「ねえ、直樹…」
猫のように甘える声で彼女はからんできた。
「直樹って呼ぶなっていったろ?」
「でも…」
視線を外らす彼女の頬は僅かにピンク色に染まっていた。
俺はそんな彼女の肩を抱いた。
「え…?」
そして…。
「…っ!?」
彼女の唇を奪った。
「俺達の間に言葉はいらない…」
「直樹…」
それからの事は断片的にしか覚えていない。
「ぁ……」
「恥ずかしがるこたないだろ」
「でも…」
俺達の間に言葉なんていらなかったんだ。
「んん…」
「痛かったら言ってくれ」
「…うん」
ただ、そこにある感情さえあれば。
「ぁぅっ…直樹っ!」
何もかもがそれでよかったんだ。
「はぁっ…ぅっ…!」
何度も心配をかけたけど、もう離れたりはしない。
「みきぽん…愛してる」
安易な幸せかもしれないが、俺はこの幸せが永遠に続く事を願う。
二人が愛という言葉を忘れるまで。