「この地球は、好きですか」
何もかも、変わらずにはいられない。
前世から来世へ、神代から宇宙暦へ、釈迦入滅から弥勒下生へ。
平和の時代も、繁栄の時代も…すべて、変わらずにはいられない。
「それでも、この歴史(ばしょ)が好きでいられますか」
「見つければいいだけだろ」
それは何も知らなかった無垢な頃。誰にでもある。
俺たちは登り始める。長い、長い坂道を。
転生を繰り返す岡崎朋也たち。駆け巡るは108の時代。
英雄たちが織りなすドラマティックパズルSTGアクションRPG双六ADV(仮)。
制作スタッフ募集中! ネタゲー『CLANNAD』制作スレです。
マジでつまんねクスクスクスクス
スレ立て乙です
さっそくですが、俺は各自のSSをリンクでつなぐネットADVに一票
他の方式でもシナリオならやりたいです
ボードゲーム版CLANNADなんてどうだろう?
禁煙を題材にした実在するボードゲームのパクリなんだが。
・遊び方
基本的に双六ですが、先にゴールしたほうが負けです。
参加者は開始時や「カードを入手する」のマスに止まる事で
カードを引く事が出来ます。
カードには「いたる絵のデッサン狂いを発見。10マス戻る」
「みきぽんに呼ばれてスタッフがひとりタクティクスに流れる。15マス戻る」
などメッセージと効果が書かれています。
プレイヤー達はカードを上手く使って移動を調整しながら
いかに他人より遅くゴールするかを競います。
無論、ゲーム用語で残りマス数を「残り開発日数」と呼びます。
>1
乙♪
>4
漏れも一票w
一応、シナリオなら書けます
遂に立ったな。まあ、なんつーか、もともと半分ネタで始めるわけだから、
夢のある制作を語ってゆこうじゃないか。
ゲームの形式をどうするか、ということも懸案だけど、当面はネタバレスレ
で出た各時代の内容を膨らませるところから始めてみない?
現在、おおまかなイメージでしかない飛鳥編だの宇宙編だのを、物語性ある
シノプシス程度にまで高めることは、どうあれ必要だと思う。有志でそれぞれ
担当を決めてたたき台を作り、それをこのスレで検討するとか。
俺も関与できるとしたらシナリオだけ。個人的にはネタバレスレ>23の
「ラストで渚が脳味噌だけになる」シナリオが書きt
万が一Keyのほうが先に出したら、このスレどうなるんだろう……
誰かいたる絵を描かないとな。
俺は担当するとしたら飛鳥編や戦国編をやりたいな。
日本史マニアなもので。
・ 朋也の目的は、ヒロインとの恋を成就させることか?
それとも、何らかの敵を倒すことか?
・ 最初の学園編が終わったあと過去編に移行するが、
そこでは(AIRのSummerやRoutesのRootsのように)朋也のご先祖様が主役なのか?
それとも、朋也たち自身が過去へタイムスリップするのか?
・ KanonやAIRなど他作品とのクロスオーバーはあるか?
クロスオーバー不許可の場合、「翼人」や「高野山」は登場できるか?
・ 過去シナリオはどれくらい過去まであるのか?
古代インドや神代くらいの適当なところで打ち切るのか?
カンブリア紀や地球誕生の瞬間まで行っちゃうのか?
・ 弥勒タンは攻略可能か?
私はSF者なんで、一応宇宙編には協力できるかと思います(絵は描けませんけど…)。
銀河系全体やら宇宙の大規模構造やらに舞台を広げると
弥勒タンや日本神話系の設定の説得力が無くなりますので、
宇宙編の舞台もせいぜい太陽系にとどめて、ラスダンは地球空洞か反地球ヤハウェ、
くらいの認識がいいんではないでしょうか。
完成したら、一万までなら出すかも。 あのスレの住民だしな。
で、マジレスしてみます。
本気でゲームを作る気なら絵師や音楽は後に回した方が良い。同時進行というパターンだけはやめとけ。
とりあえず、リレー形式でもオムニパスでもいいから、シナリオをある程度完成させること。
不特定多数で作るんだから、オチも見せ場も予め決められない。
ましてや、オリジナル設定で、シナリオライターは素人。途中でシナリオ作りを放棄する奴も確実に出てくるだろう。
そんな状況で絵を描かせるのは正直酷だと思う。
だから、初めにある程度SSでストーリーを続けて(もしくはいっそ完成させる)、その後にゲーム化なり紙媒体なりを考えたら?
ハカロワみたく面白かったら、完成前に勝手に絵を書いてくれる人も出てくるだろうし。
以上、長文でスマソ。
設定厨だけで何できんの?
>11
とりあえずシナリオ書けるって人が多そうだから、自分の担当を宣言して
シナリオを書き始めるのもいいかもな。細かな設定を定めても書きたい
やつがいなければ話にならないし、元スレがそうだったように様々な物語
を繋ぎあわせてゆくことで生まれるおかしみもあると思う。
>10
朋也に厳密な目的ってあるのかな。なんか世の中をはすに見てるような
性格設定らしいし。というか、どうしても最高のイメージになってしまう。
ヒロインとも積極的にはくっつこうとしないんじゃない? 鍵の伝統に従って、
つっけんどんにしてるんだけど仲良くなるパターンだと思われ。
過去編・未来編に関してはタイムスリップを推したい。他作品とのクロス
オーバーはありだと思う。過去シナリオは書きたいやつが書きたい時代を
書けばいい。心から白亜紀を書きたい人を止める権利はないだろうw
弥勒タソも書き手に任せたい。
んで、おれは>8で「ラストで渚が脳味噌だけになる」シナリオが書きたい
と語ったわけだが、こりゃ時代はいつになるんだろう。近未来か?
14 :
Autumn:03/10/15 00:36 ID:mbEFJinZ
>11
確かにそのとおりですな。
ハカロワも有志達が書いたシナリオに次第に人が集まって出来たわけですし。
私はオンラインADVを作る上での技術面でお手伝いできると思いますが・・・
それ以前にシナリオですね。
>7
シナリオの作成形式について同意します。
せめて目的ぐらいは一貫性のあるものにしたいですね。
シナリオといや、全ての始まりになる学園編の書き手が最重要だと思うのだが。
飛鳥と宇宙だけでは話にならんぞよ。
>15
労多くして叩かれやすい部分だからなあ…。
ただやはり物語の基調を確立する意味でも必要だとは思う。
何しろ今のままじゃヒロインの口調はおろか、一人称も我下欄。
とりあえず、それぞれの呼び方についてくらい合意形成しとかないと、
書き手の皆さんも困ると思われ。
朋也 俺 ―
渚 わたし 朋也君
早苗 ? 朋也さん
風子 ? 岡崎さん
公子 ? ?
杏 ? ?
椋 ? 岡崎くん
ことみ ? ?
智代 ? ?
有紀寧 ? ?
美佐枝 ? ?
芽衣 ? ?
秋生 ? ?
春原 ? ?
幸村 ? ?
祐介 ? ?
勝平 ? ?
直幸 ? ?
OHPや既出のCGから分かるとこだけ埋めてみた。?の所は不明。
問題は時代が違うと呼称も変わると言う罠。
しかも、転生設定にすると、生まれた身分とか生い立ちによっても呼称が変わってくる罠。
19 :
6:03/10/15 20:25 ID:pUAXSXjX
再度読み直してみましたが…
・学園
・神代
・創世記
・西洋史
・東洋史
・日本史
・近未来
・宇宙開拓時代
・弥勒
おおまかに言ってこれくらいでしょうか?
それぞれに専門知識も要求されますが、なんとかなるでしょう。
一応、友達に歴史好きの東大生(鍵ゲー布教者)がいるので
いざとなったら協力を仰ぐつもりです。
で、とりあえずシナリオを完成させなければ話にならないわけですが…
・構想(プロット)
・作品テーマ
をある程度話し合わなくては始まらないかと。
これはある程度纏まった意見を出し
それを議論していくのが早いと思います。
(ただし細かすぎるのもNG)
とりあえず路線を決めねばなりません。
構想さえ決まれば、肝心の学園編も
ある程度書ける方に任せれば問題ないかと。
20 :
6:03/10/15 20:26 ID:pUAXSXjX
あと、シナリオの形式ですが、>4のように各自の話を(選択肢によって)リンクさせれば
実際にADVにしたときにもスムーズに出来ると思います。
とゆうわけで作品の路線(または目的)を話し合っていくべきだと思いますが、
ここで一つお訊きします。
泣き・シリアスはありですか?
それとも作品自体がギャグのような(ネタバレスレのような超やりこみ型の)ものですか?
もしシリアス路線を取り入れるなら、プロットの段階で基本となる伏線等も考える必要が。
個人的な意見を言わせて頂きますと、ネタバレスレのような作風を生かしつつ
話全体に一貫したもの、それも泣きの要素が欲しいと思ってます。
ただ難易度は相当高いですが……
21 :
草案:03/10/15 20:56 ID:HOsfi4x0
朋也 俺 ―
渚 わたし 朋也君
早苗 私 朋也さん
風子 わたし 岡崎さん
公子 あたし 朋也くん
杏 あたし 朋也
椋 わたし 岡崎くん
ことみ 私 岡崎くん
智代 あたし 岡崎
有紀寧 私 先輩
美佐枝 あたし 朋クン
芽衣 あたし 朋にい
秋生 俺 不良
春原 おれ 朋
幸村 私 岡崎君
祐介 俺 あんた
勝平 僕 君
直幸 俺 お前
適当に考えてみた。有紀寧の「先輩」はデフォ(人物紹介にあった)。
一人称=名前は個人的に嫌いなので使ってない(使いたい人の意見を
排斥する意思はないです)。わたし、私、あたしの違いはCGの顔を
眺めながら考えた。まあ過去ではまた変わってくるだろうけど。
ところで、やはり>10や>18も言ってるように最低限の基本路線として、
「各時代の登場人物は本人か、それとも生まれ変わりか」
というとこだけは押さえとかなしゃーないと思うんだわ。書こうと思っても
これが決まってないとストーリーの立てようがない。とりあえずそこに
集中して意見収集してみない?
んで、おれは本人形式をキボンヌ。クロノトリガーみたいな感じでいきたい。
22 :
10:03/10/15 21:04 ID:XwK+PSIf
自分で言っといて何なんですが、本人タイムスリップ方式に一票。
その形式でノベルゲー調の一個書きかけてるんで……。
>19
・作品テーマ
「CLANNAD」はゲール語で家族だとかで、そうなるとやはり家族の絆的
なものが主題になってくると思うが、歴史を駆ける内容とはどうも相容れない。
各時代時代に在る人々やデフォの登場人物を家族に見立てて、
「人との絆」あたりが適当なんじゃないかと。
>20
泣きあり、笑いありでいくべきだと思う。書き手によって得意な内容があるだろうし。
ただ、AIRのように物語全体に一貫して泣きの要素たる伏線を張るというのには
賛成。それだとある意味で筋を考えやすくなるだろうし(逆もあるだろうけど)、
てんでばらばらにやってると「CLANNADの登場人物を使ったオリジナルSS集」
にしかならんような気がする。
24 :
6:03/10/15 21:40 ID:pUAXSXjX
>21
個人的には春原兄妹・美佐枝さんの「朋」がなんだかkeyっぽくない(前例がない)
ので微妙に気になりますが……
まあ、特に違和感もないのでこれには賛成です
本人形式にも一票
やっぱ「超やりこみ型」
転生式に一票。
タイムスリップだと、時代の順番が最初から決まっていないといけないし、
すると複数人の書くシナリオでは、話が破綻してしまうかもしれない。
シナリオの質がギャグかシリアスか、ダークかほのぼのかは書き手が自由に決めるのはどうでしょう?
その時代における一貫性と、時代間の一貫性(たとえばキャラの性格)が一致していればいいでしょうから。
もう少し作品間のつながりが欲しいな。
どの時代でも常に主人公と相反するライバルキャラとか、
昔から今へ、人から人へと渡り流れていくアイテムとか、
転生した主人公の特徴とか。
ああ、ここでいう特徴とは性格的なことじゃなくて、何ていうか異能力とか特技。
ただ、強かったら萎えるので、本当にあっても無くても変わらんもの。ただ、普通の人間との区分けになるもの。
例を出すなら、最高の法術とか。あれよりもうちょっと弱めで。アイテムとかでも良いけど。
>27
ワイルドカードとしては勝平がそれっぽいな。神出鬼没な設定で
誰とも血縁・交友関係がない。ことによれば両性具有という可能性
さえありうるw 飄々と時を渡り歩いていても違和感がない気がする。
おそらく元スレの○○編ネタの原型として「火の鳥」があると思うんだが、
火の鳥だと各物語に共通しているテーマは「永遠の命」で、共通して
出てくるキャラが「鼻のでかい男(我王など)」と「火の鳥」だよね。
それで、「火の鳥=永遠の命」という図式がなりたっている。
そのくらいシンプルな、かつ深みのある共通部分が決まるといいんだがな。
29 :
10:03/10/15 23:09 ID:XwK+PSIf
私は今のところ、
「坂の上にある朋也たちの学校」
なる場所があらゆるシナリオに存在して、共通して冒険の拠点になる……
というのはどうかと、ぼやっと考えてますが。
「黄泉比良坂」や「地球空洞内の坂」といった場所まであるらしいので。
すべてのシナリオが「坂」という唯一の場所を中心に繋がれば、
ドラマみたいで格好いいと思います。思い付きですけど……。
>23
確か麻枝氏は「街全体を含め、広い意味でCLANNAD(=家族、絆)というテーマ」
と語っていた気が…
それなら此処でもまんま「CLANNAD」で使えるw
>26
「キャラ一貫」なら、本人形式希望派の意志もある程度尊重でき話の破綻も少なくて済みそう
>27
ついでに名前にも拘るとか?(日本であれば漢字で似たような名前が使える、外国でも外国語訳やカタカナ、等)
ただ、>23の指摘の通り「CLANNADの登場人物を使ったオリジナルSS集」
にならないように気をつけねばならないので…
ここで
・プロットを立てるには「転生式」「本人式」を決めねばならない
・「転生式」か「本人式」を決めねばシナリオ(あるいはプロット)が決まらない
みたいな状況になりつつある気が……
とりあえず後者は「直接シナリオ作りから進める」のを前提にしていますが、ゲームという立場上
プロットを大まかに作りたいので、皆さん書き方に拘らず「純粋にどちらが面白いか」
で一度考えてみてはどうでしょうか?
(転生か本人か決まった後)大まかなプロットが決まれば、転生の場合でも
話の破綻が少なくなるでしょう。
また、「おおまかに」プロットを立てるので、細部や追加・変更等が容易
最低限のルールを決め、そこからは各自に任せる、と
(そうした意味も含め19の発言をしました)
……仕切厨ですみませんw
「起きて」
「・・・ん」
「起きてトモヤ。早くしないとヤツラが来るよ!」
(ヤツラ?ったい誰だよ。まだ眠いんだ、寝させろよ)
「寝てる場合じゃないよ!トモヤ。ああもう!だからお酒なんか飲まないで、って言ったのに」
(酒は百薬の長ってね・・・それに眠いんだ・・・)
「ただ殺されたいの!トモヤ!」
(『殺す』だって・・・?物騒だな・・・・・・・・ん?)
バァツ!!!
「きゃっ」
俺は跳ね起きた。
すぐ隣にたっていた女の子(さっきまで俺を起こそうとしてた女の子だ)が驚いて尻餅をつく。
(冗談じゃねぇっ!)
「今何時だ!」
びくついてしまっている女の子に、思わず怒鳴ってしまう。
仕方が無い、俺は焦ってる。
しかし俺は一体どれほど馬鹿なんだ!?
いつになったら覚える!?ここが元の世界とは違うと!
「け、煙の昇る時間だよ」
わけのわからん答えを理解しようと努力しながら、俺は勢いよく「床」から起き上がる。
そう、これは「ベッド」なんてよべる代物じゃない、ただの「床」だ。
俺はたまたま目に入った上着を引っつかんで羽織りながら、まだペタンと座ったままの女の子に手を差し伸べた。
「驚かせて悪い、俺は寝起きが悪いほうなんでな」
「き、気にしないでいいよトモヤ」
その女の子は俺の手を取り立ち上がりながら、そう答えた。
やわらかい手に、蒼紫の流れるような髪を持つその女の子は・・・
(この時代の「杏」ってわけか)
口には出さない。おそらく返事は
『キョウって誰?』
だろうからだ。
「でもトモヤ、大丈夫?」
「なにがだ?」
「闘える?」
俺は苦笑した。また説明も無しにバトルかよ。
「わ、自信家なのね、トモヤって」
その笑みを勘違いした女の子は口に手を当てながら感心する。
「まあな。で、誰だっけ?俺が『闘う』のは」
「ちょ、ちょっと、冗談でしょトモヤ」
「まあな」
冗談じゃない。俺は本気で知らないんだ。
だがそう言うわけにもいかず、俺はさりげなく嘘をついた。
「ちょっと昨日酒を飲みすぎたんでな、忘れたんだよ」
「・・・うぅ大丈夫?トモヤ」
とりあえず笑ってごまかす。
女の子は不安そうな声で言った。
「銃を持った白い悪魔達だよ」
「銃?」
『銃を持つ白い悪魔』のいて『俺達のルーツ』たりうる世界・・・ココはおそらく
「モンゴルか」
「え、何か言ったトモヤ?」
「なんでもない」
改めて周りを見ると、この建物が木で出来た大きなテントのようなものだと分かる。ゲルとかいう奴だな。
そういえばこの女の子の服装も、中学校のとき教科書で見た遊牧民の独特な衣装に似てなくも無い。
まあ要は、いかにも粗目の生地を手で編んだ物のようだが・・・しかしなかなか胸元が結構大胆にカットされていて・・・
「ど、どこ見てるのよトモヤ!」
「わ、ごめん。つい見とれちゃって・・・」
「!!」
女の子が顔を赤くする・・・隠すように後ろを向く。
どうやらこの時代の彼女はずいぶんと「うぶ」なようだ。
「ってこんな事している余裕はないな・・・いつ連中が襲ってくるか分からないんだろう?」
「!そうね」
「案内してくれるか?」
「うん。任せて!」
ドンッ、と胸を叩いて、女の子は飛び出す。
どこに案内されるかも知らず、俺もゲルを飛び出す。
そしてそこにあったのは・・・
果てしなく続く大草原だった
緑の草原、蒼い空
頬をなでる心地よい空気
いつまでも、どこまでも続いているかのような錯覚を覚える世界
この広大な大地で・・・俺は一体誰として生きるのだろうか?
「どうしたのトモヤ?」
「・・・いや、ここに今居れる事が喜しいのさ」
「そうね、私もこの大地に生まれて本当に良かったと思う」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「さ、こっちよ」
蒼紫の髪をなびかせ、女の子はなだらかな丘の上に立つ一際大きなゲルを指差す。
俺に微笑んでいる彼女の笑顔は、彼女が今まで生きてきた人生を嫌がおうにも思い出させる。
俺は心のそこから思った。
この子が今生で幸せになれるように、と。
---------------------------------------------------------------------
「モンゴル編」なんてあるかどうか知りませんが、思いついたままに書いてみました。
転生+主人公式にしたらこのような形になるのかなぁ、というイメージと共に書きました。
……やっぱ実際書いた方が早いかもw
完璧転生…というよりヒロインの記憶が別モノ、といった感じでしょうか?
なんだかこの形式がぴったりなような……
36 :
7:03/10/16 00:28 ID:SKGLdCrE
>31-34
朋也の人格・記憶は固定で、ヒロインを時代に即した人にしたわけだ。
なかなか面白いし、物語もつくりやすいかもな。
それじゃ、おれの考えてる「近未来編」のあら筋も披露しとく。
――――――――――――――――――――――――――
荒廃した都市のバラックに朋也たちは目覚める。
そこに住む人々はみな身体に何らかの器機を埋めみ、
その器機にすがって生計を立てている。
都市の中央には楽園があると信じられている。
そこで人々は調和に満ちた生活を送っているという。
だが身体に器機を埋めこんだ人間はそこに入れない。
かつてそこに向かった者は一人として帰ってこない。
朋也たちは様々な危険をくぐりぬけてその楽園の謎に挑む。
智代の拳が唸り、一ノ瀬の頭脳が冴えわたる。
血湧き肉躍る冒険の果てに、朋也たちの見るものは……?
――――――――――――――――――――――――――
「楽園にあるという調和に満ちた生活=理想の大家族」
として、その偽りを看破する内容のサイバーパンクです。
選択肢によっては渚が脳味噌だけn
このシナリオではヒロインも人格・記憶固定で朋也と同格としています。
あまり感動的な要素はないが、どうにか考えてみたいとも思う。
俺が作者に勝手に求めていることは三つ。
1.主人公がとにかく苦労して苦労しまくる。
世界が主人公中心に回っているのは嫌いです。てか、つまんないです。
2.時代によってはヒロインの一人に嫌われたりする。
主人公が味方全員(ヒロインズ&男も含む)に好かれているのはやめてください。
全ての人間関係が主人公の都合の良いように出来ているのは苛尽きます。
3.とにかく強大で最強かつ冷酷な敵役がいる。
魅力のある敵役が欲しいです。展開によって、「とにかくコイツ死ねよ」と読者に思わせ、それでもしぶとくて歯軋りさせられる敵役です。
そいつを最後の最後の土壇場で倒してこそ、主人公の魅力も引き立ちます。
転生シナリオなら主人公がそいつに殺されてもいいかと。
何、言ってんだ、漏れは。
モンゴル編はどちらかというとタイムスリップに近いのでは?
前世の自分の体に乗り移った、つまり、二人分の意識が存在するから。
あと、その場合、タイムスリップ状態から抜け出すための主人公の明確な目標が欲しいな。全時代に共通する目的。
単純だけど解りやすく『天魔王を倒す』
幸せの定義で話が広がりそうな『ヒロインを幸せにする』
大きな災難や災害から主人公の体を操ることで『過去の自分を生き延びさせる』
で、結局107回失敗しては最後の一回で成功。
スマソ、脳内妄想だな。
>29
「坂」のネタ使えると思う。具体的な「坂」でなく、それを連想させるモノとか。
よく人生が坂に例えられたりするけど、
先の見えないモノ、苦しいモノ、目指すべき場所……
そういった感じに考えられるのでは?
>28の勝平もそのネタがいいと思う。重要キャラ?
>36
いや、ある意味感動的ですが?(いわゆる泣きではないけど)
例えば
雫・終ノ空・月姫・蜜柑のように、泣き以外の感動の形もあるので…
個人的には>37のような指摘は意識していこうと思います。あと、>38の目的に付け足すと
・朋也は何故自分がタイムスリップしなくてはならないかを考えてゆく
・シナリオを進めるにつれ天魔王の存在が明らかになり、それが共通目標として存在する
・CLANNADにもあるように、「何か」を集める(キーワードみたいなモノや何かのアイテム?)
これらを通して、CLANNADというテーマが表現できると思います。
40 :
10:03/10/16 02:05 ID:8iyUeDY1
坂の上にいる。
…心臓が不規則に波打つ。
…脳の中がぐらぐら回ってる。
思考が、はるかに、遠くなる。
時空を超えたときの、れいの症状だった。
意識を失う一瞬前、俺は毒づく。
…やれやれ。
…今度は、何処(いつ)だ?
[Episode: Future]
………。
……。
…。
坂の上にいる。
その先に、俺たちの学校が見える。
【渚】「朋也君…変です」
隣の渚が、不安そうに呼びかけてくる。
ここは、おそらく、確かに俺たちの学校だ。
校門へ続く長い坂道は、他のあらゆる時代と同じように伸びていた。
だが、それ以外の様子は、他のどの時代にも似ていなかった。
【朋也】「何だ、こりゃあ…?」
俺はあたりを見渡す。
むき出しの赤茶けた岩肌が広がり、その上をわずかな砂礫が覆う。
地平線には緩やかな陽炎。それ以外に、動くものは何ひとつない。
【渚】「誰もいないですね…」
そんな生易しいものじゃない。
この乾ききった地には、動物も、虫も、草木も…。
命あるものが徹底的に死に尽くしたような、世界の終末を思わせる静けさ。
雲のない空から、太陽だけが狂ったように大地を焦がしている。
風さえ死んだように、空気は熱く、重かった。
41 :
10:03/10/16 02:07 ID:8iyUeDY1
異様な光景だった。
道路も家も街灯も、およそ人間が活動していた痕跡のひとつもない沙漠。
それでも…。
坂の上には、学校があった。
かつて文明が存在した唯一の証拠でもあるかのように、太陽のもとにたたずんでいた。
【朋也】「さすがだな…」
俺たちの学校は。
【渚】「朋也君。ここ、いつなんでしょう…?」
渚が訊いてくるが、見当もつかない。
【朋也】「…多分、過去じゃないとは思う」
【渚】「未来…だとしたら、戦争でも起きたんでしょうか」
【朋也】「かもな。判らんけど…」
誰かに訊こうにも、人っ子ひとりいないから、どうしようもない。
そして…気が付くと、暑い。
髪が、肌が、制服が、熱を吸って焼けるようだ。
太陽が赤色巨星にでもなったのか?
じりじりと照りつける陽光から、陰になるものは何ひとつなかった。
【渚】「校舎に入りませんか? このままじゃ日射病にかかっちゃいます」
【朋也】「そうだな…」
【渚】「もしかしたら、誰か人がいるかもしれませんし」
【朋也】「…水道、出るかな?」
【渚】「………」
・ ・ ・
【朋也】「うぉっ!?」
出た。
廊下の水飲み場は健在だった。
蛇口をひねると、心地よい冷水が魔法のように湧き出した。
【渚】「さすがですね…わたしたちの学校は…」
【朋也】「ぶ、文明って素晴らしい…!」
二人して素直に驚く。
42 :
10:03/10/16 02:07 ID:8iyUeDY1
校舎に入ってみると、居心地は悪くなかった。
建物は上手く日光を遮っていて、リノリウムの床も、心なしかひんやりとしている。
【渚】「ここなら、何とかしのげそうですね」
【朋也】「まあな」
しかし…。
【渚】「ここで助けを待ってる人が、わたしたちの他にいてもおかしくないですよね」
【朋也】「そうかもな。とうの昔に全員死んでりゃ別だけど」
考えてみれば恐ろしいことを、つい言ってしまう。
【渚】「それでも、書き置きか何か、残ってるかもしれないです」
【渚】「手分けして探しましょう。とりあえず、図書室で新聞の日付を見てきますね」
なるほど。渚はポジティブだ。
【朋也】「そうだな…」
確かに、ここでくすぶっててもしょうがない。
さて、俺はどこを回るか。
>資料室
家庭科室
職員室
俺は資料室に向かった。
分厚い鋼鉄の扉に、頑丈な錠が下りている。
そのたたずまいだけで、入室を拒む充分な象徴になっている。俺は溜め息をついた。
ガンッ、ガンッ。
念のためノックをしてみるが、答える声はない。ましてや、開くことなどありえなかった。
そうだ。
この資料室の鍵を持っている子は、この世界にただひとりしかいない。
【朋也】「有紀寧がいればな…」
言葉がこぼれたが、俺はかぶりを振った。
発した言葉を現実にする能力があるなら、俺は今頃こんな所にはいないだろう。
どうしようもないことだ。
俺は、資料室を後にした。
43 :
10:03/10/16 02:08 ID:8iyUeDY1
【渚】「………」
渚は無言でこうべを垂れた。
【朋也】「気にすんなって」
収穫はなかったらしい。本も、雑誌も、新聞もないというのだ。
代わりに、電卓の液晶を極限まで薄くしたような、黒いシートが散らばっていたという。
【渚】「たぶん、未来なのは確かだと思います」
だろうな。これが過去だったら、世界史の教科書を書き直さないといけない。
・ ・ ・
さいわい、家庭科室の食糧庫は無事だった。
新鮮な野菜や果物、肉や魚が、手付かずのまま豊富に残っている。
あとで試してわかったのが、電気もガスも生きているようだ。つくづく、俺たちの学校である。
計画的に食べれば、ここでしばらくは食いつなぐことができるだろう。
渚の料理の腕は悪くない。大して良くもないが…。
・ ・ ・
1週間ばかりが、こうして過ぎた。
昼は猛暑、夜は極寒が襲うが、校舎の中でしのぐことができる。
食糧を背負って遠出を試みたこともあったが、延々と続く大地は、たやすく踏破できそうにはなかった。
ある夜のこと。
渚が、妙なことに気付く。
【渚】「満月や新月って、1ヶ月でひとまわりしますよね」
【朋也】「…たぶんな」
俺もそうだと思うが、確かなことはことみにでも訊いてくれ。
【渚】「曇りの日なんてないのに…1週間経っても月を1回も見ないって、変ですよね」
…月が、昇らない?
【朋也】「どういうこと…」
訊こうとしたときだ。
空の向こうから、急速に近づいてくる音が聞こえる。
俺たちは慌てて、窓の外の空を見る。
…そして俺たちは、ここに来て初めて、俺たち以外の動くものを見つける。
星というには近すぎる。
人が何人も乗れるくらいの銀色の球体が、夜空からまっすぐに降りてきた。
44 :
10:03/10/16 02:09 ID:8iyUeDY1
------
はるか遠い未来、惑星さえ人類が造り変えるようになった頃。
人間同士の争いによって、月は砕かれ、故郷である地球は滅び、
太陽系には火星、金星、木星の三強国が残りました。
…その真意は知らずも、ただ仏法の名のもと、宇宙を統べんとする金星。
…より血を流し、より力を振るう者が覇名を轟かす火星。
…人の驕りさえも貪欲に飲み込み、限りなく膨れ上がる木星。
ヒロインたちの子孫は、三強国に散り散りになり、互いに争っています。
科学を発達させた人類は、惑星改造には飽きたらず、
過去や未来を自在に渡る「時空船」を作る欲望に燃えています。
時空船を作るカギは、地球にある『坂』を確保すること。
三強国は、表向き地球環境の改善事業と称して、『坂』を我が領土にしようと画策。
同時に、『坂』から来た男女、朋也と渚の捕獲に乗り出します。
朋也と渚は、どの星につくのか?
そして、果たして時空船は誰の手に渡るのでしょう?
------
…純粋タイムスリップ方式で、朋也たちはいくつかのタイムスリップを経た後と想定した
未来(宇宙)編のつもりです。
とりあえずノベルゲー調に最初んとこ書いてみますた。
脳内妄想なんで、叩き台になるかどうかもわかりません。
駄目なら別の妄想を考えます。
>>38 私は今のとこ、未来編の暫定的な目標としては
「朋也が時空船を手に入れる(大災厄の起きた過去の歴史を変えるために)」
を考えています。
―――――――――――――――――――――――――――――――
勝手にゲームの根本に着手してしまいましたが…
あくまで一案なので、却下なら却下で。
―――――――――――――――――――――――――――――――
壊さなければ 何も生み出せない
壊れなければ 何も生まれない
生み出さなければ 何も壊れない
生まれなければ 何も壊れない
壊れて生まれて 生まれて壊れて
くるくる くるくる 廻って 廻って
どこまでも繰り返し
何もかも繰り返し
全てが凍りつき
手のひらの粉雪が舞い
冬は終わらず
私の涙は凍り
それさえ風にさらわれ
いつしか忘れて
またいつか思い出し
泣いたけれど
泣くことも出来ず
泣くことさえ忘れ
またいつか思い出す
絆も命も憎しみも愛も
力も平和も世界も想いも
消えゆくことさえ叶わず消えてゆく私を
またみんながおいてゆく
もう 思い出すことさえ出来ないけれど――
【Winter編】
雪景色、それは世界を形容するただ一つの言葉だった。
しんしんと降り積もる粉雪は柔らかく、頬に張り付いてはすっと融けゆくその感覚が、
俺の胸の奥深くに眠っていた、なんだかとても熱っぽい気持ちを急に呼び覚ました。
視界の全てを埋め尽くすその白銀の結晶に、俺はまるで、生まれて初めて世界に
感動を覚えた子供のように、ただただ泣きそうな気持ちでその場に立ち尽くしていた。
「……ちっっくしょう…!」
何に対してそう思ったか――
おそらくは自分自身。それはかつての思いを忘れ、諦め、おそらくは日々を無為に
過ごしてきたであろう自分への怒り。
そんな当たり前のことに、今頃になってようやく気づいた自分への憤り。
そうして今になってさえ、そんな素直な自分を受け入れられない幼い自分への苛立ち。
どうしていいのかさえわからず、俺にはただこうして、無意味に立ち尽くす他はなかったのだ。
「朋也君…」
――でも。
「…ああ、大丈夫だ」
一人じゃなかった。
俺にはいつもこうしてそばで支えてくれるひとがいる。
大丈夫、もう負けたりはしない。君がいる限り――
「行こう」
半歩後ろで今にも泣きそうな渚を促すと、すっかり冷たくなってしまったその手を握り、
先へと進む。
「あ……」
雪ですっかり赤く染まった渚の頬が、それでも僅かに赤みを増したように思えた。
視界はぼやけ、ただどこまでも白く。
そんな中で、ただこの世界だけが俺たちを待っている。
俺たちは登りはじめる。長い、長い坂道を。
―――――――――――――――――――――――――――――――
「世界でたったひとり残された女の子のお話です」
「え…」
「それはとてもとても悲しい…」
「冬の日の、幻想物語なんです」
を引用。
創造主=女の子=天魔王(本体?)
インド神話にもみられるように
創造→営み→破壊
は全て大切なこと。ゆえに彼女は、ただひたすらこうした行為を一人で繰り返す。
実世界の天魔王は、彼女の意志を受け継いだ人間。世界が世界であるために
彼らは天魔王としての活動を行う。
転生・時間旅行を通して、家族・絆というものを得て、その大切さに気づいた朋也達が
全ての謎の根元に迫る部分です。
(弥勒は、存在してしまった人間の救済(=存在の消去)のため天魔王に敵対)
主人公達が実世界の天魔王を倒し、「結局天魔王ってなんだったん?」
となったとき、(それまでは敵役か悪役だった)天魔王の存在意義に迫るものです。
某漫画とかぶっちゃいますが、少女の記憶とかに関するものを集めてゆく、とか考えられます。
気になったんだが、主人公の「強さ」はどの程度に書く気なんだ?
1. 魔法も神通力もバンバン使うムチャクチャな強さ(ルーツの終盤、魔界学園、スクライドなど)
2.一般人を遥かに凌駕するが、それでもなんとか納得できる程度の強さ(ルーツの序盤、痕、寄生獣など)
3.一般人の中でも強いほう、またはちょっとした超能力を持つ一般人(AIRなど)
4.ただの一般人(Kanonなど)
ネタバレスレは完全に1のようだが、どうもこのスレを見てると3か4ぐらいの印象に思える。
第六天魔王が地球を滅ぼすの滅ぼさないのいうシナリオで、一般人の出る幕はないと思うんだが……。
個人的には、天魔王はルーツの篁みたいな奴だと勝手に思ってる。主人公の強さも1や2が適当では?
なんか盛りあがってきたな。
朋也たちに坂を上るような苦労をさせる、ということについては全面同意だが、
天魔王を倒すため、ってのは少し安直じゃなかろうか…。各時代に共通する
キーマンみたいなものはいてもいいとおもう。それでも、もし天魔王的な敵を
設定するのだとしたら、そのキーマン=敵(SaGaの「かみ」みたいな感じ)がいいな。
51 :
連続スマソ:03/10/16 08:28 ID:SKGLdCrE
朝風呂浴びながらつらつら考えたんだが、朋也たちの強さはやはり
>49の住み分けでいうところの3.か4.にすべきではないだろうか。
テキスト形式のゲームでパワープレイってのは作り手のオナニーになりがち。
オフィシャルの設定通り坂上を最強にして、そのレベルは男が束になっても
かなわない、くらいの強さに止める適当だと思う。
そうすると問題は敵役だ。
パワーはそんなに強くもないキーマンが、各時代時代に何らかの術を
施す(あるいは何らかのアイテムをしかるべき場所に設置する)のを朋也
たちが無意識に、あるいは意識的に阻止する、というのはどうだろう。
それなら謎解き的な要素も加えられるし。
>>49 イメージ的には4かな。ただ精神面から言って、他人よりは確固たる意思を持ってるほうが良い。
自分達で作るゲームの主人公がヘタレなのは、精神衛生上難しいかも。
>>タイムスリップ V.S 転生
いずれにせよ、主人公の記憶が受け継がれるもので無くてはいけないでしょうね。
他のキャラは・・・全員記憶があるとストーリーがめちゃ難しいし、一部の特定キャラ以外は
『他の時代の事を知らない』でいいんじゃないでしょうか?
天魔王は常に敵側の存在にいながら、主人公同様『他の時代の記憶を持つ』事ができるんでしょうね、多分。
>52
俺は精神的にヘタレで行ってもらいたいと思う。
元々、原作の設定もやる気無さげな青年だし。
ヘタレで「もう嫌だ」とへこたりしながら、各時代を一生懸命に生きる人たちを見て少しずつ時には後退をしながらも成長していく。
長編なら、そっちの方が良いと思う。
転生VSタイムスリップについて。ツッコミよろしく。
1.肉体つきタイムスリップ
利点:鍛えた体や能力をそのまま使える。顔が一緒なので、時代が違っても写真に残ったり、かつての友人に会ったりなどのイベントが出来る。
欠点:強さを下げられないので主人公が強すぎになって、作者のオナニーになる。一度死んだら終わり。全ての時代にとって“部外者”扱いされる。
2.意識だけタイムスリップ(前世の自分に乗り移る)
利点:過去の自分と別個である(ヒカルの碁みたく)。その時代の立場が予め決まっているのでストーリーを作りやすい。主人公を殺すことが出来る。
欠点:上はそのまま短所にもなる。主人公が現代的価値観とその時代の価値観で葛藤するのはいいが、その責任を全て前世の人間に押し付けてしまう。
3.記憶持ちのまま転生
利点:主人公の技量ももっとも優れたものになる。因縁の相手が出来やすい。
欠点:精神年齢が高くなりすぎる。心の強さのインフレ。結果、感情移入ができなくなるかもしれない。
4.記憶持たないまま転生
利点:時代ごとに主人公の価値観が違うのでマンネリ化を防ぐことが出来る。
欠点:ただのサブイベントっぽくなる。例えば、Airのsummerシナリオ。
各時代の天魔王は別の人物の方がいいな。
メインキャラの魂を宿す人に何度も再会するけど、今あった人がその時代での天魔王かもしれない、ということ。
何度も天魔王を倒すうちに天魔王が完全な悪では無いと気付くが、宿命として「朋也」と「天魔王」は対立しなければならないと言う感じ。
その時代にしか出てこないサブキャラが天魔王であるケースももちろんある。
>>49 「1や2みたいな主人公が、伝説の武器を手に入れてラスボスをぶち殺しに行く」
っていう話も俺は爽快で好きだけどな。
3や4の主人公で行くなら、
「世界を滅ぼす第六天魔王」と「一般人の朋也」が
直接バトルするシーンはありえなくなるわけだな?
ヒロイックファンタジーRPGじゃなくて、クトゥルフっぽいシナリオになるわけだ。
戦うとしても、召喚の儀式邪魔したりとか。生贄の少女助けたりとか。
提案1.「複数の並列世界」に「朋也たち本人」が送りこまれる設定はどうか?
AIRなりルーツなりで「転生」という技法が効果的だったのは、メインに確固たる
物語があって、そのうえでそれを補完するサブルートとしてうまく機能したから
だと思う。今回の企画では、むしろその複数のサブルートの方がメインとも言える。
そうすると、例えば「この子は渚の転生者」という設定にしたとしても、その意味は
かなり薄くなり、感情移入もできにくくなるだろう。
また「朋也たち本人」のタイムスリップが考えられるが、古代から順に時代を
追ってゆく構成だと時代毎の記憶・経験を次の時代にもちこすのは難しい。
なぜなら、その時代毎において朋也たちは経験をつみ成長するから、時代が
先にゆくにつれて人格的に成長しきったキャラを動かさねばならない。第一、
奈良編で渚の処女が破られれば、平安編以降の書き手は非処女としての渚
しか扱えなくなる。これは公平の原則にもとる。
そこで、各編を「複数の並列世界」と位置づけ、そこに「朋也たち本人」が送りこまれる
という設定はどうだろう。これならすべての時代において朋也たちの扱いは平等に
なる。みな始めは一様に混乱し、やがてその状況を認識し、物語をつくってゆく。
つまり、十編の物語があれば十人の朋也がいるということ。>54の2.に似ているが、
タイムスリップするのはあくまで「朋也たち本人」であるという強みがある。
各時代毎の物語を完遂した朋也たちをどう始末するかが問題ではあるが、
真の学園編の「朋也たち本人」に同化させ、前世的な既視感として各時代を
思い起こさせるもよし、そのまま各時代で生を終えるようにしてもよし。どうにか
なると思う。
>>37 なんかあれだな
1と3はテイルズオブファンタジアっぽいな
個人的な要望なんだが、シナリオはシナリオ専用で(ツリー型もしくは2chタイプ)掲示板作った方がよくないか?
ここに貼られると見づらい
提案2.天魔王(仮称)は各時代で異なる存在としてはどうか?
>55の提案に同じ。たとえば戦国編においては「織田信長」であったり、
モンゴル編においては「ジンギスカン」であったり、未来編においては
「恐怖の大王」であったりと、時代毎に設定しうるものとすれば自由度が
増して書きやすくなると思う。
朋也たちが天魔王をどう見ているか、つまりは敵として認識しているか
については、認識していない方がいいと思う。各時代毎に物語をすすめ、
やがて「人との絆」を求めてゆくうえで障害になるのが天魔王であり、
その時点で敵として認めるべきだと思う。
朋也たちは普通の力しかもたない人間だが、創意工夫によって天魔王
の野望をくじく、というのが作る側としても読む側としても面白いのでは
ないだろうか。たとえば戦国編においては明智光秀の麾下に入り、知謀を
つくして本能寺の変を起こさせたり、モンゴル編においては耶律楚材に
なりかわってジンギスカンを煙に巻いたりという感じで。
提案3.各時代において有形・無形の「絆のあかし」を探すことを目的としては?
全編に一貫した物語性をもたせるために目的はどうしても必要だけれど、
それを漠然とした「絆のあかし」を探すことにしてはどうか。
たとえばそれは「朋也が渚を守って死ぬ」といった行為であったり、ヒロインの
語る感謝の台詞であったり、時代毎のオリキャラからもらうアイテムであったり
有形でも無形でもいい。
そして「真の学園編」の出現条件を、全編において「絆のあかし」を探してある
というようにフラグ設定したり、「真の学園編」において各時代の「絆のあかし」
を探しあてていないと答えられない選択肢をつくったりすればゲームとしても
成立すると思う。
――――――――――――――――――――――――――――――――
以上、仕事しながらつらつら考えました。連続レスすまそ。
>60
「絆のあかし」を探すことを目的に、というのは面白いと思う。感動的だし、決して完全なハッピーエンドに終わらなくとも感動できる。
ただ、何度も同じエンドだと読者が飽きる気がする。
俺は複合させ、
肉体のタイムスリップ編(1〜3)
→コールドスリープ食らって意識だけ過去に(5〜10)
→この現象を終わるためには「絆のあかし」を探すべきだと知る(11〜14)
→ようやく黒幕大魔王の存在が解る。だが、ボロボロにやられて鬱に(15〜18)
→鬱から復活。大魔王を倒すため前に、その手段を探すことを目的に(19〜22)
→結局、負ける。そして、意識が消滅される。記憶が消えたまま転生編(23〜26)
こういう風に目的も取り巻く環境(転生かタイムスリップか)もどんどん変えていけばいいと思う。
>57,>59-60
提案1.提案3.については賛成(3.については特に賛成)。
>61
各時代毎に絆のあかしが違えば同じエンドにはならないし、読者も
飽きないと思う。SS書きも存分に腕を見せられるだろうし。
ただ提案2.については思うところがある。
つーか、天魔王イラネとか思ってんの漏れだけ?話の目的が天魔王を
倒すことになったりするとかなり萎えるんだが・・・。
それこそ書く人も飽きれば読者も飽きると思われ。
元スレでも天魔王ってあまり重要視されてなかったことない?
この際、元スレは関係ないことかも知れないけど。
各時代で強大な敵を出してそれを倒すことをクリアの条件にしたり
するのはいいと思うけど、それで全編を縛るのには反対したい。
まあぶっちゃけた話、天魔王を倒す話だとシナリオ書く気が失せる
という個人的な理由があるんだけど・・・。
一応、元のネタバレスレは、↓のあたりが主軸になってると思われ(+無数のミニゲーム)
382 :名無しさんだよもん :03/08/26 04:02 ID:L9c/WLT7
基本攻略をまとめる。
まず、とにかく学園編を終了させる。
で、前世編(過去編全部)をダラダラ流す。要人は翼人、菩薩(後の弥勒)、推古タン、信長の4人。
あとは会っても会わなくても平気。
次に未来編に突入、ここで重要なのは、弥勒タン絡みの選択肢と、芳野祐介に時空船を作ってもらう事。
そして、その時空船を使って過去編のピンポイントに戻り歴史を修正。
タイムパトロールは実は天魔王の手下なので斬って良し。
全ての過去の過ちを修正すると、現在に戻り真の学園編がスタート。
真の学園編がクラナドの本番です。みんな頑張ってくれ。
個人的には、天魔王より時空船のほうが大きなプロットデバイスっぽいと思うんだが。
難しいなぁ・・・設定しなきゃいけない点が随分と多い。
何か基本的なコンセプトにおいて同意していないと、後でシナリオを結びつけるとき必ず破綻するもんなぁ。
こういうのはどうだろうか
---------------------------
1.主人公達はみな「普通の人間」である
2.朋也と渚+敵キャラ一名(天魔王?)のみ、記憶を維持したままタイムトラベルなり転生なりできる
3.プロローグとして「学園編」がある(シナリオ形式は未定)
4.プロローグ後、複数の時代に『主体的』に干渉する
(時空船 または他の技術の使用)
5.各時代の有名人物は、主人公キャラ達の前世後世かもしれないし、先祖子孫かもしれない。
6.未来においてのみ、超能力等は存在してもいい
ここから先は、おそらく人によって全く意見が違うと思うので、
好きなだけ叩いてください。
---------------------------
7 .天魔王とは別に何か諸悪の根源が存在し、それが正史を捻じ曲げている。
8 .歴史を元に戻すのではなく、自分達が信じる「最良の歴史」を作るのが目的
9 .天魔王は歴史を元通りにしたいとは思ってるので、
主人公達のように「最良の歴史」を自分で作るのは間違いだと信じている。
(たとえば第二次世界大戦直前の時代に、ヒトラーを暗殺しようとする主人公と争うとか)
---------------------------
・・・しかし、タイムパラドックスがやっぱり問題になってきましたな。
歴史を変えたから現代になったのか、歴史を変えたら現代も変わってしまうのか
この際、何も決めずに、学園編をリレーでやってみたら?
それで得た設定を後の歴史編オムニパスで使用すればよい。
>64
1,3,5は同意。
2はプラスして主人公のライバルキャラを入れたい。これは個人的嗜好。
4は微妙。中盤以降まで『巻き込まれ型』で良いと思う。
6は反対。主人公は普通の人間で言いが、平安の鬼ネタや翼人ネタや陰明ネタをしたい人もいるかもしれない。まあ、その時代限定と言う事で。
7,8,9は展開次第だと思う。ただ、主人公は歴史を変える気は無いほうが良いと思う。ていうか、「最良の歴史」ってどういう定義?
しかし、そうするとクリノトリガーネタが使えん。よく考えたら、酷い話だよな、あれ。
>64
>57とかで指摘されているが、記憶を残したまま転生や
タイムトリップするとあとの時代の連中が書きにくくなる
と思うんだが、そのへんどうよ? 少なくとも同時進行
で書くことはできなくなる。その問題がうまく解決する
ようなら記憶を残したままでもオーケーだと思うが。
>65
シナリオ書きの人たちは各時代を書くことに興味はあり
そうだが、とりあえず学園編はまだ書きたくないし書けない
という状態だと思う。
本当に、これだけはどうしても決めておかないと各時代
が書けない、という部分だけ押さえて、あとは自由にする
というのが妥当ではないだろうか。今のとこ懸案は、
@転生かタイムトリップ(本人)か?
A記憶は失うか維持されるか?
B天魔王という存在をどう扱うか?
C主人公たちは人外的な力をもつか普通の人間か?
このあたりじゃない?
>>65 それじゃリレーの段階で話が破綻すると思われ。
それ以前に話が終わらないと思われ。
>>64 1・3には賛成。それ以外には考えられないと思う。
2については、別に転生(でなくても良いが)できるのは朋也&渚だけじゃなくてもいいんじゃないか? と思う。
他のメインキャラも、シナリオによっては転生等させた方が、シナリオを作りやすくなるかと。
7以降には反対。何が最良の歴史か、なんていうのは誰にも分からない。
それこそ書き手のエゴ丸入りになるかと。
天魔王イラネって思ってる人もいるとは思うが、俺としてはやっぱり天魔王と弥勒の対立軸は外せないところなんで。
絶対的な善悪ではないがメインストーリーでは朋也は弥勒に味方して人類を救済しようとする。
天魔王に共感する裏ストーリーも用意して補完する。
70 :
57=36:03/10/16 23:15 ID:SKGLdCrE
>67
やはり問題はそこなんだよな…。おれ「近未来編」を書きたいと思って
>36にあら筋とか書いたんだが、過去の記憶が維持される設定だと、
書きたくても書けないんだ。過去を無視して適当に書けば書けるけど、
それだとつまらないものになると思うし。
あと感動的な要素として「ヒロインの死」をからめたい書き手は当然
出てくると思うんだ。そうした各時代におけるヒロインの死を自然に
片づけるためには各時代を時代毎に完結させる必要がでてくる。
そして、転生だとただでさえ薄い朋也たちのキャラがさらに薄まると
思って>57みたいに考えてみたんだが。
>62
天魔王に関してはおれも正直、あまり乗り気じゃない。全体の流れが
天魔王を倒すため、ということになったら自分はうまく書けないとも思う。
ただ天魔王をからめたい人も多そうだから、折衷案として天魔王的な
存在を各時代に登場させるのならできそうかな、と。
俺が思うに、学園編を最初に書いたら?
そりゃ、皆、各時代を早く書きたいのも解るし、俺も学園編は飛ばしたい。
しかし、最初のストーリーなくして途中から書き始める、というのはやっぱり変だと思う。
そして何より、物語の底が浅くなる。それこそ、ただのオリジナル集になると思う。
読者の主観になって考えてみると解ると思う。
ただ、やっぱり誰が書くか問題だな……。話数制限リレーにするか?
>71
各時代の物語がしあがってから、それぞれの要素をくみ取るかたちで
プロローグである学園編(と対である真の学園編)を書いても遅くはない
と思うぞ。逆にいま学園編をリレーで書いたら>68も言うように破綻して
小学生の妄想のようなものになるのではないかと…。
AIRを例にすれば、「summer」なしで「dream」は書けないだろう。
「dream」ははっきり言って「summer」のための伏線の嵐だから。
でも「dream」なしで「summer」を書こうと思えばどうにかなる。
そのあとで伏線バリバリの「dream」を書けばまるくおさまるはずだ。
元々、各時代を作者一人づつ同時進行で書くってところに根本から無理があると思う。
同時進行だったら、他のシナリオのネタとかが使いにくくなる。性格の細かいところで矛盾している主人公。
その“過去”もぼかされる。これじゃあ、皆で集まって作る必要なし。
ただの歴史物オリジナルSSだよ。
そして、もう一つの懸念は、作者一人が一つの時代を書くというもの。設定だけ考えるんじゃなく、実際に書かないといけない。序章とかオチとかも。
正直、俺は大変だと思う。何より、新規参入者が来れん。ハードルがちょっと高いと思う。
>73
いや、俺が言いたいのは時代編のための大まかな設定を学園編で決めようというもの。
時代編は主人公の時間軸的には学園編の後だろ? なら、summer編の方が学園編に近いかと。
と、さっきまで考えていたが、主人公が転生するなら、>73の言うとおりだな。
この際、記憶の引継ぎ無しで転生させない? それなら、同時進行の問題もある程度解決するかと。
>74
名乗りをあげてるシナリオ書きはみんな一つの時代を書く気まんまん
だと思うが。もちろん序章からオチに至るまで。そういうのがやりたくて
集まってる人が多いんじゃない? 実際に書いてやろうという人が。
それに同時進行だからこそ新規参入者は入りやすいんじゃないか?
戦国編を書きたい人が二人いればそりゃ新しい人は入れないだろうが、
他の時代を気にしなくていいから誰も選択してない時代をチョイスして
自分の担当にすればいい。最初に学園編ありきで「この伏線はこの時代」
みたいな感じでやる法がよほど新規参入者が入りにくいと思うのだが。
性格の細かいところの相違は「違いを楽しむ」といった新たな魅力を生む
と考えたいなあ……でなきゃこれから二、三ヶ月そればっか論じる
ことになりかねん。
>75
おれも記憶は各時代毎にフォーマットされるのが良いと思う。
「転生」ってのはその時代の人間として、ということ?
それとも朋也たちがそのままで現れるの?
朋也たちがそのまま現れるってことなら>57みたいな感じになるな。
話を作りやすいという面では、記憶フォーマットの上で各時代の人間に転生しているほうがやりやすいだろう。
しかし、全てつなげてのおもしろさという面では、キャラがそのままで現れるほうがやりやすいのではないか。
個人的には57氏の意見に賛成かな。わかりやすいし。
ところで、学園編の扱いなんだけども、伏線ばりばりって言うけども、そんなに伏線いるかな?
何故朋哉たちが時代時代に飛ばされる羽目になったか、それを書くだけで良いんじゃないの?
学園編はオープニングで、
各時代時代で張られた伏線を、真の学園編で総回収する、っていう流れだと思ってたんだけど。
あ、でもこれだと先に真の学園編を考えなきゃならないのか……
ただの思いつきだが、思いついただけ書いてみる。好きなように処理してくれ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
学園編は、いつもの鍵ゲーの例のごとく、各ヒロインのEDへと分岐する。
各ヒロインのEDごとに、過去や未来シナリオのうちの1つが対応。
戦国編は誰、飛鳥編は誰、ギリシャ・ローマ編は誰、近未来サイバーパンク編は誰、というふうに。
全てのヒロインにそれぞれのSummerがあるようなもの。タイトル画面で選択可能になる?
歴史シナリオでは、人の絆を求めて成就させたり、各ヒロインに割り当てられた重要アイテム(←麻枝談)を発見したりと、
主人公たちは困難を乗り越えてついに目標を達成する。
しかしその途中で、歴史的な大戦争に荷担するとか、タイムパラドックスを起こしてしまうなどの
大きな過ちも犯してしまった。
で、重要アイテムなり「絆」なりが全部揃った暁に、
朋也は「時空船やそれ同等の歴史干渉能力」を獲得することが出来て、過ちを修正するために旅立つ。
そこが真の学園編(それがどういうものかはまだ分からん)のスタート。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
>78
おお、良いと思う。乙です。
そこから先の展開は、また出来上がってから考えればよいし。
大魔王を出したい人も、そうでない人もいけると思う。
で、ヒロインごとと言ってたけど、本家に基づいて十七人いるよね。
男キャラとのシナリオも作りたいな。いや、恋仲になるとかじゃなくて。
そうして、登場キャラ17人と主人公との因縁が明らかになる→真の学園編ってな形にしたいんだけど。
>>79 なるほど、AIRのSummerをモデルケースにして、このスレ用に発展させたような感じね。
僕の基本姿勢は
>>70と似てるかも。
記憶を保ったまま転生や時間旅行するとどうしても、
“前の冒険を終了させた朋也を前提にして”書かないといけないから
非常に書きづらくなるだろう。
「転生」と言うより、Summerみたいに朋也のご先祖様が主役になると言ったほうがいいかもね。
僕はネタバレスレの影響でか、
朋也の学園が魔界学園みたいに何でもアリのイメージだったので
まず脳内イメージを解体工事するとこから始めまつ。
ライター間でヒロインのとりあいがおこらなきゃいいんだがな。
早い者勝ちってのもアレだし。
・転生か本人のタイムトリップか
・記憶は維持するか時代毎にフォーマットするか
この二点に関してはそろそろ決定した方がいいと思われ。
>>82 いっそのこと、それを限りなくぼやかすとか?
何となく主人公は自分がさまざまな世界を巡っているのを感じてはいるものの
それを断言するほどのはっきりした確証を持ち得ないでいる、とか(デジャヴみたいなもの?)
また、それによって記憶もぼやけ、シナリオ序盤で
「自分がもとからその世界にいたけれど、どうも違和感がある」くらいにするとか?
31〜34のモンゴル編に、それに近いものを感じたのですが…
また、多分その二点を決めたとしても製作段階で不具合が起きることも考え得るし
安直ではあるものの、(ぼやかした方が)プレイヤーを惹きつけるに足る謎要素になると思います。
多数のシナリオライターがいるので各シナリオを結びつけるのは難しいだろうし
また企画の段階によっては逆にあるシナリオ同士を結びつけなくてはならない
おそらくある程度企画が進むと、「(主人公達に)実際に何が起こっているのか」に対する答えというもの
が浮かんでくることも考えられます。(あるいはこじつけが出来る)
そしたら全員一致で決まるようなネタ(謎の真実、伏線)になるかと
転生の場合は記憶のフォーマット、タイムスリップの場合はぼかす。
転生を取るか、タイムスリップを取るかは各作者が選ぶ。
どのシナリオでもヒロインは基本的に一人か二人(プレイヤーが選ぶ?)。
もちろん、他のキャラもサブならオッケー。
で、出来るだけ主要キャラが他と被らんようにする。
こんなもんではいかが?
火の鳥を参考にできる部分は大きいですねぇ。
演出の仕方としてたとえば
過去と未来が平行して進む とか過去と未来が互いにリンクする とか
シナリオについては・・
痕のBAD ENDのようなタイプのがあってもいいんじゃないでしょうかね。
しかもそれが正しいENDで、ハッピーエンドが用意されて無い
話も会っていいと思いますが
ていうか、基本は全部バットエンドで終わるんじゃないの?
だからこそ、真の学園編の意味があると思う。
ていうか、途中のシナリオでハッピーエンドにしたら、話が終わってしまう罠。
バッドエンドというより、よくわからん(DREAM観鈴的な)エンドで良いと思う
あまり話を繋げすぎてもだれるから、ストーリー分岐で話を3〜4個終わらせたら最終章に入るぐらいがいいかと
もちろんどのストーリーを通ってきたかで多少話が変わるように
学園編
↓
(関連ストーリー郡)
↓
最終章(学園編で攻略したヒロイン中心)
みたいな
>83
おれは本人たちのタイムトリップ派なんだが、ぼやかすのは逃げでしか
ないと思うぞ。鍵ゲーでよくいわれる「解釈が難解」な要素になってしまう。
戦国編ではりつけになった渚が現代編では平気な顔して生きてる、みたいに。
それだったらいっそのこと書き手にも読み手にも分かり易く>57のように
複数の平行世界とした方がいいと思う。
んでここからが提案なんだが、
「同時進行する平行世界に朋也たち本人がタイムトリップ」と
「記憶の維持されない転生」とを
両方とも許容してシナリオ書きに選択可能にするというのはどうだろう。
もっかのところ「本人たち」でシナリオ考えてる人と「転生」で考えてる人、
どっちもいると思うんだ。@記憶をフォーマットしてA複数の平行世界へ
同時に送りこまれる設定なら、転生と並べても違和感ないのではないかと。
エロではなく残酷すぎる描写のせいで18菌になってしまうことを期待する
>>86 全部が全部完全なバッドエンドになることもあるまい。
>>78の姿勢で行くなら、
>人の絆を求めて成就させたり、各ヒロインに割り当てられた重要アイテム(←麻枝談)を発見したりと、
という目標が主人公にはある。
目標は達成したけど、それに伴う悲劇を避けることはできなかった…
…という感じではないかな。
91 :
36:03/10/18 10:01 ID:Q+XMXmj7
なあ、悪い。設定に関する議論が盛り上がっているが、
そろそろ書き始めたいと思うんだ。
今までの議論で得るところは大いにあった。有志の人たち
がどんなゲーム像を抱いているのか分かったし、これから
問題として浮上するだろう点を確認することもできた。
だが現実問題として、これからいくらこの手の議論を進めた
ところで、有志全員が何の不満もなく「よし、これで行こう」
という合意にたどり着くことはないと思う。キッチリと争点
をまとめて多数決をとりでもすれば概ねの合意は得られるだろう。
だが細かい設定はやはり新参者を拒絶する要素になる。とりわけ
古参の多数決により決定された設定であれば。
それよりも何よりも、このまま漫然と設定について語り続ける
ことで今ある書く気が消えてしまうのが怖い。このスレの住人に
ガチでシナリオ書く気がある人が何人いるか知らんが、
俺は今のところ割と真剣にやる気でいる。けれども来週末まで
設定に関する議論が続けばどうなるか分からない。おそらく
そういう人は他にもいるんじゃないか?
>>91 …正直、そう言ってくれる貴方を俺は待っていた。
93 :
36:03/10/18 10:17 ID:Q+XMXmj7
「転生」か「本人」かについてだが、上でも何人か言ってる
ように、両立できるものだと思う。南北朝編が「転生」で、
未来編が「本人のタイムトリップ」であっても、物語全体として
調和させようと思えばどうにかなる。
「記憶を維持」するか「フォーマット」するかについては
物語の根幹にかかわる。すまないが俺は(一応多数派と思われる)
後者で行かせてもらいたい。「近未来編」を書こうと思っている
ので、そうしないことには書き始められない。ただ、漠然と過去
の記憶を維持しているようにあとから筆を加えることは可能だと
思う。
天魔王に関して個人的にはそれほど重要視してはいないんだが、
どうしてもという人がいるみたいだから、所謂「強大な敵」を
出現させることでそちらの路線にも応えられるようにしておく。
天魔王が各時代で別の姿で現れる、ということにすればうまく
調和させられると思う。
書いてゆくなかで、あるいは書きあがってから、他のシナリオとの
調和をはかるために文章をなおすことは、できるだけやりたい。
そうやって書きながら互いに歩み寄っていくことが一番の方法では?
基本的にはそんなところ。
登場させる人物とかについては次のようなもの。
94 :
36:03/10/18 10:36 ID:Q+XMXmj7
舞台は再来世紀あたり。タイムトリップで本人たちが飛ばされる。
主人公はもちろん朋也。
メインヒロインはことみと智代(順位的にはことみが上)。
風子、公子、電気屋の兄貴が重要な役割を果たす。
渚&その両親も結構重要なあつかいで登場させる。
他は必要があれば登場させるつもりでいる。
路線としてはサイバーパンク。それなりにシリアス。
随所に笑ってもらえるか分からないユーモアはまじえる。
荒廃した町の中央に君臨するユートピアの謎をめぐる冒険。
トゥルーエンドルートでは「絆」を絡めた感動を描きたい。
人死にが出るかも知れない。
そんなとこ。勝手なこと言って申し訳ないと思う。
早速とりかかります。同じように書き始める人が
いることを願って。
>91 94
賛成
でもこのレスの無さからみると、呼応して書き始める香具師あんまりいなさそうだね……。
>91
有難う。俺も君のような人を待っていたw
>94
設定だけなのでまだ解らないが、期待しておくので頑張って欲しい。
>91 94
賛成
>書いてゆくなかで、あるいは書きあがってから、他のシナリオとの
>調和をはかるために文章をなおすことは、できるだけやりたい。
>そうやって書きながら互いに歩み寄っていくことが一番の方法では?
ハカロワとの違いは、これが大きいかと。
始めからゲーム化を考えているのだし、何も(一度完成したシナリオを)修正無しというわけではないだろうし
あと、言いにくいことですが、各シナリオの著作権とかに関するルールが欲しいと思ってます
例えば書きかけ途中で逃げた人のシナリオを別の人が完成させるとか
シナリオで修正加えたい場合に、本人との連絡が取れないとか
シナリオはいいが表現力があまりに乏しいため、別の人が書きたい場合とか(一定のクオリティを保つためには必要な場合もあり得る)
これはべつに今すぐ決めなければならないものではないですが
新規参入者が加わっても滞りなく企画を進めるためや
実際に作品を発表する時の思わぬトラブルを未然に防ぐためにも必要だと思います
と、また議論を呼びそうな書き込みをしてしまいましたが
これに関しては追々考えていきましょう
それでは私もシナリオ作りに取りかかります。
また勝手な妄想垂れ流しあって空中崩壊かよおめでてぇな
と思ったら、意外とちゃんと伸びててびっくりした。
まあ、あれだ、荒れそうになったらかつてトムとジェリーが言ったように
「仲良く喧嘩しな」の精神で頑張ってほしいものです。
100 :
91:03/10/19 00:29 ID:XzqY560E
>92,>97-99
そう言ってもらえると嬉しい。思い切ったかいがあった。
それで…一日書いて「近未来編」のプロローグができあがった。
かなり長い。つーか、このスレに投下するのが不適当なほど長い。
でも読んで欲しいという思いはある。どうすりゃいい?
誰かHP立ち上げてくれるか、あるいは保管庫があると非常に楽なんだろうけど……
自分としては、あまり技術がないし、第一長期的に考えて時間が取れないので。
でも読みたいw
誰かお願いします……
>100
まあ、記念すべき第一打だから、長くても気にしないでいこうw
投下、希望。
まあ、一日ぐらい放置して見直してからの方がいい気もするが。
103 :
91:03/10/19 09:47 ID:XzqY560E
>102
一応、寝て起きて読みなおした。長いけど、今日も書くつもりだから
すまんが投下させてもらうわ。
>98
おれはこの企画に関しては自分の著作権を放棄する。最後まで
つきあうつもりでいるし、書いたものを叩かれたくらいで逃げたり
しないが、ひょっとして何かあるかも知れないから宣言しておくけど、
おれが消えたら続きはどなたか好きに書いて下さい。
それでは、ちょっとこのスレをジャックさせてもらいます。
目覚めて最初に見たものは赤茶けた天井だった。
薄い金属の板が並べられた天井で、
窓からの光を受けて凹凸の多い表面がはっきりとよく見える。
赤茶けているのは、その金属に浮いた錆の色だった。
眠気の抜けきらない頭に新鮮な空気を送りこもうと、
鼻から大きく息を吸いこんだ。
強い機械油の臭いがした。
今までに嗅いだことのない、かすかな甘さを孕んだ機械油の臭い――
「お、気がついたみたいだな」
突然の声に跳ね起きた。
一気に心臓の鼓動が激しくなる。
だが声をかけてきた男の顔を見て動悸が少しやわらいだ。
その顔に見覚えがあったからだ。
電気工の兄ちゃんだ。名前はたしか――
「……芳野祐介」
「何だ? いきなり人の名前を呼び捨てにして。
もっと他に言うべきことがあるだろ、こういう場合」
芳野はあきれたように笑いながら言った。
「言うべきこと……そう……そうだ。ここは一体どこだ?
何で俺が電気屋の兄ちゃんと……こんなところに……」
チ・チ・チ・チ・チ。軽やかな舌打ちが返ってきた。
「そいつはまたあとだ。同じこと何度も説明するのは面倒なんでね。
そいつらが起きたらちゃんと聞かせてやるよ」
「そいつら?」
ふと右手の指先に何か柔らかいものがあたっているのに気づいた。
目を遣って慌ててそれを引っこめた。
コンクリートの床に敷かれたマットレスのようなものの上に横たわる
女の太腿に触れていたのだ。
同じ学校の二年生の坂上智代。
その隣にもう一人。同じクラスの一ノ瀬ことみが規則正しい寝息を立てていた。
「これは一体、どういう……?」
「だからあとでちゃんと聞かせてやる。
それよりも俺はあんたの言葉を待ってるんだよ。
言うべきことがあるだろ? 人として」
「……言うべきこと?」
「この状況から分かるだろ。助けてやったんだよ、あんたらを。い・の・ち・の恩人」
「……それで?」
「命の恩人には言うべき言葉があるんじゃないのかね、岡崎くん?」
「ああ……ありがとう」
それを聞くと芳野はさも満足そうに笑って見せた。
「あっ、気がついたんですね」
金属のきしむ重い音がして扉が開き、外の光と一緒に少女が入ってきた。
逆光でよく顔が見えないが、
声でそれが同じ学校の一年生の伊吹風子であることが分かった。
「どうして伊吹が……何だか、頭がおかしくなりそうだ」
「えっ? お兄ちゃん、何も説明してないの?」
「…………お兄ちゃん?」
お兄ちゃんって何だ? たしか伊吹は公子先生の妹で……。
ますます激しくなる俺の混乱を打ち消すように、
風子がいそいそと手を振って見せた。
「あ……ちっ、違うんです! 別に血が繋がっているとか、そういうのじゃなくて!」
「『電気屋のお兄ちゃん』を短くすりゃ『お兄ちゃん』だろ。
呼びたきゃあんたもそう呼んでいい」
あまり面白くもなさそうに芳野が口を挟んだ。
風子が何かを言おうとして、止めた。芳野はそれを見て小さく鼻を鳴らした。
そうしたやりとりから二人の間に親密なもの
――ちょうど兄妹のような関係を感じた。
そして二人はそれを隠している――隠そうとしている。
「……まだ起きてそんなに経ってないけど、かなり疲れた。
こいつら起こすからさ、俺の頭にかかっている黒い霧をどうにかしてくれ」
「時間が来ないと起きないんです」
風子が落ち着いた目でこちらを見つめながら呟いた。
小さく一つ溜息をついて芳野が言葉を継いだ。
「時間が来ればいやでも目覚める」
ほらそんな感じにな。
――その言葉に応じるかのように二つの身体がもぞもぞと動いた。
まずことみが制服の乱れを気にしながらゆっくりと身を起こし、
智代がタオルケットをはね除けて飛び起きた。
そのあまりの勢いにことみが小さく身をすくめる。
「あ……あれ?」
智代は直立して呆然と辺りを見回した。
ことみは固まったまま沈黙している。
二人の頭のなかが手にとるように分かった。
さっきの俺とまったく同じ疑問と不安に襲われているのだ。
「良かった。みんな揃ったのね」
緊張を破ったのは公子先生の声だった。
先生は灰色の袋のようなものを手に提げて入ってきた。
いつもの優しい表情をしている。
その声には人を安心させる力がある――二人の緊張が解けたようだ。
智代は両腕の力を抜き、ことみの小さな溜息が聞こえた。
公子先生は灰色の袋をテーブルのうえに載せると、
椅子を引いて俺たちに座るようにうながした。
長いこと雨晒しになっていたような粗末なテーブルと椅子だった。
芳野と風子はもう席についている。
全員が着席したところで芳野がおもむろに口を開いた。
「さて。ちょっとばかり長い話になるけど」
そう切り出して、ちょっとどころではなく長い話が始まった。
――それは俺たちのもといた時代から「この時代」に至るまでの物語だった。
西暦2265年の中京――かつて名古屋と呼ばれた都市。
芳野の話を信じるなら、俺たちがいる場所はそこだった。
アメリカの主導する不愉快な平和に守られた21世紀の終わりに、
日本の首都は東京から名古屋に移った。俺たちが生きていたのは、
その移り変わりの始まりだったと公子先生が語ってくれた。
企業は開発し尽くされた東京から離れ、
多くの土地と交通の利点をもつ名古屋へと移っていった。
中京という新しい名前が与えられて首都となってからも発展は続き、
ここを中心として重軽の工業が盛り返しを見せ、
日本の経済は再び世界を席巻した。――そして混乱の22世紀を迎えた。
混乱の原因は石油が枯渇したことだった。
100年以上の年月をかけて世界中が頭を悩ませてきた
「石油に代わるエネルギー源」はついに見つからなかった。
天然ガスにも原子力にもそれだけの器量はなかった。
当たり前だよな、原子力発電所を建設するのにどれだけの石油がいると思う、
と芳野が言った。
その混乱はしかし、長らく辛酸をなめ続けた第三世界を活気づけた。
アメリカの主導力は急速に衰え、敗れたことのない「大きな子供の国」は
だだをこねるように戦争を引き起こし、
それは第三次世界大戦と呼ばれる事態にまでなった。
アメリカは全世界を相手に戦った。
当初は圧倒的優勢にあった世界最強の軍隊は、
泥沼と化した戦場のそこかしこで敗れるようになった。
その戦争のおかげで本当に一滴も石油がなくなったのだ。
戦闘機も戦車も動かない状況は、近代的な戦争を許さなかった。
ベトナムの悪夢が蘇り、理性を失ったアメリカは核のボタンを押した。
繰り返し押した。だが核を保有する国はもはやアメリカだけではなかった。
今日はここ、次の日はここというように巨大な都市が次々と灰になり、
気がついたときには世界の半分が死の平野になっていた。
その核も撃ち尽くされて、戦争に疲れきった国々でさらに内戦が起こり、
自然消滅のかたちで大戦が終わって23世紀がきた。
日本は戦争の22世紀をどうにかやり過ごした。
アメリカの再三の警告にもかかわらず中立を保ち、
ひたすら自衛のために軍隊を使った。
もちろん戦渦はまぬがれられず中京も東京もがれきの山になったが、
最初の被爆国であるこの国に新しい核が投下されることはなかった。
どこの国にも他にもっと核を叩きこみたい相手がいたからだ。
しかし石油の枯渇は工業における日本のイニシアチブを失わせた。
と言うよりも――工業そのものが小さくなってしまったのだ
と公子先生は言った。
23世紀に入り、内戦はくすぶっていたけれども国家間の争いはなくなった。
そして人類は深い虚脱感におそわれた。
原因は100年にわたる戦争ではなく、
これまで延々と進化してきた文明を退行させなければならないことだった。
簡単に言えば、今さら誰も蒸気機関車なんて作りたくないんだよ、
と芳野が言った。
空白の50年が過ぎ、人間はいまだ新たな熱源をえられないでいる。
――西暦2265年の中京。
芳野たちの話を信じるなら、俺たちがいる場所はそこだった。
「もう一回だけ確認させてもらえば……俺たちはつまり」
「デロリアンにも乗らずにタイムスリップしちまった、とそういうわけさ」
頭の後ろに手を組んで芳野がそう言い、大きく一つあくびをした。
外はもう夜だった。
芳野と公子先生が話している間に風子が作ってくれた夕食が
テーブルの上に並べられた。
肉と野菜の浮かぶミネストローネのようなスープはなかなか美味しく、
正直にそう言うと風子は赤くなって下を向いた。
「私たちはここに来てもう2年になるの」
パンをちぎりながら公子先生がそう言った。
「でも俺は、昨日に先生と話したのを覚えてる」
俺がそう言うと、先生は少しだけ寂しそうに微笑んだ。
「ええ、私も覚えているわ。――タイムラグがあったのね、きっと。
タイムスリップ自体おかしなことだから、何があっても不思議はないけど。
信じられない話よね。私たちはもう慣れちゃったけど、
あなたたちがまだ受け容れられないのも分かるよ。
……ずっとそうだったから」
そう言って風子の方を見た。
風子はもう大丈夫だというように頷いた。
言われてみれば風子は俺の知っている彼女とは違う、
少しだけ大人びた身体と仕草を携えていた。
「それからお兄ちゃ――芳野さんと一緒に暮らしてきたんです。
何もかも違うことだらけで、お姉ちゃんと二人だけだったら
どうなっていたか分かりません」
「なに、俺なんかいなくても立派にやっていたさ。
助けられているのは、むしろ俺の方だ」
芳野はそっけなくそう言って俺たちに向きなおった。
「さて、質問があれば受け付けるけど?」
「この時代のこの国のことをもっとよく知りたい」
これまで押し黙っていたことみが切り返した。
「いいよ。何でも聞いてくれ」
「この国の産業は今、どうなっているんですか?」
そのことみの質問は俺には予想外のものだった。
……もっと他に聞くべきことがあるだろう。
だが、芳野はその質問を聞いてにやりと笑って見せた。
「精密機械工業が軸になっているな。
戦争のあいだ工業はほとんど発達しなかったが、
21世紀に精密機械はかなり進歩したんだ。
石油はなくなっても電力はあるから、小さいものなら作れるのさ。
そのうちまた話すけど、俺は今それで飯を食っている。
何のことはない、こっちでも電気屋の兄ちゃんやってるんだよ」
そう語る芳野を風子は誇らしげに見つめていた。
三人が一緒に暮らしてきたのなら、彼の稼ぎは二人を食わせる
ものでもあったのだろう。
だが公子先生は申し訳なさそうに、暗い視線をテーブルに落としていた。
「じゃあ、この国の文化は?」
「文化?」
ことみの二つめの質問に、芳野の左眉がぴくりと動いた。
「そう文化です。文学とか、音楽とか」
「フ」
芳野の左眉がまたぴくりと動いた。
公子先生と風子が「あ」という顔をして芳野を見た。
「フ・フ・フ」
その瞬間。どこからか軽快な音楽が鳴り響いた。
本当に鳴り響いたのだ。
「よくぞ聞いてくれた」
それは誰でも知っている御機嫌なギターのイントロ
――ジョニー・B・グッドだった。
芳野はかっ、と目を見開いて口火を切った。
「文化――そう文化! この国ではもはや多くの文化は死んだ!
小説も漫画もあるが誰も読まない! だが音楽!
ロックンロールはこの死にかけた町に大きく花開いたのだ!」
俺は唖然として芳野を眺めた。まるで人が違ったようだ。
幻聴ではない証拠に、ことみも智代も同じような表情で彼を眺めている。
第一にこの音楽は何だ? どこから聞こえてくる?
公子先生と風子はわけ知り顔で、特に驚いた様子はない。
BGMは主旋律に入り、芳野の演説はさらに加速した。
「君たちは知っているか?
ロックンロールが荒廃した町かどに生まれたことを!
そう、この町のような吹きだまりに命を受けたことを!
どんな人間もロックンロールの前には平等だ、金持ちも貧乏人もない!
熱いソウルを感じられるかどうか、それだけだ! それだけが全てだ!
この死にかけた町では今、ロックンロールが全てだ!
そうさこの町こそ俺がずっと求めてやまなかった心の――」
「祐介さん」
……キュイーンという音がしてサビを目前にBGMが止んだ。
公子先生の呼びかけに「はい」と返事をして、
憑き物が落ちたように芳野は大人しくなった。
「と……まあ、そんなところだ。ああ、喋ったら疲れたな。
おお、もうこんな時間になっちまった。
まだ聞きたいことはあるだろうけど明日にしよう。うん、そうしよう」
「その指輪で離れたところにあるギターを弾くような技術が、
この時代にはあるということですね」
ことみの指摘に芳野は目を丸くした。
風子や公子先生さえも目を丸くした。
俺には最初、ことみが何を言っているのか理解できなかった。
「よく分かったな。その通りだ。こういう技術が、今の時代にはある」
そう言って両手を広げて見せた。
全ての指に銀色に光る指輪がはめられていた。
……俺はそんな指輪がはめられていたことさえ気づかなかったのに。
「まあ、そのうちゆっくり話すさ。
さっきも言ったようにもう遅い。今夜はそろそろ寝よう」
「一ノ瀬さんと坂上さんは、私たちの家に来る?」
どうやら姉妹は芳野とは違うところに寝起きしているようだ。
だがそんな公子先生の誘いを、ことみは丁寧に退けた。
「いえ、もし許してもらえるならここで休みたいです」
二人はしばらく見つめあっていたが、
公子先生が目を伏せて優しくその緊張を解いた。
「坂上さんは?」
「あたしは、どこでもいいですけど」
「それなら今日ここに来たばかりの三人でお休みなさい。
岡崎くん、二人のことお願いね」
「え? あ、はい」
俺が間抜けな返事をすると、芳野がおどけた口調で抗議した。
「おいおい、それじゃ俺はどこに寝ればいいんだ?
春とはいえ野宿にはちょっと寒いぞ」
「じゃあ、お兄ちゃんがわたしたちのところに来ればいいよ」
風子がそう言うと、芳野は「え?」と呟いて固まった。
「そうしましょう。祐介さん、狭い家ですけど」
「いや、それはちょっと問題があるんじゃ……」
「あら、どんな問題があるのかしら?」
公子先生は明らかに狼狽する芳野を不思議そうに見つめていた。
風子は片づけてくると言ってもう外に出ている。
――分からないことだらけの一日だった。
けれどもその一日の終わりに、俺たちよりも二年はやくこの町に来ていた
三人の関係だけは、何となく分かった気がした。
**********************************************
プロローグ(というか一日目)は、このあと朋也たち三人
の初夜(えろいことはしない)のシーンがあって終わります。
そのあたりは今日書くつもりでいる。
電気工と公子先生の間にいわくめいたものがあること、
電気工がときどきロックの魂をシャウトすること、
ことみが頭脳明晰であること、
などをヒントにして描いてみました。
一介の読み手として。
正直、……面白い。
電気屋がロックの魂を叫ぶシーンとか、脳内に絵とBGM出てきた。
>電気工と公子先生の間にいわくめいたものがある
そうだったのか。知らんかった
面白いです。えぇえぇ。
しかも現実味があってある意味怖い。
キャラが生きていると思いますた。
風子たんが2歳も歳をとってしまったのは悲しい・・・がw
スマソ。想像していた以上に遥かに面白いわ。
ご苦労様です。
ただ、目についたところが一つだけ。
アメリカを悪者にするのは全然構わないけど、『アメリカの主導する不愉快な平和』という言葉は違和感がある。
普通の男子高校生はそんなこと思っていないと思う。まあ、今の日本はアメリカ叩きがあるけど。
芳賀達→アメリカ嫌い。アメリカが全ての原因と思っている。
主人公→タイムスリップしたばかりなので、アメリカに対しての悪感情は少ない。というより、実感が無い。
この違いを明らかにした方がいいと思う。俺もアメリカは嫌いだが、主人公もあっさり嫌いにしてしまうのは変かと。
如何せん、政治に詳しい不良なんておらんだろうし。これからじょじょに嫌いになっていくというのはどうでしょ?
後は普通に面白い。てか、続きが見たいw
描写の細部にいくつか直して欲しいところはあるものの
やはり面白いです。
確かに展開的にこのくらいのペースがいいですねw
ところで皆さん、
>>122氏の板は使いますよね?
>91氏
選択肢は、どうなさるんで?
>91氏
何度もスマソ。確認したいんですが、
祐介・風子・公子は、AD2003年からAD2263年にタイムトラベルして
その後2年間を23世紀の中京で生活。
朋也・智代・ことみは、AD2003年からAD2265年にタイムトラベルしたばかり。
その他の連中は未詳……という認識でオッケーなんですよね?
そしそうなら祐介は、生来の2003年の技術しか持たないにもかかわらず、
260年後の世界でも電気工として生計を立ててきた……
ということになりますが(江戸時代の職人が現代でエンジニアをやるのに相当?)、
それは何かの伏線だと思っていいんですよね?
>122-125
そう言って貰えりゃ、テキスト書き冥利に尽きますわ。
物語を描くことよりも、キャラを立てることを目的にして
書いているので、>121,>123みたいなレスは特に嬉しい。
>124
アメリカ嫌いに関しては朋也の主観じゃないんです。
23世紀に生きる人間たちの共通的な価値観ということで。
つまり公子先生たちもそっちに飛んでから2年しか経って
ないわけで、そういう歴史的なことや価値観は、そこに
住む人間たちの受け売りになるわけですよ。
朋也たちは脳味噌停止状態で、とりあえずそれを聞いた
という状況。
まあもし主観的にアメリカ嫌いな人間が他にいるとすれば
おれですがw
>126-127
辿り着いた年代的にはその認識でオーケーです。
電気工はもちろん伏線です。この時代の人間が身体に器機を
埋めこんでいるという設定をふまえた、あっと驚く説明
を用意してます。
んで、選択肢なんだけど、おれはトゥルーエンドルート
を描き終わったあとにしたい。一本中心となる物語を描いて
からサブルートを描いた方が作りやすいと思うし。
>122
お疲れさまです。そっちにも行ってみます。
今日は智代との会話を考えながら眠ってしまったので
あまり進んでないんですが、続きはそちらの専用板に投下
した方がいいのかな? テキストの投下方法については
ちゃんと考えた方がいいかも知れない。
129 :
ネタゲ板”管理”人:03/10/19 23:59 ID:TrDYNE8A
シナリオスレ立てますた
後はお任せしまつ
ageちまった
スマソ
>>104-119 …………。
自分の文才でこれと同レベルの文章が書けるかどうか、激しく不安だ。
たしかにライター有志にゃ少々酷な展開だなや。
だがそれがいい。
漏れたちが見たいのはクラナドを超えるクラナドだったはずだ。
・・・などと言えるのはROMだからだが。
133 :
124:03/10/20 15:42 ID:374tj2ue
>128
俺は日本語が下手だから上手くいえないんだが、文章を見る限り、公子先生が言った事を主人公が自分なりに吟味した上で、まとめて(読者に)説明しているという雰囲気がするんだ。
だから、『敗れたことの無い子供の国』、『だだをこねるように』など、主人公が初めからアメリカに対して悪感情を抱いているようにとれてしまう。そして、どうも作者の(アメリカ嫌いという)意図がストレートに伝わりすぎる気がするんだ。
まあ、脳味噌空っぽの状態なら納得できるけど、言われない限り気付かないし。
一応、言っとくが、つまらんと言っているわけでも、荒らし目的なんかでもない。
俺は、これはツッコミの範囲内と思っているが、ダメなら言ってくれ。
つーか、完成度が高いから、どうしても細かい所に目が行ってしまうんだ。
>133
完成度が高いから細かいところに目が行くってのは十分にわかる。
つーかそれ以外マンセーにしかならん。まだアラが出てないだけ
かも知れんが、オリジナルに近いSSは書き出しが命。その点で
クオリティはかなり高いと思う。
だがまあ、あれだ。あのレベルでも色々いわれるんだとか思ったら
書き手が集まらんと思うぞ。難しいところだが。そうでなくても
漏れは比べられるのが怖くて躊躇してるのに…。
西暦3003年頃の宇宙編を書こうと思いますが、
近未来氏の書かれたところの2265年設定を引き継いだほうがいいでしょうか。
それとも、2003年or2004年の学園編のルート選択で
未来への歴史が枝分かれしたとか何とか言って、全く別の宇宙史にしたほうがいいでしょうか。
ちなみに、朋也自身のタイムスリップではなく、朋也の子孫が主人公です。
滅びた地球の都市遺跡で、冷凍保存された朋也と渚の脳を発見したりします。
>>132 >漏れたちが見たいのはクラナドを超えるクラナドだったはずだ。
その言や、よし。
136 :
名無しさんだよもん:03/10/20 20:58 ID:UBWGn0k3
>135
近未来氏の主張は「ライターが自由に書いて、あとで整合させる」
だったと思うので、書きやすい方でいいと思われます。
スゴイ楽しみにしてます。期待あげ。
>134
スマソ。その通りだな。俺が浅はかだった。
せっかくの勢いを、重箱の隅つつくような意見で下げるのは正直イカンな。
近未来の作者さん、本気で申し訳なかった。質はかなりのものだから、気にせず頑張って下さい。
あんま買いかぶらんといてくれ。すげえプレッシャーだっつーの。
第一おれは非鍵的な文章しか書けんから、あくまで「違いを楽しむ」
一環として「硬めの文章でクラナドキャラを描いた」要素としてほしい。
おれが書いてるような物語が最初から最後まで続いたら、
それはもはやクラナドのネタゲーじゃないと思う。
ガンガン書いてくれんと、おれも書いてて面白くない。
プロローグの続き書けたので投下します。
したらばに投下すべきかとも思うけど、まだこのスレ自体あまり認知
されてないみたいだから、こっちを活性化させる意味で。
>137
いや、読み返してみるとたしかにアメリカ嫌いなおれの主観が
入りすぎてたかも知れない。推敲はずっとあとになるだろうけど、
そのときの参考にさせてもらいます。
>135
おれの設定は気にせず好きにやっちゃって下さい。おれからして
好き放題設定つくりまくってるので。楽しみにしてます。
芳野たちが出ていってしまうと、部屋には
奇妙なとりあわせと言ってもいい三人が残された。
床には体育用マットのように厚くて長い一枚の寝具
――俺たちのために特別に用意されたものだろう――
が敷かれていて、今夜は三人でそこに雑魚寝をすることになる。
智代はまだ俺たちの学校に編入してきて間もなかったし、
ことみは他人のことにあまり興味を示すタイプではないから
予想はしていたのだが、二人はほとんど初対面であるようだった。
自然と俺を真ん中にして右にことみが、
左に智代が同じように膝を抱えて座っている。
天井から下がる裸電球のような照明がくたびれた光を放っている。
その明かりを調節するためには指のスナップ音を聞かせたあとに
0から10の数字を告げればいいのだという。
「なあ、どうして公子先生のところへ行かなかったんだ?」
俺がそう質問すると、ことみはこちらに視線を向けずにぼんやりと答えた。
「あの先生は優しいから」
「……優しいから?」
「今日は色々なことがあって、まだ考えの整理がついていないの」
心ここにあらずといった感じでともみはそう呟き、俺を見て曖昧に微笑んだ。
「ごめんね。今は一人で考えさせて」
「つまり……話しかけるな、ということ?」
「――ごめんなさい」
俺は仕方なくことみとの会話を諦めた。
その時、智代がすっと立ちあがって扉から外に出ようとした。
「どこに行くんだ?」
「ちょっと外の空気が吸いたい」
「おいおい危ないだろ。何がいるか分からないんだぞ」
「大丈夫だよ。そんな遠くまで行かないし」
俺はことみを見た。行ってらっしゃい、という視線が返ってきた。
智代はもう後ろ手に扉を閉めようとしていた。
俺の同伴に智代は不平をしめさなかった。
初めて外から見れば俺たちが過ごしていたのは体の良いバラックで、
周囲にはそんな押し潰されたような建物が軒を連ねていた。
しばらく歩き続けて拓けた通りに出た。繁華街だった。
灯火の一本もない街路は、けれども夜らしい明かりに満たされていた。
中空に水の流れが見える大きな硝子玉のようなオブジェが
広い道の中央に鎮座し、立体映像なのだろうか、
その頂の夜空に銀色の時針が描きだされていた。
午前一時だった。だが人通りはまだ決して少なくはなかった。
「250年も経ってるのに、同じような服を着ているんだな」
俺がそう感想を漏らすと、智代は「たしかにね」と相槌をうった。
どういうわけか人々の服装は21世紀はじめのそれに近く、
制服を着たままの俺たちがじろじろ眺められることもなかった。
「たしかにあんまり変わってない」
天気について語るように智代がそう呟いた。
「どんなに変わっているかと思ったのに、ちょっと残念」
「何をのんきなことを……」
俺がそう言うと、智代は平然とした表情をこちらに向けた。
「すぐに帰れるとは限らないし、それならこの状況を楽しまないと」
「すぐにどころか、死ぬまで帰れないかも知れないっての」
「悩んで向こうに帰れるならいくらでも悩むけどね。
どうやらそう簡単でもなさそうだし」
そう言って智代は楽しそうに笑って見せた。
俺には舌打ちしてそれをかわすことしかできなかった。
智代の言葉が強がりではないのをはっきりと感じたからだ。
「――ねえ、岡崎はさ」
「呼び捨てにするなって言ったろ」
そんな俺の文句を無視して智代は続けた。
「岡崎はこの状況、わりと怖かったりする?」
「……どうしてそんなこと聞くんだ」
「あたし、何だか少しも怖くないんだ。
普通の人ならこういうとき怖くて泣いたり悩んだりするんだろうけど、
自分でも不思議なほど何も怖くない。
知らないうちに遠い国に置き去りにされたような感じ」
「ばか。遠い国に置き去りにされたら普通は怖がるだろ」
「あ、そうか。そうだよね」
相変わらず淡々とした智代の言葉を聞きながら、ふと気づいた。
たしかに自分も思ったより不安を覚えていない。
こんな異常に巻きこまれながらそれほど悲観していない。
明日になればうららかな春の陽の下に、
この町の様子をもの珍しく見てまわりかねない。
「でもまあ、言われてみればそうだな。俺もわりと気楽かも」
「本当にそう?」
「何か、少しだけ明日が楽しみだ」
「あたしもそう。でも――悪いことじゃないよね、それって」
智代はそう言って、今度はいつになく不安そうな瞳で俺を見た。
ああ、ばかだこいつ。
思わず息だけで笑いながら「悪いことじゃない」と返した。
「……どうして笑うのよ」
それでも俺が笑い続けていると、智代はつまらなそうに視線をそらした。
――そこで智代の足が止まった。小さく口を開いたまま虚空を見あげ、
右手の人差し指でその視線の先を指した。
俺は笑いながらそちらを見て、すぐにその表情を消した。
あまりにも巨大な漆黒の塔が、まるで天上への階段のように
そびえていた。そのすそは視界の半分に広がり、
上へのぼるほどに一段また一段と狭まってゆく。
明かり一つない表面は黒曜石のような光沢を放ち、
その先端は夜空に溶けて見えない。
――どこかで聞いたことがある。
天空を目指して築かれた塔。
神の怒りにふれて破壊された塔。
目の前に君臨するものがそれだと、疑いもなくそう信じた。
「――もう帰ろう」
塔を見あげたままの智代が、独り言のように囁いた。
バラックに帰り着くとことみはまだ起きていた。
智代は靴を脱ぐなりタオルケットにくるまり、
疲れたと言って早々に寝に入った。
五分も経たないうちに寝息が聞こえ始めた。
俺は複雑な感情を深い溜息に託した。
「町はどうだった?」
こちらに視線を向けずにことみがそう尋ねた。
「思ったほどでもなかった」
「私たちの町と似ていたということね」
「ああ。もちろん違いはあったけど」
「それほど目にはつかなかった」
「そんなところだ。予想通りだった?」
「もう新しいものはあまり必要なかったから。
あの私たちの時代でさえ。
きっと目に見えるもので、それほどの変化はないと思ってた」
ことみはそう言ってこちらに顔を向けた。
「でも何かあったんじゃない?
私たちの時代には想像もできなかったような何かが」
「……たしかにあった」
「何があったの?」
「歴史の授業で聞いたと思ったんだが、
大昔に建てられた塔。神の怒りにふれて壊されたやつ」
「バベルの塔?」
「それ。そんな感じの塔が町の真ん中に建ってた」
「そう……そうなんだ」
そう言いながらことみは前に向きなおり、それから一言も喋らなかった。
真夜中。暗闇に目を覚ました。
ことみの寝ている方からすすり泣く声が聞こえた。
押し殺したような哀しい声。
慰めようとして――その方法が見つからなかった。
俺はこの町に来て初めて親父のことを考えた。
暗い家の扉を開け、一人で夕飯を食べ、
布団を敷いて寝る親父の姿を思い浮かべた。
けれども俺は涙を流すほどに、それを哀しく思うことはできなかった。
――せめてことみが泣きやむまで眠らずにいようと思った。
暗闇に目を開けて親父のことを考え続け、
やがて静かな寝息が耳に届いてから、目を閉じた。
********************************************
以上でプロローグ(1日目)終わりです。
白状するまでもなくことみ萌えです。
最後は湿っぽくなりましたが、2日目はまた電気屋に
盛り上げてもらいます。オリキャラも出します。
good job! good job!(AA略)
あ、皆に提案。
オリキャラ出すのなら、葉鍵キャラで代用しない?
一応はこの板の住民としての体裁を保っておかないといけないと思ってさ。
>近未来編
続きが読みたいw
智代の性格も上手く現しているし。
ことみの涙のわけも気になるし、塔の謎などなど。
プロローグとして、良い具合に謎を散りばめていると思う。
あ、提案に補足。
葉鍵キャラで代用したら、CGやそのキャラのテーマソングなど、ゲーム化でもかなり楽になると思う。
連続カキコ、スマソ。
>151
葉鍵キャラで代用するなら、モロにキャラかぶってるやつが一名
いないことはないんだがな……。
良いアイデアだけど、「転生」で書く人なんかはきっとオリキャラ
沢山いるだろうから、なかなか難しいとは思うぞ。
クラナドのネタゲーってことで体裁は保てんかね。
ぶっちゃけ、いつか板違いと叩かれそうで恐い。
これに参加する予定の俺自身も、半分そんな気がしている。
それに、現実問題としてオリキャラ沢山のゲームを作れるとは思えないのだが。絵、音楽を含む労力からして。
代用キャラなら、ネットで探せば資料は出てくると思う。そのキャラも転生させれば使いまわしが可能だと。
流れ壊して、スマソ。ただ、今の内に言わないと間に合わないと思ってね。
>>154 叩き上等。そんだけ人数が集まってきたってことだしな。
板違い叩きはないとおもうけどね。クラナドのキャラ使ってるんだし。
それにまぁ、実際問題、オリキャラある程度出さないと話作れない面もあるわな。
メイン張るようなオリキャラがんがん出ることもないだろうし、音楽についてはそれほど気にすることもないんじゃない?
絵に関しては、本気でこの企画を成功させるには、10人程度の絵師は少なくとも必要だろうから、
今現在ではそれほど気にすることもないんじゃないかな?
名前は弁慶と義経と静御前で、衣裳は鎌倉時代で、顔は七瀬と長森と繭とか
そんなパターンもイケるかもしれんな。
推古天皇は秋子さんだな
歴史モノという時点で、どうしてもオリキャラになってしまう。
だから、口調と雰囲気だけをあわせればいい。語尾に「だよもん」をつけたら、不思議と長森に思えるし。
まあ、オリキャラはあくまでサブというのは、もう話し合ったことだし。
一人か二人くらい完全オリキャラがいても構わないんじゃない?
本スレage
有志求ム
I WANT YOU FOR NETANNAD
後半の重要なオリキャラとして人語を解するミュータントの猫(下品)を
登場させるつもりなんだが、葉鍵キャラ代用だとピロシキにせざるをえない。
ちょっとイメージが違うので、できれば避けたい。
いま書いてるとこのオリキャラは中年のドイツ人で仕立屋。
このオッサンをRoutesのエディに置き換えることは可能。
立ち絵のほしいオリキャラとして考えてるのはこの二人(匹)かな。
先の見えない現状からして、CGのことを言えば鬼が笑うと思うが…。
>160
いっその事、人間キャラでイメージが同じ人を使ったらどうでしょう?
(たとえば春原とか)
転生でもタイムトリップでも、無理すれば説明つけられるでしょうし。
葉キャラも出すのか?
>161
いや、それが猫じゃないとどうしても駄目なんだ。
春原じゃことみと一緒に風呂に入れたりできんだろw
>163
なるほど
ならばその猫を他の時代でことみの恋人にするとか(笑)
ところで、ソフト使うのか自分でプログラム組むのかどっちなんだ?
なかなかシナリオが書けない。
歴史設定の中でクラナドキャラが動いてくれない……。
167 :
名無しさんだよもん:03/10/22 06:25 ID:RAJ8yvFr
そもそも1枚のCGと数行の人格設定しか与えられていない状態で
そのキャラ動かそうとすること自体が無謀だからな。
ましてやそれをタイムスリップさせるなどという荒行に至っては…。
168 :
Autumn:03/10/22 21:15 ID:I9FkrZX2
以前お約束していたネットADV作成プログラムのベータ版を作ってみました。
http://219.106.249.22 まだ作り立てなので、バグ+未実装の機能等がありますが、
今後皆さんの意見を取り入れて改良していきたいと思います。
1.このプログラムの目的
このプログラムは、書かれたシナリオや世界設定、キャラクター設定をDBに保存し
それを後々リンクさせるためのものですので、全体的な会議や意見の交換などは
引き続きこのスレでやった方がいいかもしれません。
なにしろ2chの知名度のほうが遥かに高いですからね。
2.すでに書かれたシナリオについて
また、勝手ながら「Future」「Winter」「近未来編」をこちらのサイトにコピーさせてもらいました。
シナリオ内の「意見箱」にそれぞれの作者さんの取得したIDを書いてもらえれば、こちらで執筆者(管理者)権限
の変更を行ないます。
169 :
Autumn:03/10/22 21:16 ID:I9FkrZX2
3.仕様
まずすべてのユーザーは、IDを取得します。同時にPW、名前(表示されるハンドル)を設定できます。
メールアドレスも登録できますが、いまのところ仕様用途はありません。
PWは面倒でしたら無指定でもOKです。セキュリティー上好ましくありませんが
すべてのユーザーは「シナリオ」を作成することが出来ます。
この「シナリオ」の中で、それぞれ
「キャラクター設定」 ・・・キャラクターの性格の説明
「設定」 ・・・その世界にある設定
「ストーリー」 ・・・ストーリー本文
「環境設定」 ・・・背景画像と紹介文
「意見箱」 ・・・簡易掲示板
の設定ができるようになっています。
「キャラクター」「設定」「ストーリー」「意見箱」の追加はすべての
ユーザーが行なえますが、削除+変更は誰も行えません。
「環境設定」はそのシナリオを立ち上げた「執筆者」のみが変更可能です。
4.システム全般(解からない人は無視してください)
フォームのキャッシュはすべて破棄されます(IEの場合)
JAVASCRIPTとスタイルシートを使っています
ストーリーの文字数制限は大体5000字です。
もう一度言いますが、これはベータ版です。
皆さんに使ってもらって、意見を言ってもらえれば、それをもとに改良していくことができますので・・・
よろしくお願いします。
>167-168
乙です。少ししか見てないけど、よくできてると思う。
ときに、これって制作用の暫定仕様ってこと?
それともこの延長上にモノホンのゲームができるんだろうか。
……もうだめぽ?
>Autumn氏
乙です〜
早速見させて頂きました。すばらしいw
諸事情により2月の真ん中くらいまであまり時間が取れませんが……
何とか書き溜めていこうかと思いますので。
シナリオ書きの方で、構想中の方。「こんなん考えてるけど…」というのがありましたら
一行でもいいので、レスしましょうよ?
それが他の方の励みになると思います。
私はひとまず、歴史の知識がそれほどないので資料集めをしています。
今考えているのが、「(古代)ギリシャ編」の一部(?)、ソクラテス編
なるものです。
やる気無しの不良少年、春原陽平君を主軸に
哲学者ソクラテスの生き方との関わりから
彼がどのように成長(とは限りませんが)するのかを書いていこうと思います。
皆さん、シナリオが書けなくても、レスしたりネタ提供(こんなん書いてくれ、とか)
するなど、シナリオを盛り上げる方法はいろいろあると思います。
頑張ってるシナリオ書きためにも、このスレを盛り上げていきましょうw
書きたいのは山々だけど…。
昔好きだった、あるSSスレがあってね。
寂れてたもんだから割と気合入れて書いて投下したら
設定厨ウザイ氏ねって無茶苦茶叩かれてね。
そのまま雰囲気が悪くなってそのスレはDAT落ち。
今から考えたら、自分が下手な文さえ書かなけりゃ
あんなことにはならなかったろうなと後悔してる。
>>172さんの言うことはもっともだが、このスレで同じ轍は踏みたくないんだ。
そうですね。
最初からゲームを作成する目的ではじめましたけど、
その方向性が間違っていたかもしれません。
好きなときに好きなようにSS書いて、それをみんなでシェアして、
で、いずれはゲームなりなんなりにしていくって言う形の方が自然なんだと思います。
>172
ソクラテス編。いいですねぇ。
でも春原がソクラテスの弟子みたいな形になったら、
彼のことですから歴史を変えようとするような気もしますけど。
>173
そんなあなたに
http://219.106.249.22。
個人サーバーなのでDAT落ちはしません(爆)
冗談はさておき、173さん、そんな自分を責めずに気楽にいきましょう。
ここは自由な世界なんですから、好きなもの書いて好きなところに書いて何が悪いんですか。
「設定厨ウザイ氏ね」
なんて短い文章でしか自分の意見を表せない人に、下手でもなんでも気合を入れて
文章を書いた人のことをどうこう言う資格なんてありゃしません。
だからなにかアイデアが浮かんで、それを書くことがあったら、
気兼ねなくシェアしてください。お願いします。
しまった〜。
ギリシャなんてマニアックなの誰も選ばないだろうからもうちょい煮詰めてから書き込もうと思ったのに、まさか先を越されるとは。
あう〜、泣けてきた。俺の涙の分まで頑張って下さい。
俺は、どうしよ……。
まだだ。まだ終わらんよ。
2日目前編(前・中・後編を予定)書きあがりました。必死です。
話し声に目を覚ました。窓から射しこむ新鮮な朝の光が、
飾り気のないバラックの内装を柔らかく包んでいた。
……ああそうか、夢じゃなかったんだ。
麗らかな春の日だった。ことみと智代はもうテーブルにつき、
穏やかに会話しながら朝食をとっていた。
「あ、起きた」
パンを口に運ぼうとしていた智代が俺に気づいた。
二人の「おはよう」という挨拶に同じように返し、よろよろと歩いて椅子に腰かけた。
「顔、洗ってきなよ。洗面所そこだから」
智代にそう言われて俺は再び立ちあがり、教えられた先で顔を洗った。
手を差しだすと自動で水が出ることの他は普通の洗面台だった。
新しいタオルが一枚と、ビニールパック入りの歯ブラシが一本用意されていた。
きっとことみたちはもう歯を磨いたのだろう。
朝食のあとに磨くのが習慣だが、口が臭いと思われるのも嫌なので、
仕方なく俺もそこで磨くことにした。
テーブルに戻り、公子先生が作ってくれたという朝食をいただいた。
パンと牛乳と目玉焼き。
テーブルの中央には大きなカットグラスにサラダが盛られている。
先生は朝食を用意してどこかへ出かけたらしい。
風子も先生と一緒に出ていったそうだ。
俺の隣にあと一人分の朝食が残されているが、
これは芳野のためのものなのだろう。
「ねえ、一つ聞いていい?」
朝食を食べ終わった智代が思いついたように質問してきた。
「ん?」
「岡崎とことみさんって、つきあってるの?」
俺は思わず牛乳を吹きそうになったがどうにか堪えた。
そんな俺に構わず、ことみは表情を変えずに「そう見える?」と返した。
「見えないけど、これからのこともあるし。聞いときたかったから」
「どうぞ、私には遠慮なく」
「え……? あ、何言ってるの! そういうのじゃないって!」
慌てる智代を眺めてことみが笑った。
「ごめんなさい、冗談。
でも、私には坂上さんの方が親しそうに見えるけど?」
「誰と? あ、岡崎とか。
そんなに親しくないよ。一緒にいて嫌じゃないくらいには親しいけど」
「私もちょうどそのくらい。スタート地点は同じということで、よーい、どん」
「もう! あげるよ。あたし、そういうの興味ないし」
だしにされているのも忘れて、俺は思わず吹きだしてしまった。
性格が違っている分、案外この二人は相性がいいのかも知れない。
ふてくされたような顔をしていた智代も、そのうちに笑いだした。
平和な朝の風景だった。
――けれども昨晩のことを思い出して、改めて見たことみの笑顔に、
ほんのわずかな翳りを認めなければならなかった。
それからしばらくして芳野が入ってきた。
目の下にくまができている。
きっと昨夜は色々な事情であまり眠れなかったのだろう。
「おはよう」の挨拶もせずテーブルについた芳野は、
俺たちの見ているまえでもそもそと朝食を食べ、
食べ終わると「風呂に入ってくる」と言って出ていった。
「……芳野さんに悪いことしたかな」
ことみが申し訳なさそうに呟いた。
「……いや、きっと悪いことばかりじゃない」
俺はそう思ったままを口にした。
芳野は十分ほどしていかにも電気工といった感じのつなぎを着て戻ってきた。
そこかしこに油が飛び散り、おせじにも清潔な服とはいえない。
だがその顔からは眠気がぬけたようで、
だいぶしゃきっとしたものになっていた。
芳野は部屋のすみに移動して何やら床をいじりはじめた。
「あー、俺これから仕事するからさ、
あんまり構ってやれないけど適当にくつろいでてくれ。
今日は半ドンだから、午後は風子に町を案内してもらうといい」
そう言う芳野のまえで床がぽっかりと口を開け、
そこからごく淡い桃色の液体をたたえた水槽のようなものが現れた。
強い機械油の臭いがした。
それは昨日、この部屋に目覚めたときに嗅いだ、
かすかな甘さを孕んだ不思議な匂いだった。
液体のなかには死んだ魚のように、
何か長細いものが浮いたり沈んだりしていた。
「それって、何なの?」
俺がそう聞くと、
芳野は左目に暗視スコープのようなものを取りつけながら答えた。
「詳しく説明すると長くなる。簡単に言えば機械の一部だ。
こういうものを直すのが俺の飯のたねってわけ」
「この時代の機械でも直せるんですか?」
ことみが訝しそうに芳野に尋ねた。
芳野はその質問に動きを止め、「そうか、話しておくべきかもな」と言って、
つけようとしていたスコープを外して首にかけた。
「たしかに今の技術は、俺たちがいたあの時代よりもかなり進んでいる。
はっきり言って次元が違う。
だから生身の俺の能力じゃ、こういったものは直せない」
芳野はそう言って俺たちに向きなおり、
つかつかと歩み寄って両目をいっぱいに開いて見せた。
「どうだ、俺の目、何かおかしなところがないか?」
「あ、違う」
真っ先に気づいた智代が驚きの声をあげた。
「左右で、瞳の色が違う」
俺もそのときにはっきりと気づいた。
よく観察すれば芳野の左目は濃い藍色をしていた。
右目はもちろん黒だ。俺たちがそれを確認すると、
芳野は再び水槽に近づいてスコープをその左目に取りつけにかかった。
「この町ではな、ほとんどの人間が身体にパーツを埋めこんでる」
そこで芳野はいったん区切った。スコープを取りつけ終わり、
両手にピンセットのようなものを持って水槽に向きなおり、
スコープをゆっくりと液体に浸しながら話を続けた。
「パーツというのは生体と機械の中間みたいなもんだ。
それを埋めこむことで、生身の人間にはできない色んなことが
できるようになる。俺は左目にパーツを埋めこんだのさ。
おかげでこの時代の機械ともどうにか渡り合える」
芳野は両手に構えたピンセットを液体に突き入れ、
それで液体に浮く細長いものをいじり始めた。
「それなら、芳野さんの本当の左目は……」
ことみの質問に芳野は口だけで笑って見せた。
「捨てちまったよ。後生大事にとっておいても使い道がないからな」
その一言を最後にしばらく俺たちは沈黙した。
ピンセットが液体をかきまわす湿った音だけがひとしきり部屋に響いた。
それが気詰まりだったのか、芳野のほうでその沈黙を破った。
「なに深刻な雰囲気だしてんだ。
自分じゃなかなか気に入ってんだよ。オッド・アイだぞ、オッド・アイ」
休みなく両手を動かしながら、芳野はそう捲し立てた。
「……公子先生たちも、そういうものを身体に埋めこんでるのか?」
俺がそう質問すると、芳野は鼻で笑った。
「まさか。美術の先生にゃそんなものいらないよ。風子はまだ学生だしな」
それでまたしばらく沈黙がきた。今度は智代がその沈黙を破った。
「変なこと質問してもいい?」
「どうぞ」
「身体中に機械を埋めこんだ、人造人間みたいな人もいるの?」
「いい質問だな。
実はこのパーツというのは一人に一つしか埋めこめないんだ。
よく知らないんだが、何でも複数のパーツは拒絶しあうらしい。
100年後はどうなってるか知らんが、今のところ人造人間はいないようだ」
それを聞いて智代は少しだけ安心したような顔をした。
俺にも何となくその気持ちは分かった。
「俺のこの魔法の左目は、機械のすみずみまで拡大して見せてくれるんだ。
ついでに問題のある部分をおおまかに探してくれる。
あとはこいつで、どんなものでも修理できる」
「それだけですか?
拡大して故障箇所が見つかれば、ちゃんと修理できるんですか?」
そんなことみの言葉を、芳野は余裕ある笑顔で受けとめた。
「いくら時代が変わっても本質は変わらないよ。
部品が細かくなっただけで結局のところL・C・Rの組み合わせだ。
それに機械ってのは人間と違って正直なのさ。
壊れやすいところは決まってる。……お、言ってるそばから見つかった、
ここだ。ここをこうしてやれば……と」
そう言って芳野はさかんにピンセットを動かした。
それが落ち着いたところで、俺は思わず率直な感想を口にした。
「何か格好よくなったな、あんた」
それに応えて、芳野は「へっ」と息を吐いた。
「男に誉められたって、少しも嬉しかねえよ」
「ほう。それじゃ、誰に誉められれば嬉しいんだねマイスター」
唐突にしゃがれた男の声がして、俺たちは三人ともそちらを見た。
ブラウンの髪と口髭をしたチョッキ姿の中年が、
開けた扉にもたれかかって愉快そうに笑っていた。
「おはようマイスター。
顔色がよくないようだが、カミさんとは元気でやってるのかね?」
「カミさんじゃねえって何度言やわかるんだ」
男の方には目をやらず、
相変わらず仕事を続けながら忌々しそうに芳野が吐き捨てた。
「もう誤魔化したってムダだよマイスター。
何しろ、そのカミさんから聞いたんだからな。
昨晩はうちに泊まりましたってよ」
「ったく、あの人は……。何もしてねえよ、何も」
「何だ、そうなのか、つまらんな。
積もる話もあるかと思って、酒まで用意してきたのに」
「ああうるせえ、仕事の邪魔だ。とっとと出て失せろこのクソ親父」
「おお、これはえらい剣幕だ」
男は肩をすくめて、会話に参加できないでいる俺たち三人を見た。
そこで男の表情がにわかに真剣なものに変わった。
「また遠い世界から友だちが来たんだね」
その言葉にことみが顔色を変えた。
「タイムスリップのこと、隠してなかったんですか!」
「心配するな。ちゃんと隠しているよ。だがそのオッサンは別だ」
仕事に区切りがついたらしく、芳野は水槽からスコープをひきあげた。
「そう、このワタシは別」
男はそう言って片目をつぶり、口髭を曲げてニヤリと笑った。
**********************************************
以上、二日目前編です。
オリキャラのオッサン登場です。
中編は週末にでもしあげたい。
190 :
名無しさんだよもん:03/10/24 11:42 ID:xOX++Gvz
ことねにはなぎー的なイメージがあったが、こういうのもいいな。
>190
ことね(蟹)はまた別モンだろw
>177
書く気にあふれた人も多いようなんで、そんなに必死になる
こともないと思いますよ。むしろ盛り上がるのはこれからでは。
>191
んー。ちょっと空気嫁手なかったかも知れん。スマンカッタ。
俺もゆっくり書くことにするよ。クラナドもまだ出る気配ないし。
>175
個人的にはギリシャ編が二本あっても良いと思うんだが。
選択肢によってどちらかに進むようにすれば問題ないんじゃない?
ソクラテス編ですが、「ギリシャ編(ソクラテス編)」としているように
ギリシャ編の中のうちの1シナリオです。
で、本スレにも書いたように、私には時間と、歴史の専門知識がありません。
そこで私なりの考えたのですが、>175氏にギリシャ編をお任せしたいと思います。
私としては「ソクラテス刑死前後の短いシナリオ」を春原君でやってみよう、というくらいで
(話の流れが)特に大きなものにするつもりはありません。
なので、そちらのシナリオができ次第、それに合わせて(参考にして)書こうかと思います。
ですから、こちらのシナリオの存在自体が矛盾しないのであれば、どのように書いて頂いても結構です。
個人的には、「春原シナリオ」の中での通過点としての「ギリシャ編」なので。
おそらく複数のシナリオが同じ時代にあったとしても問題ないでしょうし
ゲームとしてはむしろ面白いのでは? と思います。
また、1シナリオに先に宣言した人一人まで、というのも何だかなぁ、と。
リレー小説とは意匠を異にしているので、そんなに気を遣われなくてもいいですよw
>176
どんな話か気になりますw
というワケですが、皆さんと私のイメージに食い違いがあったので少し説明を。
例えば、「ギリシャ編」→「モンゴル編」→「近未来編」のルートがあったとする。
これはギリシャ編でクリア条件(フラグを何本立てたか、エンドをいくつ見たか)を
満たした後にモンゴル編へと進み、またそこで条件を満たした場合近未来編へ、ということになります
一方、私の考えていたもののイメージでは
(学園編)→Aシナリオ→Bシナリオ→Cシナリオ→(共通のシナリオ)
で、それぞれ選択肢(や、攻略したいキャラ)によって
Aにはモンゴル編だとか、Cに近未来編が来たりとか、キャラごとの「ルート」によって
通るシナリオが変わってくる、というものです。
ここで言いたいのは、例えば一度ギリシャ編に来たら、そのシナリオの最初から始めれば
全てのエンドを見ることが出来る、ということをせず、同じギリシャ編であっても
プログラム上は別の分岐シナリオだということです。
こうすれば時代がかぶっても作者同士の問題も起きず、書きやすいのでは? と。
また、無理に話(や分岐)をまとめる必要もないですし。
イメージとしては、Kanonの通学路は名雪シナリオでは名雪が、真琴シナリオでは真琴が、
舞シナリオでは舞と佐祐理が出てくる…といったかんじです。
プレイヤーにとっては共通する場所で全く違うシナリオが見られるのは面白いことだと思いますし
また、縦糸(各ルート)と横糸(各時代)が複雑に絡み合うのは、大分見応えがあるかと。(整合時に少し手間ですが)
まだFAなんつーものは何一つ確立しちゃいないよ。
>193-194
近未来編以外シナリオのシの字も出ていない現状で全体の
流れをどうこうしようというのはナンセンスではないか?
書く前に道はない。書いたあとに道はできる。
まあ設定考えてる暇があったら物語を進めなさいってこった。
197 :
175:03/10/25 18:14 ID:3ChOM5w0
>194
感謝します。
では、頑張ります。
>>168がいい物作ったみたいですね
意見が分散するとやばいんで、漏れの方は休止しておきまつ
男はルドルフと名乗った。ドイツ系二世で仕立屋を営んでいるそうだ。
芳野たちがこの世界に放り出されたとき、途方に暮れているのを
何かれと面倒を見てくれたのが彼なのだ、と芳野が言った。
「ワタシも最初は驚いたさ。すぐには信じられなかった。
タイムマシンは今もまだ空想科学小説の中にしかないから。
けども震える女の子ふたり連れて、どうにかしようと必死になってる
この男が嘘を言っているようには、どうしても思えなくてね」
恥ずかしいのか、芳野はそっぽを向いたまま仕事の後片づけをしていた。
「……キミたちもまた災難だったね。
どうしてこんなことになるのかワタシには分からんが、
落ち着くまでここにゆっくりしているといい。
ただ一つだけ約束だ。重要なことだからよく聞いてほしい。
キミたちはしばらくここに泊まりつづけるんだ。
どんなにマイスターがごねてもここを明け渡してはいけないよ。
彼はしばらく別の場所で眠らなくてはいけない。
それが彼への恩返しになるんだからね」
そう言って笑うルドルフに芳野が悪態をつき、
俺とことみは思わず笑ったが、智代は笑わなかった。
その代わりに「ねえ、それより」と思い切った口調で切り出した。
「さっき『また遠い世界から友だちが来た』って言ったよね。『また』ってどういうこと?
芳野さんたちの他に、あたしたちより先に来た人がいるの?」
「……それについては俺から話そう」
ルドルフが口を開く前に芳野が返事をした。
「たしかにあんたらより先にここに来たやつらがいる。
しかもそいつらは、きっとあんたらのよく知っている人間だ」
>>199 うーむ。
クラナドキャストは18人もいるのに、はやばやとオリキャラを出すのは
正直どうかと思います。
俺たち三人は黙ったまま芳野の言葉を待った。
「半年くらい前にな、古河さんとこの一家がここに来た。
娘さんと御両親。……娘さんはあんたらと同級なんだってな」
「渚が……それで、渚たちは今どこにいるんです?」
俺の質問に芳野は目を閉じて首を横に振った。
「もうここにはいないよ。スメールに登っちまった」
「……スメール?」
「今日は晴れてるからよく見えるだろ。あのばかみたいにでかい塔の名前だ」
芳野はそう言って窓を指さした。窓には隣のバラックと、その黒い屋根が
映っているだけだった。――そのとき隣でことみの息を呑む声が聞こえた。
俺は目を凝らしてもう一度窓を見た。ことみが息を呑んだ理由が分かった。
黒い屋根のように見えたものは、スカートのように広がる巨大な塔のすそだった。
「ワタシが生まれたときからあのスメールは建っていたよ。
あれはこの国のヘソなんだ。偉い人はみんなあの中にいる。
政治家も学者も軍人もみんなあの中にいる。それは誰でも知っている。
けども深くて暗くて、中がどうなっているのか誰にも分からない」
そんなところになぜ渚たちが……そう言いかけたのを智代の言葉に遮られた。
「そのスメールって、どこかで聞いたことがある」
「ああ、そういや公子さんが何か難しい意味があるって言ってたな。
ええと……何だっけ?」
「……スメールはサンスクリット語で『須弥山』のこと。
仏教世界の中心にあるという、神々が住む山」
惚けたような表情で、ことみがそう呟いた。
>200
久し振りのレスありがと。まじ嬉しい。
お叱りはもっともだけど、話の構成上オリキャラは不可欠なんだ。
つーか正直、おれはことみと智代が描ければそれでいいんだ。
どうかしばらく好きに書かせてくだちい。
>>202 わかりました。頑張ってください。
僕も手元で書いているところです。ある量が書けたら投下します。
あと魔界塔士SaGaを思い出したのは僕だけではないような気がします。
「それだ、それ。そんな意味があるんだろうと言ってた」
「ほう、それは初めて聞いたよ。なるほどな、実にそれらしい。
本当の由来はきっとそれなのだろう」
芳野たちのやりとりを聞いていたルドルフが驚いたように言った。
目を伏せていたことみがおもむろに視線をあげた。
「表向きの由来は違うんですか?」
その質問にルドルフは鼻で息をして曖昧な表情をつくった。
「ワタシの知っている由来は、もっとずっと下らないものだよ。
お役人のユーモアセンスのなさがよく分かる、つまらない洒落だ。
あの塔のなかには争いのない楽園があって、
登ってきた者は誰でもそこに『住める』っていうんだ。
どうだい、実につまらないとは思わないかい?」
たしかにつまらない駄洒落だ。俺はそう思った。
だがもっと強く思うところがあった。つまらないというよりむしろ……。
「何だか胡散臭い話だな、それ。
そんな楽園があるのに、どうしてあんたらは登らないんだ?」
俺がそう感想を漏らすと、芳野が小さく一つ溜息をついて言った。
「あんたの言う通り、胡散臭い話だから登らないのさ。
――あそこに登ったやつは、ほとんど帰ってこないんだ」
不快そうな顔をしたルドルフがそれに言葉を継いだ。
「そしてたまに帰ってくるやつがいれば、もうすっかり別人になってる」
>近未来氏
どうやったら短時間でそんなジャンジャカ書けるのか教えてくれ。
すげえ。
>205
物語のシノプシスは定まっていて、かなりみっちりメモしてあるんで。
もう気分は新聞小説。何人読んでくれてるのか分からんとこも含めて。
「別人って……麻薬中毒みたいになるのか?」
俺の質問にルドルフは力なく首を横に振った。
「いんや、まったくもってその逆だ。
ワタシの知り合いに一人いるんだ。やさぐれた男で、
『ハーレム作ってやる』と意気ごんで飛び出してったんだが、
5年ばかりしたら、聖人のようなツラして帰ってきたよ。
それからは親の仕事継いでよく働くようになったし、
嫁さんももらってうまくやってはいるんだが……。
何というかな、つきあいがいのないやつになっちまったのさ。
それこそ、悟りを開いた坊さんのようなもんだ」
そう言ったきりルドルフは黙ってしまった。
午前の光が浸みるバラックにひとしきり沈黙が流れた。
「渚さんは、そんな冒険をする人じゃない」
ことみが静かな声でそう言った。
「順を追って話すべきだったな」と芳野が応えた。
「娘さんがここに来たのはつい半月前だが、御両親は一年前に来た。
そこにもタイムラグがあったんだよ。
……親子くらい一緒に飛ばしてくれればいいのにな。
親の人は『塔に登れば帰れるかも知れない』って言い出した。
結局、俺はそれを止めきれなかった。
娘さん一人あの時代に残しておけないって気持ちが痛いほど分かったし、
このタイムスリップにスメールが関わっていないという保証は
どこにもないわけだからな。
半月前に来た娘さんは、御両親のあとを追ってあそこに登ったんだよ」
それっきりまた重苦しい沈黙がきた。
窓の外から小鳥たちの平和にさえずる声が聞こえた。
「……まあそんなところだ。なに、心配することはない。
いくら胡散臭いお上とはいえ、命までとりゃしないよ。
オッサンの言うように、帰ってきたやつもいるんだ。
ひょっとしたら250年前に帰れたのかも知れないし、
そうでなくても親子三人、あそこで仲良く暮らしてるさ」
嫌な空気を吹っ切るように芳野がそう言った。
その心を汲んでか、智代が何気ない質問を口にした。
「――ところで、おじさん仕立屋なんだよね。
ここの人みんな身体に何か入れてるみたいだけど、
おじさんはどういうパーツ入れてるの?
服つくるのにどんな凄いことするのか、ちょっと知りたい」
そう言われたルドルフは「む」と言って固まってしまった。
代わりに芳野が笑いながら答えた。
「そのオッサンは生まれつきリズム感がなかったもんだから、
悩んだ揚げ句、脳味噌にメトロノームを埋めこんじまったんだ。
おかげで今では名うてのハイハット叩きだけどな。
あれだ、根っからのロックンロール気狂いってやつだ」
「その通り。そこの電気屋のアンちゃんと同じでね」
ルドルフは首をすくめてそうやり返した。
「明日のセッションはぜひ聞きにきておくれよ。
ワタシたち『マイスター・シンガー』が最高の舞台でお出迎えするから」
ルドルフの言葉の意味するところを知り、俺はかなり驚いた。
「あんた、マジで音楽やってたのかよ」
「……もし音楽やってなかったら、
こんなにうまくこの町に溶けこめちゃいなかっただろうな」
芳野は感慨深そうに微笑んで言った。あのときのように、
どこからかビートルズの「レット・イット・ビー」が優しい調べをかなでた。
ジョニー・B・グッドとか、レット・イット・ビーとか
どんな曲なんか俺知らんのやけど…
>210
いや、きっと聞きゃ分かる。滅茶苦茶メジャーな曲だから。
ルドルフはそれからしばらく閑談して帰っていった。
音楽に関するよもやま話がそのほとんどで、
渚やスメールのことに話題が戻ることはなかった。
正午になったあたりで風子が学校から帰ってきた。
未来の制服はどんな変わったものなのかと興味があったのだが、
風子が着ていたのは見慣れた俺たちの学校の制服だったので、
俺は少しだけがっかりしてしまった。
何のことはない。今の俺たちの服装と同じだ。
学生服というものはもう過去のものなのだと風子は言った。
「ブレザーもセーラー服も、今では普通の服なんですよ。
白髪のおばあさんが着ていることもあります。
だから岡崎さんたちがその服で町を歩いても大丈夫です」
作り置かれていた昼食を軽くとったあと、
俺たちは風子に町を案内してもらうことになった。
昨夜に智代と一緒に歩いた道に出ると、
まどろむような春の陽にスメールがその荘厳な姿を晒していた。
俺たちはしばらく立ち止まってそれを眺めた。
黒い巨塔の先は青い空に吸いこまれ、
どこまでもどこまでも伸びているように見えた。
「――ジクラット」
ぼんやりとした声でことみが呟いた。
「岡崎くんの言う通り、本当にバベルの塔みたいね」
ジッグラトキター!!!
ボーダーダウナーにはたまらねぇハァハァ
白日のもとに見る町の印象は『雑多』なものだった。
俺たちの町に建っていたようなコンクリートのビルは、
この未来の町にも沢山あった。そればかりか復興しゆく
戦後の東京にあったようなスラムも多く目についた。
――思えば芳野の仕事場もそんなようなものだ。
その一方で鏡のように磨きあげられた流線型の建物や、
空中に浮かぶ木々の生い茂る庭園や、
そんなあの町では考えられなかったものがすぐ隣にあった。
小袖を着ている男もいれば、下着のような格好で歩いている女もいる。
風子の言うように、いい年してセーラー服を着ている婆さんもいる。
二度目ということもあって、俺はあたりを見回さなかった。
智代も平然と風景を楽しんでいるようだった。
ことみが落ち着いているのはいつものことだ。
はりきってあちこちを案内してくれる風子だけが、
ときどき町ゆく人を振り向かせた。
一匹のトラがビルの屋上から屋上へと跳びまわっていた。
合成映像なのだろうが、俺には本物のトラにしか見えない。
「動物園から逃げ出してきたら大変だな」
「なんのことですか?」
「本物だと分かるまでに何人食い殺されるか」
「あ。トラのことですか」
風子はそう言ったあと、ちょっと悲しそうに微笑んだ。
「逃げ出してくることはないですよ。
……トラはもう絶滅しちゃいましたから」
>214
ゲーセンにはいかんので知らなかった>ボーダーダウン
ことみの台詞「ジッグラト」にしようかとも思ったんだけどね…。
どうも昨今は「ジクラット」の方が呼称として普及してる気がして。
>>216 ジッグラト…398件
ジクラット…24件
by Google
それから俺たちは風子の持っていた金で買い物をした。
もちろん芳野と公子先生の稼いだ金だ。
三人とも最初は強く遠慮したが、結局は甘えることになった。
男の俺はともかく、ことみや智代にはどうしても必要なものもある。
俺はTシャツとトランクスを2枚ずつ買って、それだけにした。
だが女たちの買い物はかなりの量になり、帰りは俺が持たされた。
帰りの道すがら風子は、公子先生のことを話してくれた。
「――そんな感じで、1年くらい前からお姉ちゃんは、
わたしの通っている学校で美術を教えているんです」
「それ、凄いな。戸籍もないのに教師ができるのか?」
「さあ……そういう難しいことはよく分かりませんけど、
小さな学校ですから、きっとどうにかなったんだと思います」
そう簡単なものじゃないだろ、と思ったが口には出さなかった。
「風子さんは、この先どこかへ進学するの?」
まるで同級生に尋ねるように、ことみが風子にそう質問した。
そこで俺は風子がもう俺たちと同じ年になっていることを思い出した。
「技術の専門学校に進みたいんですけど、数学が苦手だから……」
風子は恥ずかしそうに目を伏せてそう答えた。
「どうしてまた技術の勉強なんかしたいんだ?」
「お兄ちゃんのお手伝いがしたいんです。いつも忙しそうだし、
それに……とっても人の役に立つお仕事だと思うし」
風子を見つめながら、ことみが柔らかく微笑んだ。
「芳野さんのこと、好きなのね」
そう言われた風子は耳まで真っ赤にしてしまった。
……ことみはそんなつもりで言ったのではないのかも知れないが。
俺はそんな風子を見ないようにしながら芳野のことを考え、
それから公子先生のことを考えて、やれやれと思った。
――電気屋の兄ちゃんは、たしかに何かと忙しそうだ。
芳野のバラックまであと少しというところで、
風子が「あ、そうだ」と言って立ち止まった。
同じように立ち止まった俺たち三人の前で背負っていた鞄を降ろし、
その中から例のもの――木彫りの星をとりだした。
「これ、わたしが作ったんです。貰っていただけませんか?」
罪のない表情で風子はそう言った。
その手には3つの星がある。どの星もひどく大きい。
少なくとも俺のポケットには入りそうになかった。
「ああ、俺むこうで貰ったしな。また貰うのも悪いだろ……」
俺がそう言うと、風子はとたんに泣きそうな顔になった。
「せっかく作ってくれたんだから、遠慮する方が悪いよ」
智代は風子から2つの星を受けとり、1つを俺の買った荷物の
入っている袋に挿し入れた。そして風子に向きなおって頭を下げた。
「ありがと。大切にするね」
ことみも同じように星を受けとり、同じように礼を言った。
その贈り物に、二人はそれなりに喜んでいるように見えた。
一度は泣きそうな顔をした風子もすっかり機嫌をなおし、
幸せそうな笑顔で自分のものではなくなった星を見ていた。
何だかばつが悪くなって、俺は風子に話しかけた。
「しかし前にも思ったんだが、これ、ちょっと大きすぎだぞ。
もっと小さく作ることはできないのか?
そうすればブローチやペンダント・ヘッドなんかにもできるだろ」
それを聞いて風子は立ちすくみ、呆然とした表情で俺を見た。
「岡崎さん……すごいです! それってすごくいいアイデアです!」
風子の瞳が少女漫画のヒロインのように輝きはじめた。
俺はすぐに軽率な発言を後悔したが……遅かった。
>近未来氏
ことみ→朋也の呼称は、「朋也君」だそうです。
画面写真で確認。
「…朋也君。いじめっ子?」
>222
……らしいですね。つーか様々な情報から考えるに、
どうもことみは大方の予想に違わず極めてなぎー色の濃いキャラみたい。
今さらお米券進呈させるわけにもいかんし、
人格の方はこのまま押し通すしかないけど、
呼称はそのうち親しくなったという理由で変えるつもりです。
そういやばだいぶ前にあった偽クラナドとか言うSSのアド誰か知らない?
1年近くみてないけど、まだあるの?あれ
短いあいだだったけど面白かったよ。ありがとさん。
226 :
名無しさんだよもん:03/11/08 23:25 ID:wDmzTdf0
保守age
糞レスや兵どもが夢のあと
正直、本家が来年にゃ発売されそうだからな。
1年前に始めてりゃな…
本家が来年に発売されるかどうかは個人的にかなり疑問だが、
たとえ一年前にはじめても土台無理な話だったと思うぞ。
数行の設定からキャラを立てる難しさは並大抵のものじゃない。
ヘタレたもの書きゃメタクソに言われること請け合いだし。
書き手が尻込みしたのも分かる気がするよ。