バーカどいつもこいつも思い詰めてんじゃないわよって思うのよねいたるは。風子なんかスーパーバーカよ。も
う胸をワシづかみよ。風子の胸からミルクをチューチューしぼってやるわよ。十五歳と十一ヶ月ったらどうせあと一
月したらステーシーになるわけじゃない?十六でなるか十七でなるか十八でなるかはわかんないけどさ。もうじき
死ぬ事がわかってんのに自分で死んでどーすんのよバーカ。死ぬのが怖いのかステーシーになるのが嫌なのか
知んないけど、んなもんなるようにしかならないんだから仕方ないでしょ。オッパイでかいくせに何よ、このいたる様
が寄せてあげて無理矢理に谷間作ってメルメルのブラでおさえてるってのにさ。バスト85センチ以上の十五歳に自
殺する権利なんてないのよバーカ。しかも彼氏と心中ですって?十五歳でオッパイでかくて彼氏のいる女に自殺す
る権利なんて断じてないわっ!あ〜も〜クサクサする。で、セックスはしたの?遺書残すんだったらそれぐらい書い
ときなさいよバカ風子。「ハム子ちゃん、あんたと別れることだけが心残りです」とか書いてる暇あったら「冥土の土産
に一発やっちゃったわよ、ちょっと痛いけどステキよ」ぐらいのアドバイスを書いとけっての!だいたい何度言ったらわ
かるのアタシの名はいたる!い・た・る───ッ!!”ハム子ちゃん”じゃない!いたるも風子のことたった一人のマブ
ダチだと思ってたよ。でも自殺するよーな弱虫のためにいたるは泣かない。ちょっとだけウルウルきたけどさ、それは
いつだったかいたるがウルトラクサクサしていた時に抱きしめてくれた風子の髪の毛の野イチゴシャンプーの香りに
感謝してのことよ。イチゴ色の血の海で死んだアンタなんかにお別れの言葉なんか言ったげない。フン!いつかどこ
かでまた会ってやるわよ、そん時ゃオッパイワシづかみだからね覚悟しときなさいよ風子のバーカ!
アレレ?とか言ってたらもう着いちゃった。さすがニトロチャージャー装備のフェアレディ・ネオSR311は速いわね。
世田谷区ウエスト8-7……うん、ここだわ、でかい家ね。ドンドンドン!開けなさいよ来たわよ!開けなさい開けろってば
ドンドンドン!呼んどいて待たせやがってコノヤロー、キック入れてやるわエイッ!ガチャリ。キャー!オットットいきなり
開けんじゃないわよバカ!
「……IR屋さん……ですか?」
「ズバリそうよオジサン!違法IR請負人いたるよっ。本名は公子ってんだけどさぁアタシを『施設』に捨てた両親の付け
た名前なんて名乗るもんですか。その上たった一人のダチにゃー『公』の字を上と下に分けて『ハム子』なんて呼ばれちゃっ
てさ、カッチョ悪いから自分で名前付けたのよ。あんた樋上いたるって知ってる?今はもうバーさんだけれど、むっかしの
セクシー原画家よ。顎とか鼻とかデッサン凄いのよ。あの身体は女の理想ね、だからアタシはいたるに改名を……」