最近このスレのことみたん分が足りないので、SS投下します。
萌えより燃えを意識してまつが・・・
「渚ちゃん、こんにちわ」
「ことみちゃん、いらっしゃいです」
学校帰り、俺はことみをつれて古河の家に来ていた。
その服装は寝巻き姿。
彼女は随分前に体調を崩して以来、ずっと寝たきりだった。
「今日は少し体調がいいんです」
古河は笑顔を浮かべたが、その表情はやや悲しげだった。
「でもわたし、ひょっとしたらみんなと一緒に卒業できないかもです。
去年の今頃もこんな感じで…」
「馬鹿」
俺は古河の頭を軽く小突いた。
「…岡崎さん、酷いです」
泣きそうな顔で古河は頭をおさえる。
そんなに強く叩いたつもりはないのだが。
「渚ちゃん、確かに朋也くんは乱暴だけど言いことはわかるの」
ことみが俺たちの間に割って入る。
「そんな気持ちじゃ、治るものも治らないの」
「…そうですね。はいっ、がんばります」
古河はそう言うと、元気を取り戻した。
しかし、ことみが彼女を諭すなんて…俺は何だか嬉しくなった。
それから俺は古河と世間話をした。
嬉しそうな彼女とは対照的に、その間ことみは何かを考えているようだった。
「じゃ、また明日」
いつもの分かれ道、俺はそういって家に戻ろうとした。
と、その手を掴んでことみが一言。
「朋也くん、今日は家に寄って欲しいの」
一瞬、そっちのお誘いかと思いドキドキしたが、
その表情は真剣そのものでそんな雰囲気ではなかった。
「あなたに見て欲しいものがあるの」
ことみの家にあがると、彼女は一冊のスクラップブックを手渡した。
それは彼女が様々な本から切り抜いて集めた、
彼女の両親である一ノ瀬博士夫妻の研究について書かれた記事であった。
よく見ると、その記事のいくつかに付箋が貼られている。
集団記憶喪失?えいえんの世界に旅立ったと話す少年
七年間眠り続けた少女と、同病院の不治の病の少女の回復
記憶を失い衰弱していく少女と、ものみの丘
同上、それと翼人の伝説
そう、付箋の貼られている記事国内で起こった不思議現象、
それも主に病気にまつわる事例ばかりであった。
「ことみ、これって…」
「うん。うまく言えないけど、渚ちゃんの病気もこの研究と無関係でないと思うの」
俺の問いにことみがそう答えた。
「だから研究を解明出来れば、きっと渚ちゃんは元気になる。
ううん、同じ病気で悩んでる多くの人を救えると思う」
それが多分、パパとママが私に託した夢だから。
彼女にしては珍しい強い口調で、彼女は言い放った。
「俺も、手伝えるかな。お前みたいに賢くないけどさ」
ことみは返事の代わりに、俺の体にぎゅっと抱きついてきた。
新たな目標と信念を胸に、俺たちはしばらく抱き合っていた。
・・・今回はここまでで。
渚Afterのように連載でやっていこうと思ってます。