気楽にSS その3

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610かずキュン 1/2
みさお・一弥「「それではしーゆーねくすとんっ! おやすみ〜!」」
AD「―――ハイカットォ! 2人ともお疲れ〜!」
みさお「お疲れ様〜」かずや「お疲れ様です〜」
 いつもの最後の締め括りの言葉を言って、ディレクターさんの終了の合図が出てからみさおさんとぼくは席を立った。
 みさおさんはふぅ、と息をつきながら椅子に座りなおして肩をトントン、と叩いている。ちょっと疲れたみたいだった。
 ぼくはちょっと思いついて、みさおさんの近くまで行くことにした。
一弥 「みさおさん、お疲れです〜」
みさお「うん、かず君もお疲れ。………今日も濃ゆかったねぇ〜っていきなり何処を触るの!?」
一弥 「え? みさおさん肩が凝ってるみたいだったから揉んであげようと思って(邪心の無い目)」
みさお「え、別に良いわよそんな年でも―――って! 言ってる傍から揉み始めないの!」
一弥 「ご飯食べた後とかお父さんにしてあげると、凄く喜んでくれるんですけど、みさおさんは肩揉み嫌いですか?(ちょっと上目遣い)」
みさお「う……嫌いじゃない、と思うけど………(少し目を逸らして小声で)嫌いも何もされた事なんて一度も無いし………」
一弥 「じゃあちょっとやってみますから、痛かったりしたら言って下さいね」
みさお「う、うん………(俯いたまま」
 みさおさんの肩は、やっぱりお父さんの肩と違って薄いけど、ちょっとやわらかかった。
お父さんはいつも「年をとると、すぐに肩が硬くなる」って言ってたけど、女の人と男の人で肩もやっぱり違うのかも知れない。今度お母さんにもしてあげようと思った。
 まずは肩全体をゆっくり、お父さんよりも少し力を弱めにして揉んでみる。お父さんは揉んであげると良く「もっと強く」って言うけど、お父さんと違ってみさおさんの肩は強くすると壊れちゃいそうだった。
611かずキュン その2:03/09/26 02:55 ID:jNHicdiV
みさお「あ………ちょっと気持ち良いかも」
 どうやら、この位の力で正解だったみたい。このままゆっくりと手を満遍なく左右に動かして肩を揉んであげる。
一弥 「お客さん、凝ってますね〜(楽しそうに」
みさお「何処でそんな小ネタを………あ〜、効く効く」
 みさおさんの表情が和んできて、気持ち良いらしいのが分かって僕はちょっと嬉しかった。
みさお「って言うか何気にテクニシャンねかず君。 実は結構色々な事やってたりしない?」
一弥 「色んな事って……?」
みさお「例えばお姉さんととか、お母さんととか、あまつさえお父さんととか学校の子達とまで……(邪な薄笑い」
一弥 「お父さんとお姉ちゃんはやった事あるけど、お母さんはまだ……友達もやり始めたら大変な事になりそうだし………(表情見えてない」
みさお「へぇ〜……、 試しにちょっと首の方もやってくれない?」
一弥 「え?良いですけど」
 言われて肩に当てていた両手をゆっくりと首筋に向って滑らせていく。少しだけど、肩のしこりが無くなってる気がする。ぼくはこのまま10分ほどの間肩を揉み続けた。



みさお「ひゃわっ!」
一弥 「ご、ごめんなさい! 痛かったですか?」
みさお「う、ううん! ちょっとくすぐっただけだから気にしないで続けて〜」
 痛かったなんて物ではない、かず君の手が首筋に移動してからこっち、肩揉みとは比較にならない気持ち良さだった。
 しかもきっちり、あたしの感じる所を探り出して揉みしだいてくれていたりする。本人は無自覚なままなのだから性質が悪い。
 かず君の小さく白い掌があたしの首筋をなぞり、細い指が古い表現だがまさに個別の生き物の様に蠢く。それも極めて微弱な圧力を与えながら。
612かずキュン その3:03/09/26 02:56 ID:jNHicdiV
 かず君は力を入れるたびに「んっ、んっ」と鼻息掛かった吐息を漏らす辺りがある意味勘弁して欲しい。それこそ切れてしまいそうだ。色んな所が。
 例えばガラス張りの向こうにいるADやアシスタントの羨ましそうな視線を飛ばしている奴等は多分、この声を聞いた時点で解き放たれてしまう気がする。あたしもかなりアブナイ所まで来ている気がするが。
一弥 「気持ち良いですか〜? みさおさ〜ん」
 気持ちイイよ、凄く。別な意味でも。むしろ別な意味では君の思ってる三倍増しぐらいで。
みさお「う………ん、良いんだけど。もう良いよ。 かず君も疲れてるのにあたしだけ楽になっちゃうのも悪いし」
 そうかず君を言い包め、ついでに周りのスタッフにも牽制の弾幕を張っておく。何処からか舌打ちをする音が聞こえた辺り、あたしの判断は正しかったらしい。
一弥 「う、うん。 またして欲しかったら言ってね? いつでも揉んであげるから」
 かず君の言葉に周囲で後片付け(と言う名のかず君鑑賞会)をしていたAD達の目が男女問わず鈍い光を放った。あたしの弾幕も虚しく、この子は敢えてあたしの弾幕をぶち抜いて敵の総本山まで飛んでいくらしい。