6.情報
「だめだめ、お姉様。真っ暗でなんにも見えないよ」
上空を旋回していたカミュが、降りてきて悲しげに首を振る。
「ムックルも分からないって言ってる」
アルルゥも意気消沈した様子だ。
ムックルに匂いを探索させようとしたのだが、いつもとは違う匂い物でも身に付けたのか、はかばかしい効果は上げられなかった。
「でも、怪しいものが入っていなかったということは分かったわね」
「ん。おとーさん、自分で出て行った。どうして」
アルルゥはまだ不安を拭えないようだったが、ナ・トゥンク兵のものらしき匂いが発見されなかっただけでも、いくぶん安堵させるに十分だった。
「自分で出て行ったということは、きっと自分で帰ってくるよ。信じてゆっくり待ってようよ」
「そうね、捜しに行ったお二人もそろそろ帰ってくるころだし、何か報告があるかもしれない」
ウルトリィとカミュは、アルルゥを慰めつつ、捜索部隊の帰りを待つことにした。
そして、どれくらい待っただろう。
不意に、林の奥からガサガサと物音がして――
「あ、帰って来られたようですわ」
「おかえり〜」
「ほら、きりきりと歩きなさい」
「あっ、これ、なにをなさいます。痛い痛い」
「カルラさん、あまり縛りつけては………」
捕虜(?)を1人連れたカルラと、気遣わしげなエルルゥが帰ってきた。
さっそく報告会が開かれる。
「残念ながらハクオロさんを見つけることはできませんでしたけど、代わりにこの方を」
エルルゥが、縄で縛られた男を指して言う。
「この方は?」
「そうか、ウルトリィさんはご存知ないんですね。えと、チキナロさんという商人さんです。トゥスクルの宮殿によく商売に来られます」
「私の刀もこの方に作って頂きましたの」
ぽんぽん、と背中の大刀を叩きながら、カルラが笑う。もっとも目は笑っていないが。
一方、チキナロは明らかに困惑の表情を浮かべていた。
ウルトリィは首を傾げた。チキナロと彼女たちとの関係を図りかねたのだ。
その様子を察して、エルルゥが説明を加える。
「街道でばったり会ったんですけど、なんだか受け答えが怪しくて」
「いえ、違いますです。誤解でございますです、ハイ」
「でも、まともに答えなかったのは事実……」
「主様について何か知らないか尋ねたら、逃げ出そうとするものですから、こうしてふんじばって来ましたの。この男、きっと何らかの事情を知っていますわ」
「ひぇ、痛い、痛いでございますです」
チキナロを縛っている縄を、カルラがきりきりと締め上げる。チキナロが子供のような情けない悲鳴をあげる。
ようやく得心がいったウルトリィが、チキナロの顔を見つめる。
「あなたが、ハクオロ皇を?」
「いえ、違いますです」
「正直に言わないと、貴方の作った刀の切れ味を貴方自身が知ることになりますわよ」
「ひぇっ、脅しても無駄でございますです」
「チキナロさんお願いです。ほんのちょっとしたことでもいいんです。知っていることがあれば教えてくれませんか」
「頼まれても無駄でございますです。私は何も知りませんです」
「おとーさんのこと、教えて」
「うぅ、子供を持ち出しても無駄でございますです」
その後もエルルゥやカルラやウルトリィが、あるいは宥めつ、あるいは脅しつ迫ったが、チキナロの口は堅く、何を尋ねても知らぬ存ぜぬの一点張りで事態は一向に埒があかなかった。
そして、その状態のまま半刻ほどが経過した頃。
「いい加減にしてくださいっ!!」
ついにエルルゥが切れた。
「そりゃあなたは信用を大切にされる商人ですからおいそれと話せないこともあるでしょうけど」
チキナロに額を突き合わせんばかりにして詰問する。
「ですけれどここにいるみんなを見てもまだそんな嘘がつけるんですかカルラさんもウルトリィさんもカミュさんもアルルゥもユズハちゃんもみんなみんなハクオロさんのことを心配していて夜も寝ないで捜しているのに
それなのにあなたはそんなお金だけが大切なんですかだからあなたはああ私もそうですハクオロさんのことを考えるととても心配で心配で……きっとここの人たちの誰よりも心配で……初めてあの人に会ってから
一緒にいる時間長かったから……でもなかなか素直になれなくて……最近ようやく仲良くなれて……それなのに……ひくっ……私……心配で……ひくっ………もうどうしたらいいか……だから……ひくっ
………お願い……します……どうか……ひくっ……教えて………ください……ハクオロ……さん……の……ひくっ……こと……」
威勢のいい声は途中から、嗚咽交じりの涙に変わり。
「お願いします……どうか……お願い……します……」
頭を地に擦り付けんばかりにの懇願に一同は声を失う。
カルラもウルトリィも、その場にいる全員が、エルルゥの演説を聞きチキナロの反応を固唾を飲んで見守っていた。
チキナロは困惑したようにエルルゥの顔と、その頬を伝う涙を凝視していた。
が、やがて、
「済みませんが、このお嬢さん……エルルゥさんと二人きりにして頂けませんでしょうか、ハイ」
誰に言うとでもなく、そう頼み込んだ。
ちょっとそんな勝手な、とカルラが色めきたつ。
が――
「このお嬢さんにとって大切なことなんです、ハイ」
と言われ、さらにはエルルゥからも、下がってくれ、と目で訴えられては、引き下がるしかない。
一抹の不安と少しの嫉妬心は隠すべくもなかったが、そこはぐっと堪え、
「では、あちらで待ちますわ。なるべく早く済ませてくださいな」
それぞれの表情を浮かべた面々を連れて、裏に引き下がっていった。
7.行動開始
エルルゥとチキナロが再び姿を見せたのは、意外にもすぐだった。
「ハクオロさんの居場所が分かったんです」
息を弾ませて報告するエルルゥの声に、一同から歓声ともため息つかぬ声が洩れる。
「今晩ハクオロさんは、チキナロさんと密かに取引をする約束だったらしいです。でも、チキナロさんが言うには、チキナロさんの名前を騙る偽者があらわれたそうで、その人がたぶんナ・トゥンク国の部下で、ハクオロさんは連れ去られたのだろうって」
「なんですって」
意外な事実に、カルラが思わず大声を上げた。
ウルトリィや他のメンバーも、一様に驚きを隠せないでいる。
「で、ハクオロさんが捕らわれている場所は、これは推測ですけど、ナ・トゥンク国境部隊の本隊だろうということです」
「国境部隊?」
「ナ・トゥンク国には反乱軍に対する兵のほかに、いくらかの遊撃部隊が存在しますです、ハイ。今回は、その一部が国境を警備するために動いて、偶然かどうかは分かりかねますがハクオロ皇を捕縛したものと考えられますです」
チキナロが、説明を引き受けるべく前へ進み出る。
と、すかさず伸びたカルラの手が彼の襟首を掴む。
「細かい事情はよくてよ。それよりもその本隊というのがどこにあるのかということが問題じゃないかしら」
「え、ええ。場所は私が存じております。以前、呼び出されたことがありますゆえ。しかしまさか奪い返しにいくとおっしゃるのではありますまいな。小部隊とは言え敵は数十人――ひッ」
よく動くチキナロの口元に、カルラが大剣の切っ先を突きつけて黙らせる。
「細かい事情はいらないと言ったはずですわ。事態は急を要しますの。あなたに訊ねたいことは1つだけ。私たちを案内してくださるのかしら。それともこの剣の切れ味を試させていただけるのかしら?」
凄みさえ漂わせて、カルラが詰め寄る。
「チキナロさん、戦いのことは心配ありません。ここにいる人たちは皆強いですから」
傍らで、エルルゥが自信満々に宣言する。一人ずつ手で指し示し、頼もしい面々を紹介する。
応えて、ウルトリィが指先に大きな光の玉を出現させて見せる。限られたものにしか扱えない、光の術法。
カミュの黒翼がさわさわと鳴り、ムックルが牙を剥き出しにして唸り声を立てる。
「私たちは大丈夫です。それに」
エルルゥは、今度はチキナロに向き直る。
「私たちが行かなくても、あなたは一人で救出に行くつもりだったのではありませんか?」
これにはチキナロは頭を垂れざるを得ない。
彼がもっとも大切にするのは商人の信義である。
過ちとは言え、自らが危険に陥れた客の身柄は、たしかに自らの手で取り戻すつもりだった。
「分かりましたでございます、ハイ。しかし問題が1つありますです。街道を辿ればかなり遠回りになります。できればどこかで馬を手に入れたほうがよろしいかと」
なおもチキナロは慎重であったが――
「それは大丈夫だよ、おじさん」
「はい」
ウルトリィとカミュの有翼姉妹が、さわさわと翼をはためかす。
「最短距離で、行けばいいのでしょう?」
8.解放
うす暗い小屋の中に、後ろ手に縄を繋がれ、ハクオロはふと窓を見上げた。
月のない、墨を溶かしたような漆黒の夜空が、そこにあった。
見張りの兵はどこへ行ったのか。
小屋の外で監視しているのか、あるいは自分を捕らえたことでちょっとした宴会のようになっている本陣のほうへ行ってしまったか。
まぁ、どちらでもいい。
どちらにしろ、自分が独力で逃れる術はないのだから。
判断が迂闊だったことは疑うべくもない。
林の中でトウカを振り切るまでは計算通りだった。
誤算は、あの偽チキナロが予想外に多くの手下を率いて現れたことだ。
もし1対1であれば、いや、悪くとも1対3くらいであろうと予想していたのだが……。
後に残されたものたちのことを思うと心が痛んだ。
エルルゥにアルルゥ、その他、彼の家族とも言うべきものたちが、この暗闇の中、自分を捜しているに違いない。
林の中に置き捨てたトウカはどうしたか。
無事に合流してくれればそれに越したことはないが……。
思えば、なんと酷な仕打ちをしたものか。
なにより一国を預かる皇が、あまりに軽はずみだったかもしれない。
そう批判されても仕方がないことをしでかした。
しかし自分は、少なくともチキナロから取引を持ちかけられたあの日の自分は、どのような危険よりも、ただ一人の大切な人のことを思ったのだ。
エルルゥのことを。
彼女を悲しませたくないということを。
やはり自分は、後悔しているのかもしれない――
なんだかよく分からなくなった思考に翻弄されながら、ハクオロはそれでもなんとか逃れる術はないものかと、辺りを見回した。
と、不意に本陣のほうから喚き声が聞こえた。
「敵襲、敵襲」
「トゥスクル兵だぁ」
「やれ、恐ろしき剣術の使い手じゃ」
「怯むな、敵は一騎ぞ」
兵たちが口々に罵って戦っているようだ。
――あれはトウカか。
やはり私を追いかけてきたか。
と、ハクオロが思いにふける間もなくまた――
「後方から奇襲!」
「林の中から軍勢が湧いて出たぞ」
「不思議じゃ、なんとしたこと」
「トゥスクル軍の挟み撃ちだ。陣を崩されるな」
こちらはカルラやチキナロの部隊であったが、ハクオロはそれを知らない。
とにかく敵本陣が大混乱に陥っている様子だけが感じ取れた。
あぁ、皆が戦っている――。私のために戦っている――。
何とも言えない気持ちが、ハクオロの胸を去来する。
不意に、間近で断末魔の呻き声。おそらく、小屋の警備兵が倒されたのであろう。
と思う間もなく、小屋の木戸ががちゃがちゃと開いて、
「ここにいらっしゃいましたか」
「おじ様、助けにきたよ」
ウルトリィとカルラが姿を見せた。
すばやくハクオロに駆け寄り、いましめの縄を切る。
特に外傷がないことを確かめると、大きく安堵のため息をついた。
話したいことが沢山ある。かけてやりたい言葉もある。詫びなければならないこともある。
しかしいざとなれば、何を言えばいいのか分からなかった。そもそも時間もない。
ウルトリィが手短に戦況を説明する。
ハクオロは黙って聞いていたが、やがて、
「詫びは後でする。今は皆に助力しなければ。お前たちはしばらく休んでいてくれ」
それだけ言い残して、小屋を出て行った。
ウルトリィとカミュは取り残されて。
「ふう〜っ」
カミュが大きなため息をつく。
「疲れた?」
「ちょっと。ずいぶん沢山の人を運んだから」
「そうね、私も疲れたかも」
ウルトリィがゆっくりと肩を回す。カミュも手首の運動をしている。
「ねぇ、お姉様」
「何?」
「おじ様、どうしてこんなことをしたのかな。一人で出て行くなんて普通じゃないよ」
「そうね……私にも分からないけれど」
分からないけれど。ウルトリィには予想があった。
「多分、大切なものがあったのだと思うわ。普通でないことを敢えてしなければならないほどに……」
妹の問いに答えながら、ウルトリィの予想は確信に変わりつつあった。
皇として人の上に立つものだけが持つある種の責任感。それを否定しなければならないときの葛藤。
自分も分かる気がする。
同じ立場に立ったなら、自分は皇としての責任を優先できるだろうか。
不思議なほど冷めた気持ちで、ウルトリィは自分に問うた。
戦局は終わりを迎えていた。
前後両方から侵入したトゥスクルの部隊によって、ナ・トゥンクの本陣は壊滅的な打撃を受けていた。
「今日は機嫌が悪いですから、がんがん行きますわよ。命の惜しくない方は私の前に立ちなさい」
「聖上ぉぉっ! この働きにて某の罪、なにとぞお許しいただきたく――」
「おとーさんいじめたやつ、許さない」
ナ・トゥンク兵は混乱の中に十分な統率を取ることもできず、あるいは討たれ、あるいは風をくらって逃亡し、いつのまにか本陣付近にその姿を見なくなっていた。
その中で、かの偽チキナロもまた、混乱に紛れて落ち延びようとしていたが――
「騒動の張本人が逃げては困りますです、ハイ」
1つの影が、行く手を阻む。
「ひっ、まさか――」
「他人の名前を騙るとは言語道断。あなたが暗躍するせいで、このところ商売の評判が落ちて困っているのです、ハイ」
じりっ、と本物が偽者に詰め寄る。
抜き身の仕込杖が、月光を浴びてきらりと光る。
「代償は少々お高くなりますが、どうぞお支払い頂きたく――」
「ひ、ひえぇぇっ! た、助け――」
夜の林にまた1つ、断末魔の悲鳴が響き渡って消えた。
9.エピローグ
「で、これがその物だ」
ハクオロが、小箱に収められた薬瓶を開いてみせる。
チキナロから正式に手渡されたものである。
戦いはとうに終わっていた。今は後処理の最中である。
他の者はみな作業に出かけ、天幕のうちにはハクオロとエルルゥの2人きりだ。
「これは――膏薬でしょうか」
小瓶を覗き込みながら、エルルゥが訊ねる。
「あぁ、南方で作られる膏薬だ。性器の傷や性交時の痛みに効能があると聞く」
「性器の傷?」
エルルゥが首を傾げる。ハクオロはそっと声を潜めるように、
「エルルゥ、先日気付いたことだが、お前の、その――中に裂け傷があった。おそらく私とまぐわった時に付いた傷だと思うが、けっこう痛むはずだ」
「あ、あぁっ! それで私、あんな夢を」
「思い当たることがありそうだな」
「い、いえ、何でもないです!」
エルルゥは慌てて否定する。エッチな夢を見て発覚したとは、恥ずかしくて口が裂けても言たものではない。
「まぁ、何でもいいが……。良ければ私からの贈り物と思って使ってみてくれ」
「は、はい。それはとても嬉しいですけど、あの、そのためにこんな事を――?」
「このような事、他のものには知らせたくないと思ったのでな。私一人で隠密に済ませるつもりだったが」
「は、あはは……」
「ハクオロさんは……馬鹿です」
「うむ、自分でもそう思う」
「こんな薬のために、多くの人に迷惑をかけて……。本当の本当に大馬鹿です」
そう言うエルルゥの声は、ハクオロを責めながらとても穏やかで。
「でも……ありがとうございます……」
軽く頭を下げながら、エルルゥは帰っていった。
入れ替わりにチキナロが入ってくる。
「ハクオロ皇、このたびは無理難題を聞き入れていただき真に感悦至極――」
「まさか、このような混乱になるとは思わなかったが」
「恐れ入りますです、ハイ。しかしお蔭様で偽者も退治することができまして」
ものは考えようだ。お互いに手際の悪さはあったが、終わってみれば万事良し、といったところか。
「かねての約定どおり、その薬のお代は無料にさせていただきますです。それから今後1月の取引を全て半値に。これは約定にはございませぬが、せめてものお礼とお詫びのしるしでございます」
「うむ、今後ともよろしく頼む」
「ハイ。それはこちらこそお願いしますです」
それでは、とチキナロ一礼して出て行こうとするのを、ハクオロが呼び止める。
「ところでチキナロ」
「ハイ、何でございましょうか?」
「お前は私を皇らしくないと思うか?」
「それは……」
チキナロは皇の真意を訝る。しかし、彼の表情は仮面に隠れて全く窺えない。
「別に怒らぬ。今度のことで率直なところを答えてもらいたい」
「しかし……」
チキナロはなおも躊躇していたが、ハクオロが再度催促すると、意を決したようにハクオロに正対して深深と頭を下げた。
「なれば申し上げます。ハクオロ皇の今回の行動には賛同しかねますです。取引とは言え、自らを囮とするなど、一国の皇として賢明な行為とは申せないと考えますです。もし私が皇の臣下であれば、間違いなくお引止めしております、ハイ」
「そうか……ハハハ」
「これはしたり。お笑いになりますか」
「いや、そなたを笑ったのではない。己自身がつくづく皇に向いていないということを笑っているのだ……ハハハ」
ハクオロのその笑いは自嘲であったか。あるいは、もっと他のものか。
目前のチキナロのことなど忘れたように、しばらく愉快げに笑い飛ばしていたが、やがて表情を引き締めて向き直る。
「さて、やはり私は叱られねばならんようだ。どれ、あの娘たちのところへ行って、さんざ油を絞られてくるか」
その言葉を、ハクオロはまるで楽しい宴会に参加するように言うと、そのまま振り返らず大股に歩き去っていった。
その後姿を、チキナロはある種の感慨さえ抱いて見送った。
――あなたは、わかりませぬ・・・・・・。
誰に言うとでもなく、胸の中で呟く。
長い夜はすでに明け。
水色に澄んだ空が東のほうから、ゆっくりと明らみはじめていた。
>>482-511 以上、『ハクオロのいない六月』でした。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
え〜、延長希望の方はいらっしゃいませんでしょうか?
希望してもよろしいでしょうか。
すいません、せっかく書いたので、参加させてもらいます。
クラナドで汐BAD後の再婚の話。10レスの予定です。
「ぁ……朋也ぁ」
耳元で杏が囁いて、それに応えるように乳房に噛みついた。
首に手が回されて上半身の動きを封じられると、俺は腰を打ち付ける速度を上げて、
そのまま中で果てた。
それからしばらく首筋に顔を埋めながら、入れたままの状態で(コンドームはしているが)、
脱力感に浸る。
(あぁ、またやっちまった……)
全てを失ってから、部屋にこもってそのまま餓死するのを待つような生活をしていたら
杏が出入りするようになって、こうなるまでに時間はかからなかった気がする。
もう身体を重ねた回数すら憶えていない。
その度にもうこれっきりにしようと思って、そのつど性欲に抗えないでいた。
ギャンブル依存症の人間が陥るような、自暴自棄の快楽に似ていると思った。
その後、いつもの週末と同じように、杏は俺の部屋に泊まった。その夜、俺は夢を見た。
殺風景な野原に、渚と汐がいた。
「だんごっ、だんごっ♪」
二人で楽しそうに唄っている。俺も混ざろうと思って、二人に近づいた。
二人は俺に気づくと歌を止めて、微笑んで返した。それからしばらく団欒をしていた気がする。
夢に見た、幸せな記憶。
「これが、パパ」
そう言って汐が前に置いたのは、見慣れただんごのぬいぐるみだった。
「これが、ママ」
その上に、別のぬいぐるみを重ねる。渚は心から楽しそうな眼差しを汐に向けていた。
「これが……」
汐はぬいぐるみを重ねていく。どこかで見た風景だった。
ええと、なんだっけ。ずっと昔、何かで見たような……。あぁ、思い出した。
一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため……。
ガバァッ!と布団を跳ね上げて、俺は上半身を起こした。
心臓がひどく波打っていた。
(冗談じゃねえ……)
今まで生きてきた中で、最悪の悪夢だった。
俺は反射的に、テレビの上に二つ並んだ渚と汐の写真に目をやる。
それはいつもと変わらない微笑みを湛えていた。
「朋也、起きたのー?」
振り向くと、台所にエプロン姿の杏が立っていた。
「大丈夫、顔色悪いわよ?」
「あぁ、ちょっと嫌な夢を見ただけだ」
「そう、ならいいけど……。あのさ、あたし今日先約があって、もう出ないといけないのよね。
朝ご飯作って置いたから、後で食べて」
「おぅ、悪いな」
杏が身支度を終えて出る間際になったとき、ドアがノックされたと思うと、勝手に開いた。
「よぉ、上がるぜ。……ん?」
オッサンだった。杏に目を留めると、ドアの前に立ちつくしていた。
「あ、あたし、もう行くね。じゃあ、また後で」
バツの悪そうな笑顔を浮かべると、杏はオッサンの脇を抜けて出ていってしまった。
取り残された俺と立ちつくすオッサン。気まずかった。
「誰だよ、ありゃぁ……」
「俺の高校の同級で、汐の先生だよ。知らねーのか?」
「知らん。で、そいつがなんで日曜の朝からおめぇの部屋にいんだよ」
「俺の有様を見かねて、昔のよしみで世話焼いてくれてんだ、飯作ったり」
「ふん、それで夜はあっちの世話もしてくれるってか」
「いや、それは……」
いつものオッサンの下ネタだったが、図星を指されて言葉に詰まってしまった。
「……マジかよ」
呆けた表情から、すぐに俺を睨みつけるそれに変わる。
「クッ……羨ましいじゃねえか……」
心底羨ましそうだった。
根ほり葉ほり聞かれそうな気がしたので、俺は話を変える作戦に出た。
「コーヒーでいいか?朝飯もまだだったら、つまんでいけよ」
「ケッ、どうせろくなもん食ってねえだろうと思って差し入れ持ってきてやったのに、
とんだ骨折りだぜ」
オッサンは手に提げていた袋をテーブルに放り投げると、そのまま腰を下ろした。
袋からは大量のパンが、およそあり得ない色彩を覗かせていた。
「で、どうなんだよ」
「……なにが」
「決まってんだろ、女だよ。いいのか。上手いのか」
作戦は失敗だった。
「いや、別に……」
「下手なのかっ!だがそれがいいのかっ!クソォーッ!」
「知らねーよ!」
熱くなるアホ二人。
「よし、小僧。俺も混ぜろ」
爽やかな笑顔だった。
「混ぜるかっ」
「なんだよ、怖ぇのか?『朋也みたいなヘナチンより、秋生様のビッグマグナムの方がずっといいわ!』
ってなるのが、そんなに怖ぇかよ」
「ならねーよ、そんなこと!」
……多分。
「第一、あんたには早苗さんがいるだろうが」
「混ざりてぇのか?」
「混ざるかっ」
「ケッ、誰がおまえみてーな小僧に早苗を拝ませてやるかよ。百年早ぇぜ」
それからオッサンは煙草をくゆらせながら、ふと、窓の外を見て言った。
「小僧、おまえ再婚すんのか?」
「しねぇよ。後にも先にも、俺の妻は渚だけだ」
それは本心だった。オッサンは何か言いたそうだったが、
次に出てきた言葉は全く別の話だった。
「野球、やるだろ。一緒に出るぜ」
休みの昼過ぎには公園でオッサンと子供に混じっての野球が習慣になっていた。
堕落した生活の中で唯一人間らしい時間だった。
目的がない。その点、野球は打つことに集中して、走ることに集中して、
ただ勝ちに集中すればよかった。少なくとも、生活のことは忘れられた。
もともと興味のなかったギャンブルより、経済的で体面もましなだけの話だったが。
バッターボックスに立って、オッサンと向き合う。オッサンは不敵に笑っていた。
「フッ、小僧、今日こそ年貢の納め時だ。おめぇは新魔球『俺が秋生!』で打ち取ってやるぜ」
プロレスの技のようなネーミングだった。どうせ名前だけ大仰な、単なるストレートだろう。
俺が構えると、オッサンはゆっくり振りかぶり、俺はその手元を注視する。
外野の奥に、杏の姿が見えた。見慣れない格好で、男と並んで公道を歩いていた。
ストライク!という声がして、俺は現実に引き戻された。
「テメェ、男の勝負でよそ見たぁ、いい度胸だなオイ!」
気を取られていた事に気づく。
「ぐっ、来い!」
雑念を払って、ボールに集中した。オッサンが投げる。
打ち返すつもりで大きく踏み込んだが、来た球はカーブだった。
今さら止まることもできず、俺は上体から突っ込んで外に逃げる球にバットを当てに行った。
コン、という気の抜ける音がして、俺は一塁に向かって走る。ボテボテのサードゴロ。
横目に一瞬、ボールに向かっていく三塁手の姿が見える。
そして、そのまま一塁に向かってヘッドスライディング。
セーフ、という声がした。あとはやけに静かだった。
ゆっくり起きあがって一塁の上に立ち、辺りを見回す。子供達が、一様に俺を見ていた。
目を丸くして「おー、すげぇ」「ガッツだ」などと口にしている。
「や、やるじゃねぇか……」
オッサンまでが呆気にとられていた。
そこで俺は、子供に混じって一人だけ砂まみれになった自分の格好に気づく。
(なにやってんだ、俺は……)
夕方、杏はまた夕飯を作りにやってきた。
食事の後、杏が洗い物をしている間、俺はビールを片手にぼけーっとテレビを見る。
いつものように内容は頭に入らず、気がつけば生活のことを考えている。
昔のこと、今のこと、将来のこと。
それは強迫観念のように自己嫌悪と恐怖と憂鬱を伴う思考だった。
やがて、洗い物を終えた杏が俺の隣に座る。
「洗い物くらい、俺がやるぞ。ただでさえ飯作ってもらってんだからな」
「いいから、いいから」
「おまえさ、子供ができたら絶対甘やかすよな」
「……へへぇー」
皮肉めかしたつもりだったが、杏はまんざらでもないように照れた笑みを見せて、
俺に寄り添ってきた。
「朋也、しよ……?」
俺はその言葉に反応する性欲を振り払うように、その場に寝転がった。
「悪り、疲れてんだ」
杏は少し不満げに俺を見下ろしたが、すぐに口元を綻ばせた。
「じゃあ、今日はあたしがしたげるから、朋也はじっとしてて」
そう言って俺の下半身に移動し、ベルトに手をかけ始める。
「おっ、おい、ちょっと待てっ」
杏は俺の言葉など聞こえていないように一心不乱にベルトと格闘していたが、
ベルトごと俺の身体が引っ張られるばかりだった。
「待てって言っ……ぐぇっ!」
もの凄い力でベルトを締め上げられ、食べた物を吐きそうになる。
「な、なにっ、なんか文句あるの……あっ」
真っ赤な顔でこっちを向くと、苦しむ俺に気づいて、手を放した。
俺は杏を手で制しながら身体を起こして、落ち着いてから口を開く。
「いや、そうじゃなくてさ……。おまえ、今日、男と会ってただろ」
今更だが、そいつとの関係がどうあれ、やっぱりこういうのはよくないだろ、
という事を伝えようとした矢先。
「あー、あれね。お見合いだったのよ、今日」
と言って笑った。
「椋も結婚したのに、あたしってば浮いた話がないもんだから、
両親が心配しちゃってるのよね。あたしは全然興味ないんだけど、
ほら、その……断る口実もないし……」
上目遣いで俺を見ていた。
「はぁっ……」
俺はため息をついて、壁に背をもたれた。つまり、俺が見たのは偶然ではなかったのだ。
……断る口実。俺と杏は付き合ってるわけじゃないし、
杏も今まで恋人の立場での要求などしたことがなかったが、
この歳でこういう関係で杏の方が結婚を考えているのは至極当然だった。
俺にその気がないだけで、とんでもない勘違いをしていたことに、自分が怖くなった。
それ以上に、そういう遠回しなことをさせている原因が俺にあると思うと、
罪悪感でいたたまれなくなってくる。
だから、つい軽々しく口にしてしまった。
「じゃあ、俺と結婚するか?」
「……うん」
頷いて、杏は泣き出してしまった。その反応で俺は我に返って、背筋が凍った。
取り返しのつかない、重い言葉だったことに気づいた。
家まで送るため、愛着のある街灯の下を二人で歩く。
無言の重圧に胸を締め付けられるようだったが、かといって言葉も見つからなかった。
それを破ったのは杏の方だった。
「あのさ、さっきの話だけど……。あたしの両親に話しても、いい?」
「いや、あと数日、待ってくれ。俺の方にも、その、準備がいる」
「……うん、わかった」
悲しげに俯いてしまった。自分がどうしようもない人間に思えてくる。
再婚がそこまで嫌なわけじゃない。
むしろ、こんな俺と一緒になりたいと思ってくれる人のいることは素直に嬉しかった。
それに将来、歳を取って、親父やオッサン、早苗さんがいなくなり、
本当に一人になったとき、孤独に耐えられる自信もなかった。
その時になってはもう遅いし、これから先、杏以上に俺のことを
理解してくれる人と出会えるなんて、望むべくもなかった。
今はまだ渚と汐のことが引っかかっていても、いつかは一緒になって良かったと
思えるのではないか。
とどのつまり、『渚ほどではないが』という感情で結婚などしていいのかという懸念と、
将来に対する打算との葛藤だった。
かといって、そんな心情を杏に打ち明けるなんてことも、俺にはできなかったし、
したところで何の解決にもなっていなかった。
………。
「で、何だよ、話ったぁ」
その晩、俺はオッサンを部屋に呼び出した。
胡座をかいて煙草に火を付けたオッサンに、単刀直入に伝える。
「俺、やっぱり、再婚しようと思う」
「……そうかよ」
目を伏せて、煙と一緒に吐き捨てるように言った。小さな声だった。
次の言葉を待ったが、オッサンは何も言わなかった。
「やっぱり、気に入らねぇか?」
「俺の気分なんざどうだっていいだろ。テメェの人生だ。テメェが決めろや」
「どうだっていいことあるかよ……」
それ以上、俺も何も言えなくなってしまう。
オッサンはテレビの上に立てられた渚と汐の写真を見ていた。
沈黙の中、俺の視線も自然とそっちに移る。
雨の中、オッサンと泥だらけになりながら野球をしたことを思い出す。
必死だった。渚と一緒になるために、幸せになれると信じて。
そしてあの時、俺とオッサンは家族になった。
一緒に馬鹿なこともやった。渚のパート先に二人で潜り込んだ。
渚が助かるんじゃないかと、町の開発を止めようとしたこともあった。
汐が生まれてからも、迷惑をかけっぱなしだった。
それらを一つ一つ思い返すと、俺のやっていることはあまりに身勝手に思えた。
「……何もかも、変わらずにはいられねェな」
オッサンがぽつりと言った。
オッサンも、俺と同じ事を考えていたのかもしれない。
「そうだな」
「それでも、俺たちは家族だ。それだけは変わらねェ。それさえ忘れなけりゃ、
あとはテメェの好きにしろ。それとな、たまにはテメェの方からも顔を出しやがれ。
早苗が寂しがるだろうが」
ああ、この町の人間は、みんな温かい。でも、俺だって一生懸命なのだ。
誰かを幸せにしたいし、俺も幸せになりたい。そのためには、築かなくてはいけない。
「……子供ができたらさ、真っ先に知らせに行くよ。
抱いてやってくれよ。爺さんて呼ばせるからな」
「ケッ、そんな歳じゃねーぜ……」
酷な言葉かもしれなかったが、俺はそう言うべきだと思ったのだ。
「アッキー、だ」
「ああ……」
それからはずっと無言だった。俺とオッサンの視線の先には、
写真の渚と汐だけがいつまでも変わらない微笑みを湛えていた。
俺はまた生活の事を考えていた。渚と汐の写真は、ずっとここに置いていいのだろうか。
あいつは気にするんじゃないか。結婚式はどうしよう、渚にはしてやれなかった。
子供はいつ頃作ろう。稼がなくてはいけない。
それは相変わらず煩わしい思考だったが、その中にも、
確かに俺は新しい生活に対する興奮を覚えていた。
以上です。延長失礼しました。
>514 受け付けました。
引き続き、延長希望の方はいらっしゃいませんでしょうか〜。
いらっしゃらないようなので、終了宣言〜
531 :
名無しさんだよもん:04/06/22 13:36 ID:2faDLmkm
告知あげ
ほんわかした萌エロ系のSSばっかだと思ってたけど、15禁程度のシチュを組みこんだストーリー重視のものが多かったな。
それはそれで悪くはないが。
・土曜日のお当番(舞・佐祐理)
正直この三人は食傷気味、って言ったら作者の人傷つくかなぁ。
まあハーレムは男の浪漫らしいから、受ける人は結構いると思う。結構エロいし。
あと、佐祐理の自慰とかデジカメとかはちょっと目新しかったかもしんない。結構エロいし。
・べあなっくる(智代)
ありゃ、もう終わり?
てっきり朋也が仕組んだことだってばれて鉄拳制裁、そこからベアナックルってきてると思ったんだけど違うのか。
テーマに対して王道一直線に突き進んだのは評価出来るが、最後の最後でグダグダになっちまってるような気がする。
細かいところでは、智代はなんでそうなったか原因がわからずに一日中不安だっただろうし、これで朝起きて治っててもなんで治ったか、
いつまた再発するかで怯えながら暮らす事になる。
なのに智也は自分のためだけに智代を弄んだのに、まるっきりおとがめなしでまた試したいとかほざいてる。
なんか女を道具扱いして喜んでるやな男の話にしか見えなかった。まあエロゲ・ギャルゲの主人公なんて大概そんなものだけどな。
・バス、ジャック。(観鈴)
修行と同じ人かいな?(下から読んでる)
まあアホ作品。タイトルからして脱力系。
真剣に読むん出なくて流してニヤつくんが正しい楽しみ方かね。
・好き、好き、大好き?(セリオ)
東鳩SS全盛期はこんなSSよくみたなーてな感じで回顧しながら読ませてもらった。
方向性は別だが、メイドロボの是非を問うようなマジもんのSSも多かったな。
んで、そーいったSSは読み手が文学に興味あるほど評価が高くなるんだよな。
そんでもって俺はゲームにしか興味がないタチなんで、この手のオリキャラ様が降臨なさるSSは苦手。
感想もろくでもないものにしかならんと思う。だからパス。
・修行(葵)
アホいSSだなぁ。原作意味ないじゃん!
でもこーいう頭空っぽにして読めるSSは嫌いじゃない。
つか意識して文体を崩してるような気がする。馴れた人のお遊び的なSSなんかね。
・dear my sister(拓也・瑠璃子)
テーマの使い方が一番上手いSS。
内容はもう手垢がつきまくってる感じだけど、雫発売からの年月を考えるとしゃーないか。
・ハクオロのいない六月(うたわれるもの)
なんか突き離したような淡々とした印象を受けた。いまいちキャラの感じている不安とか焦燥とか伝わってこないんだよなー。
三人称の弊害って訳でもないと思うが、エルルゥの一人称かなにかにしとけばもっと臨場感をだせたと思う。
ところでこれ、既存のプロットにテーマを後付けした?
バランスがちょっと悪いよーな。
・生活のこと(CLANNAD)
オッサンSSだな。そう思えるほど秋生がシブい。年の離れた頼れる兄貴、って感じだ。
うじゃうじゃした葛藤を書かずにあっさり流していったのも好印象。
この雰囲気で陰鬱な展開にされても、意外性はあるけど合ってない気がしたんで。
ぶっちゃけ杏とのハァハァ話かと思ってたんで、予想以上な骨太な作りに良い意味で驚いた。
短いながらも内容の詰まった良作。まさに「SS」やね。
最優秀作品は感想通り「生活のこと」
>>263 や、割と本人。
話をどうつなげるか悩んだ挙句、台詞だけでつくったらわけわからんものに……
で、
>>262は無かったことにしてくれると嬉しい。
……つーか梓の喋り方とかよくわかんね。
全作品にレスつける気力もないんで、一つだけ。
「生活のこと」
>>533さんとほぼ似通った感想なんだけどね。
>愛着のある街灯の下を二人で歩く
この一文で、美化するわけでも卑下するわけでもなく電気工朋也のスタンスを
さっくり表すのが良いなあ、と。おもしろかったよ、ありがとう。
536 :
534:04/06/24 00:16 ID:zT3I/Ocg
誤爆しますた。
失礼。
感想書きます。とりあえず2レスほど。
エロ描写が苦手なのは相変わらずです。Clannadをやってないのも相変わらず。
「土曜日のお当番」
今回の投稿作の中では唯一、女の子同士のカラミがあるこのSS。
とりあえず、1人の百合スキーとして謝意を呈しておきます。
正直、佐祐理・舞なんて今更と思ってたけど、読んでみると意外に萌えるシチュでした。
個人的には佐祐理が舞を責める(逆も可)シーンも欲しかったかもだけど、そこまで趣味の強要もできまい(w
さてこのSS、エロSSとしては至極整った出来で、その点は大いに評価したいと思います。
一連の展開が自然というか、無理がないというか。導入からオチまで上手く纏められていると感心しました。
でも同時に、KanonSSとしては駄目かな……と思ったりもします。
作者さんも気付いているのかもしれないけれど、佐祐理さんの口調が違いすぎて別人に思えます。
確かにエロ重視SSということで、祐一も舞も少々性格に改変が入っている。それはある程度容認しますけれど、佐祐理さんのそれは個人的に酷いと思うレベル。
>「ごめんなさい! 祐一さん! 私、祐一さんの部屋にデジカメをセットして、祐一さんと舞のえっちを撮ってたの!」
どこのエロシナリオから借りてきたのですか?と邪推したくなるほどに佐祐理さんの台詞とは思えない(泣
私の佐祐理さんはこんなのじゃねぇ。作者さんは本当にKanon本編をプレイしたのかと小一時間(以下略
素直に判断して、作者さんはSSを書き慣れておらず筆が上手く動いていないのかな……というところですけれど。
「べあなっくる」
原作未プレイの為、作者さんには申し訳ないけれど感想はパスします。
ひととおり読んでみた印象では、なんというか、ビックリな出来事の割にあまり驚いていないのが引っかかるかな。
まぁこの人達はそういう性格なのかもしれないので、何とも言えないけど。
「バス、ジャック。」
いいですね、赤星。檜山でも藤本でもなく赤星ってあたりがもう(w
で、そんな関係ない話は置いといて。
ギャグSSだったのか、これ。シリアス気味に始まるから意外だったよ。
部分部分を見るとそれほど面白くもないんだけど、台詞まわしや文章のつくりに相性の良さを感じる(w
特に後半からのシュールなやりとりと妙に熱いリズム感はハマリ。
普通では嫌われるであろう半角カナや2点リーダも、技のうちかと思ってしまいます。
具体的にどこが優れてると言われれば困るんだけど、とにかく気に入ったSS。
>「ここのモノをあわせてね、二人で飛ぶんだよ。」
こんなお馬鹿な台詞とか。
>床に落ちた白いタオル達が重なって、ちょうど羽の生えた天使に見えた。
こんな不安定な文章が。
とりあえずここまで。続きはまた今度。
>534
えらい気付くの遅いな、おい(w
締め切り過ぎてから、良いアイディアが浮かぶというのは、如何ともしがたいな……
540 :
◆2tK.Ocgon2 :04/06/25 00:58 ID:0m7DOH7M
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>529 となっています。
また、
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/26/index.html からでも投稿された作品を見ることができます。
感想期間は、7 月 1 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
目に留まった作品だけでもいいので、よろしければ感想を書き込んでください。
あなたの一言が、未来の SS 職人を育てるかもしれませんYO!
*次回のテーマは『If』で、開催は 7 月上旬になる予定です。
*早くに書き始めてもらっても構いませんが、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
全文コメントは控えさせてもらうけど
「生活のこと」に一票を投じさせてもらう、続きなど作る予定があるなら是非に読みたいもんだ
保守
543 :
名無しさんだよもん:04/06/27 15:02 ID:zvYynv2M
ホッシュアゲ
そんなことより要領がアレなのでそろそろ次スレ立てたほうが正解かと思うのだが
じゃあ立ててくれ、次スレ↓
いや、さすがに感想はこっちでいいんじゃね?
期間がぶつ切りになっちゃうのも気分いいものじゃないし、
レスアンカーとかわけわかんなくなっちゃうし