
      |    ,:'._|
      |''~''''∪||
                  ハ,_,ハ
               l^c´∀`';,              
        もさもさ   |  '゙''"'^uy-―,     
               ミ ´ ∀ `  ,:'     
             (丶    (丶 ミ     
          ((    ミ        ;':   .__
              ;:        ミ.. 〜lД・〜l  
              `:;       ,:' .  |__|
               U"゙'''~"^'丶)    く ヽ
        ハ,_,ハ,,  
       ,:' ´∀`っ^l
     ,―-y'u''~"゙´  |   もさもさ
     ヽ  ´ ∀ `  ゙':
     ミ  .,/)   、/)
     ゙,   "'   ´''ミ. ___
  ((  ミ       ;:'  l〜・Дl〜
      ';      彡  |___|     
      (/~"゙''´~"U     ノ   >
384名無しさんだよもん:04/07/14 12:17 ID:0RjJGNVy
  |        ダレモイナイ
  |Д´)       バルサンスルナラ
  |ノ ).  ⊂二⊃    イマノウチ…
  |<    バルサン
─┘    └─┘

♪バールサン   ゞ  ::::;;;)
   バァルサン  ヾ ::;;ノ
           ヾ丿
 ヽ(`Д´)ノ    ⊂二⊃
  (へ )     バルサン
     >     └─┘

  ♪ゴキブリナンテ  ヾ  :::::::;;;;;::::::::::::::
      イチコロダイ  ゞ  :::::;;:::::::::::::::::
              ヾ :::;;;:::::::::::::::::
     (Д´ )     ⊂二:::::::::::::::::::::
    〜( 〜)      バル:::::::::::::::::::::::
     <<      .└:::::::::::::::::::::::::::

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ♪バァ..ゴホァル..サン:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: バルsゴフォァゲェホ:::;;;::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ソ;;:::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::: Λ_Λ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ;`Д)=3::::::::::::::::::::二⊃:::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::: /:彡ミ゛ヽ;)ー、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;):::::::::::::::::::::::::: ル:::: ン::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::/ :::/:::ヽ、ヽ、::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: >::::::::::::::::::::::::::::::::┘;:::::::::::::::::
:::::::::::::::::/ :::/;::::::::::ヽ ヽ::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄|
 ゲホゲホ
385名無しさんだよもん:04/07/15 09:40 ID:30QL5BDm
漢掘るダリage
386:04/07/15 10:25 ID:f2RLv0GS
387名無しさんだよもん:04/07/15 11:41 ID:30QL5BDm
そういえば、うたわれ世界の生態系ってどうなってるんだ?
ゴキもそうだが、上の方の話に米とかあったが…存在するのか?
動物も、どんなのがいるのやら
388名無しさんだよもん:04/07/15 12:41 ID:VF4duVUj
まず俺が覚えてる動物は、

猿(序盤の敵)・虎(てかムックル)・亀みたいな物(チキナロの強壮剤の説明であったような)
トカゲウマ(ウォプタル。ナウシカのトリウマ的な存在か?)・ホッコモッコ(正体不明)・
イタチ(名前忘れました)・鳥(はばたきや鳴く声は聞こえる)

昆虫では
蜂(ハチミツ取りのイベントで出てきた)・紅皇バチ(カルラ御用達強壮剤の材料)


農業
畑在り、モロロ(トウモロコシみたいな物と記憶している)等栽培

とまぁこんな所。
トゥスクル付近では穀類が主食のようだが、他の国も同じかは不明。
米は輸入品とも考えられるし、ゴキブリ・ネズミ・ハエ等の害虫・害畜は
極端な環境でない限り、似たタイプの物はどんな世界でも存在すると思われる。
動物もトゥスクルで牛を飼っていた気がする。そうでなくても遊牧民の存在で
その様な動物はいるだろうが・・。
内陸の国ゆえトゥスクルでは海鮮の類はかなり少ないが、
海に面しているカルラゥアツゥレィ等では豊富かもしれない。

また見た所「うたわれるもの」の地図以外にも世界はあり、
ゲーム内の場所は中国程度の大きさなのではないだろうか。
389名無しさんだよもん:04/07/15 12:56 ID:30QL5BDm
みんなケモ耳(ハクオロ除く)だけど
その元の動物がいるんだろうか

いないなら、ピロとかポテトとか来たら珍しいだろうな
ポテトはどっちにしろ妖しいが
390名無しさんだよもん:04/07/15 15:30 ID:oLqsDKXX
>>390
日本だよ。
391名無しさんだよもん:04/07/15 15:30 ID:oLqsDKXX
レス番間違えた。
>>388
ゲームの舞台は日本だよ。
392名無しさんだよもん:04/07/15 20:46 ID:v1P1B+sQ
モロロは、芋の類だったと思う。
また、作中で清酒を作って呑んでいたから、米もあるんじゃないかと想像。
モロロで酒を造れば、芋だから、焼酎になってしまうし。
393名無しさんだよもん:04/07/16 00:22 ID:7kHuA1hq
このスレをまとめようかと考えてたり……
394名無しさんだよもん:04/07/16 00:31 ID:hbWaOiZ5
職人も多いし良いかも
395名無しさんだよもん:04/07/16 11:18 ID:X4wj62lN
           '´∧~∧   
       .│ミ  T ヽ  
        │ レ´∀`/  <ageますよ。
       _( ⊃┣⊂)   
      /_/三//.|    
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |        
    |国産モロロ . |/ 
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
396名無しさんだよもん:04/07/16 16:58 ID:2ykw3Hje
「参ったぁっ!
俺は参ったぁぁっっ!
なぜなら萌え過ぎるからだぁっ!
この世界の住人はなんて萌えるんだぁっ!
どうすりゃいいんだ、俺はっ!」
397名無しさんだよもん:04/07/16 17:47 ID:X4wj62lN
干す
398名無しさんだよもん:04/07/17 11:21 ID:+3OW7qVY
うたわれるもののいない12月
399名無しさんだよもん:04/07/17 23:34 ID:RiXhAK5o
おーーい、誰かいないかぁ?(´・ω・`)
400名無しさんだよもん :04/07/18 00:12 ID:zO4vs+MH
2ch全体で人が少なくなってる希ガス。
401名無しさんだよもん:04/07/18 00:12 ID:buqAwsn+
ここにいるよ。
なんか書こうかな……時間かかりそうだが
402名無しさんだよもん:04/07/18 00:17 ID:OivDW+fi
ほんの数日前まで、盛んに作品が投稿されてたのにな・・・
何か書くことで、また活気が戻るかもしれん。
403名無しさんだよもん:04/07/18 00:25 ID:zPyAw3We
そのうちヌワンギの話でも書くかな〜
予約になっちゃうから書くときは宣言しますね。
404名無しさんだよもん:04/07/18 01:06 ID:kVNGSL9i
今いろいろ試行錯誤してまとめようとしてます。
出来次第アドレスを張る予定。
405名無しさんだよもん:04/07/18 01:27 ID:0Ne2mOp9
(・∀・)イイヨイイヨ
406名無しさんだよもん:04/07/18 02:05 ID:x/cxYRTz
>404
FARE氏乙彼。
ただ既存の企画の更新も少しやってくれるとうれしいなーと言ってみるテスト。
407名無しさんだよもん:04/07/18 02:21 ID:U3JsCiTh
上のSS見てたら
カンホルダリに萌えてきたw
408FARE-M ◆7HKannaArk :04/07/18 02:54 ID:kVNGSL9i
はっ、ばれてる……w
既存の企画の更新作業もやってるんですけどね。
……選択は量が多くて大変です。区切りまで行けばアップできるのに。



一応こんな感じにしてみました。
最近wikiがはやってるので。
http://cgi.f44.aaacafe.ne.jp/~farem/utaware/index.php
少しずついじってくつもりですが。
409名無しさんだよもん:04/07/18 03:21 ID:OivDW+fi
>>408

本当に乙彼さまです。
410名無しさんだよもん:04/07/18 03:21 ID:8zUP+Vxq
神降臨
激しく乙!
411名無しさんだよもん:04/07/18 04:00 ID:Er0YAeGy
一応俺もWiki弄れるからたまに手伝いするよ
同じように掛け持ちしてるから大変だけど(苦笑

Wiki良いよねぇ
412名無しさんだよもん:04/07/18 12:27 ID:z8Ulo6r6
祐一「ほれ、連れてきたぞ」
名雪の首根っこを掴んだ祐一はムックルを連れてアルルゥの元に戻った。
名雪「くしゅんっ!わたしねこさんじゃないよー…くしゅっ!」
眼から涙、鼻を赤くした名雪はくしゃみをしながら眼前の怯えきった虎を凝視している。
ムックル「(ガタブル)」
アルルゥ「ムックル、だいじょぶ?」
ムックル「ヴ、フォーン!」
名雪に怯えていた主(ムティカバ)は自分の母の元へと飛び込んだ。
アルルゥ「おにーさん、ありがと」
祐一「いいって。こっちは名雪を捕獲できたからな」
名雪「わたし動物じゃないよー」
祐一「そんじゃな、アルルゥ」
アルルゥ「…ん、これ」
祐一「ん?なんだこれ」
アルルゥ「ハチミツ。おにーさん食べる」
祐一「そうか…(甘い物は苦手なんだけどな…つーか蜂の巣だしコレ)」
アルルゥ「?」
祐一「ええいままよ!」ガブッ!
ムシャムシャムシャ
祐一「(あ、甘!しかもなんかプチプチして…あ、でもなんか)」
祐一「…美味い」
アルルゥ「ん♪」
名雪「ほんと?ねえ一口ちょうだい」
祐一「ほれ。にしても甘い物は駄目なんだが…これは美味いな」
名雪「もぐもぐ…あ、ホントにおいしいよ〜」
アルルゥ「ん〜♪」

 
 
今日もそれなりに平和なトゥスクルでした
413FARE-M ◆7HKannaArk :04/07/18 13:15 ID:kVNGSL9i
>>409-410
ありがとうございます。

>>411
ええ、よろしくお願いします。
こちらも時間のあるときに更新するつもりなんですが、
やっぱり、一応リアルで大変なときもありますので。
wikiは慣れると使いやすそうですね。
家からじゃなくても更新できますし。
「だめだめだめだめ全然だめぇ〜! そんなへにょへにょな形の人間じゃ萌えないじゃない〜!」
「も、萌えってなんですかそれ……?」
「萌えっちゅうのはな、例えば、頭が悪い分胸に栄養分がいっちゃったような女の子、とか、またはドジだけど健気に働きいつも笑顔の女の子、とかに感じる心の変動。人によって違う場所にある、いわば『心の秘孔』ってとこやな。メモしとき」
「は……はぁ…………そうなんですか……(秘孔って……なんだ?)」
急ごしらえの小屋の中では、相変わらずの絵画教室の風景が広がっている。
微妙に風紀的悪影響を与えている気がするが、それは気のせいだと思ってもらいたい。
「失礼、お邪魔します」
「おう、べナやん。元気しとったか?」
「(むっ)その呼び方は止めていただきたいのですが」
「ええやん、減るもんじゃなしに。んで、なんか用か?」
「はい、実は同じ迷い人である一ノ瀬さんから手紙を預かってまして。それをお届けに参りました」
「あ〜。あの天然ぼけの頭のわっるそ〜な子ね?」
「お前が言うなや。あの子はあれでも全国模試トップレベルの子やで」
「ふん。いいもん、私はあんなぼけぼけ頭の子よりいっぱんじょ−しきはパーぺきにあるんだから!」
「だから、それをお前が言うなと小一時間(ry」
「(二人の漫才に付き合ってたら日が暮れてしまう……)あの……手紙をお渡ししてもいいですか」
「おっと、すまんな。あまりにも大馬鹿詠美が良いボケをくれたもんでな。つい癖で突っ込んでもうた」
「では、これです」
「なになに……」
『二人の絵描き芸人コンビさん達へ。現在、私は国の建築物や技術の指導の他に文官としてのお仕事もちょこっと手伝ってるの。それで先日、私はこの世界に存在する迷い人さんのリストみたいな物の作成を提案したの。なので、二人のプロフィールを送って欲しいの。
 それと、ハクオロさんに聞いてみると現在この世界は戦乱真っ只中のなせいで、各国に情報が行きづらいの。だから、他の国に迷い人さんたちがいるかどうかは全然わからない状態なの。でも、もしかしたら迷い人さんたちの家族とかが他の国にいる可能性も捨てきれないの。
 だから、スパイさんとかが各国に潜りこんで探すんだけど、その時もっていく人相書きを元絵描きさんだった詠美さんと由宇さんに頼みたいの。そうすれば、家族が再会してみんな幸せ。ついでに、できればリストのほうにも絵を書いてほしいの。
 返事はべナウィさんに伝えて欲しいの。では、お願いしますなの』
「と、いう事です。お願いできませんでしょうか」
「なるほどな……確かにうちらにしかできん事やな」
「むっかぁ! そんなめんど〜な事、このくい〜んがするわけないで…」
「わかったわ。面白そうやし、やったる。この大馬鹿つれていくさかい。期待しててや」
「助かります。では手紙を預かっていきますので」
「了解。今すぐ書くからちょっとまってや」
「はい。特に用事は無いのでゆっくりでも構いませんよ」
「ちょっと〜! なんで私をむしするのよ〜!?」
「そんでな、ちょっとことやんに伝えて欲しい事があんねん」
「何ですか?」
「そのリストな。『一ノ瀬レポート』って名づけてほしいやけど……」
「わかりました。伝えておきます」
「だから〜! なんで私をむしするのよ〜! っていうかパンダはそのネタが使いたかっただけじゃ…」
「あんたは黙っとき!」
パコーンッ☆
「きゅぅ〜〜〜」
こうして、今日もまた平穏な日々が過ぎてくのだった。
416名無しさんだよもん:04/07/18 16:38 ID:/w3FcOu7
GJそう来たか!

一ノ瀬レポートに・゚・(つД`)・゚・
お褒めいただいたのは非常に非常にありがたいのですが……。
「一ノ瀬レポート」はことみシナリオのアレのつもりで書いたのではないのです…。スミマセン。
「一ノ瀬レポート」で検索した一番上を御参照下さい。
>>FARE-M ◆7HKannaArk
遅れましたがGJです!
しかし、みたところ彰&冬弥と詠美&由宇の出会いの話がかけていたので、ご報告しておきます。
418名無しさんだよもん:04/07/18 17:22 ID:zaIX5A+2
偶然名前が被ったからじゃないか?
アレと同じ訳無いし
419FARE-M ◆7HKannaArk :04/07/18 22:04 ID:kVNGSL9i
>>417
指摘ありがとうございます。
作っておいたのにstoryの中に入れるのを忘れていました。

で、いろいろと更新しました。
レイアウト関係はあんまり思いつかないのでそのままになってます。
あと、どのようなものが必要かあげていただけるとありがたいです。
最後に無題の話の作者さんでタイトルをつけたい方がいたら
ご連絡ください。長文すみませんです。
>>FARE-M ◆7HKannaArk さま
確認いたしました。あらためてGJです。
421名無しさんだよもん:04/07/19 00:23 ID:h2IdDvOj
期待age
422国境にて:04/07/19 19:40 ID:mtuk0xxr
 シケリペチム皇国。クンネカムンとの国境付近の山岳地帯。
「はあ……はあ……はあ……」
「――大丈夫ですか、綾香様」
 鬱蒼と茂る森の中を、二人の少女がさまよい歩いていた。少女達は、この世界にとって異邦人の証明である奇妙な衣装――正確には、西園寺女子学園高等部の制服を身にまとっていた。
「ええ……これくらい、平気……と言いたい所だけど、結構……きついわね……。セリオは?」
 漆黒の髪を背の半ばまで垂らした少女が、橙色の髪をやはり背の半ばまで垂らした少女に問い返す。問い返された少女の二本のアンテナ状の耳が、わずかな木漏れ日を反射して、銀色に輝く。
「――各部動力モーターの出力は平常通り。関節部の異常・損耗無し。運動能力は通常通りの水準を保っています。しかし、内臓バッテリーの消耗は激しく、このペースではあとおよそ34時間の活動が限界かと」
「つまり、あと二日もない、ということね……」
「――申し訳ございません、綾香様」
 二人の少女――来栖川綾香と、HMX−13セリオは、この世界に来て六日目にして、窮地を迎えつつあった。
――何でこんなことになったのかしら。
疲労で鉛のようになった身体を引き摺りながら、綾香は、この奇妙な世界に迷い込んでからの事を思い返した。



 確かアレは、どこかの街道だったか。気が付けば、突然見知らぬ地に綾香とセリオがぽつねんと立ち尽くしていた。
見渡すと、まるで古代から中世の日本を思わせる風景が広がっていた。そして道行く人々のケモノ耳と尻尾とに唖然とした。
 正直な話、最初は夢の中の話と思っていた。豊かな自然に満ちた世界の中で、平和な暮らしを営む亜人類たち……。
ファンタジー系の漫画や小説、ゲームなどでは良くある話だった。こうしたものに影響されて、夢を見ているのだろう――
そう思いかけた。しかし、五感を通して得られる情報は夢とするには余りにも鮮烈すぎた。
青々と生い茂る草花の匂い。風に乗って運ばれる清涼な空気の心地よさ。そして街道を行き交う人々の身体から
滲み出る根源的な生命力。どれ一つとっても、綾香が元いた世界では目に掛けることの出来ない代物だった。そして、
一つ一つが強烈な存在感を帯びていた。
423国境にて:04/07/19 19:43 ID:mtuk0xxr
「――綾香様」
「ええ……これは夢なんかじゃない。現実ということね」
 そうと分かれば、こんな所でぼんやりと立ち呆けている場合ではない。取り敢えず寝床と食事の確保を当座の目的として
移動することにした。
――ひょっとして、また何か妙な事をやらかしたのかしら、姉さん……。
 歩きながら、綾香は姉の顔を思い浮かべ、一人呟いた。

 街道を下って行くと、ふと、数人の兵士達が向うから行進して来るのが見えた。通行人は一様に怯えた表情をして、
街路の両脇に寄って兵隊に道を譲る。兵隊はさも当然と言った顔付きで、両脇の民衆を更に威圧するかのように
鋭い視線を周囲に飛ばし、道の真中を隊伍を組んで大股で歩いて来る。呆気に取られる綾香とセリオはあっという間に
取り囲まれていた。
「迷い人、だな」
 隊長らしき甲冑の男が、質問というより確認、いやむしろ恫喝の句を二人に投げ掛けた。
「迷い人?」 
 綾香は一瞬、意味が分からずに問い返す。
ガッ。
巨漢の兵士が斬馬刀の柄の一撃を見舞っていた。頭部に鈍い衝撃が走り、綾香は地面に投げ出された。
激痛が頭蓋骨に反響する。
「――!? 綾香さ――」
セリオの喉元に、白刃が付きつけられた。
「迷い人とは迷い人との事だ。即座に答えよ」
 地面で蹲る綾香の頭上から、威圧的な声が浴びせられた。最早、純然たる命令へと化している。そして、綾香自身にも白刃が付きつけられている今、選択の余地は無い。
「……ええ、そうよ……気が付いたらこの街道に突っ立ってたわ。どっちに行こうか迷ってる所だったけどね」
 綾香の返答に、兵隊は思わぬ反応を示した。互いに顔を見合わせ、口々に「今日もか」「これで……人目だな」
「今度は女とはな」と語り合っている。
 隊長は一言「静まれ」と告げた後、部下に、綾香とセリオを連行する旨を伝えた。兵士達が地に伏せた綾香を引き摺り起こす。
綾香は、この傍若無人な連中を全員蹴倒してやろうかと思った。しかし、この見知らぬ世界で、しかも兵隊相手に
それをやるのは余りにも危険すぎる。自己嫌悪で心を満たし、無抵抗で縄を掛けられようとした時、ある光景が目に映った。
兵士の一人が無抵抗のセリオの胸を鷲掴みにしていた。
 怒りが全身に伝わった。
424国境にて:04/07/19 19:44 ID:mtuk0xxr
 突然の淫行に及んだ兵士を見咎め、制止するべく口を開こうとした瞬間、隊長の耳に何かを砕くような鈍い音と、
男達の呻き声が飛び込んできた。
何事かと振り返った隊長の意識は、激痛と共に失われた。何時の間にか側面に回りこんだ綾香の延髄蹴りが、
隊長の首筋に炸裂していた。続けて、隊長の傍らに立っていた副官が、綾香の姿を認めて剣を抜く前に、
掌底を顎に食らい、露わになった喉笛に正拳を叩き込まれ、地に崩れ伏した。
 ふと、綾香は背後からの殺意に備えるべく振り返った。ひときわ巨大な体躯の兵士が、斬馬刀を構えていた。
先程、綾香の頭を柄で撃ちつけて、地べたに転がせた男だ。隊長と仲間をやられた怒りで、顔が紅潮し、
耳がピンと立ち、目尻が釣り上がり、牙が剥き出しになっている。敵を威嚇する獣の顔そのものだ。
「ウガアアアァッ!」
 獣の咆哮を上げ、兵士は斬馬刀を振り下ろした。
「くっ!」
 右に跳んで、綾香は斬撃をかわす。空を斬った白刃が、街道の石畳に突き刺さり、硬質の岩石を粉々に砕いていた。
(こんな物を食らったら、一撃でアウト……ね……)
 地面を転がって受身を取りながら、綾香は一人ごちた。背筋を一条の汗が伝う。
だが、勝算も同時に見えていた。隙が大きすぎる。一気に懐に入り、急所を狙えば……。
 兵士は斬馬刀を地面から引き抜き、今度は水平に振り回した。一気に首を刎ねる算段だ。綾香は咄嗟にしゃがんで避け、
そして、収縮した両足の筋肉の力で、一気に地面を蹴って前に出た。
 相手が再度攻撃する前に、懐に潜り込まねば――。
そう決意した綾香の目の前に、左中段から返し刃の構えを取る兵士の姿が目に入った。だが、綾香は既に兵士の懐に
潜り込みつつある。柄の長さから考えて、綾香を斬りつける事は不可能だ。後は敵の喉笛を叩き潰すのみ!
「勝負あった――がはっ!」
 しかし、勝ち誇って勝利を宣言しようとした綾香の腹に、強烈な一撃が見舞われた。兵士は、左中段の構えから、
返し刃では無く、斬馬刀の柄を突き下ろしたのだ。
 綾香は堪らずその場で膝をつく。激痛と吐き気が腹で猛威を振るい、立ち上がれない。兵士はそんな綾香を
嘲笑の表情で見下ろし、斬馬刀を上段で構え、振り下ろした。
425国境にて:04/07/19 19:46 ID:mtuk0xxr
 兵士は、己の目を疑った。しかし、それは、紛れも無い現実だった。
 目の前の哀れな小娘を真っ二つにするはずだった斬馬刀の白刃は、柄のみを残して消えていた。
小娘――来栖川綾香も、何が起こったのか分からないという表情で、かつて斬馬刀だった只の棒を見上げていた。
やがて、綾香は傍らに立つ少女の名を呼んだ。
「……セリオ?」
「――手助けが遅れてしまい、申し訳ありません、綾香様」
 彼女――HMX−13セリオは、斬馬刀の白刃を切り落とした手刀を掲げたまま、綾香に応えた。
 兵士は、愛用の斬馬刀がいとも呆気なく喪われたことに、衝撃を隠せなかった。刃を切り落とされた、柄の切り口を
呆然と見つめていて、ようやく、ふと顔を上げた所に、綾香の回し蹴りが炸裂していた。

 

「……そうそう。それでその後、セリオに悪戯してたヤツを潰し忘れてたのに気付いて、これから血祭りに上げようとしたら、
何時の間にかスタコラ逃げてて」
「――しかし、その後が大変でした。その逃げた兵士が通報したらしく、大勢の兵隊があちこちで私達を探し回り始めて」
「そう。それであちこち逃げ回った挙句、こんな所まで来てしまったって訳ね」
 綾香とセリオは、クンネカムンとの国境付近の山岳地帯で、夜営を張っていた。パチパチと焚き火の爆ぜる音が、周囲に響き渡る。
「――申し訳ありません、綾香様」
「気にしなくて良いわよ。あと一日はバッテリーも持つだろうし。それまでに、何とか良い方法が見つかるわよ」
 正直、綾香にも「良い方法」が何であるか、見当は付かなかった。シケリペチムでは追っ手があちこちにうろついている。
捕まれば、恐らくは死罪だろう。山岳地帯を超えて、クンネカムンに脱出した所で、そこが安住の地である保証は
どこにもない。旅の途中、クンネカムンについて、何一つ良い話を聞かなかった。
 そして何にも増して、セリオのバッテリーはあと一日しかもたない。この世界において、セリオの電力の補給など、
どこで望めるというのか。
 姉が何らかの手助けをしてくれる目算は、今の所ない。
「――いえ、その事ではないのです。あの時、悪戯をされた私のために本当に怒って下さって、綾香様自身を危険に晒してまで……」
426国境にて:04/07/19 19:48 ID:mtuk0xxr
「……それは、もう何度も言ったはずよ。セリオが、あんな目に会っていて、黙ってる訳には行かないでしょ」
「――綾香様」
「あの時、例え連中に従うことで、生き長らえたとしても、代償にセリオが酷い目に遭うことになれば――私は多分、
一生、自分を責め続けるでしょうね」
「――……」
「セリオにとって、私は忠誠を尽くすべき『ご主人様』なんだと思う。……これは、現在の人間とメイドロボの関係、
来栖川財閥の令嬢としての私の立場から、必然的にそうなってしまうと思う。でも――」
 綾香はセリオの手を握り、瞳を見つめ、呟いた。
「私は……少なくとも私は……セリオの事を、友達だと思ってる」
 ――しんと静まり返った森の中。二人は無言で、瞳を見詰め合う。薪が爆ぜる音と、虫の音色のみが、宙を漂っていた。
「……そろそろ、寝ましょ。今の内に休まないと、身体が思うように動かなくなるわ」
「――……はい、綾香様」

 深夜。
 傍らのセリオがすっかり熟睡――省電モードに入っているのを見届つつ、綾香は両目を開け、思索に耽った。
 ひとつ。何故この世界においてセリオのサテライトサービスが有効なのか。
 あの時、綾香を斬馬刀の一撃から救ったセリオの動き――あれは人工衛星からダウンロードした、格闘用データの賜物だ。
また、逃避行中においても、地形把握や位置特定などで、サテライトサービスの情報に何度助けられたことか分からない。
 ――しかし、何故この世界に、人工衛星などが存在するのか?
ふたつ。迷い人とは何か。
 最初、文字通り、道に迷った者の事かと思っていた。しかし、それでは余りにも兵士達の行動に無理がありすぎる。
恐らくは、この世界に「迷いこんだ者」を指すのだろう。そして、彼らが各地に出現している……。一体何故?
姉の魔術の失敗だけで片付けられる現象だろうか?
 そして、みっつ。クンネカムン。
 旅の途中、クンネカムンについて良い噂は皆無だった。しかし、一つ気になる話があった。かの国の科学力である。
この世界のどの国よりも、進んだ科学力を保有する国――恐らくは電力も実用化しているだろう。
 そして――綾香は傍らを見た。
 今まさに、電力を求めている親友が、安らかに眠っていた。
427名無しさんだよもん:04/07/19 20:57 ID:3fUPw5Aj
やはり使用可能なのか>サテライトサービス
428名無しさんだよもん:04/07/19 21:39 ID:RU2xTloz
人工衛星の寿命ってそんなに長かったか?
429名無しさんだよもん:04/07/19 21:58 ID:rRHZkOn7
アマテラスは立派に稼働してたりもするけど
430名無しさんだよもん:04/07/19 22:01 ID:6eLLnXWS
アマテラスは遥か未来の代物だからなあ。
今の人工衛星って100年は絶対もたないだろうし。
431名無しさんだよもん:04/07/19 22:11 ID:rRHZkOn7
まぁ、そだけど。メイドロボも現代の技術よりはるか未来のもんなんだよね。
432名無しさんだよもん:04/07/20 00:19 ID:k4UweDZp
HMX-13シリーズが可動し続ける間はサテライトサービスも提供を続けなければならないから、最後期の衛星はアマテラスの前身に統合されて、以後、代替りの際もずっとシステムの一部として引き継がれていたとか。
433名無しさんだよもん:04/07/20 02:06 ID:3pHf8ifd
アマテラスに人工知能を搭載させて、かつ、周辺の隕石などを材料として回収し、自己修復機能をもたせたら?
434名無しさんだよもん:04/07/20 03:41 ID:PLFagCyw
スレの方向が明後日だぞっと。
国は良い噂がないだろうけど…クーヤやサクヤに会ったら
どんな反応をするだろうか。
435名無しさんだよもん:04/07/20 03:44 ID:QjgSb25J
エクストリームが流行り、体を鍛えることが推奨されるが、腕立てを三回もできないクーヤ様(*´Д`)


「───君」


「──だ君……木田君」

誰かに呼ばれている。
聞き覚えのある声が、俺の名を呼んでいる。
静かで、しかしとても澄んでいて、良く通っている。
それは確か、共に生を放棄した女の声……。

ああ──そうだ。
俺と彼女は仲間だ。
共に生き、共に感じ、共に死ぬ事を選んだ──

「気がついた?」
目を開ける。
果たしてそこにいたのはやはり、
「須磨寺…」
俺は彼女──須磨寺雪緒の名前を呼びながら立ち上がる。
それに合わせて、須磨寺の視線も上がっていき、俺の瞳を捕らえた。
「須磨寺。ここは……どこなんだ」
俺は須磨寺に聞いた。もっとも、そんな事は聞く前から解ってるのだが。
俺と須磨寺は、あの夕日に照らされた屋上から飛び降りたのだから。
ほら、俺の手と須磨寺の手は、まだ固く結ばれているのだから。
だからつまり、ここは──

「地獄よ」

須磨寺は俺が期待した通りの答えを返してきた。
言われて周囲を見回してみると、なるほど、生きてた頃じゃ決してお目に掛かれないような光景が広がってた。
草木一本生えてない、隆起した岩肌。
沸き立ち爆ぜる焔の池。
兜を被り、地に這って吼える鬼。
処刑器具と思しき仕掛け弓。そんな物が、光景が、世界の全てを占めていた。
それと──

「ぐっ……」
陽炎を生み漂う熱波と、胸が悪くなる臭気。
死して尚苦しみに満ちたこの世界は、やはり地獄なんだろう。
ふと、須磨寺を見ると、やはり苦しそうな表情をしている。
「大丈夫か?」
なぜだかそんな言葉が軽く吐き出される。もう死んでるのに「大丈夫か」もないもんだ。
と、
「大丈夫よ。もう死んでるんだから、これ以上何も悪くはならないわ」

───はは。全くだ。


「それじゃ須磨寺。地獄の鬼が迎えに来るまで、どうする?」
言って、堅く結ばれた須磨寺の手を握る。
「さあ?……いつも通りにしてればいいんじゃないかしら」
須磨寺がそう、俺の手を握り返しながら言う。
「……ははっ」
「……ふふっ」
二人、笑いながら抱き締め合い、熱気や臭気など気にせずに、地獄の大地に身を沈めていき───



(───迷い人、か?いや、そうとしか考えられないが、しかしあれは……)
高台からその様子を見つめていた蒼い大鎧は、その状況にどう声を掛けていいか判らなかったそうな。
439名無しさんだよもん:04/07/20 18:45 ID:6tt4qMQF
トンでもないところに飛ばされた二人に(゚д゚)ゝ
440名無しさんだよもん:04/07/20 22:07 ID:pMrhyf97
雪緒ルート固定?
441名無しさんだよもん:04/07/20 23:14 ID:dIMZ6EsT
とりあえず今まで投下されたものの考察です。
タイトル―葉鍵キャラ名,場所,時間の順です。

無題01―相沢祐一,トゥスクル,トゥスクル建国以後
無題02―河島はるか,トゥスクル,トゥスクル建国以後
『ふたり。』―国崎往人・神尾観鈴,トゥスクル,クンネカムン侵攻
『二人。』二話・三話・四話―国崎往人・神尾観鈴・柏木千鶴,トゥスクル,クンネカムン侵攻
『風は吹き抜ける。』―一之瀬ことみ,トゥスクル,ナ・トゥンク崩壊以後
もしヌワンギが生きていたら,無題08―霧島聖,ケナシコウルペ,ケナシコウルペ皇都攻略戦直後
無題03―一之瀬ことみ・川名みさき,トゥスクル,ナ・トゥンク崩壊以後
無題04―相沢祐一・水瀬名雪,トゥスクル,クッチャ・ケッチャ戦以後
無題05―千堂和樹・九品仏大志,シケリペチム,シケリペチム攻略以前
無題06―藤井冬弥・七瀬彰・森川由綺,不明,不明
無題07―光岡悟,ナ・トゥンク,ナ・トゥンク進入以前
無題09―春原芽衣,奴隷船内,トゥスクル建国直後?
見届ける者―石原麗子,オンカミヤムカイ,クンネカムン侵攻後
自由―少年,クンネカムン,ノセシェチカ滅亡直後?
悪夢の犬猿コンビ―大庭詠美・猪名川由宇,不明,不明
遭遇―藤井冬弥・七瀬彰・森川由綺・大庭詠美・猪名川由宇,不明,不明
無題10―藤田浩之・佐藤雅史・神尾晴子,森,不明
442名無しさんだよもん:04/07/20 23:32 ID:dIMZ6EsT
つづきです。

無題11―マルチ,ノセシェチカ,ノセシェチカ滅亡以前
無題12―川澄舞・倉田佐祐理,クンネカムン,クンネカムン侵攻以前
命―天野美汐・沢渡真琴,トゥスクル,大封印以後
無題13―川名みさき,トゥスクル,トゥスクル建国以後
無題14―藤井冬弥・七瀬彰・森川由綺,トゥスクル,トゥスクル建国以後
『二人。』―国崎往人・神尾観鈴,トゥスクル,クンネカムン侵攻
叛乱軍―
無題15―相沢祐一・水瀬名雪,トゥスクル,クッチャ・ケッチャ戦以後
無題16―柏木初音・マルチ,ノセシェチカ,ノセシェチカ滅亡以前
無題17―相沢祐一・水瀬名雪,トゥスクル,クッチャ・ケッチャ戦以後
非常時における外交および軍事的戦術シナリオ
―一之瀬ことみ・大庭詠美・猪名川由宇,トゥスクル,ナ・トゥンク崩壊以後
国境にて―来栖川綾香・セリオ,シケリペチム國境付近,シケリペチム滅亡以前
地獄(ディネポクシリ)逝きっぱなしツアーペアパック
―木田時紀・須磨寺雪緒,サハラン島,不明
443名無しさんだよもん:04/07/21 00:02 ID:5oBxPW3T
こんなに投下されてたのか・・・
乙です。
444名無しさんだよもん:04/07/21 00:09 ID:xPWjZite
ああ…途中からタイトル変わってるのかorz

『ふたり。』=『二人。』です。
生暖かく見守ってます(`・ω・´)
445名無しさんだよもん:04/07/21 02:04 ID:my8SLSYC
木田&雪緒ペア(((゜д゜;)))
と思いましたが、雪緒EDにおける二人の雰囲気はどうなったのでしょう?
自分には二人のコンビとなると、圧倒的な欝イメージしかないのですが

どうやらヒエンに見つかった様ですが
この場所が場所なので、ディーの元へ連れて行かれるのかが気になります。
麗子はともかく、生真面目なディーと木田&雪緒の二人が会った時に、
どんな会話が繰り広げられるのか想像が付きません。


−キコキコキコキコ−
カンホル「(゜Д゜;)おい、糞虫!
      本当に、(ハヒー)この『じてんしゃ』とか、(フゥフゥ)言うので、
      『でんき』ってのが(ハァハァ)作れてるんだろうな?!」
−キコキコキコー
ポナホイ「(´Д`;)つい先ほど(ハァハァ)、捕らえた奇声をあげてた不審な迷い人が(ハァハァ)
      『でんき』の作り方は(フゥフゥ)、こうだと(ハァハァ)」

−牢屋−
高槻「まいったぁ!折角楽園に来たはずなのにいきなり牢屋入りとはまいったぁ!」

−キコキコキコ−
⊂(。Д。⊂⌒`つ ←ついに倒れたポナホイ

カンホル「おい誰か!手ぇ形りんから近衛兵にも手伝わせろ!
      ・・・・(´Д`;)くそぉ!まだなのか、まだ最大まで行かないのか?!」
マルチ「まだ充電状況30%です・・・」
初音「しんどそうだから私も手伝いますよぉ(汗」
カンホル「(汗をぬぐってクールに)フッ、お前たちはゆっくりしていろ。これは俺たちの仕事だ!
      
      (゜Д゜;)うぉぉぉぉぉぉぉぉ!キコキコキコキコキコキコ(略」
446名無しさんだよもん:04/07/21 02:06 ID:RfEgDNcU
゚+.( `・ω・)b゚+.゚

ワラタ
カンホル良いキャラしすぎ
447名無しさんだよもん:04/07/21 18:07 ID:Fteu7T25
>>427-433
もしかしたらアレも残ってるかもな
448名無しさんだよもん:04/07/21 18:14 ID:CO7edOIT
>>447
アレって何?
449名無しさんだよもん:04/07/21 19:37 ID:uP8BZzyP
アレだよアレ
450名無しさんだよもん:04/07/21 19:53 ID:fhfCiXx/
ああ、アレね。アレには しょっちゅう世話になったよ。
451名無しさんだよもん:04/07/21 22:07 ID:m1Fmwkyf
ミルトは…駄目か
452名無しさんだよもん:04/07/21 22:37 ID:lcGjRfxr
晴子のバイクや、和樹、大志の仕事机も飛ばされてるんだよな
453エージェントと行商人:04/07/21 22:39 ID:15Tb/OO6

「これがミキューム?」
「左様でございます、高井様」

さて、私──高井鈴美がこの奇妙極まり無い世界にやって来てから、いったいどれくらい経っただろうか。
カレンダーや携帯電話といった月日を示す物が存在しないから何とも言えないけど、私の記憶に間違いがなければ、もう三週間にはなるはずだった。

「確かに可愛いとは思うけど……凄い値が付くのよね」
「いえ、ミキュームの価値は愛玩動物としてのものではないのです」

この世界に来た当初、右も左も判らず、いや、それ以前に自分の置かれた状況が全く掴めず街道をさまよっていた私に最初に声を掛けてきたのが、この細目の男──チキナロだった。
本人は自分を行商人だと名乗ったけれども、私のエージェントとしての感覚が、この男の笑顔に隠された“何か”を感じ取っていた。

「というと?」
「ミキュームの真価はその生き肝が万病の特効薬であるという事なのです、ハイ」

とは言え、見知った顔もいない、未知の世界。やむなく私は彼に付き添い、生き延びる術を得ると同時に、この世界の情報を集める事にした。
幸い、私の宝石に関する目利きは彼のそれを上回っていた為、今はギブ・アンド・テイクの関係が築けている。
……この世界の宝石が、私達の世界の物と違いが呼び名以外に無かったのが、少し気になるけど。

「さて、高井様。陽も昇りました。そろそろトゥスクルへ向かうとしましょう」
「ええ。分かったわ」

取り敢えずその疑問は置いておく。
彼の話ではトゥスクルという國は治安も良く、また“迷い人”も多いそうだし───
454名無しさんだよもん:04/07/21 22:58 ID:ftvuP/RJ
一瞬誰か分からなかったけど――ソウキタカ(゚Д゚〃)
455名無しさんだよもん:04/07/21 23:51 ID:gsENB2Wa
誰か全然分かりませんでした_「|○

「高井?」「Piaキャロか?」「そりゃ葉鍵板にスレも一応あるけれど」

「エージェント・・・リサか?」「いや何で偽名で・・」

ググってようやく判明。

葉鍵板を巡回して1年、初めてこのキャラ知りましたw
中々格好良さそうなキャラなので期待しちょります。
456名無しさんだよもん:04/07/22 10:47 ID:MrrrDfjt
こんなちょっとした小話もいいよなぁ。
少しづつ世界を語っていくって感じで。
457鬼姫―序之壱―:04/07/22 11:38 ID:pQQhJ0Y4
昼なお暗い、鬱蒼と木々が群生する広大な森。
黒々とした葉が伸び広がるその森には、吹く風が心なしか禍々しい湿り気を帯びている。
山林の裾がそのまま広がった形で存在するその森は、近辺の村からは「禍日神が棲まわれる森」と謳われ怖れられているという、いわば禁忌の森である。
その森の深部にある山岳地帯の一角に、自然に岩壁が抉られて作られた洞窟がある。
そこでは、この世界の人々が凡そ着ない格好をした男女が顔をつき合わせて何か話していた。
「私は木の実拾ってきたわよ」
「俺は焚き火用の薪を一抱えほどだ」
「私はさっき作った水筒で水汲んできたよ」
彼らは三人とも、心底疲れた表情でそれらを地面に置いた。
色とりどりの木の実と、程よく乾いた枝や木っ端。そして、水に満たされた竹製の水筒が地面に並べられる。
その時、薪を置く男が溜め息混じりに呟いた。
「はぁ……今日も木の実だけか……」
「そんな事言ったってしょうがないでしょうが……。 だって獣を獲ろうにもすばしっこくて捕まらないし、捕まりそうなでかい獣は熊ぐらいしかいないし……」
「お前なら熊ぐらい倒せるだろうが。『なめないでよ…七瀬なのよ、私!』とか言いながらさ」
「お前はまだそんな事言うかーっ!」
「まあまあ、落ち着いてよ二人とも(私は牛乳が飲みたいよ……)」
何時もはコンクリートで出来た教室で行われていたこの暖かいやり取りは、
この薄暗く湿った森と冷たい肌触りの洞窟のせいで、溜め息を交えた暗いものとなっている。
458鬼姫―序之壱―:04/07/22 11:41 ID:pQQhJ0Y4
シケリペチム皇国とクンネカムンとの国境付近。
主に、山林とその間に居候するかのように点在する貧しい山村によって構成されるその地域は、
シケリペチム皇国軍がその地形を利用し国境警備の活動拠点にしている、自然の要塞のような場所である。
しかし、その地域ではつい一週間ほど前に皇国軍とクンネカムン軍との間に小競り合いが起こり、何とかクンネカムン軍を国境向こう側まで押し返す事に成功したものの、結果、皇国軍基地はおろか近隣の村まで蹂躙され、現在はいたる所に死が満ちた土地へと変貌してしまった。

さて、話を現在の三人へ戻そう。
日が沈み、少ない食料を摂り終えて何もする事がなくなった三人は、空腹を少しでも紛らわせようと食後の歓談へと行動をシフトしていた。
「指すま1っ! くそっ」
「指すま0っ! よっしゃ抜け!」
「指すま2っ! あ、抜けだよ。ごめんね七瀬さん」
「そして〜〜〜君は見張りー」
「マサルさん調で言うなっ!」
とまあこんな具合である。
459鬼姫―序之壱―:04/07/22 11:42 ID:pQQhJ0Y4
「一時間半で交代だからね」
ふて腐れながらも観念した面持ちで七瀬は言った。
寝床を準備したはいいがまだ眠くない浩平は、七瀬弄りをして暇を潰す事にしたらしく、
水筒を作ったり木の実を切り分けたりと大活躍した大刀を七瀬のほうに放り投げてこう言った。
「わぁってるよ。その間にお前はこの刀でも研いでてくれ。舌出して『ひっひっひっ』とか笑いながら」
「私は鬼婆かっ!」
「あ、でも刀を研いでおかなくちゃいけないのは事実なんだよ。多分……血糊とか付いてるから……」
「あ……」
そう、先ほどの水筒を作るために使ったその大刀は元々、数日前に偶然発見した物だった。
――――勿論、殲滅された皇国軍基地から、である。
「……すまん。もう寝よう」
「うんそうだね」
勿論、三人はそれを持っていた人間は丁寧に埋葬した。
しかし、何となくその話題に触れるのは三人とも避けていたのだ。争いの無い日常で育った彼らには、この死に満ちた世界は受け入れられない世界だったから。
「さて、寝るか」
「おやすみ。一時間半たったら瑞佳を起こすからね」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
そうして、長い夜が始まる。
…筈だった
460鬼姫―序―作者:04/07/22 11:45 ID:pQQhJ0Y4
すみません。>>458,459はそれぞれ序之弐、序之参でお願いします…OTL
461名無しさんだよもん:04/07/22 12:01 ID:MrrrDfjt
(゚д゚)ウマー
続きキボン。

結構国の位置関係だけど

        クンネカムン(クーヤ)            トゥスクル(ハクオロ)

ノセシェチカ(カンホルダリ)    シケリペチム(ニウェ)    カルラゥアツゥレイ(デリホウライ)

                                    オンカミヤムカイ(ワーべ、ディー)

こんな感じで合ってたっけ?
上3つの強国が交戦中ってとこか。
462名無しさんだよもん:04/07/22 19:57 ID:ukUeQmIZ
七瀬はやはり七瀬だった…(・∀・)イイ!!
463名無しさんだよもん:04/07/22 22:15 ID:Pz06oT9o
>>461
ちょっと、本編中の地図画像をいろいろ加工して、
国際勢力図を作ってみようと思う。
少し時間がかかると思うのだけど。
作ったら、どっかのUPローダー上で掲示してみようと思う。
いいローダーがあったら教えて。
464名無しさんだよもん:04/07/22 23:01 ID:HBbAhIX+
>>463
凄い勢いでキボン
ttp://www.kitanet.ne.jp/~cas-per/cgi-bin/imgboard.cgi
こことかどうだろ? 〜300Kまでなのが辛いが。
他のだったら↓がリンク集なのでドゾー
ttp://vitamin.s31.xrea.com/linkv.html
465名無しさんだよもん:04/07/23 00:03 ID:48Su7hSQ
期待。
やっぱり国の状況が分かると面白くなるよね。
466FARE-M ◆7HKannaArk :04/07/23 00:35 ID:JOj52qSd
とりあえず、鬼姫―序ーまでを追加しました。

>>463
なんなら上げる場所を作りましょうか?
467名無しさんだよもん:04/07/23 03:33 ID:FAC5IdRD
 
468名無しさんだよもん:04/07/23 09:52 ID:pJwV+qCk
>>467
GJ!
469名無しさんだよもん:04/07/23 09:57 ID:pJwV+qCk
画像に期待sage。
470463:04/07/23 13:21 ID:NCTAzP7W
取り敢えず、出来た。
>>461の記述を元にして、画像を切り貼りして作ってみた。
大体、ナ・トゥング滅亡直後ぐらいの勢力図となっている。
クンネカムンの領土は、デフォルト状態のままだから、今後、
拡張後の領土のデータも作ってみたいところ。

思いのほか時間が掛りすぎた。なれないことをするもんじゃないな。

http://www.kitanet.ne.jp/~cas-per/cgi-bin/img-box/img20040723131702.jpg
471名無しさんだよもん:04/07/23 18:46 ID:kl3J9522
GJ
群雄割拠ですな。
472鬼姫―序―作者:04/07/23 19:48 ID:BUUqpkxY
ガサッ
「っ!」
焚き火に枝を投げ入れた瞬間、その音は七瀬の耳に届いた。
「……」
洞窟から少しだけ顔を出し、辺りを見渡しながら耳を澄ましてみるも、特に異常も無い。
だが…
「(炎で誘い出された獣かもしれないし……もしかしたらもっとヤバイものかも…)」
そう思った七瀬は、念の為、なるべく物音に気付いた風をさせないで浩平と瑞佳を眠りの世界から連れ戻しにかかった。
「ちょっと、折原、起きなさいよ(ヒソヒソ」
「ん……なんだよ七瀬か……。俺は妊娠してないから生き胆を獲っても無駄だぞ?」
「いいかげん鬼婆から離れなさいっちゅうに! ていうか何でそんなマイナーな民話知ってるのよ!」
寝ぼけた浩平のボケに七瀬の対折原ツッコミセンサーが作動。
脊髄からの反射作用で、七瀬は半覚醒状態の折原を、破壊神の息吹の如き大声と的確に後頭部を捉えた平手で迎撃した。
ちなみに説明しておくと、鬼婆が人を殺すようになったのには理由があり、
元々「岩手」という名の女性だった彼女が、乳母として育てていた姫の病気を治す為に妊婦の生き胆を捜し求めて旅をし、ようやく妊婦を殺して肝を獲ったら、それがなんと自分を探して旅をしていた彼女の娘であり、酷く悲しんだ彼女は気が狂って人を襲う悪鬼になった。
という悲しいお話がある。
まあ、それは本編とサッパリ関係ないのでプチトリビアとして話を終わらせておく。
さて、当然ながらその大声は洞窟の反響によって増幅されてしまった訳で。
「わっ! な……七瀬さん。どうしたの? そんな外にまで響くような大声出して」
「あ……しまった…」
流石は七瀬。芝居が台無しである。
473鬼姫―狩之弐―:04/07/23 19:49 ID:BUUqpkxY
それからは早かった。
洞窟内の異常を察知した”彼ら”は、挟撃体制をとりつつ洞窟に早足で近づいていった。
”彼ら”は皆、揃いの甲冑をつけ思い思いの武器を携えながら、これから始まる「狩り」に思いを馳せ、微笑っている。
――――ざっ ざっ ざっ
大人数の甲冑と足音が奏でるその音は、七瀬たち三人を洞窟の外に引きずり出すには十分だった。
「くっ! しょうがないわね。岩壁に沿って逃げるわよ」
「「了解(だよ)!」」
三人は以前から決めていた通りに、洞窟から左右に真っ直ぐ伸びる岩壁沿いに逃げる事にした。
森は暗くて見通しが利かない。なので、森側から丸見えだとしても月明りが届く岩壁沿いに逃げ、相手をまくのが得策だと考えていたのだ。
ちなみに、三人には最初から「話し合って和解する」という考えは毛頭無い。
なぜなら、彼らがこの世界に来て最初にあった人間は「死体」だったから。
簡単に人間が死んでいく、非情な世界。
三人が知っているこの世界は、ただそれだけしか存在してなかった。
474鬼姫―狩之参:04/07/23 19:50 ID:BUUqpkxY
逃走開始から三分後。
三人は昼よりもなお一層暗く、黒い絵の具を溶かし込んだ様な森の中で走っていた。
「ああもうっ! なんで何時の間にか森に入ってるのよ!」
「知るかんな事! 黙って走れ!」
「敵が出る度に森側へ迂回してたら何時の間にか挟み撃ちにされてたんだよ! 何故か行動が読まれてるんだよもん!」
疲労のためか、瑞佳の言語中枢が少しおかしくなっていた。
七瀬も浩平も、声は半分かすれている。
たった三分といえど、敵が甲冑を着けているとは思えないぐらいに俊足だった事、走る先走る先に挟み撃ちするかのように敵がいたせいで、無理な針路変更をせざるを得なかった事が、三人を疲労の限界まで追い詰めていったのだった。
「ああっ! また正面から!」
「くそっ! 右の木立に逃げ込め!」
「も……もう限界だよ……」
瑞佳だけでは無い。三人とも「遅刻寸前チキチキダッシュレース」の名選手とはいえ、体力的にも精神的にも限界が近づいていた。
又、七瀬の場合は、逃げる時に咄嗟に掴んできた刀が重荷になっていた事に加え、腰の古傷までキリキリと痛み出してきた始末である。
「ちっくしょぉーーーーっ!」
「七瀬、刀持って叫ぶな。素で恐い」
「……折原、後で覚えておきなさい」
漫才にもキレがなくなっている。
そして目の前には……
475鬼姫―狩之四―:04/07/23 19:50 ID:BUUqpkxY
「先行隊、”獣”を挟撃しこちらへの誘導を完了させました!」
「そうか、クックック……」
無限に広がる夜空の如き常闇の森に、まるで月が地面に張り付いたかのようにぽっかりと空いた広場がある。
そこでは、絶大な科学力を誇るクンネカムン軍を国境線まで押し戻した、最強の皇帝(狩人)がいた。
「クックック……迷い人か、どのような足掻きをしてくれる事か楽しみだわ……」
老いてなお精気がみなぎるその貌を、、焚き火の炎が煌々と照らす。
狩人は、獲物を握り、前を見据えつつ、獣が罠にかかるのをじっと待っていた。
476鬼姫―狩―作者:04/07/23 19:53 ID:BUUqpkxY
>>470
とてもとてもGJ!
参考にさせて頂きます。
あと、>>472は―狩之壱―で…OTL イイカゲンLIVE2chツカイコナセヤジブン
ほんとはこの章辺りで終わる筈だったのですが文が勝手に長くなりやがりました。
申し訳ありませんがもう少しお付き合いください。
477鬼姫―狩―作者:04/07/23 19:59 ID:BUUqpkxY
そして
>>475の獲物→得物です…。変換ミス多過ぎ自分。
478祐一君とアルルゥちゃんと:04/07/23 20:48 ID:UwAQviKQ
祐一「こんなもんかな?」
アルルゥ「もうちょっと左」
祐一「よっ、これでどうだ?」
アルルゥ「ん」
名雪「祐一〜持ってきたよ〜」
祐一「じゃあそこに置いといてくれ、一区切りついたら飯にすんべ」
アルルゥ「キュピ―――(+ω+)―――ン!!」
名雪「(光った…?)わ、わかったよー」
 
相沢祐一です。ただいま動物小屋を作ってます。
いやアルルゥの父親…この國の皇だったのはさすがに驚いた…に仕事を斡旋してもらったのだけど。
ムックル「ヴォフ」
祐一「これか?ほら」
ムックル「ヴォフン♪」
名雪「う〜、祐一ばっかりねこさん触ってる…」
祐一「懐かれたな〜」
よほどネェゴォ様が怖かったのか、ムックルは名雪との間に俺が挟まるように陣取っている。
アルルゥ「ムックルおにーさんのことたよりにしてる」
祐一「虎に頼りにされる日が来るとはな…」
名雪「ねーこーねーこー」
ムックル「ヴォーーン…」
モロロの煮付け旨いなー…むしゃむしゃ
俺を中心に追いかけ回る二匹を見ながら、俺たちはご飯を食べていた。
479463:04/07/23 21:03 ID:NCTAzP7W
一方で、緊張感に満ちた話が展開され、
もう一方で、ほのぼのとした平和がある。

うたわれ世界は実に懐が広いですな。

つたない地図でしたが、皆様の参考になれば幸いです。
480FARE-M ◆7HKannaArk :04/07/23 22:48 ID:JOj52qSd
ここまでの分更新終わりました。
……支援板要ります?
必要なら作りますけど。

>>463
地図をwikiにアップさせていただきました。
481名無しさんだよもん:04/07/24 09:16 ID:o2gPsk1i
うたわれの世界は戦国時代みたいだな。
マップも日本列島に似てるし(関東から近畿辺り
482名無しさんだよもん:04/07/24 10:07 ID:N27vSMwW
>>481
あのー…
483名無しさんだよもん:04/07/25 00:34 ID:Jg79kQ7Y
今日は一日新作無かったなぁ……
484名無しさんだよもん:04/07/25 00:53 ID:eaDXvFPK
そういうこともあるさ。
またーり結構。
俺は期待して待ってます。
485名無しさんだよもん:04/07/25 05:08 ID:gAUIcXuy
月島兄がいたら凄そうだなぁ…
486祐一君とアルルゥちゃんと:04/07/25 06:20 ID:B8IkwDf9
アルルゥ「ん〜〜」
はるか「ん……」
とんてんかんてんとんちんかんこん
名雪「くしゅっ!……ねこさんまくらだお〜ねこみみさんだお〜」
ムックル「ヴォォーン……」
ユズハ「ん……やぁ……」
ぎこぎこぎこぎこぎこぎこ
みさき「うう、雪ちゃん痛いよ〜……」
カミュ「むにゃ〜」
ことみ「いいねいろ……もっと……」
 
祐一「……いやまあこれが俺の仕事なんだから文句は言わないけどな」
相沢祐一です。動物小屋作りの真っ最中であります。
必死になってトンチンカンチンやっているそばでお嬢様方がよく眠っています。
祐一「にしてもよく眠るわ」
昼飯を食い終わったと同時にどこからともなく現れたお嬢様方はそのままお昼寝タイム。
唯一の男の俺は頑張って金槌を振るっているわけだ。
あぁ、手伝いがほしいと思う午後三時……
祐一「さっさと済ませて俺も寝よう……」
ため息をつきながら俺は金槌を振った。
かんかんかんがんっ!
祐一「〜〜〜〜〜ッッッ!!!」
おや、親指ッ!親指挟んだッッッ!!
潰れ、イタ、痛たたたたたたただだぁっ!!!
祐一「うぐうぅぅぅうぅッッ……」
どこぞのタイヤキ窃盗犯の口癖を吐きながら俺は親指の痛みに悶え苦しんでいた……イタィ
487偽兄妹の人捜し:04/07/25 08:15 ID:sPYpxecl

お兄ぃが消えた。

先輩も消えた。

一週間前、二人は何処へともなく消えた。
痕跡ナシ。
手掛かりナシ。

「くっ!このっ!とりゃっ!」

トーコちゃんや真帆ちゃん。功ちんや明日菜さん。お父さんにお母さんにアタシ。みんな忙しい時間の間を縫って捜してるけど、一行に行方は解らなかった。

「せやっ!くのっ!あらっ!?」
──ばっしゃあぁぁぁん!!

アタシは最初、二人が駆け落ちしたんだと思ってた。
三日目からは、何かの事件に巻き込まれたのかもと思った。
でも六日目──昨日からは、何となくだけど、二人ともここに来てるんだと思ってる。

「あたた………ん?おおっ!?」

見渡す限りの大自然。綺麗な水。澄んだ空気。
それと───血生臭い戦争のあるこの世界に。
耳に付いて離れない、怒号と剣戟。
高台から見下ろすそれはあまりにも恐ろしくて、アタシは一目散にその場から逃げ出して──

「ひゃっほう!やったぜ恵美梨ちゃん!一度に二匹も穫れたよ!」

──この人、春原陽平と出会った。
488偽兄妹の人捜し:04/07/25 08:18 ID:sPYpxecl

魚穫りをしてた河から少し下流の森で、アタシは食事を摂り始めた。
お兄ぃがいつも持ってたライター……の予備。
お兄ぃ達を捜す時は、必ずこれを携帯してた。
特に意味があった訳じゃないケド、どうしてだか、アタシはそうしたかった。
結果、こうして魚を焼けたんだから、それはそれで良かったっぽい。この世界に来てからこっち、山の果物しか食べてなかったから、焼き魚なんて久しぶり。

「ひはひ……ほほはひっはひほほはんはろふへ」
焼き上がった魚を頬張ったまま春原さんが言う。判りにくいケドたぶん、
『しかし……ここはいったいどこなんだろうね』
って言ってるっぽい。
取り敢えず、アタシは口を噤んで俯く事で応えた。
春原さんの行儀の悪さに閉口してるのもあるケド、何を言っても結局推測でしかないから、意見を言うこと自体はばかられた。
て言うか、そんな事はもうとっくにたっぷり話し合った後だったし。
「むぐ……吊り橋があるって事は、少なくとも近くに人里はあると思うんだけど」
魚穫りをしてた河──渓谷って言った方がいいかも──には、上の方に吊り橋の跡があった。
何があったのか判らないケド、その橋は支えが切れたのか、片側の崖にだらん、と垂れ
489偽兄妹の人捜し(訂正):04/07/25 08:20 ID:sPYpxecl

魚穫りをしてた河から少し下流の森で、アタシは食事を摂り始めた。
お兄ぃがいつも持ってたライター……の予備。
お兄ぃ達を捜す時は、必ずこれを携帯してた。
特に意味があった訳じゃないケド、どうしてだか、アタシはそうしたかった。
結果、こうして魚を焼けたんだから、それはそれで良かったっぽい。この世界に来てからこっち、山の果物しか食べてなかったから、焼き魚なんて久しぶり。

「ひはひ……ほほはひっはひほほはんはろふへ」
焼き上がった魚を頬張ったまま春原さんが言う。判りにくいケドたぶん、
『しかし……ここはいったいどこなんだろうね』
って言ってるっぽい。
取り敢えず、アタシは口を噤んで俯く事で応えた。
春原さんの行儀の悪さに閉口してるのもあるケド、何を言っても結局推測でしかないから、意見を言うこと自体はばかられた。
て言うか、そんな事はもうとっくにたっぷり話し合った後だったし。
「むぐ……吊り橋があるって事は、少なくとも近くに人里はあると思うんだけど」
魚穫りをしてた河──渓谷って言った方がいいかも──には、上の方に吊り橋の跡があった。
何があったのか判らないケド、その橋は支えが切れたのか、片側の崖にだらん、と垂れ下がる形になってた。
「人里……」
「そこに行けば、お兄ぃ達もいるかな……」
「ああ……恵美梨ちゃんはお兄さん達を捜してるんだっけ」
春原さんが少し表情に陰を落としてそう訊いてくる。
聴けば春原さんも、少し前に消えた妹さんを捜してるらしい。
「お互い早く見つかるといいねっ」
「……はいっ」
アタシを気遣ってか明るくそういう春原さんに、アタシは笑顔で──巧く作れてたかな──そう答えた。
490名無しさんだよもん:04/07/25 09:23 ID:fRO7owFO
陽平と恵美梨か………
491名無しさんだよもん:04/07/25 11:00 ID:SnwhFOqE
変な人には付いて行っちゃ駄目だって、お兄さんに
・・・・・言われてないのか。

(´・ω・`)<あの兄貴じゃなぁ
492名無しさんだよもん:04/07/25 12:56 ID:SvIO9Wdx
やっぱり陽平にはしっかりした妹が必要だな
493名無しさんだよもん:04/07/25 21:07 ID:2Uc/CigW
芽衣>>212も時紀・雪緒>>436-438も大変だな
494名無しさんだよもん:04/07/26 23:20 ID:fRluCeo3
今更だが、まとめサイトがメチャクチャ便利に作られてる事に気付いた。
FARE-M ◆7HKannaArk さんGJ!
495名無しさんだよもん:04/07/26 23:25 ID:uAQLInJg
うむ。
ぜひとも今後、ささやかでマターリしつつも盛り上げていかなくちゃね。
そのためにも、少しずつ作品を書き書き……。
496鬼姫―舞神楽之壱―:04/07/27 18:31 ID:RWJHgXDG
「っ!」
最初に気付いたのは、先頭を走っていた七瀬だった。
いつの間にか、完全に三方を囲まれていて、逃亡路は前方のみ、
そして最後に残った希望の欠片である前方、そこに、”それ”がいた事に。
煌々と燃える焚き火が照らし出す広場に、獣を獲る狩人が立っていた。
その老いた狩人は、まるで、積んだ月日から老いではなく威厳と力を与えられたかのような迫力を纏っている。その圧倒的な威圧感に、たちまち三人は蛇に睨まれた蛙の如く動けなくなった。
三人が立ち止まるのと同時に、三方から迫っていた軍勢もそのままの態勢を崩さずに止まり、場が静寂に包まれる。その静寂を打ち破るように、男が吐き棄てるような口調で呟いた。
「ふん、余の勘も衰えたものよの。このような小物がかかるとわな」
「な、何者よあんたは! 人をいきなり小物扱いして!」
最初に硬直が解けた七瀬が、怖気を必死に抑えながら叫ぶ。
「…ふん。たった一睨みで竦んでしまう様な、狩る価値すらない小童どもに名乗る名など無いわ」
「な、なんですってぇっ! 勝手に人をこんな所まで追い詰めた挙句、何の説明もせず名前すら言わない?! ふざけるのもいいかげんにしなさいよ!」
「……ククク、威勢のいい小娘だ…。いいだろう。貴様等は初めて遇う迷い人よ、なれば、記念に冥土の土産程度に話をしてやるのもまた一興かもしれぬ」
男はそう前置きすると、退屈そうに語りだした。
497鬼姫―舞神楽之弐―:04/07/27 18:33 ID:RWJHgXDG
「つい先日の事よ、我が軍の兵士が街道で女の迷い人を見つけて連行しようとした。だが、小癪にもその迷い人が兵に抵抗しおってな。その女達は、たった二人で三人の兵士を倒して逃げ去りおった」
「すげぇ……七瀬以外にもそんな芸当ができる奴がいたとはな……」
「折原、あんたは黙っときなさい。…で、何でそれが私たちに関係あるのよ?」
「三下とはいえ、我が軍には並の人より劣る漢はおらぬ。なればその迷い人は獣という事よ。毛色の違う獣程、獲物としては面白い。我が手で狩るのが道理であろう」
『獣』という表現に戸惑いながら、苛立ちを隠そうともしないで七瀬は言葉を返す。
「だからっ、何でそれが私たちに関係するのよ?!」
「その迷い人の特徴が、紺色の髪の女と橙色の髪の女の二人連れ、つまり、貴様等に瓜二つだったのでな」
七瀬と瑞佳を眺めつつ、男は続ける。
「だが、……ふん。姿は似ていても、とても我が狩人の血を騒がせるような獣には見えぬ。つまらん小物では余が自ら手を出すまでもあるまい。余を失望させた罰よ、死んで地獄(ディネポクシリ)に落ちるがよいわ」
―――――――ブチッ
折原はその時、七瀬から何かが切れる音を確かに聞いたという。
「――――ッ。この下衆がぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」
七瀬はキレた。
叫ぶやいなや、七瀬は刀を持ったまま男の前に走り寄る。手にした刀を上段に振りかぶり、間合いを計りつつも勢いを活かし、男の体に刀を振り下ろす。
498鬼姫―舞神楽之参―:04/07/27 18:35 ID:RWJHgXDG
キィン
唐突な攻撃にも動じず、男は片手で槍を扱い、見事に七瀬の刃を受け止めた。
「小物が。牙も持たぬくせに足掻くなど愚の骨頂。巫山戯るのもいいかげんにするがいい」
ブンッ
一転。男の槍が唸りをあげて七瀬を襲う。
「(何なのこいつ! 爺ぃの癖にメチャクチャ強いじゃない!)」
首を衝かんとする槍を、七瀬は刀を中てて反らした。
―――この間、僅か二秒の出来事である。
「ふん。少しはやるようだが……。そぅれ」
「きゃっ」
第二撃。胴を狙う槍を、七瀬はすんでの所で右に避ける。
「(速すぎる…。こんな奴勝てる訳無い……。でも………)」
許せない。絶対に許せない。人の命をおもちゃみたいに扱うこの下衆だけは。
たんなる人違いで、そんなあっさり人を殺すだぁ? ふざけんじゃ無いわよ!
一発でもぶん殴ってやらなきゃ絶対に気がすまないっ!
「許せないぃぃぃぃっっっ!!!!」
キィン!
裂帛の気合と共に、再び刀を振り降ろす。
「ムッ」
刀を受ける男は、その勢いに一瞬浮かべていた笑みを消した。
499鬼姫―舞神楽之四―:04/07/27 18:36 ID:RWJHgXDG
焚き火の照らす広場の中。
老いた狩人と鬼に憑かれた女が、激しく刃と刃を合わせる。
――――――カン キィン ガキィッ キィン
鳴る音は囃子のよう。
寄っては離れ、離れては寄る。差す手と引く手の攻防が、囃子を背景に踊る。
それはまるで、雅な神楽を舞っているかのようだった。
「たぁっ!」
「ふん!」
鬩ぎ合う刃は、既に十を数えている。
技量と力と速さに劣る七瀬は、それでも必死に男に立ち向かう。
「(クックックックック。この娘、目が変わりおった。まるで―――獣の目のように)」
「面白い! 面白いぞ娘! 貴様はまるで鬼姫だ!」
――――鬼姫
それは、古くから伝わる伝承によった、禍々しきも美しき姫。
その姿はこう伝えられている。
――――その獣の双眸をもて差す手舞う、囃子響きして焔照らすそれは妖しき舞神楽
まさに、今の七瀬だった。
500鬼姫―舞神楽之伍―:04/07/27 18:39 ID:RWJHgXDG
そして、ついに交わす刃は三十を超えた。
だが、さすがに女で普通の人間である七瀬は限界に来ているのか、少しだけ気勢が緩んだ。そこを、
「ふんっ!」
「きゃぁっ!」
ガキィィィィン
七瀬の力の緩みを感じ取った男が、槍の柄を使い、てこの原理を応用して七瀬の刀を弾き飛ばす。
炎の光を浴びて舞う刀は、三回転半して七瀬から離れた地面に突き刺さった。
「はぁ……はぁ………くそっ…殺すなら……とっとと殺しなさい!」
抗う術を失った七瀬は、せめて視線で男を殺すかの如く睨みつける。
その眼を見た男は、意外にもそれを愉しむような風に口を開いた。
「ほぅ……このような場合でも眼が獣のままとは………。クックックックック……カッカッカッカッカ! 鬼姫の如き娘よ! 気に入ったぞ! よろしい。汝を我が獲物と認識しよう」
「……は?」
突然の男の言葉に、七瀬はあんぐりと口を開く。頭には?マークが舞っていた。
ちなみに浩平は、七瀬が鬼姫と呼ばれている事に、さり気なく爆笑している。
「ククク。小物かと思えば中々愉しませてくれるではないか。それに免じてこの場は余が退く事にする。どこぞなりへと失せるがいいわ」
「えっと……それは私たちを逃がすって事?」
すっかり覇気を削がれた七瀬は、素直に男に訊ねる。
「逃がす? 馬鹿な事を。我が狩場に獣を放すだけの事よ」
ククク、と含み笑いをして、男はウォプタルに乗り込む。
「全軍撤収。都に帰還せよ!」
理解の範疇を越えた男の行動と発言に、七瀬はおろか、浩平と瑞佳まで先程とは違う意味で硬直してしまった。
「娘、また会おうぞ」
「ちょ、ちょっと! まだあんたが何者か聞いてないわよっ!」
「いいだろう。覚えておけ、我が名はニウェ。汝を喰らう狩人だ」
男―ニウェ―は、そう言って大勢の兵士たちと森の奥深くヘ消える。
そして、そこには、呆然とそれを見送る三人が取り残されたのだった。
501名無しさんだよもん:04/07/27 19:26 ID:x88iY7KT
新作キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!


このシーンのニウェはまだ和樹と出会ってないみたいですね。
そろそろトゥスクル以外でも迷い人同士が遭遇しだすかな?
502名無しさんだよもん:04/07/27 21:23 ID:zCih2Uq/
鬼姫=梓or楓とでも出会うのだろうかと思ってた自分は負け組
503国境にて 第二話「侵入」:04/07/28 02:34 ID:uQ9K8eKw
 早朝。
 もやの立ち込める森の中で、二人の兵士が警邏の任に当っていた。
「うぅ、眠い、寒い。全く、何だってこんな早くから、こんな辺鄙な森を警邏しなきゃならんのだぁ?」
「全くだ。しかもここは、アレだろ? 何でも、『出る』って話……」
「ああ。『禍日神が棲まわれる森』ってヤツか。そんなのは土民の迷信に過ぎんだろ」
「まあ、禍日神はどうか知らんがな……『迷い人』がこの森に潜んでいるらしい」
「迷い人? ああ、最近あちこちに姿を現して、怪しげな術や言動で、各地を騒がせているとか云う連中か」
「うむ。先日、街道に姿を現した所を、巡察隊が連行しようとしたのだが、見たことも無い武術で屈強な男達をあっという間に蹴散らして、逃走したらしい。何でも二人組の女とのことだ」
「成る程……では其奴らは見つけ次第、斬り捨てよ、と云う訳だな」
「いや、殺さずに聖上の御下に連れて来い、とのお達しが出ている。噂では、聖上は迷い人の怪しげな術にいたく御関心らしい」
「しかし、だからって聖上が直々に兵を率いて、こんな辺境まで捜索に来るこたあねえとは思うけどよ……。『国境』にいる上の連中はビクビクしてやがるぜ」
「どうせ連中は、しこたま着服した私財が露顕するのが怖いんだろうよ」
「暢気なこった。山のすぐ向いの盆地にゃ、クンネカムンの穴人どもが陣を構えてるってのによ。昨日も、『国境』の目の前の山の斜面で小競り合いが起きてたぜ」
「所詮、上の連中は現場が見えてない、てことさ」
「まあ下っ端の俺達にゃ関係ない話だな。仕事仕事っと……って、あれ? おい? 相棒? どこ行った?」
 いつの間にか消えた相棒の姿を探して周囲を見まわす兵士は、しかし、背後からの異常には気付いていなかった。
 ドゴッ。
 突如、後頭部に強い衝撃を感じ、兵士はそのまま意識を失った。

「――こちら終わりました、綾香様。そちらの方は?」
「ええ、こっちもOKよ。泡吹いて卒倒してるわ。それより、連中の今の話……」
「――ええ、色々気になる情報がありましたが……取り敢えず今は段取り通りに進めましょう」
504国境にて 第二話「侵入」:04/07/28 02:35 ID:uQ9K8eKw
 シケリペチム国境最前線の山脈。
 その頂上部に、巨大な砦が築かれていた。山脈の線に沿って細長く展開する砦は、天然の要害と呼ぶに相応しい山脈の形状と相まって、難攻不落の防壁としてクンネカムン軍の前に立ち塞がっていた。
 いや、砦が立ち塞がっていたのは、クンネカムンの前に留まらない。
 シケリベチム国内の武断政治を逃れ、他国に亡命しようとする民衆。
 戦乱の網の目をぬって諸国を旅し、流通と取引に専念する商人。
 地上の生物の一変種たる人間が、勝手気侭に地面に引いた境界線を露知らず、日々の営みを送り続ける山の獣たち。
 ――そんな彼らのささやかな望みを遮断するかのように、砦は長い両手を広げて、険しい山脈の頂上にそびえ立っていた。

 いつしか、砦の正式な名前は忘れられ、ただ『国境』と呼ばれる様になっていた。
 建立以来、シケリベチムの人々にとって『国境』とは、外敵から自分たちを守る頼もしい守護神であると共に、自分たちをシケリベチムという牢獄に閉じ込める憎々しい獄史でもあった。
 その愛憎の入り混じりが、『国境』という呼び名に込められていた。

 『国境』の、シケリベチム方面の城門に、二人の兵士がよろよろと戻って来た。
 一人は、顔全体に血塗れの布切れを巻き付け、もう一人の兵士の肩を借りて歩いていた。
 肩を貸していた兵士の側も、顔は泥で汚れ、兜を目深に被り、憔悴しきった様子でよたよたと歩くのが精一杯だった。こちらには、耳を覆うように血まみれの包帯が巻かれていた。
 その姿を認めた門番が、慌てて二人を呼び止めた。
「どうした、一体何があった!」
 布切れを顔中に巻いた兵士の側は、無言で俯くばかりである。もう一人の兵士がやっと口を開いた。
「例の迷い人に出くわした……奴ら禍日神だ……俺達を捕まえて、相棒の喉を潰し、顔の皮を剥いだ……俺も耳を削がれた……まだ森の中をうろついているはず……仇を取ってくれ」
 か細いながらも、野太い男の声で、兵士が応えた。
 門番は、慌てて二人を城門の中に入れ、診療所に行くように伝えた。そして、門の警備を別の兵士に任せ、自らは伝令として、城閣の方向に駆け出して行った。
505国境にて 第二話「侵入」:04/07/28 02:37 ID:uQ9K8eKw
 『国境』の中がにわかに慌しくなった。
 大勢の兵隊が、シケリベチム方面の城門に向って駆け足で行進してゆく。
 仲間をいたぶった残虐な迷い人をひっ捕えるべく、皆、怒りの形相だ。
 先程の兵士二人が、隊列の隣を逆方向に歩いて行く。
 やがて、隊列が去った後、顔を包帯で覆った「兵士」が口を開いた。
「……うまくいったわね、セリオ」
 耳を包帯で覆った「兵士」が応えた。
「――ええ、綾香様。私の音声変換機能の効果は予想以上です」
 先程の野太い男の声とは打って変わって、セリオは元の冷静な女性の声に戻っていた。
「あの木の実の汁って本当、真っ赤で血みたいね」
 先程襲撃した兵士の甲冑を身に纏った綾香が、木の実の汁で赤く染まった包帯を少しずらして、やはり甲冑姿のセリオに語り掛ける。
 包帯の隙間からのぞく綾香の顔は、傷一つなかった。
「――しかし、身包みを剥いで縛り上げた、あの二人が発見されるのは時間の問題でしょう。捜索に出た、あの大勢の兵隊が戻るまでには何としても、クンネカムン側に脱出しなくてはなりません」
「……そうね、これはまだ作戦の第一段階よね」
 綾香は、緊張感に満ちた顔付きで、セリオに応えた。

「――取り敢えず、『国境』への侵入は果たしました。大変なのはこれからです」
 特徴的なアンテナ状の耳を覆い隠す包帯に手を当てて、セリオは呟いた。
506名無しさんだよもん:04/07/28 07:13 ID:CRUMtL4d
綾香キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
新作続くねぇ。職人さんガンバレ〜。
507名無しさんだよもん:04/07/28 15:22 ID:TKnhFs45
偶然同じ場所で起こる脱出劇か
どうなることやら。
期待sage
508国境にて 作者:04/07/28 20:52 ID:uQ9K8eKw
今、読み返したのだが……
シケリ「ベ」チムじゃなくて、
正しくは、シケリ「ペ」チムだったのね……
反省……
509名無しさんだよもん:04/07/28 21:19 ID:L6ndd9By
>>508
転載するときに直しておきましたが、よかったですか?
510国境にて 作者:04/07/28 21:25 ID:uQ9K8eKw
ありがとうございます。
サイトの方を拝見したのですが、すごい勢いで更新されていってますね。
511名無しさんだよもん:04/07/28 22:03 ID:gAKLaOCD
ほんとだ、すげぇ。
まとめサイトがどんどん多機能になっていくんだが。
超GJ
512名無しさんだよもん:04/07/28 22:50 ID:8UyGkZ1h
一時的にパソが逝っちまって、携帯からでしか纏めサイトを見れない漏れは超負け組ですか。そうですか。orz
513名無しさんだよもん:04/07/30 00:00 ID:zFMoT4zW
           '´∧~∧   
       .│ミ  T ヽ  
        │ レ´∀`/  <ageますよ。
       _( ⊃┣⊂)   
      /_/三//.|    
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |        
    |国産モロロ . |/ 
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
514名無しさんだよもん:04/07/30 12:03 ID:beQZyKXz
クンネカムン側のまたーりにも期待したいけど
キャラが少ないな
もっとキボン
515母を知らない子供、子を持たぬ母:04/07/30 20:15 ID:PKhbC5OZ
「…パパ?」
幼子が目覚めたのは柔らかいベッドの中。
何ら不自然に思えないその光景は、しかし、幼子にとっては異様だった。
隣に寝ていた一番好きな父がいない。ただそれだけで幼子は不安になる。
それに加え、見たことのない部屋。父と暮らすあの部屋ではない。幼子はベッドから降りてあたりを見渡した。
「パパ…パパ…」
部屋を歩きながら父を呼ぶ。しかし、返ってくる返事はない。
「パパ…パパ…!パパ…!!」
歩みは速くなり、声は大きくなる。それなりに広い部屋をくまなく探しても父の姿はなかった。
こみ上げる涙をぐっとこらえる。父の胸とトイレ以外では泣いてはいけない。
父との約束をけなげに守る幼子は、涙を押さえてベッドの縁によじ登った。
きっとパパは見つけてくれる。迎えにきてくれる。だからがんばる。
「だんごっだんごっ!」
大好きな歌を口ずさんだ。それだけで元気がでた。
と、その時。
がちゃ、とドアが開いた。
「ひゃっ…!」
「あ、ごめんなさい。驚かせちゃったかしら」
「…え?」
柔和な声に幼子は顔をあげる。そして部屋に入ってきた女性を見て目を丸くした。
516母を知らない子供、子を持たぬ母:04/07/30 20:16 ID:PKhbC5OZ
金の髪に優しい微笑みを浮かべた美しい女性。
だが幼子の目を引いたのは、女性の背に広がる純白の翼。
「てんしさま…?」
父と読んだ絵本に出てきた天の使い。目の前にいる女性はまさしくそれだった。
「いいえ、違いますよ…私の名前はウルトリィといいます」
柔和な笑みを浮かべながら名乗る。
「…おかざきしおです」
ぺこり、と頭を下げる。
「オカザキシオちゃん?」
「んーん、おかざきがみょうじでなまえは、しお。えっと、こうかくの」
宙に辿々しくだが『汐』と書く。
「じゃあ汐ちゃんね。汐ちゃんはどこからきたの?」
「…わかんない。パパとねんねしてたらここにいたの」
父のことを思い出し再び心細くなった。
「そう…寂しい?」
ん、と頷く汐。
ウルトは汐の頭を撫で、そっと抱きしめた。
「…大丈夫。お父さんは私が見つけてあげますからね」
「…うん」
母を知らない子供、子を持たない母。
欠けたものを埋めるかのように、二人は温もりを分けあっていた。
517名無しさんだよもん:04/07/30 21:45 ID:Bx0s8CzK
うしお、だからな。
518名無しさんだよもん:04/07/30 21:50 ID:etzRM+P9
おそらくは汐の一人称がそうなのか、もしくは滑舌が悪いかどちらかだろう。
519扉の向こう:04/07/30 22:02 ID:exTjeqPA
「ここはどこだ?」
僕は漫画の台詞のような独り言を呟いた。
確か、静かな住宅街の中を学校に向かって歩いていたはずだ。
それなのに、周りあったはずの同じカタチをした住宅や、どこまでも続いていそうなアスファルトで舗装された道もなくなっていた。
今、僕の周りにあるのはたくさんの木で、足元には草が生えていた。
学校に行く途中に、どこかの森の中にうっかり迷い込んでしまったみたいだ。
今朝はトースターのコンセントが抜けているのにも気づかなかったし、僕のコンセントも抜けかかっているのだろうか。
「……まぁ、いいや」
僕はまた独り言を呟いて、遅刻の心配をしながら学校へ向けて歩き出した。
520名無しさんだよもん:04/07/30 22:07 ID:jzCEHEBD
>>515-516
氏んでるのか渚
521名無しさんだよもん:04/07/30 22:18 ID:zFMoT4zW
>>519
長瀬祐介!?
しかも、トースターエンドの後!?
これから、どうなるんだ?
522名無しさんだよもん:04/07/30 22:21 ID:mydrJItr
>>519
シュールだ…端的で(・∀・)イイ!!
523名無しさんだよもん:04/07/30 22:36 ID:dEOJMauE
>>521
祐介が学校を探して、うたわれの世界をさまようんじゃないのか
もう壊れちゃってるから、うたわれの住人達の耳とか見ても気にしなそうだしな
後は暴走しないことを祈るだけだ
524名無しさんだよもん:04/07/30 23:45 ID:Lcg0jGK1
雫未プレイでわけわかめな俺は負け組。orz
525名無しさんだよもん:04/07/30 23:57 ID:y7EzD1/X
雫プレイしたけどトースターエンドなんて知らなかったorz
誰かメル欄で解説を(ry
526名無しさんだよもん:04/07/31 00:00 ID:cCCg1IUC
もしかしてリニューアル版だけのEND?
527名無しさんだよもん:04/07/31 00:28 ID:BAdhkNC2
トースターエンドは雫の瑠璃子さんシナリオのBADエンドの一つ
リニュ版、旧版どちらでも、劣情に身をまかせ、瑠璃子さんを犯せば見られるはず
528名無しさんだよもん:04/07/31 00:32 ID:PH/3CYUC
>>527
そんな貴方のIDがBAD
529名無しさんだよもん:04/07/31 00:34 ID:cJUvsg6F
むしろ雫の本髄はトースターエンドだろ
530名無しさんだよもん:04/07/31 02:44 ID:Dm4y+Rev
雫なら月島兄を出さなきゃ。
電波でみんな洗脳(ry
531名無しさんだよもん:04/07/31 10:07 ID:GUIfQT9Y
>>520
氏ぬ前の(学生時代の)渚を出せば無問題
532名無しさんだよもん:04/07/31 19:53 ID:PbQED9Xv
まだ産んでもいない娘との出会いか
533名無しさんだよもん:04/07/31 20:38 ID:GprZdMhe
七瀬と二ウェが三十合以上打ち合ってるのはなんなんだ。
しかもギャグでもねえときた。
534名無しさんだよもん:04/07/31 21:12 ID:nvqy6Kno
ニウェがあわせてやってるんじゃねぇの?
思ったより抵抗するから、楽しむために。
535名無しさんだよもん:04/07/31 21:31 ID:GprZdMhe
それだと成立しなくなるだろ。いろいろな点で。
536名無しさんだよもん:04/07/31 22:07 ID:gNYbDbwS
…この流れは…

>>532
葉鍵学園かよ
537名無しさんだよもん:04/08/01 05:37 ID:6Xa90yxT
春原がうたわれキャラから64HITなんてされたもんなら悲惨すぎるなぁ
538名無しさんだよもん:04/08/01 22:44 ID:26h3/uTv
>>537
カルラの豪腕で64HITされて、身体全体にモザイクが掛けられる春原だった・・・・・・。

ところで、今後は、既出のキャラ同士をもっと積極的に絡めていった方がよい希ガス。
ネタ的にも、ストーリー的にも。
539名無しさんだよもん:04/08/01 22:47 ID:e5aeAIIW
これ楽しんでる奴らは自治スレに行った方が良いぞ。
クロスオーバーSSが禁止されかかってるから。
540名無しさんだよもん:04/08/01 23:51 ID:/jhRD2OX
禁止されるまで遊べばいいんじゃないかな。深く考えずに。
541名無しさんだよもん:04/08/02 00:22 ID:JpmKJCRB
葉鍵のみのクロスオーバーSSもアウトなのか?
そいつはちょっと困るが

外部ネタはいいとしてもだ
542名無しさんだよもん:04/08/02 00:30 ID:I1LPzprc
よく考えると、確かにこのスレは葉鍵ネタだけで構成されてるよな
ある意味純粋なクロスオーバースレか…
543名無しさんだよもん:04/08/02 02:01 ID:kD6bsr6X
それが違うんだナァ。
今ピンチになってるのは「クロスオーバー」のみならず「SSスレ」自体がだからさ。
544名無しさんだよもん:04/08/02 03:43 ID:xELQ8KnV
なんじゃそりゃ
誇大解釈すればネタスレも全部削除できるって事になるじゃんか
545名無しさんだよもん:04/08/02 05:16 ID:DlIs6j0G
実際その方向に話が進んでるよ。
事前に相談無しに建てられたスレは全て削除、って。
もちろんネタスレ・SSスレも含めてね。
546名無しさんだよもん:04/08/02 05:23 ID:xELQ8KnV
なんだよそれ…
そこまでして息苦しくい板にしてさらに過疎化させたいのか
一々相談しろってか?
それで納得するいい子ちゃんばっかりなのか?
547名無しさんだよもん:04/08/02 14:43 ID:LQ92fDOp
鯖の負担とかいろいろある
548名無しさんだよもん:04/08/02 14:57 ID:TtZ368hV
もっと先に消すべきものがあると思うのになぁ……
549名無しさんだよもん:04/08/02 20:40 ID:0lJ126I8
万が一の事態も考えて、外部板を用意してもいいかもしれない。
550名無しさんだよもん:04/08/02 20:45 ID:YOpv7pBy
自治スレより、

運営:削除議論板「葉鍵板での戦艦ネタキャラ及び削除人について」スレ
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/sakud/1042462106/

こっちを見る方がいいかと思う。
今回の件はスレの削除云々というより削除人の強硬姿勢等が発端のようだし
自治スレは本当に意義のあるスレになってるのか?とも思える。
(影響力もあるのかなぁ)
551FARE-M ◆7HKannaArk :04/08/02 22:01 ID:LEFl5Tn0
用意するなら、
サイト内で作るか、借りてくるか……
どうします?
552名無しさんだよもん:04/08/02 22:15 ID:0lJ126I8
>>551
どちらが、より手軽に作れるの?
553FARE-M ◆7HKannaArk :04/08/02 23:08 ID:LEFl5Tn0
>>552
借りてくるには登録やらないといけないけど、
作れば、容量さえ許せばその辺の手間はない。
ぐらいかなぁ
554名無しさんだよもん:04/08/02 23:33 ID:0lJ126I8
作る方が手間がかからないのですか…。意外な感じ。
では、「作る」方で、お願いします。
555FARE-M ◆7HKannaArk :04/08/02 23:58 ID:LEFl5Tn0
>>554
まあ、選択とかで掲示板作ってあるから、
そこに追加するだけだからなんですけどね。
556名無しさんだよもん:04/08/03 00:17 ID:nZAxhjfA
ネタナド作成初期に借りたしたらばで良かったらすぐに用意できますけど
もう誰も使ってないし
557名無しさんだよもん:04/08/03 01:36 ID:5cZUs6b7
558名無しさんだよもん:04/08/04 00:04 ID:YI+bv+0e
>557
そう、それ
URLは変えれないけど、それでも良かったら
559FARE-M ◆7HKannaArk :04/08/04 00:14 ID:lqXtsaMc
一応建てる準備はできたんですが、配色が決まらない……
560名無しさんだよもん:04/08/04 21:36 ID:08ToIcPe
配色が決まらないというのなら、一案なのだが、
>>557の掲示板のカラーリングを借りてみるというのはどうだろうか。
今回は>>556氏が提供してくれた掲示板の使用は見送るが、
彼の提案に敬意を表すという意味合いを込めて。

ところで、自治スレの議論はあいかわらず纏まる様子を見せないな。
今回の騒動が、葉鍵学園や絶体絶命都市などのクロスオーバーSS・ネタスレに
萎縮効果をもたらしてしまっている気がする。むろんこのスレにも。
561FARE-M ◆7HKannaArk :04/08/04 22:15 ID:lqXtsaMc
http://farem.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/bbs/utaware/index.html

こんな感じでいかがでしょうか?
562名無しさんだよもん:04/08/04 22:43 ID:08ToIcPe
GJ!
ただ、一つだけ言わせてもらえれば、元の支援ページに戻るボタンなり
リンクをつけてもらえると助かります。
また、>>556氏へのスペシャルサンクスも、どこかに書き加えるといいかも。

563FARE-M ◆7HKannaArk :04/08/04 23:11 ID:lqXtsaMc
>>562
さっそく戻れるようにしました。
564556:04/08/05 00:27 ID:cqwIaXhH
色使いも何も、何も考えずに適当に決めたなんて言えやしない…言えやしないよ…
565名無しさんだよもん:04/08/05 09:07 ID:Y77jPUZ6
>>564
野口さん乙
566Return ◆HmWW/1HAS2 :04/08/05 12:54 ID:vK8YCb/S
新参者ですが勝手ながら投下させてもらいますです。

「え…う、うそだろ」
エルルゥの言葉を聞いてここにいる"以前迷い込んだ時に世話になった面々"は絶句した。
久々に来たこの世界は統一され、トゥスクルが中心となった世の中となっていた。
それは支配とは違い、各地に自治を任せ、皆一緒に生きていこうとするためにした統一であり、いかにハクオロらしい考えであると思ったのだったが…
エルルゥに聞かされた言葉が―――
「―――ハクオロさんは…自分を…自分を戦いの根源として…自らを封印しました」
その時のエルルゥの目からは大粒の涙が溢れそうになっていた。

「ねぇ、けんたろ」
「ん?どうした?」
「ハクオロやエルルゥ、どうしてるかな?」
すっかり五月雨堂の看板娘として定着した(大人)スフィーが久々にやってきた宗一と皐月に茶を出しながら口に出した。
「そうだな、どうしてるだろうな?」
全員は感傷深そうに窓の外の青空を見上げた。
567Return ◆HmWW/1HAS2 :04/08/05 12:55 ID:vK8YCb/S
以前、この世界やグエンディーナとも違う世界へと飛ばされたことがある。
もともとは店の奥にあった妙な古文書を引っ張り出してきてそれを開いたのが原因だ。
古文書からは光が溢れ、次の瞬間には店の中にいた者たちは周りが草花に囲まれた空間へと立ち焦がれていた。
あたりは煙が立ちこめ、時折肉が焼けるような臭いも混じり、鉄同士がぶつかり合い、人の絶叫が聞こえてくる。
そのことでここが今自分たちが住む平和な世界とは違うことにすぐ気がつくことになった。
解ったことはこの世界では自分たちも戦わなくては生きていけないこと。
それはいくたびもの依頼を承ったことがある宗一には直感的に感じた。
案の定、戦人と思われる部族たちはまだこの世界に来て間もない彼らにも向かってきた。戦いの経験がある宗一や皐月、魔法を使えるスフィーに対して健太郎は腕に自信はあるもののさすがに武装した連中を相手にするには無理がありすぎた。
仕方無しに応戦しながらも後退し、少しずつその戦の場から離れようと勤めた。
が、それにも無理はあった。
「ちっ、きりが無いぜ」
「だめ、こっちも弾切れ」
倒しても倒してもどんどん新しい軍勢がやってくる。
「おい、スフィー。無理をするな」
「だ、大丈夫だよ、けんた…ろ…」
すでに小さくなるまで魔法を使い果たしたスフィーはその場に倒れてしまった。
「スフィー!」
健太郎はすぐに倒れたスフィーを背中に背負う。
「おい、大丈夫か?」
「ああ、だが…さすがにこれ以上増えるとやばいぜ」
四人をいっぺんに相手にしながら突破口を作ろうとしている宗一ではあったがそんな健闘もむなしく、あたりは戦人で囲まれ少しずつその陣を狭められていった。
「くそっ!ここまでなのか」
宗一はさらに多くの人数と相手をせざるおえなかった。
568Return ◆HmWW/1HAS2 :04/08/05 12:57 ID:vK8YCb/S
『苦労させやがって!』
戦人の振り下ろした刀は宗一の足を浅く切り裂いた。
「うっ!」
幸い致命傷にはなっていなかったがこれでは立つ事もできない。
『覚悟ぉ!』
「宗一!」
「くうっ」
あわてて飛びのいて再びきた太刀筋をかわした。
が、それでもその攻撃をかわしただけであって危機的な状況を回避できたというわけではない。
もはや全員に戦う術は無かった。
―――もう、だめなのか。
皆の心にそう思った時、
「往け!」
後ろの方から大きくそう叫ぶ声が聞こえた。
すると今まで周りを囲っていた戦人がいとも簡単に宙を浮いていた。
それだけではない。
聞こえる絶叫、分かれる体、引きちぎられる肉片。
「う…ああっ…」
「皐月、見るな!」
宗一はあわてて皐月を自分の胸元に引き寄せ、それを見せないようにした。
いくら皐月もエージェントとしての経験を積んだといえ、人がこんなひどい死に方をするのは見せられなかった。
『う、うわぁぁぁ』
『た、助けてくれーーー!!!』
あたりを囲んでいた戦人は宗一たちの首をとる事などすっかり忘れて逃げ出した。
が、依然と抵抗するものもいた。
『くそ、こうなったらお前たちの首だけでも!』
宗一たちの前に大男が立ちはだかり、太刀を力一杯に振り下ろした。
しかしその太刀はガキーンという激しい金属音を立ててその間に入った女に受け止められた。
569Return ◆HmWW/1HAS2 :04/08/05 12:58 ID:vK8YCb/S
「あら、動けないものたちを殺そうとするなんて趣味が悪いですわね」
『そ、そんな馬鹿な』
その女はその太刀をはじき返すと今度は女が持っている巨大な太刀が男に振り下ろされた。
『ふ、ふん。そんなもので』
とっさに同じように受け止めようとしたが、
「甘いですわね」
女が微笑をうかべてそのまま振り下ろすと太刀は抵抗無く切断され、男もろとも真っ二つに割れてしまった。
"ごとり"と音を立てて地面に倒れた二つの肉片からは赤い水溜りを成していった。
「大丈夫だったかしら?」
女は四人を眺めてそう言った。
「あ…」
宗一はそのとき、自分たちが助けられたのを初めて知った。
「す、すまない。助かった」
ナスティボーイと呼ばれる自分がここまで動揺するなんて俺もまだまだだな、と思いながらもとりあえず助けてもらったことに礼を言い、立ち上がろうとした。
「っ!」
が、足に激痛が走り、再びその場に座り込んでしまった。
(そういえば足をやられたのを忘れてた)
「あら?大丈夫?」
「ああ、ちょっと足をやられただけだからな」
「それは大変ねぇ。エルルゥ、エルルゥ〜」
「あ、はい。どうしました?」
「ほら、この子」
「あ、怪我しちゃってますね。でもこれくらいなら…」
と、エルルゥと呼ばれた和服に近い格好をした女性はその傷元に手をかざすとなにやら念じ始めた。
570Return ◆HmWW/1HAS2 :04/08/05 12:58 ID:vK8YCb/S
「あ、あれ?」
傷口からは光が溢れ、だんだんと痛みが引いていき、手を離すと切られたはずの場所は何も無かったかのように元の状態に戻っていた。
「これで大丈夫です」
「あ、ありがとう」
スフィーが魔法を使えることを知っていたからそれほど変と思わなかったが不思議な感覚に宗一は驚いた。
ついその腕にもぎゅっと力が入る。
「そ、宗一…痛い」
「あ、わ、悪い」
宗一はすっかり皐月のことを抱いていたのを忘れていた。
その腕から放すと今度は健太郎とスフィーがどうなったか気になった。
「てんちょ、ってあれ?」
健太郎はその場でボーっと表情をかえずにじっとしていた。
「て、店長?」
目の前で手を振ってみても全然気がつかなかった。
どうやら気絶しているらしい。
「そこの者たちは大丈夫だったか?」
「はい。少々怪我はしていたものの命に別状はありません」
エルルゥと呼ばれる女性の肩をぽん、とたたいて状況を聞き、その者は四人の元へやってきた。
「大丈夫だったか?」
それはエルルゥと呼ばれた女性と同じ和服姿に近い格好をし、その顔には般若のようにも見える少し風変わりな仮面を纏っていた。
「あ、あなたは?」
「私はハクオロ。このトゥスクルの皇だ」
571名無しさんだよもん:04/08/05 19:07 ID:Uh2HtLgA
572名無しさんだよもん:04/08/05 21:49 ID:J7kSNPjL
今回の四人が、最初にうたわれ世界に飛ばされてきたのが、
いつの段階なのかが気になる。少なくともカルラ登場後だろうが。
「このトゥスクルの皇だ」という台詞から、場所はトゥクスルだろうと思う。
573名無しさんだよもん:04/08/05 23:36 ID:9XvDRrsc
エルルゥは魔法使いや特殊能力者の類ではなかったはず
戦場では応急処置、本来は薬剤師兼医師といった役割と思われ
まずはゲームやってみい
 
あとトリップをつけないほうがよかれ
作者は表に出るべきではない
漏れも一度やっちまって後悔したことがあるよ…
574名無しさんだよもん:04/08/06 00:08 ID:FO7drWid
そもそも、説明もなしにいきなりスフィー達と宗一達が顔見知りだったり、「妙」の一言で片付けられている様な古文書でうたわれ世界へいきなり吹っ飛でたり、ツッコミどころ満載な気が。
575名無しさんだよもん:04/08/06 00:22 ID:C+zkEgsE
えっと…宗一と五月雨堂の店主はそれなりに深い知り合いなのは間違いないです…
576574:04/08/06 00:27 ID:FO7drWid
ルーツやった事無いのに言うんじゃなかった…OTL
本気でスマソ>作者
577名無しさんだよもん:04/08/06 10:54 ID:FO4PY/kH
>>574
気にするな
578Return作者:04/08/06 12:38 ID:QuXRsPoV
とりあえず今日も書きましたんで投下させてもらいます
の、前に訂正とお詫びを…

トゥスクル→トゥクスル
でしたね、誤字に気づきませんでした…>>572さん、指摘ありがとうございます

それと宗一の健太郎への呼び方は店主でしたね…
ルーツをやったのはずいぶん前だったのですっかり忘れてた…

>>573さんのことなのですがエルルゥは術者と同じ能力者だと思ってました…
魔法などの種類とは違うのは知っていたんですがアレは術の一種じゃなかったんですね。
すみません、あとで修正させていただきます。
579Return:04/08/06 12:42 ID:QuXRsPoV
あたりがまばゆい光に包まれるとまわりはあのときのように緑が広がる草原に四人は立っていた。
「少なくても今度は近場で戦が起こっているわけじゃないみたいだな」
健太郎は足元の古文書を拾って再び降り立った緑の原っぱを一度ぐるりと見回してそうつぶやいた。
「ここはまたトゥクスル領なのかな?」
「さぁ?それは俺にもわからないさ」
何しろ回りは同じような草原や森が広がっている。
前回の時とは場所も違うようではあったし。
「とりあえず町を見つけられれば何とか…」
と、健太郎が言いかけたとき、遠くのほうで
「グォォォォォォン」
という身もよだつような獣の鳴き声が聞こえた。
「きゃあっ!」
「な、なんだ?!」
その獣の声はだんだん大きくなっていることから少しずつ近づいてくるのがわかる。
「健太郎さん、来ますよ」
「あ、ああ」
前回とはうって変わって全員は万全の装備を施していた。
と、言うのはやはり前回が前回であったからであろう。
そして不意に叢がゆれ、黒い大きな影がそこから飛び出した。
四人は構え、応戦の準備をした。
580Return:04/08/06 12:43 ID:QuXRsPoV
が、そのとき。
「こらーーーー!!!」
と、以前も聞いたことがあるようなことのあるような女の声が少し遅れて叢の向こうから聞こえてきた。
「あれ?」
そのことに最初に気がついたのはスフィーだった。
よくよく見たら獣の上にはもう一つ小さな影があったのだった。
次第に皆もそれが何かわかりかけてきたようだった。
「ねぇ、けんたろ。あれって…」
「ああ…多分…」
言い終わる前に叢からは再び新たな影が飛び出した。
「こらー、アルルゥ!つまみ食いはダメって言ってるでしょー!」
「うーーー」
その小柄な体で大きな獣―――いや、ムックルとアルルゥを追うエルルゥの姿がはっきりと現れた。
581Return:04/08/06 12:43 ID:QuXRsPoV
「「「「エルルゥ」」」」
「え?」
不意に自分の名前を呼ばれてエルルゥは立ち止まった。
はじめはきょとんとしていたがだんだん自分が見ているものと記憶が一致してくると少しずつ顔が笑顔へと変わっていった。
「健太郎さんに宗一さん。それに皐月さんに…ええっと…」
エルルゥはスフィーのほうをちらっと見ると考え込んでしまった。
「エルルゥ。この人はスフィーさんだよ」
宗一がそう説明すると健太郎は大人になったスフィーの頭にぽんっと手をのせた。
「ええ?!スフィーさんってもっと小さくなかったですか?!」
「ああ〜、あの時は魔力がなくなって小さくなってたからね」
スフィーはそれがまるで当然であるかのようにしれっと説明した。
「でも皆さんまたきてくれたんですね」
「ああ。で、ちょっとトゥクスルに行きたくてもちょっとわからなくてさ…悪いけど道案内お願いできるかな」
「はい、喜んで」
エルルゥはそういうと元来た叢のほうへと足を向けた。
「ところでエルルゥはどうしてこんなところにいたの?」
「あ…そうでした。皆さん、ちょっと待っててくださいね」
と、言うとエルルゥは木の陰からこちらの様子を伺っているアルルゥ(+ムックル)に向かって走っていった。
「アルルゥーーー!」
「うーーーー」
「はは…これじゃ何時になったら城にいけるんだか…」
木の周りでいたちごっこをする二人を見て宗一はそうつぶやいた。
582Return:04/08/06 12:45 ID:QuXRsPoV
そもそも、今回再びこの違う世界に来たわけだが一回目ではハクオロに助けられた後、いろいろな説明をしなければならなかった。
自分たちがどんな世界から来たのか、どんな方法でやってきたのか。
最初はハクオロも異世界の住人がやってきたなど信じられなかった。
しかし、耳や尻尾が他のものとは違う上、来ている着衣に皆が知らないような豊富な知識。
それを披露されればいくら信じられないことであろうとも認めざるおえなかった。
その後はハクオロたちは四人を客人として丁重に扱った。
あるときは城の中や國を案内させたり、学問のことについてベナウィという補佐の男からからも相談を受けたこともあったし、命を助けられたカルラという女の酒飲みに付き合わされたこともあった。
それにある塔に入って葉っぱも集めたこともあった。
…あの時はなぜか他の人物たちもたくさんいたのかは謎だったが。
兎に角、ハクオロたちと四人はいつの間にかただの異世界の客人から大切な友人へとなっていた。
しかし四人だって元の世界での生活があるからずっとこの世界にいるわけにはいかなかった。
幸いなことに古文書とセットで転送されるらしく、いつでも戻ることはできた。
だから四人は再開を約束してこの世界から再び元の世界へと戻ったのだった。
583名無しさんだよもん:04/08/06 13:43 ID:fOwFhVNG
一応突っ込むと、トゥスクルで合ってたりするorz
584名無しさんだよもん:04/08/06 14:02 ID:7IGNhMvU
>>作者様
トゥスクル、はトゥスクルで合ってます。>>572氏も「〜」の中ではトゥスクルと言っていますので
トゥクスルの方が誤植と思われます。

うたわれ世界と他作品キャラの元の世界の時間が連動していると考えると、
元の世界では行方不明者続出・・・と。
他キャラは自由に戻れないのでこの点どうしましょう?
また迷い人との関係も・・・・。

とりあえず今回来訪のスフィーは、
WA勢の喫茶店(ホットケーキ)のお陰で魔力消耗の心配はないですなw
585Return作者:04/08/06 14:38 ID:QuXRsPoV
ええっと…実は自分もうろ覚えだったりします
なんせうたわれをやったのは半年以上前なもので

補足の説明をいたしますと、
向こうの時間軸と現実の時間軸では別にしています
用はタイムスリップみたいなものと考えてもらったほうがわかりやすいと思います。

それとスフィーは一応大人時の(ゲーム時が21だったんで宗一たちとあっていることも考えると23くらいですかね)ものです。
また、最初の時に小さくなったのは急激に魔法を使いすぎたということでなってます

それと舞台ですが一回目がクンネカムンとの大戦前で新たに降り立ったのが封印後という設定です。
ですのでハクオロは封印され、オボロ、ドリィ、グラァは旅に出ていていません。
(ちなみにトウカとカルラは登場予定です。旅から戻ってきているということで)

スフィーの魔力についてですがこれは作中でもあるように術師の知恵で大体は解消されます
(さすがに子供から大人まではできませんが)

最後に、まだまだいたらないのでミスなどがあれば指摘してもらえるとありがたいです
指摘などをしていただいた皆様、心より感謝です
586名無しさんだよもん:04/08/06 16:53 ID:tBCBMyul
俺様設定バリバリ
587名無しさんだよもん:04/08/06 17:58 ID:U8fTsXaF
遅めの夏到来?
588名無しさんだよもん:04/08/06 18:03 ID:z/TEcvqh
そういうスレだし。
589572:04/08/06 20:06 ID:plQGE74p
>>572です。この度は変な誤植で、混乱させてすみません。
自分でトゥ「スク」ルと書いたその直後に、トゥ「クス」ルと書いてちゃ世話ないわな orz。

で、今回の感想なんですが。
正直な話、構成をもう少し改善してほしいなと思いました。
前回のラストで、宗一たちがハクオロと出会うシーンで終わって、
今回の冒頭で、2回目の来訪のシーンから始まるというのでは、
読んでいて少し混乱してしまうと思います。
同じことは、第1話の冒頭(1レス目)でも感じました。

また、迷いこんだ時点でのキャラクタの状況などは、なるべく作品の中で説明したほうがいいです。

・・・と、こういう事を感じました。参考にしていただければ幸いです。
私ももっと誤字脱字には気をつけてゆきます orz。
590Return作者:04/08/06 20:49 ID:QuXRsPoV
とりあえず指摘された部分を修正しましたのでそこだけ書き込みます。


「あ、怪我しちゃってますね。でもこれくらいなら…」
と、エルルゥと呼ばれた和服に近い格好をした女性は腰にある袋から薬草のようなものを取り出し、傷口を消毒すると手馴れた手つきでそこに包帯を巻いていく。
おそらく兵たちの看護士か何かをやっていてこういうことは日常茶飯事なのだろう。
「これで大丈夫です」
「あ、ありがとう」
薬草は傷口にしみてジンジンと痛みが伝わってくる。
ついその腕にもぎゅっと力が入る。


それで589さんのことですがなんとなく速攻でかいているものなので構成が変になってしまったことはお詫び申し上げます
また、切れ目のところには本当は一行あけているのですがあまり長く書けない以上、途中で解らなくなってしまうようですね
自分で詠んでみても確かに構成はいまいちだと思いますね…
読みにくい構成ですみません
591名無しさんだよもん:04/08/06 22:35 ID:dKmtLbqK
がんがれ。あと本文→説明は厨っぽくみられる原因になるので控えめに
行き来可能の件は控えておくべきだったな。他の作品の否定に繋がりかねんし
 
まあ作者が増えるのは喜ばしいことだが、スレの空気と流れをよんでくれ
 
それとGJ。めげずに続きキボン
592名無しさんだよもん:04/08/07 09:23 ID:uVihWFaz
ここの読み手は優しいな
593名無しさんだよもん:04/08/07 16:18 ID:lB8bREKi
まあ、べつに他の作品の否定にはならんと思うよ。
他の作品と繋がってるわけじゃないし。
この作品の世界だけ行き来可能ってことでいいんじゃない?

その設定で書きたい人がいれば書けばいいし。書かなくたっていい。
従う必要はないとおもうんだけど。
594名無しさんだよもん:04/08/08 22:29 ID:peAoRkTL
保守
595名無しさんだよもん:04/08/10 14:07 ID:rhRnQIAs
男キャラ出せッ
596名無しさんだよもん:04/08/10 17:37 ID:18SdzAwX
「キャラを出し杉ると破綻する」なんて心配は無いしね
597名無しさんだよもん:04/08/10 19:38 ID:k9NaOI0t
ワラタ
続キボン
598名無しさんだよもん:04/08/11 02:04 ID:Qnps8ioR
現在、職人の皆さんは夏休み中のようですな・・・
599名無しさんだよもん:04/08/11 22:29 ID:uekzlXFI
何人くらいいるんだろ、職人さん。
600名無しさんだよもん:04/08/13 08:46 ID:OQzrMkKS
とりあえず、600ゲットしときますね……
601名無しさんだよもん:04/08/13 13:52 ID:lIgUzuI0

      ,.-, ‐- 、
   __/ ノノリ)))〉 
 /\∠目*゚ -゚)ヨゝ ホシュ!
 \/| ̄∪ ̄∪ ̄|\
   \|_____|

602名無しさんだよもん:04/08/15 17:16 ID:ArKeqWtW
再び呼びかけてみるテスト。

おーーい、誰かいないかぁ?(´・ω・`)
603名無しさんだよもん:04/08/15 17:44 ID:ORhRVFOt
…返事がない

屍のようだ。
604名無しさんだよもん:04/08/15 18:14 ID:8uPSOBL7
ノシ
605名無しさんだよもん:04/08/15 19:17 ID:Nekw5acr
俺・・・まだいるよ
606名無しさんだよもん:04/08/16 07:17 ID:/m1wOl/E
小ネタ考えたので投下してみます
607801:04/08/16 07:54 ID:/m1wOl/E
「も〜、ここってどこよ〜〜。明日はこみパだってのに〜、こんなことしてないで早く寝ないと行けないのに〜」

気付くと何やら高貴な雰囲気漂う屋敷にいた。ゲームや漫画に出てくるような弥生時代を思わせるような建築様式の建物の中の庭を歩きながら芳賀玲子は呟いた。

「明日はガッシュ様×翔様オンリーイベントなのに〜うぅ〜〜」


「どうぞ、若様」
「あ、ああ」
「流石若様、いい呑みっぷりです」
「さ、もう一献」


「およ?」

不意に声が聞こえた。どうやら三人程が話しているようだ。二人は声が似通っているので確信はなかったのだが。
608801 その2:04/08/16 07:57 ID:/m1wOl/E
「丁度良かった〜、ちょっと聞いてみよーっと」
声がする方を確かめながら歩き続ける。


「どうぞ若様、遠慮なさらず」
「お、おぅ」
「どうぞ若様」
「若様、どうぞ」
「ささ、若様」
「………………(パタリ)」

「…寝ちゃったよ」
「…寝ちゃったね」

「「………」」

「「ニヤソ」」


「あっ、いたいた〜。あのー、すいませーん。ちょっとお伺いしたいことが━━━━」


「!!!!!」
瞬間、目を疑った。泥酔し熟睡している精悍な顔つきの半裸の男性。その男性を引ん剥くクローンのようによく似た二人の少女…いや、少年!!!!玲子の脳内で思考が巡る。
609801 その3:04/08/16 08:01 ID:/m1wOl/E
精悍な顔つきの半裸の男。それを引ん剥く二人の美少年。精悍半裸の男。引ん剥く二人の美少年。半裸の男。二人の美少年━━━━。


ぽむ。

「「えっ」」

肩を叩かれドリグラが振り向いた先には、鼻血を流し、
「━━GJ━━」
沈む夕日の中で親指を立て微笑む女性がいた。
610801 作者:04/08/16 08:03 ID:/m1wOl/E
葉鍵鬼ごっこと似た展開になってしまいました…
拙文失礼しました。
611名無しさんだよもん:04/08/16 16:22 ID:1fkBJbjP
続きキボン
612名無しさんだよもん:04/08/16 21:33 ID:VJPgfbR6
>>610
漏れはワロタ。気にスンナ。
寧ろ玲子がうたわれ勢と絡めばこの展開は必然。「お約束」だw
613801 作者:04/08/16 22:26 ID:/m1wOl/E
>>612
有難う御座います〜。

あと訂正をば…

×寝ないと行けない
○寝ないといけない

このように差し替えお願いします。
614名無しさんだよもん:04/08/17 16:34 ID:JWy0ZEeL
次に玲子が誰と誰に目を付けるのか、気になりますな。
615名無しさんだよもん:04/08/17 17:11 ID:gsn2ERiK
うたわれキャラならハク×オボかベナ×オボでガチだろう。
ここに更に他作品のキャラが絡むと、さてどうなるか?









あ、彰がいたか。
616Return:04/08/17 19:00 ID:NEUZb+fa
こうして四人は再びこの世界にやってきてそしてハクオロがもうこの世界にはいないことを知った。
「この玉座にハクオロはもう座ることはないんだろうかな」
「けんたろ」
スフィーが健太郎のわき腹を肘で突っつきエルルゥの方に目を向けた。
「あ…ごめん」
「いいえ、大丈夫です。でも…ハクオロさんがいないと國の行政がうまくいかなくて…
 今はベナウィさんと私で何とか支えてられるんですが、これ以上となると…」
エルルゥは小さくため息をついた。
「ハクオロが…生きていれば…」
「そのことに関してなんですが」
「うわあ!」
いきなり後ろに現れた人影に宗一はびっくりして一歩前に足を出した。
「チキナロさん」
宗一の後ろに現れたのはトウスクル建国のころから付き合いがある行商人チキナロであった。
「ハクオロ様の情報が入ったんでちょっとよらせていただきましたよ」
「チキナロさん、それ、どういうことですか!」
「それがここからずっと北側の地で新たな先進文明の跡らしき場所が見つかったわけでして。
 驚くことにそこの壁に今回起こったことが書いてあったらしいんですよ、ハイ」
「昔の人物が未来のことを予言した、ってことか?」
「そんなことが本当にありえるのか?」
「ないとは言い切れないよ。私だって魔法の力で少しくらいなら未来のことを見ることができるし」
「それで、その壁画にはハクオロさんのことがなんて」
「それに関してはわかりませんよ。私はその話を聞いただけですから、ハイ」
「そうですか…」
「それでは私は次の商いがあるのでこれで失礼致します、ハイ」
そう言うとチキナロはあっという間に玉座からいなくいなっていた。
「で、どうするんだエルルゥ?」
「決まってますよ」
エルルゥは立ち上がると玉座から飛び出た。
「お、おいエルルゥ」
と、その後を追おうとした宗一を皐月は止めた。
「私たちが今やることは別にあるでしょ、宗一」
617Return作者:04/08/17 19:01 ID:NEUZb+fa
「ハクオロさんのことが、ちょっとでもわかるならば」
部屋に戻ったエルルゥは急いで旅支度の準備をしていた。
「おね〜ちゃん、何してるの?」
と、突如アルルゥが後ろの扉を開けてこちらを見ていた。
「私は今からちょっとお出かけしなきゃならないの」
「アルルゥも行く〜」
「ダメよ、アルルゥ。あなたはここでお留守番していて」
「む〜〜〜、やだ〜〜〜」
手足をバタつかせてアルルゥは駄々をこねた。
(ふう、困ったわ。でもこういうときは…)
と、エルルゥは引き出しを開けてその中にある蜂の巣を取り出した。
以前、アルルゥが駄々をこねた時用に一つ用意しておいていたのだ。
「これあげるから、だからわがまま言わないでお留守番しててちょうだい」
「………ん」
アルルゥはその蜂の巣をエルルゥの手から奪うと部屋から出て行った。
618Return作者:04/08/17 19:01 ID:NEUZb+fa
そして夜。
皆も寝静まり、近衛の兵たちも少々うとうとと浅い眠りに入りかけているころ。
城門から一つの明かりが出てきてそのまま城から遠ざかっていく。
と、その明かりは途中で止まり、光で照らされたエルルゥは今一度城のほうを振り返った。
「ベナウィさん、もしものときはアルルゥとこの國をよろしくお願いします」
一度大きく頭を下げるとエルルゥは再び歩き出した。
「一人で行こうなんて水臭いじゃないか」
「そうそう、それに一人じゃ危ないよ」
「!?」
横道から二つの影、
「宗一さんに皐月さん…」
「だけじゃないよ」
と、今度は道の前から健太郎とスフィー。
「ハクオロに会いたいのはエルルゥだけじゃないよ」
「そうそう、私たちだって会いたいんだから」
「でも、ハクオロさんに会えるかなんてわからないんですよ」
「だからって会えないかもわからないぜ」
「でももしかしたら禍日神(ヌグィソムカミ)が幾体も出てくるかもしれないんですよ」
「ならなおさら一人では行かせられないよ」
「それに、もうこれも借りちまったしな」
健太郎が後ろを向くとすでに多人数が乗り込める馬車が用意されていた。
「みなさん…」
「そういうこと」
「そういうわけで俺たちもついていくぜ。拒否したって無理矢理ついていくからな」
「…ありがとう、ございます」
エルルゥの目は暗闇でよく見えないが確かに少し潤んでいるように見えた。
「さあ、早く乗りなよ。じゃなきゃあっという間に朝になっちまうぜ」
「うわ、ちょっと待ってよ〜」
「それじゃ、しゅぱーつ」
スフィーの元気な声を合図に馬車はゆっくりと進み始めた。
619Return作者:04/08/17 19:04 ID:NEUZb+fa
あ、上のふたつに作者をつけてしまった…スマソ

今回はうまく話の節目で区切ることができましたんで投下された場所場所で区切って読んでください

あまりにもひねらない話の展開なんで少々つまらないかもしれませんね…
620名無しさんだよもん:04/08/17 21:08 ID:KQWdg59/
621扉の向こう・2:04/08/17 22:49 ID:0cBarEsd
どこまで歩いても森の中で、僕の知っている街に行き当たらない。
既に太陽は僕の頭の上にある。
少し疲れたので木陰で休むことにした。
木に寄りかかって座り、カバンの中に何か食べ物がないか探してみる。
カバンの中に入っていたのは教科書とノートと筆記用具、それに文庫本が一冊だけだった。
仕方が無いので、少しお腹が空いたのは我慢することにする。
学校に着いてから、購買で売れ残ったコッペパンでも買って食べることにしよう。
622名無しさんだよもん:04/08/18 09:15 ID:4itiAiqj
少しずつ、書き手さんが戻って来ている。
623名無しさんだよもん:04/08/18 19:13 ID:NF3AeYVA
ハクオロは行方不明という設定の方がいいのでしょうか?作品によって異なるのでどうすれば…
624名無しさんだよもん:04/08/18 20:51 ID:vY2JUQd1
>>623
作品間は繋がりがあるものもあればないものもあります。
自分の都合のいい方でやればいいと思いますよ。
625名無しさんだよもん:04/08/18 23:09 ID:NF3AeYVA
>>624
レス有難う御座います。ではそのような方向で構想を練っていくことにしますね。
626名無しさんだよもん:04/08/18 23:24 ID:4itiAiqj
超期待!
627森の中の出会い:04/08/19 19:22 ID:n19oOUqB

森を抜けて、川沿いを歩いて、街道を避けて、山に入って。

「あと………ちょっと………!」

自分の手首ぐらいの太さの枝がぎしりと軋む。
恐怖で自分の腰も折れそうな錯覚を覚えるけど、そんな事で怯えてられない。
目の前には、超美味しそうな果物。

ぐうぅぅぅぅぅぅ………

そして今、僕等、空腹。

だって惨めっしょ!?
訳の解らない世界で飢え死にするのも。
逢いたい人にも逢えずに死んじゃうのも。
───ましてや、

「春原さーーーん!」

恵美梨ちゃんの目の前で格好悪い所は見せらんない───

ばきいっ!!

───はい?

「春原さんっ!!」

あーーーー僕の運命ってこんなもんなんすかねえぇぇぇぇぇぇ………。


芽衣────ごめんな………。
628森の中の出会い:04/08/19 19:24 ID:n19oOUqB

ヒタ───

(ん……?)

何か頭に冷たい物を載せられる。
ヒンヤリとしていて気持ちいい。

「う……ん」

自分が寝かせられてるのが判る。
身体に薄い布を被せられてるのも判る。
ここは───どこだ?

「ここ……は……」

「おっ、気ィ付きやがったか」
「ひいぃぃぃぃっ!!」

目を醒ますなり、ガラの悪そうな男の顔。
慌てて跳ね起きると、ズキン!と身体のあちこちが痛んだ。
「無理すんじゃねぇよ。骨二本折れてんだぜ、テメェ」
「なっ……痛たっっ!」
痛みに耐えながら男から目を反らすように──だって実際怖いっすよ!──辺りを見回す。
目に入ったのは、薄汚れた木の壁と、薪、瓶、袋、それと──

「ふむ。症状の割には体力があるな。普段から打撲には慣れているのか?」

北海道のアヌ○民族(だっけ?)みたいな誂えの白い服を着た、髪の長い美人のお姉さんがいた。
629森の中の出会い:04/08/19 19:25 ID:n19oOUqB

「恵美梨君なら今は近くの川に水を汲みに行っているよ。もうすぐ戻って来る頃だろう」

しばらくして状況の説明を求めた僕に、白衣のお姉さん──霧島聖さんにまずそう言われて、頭の上に載せられた布に手を載せる。
タオルが無いせいだろう。割と綺麗な布を水に浸したんだろうけど──

「雑巾みたいでなんかイヤっすね…」
「何か言ったかね?春原陽平君」
「なんでもないです!」
ギラリと光ったメスと聖さんの笑顔が怖かった。
そりゃもう智代以上に。

「ここは猟師が山狩りの時に使う小屋らしい。幸いここ暫く使われてる様な形跡がなかったので、緊急の診療所として利用させて貰ったのだ」

なんでも、僕が木から落ちた時に恵美梨ちゃんが悲鳴を上げて、それをこのヌワンギとか言う男に聞きつけられて、
それで一緒にいた聖さんと恵美梨ちゃんの三人で僕を治療できる場所を──つまりここをな訳だ──探して運び込んだらしい。
「ハ。俺様に感謝しろよ、小僧」
「自分だって小僧じゃないんすかねぇ。礼儀知らずの悪ガキって感じ?」
「ンだとテメェ!」
「二人とも、静かに」
「「ハイ。スイマセンデシタ」」

だから聖さん。メスが怖いっす。
630『森の中の出会い』作者:04/08/19 19:28 ID:n19oOUqB
ついかっとなって書いてしまった。
ヌワンギの調教を心待ちにしていた人には申し訳無い事を(ry


ところでタイトルにトリ付けるのってどうすればいいんでしょーか?
631名無しさんだよもん:04/08/19 21:53 ID:5xIhgJuv
名前欄に『#任意文字列』で、トリップをつけられる。

しかし、作者のトリップ付けについては、>>573の以下のような意見もある。

>あとトリップをつけないほうがよかれ
>作者は表に出るべきではない
>漏れも一度やっちまって後悔したことがあるよ…


よくよく熟慮すべし。
632名無しさんだよもん:04/08/19 22:36 ID:n19oOUqB
>>631
dクス。
熟慮させて頂きます。

ところで、その文字列は10文字で固定なのでしょうか?
633名無しさんだよもん:04/08/20 00:38 ID:vJSjSBQB
Yes.

あと、詳しいことは検索して調べれ。
くれぐれも熟慮すること。
634名無しさんだよもん:04/08/20 16:39 ID:t8q7DXhC
>>633
嘘を教えんな。

半角で8文字、全角で4文字。
635名無しさんだよもん:04/08/22 22:40 ID:jjiLpIfW
あげまつよ
636名無しさんだよもん:04/08/23 04:27 ID:Gd9/3p9E
ぴ・・・ぴこっ!?

キュキュ・・・クルルッ!?



『なんだ・・・この生き物は!?』
637名無しさんだよもん:04/08/23 07:03 ID:kIWcrhUN
一発ネタワロタw

これだと佳乃もトゥスクルに居るのかな?
638Return:04/08/24 21:31 ID:I/Ds3aiu
トゥスクルを出発してすでに三日の月日が流れた。
以前馬車は止まることなくゆっくりと北上を続け、目的の遺跡には着々と足を進めていた。
「さすがシェフ皐月、料理の腕だけは超一流だな」
「"だけ"は、じゃないでしょ、もう」
「でも皐月さんのお料理はびっくりするほど上手ですね。あたりで集めた野草でこれだけの料理が作れるんですから」
「そんなことないよ。一昨日のがいい例だったし、ね」
そこでみんなの手が一斉に止まる。
それほど一昨日のものがものすごい結果になっていたことを象徴付けているのであろう。
「ま、まぁ今がいいんだからそれでいいじゃないか」
「そ、そうだよ〜。皐月の料理はほんとにおいしいよ」
「うん、ありがと、二人とも」
「さ、アルルゥもいっぱい食べないと体が持たないわよ」
「ん」
そういってエルルゥは皿にもう一杯野草で作られたスープをよそった。

と、言うより何故ここにアルルゥがいるのか。
それは昨日のこと―――
「あ、アルルゥ?」
「ふわぁ、追いかけてきちゃったんだ」
ムックルの背中にアルルゥとガチャタラも同伴で結局のところついてきてしまっていたのだった。
「おねえちゃんだけおとーさんにあうなんてずるい」
「わ、私はそんな…それにハクオロさんに会えるかだって…」
「おとーさんに会えるならついてく」
「あ、アルルゥ」
「ついてく」
そうして強引に馬車に乗り込んでこんなふうになってしまった。
639Return:04/08/24 21:32 ID:I/Ds3aiu
昼食をとり終わり、さらに一時ほど馬車で進むとようやくその目的地となるべく遺跡の入り口が見えてきた。
「お、あそこだな…ん?!」
「クルッ、クルル!!」
異変に気がついたガチャタラはアルルゥの周りでごそごそと動き出した。
「ちょっとまて、何かがおかしいぞ」
と、遺跡の入り口付近で煙が上がっていた。
「!?、血の臭い」
「どうどうどう!」
健太郎は馬車を止めさせると全員を馬車から降りさせ、入り口の方向をよく観察した。
「………どうだ?」
「何かがいる、大きな怪物、二つの長い…これは角か?それに尻尾。そして鎧を纏ったような体」
「!!」
「これは…うかつに近づかないほうがいいかもしれない。奴は炎も噴くみたいだ」
「そんなのあたしたちだけで勝てるの?!」
「おそらく厳しいな。しばらく様子を見て立ち去るようならそれから…」
「ん、おとーさん」
と、いきなりアルルゥはムックルに騎乗してその怪物のほうに向かっていった。
「あ、アルルゥ!」
すかさずエルルゥもそのあとを追う。
「おい、二人とも!くっ、俺たちも行くぞ」
「でも、私たちが出てっても」
「二人を見殺しにはできないだろ!」
「そ、そうだよね。うん、行こう!」
決意を固めて四人も二人のあとを追う。
徐々に近づいていくとその周りには多くの人の屍が転がっており、そのほとんどは原型すらもないものがほとんどであった。
そんな中、未だにその怪物と4,5人が戦っている。
「くっ、聖上は某達のことがわからないのか」
「わかっていたらこんな風に攻撃してこないと思いますわよ」
その中には以前世話になった顔が二つ。
カルラとトウカだ。
640Return:04/08/24 21:34 ID:I/Ds3aiu
「グォォォォォォーーーー……」
身も震えるようなおたけびをあげると怪物はそのグループたちに向かい火を噴く。
当然カルラとトウカはあっさりと避けるが後ろの者たちは今ので足がすくみ、動けずに次の瞬間にはその場に何も残っていなかった。
「カルラさん、トウカさん」
「えっ…エルルゥ殿!何故こんなところに」
「それより、この状態は一体」
「わかりませんわ。ちょうど旅の途中でここを通ったらこの有様」
「某達が説得してみるもののまったく話がわからない、ようで!」
怪物から振り下ろされた巨大な腕をすかさずかわし、その腕に刀を抜く。
すると腕には大きな傷が入り、そこからは大量の血がふきだしてくる。
「「グォォォォォォォォ」」
痛みを感じるのか灰色の空に向かって再びおたけびをあげる。
そうしてもう片方の腕を振り上げた。
その角度から見て今度はエルルゥを狙っている。
「おねーちゃん」
「アルルゥ!」
振り下ろされた場所にはすでにエルルゥはいない。
すんでのところでアルルゥの後ろに乗ったのだった。
今度は後ろに回り込もうとするムックルたちを相手をするために怪物は向きを変えようとする。
すると今度は銃声が聞こえ、その胸のあたりにはいくつかの穴が開く。
二人の後を追って来た宗一の特製カスタムされたwaltherと皐月の愛銃M36(チーフスペシャル)が火を噴いたのだ。
怪物の体は硬いので致命傷を与えるほどの威力はないがけん制させることくらいはできる。
その後ろではスフィーが呪文の詠唱をし、健太郎がそれをサポートしている。
「でぇぇぇぇい!」
怪物が四人に気を取られていると今度は後ろからトウカが切りつけ、それに続きカルラもその特製の太刀を振り下ろす。
ボト、という音が聞こえ、片手が地面へと落ち、その上からは大量の血が滴り落ちてくる。
641Return:04/08/24 21:34 ID:I/Ds3aiu
「ハクオロさん!!」
思わずエルルゥは叫んでしまう。
「ええーーーい」
スフィーの詠唱が終わり、両手が前に差し出されると巨大な火球が怪物へと向かってとび、全身を火達磨にする。
「グオオオオオォォォォォォ……」
やがてその怪物は光になって少しずつ空へと消えていく。
「ううっ、ハクオロさん」
自然とエルルゥの目からは涙が溢れ出してくる。
「大丈夫よ、エルルゥ。いえ、これで終わったと思ったら大間違えよ」
「えっ?」
光がすべて消えるとあたりには静けさが戻った。
「大丈夫かー!みんな」
「助かったわ、ありがとう」
「あ、カルラにトウカだ」
「久しぶりね、スフィー。でも今はこんなことをしている暇はありませんわよ」
「どういうことだ」
と、後ろからずーん、ずーんと地鳴りが聞こえてくる。
「な、何?!」
「おい、あれを」
健太郎が指差したのは今倒したはずの怪物。
「え、あ、ハクオロさんが…」
「あれはおそらく聖上じゃありませぬ。あまりにも手ごたえがなさすぎます」
「それにさっきので十五体目。倒しても倒してもあんな風に復活して出てきますのよ」
混乱しているエルルゥにそう説明するカルラとトウカ。
「おい、そんなんじゃ相手をしててもきりがないぞ。ひとまず退散をこめて洞窟の中へ」
「そうですわね。あんまりなめているとこっちが痛い目にあいますわね」
「さ、エルルゥ殿にアルルゥも」
「あ、大丈夫です」
「ん」
パーティー全員はそうして真っ暗な洞窟の中に入っていった。
642Return作者:04/08/24 21:37 ID:I/Ds3aiu
Returnの作者です
今回はスピードで書いたために前半と後半がめっちゃくちゃになってますので読みにくいですね
うう…すみませぬ
643名無しさんだよもん:04/08/25 07:02 ID:BM+ch3rP
久しぶりに作品を投下します。
644国境にて 第三話「兵卒」:04/08/25 07:04 ID:BM+ch3rP
 綾香とセリオが『国境』への侵入を果たした、その頃――。

「こ……これは聖上。よくぞ斯様な辺鄙な地へ。早速、お持て成しの宴を――」
「よい。『狩り』からの帰りに立ち寄ったまでだ。中々活きの良い獲物だったぞ。余を斯くも楽しませるとはな……」

 『国境』の主郭御殿。玉座の間。
 歴戦の武将達が、玉座に向い整列している。
 頭が禿げ上がった小太りの男が、玉座の正面で跪いていた。
 そして、玉座に着いていたのは、シケリペチムの皇にして最強の狩人、ニウェだった。 

「そ、そうで御座いましたか。して、その獲物というのは――」
「太守、貴様は何と心得る?」
「聖上が斯くもお褒めになる程の獣……森の神、ムティカパかと」
「違うな……鬼姫よ」
「は、鬼姫……で、御座いますか?」
「そうだ……余と三十合も切り結びおった。目当ての獣ではなく、興ざめかと思いきや、斯様な獲物と巡り遭えるとはな。外見は小娘だが、あれはまさに鬼姫よ」
 くっくっと凄絶な笑みを見せるニウェに対し、太守は次はどのような美辞麗句を話題に盛り込もうかと必死に考えていた。

 普段、玉座にふんぞり返って座っていたのは、『国境』の太守を務める、この小太りの男であった。
 しかし今や、この太守は、玉座にどっかと腰を下ろした老皇の前に跪き、必死で御機嫌取りに努めていた。
 皇に対する尊崇の念からだけではない。この僻地に赴任してからというもの、中央の目が届かぬのを良いことに、太守は公権濫用の限りを尽くし、私腹を肥やしに肥やしていた。
 それが露顕することへの恐れが、必要以上のおべんちゃらとなって表れていた。
 
 美辞麗句の言が太守の口から出るより一寸早く、ニウェは口を開いた。
「遠からず、トゥスクルのハクオロを狩る」
 広間に集った武将一同の間に、動揺が広がった。構わずニウェは続ける。
「そろそろ彼奴もオリカカンの一件の真相を嗅ぎ付けつつある頃だ。クッチャ・ケッチャを併呑し、ナ・トゥングの叛徒を支援して属国化させた今、彼奴は今や一端の猛獣よ。余の獲物に相応しい」
 ニウェの顔に凄絶な笑みが過ぎった。
「――だが、その前にやるべき事がある」
645国境にて 第三話「兵卒」:04/08/25 07:06 ID:BM+ch3rP
「東部で戦端を開く前に、西部戦線を片す、ってんだろ?」

 突然、ぶっきらぼうな声が入り口の方から投げ付けられた。何事かと武将達が入り口の方向に目を遣る。
 そこには、一人の白髪の男が立っていた。
「オメェさんは本当は今すぐにでもハクオロって奴とケリを付けたい所だ。しかし、見ての通り、目と鼻の先の盆地にゃクンネカムンの軍勢が鎮座してやがる。
 西部でいつ背後を突かれるか分からねえのに、東部に戦力を集中するなんざ狂気の沙汰だ。だとしたら、取るべき策は一つ――」
「貴様! 無礼な! 御前であるぞ!」
 太守が、入り口の白髪の男に怒鳴りつけた。男は、全く臆する様子も見せず、普段通りの猫背の姿勢のまま、含みのある笑みを顔に浮かべ続けている。
「雇い兵の分際で、出過ぎた真似を――」
「その雇い兵に苦境を救われたのは、どこのどなた様だっけな」
「――!」
「何日前だっけか? 盆地に陣を構えている敵の軍勢が攻勢に出て、不意を突かれたオメェらは総崩れ。山の中腹の砦は蹂躙され、村々は焼かれ、警備隊は壊滅。
 この『国境』が陥落するも時間の問題って所で、偶然『迷い込んだ』この俺が柄にも無く奮戦して、敵を退却させたんじゃねえか」
「ふ、ふざけるな! 味方の兵を『ぴすとる』で殺しておいて何を申す!」
「敵前逃亡を試みた奴を処断しただけだろうが。ああしなければ、逃亡が続出して、戦線が崩壊していた所だ」
「世迷い事を……聖上! すぐに此奴をつまみ出させます」
 太守は慌てふためいて、同席の武将に命令を出そうとした。
「待て」
 ニウェはそれを制した。
「し、しかし、聖上!」
「太守よ。この御殿内の調度品……随分と贅が尽くされている様だな」
「え?」
「この広間に至る迄に、やたらと婦女の姿を目にした。下女にしては身なりが良すぎる……丁度、富豪の妾の様にな」
「あ、あの、いえ」
「近隣の村々では、直訴状を山と渡された。いずれも貴様の横暴ぶりが延々と綴られていた」
「いえ、あの、その、それは……」
「更にこの城の防人の長として、此度の無為無策……最早弁解の余地は無いな」
 太守がこれ以上何かを言おうとする前に――
 ザシュ!
 ――ニウェの愛刀が太守の首を斬り落していた。
646国境にて 第三話「兵卒」:04/08/25 07:07 ID:BM+ch3rP
「この男を太守の任より解く。運び出せ」
 ニウェは事も無げに命じた。首と胴体が離れた小太りの男の屍骸が、下男の手によって運び出されてゆく。床の上には、べっとりと血糊が広がっていた。。
「ふん、床が汚れおった」
 ニウェは吐き捨てる。居並ぶ武将達に一言も発するものはおらず、広間は静寂に満たされた。
 そこに。
「おいおい。いきなり殺すこたあ無いんじゃねえのか?」
 面白がっているとしか思えない調子で、白髪の男が口を開いた。
「彼奴の公権濫用と私腹肥やし、更に此度の失策――処断する理由は十分過ぎる程だ」
「へーえ。まあいい。それで、後釜はどうすんだ?」
「先程の貴様の武勇伝、嘘ではあるまい。事の大筋は、密偵を介して、既に余の耳に入っておった」
 思わせぶりな視線を白髪の男に向け、ニウェは話題を逸らせた。
「ケッ、何だ。とっくに知ってたのか」
「いずれにせよ、貴様の活躍で、穴人の軍勢が一時退却を余儀なくされたのは事実だ。そして、本来、余が太守に求める資質は二つ。統治の賢と、守護の術」
「どっちも、俺には柄じゃねえな」
「見れば判る。貴様には封土を守り治める才覚も手腕も皆無であろう。差詰め、貴様は前線にて血と泥に塗れて毀れ刀を振るう、一兵卒に過ぎぬわ」
「ゲーック、言ってくれるぜ……」
 白髪の男の恨み言を歯牙にもかけず、ニウェは言を継いだ。
「だが、現下の情勢においては両者とも不用。余が目下求めているのは只一つ」
「何だい、そりゃあ」
「兵卒よ。一命あらば、目前の敵に命知らずにも立ち向かい、見敵必殺の刃を振るう、屈強なる兵卒の中の兵卒よ」
 ニウェは白髪の男を玉座より睥睨し、広間中に響き渡る声で宣告した。

「屈強なる迷い人よ。貴様に『国境』の太守を命じる。目前に厚かましくも陣取り、皇国の背に刃を突き立てんとする穴人どもの軍勢を打ち砕くのだ!」

 広間に居並ぶ武将達から一斉にどよめきが上がった。
「いけませぬ、斯様な得体の知れぬ輩など!」
 そして、いずれもニウェの決定に対する抗議だった。
 ニウェはこれらの武将達の悲痛な訴えを、玉座で泰然として聞き流すばかりだった。
647国境にて 第三話「兵卒」:04/08/25 07:09 ID:BM+ch3rP
「あー、盛り上がってる所で悪いんだけどよ」
 白髪の男が、気だるい声を上げた。広間の喧騒など、我関せずの態度だった。
「俺はまだ引き受けるたあ言ってないぜ。まずは報酬の話だ。まさか只働きさせようって魂胆じゃあねえだろうな」
「貴様ぁ、何を申すか!」
 武将の一人が、白髪の男を怒鳴りつける。
「構わぬ。何なりと申すが良い」
 ニウェは武将を制しつつ、白髪の男に問うた。

「人探しだ」

 白髪の男は懐から三枚の紙片を取り出し、玉座の前に投げ出した。
 近習が慌てて拾い上げ、ニウェに恭しく差し出した。
「ほう……随分と精巧な肖像画であるな。まるで生身の人間の生き写しのようだ」
「『写真』ってんだ……特別な装置が必要で、こっちの世界では作れないけどな」
「ふむ……して、この者達は何者ぞ? いずれ劣らぬ漢の目をしているが」
「俺の同属だ。岩切花枝。光岡悟。そして……」
 白髪の男は、先程までのにやけた表情から、憎悪に満ちた表情に変貌した。

「この世で最もむかつく野郎、坂上蝉丸だ」

 白髪の男は、その名を呼ぶも忌々しげな顔付きで、坂上蝉丸の名を告げた。
 ニウェは、それを見て満足げにくっくっと笑い、白髪の男に語りかけた。
「貴様、その蝉丸とかいう男と曰くありげの様だな。こ奴らを発見した暁には、如何にせよと望むか」
「岩切と光岡に関しては、かつての戦友の縁だ。召抱えられるのなら召抱えていい。だが――」
 突如、白髪の男は蹲り、喉の奥から、笑い声だか呪詛だか判らない呻きをもらし始めた。一同が唖然として見守る中、男の奇妙な唸り声が広間に充満していった。
 やがて男はゆらりと立ち上がり、期待と殺意が入り混じった笑い顔を上げ、地の底から響き渡るような声で宣言した。

「坂上蝉丸は、この俺が狩る。誰にも邪魔はさせん。誰にもな。蝉丸ぅ、待ってろよぉ。この帝国陸軍火戦試跳体の御堂が、オメェを必ず見つけ出して、この俺の手で屠ってやっからよぉ。
 二度と甦られねえように、首と胴とを切り離して、首は後生大事に肌身離さず持っててやっからよぉ。最強にして完全な兵卒が誰であるか、教えてやっからよぉ」
 御堂の哄笑が響き渡った。
「……良かろう」
 ニウェは、笑みを浮かべて御堂を見遣った。
648名無しさんだよもん:04/08/25 07:16 ID:WPFoDMFs
キタキタキタキタキタキタキタキタキタキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!
649名無しさんだよもん:04/08/25 11:04 ID:maiRhfRm
(・∀・)
650名無しさんだよもん:04/08/25 13:34 ID:BRfOb9dv
ニウェと御堂・・・惚れた!
651名無しさんだよもん:04/08/25 14:47 ID:aRxNNpIm
GJ。
だが一つだけ突っ込ませて呉れ。

×坂上蝉丸
○坂神蝉丸
652名無しさんだよもん:04/08/25 15:14 ID:ByD4Z1H0
祐一「最上級だぜギガフレア」
653名無しさんだよもん:04/08/26 22:25 ID:ESknY1zH
でもこんときって、ニウェ死んで・・・
654名無しさんだよもん:04/08/27 09:54 ID:+nBimaww
>>653
別に同じ時間軸で全部動いてるわけじゃないから問題ないんじゃない?
たぶん、ここはリレーだけじゃないし。
655名無しさんだよもん:04/08/27 15:02 ID:cHA/dh+7
さらに介入によってはうたわれ本編とはまったく異なる展開になりそうだしな
ことみの動向が気になる…
656653:04/08/27 20:43 ID:xEBiW+ky
>>654 >>655
そうだったんか・・・スミマセン
657Return:04/08/29 13:45 ID:K0k6Taps
真っ暗だ…
目の前も、後ろも、足元も真上も、どこを見回しても真っ暗だ…
一体あれからどれくらいの間、この暗闇の中を漂流しているのだろうか?
わからない…
時間の感覚がすでに起動しなくなり、もう何十年もここにいる気がする。
一度だけ、光が見えた気がしたがそれも一瞬。
そちらに向かって歩いていっても何もない。
やがて歩きつかれ、その場に足を着いたら立ち上がることもできなかった。
このままここで朽ちていくのを待つだけなのだろうか…
ふっ…そうだろうな。
いや、そのほうが都合がいい。
なぜならそれを望んだのは紛れもなく自分だったのだから。
…ただ、心残りはある。
みんなは…みんなは今も元気でいるのだろうか?
アルルゥ…蜂の巣を取るのに失敗して怪我していないだろうか…
オボロ…妹を思うあまりに無茶をしていないか…
カルラ…あまり飲みすぎて毎日二日酔い状態ではないだろうか…
ウルトリィ…赤子を失った悲しみでつらくはないだろうか…
カミュ…毎日毎日遊んでばかりで怒られてばかりいないか…
トウカ…自らの責任と感じ、また死のうとしていないだろうな…
ベナウィ…政に追われて体を壊していないだろうか…
……そしてエルルゥ…
すまなかった…本気で愛することができなくて…
658Return:04/08/29 13:45 ID:K0k6Taps
ああ…意識が遠のいていく…
『ハクオロさん』
これで…もう目が覚める事はないだろう…
『『ハクオロさん』』
瞼が…重くなって……
「ハクオロさん!!いなくなったら…いなくなったらだめです!!」
(…?…声?)
誰の声だっただろうか?
わからない。
さっきまでわかっていたはずなのに…
どうしてだろうか…
「目を覚ましてください!ハクオロさん!!」
すごく懐かしい感じ…
暖かく、包まれるような感覚…
そうだ…腕に包まれる感触というのはこんなものだったのか…
「ダメですよ…私、私…ずっと待っているんですから…だから…目を開けてください」
君は…君は一体誰なんだ…
私をこんなにまでに待ってくれている君は…
『ハク…オロ…さ……ん』
暖かさがだんだん消えていく…
次第に体を包み込んでいるやわらかさも消えていく…
ああ…そうか…時間がないんだな…
『私……ずっ…と…ず…っ…と待っ…てま…すか…ら』
659Return:04/08/29 13:46 ID:K0k6Taps
ぽとり…
冷たい滴が頬に落ちた。
これは―――涙。
「………えるる…ぅ」
そうか…これは…エルルゥだったんだな。
瞼を再び開けても目の前にはエルルゥはいなかった。
幻だったのだろうか…
「あ…」
いや…幻なんかではない!
ずっと…ずっと待っていてくれるのであれば…
「まだ、私は眠りにつくことはできなそうだ」
暗闇の中、再び立ち上がり、どこに何があるかもわからない場所を再びさまよい始めた。
でも…今までとは違ってもう迷ったりしない。
頬の冷たい滴がわかる限り、ずっと…
660Return:04/08/29 13:46 ID:K0k6Taps
「エルルゥ、エルルゥ」
「ん…あ…」
瞼を開けると焚き火の周りには皆が輪を作り、眠りをとっていた。
「すみません、眠っちゃったみたいで」
「いいよいいよ、あたしの警備時間だったしね」
「そろそろ交代ですか?」
「うん、そうしてもらえるとうれしいかも」
皐月は小さなあくびをすると洞窟を背にして眠っている宗一の隣に座った。
「それじゃあ後は私が」
「うん、それじゃ…お願い…ね」
答えるとすぐに眠りに入ってしまった。
よっぽど疲れていたのだろう。
無理もない。
洞窟に入ったはいいが中も禍日神がどんどん出てきて先ほどやっとひと段落が着き、こうして眠ることができたのだから。
「ふぅ…」
皆が眠っているのを見ると先ほどの不思議な夢を思い出した。
ハクオロに会いながらもずっと眠っていて声も届いていないのかと思った。
でも最後にたった一言『エルルゥ』と名前を呼んでくれた。
「ハクオロさん…」
何もない洞窟の天井を眺めてみる。
火の明かりでぼうっと照らされた天井は鍾乳石の先がきらきらとひかり、まるでそれ自体が光を放っているかのように輝いていた。
「あの光が…ハクオロさんを私たちに導いてくれればな…」
膝元で眠るアルルゥの頭を撫でながらふとそう思う。
アルルゥは時折寝返りを打って寝言で『おとうさん』とつぶやいた。
661FARE-M ◆7HKannaArk :04/08/29 20:00 ID:7syfbihc
久しぶりに更新しました。
662名無しさんだよもん:04/08/30 03:15 ID:u3ojb/rg

乙彼であります。
663国境にて 第四話「探索」:04/09/01 20:42 ID:9jve97Kt
 シケリペチム軍の兵士に扮して、『国境』への侵入を無事に果たした綾香とセリオは、内部の探索を始めた。
 綾香の顔を包んでいた赤染めの包帯は、既に取り外されていた。しかし、セリオの頭部には依然として包帯が巻かれ、特徴的なアンテナ状の耳を覆い隠している。
 二人とも兜を目深に被り、常に周囲への警戒を怠らなかった。
「セリオ、今後の段取りを確認しておきましょう」
 綾香が口を開いた。
「取り敢えず、私達はクンネカムン領内に脱出したい訳よね。その目的を達成するためにはいくつかのハードルがあるわ。
 まず第一に、この『国境』という城にどうやって侵入するか。
 第二に、『国境』内部を突っ切って、クンネカムン側に出るためにはどうするか。
 第三に、シケリペチム・クンネカムン両軍の兵士が入り乱れて小競り合いを繰り返している森林地帯を、どうやって掻い潜るか。
 第四に、クンネカムン領内に到達したとして、そこでどうやって彼らの保護を得るか。
 ――以上よね」
「――その通りです。そして現在の私達は、第一の関門は突破しました。つまり、現在の直接の課題は、『国境』から如何にしてクンネカムン側に逃れ出るか、です。しかし――」
 セリオは建造物の規模や配置、兵隊の様子などを観察しつつ、句を継いだ。
「――ご覧の通り、城内の守備・監視体制は磐石で、まさにネズミ一匹這い出る隙間もありません。先程、人工衛星が捉えた画像を受信してみたのですが、この堅牢な防御陣は城内にあまねく広がっており、隙を見て城壁を乗り越えるといったことは、ほぼ100%不可能かと」
「内部で騒ぎを起こすとしても、これでは多勢に無勢よね。じゃあ、残る手は……」
「――ええ、ここに侵入した時と同じです。前線パトロールなり偵察なり、何らかの理由を騙って、クンネカムン側に面した門から堂々と出る」
「問題は、その方法ね。そう都合よく、そんな命令書を持った兵隊が、傍を通りかかってくれる訳でもないからね」
「――取り敢えず、今は内部の様子を調べることを優先しましょう。クンネカムン脱出後に、『国境』内部の詳細な情報を手土産にして、保護を求めることが出来ます」
「……そうね」
664国境にて 第四話「探索」:04/09/01 20:43 ID:9jve97Kt
 二人は、手始めに診療所の方向へと向った。

 シケリペチム軍前線の野戦病院として機能しているこの施設は、今や多数の傷病兵で一杯となっていた。
 建物に入りきれない怪我人が、天幕を張っただけの地面の上に多数寝かされている。彼らの口々からは、苦痛を訴える呻き声が次々に漏れ出ていた。
 そんな患者達の間を、多数の下女が、即席の看護婦として手当てに奔走していた。
「……セリオ。国境上の戦闘は激しくなる一方のようね」
 物陰から様子を観察しながら、綾香はセリオに所感を述べた。
「――この辺りで、一週間ほど前に大規模な武力衝突があったという話を、旅の途中で小耳に挟みました。おそらく彼らの大部分が、その戦闘で負傷したのでしょう」
「これまで前線警備の拠点だった、山脈中腹の砦は陥落したそうじゃない。今やシケリペチムの命運を握るのは、この『国境』という訳ね。――盆地のクンネカムン軍の動向は? 例の『アマテラス』は何て言ってる?」

 アマテラス――セリオのサテライトサービスのアクセス探知に反応した、唯一の人工衛星のコードネームだった。
 本来は軍事衛星であるらしく、格闘技データや、極めて高精度の地上画像データをセリオに供給して、二人の逃避行を大いに手助けしていた。
 しかし、アクセス不可の領域も極めて大きく、高度な軍事機密の塊であることを物語っていた。

「――今の所、目立った動きはありません。しかし、画像で観察できる規模から言えば、この『国境』を陥落させるのに十分な兵力は保持している模様です」
 綾香の表情に、焦りが過ぎる。
「まずったわね……今、連中が総攻撃を始めたら、あたしたちの脱出作戦は完全にパーだわ」
 敵軍が攻めて来れば、この『国境』はおそらく篭城戦に移行することだろう。外部、ましてやクンネカムン側に脱出することなど夢のまた夢だ。仮に脱出して、攻城中のクンネカムン軍に投降したとしても、何分交戦中のことだ。受け入れられる保障はない。
 最悪、即座に斬り殺される可能性もある。

 ――どうする、考えろ、綾香! 貴方は将来、来栖川を背負って立つ女でしょう! こんな所で死んでどうする!
 最悪の展開を脳裏から振り払い、綾香は善後策を必死に思案した。
665国境にて 第四話「探索」:04/09/01 20:44 ID:9jve97Kt
「おや、こんな所で、何をなさっているのですか?」

 ふと、綾香の耳に、呑気そうな男の声が飛び込んで来た。背後からだった。
「!」
 綾香とセリオは猛然と振り返った。そこには、細目で痩せぎすの男が立っていた。
「おお、これはこれは美しい娘様方だ。しかし妙ですな。貴女がたの纏いし装束は、紛れも無くシケリペチムの軍装。本来はむくつけき醜男が纏うべき甲冑を、このような見目麗しき婦女の方々が纏っておられるとは、何ともまあ奇妙なことで、ハイ」
 男は猫撫で声を発した。口から発せられる美辞麗句とは裏腹に、男からは怜悧な威圧感が漂っていた。
 顔には営業用の微笑を湛えている。しかし、細目の奥からは、まるで綾香達を値定めするかのように、鋭く冷たい視線が発せられていた。
「…………」
 綾香は一瞬気圧される。代わりに口を開いたのはセリオだった。
「――そう言う貴方こそ、こんな所で何をなさっているのですか? 見るからに貴方は、この『国境』の外部の方であると思われますが」
「ああ、申し遅れました。私はチキナロと申しまして、この大陸の津々浦々で商い等を営ませて頂いている者で御座います、ハイ。どうぞ御見知り置きを」
 臆面もなくチキナロは答えた。
「……だったら、その商人とやらが何でこんな所を――」
 綾香は気を取り直して、チキナロに食って掛ろうとした。
 その時。

「……チキナロ。こんな所で何やってるの? 聖上と太守が練兵所でお待ちかねよ」
 チキナロの背後から、女の声が投げ掛けられた。
「これは高井様。少しばかり散策などをさせて頂いていた所です、ハイ」
「厳戒態勢の城塞の中を『散策』だなんて、どういう神経してるのかしら……ところで、この二人は?」
 高井鈴美は、呆気に取られた綾香とセリオを指して問うた。
「ええ、シケリペチム軍の兵卒の方々であります。最近は斯様な美しい娘様でも、兵卒を勤めておられる様で、全く驚きで御座います、ハイ」
 思わせぶりな口調で、チキナロは答えた。
「ふ〜ん……」
 高井は綾香とセリオの顔をジロジロと見つめる。ふと、視線が綾香の耳に行った。
「……なるほどね。宜しく、可愛い迷い人さん」
 そう言って高井は、自分の「人間の」耳を指し示した。
666名無しさんだよもん:04/09/01 21:19 ID:Nqw4Qo09
凄いクロスキタ━━━━━━(・∀・)━━━━━━!!

ここ(葉鍵板)でもアルあそでも冷遇されてた鈴美嬢の活躍に超期待です!
667名無しさんだよもん:04/09/01 22:23 ID:51b53GGL
やっぱアマテラスか
668名無しさんだよもん:04/09/02 20:46 ID:n8xF+kVi
今回は二話連続投下です。
669国境にて 第五話「商談」:04/09/02 20:48 ID:n8xF+kVi
 『国境』城内の練兵所。
 普段ならば、鍛錬に励む兵士たちで溢れ返る活気ある広場である。
 しかし、今は独特の緊張感が辺りを覆っていた。
 その理由は判然としていた。来訪中のシケリペチム皇ニウェが、直々に閲兵を行おうというのである。
 そして、一週間前に『迷いこんで』、目覚ましい活躍によって傭兵頭となり、そして、今では聖上直々に太守に任命された男、御堂が、新兵器を実演しようとしていた。

 野外に設置されたニウェの玉座の前で、チキナロは恭しく叩頭した。
「聖上におかれましては、このチキナロの商う品々の日頃の御愛顧、心から感謝申し上げ……」
「前口上はよい。数日前に、傭兵頭――今は太守だがな――を務めていた、この御堂が発注したという新兵器、見せてもらおう」
「はっ、ではこちらに……」
 チキナロはパンパンと柏手を打った。
 高井が率いるウォプタルが、荷車を、ゴトゴトと音を立てて広場の中央に運んで来た。
 荷車に随伴していた二人の兵士が、荷車からいくつかの木箱を丁寧に取り出して、地面に置いた。
「――御堂」
「ゲーック、分ってらあ……」
 ニウェに促され、御堂は荷車の方向に歩いて行った。

 広場の片隅に、大きな岩が転がっていた。
 其れに狙いを付け、御堂は穹弓を構え、「矢」を放った。
 先端部に奇妙な球体を付けた「矢」は、「びゅっ」と、低い放物線を描いて飛び、やがて岩に達した。
 ――あんな岩など、貫ける筈がない。
 この場に居合わせた誰もが、そう思った。
 事実、「矢」は岩を貫きはしなかった。
 貫きはせずに、砕いたのだ。
 岩に達した「矢」の先端の榴弾が、大きな閃光と轟音を立てて、爆発した。
 爆風と共に、球体の中に多数仕込まれた散弾と鉄片が、周囲に四散して、岩を爆砕した。
 濛々たる煙が立ちこめ、やがてその後ろから、最早原型を止めぬほどに形を変えた岩が、姿を表した。
 見守る兵隊の間から、どよめきが上がった。
「……上出来だな」
 周囲の喧騒を余所に、御堂はチキナロに賞賛の言を告げた。
「貴方様が『禁断の調合』を用いた武器を注文なされた時には、正直、悩みましたよ。ハイ」
 この世界の戦のあり方そのものを揺るがしかねない代物を前にして、チキナロは複雑な表情で呟いた。
670国境にて 第五話「商談」:04/09/02 20:50 ID:n8xF+kVi
 新兵器の余りの威力に、広場の将兵はなお動揺から抜け出せなかった。
 そこに。
「喜べ、手前らぁ。クンネカムンのデカブツを潰せる日が来たぞぉ! まさか、先日の惨めな敗北、忘れた訳じゃあねえだろうなぁ!」
 並み居る将兵を前に、まるで太守らしからぬ口調で、御堂は檄を飛ばし始めた。
 将兵の顔付きが一変した。構わず御堂は続ける。
「アン時の手前らは、あのデカブツにまるで手も足も出ずに、只逃げ惑うか、踏み潰されるかしか出来なかった。
 手前らが蔑む穴人の前で、情けなくのたうち回るしか手はなかった。仲間達が死んで行く中、手前らは何も出来ず、逃げるしか術はなかった。そして手前らは、生き恥をさらしてるって訳だ」
 御堂は、優しげな、哀れみと嘲笑とに満ちた声で語り掛けた。
 御堂の独演を耳にしていたシケリペチムの将兵で、悲憤慷慨しない者は居なかった。

 屈辱。
 精強の名を欲しい侭にしていた自分たちが、あの漆黒の巨人兵一体に、為す術もなく薙ぎ払われ、踏み潰され、捻り潰されていったのだ。
 無念。
 あの戦闘で、大勢の仲間が命を落とした。あの時、自分にもう少し力があれば、一人でも戦友を救うことが出来た。それなのに――。
 自責。
 戦死した仲間達は、死力を尽くして敵と渡り合うことで、立派に武人としての生を全うし、護国の英霊となった。それに引き換え、のうのうと生き恥を晒しているのみの自分達――。
 
 様々な想いが、将兵の胸を過ぎっていた。彼方此方から、嗚咽する声が漏れ聞こえていた。

「だが、それも今日で終りだ」
 御堂は、突如、地の底から響き渡る様な声を出した。
「今日、この瞬間をもって、手前ぇらは獲物から、狩人に生まれ変わる!」
 将兵の嗚咽の声が止んだ。
「目と鼻の先の盆地で、奴らはもう勝った気で居やがる。だが、得物を持って立ってる奴が残る限り、戦は続く! 先日のオトシマエはきっちりと着けさせてもらおうじゃねえか! そして!」
 御堂は息を吸いこんだ。将兵は期待に満ちた顔で、御堂の次の句を待った。
 そして――

「奴らが所詮、踏み躙られる為だけの種族であることを、骨の髄まで教え込んでやれ!」

 ウオオオオオオオオーーーーーーーーッ!!!!!
 将兵の咆哮が練兵所を揺るがした。
671国境にて 第五話「商談」:04/09/02 20:51 ID:n8xF+kVi
 広場はたちまち、興奮した将兵の歓喜の連呼で満たされた。
「聖上万歳! 太守万歳! 皇国万歳! 穴人どもを一人残らず墓穴に叩き込め!」
 絶叫が絶叫を呼び、熱狂が熱狂を呼び、練兵所は狂気の宴会場へと変貌した。
(ふん、打ちのめされていた敗残兵どもを、血眼の獣どもに一変させおったわい……)
 御堂の演説の効果に、ニウェはほくそ笑むと同時に、わずかに嫉妬を抱いた。
 御堂本人はというと、興奮の坩堝にいる将兵を、まるで嘲笑するかのような表情で見渡していた。

「……醜悪ね。まるで全体主義国のアジテーションだわ」
 嫌悪感を剥き出しにして、高井鈴美は吐き捨てた。
「チキナロ。貰うものだけ貰って、さっさと発ちましょう。例のチャルカ織を、次のお客の所に急いで届けないと」
「……そうで御座いますね、ハイ」
 チキナロの表情も、心なしか、翳が差していた。

「聖上、御満足して頂けたでしょうか。つきましては、お代の方を頂戴したく……」
「幾らだ」
「金額としては『これぐらい』で御座います、ハイ」
 チキナロは、金額を表示した木簡を、近習を介してニウェに手渡した。
「……随分高いな。国が傾くぞ」
「何せ、材料探しから製造まで、突貫で進めて参りましたものでして。現下での必要性なども考慮すれば、寧ろ安い位かと」
「足元を見おって。……しかし、実に高いな。前太守の蓄財を没収して充てても、まだ足りぬわ」
「では、幾分か安くさせて頂きましょう。その代わり、何がしかの見返りを頂戴したく存じます、ハイ」
「……良かろう。何を所望する」
「ハイ、まず…………」

 ギギギギと鈍い音を立てて、クンネカムン側の城門が開かれて行った。
「商談成立の儀、有難き幸せに御座います。今後も私共の品々を、どうぞ御贔屓に」
 チキナロは、高井が待つ馬車の荷台に乗り込み、手綱を握った。
 ゴトゴトと音を立てて、馬車は門からクンネカムン側に出る。
 護衛を任された『国境』の兵士二名が、それに付き従って行った。
 
 後に残された将兵は、クンネカムンへの通行権を見返りとして要求したチキナロの厚顔振りに、ただ憮然としていた。
 おまけに、護衛の兵士を自分で指名して、道中まで同行させるともなれば、鉄面皮これ極まれり、だった。
672国境にて 第六話「出立」:04/09/02 20:52 ID:n8xF+kVi
 チキナロの馬車がクンネカムン側の城門を出て、幾許もしない内に、シケリペチム側の城門に大勢の兵隊が帰還して来た。
 『禍日神が棲まわれる森』を徘徊しているという、二人の迷い人を探し出すための捜索隊だった。
 しかし、懸命の捜索の結果、彼らが発見したのは、身包みを剥がれて縛り上げられていた、二人の自軍の兵士達だった。

「申し上げます! 聖上が御探しの二名の迷い人が、この『国境』に侵入――」
「戯けが」
「ははっ! 至急、城内の徹底捜索を――」
「あ奴らは疾うに出立(た)ったわ」
「……は?」

 チキナロの馬車は、クンネカムン方面へと山道を下っていった。
 途中、何度かシケリペチム軍の警備兵に誰何されたが、皇の通行許可証を示すことで、特に足止めを食うこともなく通過を認められた。
 中には賄賂をねだる者も居たが、護衛する『国境』の二人の兵士が剣を突き付けると、すごすごと退散していった。
 そして馬車が、そろそろシケリペチム軍の支配領域を脱する辺りで――。
「ふーう、やっとこれ外せるわね、セリオ」
 綾香が、目深に被った兜を脱いだ。兜の中に収めた濃紺の髪が、背中に零れ落ちた。
「――ええ、綾香様」
 セリオは、耳を覆っていた包帯を取り外した。銀色のアンテナが姿を現した。
「あら、貴女、メイドロボだったのね」
 高井は、今更ながら驚きの声を上げた。
「そうよ。それが、私達がクンネカムンに向う理由」
「成る程、電力補給ね……」
「御明察。で、高井さん達は?」
「ええ、チキナロがクンネカムンのクーヤ皇に、チャルカ織という最上級の織物を届けることになっててね。まあ最近は、高価な品の取引が多くて商売繁盛といった所かしら」
「高井様は宝石・鉱石類に精通なされている方でして、その博識たるや、私などが到底足元にも及ばない程で御座います、ハイ」
「ふふ……誉めたって、何も出ないわよ」
 高井は口元だけで魅力的に微笑んだ。
「まあ、今回は本当、長旅だったわね。トゥスクルに行ってミキュームを売ったその足で、シケリペチムで例の武器類の商談、それからクンネカムンに行って、それで終りだったっけ?」
「いえいえ。更に西方のノセチェシカが残っております、ハイ」
「あらあら……大変」
673国境にて 第六話「出立」:04/09/02 20:53 ID:n8xF+kVi
 馬車はクンネカムン支配領域へと入っていった。

「これで一安心よね、セリオ」
 重く、汗臭かった軍装を脱ぎ、元の制服姿に戻った綾香は、セリオに語りかけた。
「――ええ、確かに今の私達は、いくつもの関門を突破しました。『国境』の中で得た様々な情報を手土産にすれば、クンネカムンでの身柄の確保も容易でしょう。……ただ」
「ただ?」
「――ここはまだ両軍の最前線地帯。言うならば国境上です。先程の分類で言えば、第三の関門はまだ十分に突破しきれていません。そして、『国境』内で見た、あの男――」
「御堂とかいう奴? ……ああ言ってたけど、『国境』のあの兵力で反撃しようものなら、容易に返り討ちに遭うのがオチよ。常識で考えれば、そんなことはありえないわ」
「――だといいのですが……」



「なあ、皇さんよ?」
「何ぞ、御堂」
「あの二人、見過ごして良かったのか? アンタ、あの二人を探してたんだろうが」
「一つ、試してみとうなってな」
「何をだ?」
「あ奴らが真の獣たり得るかをな」
「だったら尚更、何で……」
「忘れたのか。今あ奴らがいる場所が、これからどうなるかを……」
「……ああ、そういう事か」
「クックックッ……人の獣性とは、戦場の中で最も如実に現れて来るもの。阿鼻叫喚の地獄の中で、あ奴らが真の獣か否かが、否応無しに試されるのだ」
「ゲーック、アンタも大した趣味してるぜ……」

「聖上、伝令で御座います! 皇都からの増援部隊、間も無く『国境』に到着すると!」

「到着次第、手筈通りに進める。抜かるなよ」
「へッ、それはこっちの台詞だ……手前ぇらあ、出立の用意だぁ!」

 ウオオオオオオオオーーーーーーーーッ!!!!!
674名無しさんだよもん:04/09/02 21:04 ID:7AVFTd1q
もう『国境にて』の新作キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
相も変わらずGJすぎです!!



……たまに読めない漢字が出ますが(馬鹿
675国境にて 作者:04/09/02 23:14 ID:n8xF+kVi
※修正個所があります。

>>673のセリオの台詞で、

  ×クンネカムンでの身柄の確保も容易でしょう。
              ↓
  ○クンネカムンで保護を得ることも容易でしょう。

と、修正をお願いします。
上では、日本語として意味が通じなくなってしまいます。
反省……。


※また、今回は二本立てになっていますが、少し見にくいので整理すると、

  第五話「商談」……>>669-671
  第六話「出立」……>>672-673

となっています。話の間で、ひとつ区切りをつけると良かったかもしれません。


※難しい漢字があった件については、今後、読みやすく工夫するつもりです。

676名無しさんだよもん:04/09/04 20:37 ID:PsccUwj3
保守
677名無しさんだよもん:04/09/05 14:04 ID:fHdn5mKk
このスレで出てきた、様々な用語の解説をまとめてみようと思ったりするテスト
678名無しさんだよもん:04/09/05 14:09 ID:kTuMNuBG
わかった。がんばってやってくれ。
679FARE-M ◆7HKannaArk :04/09/05 16:27 ID:B2YXZZVE
国境にて最新話まで更新完了です。
680用語集1:04/09/05 22:01 ID:fHdn5mKk
【迷い人】(まよいびと)
・初出……>>20
・登場する話……極めて多数。頻出用語。

・解説……
 突然、うたわれ世界に「迷いこんで」来た、異世界人(葉鍵キャラ)のこと。
 うたわれ世界の各地に次々と出現し、高度な技術、知識、不思議な力、そして意思を持って行動している。
 ちなみに、迷いこんで来るのは必ずしも「人」とは限らず、例えば、そらやぴこのような動物も含まれる。
 また、元の世界で彼らが愛用していた道具類も、一緒に迷いこんでくることがある。
 トゥスクルでは、迷い人たちは極めて寛容な扱いを受けている。これは、平和な国柄や、ハクオロを始めとする現政権の人々の寛大な気質に、大きく由来しているものと思われる。あるいは、ハクオロ自身が、一種の異邦人であったことも関係しているのかもしれない。
 しかし、戦乱の続く他の国では必ずしもそうではなく、戦乱に巻き込まれたり、奴隷として売り飛ばされたり、兵隊によって連行されたり、投獄されたり、地獄のような所に迷いこんだりと、散々な目に遭っている者も多い。
 迷い人たちの行動は人それぞれで、
   ・宮廷で職を得て働いている者
   ・宮廷で保護下に置かれている者
   ・技能を活かして様々な活動に従事している者
   ・都市や村落で一庶民として暮らしている者
   ・放浪中の者
   ・生き別れた友人や親類を捜し求めている者
   ・自ら志願して戦に身を投じる者
   ・うたわれ世界の「見届ける者」となる者
など、様々である。

 彼らがうたわれ世界に「迷いこむ」ことになった原因は、不明である。しかし、迷いこむ直前に眠気を感じた者が多く、関連性が疑われる。
 また、屋上から飛び降りた時紀や雪緒、奇妙な古文書を開いたスフィー達、「扉」を開いた長瀬祐介など、直前において何らかの特殊な状況下にあった者もおり、これらも関連性が疑われる。
 彼らが現実世界で消滅した時期と、うたわれ世界に登場した時期は、それぞれ個人差があり、現在判明している限りでは、前者は最大で数年の幅があり、後者はトゥスクル建国前から大封印後までと、広い幅がある。
 迷い人の登場は、うたわれ世界の行く末に大小の影響を及ぼしつつある。霧島聖に命を救われたヌワンギは、その一例と言えるだろう。
681用語集2:04/09/05 22:02 ID:fHdn5mKk
【風車】(ふうしゃ)
・初出……>>121
・登場する話……『風は吹き抜ける。』(>>121-123)、>>310

・解説……
 風力を利用して回す車。製粉・灌漑・発電などに用いる。オランダ田園地帯の観光名物でもある。
 トゥスクルの迷い人、一之瀬ことみがうたわれ世界にもたらした建造物。
 トゥスクル城北方の広大な田園地帯に複数が建造され、辺りの風景をより穏やかにしている。
 なお、未完成で現在建造中のものが一基ある。
 
「この辺りは海辺から近いから、お昼は陸の方が海よりも熱くなって気圧が下がるの。
 そのおかげで地表面では海の方から風が吹いてくる…その風の力を利用するの。
 風車を作っておけば秋になって収穫の時期になったときに、作物を製粉するのが凄く楽になるの。そうすれば…みんな幸せ」(『風は吹き抜ける。』より)
 
 なお、この風車の構造はオランダ型と呼ばれるものである。
 ことみによれば、本来はプロペラ型の方が優れているが、急激な技術の進歩が巻き起こす混乱を危惧して、旧式のオランダ型を採用したらしい。
 ちなみに、>>310の会話の中で、藤井冬弥も実験機の建造を手伝ったことが明らかにされている。


【カレー】(かれー)
・初出……>>190
・登場する話……>>190-193>>313

・解説……
 十数種の香辛料を混ぜ合わせた黄色い粉末の調味料。カレー粉。または、カレーライスの略。薬膳料理でもある。
 トゥスクルの迷い人、川名みさきの大好物である。
 本来はうたわれ世界には存在しなかったが、みさきのリクエストに応じて、ことみが作り出した。
 あまりの辛さに、試食した面々は死屍累々となったが、いざ辛さに慣れると、止み付きになった者も多い。
 後日、興味津々のカルラが、ことみから作り方を聞き出していた。
 また、オボロが、冬弥たちに、喫茶店のメニューに加えて欲しいと要望していた。
682用語集3:04/09/05 22:03 ID:fHdn5mKk
【ネェゴォ様】(ねぇごぉさま)
・初出……>>197
・登場する話……>>197>>375>>478

・解説……
 オイデゲ様に次いで、街道に出没した禍日神。
 「ねこーねこーねえぇェぇえごおぉォぉ雄雄雄ォゥッ!!」と叫びながら、百メートル7秒を切る超速で街道を爆走する。
 しばしば通行人を跳ね飛ばす事があり、迷い人相沢祐一も犠牲者の一人である。
 しかし、その正体は、ムックルを追いかける迷い人、水瀬名雪だった。
 それゆえ、名雪が祐一によって捕獲された後も、ムックルは名雪を怖がっている。


【漫画】(まんが)
・初出……>>199
・登場する話……>>199、『悪夢の犬猿コンビ』(>>242-243)、その他

・解説……
 紙に描いた絵を連続させてストーリーを表現するもの。現代日本の大衆文化において重要な位置を占めている。
 うたわれ世界に迷いこんだ、こみパの登場人物達は、この漫画の技術によって居場所を確保する者が多い。
 シケリペチム皇ニウェの前で漫画を披露した和樹と大志は、専属宮廷絵師としてニウェに召抱えられた。
 また、トゥスクルに迷いこんだ詠美と由宇は、私設絵画教室を開設し、漫画文化と『萌え』の哲学を、うたわれ世界に広めつつある。
 なお、最近迷いこんだ玲子が、『やおい』文化をうたわれ世界に広める――かどうかは、今後の展開を見なければならない。
 余談だが、うたわれ世界に迷いこんだ時の第一印象として、「漫画のような光景」との感想を抱く者が多い。
683用語集4:04/09/05 22:04 ID:fHdn5mKk
【電気】(でんき)
・初出……>>259
・登場する話……>>259>>378>>445、『国境にて』(>>422-426、その他)

・解説……
 電気力・電気伝導など、種々の電気現象の元となるもの。多く、電荷・電流または電気エネルギーを指して言う。
 メイドロボのエネルギー源であり、うたわれ世界における彼らの活動上、最大のネックになるものである。
 メイドロボに内蔵されているバッテリーパックの容量は、一週間分にも満たず、それが空になれば、メイドロボは活動を停止してしまう。実質上の『死』である。故に、それまでの間に、何としてでも発電技術を確保し、充電を行わなければならない。
 ノセチェシカ皇カンホルダイに保護されたマルチは、最終的には、迷い人高槻の考案した自転車発電によって、充電を行うことが出来た。しかし、発電量は乏しく、凄まじい膂力のカンホルダイが全力で漕いでも、バッテリー容量を完全に満たすのは極めて困難な作業となる。
 なお、発電に用いた自転車が高槻の物であるかどうかは不明。
 ちなみに、電気解明の命令を受けたエルムイの学者達は、雷エネルギーと摩擦電気の存在をつきとめた模様である。
 綾香と共にシケリペチムに迷いこみ、お尋ね者となったセリオは、発電技術を求めて、クンネカムンへの亡命を試みている。紛争の絶えない両国国境地域を突破しようとしているが、その前には非常に厳しい関門が待ち構えている。
684名無しさんだよもん:04/09/05 22:06 ID:fHdn5mKk
大体これで、全体の半分ぐらいです。
残りは、後日投下します。
抜けている箇所、考察への疑問点などがあれば、お知らせ下さい。
685名無しさんだよもん:04/09/06 06:45 ID:Eemu1NQo
>カンホルダイ

(´Д⊂
686名無しさんだよもん:04/09/09 19:37 ID:q7ZaVFfy
やっとうたわれクリアした記念に保守。
687苦界浄土・前編:04/09/09 23:26 ID:Bm6mAOCr
 ――じゃり……。
 石礫で敷き詰められた地面を踏みしめる音が、耳に飛び込んで来た。
 俺の顔を包みこんでいた須磨寺の乳房が、ぴくりと震えるのを感じた。
「――木田君」
 今だ繋がれたままの須磨寺の右手が、俺の左手を強く握り締めた。
 恐怖と不安から、縋るべき対象を求めているのだろう。
「――ああ、遂に地獄の鬼のお出ましだな」
 怯える須磨寺に、俺は努めて気丈な声をかけた。身体を上にずらし、須磨寺の顔を覗きこんだ。
 須磨寺は、両目に涙を浮かべ、俺を見つめ返していた。
 普段の虚無的な表情が、嘘の様だった。
 震える須磨寺の細い身体を、俺はぎゅっと抱き締め、「ずっと一緒だからな」と囁いた。
 そして、物音の方向に向って、
「随分と遅かったじゃないか」
 と、呼びかけた。
 もうもうと立ちこめる湯気の向うに朧げに見える人影は、予想に反して、小柄なものだった。鬼と言えば、筋肉隆々たる大男と思っていた俺には、意外だった。
 それでも俺と須磨寺は、煙の向うの鬼の恐ろしげな姿を想像し、固く抱き合った。
 鋭い歯で肉を貪り、尖った口で血を啜るという、餓鬼(グール)なのだろうか。
 須磨寺の胸の早鐘が、俺の胸板を通って、身体の中で反響した。
 この荒涼たる地獄において、須磨寺の身体の温もりと、柔らかさ、それと鼓動のみが、俺にとって唯一の拠り所だった。
 やがて煙の向うから、じゃりじゃりと足音を立てて、鬼が近寄ってきた。
「――木田君」
「――須磨寺」
 俺と須磨寺は、あたかも互いの半身を離さずとばかりに、抱き締めあった。
「――よろしい。それなら、私は、君と地獄に共に堕ちよう」
 ふと、須磨寺はハックベリーフィンの一節を口にした。
 俺なりの返歌が口をついて出た。
「――俺はお前と共に地獄に堕ちた。ならば、俺は、お前と地獄で共に在ろう」
 肉を貪りたければ貪るがいい。血を啜りたければ啜るがいい。
 いかな苦界であれ、須磨寺と一緒なら、少しは浄土に感じられるだろう。
 そう思い、握り合う手に、力を込めた。須磨寺も、強く握り返した。
 そして、唇を重ねた。
688苦界浄土・前編:04/09/09 23:28 ID:Bm6mAOCr
「――いけないいけない、驚かせちゃったよ」
 ――!?
 荒涼の大地に横たわる俺達に浴びせられたのは、鬼の咆哮でもなく、鋭い犬歯でもなく、間の抜けた童女の詠嘆だった。俺と須磨寺は、顔を声の主の方向に向けた。
「くすくすくす」
 そこには、一人の少女が立っていた。少女はショートカットの髪に右手を当て、無垢な微笑を浮かべていた。
 風一つ無かったこの空間に、ふと一陣の風が吹きこみ、少女が纏っていたセーラー服と、白髪に限りなく近い藍色の髪が、ふわりと舞った。
「……へえ、最近の地獄の鬼ってのは、結構可愛いんだな」
 正直な感想と、それでもなお残る警戒心とを織り交ぜて、俺は憎まれ口を叩いた。「可愛い」という言葉で、身体の下の須磨寺が少し俺を睨んだ気がしたが、あえて無視した。
 少女はそんな俺達を眺めて、
「大変大変……くすくすくす」
 と、なおも童女の微笑を浮かべた。
 俺は、しばし呆然と少女を見つめていたが、気を取りなおして、目の前の鬼に今後の事を聞き出そうとした。
「それで、俺達をこれからどうするつもりだ? 針の山を登らせたいのか? 血の池を泳がせたいのか? それとも――」
「電波を集めてたんだよ」
「……え?」
 意外な言葉が少女の口から飛び出した。少女は、小高い丘を指差して、
「高い所だと電波がよく届くから」
 と、まるで独り言のように呟いた。
 ――電波? 集める? 一体何を言ってるんだ?
 思わず須磨寺の顔を見た。須磨寺も、ただ呆然とした顔で、首を横に振るだけだった。
「お、お前は一体……」
 俺は立ちあがり、少女に向き直った。少女と俺の視線が出会い――
「……!?」
 ――違う。出会わなかった。
 少女の瞳はナマズのようにどんよりと濁り、いかな光も映し出していなかった。
 あらゆる混沌が、少女の瞳の中で渦を巻き、全てを呑み尽くす濁流と化していた。
 胸元を覆いながら、つられて立ちあがった須磨寺も同じ事に気付き、息を呑んだ。
 紛う方ない「狂女」の姿が、そこにはあった。 

「……瑠璃子」
「え?」
「月島瑠璃子だよ。忘れちゃったの? 酷いよ、長瀬ちゃん」
689苦界浄土・前編:04/09/09 23:29 ID:Bm6mAOCr
「――長瀬ちゃん?」
 俺のことを「長瀬」と、月島瑠璃子は呼んだ。
「誰だ、そいつは。俺はそんな奴じゃない。俺は木田時紀。こいつは――」
 須磨寺の名を俺が告げようとした時――。
「そこにいるのは、太田さんだよね」
 やはり、耳慣れない人物の名を、月島は告げた。
「もうほっぺたの怪我は大丈夫なの? 駄目だよ、もう藍原さんを虐めちゃ。新城さんも吉田さんも桂木さんも、大変な目に遭っちゃって。
 でも、もう大丈夫だよ。お兄ちゃんが私の所に戻ってきてくれて、お兄ちゃんもすっかり元通りの優しいお兄ちゃんに戻ってくれて。ほら、お兄ちゃんが言ってるよ。もう何処にも行かないって。瑠璃子の傍に居てくれるって」
 呆然と立ち尽くす俺達を余所に、月島は童女の微笑を浮かべたまま、一人で口を動かし続けた。
 俺は何かを言おうとしたが――
「……無駄よ。あの人の目を見て」
 須磨寺に止められた。
 月島の目を見て、俺はその意味を了解した。

 月島の瞳は、何も映し出していなかった。
 底無しの混濁が、渦を巻いていた。
 そのまま見続けていれば、「あちら」に吸いこまれかねない、そんな渦だった。
 その濁流の中で、月島は幻影との対話を続けているのだ。
 妄想の宴会場で、月島は終わることの無い舞踏会を一人で延々と続けているのだ。
 俺達は、がらんどうのホールの中でのた打ち回る月島をただ見守る、無力な観客に過ぎなかった。
「――この人も、私達と同じ……」
 須磨寺が、震える唇で呟いた。
「この人も、あの世界を、放り捨てたのよ。あの、苦界で生きる事を、放棄したのよ」
 それだけ言うのがやっとだった。
690名無しさんだよもん:04/09/10 01:38 ID:lnhTooG3
ヒイイイイイイイイイイ((((゚Д゚))))
691名無しさんだよもん:04/09/10 14:37:47 ID:1zjRxXXw
トースターENDの瑠璃子さんキター!?
692名無しさんだよもん:04/09/10 19:07:26 ID:JCLjL1yS
前編か…ヤバ杉
693苦界浄土・中編:04/09/10 23:38:01 ID:PopIcNre
 須磨寺の言葉を余所に、月島は尚も妄想の言を続けていた。
「――でも、酷いよ、長瀬ちゃん」
 何事かをひとしきり喋った後、急に悲しげなトーンで、訥々と語り始めた。
「結局、長瀬ちゃんは、あの時のお兄ちゃんとおんなじだったんだよね」
 悲痛の声色に、別の色調がぽつりぽつりと広がり始めた。
「結局、長瀬ちゃんは、私を自分の物にしたかった。あの新型の爆弾で、世界を破滅させたかった。そのために、電波の力が欲しかった。だから、あの時、私を……」
 どんよりと濁った月島の瞳に、涙が浮かんだ。涙は涙腺から目尻を伝って、頬を滑り落ち、雫となって不毛の大地に降り落ちた。
 奇妙な光景だった。
 辺りは、草木一本生えない、荒涼たる岩肌が広がっていた。
 その狭間狭間からは、溶岩が噴出し、耐え難い熱波と臭気を放っていた。
 時折、地に這った足萎えの鬼が苦痛に満ちた雄叫びを上げ、何かを乞う様に腕を振り回していた。
 大気には熱波と臭気が充満し、もうもうたる煙は蒼穹を覆い尽くして漆黒に塗りつぶし、地獄の釜の蓋を作り出していた。
 ここは紛う方なき、地獄の釜の底。
 そして目の前には、妄想の戯言を繰り続ける、一人の狂女。
 しかし、その狂女の濁った瞳からは、きらきらと輝く涙の雫が、ぽろぽろと零れ落ちていた。雫の一粒一粒が、その場のあらゆる混沌を表面に映し出し、内に湛えて、宝石の様に輝き、赤茶けた大地で砕け散った。
「――これが、長瀬ちゃんの求めていた世界だったんだよね」
 ふと、月島は面を上げた。

「新型の爆弾で、全てを焼き尽くした、この世界が、長瀬ちゃんの浄土だったんだよね」

 瑠璃色の瞳の混沌に哀れみを湛えて、月島は俺を――いや、長瀬を見据えた。
 ぽっかりと開いた瞳孔は、まるで夜の海のようだった。
 この世のあらゆる汚濁を取りこみ、浄化し、新たな生命を生み出す、万物の母のようだった。
 ならば差詰め、この女は、末法の苦界で蠢く凡夫どもを浄土に導く、弥勒菩薩か。
 あるいは、穢れた12月の大地に舞い降りた、天使といったところか。
 
 ――ざりゅっ……。
 気付かぬ内に、俺は、一歩を踏み出していた。
 汚濁の奔流の向う側に、清浄の海流があるのか、確かめたかった。
694苦界浄土・中編:04/09/10 23:38:34 ID:PopIcNre
 傍らの須磨寺が異変を察して、必死で手を引っ張るのも構わず、俺は一歩一歩、月島の元に歩み寄った。
 月島は、双眸に涙を湛えたまま、呆けた無表情を作っていた。
 やがて、俺と月島の身体が、息のかかる距離にまで近づいた所で――
「――!? 何するの木田君!?」
 後ろで声を上げたのは須磨寺だった。俺は、右手で月島の喉を掴み、足を絡めて、石礫の散らばる大地に、月島の身体を押し倒していた。そしてそのまま、月島の小柄な身体の上にのし掛かった。
「止めなさい、一体何を考えてるの!」
 須磨寺が俺の左半身に付き纏い、俺と月島を引き剥がそうとした。
 しつこく縋りつく須磨寺を左腕で跳ね除け、俺は、月島の乳房を揉みしだいた。
「やめて……また、あんな事をするの……長瀬ちゃん」
 月島は濁った瞳で、俺を見つめた。開ききった瞳孔に、俺の顔が映っていた。
 にも関わらず、月島は例の「長瀬」の名を呼んだ。
 どす黒い感情がこみ上げてきた。
 ――ドカッ!
 俺は思わず、月島の顔を掴み、地面に叩きつけた。月島の綺麗な顔が、硬い岩肌にぶつかり、ひどく腫れ上がった。
 月島は目に涙を浮かべて、横目で俺を見上げた。
 構わずに、俺は月島の制服の襟元に手を掛け、一気に引き剥がした。
 この狂女の奥深くにあるモノを確かめたかったのだ。
 瞳の海面の汚濁の下に、清浄があるのかを、この目で見たかったのだ。
 あの「長瀬」とやらが見たモノを、この俺も目の当たりにしたかった。
 服の下からは、雪のような月島の乳房が見えた。
 その乳房に、赤ん坊のように吸い付きたかった。柔らかな肌に縋り付きたかった。胸の鼓動を聞きたかった。
 そして、子宮の中に、還りたかった。
 先程からうるさく纏わり付き、その度に跳ね除けられる須磨寺の事など、最早どうでもよかった。
 俺は月島の左の乳房を鷲掴みにした。温もりと、柔らかさと、鼓動が、手に伝わってきた。
 そのまま乳房に吸い付く前に、月島の傷付いた顔に舌を這わせた。傷口と涙を舐めとって、顔を綺麗にしたかった。
 ふと、月島の唇が何事かを呟いているのが聞こえた。意味を為さない戯言として聞き流そうとした、その時――。

「やめて……お兄ちゃん……」

 恵美梨の顔が頭に浮かび、力が抜けた。
695苦界浄土・中編:04/09/10 23:39:31 ID:PopIcNre
「……すまん」
 すっかり気を削がれ、力無く立ち尽くした俺は、顔を背けたまま、横たわる月島に謝罪の句を告げた。
 須磨寺に張り飛ばされた右頬が、じんじんと痛んでいた。
 自分のした行為を考えれば、謝ってどうにかなるものではない。
 突然、訳の解らない妄想に駆られて、心を病んだ女を犯そうとしたのだ。
 考えてみれば、俺が異性と関わりを持つとなると、こんなことばかりだ。
 栗原透子の時もそうだった。そして、傍らで、固い表情でこちらを睨みつけて俺を罵る須磨寺も、そうだった。
 そして、今、胸元を隠しつつ立とうする、この月島も――。
 ――とんでもない野郎だ。
 自己嫌悪の念で胸が痛くなった。だが、恐ろしい事に、それ以上の罪悪感は芽生えて来なかった。
 目の前では、月島が、ぱんぱんと制服についた砂を払い落としている。
 ……一体どんな言葉を掛ければいいというのか。
 せめて乏しい罪悪感を奮い起こそうと、爪が肌に食い込むほどに拳を固く握り締めた。
 だが、適切な謝罪の句は、まるで浮かんで来なかった。
 傍らの須磨寺も、目の前の狂女に、何を言えば良いのか解らなかった。ただ、俺に非難の眼差しと文句を投げ掛けることしか出来なかった。
 やがて月島は、こちらに向き直った。
 須磨寺は、俺を罵ること止め、恐る恐る月島に目を向けた。
 破れた上着を前で重ねて、相変わらずの呆けた表情で、月島は俺に歩み寄ってきた。
 何が飛び出すのか。神がかった罵倒の句か。それとも、足元の大きな石で、俺の面を打ちのめそうというのか。
 取り敢えず、何が来ても、顔色一つ変えず受け止めようと、心に決めた。
 キリストではないが、右の頬を打たれたら、左の頬を出そうと思った。
 しかし、急に胸から喉にこみ上げた言葉があった。口にせずにはいられなかった。

「すまん……お前の心に、触れたかった……」

 自分でも何を言ってるのか、まるで解らない。こんな意味不明の弁明など、罵倒か殴打で一蹴されるだけだ。
 月島は目の前で立ち止まった。さあ、思う存分、煮るなり焼くなりしてくれ。
 月島の手が上がった。平手打ちか。
 手が握り締められた。鉄拳制裁とは、豪気だな。
 拳から、小指が突き出された。……なんだ?

「――ゆびきりげんまん」
696名無しさんだよもん:04/09/11 19:06:26 ID:xbYKCjsz
( ゚Д゚)・・・
697名無しさんだよもん:04/09/11 21:33:55 ID:ERzfPNG6
なるほどこう来たか・・・いや、あいつならこうするかもね。
電波キャラ同士、駄作となるか良作となるかは後編まで見ないとわからないな。
698名無しさんだよもん:04/09/11 22:52:26 ID:lHPw0Fz/
>>697
あいつって、誰?
時紀? 瑠璃子?
699名無しさんだよもん:04/09/11 23:17:08 ID:Y9EQ9U5T
恵_
700がんばれ北川君一号:04/09/12 04:03:33 ID:OK+ttQ+o
異世界ってのは何だ。
そこに、呼び出された俺は勇者だったりするのか。
……いや、状況を鑑みるにそういう事態ではなさそうだが。
北川潤は一人、夜の森の中、木に背中を預け思考にふけっていた。
大体呼び出されたって言ったって、出た所が森の中だぜ?
当然、記憶喪失にもなってないし、人に言えないような『超』が付くような能力も無い。
俺は、どうやったら元の世界に帰れるんだ?
北川は軽く溜息をついた。
いや、今、現在重要な事はそんな事じゃない。
これから、どう生きるかだ。
衣食住の中で衣は兎も角、食と住は確保しておきたい所。
でも、なあ。
周囲を見回す。
何か、動物っぽい鳴き声が木霊する森の中。
しかも、月明かりすらぼんやりとしか見えない。
ここから、どうやって出るよ?
歩き回るぐらいはやったさ。
で、こうなってる訳だが。
自分の身なりを見下ろした。
木に引っ掛けたせいで、所々やぶれている制服。
体調は疲労困憊。
正直、ふらふらっす。
とりあえず、朝まで待って、事を起こすのはそれからだな……。
そう、結論づけると徐々に体の力を抜き、睡眠に入ろうとした時。
近くで、何かがずさーっとこける音がした。
701がんばれ北川君一号:04/09/12 04:06:52 ID:OK+ttQ+o
俺は、一端抜いた力を再度入れなおした。
だって、すげえ獣とかいたら困るだろう?
しかし、それでも確認したくなるのは人の情。
俺は、そろりそろりと音のした方向に向っていった。
――――そこにいたのは、体を血で濡らした兵士と、地面に荒い息を吐いて横たわるデカイトカゲだった。
……おいおい、何の冗談だ。
確かに俺はここを異世界と判断したけど。
それは、見た事の無い動物や植物がたくさんいたからで。
こんな……血まみれの人間がいるなんて知らない。
「クソ……ッ!クソ……ッ!」
兵士はその血に塗れた体に鞭を打って必死に立ち上がろうとするが、何度も腕立て伏せの失敗のような末路を辿り、地面に打ち付けられる。
俺は慌てて、隠れていた場所から飛び出して、兵士を支えた。
兵士は急に出て来た俺に驚いたのか、一瞬眼を丸くした。
しかし、俺が何の武装もしてないようなのを解ると、微かに苦笑した。
「民間人……か」
俺は黙って頷いた。
「そうか…、俺の命運もここまで……か」
「何でだ。俺はあんたを殺したりはしないぞ……」
正直、度胸も無い。
「だが…俺を差し出せば…僅かばかりだが金が出る……」
「……あんた、何かやったのか」
その言葉を聞いた時、男の表情が鬼のそれに変わった。
「違う!やったのはトゥスクルの奴等だ!」
兵士は一息でそれを言い切ると、激しくむせた。
吐いた物は空気だけでは無かった。
血も混じっている。
兵士は自分の掌に付いた、血を見て「畜生」と呟いた。
「あいつらの所の長が……俺達の国を……!」
俺は、兵士の慟哭を黙って聞いていた。
702がんばれ北川君一号:04/09/12 04:08:21 ID:OK+ttQ+o
「家族は皆殺しにされた…。娘も妻も……守れなかった」
それは、どんな気持ちなのか。
自分の生涯で愛した人を殺され、その人との娘も殺される。
一人、自分の愛した者達の死体を見る。
それは、どんな気持ちなのか。
「仇を……討ちたかった……!だから、我等はオリリカン殿と供に立ち上がったのだ……!」
兵士は血を吐き出しながら、慟哭する。
「だが、それも失敗に終わった……」
兵士の頭から兜がずり落ちた。
そこには、人ならざる者の耳がある。
だが、俺はそんな事は気にならなかった。
「医者に見せよう!そうすれば助かるかもしれない!」
『医者』という言葉が通じたかどうか解らないが、兵士は言葉の意味は感じ取ったようだった。
「無駄だ……。ここはトゥスクルの領内。もう、どうにもならん……」
「そんな事関係ないだろ!人が死にそうなんだ!助けてくれるに決まってる!」
兵士はその言葉に微かに笑みを漏らした。
「お前、戦争を知らないのか……」
そう、俺は戦争を知らない。
俺は、人間同士がこんな殺し合いをする事なんて知らない。
兵士は笑みをそのままに、蚊の鳴くような声で呟いた。
「良いな、その国は……」兵士はそこで言葉を区切り再度「良いな」と呟いた。
「お前が住んでいる国は平和だったのだろうな……。殺し合いなど無かったのだろうな……。家族を、愛しい人達を失う事など無かったのだろう……な」
兵士の目から一筋の涙が流れた。
「ああ」
兵士は、もう俺に話しかけてはいなかった。
「帰りたい……」
そして、兵士の目から光が消えた。
703がんばれ北川君一号:04/09/12 04:08:59 ID:OK+ttQ+o
「おい…!おい…!起きろよ!」
解ってる、もう死んじまったって事は。
だけど、こんなにあっけなく人が……死ぬ、ものなの、か?
兵士の体はまだ温かく、とても死んだ人間とは思えない。
俺は兵士を支えていた自分の手を見た。
血。
「うわ……!」
思わず、手を引こうとした俺だったが、何とか踏みとどまった。
だって、それは人でなしすぎる。
俺は、改めてそっと男を地面に横たえた。
畜生、畜生畜生……!
相沢なら、この人をどうにかできただろうか。
あの、凄い行動力を持つ友人なら。
この、寂しい死を回避させる事ができたのか。
できる訳ないと、思いつつも。
あいつなら、やってしまうかも知れないとも考えてしまう。
羨望、憧憬………劣等感。
俺は俯きながら、じっと考えていたがすぐある事に気が付いた。
「この人を、埋めてやんなきゃな……」
俺にできる精一杯をやるしかないと思った。
704がんばれ北川君一号:04/09/12 04:09:59 ID:OK+ttQ+o
俺は兵士の持ち物である槍を使って、穴を掘った。
これが、中々重労働で元々疲れていた俺には随分辛いものだった。
なんとか、掘り終えると兵士の体を持ち上げる。
「……っと」
重い。これが、死んだ人間の重さなのか。
萎えてしまいそうな自分自身を叱咤して、死体を運んだ。
穴に横たえ、土をかける。
この人は、どんなに辛かっただろうか。
血を吐きながら、仇を討ちたいと言ったこの人は。
どんなに、悔しかっただろうか。
土をかけ終え、兵士を埋めた場所に、彼がしていた兜と、脇に下がっていた短剣を突き刺した。
槍は貰っておくことにした。
この辺りはどうやら、もの凄く危険なようだし。
俺は、そう考えながら振り返ると………デカイトカゲと眼が合った。
705がんばれ北川君一号:04/09/12 04:10:54 ID:OK+ttQ+o
「え``」
そういえば、こんな奴もいたのだった。
俺はじりじりと後ろに下がり始めた。
槍を持つ力が無意識に強くなる。
だが、トカゲは俺と眼を合わせたまま動かず、軽く鳴いた。
そして、俺に背中を見せる。
……乗れって事か?
その背に備え付けられた、手綱などを見て思う。
トカゲは再度、軽く鳴いた。
俺は恐る恐るトカゲに近づいた。
手綱を軽く握っても反応は無い。
思い切って背中に乗った。
さして、暴れるわけでも無く静かにトカゲは歩き出した。
「痛て、痛て!」
揺れる背中で尻を何度も打つ。
こりゃ、明日には痔になっているかもしれない。
だが、まあ結果オーライとしておこう。
森も抜けられそうだし。
………怖い国も解ったしな。
「トゥスクルか……」
俺は何の気なしにその言葉を呟いた。
トカゲがいなないた。
706名無しさんだよもん:04/09/12 07:44:09 ID:q2mM8lE8
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ガワ!!

なんか凄腕の傭兵として後々名を馳せそうな悪寒。
しかし、確かにクッチャ・ケッチャから見れば、トゥスクルは「そういう國」になるんだよなー。
見渡す限りの草原。
都会では見たこともない青空。
普段自分がいかに悪い環境の中で生活しているか
思い知らされる景色ではある。だが…
「……何で私はこんなところにいるのかしらね…
 というより…日本じゃないのかしら…」
雰囲気だけなら、牧草地とも思えたかもしれない。
幼いころ両親と訪れた北海道で同じ様な景色を見た気もする。
しかし広大な草原の中、学校の制服という不似合いな姿で、
榊しのぶは違うのではないのかと考えていた。
「こんなものが落ちている草原が今の日本にあるのかしら?」
しのぶは足元にあるものを拾いながらつぶやいた。
それは矢だった。先端は本物の金属でできていて素人目にも
殺傷力がありそうだ。
「それに他にも…」
あたりを見渡せば他にもさまざまな物が落ちているようだ。
手にしたものと同じような矢はあちこちに落ちているし
折れた剣、よろいの一部みたいなものもある。
よく見れば血のりのようなものがついている物もあった。
つまりここは…
「戦場跡ってことでしょうね…」
708707:04/09/12 18:00:58 ID:Z0kiE2x/
書き始めてみた。
本とはもっとまとめてと思ったんだけど
景気ずけにとうか。

後実は透子エンド後を想定して
いろいろ考えてたんだけど
その辺どーなんでしょう?
709名無しさんだよもん:04/09/13 07:48:39 ID:onWDRpxy
>>708
先に須磨寺ENDのほうがあるから難しいな
内容はd子ENDじゃなくてもいけそうだしこのままでいいんじゃね?
710名無しさんだよもん:04/09/13 09:04:32 ID:XC2tmi+5
711707:04/09/13 15:22:48 ID:2nw5Y/cr
>>709,710
どうもです。
直接木田たちとあったりはしないだろうし
多分透子も出てこないので
適当にぼかしていこうと思います。

あと、舞台はトウカがはじめて出てきた戦闘の
草原で、吊橋戦はまだ。
ドリグラが吊橋を探して右往左往してます。
 
というわけで、ドリグラ登場編です↓
712しーちゃんぶらり旅:04/09/13 15:24:32 ID:2nw5Y/cr
いったいここはどこなのか?
そこらじゅうに落ちている武器はさび付いているものが
ほとんどないことからも、つい最近おきた戦いの跡だということがわかる。
時代劇なんかのロケがあったのかとも思ったが、
まさか本物の武器を使うはずもないだろう。
さらに、
「少なくとも馬じゃないわね…」
足元をよく見ると何かの足跡が残っている。
戦場で見る人以外の足跡というと馬をまず思い浮かべるが、
3本指のそれは明らかに蹄ではなかった。
だいたいにしてここがどこかという以前に、
何時の間にこんなところに来てしまったのか、
昨日は夜更かししてしまったが何とかいつもどおりにおきて、
透子と一緒に学校へ…
「!………」
あわてて辺りを見回すが、当然求める姿はそこにはない。
「私だけが…?」
ますますわからない。
学校への通学の途中で…どこまで一緒だったろうか、
いまいち記憶がはっきりしないが、
SFよろしくなんらかの力でここまできてしまったとして、
隣にいた透子も一緒にここへこなかったのはなぜだろう?
当然こんなところへはこないほうがいいのは当たり前だが…
「今は無事を祈るしかないか…
 誰か一から説明してくれないかしら…」
少し苛立ちながら一人つぶやく。
当然返事を期待したものではない…が、
『僕たちが説明しましょうか?』
「!?」
あまりに驚いたため声もだせずに振り向くと、
そこにはよく似た少年が二人はにかんだ笑顔でたっていた…
713しーちゃんぶらり旅:04/09/13 15:24:44 ID:2nw5Y/cr
いったいここはどこなのか?
そこらじゅうに落ちている武器はさび付いているものが
ほとんどないことからも、つい最近おきた戦いの跡だということがわかる。
時代劇なんかのロケがあったのかとも思ったが、
まさか本物の武器を使うはずもないだろう。
さらに、
「少なくとも馬じゃないわね…」
足元をよく見ると何かの足跡が残っている。
戦場で見る人以外の足跡というと馬をまず思い浮かべるが、
3本指のそれは明らかに蹄ではなかった。
だいたいにしてここがどこかという以前に、
何時の間にこんなところに来てしまったのか、
昨日は夜更かししてしまったが何とかいつもどおりにおきて、
透子と一緒に学校へ…
「!………」
あわてて辺りを見回すが、当然求める姿はそこにはない。
「私だけが…?」
ますますわからない。
学校への通学の途中で…どこまで一緒だったろうか、
いまいち記憶がはっきりしないが、
SFよろしくなんらかの力でここまできてしまったとして、
隣にいた透子も一緒にここへこなかったのはなぜだろう?
当然こんなところへはこないほうがいいのは当たり前だが…
「今は無事を祈るしかないか…
 誰か一から説明してくれないかしら…」
少し苛立ちながら一人つぶやく。
当然返事を期待したものではない…が、
『僕たちが説明しましょうか?』
「!?」
あまりに驚いたため声もだせずに振り向くと、
そこにはよく似た少年が二人はにかんだ笑顔でたっていた…
714しーちゃんぶらり旅:04/09/13 15:25:40 ID:2nw5Y/cr
いったいここはどこなのか?
そこらじゅうに落ちている武器はさび付いているものが
ほとんどないことからも、つい最近おきた戦いの跡だということがわかる。
時代劇なんかのロケがあったのかとも思ったが、
まさか本物の武器を使うはずもないだろう。
さらに、
「少なくとも馬じゃないわね…」
足元をよく見ると何かの足跡が残っている。
戦場で見る人以外の足跡というと馬をまず思い浮かべるが、
3本指のそれは明らかに蹄ではなかった。
だいたいにしてここがどこかという以前に、
何時の間にこんなところに来てしまったのか、
昨日は夜更かししてしまったが何とかいつもどおりにおきて、
透子と一緒に学校へ…
「!………」
715707:04/09/13 15:34:47 ID:4uk0N2Mi
('A`)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本とごめんなさい
なんかエラーが出たので
書き込めないと思って連投してしまいました・・・

本とごめんなさい713と714は無視してください
お願いします
あとID変わってるのは3連続でエラーが出たので
つなぎなおしたんです。


716名無しさんだよもん:04/09/13 19:01:23 ID:jn+2ntx3
イキロ
717居場所が欲しい魔法使い:04/09/13 22:45:10 ID:RqwmO21j

『あんたも間の悪い時に迷い込んできたねぇ。この國は近く戦争になるんだよ』


それが、この世界に迷い込んでから間も無く聞かされた言葉。
“迷い人”である私──牧部なつみが聞かされた、あまりにも無情な宣告。

勿論、それを教えてくれた人に罪が無いのは解ってる。
この村の人達はみんないい人で、最初、何もできずに泣いていただけの私を慰めて、受け入れて、優しさで包み込んでくれた。
ここは心落ち着く場所だったあのお店──店長さんの居た五月雨堂ではないけど、ここもまた、今は、私の心落ち着く場所になっていた。

だけど、現実は非常で。
この村から外の世界は血腥い争いに満ちていて。
それは、あっという間に私の新しい居場所を呑み込み始めた。
このヌンバニという國の皇は、余所の國と手を組んで何処かの大國に攻め込むらしい。

どうして戦争なんかするんだろう。
みんな寂しい思いをするだけなのに。
もうこれ以上悲しい思いをしたくないのに。


私にできる事が、何かあるだろうか?
この居場所を、護る為に。
718名無しさんだよもん:04/09/14 00:36:43 ID:Rrnv4TPq
なっち登場か…
それにしても血腥い(ちなまぐさい)なんてはじめてみたよ。

いまさらだけど「聖戦士ダンバイン」といってみる。
719名無しさんだよもん:04/09/14 00:42:40 ID:WggWqIX8
むしろ御大版オーラバトラー戦記だな!余裕!!
720名無しさんだよもん:04/09/14 00:58:15 ID:bHyurcw1
>>718-719
???
721名無しさんだよもん:04/09/14 21:35:52 ID:ll9GX7PR
今時の若いのにハイ・ファンタジー言っても解らんか。フォンタジーなら解るんだな、余裕!!
722名無しさんだよもん:04/09/14 21:53:56 ID:Etglkt1E
アタック!アタック!アタック!
漏れは戦士〜!
723名無しさんだよもん:04/09/15 16:35:55 ID:TcO7Q7oq
後編を投下します。
内容が膨らみ過ぎて、前・中編を合わせた分よりも、さらに長くなってしまいました orz。
量が多いので、二回に分けて投下します。
724苦界浄土・後編(の前):04/09/15 16:36:52 ID:TcO7Q7oq
 ――え?
 思いがけない言葉に、俺は呆気にとられた。傍らの須磨寺も、同じ表情だった。
 月島は、俺達にお構いなく、句を継いだ。
「長瀬ちゃん……今度は、よく頑張ったよね……強い子だよね……」
 菩薩の様な表情で、月島は俺を見つめた。
 月島の瑠璃色の瞳が、涙を湛えて、宝玉の様に輝いていた。
「……やっぱり……長瀬ちゃんは……私とおんなじだった……ずっと……心の中で泣いてた……たすけてたすけてと、心の中で呼び続けてた……」
 月島の瞳から、一滴の雫が零れ落ちた。海表の汚濁に裂け目が出来て、そこから深海の清浄の水流が迸ったかのようだった。
 雫は、顔の傷を清めるかの如く、月島の頬をそっと撫でるように濡らした。
 ふと、天上から眩い光が挿しているのを感じた。
「――夕陽が」
 空をすっぽりと覆っていた黒煙のカーテンに、切れ目が出来ていた。
 そこから、真っ赤な夕陽が顔を覗かせ、瘴気で毒された大気を浄めるかのように、眩いオレンジ色の光がぱあっと放たれた。
 そして、月島の後光となって、この不毛の大地を癒すかのように、地表に降り注いだ。
 闇の中で蠢く足萎えの鬼達は、捧げられた慈悲の光を前にして、まるで赤ん坊が母親の乳房を求めるように、愛おしさと寂しさとが入り混じった雄叫びを上げた。
 そして、天上の聖母を抱きしめようと、両の腕(かいな)を虚空で振り回した。
 鬼達のぽっかりと開いた両目からは、生まれて一度も流さなかったであろう涙が、滂沱の如く流れ落ちていた。
 見捨てられ、卑しめられ、地獄の釜の底を這い回ることを運命付けられたモノ達が、救済の日に立会い、締め付けられた心を解放していた。
 辺りは一色の赤に包まれた。聖火の朱だった。この世のあらゆる罪を焼き尽くし、浄化し、救済する、聖なる焔の色だった。

 それらの中央には、無垢の笑みを浮かべて、柔らかい小指を差し出す、月島の姿があった。

 美しい光景だった。
 目の前の女は、狂女などではなかった。
 まさしく、聖女だった。
 あらゆる穢れを引き受け、あらゆる狂気を呑みこみ、この苦界を浄化するべく空から舞い降りた、天使だった。
725苦界浄土・後編(の前):04/09/15 16:38:02 ID:TcO7Q7oq
 ――赦しを乞いたい。
 俺は心からそう願った。
 この汚らわしい手で月島を犯そうとした、この俺の罪を赦して欲しかった。
 あの世界で、周囲の人間達を知らず知らずの内に傷付け、苦しめ、悲しませてきた、この俺の汚れに汚れた手を浄めて欲しかった。
 ――救いを乞いたい。
 厚かましいことに、こうも願った。
 俺が生きていたあの世界では、俺は価値の無い「除け者」に過ぎなかった。
 授業をエスケープして、屋上で煙草を吹かして、一端のアウトローを気取ったつもりの、ただの負け犬だった。
 あの頭の悪い栗原を犯して、セックスに溺れることでしか居場所を見出せなかった、ただの色情魔だった。
 苦しみの渦中にあった須磨寺を巻きこんで、死への伴侶に仕立て上げて、一人でこの世を去る恐怖から逃れようとした、ただの臆病者だった。
 この、愚かで、惨めな俺を、苦界から浄土へと導いて欲しかった。
「月島……俺は……」
 縋りつこうと身を乗り出しかけた俺の前に――
「長瀬ちゃんも……戻って来てくれるよね。お兄ちゃんと私と一緒に……ずっと居てくれるよね」
 すっと、右手の小指が差し出された。

「約束の、ゆびきりげんまん。……ずっと、私の傍にいるって」

 柔らかな産毛の生えた、小枝のような、可憐な、月島の小指。
 それが、まるで釈迦が地獄に垂らした一本の蜘蛛の糸のように、俺の前に救いの手として差し伸べられた。
 最早、迷いは無かった。
 俺は、右手を上げた。そして、拳を握り、小指を突き出した。
 左で須磨寺が何か叫んだが、気にも留めなかった。
 そして俺は、へその緒のような月島の小指に、俺の節だった無骨な小指を近づけた。
 須磨寺の叫び声が大きくなり、左腕が激しく引っ張られた。
 少し身体のバランスを崩しかけたが、すぐに持ち直した。女の細腕の力など、知れていた。
 俺と月島の小指が触れ合った。急に、左腕に加わっていた力が失われた。
 そのまま、小指同士を重ね合わせた。視界の傍らに、凄まじい形相で立ち塞がろうとする須磨寺の顔が見えた。
 二人の小指がゆっくりと曲げられようとしていた。こちらを見ていた足萎えの鬼が、天に向って吼えた。
 悲痛な咆哮がこだました。
726苦界浄土・後編(の前):04/09/15 16:38:43 ID:TcO7Q7oq
 耳を聾する鬼の咆哮が止んだ。

 俺の右手の小指は、折り曲げられたまま、宙をさ迷っていた。
 月島の小指は、絡められていなかった。
 須磨寺の肩越しに、尻もちをついた月島の姿が目に映った。
 右手の小指を差し出したまま、呆然とした表情をしていた。
 ――何だか、困ったことになっちゃったよ。
 そう言わんかのような表情だった。
 月島の両目は、俺達の間に割って入った、須磨寺に向けられていた。
 そして、須磨寺は、月島をきっと睨みつけていた。
 須磨寺の左腕は、月島を突き飛ばした時の状態のまま、まるで月島を威嚇するかのように、手を開いてぴんと伸ばされていた。
「……何をする」
 目の前に立ち塞がった須磨寺に、俺は自分でも信じ難いほどの冷たい声で尋ねていた。
 須磨寺は俺の顔を見上げた。その双眸には、怒りの炎と、そして、一杯に湛えられて目尻から零れつつある、涙があった。
 ――ぎゅっ。
 リボンで結ばれた俺の左手を、須磨寺の右手が痛いほどに握り締めた。
「――どけよ」
 俺は右腕で須磨寺を突き飛ばそうとした。伸ばした右腕は須磨寺の肩を強く打った。
「――嫌」
 一歩ニ歩よろけながらも、須磨寺はどこうとはしなかった。
「そこを、どけよ……」
 今度は更に強く、須磨寺の胸を突いた。柔らかい乳房の下の、固い肋骨の感触が手に伝わった。
 須磨寺は呻き声を上げ、大きくよろけた。途端に、左腕に強い力が加えられた。リボンで結ばれた腕を頼りにして、須磨寺は持ちこたえた。
「嫌よ……」
 苦痛で顔を歪ませながら、須磨寺は尚も俺の前を塞いだ。
 その肩越しに、月島のなおも差し出された小指が見えた。俺の救いの糸が見えた。
 一刻も早く、その糸に縋りつかねば! 俺は一歩を踏み出した。
「さっさと、そこを、どけっ!」
 月島の慈悲に縋りつこうと、俺は邪魔な須磨寺の身体を強引に押し退けようとした。
「嫌! 絶対に嫌!」
 須磨寺は俺の身体に取り縋って、決して俺を前に進ませようとはしなかった。
 こんな細い須磨寺の身体の何処から、こんな力が沸いてくるのか解らなかった。
727苦界浄土・後編(の前):04/09/15 16:39:34 ID:TcO7Q7oq
「そんなにこの俺が月島に……天使に救われるのが気に入らないのか! さっさとそこを――」
 逆上して叫んだ俺に対して――
 ――パァン。
 須磨寺の左手が、再び俺の右頬を打っていた。
「……目を覚まして。天使なんかいる訳ない……」
 呆然とする俺に、喉の底から搾り出すような声で、須磨寺は告げた。

「あの人は……ただの狂った女よ……」

「――何?」
 目の前の須磨寺に対し、ドス黒い怒りが込み上げてきた。
 よりにもよって、あの天使を狂女だと!?
「ふざけるなあっ!」
 俺の右手が上がり、須磨寺の左頬を打っていた。乾いた音が響き渡った。
 須磨寺は向き直り、歯をぎゅっと噛み締めて、こちらを睨みつけた。
「……あの人は、これまで一度も、木田君の名前を言わなかった。言ってたのは、『長瀬』とかいう、聞いた事もない人の名前だけ……」
 目に一杯の涙を湛えて、須磨寺は震える声で告げた。俺が叩いた左頬が、真っ赤に腫れていた。
「黙れぇ!」
 今度は逆手で、須磨寺の右頬を打った。リボンを外し、下に垂れた髪が、はらりと舞った。
「……あの人も、私達と同じ、哀れな存在に過ぎない……お兄さんに犯されて、『長瀬』という人に裏切られて、幻の中をさ迷う事しか出来ない、哀れな人……救いを求めて地の底を這いずり廻る、天使から見捨てられた人……」
 俯いたまま、須磨寺の唇が言葉を紡いだ。腫れ上がった右頬に、涙の雫が伝い、尖った顎から地面にぽたりぽたりと降り落ちた。
「お前に……お前に、何が判る!」
 俺は須磨寺の身体を強引に撥ね退けようと、掴みかかった。
 足が縺れ、俺達は固い岩肌の上に倒れこんだ。俺の視界に、左手に巻かれて須磨寺と俺を結びつけるリボンが飛びこんできた。
 俺は、須磨寺の呪縛から逃れようと、左手のリボンを毟り取ろうとした。
 リボンで結ばれた俺の左手に縋りつく須磨寺。毟り取ろうとする俺。
 俺達は、石礫があちこちに転がる固い岩肌の上を、何度も何度も転げ回った。
 背中に痛みを感じながら、ふと、須磨寺が涙を流しながら何かを呟いているのが見えた。
「……離したくない……『あちら』の世界には行かせない……もう何も失いたくない……」
 須磨寺の唇は、確かにそう言の葉を紡いでいた。
728名無しさんだよもん:04/09/15 16:42:42 ID:TcO7Q7oq
一旦区切ります。
729苦界浄土・後編(の後):04/09/15 16:50:35 ID:TcO7Q7oq
 やがて俺達二人は力尽きて、岩肌に倒れこんだ。
 荒い息が口から漏れた。
 最早、二人をつなぐリボンを外そうとする気力は沸いてこなかった。
 とっくに解っていた。月島が、俺達と同じく、あの世を捨てた、いや、あの世から捨てられた者であることなど。天使から見放された者であることなど。
 結局は、いつもと同じことだ。何かに、縋りつきたかった。
 あの栗原透子を支配している振りをして、実は、あの女の肉体に溺れていただけだった。
 この須磨寺に出会い、この女の厭世を分かとうとする振りをしながら、実は自分の厭世を投影していただけだった。
 そして、ぼんやりとこちらを見つめる、この月島も。
 俺の絶望を受け止めてくれる相手を求めるが故に、月島の奇矯な言動や、風景の変化を都合よく解釈して、幻を作り出していただけだった。
 いる訳が無い天使を求めていただけだった。
 ――ウオォォォ……。
 足萎えの鬼達の悲しげな咆哮が、耳に入ってきた。
 彼らは、天上からの救済の手を必死で乞い求めるかのように、空しく腕を振り回していた。
 ――空、手に届くかな。
 かつて須磨寺がぽつりと口にした言葉が脳裏に甦った。
 あの鬼達は、俺達と同じだった。
 空が手に届かないことに気付きながら、地の底を這いずり回るしか出来ないことに気付きながら、それでも空を求めずにはいられない、哀れな捨て子たちだった。
「……くっ……」
 胸の奥から嗚咽が沸き起こってくるのを抑えることが出来なかった。溢れ出る涙を止めることが出来なかった。
 俺の涙の雫が、ぽたりと須磨寺の顔に落ちた。
 その時、須磨寺の左手がすうと上がった。
「……!?」
 須磨寺の左手は、優しく俺の頬を撫ぜた。
 雪のように白く、柔らかい手だった。そして、暖かかった。
「……須磨寺……すまない……俺は……」
「泣かないで……木田君」
 そして、左手は、二人を結ぶリボンの上に重ねられた。

 ふと眩いものを感じた。
 柔らな夕陽の光が、涙に塗れた目に飛び込んで来ていた。
 そうだ。あの時の屋上で、須磨寺と絆を結んだ時と、同じ夕陽だ。地上で日々生きる俺達を優しく、厳しく、暖かく照らす、あの夕陽だった。
 この夕陽の下で、再び、「契り」直そうと、俺は思った。
730苦界浄土・後編(の後):04/09/15 16:56:07 ID:TcO7Q7oq
 俺は、須磨寺の涙で塗れた頬を、右手で優しく撫でた。
 雪のような白い肌が、腫れぼたって、赤みを帯びていた。
「……すまなかった」
「……さっきから、『すまない』ばかりね、木田君」
 須磨寺は愛しく微笑んだ。目尻から一滴の雫が零れ落ちた。
 そして、リボンに添えられた須磨寺の左手の上に、更に自分の右手を重ねた。
「俺はさっき、お前との絆を断とうとした。もう一度、ここで……
 あの屋上と同じ夕陽の、ここで……絆を結び直したい」
 須磨寺は、『こくん』と、小さな笑みを作って頷いた。
 そこに、小さな足音が響いた。俺達が降り返ると、月島が歩み寄って来ていた。
「月島……すまん。俺は『長瀬』の代わりにはなれない……お前の天使にはなれない……」
 俺は、月島に謝罪の句を述べた。
 月島は、無表情で、俺達をじっと見つめていた。心なしか、瞳の色が少し澄んでいるように見えた。
 須磨寺は静かな表情で、月島を見つめていた。そこには怯えはなかった。
「木田君は、渡しません」
 静かな、しかしはっきりとした口調で、月島の目を見て、須磨寺は告げた。
「……優しい電波が出てるね」
 月島は、しかし柔らかな表情で、そう呟いた。
 ふと、月島の目が俺達を結ぶリボンの方を向いた。
「……ゆびきりげんまん?」
 変わった指切りのやり方だね、と言いたげに、月島は微笑んだ。
 俺はふと、月島に一つ頼み事をしようと思った。
「月島、話がある」
 須磨寺が心配そうにこちらを見た。大丈夫だと呟いて、俺は月島に用件を伝えた。

 リボンで結ばれた、俺の左手と須磨寺の右手の上に、俺の右手と須磨寺の左手が重ねられた。
 須磨寺の残されたテールを結んでいたリボンが、月島の手で解かれた。
 ふわっと、須磨寺の銀色の髪が零れ落ちた。まるで天使の翼が開いたようだと、俺は思った。
 そして、俺達の重ね合わされた両手の上に、リボンが軽く包まれた。
 その上に、月島の両手が重ねられた。俺は月島の方を向いて、頷いた。
 月島は童女の声で伸びやかに歌い始めた。俺達も、声を揃えた。
 オレンジ一色の地獄の中で、無邪気な童謡が響き渡った。
731苦界浄土・後編(の後):04/09/15 16:59:01 ID:TcO7Q7oq
 ――ゆーびきーりげーんまーん……

 唄の途中、頭の中で小さな粒が「ちりちり」と音を立てて、動き回るような感触がした。
 ふと、須磨寺の声が聞こえた。
 目の前の須磨寺は、美声で童謡を歌っていた。
 しかし、確かに須磨寺の声が、頭の中に響いたのだ。
 須磨寺の声は、力強く、決意に満ちた、誓いの言葉だった。
 ――よろしい。それなら、私は、君と地獄に共に堕ちよう。たとえ如何な苦界でも、君と共にあらば、そこは浄土となろう――。
 俺も、誓いの言葉を、脳裏に浮かべた。
 今の俺の、須磨寺への『ただそこにあるだけの想い』を、強く念じた。
 ――俺はお前と共に地獄に堕ちると決めた。ならば、俺は、お前とどこまでも共に在ろう。その先に待つのが修羅道でも、畜生道でも、餓鬼道でも、地獄でも、どこまでも共に在ろう。
 天上の菩薩に見捨てられようとも、お前が我が菩薩ならば、そこは浄土となろう――。

 ――うーそつーいたーらはーりせーんぼーんのーます……

 その想いが『真実』かどうかは解らなかった。『永遠』であるかも定かではなかった。ただ、『そこにある』ことだけは事実だった。それだけが、『嘘』ではないと言い切れる、唯一の拠り所だった。
 両の手には、須磨寺のやはり両の手が、握り締められていた。手の先から、須磨寺の暖かさが伝わってきた。
 ――失いたくない。絶対に、失いたくない。
 俺の脳裏で、俺と須磨寺の声が交錯した。
 ――失うものか。絶対に、お前を一人にするものか。

 ――ゆーびきっ……
 
 ――ああ、約束だ!

 ――たっ!

 手に覆われていたリボンがはらりと宙に舞った。
 固く絡められた、俺と須磨寺の両手が陽光の下に晒された。
 顔を上げると、そこには、天使の微笑みの須磨寺がいた。俺の両手をぎゅっと握り締めて微笑む、須磨寺がいた。
 双眸に湛えられた真珠の涙に、辺りを優しく照らすオレンジの陽光が反射し、光の棲家を作り出していた。
 俺は、長らく作ったことの無い、満面の笑顔を、何時の間にか浮かべていた。頬に、暖かい雫が伝っているのを感じた。
732苦界浄土・後編(の後):04/09/15 17:00:33 ID:TcO7Q7oq
 ――長瀬ちゃん……今でも、大好きだよ。

 ふと、月島の声が聞こえた。須磨寺も気付いたようだった。
「――月島……?」
 横を見ると、月島の姿は忽然と消えていた。
 そこには、宙に舞う須磨寺のリボンと、空中で瑠璃色に輝く粉雪のような光の粒だけが、残されていた。
 分光器のようにきらきらと輝く光の柱の中を、まるで天使が降臨するかのように、須磨寺の赤いリボンが、ふわりと舞い降りてきた。
 俺と須磨寺は、ただ呆然とその光景に見惚れていた。
 轟音を響かせて、こちらにやってくる巨大な蒼い鬼のことなど、まるで気付く由はなかった。

 後で聞いた話だが、俺達を捕えた蒼い大鎧の鬼を操っていた、兎耳の男の話によると、あの場にいたのは常に俺と須磨寺の二人だけだったそうだ。
 では、あれは幻だったのか?
 ――いや、違う。
 俺の右手に残った、月島の温もり、柔らかさ、そして、鼓動……。
 あれは、紛れも無く、月島がそこにいた証左だ。
 では、月島は、一体どこへ――。
「……見て」
 俺達が監禁された、石造りの牢に小さく開けられた光取りの窓を、須磨寺は指差した。

「……月よ。優しく、狂気に満ちた、心やすらぐ、満月……」
 
 窓からは青白い月光がすうと挿しこんでいた。
 壁にもたれて、身体を寄せ合う俺達を、優しく包みこんでいた。
 ふと、涼しい風が舞いこんできた。
 青白く照らされた須磨寺の髪が、ふわりと舞った。
 血のような赤いリボンで結ばれた、俺と須磨寺の手が、互いを「ぎゅっ」と握り締めた。
 決して離さずとばかりに、俺は須磨寺の細い身体を、そっと抱き寄せた。
 そして、須磨寺の乳房に顔を埋めた。
 そこが、この苦界の中の、唯一の浄土であるように思えた。
 須磨寺の胸の鼓動を聴きながら、地獄でも人間は生きていけるのだな、とぼんやり考え、やがて俺は、須磨寺の柔らかさに身を委ね、眠りに落ちていった。

       苦界浄土 了
733名無しさんだよもん:04/09/15 17:48:04 ID:A4ZiPZmc
木田ってこんなに暴力的だったっけか?
734名無しさんだよもん:04/09/15 17:54:03 ID:jtlYh8MC
激しく乙であります!

しかしいきなり投獄か。
酷いなヒエンw
735名無しさんだよもん:04/09/15 19:25:57 ID:novMdXJS
ほう
736名無しさんだよもん:04/09/15 20:58:10 ID:KoOWfj4X
>>717

>このヌンバニという國の皇は、余所の國と手を組んで何処かの大國に攻め込むらしい。

ヌンバニ…憶えがないな。
どんな國だっけ?クンネカムンに攻め込んだ小国のひとつか?
737名無しさんだよもん:04/09/15 22:55:55 ID:ESEqXPMk
>>736
カンホルダリのおもちゃの国。
738名無しさんだよもん:04/09/15 22:58:21 ID:jtlYh8MC
>>737
いや、それエルムイだからな。

>>736
確かハップラフと一緒にクンネカムンに攻め入った國のはずだ。
739名無しさんだよもん:04/09/16 21:01:01 ID:aZSEyoy1
スレ違いだがここ見てな〜んとなく信長の野望で各キャラの立ち絵ブチ込んで新規武将として投入してみたくなったw
しかしうたわれ主格はは新潟辺り、雫は富山(デレンガイヤー、アルワイヤーがそこの方言らしいので)にするとして他は何処にすべきだろうか?
痕は鶴来屋、蔵は学校を支点?としても、他に地域特定出来そうなゲームは有るかね?
740名無しさんだよもん:04/09/16 21:12:33 ID:ULMpyznJ
>>739
うたわれ主格がいるトゥスクルは、確か山形あたりだったと思うし、
富山は確か痕の舞台だったと思う(作中でT県と表示されていた、北陸地方の県)。
雫は、神奈川県の横須賀あたりをモデルにした、とどこかで聞いた気が……。
あとは、こみパの代々森(代々木)、天いなの八文字(八王子)ぐらいしか知らないな……。
741名無しさんだよもん:04/09/17 01:26:54 ID:4XKfaIdy
痕は高橋と超先生の故郷である石川県。作中のN市は七尾市。
ttp://www5a.biglobe.ne.jp/~dai_/diary/turugiya.htm
ttp://www.geocities.co.jp/NatureLand/7510/
雫は痕の舞台の町まで電車で4時間半の某所(LF97雫編冒頭より)。たぶん関東。
東鳩は東京だと聞いたことがある。
委員長のエンコー疑惑の現場がたしかS谷(渋谷)だった。
742名無しさんだよもん:04/09/17 05:24:31 ID:EGJWrYs9
ふーん……
743名無しさんだよもん:04/09/17 09:20:55 ID:m1936SM5
>>740補足
雫の舞台はK県E市というところ
リアルで該当するのは神奈川県海老名市
744Return:04/09/17 22:54:21 ID:c2P6fvJB
あの夢。
変に現実感があって未だにあのときの感触を手がはっきりと覚えている。
まるで夢じゃなくて本当にあったことのように。
目を閉じてしまいそうなハクオロさんを私が必死になってつなぎとめようとした。
もちろんそんなものでつなぎとめられるわけがない。
本来、人の命はそんなものなのだ。
あのときだって…そうだった。
本気で思いっきり泣いた。
生きてて欲しかった。
まだ生きて、最後はゆっくりと安らかに眠ってほしかった。
それまでの間、もっといろんなことを教えてほしかった。
私の好きになった男の人の話もしたかった。
しかしそれもかなわぬ夢。
いくら祈っても…いくら心配しても…いくら相手を想ったってそれでつなぎとめることなんてできやしない。
だけど、今回の夢はどうしてもつなぎとめられたんだと信じたかった。
だって…だって最後に目を覚ます時に確かに名前で呼んでくれた。
だから…今もハクオロさんはどこかで生きているんだと信じたい。
これは勝手な考えなのかもしれない。
それでもいい。
自己満足だでもいい。
それが希望になるんだったら…私はずっとそうしていたい。
745Return作者:04/09/17 22:55:46 ID:c2P6fvJB
久々に投稿です
スレがちょっと別の方向に進んでるときの投稿でスマソ
746名無しさんだよもん:04/09/18 00:50:35 ID:0LLtxMpk
>>745
いや、いいんですってw
もともと>>739氏も最初に「スレ違いだが」って言ってますし。

新作乙です。
747Return作者:04/09/18 16:37:07 ID:gP/qafjX
ちょっと遅れましたが誤字発見です

×自己満足だでもいい。
○自己満足なだけでもいい。

こっちでおねがいします
748祐一君とアルルゥちゃんと:04/09/19 06:20:14 ID:r1OSKpq0
「祐一君、ちょっといいかな」
工具片手に仕事へ行こうとした俺はハクオロさんに呼び止められた。
「はい、なんですか?」
「今日は給料日なんだ。早めに渡しておこうと思ってね」
給料日?というかそんなものがあったんだな。
「別にいいですよ。俺や名雪を食わせてもらっていますし」
金はないけど不便に思ったことはないし、なにより俺たちは安全をもらっている。
ベナウィさんやクロウに聞いたことだが、この世界は今戦争の真っ最中だ。
迷い人の中には戦争に巻き込まれた不運な奴もいると聞いた。
それに比べ、俺たちのいるトゥスクルは平和だ。いや、ここも戦争中には違いないがそれでも平和と思える。
「いや、君たちはもう家族だ。働いてもらっているなら相応の給金をださねば
 いけないだろう?それに家族は食事を共にするものだ。気にしないでもいいさ」
「…ですけど」
「ならこの金でアルルゥたちと喫茶店に行ってくれないか。紅ヒーというものが
 飲みたいと言ってたしな」
紅ヒー…なにか後悔しそうな名前なんだが…
「…ありがとうございます。じゃあいただきます」
布袋を受け取った…うわ、重たい!
「それじゃあ頑張ってくれよ、祐一君」
「は、はい」
ハクオロさんは扇子を片手に去っていった。
749祐一君とアルルゥちゃんと:04/09/19 06:20:47 ID:r1OSKpq0
「…いくら入ってるんだ?」
ずっしり重い布袋の紐を解いた…!?
ちょ、おい…これは多すぎやしないか?
「…アルルゥたちにパフェでも奢ってやるか」
ハクオロさんの好意に甘えるとしよう。
しかし…家族か。秋子さんや真琴、あゆはどうしているんだろうか。
舞、栞、佐祐理さん、香里、美汐、北川。元気でやってるんだろうか?
「やっぱり…帰らないといけないよな」
空を仰いだ。青く澄んでいる空はどこでも同じだ。
…さてと。
「仕事に行こうかね」
地面に置いた工具箱を持ち上げた。
恩返しってほどじゃないけど、今できるのはこれくらいしかなさそうだし。
もう一度空を仰ぎ、遠くから聞こえるムックルとネェゴォ様の雄叫びを聞きながら俺は仕事に向かった。
750名無しさんだよもん:04/09/19 06:24:47 ID:r1OSKpq0
美汐→天野でした
よく見てから書き込めよ漏れorz
751名無しさんだよもん:04/09/19 18:59:42 ID:m/4PSUGI
うめぼしの謎を思い出した。
752名無しさんだよもん:04/09/19 19:09:33 ID:2/9aESqz
たまには時間的に随分前の話を。
753新しい日常:04/09/19 19:10:17 ID:2/9aESqz
「秋生さん、お茶……がないのでお水をどうですか?」
「おう、悪いな」
 秋生は手に持っていた木槌を置き、早苗の隣に座った。
 高く昇った日がじりじりと照りつけ、秋生の身体からは随分汗が流れている。
 完成に大分近づいている。外観はほぼ完成した。
 看板、戸、棚……ありとあらゆるものが秋生の手によって作られていく。
 販売スペース、居住スペースも出来、後は仕上げを残すのみである。
 秋生の作っているモノ、それが新たな住まいとなるのだ……。
「随分綺麗に出来てますね」
「まぁな。まさか大道具作りの経験がこんなところで生きてくるとは思わなかったが。
 俺としちゃあ、あとレジに窓ガラスも欲しかったんだけどな」
 水を飲み干しながら秋生は笑う。
 もし一ヶ月前の自分に今の状況を説明したとしたら、その自分は笑って否定するだろう。ありえない、と。
 それぐらい、自分らが奇特な状況に置かれていると言うことだ。

 一週間ほど前のことだ。
 その日も秋生は早苗とともにパンを売っていた。
 同時に、これからも変わらずそうであることを信じて疑わなかった。
 だが変化は突如としてやってきた。
 詳しい経緯は覚えていない。気付いたら秋生は早苗と共に何もない野原に放り出されていた。
 思えばその瞬間から自分達の日常は崩れ去ったのだ。
 それから二人は暫く歩き回って街を見つけ出した。
 安堵の息をつくのも束の間、その街の文化は自分達のそれとは違っていたのである。
 見たことも無い民族衣装、自分達とは違う耳。
 それらを見た二人はここが自分達のいた街とは隔絶された世界であることを悟ったのである。

「色がついていないのも仕方ないですよね」
「ペンキがねぇしな。鉄だってバカ高いから今は大したかまどは出来ねぇだろうな」
 外観を眺めながら秋生はそう言った。
 困ってはいるのだが、不思議と困っているように聞こえない。
「お店が繁盛してから、ですね」
「そうだな。それには明日までに完成させなきゃな」
754新しい日常:04/09/19 19:11:31 ID:2/9aESqz
 秋生は木のコップを置いて立ち上がった。
 いつの間にか秋生たちの周りには結構人が集まってきている。
 それもそうだ、秋生たちは家を作っているわけだが、その家は近くの家とはまったく形状が異なっているからである。
「なんだ、テメェら! 見せ物じゃねえぞ!!」
 秋生がそう一喝するが、人はまったく散らずに物珍しげに秋生たちを眺めていた。
 その様子を見て早苗がクスクスと笑った。

「おーい兄ちゃん、そろそろ晩飯にしようや」
 日もとっぷり暮れてきた頃、男が一人秋生に歩み寄ってきた。
 随分と人の良さそうな顔をしている。男がそう言うと、秋生は登っていた梯子を降りた。
「分かった。すまねぇな、道具を貸してもらった上に泊めてくれてよ」
「なあに、いいってことよ。困ったときはお互い様だ」
 早苗の姿は先ほどから見えない。
 おそらくは夕飯作りの手伝いでもしているのだろう。
「出来はどうだい?」
「ああ。上々だ。明日にでも開けるぜ」
「そうか、そりゃ良かった。しかし変わった店だな」
「まあな」
 男と少し会話をしながら、秋生はそれまで作っていた家の隣の民家へと入った。

「いただきます」
 秋生も早苗も、男の家族も夕飯を食べ始めた。
「おっさん、一週間も世話になったな」
「気にすんな、それより明日から忙しいんだろ?」
「そりゃぁな、久しぶりに大仕事だ」
 秋生と早苗の二人は、この世界に来た最初の日にこの男と出会った。
 秋生が最初に「ここはどこだ?」と尋ねたのが始まりだった。
 この男は元来人のいい性格らしく、秋生たちの話を疑いなく聞いてくれたのだ。
 このままじっとしていても元の世界に返れる保証はなし、二人はとりあえず生き延びる方法を考えた。
 生きていくには衣・食・住をどうにかしなければならない。
755新しい日常:04/09/19 19:12:04 ID:2/9aESqz
 それで考え付いたのが、この街に根を下ろすことである。
 この街で商売をやっていき、何とか暮らしていこうと考えたのだ。
 まず早苗が塾を開くことにより資金を稼いだ。
 幸いこの街は商売がそれなりに盛んだったので塾は需要があった。
 早苗の調達した資金を元手にそれから……。

「兄ちゃん、大丈夫なんかい? いきなり商売なんか始めちまってさ、商売ってのは難しいぜ」
「心配すんなって。向こうではこれで飯を食ってたんだぜ?」
「しっかし、心配だなぁ。大工仕事だって俺に任せてくれりゃもっとがっしりした家建ててやれたのによ」
 男はそういうが、秋生はそこは譲れなかった。
 いくら大道具の経験があるからといっても基本的に素人だ。少し不恰好になってしまっている。
 だが秋生はあえて自分で作ることを主張した。
 それがこれからの意志にも繋がるから。
「おっさんおっさん。初めってのは大切なんだよ。これから俺たちはここを日常にしなくちゃならねえ。
 少なくとも帰れる方法が見つかるまではな。……だがよ、残しておきたいんだ。
 以前俺たちがこの手で作り上げた自分達の店の姿だけでもな……」
「……まあ、そこまで言うんならもう俺からはなにも言わねえ。
 けどな、一つ覚えといてくれ。この國はそんな甘いことが通る國じゃあねえよ。
 街に人情はあっても國に人情はねえ。そういう國だ、このケナシコウルぺは」
「分かった分かった。心に留めとくぜ」

 日常とは毎日の変わらない生活のことだ。
 秋生たちは確かに今までの日常を失った。しかし、ここでの生活が続けばここが日常となる。
 大切なことは戸惑うことより慣れることなのだ。
 だが、慣れることが大切だからといってそれは以前の生活を忘れることではない。
 そのためにも秋生は店の外観だけでも以前と同じくした。
 ガラスやレジ、電化製品など代替の効かないものは仕方なかったがかなり似せられたと秋生自身思っていた。
756新しい日常:04/09/19 19:12:27 ID:2/9aESqz
 道具は満足にない。
 以前あった立派なオーブンの代わりに貧相な鉄板一枚。
 パンつかみもトレイも早苗の手作りだ。
 それすらも早苗のたった一週間の授業料では足りず、借金までしている。
 全ては0からだ。客は自分の手で引き寄せなければならない。

 翌日、仕込みを終えた秋生は店頭に立った。
 満足な道具もない中仕込むのは大変だったが、それでも今までの経験でどうにかなるものである。
「いよいよですね、秋生さん。ワクワクしてきました」
「そうだな。けどよ……これでコケたら俺たちは借金も返せず首をくくるしかないかもしれねえぜ?」
「大丈夫ですよ。私と……秋生さんがいるから」
 二人の胸はドキドキしていた。
 気持ちは初めてパン屋を始めたときに似ていた。
 だからだろうか……不思議と確信がもてる。これから先失敗は……ないと。
 正確な時間は分からないが、日の昇り方でおよその時間を確認する。
 およそ、いつもの時間。
 店の扉は開かれた。

―――古河ベーカリー、本日開店

757名無しさんだよもん:04/09/19 22:19:22 ID:d08tYgcO
あっきーと早苗、遂に登場ですか!
出現時期がケナシコウルペ時代と言う点が、今後の展開にどう生きてくるのか、気になります。
また、渚がいつ出てくるのかも。
758FARE-M ◆7HKannaArk :04/09/20 20:16:38 ID:Ju9Li7QZ
更新完了です。
……喉痛い……
759名無しさんだよもん:04/09/20 20:54:44 ID:5Py1Kq4T
いつも乙かれです。
お大事に・・・。
 今日も街にパンの香ばしいにおいが漂う。
 ケナシコウルペの城下町の一角、明らかに他の建物とは異彩を放っている店。
 そこが古河ベーカリーだった。
 古河ベーカリーは初日はなかなかの売れ行きを誇っていた。
 もともとこの國にはパンという食物が存在しなく、住民の好奇心を掴んだらしい。
 秋生と早苗はその日は休む暇もなかった。
 しかし、一週間ほど経った現在、問題が発生してきたのである……。

「う〜む……」
 帳簿を見て秋生が首を捻った。
 別に売れ行きが悪いわけではない。いや、むしろ前の街にいたときよりもいい売り上げだ。
 しかし、それでも秋生は不満顔だった。
「どうかしたんですか?」
「ああ、早苗か。ちょっとこれまでの売り上げからあとどんぐらいで借金を返し終わるか計算してたんだ」
「そうですか……それで、あとどのぐらい掛かりますか?」
「5年。こりゃきついぜ」
「どうしてです? 5年間のローンならそれほど大したことは……」
 早苗の言葉に秋生は首を振った。
 タバコがないので代わりに果物を口に入れて退屈した口元を誤魔化す。
「けどな、それは俺たちがギリギリ生活していけるだけのペースで金を返し続けたときの話なんだ。
 途中新しいオーブンだって欲しくなるだろうし、他に何も買えやしなくなる。
 俺の設計の家じゃあ後で建て直しとかも必要だろうし、お前だって新しい服とか欲しくなるだろ?」
「私はお洋服なら我慢できますよっ」
「バカヤロウ、俺が構うんだよっ。早苗、お前に侘しい思いはさせたくねぇ」
「なら、もっと時間をかけてお金を返していけばいいじゃないですか」
「そうするとだな、倍は時間掛かるぜ?」
「平気です。私達が最初のパン屋を始めた時だってローンは8年払いだったじゃないですか」
 早苗は笑って答えた。
 これからのことを楽観的に受け止めているらしい。
 苦労も楽しみのうち……早苗らしい考え方だった。

「……悪いな、お前には苦労かけちまって」
「それは言わない約束ですよ、秋生さん」
 冗談を交わしながら二人は笑った。
 何だかんだいってこの生活には随分順応してきているようである。

 翌日秋生は一人で店番をしていた。
 理由は早苗が奥の部屋で塾を開いているからである。
 これも金銭は戴いているのだが、如何せん生活の糧に出来る金額ではない。
 この付近の住民はそこまで満足な生活を送っているわけではなく、大きい金額は取れないのだ。
 ただ、趣味として割り切っている早苗はあまり金儲けとして考えていないようだが。
 早苗が塾を開いている時間帯は客の周りは少なく、秋生も店に寄った客と談笑する余裕もあった。
「ほらよ、パン二斤だ」
「ありがとさん。しかしここまで繁盛したら直ぐに國一番の金持ちになっちゃうんじゃないかい?」
「くだらねえお世辞はよせよ。繁盛してるように見えても借金がかさんでるんだよ。
 ……せめてもっとでかい仕事が入れば話は別なんだがな。何百何千人と働いている工場から発注とかよ」
 客も帰って店に人がいなくなると、表が騒がしくなってきた。
 生き物のいななきの声が聞こえてくる。ガチャガチャと金属の揺れる音もする。
「何だ一体?」
 秋生が店先から顔を出してみると、そこにいたのは武装した兵数人。
「……あなたが最近噂になっている食品屋の主人ですか」
「ん、誰だオメェは?」
 武装している兵たちに臆せず秋生は聞き返した。
 足軽が四人、そしてリーダーらしき男は馬のような生き物に乗っている。
「これは失礼しました。私はベナウィ、この國の皇に仕える一武人です」
「その武人様が、俺に何の用なんだ? 勝手に店を開いたから説教でもしに来たか?」
「いえ。この國に民が増えることは喜ばしいことですし、その件について言及するつもりはありません」
 ベナウィはあくまで事務的に秋生の言葉を受け流した。
 冷たい。秋生のベナウィに抱いた素直な感想がそれだった。
 この人物はあくまで仕事に感情を持ち込まない。
 自分とはあまり肌に合いそうにない人物である。秋生はそう判断した。
「ですが……あなたの身元、それについて二三聞きたいことがあります。
 あなたはこの世界とは別の世界から来た……そう仰ってますね?」
「だったらどうだっていうんだ?」
「いえ、別に。ここには確認のために来ただけですから。
 異世界からの来訪者だからといって今のところは国外追放に処すことなどはありません」
「そうしてくれるとこっちとしてもありがたい」
「しかし建国以来前例のないことですから、対応策がまとまっていません。
 質問しますがあなた方の他にもこの世界に来た者はいるのですか?」
 秋生は内心穏やかではなかった。
 対応策がまとまっていない……それは言い換えれば保留のようなものだ。
 これから先どう転ぶか分かったものではない。
 もしもこの國を治める皇が迫害などを始めたりしたら自分達は家を追われるのだ。
 ベナウィに気取られないように、秋生は答えた。
「さあな。俺と妻の早苗以外俺たちの知り合いなんて見ちゃいねえ。
 俺たちだって気付いたらこの世界にいたんだ。さしずめ……迷い人ってところか」
「迷い人……ですか」
 秋生がそう答えるとベナウィはふっと笑った。
 そして、馬のような生き物に飛び乗る。どうやらもう去るようだ。
「分かりました。つまりはあなた方のほかにこの世界に迷い込んだ者はいないというわけですね。
 迷い人……おそらくこのような対応は最初で最後になるでしょうが、あなた方がここで暮らせるように善処します」
 それだけ言ってベナウィは背中を向けた。
 武装兵もその後に続き、その背中は段々小さくなっていく。
 なお、このときのベナウィの見立ては将来的に大きく外れることになる。
 この世界に迷い人が沢山出没するようになったのは、丁度この頃のことだった……。

「……というわけでよ」
 夕食の時間に、秋生はベナウィのことを早苗に話した。
「ベナウィさん、ですか」
「どうやら俺たちもこれから先どうなるか分かったもんじゃないぜ。借金だってまだまだあるしよ」
「でも秋生さん、軍隊なら一杯人がいますよね? もしその人たちにパンを売ることが出来たら……」
「……そうだな! そしたら借金なんかあっという間になくなるな!
 よーし、明日早速あの野郎に掛け合ってみるか!!」
 秋生がぐっと拳を握る。
 そんな中、今日も古河ベーカリーの夜は更けていくのだった。
764名無しさんだよもん:04/09/22 19:14:50 ID:dLGIsWgw
新作乙。
なんかこの夫婦はどこででも生きてけそうだな。いい意味で。
765名無しさんだよもん:04/09/23 16:45:38 ID:0rCH7zXY
いかん。どうしてもこの組み合わせを見るとハカロワUを連想しちまうw

まあそれは別として乙です。
766名無しさんだよもん:04/09/25 20:17:12 ID:qKE9fzgk
保守
767名無しさんだよもん:04/09/26 14:13:16 ID:uP9GTSfP
hosyu
768名無しさんだよもん:04/09/27 00:00:29 ID:BOCkjKjG
 ……ギシ、ギシ、ギシ……
 ――はぁ、はぁ、はぁ……。
 ――はわ、はわ、はわわぁぁ……。
「どおおだあ、冥土ロボぉ、俺のモノがズブズブ入っていく感触はあああーーーっ!」
「はわわ、す、すごいですう〜〜っ! どんどん入っていきますう〜〜! 冥土に逝っちゃいそうですぅ〜〜!」
「うおおーーーっっっ!!! まだだあ、まだまだだああーーー!」
「はわ、はわ、はわわ〜〜! こんなにすごい勢いだと、壊れちゃいますう〜〜〜!」
「阿呆かお前はーーーっ! この程度で満足と思ってるのかーーーっ! まだ半分だあっ! まだ半分しか俺のモノは入っちゃいねえーーーっ! これからが本番だあーーーっ!」

「……おい」

「恥ずかしいと思わないのかーーーっ! 俺の生命のカタマリが、この管からズブズブズブズブとお前に注がれてるんだーーーっ! 今、この瞬間、俺はお前に活力を授けてやってるんだーーーっ! 有難いと思わないのかーーーっ! こらぁーーーっ!」
「はわわ〜〜っ、う、嬉しいですう〜〜、し、痺れそうですう〜〜」
「参ったあ、俺は参ったあっ!!! この俺の肉体の躍動が、お前の肢体をよがらせ、お前に生命の源を与えつつあるとは!! 実に参ったあ!」

「……こら」

「いくぞおーーーっ、いくぞおーーーっ、残りの半分を、お前の体内に送り込んでやるぞおーーーっ、いくぞおーーーっ」
「はわわ〜〜、な、流れこんできます、流れこんできますう〜〜! ビリビリ来ますう〜〜」
「感じろおーーーっ、よーーーく感じろおーーーっ、俺の生命の迸りをぉーーーっ」

「……いい加減に……」

「いくぞおーーーっ! うおおおおおおおおおーーーーーーーーっ」
「はわ、はわ、はわわわわわわわわわ〜〜〜〜〜っ」
「どおおだあああっ、どおおおおおおだあああああああっ、どおおおおだああああああああああああああああ」
769名無しさんだよもん:04/09/27 00:01:30 ID:BOCkjKjG
 カンホル「しろがこの糞蟲っ!!!」
 バキャッ!
 高槻「あぼふうっ!?」

 カンホル「自転車漕ぎながら何を妙なこと喚き散らしてやがる?! 人手が足りなくなって、自転車漕ぐことを条件に牢から出してやったら調子こきやがってからにっ。黙ってキリキリ漕げっ!」
 高槻「参ったぁ、実に参ったぁ、折角出られたら、自転車を漕がされることになるとは、実に参ったあああああっ!」
 マルチ「はわ〜、すみません、高槻さん。残りの40%の発電、お願いしますぅ……」
 初音「何か……漕ぐのが速すぎて、自転車がギシギシ行ってて、怖いですよ……」
 高槻「何だとおおおおっ、この俺愛用のFARGO備え付け特製ママチャリがそう簡単にへたばると思ってるのかああっ。人里に買出しに行く足としてだけでなく、特製バイブの発電に大いに活躍したコイツがかああああっ! 
     二人乗りプレイも可能な幅広シートおよび股間をすりすりごしごし擦っても柔肉に一切傷をつけない滑らかな動力ベルトおよび暗闇でも肉襞の奥の奥まで照らす赤外線ライト付きの、この潮吹き昇天号が、そう簡単にへたばるとでも……」
 カンホル「…………(ドガッ)」
 高槻「うおわあああっ! スタンドを蹴り上げるとはっ! 参ったあ! 実に参ったあああああああああぁぁぁぁぁ(べりっ)うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 初音「あ――――高槻さん、すごい勢いで壁を破って、空中に飛んでっちゃいました……」
 カンホル「ほっとけあんな糞蟲! マルチの残りの発電は、ボナホイにやらせる!」
 ボナホイ「……OTL……」
770名無しさんだよもん:04/09/27 00:20:20 ID:eROZldQd
違う!真のカンホルダリならその役目は自分でやる!w

つーかそれ以前に、ボナホイじゃなくてポナホイなんだが。
771名無しさんだよもん:04/09/27 00:46:44 ID:BOCkjKjG
>>770
エイエソの世界で反省して参ります……orz
772名無しさんだよもん:04/09/27 00:47:17 ID:UfyIaaSP
新作乙です。

しっかし、このスレギャグに走ったり真面目な戦闘したりとコロコロ変わる。
そしてこれからちょっとスレのふいんき(←何故か変換できない)をギャグから変えます。
 玉座。
 一國の主が座るその場において、人は誰でもその主君に平伏する。
 その玉座にまた一人、皇に謁見しようとやってきた人物がいた。
「おまえが最近隣の集落に住み着いた迷い人にゃもか。一体朕に何の用にゃも?」
 この國の皇インカラは持っていたキセルをふかして言った。
 もし、この男が玉座に座っていなければ誰もこの男を皇だとは思わないだろう。
 強い態度を取ってはいるが、威厳というよりも傲慢さしか滲み出ていない。
 秋生はそんなインカラの態度を気にせずに用件を話した。
「俺はパン屋だ。パン屋の用は一つ、パンを売ることだけだ。皇、あんたにパンを買ってもらいたいんだよ」
「パン? 何にゃもかそれは?」
「こいつさ。食ってみれば買いたくなって仕方がなくなるぜ」
 秋生はにやっと笑い、包みに入れていたパンを取り出した。
 もともと実物を食べてもらうつもりでここに来たのだ。それぐらいの用意はしてある。
「……ベナウィ。食べてみるにゃも」
「御意」
 流石に一國の皇、毒殺を恐れてまずは側近に食べるように命令した。
 インカラの換わりに受け取ったのはベナウィ。
 昨日秋生の前に現れた武人だ。
 秋生の手からパンを受け取り、口に含んで咀嚼する。
「どうだ? 俺のパンは」
「……なるほど。なかなか良い味です。主食になりますね」
 ベナウィは笑顔でそう答えた。ベナウィからの印象はかなり良い。
 ――――これはいい結果を得られそうだ……。
 そう秋生は内心ほくそえんだ。しかし、インカラはにやりと笑うと、
「だったら大したことがないにゃもな。そのパンとやらは」
 そう言いきった。
「なっ!? どういうことだよ! あんたの部下のベナウィはうめぇって言ってるじゃねえかっ!」
「おまえは何も分かってないにゃも。ベナウィが美味いと言ったらそれは凡人の味。
 朕のような高貴な者の口に合うはずがないにゃも。そもそも朕とベナウィでは舌が違うにゃも」
 見下したような視線で秋生のことを見る。
 冷やかし。不意に秋生の頭にそんな言葉が浮かんだ。
 そう、インカラは冷やかしと同じだ。
 言うだけ言って買っては行かない。冷やかしの連中と変わらない。
 秋生は言いたいことがあったがぐっと堪えた。
 ――――冷やかしとはいえ、客は客。客に腹を立ててはいけない。
 秋生はなおも食い下がった。
「なあ、そう言わずに食ってみてくれよ。その一口でこれまでの価値観が変わるぜ」
「嫌にゃも。凡人の食べ物など朕が死んでも口にはしないにゃも」
 食い下がっても頑なに拒否する。
 インカラは秋生がどんなに頼んでも首を縦には振らなかった。
「ちっ。俺のパンはこの國一番なんだがな」
 なお、これは比喩ではなく事実だ。
 この世界にパン屋が古河ベーカリー一軒しかないのだから当たり前である。
「まあいいさ。別に食ってもらえなくても、今日の用件は試食会じゃねえしな」
「で、早く用件を言うにゃも。朕はこれでも忙しいにゃも」
 インカラが不機嫌な顔で次の言葉を促した。
 秋生としては次が正念場。
 例えこの皇にパンを食べてもらえなくとも、こちらが立てば今日の目的は済むのだ。
「ああ、今日の用件は俺のパンを兵糧として使って欲しくて来たんだ」
「兵糧、にゃもか?」
「そうだ。あんたの國だって兵隊はいるだろ? その兵隊の昼飯は何をやってるんだ?」
「昼飯? 昼餉のことにゃもか? ベナウィ、何をやってるにゃも?」
 インカラはまたベナウィに問いかけた。
「……現在ケナシコウルペでは食料は費用が捻出されず兵の自己負担となっております。
 加えて申しますと、そのことについて兵の不満の声もあり、改善が要求されています」
「そこまでは聞いてないにゃも。……まあ、とこういうわけにゃも」
 杜撰。
 その言葉が口まででかかったが、秋生はやっとの思いでそれを押し込めた。
「兵隊が不満なんだろ? だったら俺のパンを買って万事解決だ。
 俺のパンは美味いし、軽いし、もつし、兵糧には最適だぜ」
 秋生がそう推すと、インカラは少し考え込んだ。
 買ってくれるかどうか考えているらしい。
「聖上、恐れながら私も賛成です。兵の自己負担は減らすべきかと存じます」
 ベナウィも賛成してくれた。
「お前は黙っているにゃも! ……けど、そうにゃもね。兵に昼餉を与えてやるのも悪くはないにゃも」
「買ってくれるか皇様よぉ! 助かるぜ、そんだけ注文があれば借金も直ぐに返せる」
「買う? お前は名に寝ぼけたこと言っているにゃも?」
「な、なに?」
 インカラ皇は笑みを見せた。
 先ほどの人を見下した笑み。その笑みに秋生は少し不快感を覚えたが、それは心の中に押し込んだ。
「義務にゃも」
「義務?」
「そう、これは売買ではなく義務にゃも。おまえに兵糧の生産を命じるにゃも」
 無償。つまるところそれだった。
 先ほどまで我慢していた秋生だが、そのインカラの言葉でとうとう我慢が限界に達した。
 秋生にしてはよく持ったほうである。
「ふっ、ふざけるな!! 俺は遊びでパンを売ってるんじゃねえ、売らなきゃ生活できねえから売ってるんだよ!!」
「朕に逆らうにゃもか? この國の皇は朕にゃも。お前がこの國にいられるのも朕のおかげなんにゃもよ?」
「そこまで言うならこっちから願い下げだ! こんな國こっちから出てってやるよ!!
 パン屋がここでしか出来ないわけじゃねえ。他の話の分かる國で開業してやる!」
「出てく? この國は余の許可がない限り出國は出来んにゃも。
 もしも不法出國者があれば例外なく射殺されるにゃも」
「な、なんだとぉっ!?」
 秋生がぐっと拳を握るが、ベナウィが秋生の肩に手を置いてそれを制した。
(落ち着いてください。聖上に手を出せばそれだけであなたは処刑されます)
(ぐっ……!!)
 そう耳打ちされ、ゆっくりと拳を下ろす。
「ん、どうしたにゃも?」
「いえ、秋生殿は気分が優れないようです」
 秋生の代わりにベナウィがそう誤魔化した。
「聖上、それは秋生殿の負担が大きく、秋生殿の生活を圧迫しかねません。
 國から経費は出したほうがいいかと存じますが……」
「ベナウィ。お前はいつ朕に口を挟めるほど偉くなったにゃも?
 金なんてびた一文出さんにゃも。どうして兵の昼餉などに金を使わなければいかんにゃも。
 そんなものに出すよりも朕の髪の手入れをするほうが万倍大切にゃも」
 秋生の我慢の限界に達した怒りはベナウィが制したおかげで一時は収まっていた。
 しかし、今の言葉はそれを再び表面に出させるのには十分な言葉だった。
 秋生は今まで態度の悪い客も相手にしてきたが、この國の暴君はそのどれをも上回っていた。
「ふざけ……!!」
 今正に秋生が拳の制裁をインカラに加えるべく立ち上がろうとしたそのとき、不意に秋生は崩れ落ちた。
 最初秋生は何が起きたのか分からなかった。
 立ち上がった瞬間腹部に強烈な痛み。そして目の前に迫ってくる床。
「……お前、どうしたにゃも?」
 インカラが怪訝な顔をする。何か言おうとしても声が出ない。
「秋生殿、大丈夫ですか?」
 ベナウィの声が聞こえてくる。
 そのときに秋生はベナウィに当身を食らわされたことを理解した。
 そして、理解したそのときに秋生の意識は闇に落ちて行った。

 次に秋生が目を覚ました場所は玉座ではなかった。
 薬らしきものが棚に並んでいるし、自分が寝ている場所は床(とこ)の上である。
 ここは多分診療所のような場所なのだろう。
「う、ここは……?」
「……気付かれましたか?」
 そして、秋生の目の前にはベナウィがいた。
 おそらくここに秋生を運んできたのはベナウィであろう。
 起き上がろうとすると、腹部にまた痛みが走る。
「っつ……!!」
「……いきなり手荒なまねをして申し訳ない。そうしなければ止められぬと思いました故」
 ベナウィの言葉で先ほどのことを思い出す。
 脳裏にインカラの嘲笑が浮かび上がって秋生の苛立ちは募った。
「畜生……あの野郎」
 結局兵の食料供給を無償で命じられることになってしまった。
 逆らえば刑罰……従わざるを得ない。
 もともと権力に屈するというのが嫌いな秋生にとってそれは精神的に苦痛であった。
「あなたには大変申し訳なく思っています。どうか、ここはご容赦を」
「容赦? ……容赦なんて悠長なこといってられると思ってるのか?
 兵糧の生産だぞ? 材料の調達だけでいくら掛かると思ってる。
 もともと俺たちは今の店を作り上げることだけで相当な借金してるんだ、
 これじゃあいつまで経っても借金なんか返せねえよ!!」
「……どうか、ここは堪えてください。いずれは皇の気が変わることもございましょう」
 ベナウィは秋生にそれしか言えなかった。
 今回のことは全面的にインカラが引き起こしたことではあるが、ベナウィもまた責任を感じていた。
 民あってこその國と考えているベナウィにとって、また一人の民が苦しみに落ちることが辛かったのだ。
 しかも、気休め程度の言葉しか浮かんでこない。そんな自分が歯がゆかった。
「やめてくれ、そんな慰めは。あんたが何言おうが事実は変わらねえんだ」
 秋生の言葉を受け、ベナウィはぎゅっと唇をかんだ。
 返す言葉もない。
「けっ、何が國皇だ。ただの我侭で自己中君主じゃねえか、およそ皇に似つかわしくない。
 あんなのが皇をやるぐらいなら近所のガキにやらせたほうがまだいい政治をするぜ」
「……その言葉、取り消してください」
 じっと秋生の文句を聞いていたベナウィだが、秋生のその言葉には異を唱えた。
「なんだよ、俺ははっきり本当の事を言ったまでだぜ?」
「貴方がどう思おうがこの國の皇はインカラ皇。
 聖上を侮辱する言葉は聖上に仕える武士としては黙って聞き流すわけには行きません」
「へっ、君主は絶対ってワケか」
「無論です」
「んで、自分の意見があろうがその君主様の意見を最優先するのか。
 自分が正しくないと思うことでも、君主の命令があれば言われたとおりに動く操り人形、それが武士か。誇らしいことだな」
 ベナウィは動けなかった。
 秋生は立ち上がって部屋の入り口に差し掛かったところで振り返り、
「パンはちゃんと焼いて持ってきてやるよ。刑罰は受けたくねえしな。
 俺の作ったパンを食ってしっかり『武士』やってくれ」
 吐き捨てるようにそれだけ言って部屋を後にした。部屋にはポツンとベナウィ一人。
 自分は武士として行動した。それは確かなはずなのに、
 ベナウィの胸には何故か後悔の念が渦巻いていた。






……長くなって申し訳ありません
779名無しさんだよもん:04/09/27 01:51:12 ID:W87u9dpx
GJにゃも。
これから面白くなりそうな展開にゃもね。
780FARE-M ◆7HKannaArk :04/09/28 18:44:18 ID:nO3TFduP
更新完了です。
781名無しさんだよもん:04/09/28 21:01:27 ID:8xfMF2wU
毎度お疲れさまです。

そろそろ迷い人の分布図も欲しい処ですかね(無理言うな
782FARE-M ◆7HKannaArk :04/09/28 22:14:40 ID:nO3TFduP
図じゃないけど、初出の時代、場所を記したのが上げてありますよ?
わかる範囲だけで、しかもかなり適当ですがw
783名無しさんだよもん:04/10/01 01:52:40 ID:kzJXeUIJ
hosyu
784名無しさんだよもん:04/10/01 04:34:02 ID:wO6gYwct
結構書いてたデータが飛んだー'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、(ノ∀`)'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、
ちょっとづつ書きこんどけばよかった・・・
785名無しさんだよもん:04/10/01 04:41:29 ID:cIcjy0fR
イ`ッ……!
イキてくれっ……!
頼むっ……!!
俺も……書くっ……!
786名無しさんだよもん:04/10/03 10:49:45 ID:T420DCQ0
保守。
俺も書いてはいるがはかどらん…「みんながんばれ」
787名無しさんだよもん:04/10/05 00:53:35 ID:GMrfAzKb
    _  _ _   _ アゥー    、            
   l[》'《|l   ヾl| 
   i| lノノリノ)))〉                ズドゥーン       
 ___!! !!l| ゚ ヮ(ニ((ニC______.,.,..,.::'''"´""''';;;- __
 ヽZL!! ! ̄]つ1-L_l---A'´ ̄ ̄ ̄ ̄~~""''''-''''""    
788名無しさんだよもん:04/10/07 19:30:54 ID:C8qc8ZyL
保守
「秋生さん、聞きました? 國の食料庫に泥棒が入ったみたいですよ?」
「んぁ?」
「何でも、先日他の集落から徴収した食料がごっそりなくなっていたらしいんです」
「はっ! いい気味だ!!」
 最近秋生は國家に対し侮蔑の気持ちを抱いていた。
 理由はもちろん先のインカラ皇の態度である。
 家計は日に日に苦しくなっていった。食費を切り詰めて利潤を出そうとしても税として持っていかれる。
 現状維持が手一杯。とても儲けることは出来ない。
「……なあ、早苗。お前はこんな生活満足か?」
「どうしたんです? そんな突然」
「俺たちがどんなに頑張ってもぜんぶ税として持ってかれて、生活は一向に楽にならない。
 俺は自分が情けねぇよ。早苗の一人や二人ぐらい楽させてやれねぇなんてさ」
「ふふっ、秋生さん」
 秋生のぼやきに早苗は笑った。
 そのまま、窘めるような形で語りだす。
「私はそれでもいいですよ。お金がないことなんて大した苦にはならないですよ。
 渚たちがいないのはちょっと残念ですけれど、それでも秋生さんがいるじゃないですか。
 いつもお腹が空いているのだって結構なことじゃないですか。その分ご飯が美味しく感じられますよ?」
「早苗……」
 秋生はじっと早苗のことを見た。
 心なしか、頬が少し痩せこけているようにも見えた。
「……すまねぇな」
「いいえ。気になさらないでください」
 ふぅ、とため息をつく。
 秋生はここに来てからは苦労が多く、早苗に迷惑ばかりかけている気がしてならなかった。
 早苗は不平を一言も口に出さないが、そのことが却って秋生を苦しめた。
「……おう、適当に買ってけ」
 翌日訪れた客に秋生は不機嫌そうに答えた。
 その客は無言でパンを幾つか選んでいる。
 秋生としては、この客はあまり顔を合わせたくない人物のうちの一人に入るが、商売は商売である。
 早苗に店番を変わって欲しかったところだが、生憎と早苗は塾のためにそうもいかなかった。
 暫くするとその客……ベナウィが何種類かのパンを秋生の前に置いた。
 無言で秋生がパンを紙袋に入れていく。
 その場にパンをしまう音だけが無機質に鳴り響いていた。
 代金を払う段階になって、ベナウィは紙幣を一枚出した。
 慣れた手つきで秋生がおつりを取り出していく。
 ここのところベナウィは定期的に古河ベーカリーを訪れていた。
 おそらくは自分の空いている時間を使ってきているのだろう。
 ただ、会話は成立しなかった。
 ベナウィが会話を切り出すことはなかったし、秋生も話を振ることはなかった。
 無言でおつりをベナウィに渡し、秋生は椅子に乱暴に腰掛けた。
 ベナウィのほうも何か言いたそうな表情ではあったが、敢えて何も言うことはなかった。
 おそらく二人の間の溝が自然に埋まることはないだろう。
 ベナウィは良くも悪くも武人であり、秋生も良くも悪くも商売人だということだった。
 ベナウィは店を出る。秋生は無言で商品の陳列を始める。
 住む世界が違う。それを如実に表していた。

 ほんの僅かなモロロに申し訳程度の野菜。
 それが秋生たちの夕食だった。今の秋生たちにはそれで手一杯なのだ。
 街に人情はあっても、國に人情はない。
 ここに来たときに隣の家の男が言った言葉だ。
 今になってその真意がよく分かる。そしてそれが劣悪なことだということも。
 この街の人間は誰でも、そんな國に不満を持っていることだろう。
 だが逆らうことも出来ず、結局は今の立場を受け入れるしかない。そんなところだった。
 簡単な夕食は直ぐに終わった。
 秋生の腹は再度食物を要求するが、家計がそれを許さなかった。
「ちっ……」
 秋生は不満げに身体を床に投げ出した。
 タバコを吸いたいところだが、この世界はタバコは貴重品のようで秋生には手に入れることは出来なかった。
 よしんば出来たとしてもそんなものを嗜んでいる余裕などありはしないのだが。
 早苗の食器を洗う音だけしか秋生には聞こえなかった。
 このような生活をしていれば、時折早まったことも考え付く。 
「なぁ、早苗。いっそ……」
「……なんです、秋生さん?」
「……いや、なんでもない」
 ……いっそ、駄目もとでこの國を出てみないか?
 そう言おうとしたが、最後までその言葉が出てこなかった。逃げのように感じられたから。
 だが、今の生活を続けていられないことも秋生は分かっていた。
 このままの生活が続けば早苗は倒れてしまうだろう。日に日に早苗の元気がなくなっていることからそれが分かる。
 だが……今の秋生の力ではどうしようもなかった。
 そんな折だ、ふと早苗が口を開いた。
「……そういえば、秋生さん」
「ん、どうした?」
「教え子の親御さんから聞いた話なんですけれど……」
 早苗が少し心配そうな口調で話し始めた。
 その話を聞くに連れて、秋生は自分の中の運命の歯車が回り始めたことを感じていた。
 これが……転機となるかもしれない。
 自分が直接関わるにしろ関わらないにしろ、結果如何で自分の運命は大きく変わることだろう。
 早苗の言葉は、秋生の心の内を無意識に興奮させていた。


――――ヤマユラという地域で、民の反乱があったらしいですよ

792名無しさんだよもん:04/10/08 06:00:06 ID:iYI9MsZL
GJ!

でもヤマユラってどこだったっけ?
793名無しさんだよもん:04/10/08 08:07:17 ID:tHVpzCpG
>>792
スタート地点だよ!
トゥスクル婆さんが村長やってたトコだよ!!
794名無しさんだよもん:04/10/09 19:45:31 ID:BDEa8f3C
キタキター、GJ!
795名無しさんだよもん:04/10/10 00:14:37 ID:6rLz+Uck
うたわれるものの世界にミモザがいたら
796名無しさんだよもん:04/10/10 01:43:40 ID:uJ2+N2NH
葉鍵キャラがうたわれるもの世界に召還されますた

…いや、何でもない
797名無しさんだよもん:04/10/11 23:22:52 ID:+qwjnUyR
>791
続きがたのしみです
798名無しさんだよもん:04/10/12 13:42:11 ID:DdAWVcw6
査問内徒
799扉の向こう・3:04/10/13 00:18:12 ID:Ct2T8/Ni
森を抜けられたみたいだ。
まったく舗装などはされていないが、道がある。
「ふぅ…」
ため息をついてから、とりあえず僕は道に沿って歩いて行くことにする。
その道中、僕は今までに起こったことを整理することにした。
まずは、家を出て学校へ向かった。
その途中、気づいたらどこかの森の中にいた。
森の中では、猿みたいな生物や虎みたいな生物が口から泡を吹いて倒れていた。
今まで見たことのない生物達を近くで見ようと、近づくとその生物達は動かなくなった。
つまらない。
今は森を抜けて、何処につながっているかわからない道に沿って歩いている。
空は赤くなり、太陽が沈み始めている。
学校にはまだ着かない。
ここはK県E市なのだろうか。
800名無しさんだよもん:04/10/13 01:15:42 ID:3aMwsVrb
グッジョブ!
長瀬ちゃん禍日神の道へとまっしぐらだな……
801名無しさんだよもん:04/10/14 20:21:22 ID:lkCs+9UA
┌──________________________──┐
│  \..  2CHバニラ  アイスたっぷり、うまさ大満足age!!.  /  │
│  /.                                .  \ .│
│  \            ____   . _    ___ . . /  │
│  /.  ∧_∧      |      | __| |_  |      |  \.....│
│  \.  ( ´∀`)      ̄| | ̄ ̄ |      |  ̄|  | ̄   ./....│
│  /.  (    )     | ̄   ̄ ̄|  ̄ ̄|  | ̄ | ̄   ̄|  \  │
│  \.  | | |       ̄| | ̄ ̄    / /    ̄|  | ̄ . ./. ..│
│  /.  (__)_)      |  ̄ ̄|   / /   | ̄    ̄ |  \  │
│  \               ̄ ̄ ̄     ̄     ̄ ̄ ̄ ̄  ./. .│
│  /. 希望小売価格<税別>100円 種類別ラクトアイス     ..\ ..│
│  \..                                  /.. .│
└── ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄──┘
802名無しさんだよもん:04/10/14 22:20:00 ID:6AYwqA0K
↑801
803名無しさんだよもん:04/10/17 14:52:53 ID:98dzhG+C
ほしゅ
804名無しさんだよもん:04/10/18 20:10:17 ID:6n/EPvog
空いてるなぁ・・・
805名無しさんだよもん:04/10/18 22:02:47 ID:nqKe19Ez
そうだな・・・・・・。
806名無しさんだよもん:04/10/19 16:03:41 ID:M+s0Csg+
そうだよね……。
807名無しさんだよもん:04/10/19 16:21:10 ID:dkTQfrlS
スレの残り容量が少ないからじゃ?
808名無しさんだよもん:04/10/19 16:41:40 ID:VzONOPdx
state
809名無しさんだよもん:04/10/19 18:03:01 ID:2tfBKAcN
現在で435kbだから、
まだ65kb残ってるよ。
残り容量の心配は、もう少し先でもいいんじゃ?
810名無しさんだよもん:04/10/20 18:18:25 ID:hrPpKBzD
まだ800!イケル!
811名無しさんだよもん:04/10/21 07:47:17 ID:V+QjhSwm
ちょこちょこやってるけどな…漏れには大局的な話は無理だと痛感orz
ほのぼのでもやるか…
812名無しさんだよもん:04/10/21 19:41:50 ID:8l++7KCv
うh
813名無しさんだよもん:04/10/23 03:19:55 ID:IjTNUyy6
ネタきぼんぬ
814名無しさんだよもん:04/10/24 09:57:44 ID:ZY+rSRE5
続きは?
815名無しさんだよもん:04/10/25 14:50:44 ID:pl56zAsJ
>>811
ほのぼのでいいと思うよ。
816名無しさんだよもん:04/10/25 18:40:23 ID:b7fOSU6L
sage
817葉田信鍵 ◆.T76NLtXTY :04/10/26 14:19:02 ID:iZCXaCmO
  ____ ____  __/_   ー | ヽ
  _|_    |、     /_l_   ̄ ̄| ̄
    人      | ヽ. / | . | 」  ├  |
  /  \    |         |    ⊥!ノ \_/
818名無しさんだよもん:04/10/29 02:32:50 ID:QD3raWTY
メンテ
819名無しさんだよもん:04/11/02 21:30:22 ID:iPEEMXao
hosyu
820名無しさんだよもん:04/11/02 22:13:10 ID:8U1c9+1/
保守あげ
821異界滅殺録〜転移〜:04/11/03 10:46:01 ID:34rEOQ8r
木。草。鳥のさえずり。天気は晴れ。
どこを見ても緑のその風景。心休まる空間であった。
そこが見知らぬ場所でなければ・・・。

「うぐぅ……。ここどこ……?」

月宮あゆ。17歳。
背中には白い羽。可愛らしいといえるのかは人によるが、
その羽すらも疲れて見えた。
「祐一く−ん!!どこにいるのー!?」
自分が知りうる中でもっとも信頼している人物の名前を叫ぶ。
返事はもちろんない。なぜこんなことになったのか。
いつものように通学路にて名雪と祐一と別れ、学校へと歩いていたはずなのに。
気がつけばこのような見知らぬ森だ。これで驚かぬ人間はいないだろう。
あてもなく歩いていたあゆだったが、近くの草が不自然に動いているのに気づけたのは幸か不幸か。
「…!祐一君!?」
膨らむ期待。だがそれは一瞬にして消えることとなった。
あゆの知っている祐一は鎧をつけ、折れた槍などは持っていない。
ましてや血だらけでもなかった。
822異界滅殺録〜胎動〜:04/11/03 11:09:08 ID:34rEOQ8r
そこに居たのは男。といっても鉄兜をつけており、詳しい顔立ちはわからない。
何故こんな人が居るのか?何故血だらけなのか?
その問いに答えることなく口を開いたのは目の前にいる男だった。
「あんた……。俺を捕まえにきたのか……!?」
その男の目には恐怖が映っていた。死の恐怖が。
そう。男は戦場にて畏怖に駆られて逃げ出した、兵士だったのだ。
だが、あゆはそんなことは知らない。
男の目にはうぐぅだのうぐぅっだのうぐぅっ!だの喘ぐあゆがさぞ奇妙に見えただろう。
「どうやら違うみたいだな……。その格好…迷い人か…?」
不意に男の目が怪しく光る。戦場での恐怖から逃れた臆病な兵士は、
目の前の少女を自分の欲を満たすモノとみなした。
「そうか、迷い人か!丁度いい!テメェ、俺を満たせ!!」
「うぐぅっ!?」
折れた槍を捨てた男はあゆの体を鷲掴みにし、乱暴に服に手をかけた。
男はもはや恐怖によってモラルやら倫理やらというものが頭から消えていた。
無論、黙ってされるがままにされるほどあゆは消耗してはいなかった。
なんとか男の手から逃れようと抵抗する。
「くそっ…!暴れるんじゃねぇ!ぐわっ!」
腕に噛み付くあゆ。それによって体勢を崩し離れざるをえなくなった。
「やだ!!おじさんがこんなことするなら!!」
パニック状態から脱しやっと人間の言葉を発したあゆだったが、
その声は男には届いていなかった。むしろ、その言葉が、
男の嗜虐性を奮い立たせてしまった。
「そうか、そうか、そんなに嫌か。なら腕切り落として抵抗できないようにしてやらぁ!!」
懐から取り出した小刀をこれ見よがしに掲げる男。
その鈍い光はあゆをさらに強いパニックへと陥れた。
「くらえぇっ!!」
振り下ろされる銀光。
「うぐぅぅぅぅっっ!!」
823名無しさんだよもん:04/11/03 11:52:20 ID:l3KOoCTX
現実味があるな
824名無しさんだよもん:04/11/03 12:00:06 ID:ltfKlQPz
そこで北川カモン!
825名無しさんだよもん:04/11/03 23:39:03 ID:qGvt+Fdc
現在の容量438KB。
埋め立て荒らしが来る可能性があるんで注意しておいた方がいいかと思います。
826名無しさんだよもん:04/11/04 12:54:14 ID:kM4cWLNc
では、もうそろそろ次スレ準備ですかね?
827821:04/11/06 12:18:23 ID:RAXs4ZhH
続きは次スレに載せたほうが良いでしょうか?
828名無しさんだよもん:04/11/06 13:18:04 ID:OG/QtF82
1000レス到達が早いか、
500KB到達が早いか、
見極めが難しいな……。

ただ、分量が多くないのなら、まだ現行スレに載せてもいいような気もする。
829821:04/11/07 12:06:27 ID:OtaYokHl
そんなに多くないんで続き載せときますね。
830:異界滅殺録〜目覚め〜:04/11/07 12:22:49 ID:OtaYokHl
腕が舞った。
赤い雫が弧を描きながら飛んでいく様を男は狂気の笑顔で見ていた。
その腕が手甲をつけていた事に気付くまでは。
「グアアアアアアァァアアァァアアァァッッ!?」
半分の長さとなった左腕を抱えうずくまる男。
その息には、もはや欲望の色は微塵もなかった。ただあるのは、恐怖、
何故、自分の腕が落とされたのか?何故、

         目の前の少女が刃物を両手に持っているのか?

           その少女は男に死の宣告を告げた。

              「滅殺、だよ。」
831異界滅殺録〜旅路〜:04/11/07 12:38:36 ID:OtaYokHl
・。
・・。
・・・。
「あ、あれ?」
夢なら良かった。さっきまでの事はすべて夢だと。
だが、目を埋めつくす緑はの願いを拒否させた。
やはり、これは現実なのだ。
そしてやがて細かい記憶が戻ってくる。
この謎の森を歩いていて、男が………。
「……!」
先ほどまでの恐怖が甦る。あの時確かに……。
「あの人は、どこ……?」
迫る銀色が確かに自分を捉えたはずなのに、
自分は確かに生きていた。血まみれで。
そしてそれは自分の血ではなかった。
「ど、どういうこと……。」
震える。訳がわからない。全てが。
何も思い出せないその恐怖がまたあゆを支配した。
やがてあゆは森を歩き出す。虚ろな目で。
草むらに隠れ、あゆからは見えなかった肉塊を後にして。
その方向が、祐一のいるトゥスクルに向かっていたのは、唯一の救いだろうか?

【GOOD? 私の愛刃は凶暴です】
832名無しさんだよもん:04/11/07 18:14:13 ID:6fvBqOuy
   ぬ〜〜る〜〜…

     _ヽ|\∧,/|
  \  \丶 ヘヘ, |/|
   \ ∧,, |/|/ヽ ,/
    ゞ ⌒ヽ/ `∀)
   <(     >> ⊂ )
    //,, ノ\/> >
  / ,/ | |_)\__)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ポーッ!!

   _ヽ|\∧,/|
   \丶 ヘヘ, |/|
    \ゝ|/|/ヽ ,/  \ | / / ド キ ュ ソ!!
      ゞ_`∀)  ゞ ⌒ヾ∠_____________-ニ ̄ ̄ ヽ
      ( _ ̄つ⊃(     =-                      ゚∀゚ )
     / />" >  //_  く ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄--=____ノ
    (_ノ (__)/ / ∨N \
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

833名無しさんだよもん:04/11/07 18:26:27 ID:tcRvAGrq
葉鍵キャラだけじゃ物足りないから型月キャラも登場させるべきだと思うぜ
834名無しさんだよもん:04/11/07 21:54:14 ID:bvM/2kpa
>>830-831
やっちまったな…
835名無しさんだよもん:04/11/08 18:54:09 ID:W2so0t3N
いやワラタよ。ただカノソっつーか同人ネタは微妙だな
……アークデーモンが出ないことを祈ろう
836名無しさんだよもん:04/11/08 23:31:42 ID:MtdcCp2g
よくわかんなかった。
同人ネタだったんすか?
837名無しさんだよもん:04/11/09 00:26:05 ID:DO/lwiYv
同人ネタはどうであれ、まずカノソが微妙
838名無しさんだよもん:04/11/09 02:41:10 ID:abFglyGi
ちなみにカノソとはこれ↓
ttp://home.att.ne.jp/theta/chihiroz/groom/gs/kanoso.htm
839名無しさんだよもん:04/11/09 22:01:50 ID:+eI2rr43
840名無しさんだよもん:04/11/09 23:05:39 ID:jbEf9ywb
カノソって題名の同人DVDなら知ってる
実写で出演者が全員男のキモイやつ
さすがにやったことはないが…ってか勧められたけどやりたくない
友人が言うにはかなり笑えたとのこと
841名無しさんだよもん:04/11/09 23:08:21 ID:bP/EG6Lm
ありゃカノリだ。
842名無しさんだよもん:04/11/09 23:16:02 ID:jbEf9ywb
ずっとカノソだと思ってた…
orz
843名無しさんだよもん:04/11/11 08:47:52 ID:bOiSUyCM
なんとなく保守
844名無しさんだよもん:04/11/11 17:48:01 ID:y7Im23Vq
それとなく保守
845名無しさんだよもん:04/11/13 13:33:21 ID:6HpVuAY4
同人ネタはタブーじゃないか?やった人少なそうだし。
846名無しさんだよもん:04/11/15 01:07:56 ID:FuHf+Qwu
保守。
なかなか書けん……。
847名無しさんだよもん:04/11/15 20:01:53 ID:dyo6PNPa
最保守ー
848名無しさんだよもん:04/11/17 00:53:53 ID:tSsPsgCP
>>845
まぁ、嫌ってる香具師もいるシナ、漏れとか。
でもまぁ、たしか今はフリーで配布されてるとからしいし知らないだけなら興味が出たらやってみるって手もあるぞ。
……漏れはやる気しないがな〜保守。
849名無しさんだよもん:04/11/17 10:59:58 ID:g7pQK4ME
       ___                              
     /;;;γ'⌒゙ヽ、
モギャァァーー!! /     ヽ
モギャァァーー!!  ◎   l ))
。∧_∧ヽ。、    /,.;
.(゚・ДT゚゚ )。__ , /彡・,          
⊂;:;⊂・/;;':"γ'⌒;ヽ、`ミ゚;`'.              ∧_∧ しゃしゃんなゴミ
;:∵;:・:/,;;;;;;;'/     ヽ;'∵;‘             (´∀` )
 (( i;;;;;;;;;;i  ◎  ゙i ;;;'              (    )   
    ヾ;;;;;;;,ヽ、   ノ  ;;              | | |
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       ___
     /;;;γ'⌒゙ヽ、
モギャーーッ!!! /     ヽ  ;::・;:
モッ…ギッ…!   ◎  l ))*;:∵;::
  ;:・;::*:ヾ、      /;:%;:∵;::;
  ;:∵;:・:: ゙ヾ、__, /彡・;:*;::;:
   ゚・/,;;;'γ'⌒;ヽ∞;::;:・;::;;;::'.            ∧_∧         
    /,;;;;;;;'/    ブチャブチャッ!!;;'∵;;‘        (´∀` )
 (( i;;;;;;;;;;i  ◎  ゙i;8:・o;:∵;:;;;'           (    )                             
    ヾ;;;;;;;,ヽ、   ノ                  | | |                          
     `ー--=ニ-ー'                  (_(__)                           
                                                           
                              
850名無しさんだよもん:04/11/17 11:00:12 ID:g7pQK4ME
       ___                              
     /;;;γ'⌒゙ヽ、
モギャァァーー!! /     ヽ
モギャァァーー!!  ◎   l ))
。∧_∧ヽ。、    /,.;
.(゚・ДT゚゚ )。__ , /彡・,          
⊂;:;⊂・/;;':"γ'⌒;ヽ、`ミ゚;`'.              ∧_∧ しゃしゃんなゴミ
;:∵;:・:/,;;;;;;;'/     ヽ;'∵;‘             (´∀` )
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851名無しさんだよもん:04/11/17 11:00:23 ID:g7pQK4ME
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852名無しさんだよもん:04/11/17 11:01:54 ID:g7pQK4ME
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853名無しさんだよもん:04/11/17 11:02:04 ID:g7pQK4ME
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854名無しさんだよもん:04/11/17 11:02:14 ID:g7pQK4ME
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855名無しさんだよもん:04/11/17 11:03:01 ID:hsYp8WKR
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856名無しさんだよもん:04/11/17 11:03:14 ID:hsYp8WKR
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857名無しさんだよもん:04/11/17 11:03:25 ID:hsYp8WKR
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858名無しさんだよもん:04/11/17 11:03:36 ID:hsYp8WKR
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859名無しさんだよもん:04/11/17 11:03:46 ID:hsYp8WKR
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860名無しさんだよもん:04/11/17 11:03:57 ID:hsYp8WKR
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861名無しさんだよもん:04/11/17 11:05:23 ID:oo4cqMri
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862名無しさんだよもん:04/11/17 11:05:36 ID:oo4cqMri
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863名無しさんだよもん:04/11/17 11:05:48 ID:oo4cqMri
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864名無しさんだよもん:04/11/17 11:05:59 ID:oo4cqMri
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865名無しさんだよもん:04/11/17 11:06:58 ID:Ut9KdVHH
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866名無しさんだよもん:04/11/17 11:07:14 ID:Ut9KdVHH
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867名無しさんだよもん:04/11/17 11:07:29 ID:Ut9KdVHH
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868名無しさんだよもん:04/11/17 11:07:40 ID:Ut9KdVHH
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869名無しさんだよもん:04/11/17 11:07:54 ID:Ut9KdVHH
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870名無しさんだよもん:04/11/17 11:08:24 ID:hsYp8WKR
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871名無しさんだよもん:04/11/17 11:08:38 ID:hsYp8WKR
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872名無しさんだよもん:04/11/17 11:08:50 ID:hsYp8WKR
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873名無しさんだよもん:04/11/17 11:09:44 ID:VUprh4lj
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874名無しさんだよもん:04/11/17 11:09:58 ID:VUprh4lj
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875名無しさんだよもん:04/11/17 11:10:17 ID:VUprh4lj
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876名無しさんだよもん
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