#前スレからの続きです
#少しずつ、続けていきます
「なんだろうな…?」
予想はどことなく付いていたが、はっきり聞かれるのは気が重かった。
意味もなく、天井に目をやる。
「あ…。祐一さん、動いちゃだめです」
「ん?」
「似顔絵が、上手く描けません」
「そうか…」
覚悟を決めて、元通り栞に視線を戻す。
俺をじっと見つめる栞。
その表情が、少し軟らかくなった。
「ありがとう、ございます」
「別に感謝される程のことはないぞ。…格好良く描けてるか?」
「もちろんですっ」
そこで、会話が途切れる。
栞は、やはり俺の返事を待っている。
栞は、俺のことをどう思っているのだろう?
9ヶ月ぶりの再会。
俺は名雪の気持ちに気付き、名雪を抱いた。
そして、二人でいろいろなことを乗り越えてきた。
栞はこの病室で、病気と必死に闘ってきた。
香里がいて、家族がいて、…それで乗り切ってきたんだと思う。
そして、俺の見舞いを求めていた。