岡崎朋也と汐〜父子家庭の日々〜

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汐「ぱぱー」
朋也「なんだ、汐、眠れないのか?」
汐「うん。…おはなしして」
朋也「おはなし、か?」
汐「うんっ」
朋也「そうだな。…じゃ、こんなお話はどうだ?」

   汐太郎
昔、昔、あるところに…
おじいさんと、
おじいさん「やめてくれ……」
おばあさんが、
おばあさん「……」
早苗さんが、住んでいました。
汐「おー」
おじいさんは、
おじいさん「うおーーーーっ!」
山へ柴刈りに、早苗さんは川へ洗濯に出かけました。
早苗さんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃がどんぶらこっこ、どんぶらこと流れてきました。
早苗さんは家へ桃を持って帰りました。
おじいさんと早苗さんが桃を食べようと、桃を切ってみると、
中から可愛い男の子が現れました。
汐「おー」
早苗「なんて可愛い子でしょう」
男の子は汐太郎と名付けられ、大事に大事に育てられました。

年月が流れ、汐太郎は大きくなりました。
汐太郎「おじいさん、早苗さん、僕はこれから鬼が島へ鬼退治に参ります」
おじいさん「よっしゃーーーーっ! 退治しまくってこーーーーーーーーいっ!」
早苗さん「汐太郎ちゃん、気をつけて行ってらっしゃい」
汐太郎「おー」
596汐太郎2:04/06/25 23:24 ID:16iV3cIu
汐太郎が鬼が島に向かっていると、
どどどどっ
犬が駆け寄ってきました。
風子犬「……汐ちゃんの匂いがしますーーーっ」
汐太郎「ちっす」
風子犬「汐太郎さん、汐太郎さん、お腰に付けただんご大家族、ひとつ風子にくっださっいなっ」
汐太郎「はいっ、どうぞ」
風子犬「んーっ、鬼退治について行ってあげますっ」

引き続き汐太郎が鬼が島に向かっていると、猿が駆け寄ってきました。
杏猿「……なんで私が猿なのよ」
語り手に話しかけないように。
汐太郎「きょうせんせーっ」
杏猿「汐太郎さん、汐太郎さん、お腰に付けただんご大家族、ひとつ私に下さいな」
汐太郎「はいっ」
杏猿「しかたないわねーっ。ま、面白そうだし、ついてってあげるわ」

さらに汐太郎が鬼が島に向かっていると、キジが飛んできました。
智代雉(猿、犬よりはマシか……)
汐太郎「こんにちわーっ」
智代雉「汐太郎さん、汐太郎さん、お腰に付けただんご大家族、ひとつ私に下さいな」
汐太郎「はいっ、どうぞ」
智代雉「悪を退治するというなら、私も協力するぞ」

鬼の城に着きました。
城はコンクリートで築かれ、頑丈そうです。
智代雉「いよいよだな」
杏猿「さっさと退治しちゃいましょ」
風子犬「ヒトデの魅力の前には、鬼さんもタジタジのはずです」
智代雉「いくぞっ」
汐太郎「おー」
597汐太郎3:04/06/25 23:25 ID:16iV3cIu
汐太郎一行は鬼を発見しました。
ヘタレ鬼「……」
ヘタレ鬼「やっぱり?」
やっぱり。
ヘタレ鬼「せめて名前変えてくんない?」
春原陽平「そうそう……、って、フルネームっすかーーーっ?」
おまえ、注文多すぎ。
汐太郎「春原陽平、おまえを退治する」
春原陽平「……」
春原陽平「そう簡単にやられるかっ!」
春原陽平「とりゃっ」
汐太郎「わっ」
どぐしっ。どぐしっ。
広辞苑と大辞泉が春原陽平にヒット。
杏猿「汐ちゃんに何すんのよっ」
そういや猿ってうん○投げるんだよな。
杏猿「なんか言ったっ!?」
いえ、なんでもありません。
春原陽平「スキありっ」
あ、もう復活した。春原陽平はスキだらけの風子犬に突進するっ。
風子犬「わっ!」
ガスッ! ガスッ! ガスッ! ガスッ! ガスッ!
風子犬のヒトデアタック炸裂!
刺さってる、刺さってる。
ばっ。春原陽平は、風子犬の両手を掴んだ。
春原陽平「いてーよっ」
風子犬のピンチだっ。
その時、雉が飛んだっ!
智代雉「はっ!」
どぐしっ。どぐしっ。どぐしっ。どぐしっ。どぐしっ。どぐしっ。どぐしっ。どぐしっ。
芸術的な空中コンボ炸裂! 春原陽平は弱ってるぞっ。あとひと息だっ。
598汐太郎4:04/06/25 23:25 ID:16iV3cIu
汐太郎「ひとつ、この世の生き血をすすり、ふたつ、ふらつな……」
汐太郎「……」
汐太郎「退治してくれよう汐太郎。えいっ」
春原陽平「うわーーーーーーっ。やられたーーーーーっ」

智代雉「やったな」
杏猿「やったわねっ」
風子犬(……ヒトデ)
汐太郎「えい、えい、おー」
「「「おー」」」

汐太郎はヘタレ鬼の前に立ちました。
汐太郎「もう悪さはしない?」
ヘタレ鬼「……、はい」
汐太郎「これ、あげる。これからは、なかよしっ」
汐太郎は腰につけただんご大家族を一個手渡しました。
ヘタレ鬼「……ありがとうございます。汐ちゃんは鬼ババたちと違って優しいなぁ」
智代雉「なに?」
杏猿「あんだって?」
風子犬(……ヒトデ)
ヘタレ鬼「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーっ」

汐太郎一行は、戦利品として鬼にもらった段ボール箱を担いで家に帰りました。
汐太郎「ママーっ」
ママ「しおちゃん、怪我なくてよかったですっ。がんばりましたねっ」
汐太郎「うんっ、がんばった」
ママ「えらいですっ」
汐太郎「えへへっ」
ママ「あ、それは何ですか?」
汐太郎「鬼さんに貰った」
段ボール箱の中身は……
599汐太郎5:04/06/25 23:26 ID:16iV3cIu
魔法のバトン、音響用のキーボード、カセットデッキ、その他いろいろの演劇用道具。
ママ「わたしのため、ですか?」
汐太郎「うんっ」
ママ「しおちゃん、とても嬉しいですっ。わたしなんかの為に危険な鬼退治に行くなんて……」
ママ「でもっ、本当に嬉しいんですけど、ママの為に危険な事して欲しくないです…」
汐太郎「だいじょうぶ」
ママ「え?」
汐太郎「パパがいてくれる。アッキーや早苗さんもいてくれる」
汐太郎「杏先生やふぅちゃんもいてくれる」
汐太郎「汐はもっともっと、いろんな事したい」
汐太郎「みんながいてくれるから、いろいろな事やれる」
汐太郎「でも無茶はしないから、ママ、心配しないで」
ママ「……ママはいつだってしおちゃんのことが心配ですよ。でも…」
汐太郎「……」
ママ「ママが間違ってました。しおちゃん、たくさん経験してやりたいこと見つけてくださいっ」
ママ「そして、見つけた夢を叶えてくださいっ」
ママ「ママはいつだってしおちゃんのこと見てます」
ママ「いつだって応援してます」
汐太郎「うんっ。……、ママーーーーーーーーーーーっ」
ママ「しおちゃんっ」
……。
…。

朋也「汐?」
寝てくれたか。
……、俺もアホな子かっ。
自分が作った話で泣いてんじゃねーよ。
でも、最後の方は自分が作ったんじゃないような気がする。
渚が側にいてくれた気がする……。
……。
…。
600汐太郎6:04/06/25 23:27 ID:16iV3cIu
その日は変な夢を見た。
おじいさん「なんで、うちに帰ってこねーんだよっ」
智代雉「…私は人数合わせだったのだな」
ヘタレ鬼「あんたの方が鬼っすよっ!」
汐&ママ「だんごっ、だんごっ」
……。
…。

汐「ぱぱー」
朋也「なんだ、汐、眠れないのか?」
汐「うん。…おはなしして」
朋也「おはなし、か?」
汐「うんっ」
朋也「そうだな。…じゃ、こんなお話はどうだ?」

   シオデレラ

[唐突にEND]