82 :
漢×彰:
「気持ちいい、彰さん?」
ベッドに縛り付けられ、身動き取れない彰に向けて、七瀬はにっこり微笑んだ。
すでに彰の服はほとんど取り払われ、トランクス1枚がかろうじて残されているだけである。
しかしそのトランクスも、内側からはちきれそうなほどそそり立った肉棒のせいで、ほとんどその役目を果たしていなかった。
七瀬はくっきりとペニスの形に浮きあがったトランクスを、掌で包み込むようにして撫ぜる。
すりすりと敏感な肉棒を擦られ、彰の腰ががくがくと痙攣した。
「彰さんったら、こんなに硬くしちゃって。可愛い」
「んぅーっ!」
なんとかもがいて七瀬の魔の手から逃れようとする彰だったが、きつく縛られた縄は緩む気配すら見せない。
七瀬は指先をペニスの先端に沿え、裏筋をなぞる様にして往復する。
その度に、彰のそれはひくひくと戦慄き、先端から先走りを滲ませた。
「ふふ、なんか染みが出来てきちゃったんだけど?」
「……」
悪戯っぽい笑みを見せる七瀬から、彰は真っ赤になった顔を逸らせた。
華奢な体つきに、中性的な顔立ち。
もし化粧を施し、それなりの服を着せれば、そこらの女性など比にならない美女に変貌するだろう。
「んぐ……ぐ」
彰は猿轡の下から呻き、七瀬をじっと睨み付ける。
その視線に気付き、七瀬は目を細め、猿轡の結び目を解いた。
ようやく自由にしゃべれるようになった彰は、荒い息の下から叫んだ。
「……ぷはっ……はぁ、はぁ……君は、なんだってこんな事するんだ!」
「その顔、全然自体が飲み込めてない、って感じね」
彰のペニスから指を離し、七瀬は顔の横に腰掛ける。
「あなたは、あたしに無いものを全部持ってるわ」
「……?」
「わからない?」
彰の華奢な胸を、まるでくすぐるように七瀬の指がなぞる。
「ぅあ……っ」
「敏感ね……じゃあ、こうしたら?」
するりと伸ばした指先が、彰の乳首の先端を捉えた。
爪で突起を強くつねりあげると、彰の全身が仰け反る。
「ひぎっ……!」
「女らしさ……色気……つややかさ。それが、男のあなたに与えられたのは、不運としか言いようがないかもしれない……でも」
真っ赤になった彰の乳首を離し、七瀬は耳元で優しげに囁いた。
「葉の七瀬、鍵の七瀬……正反する存在。けれど、この板に七瀬はふたりもいらない。
……いいえ、言いかえるわ」
涙の滲んだ瞳で見上げる彰に、七瀬はサディスティックな表情を見せる。
「あたしより女らしい七瀬はいらない……! 七瀬彰、あなたを潰して上げるわっ!」
高らかに宣言する七瀬に、彰は顔を歪めた。
「狂ってる……!」
「なんとでも言いなさい。乙女の道は修羅の道ッ! 乙女の道を歩む事を決めた時から、すでに情など捨ててるわ!」
七瀬は自分のショーツに手をかけ、脱ぎ放つと、くしゃくしゃと丸める。
そして、それを彰の口の中に捻じ込んだ。
「んぐぅ…!!」
吐き気と嫌悪感に、それを吐き出そうとする彰に先んじて、七瀬は素早く猿轡を噛ませた。
口の中に捻じ込まれた七瀬のショーツから立ち昇る匂いが、彰の脳をかき乱す。
だが、紛れもない『雌』の匂いに、彰の身体は意志とは無関係に反応した。
トランクスの中でビクビクと痙攣するペニスを見やり、七瀬はくすくすと笑う。
「女の子みたいな顔してても、ちゃんとこっちは男なのね」
戦慄くペニスを指で弾き、七瀬は改めて彰の上に馬乗りになった。
そして、スカートの中の剥き出しの部分を、彰のトランクスの上に重ねる。
「ほら……ね。わかる? あたしのここも、こんなになってるのよ」
ねっとりと熱く潤ったその部分を、トランクス越しに押しつけられ、彰は目を見開いた。
腹と七瀬に押し潰されたペニスは、射精を求めて、荒荒しく七瀬のその部分を押し分けようとする。
「あはは……」
彰の胸の上に手を置き、七瀬は秘部をペニスに押し当てたまま、ゆっくりと腰をグラインドさせた。
痺れるような甘い疼きが背骨を駆け上り、彰は思わずうめき声を上げる。
すでに七瀬の愛液と、彰の先走りによって、トランクスはぐっしょりと濡れそぼっていた。
「ううぅっ…ふぅっ……」
「硬くて……熱くて…あたしの下で、ぴくぴくしてるわよ……」
生地1枚挟んで性器同士を擦り合わされ、彰はたちまち限界まで上り詰めさせられる。
ペニスの形をじっとりとなぞるように腰を押し付けられ、散々弄られ、じらされ続けた彰は、射精寸前だった。
だが、七瀬はそのタイミングを見計らったかのように、彰が射精する寸前になると、腰の動きを休める。
ただでさえ、とろ火で炙るようなじれったい刺激なのに、お預けの繰り返しで、瞬く間に彰の意識がぐちゃぐちゃに掻き乱された。
そんな彰の痙攣を愉しむように、七瀬はたっぷり時間をかけて彰を弄る。
「うぐーっ、ふぐぅー!!」
「ふふ、イきたい?」
七瀬の言葉に、彰はこくこくと頷く。
その快楽に濁った瞳を見て、七瀬は唇を吊り上げた。
「いいわ、イかせてあげる」
七瀬は腰をあげ、彰のべったりと張り付いたトランクスをずり下ろす。
だが、真っ赤に腫れ上がり、先走りで蕩けたペニスには目もくれず、その下の窄まりに指を這わせた。
「ただし………こっちでねっ!!」