2ゲットを生業としてきた漢を夫に持つ母にとって
私はたんなるお荷物だったのかもしれない。
父が死んだ後、私は母の期待に答えようと躍起だった。
しかしとうとう母が生きているうちに2をゲットすることができなかった。
今日こそはと思って、花束片手に必死にF5キーを連打していた母の日。
母はその日に逝った。
母が天に召された後、私は母が数年間暮らしていた宗教団体へ入団した。
復讐のため。自分にそう言い聞かせながら・
だが実際は違った。私は母の幻影を追いかけていたにすぎなかったのだ。
過去の傷との邂逅。
そこで出会った少年を母と重ねて見たとき、私は母との別れを決意した。
母も少年ももういない。
しかし、私の中には、あの人との絆が息づいている。
もう2ゲットする必要はない。
でも私はこうしてまた2をゲットしようとしている。
戦いの日々へのピリオド。日常への帰還のために。
今日は母の命日だ。
墓には一人前の私の姿と、両手いっぱいの花を供えよう。
今、天国にいる母、そしてお腹の中の赤ちゃんと一緒に宣言する。
「2」