しりとり仕様（再）

のり巻き二刀流でフル兵装剣道七瀬に挑む浩平
「い」

「い……いやあぁぁぁーーーーーッ！！」
遠くで長森の叫びが聞こえる。
でも今回は助けに行けない。あの時みたいな遊びじゃないんだ。
負け犬の俺には、そうする権利も、力もない。
「――――――っ！」
また何か聞こえたような気がする。
耳をふさぐ。聞きたくない。
下で七瀬が何かやってるような気もするが、もうそれもどうでもいい。
全てが煩わしい。何も感じたくない。

――消えてしまえばいいんだよ。

どこからか、そんな声が聞こえたような気がした。
遠いようで、近いようで、ひどく懐かしい。
手が差し伸べられる。
迷う事はない。その手を取って、俺はあちらの世界への一歩を踏み出した。
ただひとつ、言葉が残った。俺のひとつだけの未練。

置いていってごめんな、長森。
「り」