「よお、お目覚めか? YOU−1?」
俺の目の前にいる死神が次第に形を変え小太りの男になった。
俺は木製のイスに縛られ、身動きが出来なくなっていた。
男は手に警棒を持っていた。
「自己紹介がまだだったな、俺の名前は「モニト・チノ」だ、通称「チーター」だ
まあ、これから死ぬやつにこんな話するのもなんだが、俺は結構スポーツが好きなほうなんだ
スポーツで流した汗は格別だぞ、まあお前には縁のない話だがな」
モニトはそういうと俺をあざ笑った。
「ところでお前はニューハーフや女みたいなガキはどう思うか? 俺は虫唾が走るぜ」
「かわいそうなヤツだな」
この言葉は失言だった、この発言はヤツを怒らせたらしい。
KRACHHHH!! KRACHHHH!! PIPIPI
「ほう、もう時間か。 ちょっと休憩だ何しろあのレストランから持ち出した食材で出来た
カツカレーが出来たみたいなんでな、さあてと早く食いにいくか・・・、
そうそうお前が退屈しないようにしてやるぜ」
モニトはそういうと丸めた布に何かの液体をしみこませると俺の真上に逆さにしたてるてる坊主のようにして吊るした
そして俺は頭上からの苦痛の刃に悶えていた
「俺が帰ってくるまではその消毒液も底をつくかもな・・・」
モニトはそういうと部屋から出て行った、部屋にいるのは俺一人・・・
人は必ずといっていいほど失敗する。
俺の失敗は@:店から出たことで油断した事
A:モニトを怒らせたこと
以上の二点だ、対するモニトの失敗は
@:鍵をかけなかったこと
A:俺に止めを刺さなかった事
以上の二点だ、そして俺は暴れるだけ暴れてイスを壊した、イスさえ壊れてしまえば
縄抜けは容易だ、そして俺は壊れたイスの破片から最も鋭利な破片を手に部屋から出た
部屋から出るとそこはどこかの建物の廊下だった、俺がいたのはその建物の倉庫だった。
「モニトだ、モニトの仕業だ」
「だから違うって」
「じゃあ、他に誰がいる?」
「確かに・・・、でもヤツの前ではこの話は厳禁だぞ!」
「ああ、俺もあそこに入れられたくはないからな」
俺に背を見せて話し歩きしているチンピラが二人いる俺がその二人を標的にしようとしたとき
咳き込む音が俺の後ろから聞こえた、俺は元の部屋に慌てて隠れてそいつが部屋の前を通り過ぎるのを待った
咳き込む音が小さくなったとき俺は音を可能な限りたてずにドアを開け、そいつに一気に駆け寄ると片手で口をふさぎ
もう片方の手でさっきの破片をそいつの首に容赦なく突き刺した。
俺はそいつの死体をあの部屋に隠すと、そいつの持っていた銃とその弾薬を手に部屋から出た。
「YOU−1!!」
俺が部屋から出た途端に別のチンピラに気がつかれた!!
BANG! BANG! BANG!
俺はチンピラどもと撃合いになった!
俺は体力以上の動きを要求され、チンピラどもを撃ち殺したときには疲労でしばらく動けなくなっていた。
疲労が引き、動けるようになり俺はここの廊下を散策した。
このホテルは「MOON」といわれるフランチの息のかかった安ホテルであり
俺はそこの地下室に今いた、別の倉庫にはFN P90 PDW2丁とその銃弾があった
だが、金は置いていなかった。
もう一つの倉庫には殺人鬼も真っ青のニューハーフの死体の山があった!
死体はいずれも頭が原形を止めず脳味噌がはみ出るまで殴られていた。
モニトのニューハーフ&ショタ嫌いここに極まれりだ!
俺はヤツがいると思われる食堂に向うためエレベーターで1階に向った
俺がたどり着いたのはMOONの仕入れ用の搬入倉庫だった、外はいつの間にやら雪が降っていた
積雪の量と降雪の勢いから見ると気を失っていたのはそう長い時間ではないようだ。
チンピラどもも申し訳程度しかいなかった、俺はチンピラどもを始末してホテル本館へと向った
状況からしてMOONには俺とモニトとヤツの手下しかいないだろう。
俺はMOONに入った、正面ロビーは無人だった、食堂はここからそう遠くないところにある。
俺は食堂の方角に向おうとドアに手をかけた・・・
「ああそうだとも」
どうやらチンピラが電話をしているようだ
「ヤツは今地下室にいますよ。何、モニトのダンナが食事を終えたらすぐにでもヤツの始末をする
・・・そんなに焦らなくったって大丈夫ですよ。」
どうやら電話の相手はフランチのようだ・・・
俺はチンピラが電話をかけ終えたときを見計らってドアを開けて不意討をした。
チンピラはラジオを聴いていた
「みさお・一弥のお気楽人生相談レディオ・・・」
このラジオ番組は日本で人気の番組だ、どうやらこいつ等もこのラジオのファンのようだ・・・
そして俺は食堂に向った
食堂にはヤツの言葉どおりカツカレー4皿も平らげ5皿目に入っているモニトがいた
「テメエ! どうやってあそこから抜け出した!!」
「よお、さっきは世話になったな。 お礼はたっぷりと倍返ししてやるぜ」
そしてくつろいでいたヤツの手下も一気に殺気立った。
「図に乗るなよYOU−1!」
モニトとその手下は一斉射撃をしてうかつに身を乗り出せない。
俺は物陰に隠れながら痺れを切らすヤツを待ち伏せた。
切らしたのは3人だった、その中にモニトの姿はない。
俺は腹をくくって食堂に向った。
BANGBANGBANGBANG!
俺とモニトとその手下はまるでハリウッド映画の1シーンのような撃合いをした。
武器の性能差がなかったら俺は死んでいただろう・・・
そして俺はモニトたちを片付けると元来た道を逆走してMOONから出た・・・
MOONから出ると一台の車が現れた。
BANG!・・・空砲が発射された
「これが実弾だったらお前は死んでたぜ。」
そこにいたのはハートマンだった。
「お前を助け出そうかと思っていたところだったがその必要はなかったようだな。」
「いや、いいタイミングだ。 フランチは俺がまだつかまっていると思っている。」
「わかった、じゃあヤツの屋敷の近くまで送っていくよ。さっきヤツが屋敷にいたのを確認したぜ」
そして俺はハートマンの車でフランチの屋敷へと向った・・・