気楽にSS その3

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えースイマセン、某暴行を受けるスレが落ちちゃったので6レスほどお借りします。
お暇な人も宜しければ読んでやって下さいな。
1511/5:03/05/29 23:44 ID:3p/IJMim
 ――コンコン。
 俺がそのノックの音に気付いたのはベッドに潜り込んだ直後だった。
 こんな時間に誰だろうと不審に思いつつも戸を開けると、枕をぎゅっと胸に抱いた名雪がはにかみながら立っていた。
「なんだ名雪か、どうした? こんな時間に」
「あ、うん。そのね、なんだか、寝れなくて……」
 既に日付も変わっている時間なのに。珍しいこともあるものだ。
「それで暇つぶしに、俺の部屋に踏み台昇降をしに来た、と?」
「ち、違うよ。えと、なんて言うか、その」
 なにやら顔を赤くして俯いてしまう名雪。なにか言い辛い事でも頼みたいのだろうか。
「そうか、反復横飛びがしたいんだな? それとも垂直飛びか?
 チョークの粉を用意しないといけないな、ちょっと待ってろ今持ってくる」
「だから、そうじゃなくて。あのね、一緒に……」
「一緒に? ああ、トスバッティングか。あれはここじゃ狭いから無理だ、諦めろ」
「違うのっ。祐一と一緒だったら…その、寝れるかなぁ、って思って……」
 やっぱりそうだったか。枕を持っていたからそうだろうとは思っていたが、最近の名雪はちょっと捻りが無さ過ぎて面白みに欠ける。手首の捻りはあんなにスゴいのに。
「なんだ、それならそうと早く言えよ。学校まで石灰取りに行きそうになったじゃないか」
「祐一が言わせてくれなかったんじゃない……」
 頬を膨らませて文句をつきながらもおとなしく部屋の中に入ってきた。
 ほんとは泣きそうになる直前までいぢめた方が萌えるのだが、目に涙を溜めて上目使いでいじける名雪を見ると俺の下半身も泣きそうになるのでここはぐっと我慢だ。ガビガビのパンツを秋子さんに洗わせるのは如何にも忍びない。つーか、情けない。
「う〜、祐一の匂いだぁ」
 名雪はぼふっと俺のベッドに飛び込むと早速布団に鼻をうずめ、幸せそうに顔をふにゃけさせてとろとろになっていた。俺の体臭には媚薬の効果でもあるんだろうか。大発見だ。
「名雪は俺の皮膚からどろどろと滲み出た老廃物で分泌液なかほりにもうめろめろだな」
「そんないやな言いかたしないでよ……わたしが変態さんみたいに聞こえるよー」
 安心しろ名雪、ヘンタイなのは俺だ。
1522/5:03/05/29 23:45 ID:3p/IJMim
 と言うわけで名雪は今、俺と同じベッドで寝息を立てている。
 ほんとなら松葉崩しやら帆掛け船やらホッテントットのヒマラヤ攻めやらいろいろ試して心地よく疲れてから床に就きたかったのだが、夜も遅いし朝寝坊しても困るので名雪の脇腹に擦り付ける程度で我慢しておいた。お互いもう大人だし節度と言うものも憶えなくちゃな。
「んん〜、ゆういちぃ……すー」
 ふふっ、寝言でまで俺の名を……。身も心もすっかり俺の虜だな名雪。そんなおまえが大好きだ。
 もにゅもにゅ蠢く名雪の唇をそっと指で突っついてみる。ふにふにしてて実に気持ちが良い。ちんこ擦り付けたくなる滑らかさだ。グッドテイスト。
 自分の指をペニスに見立てて名雪の唇をぐにぐにと蹂躙する。名雪の無反応さがなんともソソる。プラトニックな愛とはこう言う事を言うのだろうか。嗚呼…俺は今、愛に生きている。
 と、今までおとなしくされるが侭だった名雪の唇がすっと開かれた。微かに零れる吐息と濡れた舌先が微妙にいやらしい。誘ってるのだろうか、思わずふらふらと指を突っ込んでしまった。
 口内の適度な湿度にちょっとざらつく名雪の舌。つるつるの天井に虫歯の治療した跡。全てが愛おしい。
 特にこの、人差し指にぐいぐい食い込む前歯の固さと言ったらもう……。
 ……前歯? ……食い込む?
「……がじがじがじがじ、むにゃ」
「おアウチっ!」
 ほわう! 何時の間にやら指に囓り付いて根本から喰い千切ろうとしてらっしゃる!?
 寝ぼけているのか遠慮がないため痛いったらないぞ。やめれっ離せあほう!
「うぅん…がりがり、ぎりぎり」
「ぐぎゃあっ」
 ちょっとナユキさん、マジ痛いっすやめて下さい、血が出てるじゃないデスか。初めての時血が出てるのにピストン運動を止めなかったのは後日改めて謝りますから離して下さいお願いします。
「んー、ゆういち…ごりごりごり」
 テメーほんとに寝ぼけてんのかよこの野郎! 甘ったるい声出しながら、なんて凶悪な事をするヤツなんだ。ごりごりって骨までイッてんじゃねえかこらぁ!
「な、名雪…いた、痛いって! 頼むから歯を立てないでくれ!」
「むに…ごめんねゆういち、わたしまだ慣れてなくって……んう…へた…くそ…で………くー」
1533/5:03/05/29 23:45 ID:3p/IJMim
 やっと離してくれた……。なにか釈然としないモノがあるが…『へた』とか『慣れ』ってなによ?
「むにゃ…ゆういちのサタデーナイトスペシャルは左向き…うふふ……」
「………」
 聞かなかった事にしよう。よし決めた、俺はなにも聞いてない。
「おくちでとろけて手でイケない…くふふ……かわいいよぉ、ゆーいちの……すぴー」
 名雪…オマエが俺のこと、いやさ俺の息子のことをどう思ってるか良くわかったよちくしょう。
 でも、俺はこれからもずっとおまえの側にいてやるからな。どうやら俺、名雪以外の女じゃ馬鹿にされちゃいそうだから……。つーか、捨てないでね、俺のこと。マジお願いデス。
 なんだかとってもやるせない気持ちになった俺は、名雪の寝顔から目を逸らすように寝返りをうって壁の方を向いた。現実逃避とも言う。
「んぅ…ゆういちぃ…」
 しかし、名雪は寝ていても優しかった。そんな惨めな俺に後ろから優しく腕を回すと寝ぼけながらも包み込むようにがっしりと抱きしめてくれるのだ。
「……大好きだよぉ…ゆういち……すぴー」
 涙が出そうになった。名雪は夢の中でもこんな俺を愛してやまないのだ。
 小さいちんちんに不満も漏らさず、無意識下でもこんなに俺を慕ってくれている。背中に押し付けられる柔らかい胸の膨らみに俺の親不孝な息子も今にも涙を流しそうだ。堪えてくれ、まいサン。
 後ろから首に回された腕、脚に絡みつく太もも、押し付けられる胸の膨らみ。その一つ一つに名雪の愛を感じずにはいられなかった。特に太もも。寝間着の下、脱いでから寝れば良かったなあ、もったいない。
「んんぅ……ぅん? ……ふにぃ……」
 しばらく包み込まれるような名雪の体温と柔らかみをはあはあ堪能していると、なにやら名雪が寝ぼけて絡みついた脚をんしょんしょと動かそうとしているのに気づいた。
 なにをするつもりなのか皆目検討がつかない。まあ所詮は夢遊病者のやることだしほっとくことにしようか。どんなステキな体位になるかも知れないしな。ちょっとドキドキだ。
1544/5:03/05/29 23:46 ID:3p/IJMim
 すると、なんと名雪は俺の踵をよいしょと持ち上げると、自分の股間に擦り付けるように挟み込んでしまった。おおうっ、なんてマニアックなんだ名雪! 見直したっ、一生ついてくよ改めて惚れ直した!
 ぎゅうぎゅうと足の甲をおマタで挟み込みながら俺の首に回す腕にも力が入ってくる。なにも寝てる時までこんなにしがみついてこなくてもよかろうに。愛されてるなあ、俺。
 しかしなんだ、抱きつかれるのは良いのだがこんな体勢でしがみつかれてると辛いと言うか、膝の間接が悲鳴を上げ始めたと言うか。
 脚が痺れて名雪の股間に食い込む踵の感触もよくわかんなくなってきたぞ。
「お、おい名雪…そろそろ脚、離してくれないか…」
 寝ぼけてる名雪にそれを言ってもどれ程わかってもらえるか、はなはだ疑問だったが言わずにはいられなかった。すると。
「うぅー……ゆーいち、なんでそんな悲しいことゆうの〜」
 後ろから体重をかけるようにさらに密着してこようとする名雪。膝が割れそう。
「ちょ、いてぇ! いてえってばよ! そんなくっつくな名雪っ、脚が折れる!」
「やだよ〜離れたくないよ〜…………すぴー」
「すぴーじゃねえって、離れろ、このっ」
「うぅ〜いじわるだよ、ゆういち……くー」
「んが、むぐぐ…」
 首に回されていた腕が顎に伸びてきて下から持ち上げられるようにがっちりと極められてしまう。いまや俯せにされた俺は、名雪にしかっりと背に乗られながら首と脚をぎしぎしと絞め上げてられていた。
(……エ…S・T・Fぅ!?)※
「すぅすぅ…ゆういち、あったかい……」
 健やかな寝息をたてながらマニアックな抱きつきかたをする名雪にどう突っ込んだものかと途方に暮れてしまう俺なのだった。


※(STF)ステップ・オーバートゥホールド・ウィズフェイスロック。要するに、間接技だ。
1555/5:03/05/29 23:47 ID:3p/IJMim
「離せ、離せってば名雪っ。離れろっつってんだろコノヤロ、フェラで口に出そうとすると
 すぐ離れて逃げる癖に! こんな時ばっかりなんだよちくしょうっ、いたたたたたたっ」
 ああ〜、こんな事なら名雪に無理矢理レッスルエンジェルスなんかやらせなきゃよかったよ。アフターフェスティバルとはこのことかぁ。
「すー……ウサギ殺されたって離れないよ……くー」
 殺してねえって! おまえは俺をどっかの動物虐待者を見る目で見てたのか!?
 あーもうダメだコイツ。寝てる名雪にはなに言っても駄目な気がするよ、どうしよう。
 ――こんこん。
「どうしたんですか、こんな夜中に……近所迷惑ですよ?」 
 あ、秋子さん! ナイスタイミンッ! 助けて、助けて下さいヘルプミー。
「ゆーいち…静かにしてね……すぴー」
「む…もがふっ」
 ちょっと名雪さんナゼこのタイミングで俺の口を押さえますか。
 起きてんだろ? テメーほんとは起きてんだろ!? あぁん!?
「入りますよ……あら?」
 ちょっと不機嫌そうに部屋に入って来た秋子さんだったが、くんずほぐれず絡み合っている俺達をしばし無言でじーっと観察し始めると急にニヤニヤと下品な笑いを浮かべてこう言うのだった。
「あらあらあら。…………程々にね?」
 ――パタン。ぱたぱたぱた……
 ……あぎござ〜ん、あんたやっぱり名雪のおかんや。そーゆーとこクリソツやでほんま!  
「すぴー……ふたりっきり……んふー……」
 あーもう好きにしろよ馬鹿野郎。いつか二人まとめて地下室に監禁してやり倒してやる、憶えてやがれ。


 五分後、ボキッとした軽快な音色と供に俺様の色っぽい絶叫が水瀬家に響き渡るのだった。
156新しい明日の為のエピローグ:03/05/29 23:47 ID:3p/IJMim
 こんな時間に誰だろうと不審に思いつつも戸を開けると、枕をぎゅっと胸に抱いた名雪がはにかみながら立っていた。
「あ、祐一…わたし、なんだか寝れなくて……」
「やだ」
「……わたしまだなにも言ってないよ」
「やだ」
「あのね、祐一……」
「やだったらヤダ。退院した日くらいゆっくり寝かせろ」
「ええ〜っ? 祐一と寝るの二週間も楽しみにしてたのにぃ」
「そのあいだ俺は病院のベッドでうなされていたのだが」
「う〜、ゆういち、いじわる。キライッ」
「あーわかった、わかった。一緒に寝てやるから拗ねるな」
「ほんと? やった、わたし祐一大好きだよ」
「ただし条件が一つある」
「条件? ……なあに、祐一?」
「これだ」
「……ひも?」
「紐だな」
「これが条件? なにするの?」
「こうするんだ」
「えっ? あっ、ちょっと祐一っ…痛いっ、やめてっ」
「これでよしっと…。さあ寝るぞ、名雪」
「ううっ、ひどいよゆういち……わたしこんなのやだよう…」
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 ――コンコン。
 俺がそのノックの音に気付いたのはベッドに潜り込んだ直後だった。
 どうせまた名雪だろうと思いニヤニヤしながら戸を開けると、荒縄をぎゅっと胸に抱いた名雪がはにかみながら立っていた。
「なんだ名雪か、どうした? こんな時間に」
「わたし、なんだか寝れなくて……祐一に縛ってもらえば、寝れるかなぁ、って思って……」
 俺は慣れた手付きで名雪をパジャマの上から亀甲に縛りあげながら、今年の夏休みは運送会社でバイトでもしようかなぁ、なんて考えるのだった。ピンコ立ち。 
157:03/05/29 23:47 ID:3p/IJMim
つーわけで、昔から一度書いてみたかった学園推理物に挑戦してみました。
葉鍵板ではぽややんとしたイメージが強い名雪ですが、
たまにはこう言うクールな名雪もいいんじゃないかなあと思いして。
探偵役の名雪を書くのも結構面白かったデス。
また機会があったら名雪と斉藤の空中戦の続きもやってみたいと思います。

この話を読んだ方がこれをきっかけにして、本格ミステリイに興味を持って頂けたりしたら幸いデス。
それでは失礼しました。