〜代表取締役・下川直哉と愉快な仲間たち〜その2

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682名無しさんだよもん
とある電気街の裏通り、待ち合わせ場所の自動販売機前につくと
向かいの同人ショップ前からなにやら雑音まじりのBGM、
この曲はブランニューハート???

見ると特設ブースとは名ばかりの青シートの上で小太りの男がなにやら
みすぼらしい格好で声を張り上げている、聞き取りにくいその声に耳を澄ませば・・・
「3月3日、発売予定!アレだから!これ持って予約すれば2割引きだから!」
その異様な光景・・・あきらかに40を越えるその男は大汗をたらしながら、
足元に置いてあるラジカセのBGMに負けじと大声をあげる。
着ているのはポスターを何重にも重ねた服、というよりは紙をまとっている。
その紙にはこう書いてあった「To Heart9」
そのポスターにあるゲームは、かつて業界、いやヲタク世界のパラダイムを大きく変えた
作品To Heartの最新作、そしてポスターを纏っている人物こそ開発したLEAFの代表取締役
「しぇんむ〜」その人、本人だったのだ・・・!!
恐る恐る近づくとしぇんむ〜自らこちらへ走る、そしてわめき散らす。
「3月3日発売だから!これ持って2割引だから!前作もあるから!」
握りすぎてしわくちゃになっている予約券をそっと受け取り私は話す。
「・・・下川さん、ですよね・・・?」
その問いに、ふと我に返ったように黙り込むしぇんむ〜・・・
沈黙の間、ブランニューハートだけが鳴り響く・・・そして・・・
「・・・・・お願いします、買ってやってください、通販もありますんで」
少し照れくさそうに頭を下げるしぇんむ〜は自ら握手を求めて来た。
「下川さん・・・私、昔の作品好きでした!高橋さんたちと・・」
言葉をさえぎるように首を振る下川さん
「・・・昔話はアレだから、今度の作品、俺と若いの作品をやってみてください」
待ち合わせ相手がやってきた、私は軽く会釈をしてそこをあとにする
少し歩いてふりかえってみた、そこにはにこやかに手を振ってくれるしぇんむ〜の姿があった・・・