そしてそれが火を吹いた。
俺に向かって。
「殺す気かみちる!」
その火の玉は俺の隣のすれすれに落ち、バフンという音をたてて
軽い爆音を立てていた。
いくら安物のロケット花火とはいえ、あたったらヤバイことになるのは
目に見えている。そんなものを、容赦無く彼女は振りまわし続ける。
「にょははは。国崎往人やぶれたりぃ」
「いつから戦いになってたんだよ!つか、それはマジでやばいからやめとけって!」
「次の玉いっくよー」
聞く耳持たず。
丁度その時、「楽しそうですね」という声がみちるの後ろから聞こえてきた。
美凪が私服に着替え、鞄を片手に持って立っていたのだ。
「あ、ナギー♪」
「はい、こんばんはちるちる」
相変らずの意味不明なやり取りで、俺は何とか難を逃れることが出来ていた。