628 :
しさんだ:
みちるを僕のものにしたかった。これ以上無いほどの愛だとか
そういった感情だとかを、彼女に僕は求めていたのだ。
みちるの全てが愛しく、
みちるの全てが欲しく、
みちるの全てを壊したかった。
破壊。破壊は、物質の終焉を意味する。
死。死は、生命の終焉を意味する。
彼女に対し、僕はそれを求めている。歪んでいるのだろうか?
僕はただ、自らの欲するように生きたいだけなのだ。
みちるを手に入れ、全てを僕のものにすること。
それだけが、僕の望みなのだ。
そこに、社会一般の常識などに沿う必要のある意味だとか理由だとか
は全く必要が無い。
「お願いだから…助けてよ…」
みちるがウメイテイル。みちるが僕に助けを懇願している。
でも、僕は解放などまさかするわけがなく、そんなことは彼女にでも
わかっていることじゃないだろうか。それでも僕に、助けを求める。
「大丈夫だよ、みちるちゃん。今日僕とちょっと遊ぶだけだよ。
あとできちんとお家には返してあげるからね」
帰して、ではないがね。
みちるは涙をはらはらと流しながら、怒りや恐怖のような、何かしら
尋常ではない意思の篭ったような眼で、僕を睨みつづけていた。
彼女の精一杯の反抗。
かわいいものだと、僕は思う。
629 :
しさんだ:03/06/14 21:44 ID:4NsBJ34h
「ねぇ、みちるちゃん。僕はね、君を愛してるんだよ」
「…何言って…」
みちるは僕の言葉に反応しようとして、急に言葉を切った。
僕がちょっとだけ、怖い顔をしていたからかもしれない。
いやいや。それとも…
まぁ、いい。
「僕はね、君が今までとても欲しかったし、そして君の全てを知りたいんだ」
「…」
「人がね、何かをしろうとするとき、どうするのかはみちるちゃんは知ってる?」
みちるはウンともすんとも言わない。
顔を振る事だってせず、むしろ僕から顔を背け様とさえしていた。
とはいえ、頭も腕も足も、柱にロープで縛り付けているわけで…
頭を動かすことですら彼女にはできなかった。
「ものと言うはね、全て皮に覆われているんだよ。でもね、物事の本質だとか
真実だとかっていうのは全て皮の下にあるものなんだ」
「…だから…だから何!?」
「みかんを食べるときに、みちるちゃんは皮をむくよね?豚肉を食べたいなら、
豚の皮は普通とってあるよね?体に悪いところがあれば、手術で体の中を
いじらないと駄目だよね?
…そういうことだよ」
みちるは少しずつ、僕が何を言いたいのか気付いてきたらしかった。
顔のこわばり方を見ていれば僕にはよくわかる。
そうか。
みちるはこんな顔もするんだね。
630 :
しさんだ:03/06/14 21:45 ID:4NsBJ34h
僕は足元のバッグから何十本ものナイフを取り出した。
ほとんどはかなり値の張るような軍用モデルの代物であり、
その一方、いくつかは100円でも買えるようなカッターあり、ありとあらゆる
用途に対応できる。
「みちるちゃんの中身、見てみたいな」
みちるは、悲鳴をアゲタ。
恐怖は体を振るわせた。
彼女は失禁し、涙や唾液や尿だのが畳の床を濡らしていた。
がたがたと、どうにかそこから逃げようときつく縛りついたロープと
格闘している。
無駄だって
無駄だって言ってるのに、何でこうも生きようとするのか…
ちょっと苦しく殺すって、ただそれだけのことなのになんでそんなことも
我慢できないのか…殺したい殺したい。
「大丈夫。ちょっと痛いだけだからね」
僕は彼女の肩に刃渡りが20センチほどの比較的長身のナイフをすっと
刺しこんだ。もちろん、プロじゃない僕がこんな真似事をやってすっぱり
上手く切れるわけはなく、まぁ当然といえば当然なのだが、皮どころか
肉を裂くように肩から肘にかけての部位を削ぎ落とした。
悲鳴は、人間のものとは思えないほどの力をもって彼女の口から発せられて
いた。痛い。苦痛。
言葉にならない悲鳴だが、言葉にするのならそんな感じ。
次はもっとうまくやらなくちゃいけない。
目的は皮をはぐことなんだから。
はぎ終わる前に死んじゃったら無駄だものね。
631 :
しさんだ:03/06/14 21:45 ID:4NsBJ34h
「あが…あぁぁああああああっ」
気絶と覚醒が繰り返される。
体液やら肉やら血やら、もう元は何を構成していたのかわからない
物体達が彼女の足元でとぐろを巻いている。
無駄なもの達が、彼女の要らない部分がその場所に密集しているのだ。
僕は両の腕の皮を全て削ぎ落とすと、次は足の皮を削ぎ落とし始めた。
「あああああ」
「あぁぁぁああああああああああああっ」
「ああああああああああああああああああああああああ」
「ああああああああああああああああああああああああ」
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あはははははははははははははははっ!!!!!!
632 :
しさんだ:03/06/14 21:46 ID:4NsBJ34h
顔面の皮を全て削ぎ落とした。
なんとなく、目玉も一個だけくり貫いて見た。
顔面の皮を引き剥がすのは、それは苦労した。
頬にナイフを入れた瞬間、もう既に死ぬ寸前まで弱っていただろうに
彼女は顔を振って暴れようとしていた。
もし、ここで逃げ出せたとしても、
頭から下は全て皮のない中身だけの物質であり、それが地面につくということは
これ以上ないほどの苦痛でしかないのに。
足がついた瞬間、激痛で転ぶ。
転んで倒れた部分が、また激痛で悶える。
そうやって死ぬまで転がるだけだって言うのに。
死ぬまでずっとずっとずっとずっとそうやっているだけなのに。
顔面の皮を削ぐのが大変だったのは、他の部位より骨と皮の隙間が少なかった
事にもあるのかもしれない。
何度、顔面の骨にナイフががちがち当たったことやらもはやわかったものではない。
悲鳴はもはや、ひゅーひゅーっという、死に掛けの、まるで隙間風のような、
そんな音だけになっていた。
痛みを感じているのか、それとも全神経が麻痺しているのか。
どちらにせよ、片方の目玉をくりぬき、まるでウインクのような顔にしたあとで、
僕は彼女の頭髪を素手で全て引き千切り、頭皮をつるつるにした。
そのあとで頭の皮を全てナイフで薄く削ぎ落とした。
633 :
しさんだ:03/06/14 21:46 ID:4NsBJ34h
さぁて、ラストだ。
僕は縛っていたロープを解き、彼女を地面に落とした。
気絶していたのだろうが、再び息も絶え絶えに彼女は目を覚ました。
がたがたと弱弱しく、畳の上をもんどりうちまわる。
まだ、背中が残っていたんだった。
僕は暴れる彼女をナイフで手を刺し、畳に無理矢理固定した。
このころになると、信じられないほどの絶叫はもはやなかった。
彼女の皮の何枚かを僕は口にした。
酷い味だったが、彼女の愛しい一部だったと思えばひどく美味に
思えるのだから不思議なものだ。
とくに美味だったのは、乳首のついた胸の皮だろうか。
背中の皮を、まるで魚を卸すかのように、自分でも手際良いと思える
ほどにすっぱり削ぎ落とした。さすがにこれだけやれば、ある程度やり方も
覚えてくるものなのだろう。
真っ赤な真っ赤な、本当のみちるが完成した。
「げ…あ…ひぃ………」
みちるは予想よりはるかに長生きしていた。これは驚きだ。
血を全身から噴出し、体液を全身からふきだし。
それでも尚。
彼女は生きていた。
僕はそれをみて、生命の神秘のようなものを感じずに入られなかった。
でも、5分後に彼女は絶命した。
たった5分だけれど、僕は他の誰も知らない、僕だけしか知らない
真実の彼女を知ったのだ。
とてもとても、甘美な、彼女の姿を。
さらにその5分後。
男は絶叫していた。
「な、ナなんでここココんなことあありあありあえるるはばすすずすが」
彼の背中にアザが浮いていた。右肩から左腰にかけて、一直線に走るアザ。
「イイイイタイ、イタイいたいいいたいたたい」
アザがだんだん割れていく。ピシリ、ピシリ、と音を立てて。
皮が裂け、肉が爆ぜ、骨が露わになっていく。
それはまるで、刀傷が治っていく過程のビデオ映像を逆回転にしたように。
血がドロリと滴り、ゴボゴボと噴き出すようにあふれ、ベシャリと跳ねた。
血だまりが川となり、皮だけになったみちるへと流れ注がれていく。
「バカなヤツ」
「みっ、みみみみ、みちるるるるううう????」
そこに、みちるが立っていた。
数時間前と同じように、何事もなかったように。
「どうだっ、サイコ野郎。自分のやったことをそのまま返される気分は」
不自然なまでに大人びた口調。
だが、男はみちるの言葉遣いに違和感を感じている余裕などありはしなかった。
「さすがに今のは効いたよ。でもね―」
みちるは男の背に両手を突き立てる。
そのまままるでみかんの皮をむくように、男の肉をめくりあげた。
「この程度の苦痛、神奈の苦しみの爪先ほどにも及ばないっ!」
「あああああ」
「あぁぁぁああああああああああああっ」
「ああああああああああああああああああああああああ」
「ああああああああああああああああああああああああ」
絶叫という言葉すら生ぬるい、体の奥底から搾り出される音。
男は絶命することすら許されなかった。
体液を噴き出し、血を流しきっても尚。
男は生きていた。
「げ…あ…ひぃ………」
みちるはそれをみて、ツバを吐く。
「くっだらない」
絶叫を続ける男の背中を思い切り蹴飛ばす。
「あんたなんかに、何もわからない。みちるがどうしてここにいるのか」
「どうしてこんなとこにいなきゃいけないのか」
「本当のみちるのことも、わたしだった人のことも」
みちるのつぶやき。あるいは、彼女の真実の言葉。
だが男の耳には、何も届かなかった。
ただ自分の叫びだけがこだまする。
「でも、みちるはやさしいから、あなたには真実を教えてあげる」
「終わりのない、永遠。みちるたちがずっと囚われていたもの」
「それを教えてあげるんだから、感謝してよね!にゃはははは」
笑う。悲しそうに。
そしてひとしきり笑うと、叫び続ける男に興味が失ったというように、そのままふいっと歩み去った。
男は狂っていた。狂いながら、生きていた。
夢を見ていた。終わりのない、夢を。