== 第一回ゾリオン大会in葉鍵 本スレ ==

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさんだよもん
== 第一回ゾリオン大会in葉鍵 本スレ ==

―――第一回ゾリオン大会開始―――

葉鍵キャラ達がゾリオンを片手に縦横無尽に戦いを繰り広げる。
飛び交う光線、戦うか、退くか、交渉するか。それとも?
巨大なテーマパークを舞台に駆け回る葉鍵キャラ達。
果たして優勝は誰の手に?


〜ゾリオン〜
トリガーを絞ると赤い光線を発射する。玩具の光線銃。
専用のセンサーがあり、それをお互いが狙い合う単純なゲーム。
元ネタ、クラナドより。
更に元ネタ、○リオン
ttp://www.bellcity.ne.jp/~wild7/game/zillion/zillion.html
〜〜〜〜〜〜


前スレ
== ゾリオン大会〜in葉鍵〜を考えてみるスレ ==
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1086926224/

外部したらば板
ゾリオン大会 in 葉鍵 議論・感想板(長い議論等はこちらで)
ttp://jbbs.shitaraba.com/game/15063/
2名無しさんだよもん:04/06/19 22:14 ID:FMQE1LaS
第一回ゾリオン大会要綱 (今回参加可能作品は、ONE・Kanon・Air・Clannad・東鳩・ホワルバ・こみパ・天いな)
書き手は上記登場作品のキャラを、自分の好きな組み合わせで出すことが出来る。
ただし、なるべく同作品でチームを構成しないようにする。30人まで登場可能。

〜ゾリオンの基本仕様〜

・1秒に2、3発程度連射ができる。
・発射音は無し。赤い可視光線がでる。
・鏡で反射する。
・センサーは当たると凄まじい音がする(本編の描写だとブビィィィ――――ッ!)
・ポケットに入れても大丈夫(反応する)
・センサーは正面からの攻撃にしか反応しない


〜基本事項〜
・1チームは3人の参加者で構成される。
・チーム分けは、全参加者の中からランダムで行われる。
・参加者は胸元にセンサーを取り付け相手から視認できるようにすること。
・総参加者数は30人まで(10チーム分)
・戦闘不能者は速やかに主催者側が用意したモニタールームに移動し、以後は観戦に勤める。
・相手チームに対する悪質な妨害工作は失格の対象とする。
・残り2チームになったところでゲーム終了。残存チームのうち撃破数の多い方を優勝、少ない方を準優勝とする。
・良いゾリオンライフを!

〜備考〜
今回採択されたライフルールは『サバイバル−b』です。
チームの各員はライフを2点所持し、2点分のダメージを受けた参加者は戦闘不能になります。
チームを構成するメンバーが全て戦闘不能となった場合、そのチームは失格となります。

ではみなさま、第一回ゾリオン大会をお楽しみください。
3名無しさんだよもん:04/06/19 22:14 ID:Jqi9E7Hu
2
4名無しさんだよもん:04/06/19 22:16 ID:nku3f9KP
ボーグマン
5名無しさんだよもん:04/06/19 22:17 ID:FMQE1LaS
〜某県某市某所某ホール〜
「みなさん、本日は遠路はるばるお越しくださりまことにありがとうございます」
 壇上で1人の女性がマイクを手に、聴衆に向かってペコリとお辞儀をした。
「私、全日本ゾリオン協会名誉顧問の水瀬秋子と申します。以後お見知りおきをお願いします」
 パチパチパチ……とまばらな拍手が起こる。
「本日は第1回ゾリオン予備大会にようこそお出でくださいました。
 皆さんご存じのこととは思いますが、この大会は今夏に予定されている全日本ゾリオン大会に向けての準備大会、言葉を換えれば様子見の催しです。
 まだまだゾリオンは誕生してから日が浅く、ルールも確固たるものが決まっておりません。
 その上、全日本規模での大会は前例がなく、まだまだわからないところだらけというのが現状です。
 そのために今回、大規模大会に先駆け、少人数でのゾリオン大会を行い、ルールや運営方式の詰めを行いたく、皆様にお集まりいただきました。
 今大会は三人一組で十組、合計三十人によるゾリオン大会です。
 細かいルールはお手元の資料に書かれておりますので、どうぞご熟読のほどをよろしくお願いします。
 それでは大会開始までまだしばらく時間があります。皆様、もう少々お待ちください。
 ご静聴、ありがとうございました」
 再度ペコリと頭を下げる。
 パチパチパチ……と拍手に送られ、秋子は壇上を降りた。

 開会の挨拶が終わり、ホール内はざわめきに包まれた。
 そんな中、大会スタッフと打ち合わせをする秋子の元に1人の少年と少女が近づく。
「秋子さん、ご苦労様でした」
「お母さんカッコよかったよ」
「あらあら、ありがとうございます祐一さん、名雪」
 振り向くといつもの笑顔で2人を迎える。
「それにしても驚きましたよ。まさか秋子さんがゾリオン協会に所属してたなんて」
「ふふふ、ごめんなさい。祐一さんにも手間をかけさせてしまいましたね」
「いえいえ、いいんですって。学校で適当に声かけたら人数も集まりましたし」
 と、そこで祐一の背後からさらに2つの人影が。
6名無しさんだよもん:04/06/19 22:17 ID:FMQE1LaS
「はじめまして秋子さん。倉田佐祐理といいます。こっちが友だちの川澄舞」
「……こんにちは」
「はじめまして倉田さん、川澄さん。ありがとう、今日は無理を言って参加してもらって
「いえいえいいんですよ。舞もこう見えて結構ノリ気ですし。今日は佐祐理も楽しませてもらいます」
「ふふふ、大した賞品は出せないけど、がんばってくださいね。それじゃあ祐一さん、私はまだ打ち合わせがあるので……」
「あ、そうですね。お仕事邪魔しちゃってすいません。俺たち引き上げます。行こう、みんな」
「はい。それではまた大会が終わったらお会いしましょう」

「そういや名雪、今回のチーム分けってどんな感じなんだ? みんな好き勝手に組んでいいのか?」
「えーっと、ちょっと待ってね」
 ペラペラとルールブックをめくっていく。
「今回のチーム分けは……完全にランダムみたいだね。お母さん……じゃなかった。
 主催者の人たちが参加者の中からランダムで3人ずつ選んでチームを作るんだって」
「と、いうことは」
「みんなバラバラ……」
「そうなっちゃいますね」
 一瞬4人で顔を見合わせる。
「ま、それならそれで頑張るまでだ。名雪、会ったら手加減しないぞ」
「わたしもだよ。わたしだって一応陸上部なんだし、そう簡単にはやられないよ」
「舞、知らない人と一緒になったからって喧嘩しちゃダメだよ」
「……ん。わかってる」
「で、名雪。チーム番号はどこでわかるんだ?」
「えーと……チーム番号は……受付に行けばわかるみたいだね」
「じゃ、行くか。みんな、しばしの別れだな」
「はい。お互い精一杯頑張りましょう」


【祐一・名雪・佐祐理・舞 参加】
【何班になるかはまだ不明。受付で聞く】
【残り枠 26人】
7名無しさんだよもん:04/06/19 22:17 ID:FMQE1LaS
藤田浩之は一人愚痴っていた。

「しっかしなぁ、何でこの俺が…かったりいなぁ。ってやめろ。やめろって、それをこっちに向けるなよ!」
「ん〜。ヒトデ程ではないですけど、このテッポウも可愛いですっ。」
周りをちょこちょこと動いていた風子が銃の先を浩之に向ける。
(…可愛い?これがか?)
そんなことを思いつつ。自分の手にある銃を見つめる。
(うそだろ…こいつの頭の中身を見てみたいぜ。)
首を傾げる。
(…うーん。しっかしあいつ等どこで何やってるんだか。というか何で俺がこんなガキのお守りをしないといけないんだ?
―――あいつ等を探すのも一つの手か。この戦い、やはり人数を揃えるのは一つの手として有効だ。
そしてチャンスがあるなら…こちらから仕掛ける。やるなら優勝を目指すしかない。)

「おまえは、一人で参加したのか?」
「いえ。風子はみんなと一緒に来ました。でも「あの前」に立っていて、気づいたら一人になってしまいました。
みんな風子を置いてどっかに置いていく何てひどいですっ」
(…あの前?)
ふと風子の指し示す方向を見る。
(水族館?)
「ああ、そういえばそんな物がこのテーマパークにはあったな。」

浩之は、そんなことを考えながら辺りを見回す。今は休日の昼間。
沢山の人が思い思いのままの笑顔を浮かべながら、楽しそうに歩いている。
そんな中、如何にもな「変な銃」を構えている二人は明らかに浮いていた。
周りの人達はどこが怪訝な表情で二人を見つめる。小さな男の子がこちらを見て
「ママ〜あのピストル、ぼくももほしい〜」
「そうね、今度買ってあげるからね。今日は折角来たし、遊びましょうね。」
「わ〜い」

そんな平和そうな会話が聞こえてくる。
8名無しさんだよもん:04/06/19 22:18 ID:FMQE1LaS
「………ちっ。しっかし、こんな中で普通ゾリオン大会なんてやるか?」
「ほわぁ〜ん」
「周りのやつには、いい迷惑だろうに…っておい!しっかりしろよ!」
「ほわぁ〜ん」
「ダメだこいつ……」

「何か」を想像する風子には、何を言ってを無駄である。そこに騒々しい声の主がやってくる。どうやら「残りの一人」が偵察から帰ってきたようだ。

「藤田君!こっちの方は大丈夫みたいよ……って、あれ風子ちゃんどうしたの?」
「ああ、柚木か。いや、あっちの方を見たと思ったら急にな。」
「何?―――水族館?」
「ああ」

(…こいつは志保に性格が似ているな、わりとこういうのは得意そうだし―――結構頼りになるかもしれない。)
直感でそんなことを考える。その時―――
「ブビィィィーーーーーーッ!!」
「っ。藤田君!あっちの方から何か聞こえたよ。誰だか知らないけど、気が早い人たちがいるみたい。」
「ああ、誰かがやりあってるのか?」
「―――ん?どうしたんですか?ってあれ?詩子さん何時の間に戻ってきたんですか?」
「話は後だ。俺たちも現場に向かうぞ。こういうのは後から来るやつのほうが有利だからな。
今のうちに得点を積極的に稼がないと。俺たちみたいなチームが来るだろうし、気をつけるのも忘れるなよ。―――よしいくぞっ!」

三人は駆けて行く。

【参加決定】 【藤田浩之・伊吹風子・柚木詩子】
【残り枠 23人】
9名無しさんだよもん:04/06/19 22:18 ID:FMQE1LaS
 開会の挨拶から、さらに数十分後。

 会場は、これから起こるであろう出来事を語り合う。
 そんな参加者達の熱気で溢れていた。
 沢山のモニターに囲まれた、前面ステージ上に再度秋子が現れる。
 ペコリとお辞儀をして、マイクを手に取る。

「みなさん大変長らくお待たせいたしました。準備の用意ができましたのであちらの受付の方に集まってください。
 そこでチームの抽選が行われます。受付にて今回の大会のために着色されたゾリオンを支給いたしますので、
 受け取ったゾリオンと同じ色のホール出口に集まってください。試合開始は今から30分後…
 現在時刻が9時30分ですから、10時丁度に開始になりますね。
 みなさんの健闘をおいのりしています。それでは第一回ゾリオン大会を開始いたします。」

 緩やかにお辞儀をし、退場する秋子。
 拍手とともに、会場のところどころでどよめきが上がる。


「祐一、受付はあっちみたいだよ。」
「ああ、そうみたいだな。…うわ、結構いるな。30人ってこうしてみると意外に多いんだな。」

 そこには元気そうな女の子、精悍な目つきをした男、美しい女性、
 いろいろな年齢層の男女が集まっていた。

(…こんな人達の中で、佐祐理達は優勝できるんでしょうか?)
「……相手にとって不足は無い。」
「あは、舞はやるき満々ですね。佐祐理も負けませんよぉ。」
「それじゃ、みんなとはここでしばらくお別れだね。お互いがんばろうよ。」
「ああ、また外で会えるといいな。―――またここで会うのはつまらないからな。」
「私は……負けない。」
「それでは、佐祐理が先にいきますね。」
 そう言うと、受付に進む。
10名無しさんだよもん:04/06/19 22:19 ID:FMQE1LaS
「佐祐理、気をつけて。」
「はい。舞も…気をつけてくださいね。」

 受付の男にゾリオンを渡される。どこかそのフォルムは懐かしいものを感じさせた。
(色は…緑ですね。)
 ふと周りを見回すと、確かに緑色をした出口があった。
「あの出口にいけば、いいのですか?」
 受付の係りの人に尋ねる。
「ああ、そうだ。……ふーんまぁ、がんばりな。」
 男はぶっきらぼうに答える。何故かニヤニヤ笑いながら。―――それは何故かとても嬉しそうだった。
「?」
 佐祐理は不思議に思いながらも、指定された出口を目指す。

 ―――ホール出口―――

 佐祐理がそこに近づいた時には、出口の先には既に二つの影が見えた。
 出口に近づくにつれて、その影は大きくなってくる。
 片方は、金髪の男。祐一の友人北川にどこか似ていた。
 もう一方は女の子、ツインテールに分けた髪型がどこか快活な女の子を思い浮かばせる。
 どんどん近づいていくうちに、二人の声が聞こえてくる。
(…何やら言い争いをしてるみたい…どうしたんでしょう?)

 男は見えない「誰か」に向かって叫んでいる。
「僕はこんな女の子と一緒にいて、生き残ることはできるんですかねっ!」
「んに〜!みちるを馬鹿にするな〜。おまえなんか、いなくてもへいきだよ〜っ!」
「何だって?おまえがこの僕を捨てるだって?おまえみたいなちびっこが、一人で何ができるっていうんだよ!」
「いったな〜」
「あの〜すいません。」
「うるさい!だまって……え?」
「ちいさな女の子を苛めるのは、良くないと思いますよ。落ち着いてください。」
 どこか困ったような表情で笑う佐祐理。
11名無しさんだよもん:04/06/19 22:19 ID:FMQE1LaS
 次の瞬間、春原の頭の上にハートマークが浮かんでいる……ように見えた。
「っ!なっ!!!―――ぼ、僕、春原陽平って言います。こんなみみっちいやつだけど、これからよろしく!」

「おいっ!」

「ところで、貴女のお名前をお聞きしても良いですか?」
「佐祐理は、倉田佐祐理と言います。春原さん、これから暫くの間だけどよろしくお願いしますね。」

「春原陽平っ!」

「もっ、もちろんです。貴女のためになら、盾にでもぼろ雑巾にでも何にでもしてください。」
「あははっ。ありがとうございます。」

 ぶつん。
 何かが切れる音がする。

「だから、みちるを無視するな〜〜〜!!!」 
 そう言うと、春原の大事なところに向かって、後方から凄い勢いで足を振り上げ…
 それは寸分違わず狙った個所に吸い込まれる。


べちゃ。
何かが潰れる音。


「―――えっ。あっあれ?僕の大事な、大事な……ってぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
 もんどりうって転がる春原。悲鳴を上げつつも、ばたばたと暴れていたが段々と静かになり―――白目を向いて、動かなくなる。

「ありゃ、やりすぎちゃったかな?えっと…さゆり〜、これからよろしく〜」
「えっとみちるちゃん?みちるって呼んで良いかな?これからよろしくお願いしますね。」
 二人は笑いあい、握手をする。片方の手には緑の銃。
12名無しさんだよもん:04/06/19 22:20 ID:FMQE1LaS
 ―――春原陽平は夢を見ていた。

 佐祐理と一緒に敵をなぎ倒して行く。ピンチには彼女を庇い、
 そして二人は恋に落ちていく。そんな夢を。
(…岡崎、おまえってやつはぁぁぁぁぁ。ほんとここに来て良かったよ!)

 口から泡を出しつつ、涙を流しながら気絶する春原であった。

【参加決定】 【春原陽平・みちる】
【残り枠 21人】
13名無しさんだよもん:04/06/19 22:20 ID:FMQE1LaS
参加者達が其々の出口に向かっていく中、受付に座っていた男。
 ―――古河秋生は呟く。
「中々粒が揃ってやがる。―――今回は面白くなりそうだ!」
 そういうと男は、颯爽と席を立ち歩き始める。
 向かう先は……正面ステージ。

「あら、どうしました?」
 戻ってきた男に秋子は尋ねる。

「ちょっと参加者の顔を眺めてきただけだ。しかし、あんたには世話になるな。中々いい挨拶だった。」
「ありがとうございます。…でも、今回秋生さんは不参加では?」
「まぁな。そもそも俺に適う奴などいるわけが無いからな。ぶぁーーはっはっ。」
 高らかに笑う。本当にこの世には敵がいないかのような、大きな声で。
「ふふふ、でも【オイタ】をするんでしょうね。あなたの事だし。」
「いや、そんな事はしない。―――だが、「事が終わった後」なら構わないだろ。……そういう事だ。」
「なるほど…そんな考え方もありますね。そこは秋生さんのご自由にどうぞ。」
 にっこり微笑みつつ答える。
「やっと適った念願の舞台だ。そのまますんなり返すのは惜しいからな。何にせよ楽しみだ。」
 そう言い残すと、彼は自分の部屋に帰っていく。

 部屋の入り口にはこう書いてあった。
 全日本ゾリオン協会会長 臨時執務室
 
 秋生は自分の席に座ると、席に置いてあったタバコに火をつけ、それを嗜む。
 部屋にタバコの匂いが広がる。

14名無しさんだよもん:04/06/19 22:21 ID:FMQE1LaS
「ふ〜、もう少しだな。」
「あら、秋生さん何時の間に戻ったんですか?……お帰りなさい。ふふふ、何だか格好いいですね。」
「ああ、早苗戻ったぞ。」
「岡崎さん達は、のびのび楽しんでるかしら?秋生さんも楽しめば良かったのに。」
「俺が出て行って、場を掻き乱すのも悪くはないが…俺は会長だ、会長ともなるとそう簡単には動けないからな。今回は裏方に徹するつもりだ。」
 そう言うと、もう一度タバコの煙を燻らせる。
(まぁ、終わっちまえば幾ら暴れても文句は言われないからな、くっくっく。これだけの大会だ。残った奴は猛者揃いだろうよ。)
 心の中で笑う秋生。
「そうですか…でも、秋生さんがそう言うなら仕方ないですね。それじゃ、皆さんの応援をしましょう。」
 うんうん、頷く早苗。すると、何かを思い出したようだ。
「あっ!そうでした、秋生さん。丁度ここに先日の残りのパンがあるんですが。お昼にいかがですか?」
 びくりと秋生が震える。その拍子で手元からタバコが落ちる。
(マジかよ…。あんなもん食ったら大会もクソもねえよ。)
「…あ、ああ貰っておくか。そこに置いておいてくれ。後で食うからよ。」
「はいっ、分かりました。ここに置いておきますね。」

 早苗はパタパタと歩き、傍にあった棚の上に種類さまざまなパンが入ったバスケットを置く。
(ふう、何とかなったか。あれを食ったらしばらくはまともに戦えないからな。)
「そうだ!折角だし皆さんにも食べてもらいましょう。お昼にお腹が空くでしょうし。」
(げげ…。)
「…………あ、ああ、そうだな。」

 冷や汗がだらだら溢れ出してくる。
(……こんな大会で【あんなもの】を出すのはまずいな、後々のことを考えると非常にまずい。どうにかしなければ。…くそっ。どうする?)
「秋生さん、どうしました?顔色が悪いですよ。ちょっと待っててくださいね。」
「……いや、良い。大丈夫だすぐに良くなる。」

 第一回ゾリオン予備大会は意外な方向から、最大の危機を迎えた。

【参加決定?】 【岡崎朋也】
【残り枠 20人】
【秋生は本大会には直接は手を出しません。大会後は…不明。】
15名無しさんだよもん:04/06/19 22:22 ID:FMQE1LaS
「でも正直に言うとやっぱりちょっと不安だよ。」
 一度別れかけた名雪だが回れ右をしてまだ傍にいた祐一に語りかける。
 既に舞と佐祐理は受付に向かっておりこの場にはいない。
「別にただのゲームだろ?緊張するなって。」
「でもほら、わたしってあの町からほとんど出た事ないしこういうの初めてだから。」
「俺だってこんなでかいイベントに参加するなんて初めてだ。うるさいのは余り好きじゃないしな。」
 祐一の振る舞いは淡々したものだ。
 実際彼が自分からこういうものに参加する姿は想像できない。
 今回も自分の叔母の誘いで無ければここにいたりはしないだろう。
「賑やかになる事自体はわたしは好きだけどね。」
「なら気にするな、受験勉強の合間の息抜きとでも思えばいいさ。」
「祐一は息抜きばかりな気がするけど…。」
「そんなのは俺より成績が良くなってから言うんだな。」
 少しトーン上げて祐一が突っ込む。心なしか胸を張ってる様に見えるのは気のせいだろうか?
「来たばっかりの頃は互角だったのに…。予習もわたしの方がやってるのになんでだろう?」
 授業中しょっちゅう寝てるのが原因という自覚は彼女にはないようだ。
「あの時は転校したっばかりで進度も違ってたからな。ある程度は取っておかないと教師呼び出されるのも馬鹿馬鹿しいし。」
「そういえば当たり前の事だけど祐一は転校してきたんだよね。」
「何だ突然…。」
 予想してない言葉に祐一は顔をしかめた。
「うん、もうすっかり家に馴染んでるしそれに…。」
 特に意味は無かったが間を空ける。
「祐一って前の学校の話しないから。」
 あの最後に会った冬から再会するまでの祐一について、名雪はほとんど何も知らない。
 彼女自身特に聞こうとは思わなかったし彼が自分から話すなんて事は彼の性格からしてありえるものでもなかった。
 祐一の方はと言うとさっきよりさらに訝しげな顔をしている。
 こんな所で話すのには場違いな内容であるし予想していた反応である。
「まあそんな人に語れるような事をしてたわけじゃないしなあ。有体に言えば平凡の一言だ。」
 特に感慨も無く語ってくる。
16名無しさんだよもん:04/06/19 22:22 ID:FMQE1LaS
「ふーん。」
「まあ周りには平凡とは言い難い奴もいた事にはいたが…。」
 無表情だった顔が急に何とも云えないに変わる。
「祐一の友達?」
 ようやく会話の糸口を見つけられたような気がして口調が早くなる。
「いや…その、まあ確かに会話とかは良くした気がするがあれを友達と言うのは…。」
 普段はそれ程動揺を見せない彼の慌てふためく姿にその相手に興味を覚える。
 (女の子だったりはしないよね?)
 少なくとも彼が前の学校に恋人がいたなんて聞いた事はない。
「ひょっとしたらその人もこの大会に参加したりしてね。」
 邪な考えを振り払うように何気なく言葉を紡ぐ。
 何の意味も無い一言だ。
「おいおい、そんな偶然あるわけ――」
 彼も軽く笑みを浮かべながら返答を言いかけて、その表情が凍る。
「悪い、そこどいてくれ!!」
「えっ!?」
 後ろから叫び声が掛かるがその時は遅かった。
 どがしゃぁああああっ!!
 為す術もなく後ろから強烈なタックルを喰らい顔面から床に倒れ伏す。
 (床が新築で綺麗なので良かった…)
 不条理な展開の中で名雪ふとその事に救いを感じた。
17名無しさんだよもん:04/06/19 22:22 ID:FMQE1LaS
それは何でも無い会話のはずだった。
 叔母に誘われたこの大会で従兄妹と話すという状況が普通かは置いといて。
 (こんな偶然があるわけない!)
 相沢祐一は己の全神経を集中させ目の前の出来事を否定する術を探した。
 偶然従兄妹が関係の無い話を持ち出して偶然その中で思い浮かべた奴が偶然従兄妹の後ろから走ってきて彼女にぶつかったのだ。
 (漫画の世界じゃあるまいし。)
 「こーへいーっ!!」
 向こうから自分と同じぐらいの少女が走ってくる。彼女とは特に話したことは無かったがやはり見覚えがあった。
 (名前が浩平で顔も同じでいつも一緒にいた彼女も来ている。否定するだけ無駄か…)
 とりあえず倒れ伏した名雪の方に目を向ける、すでに起き上がって服をはたいていた。
「祐一酷いよ、教えてくれたっていいじゃない。」
「すまん、ちょっと予想してなかった事態に呆けちまった。」
 素直に謝っておく。下手に怒らせると厄介なのは常々経験済みだ。
「悪ぃ、思ったより床が滑るんで止まれなかった。」
 ぶつかった相手は名雪にいまいち誠意の感じられない謝罪の言葉を投げかける。
「ごめんね、怪我無いよね?もう、だから走らないように言ったのに。」
 こちらは丁寧な謝罪、人間性が如実に表れた結果だ。
「うん、特に怪我はないし大丈夫だよ。」
 名雪の方もそれをわかってか少女の方を向いて返事をする。
「しょうがないだろ、急がなきゃ受付もやばい可能性あったし。」
「浩平が全然起きないからだよ!おかげで説明だって全然聞けなかったもん!」
「甘いぞ長森、たっぷり睡眠時間を取らなきゃ勝てるものも勝てん!つまりこれは戦略上価値ある一手なんだ。ということでこれからは名軍師折原君と呼んでくれ。」
「呼ばないよ!大体受付時間に遅刻したら参加すらできないもん!」
 二人の間に激しい口論が始まる、以前は良く見かけた光景だ。
 名雪はというと展開について行けずおろおろしている。
 (今の内に退散するのが吉だな)
「おい名雪、何ぼーっとしてるんだ行くぞ。」
 冷静なつもりだったが迂闊にも予想以上に声が張り上がってしまう。
「うん、ひょっとしてお前相沢か!?」
 その男、折原浩平はこちらを見て声を上げた。
18名無しさんだよもん:04/06/19 22:23 ID:FMQE1LaS
「えーっと、どちら様でしたっけ?見覚えはあるんだけど…」
「相沢だよ相沢祐一。去年の2学期、北の方に越していった奴がいたじゃないか。」
「あっ…ご、ごめんね忘れちゃってて。」
 その言葉でバツが悪そうに慌てて謝って来る。
「俺だってあのクラスの奴らの大半はもう忘れちゃってるし気にするな。」
 転校する時皆に告げずに去っていったのは自分だ。
 むしろ当然の結果である。
 後腐れ無く発つには感傷は余分というのが持論だ。
「急にいなくなったからな。俺としても驚いたよ。」
「一応お前には後から手紙送ったろ。」
 ある程度親しかった数人だけは後から連絡した。
 簡単な物ではあったが。
 結局返事も特に届かなかったしそれっきりである。
「俺としては何か送りつけてやろうかとも思ったんだがまあこっちもいろいろあってな。」
「実行されなくて良かったと心から思う。」
 そんな事になったらどうなってたか想像するのも恐ろしい。
「しかし、住井の企画にもほとんど参加しなかったお前が良く出る気になったな。」
「ああ、俺の叔母でこいつの母親なんだがさっき説明してた…って聞いてないんだっけ?」
 名雪を指差しながら答える。
「ああ、そうなるな。」
「わたしは会場に入る時ちょっとだけ見たよ。うん、言われてみれば面影あるね、えーっと。」
「水瀬名雪だよ、よろしく。」
「わたしは長森瑞佳だよ。でこっちが」
 ゆっくりと瑞佳は浩平の方に視線をやり浩平もそれに頷く。
「折原浩平だ、出身は美男子星の美男子星人だ。」
 力いっぱい胸を張りある意味尊大な態度で挨拶をする。
「美男子星?」
 何のことかいまいち理解できてないようだ。
19名無しさんだよもん:04/06/19 22:23 ID:FMQE1LaS
「気にするな、こいつの言う事をいちいち間に受けてたら身が持たない。」
「んでお前はその叔母に招待されたってところでいいのか?」
 皮肉たっぷり言ったつもりだったが浩平はそれをさらりとかわす。
「まあそうんな所だ。」
「じゃあお前、協会長がどんな奴か知らないか?」
 突然真顔になった浩平が質問してくる。
「協会長?俺は知らんが。」
 秋子さんは顧問らしいので他にいるのは間違いないはずではある。
「協会長は伝説とも言えるゾリオン使いらしい。生涯無敗って話だ。」
「たかがおもちゃのゲームで伝説とか生涯無敗ってのもアレだな。」
 その内世界征服とか話も出てくるかもしれない、などと馬鹿馬鹿しい考えが思い浮かぶ。
「俺も最近住みいに勧められたばかりだがゾリオンは中々奥が深いぞ。」
 年不相応な子供っぽい笑みを浮かべる折原。
 これが好きになれるかどうかでこいつの評価は別れるんじゃないか、そんな気がした。
 (しっかし相変わらず何考えてるんだかわからんな。)
 この男の考えを理解するぐらいなら受験勉強なんてきっと簡単だろう。
「そういえば、お母さんが言ってたよ、この大会もその人の為でもあるんだって。」
 名雪が割って入ってくる。
「そりゃ気になる所だな。つーことで俺はその人を見てみたいってのが目的の一つだ。」
20名無しさんだよもん:04/06/19 22:24 ID:FMQE1LaS
「しかし、長森さんも参加するのか?悪いがこういうの好きそうには見えないんだが。」
 今度は瑞佳の方に話を振る。
「浩平がたまには二人きりで出かけようって言うから何かと思ったらこれだったんだよ。」
 改めて見ると運動するには程遠い格好だ。
 はぁーっとため息一つ、苦労してるのが良く分かる。
 それでも彼を裏切らないあたりの我慢強さは賞賛に値するだろう。
 名雪を起すだけでウンザリしてる自分にとっては尊敬しべき対象だ。
「住井と連絡が取れなくてな。二人分チケットあるからお前誘う以外なかったんだよ。」
 そう言って肩をすくめる。
「だからそんな服装なんだね。それで長森さんは参加するのかな?それなら確か何処かで貸してくれたと思うけど…。」
「うん、もうちょっと考えてから決めるよ。良く見たらもう少し時間あるようだし」
 迷ってるせいか瑞佳は何処か落ちつかない様子に見えた。
「何ぃ!?まだ迷ってたのか長森。そんなんじゃりぱなだよもん星人にはなれんぞ。」
「わけわかんないよ。だって浩平と一緒ならまだしもチーム分けランダムみたいだし。」
 そういうと浩平をじっと見つめる。
 (ひょっとしたら別の人と組むというより折原と敵になる方が彼女には嫌なのかもな)
そんな気がする。
「まあ、とりあえず受付行って申し込むのが先だな。遅れた分話も聞かなきゃならんし…。」
「うん。」
「じゃあお互い頑張ろうな二人とも。」
 軽い笑みを浮かべて浩平がエールを送ってくる。
「俺としてはお前と戦うなんて恐ろしくてしょうがないんだなが。」
 半眼でうめく。
「まあ、俺は楽しめりゃなんでもいいがねえ。それと――。」
 彼からかけられた言葉は思いがけないものだった。

21名無しさんだよもん:04/06/19 22:24 ID:FMQE1LaS
「…」
 折原達が去った後、祐一は完全に困惑していた。
「祐一〜、わたしたちもそろそろ行こう、時間無くなるよ。」
「あ、ああ。」
 意を決して尋ねる。
「なあ名雪、俺って明るくなったか?」
「えっ!?」
「今折原が言ってただろ?」
「そんなのわたしが知りたいぐらいだよ。さっきから話してる通りわたしは昔の祐一は知らないし。」
「そうだったな。変な事言って悪かった。」
「でもあの町に来てそうなったというならわたしは嬉しいな。」
 そう言って名雪は笑顔になる。
 (何がそんなに嬉しいんだろうな。)
「でも折原君が言ってた協会長さんが参加してるのなら厄介だね。」
「どうだかな。そんな偉い人が出るとは思えんぞ。それに俺としてはそんな未知数な奴より折原の方がよっぽど厄介だ。」
 祐一にとっての折原浩平は不条理の塊だった。
 脈絡の無い奇行もそうだしそれでありながら決して周りに不快な思いはさせない。
 どちらかというと事なかれ主義の自分とは対極の存在だ。
 少なくとも今の自分が彼に勝つイメージは思い浮かばなかった。
「そんなに凄いの?川澄さんより?
「単純な運動神経なら勝てる自信はあるが、何せ先が読めない奴だからな。こういうサバイバルなら舞より強敵かもしれん。」
「ふーん、でもそれなら味方になったら心強いね。」
 だがその言葉に祐一は大きく首を振り、
「あいつの恐ろしい所は敵にも味方にもトラブルを巻き起こす所だ。それでいて最後にはあいつだけが立ってる。」
 苦笑を浮かべ、
「さっきは長森さんという手綱があるからいいが、それが無くなったあいつは予測不能だ。」
22名無しさんだよもん:04/06/19 22:25 ID:FMQE1LaS
「でも何か嬉しそうだね祐一。」
 意外な言葉が名雪から返って来る
 もっとも今日は意外な事ばかりなのだが。
「そうだな、ひょっとしたらそうかもしれない。」
 思いとは裏腹に出たのはそんな言葉だった。
「なあ名雪、一つ賭けをしないか?」
 さらに思うがままに言葉を述べる。
「この大会で俺よりお前の方が後まで生き残ったら全部話してやるよ。あの町に来る前の事。」
「えっ!?」
 きょとんとする名雪
「何か目的があったほうが他のチームでもやりやすいだろ?」
「でも賭けって事はわたしも何か賭けるんだよね?」
「そうなるな、一週間自力で朝起きるってのはどうだ?」
「祐一、極悪だよ…。」
 あきらかに不満気な表情をする。
「自力で起きるのが普通なんだ。たまには一週間ぐらいやってみろ。」
 徐々に口調を強めながらまくし立てる。
「…わかったよ。でも絶対負けないからね!」
 ついに諦めか同意する。
「よし、じゃあさっさと受付済ませよう。大分話し込んだしな。」
「わかったよ。」
 名雪の同意を背に聞きながら受け付けの方に歩き出す。
 (まあ精一杯やってるさ。誰が相手でもな。)
 このゲームに意欲を出し始めた祐一だった。

【祐一と名雪賭けをする】
【折原浩平 参加】
【長森瑞佳は参加するか不明】
【残り枠 25人】
23名無しさんだよもん:04/06/19 22:26 ID:FMQE1LaS
以上現在投稿されている5作品です。
間が離れていたので貼り付け。

気軽に作品投下、感想をどうぞ。
24名無しさんだよもん:04/06/19 22:38 ID:D6egm8eV
乙。
いきなりだが、すぐ上の作品残り枠違うだろw
25名無しさんだよもん:04/06/19 22:57 ID:b2K4brCJ
>>24
19人だな。
大したミスでもないから然程気にすることでもない
とりあえず次の人間違えないように
26名無しさんだよもん:04/06/19 23:14 ID:eiOM9oKK
「ついつい勢いで来ちゃったけど……」
 七瀬彰は迷っていた。
 友人に誘われてこの場に来たはいいものの、優勝できる自信などまったくない。
 何より、自分はインドア派なのだ。こういったスポーツは得意分野ではない。
 だが、何故ここまで来てしまったかというとその友人の頼みによるところが大きい。
 友人が「一人で参加するのも寂しいからお前も一緒にやってくれ」とせがむので、
 元来押しに弱い彰はついつい了承してしまったのである。
 ゾリオンのルールを覚え、練習すること数日間。
 一応、何とか参加できるぐらいのレベルまでいけた、と個人的には思う。
 それで、開催地まで赴いてみればルールは三人チーム制でしかも選出方法はランダム。
 これでは自分が来た意味などまったくない。

 ふぅ、とため息をつく。
 まあ、来てしまったものは仕方がない。ここでとんぼ返りしたら無駄足もいいところだ。何より……
「さ〜て、早く受付行くぞっ! 目指すは優勝あるのみだ!」
 ここまで乗り気の友人――藤井冬弥を見ると断るに断れなかった。
 まあ、大会に勝ち上がるというよりも娯楽として楽しむといった目的でやったほうがいいかもしれない。
 勝ち上がれなくても、自分が楽しめればそれでいい。それだけで今日までの数日間の練習も報われる。
「何やってんだ彰? 早く行こうぜ」
 冬弥が自分のことを呼ぶ。
「うん、分かってるよ」
 だから彰もそれに続いた。
 そういえば、冬弥はいつゾリオンなんかに興味が出てきたのだろうか。
 そこら辺は後々聞いておきたいところだった。
 自分としては美咲さんと組みたいところだったが、運良く一緒になれる確率は低そうだし、
 何よりあの美咲さんがこういった催しに参加する可能性は低いだろう。
 あくまで楽観的な考えはやめ、彰は冬弥に続いて受付に入っていった。

【藤井冬弥・七瀬彰 参加決定】
【残り枠17人】
27名無しさんだよもん:04/06/20 00:50 ID:zwsndcpS

やっぱ今回は男中心になりそうだな
そういう意味でも期待
28名無しさんだよもん:04/06/20 00:51 ID:ys6FovvE
「うーん、浩之は先に行ったのかな〜」
「浩之ちゃんはせっかちだから、こういうのは一番に飛びついちゃうよね。」
 ふぅ。っと溜息をつくあかり。どこか諦めにも似た表情を浮かべる。
 それに対して雅史はいつもの笑顔であかりを見ていた。

 喧騒としている受付前。佐藤雅史と神岸あかりは抽選の順番待ちをしている。
 辺りを見るといろんな年代の男女が、彼らと同じように語り合っている。

「へぇ〜、ゾリオンっていろんな人がやってるんだ。僕達みたいな高校生以外にも、大人の人もいるんだねぇ。」
 ふと、周りを見回すと明らかに高校生には見えない人もいた。

「うーん、ちょっと心配だよ。それに、浩之ちゃんと敵になっちゃったら…どうしよう。」
「浩之の事だから、どうせ優勝狙いだろうし。あかりちゃんでも容赦しないかもね。」
「浩之ちゃん…酷い。わ、私もがんばるんだから!」
 あかりの決意を聞いて、雅史は少し慌てる。
「わっわっ、あくまでも僕の予想だからね。それに今回は準優勝もあるんだし、協力し合って戦うってこともできるんじゃないかな。
 浩之にその気があるなら、2人で優勝と準優勝を独占ってこともできそうだよ。」
「うーん、チームの人が納得してくれるかなぁ。それに私と組むなら雅史君と組んだ方が 良いんじゃないかな?」
「それは、浩之次第だと思う。僕にもそれは分からないよ。」
 ちょっとだけ、悩む雅史。
 (…でも、浩之の事だから、あかりちゃんと出会ったら一緒になるんじゃないかな?
 僕は、どうすればいいんだろう…浩之とあったら…戦うしか無いのかな?)
29名無しさんだよもん:04/06/20 00:52 ID:ys6FovvE
 二人が話している間に徐々に人が少なくなっていく。
「あ、雅史君。もう直ぐ順番だよ。どんな人と一緒になるんだろう。」
「いい人と一緒になれると良いんだけどね。どうせだから長く遊びたいし。」
 受付の人が一人に一つゾリオンを手渡していくのが見える。手渡された人から順に別々の出口に向かっているようだ。
 ただ何となく出口に向かう人。明らかに決意を抱えて出口に向かってる人。いろいろな人がいるように見える。
「もう少しだね。あかりちゃんも浩之に会えるといいね。」
「その言葉を雅史君にもお返しするよ。お互い頑張ろう!」
 別れの挨拶を交わす二人。

 (…浩之ちゃんに会えるといいなぁ。)
 再会を胸に、赤いゾリオンを受け取るあかり。

 (…浩之、僕はどうすればいいんだろう。)
 迷いを胸に、白いゾリオンを受け取る雅史。

 それぞれの思いを胸に、二人は出口に向かう。

【参加決定】 【佐藤雅史・神岸あかり】
【残り枠 15人】
30名無しさんだよもん:04/06/20 00:56 ID:XLYgM4pN
期待age。
これぐらいの長さの話を続けるほうが面白そうだぞ。
確かに男率高いけどいいんじゃね?
31名無しさんだよもん:04/06/20 01:01 ID:zwsndcpS
むしろ最高
32名無しさんだよもん:04/06/20 01:01 ID:ys6FovvE
しまった。雅史「ちゃん」だったorz
脳内補完よろしく…
33名無しさんだよもん:04/06/20 01:05 ID:ys6FovvE
>>28 後ろから5行目
>>29 前から2行目、7行目
雅史君を雅史ちゃんに。
申し訳無い。
34名無しさんだよもん:04/06/20 01:08 ID:Zr+LvppZ
誰か最高だせよ。
みちるもいるから、美凪もいそうな予感。
35名無しさんだよもん:04/06/20 01:19 ID:4BqYOHHQ
最高言うな
ちゃんと本名で呼べ
36名無しさんだよもん:04/06/20 02:28 ID:KUP97XYD
 国崎往人は右手の銃を見つめながら思う。
 色は黒。どちらかと言うと、無骨な外見が子供達に受けそうだ。
 
 そんな銃を器用に回転させながら、腰にあるホルスターに収める。
 丁度西部劇に出るようなガンマンを思わせる。
 (…って、何で俺がこんな玩具で遊ばなければならないんだぁぁぁ!)
 そんな何ともいえない気持ちを開放出来ないまま、往人は仲間と歩いていた。
 美凪とみちるに誘われてきた、テーマパークでまさかこんな事をするとは思いもしなかった。
「……?」
 隣を歩いていた舞が、不思議そうな顔でこちらを覗き込む。
「ん?国崎さん、どうかしましたか?何だか不満みたいですけど。」
 それに気づいた里村茜も、何事かとこちらを見ている。
「いや、何でも無い。ただ無性にいらいらしただけだ。気にするな。」
 慌てて言い訳をする往人。
 (…俺はともかく、こいつらは乗り気かもしれないからな。ちっ、
 俺らしくない考えだが…まぁあいつらも楽しんでるだろうし―――)
「おまえらは、どうしてこの大会に参加したんだ?」
 そんな純粋な疑問を二人にぶつけて見る。
 (…こいつらが乗り気がどうかで、この先を進む道が変わってくるからな。聞いておいたほうが良いだろう。)

「私は祐一達とこのテーマパークに遊びに来た。祐一の叔母さんがこの大会の主催者だから、
 みんな参加することになった。だから私も参加してる。……でも、やるからには、がんばる。」

 先に舞が答える。どこか淡々とした口調だが言葉に熱意があり、やる気があるのが良く分かった。
(…祐一というのは、舞の友人だろうか?)

「……私も、詩子と一緒に遊びに来たんですが……気がついたら詩子がこの大会にエントリーしていて、
 私も参加することになってしまいました。皆さんには申し訳無いですが、
 私はこういう事はどちらかというと…嫌いです。」

 茜は気まずそうに答える。こういうことを後回しにすると、やっかいだと思ったのだろう。
 国崎の先ほどの顔を見て、察したのかもしれない。
37名無しさんだよもん:04/06/20 02:30 ID:KUP97XYD
(…ふーん、なるほどな。舞は乗り気で里村はあまりやる気が無いのか。
 この大会に出るくらいだから、やる気があると思ったんだがな。って俺もだったか。)
「実を、言うと俺もあまり乗り気じゃないんだ。俺も友人の付き添いで着たわけだからな。
 これなら、その辺で人形劇をして小銭でも稼いでいた方がいいな。」
 往人はそういうと、ふと周りを見渡す。周りには人通りも多く、田舎町の病院前で子供相手に劇をするより、
 はるかに見入りが良いだろうことが予測された。

「……人形劇?」
 舞は怪訝な表情で尋ねる。
「ああ、これだ。見てろよ。―――ほっと。」
 往人は、人形を取り出すとそれを地面に放り投げる。

 ―――その瞬間念を込める。

 すると人形は、スタッと言う音を立てて、見事地面に着地する。
 そのまま、まるでゼンマイ仕掛けの玩具のような動きで、辺りを動き始めた。
「!!……かわいい。」
 (……!!久々にかわいいって言われた気がするぞ。)
 心の中で涙を流す往人、かなり変な感覚を持っている舞には、可愛く見えたらしい。
「……どうなってるんでしょう。でも、こんなのでお金を取れるんですか?」
 極めて冷静な判断をする茜。雰囲気は似ていても性格は対照的なようだ。
38名無しさんだよもん:04/06/20 02:32 ID:KUP97XYD
「……お金で思い出したけど。……優勝したら何か貰えるらしい。」
「マジかよ!!そんなこと聞いてないぞ。」
 賞品が出ることを知らなかった往人。
「……賞品がでるんですか。……!!」
(優勝すれば賞品が貰えるんだから……詩子に賞品と交換で、ワッフルを奢って貰いましょう。賞品の価値にもよりますけど、沢山食べれそうですね。)
 そんな邪な思いを浮かべる茜。
「国崎さん。」
「里村。」
 同時に声を上げる二人。舞はそんな様子を、先ほどのままの怪訝な表情で見つめていた。そして、3人の思いが重なる。

「優勝しましょう。」
「優勝するぞ!」

「……うん。」

 三人は優勝に向かって動き出す。
 ―――その内心の思いは置いておくとして。

【参加決定】 【国崎往人・里村茜・遠野美凪?】
【チーム決定】 【国崎往人・里村茜・川澄舞 チームカラー黒】
【残り枠 12人】
39名無しさんだよもん:04/06/20 02:33 ID:KUP97XYD
リクあったので最高を登場させてみた。
俺も書きたいし(苦笑
ゾリオンの銃の色でチームが決まるんだよね?
とりあえず勝手に黒に設定。
40名無しさんだよもん:04/06/20 02:44 ID:FgBrfiby
美凪が不明ならまだ13人では?
41名無しさんだよもん:04/06/20 02:45 ID:FgBrfiby
美凪が不明ならまだ13人では?
42名無しさんだよもん:04/06/20 02:52 ID:KUP97XYD
>>40
>>41
ん?ほんとだ。すいません。【残り枠13人】になります。

とりあえず、今までの登場人物の整理。
17人確定で、残り枠13人。

参加確定、チーム未確定キャラ(カッコ内は銃の色)


【折原浩平】
【相沢祐一・水瀬名雪】
【岡崎朋也(不明だが、主役級なので多分出るから)

【佐藤雅史(白)・神岸あかり(赤)】
【藤井冬弥・七瀬彰】

確定済みチーム
【緑・倉田佐祐理・みちる・春原陽平】
【黒・国崎往人・里村茜・川澄舞】
【色不明・藤田浩之・伊吹風子・柚木詩子】

名前は挙がってるが、参加かどうかは不明
【長森瑞香・遠野美凪】
43名無しさんだよもん:04/06/20 03:00 ID:IMxeTGUB
地味に作品増えてるな。
書き手さん乙。
44名無しさんだよもん:04/06/20 03:11 ID:6l0D0kFO
「俺はゾリオンチャンプを目指すぜっ!」みたいな熱い奴キボン
あと文中の「ランダム分け」って言葉、「くじ引き」か何かに変えられない?
45名無しさんだよもん:04/06/20 03:15 ID:KUP97XYD
熱い奴か……浩平、冬弥は今のとこ乗り気だな。
こみパキャラは乗り気なやつが多いかも、俺はやってないから書けないけど、大志とか。
ランダム分けはくじ引きの方が自然そうだね。
46名無しさんだよもん:04/06/20 03:33 ID:KUP97XYD
見直すと変なとこに、点があるなぁ。
ご容赦を。

寝る前にあげ。
47名無しさんだよもん:04/06/20 08:17 ID:K3wlAYfn
「まったく…朋也め…誘っておいて姿を見せないなんて失礼なやつだ」
 ぶつぶつと愚痴をこぼす少女――坂上智代。
『よお智代、今度ゾリオン大会に出てみないか? 俺も春原も出るから』
 そう誘われ来てみたのだが朋也の姿はない。
 春原は床に倒れて悶絶しているのを見かけたが放っておいた。

「やれやれ…仕方のないやつだ……ん?」
 トントン、と不意に智代の肩を叩く影があった。
「あっ朋也…遅いぞっ、女の子を待たせるなんてお前はひどいやつだ」
 そう言って振り返ったのだが朋也はいなかった。
 代わりにいたのはショートカットの女性。
「冬弥知らない?」
「はあ?」
 その女性は智代よりも少し年上だろうか、ボーイッシュな雰囲気、だがそれ以前に智代は得体の知れない、浮世離れした感じ、そんな第一印象だった。

「あなたも参加者なのか?」
「うん、冬弥に誘われた」
 淡々と話す女性。
「そうか…お互い変な男に振り回されて大変だな」
「かもしれないね」
 ここで会ったのも何かの縁だ。そう思い智代は自己紹介をすることにした。
「私は坂上智代」
「ん……河島はるか、よろしく」
 それがはるかとの出会いだった。

「それはそうとして、智代って男の子みたいな喋り方するんだね」
「……気にしないでくれ…私は昔からこんな口調なんだ…」

【参加決定】 【坂上智代・河島はるか】
【残り枠 11人】
48名無しさんだよもん:04/06/20 14:15 ID:NhcObPUn
うーん、別にNGとか言う気は無いけど
冬弥の所の描写見ると彼に連れられて来てってのはいまいち話に合わないような。
つーか揃いも揃ってぞろぞろヒロイン連れて参加して行くってのも不自然だよなあ
一捻り欲しい所だが難しいか。
49名無しさんだよもん:04/06/20 16:03 ID:KUP97XYD
単独出場もありだよな。
50名無しさんだよもん:04/06/20 16:30 ID:/eHBjTrw
春原だったら、朋也を誘ってみたが断られ泣きながら一人で参加とか。
浩之は志保あたりが嗅ぎ付けて強引にくっ付いてきそうだしな。

まだ出てないキャラで単独参加しそうなのが思いつかんわ。
51名無しさんだよもん:04/06/20 17:10 ID:mzHGfe1R
ところでタイトルつけなくていいの?
52名無しさんだよもん:04/06/20 17:29 ID:0c7qhGV7
最近彼の周りで、突如流行りだした玩具のゲーム。

―――ゾリオン

たかが玩具、されど玩具。
初めはただ、彼の目的であった漫画のネタとして、それを見ていた。
だが彼は一度それに手を出すと、徒々敵を求めて走りだす。
―――いくつもの戦い、いくつもの死闘。
時には彼が「まいぶらざ〜」と呼ぶ親友を駆り出してはチーム戦をしたりもした。
結局は彼はどんなことでも、一度始めたからには最強を目指す男であった。

即売会前の和樹の部屋。
和樹が机に向かって、懸命に作業をしている。

そんな中、大志の元に一通の招待状が届いていた。
「ふむ、中々面白そうではあるな。」
大規模テーマパークで開催されるゾリオン大会への招待…差出人は古河秋生。
(古河秋生、もはや伝説とも言われているゾリオン使いか。)
大志の情報網は、既にその人物が実在すること、容姿、性格その全てを捉えていた。
「吾輩に目をつけるとは、なかなかやるな古河秋生。ふふふ、ははははは。」
強敵の出現に彼は笑い出す。

「ん?どうした大志?」
近くにいた和樹が何事かとこちらを見る。
素早く読んでいた手紙を隠して思案する大志。
(……ふむぅ、同士達を誘っていくのも良い手だが。)
彼は考える。だが結論は直ぐに出た。この次の即売会が近い忙しい時期に、彼を疲弊させるのは拙いと考えた。
「いや、何でも無いぞ。まいぶらざぁー。」
「そうか?なら良いんだが。」
和樹は首を傾げながらも元の作業机に戻っていく。
(すまないな、まいぶらざー、しかし譲れないものもあるんだ。)
そう思いつつも、大会に向けての準備に励む大志。
53名無しさんだよもん:04/06/20 17:30 ID:0c7qhGV7
―――そして九品仏大志はここにいる。

「……吾輩に銃を!」
九品仏大志は、受付にいた男に高らかに宣言する。
「―――いい気合だな小僧。まぁその意気でがんばりな。」
銃を渡す男。銃の色は橙色。
「はぁっはっはっ。必ず優勝するからな。待っているがいい、古河秋生。」
「あん?何だ?ばれてるのか。サングラスぐらいじゃ見つかるのも無理はないな。」
そう言って、サングラスを取る秋生。その鋭い眼光は大志を捕らえる。

二人の視線が交錯する。

「するとお前が九品仏大志か。ふん、上ってこい。俺が戦うのは…強いものだけだ。」
「吾輩は必ず残る。首を洗って待っているがいい。」
そんなセリフを残し、会場を去る。

(吾輩は…生き残る。奴と戦うために。)

【参加決定】 【九品仏大志】
【大志の銃は橙色】
【残り枠 10人】
54名無しさんだよもん:04/06/20 17:33 ID:0c7qhGV7
大志は黙っていった事になってますが、
ばれてるかもしれません。その辺は他の書き手さんにお任せします。
55名無しさんだよもん:04/06/20 17:44 ID:vPJk2GYJ
もっともっと熱いやつ希望〜
56名無しさんだよもん:04/06/20 18:27 ID:vJLTFOTc
これ、朋也って受付まで行ってるの? まだなら書こうと思うんだけど。
57名無しさんだよもん:04/06/20 18:29 ID:5/buOhhW
書いちゃって良いんじゃないの?
いろいろ出ているような描写があるし。
登場しないのも変だろう。
58名無しさんだよもん:04/06/20 18:50 ID:EKupcrRG
というか後になればなるほど、設定も増えていくし、
絡みも複雑になって把握しにくくなるし
そもそも使えるキャラは早いもん勝ちだし
書こうとするなら早めに投下した方がいいな
59名無しさんだよもん:04/06/20 19:13 ID:vJLTFOTc
岡崎朋也が大会に参加する意思を固めた理由は、本当に些細なことだったのだ。

最初はただ、面白そうだ、というだけで参加しようとしていた。受付で銃を渡されるまで、その気持ちは変わらず。
だが、受付でその思いは昇華され、勝ち残るという目標を得た。
「受付、頼む」
元来の性格故、ややぶっきらぼうな――悪く言えば、礼儀知らずな物言い。が、係員はそれを悪く思う様子もなく、
淡々と銃をこちらに、放り投げるように手渡してきた。渡された銃が色は、春の桜が燃えるかのような、穢れなき赤。
(っ――)
これは。
銃を手に取った刹那、朋也の中に、自分でわけもわからず、荒れるような感情が巻き起こった。
一言で表せば――懐かしい。
そう、これは、既視感。陽平と馬鹿をやっている時の思いではない。父親に反発する時の感情でもない。
これは――あの時だ。中学三年、バスケットをやっていた。その時の、あらゆるものに心血を注いだ、感覚。
昔の情熱が蘇るのを覚え、岡崎朋也の皮膚は粟立った。
何故だろう。こんな玩具を使った遊びで、何故このように熱くなるのだろう。
(まぁ・・・・・・、いい)
自然と口の端が歪むのが判る。朋也は出口へと向かった。想像するは、戦い。ゾリオンという名の。
誘った春原陽平。同じく坂上智代。藤林杏は――出るのだろうか。そして、まだ見ぬ敵。
銃と同じく赤の扉が視界に入る。
(・・・・・・ん?)
なんだ、と彼は独りごちた。扉に、誰か居る。
60名無しさんだよもん:04/06/20 19:14 ID:vJLTFOTc
「オッサン?」
その人影を捉え、朋也はその人物の名を呼んだ。オッサン――即ち、古河秋生。古河渚の父。
「おぅ、小僧。来たか。喜べ、お前は試合前に俺に会うことが出来た数少ない人間だ」
悪戯っぽく笑い、煙草を咥える。彼の右手には、黒銃が在った。
「何で、俺に」
「まぁ、激励だ・・・・・・お前は生き残れ。そして」
かつての部活で鍛えられた反射神経故か。朋也は、秋生の右腕が伸びやかに動くのを見逃さなかった。半ば本能で、自分も右腕を。
自らが手中にも、銃。向かうは、目前に居る人物。
腕が交差し、自分の武器が秋生の胸元にポイントされる。が、朋也の胸元にも、色は違えど銃が在った。黒光りするそれが。
「はっ――やるじゃねぇか、小僧。俺が手を抜いたとはいえ、よ」
体勢を戻し、目前の男は軽く笑った。背中を叩かれる。
「行って来い、小僧。そして勝ち残れ」
「――ああ」
古河秋生に背を向け、歩き出す。表情には恐れはなく、ただ喜びがあった。昔の楽しみを、また味わえる喜びが。
出口をくぐる。足音が響いた。
61名無しさんだよもん:04/06/20 19:17 ID:vJLTFOTc
【岡崎朋也 出場決定】
【銃は赤】
【残り枠 10人】
えと、朋也は決定済みだったらしいので残り枠は変わらないんですかね?
62名無しさんだよもん:04/06/20 21:02 ID:GnWUeZGS
そうみたいだな。
朋也はあかりと同じチームか。
突っ込むと秋生の銃が黒だと国崎チームと被るんじゃないか?
それと、秋生は受付で変装してたみたいだが、
まぁ、こっちは受付が一人とは限らないと思うし、いいとは思うけど。
63名無しさんだよもん:04/06/20 21:12 ID:EdZwYW+g
しっかし、前置き長いな。
次回から選出方法を変えるべきだね。
銃撃戦まだ〜?
64名無しさんだよもん:04/06/20 21:34 ID:aFCKjMKl
現在こんな感じ (カッコ内は銃の色)

参加人数 20人

挙がっているチームカラー 
【緑・黒・赤・白・橙】

チーム確定

【緑・倉田佐祐理・みちる・春原陽平】
【黒・国崎往人・里村茜・川澄舞】
【色不明・藤田浩之・伊吹風子・柚木詩子】

チーム未確定


【折原浩平】
【相沢祐一・水瀬名雪】
【岡崎朋也(赤)・坂上智代】


【佐藤雅史(白)・神岸あかり(赤)】
【藤井冬弥・七瀬彰・河島はるか】
【九品仏大志(橙)】

名前は挙がってるが、参加かどうかは不明
【長森瑞香・遠野美凪】
65名無しさんだよもん:04/06/20 21:39 ID:aFCKjMKl
ごめん、名前間違ってました。
瑞香→瑞佳
66名無しさんだよもん:04/06/20 21:53 ID:K3Oz5dci
とりあえず、チームがある程度できたら
ドンパチできるから、チーム結成させたらどうよ?
67名無しさんだよもん:04/06/20 21:55 ID:IxtWJHQG
光線を一定の長さに固定して持続放射させる、剣士向けの改造マダー?(チンチン!
68名無しさんだよもん:04/06/20 21:55 ID:zHHywFQw
確かに書き手不足であまり進まないのが結構痛いな・・・
やっぱ第1回は人数もっと少なくした方が良かったかね?
69名無しさんだよもん:04/06/20 21:59 ID:EdZwYW+g
まぁ、こんな感じでまたーりがいいと思うけどね。
とりあえずチームを組ませるのが急務だな。話が進まない。
70名無しさんだよもん:04/06/20 22:01 ID:eI2nkPAL
これって纏めサイトありますか?
71名無しさんだよもん:04/06/20 22:03 ID:IEPMcXzJ
今はまだ無いな。
72名無しさんだよもん:04/06/20 22:14 ID:lQXqF+4l
(何でこんな事になったのだろうな。)
芳野祐介は手に持った青いおもちゃの銃を見て軽くため息をついた。
今日この場所には自分の大切な人とその妹と3人で来た。
もうすぐ自分の義妹になる少女はある事故で長い間入院していて
つい先日退院したばかりでありその祝いの為の観光旅行であった。
少なくとも先ほどまでは。
(ヒトデが無いとかご立腹だったからな。)
気がつくとちょっと目を離した隙に彼女はいなくなっており
二人別れての捜索となった。
そして人に聞きながら探しようやくこのゾリオンとかいうおもちゃの大会に参加した事を突き止めたのだが都合上参加せざるを得なくなったのだ。
すでに彼女の姉である自分の恋人には携帯で伝えている。
大会終了後に落ち合う予定だ。
(後で会ったら謝って食事にでも誘うべきだろうな。)
彼女を一人待たせる羽目になってしまい彼の中は罪悪感でいっぱいだった。
彼女がこんな事で怒るような人間では無いとわかっていても気分は晴れない。
(あるいはひょっとして俺達に気を使ったのかもな。)
次に探し人の姿を思い浮かべる
彼女は子ども扱いされると良く怒る。
意外とそういう気配りができるのかもしれない。
もっとも自分で大人だなどと背伸びしてるうちは子供だと彼自身は考えているが。
ただその純粋さが彼女の良さでもあるしできるなら失って欲しくない。
自分がそれを失ってしまった事を自覚しているだけに。
73名無しさんだよもん:04/06/20 22:15 ID:lQXqF+4l
「おっ、いたいた。ゾリオン参加者っすよね?」
ふと声がかかる。
そちらに目やると高校生ぐらいの少年が一人立っていた。
手には自分と同じ青い色のおもちゃの銃が握られている。
(そういえばチーム戦だったな…)
探し人に気を取られてあまり真面目にルールを聞いてなかったがその辺だけは覚えていた。
「ああ、俺は参加者だ。」
実のところそれ程乗り気ではないのだが否定する事も無かった。
「どんな奴と組むのかと思ってたけど、頼りになりそうな人で良かったよ。」
その言葉に困惑を覚える。
確かに仕事のおかげで体力にはそこそこ自信はあるが
このゲームについて言うならまったくの素人だ。
果たして自分が戦力的にどれぐらいの価値があるかはわからない。
そんな自分とは裏腹に彼の表情は明るい。
こちらの様子に気を止めずに話を続ける。」
「まずは自己紹介か、俺の名前は相沢祐一。」
「芳野祐介だ。」
「芳野さんで良いかな?呼び方は。」
少年――相沢祐一が確認をしてくる。
「ああ、構わない。そっちはどう呼べばいい?」
「変な呼び名じゃなけりゃ構いませんけど。」
「じゃあ相沢でいいか?」
「あっ、それでいいです。ところで後一人はまだ来てないんですか?」
きょろきょろと相沢は辺りを見回す。
「ああ、青い銃を持ってる奴は君しか見てない。まあその内来るだろう。」
74名無しさんだよもん:04/06/20 22:15 ID:lQXqF+4l
「うーん、できれば早く揃って打ち合わせしたかったんだがなー。」
不満気に祐一が言葉を漏らす。
「随分とやる気があるようだな。」
「つまらない意地ですよ。負けたくない相手がいるもので。」
そんな相沢を見てふと昔の無茶をやってた頃の自分を思い出す。
彼との間に何か共通点があるわけではないのだが。
(結局未練ががあるのだろうな、昔の自分に。)
今の生活に不満があるわけではないがやはり高校時代の頃が自分にとっては最も良い時だった。
(たまには子供心に返ってはしゃぐのも悪くないか。)
先ほどと同じように手に持っていた銃を見つめる。が、そこに抱く感情は先ほどとは違う。
「早く来てくれないものかねえ。」
横では相変わらず相沢が落ち着かない様子でいた。

【芳野祐介 出場決定】
【祐一と芳野の銃は青 最後の一人はまだ来ない】
【残り枠 9人】
75名無しさんだよもん:04/06/20 22:19 ID:GnWUeZGS
よ・し・のっ!!よ・し・のっ!!
76名無しさんだよもん:04/06/20 22:22 ID:IEPMcXzJ
>>65
む、それは多分俺のせい。ごめんよ。
77名無しさんだよもん:04/06/20 23:04 ID:IEPMcXzJ
七瀬彰は未だに迷っていた。
一度はやる気になった。ただ自分の楽しみの為に、ゲームを楽しむという考えで。
だけど、こんなやる気が無い、そんな僕が本当にチームに参加してよいのだろうか?
そんなネガティブな感情を胸に秘めながら、仕方なく銃を受け取る。
ふと見ると銃は青く塗られていた。まるで彼の心の色のように。

冬弥に誘われてきたこのゲーム。冬弥はどうしてこんなに乗り気になったんだろう?
そんなさっきまで思っていたことを反芻しながらとぼとぼと歩く。
だけど僕と一緒に組む人たちは、どうなんだろうか。冬弥みたいに自分から進んでこのゲームに乗った人たちなんだろうか。

右手に持つ青い銃を鬱陶しげに触りながら、ゆっくりと青い扉を目指す。
ふと周りを見ると、他の出場者達が色様々な扉に向かって歩いていくのが見える。

彼らはどんな気持ちで、このゲームをやってるんだろう。
名誉?純粋な楽しみ?出会い?なんとなく?それとも…僕みたいに消極的な理由で?
彼は直ぐに頭を振って、今までの考えを押し出す。
ばかばかしい。僕みたいに、仕方なく出てる人なんているわけが無いのに。

「僕は、彼らの為にもがんばらないと。」

いや、がんばらなければならないんだ。
それが彼らに…このゲームを楽しむもの、ゾリオンそのものに真剣に打ち込む者に対する礼儀と言う物だ。
消極的でもいい。ただ彼らの迷惑にならなければ、それで良いんだ。
結局そんな暗い気持ちを持ったまま彼は歩いていく。
ふと正面を見ると青い扉。
この先に、彼のチームメイトとなるものが待っているはずだ。

青年は扉を開く。
彼の行き先にはどんな結果が待っているのだろう。

【チーム決定】 【相沢祐一・芳野祐介・七瀬彰 チームカラー青】
【残り枠 9人】
78名無しさんだよもん:04/06/20 23:05 ID:IEPMcXzJ
一人ぐらいネガティブな奴がいても良いかなと、入れてみた。
この大会で成長してくれることを願って。
79名無しさんだよもん:04/06/20 23:08 ID:aFCKjMKl
>>76
書き込む前にしっかり確認しなかった俺の方が悪いです。
そちらは気になさらないでください。
80名無しさんだよもん:04/06/20 23:09 ID:ElmMOq1v
音国際チーム。
81名無しさんだよもん:04/06/20 23:13 ID:IEPMcXzJ
俺に知識があれば…まとめサイト作れるんだがなぁ。
誰か作れない?
82名無しさんだよもん:04/06/20 23:30 ID:wHS9FHDy
作れるけど複数管理してる上に忙しいからなぁ……
83名無しさんだよもん:04/06/20 23:34 ID:3oaj8gjD
>82
それで?
84名無しさんだよもん:04/06/20 23:59 ID:CvAbl+l+
 橙色の銃をホルスターに収め、智代は門に向かう。
 向かう途中、素早く銃を抜き出しては、素早く的に向かって狙いをつけ、銃の感触を嗜む。
「ふーん、玩具にしては本格的だな。朋也が好きなのも良く分かる。」
 しかし朋也と敵になったら…私はどうするのだろう。戦う?手を組む?うーん。
 とりあえず、仲間がどんな奴かを確かめるのが先だな。
 決心をし扉に向かい…扉に手をかけようとした。

「むっ?」
「ん?」

 二人の声と手が、扉の取っ手の部分で重なる。

「おや、はるかじゃないか。もしかして同じチームか?」
「ん…そうみたい。智代とは長い付き合いになりそう、よろしく。」
「ああ、しばらくよろしく。……残った一人はどんなやつなんだろうな?」
「さぁ〜?」
 はるかがさして興味の無さそうな素振りでこちらを見る。
 会場を見直すと、もう殆どの選手が抽選を終え、がらんとしていた。
 二人は後ろの状況を確認すると目を見合わせる。
「ということは、この先にいるのか。」
「たぶん。」

 二人は扉を開ける。

 そこに、突然声が響き渡った。
「―――ようこそ、同士諸君!!吾輩は九品仏大志!!この大会を制するものである!以後よろしく。は〜はっはっは。」
 二人はあまりの出来事に一瞬言葉を失う。
 現実と予想の狭間に取り残されそうになる智代。
85名無しさんだよもん:04/06/21 00:00 ID:Gp83ofvJ
「うるさいよ。」
 先に反応したはるかが、ぺこっと右手に持っていた銃身で大志の頭を叩く。
「―――っ。何をする!吾輩のグレートでパワフルな頭脳に傷が付くではないか!」
 一気にまくし立てる大志。

(……世の中は……こんなに……あほばかりなのか。……朋也。)
 眩暈を覚えふらふらする智代。はるかがそれをしっかり支える。
「智代、現実を見たくないのはいいけど、しっかりする。」
「―――ああ、悪かったな。自己紹介がまだだったな。私は坂上智代。以後よろしくな。」
 智代らしくなく少し目を背けて挨拶をする。
「で、私は、河島はるか。大志だっけ?よろしく。」
 少しだけお辞儀をするはるか。
「うむ、同士諸君よろしく。先ほども言っただろうが、参加したからには優勝を狙うぞ。」
「ああ、もちろん私もそのつもりだ。やるからにはもちろん頂点を目指す。」
 少し冷静になって来たのか、今度こそ大志をよく見つめる智代。

(……よく見るとこの男、身のこなし、雰囲気、そして眼光。全て常人のそれじゃないな。この男は…できる!)
一瞬で大志の実力を見抜く智代、立場は違えど二人の目指す高みは、似たようなものだった。

「後は、変人じゃなければいいんだが…」
「同感。」
 小声で頷きあう二人。

「ん?何か言ったかね同士智代?」
「……ん、何でも無いよ。それより作戦を決めなくていいの?」
 直ぐにフォローをいれるはるかも機転と言う意味では頼りがいがあった。
「そうだな、よーし。同士諸君意見を聞こうじゃないか。」

 こうして3人の作戦会議が始まった。

【チーム決定】 【坂上智代・河島はるか・九品仏大志 チームカラー橙】
【残り枠 9人】
86名無しさんだよもん:04/06/21 00:09 ID:Gp83ofvJ
現在こんな感じ (カッコ内は銃の色)

参加人数 21人

挙がっているチームカラー 
【青・緑・黒・赤・白・橙】

チーム確定

【青・相沢祐一・芳野祐介・七瀬彰】
【緑・倉田佐祐理・みちる・春原陽平】
【橙・坂上智代・河島はるか・九品仏大志】
【黒・国崎往人・里村茜・川澄舞】
【色不明・藤田浩之・伊吹風子・柚木詩子】

チーム未確定


【折原浩平】
【水瀬名雪】
【岡崎朋也(赤)】


【佐藤雅史(白)・神岸あかり(赤)】
【藤井冬弥】

名前は挙がってるが、参加かどうかは不明
【長森瑞佳・遠野美凪】

半分チームできたよ。
87名無しさんだよもん:04/06/21 00:17 ID:dDm6JgTj
ちょっと蔵の登場人物が多すぎる気がするな…
1作品4人までの制限はなくなったみたいだけど、ある程度バランスとった方がいいかも。
あと戦力も。
難しいかもしれんが職人さんガンバレ
88名無しさんだよもん:04/06/21 00:25 ID:O4hj/Iqf
こうしてチームを見ると
どのチームも何かしらの因縁があるよな
青と藤田チームだと風子がらみ。
黒と緑だと国崎、みちる。舞と佐祐理。
いろいろあるんだな。
89名無しさんだよもん:04/06/21 00:40 ID:v/lx4GkH
>>87
別に気にしなくてもいいと思う。
それだけ書きたい奴がいるってことだし。
90名無しさんだよもん:04/06/21 03:25 ID:6W/SHvTe
建って二日目。
勢いは無いけど、地道に投下されてるので期待。
書き手のみなさま乙。
91名無しさんだよもん:04/06/21 06:11 ID:CtSVuMHe
志保・レミィ・琴音でチームカラー青紫チームを作ろうかと思ったが、
琴音は超能力使うし何かと不都合が生じる気がするからやっぱりやめたw
92名無しさんだよもん:04/06/21 08:26 ID:2LIKl8r9
喧嘩した詠美(原稿完成)と由宇(原稿完成)を仲直りさせるために、
和樹(原稿作成中(大志参加SS参照))と瑞希が行けなくなった遊園地のチケットを渡したけど、
遊園地内で喧嘩して、そこで見つけたゾリオン大会で決着を付けようということになった話を書こうかと思ったが、
関西弁や呼称が全然分からん気がするからやっぱりやめた…

こみぱキャラが少ないようなので参考までに…
93名無しさんだよもん:04/06/21 09:11 ID:jXCe6Xhn
 それは、昨夜遅くのこと。

♪ピロピロピロリ〜ン…ピロピロピロリ〜ン…ピロピロ…

 可愛らしい携帯の着信音が、暗い部屋で鳴り響いた。
「う〜〜…ん……?」
 携帯の主は就寝中。この時間では仕方がない。
「ん〜……なによぉ〜、こんな時間に…」
 誰かは知らないが、無視を決め込む。少々暑いが布団を頭から被った。
 少しして音は鳴り止み、代わりに携帯は留守電モードへ。
 どうせ、いたずら電話かどこかの業者だろう。明日になったら着信拒否の刑をくれてやる。
『ただいま、電話に出られません。ピーッと鳴ったらメッセージを…』
 そんなアナウンスを聞きながら、彼女はまた、夢の世界へ。

 ピーッ。
「あー、広瀬さん? 俺、住井だけど、まあ、いま出られないならまたかけなおすわ」
 ピーッ。

 ………。
「はぁっ!?」
 がばりと彼女――広瀬真希は飛び起きた。
「ちょっ、なんで住井が私に…?」
 広瀬と住井、別にそんなに仲良しじゃない。少なくとも、携帯の番号を教えあっているほどの仲ではない。
「まあ、いいわ…寝ましょ」
 何故住井が自分の携帯番号を知っているのかは気になるところだが、かけ返すわけにもいかず、広瀬は再び布団の中に潜り込んだ。
 住井は、またかけなおすと言った。急ぎの用事でもないのだろう。
「………」
 目を閉じて、力を抜いて、
「ん……」
 再び夢の世界へ。
94名無しさんだよもん:04/06/21 09:12 ID:jXCe6Xhn

♪ピロピロピロリ〜ン…ピロピロピロリ〜ン…ピロピロ…

 ピーッ。
「あー、広瀬さん? 俺、住井だけど、まだ出られないかな?」

「………」
 広瀬は闇の中、ピッと通話ボタンを押す。
 それで、いったん息を吸い込んで、
「なんなのよっ、あんたはぁっ!」
 近所迷惑も顧みず叫んだ。
「おっ…さすが広瀬さん。元気いいねぇ」
「元気いいねぇ、じゃないわよ……かけなおすんなら明日の朝にしなさい! こっちは寝てるんだから!」
「ああ、ごめん。携帯の番号調べてたら遅くなっちゃって」
 しれっと、怖いことを言う住井。
「調べてたらって、どこで…」
「それで、時間が無いから用件だけ伝えるけど」
「いや、用件じゃなくてどうやって調べたのかって…」
「広瀬さんさ、明日暇?」
「…へ?」
 あまりにも思いがけない質問。
 まあ、この時間にこの男が電話をかけてくる時点で色々と思いがけないのだが。
「えっと…うん、暇」
 意表を突かれたのか、広瀬の剣幕はどこかへ飛んでいってしまった。ついつい素直に答えてしまう。
「おおっ、よかったよかった。駄目だったらどうしようかと思ったよ」
「…そう……」
「じゃ、明日の朝9時に…」


95名無しさんだよもん:04/06/21 09:12 ID:jXCe6Xhn
 夜が明けて、某県某市某所某ホール。
 秋子の開会宣言とルール説明が終わり…
「……ねえ」
 どうにも不機嫌な広瀬と
「うん?」
 全身からワクワクオーラが溢れ出ている住井が隅のほうで並んでいた。
 はぁ、と広瀬はためいきをひとつ。
「帰るわ」
「…え?」
「帰るって言ってるの。なんだって、この貴重な休日にこんな子供っぽいことやらなきゃいけないのよ…他をあたって。こういうのが得意そうなの、いくらでもいるでしょ?」
 広瀬は住井に背を向け、すたすたと歩き出す。
「げ。ちょっと待ってよ広瀬さん…」
「待たないわよ。こういうのは折原あたりに任せとけばいいじゃない。なんで私なんか…」
「いや、その折原に勝つために、さ」
「…え?」
 足を止めて振り返った。
「…折原に?」
「ああ。あいつも参加するんだ。あいつは、俺と一緒に出るつもりだったらしいんだけど…」
 住井はニヤリと笑う。
 それで広瀬は理解した。
 つまり、住井にとって折原とは、親友でもあり、ライバルでもあるのだ。
 一緒に遊ぶだけではなく、たまには勝負事もしたいのだ。それでもって勝ち誇りたいのだ。
 さっきからずっと…思い返せば昨日の電話の時から住井が嬉しそうなのは、こういうことか。
 肝心の折原浩平の姿が見えないが、どうせ遅刻でもしているのだろう。
96名無しさんだよもん:04/06/21 09:13 ID:jXCe6Xhn
「…要は、折原を打ち負かせばいいのね?」
「そういうこと。広瀬さんなら、協力してくれると思って」
「折原…折原ね」
 ふふふ、と広瀬は不敵な笑いを浮かべる。
「こんなところで復讐のチャンスが巡ってくるなんて…いいわ。あの、『クマさんクッキーいいかげんにしやがれ事件』でかかされた恥、100倍にしてお返ししてやるわ…」
「まあ、あれは広瀬さんが悪いんだけど」
「…うるいわね」
 ともあれ、広瀬も結構、やる気になってしまった。
 まんまと住井にはめられた、とも言うが。
「それはそうと、ちょっといい?」
「うん?」
「なんか、チームは抽選で決められるらしいんだけど…」
「へ?」
「へ? じゃないわよ。さっき説明してたでしょ? 受付でチームの抽選を行うって…」
「そ、そうだっけ…いや、上の空で聞いてなかったよ」
 具体的には、折原を打ち抜く瞬間を妄想していて聞いていなかった。
 どんなポーズで決めるか、とかそんなことを。
「あのさ」
「…はい」
「折原と一緒に参加しても、よかったんじゃない?」
「…そうかも」
「ルールくらい、確認しといてよね」
「……まあ、済んだことってことで」
 苦笑でごまかす住井。
「まったく…」
97名無しさんだよもん:04/06/21 09:15 ID:jXCe6Xhn
「折原はいないみたいだな…出くわさないうちに済ませるか」
 数分後、二人は受付で手早く手続きを終えた。
 広瀬が受け取った銃は白。
 住井が受け取った銃は、黄色。
「…やっぱり分かれたわね」
「これで、俺と広瀬さんは敵同士ってわけだ」
「そうね。…もし、私たちが出会ったら、どうする?」
「どうするって…そりゃ撃ち合うしかないだろ? 敵なんだから」
「そりゃそうだけどさ…」
 打倒折原という共通の目標に燃える二人だ。不可侵条約くらい、結んでもいいような気がする。
 まあ、色んな意味で――どちらかというといい意味で単純な男なのだろう、住井は。
「ま、わかったわ。戦場で会いましょう」
「ああ」
 二人はそれぞれの扉へ向かう。
 これから二人は敵同士。そして、扉の向こうには、これから共に戦う仲間が待っている。
「そういやさ」
 少し距離が離れたところで、住井が広瀬の背に声をかけた。
「なに?」
 振り返って広瀬も答える。
「広瀬さんって、結構可愛い服着るんだね。普段着なんて見たことないから、意外だったよ」
「……あ、そ。あんたはいつもとあんまり変わらないわね」
「だろうね…それだけだから、じゃ」
「…うん」
 はやる気持ちが抑えられないのだろう。住井は小走りで、黄色の扉の中へ入っていった。
 広瀬も白い扉の方へと向き直り…
(…はぁ)
 小さくため息をついて、歩いていった。
 まさか、いま着ているのが、一番のお気に入りの服だなんて言えやしない。

【参加決定】【住井護(チームは黄) 広瀬真希(チームは白)】
【目標、妥当折原】
【残り枠 7人】
98名無しさんだよもん:04/06/21 09:38 ID:AqDhHpZS
作品投下乙!
役者が揃ってきたなぁ。
折原の刺客がここに二人。

打倒が妥当になってると野暮な突込みをしてみる。

>>91
>>92
『やっぱりやめた』ってなんだよ。書いちゃえよヽ(`Д´)ノ
99名無しさんだよもん:04/06/21 10:54 ID:aYx9+BG1
誰か坂下か岡田か吉井か松本を入れてくれんかのう?
100名無しさんだよもん:04/06/21 11:04 ID:w63+Ueyi
あんまり地味なの出すと後で書き手がいなくて困るという危険が
俺も個人的には久瀬出てほしいけど…
101名無しさんだよもん:04/06/21 11:08 ID:AqDhHpZS
地味なキャラでもいいキャラに育つのが二次創作のいいところとは思うけど
参加枠少ないしなぁ。
102名無しさんだよもん:04/06/21 11:24 ID:uvFZZcmI
>>101
だがロワと違って少数精鋭で濃いのが揃ってる中で出されると
やはりきびしいとは思う。
真っ先に踏み台にされそうだ。
103名無しさんだよもん:04/06/21 11:53 ID:aknE0EuR
難しい所だな
104名無しさんだよもん:04/06/21 12:29 ID:AqDhHpZS
今暫定的なまとめサイトを作ってるんだが…

よく見ると、天いな誰もいないんだなぁ。
やっぱりプレイ人口が少ないのか?
105名無しさんだよもん:04/06/21 12:34 ID:isMPJKN3
書く必要ないだろ。
106名無しさんだよもん:04/06/21 14:36 ID:xtVwmnPq
天いなはまったくキャラがわからん。
とりあえず聞いた感じだとこんなのに出るような主人公ではないっぽいが。
107名無しさんだよもん:04/06/21 14:38 ID:PAcKQk1z
天いなのキャラは出る必要がない。
108名無しさんだよもん:04/06/21 15:09 ID:yQ0VVLkf
天いなの主人公はSEXのことしか頭にないので
ゾリオンなんぞには出ません
109名無しさんだよもん:04/06/21 15:15 ID:fHK+qK5H
んじゃ何のために天いなも参加可能作品にしたんだ?
110名無しさんだよもん:04/06/21 15:18 ID:AqDhHpZS
すまん、いらない議論を呼んだな。
俺は天いなはプレイしていないけど、ロワを見る限り、しのぶや雪緒はキャラが掴みやすいんで書きやすいとは思うけどね。
主人公に関しては同意。出る口実を考えるのが至難だな。恵美梨繋がりとか?
どちらにせよ、書き手次第だしやってない作品は書かないだろう。
111名無しさんだよもん:04/06/21 15:35 ID:ooBSxdcV
天いなキャラは使いようによっては面白いと思うんだが書ける人があまりいないのが問題だ…
11293-97:04/06/21 16:06 ID:jXCe6Xhn
>98
;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン

_| ̄|○ツーカ、アキラカニ オカシイダロ ソノゴジハ…

_| ̄| ≡○ションボリ
113名無しさんだよもん:04/06/21 16:07 ID:MWweKfrW
>>110
しのぶや雪緒がキャラ掴みやすいってw

>>111
出る理由がないのが痛い。
出そうな奴って明日菜くらいしかいないもん。
114名無しさんだよもん:04/06/21 16:08 ID:nUJTeiXf
まあ、次回もあるし。
その時、天いなを書ける人が現れるのを期待しよう。
115名無しさんだよもん:04/06/21 16:22 ID:LdHEh6cm
時紀は参加させるのが難しいキャラだからねぇ。
ヒロインの言うこと聞くような奴じゃないし。
110の言う恵美梨なんて問題外。
あ、でも明日菜に無理矢理とかおやっさんに無理矢理とかなら参加できそうだな。
116名無しさんだよもん:04/06/21 16:26 ID:0ePCFA2T
第一、天いなの連中をそんな無理矢理参加させにゃならん理由があるのか?
一種のアファーマティブアクションか?
117名無しさんだよもん:04/06/21 16:27 ID:MWweKfrW
葉がいないと書く気も読む気も起きない人がいるから。
118名無しさんだよもん:04/06/21 16:37 ID:xtVwmnPq
THとこみパがいるけどな。

しかし現状では浩平が最強っぽい流れだよな。
確かにこういうの強そうだが。
119名無しさんだよもん:04/06/21 16:40 ID:AqDhHpZS
まいったな、俺は天いなはやってないから、的外れなことを言ってるかもしれないがご容赦を。
おまいらこっちに行こう。これ以上はスレが議論で潰れる。
http://jbbs.shitaraba.com/game/15063/
120名無しさんだよもん:04/06/21 16:46 ID:CSyiLTcY
つーか出すも出さないも書き手次第だろ。
書かない奴がグダグダ言ってどうするよ。
121名無しさんだよもん:04/06/21 17:08 ID:AqDhHpZS
デザインもスタイルも何もないが、とりあえずまとめサイト↓
http://f46.aaacafe.ne.jp/~zorion/

過去ログは夜までにはあげまつ。
現在Pukiwikiを勉強してるんで、形になったらそっちに移します。
122名無しさんだよもん:04/06/21 18:51 ID:CtSVuMHe
「えっと、よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそ」
 二人して短い挨拶を交わす。
 岡崎朋也と神岸あかりはホールで出会うことが出来た。
 全体を見ると、もう結構な人数がホールから出てしまっている。
 ということは自分のチームは出遅れている、ということだ。
 まあ、受付をしてから開始まで時間はあるだろうから遅れるも何もないとは思うが。
 もちろん朋也とあかりだって出るからには優勝を狙っている。
 そのためには早い段階で集合し、お互いについて知っておいたほうが有利なのは否めない。
 この大会は個人戦ではないのだ。チームワークこそが、勝利の鍵……となりえるはずである。
 そして当の三人目だが、とんとその姿が見えない。この会場内にいることは確かなのだが……。
「もしかして、あの人たちでしょうか?」
 あかりが指差す。その先にいるのは、なにやら会話している二人。
 二人も女性。この二人のうちのどちらかが自分のチームのメンバーである確率はある。
「どうだろうな。まあ、聞いてみる価値はあるか」
 朋也はそう言ってその二人に近づいていった。

「あの、ちょっとすいません」
「え、なにかしら?」
「……はい?」
 朋也が話しかけたほうの女性は少し年上。
 髪型はショートカット、ちょっと明るい雰囲気で中々好感が持てそうな人だ。
 もう一人の少女は少し変わっていた。
 髪を二つに束ねていて、何処にいてもおかしくはなさそうであるが、纏っている空気が違った。
 何か雰囲気が違う。こういった遊びごとに着そうな雰囲気ではない、そんな感じだ。
 歳は自分と同じぐらいかそれよりも少し小さいぐらいだろうが、そんな空気を出しているのが不思議だった。
123名無しさんだよもん:04/06/21 18:52 ID:CtSVuMHe
「ゾリオンの色を見せてくれませんか? チームの仲間を探してるんですが」
「ええ、いいわよ」
 二人は同時にゾリオンを見せる。
 ショートカットの女性のほうが赤で、二つに束ねた少女のほうが紫。
 どうやら、自分の仲間はショートカットの女性のほうのようだ。
「どうやら、あんたと一緒のチームのようだな」
 朋也は自分のゾリオンを二人に見せた。
 ショートカットの女性は目を細めふふっと笑った。
「ええ、そうみたいね。でも、早く見つかってよかったわ。どうしようかと思っちゃった」
 その少し怪しげな笑みに気圧されながら、朋也たちはお互いの自己紹介を始めた。

 分かったことは、このショートカットの女性の名前が麻生明日菜で、
 髪を二つに束ねているほうの少女の名前が須磨寺雪緒だということ。
「というわけで、おじさまの店のチラシでこの企画を見つけて、
 面白そうだったからバイトのメンバー全員で参加しようと思ったんだけれど……木田クンが見当たらないのよね」
 どうやら、三人で参加したようだ。
 だが、その三人のうちの一人とはぐれてしまった……といった所か。
「もしかしたら、ここにはいないのかもしれないですね。木田君は結構面倒くさがりなところがあるから……」
「えぇーっ!? それひっどーい! 私の前では「やります」って言ってくれたのに!?」
「でもあれは半ば強制的だったと思うわ」
「酷い木田君、信じてたのに……。お姉さん傷ついちゃったわ」
「でも、まだいないと確定したわけでもないと思うけれど」
 朋也たちを置いて会話を続ける二人。
 朋也に分かったのは、二人はもう一人木田という人物を連れてくる予定だったが、
 そいつがすっぽかした可能性があるということだけだった。
124名無しさんだよもん:04/06/21 18:54 ID:CtSVuMHe
「まあ、いいわ……そんな木田君なんてほっといて、この子と遊んじゃうから」
 明日菜が先ほど見せた怪しげな目で朋也を見つめた。
「な、何だよ……」
「お姉さんがたっぷり可愛がってあげるわよ? ボ・ク」
 そういってウインクする。
 これには朋也もあかりも返答のしようがなかった。
 こうして最後のメンバーが見つかったが、同時に新たな不安も朋也たちの中には芽生えてしまったのである。

【麻生明日菜(赤) 須磨寺雪緒(紫) 参加決定】
【木田は不明 ばっくれた可能性有り】
【残り枠 5人】
125名無しさんだよもん:04/06/21 18:56 ID:uAiqXBwD
天いな来た〜
雪緒タンキタ━(゚∀゚)━!
126名無しさんだよもん:04/06/21 19:22 ID:hZjMJACr
そういえば、作品にタイトルが付いてないけど
このままでいっていいものか。
後々感想付け辛いぞ(今のとこは登場話だけだけど。)
127名無しさんだよもん:04/06/21 19:54 ID:M1auOQv2
まあせめて作品ナンバーくらいは欲しいところだな
128名無しさんだよもん:04/06/21 20:15 ID:yG5uqirc
まとめサイトの方、ログUPしました。
129名無しさんだよもん:04/06/21 21:43 ID:uLnhQbhq
>>128
130名無しさんだよもん:04/06/21 22:03 ID:F/h81R6S
ちょっと訊きたいんですが、この話ってCLANNAD本編のゾリオンのシナリオとは無関係でしたっけ?

いや、本編ゾリオン後だと勝手に思い込んで杏を出そうかと話を書いてたんですが
今までの作品読んでたらそれらしい記述が見当たらないので。
違うようなら手直しするつもり。
131名無しさんだよもん:04/06/21 22:14 ID:yG5uqirc
 会場全体がどよめきに包まれる中。
 折原浩平は受付に並ぶ間不気味な動きをしていた。

「よ〜し、準備運動でもするかぁ。おいっちにおいっちにっと。」
 気持ちの高ぶりのあまり、普段しないようなことをやりたくなるものらしい。
「ふん、ふんふん、ふんっ♪」
 ノリにノっているのか鼻歌まで聞こえてくる。どうやら大変ご機嫌のようだ。
 周りにいる参加者が何やらヒソヒソと話しているが、彼にはまったく無駄のようである。
 そうこうしている内に列は進む。
 さっきまで浩平を見ていた係員は、可哀想な目で浩平を見ながらも銃を渡す。
「へぇ〜これが俺の銃か……紫か。ちっ。」
 何故か不満な様相を表す。
 それもその筈。浩平に取っ手、ヒーローの属性とは『赤』と決まっているのだ、悪くてもクールな頭脳派『青』で無ければならなかった。
 まぁ、黄色を引かなかったことが回りの人間にとっては幸いだっただろう。

「まぁ、色で実力が決まるわけではないしな、俺にとっては何色でも問題無い。」
 先ほどの考えを完全に否定しては、目的の出口向かう。

「しかし、俺のパートナーはどんなやつなんだろうな。」
 当然のように優勝を目指す彼には、強いパートナーが必要だった。
「俺に及ばないまでも、しっかりサポートをしてくれる奴だと良いんだがなぁ。」
 例えば長森のような……。いや、ダメだあいつのサポートは朝の登校時だけで十分だ。やっぱりヒーローには美人の助手!これだな。
 そんなことを思いながら意気揚揚と歩く。彼の行く道には後退という文字は無い。

 目の前には紫色の扉。
「……派手な色だな。」
 そんなどんでもいい事を思いつつ、扉を開く。
 そこには、まだ誰もいない。
132名無しさんだよもん:04/06/21 22:15 ID:yG5uqirc
「何だ、俺が最初か。まっ、俺みたいな凄腕は素早く行動するものだからな。
 他の奴に追いつけるわけはないか。」
 くっくっくと笑う。
「まぁ。いつも通り練習でもしながらじっくりと待つか。」
 そう宣言すると、素早く銃を抜き放つ。
 続けざまに近くにいた標的に3連射。

 赤い3本の線がその『標的』を貫く。

「う、うわぁぁぁぁぁぁん。お兄ちゃんが虐めるよぉぉ。」
「うっ、うちの子に何をするんですか!?」
「うわ、やべっ。」
 (……思わず近くにいたから撃っちまったよ。ひ、ひとまず退散するか。時には戦略的後退も必要だな。うむ。)
 脱兎の如く逃げ出す。またもや前言を撤回する羽目になった。


「―――ふ〜、何とか逃げ切ったようだな。そろそろ、誰か来ているだろう。戻ってみるとするか。」
 先ほどの出来事で懲りたのか、今度は忍び足で戻る。
「お、女の子がいるな。―――?」
 そこにはツインテールの女性が佇んでいた。どことなく儚げな感触を受ける。
 何だろうか、彼女のまわりの雰囲気が違うのを浩平は敏感に感じ取る。
 少しづつ、少しづつ二人の距離は縮まっていく。
 そして、浩平は尋ねる。
133名無しさんだよもん:04/06/21 22:17 ID:yG5uqirc
「―――ええっと、あんたが俺のパートナーか?」
 ぶっきらぼうに浩平は尋ねる。例え相手がどんな人間だろうと、態度を変える男では無かった。
「…………。」
 彼女は答えない。ただ鬱陶しげに足元を見ていた。
 ふたりの、間に一筋の風が吹き抜ける。まるで二人の間を裂くように。

「ああ、悪かったな。俺は折原浩平。人に物を尋ねるときは自分から名乗るのが筋ってもんだよな。で、君の名前は?」
 あえて普段使わないような呼称を使ってみる。少しだけもどかしい思いを感じる。
「……私は、須磨寺雪緒。あなたが私の『仲間』?」
 雪緒は目の前にいる同じ銃を持つ浩平に対して、それが間違いでは無いか尋ねるように言った。
「ああ、そうだ。―――何だか訳有りのようだが。これからしばらくよろしくな。」
 そう挨拶をして握手を求める。が、雪緒は答えることは無かった。
「……そう。例え仮初めでも仲間は必要よね。」
 そう言って、後ろを振り向く。彼女の周りに冷たい空気の壁が出来たように感じる。
「なっ…。あのなぁ、俺が下手に出ればいいと思って…いくら訳有りだろうと、それは無いんじゃないのか?」
 浩平は彼女の態度に疑問を覚えつつも、ただ純粋に思っていることを口に出す。
「……私にとってはどうでもいいことだから。」
 ただ一言彼女は答え、すたすたとどこか目的も無く歩いていく。
「須磨寺!おい、いい加減に……。」
134名無しさんだよもん:04/06/21 22:19 ID:yG5uqirc
「……?どうしました?喧嘩は……駄目ですよ。」
 そんな二人の元に、温和そうな女性が近づいてくる。

「……喧嘩は両成敗が基本です。えいっ。」
 そういうと、とぼとぼと近づいては平手の角で浩平の頭をちょんと叩く。
 (全然痛くねぇ―――。)
 ぽかーんとする浩平。でも彼女の行動に少しではあるが穏やかな心を取り戻す。

「……あなたもです。」
 同じように雪緒をちょんと叩く。
「……………。」
 黙りこくる雪緒。でも少しではあるがあたりの空気が和らいだように感じた。

「……申遅れました。私は遠野美凪といいます。しばらくの間ですが一緒に楽しみましょう。」
 そう言うと、にっこり微笑む。
 三人の間に穏やかな日差しが差し込む。
「ああ、俺は折原浩平。よろしく頼むよ遠野さん。」
 直感で『ああ、この人には…敵わないな。』と感じる浩平。

「……須磨寺雪緒。よろしく。」
 雪緒も短く挨拶を交わす。その後、ちらっと浩平の方を見ると気まずそうに直ぐに目を逸らす。

「……三人揃えば、怖いもの無しですよ。……はりきっていきましょう。」
 ゆっくりとしたテンポの声でそんなことを呟く美凪。
「ああ、がんばるぞ。」
 浩平がそんな声に答える。

「私も……少しは手伝うわ。」
 雰囲気に影響されたのか、先ほどまで黙っていた雪緒がぼそりと呟いた。
「っ!―――ああ、須磨寺よろしく頼むぞ。」
 雪緒の声に意気を上げる浩平。
 三人は歩いて行く―――
135名無しさんだよもん:04/06/21 22:21 ID:yG5uqirc
【参加決定】【遠野美凪】
【チーム決定】 【折原浩平・須磨寺雪緒・遠野美凪 チームカラー紫】
【残り枠 4人】
136名無しさんだよもん:04/06/21 22:27 ID:fHK+qK5H
 霜村功と葉月真帆はデートでテーマパークに来ていた。
「センパイ、今日は楽しみましょうね」
「ああ、もちろんだ」
 だが功はよからぬ計画を企てていた。
(たしか、今日ここでゾリオンの大会が開かれるはず)
 そのとき、真帆がなにやら人ごみができているのを発見した。
「センパイ、あれなんでしょう?」
 功はそれがゾリオン大会の参加受付だと確信した。
「よし、行ってみようぜ」
「あ、待ってくださいよー」
 受付には男がおり、そこでチームカラーのゾリオンを渡されるようだ。
「さあ、オレにゾリオンをくれ!」
「お、やる気だねぇ。ほらよ」
 そう言って渡されたのは黄色の銃。
「そっちのお嬢さんも参加するのかい?」
 突然のことに途惑っている真帆は功の顔を見た。
「いや、彼女はオレの活躍を観戦する予定なんで」
(はぁ……)
 真帆は自分だけが置いてけぼりになっていることを悟った。
137名無しさんだよもん:04/06/21 22:28 ID:fHK+qK5H
 未だに状況が掴めない真帆は、ここで何かの大会が行われるらしいということだけはわかった。
 見たところ他にも功が貰った銃を持っている者がいた。
 彼らも参加者なのだろう。
「で、それに功センパイが出場すると」
「ああ、真帆はオレの活躍をしっかりと目に焼き付けてくれよな」
 また始まった。
 それは功の悪い癖だった。
 真帆の好感度を上げるためにいつも一人で暴走してしまう。
 そして大抵その企みは空回りに終わってしまうのだった。
 今回も真帆に自分のかっこいいところを見せようと、大会があることを知ってて連れてきたのだろう。
 少々やり方は強引なのだが。
 でも、その気持ちは嬉しかった。
「……センパイ」
「ん?」
「頑張ってくださいねっ」
138名無しさんだよもん:04/06/21 22:28 ID:fHK+qK5H
 真帆に見送られた後、功は自分のゾリオンと同じ色のホール出口に向かっていた。
 そこにチームの仲間がいるはずだった。
(よし、ここまでは順調だ。あとは実際にオレが活躍できるかだな)
 功は自分に支給されたゾリオンを見た。
(ふ、真帆にオレの勇姿を見せるために密かに特訓していたのさ)
 対人戦が主体のゾリオンで一人で練習していて効果があったのか謎だが、大会の事を知ってから主に学校の屋上で練習を積んできた。
 ……それを興味なさそうに眺めている友人が一名いたが。
(これで真帆もオレのことを見直すに違いないっ。そうすれば……)
 功の頭の中で邪な妄想が始まった。
「ふふ、ははは――」
 そのときだった。
「ブビィィィーーーーーーッ!!」
 けたたましいこの音は功についているセンサーから発せられていた。
「おわっ、なんだ!?」
 まだ大会はスタートしていないはず。
「油断してると、今みたいにやられてまうで?」
 そこにいたのは自分と同じ色のゾリオンを持つ少女だった。
「ウチは猪名川由宇や。よろしゅうな」

【参加決定】【霜村功・猪名川由宇】
【チーム決定】 【霜村功・猪名川由宇・住井護 チームカラー黄】
【残り枠 2人】
139名無しさんだよもん:04/06/21 22:32 ID:5sk8p8Ps
いないいないと話してたらやけに天いな勢増えたね。

>>130
いいと思うよ。
結局書いたもん勝ち。
140名無しさんだよもん:04/06/21 22:36 ID:yG5uqirc
本と急に天いなラッシュだよな。
不思議、不思議。

>>130
設定なんて後からついてくるから早い者勝ちだと思うよ。
141名無しさんだよもん:04/06/21 22:50 ID:CtSVuMHe
雪緒よ……いくら相手がお調子者の浩平だからといってその言動、俺は悲しいぞ……。
まあ、ああいう本音をずばっという雪緒もいいかもしれない。
142名無しさんだよもん:04/06/21 22:56 ID:yG5uqirc
現在こんな感じ (カッコ内は銃の色)

参加人数 28人

挙がっているチームカラー 
【赤・青・黄・緑・橙・紫・黒・白・?】

チーム確定
【赤・岡崎朋也・神岸あかり・麻生明日菜】
【青・相沢祐一・芳野祐介・七瀬彰】
【黄・霜村功・猪名川由宇・住井護】
【緑・倉田佐祐理・みちる・春原陽平】
【橙・坂上智代・河島はるか・九品仏大志】
【紫・折原浩平・須磨寺雪緒・遠野美凪】
【黒・国崎往人・里村茜・川澄舞】

【色不明・藤田浩之・伊吹風子・柚木詩子】

チーム未確定


【広瀬真希(白)】
【水瀬名雪】


【佐藤雅史(白)】
【藤井冬弥】

名前は挙がってるが、参加かどうかは不明
【長森瑞佳】

後2チーム。白1ともう一色が3。
143名無しさんだよもん:04/06/21 23:06 ID:9d2Kxgj4
朋也が杏を誘ったくだりがあったような。
144名無しさんだよもん:04/06/21 23:45 ID:M8/BLd1P
>>141
もともとそういうキャラでしょ?
見ず知らずの人間に気を許すような奴じゃない。
DQN的な言動が目立つ人だろ?
145名無しさんだよもん:04/06/21 23:49 ID:8p9IYLUd
俺はそんな雪緒が浩平と触れ合っていくうちに丸くなる姿を見たいぞ!
146名無しさんだよもん:04/06/21 23:50 ID:DGBzjpZz
お前やったことないで適当言っているだろ。
ちゃんと処世術は身につけているキャラだ。
147名無しさんだよもん:04/06/21 23:54 ID:LdHEh6cm
>>146
身に付けているの?
だったらこれから一緒にやろうとする相手にあの態度はないだろう。
148名無しさんだよもん:04/06/21 23:59 ID:M8/BLd1P
>>146
いや、ちゃんとやったんだが…

上の話書いた人も雪緒に対してそういうイメージがあったからこそ、
ああいう話にしたんだし。
149名無しさんだよもん:04/06/22 00:00 ID:OH7Dr4Qq
処世術なんて葉鍵キャラに一番相応しくない言葉だ。
150名無しさんだよもん:04/06/22 00:03 ID:oXXb6mSg
>>147
俺もあれはないと思う。
本当なら、表層的に合わせてごまかすだろうとは思うけど、
でも、まだ参加動機が分からないから、何とも言えない。

>>148
見ず知らずの人間にほこほこ本音見せるキャラじゃないから、いつも適当な笑顔でごまかしている。
あれがノーマルじゃ、まともに接客業なんてこなせない。
151名無しさんだよもん:04/06/22 00:04 ID:tiY9BSoF
その前の話でそんな雰囲気で書かれていたのもあるんじゃない?
結局一言も喋っていないし。
後はリレーする人次第だと思うけど。
152名無しさんだよもん:04/06/22 00:06 ID:wS7Ctk0i
>>148
書いた奴も原作未プレイだったんだよ

>>150
ま、ゴチャゴチャ言っても仕方がない。
雪緒はもうあのキャラで通すしかないんだから
153名無しさんだよもん:04/06/22 00:21 ID:G23OmiUe
とりあえず狙って書いたとだけ言っておく。
リレーSSなんだから。
154名無しさんだよもん:04/06/22 00:24 ID:WUYR+8va
雪緒、たしかに違和感あったけど俺は登場してくれただけで満足。
155名無しさんだよもん:04/06/22 01:11 ID:sx+mnd9p
ま、マイナーキャラの性格改変はよくあること。
メインキャラさえまともな性格ならどうでもいいよ。
どうせ途中で消えるんだし。
156名無しさんだよもん:04/06/22 01:14 ID:a/ofKwn8
頼むから誰かを敵に回すような発言はやめてほしい。
157名無しさんだよもん:04/06/22 01:32 ID:G23OmiUe
うーん、何だかこの状況だと発言し辛いな(´・ω・`)
寝る前に一つだけ…俺は雪緒が嫌いな訳じゃ無い。むしろかなり好きだからこう書いた。
けなすために書いたんじゃ無いので、そこのとこを分かっていただきたい。
おやつみ。
158名無しさんだよもん:04/06/22 01:50 ID:DLcKbjhM
好きな人が書いた性格改変なんだから受け入れなさい。
天いな未プレイの奴が適当に改変するよりマシだろう。
それに何度も言われてるけど、雪緒はああいうキャラなんだし。
159名無しさんだよもん:04/06/22 02:17 ID:KQt48oQ3
受付で渡された白いゾリオンをじっと見つめながら、彼女は物思いに耽っていた。
「―――お姉ちゃん?」
不意にかけられた声に彼女は我に帰る。
「え、何?どうしたの、椋?」
すぐ隣にいる彼女の妹、藤林椋は少し呆れた様な表情を浮かべる。
「どうしたの、って……同じチームの人、探さなくてもいいの?」
「…それは、そうなんだけど…ちょっと、ね…」
どことなく歯切れの悪い姉の言葉に椋は首を傾げる。

彼女は思い出していた。今、手の中にある光線銃と同じものを、初めて手にしたときのことを。
(あの時は、ほんと情けなかったわね…)
そんなことを考えながらそのときのことを振り返る。


彼女がゾリオンの大会に参加するのは、これが初めてではなかった。
もっとも、前回のものは今回のようにきちんとしたものではなく、大会と呼んでよいのかは疑わしかったが。
最初、そのイベントについて悪友たる春原陽平から聞いたとき、彼女は参加する気は毛頭無かった。
だが……
「岡崎も参加するぜ?」
その一言が、彼女に参加を決意させた。

こうして彼女は、内に秘め続けた想いを叶えるべく、戦いに身を投じることとなった。
…結果は、散々なものだったが。
(……………)
自業自得とはいえ、男子トイレに閉じ込められる羽目になったことを思い出し、恥ずかしさと情けなさがこみ上げてくる。
(結局、なりふり構わないようなことをやった時点で)
自分の敗北は決まっていたのではないか、と思う。自分だけでなく、妹までも巻き込んだわけだし。
そもそも、仮にあの時最後まで勝ち抜けていたとして、自分の本当の願いを口にできたいただろうか?
―――きっと、無理だっただろう。
仮に言えたとして、『何でも言うことをきく』なんて権利に縋らなければ伝えられない気持ちが、本物だといえるのだろうか?
結局、怯えていただけなのだ。その想いが届かず、それどころか今まであったものまで失ってしまうかもしれないことに。
160名無しさんだよもん:04/06/22 02:20 ID:KQt48oQ3
そうして自分の臆病さ、惨めさを思い知らされるだけとなった出来事からしばらく経った後、チャンスはやってきた。
あのゾリオンの大会が、再び開催されるというのだ。しかも、今度は正式な大会として。
その話を陽平から聞いたとき、彼女が訊くべき事は一つだけだった。
「朋也は…参加するの?」
陽平はその答えを予想していたとばかりにニヤリと笑みを浮かべ、ああ、と頷いた。

かくして、彼女は再びゾリオンを手にした。前回と同じ舞台、リベンジには格好の機会であった。
リベンジといっても、前回彼女を打ち負かした岡崎朋也に対して、という意味ではない。
あの時の、臆病で情けなかった自分。そんな自分に対して決着をつけたい。だから…
(勝つわ、絶対に……あたしらしく、ね)
優勝商品には特に興味は無い。だが、勝負をする以上、負けるつもりは無い。必ず勝つ。
でも、それはあくまでありのままの自分で成さねばならない。そうでなければ、前回の二の舞だ。
自分らしくあること。それを忘れなければ、きっと楽しい。きっと、後悔なんてしない。
そうして、あいつに勝てたなら、きっと言えると思う。自分の、素直な気持ちを。
161名無しさんだよもん:04/06/22 02:27 ID:KQt48oQ3
ふと隣を見ると、椋が心配そうにこちらを見ていた。思ったよりも長く考え込んでいたらしい。
「ごめん、椋。ちょっと考え事してた。」
「ううん、いいよ。それよりも時間、大丈夫?」
「そうね、そろそろ行かないとまずいかしら。」
時計を確認する。チームメイトとの顔合わせとかも考えたら、もう待合室にいっておくべきだろう。
「じゃあ、行ってくるわね、椋。」
軽く手を振って、その場を離れようとする。
と、
「お姉ちゃん。」
振り返ると、椋が真っ直ぐにこちらを見つめていた。
「頑張ってね。」
笑顔を浮かべ、そう励ましてくれた。
その言葉が、この大会のことだけを言っているのではないのだと、何となくそう感じた。
「ありがと、椋。応援よろしくね。」
あたしも笑顔で答えた。

こうして、彼女―――藤林杏は、大きな決意を胸に、白い扉の中へと消えていった。

【参加決定】【藤林杏】
【チーム決定】 【佐藤雅史・広瀬真希・藤林杏 チームカラー白】
【残り枠 1人】
162名無しさんだよもん:04/06/22 02:29 ID:OH7Dr4Qq
>椋が心配そうにこちらを見ていた。
関係ないけどアソパソのコピペ思い出した。
嫌がらせか?殺すぞってやつ。
163名無しさんだよもん:04/06/22 03:46 ID:IUgemCiG
いや、別に椋がニヤニヤしてるならともかく、何故に・・・?
164名無しさんだよもん:04/06/22 10:03 ID:2hUZDfHt
あと1枠か、残りは誰が出てくるんだか。
165名無しさんだよもん:04/06/22 15:28 ID:2hUZDfHt
まとめサイトを新しいものに移行してみました。
http://f46.aaacafe.ne.jp/~zorion/
サイトを作るに当たって、ハカロワII ログ保管所 Pukiwikiさんが凄く参考になりました。
この場でお礼を言っておきます。ありがとうございます。

一応前のサイトには
http://f46.aaacafe.ne.jp/~zorion/index2.html
で飛べますので必用でしたらどうぞ。
166名無しさんだよもん:04/06/22 16:51 ID:UOvGJNx/
>>165
乙彼。全体的には見やすく整理されたみたいだけど、二点ほど。
まず、ログが番号だけなのがわかりづらい。
タイトルが付けば一番良いんだけど、
登場人物と進行状況くらいは記載した方がいいんじゃないかと。
それと、チーム別一覧は以前の表形式の方が見やすかったと思うがどうだろうか。
167名無しさんだよもん:04/06/22 17:27 ID:2hUZDfHt
>>166
チーム別一覧表に関しては、単に俺がテーブルを組むのが面倒なだっただけだったりしてorz
要望があったので、作り直してみるよ。

進行状況、登場人物はまだ工事中ってのもある。順次作っていく予定。
タイトルは、作品についていなかったので、つけていない状態。
もし良かったら連絡板なり、ここなりで作者さんにタイトルをつけてもらえれば幸いです。
168名無しさんだよもん:04/06/22 18:42 ID:XTmg8p2Z
そろそろ戦闘SSが出てくるか?
169名無しさんだよもん:04/06/22 22:07 ID:SQRn2gls
 彼らが聞いたアラームの方向に向かって、三人はヒトゴミの間を、駆け抜けていた。
 途中何度かぶつかりそうになり、謝っては先を急ぐ。
 ここはテーマパークで一番人通りの多い、ショッピングモール。
 人にぶつかるのも無理は無かった。
「わっ、わっ。もっとゆっくり走ってください。置いていく何てひどいですっ。。」
 ……一人は少し遅れ気味のようだ。無理も無い、浩之と詩子の体格に比べると風子のそれは明らかに劣っているからだ。
 それでも、前を進む彼らとは違ってヒトゴミにひっかること無く、するすると距離が縮まってゆく。
 その機敏にも懸命に走る姿はどこか小動物を思い起こさせた。
 (……へぇ〜。のろまな奴だと持っていたが、やるじゃないか。こいつは単独行動なんかが得意そうだな。)
 ちらっと、後ろの方を向いては自分の仲間の実力を確認する。
 (敵と戦うには、まずは身内からってな。)
 そんな浩之らしくなく、『真剣』にこのゲームをどうやってこなしていくかを考えていた。
 そんな浩之の横で、詩子も時々後ろを振り向いては風子を確認している。そして何故だか分からないが時々俯く。
 そんな詩子を見てふと疑問に思う浩之。
「……柚木。いったいどうしたんだ?風子が遅れてるのがそんなに気になるのか?」
 疑問をもったら、直ぐに問い掛ける。そんな性格だった。
「……」
 返事は無い。。
 何か考えごとをしているのか、ぼーっとしたり俯いては、ただもくもくと正面に向かって走りつづける。
 時々通行人と肩が触れ合うがそんなことにはお構い無しにだ。
(どうしたんだ?ちょっと普通じゃねぇな。)
 そんな詩子の普通ではない状態にもう一度強く問い掛ける浩之。
「おーい、柚木どうした?どっか調子が悪いのか?」
「……か。」
「か?」
 しっかり前を向いて走りながらも、詩子の謎の言葉に首を傾げる浩之。
 (なんだってんだ?)
 そんな疑問をもった瞬間。詩子の顔が微笑みで包まれる。丁度風子が固まってしまったときのそれに似ていた。
 ―――そして、その思いは爆発する。
170名無しさんだよもん:04/06/22 22:08 ID:SQRn2gls
「かっ、かわいいぃぃぃぃ!」
「ぶぅぅぅぅぅぅ。」
 まったく思ってもいなかった詩子の突然の叫びに、噴出してはずっこける浩之。
 ちょうど一塁のベースにダイビングする走者のようだ。
 そんな浩之を見ては、辺りにいる来客者はひそひそと言葉を交わす。
「あ、あのなぁ。」
 いそいそと起き上がっては、詩子に問い掛ける。
「だって!だって可愛いじゃない。あの、ハムスターみたいにちょこちょこと走っていく姿!はぁ〜〜もう抱きしめたくなっちゃうよぉ。」
 恍惚の表情を浮かべる詩子。もう既に彼女の目は浩之を見てはいなかった。
(……まぁ、小動物みたいではあるが。)
 そんなことを思い浮かべていると、風子が追いついてくる。
「ん〜、あれ?みなさんどうしたんですか?風子を待っててくれたのならありがとうございます。」
 そう言うと、ぺこりと二人の前でお辞儀をする。自分のせいで少し遅れているのを少しは気にしているようだ。
「〜〜〜っ!」
 詩子の目に星が輝く。
―――じりじり、じりじりと風子に近づいて行く。
「ん?詩子さんどうしましたか?あれ?―――っ。」
 風子も詩子の異常な様子に、身の危険を感じたのか少しだけ後退する。
 だが詩子のそれは、もう既に獲物を見つけた狼のそれであった。
「おいっ、柚木。やめ…」
 浩之が言い終わることなく、詩子は風子に襲い掛かった。
 揉みくちゃになる二人。
「わっわっ、わっ、く、くるしいですっ。離してください!」
 ぎゅ〜と、風子を抱きしめる詩子。既に目は据わっていた。
「風子ちゃんの耳としっぽはどこにあるのかな?ふふ、ふん、ふふふ♪」
 ところ構わず触り始める詩子、浩之は呆然とそれを見ていた。
 (こんな往来の真中で何をしてるんだ、こいつらは……辺りの視線が痛いぜ。)
 何事かと周囲を来場者が埋め尽くす。ときどき黄色い歓声が飛んでくる。
「う〜、う〜、やめてください。ん〜〜」
 詩子の暴走は数分続いた―――
171名無しさんだよもん:04/06/22 22:09 ID:SQRn2gls
「ったくよお。いい加減にしてくれよな。…ちっ、もう終わっちまってるだろうな。一応向かってはみるが―――」
 不貞腐れた表情で愚痴を浩之。先ほどアラームが鳴っていた方向を見るがもうどうでもいいようだ。
 辺りは既に、誰も彼らを気にしているものはいない。だが人の流れが途絶えることは無かった。
「うーん、ごめんね。あんまり可愛かったからついねっ」
「『つい』で、ああなるのかよ、お前はっ。」
「だから、もうゆるしてよぉ。ねっ。」
 まるで甘えるように、浩之を見る。
「ったく。気をつけろよなぁ。」
「うう、酷いですっ。風子を抜きにして話を進めないで下さい。大体、詩子さんは年上に対する礼儀って物がなっていません。」
「え゛っ?」
「へっ?」
 二人同時に顔を見合わせる。
「みたところ、二人とも高校ニ年生ってところです。大人の勘で分かります。風子は18歳ですからあなた達より年上です。」
 胸を張って言う風子。
「―――はぁ?」
 耳を疑う浩之。
「うそだぁ。こんなに可愛いのに……」
 まったく問題にしない詩子。
「ほんとうですっ!」
 二人の様子に意地をはって主張する風子。
 周りを気にすることなく、またもその場で賑やかなコミュニケーションが始まった。

 ―――そこに、数本の赤い光が飛び込む!
「……っ!目立ち過ぎたか。おまえらゲームが始まってることを忘れてるだろ!」
 直ぐに彼は『藍色』の銃を抜き、愚痴りながらも火線の無い方向に走り出す。
 こんなヒトゴミでは先に発見されてしまったら、こちらが相手を見つける前に被弾してしまう。そういう考えからだ。
 (ひとまずは人のいない方向へ!)
「わっわっ、三十六計逃げるにしかずってねっ。逃げ、逃げ〜」
 同じ様に詩子も浩之の後を追う。
「不意打ちなんて卑怯ですっ。」
 風子もそんな明らかに的外れな捨て台詞を残して逃げ出す。
172名無しさんだよもん:04/06/22 22:13 ID:SQRn2gls
なお後ろから追ってくる火線。赤い光の矢が彼らを追っていく。
 (……とりあえず後ろを向けば当たらねえし…こっちからも狙えないが。ひとまず体勢を立て直すのが先だよなぁ。)
 (うーん、まずいよねっ。こういう時どうすればいいのかな。やっぱり人のいないとこまで行くのが先よね。
  相手を見つけないことにはどうしようもないしね〜折原君ならこういうのは、ちょちょいのちょいなんだろうなぁ。)
 (うー、酷いです。不意打ちなんて極悪です。最悪ですっ!そんなことする人には、人の風上にも置けません!)
 三者三様の考え。
 だが彼らは一先ずこのヒトゴミから抜け出すのが先と判断したようだ。
 しかし、そんな彼らに前方からも赤い矢が降り注いだ。
(ぐあ、待ち伏せかよ―――後ろから当てれないんだから当たり前か。くそっ)
 そして…不運にもそんな矢が後ろを走っていた詩子に突き刺さる。
 けたたましくなるブザーの音。
「あっちゃ〜当たっちゃった。ごめんね藤田君。」
 なおも前後から降り注ぐ赤い矢を掻き分けながら、闇雲に応者する。だが通行人に当たってしまい、そう上手くは届かないようだ。
「気にするな。この状況じゃ仕方が無い。それよりも前を見ろ前を。」
 どこからとも無く赤い矢が飛来する。相手の姿は未だに見えない。
「う〜隠れてこっちを撃つなんて卑怯ですっ。男なら正々堂々勝負してください!」
 そんな声を上げる風子。
(ちっ、まじでやべぇ。何とかしねぇと…ん?あれか?女か。)

 ショッピングモールの出口も近くなり段々人が少なくなってくる中、ついに彼らは射手を見つける。
「あ、茜!」
 人影に気づいた詩子が突然叫ぶ。どこかおしとやかな雰囲気が漂う、そんな女がそこにいた。どうやら二人は知り合いのようである…二人の間に緊張感が漂ってくる。
「……詩子。ごめんなさい。―――ワッフルの為に死んで貰います。」
 そういうと、右手に持っていた『黒い銃』で彼らを向かい撃つ。
 意味の分からない言動だが…殺気は本物のようである。
(…死んで下さいってマジかよ。どんな女にも刺があるっていうからな…しかし、何でワッフルなんだ?)
 そんなことを疑問にしつつも、茜という女は詩子と風子に任せて、もう一方から来る火線に対して対応する。
173名無しさんだよもん:04/06/22 22:17 ID:SQRn2gls
「えっ、ワッフルって何よ。それよりもこの詩子さんに正面から敵うと思ってるのかな?」
 そういうと茜が放つ光を機敏なフットワークで通行人を盾にしてかわす詩子。
「…15。」
 茜がぼそりと『何か』を呟く。
(…あれ?あの人は何を呟いてるんでしょうか?)
 何か気になる…そんな思いを胸に風子は詩子の後をついて行く。
 次々と『盾』を換えていってはどんどん距離が近づいていく詩子と風子。そして…ついに茜の直ぐ近くまでたどり着く。
「…30。」
「ジ・エンドだよっ。茜!」
 銃口を突きつける詩子。
 また、茜も詩子に銃を向ける。
「……詩子。」
 茜が呟く。
「ん、何よ。許してっていってももう遅いんだからね。詩子さんのジャマをする人は例え親友でも許さないんだから。」
 そういって、躊躇せずにトリガーを引いた。
 ―――しかし、何も起こらない。慌てて銃口を覗き込む詩子。
「あれれ、何で?」
「…詩子のことだから、どうせそんなことだろうと思っていました。ルールブックを見ると分かりますが、
 被弾したら一分は攻撃することも攻撃を受けることも出来ないんです。
 そうでなければ、連射でやられてしまいますから…そうですねそろそろ一分…
 では、詩子はゆっくりと私の活躍を見ててください。」
「あはっ。あはは、そうなんだっ。」
 冷や汗を浮かべながら、引きつった笑顔を浮かべる詩子。
「さようならです。詩子。」 
 そう冷たく言い残すと、茜は詩子の胸に合わせていたトリガーを引く…
「詩子さん!」
 一瞬の間―――
 疾風のように横から風子が飛び出す。
 詩子を押し倒し転がり込む二人。
 その風子に赤い矢が突き刺さる。耳障りなアラームの音が周囲に響きわたる。
174名無しさんだよもん:04/06/22 22:20 ID:SQRn2gls
「風子ちゃん!くっ!茜やるなぁ〜。」
 詩子は倒れながらも茜に対して応射する。
 ちょうど風子が覆い被さっていて、茜には詩子を撃つことが出来なかった。
 そんな光線を応射しながらも素早くかわす茜。
「…残念です。また後で会いましょう詩子。」
 そう呟きを残し、後ろを振り向く。

 ―――そこに突き刺さる光。
 ブビィィィーーーーッ。今度は茜の胸からアラームが鳴り響いた。
「―――そうは、逃がすかよ。やられっぱなしなんてやってられないぜ。」
 ―――浩之が振り向く一瞬の隙を付き、茜に一撃をお見舞いする。
「っ!なかなかやりますね。」
 そういって、直ぐに走り去る茜。
「おまえら大丈夫か!?一先ずそっちに逃げるぞ。」
 他方からの光に応射しつつも、茜がいた方向に逃げ去る三人。
 こうして一つの戦いが終わった。

「舞、里村。よくやった。作戦どおりに上手くいったな。」
 ショッピングモールを出た先。道の両脇にに設置されていたベンチの影から国崎往人が顔を出す。
「……すいません。取り逃がしました。」
 茜がちょっとだけ申し訳無さそうに呟く。
「茜は良くやった。問題無い……」
「ああ、あの風子とかいうやつが押し倒さなければ俺たちの完全勝利だったからな。まぁ、こんなもんだろう。」
 二人が茜を励ます。彼らの中でより一層結束が深まっていくのが分かる。初戦でこれだけの連携が取れたのだから。
 (ポイントが取れなかったのは残念だが、この勝利は大きいな。)
 そんなことを思いながらも、別の刺客に備えて逃げる準備をする三人。
 彼等は意気揚揚と、次のポイントへ向かう。
【チーム状況】【黒・ポイント0・国崎往人L2・里村茜L1・川澄舞L2】
         【藍・ポイント0・藤田浩之L2・柚木詩子L1・伊吹風子L1】
【被弾すると、1分間攻撃できませんが、攻撃を受けることもありません。】 
【残り枠 1人】
175名無しさんだよもん:04/06/22 22:26 ID:SQRn2gls
後から見直すと何でこんなに…ヘンなとこだらけなんだろう。_| ̄|○
一レス目がやべぇ…
176名無しさんだよもん:04/06/23 00:40 ID:dxpo2VHE
なかなか燃えますた
177名無しさんだよもん:04/06/23 00:57 ID:fUjP7Qos
詩子と風子の関係が結花とスフィーの関係に似てる。
なかなか萌えました。
178名無しさんだよもん:04/06/23 09:26 ID:0EYkafpl
もっさり上げ。
179名無しさんだよもん:04/06/23 12:40 ID:g3K3Ii3r
>>169
無粋なツッコミかも知れんが
詩子さんは身長152pの77/54/82で、風子は身長150pの78/54/79だから
この二人の体格は大差無いぞ
180名無しさんだよもん:04/06/23 12:53 ID:S8kFig+W
“死角からの刺客的展開が燃えですね。

#まとめサイトの第一回大会チーム状況早見表が見やすくなってる。
181名無しさんだよもん:04/06/23 14:09 ID:0EYkafpl
>>179
Σ(´Д` )ホントダ!!
風子は小さいってイメージあったから全然気づかなかったよ。
182名無しさんだよもん:04/06/23 23:07 ID:n+oMpbTA
……私はどうしてここにいるんだろう。
彼女はホールにいる間そんなことを考えていた。

あの日―――
「ふーん?面白そうね、雪緒ちゃんも一緒に行かない?」
そういって、彼女、明日菜さんは私にテーマパークのパンフレットを見せる。
「えっ、私ですか?」
「そうそう、みんなで言ったら楽しそうじゃない。木田君も誘うからさぁ。一緒に行きましょうよ。」

あの時、私は明日菜さんに誘われた。休日のテーマパーク。人と人が語り合い、楽しみ、そして笑顔にあふれる。
私にとっては、ただ…寂しい場所、周りの光景を見ると
『私は本当にこの世界に存在しているのだろうか?』
そんな疑い深い気持ちになる。
私とはもっとも縁が無い。―――そんな場所。

木田君もそんな場所を好むはずが無い。
そんなことは分かりきっていた。だけど明日菜さん…彼女にとってはそうではない。
ならどうすれば良いんだろうか。
仕事仲間でもある彼女の思いを無にするのも悪い。明日菜さんが楽しめればいい。
そしてもしかしたら木田君も楽しんでくれるかもしれない。
そんな思いを胸に私はテーマパークに足を運ぶ。

そこで待っていたのは、玩具の銃による撃ちあいだった。
明日菜さんがこんなものに興味を持ったのも意外だったけど、それよりも木田君。
彼がどこかに行ってしまった事が私の心を空虚にさせる。
彼の性格ならそんな事は簡単に予想できたけど…それでも私の心に見えない楔を撃ちこんだ。
明日菜さんに誘われて、仕方無く受付で、『紫の銃』を受け取る。
183名無しさんだよもん:04/06/23 23:09 ID:n+oMpbTA
紫色の扉を抜けると、そこには私と同じくらいの年の男が銃を片手に笑顔を浮かべていた。
銃を抜いては近くの通行人を狙い、それを的中させる。
…狙われていた男の子がどういうわけか泣き出すと母親がその男に向かって怒鳴り上げた。
男は妙な表情をしながらも母親のいない方に逃げ出していく。

そんな様子を見ていると、どこからか、どうしようもない気持ちが浮かんでくる。
―――この気持ちは何だろう?

そんな考えを浮かべているうちに彼が戻ってくる。
ゆっくりと私に近づき……尋ねる。
『―――ええっと、あんたが俺のパートナーか?』
ぶっきらぼうな尋ね方、木田君みたい。でも……
その言葉には何故だろうか?気持ちが篭っているのを感じる。
私は胸にある気持ちの整理に精一杯で、返事をすることが出来なかった。私はただ俯く。

彼が私の名前を尋ねてくる、そんな言葉にやっと口から言葉がでてくる……無意識のうちに私はこう答えた。
『……私は、須磨寺雪緒。あなたが私の『仲間』?』
何で?こんなのいつもの私じゃ無い…そんな無駄に敵を作る言葉なんて…
口は私の考えを無視してそう彼に告げる。
そんな私を、彼は怪訝な顔で見つめてくる。だが…
『ああ、そうだ。―――何だか訳有りのようだが。これからしばらくよろしくな。』
だが、それにも関わらず彼は笑顔で握手を求めてくる。
184名無しさんだよもん:04/06/23 23:10 ID:n+oMpbTA
ほんとに素敵な笑顔―――ああ、そうなんだ。
唐突に理解する。

『……そう。例え仮初めでも仲間は必要よね。』

そう……私にもこんな感情が残っていたんだ。

『なっ…。あのなぁ、俺が下手に出ればいいと思って…いくら訳有りだろうと、それは無いんじゃないのか?』

私には彼がまぶしかったのだ。彼の態度が、彼の笑顔が……
木田君と、そして私とは正反対の彼が……

『……私にとってはどうでもいいことだから。』


―――そう、たぶんこれは嫉妬。

本当に私らしくない……どうして。
自分の気持ちを知り、怖くなって彼から逃げ出す。
私の後方で当然の如く彼は怒り出すのが聞こえる。
無理もないよね。彼は人間だから……私とは違うもの。でも、私も…
―――私も何だろう?
185名無しさんだよもん:04/06/23 23:11 ID:n+oMpbTA
そんな事を思っていると、突然近くから声をかけられる。
やさしい声で。
『……?どうしました?喧嘩は……駄目ですよ。』
私達に近づいてくる女性。空気が穏やかになるのを感じる。
彼女は私に近づくと…戒めなのか、軽く私の頭を叩いた。
―――まるで子供をしかる母親みたいに。
そんな彼女を見ると自然と濁った心が落ち着いてくるのが分かる。
彼もそうなのだろうか?見る見るうちに表情が和らいでいく。

三人は簡単な挨拶を交わした。遠野美凪……それが彼女の名前。
彼女の姿は、私に精神的な安らぎを与えてくれた。
今は―――心の壊れている私には彼らみたいに心の底から笑ったり、怒ったりするのは無理だろうけど……

『私も……少しは手伝うわ。』
口は思いとは正反対の事を告げる。

さっき見た彼の心からの笑顔、それを見て私は思ってしまう。もしかしたら……

―――私は変われるのかな?

私は彼らについて行く。そんな思いを胸にしまって。

【残り枠 1人】
186名無しさんだよもん:04/06/23 23:54 ID:n+oMpbTA
忘れていました。タイトルは…『光、影。』で。

>>184の後ろから3行目。
私の後方で当然の如く彼は怒り出すのが聞こえる >> 私の後方で当然の如く彼は怒り出した。
に修正お願いします。
187名無しさんだよもん:04/06/24 00:02 ID:zFYx+kNd
余計に変なキャラになってるな。
188名無しさんだよもん:04/06/24 01:09 ID:Ui2QLQp4
大会開始の数分前、北川潤は某ホールの近くの喫茶店でコーヒーを飲んでいた
勿論一人ではない、向かいの席に座っているのは幼稚園時代の友人長森瑞佳だ
「しかしまあ、こんな所で出会うとはなぁ」
「わたしもビックリだよ、何年ぶりだろうね」
親しげに話す二人、昔の思い出話に花が咲く
「北川さんは大会に出ないの?」
「俺は最近知り合ったバカが出るって言ったから様子を見に来ただけ…長森は?」
「わたしは出ようかと思ったけど…。」
北川の質問に言葉を濁す瑞佳、ちょっと遠慮気味だ
「ああ…ホールに着いたのは良いけど、色の濃い連中に尻込みしている訳だ?」
瑞佳の不安を当てる北川、彼自身も色の濃い連中に悩まされているクチだ…。
「しかもチームは抽選で知り合いと敵になるかもしれない…、まあそんなところだろ」
「まあ…ね」
言葉を濁す瑞佳、旧友と話している間も刻一刻と時間は過ぎていく、
「そろそろ締め切り人数まで一人、二人といったところか…どうする?」
「どうしよう…かな?」
まだ決められない瑞佳、北川はふと言葉を出す
189名無しさんだよもん:04/06/24 01:10 ID:Ui2QLQp4
「じゃあ一緒に出てみるか?」
選手枠はあと一人二人しか出られない、もしかしたら二人とも出られないかも知れない、そんなことも知りつつ話す北川
「選手枠が二人開いていたなら二人とも出場!もし一人なら二人でくじ引きして恨みっこなし!二人とも出られなかったら、ここで選手の様子を見る!…どう?」
淡々とした口調で話す北川、一方の瑞香は…。
「昔から変わってないね、北川さんのそういうところ。」
昔のことを思い出したのか、笑みいっぱいに答える瑞佳
「そうか?いつも長森が遠慮がちだからそんな風に見えるだけだろ?」
苦笑しながら話す北川、彼も昔のことを思い出しているのだろう
「最近、北川さんに似ている人と友達になったの、その人この大会にでてるの。」
その人こと柚木詩子を思い浮かべながら北川に話す瑞佳
「へえ…縁が有れば会ってみたいものだな、俺似の『その人』とやらに」
雑談を一区切りさせて、コーヒーの無くなったカップをソーサに措いて北川は店を出る準備をする
「さて、行きますか」
「うん、出られなかったら残念って事にして。」

【長森瑞佳】 選手枠が有れば大会に出る決意
【北川潤】  同上
別に最後の選手枠がどちらでなくても問題はないです

【残り枠 1人】



190名無しさんだよもん:04/06/24 02:16 ID:quBheSbs
まとめサイトアドレス定期張り
http://f46.aaacafe.ne.jp/~zorion/
あと、チーム表の方修正しておきました。

書き手の皆さんまたーりいこうや。
191名無しさんだよもん:04/06/24 13:07 ID:hTf+FjHt
またーりしすぎて潰れないといいがな(苦笑
192名無しさんだよもん:04/06/24 14:02 ID:c+Jw0r9C
【このスレの効能】
全員知っているチームが一チームしかないく、
参加できないのが悔しいから他の葉鍵ゲーをやりたくなった。
193名無しさんだよもん:04/06/24 14:23 ID:XXLZsuA9
なるほどな。
知ってるキャラを中心に書くといいんじゃない?
194名無しさんだよもん:04/06/24 14:54 ID:bzjJkVa2
じゃあ、知らないチームは序盤で消してくのか?
195名無しさんだよもん:04/06/24 15:03 ID:hTf+FjHt
そんなの、どのリレーSSでも一緒だろ。
自分のチームがやられるシチュもあるだろうが。面白ければそれでいい。
196名無しさんだよもん:04/06/24 18:30 ID:qd80GdMY
チーム戦でどうしても書きにくい、知らないキャラがいたら援護射撃させておけばいいかも。
全てのキャラを生かした書き方は相当難しいだろうし。
それが出来る人ならやってみて欲しいけどな。相当熱そうだし。

その話、話ごとに主格になるキャラを描ききればそれで良いんじゃないかな。
そう考えると、後半の方が人数が絞られてきて書きやすそうではある。
197名無しさんだよもん:04/06/24 19:17 ID:WvAVlgyH
>>188
まぁ、何だ…いろいろ突っ込みたいけど控えておく。
ノリが大事だからなノリが。
198名無しさんだよもん:04/06/24 19:44 ID:c+Jw0r9C
第一回大会はお試し版だと思えばね。
次回は前回の反省も踏まえてよりよくすればいいし。
199名無しさんだよもん:04/06/24 19:53 ID:6Ilayx34
次回…か
200名無しさんだよもん:04/06/24 19:58 ID:m2d+Pxqh
次回も何もこのままじゃ一回も終わらないだろ。
またーりでも半年はかかるぞ。
まぁ、ネタとしては割といいと思うから
とりあえず∩(゚∀゚∩)age
201名無しさんだよもん:04/06/24 20:12 ID:AHRXrVpe
あんま痛い真似すると書き手予備軍を呆れさせることになるからほどほどにな。
202名無しさんだよもん:04/06/24 20:33 ID:kR7QW9Uy
ネタスレだし。
203名無しさんだよもん:04/06/25 18:13 ID:xE7ngzDG
つーか第1回は、質の高さなんぞよりも、量の方を最優先して
多くの書き手を養成したいところだが
204名無しさんだよもん:04/06/25 18:41 ID:DfJmIqwG
トホホ、もうリレーSSはこりごりじゃよー!
205名無しさんだよもん:04/06/25 21:24 ID:l9yC6JqY
>>203
このスレ敷居が低いように見えてクソ高いんだよ。
初心者書き手が3vs3のバトル物なんて書けねえよ(俺がそうだ。)
6人全員の素性を知ってないと、まともな作品できないし…

見ての通り登場SSで止まって、実際の戦闘なんて一作だけじゃないか。
206名無しさんだよもん:04/06/25 21:44 ID:znvJTQJG
まぁ、無理だろうな。
鍵だけとか、葉だけなら分かる人も居るだろうが、
葉、鍵両方からとなるとな
207名無しさんだよもん:04/06/25 21:51 ID:qmmqc4Yz
岡崎朋也は、神岸あかりと共に人混みの中を歩いていた。ショッピングモールから大分離れた、休憩用の広場。
麻生明日菜には、後方からの援護を頼んでいるため、自分達から十メートルほど離れた場所に位置している。
所持している赤の銃に手を掛け、朋也は考えていた。
(人混みだ……発見されにくいが、奇襲も受けやすい)
少しの思案の後、口を開く。
「あかり」
「は、はい!?」
突然名前で呼ばれたことに驚いたか――彼女は一瞬身を震わせて、こちらに反応した。
「ああ、そう硬くなるな。あと、別に敬語じゃなくてもいいぞ。同じチームだし」
「あっ……うん」
いくらか緊張が和らいだか、あかりは微笑を見せた。
「で、だな。一応警戒――」
最後まで言い終わることなく。
びぃぃぃぃ……っ!
神岸あかりの胸に、二条の赤い閃光が突き刺さっていた。一条はセンサーを外れているが、もう片方はしっかりと刺さっている。
「え、ええ!?」
いきなりの展開に、あかりが驚きを隠せない様子で叫ぶ。朋也は、なんとか状況を察し、可視光線の経路を目で追った。人、人、人。
(あれは――)
さほど遠くではない。人混みに紛れ、ある人物が青の銃を構えている。見覚えはあった。芳野祐介。
隣には、同じく青銃を持った少年が一人。どちらかの放った光線があかりに当たったのだろう。三人にはあと一人足りないが――今はいい。
「麻生!」
朋也は声を張り上げて、後方にいるであろう麻生明日菜に呼びかけた。反応はないが、察知はしただろう。返事の代わりに、光線が自分の横を通り過ぎていった。
が、敵には届かず、途中で遮断される。芳野祐介ともう一人は、自分にも当てようとしているのか、手当たり次第に撃っている。
(っち――)
作戦を考える。ルールブックにはこう記してあった。攻撃を受けた後の、一分間の攻防停止。つまり、あかりは一分間――もう十五秒は経っているので、残り四十五秒。攻防停止。
「あかり、行くぞ」
朋也はあかりの背に身を隠し、前へ進んだ。一撃を浴びせられたのだ。こちらからも一矢を報いてみせる。
あと四十秒。日は高い。
208名無しさんだよもん:04/06/25 21:52 ID:qmmqc4Yz
芳野祐介まで、あと五メートルと迫った。敵は自分等も危ないと思ったか、舌打ちを一つした。
「相沢、逃げるぞ」
「うぃっす」
一言だけ交わすと、芳野祐介ともう一人――相沢というらしい――は、こちらに背を向けて逃走を始める。
「っち、走るぞ」
朋也も舌打ちをし――あかりの背に隠れるのを止め、目前の背を追う。センサーは胸。撃っても無意味。
とりあえず今は、追いつくことだ。あかりと並び、走る。このままでは、ショッピングモールに入って見失ってしまう。
と、そこで。朋也は、どこからか赤い光が飛び込んでいくのを見た。
びぃぃぃぃ……っ!
けたたましい音が鳴り響く。センサーの音だ。自分たちではない。音は、前から――芳野祐介から発されている。
「っ!?」
朋也はあわてて辺りを見回した。近くに、敵がいる様子はない。では、どこか。草むら、ベンチ、公衆便所、そこに設置されている鏡。
鏡。それだ。一瞬だけ見えたあの光は、確かにあそこからのものだ。
公衆便所から、一人の女性が姿を現す。
この敵もまた、よく知っている人物。藤林杏。
(あいつ――)
ずっと、ずっと遠くから杏が狙撃していた。その距離およそ三十メートル。その手に在るは、白き銃。青ではない。
ということは。
(固まっている……!)
近くに、少なくとも三チーム分の人数が。集まっているということだ。乱打戦になる。そう確信した。
「朋也くん、逃げる?」
「ああ」
あかりの言葉に頷き、朋也はその場から逃走を開始した。今は、そう簡単に残りライフを失うときではない。まだ始まったばかりだ。

【チーム状況】【赤・ポイント0・岡崎朋也L2・神岸あかりL1・麻生明日菜L2】
         【青・ポイント0・相沢祐一L2・芳野祐介L1・七瀬彰L2】
         【白・ポイント0・佐藤雅史L2・広瀬真希L2・藤林杏L2】
         【残り枠 一人】
209名無しさんだよもん:04/06/25 21:53 ID:qmmqc4Yz
ぐあ、知ってるのに祐一と明日菜活躍させてねぇorz
蔵キャラばっかりになってる……
210名無しさんだよもん:04/06/25 22:07 ID:4RHefOTD
気にするな
211名無しさんだよもん:04/06/25 22:20 ID:3VDNsBmT
こんな感じでいいと思うよ。
212名無しさんだよもん:04/06/25 22:56 ID:hreRb0D6
(・∀・)イイヨイイヨー
気軽な雰囲気で始まったものの、ゾリオンてレベル高い題材なんだな…執筆陣ガンバレ
213名無しさんだよもん:04/06/25 22:59 ID:n7nolyBj
俺は、ネタ充電中。
ていうか、3VS3マジでムズイよ。
次はタッグの方がいいと思われ。
214名無しさんだよもん:04/06/25 23:02 ID:/TJx2QSL
だからあれほど「最初はまず鍵キャラだけにしたら?」と何度も忠告してきたのに……
215名無しさんだよもん:04/06/25 23:05 ID:n7nolyBj
うーん別に葉のキャラがどうこうって訳じゃ無いんだけど
6人をしっかり動かすのはネタが思い浮かびにくいんだよなぁ。
3人ならいけるんだろうけど…
216名無しさんだよもん:04/06/25 23:27 ID:Jw/NYO/1
>214
見苦しいよ。

…まあ、俺も葉のゲームあんまりやってないから書き難かったりするわけだが。
217名無しさんだよもん:04/06/26 00:06 ID:TOLFxwKC
(同じチームの人たちはどこにいるのだろう…)
七瀬彰は同じチームであるはずの二人を探していた。
冬弥に誘われてきたのだが、その冬弥も自分と同じチームだとは限らない。
(やっぱり来なければ良かったのかな…)
そう考えていたときだった。

びぃぃぃぃ……っ!
すぐ近くからアラームの音。
音の方向を見ると自分と同じ色の銃を持った二人が見えた。


「くそっ、一発もらったか。相沢、いったん逃げるぞ!」
いきなりの不意打ちに芳野祐介は動揺していた。
「ええ、しかしどこに逃げるんですか。周りは敵だらけですよ。」
「まずいな…」
二人はどこから撃たれたかには気づいていなかった。後ろから追いかけてきてる奴らに撃たれるわけはない。
なら、いったいどこから狙われているんだ?
二人は身動きの取れない状態となっていた。
「このままじゃ岡崎たちに追いつかれてしまうな。」

そのとき近くから声が聞こえた。
「あの、こっちです!」

よく見ると自分たちと同じ青い銃を持っている。
(もう一人の仲間か――)
相沢と芳野はその声の主を信じ素早く駆け出していた。
218名無しさんだよもん:04/06/26 00:07 ID:TOLFxwKC
しばらく走っただろう。後ろから誰かが追ってくる気配はない。
「はぁはぁ、助かったぜ。相沢大丈夫か。」
「俺は大丈夫ですよ。ところで、あんた俺たちの仲間だよな?」
相沢は自分たちを助けてくれた奴に声をかけた。
確かに銃の色は同じであるが、本当に同じチームなのかは確認する必要がある。
「はい、たぶんそうだと思います。遅くなってすみません…」
七瀬彰は本当にすまなそうに答えた。
「なんだ、最後の一人は女か。まあよろしくな。俺は芳野祐介だ。」
「俺は相沢祐一だ。」
「あ、芳野さん、相沢君よろしくね。僕は七瀬彰。あの…女じゃなくて男なんだ…」
その瞬間、芳野と相沢の周囲の空気が一瞬固まったような気がした。

【チーム状況】【青・ポイント0・相沢祐一L2・芳野祐介L1・七瀬彰L2】
         【残り枠 一人】
219名無しさんだよもん:04/06/26 00:50 ID:5jDE7HU8
彰は、女顔だったなぁそういえば。
220名無しさんだよもん:04/06/26 00:51 ID:rGAjWjRU
>職人さん
読み返しやまとめ管理がしやすくなるようにタイトル付けようぜ。
221急襲:04/06/26 13:23 ID:9KZNcaa2
 冬弥は門の前で自分の仲間を待っていた。
 待ってはいるのだが……なかなかその仲間が姿を現さない。
「……来ないね」
 横で一緒に待っていた水瀬名雪が口を開いた。
 確かに遅い。開始時刻はとっくに過ぎている。ということは……
「もしかしたら……とっくにいっちゃったのかもな」
 そう、自分達をほっといて先に行ったということだ。
 この企画、チーム制とはいえ、四六時中メンバーと一緒にいる必要はない。
 残り一人のメンバーが個人プレイが好きなのなら、先走って行った可能性だったあるのだ。
 確かにチームを組むことにはメリットもデメリットもある。だから、ばらばらに行動するのだって一つの方法だ。
 だが……
「それにしたって、一言声を掛けてくれたっていいのにな……」
「しょうがないよ。それよりも、早く私達も行こうよ」
 名雪にせかされる。
 そうだ、優勝するには敵を多く倒さなければならない。
 こんなところで油を売っている暇はまったくないのである。
「そうだな。ま、どこかで会えるだろ」
 あくまで楽観的に言って、冬弥は茶色に染まった自分の銃を構えてみた。
 目立たない色だな……。と最初思ったのはご愛嬌。
 ゾリオンの色でもう一人の仲間も判別できる。それまでは名雪と二人で頑張るしかない。
 名雪が冬弥の手を引く。
 その名雪の仕草に微笑ましいものを感じながら、冬弥は移動を開始した。

 ……と、その時だった。
 物陰からヒュッと飛んでくる赤い可視光線。
 その光線は名雪の胸に当たり、甲高いブザーの音を鳴らす。
「わっ、なになに!?」
222急襲:04/06/26 13:24 ID:9KZNcaa2
 ――――敵襲!
 少し判断が遅れたが、冬弥は自分のゾリオンを構えた。
 自分のいる場所からは誰も確認できない。相手は巧妙に隠れながらこちらを狙っているのだろう。
 確か、ルールでは撃たれた後一分間は安全なはずだ。その間に逃げ出すのが最良だろう。
「名雪っ、一先ずにげようっ!」
「うんっ!」
 冬弥は名雪の手を引き走り出した。
 とりあえず、人の多いところへ。障害物が多ければ狙われにくいはずだ。
 ただし、問題は……見えないところから襲ってくる敵。
 また数本赤い光線が走る。それを勘と運で冬弥は避ける。
 このままでは埒が明かない。大まかな相手の位置は大体把握できているが……。
 冬弥と名雪は、開始直後に早速ピンチに陥ったのである。

「よしっ! 後一回であの子は脱落、流石僕だね!」
「何言ってるんだこの変態! いまのはみちるがやったんだぞーっ!」
 冬弥たちを隠れながら追い続けるハンター、その正体は彼ら。
 春原にみちると短絡的な考えを持つものがここまで統率の取れた行動が出来ているのは彼女のお陰であった。
 倉田佐祐理。彼女の指示があればこそである。
 そして、彼ら三人の選んだ行動は……不意打ちからの完全殲滅。
 集中的に狙い完全に潰す。ダメージを負わせたら撤退ということはない。少なくとも自分らがピンチになるまでは。
 正体は見せない。相手の不安を煽るため。
 そして、名雪が撃たれてから一分。二人の姿はまだ捉えている。
 方向転換などで少しでもこちらを向けば、その間でゲームセットだ。
「本当にごめんなさい、名雪さん。でも、勝負は勝負ですよね」
 佐祐理は、自分のゾリオンを冬弥たちに向けつつ追跡を続けた。
 早速、冬弥たちに黄色信号が灯ったのである。

【茶・ポイント0 藤井冬弥L2 水瀬名雪L1 不明L2】
【緑・ポイント0 倉田佐祐理L2 春原陽平L2 みちるL2】
【残り枠 一人】
223名無しさんだよもん:04/06/26 15:36 ID:Ps6EZBRh
ショッピングモール出口にいきなり固まってるYO
時間軸は赤青白の後に藍黒が来た感じか?
224名無しさんだよもん:04/06/27 21:01 ID:wqU5Rmmx
捕手
225名無しさんだよもん:04/06/28 19:34 ID:GHHSkV8J
保守
226名無しさんだよもん:04/06/28 23:32 ID:D0y1pU0u
…寂れてるな。
227名無しさんだよもん:04/06/28 23:33 ID:0dQnMNNq
困ったね
228名無しさんだよもん:04/06/28 23:40 ID:q4q5YIr3
まぁ、気が向いたときにまたーり憩うや。
229名無しさんだよもん:04/06/29 12:42 ID:r8PVOm4y
続き書かれないのって、不明のキャラを決定してしまうのが躊躇われるからなのかな?
230名無しさんだよもん:04/06/29 12:44 ID:RCLisNMt
天否未プレイだからじゃね?
231名無しさんだよもん:04/06/29 12:44 ID:X4SaZxCV
いや、書けないだけだろ。
面白く書くの難しいぞ。
232名無しさんだよもん:04/06/29 16:41 ID:tn9dB0OB
ポイントってのは誰か一人のライフを0にしたら1ずつ増えていくってのでいいの?
233名無しさんだよもん:04/06/29 22:06 ID:JKTDj9LJ
>>229
・ルールが複雑すぎ
・キャラを6人登場させて、会話シーンと戦闘シーンを両方書かなきゃならない
・やってない作品のキャラは書けない

これで書き手が集まるわけがない。
前スレの議論は何だったんだろうな。
234名無しさんだよもん:04/06/29 23:24 ID:r8PVOm4y
でも悲観的なレスばかりになると、本当に書き手のやる気減退しちゃうよ・・・。
のんびり慌てずがいいかと思う。
235名無しさんだよもん:04/06/29 23:39 ID:5AUCedB/
ほとんど書けなそうな天いなを一気に出した奴がいたからな
責任持って書いて欲しいよ出した人
浩平は書きたいがマジわからないから
236名無しさんだよもん:04/06/29 23:42 ID:/Sgwk2Jj
6人全員を絶対動かせ!ってルールはないんだし、いまいち乗り気でないor撃ちたくない知り合いが敵にいるようなキャラは動かないでもいいと思うが…
そうするならそうする描写もきっちり要るわけで、未プレイ者救済にはならないんだよね…
237名無しさんだよもん:04/06/29 23:56 ID:KGToy/0z
どうせ流れは遅いんだから、未プレイのゲームをやればいい。

分からないのは自分の責任だから。
238名無しさんだよもん:04/06/29 23:58 ID:PLNre47O
責任という言葉が出てくるのは変だろ。
239名無しさんだよもん:04/06/30 00:04 ID:kK+xcEXv
>>236
知り合い同士で馴れ合いばっかは余計つまらんよ
だから主人公と一緒にぞろぞろ来るのは好きじゃないんだ
240名無しさんだよもん:04/06/30 00:18 ID:/XpU4JdQ
そうそう、この板にいる書き手は友達のいない引きこもりばかりなんだから、
知り合い同士で馴れ合ってる描写を書くのは苦手なんだよ。
241名無しさんだよもん:04/06/30 00:25 ID:c30aiCPn
>>233
1はそうでもないよ。
やっぱり2番目がデカイ上に書いても大しても面白くない気がする。
何と言うか華が無いんだよね。
242名無しさんだよもん:04/06/30 00:31 ID:kK+xcEXv
じゃああっきーに何か介入させるとか?
時間限定で何か投入するとか
243名無しさんだよもん:04/06/30 01:27 ID:UtMqqNHQ
解説者を交えた描写をすればいいんじゃ?
244名無しさんだよもん:04/06/30 18:32 ID:UtMqqNHQ
なんだか・・・熱自体が足りないような気もしてきた。
良い企画なのに、企画倒れになるのかな・・・。
245名無しさんだよもん:04/06/30 18:44 ID:WkBcxxEg
書き手が既に興味を失ってしまってるのかもしれない。
いい企画だとは思うけど、ちょっと気軽に書ける代物じゃないからな。
ギャグを書こうにも、上の理由で厳しい。
重い話が書きたくても、生死が絡まないと書きにくいからちょっと中途半端なんだよな。

そして6人という人数がチーム戦という条件以上にデメリットが大きい。
246名無しさんだよもん:04/06/30 22:50 ID:UtMqqNHQ
うん、良い寂れ具合だ。
とりあえず停滞してる以上、何か意見交換や改善案、革新案を投下するのもひとつの手だと思うな。
247名無しさんだよもん:04/06/30 22:56 ID:oMk7iUxx
書き手は頑張って天いなプレイしてるんだよ


                                                      たぶん
248名無しさんだよもん:04/07/01 01:01 ID:0DqzQNDe
別にプレイしなくてもいいんじゃない?
雪緒だって漏れのイメージ通りの性格だし。
249名無しさんだよもん:04/07/01 10:07 ID:DB3nuJM1
「未プレイ者は書くな」は勘弁(漏れはAIRとCLANNAD未プレイ)
250分散:04/07/01 13:18 ID:R0e0LtLe
 黄色のゾリオンを持つ住井、功、由宇の三人は入り口を離れ、
 テーマパークの中央時計の前で話し合っていた。
 こんな目立つ場所にいれば直ぐに狙い撃ちされるとも思われるが、
 こんなに人が多ければ気付かれにくいというものだ。
 何より、こういった所にいるとは思えないという人間心理が働くだろうとは住井の談。
 普通にしていれば案外気付かれないものだ。
 そんな中、三人が何をしているかというと……作戦会議だ。
 これからの行動を決定するための重要な話し合いである。
「分かれて行動する、というのはどうだ?」
「なんや、それじゃチーム組んでる意味あらへんやんか」
 住井は二人にそう提案した。
 由宇は少し乗り気ではないような意見を出し、功は何も口を出さずにとりあえず意見を聞く。
「そこなんだよ、重要なところは。ルール、覚えてるよな?」
「わかっとるわい。確か一人ライフは二ポイントまで、それで二回撃たれたら終わり。
 んでもって最後まで残ってた二チームのうち撃破数の多いものの勝ち。それだけやったな」
 いわれてみれば、確かにチーム制ではあるものの別行動することについて規則はない。
「気付いたんだが、このゲームはチームを組んで行動するメリットが少ないんだよ。
 協力して敵を追い詰められるとか探せばあるが、基本的にデメリットのほうが多い。
 三人一緒にいると見つかりやすいし、「的」も増えるし、
 なにより、チームワークが必要になってくる。急造チームじゃコンビネーション攻撃は向かないんだ」
「言われてみればそうやな……」
 住井の言葉に少し納得する。
 なるほど、たしかに今ここにいる三人は今日会ったばかりだ。
 お互いの性格、能力、得意な戦法などなどはわからない。それに統率にも欠ける。
 あまりチームバトルというのは好ましい戦法ではないだろう。
251分散:04/07/01 13:18 ID:R0e0LtLe
「そう言うのなら、別行動とってもええわ。あんたはどう思う?」
「……俺?」
 いわれて、功は気がついた。
 実はずっと別のこと(主に真帆のこと)を考えてて聞いていなかったとは口が裂けても言えない。
「アンタ以外に誰がおるんや、それでアンタはチームで言ったほうが言いか、別れたほうがいいかどっちなんや?」
「え? ああ、それね。それなら……別れたほうがいいんじゃないか?」
 咄嗟にそう言う。
「満場一致、だな」
「連絡方法はどうするんや? バラバラになるんやろ?」
「携帯でいいんじゃないか? とりあえず番号は交換しておこうぜ」
 三人は番号を交換してから、思い思いの場所に散った。
(目指すは……打倒、折原)
(いっちょやったるわ)
(真帆……見ててくれよ)
 三人とも思いは違うが目指すは同じ。

 優勝の二文字だ。

【黄 ポイント0 住井護L2 猪名川由宇L2 霜村功L2】
【黄チーム別行動開始】
【残り枠一人】
252名無しさんだよもん:04/07/01 14:09 ID:frxgCQzf
そういう手もあるか…
253名無しさんだよもん:04/07/01 20:34 ID:NgHFrexq
てかいつの間に住井と合流したんだろうか
脳内補完?
254名無しさんだよもん:04/07/02 14:18 ID:GftP+sqx
ゲリラ戦的にすれば書きやすいのかな?
255名無しさんだよもん:04/07/02 17:23 ID:QcPklKcg
これ一人やられたら、チームごと落ちるのか?
256名無しさんだよもん:04/07/02 18:10 ID:BVSWGEwq
チームを構成するメンバーが全て戦闘不能となった場合、そのチームは失格となります。
257名無しさんだよもん:04/07/03 20:07 ID:vesH2VQP
すっかり廃れたな……。

こうなったらハカロワ2見習って、議論のネタになるような問題作を投下するしかないな。
今の葉鍵板なら、議論してればすぐ人集まってくるし。
258名無しさんだよもん:04/07/03 20:30 ID:EZXen3MG
書きにくいのって、ゾリオンの性能がすべて同一だからなのかも?

いくつか、この色にはこうした特性があるとかいうことにすれば、戦闘描写の手法増やせないかな?
259名無しさんだよもん:04/07/03 20:32 ID:vesH2VQP
>>258がいいところに目をつけた!
議論ネタとしては申し分ない。早速それでSS書いてくれ。
260名無しさんだよもん:04/07/03 20:50 ID:EZXen3MG
すまないが・・・そんな才能あったら欲しい。

特性といっても、あまり反則的なのは難しいな。 射程が長い、無音に近い、レーザー速度が速いとか?
261名無しさんだよもん:04/07/03 21:56 ID:fU1QHGIt
レーザー(=光)の速度を落とす事なんてできるんですか。
最先端の科学は凄いですね。
262名無しさんだよもん:04/07/03 21:58 ID:yCc1EbwI
銀玉鉄砲にしとけよ
263名無しさんだよもん:04/07/03 23:30 ID:dOo3AMVU
>>258
あまりいろいろルールにオプション付けるとそれはそれでややこしくなって、
中途参加の書き手が入りにくくなる気がするなー。

遊園地なんだから、ミラーハウスを初めとして、
特徴的なバトルフィールドならたくさんあるから、
そっちを重点的に話を構成すればなんとかなるんじゃない?
ネタのバリエーションは豊富にあると思うけど。
今までは、「人が多いところ」とか「ショッピングモール」とか、
フィールド的に特徴の少ないSSが多かったしさ。

そして、やっぱり、書き手が少ない問題は出場対象ゲームの幅の広さにあると思うよ。
まあ、初期の段階から自分はそう主張してたし、(今更文句はないけど)
だから、自分も書けないわけだけど。
取り合えず、未プレイの天いなやってるんで、
そのうちなんとか書くけどね。
それにしても、浮ついた大会向きのゲームじゃないな、これ。
264名無しさんだよもん:04/07/03 23:38 ID:FJXDpE5Z
しかし前スレから書き手不足は問題視されていたが
ハカロワの前例もあるし、多少楽観視していたのだが
まさかここまで過疎るとはな・・・
265名無しさんだよもん:04/07/03 23:44 ID:X56VWLtH
うーん、やっぱり題材と時期に問題があったんだろうな。
266名無しさんだよもん:04/07/04 00:32 ID:Od97TGR1
ま、ぼちぼちでしょ。
自分も今こみパやってる。
少しして文章書けるようになったら参加したいし。
>>263見て、この企画すげえ面白いと思った。
267名無しさんだよもん:04/07/04 01:10 ID:COk8THo/
やっぱりそれを生かさない手は無いよな。
268名無しさんだよもん:04/07/04 23:33 ID:yrfKeSpK
書き手さんが皆去ったわけじゃなくてよかった。

269名無しさんだよもん:04/07/06 07:50 ID:iO7RtXvV
しかし時間の問題という気もする
270名無しさんだよもん:04/07/06 09:25 ID:rsUDmfH1
徐々に過疎化していく…がんばれ、超がんばれ
271名無しさんだよもん:04/07/06 12:16 ID:nY9VuBeW
そもそも、ハカロワ当時と比べて、板自体の過疎っぷりも激しいから
形勢は不利だ
272名無しさんだよもん:04/07/07 12:28 ID:ct8MVZMw
まあじわじわと投下されていく流れもまた良し
あんまり間が空きすぎると投下しにくくなるかなぁ…
つうか一応お試し版だからチャレンジしてくればいいのに…と言いつつかけない俺

唯一野郎づくしの青チームがどうなるか楽しみ。
そういえば女だけのチームってないのな。
273名無しさんだよもん:04/07/07 22:22 ID:q2CwDYGZ
上のゾリオンの色ごとに特性有りって面白そうだと思ったけどな。

しかし遊園地か・・・。

一度どんな施設があるのか意見を出し合ってみたほうが、レスもついて活気も出ると思うのだけど。
このまま一日レスなしとか続くと、どんどん書き手のやる気激減しそうで怖いよ・・・。
274名無しさんだよもん:04/07/08 21:29 ID:IqLcJyik
うーん…葉キャラがわかんねぇ…。
こみパとToHeartはやったけど、キャラ名すらほとんど忘れてるよ…。
借りてやっただけだしな。

葉キャラと葉ファンには失礼だが、少々無視してネタを考えてみるか…。
275名無しさんだよもん:04/07/08 22:19 ID:aVnaubj1
まぁ、その辺は「鍵キャラだけじゃ華がない、葉キャラ入れないと書く気も読む気も起きない」
って言ってた人たちに任せようぜ。
276名無しさんだよもん:04/07/08 23:07 ID:aZ7x6riv
人外じゃないと書く気しないって自称書き手もいたけどね。
一応普通の人間達がいかに燃え遊ぶかが面白いところだと思うんだけど…

面白いとは思いつつ、書こうとして諦めた人ってどれくらいいるんだろう。

277名無しさんだよもん:04/07/08 23:48 ID:jixeLQTb


ちなみに、諦めた理由はONE・東鳩・ホワルバ・こみパが分からないから。
278名無しさんだよもん:04/07/08 23:52 ID:PUN94FFU


一度だけ書いたけど…
天いながわからんのです。買おうかな。
279名無しさんだよもん:04/07/09 00:04 ID:m+wyIqZq


ちょうど俺の書ける葉っぱ作品から外れていたり。
東鳩・天いな・Kanon・AIRは書く自信がない。
280名無しさんだよもん:04/07/09 00:07 ID:NXnN1YKV



鍵が入っているから
正直、いらないね
281名無しさんだよもん:04/07/09 00:14 ID:CFttLKne


いや、経験済みのゲームが少ない俺が悪いんだけどな…。
葉キャラがいないと読むのにつまらない、だけど葉キャラがいると書けない、そんな私を許してください。
282名無しさんだよもん:04/07/09 00:24 ID:+W3lvRUz


うたわれ以外の葉キャラはわからん
283名無しさんだよもん:04/07/09 00:31 ID:Guw3WeYy
よし、じゃあ自分を追い込もう。週末までに一本書く
284名無しさんだよもん:04/07/09 02:24 ID:GWL3qGNk
頑張れ。
明日までだな・・・・
285スタミナ:04/07/09 06:32 ID:KR259qbg
「撒いたか……?」
もう五分は走っただろうか、藤井冬弥は荒い息をつきながら後ろを振り返った。
「攻撃してこないね」
傍らで仲間の水瀬名雪が呟く。
ついさっき奇襲を受け、態勢を立て直すために逃亡を試みたが、どうやら成功したようだ。
用心深く周りを確認してから、名雪の方に目を向ける。
冬弥が肩で息をしているのに対し、彼女はさほど疲れている様に見せない。
「体力、あるんだな」
感心したように冬弥が言う。
「こう見えても、私、陸上部の部長さんなんだよ」
誇らしげだが、どこか照れくさそうだ。顔が赤い。
「あ、あの、それで、手、離してくれないかな?」
「へ?」
視線を下に向ける。
「あ……」
逃げる時、冬弥は名雪の手を引いて走っていた。
「ごめんっ」
冬弥は慌てて手を離す。
(名雪の顔が赤いのはこのためだったのか)
「ううん、それより助けてくれてありがとう」
名雪が満面の笑みを浮かべて感謝の言葉を吐く。
(素直で良い子だな。そういや、由綺に似てるかも)
最近、何かと忙しい恋人の顔を思い浮かべる。
そばにいるとなぜか安らげる、そういったオーラ、もしくは雰囲気を二人共持っている気がする。
(守らなくちゃな、絶対に)
冬弥は気合を入れなおし、銃を握り直す。
そして、名雪に言う。
「まあ、戦友だからな。当然さ」
「うん、戦友だもんね」
二人は顔を合わせて笑った。
286スタミナ:04/07/09 06:33 ID:KR259qbg
「ぜえ、ぜえ、ぜえ……」
「にょわー……」
「はあ、はあ」
一方、緑チームである倉田佐祐理、春原陽平、みちるはへばってた。
身を隠しつつ追跡を続け、一つのチームを集中的に狙う。
作戦自体は見事なものだったが、如何せんこのメンバーにはスタミナが無かった。
みちるは子供、佐祐理はお嬢様、陽平も部活から離れて長い期間が経っている。
標的である茶チームが一切反撃せず、逃げの一手を行い続けたことも予想外だった。
(おそらく、あのチームは二人しか揃っていなかったのでしょう)
だから、交戦しても勝ち目が無いと判断し逃げ続けたのだろう。
(一発当てただけでも御の字ですか)
佐祐理は頭を切り替えて、仲間の様子を確かめる。
「こ…こらー、情けないぞ、春原陽平……」
息絶え絶えでも心は元気なみちるが、陽平の腹を枕代わりにしてうなっている。
「ど、どけよ、お子様…」
陽平はもがき、みちるの頭を腹から振り落とそうとする。
だが、思った以上に体力を使うことが分かったのですぐに諦めた。
その代わりに片手を使い、みちるの鼻を揉もうとする。
昔、朋也に教えてもらった悪戯術だ。
春原の手は虚空をさまよい、やがて何かを掴んだ感触を得る。
ここぞとばかりに陽平は思いっきりそれを捻った。
パクッ♪
そんな擬音が聞こえた気がした。

佐祐理の目の前では、陽平が叫び声を上げている。
陽平の手はみちるの鼻と間違えて下唇を捻り、自然にみちるの口に入り込んだ。
そして、今、食べられている。
「ひぃぃぃぃぃー、痛い、痛いっ! 噛むなっ! 舐めるなっ、しゃぶるなっ! 歯形がぁぁー!」
「むに、しょっぱい……」
「ああああ、ちょっと気持ち良く感じてきた自分が憎いぃぃぃぃー!」
287スタミナ:04/07/09 06:34 ID:KR259qbg
「あははー、二人ともすっかり仲良しさんですね」
佐祐理は二人のじゃれ合い(?)を微笑ましそうに言う。
「んなわけないですっ!」
「んなわけあるかっーー!」
二人の返答は風のように早かった。

【茶・ポイント0 藤井冬弥L2 水瀬名雪L1 不明L2】
【緑・ポイント0 倉田佐祐理L2 春原陽平L2 みちるL2】
【残り枠 一人】
288名無しさんだよもん:04/07/09 12:47 ID:KNXwZjGF
書き手さんが戻ってきた!
289名無しさんだよもん:04/07/09 16:43 ID:ewJDfVqt
ゾリオン in 葉鍵 まとめサイト
ttp://cgi.f46.aaacafe.ne.jp/~zorion/
定期張り
290名無しさんだよもん:04/07/09 21:10 ID:KtmHdkHH
>>285-287GJ!!
291名無しさんだよもん:04/07/10 11:55 ID:PLf/AYNe
あげ
292はさみうち:04/07/10 16:49 ID:iLjbOhIM
「やっぱりゾリオンといったら打ち合いが醍醐味だよな!」
「……それはあまり効率的じゃないわ。こちらのリスクが大きすぎて何度も使える作戦じゃない」
「分かってないな。隠れてこそこそ狙い打ちなんてかっこ悪いし、何よりも俺が嫌だ」
「勝ちたいのなら、そういった見栄は捨てるべきだと思うけれど……」
「甘いぞ須磨寺! ゾリオンにおいて重要なのは勝利じゃない! いかにこちらをよく見せるかだ!
 野球だっていくら優勝するためとはいえ、強いチームが毎回圧倒的大差とかつけてたら萎えるだろ!?」
「だったら、間を取ってこそこそ打ち合いましょう」
 紫チームでは作戦会議がこくこくと続いていた。
 いや、作戦会議というよりも漫才に近い。
 無茶な作戦を浩平が立案し、雪緒が冷静にツッコミをいれ、美凪が素っ頓狂な締めをくくる。
 回りからみればかなり奇妙な光景であろう。遊園地の真ん中で話し合う三人……。

 場所の移動を勧めたのは雪緒であった。
 最初の場所にいては別のチームに狙い撃ちされる可能性がある。
 この大会のライフは2ポイント制だ。最初にどんなにあくせくライフを減らしても、点は止めを刺したものが手に入れる。
 初めは様子を伺い、他のメンバーが疲弊してきたところを奇襲すべきだろう。
 だからこそ、最初はあまり他のチームと接触すべきではない。
 そう考えて、わざわざスタート地点から遠い場所にある遊園地部分まで来たのである。
 点をより多く勝ち取るために多くのチームはスタート地点近くか、それとも隠れやすいところに潜むかするだろう。
 そういったメンバーの裏を掻いての行動だ。
 実際、ショッピングモール周辺でブザーの音を聞いている。
 今頃はお互い潰しあっているところだろう。
293はさみうち:04/07/10 16:50 ID:iLjbOhIM
「まあ俺だって勝ちたいし、やっぱりその案でいくしかないんだろうけどな」
「そうね。それが懸命だと思うわ。経験のある折原君を中心に、私と遠野さんがサポートする形で行きましょう」
「おっけー、です」
 三人の行動の指針が立つ。
 とりあえずは……隠れてからの奇襲を中心、セオリーといえばセオリーだ。
 時計で時刻を確認する。今は……10:10分。
「タイミング的には……10:30ぐらいに行動を開始すればちょうど良いわね。
 それ以上待つと他のチームがライフの減った人間から倒してしまっている可能性が高くなるわ」
「よし、俺も異議はない!」
「私もないです」
 後20分待って行動開始。
 このテーマパークは広さが十分にあるので、別チームと接触するのも時間が掛かるだろう。
 それまでの時間はうまく別のチームと鉢合わせしないように人気のなさそうな場所で待機だ。
 まさか、点を取ることが目的なこのゲームで人がいないところにいるチームなどいまい。
 三人が相談でそう決定したところ、事件は起きた。

 ヒュッと三人の脇を赤い線が走る。
 当たりこそはしなかったが、それが敵の襲来を告げていることは明らかだ。
「……早速来たぞっ! 予定変更だ、須磨寺、遠野!」
 直ぐに浩平が撃ってきた方向を向き、ゾリオンを構える。
 しかし……誰の姿も見えない。遊園地部分とはいえ、見通しのいい場所で作戦会議を行ってきたのだ。
 普通の射程距離まで近づけばこっちだって気付く。なのに姿が見えないということは……。
294はさみうち:04/07/10 16:50 ID:iLjbOhIM
「相手は、かなり遠くから撃ってきてるものだと思います」
「マジか! 相当の奴か……それとも当てずっぽうか、どっちに転んでも面白くなってきたぜ!!」
「ここは撤退したほうがいいわ、相手のいる場所が大まかな方角しか分からない以上、こちらが不利よ」
 雪緒に美凪が踵を返す。
 そして、浩平が向いている方向には背を向け、その場を去ろうとする。
 が……突如男の乱入によりそれは阻まれた。
 男は路地裏から突然視界に舞い込んだかと思えば、直ぐに自分達の胸に照準を合わせる。
 雪緒と美凪は反射的に身体を反らし、なんとか命中だけは避けたものの……。
「……はさまれちゃいました」
「ふははははっ!! そろそろ年貢の納め時というものだな、少年少女たちよ!!」
 前にいるのはこの怪しげなスネオカットな髪型の男……名前は九品仏大志。
 そして、後ろにいるのは……。
「悪いが……倒させてもらうぞ」
 精悍といった言葉が非常によく似合う少女、坂上智代。
 いつの間に浩平の目の前に現れたのだろう。さっき自分らを撃ったのが彼女なら……ここに来るのが早すぎる。
「バ、バカなっ! さっき撃ってきてから一分もたってないのに!?」
 驚いている暇はない。
 浩平は相手のスキを見て、相手を倒し脱出するチャンスを窺っていた。
 おかしいのは相手の人数。まさか今の時間帯で既に一人倒されたなどということはないだろう。
 なのだとしたら……もう一人、きっとどこかで自分らを狙っている。
 前にも後ろにも敵の姿、そしてまだ見えぬ第三の敵。
 浩平たちの危険は目前にまで迫っていた。

【紫 ポイント0 折原浩平L2 須磨寺雪緒L2 遠野美凪L2】
【橙 ポイント0 九品仏大志L2 坂上智代L2 河島はるかL2】
295名無しさんだよもん:04/07/10 17:17 ID:bIyDV06M
投下乙!
296名無しさんだよもん:04/07/10 17:19 ID:F++iSvsZ
>>292-294
キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)-_-)=゚ω゚)ノヨォ━━━!!!!
297名無しさんだよもん:04/07/10 17:21 ID:YjV+YLkD
こいつら、いつの間にこんな仲良くなったんだ?
298名無しさんだよもん:04/07/10 17:23 ID:bIyDV06M
雪緒のことなら前の話で少しだけ乗り気になってたから
良いんじゃないか?
299名無しさんだよもん:04/07/10 17:24 ID:YjV+YLkD
そんなもんかね
300名無しさんだよもん:04/07/10 17:25 ID:cv0z4nvQ
まぁ、書いてる人は前の話と同じ人だと思うし。
301名無しさんだよもん:04/07/10 17:44 ID:iLjbOhIM
>>300
いや、違うよ。
302名無しさんだよもん:04/07/10 17:49 ID:v0z2AqW7
10:10ってちょっと早すぎない?

>実際、ショッピングモール周辺でブザーの音を聞いている。
10:00開始だからその頃に近いとこにいたってことで、それでいて
>スタート地点から遠い場所にある遊園地部分
っていうのは…
303名無しさんだよもん:04/07/10 18:19 ID:7QxZCn5J
キャラの一人称くらいはしっかりしてほしいものだ
304名無しさんだよもん:04/07/10 18:25 ID:yIvLTSbR
>>292-294
乙であります!
最初の作戦会議のデコボコっぷりが面白いです。

ただ、>>302が言ったことも含めて、時間の感覚に違和感を感じます。
例えば、「バ、バカなっ! さっき撃ってきてから一分もたってないのに!?」
智代の運動能力を前提としなくても1分あれば400mくらい走れそう。
テーマパークという空間で、その距離の空間に障害物が存在しない事はまずないだろうし。
敵との間合いが一つのポイントとなるわけだから、
その辺の問題(時間と距離)は他の作者さんの課題にもなってくるかな。
305名無しさんだよもん:04/07/10 18:28 ID:F++iSvsZ
>>304
遠距離攻撃は智代なの?
はるかだと思ったんだが
306名無しさんだよもん:04/07/10 19:03 ID:yIvLTSbR
>>305
ごめん、そっちの読み取り方が正しいみたい。
ここに来るのが早すぎる→智代の運動能力だと勘違いしてた。

307名無しさんだよもん:04/07/10 19:17 ID:v0z2AqW7
分散している黄色の誰かとか他のチームってことにして乱戦ってのもありじゃない?
実際どうだったのかは次の書き手が決める、ってことで。
距離や時間の問題も。ある程度都合の良い解釈をしちゃっても良いよね?

けど、「ゾリオンにおいて重要なのは勝利じゃない! いかにこちらをよく見せるかだ!」とかは良いなぁ。
005の「それが無くなったあいつは予測不能だ。」もあることだし、本当に予想外の行動しそうになってきた感じ。
308名無しさんだよもん:04/07/10 22:54 ID:LM8LgJ5i
>>303
???
309追撃・反撃・襲撃:04/07/10 23:28 ID:v0z2AqW7
〜緑チーム〜
茶チームに逃げられてしまった緑チームはその後…
「だから足手まといになるなって言っただろっ!」
「おまえの方が先にへばってたくせにーっ!」
「お前に合わせてやったんだよっ! 女が男に勝てるはずありません。 ましてやちびっこが」
「んに〜! みちるちびじゃな〜い!」
と言い合いをしていた。

(本当に邪魔だよなぁ…何とかしないと)
(何としてでもこの大会中に佐祐理さんともっと親しくならないと)
「あははー、お二人とも、もうすっかり元気になったみたいですねー
それでは、そろそろ移動しましょうか」
「「え?」」
「先ほどの様子からして、向こうは三人目と合流できていないようです。
となると、彼らの次の行動は三人目を探すことです。つまり…」
(つまり…?)
少し考える春原。
「追いつけるチャンスがあるってことか」
「ええ。合流前に追いつる可能性もありますし、仮に合流していたとしても…」
「さっきの分ライフで有利…ってことか」
「それだけじゃないですよ」
「「えっ?」」
「こっちのチームはもう息もぴったり。大丈夫。出会ったばかりのチームになんて負けませんよ」

「さ、佐祐理さん…」
(今だ! ここでびしっと決めるんだ! 佐祐理さんの手を取って…)
「僕と二人で夜明けのコーヒーを…」
「うん、がんばろっ! さゆりっ! …って邪魔するな〜! 春原陽平っ!」
「お前こそ邪魔するなっ! このちびっこ!」

「あははー、本当に二人ともとっても仲が良いですね〜」
追跡開始。緑チームの危機はまだ去っていなかった。
310追撃・反撃・襲撃:04/07/10 23:30 ID:v0z2AqW7
〜ショッピングモール・店内〜

「ありがとうございました〜」
頼まれた買い物を終え、店員の挨拶を背に二人のもとへ向かう。
スタッフに銃を見せるだけで終わり。買い物自体は簡単だ。
(…もっとも後でお金は払わなきゃいけないんだけどね)
このテーマパークのオーナーはゾリオン協会会員であり、今大会の開催に全面的に協力してくれているのである。

(そういえば、アトラクションは乗り放題なんだっけ…コーヒーカップ・メリーゴーランド・ゴーカート…二人っきりで夕日の観覧車…そこで初めての…)
すっかり目的が変わっている春原であった。
(お化けやしきで僕が頼りになるところを見せるってのもありだよね!佐祐理さんがきゃーって言って僕に…
よし! あとで佐祐理さんがどんなのが好きかさりげなく聞いておこう!それにしても…佐祐理さんは何でこんなものが欲しいって言ったんだろ?)

それというのも……
「彼らが向かったのは、方向からしてここ、ショッピングモールです。ちょうど良いです」
佐祐理さんの持つ案内図を僕とみちるが左右から覗き込む。
「んに? どういうこと?」
「実は…欲しいものがあるんです」
(…って言うからってっきりアクセか何かかと思ったのに。彼女への最初のプレゼントがおそろいのイヤホンマイクだなんて…っと)

「お待たせっ、佐祐理さん……あれ? あのちびっこは?」
「みちるは今ちょっと…あ、戻ってきましたね」
(あの邪魔者がいない今がチャンス! さりげなく、さりげなく…)
「佐祐理さん! お化けやしきで僕に抱きついて…」
「さゆり〜っ! 居たよ! あの二人! この先すぐ!」
「そうですか。ついに追いつきましたね…って、どうしました? 春原さん?」

見ると春原が道の端でいじけている。
(また邪魔された…。さりげなさすぎたのかな…)
311追撃・反撃・襲撃:04/07/10 23:30 ID:v0z2AqW7
「それよりも春原さん、イヤホンマイクとあなたの携帯を出してください」
「え? ケータイ?」
(そうか! まずは番号とメアド交換だよな!)
「それから二手に分かれます。春原さんは右の道から回りこんでください。
佐祐理はみちると二人で追跡します」
「え〜。別行動じゃお話できないじゃん…ってそういうことか」
「ええ。イヤホンマイクなら交戦中でも会話できます。
ただ…みちるが携帯を持っていないので…」
「僕が行くしかないってことか…仕方ないな」
「この先のT字路までに追い詰めれば挟み撃ちです。そうなれば私たちなら
絶対大丈夫ですよね。佐祐理はそう信じてますよ」
「そ、そうだよね! 僕に任せておけば問題なし!
じゃ、まずは番号とメール…」
「いえ、時間がありません。春原さんはこれを持って行ってください」
佐祐理はそう言って自分の携帯を春原の手に握らせる。
携帯を渡した佐祐理の手はそのままで、さらにもう一方の手も重ねてくる。
「!?」
「向こうの三人目がどこにいるか分かりません。気をつけてくださいね」
「大丈夫! 僕に任せて! それじゃ行ってくるよ」
「はい、よろしくお願いします」

佐祐理と別れ走り出す春原。そして角を曲がり…
(佐祐理さんの手、あったかくって柔らかくって…
それにこれ、佐祐理さんの携帯…ほんっとにこの大会に参加して良かった)

「ママ〜。あの人ヘンだよ〜。携帯握り締めて泣いてる〜」
「しっ。見るんじゃありません」
312追撃・反撃・襲撃:04/07/10 23:33 ID:v0z2AqW7
「いた…」
店の中から出てくるのは名雪一人。そしてそれを待っている男の人。
「まだ合流してないようですね。気づかれないように少し離れて追跡しましょう」
「んに? ここで仕掛けないの?」
「まだ春原さんが間に合いませんからね」
「んに〜。みちるがいれば大丈夫なのに〜」
「春原さんがいればもっと大丈夫、ですよ」

次の店の前に立つ名雪さん達。しかし、店の前に立ち止まったまま。
その視線の先にあるのは…
(窓…ガラス!?)
「しまった! 気づかれました。近づきますよ。みちる」
「んに? そうなの? 分かった。行っくよ〜」
「待って、みちる。こっちです」
「んに?」

向こうは気づいてないように普通に歩き出したが…
さっきまでは店の中に入ったり、覗き込んだりしていたのに今はまっすぐ歩いている。
(そう…やっぱりこっちに気づいたんですね。でも…)
そして繋いだままの携帯に向かって呼びかける。
「春原さん、今どの辺りですか?」
『最後の角を曲がったとこ。どうしたの?』
「気づかれました。何とかそっちに追い込みます。前に注意していてください」
『了解っ。任せて!』

(そう…道の左側からみちると二人でプレッシャーをかけつつ追跡…
あの二人は右に曲がることになる。そうすればその先には春原さんがいる…
このT字路を…そう、そのまま右へ曲がれば…)
313追撃・反撃・襲撃:04/07/10 23:35 ID:v0z2AqW7
「二人とも、こっちなのっ」
T字路の左から聞こえる声。名雪さん達はその声の方向へ走って行く。
「三人目!? みちる、止まって!」
そう、このまま左折してはまずい。三人目が狙いを定めているかもしれない。そして左の壁へと身を寄せる。
(まずは春原さんと合流、後のことはそれから考えましょう…)
そう考えて携帯に呼びかけたそのとき…
「春原さん…えっ!?」
『右』から来る赤い光線、そしてその先には…
びいぃぃぃぃーーーーーーーーっ!
佐祐理の胸から甲高いアラームの音が鳴る。一瞬、頭の中が真っ白になる。
(三人目は左に居た…けど今の攻撃は右から…)
「んにょわ〜!? さゆりっ」
『佐祐理さん!?』
「よくもさゆりをやったな〜。やっつけてやる〜」
『佐祐理さん! 今行くよ!』
心配そうな声をかける二人。
「ダメ!みちる!戻って! それから春原さんも」
『え?』
「作戦は失敗です。来た道を戻ってください。さっきの場所で合流しましょう」
『え? 何で? このまま行った方が早いじゃん』
(そうじゃない。佐祐理の考えが正しければ多分ここには…)
T字路を見る佐祐理。その考えを裏付けるかのように…左から右へと走る赤い光線。さらに少し遅れて右から左へ。
「他のチームがいます。それがどこにいるか分からない以上、無理はするべきではありません」
『そうか、それじゃ仕方ないか…』
「すみません。佐祐理の考えが甘かったです」
『そんなことないよっ! ともかく合流しよう。そうすれば…』
「三人なら大丈夫、だよっ! さゆりっ!」
『こら〜、ちびっこー。僕の言うことを取るな!』

(ああ…そうだった…まずは合流しましょう。そうすれば…)
「あははー、そうですねー。大丈夫! ですよね」
314追撃・反撃・襲撃:04/07/10 23:37 ID:v0z2AqW7
〜ショッピングモール・店頭〜
店の前で待つ冬弥のもとへ近づく名雪。その横には…誰もいない。
「はぁ…やっぱりいなかったよ〜」
「そうか…三人目はどこにいるんだろうな。一体…」
「どこに敵がいるかも分からないし…」
そう。彼らはまだ三人目と合流できていない。このままではまずいと思い、
少々危険ではあっても三人目探しを優先してここショッピングモールに来ていた。
「何か準備してるのかと思ってここに来たけど、やっぱり違うのかな…」
「どうする? このお店も探してみる? それとも別の場所へ行く?」
「そうだな…この人混みじゃ見つけるのも難しそうだし…ん?」

(あのガラスに映ったリボン…あれはさっきの!)
「名雪。振り向かないでそのまま。二つ右の窓ガラスに映っている…」
「え? あ、あれは佐祐理さん…」
「そうだ。さっきの敵だ。けど、ここでは走って逃げる訳にもいかない」
「どうするの?」
「向こうはまだこっちが気づいたことに気づいてない」
「うー。ややこしいよー。それでどうすれば良いの?」
「とりあえず様子見だ。できるだけ普通に歩いて行こう。広いところに出たらさっきみたいに走ろう」
「うん、普通にだね。分かったよ」

そう言って冬弥の手を取り歩き出す。
(え…って、まあこれくらいなら…。それよりも…)
できるだけ自然を装いつつ歩きながら、店の窓ガラスや店頭近くの鏡を見る。
(やっぱり追跡されている。良く気をつけていないと分からないけど…)
大きなリボンが特徴の女の子、ちょこまかと動くツインテール。いつの間にか近づいて来ている。
(まずい。こっちが逃げてることに気づいたか。それに金髪の男がいたはず。まだ姿が見えないが…)
「このT字路を右に行くぞ。名雪」
そう名雪に向けて言った瞬間。
315追撃・反撃・襲撃:04/07/10 23:38 ID:v0z2AqW7
「二人とも、こっちなのっ」
声の方を振り向くと女の子が一人。その手には…茶色い銃。
「名雪! 三人目だ」
名雪の手を引いて三人目の元へと向かう。
「とりあえずここを離れるぞ。追われているんだ」
三人目の女の子は冬弥たちが近づいても銃を地面に向け、そちらを見つめている。
「知ってるの。だからここへ来たの。…えい」
可愛らしい掛け声とともに光る二本の赤い光線。そして後ろから聞こえる甲高いアラームの音。
びいぃぃぃぃーーーーーーーーっ!
少女の銃の先には、地面に小さなコンパクトが置かれていた。
(反射して上に…え? あれは)
見上げると向かいの店の2階の窓が開いていて、そこに鏡が置かれている。
「そうか…反対側にも同じ仕掛けがあるんだな?」
こくりと頷く少女。
「え? どういうこと? 今のは何だったの?」
名雪は分かっていないようだ。しかし、その疑問に答えている暇はない。
(そう…2階の高さを横切る光線は見えていないはず。だから向こうはきっと…なら今やるべきことは…)
冬弥は振り向いてT字路の向こうに向けて銃を撃つ。狙いも何も無く。
(よし、これで向こうはますます…え?)
とその直後、三人から少し離れたところを赤い光線が走る。
もしかして…と思い少女の方を見ると先ほどとは別のコンパクトに向けて銃を構えていた。
(そうか、そういうことか…)
「な、何? 他のチームがいるの? だったら逃げないと…」
「ちがうの」
訳が分からなくなって慌てている名雪と、落ち着いている少女。
「今のは君がやったんだよね?」
こくりと頷く少女。
「けど、他のチームがいるかもしれないのは正しいの。今の光を見て来るかもしれないの」
「そうか…それじゃとりあえず。ここから離れるぞ。人通りが減ったら走るぞ」
「わ、分からないけど分かったよ」
「(こくり)でも、走るのは苦手なの…」
316追撃・反撃・襲撃:04/07/10 23:41 ID:v0z2AqW7
〜ショッピングモール・出口付近〜
「ふぅー、とりあえずショッピングモールを抜けたな」
ショッピングモールから少し離れたここは見通しが良い。ここならとりあえず大丈夫だろう。
「さっきはありがとうな。助かったよ」
「あ、それそれ〜。結局さっきのは何だったの? やっぱり他のチームが居たの?」
(そういえば名雪は分かっていなかったんだっけか)
「あれは全部この子の作戦だよ。鏡を使ってね。そうだろ?」
こくりと頷く少女。
「え〜? そんな上手く行くものなの? すごいねー」
(そういえば確かに…)
「身を隠す場所は大体分かっていたの。でも、当たったのは偶然。僥倖なの。あの作戦の元々の目的は…」
それは分かっていた。二つ目の仕掛けの目的を考えれば…
「撹乱、だろ?」
そう。敵にしてみればT字路の右から攻撃されたとしか考えられない。
さらにその後の2回の射撃によって…
「あの場所に、第3のチームがいると相手に思い込ませる。けど、こっちはそんなのいないって知ってるの」
「え? あ、そういうことだったんだね」
「とっても大変だったの。角度を計算して鏡を置いて、たくさんたくさん練習したの」
(そうか、それで…)
「いくつか準備したら合流するつもりだったの。でも、なかなかうまく行かなくて、それで合流できなかったの。だから、とってもごめんなさい」
手に持つ茶色い銃をぎゅっと胸に抱える。
317追撃・反撃・襲撃:04/07/10 23:42 ID:v0z2AqW7
「気にしなくていいよ。お陰で助かったんだから」
「そういうこと。ありがとうな」
「あ…こちらこそ、とってもとってもありがとうなの」
嬉しそうにする少女。冬弥は照れを隠すかのように慌てて聞く。
「えっと、君は何でこの大会に?」
「朋也くんがこの大会に出ればきっと友達ができるからって…あ」
「ん?」
「こんにちは、はじめまして。3年A組の、一ノ瀬ことみです。趣味は読書です。もしよかったら、お友達になってくれると、うれしいです」
(そういえば自己紹介もまだだったか…)
「私は名雪。水瀬名雪。よろしくね」
「藤井冬弥。よろしく。お仲間さん」
「??」
「そうだろ? チームメイト、なかま」
「ま…マラカス」
「すな」
(って、なんでいきなりしりとりなんだ? まぁ、名雪も合わせてるからとりあえず…えーと)
「なすび」
びいぃぃぃぃーーーーーーーーっ!
ことみの胸からアラームが鳴り響く。
「「えっ?」」
「??」
冬弥と名雪の声が重なる。ことみは不思議そうにして…
「違うの。びいどろなの」
「しりとりの話じゃないっ。敵だっ」
改めて辺りを見回す冬弥。
(そもそも見えるところには居なかった…一体どこから撃って来た…?)

【茶 ポイント0 藤井冬弥L2 水瀬名雪L1 一ノ瀬ことみL1】
【緑 ポイント0 倉田佐祐理L1 春原陽平L2 みちるL2】
【大会参加者全員確定】
318名無しさんだよもん:04/07/11 00:12 ID:CCWUZvMh
1レス目の最後、茶色だった…OTL
25話からつなげようとして考えていたんだけど27が入って、じゃどうしようと考えてたら…
春原がどんどん動いちゃって長くなってしまいました。
おまけに最後の参加者やら買い物・アトラクションの新設定と好き勝手してすみません。
けど、こうしておけば小道具やアトラクションも出しやすいかな? ということで。
後払いなんで無茶はできないし。

最後の謎の襲撃者は307で言ったのと同じで次の書き手さんにお任せします。
この辺にいるチームは多いし、どうとでも書けるんじゃないでしょうか。
319名無しさんだよもん:04/07/11 00:15 ID:0pfG41mM
(・∀・)イイ!
いや、俺も利用を自由にした方が面白いんじゃないかとは思ってた。
折角あるんだから制限されてたらねぇ。
320名無しさんだよもん:04/07/11 01:09 ID:BFgXRytI
新作乙〜
しかしまた蔵キャラか・・・6人くらい?
時期的には仕方ないか
321名無しさんだよもん:04/07/11 02:50 ID:CCWUZvMh
そういえば春原に作中で言わせようと思ってたのに忘れてた。
「アトラクションは並ばなくてもOK」というとこまで融通利かせるのはどうでしょう?
キャラ視点で考えると「並んでる最中が一番危険」ってことになって「じゃ、やめとこ」って思っちゃうだろうし。

他にも多少のことなら黙認・協力してくれるとかどうでしょう?
「そのとき、ゴミ回収のオッサンが押すカートの中からゴミだらけの春原陽平が現れた!」とか。
でも、あくまでオーナーの好意なんで危険なこと・他の客にあまりに迷惑なこと、
例えば「高笑いしながらジェットコースターの先頭で仁王立ちする九品仏」なんてのは怒られる、と。
怒られてもやってしまう、なんてのは書き手とキャラ・状況次第ってとこで。

>>320
すみません…蔵キャラにしちゃいました。
頭脳派・物理系ってことで反射・屈折で変わったことやるには良いキャラだし。
冬弥・名雪のダッシュ逃げ防止としても良いかな、と。

ところで、そろそろ脱落者が出そうなところだけどそのときの処理ってどうするの?
大会要綱によると「モニタールームに移動」ってだけで「どんなとこなのか?」「誰がいるか?」とか
何も無いから書きにくい感じ。
あと、「他の参加者が脱落を知ることが出来るか」は各キャラの行動に影響するから重要そう。
考えてみるスレの692みたく放送するのも良いし分からないってのもありかな。

そうそう、まとめサイトをちょっといじっても良いですか? ちょっとやりたいことがあるんで>管理人さん
322名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 14:57 ID:TZzYEZmu
>>321
英二さん出そうと思ってたけどいい話が思いつかなかったw
葉鍵で頭脳派なキャラは限られてるからねぇ
323名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 16:05 ID:EU8nwrMz
北北キタ━━━━ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ━━━━!!
沈黙を続けていたゾリオンの時代がついに来た!
良書き手も多いようで、がんばれー
324名無しさんだよもん:04/07/11 16:08 ID:OStGuzGp
台詞に名前付けませんか?
誰が喋ってるのかわからないところがあったり・・
325名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 16:11 ID:EU8nwrMz
>>324
ネタで言ってます?
それをわかるように書くのが書き手、見分けるのが読み手。
326名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 16:14 ID:OStGuzGp
マジで言ってました。
327名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 16:17 ID:EU8nwrMz
>>326
確かに未プレイ作品のキャラじゃ口調だけじゃ判別しにくいかも。
でも台詞の前に名前を入れるのは特定のSSじゃない限りご法度だと思うので…
そこらへんはこっちで頑張るしかないかな。想像するなりゲームプレイするなりして。
328名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 16:18 ID:t6uY6u7f
>それをわかるように書くのが書き手、見分けるのが読み手。

無理な人には無理だろ。
329名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 16:22 ID:OStGuzGp
>>327
天いな未プレイなんで…
でも話自体は凄く面白くてイイと思います。
空気悪くしてしまってすいません。
選挙にでも行ってきます。
330名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 16:56 ID:TZzYEZmu
>>328
そうかもしれんが、いくらなんでも脚本形式はどうかと思うぞ
ところで登場作品全部プレイ済の人ってどんだけいる?
ノシ
331名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 17:34 ID:JuBvswv9
WAと天いなやってねぇorz
332名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 18:00 ID:Sr8iiaB3
雪緒を書くために天いなを買った俺は負け組みですか?
こみパ、WAはやったことないなぁ。東鳩もうる覚え。

>>321
Wikiなんでご自由にどうぞ。
突貫工事で作ったので、何かありましたら、付け足したり改良したりしてください。

では、更新してきまつ
333名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 18:02 ID:fSx/tGG0
しかもキャラ違ってるからな。
334名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 19:40 ID:2k9JCFB0
>>330
東鳩だけ持ってない。
あとONEが少しだけやって放置の状態。他はどんと来い
335スタミナ:04/07/12 01:09 ID:CHNLpHl8
東鳩と天いなは知らない
WAは現在プレイ中
336名無しさんだよもん:04/07/12 01:11 ID:CHNLpHl8
なんて初歩的なミスを……欝
337名無しさんだよもん:04/07/12 09:45 ID:Oy+O+XG4
ィ`
338名無しさんだよもん:04/07/12 13:13 ID:XulpMu+Z
>>332
うる覚え→うろ覚え。
339名無しさんだよもん:04/07/12 21:55 ID:LUhHM0Dg
検索した。
呆然とした。

_| ̄|○
340名無しさんだよもん:04/07/12 23:34 ID:XulpMu+Z
書き手さん頑張れ。
341名無しさんだよもん:04/07/13 09:28 ID:pW1lXRjM
      |ハ,_,ハ
      |´∀`';/^l
      |u'''^u;'  |
      |∀ `  ミ  ダレモイナイ・・・
      |  ⊂  :,    モサモサ スルナラ イマノウチ
      |     ミ_
      |    彡・|ノ
      |    ,:'._|
      |''~''''∪||
                  ハ,_,ハ
               l^c´∀`';,              
        もさもさ   |  '゙''"'^uy-―,     
               ミ ´ ∀ `  ,:'     
             (丶    (丶 ミ     
          ((    ミ        ;':   .__
              ;:        ミ.. 〜lД・〜l  
              `:;       ,:' .  |__|
               U"゙'''~"^'丶)    く ヽ
        ハ,_,ハ,,  
       ,:' ´∀`っ^l
     ,―-y'u''~"゙´  |   もさもさ
     ヽ  ´ ∀ `  ゙':
     ミ  .,/)   、/)
     ゙,   "'   ´''ミ. ___
  ((  ミ       ;:'  l〜・Дl〜
      ';      彡  |___|     
      (/~"゙''´~"U     ノ   >
342名無しさんだよもん:04/07/13 11:23 ID:pW1lXRjM
             /^l     満足
      ,―-y'"'~"゙´  | 
      ヽ *´∀ `* ゙':
      ミ        ゙':
      ゙, ∪   ∪''ミ    ハ,_,ハ      __
       ミ       ;:'   :´∀`';   ヽ|・∀・|ノ
       ';      彡    ,''u u.ミ    |__|
       ∪~"゙''´~"U     u''゙"J.     ||
343名無しさんだよもん:04/07/13 22:44 ID:fGN4GFvC
↑遊園地のマスコット?
344名無しさんだよもん:04/07/13 23:32 ID:5YN0S9PO
ソレダ! って、マスコットが誰もいないとこで踊ってどーするよ。

>>322
モニタールーム用に音声系の機材を提供してくれる、ってのはどうだろう?
映像は警備の監視カメラの類を使うとして、声が取れないのが後々きついかな、と思っていたり。
TVの企画じゃなくてもそのくらいなら何とかなりそうだし。
345名無しさんだよもん:04/07/14 12:26 ID:vqOvc1s2
>>344を見て思い出したんだが
参加者以外の新キャラは出していいのかね?
管理側とかで
346名無しさんだよもん:04/07/14 13:09 ID:59MsvgDB
ダメ
347名無しさんだよもん:04/07/14 13:50 ID:FRuBFvl2
きちんと空気を読んで、出すんならいいんじゃね?
348名無しさんだよもん:04/07/14 14:18 ID:DfTee9j+
キャラ増やすのは止めた方がいいと思う。
最後の方はその限りではないが。
349名無しさんだよもん:04/07/14 14:47 ID:GbGF8EXl
参加しなけりゃ出していいんでねの。
通りすがりのバカップル役に祐介と沙織をチョイスするみたいなちょい役とかなら。
350名無しさんだよもん:04/07/14 14:55 ID:DfTee9j+
書き手の裁量にお任せいたします。
351名無しさんだよもん:04/07/15 09:23 ID:o0mvUNyZ
>>349
あれとかだな、背景に昔の作品のキャラがでるとか、みたいな。
352名無しさんだよもん:04/07/16 19:23 ID:448PCGga
>>351
それ文章でやるものなのか…?
353名無しさんだよもん:04/07/17 21:43 ID:0DY9Pjga
よし、絵師を召喚しよう
354名無しさんだよもん:04/07/18 09:19 ID:lcfSKywa
355名無しさんだよもん:04/07/18 13:39 ID:7T4udLzQ
よし、誰か葉鍵板でチーム組んで出場して来い!
356名無しさんだよもん:04/07/19 00:17 ID:5vKFMNnC
チーム名は「ゾリオン・スターフッシィーズ」で。
357ゾリオンに国崎も参加させよう!:04/07/19 00:46 ID:RWEu17+6
国崎最高ー!で35000を目指すスレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1089560754/

今日は国崎最高の日です
2ch内部でのレス数No.1を目指そう!
358名無しさんだよもん:04/07/19 02:13 ID:xw2//H3U
うざ
359名無しさんだよもん:04/07/21 16:16 ID:Iz6bzqpx
  ウェ゛ーンツ 
    ∧ ∧γ⌒'ヽ
    (,, ・∀i ミ(二i
    /  っ、,,_| |ノ
  〜( ̄__)_) r-.! !-、
          `'----'
360名無しさんだよもん:04/07/21 17:44 ID:7DFvnEaf
がんばれ、超がんばれ
361名無しさんだよもん
下がりすぎage