313 :
捕手:
ある若者が、「千鶴さんはもう若くないんだから」と口を滑らせたために、
あわれ彼は温泉旅館の若社長の逆鱗に触れることとなった。
彼女はすぐにでも自慢の爪を振りかざし、若者を膾のように切り刻むことができたのだが、
ただ殺すのも趣がないと考え、こう告げた。
「耕一さん、あなたを殺します。
すぐには殺しません。いつ殺されるかわからない恐怖を味わってもらいますからね。
耕一さんを生かすと決めた日には、梓か初音の料理を。
耕一さんを殺すと決めた日には、私の料理を召し上がってもらいます。
ただし、耕一さんが『今日は殺される』とわかる日には、私の料理は出しません。
ルールは以上。
必ず……次の満月の夜までに、あなたを殺します」
さて、次の満月の夜が過ぎたとき、若者は生き残っているだろうか。
(食事に拒否権はなく、梓も楓も初音も助けに来てはくれない)