◆葉鍵アカデミー 第六講◆

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516名無しさんだよもん
>>440
いい所を突く。
確かに「犯行時に心神喪失であったかどうか」という真実は、結局は神様にしかわからない。
それは普通の犯罪でも同じであって、被告人が本当に真犯人であるかどうかという真実は
数学の問題のように証明するなど、はなからできないことだ。

刑事裁判で何より重要なのは、証拠。
単純な例だが、殺人事件の現場から刃に被害者の血液、取っ手に被告人の指紋がついたナイフが出てきたら、
これはその被告人が真犯人であることを示唆する、大きな証拠と言える。
公判の中核をなす、裁判官・検察官・弁護人・被告人・証人の間で取り交わされる質疑応答は
要するに、それら証拠が有力かどうかを議論するための手続だ。
そして審理の結果、裁判官がコイツは有罪だと確信を持つくらいに証拠が徹底すれば被告人は有罪に、
そうでなければ無罪になる。たとえ、被告人が本当は真犯人であってもだ。
517名無しさんだよもん:03/08/10 12:42 ID:cbQsDdeC
さて、心神喪失の疑いがあるかどうかを証明するというのも、原理的には同じだ。
犯行時に心神喪失であったという事実を証明する手段は、直接的にはない。
したがって、本件では少女A(←少年保護の観点から匿名)について、
逮捕時以降の調査から得られる情報を総合して、事件当時の精神状態を推測するわけだ。

具体的には、心理テスト(ロールシャッハや知能検査)および面接による診断、
少女Aの家族や友人、教師からの成育史の聞き取り、
学校や病院など外部資料の照会……などが考えられる。まず、できるだけ多くのデータを集めることが先決だ。
そのデータを総合して、精神医学の知識に基づき、鑑定人が判断を下す。
鑑定人によって方法も結果も違ってくることがあるのが、難しいところだが。
518名無しさんだよもん:03/08/10 12:43 ID:cbQsDdeC
おそらく本件の場合、少女Aは汚言症と徘徊が認められ、かつ自傷他害のおそれがあり、
医学的には「トゥレット症候群と注意欠陥多動性障害の合併症」などと診断されるように思われる。
上の諸症状が雫のオープニング当時からあったという事実に鑑みれば、
おそらく犯行時も心神喪失状態にあった、と鑑定されるのではないだろうか。

ただし、医学的に心神喪失が認められても、
刑法39条に規定する「心神喪失/耗弱」は、医学的判断ではなくあくまで法律的判断であって
鑑定人の意見は参考にはするが、受け入れるかどうかは裁判官が決めるというのが判例の立場だ。
統合失調症の元自衛隊隊員による殺人事件(最三決S59.7.3)などの例がある。
少年にも厳罰を求める世論が高まる今、もしも雫の殺人が刑事事件として立件されたら
裁判所がどういう判断を下すのかは非常に興味深いと言える。

友人の精神医(の卵)に訊いてたら遅くなった。スマソ。