「いた…」
店の中から出てくるのは名雪一人。そしてそれを待っている男の人。
「まだ合流してないようですね。気づかれないように少し離れて追跡しましょう」
「んに? ここで仕掛けないの?」
「まだ春原さんが間に合いませんからね」
「んに〜。みちるがいれば大丈夫なのに〜」
「春原さんがいればもっと大丈夫、ですよ」
次の店の前に立つ名雪さん達。しかし、店の前に立ち止まったまま。
その視線の先にあるのは…
(窓…ガラス!?)
「しまった! 気づかれました。近づきますよ。みちる」
「んに? そうなの? 分かった。行っくよ〜」
「待って、みちる。こっちです」
「んに?」
向こうは気づいてないように普通に歩き出したが…
さっきまでは店の中に入ったり、覗き込んだりしていたのに今はまっすぐ歩いている。
(そう…やっぱりこっちに気づいたんですね。でも…)
そして繋いだままの携帯に向かって呼びかける。
「春原さん、今どの辺りですか?」
『最後の角を曲がったとこ。どうしたの?』
「気づかれました。何とかそっちに追い込みます。前に注意していてください」
『了解っ。任せて!』
(そう…道の左側からみちると二人でプレッシャーをかけつつ追跡…
あの二人は右に曲がることになる。そうすればその先には春原さんがいる…
このT字路を…そう、そのまま右へ曲がれば…)
「二人とも、こっちなのっ」
T字路の左から聞こえる声。名雪さん達はその声の方向へ走って行く。
「三人目!? みちる、止まって!」
そう、このまま左折してはまずい。三人目が狙いを定めているかもしれない。そして左の壁へと身を寄せる。
(まずは春原さんと合流、後のことはそれから考えましょう…)
そう考えて携帯に呼びかけたそのとき…
「春原さん…えっ!?」
『右』から来る赤い光線、そしてその先には…
びいぃぃぃぃーーーーーーーーっ!
佐祐理の胸から甲高いアラームの音が鳴る。一瞬、頭の中が真っ白になる。
(三人目は左に居た…けど今の攻撃は右から…)
「んにょわ〜!? さゆりっ」
『佐祐理さん!?』
「よくもさゆりをやったな〜。やっつけてやる〜」
『佐祐理さん! 今行くよ!』
心配そうな声をかける二人。
「ダメ!みちる!戻って! それから春原さんも」
『え?』
「作戦は失敗です。来た道を戻ってください。さっきの場所で合流しましょう」
『え? 何で? このまま行った方が早いじゃん』
(そうじゃない。佐祐理の考えが正しければ多分ここには…)
T字路を見る佐祐理。その考えを裏付けるかのように…左から右へと走る赤い光線。さらに少し遅れて右から左へ。
「他のチームがいます。それがどこにいるか分からない以上、無理はするべきではありません」
『そうか、それじゃ仕方ないか…』
「すみません。佐祐理の考えが甘かったです」
『そんなことないよっ! ともかく合流しよう。そうすれば…』
「三人なら大丈夫、だよっ! さゆりっ!」
『こら〜、ちびっこー。僕の言うことを取るな!』
(ああ…そうだった…まずは合流しましょう。そうすれば…)
「あははー、そうですねー。大丈夫! ですよね」
〜ショッピングモール・店頭〜
店の前で待つ冬弥のもとへ近づく名雪。その横には…誰もいない。
「はぁ…やっぱりいなかったよ〜」
「そうか…三人目はどこにいるんだろうな。一体…」
「どこに敵がいるかも分からないし…」
そう。彼らはまだ三人目と合流できていない。このままではまずいと思い、
少々危険ではあっても三人目探しを優先してここショッピングモールに来ていた。
「何か準備してるのかと思ってここに来たけど、やっぱり違うのかな…」
「どうする? このお店も探してみる? それとも別の場所へ行く?」
「そうだな…この人混みじゃ見つけるのも難しそうだし…ん?」
(あのガラスに映ったリボン…あれはさっきの!)
「名雪。振り向かないでそのまま。二つ右の窓ガラスに映っている…」
「え? あ、あれは佐祐理さん…」
「そうだ。さっきの敵だ。けど、ここでは走って逃げる訳にもいかない」
「どうするの?」
「向こうはまだこっちが気づいたことに気づいてない」
「うー。ややこしいよー。それでどうすれば良いの?」
「とりあえず様子見だ。できるだけ普通に歩いて行こう。広いところに出たらさっきみたいに走ろう」
「うん、普通にだね。分かったよ」
そう言って冬弥の手を取り歩き出す。
(え…って、まあこれくらいなら…。それよりも…)
できるだけ自然を装いつつ歩きながら、店の窓ガラスや店頭近くの鏡を見る。
(やっぱり追跡されている。良く気をつけていないと分からないけど…)
大きなリボンが特徴の女の子、ちょこまかと動くツインテール。いつの間にか近づいて来ている。
(まずい。こっちが逃げてることに気づいたか。それに金髪の男がいたはず。まだ姿が見えないが…)
「このT字路を右に行くぞ。名雪」
そう名雪に向けて言った瞬間。
「二人とも、こっちなのっ」
声の方を振り向くと女の子が一人。その手には…茶色い銃。
「名雪! 三人目だ」
名雪の手を引いて三人目の元へと向かう。
「とりあえずここを離れるぞ。追われているんだ」
三人目の女の子は冬弥たちが近づいても銃を地面に向け、そちらを見つめている。
「知ってるの。だからここへ来たの。…えい」
可愛らしい掛け声とともに光る二本の赤い光線。そして後ろから聞こえる甲高いアラームの音。
びいぃぃぃぃーーーーーーーーっ!
少女の銃の先には、地面に小さなコンパクトが置かれていた。
(反射して上に…え? あれは)
見上げると向かいの店の2階の窓が開いていて、そこに鏡が置かれている。
「そうか…反対側にも同じ仕掛けがあるんだな?」
こくりと頷く少女。
「え? どういうこと? 今のは何だったの?」
名雪は分かっていないようだ。しかし、その疑問に答えている暇はない。
(そう…2階の高さを横切る光線は見えていないはず。だから向こうはきっと…なら今やるべきことは…)
冬弥は振り向いてT字路の向こうに向けて銃を撃つ。狙いも何も無く。
(よし、これで向こうはますます…え?)
とその直後、三人から少し離れたところを赤い光線が走る。
もしかして…と思い少女の方を見ると先ほどとは別のコンパクトに向けて銃を構えていた。
(そうか、そういうことか…)
「な、何? 他のチームがいるの? だったら逃げないと…」
「ちがうの」
訳が分からなくなって慌てている名雪と、落ち着いている少女。
「今のは君がやったんだよね?」
こくりと頷く少女。
「けど、他のチームがいるかもしれないのは正しいの。今の光を見て来るかもしれないの」
「そうか…それじゃとりあえず。ここから離れるぞ。人通りが減ったら走るぞ」
「わ、分からないけど分かったよ」
「(こくり)でも、走るのは苦手なの…」
〜ショッピングモール・出口付近〜
「ふぅー、とりあえずショッピングモールを抜けたな」
ショッピングモールから少し離れたここは見通しが良い。ここならとりあえず大丈夫だろう。
「さっきはありがとうな。助かったよ」
「あ、それそれ〜。結局さっきのは何だったの? やっぱり他のチームが居たの?」
(そういえば名雪は分かっていなかったんだっけか)
「あれは全部この子の作戦だよ。鏡を使ってね。そうだろ?」
こくりと頷く少女。
「え〜? そんな上手く行くものなの? すごいねー」
(そういえば確かに…)
「身を隠す場所は大体分かっていたの。でも、当たったのは偶然。僥倖なの。あの作戦の元々の目的は…」
それは分かっていた。二つ目の仕掛けの目的を考えれば…
「撹乱、だろ?」
そう。敵にしてみればT字路の右から攻撃されたとしか考えられない。
さらにその後の2回の射撃によって…
「あの場所に、第3のチームがいると相手に思い込ませる。けど、こっちはそんなのいないって知ってるの」
「え? あ、そういうことだったんだね」
「とっても大変だったの。角度を計算して鏡を置いて、たくさんたくさん練習したの」
(そうか、それで…)
「いくつか準備したら合流するつもりだったの。でも、なかなかうまく行かなくて、それで合流できなかったの。だから、とってもごめんなさい」
手に持つ茶色い銃をぎゅっと胸に抱える。
「気にしなくていいよ。お陰で助かったんだから」
「そういうこと。ありがとうな」
「あ…こちらこそ、とってもとってもありがとうなの」
嬉しそうにする少女。冬弥は照れを隠すかのように慌てて聞く。
「えっと、君は何でこの大会に?」
「朋也くんがこの大会に出ればきっと友達ができるからって…あ」
「ん?」
「こんにちは、はじめまして。3年A組の、一ノ瀬ことみです。趣味は読書です。もしよかったら、お友達になってくれると、うれしいです」
(そういえば自己紹介もまだだったか…)
「私は名雪。水瀬名雪。よろしくね」
「藤井冬弥。よろしく。お仲間さん」
「??」
「そうだろ? チームメイト、なかま」
「ま…マラカス」
「すな」
(って、なんでいきなりしりとりなんだ? まぁ、名雪も合わせてるからとりあえず…えーと)
「なすび」
びいぃぃぃぃーーーーーーーーっ!
ことみの胸からアラームが鳴り響く。
「「えっ?」」
「??」
冬弥と名雪の声が重なる。ことみは不思議そうにして…
「違うの。びいどろなの」
「しりとりの話じゃないっ。敵だっ」
改めて辺りを見回す冬弥。
(そもそも見えるところには居なかった…一体どこから撃って来た…?)
【茶 ポイント0 藤井冬弥L2 水瀬名雪L1 一ノ瀬ことみL1】
【緑 ポイント0 倉田佐祐理L1 春原陽平L2 みちるL2】
【大会参加者全員確定】
1レス目の最後、茶色だった…OTL
25話からつなげようとして考えていたんだけど27が入って、じゃどうしようと考えてたら…
春原がどんどん動いちゃって長くなってしまいました。
おまけに最後の参加者やら買い物・アトラクションの新設定と好き勝手してすみません。
けど、こうしておけば小道具やアトラクションも出しやすいかな? ということで。
後払いなんで無茶はできないし。
最後の謎の襲撃者は307で言ったのと同じで次の書き手さんにお任せします。
この辺にいるチームは多いし、どうとでも書けるんじゃないでしょうか。
(・∀・)イイ!
いや、俺も利用を自由にした方が面白いんじゃないかとは思ってた。
折角あるんだから制限されてたらねぇ。
新作乙〜
しかしまた蔵キャラか・・・6人くらい?
時期的には仕方ないか
そういえば春原に作中で言わせようと思ってたのに忘れてた。
「アトラクションは並ばなくてもOK」というとこまで融通利かせるのはどうでしょう?
キャラ視点で考えると「並んでる最中が一番危険」ってことになって「じゃ、やめとこ」って思っちゃうだろうし。
他にも多少のことなら黙認・協力してくれるとかどうでしょう?
「そのとき、ゴミ回収のオッサンが押すカートの中からゴミだらけの春原陽平が現れた!」とか。
でも、あくまでオーナーの好意なんで危険なこと・他の客にあまりに迷惑なこと、
例えば「高笑いしながらジェットコースターの先頭で仁王立ちする九品仏」なんてのは怒られる、と。
怒られてもやってしまう、なんてのは書き手とキャラ・状況次第ってとこで。
>>320 すみません…蔵キャラにしちゃいました。
頭脳派・物理系ってことで反射・屈折で変わったことやるには良いキャラだし。
冬弥・名雪のダッシュ逃げ防止としても良いかな、と。
ところで、そろそろ脱落者が出そうなところだけどそのときの処理ってどうするの?
大会要綱によると「モニタールームに移動」ってだけで「どんなとこなのか?」「誰がいるか?」とか
何も無いから書きにくい感じ。
あと、「他の参加者が脱落を知ることが出来るか」は各キャラの行動に影響するから重要そう。
考えてみるスレの692みたく放送するのも良いし分からないってのもありかな。
そうそう、まとめサイトをちょっといじっても良いですか? ちょっとやりたいことがあるんで>管理人さん
>>321 英二さん出そうと思ってたけどいい話が思いつかなかったw
葉鍵で頭脳派なキャラは限られてるからねぇ
北北キタ━━━━ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ━━━━!!
沈黙を続けていたゾリオンの時代がついに来た!
良書き手も多いようで、がんばれー
台詞に名前付けませんか?
誰が喋ってるのかわからないところがあったり・・
>>324 ネタで言ってます?
それをわかるように書くのが書き手、見分けるのが読み手。
マジで言ってました。
>>326 確かに未プレイ作品のキャラじゃ口調だけじゃ判別しにくいかも。
でも台詞の前に名前を入れるのは特定のSSじゃない限りご法度だと思うので…
そこらへんはこっちで頑張るしかないかな。想像するなりゲームプレイするなりして。
>それをわかるように書くのが書き手、見分けるのが読み手。
無理な人には無理だろ。
>>327 天いな未プレイなんで…
でも話自体は凄く面白くてイイと思います。
空気悪くしてしまってすいません。
選挙にでも行ってきます。
>>328 そうかもしれんが、いくらなんでも脚本形式はどうかと思うぞ
ところで登場作品全部プレイ済の人ってどんだけいる?
ノシ
WAと天いなやってねぇorz
雪緒を書くために天いなを買った俺は負け組みですか?
こみパ、WAはやったことないなぁ。東鳩もうる覚え。
>>321 Wikiなんでご自由にどうぞ。
突貫工事で作ったので、何かありましたら、付け足したり改良したりしてください。
では、更新してきまつ
しかもキャラ違ってるからな。
>>330 東鳩だけ持ってない。
あとONEが少しだけやって放置の状態。他はどんと来い
335 :
スタミナ:04/07/12 01:09 ID:CHNLpHl8
東鳩と天いなは知らない
WAは現在プレイ中
なんて初歩的なミスを……欝
ィ`
検索した。
呆然とした。
_| ̄|○
書き手さん頑張れ。
|ハ,_,ハ
|´∀`';/^l
|u'''^u;' |
|∀ ` ミ ダレモイナイ・・・
| ⊂ :, モサモサ スルナラ イマノウチ
| ミ_
| 彡・|ノ
| ,:'._|
|''~''''∪||
ハ,_,ハ
l^c´∀`';,
もさもさ | '゙''"'^uy-―,
ミ ´ ∀ ` ,:'
(丶 (丶 ミ
(( ミ ;': .__
;: ミ.. 〜lД・〜l
`:; ,:' . |__|
U"゙'''~"^'丶) く ヽ
ハ,_,ハ,,
,:' ´∀`っ^l
,―-y'u''~"゙´ | もさもさ
ヽ ´ ∀ ` ゙':
ミ .,/) 、/)
゙, "' ´''ミ. ___
(( ミ ;:' l〜・Дl〜
'; 彡 |___|
(/~"゙''´~"U ノ >
/^l 満足
,―-y'"'~"゙´ |
ヽ *´∀ `* ゙':
ミ ゙':
゙, ∪ ∪''ミ ハ,_,ハ __
ミ ;:' :´∀`'; ヽ|・∀・|ノ
'; 彡 ,''u u.ミ |__|
∪~"゙''´~"U u''゙"J. ||
↑遊園地のマスコット?
ソレダ! って、マスコットが誰もいないとこで踊ってどーするよ。
>>322 モニタールーム用に音声系の機材を提供してくれる、ってのはどうだろう?
映像は警備の監視カメラの類を使うとして、声が取れないのが後々きついかな、と思っていたり。
TVの企画じゃなくてもそのくらいなら何とかなりそうだし。
>>344を見て思い出したんだが
参加者以外の新キャラは出していいのかね?
管理側とかで
ダメ
きちんと空気を読んで、出すんならいいんじゃね?
キャラ増やすのは止めた方がいいと思う。
最後の方はその限りではないが。
参加しなけりゃ出していいんでねの。
通りすがりのバカップル役に祐介と沙織をチョイスするみたいなちょい役とかなら。
書き手の裁量にお任せいたします。
>>349 あれとかだな、背景に昔の作品のキャラがでるとか、みたいな。
よし、絵師を召喚しよう
よし、誰か葉鍵板でチーム組んで出場して来い!
チーム名は「ゾリオン・スターフッシィーズ」で。
うざ
ウェ゛ーンツ
∧ ∧γ⌒'ヽ
(,, ・∀i ミ(二i
/ っ、,,_| |ノ
〜( ̄__)_) r-.! !-、
`'----'
がんばれ、超がんばれ
361 :
名無しさんだよもん:
下がりすぎage