これより投稿します。
タイトルは『でんぱのさくら』。
ヒロインは瑠璃子さんで、14レスの予定です。
では、よろしくお願いします。
春は近づきつつあるとはいえ、まだまだ寒い朝。
登校する生徒の群れに、僕はその人の姿を探してしまう。
いたいた。あの後姿、ちょっと頼りなげな歩き方。
「瑠璃子さん、おはよう」
「おはよう、長瀬ちゃん」
振り向いた彼女は、今日もお人形さんみたいに可愛らしい。
だけど、今朝はなんだか違和感があるな。
「何これ?」
瑠璃子さんの頭頂部に、双葉らしきものが揺れている。
変わった飾りだ。こんなの見たことがない。
葉っぱが頭の上でぴこぴこ揺れているのは、可愛いといえば可愛いけど。
「あ、これ? 芽だよ」瑠璃子さんはくすくすと笑いながら言った。
「め?」
「うん。桜の芽」
桜の芽をかたどったアクセサリーか。なかなかよく出来てるな。本物みたいだ。
しかし、なにも頭のてっぺんに付けなくても……瑠璃子さんの趣味はよく分からない。
「なんでそんなの付けてるの?」
「ちょっと事情があるの」
「どんな事情?」
「あのね、私、さくらんぼが好きなの」
「ふうん」知らなかった。瑠璃子さんにさくらんぼってなかなか似合うかも。
でも、それとこれと何の関係が?
「それでね、この前さくらんぼをもらって、おいしいおいしい、ってたくさん食べたの」
「それはよかったね」
「でも、タネまで一緒に飲みこんじゃって」
「……で?」
「そしたら、とうとう頭から芽が……」
「……そんなアホな!!」
思わず放った本場風のツッコミが、瑠璃子さんにクリーンヒットした。
「……痛いよ、長瀬ちゃん」
「あ……ご、ごめん! 瑠璃子さん、大丈夫!?」
ああ、僕は何という事をしてしまったんだ! ツッコミとはいえ瑠璃子さんに手をあげるなんてっ!
だが、僕がこんなキャラ違いな行動をしてしまうのも仕方ない。あまりにも意外だったのだ。
瑠璃子さんがそんな冗談を言うなんて。
「大丈夫、大丈夫。いいツッコミだね、長瀬ちゃん」
僕を心配させまいと微笑んで見せる、気丈な瑠璃子さん。その優しさが少し胸に痛い。
まあ、それはさておいて。
「で、本当はなんでそんなの付けてるの?」
「え?」瑠璃子さんは不思議そうな顔をした。
「さっき言ったのが本当のことだよ?」
……え?
「つまり、さくらんぼのタネを食べたら、頭から芽が生えてきたっていうの?」
「うん、そう」
……え、え?
「……マジ?」
「うん、マジだよ」
えええ?
ええええ?
えええええ?
「えええええええええ〜〜〜〜〜〜っ!?」
ど、ど、ど、ど、どういうことだ!?
「なんかね、電波を受信してたら、おなかのタネが変に刺激されちゃったみたい」
だからって、おなかのタネが頭から芽を出すかあ!? 瑠璃子さんの体はどうなってるんだ!?
電波使いはやっぱり体の構造が普通と違うんだろうか。僕もタネのある物は気をつけて食べよう。
いやいや、そんなことより、このまま放っておくとどうなっちゃうんだろう?
芽が育って木になって…………
あああああ!! 想像するだに恐ろしい!!
「る、瑠璃子さん! そんなの早く取っちゃおう!」
「え?」瑠璃子さんは、さも意外、という顔をした。
「どうして?」
「どうしてって、ほっとくと大変なことになるよ。僕が取ってあげるから」
「だめ!」瑠璃子さんは、頭の芽をかばいながら後ずさった。
「可哀想だよ。せっかく芽生えた命なのに」
「そんなこと言ってる場合じゃ……」
「私、この子を育てる」
「そ、そ、育てる!?」そんなムチャな。
「そんなの無理に決まってるよ。今のうちになんとかしよう。ね?」
「長瀬ちゃんが何と言っても、私この子を育てるよ」瑠璃子さんは決然として言った。
「私一人でだって、育ててみせるから」
「う……」その真剣な瞳に、僕は思わずたじろいだ。
気がつくと、僕たちの周りには人垣が出来ていた。
こちらを見て何やら噂しているようだ。
何かとんでもない誤解をされているように思えるのは、僕の気のせいだろうか。
…………その桜の木は瑠璃子さんの頭上で成長を続け、彼女の生気を吸い上げ続けた。
「助けて……長瀬ちゃん」
日々弱りゆく瑠璃子さん。いまや彼女は、木に乗っ取られようとしている。
「しっかりして、瑠璃子さん!」
「長瀬ちゃん、私、もうだめ……」
ああ、僕にはどうすることもできないのか。
彼女の体はみるみるうちに木になっていく。
指先は枝と化し、白磁のようだった肌はごつごつした桜の皮へと変貌する。
「……なが…せ……ちゃん……」
幹に彼女の顔だけが浮かんでいる。そしてそれも、いまや木肌に飲みこまれようとしていた。
「瑠璃子さん……一体どうすれば……」
僕はただ、自分の無力さを呪った。
「たす……け……て……」
それを最後の言葉に、彼女は完全に桜の木となった。
「瑠璃子さん……瑠璃子さん……」
僕は涙にくれてその木を抱きしめた…………
「瑠璃子さあああああーーーーーんっっっ!!!!」
目が覚めると、びっしょり寝汗をかいていた。
……夢か。
なんて嫌な夢なんだ。
あの日、瑠璃子さんの頭に芽が出てから、こんな悪夢にしばしばうなされる。
そして、この恐ろしい夢は……
日一日と現実に近づきつつあるようだった。
「祐介、ちょっといいか?」
屋上に行こうとする途中、廊下で叔父に呼び止められた。
「……なんですか?」思わず口調がつっけんどんになってしまう。
親類が同じ学校で教師をしていることはあまり知られたくないから、叔父との接触は避けている。
叔父のほうもそれは知っているはずなんだけど……
「実は、月島瑠璃子のことなんだがね」
……叔父の口からその名を聞くのは、何となく不吉な感じがする。
「るり……月島さんが、どうしたんです?」
「お前も知ってるだろ、ほら、これ」頭の上を指さす。例の木のことを表わしているのだろう。
瑠璃子さんの頭に木が生えてから、周囲はみな困惑している。マイペースなのは彼女自身だけだ。
かといって、面と向かって彼女に意見を言う者はいないけど。
「何とかならんかと我々教師連も思っとるんだが、みんな彼女のことが何となく苦手でね」
確かに、瑠璃子さんはもともと近づきがたい雰囲気がある。頭に木を生やしてるんではなおさらだ。
「校則違反だというなら注意もできるんだが、そんな校則はないしな」
そりゃそうだ。頭に木を植える人間を想定した規則など、どこの世界にもないだろう。
「で、僕にどうしろと言うんですか?」
「うん、あれを何とかするように、お前から説得して欲しいと思ってな」
そーら来た。どうせ、そんなことだろうと思ったが……
「どうして僕なんです? 僕は彼女とは別のクラスですよ」
「ああ、だがお前は彼女とずいぶん親しいそうじゃないか」
叔父の耳にも入っていたか。僕と瑠璃子さんが付き合ってるとかいう噂。
根も葉もあるから、否定はできないけど……
「そうですね。機会があったらそれとなく話してみます」
適当に返事をして話を切り上げた。早く屋上に行かないと。
やれやれ。どうもあの叔父は苦手だ。ろくでもない厄介ごとばかり持ちこむし。
しかし、あの木をどうにかしてほしいという事には、正直言って僕も賛成だな。
といっても、今さら僕が何を言っても無駄だろうし……
そんなことを考えつつ、扉を開けた。
瑠璃子さんは、やっぱり今日もそこにいた。電波を集める時の指定席だ。
「あ、長瀬ちゃん」
「やあ、瑠璃子さん、また大きくなったね」
瑠璃子さんの頭上の桜は、もう1メートル位になっている。
つぼみもつけていて、もう立派な木といえる状態だ。
あれから1ヶ月にしかならないのに、ずいぶん成長が早い。
「うん。電波を受信するとね、木の成長にいいみたいなの」
電波が植物にいいとは初耳だけど……まあ、この木は特殊なのかも。
「それに、この子のおかげで、電波がすごくよく届くんだよ」
どうやら、木がアンテナの役目を果たしているようだ。
瑠璃子さんにとっては、受信しやすくなるのはすごく嬉しいことだろう。
「電波を受信するとね、桜ちゃんも嬉しい嬉しいって喜ぶんだよ」
「瑠璃子さん、桜の言葉が分かるの?」
「うん。心が伝わってくるの」
ふうん。たしかに植物にも心があるとは聞いたことがあるけど……
「それにしても、大変じゃない?」
学校生活も不便そうだ。ドアは屈まないと通れない。授業は後ろの席に迷惑だから常に最後列。体育は見学らしい。
「夜、寝るときなんかどうするの?」
「うん、ベッドで寝られないから、壁にもたれて座って寝るの」
そこまでするか、瑠璃子さん!
「この子のためなら、そんなの苦労とも思わないよ」
……参った。もはや僕から言えることは何もない。その可愛がりよう、ちょっと妬けるほどだ。
瑠璃子さんは愛おしげに頭上の幹を撫でた。
それは、自分のおなかをさする妊婦さんを連想させた。
考えてみると、生命を肉体で共有する感覚というのは、男には分からないものかもしれないな。
うーむ。女性は永遠に神秘だ……特に瑠璃子さんは。
…………瑠璃子さんは去ろうとしている。
「長瀬ちゃん、もうお別れだよ」
「瑠璃子さん……どこに行くの?」
「遠いところ。だから、もう長瀬ちゃんとは会えなくなるの」
「そんな……どうして!?」
「もう私、この世界では生きていけないもの」
そう言う瑠璃子さんの頭の上には、巨大な桜の木が鎮座している。
確かにこんな状態では、この社会に居場所がなくなってしまうだろう。
「だから、この子と一緒にいられるところに行くの」
「そんな、待ってよ、瑠璃子さん」
「さよなら」
瑠璃子さんの体は、溶けるように次第に霞んでいく。
「行かないで、瑠璃子さん。僕を一人にしないでよ……」
消えてゆく瑠璃子さんに伸ばした手は、ただ空を掴むのみだった…………
「瑠璃子さあああああーーーーーんっっっ!!!!」
目が覚めると、びっしょり寝汗をかいていた。
……夢か。
もうこんな夢、勘弁してくれ……眠るのが嫌になってしまう。
時計を見ると、まだ真夜中。春休み中だからいいようなものの……
その時、僕は電波を受信した。瑠璃子さんからだ。
その電波は、寂しげで悲しげで、まるで……
僕に助けを求めているようだった。
すぐに着替えて家を出た。どうやら、発信場所は公園らしい。
瑠璃子さんに何があったのだろう。心はあせり、自分の足がもどかしい。
ようやく公園に着いた。
常夜灯の下に、桜の木を頭に乗っけた美少女がいる。もちろん瑠璃子さんだ。
桜はすでに満開だ。輝くように咲きこぼれている。
公園にもたくさん桜は咲いている。でも、なぜか瑠璃子さんの桜のほうがいっそう華やかに見えた。
さっきの夢ほど大きくはないけど、その木はもう瑠璃子さん自身の背よりも高くなっている。
うーん……これはもう日常生活を営めるレベルじゃないな。
瑠璃子さん、もしかしたらずっと家の外で暮らしてるんじゃないだろうか。
「長瀬ちゃん、来てくれたんだね」
そう言って振り向く彼女は、どこか儚げで、消え入ってしまいそうな感じがした。
まるで、散りゆく桜の花そのもののように……
「どうしたの、瑠璃子さん?」
彼女はちょっと淋しげな微笑みを浮かべて、こう言った。
「あのね、長瀬ちゃん。お花見しよ」
「は、花見!?」
ちょっと拍子抜けした。あのただならぬ雰囲気は何だったんだ。
まあ、瑠璃子さんの思考は常人には図り難いものがある。何か意味があるのかもしれない。
「そりゃ、別にいいけど……」
「うん」瑠璃子さんはベンチに座って、
「はい」と自分の太ももを指し示した。どうやら膝枕してくれるらしい。
ちょっと照れくさいけど……じゃあ、お言葉に甘えて。
瑠璃子さんの膝枕は、柔らかくて、温かくて、とても気分がいい。
こうして夜桜見物なんて、考えてみれば最高の贅沢だ。
見上げれば、夜空をバックに桜の花、そして瑠璃子さんの顔。
そよ風が軽く彼女の髪を梳くと、頭上の桜も花びらを散らす。
それは幻想的で、いつまで眺めていても飽きない光景だ。
「きれいだね」
「うん……すごく綺麗だ」桜も、瑠璃子さんも。
だけど、瑠璃子さん……
君はどうしてそんな寂しそうな顔をしているの?
「実はね、長瀬ちゃん」
僕の心の声に答えるように、彼女は言った。
「もう、お別れしないといけないの」
僕はがばっと起きあがると、瑠璃子さんを見た。
「瑠璃子さん……どこかに行ってしまうの?」
さっきから漠然と感じていた不安が、心の中で破裂する。
「いやだよ、そんなの……行かないでよ」
きょとんとする瑠璃子さんを、僕は抱きしめた。
「君が好きなんだ、瑠璃子さん。君だけが心の支えなんだ。君がいなくなったら、僕は、僕は……」
胸の思いが、とりとめもなく口から迸った。
無我夢中で彼女に縋り付く腕に、思わず力が入る。
もっと、もっと強く抱かないと、彼女が消えて無くなってしまう。そんな気がした。
「……ちょっと苦しいよ、長瀬ちゃん」
瑠璃子さんはそう言ったあと、あやすように僕の頭を撫でた。
「大丈夫。私はどこにも行かないから」
「本当……?」
「うん。長瀬ちゃんを一人ぼっちになんかしないよ。お別れなのは、桜ちゃんなの」
さ、桜だって? ……なんだ、そうだったのか。
早とちりして、かなり恥かしい事を口走ってしまったような……
「桜ちゃんがね、私に言うの。このまま大きくなったら、私はきっと潰れちゃうって」
「う、うん」前から僕もそれを心配していたんだけど……
「だから、どこかに植え替えてほしいんだって」
「そうだったんだ……」
それで突然花見なんて言い出したのか。最後の姿を僕に見せようとしてくれたんだな。
「お願い、長瀬ちゃん」瑠璃子さんは僕の手を取った。
「この子を植え替えるの、長瀬ちゃんも手伝って」
一旦家に戻って、懐中電灯とシャベルを持ってきた。
瑠璃子さんとふたり、植え替え場所を探す。
学校からちょっと離れたところに、小さな山がある。そこへ行ってみることにした。
山裾の林の中、木々が開けて広場のようになった場所があった。
広さは20メートル四方くらい。ここがいいだろう。
さて、どうやって木を抜けばいいのか。無理矢理引っこ抜くわけにもいかないし……
しばし思案していたが、瑠璃子さんが何やら話しかけると、根はすんなりと彼女の頭から離れた。
倒れそうになる木を慌てて支える。その重みが僕に圧し掛かった。
……うわ、想像以上に重いぞ!!
瑠璃子さん、よく首が折れなかったな。母は強しというやつだろうか。
木が無くなって、瑠璃子さんの頭はずいぶんすっきりした。
「ああ……なんだか、心に穴が開いたみたい」淋しそうに彼女が呟く。
あれほど大事にして、体の一部になっていたものだ。そんな気持ちにもなるだろうな。
僕はどちらかというと、瑠璃子さんの頭に開いた物理的な穴が気になるんだけど……
広場の真ん中に穴を掘って、木を植えてやった。
ふう、やれやれ。けっこう重労働だ。もう明け方近い。
瑠璃子さんは木に近づくと、名残惜しそうに幹を撫でた。
「さよなら……元気で育ってね」
彼女の手の上に花びらが一枚、ひらひらと舞い落ちる。
「春は、別れの季節だね」
そう呟いた瑠璃子さんの瞳から……
光る雫がひとつぶ、こぼれた。
その光景は、僕の心を刺した。
僕の胸に、なんとも言えない罪悪感が押し寄せる。
思えば、僕はこの桜にあまり良い感情を持っていなかった。
瑠璃子さんがあんまり可愛がるものだから、ちょっと嫉妬していたのかもしれない。
植物にそんな気持ちを抱くのはおかしいけど、彼女の心が僕から離れていくような気がしたのだ。
それに第一、頭の上に木を生やしてるなんて、やっぱり変だ。
もともと周囲から浮き気味の瑠璃子さんがますます孤立していくようで、それも心配だった。
だから、早く無くなってしまえばいい、とずっと思っていた。
さっき彼女が木を植えかえると言ったときも、正直ほっとしたくらいだ。
これで元の瑠璃子さんに戻ってくれるだろう、と。
だけど、だけど……
瑠璃子さんがこんなに悲しむなんて。
そんなこと、僕は望んだわけじゃない……
瑠璃子さんは、まるで彼女自身が木になったように、その場に立ち尽くしていた。
その悲しみを、僕はどうして和らげてあげればいいんだろう。
「大丈夫だよ、瑠璃子さん。きっとこの桜はここに根を張って、立派に育つよ」
か細いその肩を抱いて、僕は言った。
「僕に出来ることがあったら、何でもするから……」
──それから、数ヶ月後。
瑠璃子さんは今日も屋上にいた。いつものようにあの桜の木に電波を送っているのだ。
しばらくはベレー帽なんかで隠していた木の跡の穴も、今ではすっかり元通りになっている。
僕も彼女の隣に並んで、フェンス越しに見えるその木に電波を送る。
僕たち二人の電波を毎日浴びて、その木はぐんぐんと成長していた。
高さはこの屋上はおろか、町のどの建物よりも高い。
幹の太さなど、周りを囲むのに十人がかり。屋久杉もビックリの超巨木だ。
さらに枝の広がりがまた見事で、木一本で鬱蒼とした小山の様相を呈している。
そんなのが山裾の林からにゅっと突き出していて、見下ろされるほかの木々はまるでミニチュアだ。
なにしろ、もともと低い山だったとはいえ、山自体の背をも追い越しているのだから尋常ではない。
このままではどうなるかと思ったが、最近は成長のスピードは収まっている。
ともあれ、町一番の大木であることはもちろん、桜としては間違いなく世界最大だろう。
来年の春に花が咲けばどれほどの壮観か。今から楽しみだ。
「……桜ちゃん、電波届いた?」
満足そうな瑠璃子さん。桜も青々とした葉を輝かせて喜んでいる。
今では、僕にも少しくらいは木の感情が分かるようになっていた。
そしてさらに、凄いのはこれからだ。
「そろそろ来るね」瑠璃子さんが僕に目くばせする。
「うん」
来た。
至福の電波が、シャワーのように降ってくる。
全身を貫く歓喜の波動。
体中の細胞の一つ一つまでが、新鮮な悦びに満たされていく。
「桜ちゃんの電波……いっぱい届いたよ」
成長が止まったかわりに、桜はこんな驚くべき特技を身につけていた。
僕たちが電波を送ると、お返しの電波を送ってくれるようになったのだ。
それは瑠璃子さん自身と同じように、僕たちを柔らかな慈愛で包んでくれる。
孤独も、恐怖も、全てが癒されていく。やすらぎに満ちたとても優しい電波だ。
「幸せだね、長瀬ちゃん」
「うん、僕も」
二人の体が自然と寄り添う。
このひとときを共有することが、僕たちの絆をより一層深めてくれるようだった。
そんな僕たちを祝福するように、桜は天に向かって堂々とそびえ立っている。
そう、僕と瑠璃子さんが力を合わせれば、こんな奇跡みたいなことも起きるんだ。
巨大な、巨大な桜の木。
──僕たち二人の愛も、この木のように、大きく大きく育てていきたい。
なんて、柄でもない事を思ってみた。
以上、『でんぱのさくら』でした。
ありがとうございました。
今から投稿します。10レスです。
内容はかのん。ジャンルはコメディよりです。
花見に来たが、公園はどこもかしこも人で一杯だった。
俺と名雪と真琴はどうしたものかと公園の中を茣蓙を持って迷っていた。
「祐一、疲れた」
「真琴も」
「文句言うなよ。くそ、田舎だからって甘く見てたぜ!」
「田舎? 祐一どういう意味それ?」
「どういう意味それ?」
名雪の言葉に続いて真琴が言う。
真琴の場合、ただ名雪の口調を真似てみただけだろう。
本気でむかついた。
しかし怒る気力もなかった。
俺が住んでた所はこれ以上の盛況だったとか声高に訴えても無駄に思えてくる。
酔っ払いの数も出店の数も桁違いだったんだが。
確かに地元のことを言っても興ざめだろう。
俺は素直に謝ることにした。
「……悪かったよ」
「へーまあ、いいけどね」
「まあ、いいけどね」
「……」
さっきと同じく真琴は続ける。
本気でむかむかしてくる。煽りの小技を覚えやがって。
(もう無視だ。無視)
開き直って俺は大手を振って二人に言った。
「これだけ人も多いんだ。知り合いを捜した方がいいんじゃないか?」
「あ、そうだよ。香里も栞ちゃんと来てるらしいよ」
「それだ! 見つけて便乗させてもらおうぜ!」
俺はぐるりと周囲を見渡した。
「あ、相沢君」
目的の人物を探すこと十秒ほど、美坂姉妹を見つけ出した。
ただ、気になることは手には弁当箱らしきもの。どうやら俺達と同じく場所を探しているみたいだった。
「祐一さん、久し振りです」
「栞、もう体は大丈夫なのか?」
「もちろんです」
栞は胸を張って「えっへん」と反らした。
「へー奇跡も起きるって訳か」
「まったくそうですよ。トトくじが当たって良かったです」
「……何だ?」
トトってサッカーのあれか?
「凄いじゃないか栞!」
「あは、三点でゲットしましたよ」
「おー尚すげー!」
「五千三百万円ほど付きました」
「栞、結婚しよう!」
「わーい、嬉しいですー!」
俺のプロポーズ宣言に香里は「はあ」と溜息を付いて、
名雪は「むー」と服の袖を引っ張って、何故か真琴は「わー」と恥かしそうに俯いた。
(なんでお前が照れるんだ?)
まあしかしだ。俺と栞の絆は離れることはない。
何せ五千万だからな。硬い絆だ。
「言っておくけど、相沢君」
「何だい? 姉さん」
「栞の手術代に全部消えたわよ?」
「え?」
「わーお姉ちゃんひどいです! バラすなんて!」
しかし栞の奇跡は体の回復ではなく手術費を捻出したことを指していたのか。
随分と現実的な奇跡だ。俺も肖りたい。
「まあ、冗談それくらいにして」
「冗談!?」
俺のナウでヤングな冗談に栞は心底、落胆していた。
他の女性陣の視線も険悪なもの。だが、俺はそんなこと気にしなかった。
「どうする? まだ昼間だし場所は空きそうに無いぞ?」
「甘いわね相沢君。ここはあたしの地元なのよ」
「なに! 穴場があるのか!」
「もちろん一等席で花見できる場所を知ってるわ」
「よし! 行こう!」
「いやよ」
「なぜに!?」
香里は横目でちらりと栞の方を見る。
ぐすんと恨めしそうに俺のことを見つめていた。
名雪は栞を慰めようと声を掛けている。
「大丈夫? 祐一は無神経だし単細胞で馬鹿で忘れっぽくて我侭なんだから気にしちゃ駄目だよ」
真琴も隣で「うんうん」と何度も頷いていた。
「分かった相沢君?」
俺に向かって言う香里の眼は笑っていなかった。
「……分かったよ」
「でも誤解しないでね相沢君。光物に眼が眩んで栞にプロポーズした気持ちは分かってるつもりよ」
神妙に香里は呟いた。俺に向かって手の平を出して。
「……」
無言で夏目さんを一枚握らせる。
「あら? ごめんね相沢君。催促してみたいで」
おほほほと口に手を当て笑う香里は見ていて気持ち悪かった。
「……!」
今度こそ栞は我が目を疑って、
体が治ったことを本気で悔いるかのようにその場で気絶した。
俺は栞を担いで目的の場所まで来た。
香里が言うにはこの辺らしいのだが周りを見ても空いている気配など無かった。
それどころか香里の言葉通り桜の木が一番多そうだ。
何時間場所取りしてたらこんな良い場所取れるのだろうか?
しかし、その答えを知るのは簡単だろう。
「……可哀想に」
寝袋に包まって寝ている北川を見て俺は呟かずにはいられない。
悪い女に捕まったな北川。
「さあ、ここよ」
「……」
一同、やつれた北川を見て言葉も出ない。
「み、美坂……オレ、ずっと待……」
待ってたと言い掛けたところで北川は気絶した。
「……わ、寝ちゃった」
「これを寝たと言うお前の神経は怖いものがあるぞ」
「失礼ね、後でお礼はするわよ」
「それなら良いんだが」
「もう北川君も二日くらいでくたばらないで欲しいわ」
あたしが悪いみたいじゃない、と香里は逆ギレ。
「実は、お姉ちゃん……ああ見えても北川さんのことが……」
俺の背中で気絶していたはずの栞が、呟く。
「セロハンテープの次にくらいに……好きなんですよ?」
「ああ、分かった。俺は、泣いてもいいんだな?」
「……はい」
俺は号泣して北川の体に抱き付いた。
持ち上げた。
茣蓙を引く場所を取るために道端に投げ捨てた。
「やるわね、相沢君」
「まあな……」
名雪は、一応、北川の生死を確認してから、
葬儀屋ではなく、病院の方に連絡を入れることにしたらしい。
「乾杯!」
祭りの始まりだった。
この場所は流石に北川が命を懸けて取ったに相応しく桜の花が綺麗だった。
香里が言うには公園の桜はソメイヨシノではなくシダレザクラらしい。
日本ではソメイヨシノが全般の八割を越えるのだがシダレザクラもなかなか乙なもの。
「ところで……」
誰が持って来たんだが酒が混じっていた。
「祐一! 祐一! ねこーねこさんだよーにゃあ〜にゃあ〜」
「わーん、結婚してくれるって言ってくれたのに、祐一さんは体だけが目的だったんですね!」
「世界が回るー! 祐一が何人も居る!」
「あはははー面白いわね」
名雪は俺にごろごろ抱き付いて来て、栞は泣き上戸、桜の木に向かって喋り出している。
真琴は、ふらふらと千鳥足。飲ませた当の本人、香里は笑い上戸。
先生に見つかったら一環の終わりだった。
「まさに地獄絵図!」
真っ先に酔わなかった自分が恨めしい。
「というか、お前らも気づけよ」
アルコールとジュースの違いに気付いた俺は一歩も二歩出遅れてしまった。
(補導される前に逃げた方が無難か?)
俺が本気で世間体とこいつらも天秤に掛けていた時、
「あらあら、賑やかですね」
「秋子さん!」
救いの主は現れた。
「お母さん。大好きだよー」
名雪は俺から離れて秋子さんまっしぐら。
少し寂しいが、俺より秋子さんの方が良いらしい。
「まあ、いいか」
幸せそうな名雪の顔を見て、俺は思った。
「あらあら仕方の無い子ね」
秋子さんはにこにこと名雪の好きにさせている。
飲酒のことも文句は無いらしい。
流石、秋子さん話が分かる。
「じゃあ、私も混ぜて貰う代わりに差し入れでも……」
「ありがとうございます」
これは香里。
「わーい、大福です」
花より団子は栞。
「秋子さん? 肉まんは無いの?」
華より肉は真琴。
「お母さんお母さん」
すでに猫化してるのは名雪。
「……」
絶句したのは俺ひとり。
「さあ、召し上がれ」
「わーい」
飛びつく四人。何の迷いも無く口に運んでいる。
四人と死人とはごろが似ていた。
「うふふ」
何でこの状況で分からないんだろうか?
俺は不思議でならない。
「祐一さんもどうぞ」
「あ、俺、飲み物買ってきますから」
「そう? 残念」
俺は後ろを振り返らないで歩き出した。
「ひゃふわー」
断末魔の声が聞こえてきた。
桜は綺麗だった。
確か、桜の下には死体が埋まっているから、綺麗なんだと今になって思い出した。
また血を吸うのか。
南無ー。
「しかし秋子さんの謎ジャムで花見が終わるのは興醒めだよなー」
俺は律儀に飲み物を買って帰る途中、
「相沢さん」
耳元に囁かれて「ぐわ」と呻き跳ね上がってしまった。
「こんなところで相沢さんと会えるなんて……運命、ですね」
「……おーい、天野?」
「運命ということは、このまま二人はこれをきっかけに……きゃあ、恥かしい」
「……」
「ででででも、相沢さんなら、私……構いません」
天野は俺に向かって前を閉じた。
その頬は赤い。
(こいつも酔ってるのか)
真面目に相手すれば馬鹿を見るのは明白だった。
「うぐぅ祐一君だ」
「おう、あゆか」
頭に口癖を付けて人物描写を入れる手間を省くとはありがたい。
都合良く出てきた点も評価高め。
「良し良し愛いやつめ。キスしてやろう。こっち来い」
「え? 何言ってんの祐一君?」
「キスいやか?」
「わ、そんなことないよ。でも、恥かしいから」
「そうだよな。この間なんて、あゆの方からして来そうな勢いだったし」
「うぐっ、あれは違うんだよー」
「違うって何だ? 俺のこと好っていうのが間違いか?」
「わ、そうじゃないけど……」
「じゃあ、目を瞑れ」
「う、うん」
手と足を左右同じに動かしてあゆは俺の元にがちがちになって歩いて来る。
そして、眼前になって立ち止まり目を閉じた。
「……いいよ、祐一君」
「よし、あゆそのままにしてろよ」
俺は横にひょいっと退いた。
そこには天野。丁度、あゆの前に立つような格好だった。
「じゃあ、キスするぞ」
俺は二人に向かって言う。
「はい」
「うん」
二人は目を閉じたまま頷き合う。
「じゃあ、一、二の三、で互いに一歩ずつ足を進めよう」
俺が何を言ってるのか二人は考えもしない。
盲目的に俺を信じている。
「一、二の、三!」
二人は揃って足を踏み出した。
がちーん。
「うぐぅ」
「はうっ」
二人は俺の予想通り額をぶつけ合って倒れ込んだ。
「許せ二人とも」
酔っ払いを相手にするほど暇ではなかった。
俺は二人の手にウーロン茶を握らせて、その場を後にする。
「これで少しは酔いを醒ませよ」
俺は、そのまま二人を残して花見の席に帰った。
しかし、その途中――
我が目を疑った。
「すげーサクラだ……」
目の前のサクラの凄まじさに俺はある種の感動を覚えた。
「愉快な人形劇が始まるよ」
目つきの悪い男がズボンから人形を取り出して、糸も付いていないのに動き出す。
それは、不思議な光景だった。
でも、面白くはなく他の見物客も「はー」とか「おー」とか、
感嘆の声を上げるだけで笑顔を零してはいない。
「あははーっ、凄いです! これどうなってるんでしょう?」
「……面白い」
「ねえ、舞。そうだよね、わー。佐祐理初めてです、こんなの」
「……うん、初めて」
周りの客は白い目で二人を見つめていた。
「佐祐理さん……舞……」
俺はこめかみを押さえて唸ってしまう。
「さあ、御代は見てのお帰りだ!」
男は気分を良くしたのか、更に人形を激しく動かしていた。
「あははーっ」
「……おー」
二人は更に目を輝かせて魅入っている。
「まあ、佐祐理さんと舞のことだから、サクラをしてるつもりはないんだろうけど……」
場は白けていた。これ以上ないほど真っ白に。
乾いた風が桜の花びらを運んでいた。
(ある意味、シダレザクラよりもすげー綺麗なサクラだよなー)
普段着姿の二人は始めてみたが、どうしてどうして。
年上の魅力も良いものだ。
「はははは、見たか。見たか」
しかし男は気付いていないのだろうか?
佐祐理さんと舞以外に観客が居なくなったことに。
いいのかそれで?
「はい、面白かったです」
「……うん」
「ところで勘定の方だが……」
目つきの悪い男はきゅぴーんと目を光らせて、佐祐理さんを覗き込んでいた。
佐祐理さんはちょっと困ったように、
「今日は持ち合わせが少ないんで申し訳ないんですけど……」
「……なんだと?」
男は落胆して体ごと地面に突っ伏していた。
(おいおい、大丈夫かよ)
まあ、佐祐理さんも舞もあれだけ楽しんだことだし、
借りもあることだしと俺は、五百円硬貨をポケットから取り出そうとした。
(これくらいでいいだろう)
と、その時――
「佐祐理は現金を持たない主義なので小切手でいいですか?」
「……は?」
俺と男は目を点にさせて佐祐理さんを見ていた。
舞は以前、無愛想。いや、これは普段の遣り取りに慣れているという貫禄か?
「なに!」
男が小切手を持って驚愕の声を上げていた。
微妙にその手が揺れている。
俺もちらっとしか見えなかったが零が一杯並んでいた。
「……ぐわ」
男はあまりのことに白目を剥いていた。
「あははーっ、良かった。喜んで貰えて……ねえ、舞」
「……うん」
二人の間を割るかのように、俺は佐祐理さんの前に立っていた。
「あ、祐一さんだー」
そう言う彼女に、
「佐祐理さん結婚してくれ」
「はい」
と、何故だか俺は告白していて、佐祐理さんも何故だか受け入れてくれた。
「……え? マジ? いいの俺で?」
「祐一さん以外が嫌なんですよ」
まあ、しかし……。
舞のチョップに俺が気絶するのは、そのすぐ後のことになる。
以上です。お粗末さまでした。
駆け込みになっちゃいました。
5レス投稿します。
タイトルは『桜紗抄』
内容は痕、キャラはエディフェル/次郎衛門/リネットです。
芽吹いた木々は綾織りの衣となって地をおおい、山裾の輪郭は夜ごとに青の色を深くしていた。
月影に濡れた山肌を夜風が這い上がり、ぬかるんだ土と水の香を吹き付けている。
風鳴りの音がした。
しろかねの鏡に照らされて、藍染めの空に沈んだ森の向こう。
そこに、白が在った。
風に波立つ樹海のさなかに、ただ一点、冬の名残の淡雪の色が染みている。
幽かに紅を帯びた白抜きの点は、曙光を抱いて地にとどまった雲のようでもあった。
それは花ざかりの若木。
みずから咲かせた精気の重さにしだれながら、若木はなおも貪欲に腕(かいな)を広げようとしていた。
白く。風を受けた幾千もの花弁が、張り渡された枝振りに山の息吹をため込んでいる。
薄紅の群雲(むらくも)は草葉の香を取り込んで脹らみ、やがて――それ自身がひとつの花であるかのように――ほころんだ。
吹き散らされる若木の精を、またたきもせず見守る影がひとつ。
はらはらと。宵闇に映える白の花弁は、客人(まれびと)たる女の瞳に舞い落ちる。
生来花を愛でる習いを持たぬがゆえに、その白はいっそうありありと女の双眸に射込まれていた。
そのいでたちは、この地を訪なういかなる“くに”のものとも似つかない。
ただ、野を拓き山に恵みを享ける生業でないことは、ひとめで見て取れた。
染糸をあしらった額冠から飾り布を垂らし、大陸の絹もかくやという滑らかな衣で、伸びざかりの山毛欅のごとき細身を包んでいる。
それは遠く異郷の海を知り、この地の水を知らぬもの。
薄紅を溶いてなお赤く、その眼は虚心を宿していた。
手すさびに、花の首を摘むように命を刈り取る指先が、闇に浮いたうたかたの花霞にさし込まれる。
さながら、いくさ場に在るときのように造作もなく――。
春にいろづく淡雪を、同じ色の指先にからめとった。
山を満たす月の下。かんばせは斎にのぞむ祭司のごとく冷えている。
あやな妖美を畏れるでもなく、雅びたおもむきに魅入られるふうでもなく――。
一片の心残りすら匂わせることなしに、花の屍は繊やかな指の間をするりと抜け落ちた。
月が照らすかぎりの土地に、女をかき乱すものは何ひとつとしてない。
(春/了)
夜通し暈(かさ)をまつろわせていた月が、白みゆく空に消えようとしている。
気ぜわしく啼きだした緋水鶏(ヒクイナ)の音色が、暑気を呼び込むように喧(かまびす)しく響き始めた
その声は岩窪にたまった雨水に届き、水面を静かに震わせる。
いっときのたゆみさえ惜しむかのように、森は、夏のさかりに在った。
沢の音をたよりに、けもの道を下る影がひとつ。
双手に白絹の束をたずさえて、女は沢へと降りる道行きを踏んでいた。
昨夜のいくさ跡は雨に洗われて、森を染め抜いた朱の色は土の奥底に沈み込んでいる。
その名残をひくように、女はその身にほのかな血の香をまとわせていた。
掌中の白布はまだらの血に染まり、それが拭き清めた傷の深さを示すように重く濡れている。
曙の日差しが尾根にあらわれると、女は玻璃の瞳を静かにすがめた。
やがて道なき道のなかほどに、くろぐろと葉を繁らせ、はちきれんばかりに枝を張り出した若木の姿が現われる。
それは山の精髄を幹にめぐらせ、照りつける日差しを枝葉の端々にまで満たしていた。
日の目を隠すほどに生い繁った葉叢が、下草に濃い陰を落としている。
足早に進む異国の装いが、その傍らに差しかかったとき――。
ぽつり、と。
重く濡れた葉先が露を結び、いましも往きすぎようとした細い肩に大粒の雫を落とした。
肩口に注がれた女の目が、ふと、肩から腕にかけての羽織の一点に留まる。
そこに、乾いた染みが赤黒く咲いていた。
黒ずんだ緋の花は、いくさ場を駈けるうちに浴びたものだろう。
針先ほどの――常ならば顧みることさえない――赤いしるしに目を据えて、女はしばし思案げに足を止めていた。
ややあって、女は子鹿のような身のこなしで木立を渡り、水面(みなも)にさかしまの木々を湛えた淵へと降り立った。
穢れを吸った布を一片ずつ取り分けると、流れに浸して丹念に清めていく。
水かさを増した清水にさらわれて、布に染みた緋の色が墨流しの糸を引いて溶け出していった。
ゆらり、ゆらり、沢の淀みに立ち込めては靄のように消える。
やにわに衣擦れの音がした。
水底に羽織の紫を敷いて、朝日を跳ねた瀬の流れが藍玉の色を透かしている。
(夏/了)
黄には公孫樹。紅には楓。
寄木細工の合わせ模様を織り成しに、山並みに散った季節はめぐりゆく彩りに染まっている。
紅と、黄と、褐と、緑。
そよぐ風は寒暑のいずれにもなく、四方(よも)を囲む群青の空は底知れぬ深みに沈んでいた。
燃ゆる木立のあわいを埋めて、そぞろに歩む影がひとつ。
男は、この土地のつわものと見えた。
細身の胴にすらりと伸びた手足が目を引くが、肉おきのほどは薄くない。
張られた弓弦のようにしなやかな体躯に、腰に佩(は)いた鋼の姿がよくなじんでいた。
しかし、その姿はうつせみに似て生気がない。
傷や病をわずらう風情ではなかったが、その身はさながら魂魄が脱け落ちたごとくに虚ろだった。
開かれた目は霞にくもり、あけすけな秋の日ざしをただ照り返している。
立ち木の黒い幹に手をかけて、男は身を引きずるようにして歩を進めていた。
なかば冬の備えを終えた枝先に、いましも落ちようとする黄の葉が未練げに揺れる。
若木はいつしか深く根を下ろし、かたく土をつかんでいた。
硬くこわばった樹皮の内に、たしかな命のきざしが――それと悟らせぬほど静かに――息づいている。
揺れる山吹色の下。
降りつもる枯れ葉を褥(しとね)にかえて、男はついに瞼を閉ざしてしまった。
朽ちゆく葉の上に一刻あまり。鋼を帯びたつわものは身じろぎひとつしなかった。
風鳴りと共に、ふいにその目が開かれる。
くすんだ黄の色は未だ、尾根を下りた風にさらされて、見開いた眼の先にあった。
山吹色が揺れる。
鬼相の浮き出た面をゆがめて、男はもの狂いのように笑いだした。
終生をかけてあがなうべき願いが、おのれの内に遺されたことを言祝ぐように――。
呪詛のうちに昏い歓喜をにじませて、瘧(おこり)に病んだようにひたすらに笑いつづける。
震える声が涸れ果てた嗚咽に変わるころ、若木よりほかに聞くものはない。
(秋/了)
弓形(ゆみなり)に縁取られた稜線に、凍えた朔の月がさしかけられていた。
山裾には葉を落とした木々が黒く居ならび、その足元に山肌の土を黒くさらしている。
鈍色の雲が茜色の名残をとどめて、夕刻の空につかの間の薄明りを添えていた。
そびえる木立にまぎれて、誰彼に佇む影がふたつ。
ひとつは女――。
幼さの残る面差しを覆い隠して、瑠璃の瞳がもの悲しい情を湛えている。
いずこかの貴人を思わせる装いだが、その身に纏った織物は、この土地の匠の手になるものではない。
女に残るあどけなさは、生来備えた気質によるものと見えた。
客人(まれびと)に連なる女を前にして、男は居すくむように動かない。
地蟲のごとくうねった木の根をはさんで、ふたつの影は互いに遠く隔たっていた。
いくたりか、女の唇がもの問いたげに開かれたが、白い喉は音を発せられぬままふたたび閉ざされている。
尽くすべき言の葉はとうに枯れ落ちていた。
森に満ちゆく宵闇を、ふたつの影はなすこともなくただ眺めつづける。
やがて男は身に帯びた太刀を手に取り、鞘のまま女に向けて投げ出した。
無骨な拵(こしら)えの柄本が、土中から盛り上げた木の根を打って乾いた音を立てる。
その行方を見届けることもせず、男は踵を返した。
ゆるゆると。
その背に追いすがるものが後れ気を持たぬように――。
その傍らを歩くものが苦を覚えぬように――。
あたりに動く影が消え失せた後も、若木は変わらず冬の終わりを待ちつづける。
天に差しのばした腕を休めて、若木はひたすらに木枯らしのすぎる朝を待っていた。
黒く身をすくませ、芽吹くときを夢見に抱いて、若木は春を待ち受ける。
いくとせなりとも、木は待つことができた。
(冬/了)
連れ立つのは五人。
古木はすでに山とひとつになって、年ごとのうつろいを身の内に取り込んでいた。
吹き上げる白の奔流に枝垂れて、節くれ立つ大樹は森を春に染めている。
登り切った坂の上。もっとも年の若い少女が、山の中腹に張りついた白を指で示した。
じっと見つめた誰かがため息をついた。
誰かが感嘆の声を上げた。
後ろを歩くふたりが追いすがってきた。
――それは、散り際の花。
気の早い誰かが、“次の春”の話をしはじめていた。
(桜/了)
今から投稿します。
こんなタイトルですけどテーマは桜の方ですよ、ええ。
4レス予定。
「祐一・美汐の『風が吹く日』」
「もうすっかり春だな」
「そうですね」
平年より幾分か早く開花した桜の花が、街のあちらこちらで華やいでいる。
ものみの丘へと続く桜並木の下を、祐一と美汐は二人並んで歩いていた。
何気無い世間話をする恋人同士、と傍からは見えただろう。
しかし、その会話は二人にとって別な意味を持っていた。
「なんか今日あたりさ、あいつがひょっこり帰ってくる気がするんだ」
「私も、そんな気がします」
「誰よりもこの春を待ち望んでいたのはあいつだからな」と祐一は自分で確認するようにつぶやいた。
その後は二人真琴の話で盛り上がる。
あいつが帰ってきたら最初にかける言葉は何にしようか、
今度はどんなイタズラを仕掛けてくるだろうか、それをどう切り返そうか、
夏はみんなで海に行こう、水着はもちろんビキニで、何がもちろんなんですか、
じゃあスクール水着、もっとダメです・・・美汐も懸命に笑顔を取り繕った。
「あいつは今日帰ってくる」
祐一は昨日もそう言っていた。
一昨日も、その前の日も。
いつかきっと真琴は帰ってくると信じることで立ち直ったように見えた祐一だが、
時が過ぎるにつれてその確信は少しずつ色褪せ、霧のように散っていく。
しかし、自分でそれを認めることはできないのだ。
美汐にもそんな時期があった。
そしてついには限界を超え、壊れてしまった。
今、祐一が心の拠り所を失ってしまったら、以前の自分と同じように心を閉ざしてしまうだろうと美汐は思った。
春が終ってしまえば、この桜が全て散ってしまえば、いったい彼はどうなってしまうのだろう。
風に舞う無数の白い花弁を全身に浴びながら、美汐の不安は募るばかりだった。
「花見をするなら今週末が最後のチャンスです」とテレビの天気予報は言っていた。
そんな予報を実現せんとばかりに外は朝から強い風が吹き、時折突風が窓を叩いている。
これではとても花見どころではない、と美汐は思ったものだが、
午後になって祐一に電話をかけた。
せめて今日は一緒にいてあげたいと思った。
すでにほとんど花の散った桜の樹を見上げた昨日の祐一の顔が忘れられない。
「春も、もうすぐ終わりだな・・・」
初めてそんなことを口にして、そのあとはずっと無言だった。
「祐一は朝からどこかに出かけていないよ」と受話器を取った名雪が不安そうな声で告げる。
こんな風の中どこへ・・・?
思い当たる場所は一つしかなかった。
美汐も春の烈風の中へ飛び出す。
ものみの丘へ続く並木通り。
もう桜吹雪とは呼べないような、まばらな花弁が渦を巻く中に祐一は立っていた。
一人、ひときわ大きな桜の樹をじっと見上げている。
美汐に気づくとニコリと笑い、また樹を見上げて言った。
「あいつが帰ってきたよ」
祐一が何を言ってるのかわからなかったが、美汐もつられて上を見る。
風に舞う無数の花びらの中に白いものが見えた。
ビニール袋か何かが枝に引っかかってバタバタと風にはためいてるように思った。
「天野にもいつか話しただろう?」
風の音にかき消されそうな祐一の声を、一言も聞き漏らすまいと美汐は必死に耳を傾ける。
「あいつとの結婚式のこと」
「結婚式・・・」
それでやっと美汐にもわかった。
あの白いものは祐一が真琴に贈ったというウェディングヴェールなのだろうか。
何ヶ月も経って泥や埃にまみれ、あちこち破ければこんなにボロボロになるのかもしれない。
「もっと早く帰ってくれば満開の桜が見れたのにな・・・」
祐一がつぶやく。
「もっと早く帰ってくれば・・・俺・・・」
美汐にはかける言葉が見つからない。
「俺と、天野と・・・三人で・・・」
最後の方はもう涙声で聞き取れない。
突風が吹き抜けた。
「あっ」
ヴェールが再び風に飛ばされ、空高く舞う。
二人で追いかける。
目の前に落ちたそれは、やはりただの白いビニール袋だった。
ビニール袋はまた風に飛ばされていった。
「相沢さん・・・」
呆然と立ち尽くす祐一に、やっと美汐は声をかける。
と同時に、祐一の目から堰を切ったように涙が溢れ、声を上げて泣き崩れた。
「どうしてっ、どうして真琴は帰ってこないんだよ!俺はずっと待ってるのに、信じてるのに!」
しがみつくように美汐の肩を揺さぶって祐一が叫ぶ。
「教えてくれよ天野っ!」
「相沢さんっ・・・」
かける言葉なんて見つからない。
ただ強く抱きとめることだけが美汐のできる全てだった。
「ごめんな、天野」
美汐の肩でひとしきり泣いた祐一が小さな声で言った。
風はいつの間にか収まり、時折思い出したように通り過ぎていく。
「天野も同じつらい思いをしてるんだよな・・・なのに俺は自分のことばかり・・・」
「いいんですよ」
美汐は祐一の髪を優しくなでながら穏やかな口調で語りかけた。
「私もかつてはそうでしたから」
「天野・・・」
子供が母親にそうされるように祐一は身を任せていた。
「私が今こうしていられるのは、他ならぬ相沢さんのおかげなんですよ」
「でも俺は・・・」
「私も一度はあきらめかけました」
忘れたいとさえ思っていた。
「なのにもう一度あの子のことを想えるようになったのは、相沢さん、あなたがいたからなんです」
「俺が・・・?」
それには答えず、美汐は枝葉だけになった桜の樹をゆっくりと見上げた。
「この桜の樹、来年はきっとまた満開の花が咲くことでしょうね」
そして祐一の方に向き直って微笑む。
「来年、また春になったらここに来ましょう、相沢さん」
「来年の・・・春・・・」
「そうです」
祐一の目が光を取り戻していく。
「また満開になった桜のもとへ」
「ああ」
涙の跡はそのままに、柔らかな笑顔が広がっていく。
「俺たちはまたここに来るんだ」
「はい」
風が吹き抜け、足元の花びらが高く舞い上がる。
二人はすっかり緑に覆われた丘を仰いだ。
暖かな日差しが二人を包んでいた・・・。
∧||∧
( ⌒ ヽ 割り込んじゃってごめんなさい…
∪ ノ 最後に規制くらって手間取ってシマタ
∪∪
今から投下します
題名「桜を見る回数」
1スレ 痕
初音は桜を眺めていた。
どこか悲しみを帯びた目で。
「どうしたたんだい、初音ちゃん」
一緒に歩いていた耕一が心配そうに問いかけた。
「お母さんが言っていたの。桜は年の数しか見ることができないって」
「年の数だけか……」
「ねぇ、耕一お兄ちゃん」
「なんだい初音ちゃん」
「……わたしね、ずっと昔、悲しい気分で桜を見ていたような気がするの。こんな綺麗なのに、
どうしてお姉ちゃんたちと見ることができないんだろうって」
「初音ちゃん……」
「今度は、千鶴お姉ちゃんも、梓お姉ちゃんも、楓お姉ちゃんも、みんな、たくさん桜を見る
ことができるよね、きっとできるよね」
耕一はぎゅっと初音を抱きしめた。
「大丈夫だよ。きっとみんなで70回でも80回でも見る事ができるよ」
「明日、みんなでお花見しようか」
「そうだね、天気もいいし」
「わたし、たくさんおいしい料理をつくるね」
初音は笑顔を作りながら言った。
延長希望の方はおられますか?
以上です。
遅刻してごめんなさい。
まさか、締め言葉の投下で、連続規制喰らうとは思いませんでした・゚・(ノД`)・゚・。
>>270 結果として割り込みになってしまいました。失礼しました。
とりあえず、拾い読みして当たりを引いたので。
>>240-249 キレイな桜と凄いサクラ(Kanon)
めちゃめちゃよかった。
ワラタ、と言うよりじんわり効くネタSSだね。
あゆの登場するとことか、わざとらしさが逆によかった。
好みはわかれるかもしれないけど、俺はこういうの大好き。
いまんとこ一押し。
「キレイな桜と凄いサクラ」
>>240-249かあ。
好みは分かれるかもしれないけど、俺はこういうの嫌いだなあ。
笑った事は笑ったけど、後味が悪い。
好きなキャラが救いようのない悪人にされてるというのもあるし、
作者のキャラ愛を疑うと言うか、なんか一連の名雪叩きSSを思い出した。
あれは作者自身が悪役を演じてようやく楽しめたけど、フォローがないと辛いな。
描写が不鮮明且つ丁寧さに欠けてる気がするんだけれど。
ただ、美汐とあゆのシーンはうまいと思った。
276 :
273:03/04/23 22:58 ID:/oX31rEw
>>275 むう。
俺はそのぶっきらぼうな描写は狙いだと思うんだが。不鮮明だということも含めて。
こういうスタイルの文にこれ以上描写を入れたら、せっかくの流れが淀んでしまう気がする。
まあ、波長が合わないと辛いタイプのSSなのかもね。
277 :
275:03/04/23 23:07 ID:RlpZmzHi
とはいえ、流れが読んでてまったくつかめなかったんで、これはやりすぎかと。
途中で、単純に文章が怪しいのもなん点かあったような気がするし。
妙なキャラ崩しには、好感が持てるけれど。
感想で、真っ先に話題に上がってる時点で作者的には勝利だと思う……(笑)
他の作品についても喋りたいところ。自分は
>>224-237 でんぱのさくら(瑠璃子)
がかなりお気に入りなのですが。
少なくとも自分にはこういった作品は思いつかない。
発想限界の斜め上を突き破られた感じ。雫世界なら素でありそうな流れなのがまた。
こっちもシュールなんだけど、方向性の違うシュールさだよね。
確かにアイデアは奇抜だと思うけど、好きになれるかどうかは別かな。
俺はそんなに好きじゃなかった。単に「電波」というネタ自体がそんなに
好きじゃないというのもあるだろうけど。雫ちょっと苦手。
というか「桜」は何を象徴していたんだろう。
その辺を読みこんだら味わいがでそうな雰囲気があったけど、そこまで読む気になれなかった。
こういう討論形式の感想会も面白いですな。
今回は物語のテーマと「桜」がしっかり結びついてる作品が多かったように思う。
やっぱ日本人には書きやすいテーマなのかな。
というわけで面白かった順にいくつか。
『桜の下で』
>>138-146 一発ネタなんだけど、上手くアイディアを生かしていると思う。
鍵作品のいいとこ突いてて面白い。
っつーか、締め方がかなり気に入った。
『桜の約束』
>>217-221 よくまとまっているし、ネタもいい。
爽やかで後味の良いサイドストーリーって感じが好き。
『でんぱのさくら』
>>224-237 初っ端の変なテンションが最後まで落ちなかったのが良かった。
『無題』
>>186 いや、つい笑ってしまったから。
笑わせたら勝ちだと思う。
『桜紗抄』
>>252-256 話的と言うより絵的に非常に見応えがあった。
他のも俺好みのいい話系が多くて大満足ですた。
>>280 禿同。
書かれた感想には、「あー意見が違うなー」で済ますのではなく、
どんどん異論を唱えてみるのも面白いかもしれない。
…あくまでも個々人の良識の範囲内でのことだが。
雑談ぽく所感をぶっちゃけるのもいいかもね。楽だし参加しやすい。
描写に力を入れた人が多かったけど、似たような感じになりやすいのが難しいところか。
特に締めの部分。
>>205-214 ONEのみさき先輩の桜がテーマのSS、多少ネタバレあり(みさき)
コレ絶対、桜の観賞でオチになると思ったんだけど。
最後に絵があるとよかったんじゃないかなあ。
肯定的な話とみえて実はザックリ切ってる部分もあるし。
微妙に惜しい。
最初に「こう来たか」と思い込んだだけに。
>>240-249『キレイな桜と凄いサクラ(Kanon)』
まずタイトルのキレがいい。
ときどき話題になるけどタイトルは重要。
細かいこと突っ込む気が失せるのは作品の長所なのか短所なのか。
なかなか得がたいタイプの書き手だと思うんで今後の活動にも期待しよう。
頭がおかしくなった人が多くて面白かった。
○○を埋めてた人も。
>>283 IDがえらいことに……はともかく。
>投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
って言ってるんだから、そもそもこういうスタイルが本来の姿なのかもね。
アイデアなら『でんぱのさくら』『あなたが望んだ桜道』。
前者は本当に想像もしなかったネタ。(昔話で頭から木が生える、ってのはあったが、まさかSSで使うとは)
後者は、俺も舞エンドで「なんで北国で卒業式に桜が咲いてるんだよ」と突っ込んだことがあったから。
情景描写の美しさなら、文句無く『桜紗抄』。
文体と言い、古典的表現を織り交ぜた描写と言い、かなりの実力だと思う。
ただ、情景描写がややしつこすぎてちょっと読みにくかったかも。
素直に好感が持てたのは『桜ひととせ』。
大志を筆頭に、みんながいいキャラをしていた。
総合トップはちょっと選べないかも。
全体的にレベルが高く、一番が選びにくい。
ともかくみなさんお疲れ様でした。
一本だけ選ばなくても、自分のベスト何本かを上げれば
結果には反映されますよ。
287 :
ほしゅ:03/04/27 01:00 ID:wE38w6TP
作品一覧が更新されたね
お疲れさまです
288 :
辛口批評:03/04/27 05:55 ID:PwCZbDFN
毎度お疲れさまです、出品者の方々。
お久しぶりの初めまして。(どっちの方が比率高いんだろう……)
雑談形式でゴー、という雰囲気だったんで書き込みタイミングを
計ってましたが、一旦流れが切れたようなので、ずずいと。
そもそも、忙しさにかまけて欠場していたんですが、ちょっとした
きっかけがあったので、感想人として復帰しようかと思います。
数えると4回ぶりということになりますが、まぁ久々に批評の真似事を。
判断基準は以下の通り。
今回は作品が上がる毎に読み、評価を下すパターンであたってみました。
●文:基本的な文章力。
●構:作品内における構成力。
●描:登場人物の描写に違和感がない(不条理系は逸脱してもある程度OK)か、
個性をとらえているか。
●感:読中か後、感情(感性)に訴えかけるものがあるか。
●テ:深いテーマ性があるかどうか。理性に訴えかけるような何かがあるか。
●総:総合点。
なお、『感』か『テ』は、どちらかの評価が高ければ総合でも高得点とした。
ここでいうテーマは、このスレにおいて掲げられている『テーマ』とは意味を異とする。
無論、このスレでの意味のテーマに深く関わっているかどうかは総合評価に影響する。
※なお、3点リーダの使い方については『……』をお勧めします。
※素朴な疑問:……ところで、長森が本編で、語尾に『だよもん』を
つけて喋ったこと、ありましたっけ?
289 :
辛口批評:03/04/27 05:56 ID:PwCZbDFN
★ある晴れた日に
文:6 構:7 描:7 感:6 テ:4
総:6
雰囲気は好きだが、一個の作品としてはいまいち。
結婚の時期が来ている。千鶴と耕一の、過去と現在。
というだけでは、あまりにありふれたシチュエーションだ。
文章力、構成力は充分にあるようなので、あとは何かしらの目新しさ
などが含まれるのを期待。
そういえば、3点リーダ、『…』でほぼ統一されているのに、
一箇所だけ『・・・』になってるのが何とももったいないと思った。
以後気をつけられたし。
あと、作品評とあまり関係の無いところでは、耕一の母が気になった。
プレイヤーに男性が多いせいか、彼女の出番があるSSをあまり
見たことが無く、前に目にしたときから今回の作品をみるまで、随分と
隔たりがあった気がする。
彼女に重点を置いたSSというのも、一つの可能性かなぁ、と思った。
290 :
辛口批評:03/04/27 05:58 ID:PwCZbDFN
★一輪の桜
文:4 構:5 描:5 感:6 テ:6
総:6
今後の文章力向上に期待。
読んでいて常に、何とも表現のしようが無いもやもやというか、不快感というと
言い過ぎなのだが、それが伴った。
おそらく、文章を書きなれていない人なのではないかと思う。
もう少し言葉を吟味(過剰装飾の類をしろというのではない)し、スマートな
日本語を心掛けると、より快く読める作品になりそう。
上記に関わるのだが、登場人物の思考パターンというか、台詞に唐突なものを感じた。
何故そうつながるんだ? と思わされることが度々で、それも前述の、不快感に近い幻惑感
へつながってると推測。
展開として気になったのは以下の点。
ゲーム本編から1年後の世界で、詩子は浩平のことを忘れているが長森だけは
思い出したのかという理由。
その辺りを描くと面白かったのではないかと思う。
一年間、長森にだけ浩平のことを確認しなかった、というのはありえないわけで。
というか、筆者は桜の開花と記憶の蘇りを掛けているわけで、この仕掛けは面白い。
しかし、理由付無しに掛けて見ましたといわれても、やはり釈然としないのである。
この点に心を配ってもらいたかった。
なお、気に入ったセンテンスは以下の2行
>人というつぼみはたくさんあるのだから。
>一つでも咲いてくれれば良いんです。
この2行、最初に読んだ時には、その唐突さの方が目立ち、違和感が強かった。
しかし、作品全体を見回してみると、実にこの2行が映える、と思った。
作品の根本に位置するネタ自体は、良いものがあると思うので、今後に期待の掛かる筆者だ。
書くほどに成長する可能性を秘めていると思う。
291 :
辛口批評:03/04/27 06:00 ID:PwCZbDFN
★桜の下で
文:4 構:3 描:3 感:3 テ:4
総:3
だらだらと、ただ長かった感じ。
酒盛りを楽しむシーンを書きたかったなら、それを読んでる人間も
楽しめるように書くべきだし、最後の数行が書きたかったのであれば、
序盤(というか大半?)の中途半端なコメディー(?)部分は、
一気にカットした方が良かったのではないだろうか。
最後の数行だけは結構いい雰囲気なので。
★『夜桜』
文:9 構:8 描:8 感:6 テ:6
総:7
ふむ。バム好きだよもんな評者からすると嫌いじゃない作品だ。
が、それ以外の人から見たらどうかなぁと、思わされもする。
美咲さんEND後の彰、というSS。
最早バムSSの一ジャンルといってもいいシチュなわけで、
その中で傷心の彰を癒す役割は大抵、はるかなわけで。
基本的な文章力は充分にあるようだし、街灯と彰の心理を掛ける
ところなどもいいと思う。情景描写もしつこ過ぎず、しかし、充分に
描写が行われているし……。
要は、目新しさに欠けるということなのだろうと思った。
292 :
辛口批評:03/04/27 06:08 ID:PwCZbDFN
★「サクラノハナガサキマシタ」
文:4 構:6 描:4 感:5 テ:6
総:6
キスマークを桜と表現するところには妙味を感じた。各シーンのビジュアルを思い浮かべると
それなりに良い雰囲気にもなる。
が、詩的表現を試みたらしい部分の文章が、いまいち巧みさを感じ取れず、むしろ逆に、
拙く感じられた他、全体的に文章力が弱めなのが残念。
また、セリオを量産型とした理由が、登場人物を浩之以外(筆者自身の投影?)とする為、
としか思えない辺りが弱く、展開的にも、感情表現を省いた機構である量産型セリオという機体と
相容れないものなのが残念である。精進すれば成長しそうなタイプではある、が……。
★「あなたが望んだ桜道」
>>174-183 文:6 構:7 描:7 感:6 テ:7
総:7
動物園の話は〜? まぁ、本筋とは関係ないわけだが、どのように最高の1日だったのか
が気になるところ。卒業式後の動物園というのもあまり聞かないルートだし。
桜と絡めてそこの辺りの描写もあったら……とも思ったのだが、やはり蛇足かな。
舞の力の解釈や展開、いずれもそれ相応に見所が有ったように思う。構成力も有る。
良くまとまってると思う。総合的には8にすべきかどうか迷ったが、飛びぬけて素晴らしい
とまでは思えなかったので、この辺りで。
★サクラ
>>186 総:9
しんぷるいずべすとw
293 :
辛口批評:03/04/27 06:11 ID:PwCZbDFN
★『桜ひととせ』 >>191-
文:7 構:6 描:7 感:6 テ:6
総:7
地力に捧げた総合7といったところか。
文章の地力は結構有ると思う。
シリアスとコミカルの微妙なブレンドの地の文は好みが分かれるかもしれないが読みやすい。
が、装飾の使い方に妙な癖がある。使い方として微妙に間違ってるような装飾、微妙にずれてる
ような装飾がそこここに顔を覗かせているのが残念。
全体的に小さくまとまっている感じ。雰囲気は良いのだが、今一歩、何かが足りない。
★無題(みさき先輩)
>>205-214 文:6 構:6 描:7 感:6 テ:6
総:6
可も不可もなく……。
これ以上語る言葉が浮かびませぬ。
★「桜の約束」
>>217-221 文:8 構:7 描:7 感:7 テ:6
総:7
セリオの感情表現は、この程度までだなぁ、個人的には。
もともと、感情豊かなマルチとの比較対象として存在を許されたセリオゆえ、
人間さながらの機微を見せつけられるとどうも違和感を覚えて仕方がないので。
この点においては、オフィシャルといえどもドラマCDは蛇足だったように思う。
……作品外の事はほどほどにして。
良作の小品といったところか。
全体として高いレベルに安定しているのだが……。ギリギリの所で8点はつけなかった。
294 :
辛口批評:03/04/27 06:12 ID:PwCZbDFN
★『でんぱのさくら』
文:7 構:7 描:7 感:7 テ:7
総:8
タイトルを見た時は『えー?』とか思った。
14レスと書いてあるのを見て、さらに『えーっ!?』と思ったものだが……。
実のところ、すらすらと読めて面白かった。
ノリのいい文章が長さを感じさせないし、オチはどうなるのか気になる展開が
早く先を読みたい気持ちにさせる。キャラの崩し方も妥当なラインだと思う。
オチ自体は好みでなかったが、電波の可能性を模索する作品は好きだし、
展開の広がりも感じさせられる。
電波の可能性云々の話をどうこうするのであれば、唐突な闖入者であった桜に
関してもう少し描写があれば、とも思うが、良作といえるだろう。
……7にするかどうかは正直迷ったが。
★キレイな桜と凄いサクラ
>>240-249 文:7 構:5 描:6 感:6 テ:6
総:6
テンポ良く読めてそれなりに愉しんだのだが、サクラの方はややとってつけたような感じが。
オチ弱さと唐突感がそれをさらに助長している感じ。
基本的な文章力はあるようだし、読んでいて楽しかったのだが、それ以上でも以下でもない、
といったところ。7にしようか迷ったが、6で。
★『桜紗抄』
>>252-256 文:8? 構:8? 描:7? 感:3 テ:3
総:5?
評者の読解力不足か?
筆者の狙いや意図が読み取れず。
なんともよさげなのだが……鵜愚卯。
295 :
辛口批評:03/04/27 06:24 ID:PwCZbDFN
★「祐一・美汐の『風が吹く日』」
>>258 >>260-262 文:6 構:6 描:6 感:7 テ:6
総:6
葛藤はある。それでちょっとくるものもあるのだが……。
もう少し、何かがあればなぁ、と思う。
★『桜を見る回数』(痕)
>>268 文:5 構:6 描:6 感:6テ:5
総:5
1レスに納めた努力は買いたいが、如何せん説明不足な感がある。
察しろということなのだろうが、しかし……。
以前と異なり、1レス内での制限が大きいため、1レスに拘るよりも
2,3レスになってでも、描写を豊かにした方がよいのではないだろうか。
……それから。細かいことを言うと、1スレ→1レスだね。
んー。今回の優秀賞は微妙なところで『でんぱのさくら』かな。
サクラというテーマは意外と難しかったようで、ただ桜が出てくるだけのSSなら簡単なのだが、
この桜が上手く機能するようなもの、或いは、桜はあくまでBGVで構わないとしてもSS自体に
何らかの独自な要素を盛り込む、という課題(勝手に評者が課しているのだが)をこなすのは
難しいようだ。
そんな中では、『でんぱのさくら』が一番、特異な色彩を放っていたように思われる。
ゆえに、この作品を優秀賞として推した。
次点としては、『あなたが望んだ桜道』と、『夜桜』と『桜の約束』を挙げておく。
ここで挙げた作品は、独自色よりも完成度に注目が行く。
……ってやっぱり多いな、搾ろう。次点は、『あなたが望んだ桜道』。
着眼点が良いと思う。
※ちなみに、やはりというべきか、馬肉(=さくら)をネタにする人はいませんでしたな。
296 :
辛口批評:03/04/27 06:31 ID:PwCZbDFN
……ええと。遅れ馳せながら、◆28qsaJNT.c氏、お疲れ様でした。
このコンペスレという企画がここ迄正常に行われていたのは、貴方の力に負うところが大きい。
無論、熱心なスレ住人の力も大きいが、氏がそれらを統合してくれていてこそ。
もう見ていないのかもしれないが、ここでねぎらいと、感謝を。
本当にお疲れ様でした。今までありがとうございました。
また、余裕のある時にでもぶらりと訪れてください。
そして、新進行役の方、お疲れさまです。頑張って下さい。
297 :
辛口批評:03/04/27 06:32 ID:PwCZbDFN
それから、今回久々に書き込みに辺り、ここ四回ほどの作品、感想、議論などを流し読み
(一部精読)してみたので、その辺りについてちょこっと。各作品、最初の数行以外は
ばっと流して読んだので、恐らく数品は佳作を見逃しているのだろうけど、個人的に
気に入ったのは『雪、降る夜に』、『パンツ物語』だった。
『パンツ物語』 はそれなりに評価されているのだが、
『雪、降る夜に』がいまいち評価されていないのが……。
特に『雪、降る夜に』は評価されていないどころか読まれてさえいないのが哀しい。
SNOWのネタバレなんて無い(……よね?)ので、一読を勧めるのだが。
『ひとりふたり』の作者さんには悪いことをしたなぁ。
少なくとも評者はWAはやりこんでいたので、相応なレスができたと思うのだが。
つか、このスレの感想人は、WAは意外とやってるほうだと思っていたのだが。
はるかは例外だったのかな? いや、人の入れ替わりが原因か。
あと、無関係なところで、『お約束劇場・耳偏』について。
ああ、あの漫画かぁ、と、リアルタイムに納得しながら読んでいたのは、評者だけですか? と。
感想諸氏が誰もその点に触れていないどころか、アンソロジーに同じ話があったとか……。
ううん、そのアンソロ作家を小一時間問い詰めたい。雫も間もなく十年だし、痕ももう八年選手。
だから、当時の発行物を知らない人も多いのかねェ……。
さて、このコンペ感想用ハンドルだけど……。
一部の人には正体がばれただろうし、このハンドルは捨てようかとも思ったが、
まぁ、作品の評価基準を変えない以上、それを指標にし続ける人もいるだろうと、
あえてこのままでいくことにした。
例によって辛目で行きますんで、よろしく。
298 :
辛口批評:03/04/27 06:38 ID:PwCZbDFN
書き忘れ。
期待していた桜ねたをもう一つ。チェリーをネタにする人も居なかったね。
海外で、チェリーと呼んでくれと自己紹介して失笑された政治家は誰だったか。
まぁ、どうでもいいか。
俺としては桜色のチクービなんてのからなし崩し的にエロネタ、
なんてのを期待してたんだけど、それもなかったな。ちょっと残念。
つーか俺が書けばよかった。
軽く凹んでる
301 :
281:03/04/27 19:31 ID:rN3vcfDj
>>295 >この桜が上手く機能するようなもの、或いは、桜はあくまでBGVで構わないとしてもSS自体に
>何らかの独自な要素を盛り込む、という課題
ってのは意味がよくつかめないなあ。
俺はテーマの処理の上手い作品が多いと思ったけど。
つまりは独自性を重視してるって事なんかな?
>>301 桜である必要性のある話だったか、ってことでしょう。
あとは、単に花見とか、よくある手じゃない使い方をしてるとか。
そもそもBGVがよくわからないわけですが。
>303
Background Viewではないかと、推測してみる。
305 :
281:03/04/28 00:05 ID:bUitfjgq
>>302 中国とか外国なら確かに桜である必然性は無いかもしれないけどさ、
日本人が持つ“桜”のイメージに合うと言うか、他の樹じゃできない話でしょ。
北欧のモミの木とかカナダの楓とかと同じで。
そこが初回の「花」との大きな違いだと思ったんだけどな。
306 :
辛口批評:03/04/28 01:21 ID:67YWy1CO
281氏
分かりにくい説明ですみませんでした。伝えたかった内容は、
>>302氏の言うようなことです。
ただ、桜である必要性のある話ばかりというのも、難しいでしょうし、ただ桜が
出て来るというレベルのテーマに対する姿勢でも、そのSS自体に独自性があれば
評価は高くした、つもりです。
そもそもテーマの消化率については、何度か話題にあがってますが、テーマに
なったものがSS内で必然性を持つかどうか、そこをあまり重視してない人(書く方、
読む方ともに)は結構います。(それが是か非かは、ここでは問いません)
出てればいいという程度の認識の人も多いようなので、それ以外に指標を求めると、
作品の独自性は一つの基準になると思います。というか、評者は基準の一つにしてます。
だって、何処かで見たような作品を見ても、面白くないですもの。
(何処かで読んだような内容でも例外として、ネタの料理の仕方や地の文の読み易さ、
文章表現の豊かさなどのお陰で、『これ面白い』ということもあるので、
ナニにつけても、一概には言えないんですが……)
ゆえに、評者がショートシチュ系の作品につける採点は低めになりがちです。
やはり、キャラ変えれば幾らでも量産できるようなものが多くなるので。
そんな中でもネタに光るものがあれば、逆に高得点にしますけどね。
短くまとめるというのは、それだけで文章力の必要なことですし。
なお、
>>305は意味は分かりませんでした。こちらとしては、テーマに桜を選んだことの
是非ではなく、作品内における桜の使われ方、について触れたつもりでしたが……。
んー。なんというか、あー桜の季節だねー程度の使われ方のものは、桜の使い方としては、
別段面白みを感じませんでした。何と返せば良いのかちょっとよく分からないので、とりあえずこの辺で。
307 :
辛口批評:03/04/28 01:22 ID:67YWy1CO
>>299 だったら書けば良かったのにw 読んでみたかったな。
>>300 凹みの原因が拙評なら、気に病む必要はありません。
価値観の違いならば、どうあっても交わらないですし、そうでないのなら、
今後の精進につなげればよいのですから。
それとも、せっかく仕掛けたネタをスルーされた、というのであれば、
それは当方の不徳のいたすところ。以後気をつけます。
というか、何で凹んだのか知りたいな。
>>303 バック グラウンド ヴィジュアル(ビュー? ヴィジョン?)の意。
今までこの言葉を目にしてきた範囲のイメージで使ってたので、正式なところを
実は知らなかったり。平たく、背景とかそんな風に言えってんですな、失敗。
>>308 一応告知毎に、現在の期間がいつまでなのかは入れた方がいいかもしれません。
30日の午前9時であってますよね?
>>309 えーと、そうです。30日の午前9時です。
次の告知から参考にさせて頂きます。ご忠告有り難うございます。
……きっちりした告知テンプレ作って正確な仕事しなきゃなー。
HMXなんだし(えー)。
311 :
281:03/04/28 02:27 ID:bUitfjgq
>>306 分かりにくいかなあ。
例えば『桜紗抄』みたいな話は舞台が中国だったら間違いなく「梅」を使うはずなんだよね。
日本人にとって「桜」は単なる季語じゃないっつーか、歳月や華やかさや無常感など、
いろんなものを象徴してて、その辺と作品自体のテーマが結びついてるという感じかな。
他の話についても、使ったのが「梅」だったらなんか違うと思わない?
まあ、独自性云々については十分理解できる。
>>311 言ってることは理解できるしその通りだと思うけど、
どうしてさっきの流れでそういう話になるのかがわかりにくい。
各作品のテーマの処理を拾ってみました。
深く読めてないと思いますがまあネタふりってことで。
『ある晴れた日に』
新しい始まりのイメージが主軸。
それから桜の下に黒髪の日本的美人という絵的な美しさ。
『一輪の桜』
「サクラサク=事成れり」というイメージ。
多数の花を付ける桜との対比で、
狂い咲きの一輪に再会の希望を見いだしてる。
冷たい冬に春を待つ暗示もあるかな。
『桜の下で』
無礼講の乱痴気騒ぎ。つまり花見。
メーカーが経てきた年月を振り返ることで、
年度の節目を考えるというメタ的な類比も入れてある。
『夜桜』
まもなく散りゆくモノとしてのイメージ。
止めることのできない時間の暗示。
『サクラノハナガサキマシタ』
えっちい花見。
あえてもう一つ挙げるなら非日常のカーテンとしての役割かな。
『あなたが望んだ桜道』
舞EDに対する補完がメイン。
桜は春を迎える命の象徴。
新たな始まりのイメージは本編のまま。
無題(マルチ)
カタカナ。
『桜ひととせ』
花見の後。祭りの追想。
熱情の時が過ぎて、確固として残ったものを再確認する段階。
『ONEのみさき先輩の桜がテーマのSS、多少ネタバレあり』
はなやかであると同時に、目に映るモノの象徴。
虚実の境を曖昧にする…ってイメージまでは入ってないか。
『桜の約束』
運命の期限、里程標としての桜。
巡る季節、過ぎる歳月のイメージ。
情景として、うららかな春の日の要素もある。
『でんぱのさくら』
既存のイメージを当てはめるのはむずいかも。
あえて探すなら非現実感か。
あるいはエーリッヒ・フォン・ミュンヒハウゼンとか。
『キレイな桜と凄いサクラ』
これもカタカナ。
もう一つは「桜を見ると気が狂う」という古典的イメージ…なのか?w
『桜紗抄』
季節によって様相を変える、樹齢を重ねるモノとしての木。
キャラ心理との同調もあるかな。
『風が吹く日』
次の春が来れば再び花を付けるモノとしての桜のイメージ。
待ちつづける者のよすが。
『桜を見る回数』
これも巡る季節。時を経ても変わらないことの象徴。
出典がありそうだけど慣用表現なのかな。
桜の季節は日本だと年度の変わり目でもある。
かなり色々投影できるテーマだね。
梶井基次郎とか坂口安吾なんかもわりと根強い。
>>307 もっとも嫌な評価だったから。
どうしようもなかったから。成長しようがない。
桜を背景にしたもの。桜を象徴にしたもの。
辛口氏は桜は背景でもいいけど、もっと作者の個性でアレンジして欲しいというのを指しての『独自性』だと思うし、
281氏は『桜』自体を背景にしていても、アレンジしている『独自性』のSSはあると言ってるのだと感じる。
ただ281氏が例にした『桜紗抄』は、辛口氏の評価は
>>294で『鵜愚卯』とまで言ってるので、
>>311で例としてあげたのは、頂けないかな……。
まあ、日本人は花見はたいてい『桜』だし。雪見酒で外には出ないからね。
私的には、花より団子だし。
桜を『木』として捉えるか『花』として見るかにも違いはありそうだ。
>>314-315 乙。
318 :
281:03/04/28 04:26 ID:bUitfjgq
>>315 『でんぱのさくら』は
>>285にもあるけど、古典落語の『頭山』がベースになってるね。
それをアレンジしたアニメがこの間アカデミー賞にノミネートされてたし。
>>317 俺の感想は
>>281で言った通りで、「桜」が単なる背景には見えないし、
『夜桜』や『桜の約束』なども、これが「桜」じゃなかったら作品が成り立たないとさえ思える。
その上で、独自性を出すのが難しいという事には同意。
裏を返せば日本人にとってあまりにもスタンダード過ぎるテーマだからね。
まあ、独自性がどうとかはわりとどうでもいいので。
テーマに関しての独自性ってのは俺もどうでもいいな。
無いよりはあったほうが、程度に思ってた。所詮付加的な要素だと思うし。
まあ、この辺の何処を重要視するのかってのは人それぞれだと思うけど。
ただSS自体に独自性が無いのに面白い作品を書くってのは相当に困難だと思う。
逆にいえば、特に独自性なんて無いのに面白いSSってのは、相当に実力のある書き手なのかな、なんてオモタ
>>298 >期待していた桜ねたをもう一つ。チェリーをネタにする人も居なかったね。
チェリーブロッサムですか?Σ(´Д`
千鶴「耕一さん、あなたを『桜花』に乗せます」
耕一・Σ(´Д`ズガーン
321 :
辛口批評:03/04/29 13:34 ID:HgKbe02q
今更ナニをといわれるだろうが、どうにも読み込み不足だったような気がしてきた。
どれもしっかり読んだつもりだったのだが、他の評価(例えば
>>313-315)を観るにつけ、
意外と、筆者の意図が見えてなかったんじゃないか……と。
無論、他の感想が全て筆者の考えを代弁してるとは限らず、おそらく、深読みLVの
内容も結構あるように思う。
しかし、そこに思い至らないでいるのは、仮にも辛口で評する立場としては、修行不足
だったようにも思う。
……とはいえ。
他人の目を通さない時点の、とりあえずの評価には違いがないので、全面撤回はしない。
(ただ、時間があれば改訂版も挙げてみたいなぁ……)
>>316 申し訳ない。どの作者さんかは、多分わかった。
それなりの腕前でかつ、目立った突っ込みどころ(悪い意味での)がないと、
どうしても評しにくくて……。
むしろここぞ、という部分をこちらが見抜けないでいるのが悪いかもしれず。
今後とも頑張って下さい。
>>320 分かった上でぼけているのかどうか。
というか、ネタがよく分からないです、申し訳ない。
>>321 桜花って言ったらアレだろ、旧日本軍の有人魚雷。
魚雷に人が乗り込んで敵の船に着弾するまで手動で操縦するという前代未聞の兵器。
敵に命中して爆発したら当然、桜花に乗ってた奴もあぼーん。
魚雷というより海からの神風特攻と言った方が正確かも。
つまり、桜花に乗れ=死ねという意味。
魚雷じゃなくて(一応)航空機だよ。
爆弾に翼とコクピットをつけたような感じで、
ロケットエンジンでちょっと飛べるようになってる。
攻撃機の腹にぶら下げて運び、敵艦近くで切り離して体当たりする。
なお、たいていはその前に母機ごと撃墜されたらしい。
ちなみに、米軍は日本の飛行機にコードネーム(零戦なら「ZEKE」など)をつけたが、
この桜花のコードネームは「BAKA]。
魚雷は回天だよぅ……
桜花は空中射出の”有人”ミサイルだよぅ
一式陸上攻撃機に吊られて、敵艦隊の側まで行ってから射出されるんだけど、
巡航距離が短いから射出する前に米軍の艦載機に母機ごと墜とされて、
殆ど戦果が上がらなかったんだよぅ。
米軍のコードネームがBAKAだったりするのがかなしいんだよぅ。
興味のある人は、靖国神社にレプリカがあるから見に行ってみるといいんだよぅ
どっちにしろ氏ねと言われてる事には変わりは無いのだが、軍ヲタとしては苦言を呈したくなるんだよぅ
書いてる間に思いっきりかぶってたんだよぅ(´д⊂)
式はどこでageよう?
>>323-324 すまん、記憶の中でごっちゃになってた。
やはり中途半端な知識で軍関係を語るもんじゃないな恥ずかしい。
みんなも軍ものの話を書くときは気をつけようね! 誰彼とか。
と、無理矢理SSの話にこじつけてみるテスト
雑談が盛り上がっているところ申し訳ないですが、感想投下します。長文注意。
投稿された順に、全6レス予定です。
「ある晴れた日に」 >109-113
いきなり、とても(・∀・)イイ!
マターリと優しい雰囲気、キャラも丁寧に描けているし、読んでいてとてもいい気持になります。
耕一が実家へ報告に行くというシチュも、今まで似たような話を読んだことがなかったので、目新しく、ちょっと感動させられました。
本編の回想では千鶴さんが中学生だったかと思うけれど、その時は耕一は千鶴さんに全く太刀打ちできなくて。でもいつしか、二人の背丈が並んで。
このSSの最後では、千鶴さんが耕一の後ろを黙って歩いている。そんな微妙な移ろいを上手く表現できていたと思います。
ただ、二人の関係が変わったところ、変わっていないところをもう少し印象的に対比させても良かったかもしれません。せっかく時間を重ねているんだから。
また、それらの各時間を桜の情景で結びつけるという手法は王道中の王道なので、プラスアルファの一工夫が欲しかったところ。
あとは文章力でしょうか。情景描写で魅せるにはまだ力不足という感じがします。どこを改良すればと指摘できるほど自分の力がないのが残念だけれど、より一層の成長を期待します。
「一輪の桜」 >129-133
桜の開花と浩平の帰還を重ね合わせるには説得力が足りないような。ONEをよく知らない自分が感じたのはこれだけ。ごめんなさい。
「桜の下で」 >138-146
おお、主人公スレですか。これはこれで面白かったです。
口調で区別できない会話文の連続はさすがに読みづらいけれど、ネタで一応の描きわけもできているし。埋まっていたのが誰か気になります。だれー?
ずっと軽いノリだったのに、ラスト近くは虚無感溢れてますな。さすがに笑えないです……。
KEYの中の人、生きてるのでしょうか。
「夜桜」 >156-159
彼ららしいと評すべきなのでしょうか。WAをよく知らない私には、その辺はよく分からない。
ただ、印象としては地味。ひたすら地味。
文章面で文句の付け所はないのだから、あとは演出面をがんばってほしいです。
このSS、彰の心情(比喩だけど)で締めているのに、最初ははるかの行動から書き起こしてたりするのがちょっと疑問。
客観的三人称と、彰主観の三人称が入り混じるのも何か変。ラストで気持ちが晴れるのも、強引というかどこか不自然な気がして何とも。
ラスト3行の描写は非常に綺麗だけど、これも彰の実感として受け取るには材料が少なくて、読後感が曖昧なものになってしまいました。
写真に例えるなら、パンフォーカスを狙ってどこにもピントが合わなかった、という感じでしょうか。
全体的な雰囲気や大まかな色合いは伝わってくるのだけれど、何が写っているのかがぼやけて分からない。
どこかに焦点を絞ってはっきりさせるのは簡単だけれど、それはこのSSの意図ではないと思うので、
全体的に上手くピントを合わせてくれ、としか。難しいことですが。
「サクラノハナガサキマシタ」 >166-171
メカセリオさんというよりは、どこかのメイドさんというような気もしますが……。
私脳内のセリオイメージと合わないようで、ごめんなさい。
それを抜きにしても、こういうノロケ話は対応に困るなあ。
「あなたが望んだ桜道」 >174-183
なかなか興味深い解釈でした。私の思ったところを既に祐一が言い表しています。「すげぇな舞。お前そんなこともできるのか」と。
登場人物3人もさることながら、舞シナリオそのものへの愛情が伝わってくるようで、読んでいて気持のいいSSでした。
課題は文章力でしょうか。地の文がまるで説明文のようで、気になります。
「無題」 >186
「バラすなよ!!」という言葉で、マルチが自身を解体している図を思い浮かべてしまった私はどうすればいいのでしょう。
「桜ひととせ」 >191-197
こみパは未プレイ、移植待ち。DVDドライブ買って準備万端です。
現時点での感想としては、ギャグが面白かったというくらい。牧村さんは好みなんですが。
「ONEのみさき先輩の桜がテーマのSS、多少ネタバレあり」 >205-214
何ですか、このやる気のないタイトルは。って、あなたか。
文章は相変わらず怪しいところあり、上手いと思わせるところあり、総じて以前よりは上達したと思います。抑制が効いているというか、ある種ドライな視点は結構好きだったりします。
テーマも一癖あってそれ自体は良いと思うのだけれど、いかんせん癖があるだけに、いきなり振られては唐突な印象が拭えません。序盤から伏線を張るなどして、無理なく話を繋ぐ工夫があれば。
構成的な面も絡んでくるけれど、一箇所に説明が固まってしまうのはよくないし、説明だけであっさり悟(ったようにみえ)るのはさらに良くない。
魔女の話以下の考察の流れ、唐突かつ不自然で作者に喋らされている風に見えてしまいます。
あと、ラストの「輝かしい」という表現はちょっと違うかなあ。言わんとすることは分かるんだけど、言葉のイメージが先行しちゃってるような気がしてなりません。
とりあえず、書きたいものに文章が追いつくまでがんばれ、と。ストーリーや萌えに頼らず生き方考え方を訴えようとするSSは嫌いじゃないですから。
「桜の約束」 >217-221
セリオに感情があるのかないのか分からない、その微妙なラインは表現できていると思います。
が、全般的に素直すぎる展開、情景の掘り込みも浅く、内容的に物足りない。
「桜が咲きました。昔のことを思い出しました」だったら、良くある話だね、の一言で終わってしまいそうです。実際、他のSSと被っちゃってるし。
使われている各ネタそのものは面白そうなだけに、もう少し焦点を当てて描きこんで欲しかったです。
「でんぱのさくら」 >224-237
手塚治虫の「ブラックジャック」にサボテンだったかに取り付かれる話があったと思うけれど、なぜかそれを思い出しました。こういう奇抜すぎるアイデアはどうも。
瑠璃子さんとの組み合わせも良かったのかどうか……。もともと壊れている瑠璃子さんが、さらに壊れてもインパクトが弱いかな。むしろイメージとしてははるかっぽい印象を受けました。
ギャグにしてはそれほど笑えず、シリアスにしては説得力が皆無。アイデアといい、話のまとめ方といい、並々ならぬ努力が傾けられていることは分かるのだけど、どうにも評価のしようがない困ったSS。
あえてまとめずに、不条理のまま突っ走ってもよかったのではないかと思います。
「キレイな桜と凄いサクラ」 >240-249
ひゃっほう、祐一最低ー! ではなく。
なんか黒いなあ……。ノリの良さはともかく、壊れギャグとしてはいまいち突き抜けない。後味の悪さだけが残ってしまいました。壊したことがかえって逆効果になってしまう出来というか。
>274に同意です。
「桜紗抄」 >252-256
こりゃまたフェチな文章だなあ。思ったところをそのまま言うならば、借り物の文章という感じ。華麗な言葉の奥にはっきりした実像が受け取れないのは、単純に文章力の問題でしょう。
感覚に流れすぎなのと同時にカメラを切り替えすぎなのかな。あっちもこっちも描写しようとして、結局おろそかになってしまっている気がします。更なる上達を期待。
ラストシーンの演出は良かった。最後尾は年寄り二人なんでしょうか。他の3人が気を遣って先に行っているのかな。いや、耕一が彼女の遅いスピードに合わせているのか。
その前の次郎衛門のエピソードが、上手い伏線になってるね。
「祐一・美汐の『風が吹く日』」 >258-262
えと、何も解決してないような。おもむろに問題を投げかけたのに……。ただそれだけ。
解決させずとも、まとめ方に何かしらの工夫が欲しかったところです。来年もまた桜が咲くから、ってのはさすがにネタとしては埋没気味。
「桜を見る回数」 >268
2つ前の「桜紗抄」の挿話として読むといいかも知れない。が、これ単体ではなんとも。
回数云々の話と、4人で揃ってという話が直接結びつかないような。
以上です。いつも好き勝手な言い草、どうぞご容赦ください。
私は雰囲気物が好き。今回「桜」というテーマもあって、雰囲気重視のSSが揃い、本当に嬉しかったです。今回のテーマにヽ(・∀・)ノバンザイ!
ただ、ネタ被りが激しかったですね。桜を見て時の流れを知ったり、美しさ儚さを感じるというのは、基本ではあるけれど、さすがに平凡すぎて評価しづらい。
基本を抑えつつ、そこにプラスアルファの演出を加味したSSを評価したいところです。
が、行き過ぎて突飛と思えるまでになってしまうとかえって挙げられないし……。
私的最優秀は「桜の下で」。ほとんど横並びになった今回のSS群で、もっとも葉鍵板っぽい(鍵オンリーだけど)ネタを用いているのは、やはりこのスレ的に評価が高いです。
板外のSSこんぺではまず読めないだろうこういうネタが、これからも投下されることを期待して。
というわけで、
私的最優秀「桜の下で」
私的最萌 「ある晴れた日に」
作者の皆さんお疲れ様。そしてありがとう。
--
それから、>60とONE好きな全ての人にお詫びを。
ONEはあのCGがどうにも受け付けないのですよ。原画と背景を描き直してリメイクされれば、やってみたいと思うんだけれど。
改行位置失敗したな……。ゴメン。
あれ…なんでわかったんですか?
これから感想を投稿します。作品ごとに感想の量が乱高下してますが
気にしないで下さい。
>>109-113 ある晴れた日に
最初からちょっとツッコミどころの多い作品。まずは文章表現について。
・「父さん」「母さん」「俺」「女性」など、人称の固有名詞が一切無く、1章の時点で、
登場人物が確定できない。痕プレイしてりゃ当たりはつくけど。
・「車」「マンション」「桜」「どこにでもあるような住宅街」など、一般名詞の範囲が広く
かつ細かい描写が無いので、視覚的イメージが掴めない。
といった要因から、非っ常に曖昧模糊とした文章になっている。導入部は読者を引き込む
ための重要なパートなので、この不鮮明さは致命的。これが許されるのは叙述トリック
くらいのものだろう。2章以降は人物名が出るお陰で読みやすく、千鶴さんの描き方は良い。
他にも気になったのは、こんなところ。
・18行目〜20行目の「涙が溢れないように」、「涙が溢れ出ていないかと」はくどい。
1章の後半は涙の出ていることを強調しすぎなので、省略したほうがベター。
構成についての疑問はこれ。
・過去のエピソードと、現在のエピソードが同一の方向を向いているのが興趣を削ぐ。
両者の関係が対立項(幸福⇔不幸)であるとか、因果関係である方が、意味があって
良いのでは。
テーマについて。
・桜が単なる舞台装置。今回のテーマは難度が高いので仕方ない気もするが。
ストーリーとしての意義。
・千鶴エンドのアフターだが、婚約の報告程度ではありきたり。
むしろ千鶴さんの大学生時代のエピソードという側面を評価したい。
1作目で力尽きた(w ここからはいつも通りに感想を。
>>129-133 一輪の桜
句点をもうちょっと使って欲しい。漢字も開きすぎ。
「人というつぼみはたくさんあるのだから。」 とか、「ひとつでもいい咲いてくれれば
いいんです。」とか、一文に漢字一つは読みにくい。
茜の願いと桜を重ねるテーマの扱い方は良い。
>>138-146 桜の下で
キャラの薄い男たちの座談会。「鍵の主人公なんて書き分けられるわけないんだ
から」とか、開き直り過ぎだ(w
肝心の内容については、内輪ネタに終始しており、男達が辛辣に過ぎるせいもあり
ついていけない。むしろ終盤で、被創造物であるキャラクターが、自らの存在意義を
語るという部分を上手く膨らまして、メッセージ性を高めた方が良さそう。
>>156-159 夜桜
駆け足ながらも起承転結はあり、彰の心理的側面を、さらっと書いてしまうあたりの
手腕も流石。はるかと彰の対比や、美咲エンド後としての意義など、分量は短いのに
色々詰めこんで頑張っている。「外灯」が彰の見立てとしたら、「桜」は何の見立てな
のかな?
>>166-171 サクラノハナガサキマシタ
もしもセリオが手に入ったら、あんな事やこんな事がしたい…という妄想大爆発。
物語としての体を為しておらず、個人の脳内に留めておいた方が良かった。
キャラスレならOKかもしれんが。
>>174-183 あなたが望んだ桜道
エンディングの解釈論というのは、アフターストーリーとして読み手が入り易く、
葉鍵SSである必要性が自動的に充足されるので、書き手にとってもありがたい
形式だと思う。自分も好んで書いた(さゆまいは特に)くちだが、まだこんな切り口
が残っていたとは!
舞とまいが仲が良さそうなのも微笑ましい。本編では和解しても、人格同士で
打ち解けそうな雰囲気は無さげだが、これくらいの変更は問題なかろう。というか
まいが可愛すぎ。これほどの萌えキャラであるとは思わなかった。多少幼児化して
いるきらいもあるが。
しかし残念なのは、7章で綺麗に謎が解かれてまとまっており、残り3章が蛇足
になってしまった事だろう。祐一や佐祐理がいまさら舞の能力についてガタガタ
言うわけもなく、全体の三割を割くほどの内容ではない。この間延び具合をどうにか
して欲しかった。
>>191-197 桜ひととせ
途中から和樹が大暴走。ツッコミのいない一人ギャグのせいか、さほど面白くない。
「神様仏様稲尾様」って若い子は知らないだろう。作者は30代だろうか?むしろ、後半
のシリアスパートの出来の方が良かったので、それ一本にすべき。なんで二兎を
追おうとするかな…。
花見当日は準備もあるだろうに、遠方まで南さんを呼びに行くのは不自然では?
もし行ったとしても、和樹達に気付かれないために、車中で着替える可能性もあるし。
大志は悪巧みに関しては、常に和樹の上を行く男だ。
>>205-214 ONEのみさき先輩の桜がテーマのSS
みさき先輩の優しさ、聡明さが光る作品。しかしながら問題点も多数。
適当なところで改行してほしい。レスの区切り方も妙だし。昔話を挿入して膨ら
ましてはいるが、オチ自体は容易に読める部類に属する。目の見えない人を善意
で騙すというのは、良くあるパターンなので、もう一工夫欲しいところ。あと、序盤の
「条件の限定」(理系の大学の授業は抜けられない、他の若いやつらが騒ぎをして
そうなところでは、みさき先輩と一緒に花見なんかできないなど)の手法が苦しい。
人のいない時刻に行くとかはあかんの?
>>217-221 桜の約束
感想が書きにくい作品だなあ。敢えて言うなら、冒頭で量産型セリオが
>ねえ、セリオさん、来年もまた桜は咲きますよね?
という言葉を聞き、謎を解き明かすべく研究所に行く…という風に二つのパートを
逆転させた方が良い。時系列順だと、謎も何も無くて吸引力が弱い。
>>224-237 でんぱのさくら
むう、これは凄い。オリジナルストーリー系SSの理想型と言っても良い。
導入部での不可思議状況の現出、如何様にでも解釈できるゆえに最悪の想像を
してしまう祐介、そして戸惑う人々と平然とする瑠璃子のギャップ。特に
「校則違反だというなら注意もできるんだが、そんな校則はないしな」なんて台詞は
爆笑もの。
しかし後半は「桜を移植する」という、もっとも普通の展開に、さしたる紆余曲折も
なく、するすると進んでしまったのが残念。ハッピーエンドにするには妥当な選択だが
もっと周囲が瑠璃子に対して、リアクションを起こした方が良かったかもしれない。
一般生徒と瑠璃子とのずれた会話とか、桜を斬ろうする奴とか。それを敢えてやらな
かったのは、「僕と瑠璃子の物語」というのが一つの主題なのかな。
ラストの桜電波については、もともと幸せそうに見えるカップルゆえ、「幸福の上乗せ」
をしているようで、ピンと来なかった。それよりも、桜の人格と二人の交流を、もっと
見たかった。それにしても瑠璃子さん、もっと早い段階で桜を移した方がいいだろう。
背の高さまで成長したら、首が折れるぞ!
>>240-249 キレイな桜と凄いサクラ
恐ろしいまでのキャラの壊れっぷり。栞以外は生き残った理由も無しに、わらわら
と登場するヒロイン達。東映漫画祭りの三本立ての如くぶつ切りなストーリー。常識
を備えた作中人物とのズレを描かず、世界全体が狂っていると、異質な作品と常識
人たる読み手が、直接向かい合う形となり、両者は非常に不安定な関係となる。
好き嫌いが別れるのもごく自然といえよう。
それにしても、一体全体、原作から何を受け取ったら、こういう作品が出来あがる
のか?作者の脳内フィルターは瞠目に値する。個人的には、主題や話の筋を無くし
たのが幸いして、純粋にギャグ物として楽しめたものの、自分の創作姿勢とは隔絶
していたので、ベスト3には選べず。
>>252-256 桜紗抄
文章が闇雲に難しいなあ。読み取れたかどうか自信ないので、字句解釈から。
「春」の「客人」は、エルクゥが地球にとってのよそ者という意味で、「夏」に戦場で
次郎衛門に出会ったエディフェルが、彼の怪我の手当てをして、衣服に付いた、
「常ならば顧みることさえない赤いしるし」を洗い落としたのは、彼女が次郎衛門を
異性として意識したあらわれかな?「秋」にエディフェルが死んで、次郎衛門が
「もの狂いのように笑いだし」、「冬」にリネットが裏切って、エルクゥを倒す方法
(ここはよく覚えてないけど)を伝える。時は流れ、かつて戦場に居あわせた桜の
若木は、今では老木となり、生まれ変わった耕一は、柏木姉妹と共に花見をする
に至る…というストーリーでOK?
なんていうか、装飾された文章を剥ぎ取ると、原作の過去編をなぞっただけという
気がしなくもない。もちろん構成のアイディアは斬新だし、時の移ろいを桜の成長と
重ねるテーマ性は面白いが、1レス1季節の制約で、物語としては老木のうろの
ように、空洞化している。かように難解な文章にした意図も理解不能。
>>258-262 祐一・美汐の『風が吹く日』
薄汚れたビニール袋をヴェールと間違えるあたりは、祐一の壊れ具合が表れて
いて良い。しかし、ストーリーとしては1歩も進んでないね。真琴が死んで祐一が
悲しんでるのは、Kanonやった人間なら、皆分かっているわけで。祐一の精神の
再建or崩壊まで、書ききって欲しいわけで。
今回は難しいテーマだったのに、みんな良く頑張った。少なくとも
連続で締めきりに間に合わなかった俺よりは…(つд`)
もうワードパットには、書きかけの原稿が山積みですよ、ええ。
1位 でんぱのさくら
2位 あなたが望んだ桜道
3位 夜桜
次点 キレイな桜と凄いサクラ
以上、長文失礼しました。
345 :
273:03/04/29 23:16 ID:Qh23ayQf
結構票が割れてるね。それだけ今回良い感じの作品が多かったってことか。
とりあえず俺は拾い読みしてるだけなので、あんまり全体を見てないから投票とかはしないっす。
273も一つだけ読んで脊髄反射で書いただけだし。後で他のもゆっくり読もっと。
と言うわけで、あのあともう少し読んでちょっと何かを書きたくなったものに一言。
>>156-159 夜桜(彰・はるか)
静かな情緒を感じさせる作品はやっぱりいいねえ。
WA未プレイだけど、いや、もしかしたらだからこそ、じんわりと作品に浸れた気がする。
作者の地なのか狙いなのかはわからないけど、通常二次創作などでは忌避される「た。」止めの連続も、地に足がついた感じで内容と合っていたと思う。
前の「逃げ水と」の時は正直辟易したものだけどね。
だけど――
「――」を使いすぎ。七つの空行のうち四つが「――」で終わっていたのには心底参った。
後半でピタッと止んでいたので、なにかの効果を狙った手法なのかな? と思いもしたんだけど、だとしても俺は必要性を感じなかった。
おかげで前半が台無しになってる。これはちょっと考えて欲しいところ。
あと作品の出来と関係の無いところで一つ。
>そういい残して、さっさと自転車を発射させた。
発車だよね? このしみじみとした雰囲気の中で、はるかが自転車を凄い勢いでどこかに発射させてる姿を想像してちょっと笑ってしまいますたw
で、そのあと前の
>さっさと自転車にまたがったはるかは、
が目に入って、ああ、そういうことか、自転車君いいなあ、と……w
>あんまり全体を見てないから投票とかはしないっす。
こういう場合も、読んだもの、つまり自分を「読む気にさせた」ものからだけ
投票、でもいいかも。
全部読んで比べられるのが理想的だけど、
別に全員に全部読む義務もないと思うし。
投票しない自由もあると思うから、気分が乗らないとかいう理由でも、したくなければしなくてもいいと思われ。
そうだね。どっちもそうだと思う。
前回票数が少なくて最優秀の人がちょっとだけ気にしてたようなので。
無理強いしたように見えたら申し訳ない。
終了まだ?
おねぼうさんかな。
次のテーマって何だっけ?
風?
【告知】
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。
※次回のテーマは『風』に決定しており、開催時期は 5 月中旬になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
353 :
281:03/04/30 12:56 ID:xuU7bNkY
>>352 281は全部読んだ上での評価ですよ。
読むのは読むけど全レスしないといけないというのも大変だし、
自分の作品は自分で評価できないという事もあったりして・・・。
354 :
138:03/04/30 14:00 ID:6kw+1lcS
「ある晴れた日に」作者です。
拙作を読んで頂き、本当にありがとうございます。
これからも、精進していくつもりで居りますので、どうか宜しくお願いします。
>辛口批評様
確かに、一個の作品としてストーリーに魅力がありませんでした。
次回はもっと練ったものを作りたいと思って居ります。
文章に関して、お褒め頂きありがとうございます。
3点リーダに関しましては、以後『……』に統一したいと思って居ります。
>313様
正にそうです、咲き誇る桜の下に佇む千鶴さんというイメージから着想し
それだけで終わってしまったもので……。
>名無しくん、、、好きです。。。様
身も蓋も無い話ですが、確かに桜の下である必然性が全く無いのです。
情景描写に関しては言われる通りです。
自分の頭の中に浮かんだイメージを、もっと表現できるよう頑張ります。
気に入って頂き、ありがとうございます。
>◆DIkaNSOFOg様
一段落目の稚拙さは言われる通りです……。
確かにどんな街なのかイメージが沸かないですね。
次回はもっと丁寧な描写を心がけます。
ストーリー構成に関しても、「おっ」と思わせる展開を考えたいと思って居ります。
読んで頂けた方、感想を頂けた方、本当にありがとうございました。
集計乙〜
今回は慣れていない上にあいまいな票が多くて大変だったでしょうw
これからも頑張ってくださいね。
356 :
118:03/04/30 17:38 ID:5315AKoA
まず最初に、謝罪を。
気遣いの全く足りない書き込みをしてしまい、まことに申し訳ありませんでした。
解説、などというのもおこがましいですが、一応言い訳をさせていただきます。
これは、前回『耳』の時に場面設定を思いついて以降、保守ネタ用にと温めていたものでした。
テーマの捕らえ方については、少し後に投稿された
>>186『サクラ』等と同様のもののつもりでした。
名雪のイタズラに秋子さんがサクラになってくれたんだけど、
イタズラだと言い出すに言い出せなくなってしまって――という感じで。
ただ、シチュエーションとしては『耳』が前面に押し出されていますから、
『桜』というテーマに対しては非常に弱かったのも事実です。
ただ自分自身では、およそ半月にわたってニヤニヤし続けながら機会をうかがっていたのですから、
回りっくどいにしてもネタを理解はしてもらえるだろうと考えていました。
しかし、メール欄が全てを駄目にしてしまいました。
本来は、あの@以降の部分は、その時に書いていたSSについてのもののつもりだったのです。
でも、あの状態で@以降の部分を見てしまうと、>118のネタのいいオチが思いつかない、以外に
どのような捉え方をすればいい、というのでしょうか。
見返せば、自分自身でも本来の意図したところは全く読み取れません。
今となってはなぜわざわざあの部分を書いたのか、自分でも不思議で仕方ありません。
書き込むときにもっと考えて、その効果を考えておかなければいけませんでした。
あのような蛇足によって場を荒らしてしまったこと、まことに申し訳ありませんでした。
その場ですぐに言い訳するタイミングを逃してしまい、
結果的に、作者側として自由に口を開けるようになるまで待ち続けてしまいました。
このようなことを二度と行わないように、これからは注意を重ねていきたいと思います。
続いて、『夜桜』
>>156-159 を書かせていただいた者として。
このたびは拙作をお読みいただき、どうもありがとうございました。
コンペスレ初投稿――というか、実はSSらしいSSとして発表したものとしては処女作だったりします。
自分自身で新たなシナリオを考えるのが苦手なため、
普段は文字ネタを書くときはシチュ系の単発ものしか作らないもので。
本来は1〜4コマ漫画描きでして、その延長上で文章も書くことがある、という程度。
それ以外では、趣味として自分自身で書いて、そのままHDDの中に眠らせてしまうか、
もしくはSHIFT+DELかの二択でしたから。
そういう意味では、118以降のスレの展開は、私自身にとってもいい踏ん切りにはなりました。
並びに、自分を励ましてくれた吊スレ454、本当にありがとう。
投稿作で見返してやること、できていましたでしょうか。
この作品は、街灯に彰の心を、桜に暗い影を落とした彼らの関係を投影していたつもりです。
重いお話でも思い切って口に出してみると、自分の中で何かが変わることがある――
そんな感じで、彰の決断、新たな一歩を踏み出そうと変わっていく姿を描けるよう心がけました。
桜に比べて街灯の描写の方が印象に残ってしまったならば、それは描きたかったもののせいでしょう。
そういう意味では、テーマの捉え方が少々ずれてしまっていたかもしれません。
続きまして、個別レスを。
>>291 辛口批評氏
ホワイトアルバムについては、つい最近、やっとプレイする機会を得ました。
4月になってから、友人から「やる気がなくなるゲーム。もういらない」と譲り受けまして。
あたかも駄目ゲーのように言われて渡されたものでしたが、
実際にプレイしてみて、その文章とシナリオの繊細さに圧倒されました。
その感動をとにかく文章にしてみたいと思ってペンを取ったのが、この作品です。
そのため、実はホワルバ系のSSというものは、意識しながら読んだことが無かったりします(汗)
やはり、こういう場面設定のものはありふれていますか。
自分程度の者がすぐに思いついたのですから、確かにそうでしょうね。
この点については、「どこかで見たことがあるような作品」というツッコミは覚悟の上でしたので。
もう一つ、ツッコミとして「文章が粗い」と言われるかもしれないと思っていたのですが、
その点については高く評価していただけたようで、ありがとうございます。
……実は、15日の夜に美咲さんシナリオを終えて、
そのまま翌朝から昼までの突貫で書いて投稿したものだったりするので ∧||∧
推敲するたびに3回音読する、を繰り返してみた価値があったというものです。
ただ、確かにホワルバをやったことの無い人には抽象的過ぎたような気もします。
もう少し表現の手段を変えるように考えてみても良かったかもしれません。
>>313氏
散りゆくもの、その後葉桜という新しい顔を見せるもの、
また将来同じように花を咲かせるかもしれないもの――
イメージとしてはこういう形で、彼らの関係というものを投影してみたつもりでした。
書いている最中は、「止めることのできない時間の暗示」というものは意図していませんでしたが、
確かにそういうイメージもある使い方をしていたかもしれません。
359 :
名無しさんだよもん:03/04/30 17:41 ID:nPLOFVoZ
長文言い訳ウザイ。
>>318 281氏
桜が背景である必要性、というものにはそれなりにこだわったつもりでしたので、
そのための一例として上げていただけて幸いです。
同時に、覚悟していた批評とはいえ、「わりとどうでもいい」とはおっしゃっているものの、
独自性が無いものの一例でもあるということに少々へこんでみたり(苦笑)
>>329 名無しくん、、、好きです。。。氏
「文章面としては文句の付け所はない」――これだけでも十分に嬉しいです。
あとはやはり、演出面が最大の問題ですか。
『黙』『寂』が最大の演出になると考えたのですが、
これはシナリオを知っていることが最大の前提になっていた感があります。
場面としてのイメージが湧かない人にとっては、本当に『地味』だけで終わってしまったかもしれません。
書き出しは、画面をパンさせて、という意図でしたが、これについては最初から彰の頭上に
視点の中心を置いて、「はるかが自転車で走ってきた」という描写にする方が良かったでしょうね。
彰主観の三人称については、彰自身の心の中のことを描いたつもりだったのですが、
始まりと終わりをダッシュで囲んだくらいではそれが弱かったようです。
それ以前に、最初の3つのパラグラフでの各おしまいのダッシュが余分だったせいで、
視点の一時的な転換としての役割を果たしていないだけですが。
この点については、推敲不足というしかありません。
後から読み返すと必ず自信をなくすから、と勢いで投稿したことが仇になった最大の点だと思っています。
「気が晴れた」のについては、自分自身の経験上、口に出すという行為だけでも、
何の返答ももらえなくても気が晴れる、というのがあったからですが、強引過ぎたでしょうか。
ピントについては、彰の心情をメインに置いていたつもりでしたが、自身でも曖昧さが気になります。
かといって、今の状態で推敲したとしても、これをさらに明確にできる自信はありません。
もっと文章を書く練習をして、出直してきたいと思います。
>>338 ◆DIkaNSOFOg氏
書きたいことは多いのに、自身で書ける文章に限界があるから、と無理矢理に詰め込んでしまった感はありますが、
十分にまとまっていたと感じていただけたならば幸いです。
「桜」は、上記の通り、彼らの人間関係を表していたつもりです。
全体を見渡すことができるほどには明るくない、街灯に照らされた様で
自分中心の一部分以外はなかなか見えない、という人間関係を。
>>345 273氏
「〜た。」は、地です。
自分の好きな作家である星新一氏、司馬遼太郎氏がともに文末は「〜た。」で、
それを手本として文章を書く練習をしていたので、見に染み付いてしまいました(苦笑)
意識したことはありませんでしたが、二次創作系では忌避されるのですか?
――確かに自身で書いていても、文章と雰囲気が合わない、と感じることは多々あります。
もう少し、他の文体での書き方の練習もした方がいいかもしれません。
ダッシュについては、前半3つのパラグラフについては無駄だった、と感じています。
この点については、自宅に置く時にはきちんともう一度推敲をしたいと思います。
「発射」は誤字です、全く気がつかなきませんでした(汗)
……モレモジテンシャニナリタヒナァw
―――
以上、長々と失礼しました。
もうちょっとネタとシナリオを練れるようになってから、またこちらに挑戦したいと思います。
>>359 長文言い訳を書かないでいいようになれる様、
センス磨いて出直してきますんで。
今回は勘弁。
>361 11行目 見→身
誤字に注意するって言ってるそばからこれですか。
我ながらなんだかなぁ……
364 :
165:03/04/30 18:16 ID:zX+sYdWh
「サクラノハナガサキマシタ」を書かせて頂いた者です。
感想ご意見、ありがとうございます。
このSSは初めセリオスレに2,3レスぐらいのネタとして投入する予定でした。そのころに
ここのお題目を知り、ちまちまと一ヶ月ぐらいかけてここまでのSSにしました。
>>292 辛口批評様
>キスマークを桜と表現するところには妙味を感じた。
ありがとうございます。この表現がなければたぶんここに投稿しなかったと思います。
>全体的に文章力が弱めなのが残念
詩的表現は結果論です.背景や説明を文章で表現するのは今の力では
無理ゆえ極力削りました。今度、詩集を買ってきて読んでみます。
>>329様
>どこかのメイドさんというような気もしますが……。
はい、漏れも投稿し、少したった時に気づきました。たぶん、水○の雪さんかと。
ちまちま書いているときにファンディスクをプレイしていたような……。
もしかすると激しく板違いな罠。ごめんなさい、そんなつもりはなかったんです。
>>314様
>非日常のカーテンとしての役割かな
上記のゲームの風景が頭の中に残ってしまったためかと。
何気ない行動でここまでSSに影響しているとは気づかなかったです。
>>339 ◆DIkaNSOFOg様
>物語としての体を為しておらず
そこまでの文才はないとおもわれます。
次から投稿先を気をつけて選びます。
今回、ここに投稿して感想ご意見をもらい、いろいろ考え又、参考になりました。
慣れないことはするべきでないかと。以上です。
365 :
273:03/04/30 19:21 ID:8bKyY8Zt
>>361 二次創作というか、ライトノベルとかの軽めな文章全般かな。
「た。」止めは落ち着いた、淡々とした印象を与えてくれる。
星氏の文がどこか瓢々としてるのはこの文体によるところが大きいと思う。
反面、一旦そこで文の流れが止まるため、テンポよくストーリーを追わせる娯楽作なんかには向かない場合が多いんだ。
まあ、この辺は好みにもよるんだけどね。
内容によって文調を変えるのは、うまくやらないと弊害かでるときが多いから気にしない方がいいかも。
やっばり慣れた文が一番、と無理矢理締めてみまふ。
「一輪の桜」を書いたものです。
それでは感想を返させて頂きます。
>>290 辛口批評様
長々と感想を書いてくださってありがとうございます。
文章力の低さは前のコンペでも指摘されまして、まあ数ヶ月で成長できるほど小説は甘くは無いって
ことですかね。
唐突だったりするのは仕方ないんですよ、このキャラクター達の心情を書いていくと僕の文章力だと
2,30レス程度ほど掛かってしまうんで。(汗
>>ゲーム本編から1年後の世界で、詩子は浩平のことを忘れているが長森だけは
>>思い出したのかという理由。
実はですねこの話、元々頭に浮かんできた時は途中で茜が木にもたれかかった後
眠ってしまって夢の中に浩平が出てくるんですよ。
そして同じ夢を長森さんも見ていたと、、
その夢を見た事実とひとつの花が咲いたこととを掛けてたんですが。
しかし、
浩平がでてくる夢の内容を色々考えたんですけれど、どれも不自然でして、
んであーもう面倒だから、カットしちまおう(笑
まあ短くまとまってるし、
茜さんの気持ちもわかるだろと思って投稿したら見事に撃沈しちまいました。
>>313 そうっすよ
まあ全部咲いたとしても会えるかどうかはわかんないんですけどね
>>328 ご指摘ありがとうっす
>>338 ◆DIkaNSOFOg様
たしかに、でも多すぎると問題もあるし、まあほどほどにってことか
368 :
174:03/04/30 22:17 ID:Ff+tiRot
「あなたが望んだ桜道」作者です。
今までは他の人の作品を読むだけだったのですが、仮にもSSサイトを持っている身としては一度は参加したいと思い、ずっと機会をうかがっての初参加でした。
読んでくださったみなさん、そして感想を下さったみなさん、本当にありがとうございました。
>>285さん
私も舞EDで突っ込んだクチです。
北国で咲く桜。これをSSのネタに出来ないかと前から思っていたのですが、今回のこんぺのテーマが桜だというのを機にネタを練り、このような作品に仕上がりました。
>辛口批評さん
長く詳細な感想を本当にお疲れ様です。
総合的に高い評価をいただけて嬉しく思っております。
正直に言いまして、「構成力がある」という感想をいただいたのは初めてです。
動物園の話は…何も考えていなかったというのが正直なところです。
どうせ書いても蛇足にしかならないだろうから、ということで説明だけにしておいたのです。
しかし、あの動物園の説明自体、蛇足だったかもしれませんね。
ともかく、これからも頑張っていい作品を書きたいです。
>>314さん
そうですね、メインは舞EDの補完のつもりでした。
この作品のテーマとしては、「舞EDの解釈&舞の始まりの第一歩」のつもりでしたので、
あなたの読み方はかなり的を得ていると思います。
>>名無しくん、、、好きです。。。 さん
>読んでいて気持ちのいいSSでした
ありがとうございます。
「桜」というテーマだけに、あまり寂しいノリにはならず、なるべくほのぼのとした雰囲気を
出せるようにしてみました。
しかし、やはり文章力は私の弱点のようですね。たまに言われます。
説明文だらけの描写にならないような努力がまだまだ必要ですね。頑張ります。
369 :
174:03/04/30 22:20 ID:Ff+tiRot
>>◆DIkaNSOFOgさん
この舞EDの解釈は、我ながらなかなか他では見れないだろうと思います。
なにしろ、感動の卒業式の1ピースとなっている「桜」に突っ込むのですからね。
KanonのSSは、もはやネタが飽和状態にあるので、私は常に
「まだ誰も見たこと無いようなネタ」を考えるようにしています。
「まい」についてですが、萌えキャラを意識したわけではありません。
「力」に目覚める前の舞はこんな性格だったんじゃないかなー、と想像して書きました。
書き終わってから密かに自分でもちょっと萌えてしまったのは秘密ですw
残り3章…確かに、言われてみればあってもなくてもいいかもしれませんね。
いちおう私としては、『桜の花が咲いたことへの謎解き』だけで終わるのはどうにも寂しいし、
終わり方としては中途半端な気がするので、舞が自分の力と本当に向き合った後の初めの一歩を
書こうと思い付け加えたものです。
次回は「風」がテーマでしたね?
ネタが浮かんだら参加したいと思います。
ところで1つ質問があります。
もう感想も結果発表も終わったわけなのですが、ここに投稿した自分のSSを
そろそろ自分のサイトにアップしてもよろしいですか?
それとも、この総括期間が終わるまであと1週間待ったほうがいいでしょうか?
遅れました(;´д`)
長文失礼します。
>>369 サイトへのUPは感想期間が終わった段階で、もうOKだったと思います。
四月は忙しいですね。今回の作品数は少なくなるかと思いましたが、結構量が上がって
いることにびっくりでした。もう作者さんの挨拶がちらほら出ておられるようなので、焦って
駆け足感想になっています。申し訳ありません。
上から順番にこつこつ読み、独断と偏見でつけた感想です。
『ある晴れた日』
>>109-113 うーん。いわゆる、いい話というやつなんですけれど。文章に所々引っ掛かって、どうも
純粋に楽しむことが出来ませんでした。描写が直接的とでもいうのでしょうか、単なる説明に
陥っているような気がします。回顧シーンではそれが顕著に現れて、読むのが一杯一杯
でした。「真っ赤になって」などという、あまりにもあんまりな表現は使わずに描写された方が
文章が美しくなるかと思います。それと、
>こちらを向き、困ったような顔をしながら、千鶴さんはそう言った。
>「機嫌直してくれた?」
>「ちょっとだけ…ね」
>くすっ、と今度は困ったような顔をしながら笑い出した。
言いたいことはわかりますが、出来るならば反復表現は避けた方が無難でしょう。何個所か
あったようです。全体を通して、小さく纏まってしまったSSでした。
技術:★★(好みの問題かもしれませんけど)
構成:★★★(起承転結はばっちり)
設定:★★(特記することはないでしょう)
テーマ:★★(桜が登場してはいるんですが、微妙に主題とずれているような)
総合:★★(可もなく不可もなくといった感じです)
『桜の約束』を書かせていただきました。
短いですが、感想の返答を。
>281 様
お褒めいただき、ありがとうございます。
辛口批評 様
>ぎりぎりの所で8点はつけなかった。
含みのあるお言葉ですな。
さて、あのことか、それともあそこか、と思いつく点があるのは精進しなければ。
>314 様
桜は一年の終わりと始まりを告げる花、ってイメージが自分の中にありまして。それが話のモトとなりました。
名無しくん、、、好きです。。。 様
>素直すぎる展開
読み返してみると確かに……。ひねりを入れる余裕が自分の中になかったなあ、と。
◆DIkaNSOFOg 様
>吸引力が弱い
目の前の事を書くことだけに意識を奪われてしまうあたりに、自分の未熟さが現れているようで。
これからの改善点としなければ。
読んで下さったみなさま、感想を下さった方々、本当にありがとうございました。
↑訂正。『ある晴れた日に』でした。;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
『一輪の桜』
>>129-133 ネタというか、ラスト近辺に挿入されたフレーズはなかなか印象的なものがあります。
ただ、文章がちょっと厳しいかもしれません。そもそも文法が間違っている所もありました。
冷却期間を置いての推敲をお勧めします。まぁ、文章は時間をかければ誰でも上手く
なりますが、センスは才能に依るところが大きいでしょう。その点、この作者さんは磨けば
光るタイプなのかもしれません。
技術:★(とりあえず、読点が欲しい)
構成:★(希望が持てる終わり方でしたが、導入部分が気になりました)
設定:★★(特にはありません)
テーマ:★★★(桜との絡め方が上手です)
総合:★(次回に期待します)
『桜の下で』
>>138-146 まさか、コンペスレで戯曲、しかもinside storyを読めるとは思ってもいませんでした。
ギャグというには切れ味がいまいち、ほのぼのというには序中盤がトンでる、どっちつかずのSS。
いやでも、好きですよ、こういうの。ラストが少し青臭いかとも思いましたが、それもまた一興。
結構楽しめました。
技術:――(同じ基準で評価する意味がないでしょう)
構成:★★★(最後にシリアス風味になるのは基本と言えば基本ですけど)
設定:★★★(よくがんばった)
テーマ:★★(もうちょっと桜が絡んできてもよかったかもしれません)
総合:★★★(難を言えば、良くも悪くも二次創作であることでしょうか)
……↑の訂正は371の訂正です ;y=ー( ゚д゚)( ゚д゚)・∵. ターン
『夜桜』
>>156-159 どこかで読んだような印象を受けるSS。プロットが面白ければ文句はないのですけれど。
個人的には彰の心変わりの理由がさっぱりでした。行間を読むにしても、絶対量が少なすぎて、
説明不足と言わざるを得ません。人間は、簡単に心境を変化させられる動物ではないと思います。
そこを読者にどう納得させるかが腕の見せ所ではないでしょうか。構成に一度疑問を持つと、
後はどうしても先人の似たSSと比べてしまいます。
技術:★★★(無問題)
構成:★★(ラストの雰囲気は良いのですが)
設定:★★(特筆すべきことなし)
テーマ:★★★(桜の儚いイメージを使ったのは感心しますが、比喩はやや安直に過ぎるような)
総合:★★★(これも纏まってしまった感のあるSS)
『サクラノハナガサキマシタ』
>>166-171 side storyと言うよりは、詩に近い二次創作。個々の場面はそれなりにほのぼのとしていたり、
好感が持てる作りになっているのですが、設定の大前提として、量産型セリオである意義が
感じ取れませんでした。終わり方も、オリキャラの主人公と相俟ってある種のイタさを醸し出して
いるようにも思えます。妄想(と言えば聞こえは悪いですが)をただ叩きつけるのではなく、
文章において、何かしらの目的を持って昇華をさせるべきなのかもしれません。
技術:★(相当にセンスの良いロジックを使わないと、この形式は難しいでしょう)
構成:★★(捻りが欲しいところか)
設定:★(量産型とはちょっと言い難い)
テーマ:★★★(桜=キスマークの連想はなかなか。話との絡みが見えませんでした)
総合:★(↑ということで、キスマークを主軸に据えたSSなんて如何でしょう)
『あなたが望んだ桜道』
>>174-183 なるほど、力にはこういう使い方もあったのか、と読んでいる時に膝を打ったSSです。
卒業式に咲いた桜から、ここまで話を膨らましたのは素晴らしい。締め方も、ありがちな嫌いも
なきにしもあらずですが、前向きで良い感じです。ただ、冒頭部分に引っ掛かりました。
確信犯的に意図してやったものであるならばともかく、視点変更というものは読者に無用な
混乱を招きやすいものなので避けた方がベターであるかと思います。出来れば、舞の視点で
描ききって欲しかった、というのが正直なところでした。
技術:★★★(中級者のレベルには達しているでしょう)
構成:★★(終わりが良い雰囲気なため、なおさら導入が残念)
設定:★★★★★(チビまいが果てしなく萌えたのでおまけの+1)
テーマ:★★★(ただの“解釈SS”になっているのではなく、桜がしっかりストーリーの基盤と
なっています)
総合:★★★(4にニアミスの3。文章力の一層の向上を願います)
無題(『サクラ』?)
>>186 これを読んで、書きかけだったギャグSSを廃棄処分にしたのは秘密。秘密ったら秘密(つд`)
『桜ひととせ』
>>191-197 なんとも、ねじれた感覚のSS。前半部分、ギャグ調の文体は好き好きはあるでしょうが、
それなりの魅力を持っているかと思います。後半部分、葉桜に掛けた南の不安もなかなか。
しかし、この2つの取り合わせは非常に良くありません。それぞれに食い足りないところが
見えてきて、ああハッピーエンドかよかったね、とはいきませんでした。結局、何をメインに
読ませたいのか、というポイントが些か不明瞭になってしまった感があります。
技術:★★★(3レス目までの文章は、善悪関係なしに勢いがあります)
構成:★(前半が、桜とは関係なく、全くの前振りに過ぎないところが……)
設定:★★(大志の使い方は面白いのですが、話の筋と殆ど関係ありませんよね)
テーマ:★★★(葉桜ネタを膨らまして、南視点で描くのも一案でしょう。コメディチックな
SSが書きたかったというのであれば、話は別ですが)
総合:★★(つまりは、狙い所を絞って欲しかったかな、と)
『ONEのみさき先輩の桜がテーマのSS、多少ネタバレあり』
>>205-214 うーん。なるべくなら、読む気を削ぐようなタイトルは避けた方がよろしいかと。確固たる
信念がおありになるなら別ですが。肝心の中身は、主題を溶かしきれてないように思います。
書きたいことが明確であることは当然良いことなのですが、ある程度の味付けは欲しい
ところではあります。みさき先輩がSS中で喋っていること、浩平が最後に思ったこと、それらを
説明ではなく、描写で読者に納得させることが出来れば、上級者と呼ばれるようになるの
ではないでしょうか。
技術:★★(「オレ」「先輩」の人称代名詞が鼻につきます)
構成:★★(説明的な文章がかたまっているので、描写に流すか、適度にばらすかした方が
良いでしょう)
設定:★(何故みさき先輩が花見に行きたがったのか、理由を知りたいです)
テーマ:★★(花見じゃなくても、この主題は書けるような)
総合:★(描写力さえつけば、化けるかもしれません)
『桜の約束』
>>217-221 一口に断じれば、内容がちょっと薄めのSS。ラストの、マルチやセリオの運命を読者の
想像へ委ねていることも、この文章量では書き込み不足と取られる恐れすらあります。
それは偏に、落ちの曖昧さから来ているのでしょう。一見、5レス目のセリオの言葉は
それなりの含蓄を持っているのですが、よくよく考えると、自分はいまいち意図を掴み
兼ねました。それと、直接の関係はありませんが、少年に言った言葉として捕らえると
はっきり矛盾が見えているようにも思います。……勘違いかもしれませんが。
技術:★★★★(3と迷いましたが、全体的な雰囲気を買いました)
構成:★★(落ちと長さに不満)
設定:★(ありがちかもしれません)
テーマ:★★(単に、花見をしよう、というだけの使い方ではつまらない)
総合:★★(2.5ぐらい。纏まってはいけないところで締められた印象)
『でんぱのさくら』
>>224-237 これは……読者がつっこむSSなのかなぁ、と思ってみたり。設定の面白さをどうも活かし
きれてないように感じました。不条理を目指したのなら、割り切ってラストも笑わせるように
するべきですし、シリアスで終わらせたかったのなら、それなりの説得力が必要だったのでは
ないかと。二兎追うものは一兎も得ず、なんて諺が浮かびます。最初、この突拍子もない
SSはどこに進むのかと期待しただけに、ラストがピンときませんでした。
技術:★★★★(すらすらと読めました)
構成:★(愛が強いほど、裏切られたときの憎しみは大きいとかかんとか)
設定:★★★★★(いやーぶっ飛んでる)
テーマ:★★★(桜を上手く使った、と言うのでしょうか。言わないのでしょうか)
総合:★★★(自分個人としては、あと一歩足りなかったSS)
『キレイな桜と凄いサクラ』
>>240-249 一握りの特例を除いて、ギャグは笑えたか、笑えないか、どちらか一発勝負だと思います。
……ごめんなさい、ヒットしませんでした。スルーさせてください。
『桜紗抄』
>>252-256 うん、面白い。硬質な文章は賛否別れるところではあり、かつ、改良の余地がないわけでは
ないと思いますが、構成の妙がそれをカバーしているのでは。「春」に、心をかき乱されるものが
何一つなかったエディフェルは、「夏」に次郎衛門と知り合い、微かな染みにも心を動かされ、
沢で身を清めるようになった。「桜」の項に出てきた“次の春”というのは、おそらく、「散り際の花」
である老木の代わり、今までずっと『春』の訪れを待ち続けてきていた桜の木の代わりに、やっと
彼ら自身が次の春(幸せの象徴でしょうか)を待ち受けることが出来るようになったという証なの
でしょう。このSSの根底に流れる静かな情感が伝わってきます。
ただ、やはり原作をなぞる(特に3レス目にその傾向が強いです)だけでは物足りないのも
事実です。構成上の制約はあったでしょうが、何らかの工夫(例えば、「桜」の項にかかる
暗喩)が必要なのではないでしょうか。
技術:★★★★(コンペという場において、独自性のある文体を評価します)
構成:★★★(3.5か。アイディアに引き摺られた感もなきにしもあらず)
設定:★★(基本は到って平凡)
テーマ:★★★★(ラストの一文、“次の春”によってテーマが昇華されているでしょう)
総合:★★★★(まぁ――最後は個人的な好みですね)
『祐一・美汐の『風が吹く日』』
>>258>>260-262 最初の、祐一の精神崩壊という問題提起が肩透かしになった印象です。『夜桜』と被りますが、
人の心変わりを主題に持ってくるSSは、相応のしかるべき理由がないと読者が共感を全く
得ることが出来ません。ハッピーエンドの方が、ダークな終わり方より難しいと一般に言われるのは
それが原因です。桜は来年も咲くからがんばりましょうというのは、ありがちという欠点も
もちろんのことですが、重い設定に対して説得力に欠けていることが一番の問題なのでは
ないでしょうか。
技術:★★★(三点リードは「……」の方が波風は……)
構成:★(長編向きの主題だったのかもしれません)
設定:★★(何かしらの工夫が欲しい)
テーマ:★★(お腹一杯な桜の使用法)
総合:★★(やろうとしていたことには好感が持てるのですが)
『桜を見る回数』
>>268 いわゆるショート・シチュ。ほのぼの出来ました。
以上。
今回は型にはまらない、意欲に溢れるSSをいくつか読めたことに満足でした。
最優秀賞は、挑戦的な文体である『桜紗抄』を推します。
優秀賞は、設定の斬新さで『あなたが望んだ桜道』に。
特別賞は二つ。通常忌み嫌われる台本形式を押し通した『桜の下で』、
別の意味でマジ泣きしそうになった『無題(サクラ?)』。
382 :
372:03/04/30 22:49 ID:qS3jRr55
>独断と偏見@星付 様
割り込んでしまって申し訳ありません。やはり、目先のことに囚われてしまう……。
>内容がちょっと薄めのSS >矛盾
返す言葉もございません。
ご指摘、ありがとうございました。
ここの感想を、サイトに使ってもいいですか?
特に長文でレスしてくれた方々全員にききたいのですが。
どういう形で具体的に使うか教えてください。
>>375 >>353及び某スレの某レスを踏まえた上で、
>>352を訂正いたします。
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『でんぱのさくら』
>>295 >>344 『桜の下で』
>>281 >>333 『ある晴れた日に』
>>333 ということで、第十三回の最優秀作品は『でんぱのさくら』及び『桜の下で』のようです。
おめでとうございます。
なお、投票の線引きなどに関する御意見は引き続きよろしくお願いします。
>>369 問題ないと思われます。過去にもあったと記憶していますし。
>>383 いや…しばし考えてやめました。
ただ、もしよければこういう感じの評価でした、みたいなのは載せちゃ駄目かなぁとか
思ったのですが。とはいえ、考えれば考えるほどあほらしいことなので
流してもらって結構です。
273氏は
>>345で今回は投票しないことを明言しているので、集計する必要はないでしょう。
>>285氏も「総合トップはちょっと選べないかも」ってことなので集計外かな。
あと微妙なのは
>>278氏とか。
時間ってのはなかなかとれないものですな。
すっかり感想遅れちゃってすいません。
前回第十二回「耳」の感想の続き。今回の感想。前回残した一年間の回顧。
今日から順次投下していきたいと思います。(ダメだったら誰か止めて)
まあ、統括期間にご挨拶が終わった後に来た感想まで
読んでる作者さんはいらっしゃらないと思いますが、一応ね。
前の感想は前スレ533-534 550-557。自分はこんな感じで書いてます。
・テーマは“お題”“縛り"として、クリアさえしてればOK。
SSそのものを評価。テーマが上手く処理してあれば評価上がるけど、
テーマの処理の仕方を理由に評価を下げることはない
・ネガティブな言葉になっても、初読で感じた思ったことそのままを、できるだけ書く。
(再読、再々読、他の感想と作者さんの挨拶の参照は、しています)
こういう場じゃなければ、読者はこんぺの感想人さんほど親切には読まないでしょうし。
書き手さんに「例えばコイツにはこんな風に読まれた」という
できるだけナマな感想をデータとして受け取ってもらえればと思い。
(その分偉そうです。ごめんなさい)
・感想だけ書いて、点数や格付けは特にしない。
もともと投票しないので遅れたのは御容赦してちょ。
大勢の傾向がこうなったら、今度は逆に行くかもしれない(w
感想の頭に、誤字等の指摘が付いてます。
改稿時とかのご参考になれば……と思ってですが、
よけいなお世話かなあ。あと細かいツッコミも。
前スレ344-356 十八の夜(セリオ)
11レス目後半。
> 馬鹿になったように何度も繰り返しながら、僕は彼女の中を熱いものをたぎらせた。
「たぎらせた」こういう場合ちょっと耳慣れないけど、OKかな?
大事な人には耳を見せるとしたら、
世界中の全セリオはだいたい全員、人間に耳を見せてそうだ。
Hの最中に耳を噛み千切るオヤジ ヒイ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
経済的心配もなく、セリオと一生ふたりきりで暮らす……という
セリオスキーの妄想をそのままお話にしたような作品。
書き手の願望充足ものかな。
と思ったら、オヤジの話が出て来ておお、違うのか?と期待しました。
が、ラストは収まるところに収まりましたね。
つまり最初の予想に近い評価です。
>>49にも書いたけど、あなたのSSは好きです。
エロは、エロも目的で書いた作品だとしたら別にいいんじゃないかな。
いらないって声もあったけど、自分はそうは思わない。
前スレ332-341 幸せな空の色(芹香・綾香・セリオ)
前スレ335、4レス目前半の文章が、
頭の中で繋がらなくて混乱しました。
ラスト2レスのネタばらし部分も同じく。
「セリオはピアスを隠すため、綾香からの耳そうじの申し出にうろたえている」
という事情は、書き手さんだけは最初から知ってますから、
そこから逆算して書き手さんが書き過ぎたからかなあ。
「『耳を出して』と言われてうろたえるセリオ」に関して
具体的に初読の時どんな風に自分が受け取っていたかというと…。
メイドロボが耳を出してはいけないのは基本設定。
なので、なぜ綾香がそれをそこまで不審がるのかの方が、かえってわからなかったな。
「耳出しを嫌がること」ではなく、「派手なリアクション」が
不審なんだ、というのが作者の意図でしょうから、
そこをちゃんと書いて欲しかったかな。
「綾香には以前も耳を見せたことがある」というのも、
9レス目で初出して、そこで初めてこちらは知りましたし。
それとも、セリオが綾香には日常的に
耳を見せてるっていう公式設定があるんでしょうか。
ラストも、意志に描写や>告解を受ける云々の描写に埋もれて、
「ピアス」が大オチだというのがスムーズに頭に入ってこなかったかな。
自分で頭の中で話中で起こっていることを再構成したら、
普通にスムーズに入って来そうな話だったんですが、
文章の運びがそれを妨げた感じで。でも、俺だけかも。
他に疑問を持ったのは、彼氏でもない男が穴開けてない子に
いきなりピアスをプレゼントするかなあと。
それって「穴開けてみ?」ってことですよね。
さらに、他人のメイドロボだし……。
これも、俺が古いだけで、いまはなんの抵抗感もないのかなあ。
研究員も、ただの説明キャラじゃなくこれだけ人物を立たせて書くなら
もっと印象的な個性付けを(さりげなくでも)したほうがいいかなと。
文章がスムーズに入ってこなかった。強い印象残らなかったのは、その辺かも。
でもいい話だとは思いました。
>>313-329 シンデレラはもういない(名雪)
>けれど名雪に視線を合わしていなかった。
細かいけど、合わせてのほうがいいかな。
>なんかの小説でなかったっけ?100%の耳を持つ女の子の話。
ここは、誰も聞いてないけど、誰でも知ってるような
有名な小説なんですか?
確かにいい作品だけど、正直前回初読が一番しんどかった作品(w
冷たい地面の下にいる──名雪と同じく陰鬱な香里──
このへんはしっかり騙されました。あと、16レス目もご苦労様。全部読んだよw
そこらへんは素直に面白かった。気持ち良く裏切られた感じ。
SSでこういう、構成上の工夫で攻めてくれる作品って少ないから、高評価。
でも、そこの効果をあげるための演出だとはわかるんだけど、
それでも前半の文体はしんどかった。
ネタはとても面白かったけど、そのネタを味わうために付き合わされるには
ちょっと辛かったな、みたいな。
あと個人的には電話越しの耳へのキス、の部分を
ちゃんと描写したらエロそうだと思う。ベッドでの耳キスシーン以上に。
最低得票数って言ってたけど、二票で最優秀は過去にもあったし、
別にいいんじゃないかな。自分も納得。
前スレ289-301 空に響く君の声(こみパ)
3レス目ラスト付近 >憚れた。
憚られたのほうがいいかな。
4レス目まんなか プレッシャーがプレシャーに。
6レス目後半 以外が意外に
いい文章っていうのは変換できる語を全部漢字にすることじゃなくて、
どれを漢字にしてどれを開くか、自分なりの最良を選んで書くものだと思う。
これは作者さんと自分の好みの違いだろうか……。
すごく上手い文章、完成度が高い作品だとは決して思わない。
いや、前回のこんぺでも上位の文章、出来なんだけど。
でも、例えば読むとほんの数分の間で瑞希に再会しただけでそんなに
ぽかんとするほど驚くかなあとか、その他、なにか、若書きっていうか……
「?」と思う言葉選びやや書き方が散見されました。
(上にあげたケアレスミス以外の部分で)
情景描写を交えつつ、登場人物の心理を中心にして書くというのはアリだと思います。
しかしそれで読者に緩急を味わわせたり
展開の妙に手を打たせたりすることもできないことではないかと。
また、二次創作に関して、作者さんの思い入れも
十二分に込められているのでは、と思い、
そこは好ましいのですが、思い入れ過多になっている部分もあるかと。
「どこか釈然としない」といった感想が多かったようですが、
原因はその辺かも。自分は、登場人物全員が作者さんで、
彼ら全員が、自分の思い入れだけのまま突っ走ってる感じがしました。
7レス目はひとつのクライマックスだと思うんですが、
自分は感情移入できませんでした。
ツッコミ。
よほど日本初のセンセーショナルな治療法というのでもない限り、大手術でも
心臓病の子の手術が報道されることはないと思います。(でもこれは瑞希が
ニュースでは詳しいことがわからなかっただけ、という解釈もできるな)
また、患者のプライバシーを考慮して
十代の子の実名が報道されることもまずないと思います。
「耳」のくだりもちょっと無理な展開だと思った。
ふたりの勘違い、すれ違い、しかしそれはそれぞれにとっては真実で。
っていうあたりは素晴らしい。ブラボー。
う〜ん、ツッコミばかりですが今回でもトップレベルの
力作だというのは変わりないですよ。
レベルが高いからもう一段上を望みたいという。
いろんな人間の感想を見て、今後の創作の材料にしてもらえればと…。
ただ、感想の分量のうち駄目出し8:誉め2だと
そのまま「20点か……」と受け取ってしょんぼりしてしまうのも
SS書きの性だと思うので(この感想も決してそんなつもりじゃないんですが)、
自分の感想の書き方、多分に問題ありかなあ。
前スレ265-270 耳かきにおける知覚的メタファー及び精神構造上のアンチテーゼに対する概念的諸問題への一般解答
インテリコンプレックスいっぱいの高校生みたいな
タイトルはどうだろう……。あ、でもみんなには好評だな。
犬=耕一にしては、最初の部分、ごまかしが必要な事態になる前から
「犬を飼ってる」と梓から言い出し、さらに部屋に見に来てと
千鶴たちに言ってるのはヘンなような。
梓のセリフも、千鶴のセリフを読者に伝えるために
千鶴のセリフをそのまま喋っている、電話の応答では有り得ない
不自然なセリフが多かったような。
その他、「?」と思った部分がけっこうありました。思い付きっぽいというか。
こういう仕掛け・ネタ系SSは、
仕掛けが練られてるなあと関心するのと
思い付きかなあと思うのでは印象が変わるので。
いやでも、梓のキャラはよく書けてたと思いますし、(千鶴も)
面白かったんですよ。上は物足りなかったところです。
前スレ247-250 きみのみみのみかた(圭子)
1レス目の「制服に惹かれて〜」のくだりの文章の繋がりがちょっと。
2レス目 >小学中学と 「小中と」「小学校中学校と」で駄目かな。
3レス目 最後のほう >特徴がになるらしい。
東鳩やドラマCD本編を知らないと意味のない部分、
わからない部分も多くて、単体では弱いけれども、
本編の幕間を埋めるような、
二次創作としては本道のやりかただと思います。
自分もドラマCDは未聴なので正確な評価はできていないでしょう。
すみません。
前スレ240-244 柏木家の夜(痕)
三点リードは「……」がおすすめ。原作のテキストもそうなってたはず。
途中、モーニングが燕尾服になってる。
自分はバニー星人じゃないから、どっちが正式なのかはわからないけど…w
二次創作ってのはおおかたパロディであるし、
こういうのもパロディとして全然ありだろうw 途中、
・きれいだよ……
・なんだか変だよ……
の二択が出たらもっと笑ったのだが。
まあもちろん今作で作者本人の文章力等を
判定するわけにはいきませんが。
最後のまとめとか見ると、かなり「?」というか
未熟な書き手さんでは……という感じもする。
前スレ205-209 検索結果は耳(To Heart)
三点リード、できれば「……」で。
うう〜ん、俺は駄目だった。
キャラを壊してるというよりはキャラが違う、と感じちゃったし、
地の文、浩之、雅史、全部、作者さん本人が
喋って(書いてではなく)るような。なもんで、ギャグも笑えなかった。
前二作と比べても、拙さからの進歩があまり感じられないような。
さらに筆力アップのため、読書の経験を積んで……
と思ったら、好評で迎えてる人もけっこういるなあ。
単に俺に合わなかったギャグものってだけなのかなあ。
前スレ180-188 voice(浩平・みさき)
2レス目 >涙を流がしていない事を…
それから、文章で「紫色の髪」「ピンクの髪」等と
書かれた描写は、個人的には受け付けない。(そういう異世界もの除く)
1レス目、
>金曜の放課後、今日も
のあと7レス目
>>186 >今は永遠の世界にいる俺だけど…
となるのはおかしいと思いました。
6レス目が回想、6レス目最終行からが現在だとしたら、
間が足りないっぽい。それまで多用されたのと同様の一行空けで
いきなりその展開になっても、読んでて「?」って感じ。
視点も切り替わっているし、こういう部分は
もっと気を使って移行して欲しいと。
どういうものを書きたかったのかはよくわかるんだけど、
まだ少し力が追いついてないかな、と思う。
でも、まだまだこれから頑張ってください。
続いて今回の感想。基準と書き方は同じです。
>>389 >>268 桜を見る回数(痕)
誤植。
>「どうしたたんだい、
ネタはいい。でも余韻もなにもないな。
そのへんがあればさらにいいんだけど……。
タイトルもそのまんま過ぎるし。
悪くはないが、1レスで鮮やかな印象を残すまでには
至っていないと思いました。
>>258-262 祐一・美汐の『風が吹く日』(祐一・美汐)
1レス目、2レス目で日が変わったのに気付きにくく、
初読の時は頭の中で時系列が混乱しました。
「レス間」をどのくらいの間と思ってるかって、
人によって違うんだろうなあ。
2レス目冒頭の文章もちょっとひっかかりを感じた。
3レス目 >、声を上げて泣き崩れた。
主語がない。
祐一の描写が、感情移入させるまでいかない「説明」で終わって
しまっているので、涙、号泣する彼に感情移入まではできない。
祐一、美汐の会話部分にしろ、まだ作者さんが頭の中で
考えて書いてる、そんな感じで、読者をのめり込ませるまでには
至っていないような気がした。急ぎ過ぎというか。
ネタ、起こるイベント各々は悪くないと思うが。
>>252-256 桜紗抄(エディフェル・次郎衛門・リネット)
1レス目 >――ほころんだ。
ほころびた。かな。これ、どうでしたっけ。
> 山を満たす月の下。かんばせは斎にのぞむ祭司のごとく冷えている。
1レス目。山を満たす月って、ちょっと意味がわからない。
斎(いつき)にのぞむ祭司って、顔が冷えてるんだろうか。
2レス目二行目、句点が。
>客人(まれびと)に連なる女
4レス目、これは、言うかなあ……?
文章はちょっと気取り過ぎ。凝った言葉を十個使えば、
十倍効果が出るわけじゃない。難しい言葉、持って回った言い回しを
たくさん使っていればいるほど素晴らしい文章というわけでもないし。
上にあげたように、ちょっとどうか、という文章も散見。
書き手がこの文体が板についてるかというと、微妙。
難しい表現やいい言葉をたくさん使ってますが、
でも「うお、いい文だ…」と唸った個所は少なかった。
そういう「文章の上手さへの感動」って、美文調か平易な言葉づかいかとか
全然関係なく、いいものはいいと感じるんですが。
知ってる美文調や隠喩、雅っぽい言葉をとにかく並べたような……
いい文章というより一本調子な文章、と感じました。それも気取り過ぎの、と。
創作って、自分の力を味わわせるためのものでなくて、
読む人を喜ばせてなんぼですから。
でも注意、以上全部、あくまで自分ひとりそう感じただけですが。
心情描写は廃し、それらの美文チック部分は多くが情景の描写に費やされ、
だがそれを除けば読者の目の前では、さしたることも起きていない。
同じ桜の木の下での(たぶん。文中に根拠が示されてない)
春夏秋冬の次郎衛門たちと、現代の五人の、
ワンシーンの情景を描いた作品。
春 落ちた桜の花びらに例えて、なにも、殺し合いも人の死も、
地球のなにごとも、心にかかることもない異人エディフェル
夏 戦の後、次郎衛門を手当てした翌朝。自分に着いた血を(殺し合いの臭いを)
気にし始めたエディフェル(木から落ちた雫で血痕に気付く)
秋 エディフェルを殺されてへこみ、木の下で復讐を誓う次郎衛門
冬 殺戮は終わり、刀を捨て、リネットに対して、他人に対しての
いたわりの心を取り戻した次郎衛門。冬の木は明るい朝を、春を待っている
桜 桜は生まれ変わった五人がほのぼの仲良く花見に来る古木となった。
散り際云々にもたぶん何か掛けてあるんだろう。
もう過去の悲しみも薄れ、幸せの次の世代が着てるとかなんとか。
たしかに「抄」だけど抄過ぎかも。
短くはまとまりましたが、しんどい思いして読んだほどの読みでは自分は…。
特に初読時は。コンペだから最後まで読んであれこれ評価書いてますが、
でなければ読んですぐ忘れたであろうタイプのSS。これも自分は、ですが。
ネタ自体はいいと思うんだけどね。
地力は味わわせていただきましたので、次の作品に期待します。
>>240-249 キレイな桜と凄いサクラ(Kanon)
1レス目2レス目 >茣蓙 >肖る
ルビ入れるか「ござ」「ゴザ」「あやかる」じゃ駄目かな?
3レス目 大金は光り物とは言わないと思います。
4レス目 もうに読点があるといいかな。>「もう北川君も二日くらいでくたばらないで
5レス目 >一環の終わり
7レス目 >俺に向かって前を閉じた。 >俺のこと好っていうのが
オールキャラお花見壊れギャグ。
北川とか四人と死人とはごろが……とかワラタ。
3レス目、はっきり「ショバ代を取ったんだ」って書いてホスィ。
自分は最初、栞を傷つけたのをネタにして
香里が強請りをしたのかと思っちゃった。
あゆ×美汐の♀♀キスシチュはちょっとドキドキで+1点。
でも肩透かしで−1点。はなから点付けはしてませんがw
オチは、ネタはいいけどテンション低めで評価も下降。
>>224-237 でんぱのさくら(瑠璃子)
>>231 8レス目
頭の上に身長以上の木を生やした人が、儚げに見えるかなあ(w
「頭山」落語でしたっけ?が元ネタの、
珍妙なアイディアのシュールで個性的なSS。こういうのも面白い。
文章もさくさく読み進められる……もう一味あるともっといいが、
そちらはネタとヘンな情景で充分足りてるかもw
ただ、どう締めるのかと期待してたらそのまま終わっちゃった。
ラストもなんかイヤw
最大の問題はさくらんぼと桜は別種だということですが、
この部分は元ネタがそうなんでしたか?
まあとにかく、設定が異常だろうが正常だろうが、今回一番
先がどうなるのか気になって読み進まされたSSなのは確か。そこは評価。
とりあえず、ここまで。長々とすみません……(´Д`)
ネガティブな感想受けた人も、ひとりがほざいてるだけだから、へこまないで。
すいません、あとひとつだけ。
「耳」の回の総括を忘れてました。
こっちもちょっと他の感想人さんたちと違って
ネガティブ気味でごめんなさい。感想もそうだったけど。
第十二回はセリオ萌えの人とそうでない者との隔たりを特に感じたなあ。
そういえば、「犬耳」も「幸せな空の色」もそうだったけど、
「セリオも格闘技の達人」っていうのも公式設定なんでしたっけ。
「メイドロボ」とはまさによく言ったもので、セリオってのは
オタク業界におけるキャラ属性「メイド」イメージの
究極版のような気が自分にはする。
「無条件の従順さ」と、「無条件で無限に自分を愛してくれる異性」、という。
原作では描かれてないけどセリオ萌えの
人たちにはデフォになっていること、
非萌え人は知らないけどセリオ萌えの
人たちにはデフォになっていること、多そうだなあ。
まあでも萌え、非萌え間の隔たりが即いけないというつもりはない。
逆に言えば、情報の少ないキャラを愛好して
隙間を想像と欲望で埋めていった、
その歴史の正当な差とも言えるだろうし。
ただ、ちょっと置いてきぼり感を感じることも
時々あるかな、というだけで。
「Leaf」「ToHeart」のSSというジャンルではない、
「セリオ」というジャンルのSSを読んでいるような作品が
多いです。セリオSSは。LeafやToHeartに関してはファンの、自分でも。
第十二回はまた、力の入った作品が多かったね。
でも、個人的には初読がしんどい回だった。
「力を入れる」イコール「画面を字で真っ黒にする」ではないと思う。
力作自体は大歓迎。
ただ、「ああ面白かった、次の作品も早く読みたいな」と
どんどん読み手の気を急かして先に進めちゃうような、
冒頭ですらすらとこちらを引き込んで
あっという間にSSの世界に馴染ませてしまうような
そんな快作続きのコンペも期待したい。
404 :
辛口批評:03/05/01 02:31 ID:mVIHx0IR
>>402 何でも衛星からDLすれば、っていうのと、綾香の練習具を持ってきたりしてた
ところから、格闘技の達人なイメージを持ってきているのかもしれず。
公式には、格闘技の達人描写はないはずだが。
>「無条件で無限に自分を愛してくれる異性」
本来、セリオは人を愛さないゆえにセリオであるべき。
その役目はマルチのみに託されていた。
それではマルチが落ち込んでいたとき、ぽんぽんと肩を叩いて慰めていたセリオさんはなんだったのか。
プログラム? だけどそれはマルチも同じだ。概念的には同じはずだ。
セリオには感情はないのか、それとも極少なのか。セリオが実在しないこの世界では分からない。
が、仕草や動作などに感情に近いものを見いだしてしまう人間は、必ず出てくるだろう。
それが感情でないとするならば、マルチとの線引きはどこからできるのか。きっと誰にも決められないだろう。
いずれにせよ、「本来」とかの断定は、開発主任である長瀬氏の本音や実際のプログラムなどが分からない以上、
軽々しく使うのは避けるべきであると思う。
セリオの中に愛情があるかなんて、他人の心と同様、誰にも分からないのだから。
しかし……俺は結構なセリオ萌えだが、セリオが格闘の達人だなんて欠片も印象になかった。
ま、メイドロボ論はスレ違いなのでこの辺で。
406 :
辛口批評:03/05/01 03:32 ID:mVIHx0IR
んー? 開発コンセプトだよ、セリオの設定は。そもそも、長瀬主任だけでなく、
ゲームの方の生みの親が最初に提示したコンセプトでもある。
そこで、何気ない仕草に感情めいたモノを見るのは受け取る側の問題で、
そのレベルのモノは見ていて微笑ましいとさえ思う。
もしかしてアレは感情の発露だったのかも、と思わせる辺りが、本来のセリオに
許されるべき感情表現であるかと。
ギャグとか、ファンタジーとかだとまぁべつだけど、本編のシナリオに
沿うなら、上記は間違っていないはず。
二次創作でも、昔は『もしかしてアレは感情の発露だったのかも』レベルまでが
殆どだったのが、次第にエスカレートしていき、現時点では、芹香なんぞより、
よっぽど感情表現豊かなセリオが氾濫している。
それらを控えめにフィードバックしたのが、例のドラマCDなわけで、
ああ、本家がそれをやったらお仕舞いだよという……。
まぁ、それでも『控えめ』と書くくらいのレベルではあったが。
ちなみに、もう分かって貰えたと思うが、軽々しく使ってるわけじゃない。
『本来』という言葉は。
さて、すれ違いという割れてしまったので、この件はこのレスでこっちも終了。
407 :
138:03/05/01 03:32 ID:+patF9RN
「ある、晴れた日に」作者です
>独断と偏見@星付様
感想どうもありがとうございます
自分の推敲不足、描写力不足には恥じ入るばかりです。
もっと表現の幅を広げ、かつ流れるような文体にしたいと思っておりますので、
これからもどうかよろしくお願いします。
408 :
jo:03/05/01 05:05 ID:O8gxg/Nq
「桜を見る回数」を書いたjo(如風)です。
今回、ネタだけはたくさん浮かんでいました。例えば、
・芹香の母方の祖父母の話。
・瑠璃子さんが、祐介と桜の下でエッチする話。
・楓がサクラ(売春)をする話。
話は頭の中で完結していたのですが、活字にする時間がなくて(;´Д`)
締め切りの日たまたまこのスレを見たら、締め切りまで後、40分ありまして……。
速攻で、一本話をでっちあげて投稿しますた(笑
因果というか、業というか。
次回は、まじめに投稿したいと思います。
ちなみに「桜紗抄」とは全然関係ありません(^^;
>>398 >誤植。
>「どうしたたんだい
まさか、こんな短い文章で誤植するとは(;´Д`)
いままで書いてきた作品を手直しして、まとめてUPしました。
興味のある人はどうぞ。
ttp://www.diana.dti.ne.jp/~jofuu/SS
409 :
jo:03/05/01 05:10 ID:O8gxg/Nq
次々回のテーマですが、前スレにあった
『過去のお題』を希望。
そういえば、前スレのテーマを決めるのが、やけに早かったような。
テーマ募集の締め切りは、総括期間の最終日の方が良いのでは?
410 :
273:03/05/01 11:20 ID:k6i2x+Zw
また一つ感想書いてみたんだけど……
>>252-256 桜紗抄(エディフェル・次郎衛門・リネット)
いざ落とそうと思ったら、言いたかったことはあらかた上で言われてる罠w
もともと難癖っぽい感想になっちゃってたから、繰り返すのは嫌がらせじみてしまうので一つだけ。
「――」はこういう文体の作品には要らないと思う。
夜桜の時にも少し書いたけど、今回はもう少し作品に与える印象が深刻。
古い言いまわしを使ってる時にこれを入れると、余韻を持たせる効果よりも先に文自体が安っぽくなってしまうんだよね。
悪いけど、この作品では描写力の無さをフェードさせて誤魔化している、それ以外のとりかたが出来なかった。
>――それと悟らせぬほど静かに――
のように文中に入れてるのはそれほど違和感無かったけど、それも最初の一つだけ。
この分量の文で二つ三つこれを入れると、「またか」と思ってしまう。
こういうところはあんまり指摘してる人いないけど、みんな気にならないのかなあ……単に俺の好みなんだろうか。
とりあえず他にも思うところあって、俺はこの作品を好きになれません。
今回『桜ひととせ』を書かせていただきました。
『原作未見につきスルー』という感想が毎回欠かさずあったりして、
なんだか運命とか宿命とか、そういうものに喧嘩を売りたくなってきます。
……まあ、それはさておき。
今回は前半がギャグ主体&本編解説、後半をシリアス主体としたわけですが、
『ギャグがいい』『シリアスがいい』と両極端な評価を受けたり、
『どっちかに絞った方が良かったのでは』という意見が多かったみたいです。
今までの作品もそうですが、当方は10レス未満の短い文ばかり書く割に欲張りで、
毎回思いついたものをあれもこれもと放り込む悪癖があるようです。
(今回も『起承転結』→『喜笑天欠』とか妙ちくりんなことやってます)
その辺をどうにか適量にコントロールするのが、次回の課題になりそうです。
……でも、どっちかだけで書くとそれこそ短文で寂しい出来になるんじゃないかなあ。と思ったり。
ちなみに『神様仏様稲尾様』ですが、これは単にこみパ本編の千紗ちぃの台詞を引っ張ってきただけです(向こうは平仮名ですが)。
こういう題材に用いた作品が元ネタの小ネタも、ひょっとして蛇足なものなんでしょうか。
感想などで『作者独自の解釈で〜』と評価された部分が原作準拠だと、かなり微妙な感じです。
……といったところで。読んでくれた方はありがとうございました。
いつものように当作品は拙作HPの方にアップしますので、よければ検索などしてくださいませ。
それではまた。次回もお目にかかれば幸いです。
412 :
399:03/05/01 21:22 ID:LlMKUYr4
>410
こういう文体っていうか、そこや、他の点も含めて、
基本的にラノベ、少なくともエンタテイメントの文体だと思ったよ。
その文体に、凝った言い回しや装飾後、隠喩をたくさん使用してる文章。
本格的な、雅文や、古典、近代の文体とはまた違う。
(ただもちろん、ジャンルは、文章の善し悪しとはまた別)
>>391 >>なんかの小説でなかったっけ?100%の耳を持つ女の子の話。
>ここは、誰も聞いてないけど、誰でも知ってるような
>有名な小説なんですか?
村上春樹の「羊をめぐる冒険」じゃないかな。
>>412 あれを古文体と認識していたら、「―――」は受け付けなかったと思う。
しかし、装飾過剰な現代文―――たとえば時代小説―――と
認識すれば、別に気にならないじゃないかな。
415 :
273:03/05/01 22:33 ID:OZf7Qr45
あれがラノベなら更に好みに合わないなあ。
装飾過剰な現代文を二次創作で使うのは、俺のもっとも嫌いなことでして。
無理して古文調にしようとして失敗したととった。
上で書こうとして削った部分ってのがまさにそれで。
どっちにせよ、ああいう言葉遣いには合わないと感じたことには変わり無いので。
416 :
391:03/05/01 23:38 ID:o0f/S+m2
>413
ありがとん。読んでいればもっと面白かったかな。
>415
自分は使い所次第で使ってくれてもいいと思うほう。
いろんな言葉や文体を知ってて、使えるのは武器だし。
言葉や言葉使いを覚えるのは読書経験、それらの「効果的な」使い方を体得するのが
創作経験、そしてどうしようもないセンスってやつじゃないかなあ。
でもまあ、俺たちみたいに受け付けなかった人もいれば、好評だった人もいたし。
別に、読んでようとなかろうと、印象は変わらないと思うが…
討論スレでもちょっと話題になってたけど、投稿数より感想数が少ないというのは、
よっぽどアレがナニしてるんじゃなかろうか・・・?
419 :
名無しさんだよもん:03/05/02 11:36 ID:PylbhmKH
日本の文壇がそもそも投稿者は増える一方なのに、本の売上は落ち込むばかり。
需要と供給か……
趣味や嗜好の細分化により一般層(より広い層)を狙った作品は
なんだか上滑りしているように思い、需給ではないと自分は思ふ。
>418
何が言いたいのかよく分からないけど、投稿数より感想数が少ないってのは、別に珍しくないような。
自分の経験則では、この類のコンペ・祭りなら投稿数:感想数=1 : 0.3〜0.5 くらいかな。
ただ、このスレの敷居が高いということは事実と思います。
前回、いくつかのSSに別スレで感想がついているのを確認したけど、「コンペスレに書き込みづらい」あるいは「書き込むべきほどの読み込みじゃないから」という理由でした(はず)。
現在このスレでは、長文全レスの感想が幅を利かせているわけで、
いい方に考えれば、住み分けが出来てる、ってことだろうけど、う〜ん、どうでしょうか?
以前には、
どんな一言でも大歓迎щ(゚Д゚щ)カモーン、
作者も自作の出来は棚に上げてできる限り感想書いて( ゚д゚)ノホスィ、
ということが議論されていましたね。
>335
やる気のないタイトルを見れば、すぐ分かりますって。
423 :
名無しさんだよもん:03/05/02 13:11 ID:o9+4NzX/
単純に「糞つまんねー」と思ったのでその旨書くと
「だったら読むな」「糞つまんね、とだけ書く香具師は何がしたいんだ」
「だったらお前が書いてみろ」「荒らしは死ね」
等々罵詈雑言だしなぁ。本人が怒るのはまだしも、
何故か外野の方が怒ること多いし(本人が他人の振りしてるのかな)
中には「どこがつまらないのか指摘しる」なーんて酷いのまで。
なんで糞つまらないSSを細かく丁寧に読み込まなければならんのだ(w
>>423 糞つまんねぇと思ったからには、その瞬間には何かを思ったわけであろ?
それすら無しに糞つまんねぇと思う状況というのが、私にはよく判らないのだが。
糞つまんねぇと思った瞬間に貴方の心の中にあった思いを書けば良いだけと
思われるがいかがであろうか。
思いをまとめられないと言うのは、評価者としてどうかと思うしの。
>>424 まあつまらないと思ってしまったSSに対しては、もうどうでもよくなってしまう場合が多いから、
>貴方の心の中にあった思いを書けば良いだけ
って言われても、なんでそこまでしてやらなきゃいかんの?ってのが正直なところなんだろうなあ。
個人的にはここに投下されるSSがそこまでつまらないと思ったことはほとんど無いんだが。
>評価者としてどうかと思うしの。
それじゃ「感想期間」じゃなくて「批評期間」にするべきになっちゃうよ……
確かになにか思うところがあって糞つまんねぇと思ったんだろうけど、
それをここで明らかにするかどうかは自由だと思うし。
>>423 >何故か外野の方が怒ること多いし
言いたいことはよくわかるよ。
でも自分が面白いと思ったものを一方的に理由も無くけなされた時の気持ちは、
この板の人間なら多少は理解してあげられると思うのだけどどうだろう。
で、ちょっと話を蒸し返すんだけど
>進行役氏
保管サイトに掲示板をつけるという話は検討していただけたでしょうか。
流れたなら流れたで諦めるんですけど。
ただ、今の流れでも少し話題に挙がっていましたけど、このスレに感想を
書きづらいという声が少しでもあるなら、無駄にはならないと思います。
やっぱり全作感想はメリットよりデメリットの方が大きいのかな……。
わからなくなってきた。
重苦しい雰囲気にならない全作感想があれば一番なんだけど、そんなのないよなぁ。
まこみし氏みたいなのばっかになるのも逆に書き込み辛い気もするし。
一言部分感想でもいいと思うんだけどねぇ。どっちが偉いってワケでもなし。
>>422 本当に、それは僕のことなんでしょうか?
最近よく見る?
>やっぱり全作感想はメリットよりデメリットの方が大きいのかな……。
さすがにそれはないかと。
話題のとっかかりにもなるし。
>>371 >「真っ赤になって」
俺は元ゲームのテキストに出てきそうな表現だと思った。
そういう雰囲気を狙ったのかもしれない。
でもまあ文章オンリーのSSとしては素っ気ないか。
>>391 メイドロボが耳を出さないのは人間との区別が目的だっけ。
どちらかというと原則的な話なんでは?
プライベートな空間で求められれば応じる程度の。
別の設定があったらスマソだが。
>>418 422の言う通り、ほぼすべてのこんぺが感想より作品のほうが多かったと思う。
KanonとONEこんぺが例外なんだよ。ん?あれも正確に数えたわけじゃないけど、
全部感想の数のほうが上回ってたっけ?
>>425 >でも自分が面白いと思ったものを
が、作者以外の第三者が勝手に「作者を代弁」して批判や否定に
反論するのは(しかも時に感情的だったり、批判者を煽ってたり)
事態を悪化させるばかりだったのは、各種こんぺを見てきた
人間の共通の経験則になってるんじゃないかと思う。
>>429 >どちらかというと
それが「設定」か「429の解釈」かって話だなあ。
オフィシャルな原作にセリオが耳カバーを取る描写がないなら、
「セリオが耳カバーを取る」こと以降のことがらすべてが
ファン個々による想像と創作だってことだと思う。
>>423 そんなこと言った奴このスレにいた?
他のスレと勘違いしてるんじゃないだろうか。
>>430 >ファン個々による想像と創作だってことだと思う。
そんなところだね。
原作には拒むシーンも受け入れるシーンもないから。
こういうイメージの齟齬は二次創作では注意すべきところなんだろう。
「みだりに見せない」という素っ気ない設定から結構重さの違う解釈が出てる。
次のテーマは「混沌と虚無」でどうですか?
失敬しました。
>>426氏
とりあえず今回の総括期間までは、前スレ162氏のお返事を待ちたいと思っています。
>>皆様
語りのついででも結構ですので、次次回のテーマの提案or投票をお願いします。
436 :
418:03/05/03 00:07 ID:d2UIkATe
>>422>>430 何十本も感想書かないといけないコンペと同じぐらい敷居が高いと言うなら、
それこそ非常にアレなような。
討論スレでは他のコンペについてアレがナニだという話になってたわけで、
他のコンペと同じだから(・∀・)って事にはならないような。
>>423 全部に感想書けって話ではないんだけど。
このスレには糞つまんねーSSしか無かったのならそれはしょうがないけど、
もしそうでないなら(・∀・)イイ!と思ったものにだけ感想を書けば(・∀・)はず。
そういう感想すら少ない事がナニなわけで・・・。
全レスは悪い事じゃないと思うけど、分けて書けるならある程度分けて書いた方が、
ちょっとした感想がつけにくくなる事もないと思う。
次々回はもう6月か。
気は早いが「海」で。
6月といえばジューンブライド……
「花嫁」とか。
439 :
174:03/05/03 00:41 ID:3DWXeYht
>>438の意見はなかなかだと思うが、「花嫁」よりは「結婚」の方が書きやすいのではないだろうか?
クッキー残ってた…しまった
結婚なんてありきたり過ぎ。
「成田離婚」これ。
>何十本も感想書かないといけないコンペと同じぐらい敷居が高いと言うなら、
そんな規模のこんぺも、やっぱりKanonとONEこんぺぐらいの話だって。
次に多かった痕こんぺだって、三部門全部合わせて、
やっと31本。(19本、6本、6本)
ふだんのここの一月分の、倍ちょっと。
他のこんぺはだいたい十数本、ふだんのここの一月分ていどだよ。
ちなみにここだって最多投稿の時は一月に二十七本ってのがあった。
試しにエロコンペとか超こんぺ、ホワルバこんぺとか見に行ってみて。
そういった小規模こんぺでも、どれも感想より作品のほうが多かったってこと。
見てないのに語るの(・Д・)イクナイ!
んでも問題意識に関してはわからんでもない。
実際の話、「感想が書きにくい」「すごい全レスの感想人さん達がいるから、
それに比べて自分の感想なんて書き込めない」って人はどれくらいいるんだろう。
そういうかた、レスください。
>428
鈴凛共和国で話したことのある人かと……。
あと、ずいぶん前にKanonSSで感想を書いたような。
……違います?
別人だったら本当にごめんなさい。
>436
言わんとすることは分かるけれど、
個人的には、投稿量も感想量も今くらいで満足かとも思っているんだよなあ……。
作者の感想返しも慣例になってきて、一通り目を通すだけでもそこそこ時間がかかってしまうだけの密度があるし。
なんか、すごく議論のレベルを下げてしまった気がする。ごめんなさい。
またり文庫の創作祭りで、投稿者に感想を強制したところ、効果は抜群だったようだけど
(投稿数の1.5倍くらい感想が集まったか)。
勘違いですた。1.5倍も集まってないや。投稿数をやや超えたかというくらい。
過去ログ見てて気付いたんだけど、1年前の今日、コンペスレ1が
立てられました。1周年おめでとう。よく続いたものだ。
今回は仕事で忙しく、三作の感想を書いた時点で力尽きてしまった。おねコンペもあったしな。
『あなたが望んだ桜道』『でんぱのさくら』その他いくつかは気に入ったんで、次回に感想を垂れ流すかも。
『ある晴れた日に』
もし前書きで痕SSだと知らされてなかったら、誰が主人公なのか、
最初の一段落ではそれさえも読者には把めなかっただろう。それは困る。
>俺は歩きながら暖かい春の日差しの心地よさを感じていた。
いわゆる「晴れた青空」だなと、読んでいて思った。春の陽射しは暖かくて当たり前っぽいから。
書かなくてもいい形容を連発すれば、文章の密度が薄まる。
>母の実家から、そう電話が掛かってきたのが先週だった。
「電話がかかってきた」みたいに、漢字を開いたほうが読みやすくない?
>白のスカート、ピンク色のジャケット。そして艶やかな長い黒髪。
>まるで、その姿を引き立てんばかりに咲き誇る桜の花。
>それが一葉の絵であるかのように、周囲の光景から一線を画していた。
文の繋がりが薄く、ブツ切れな印象がつよい。
体言どめの濫用は、それなりに達者な書き手じゃないと逆効果になりがち。
『一輪の桜』
>「浩平さんって知っていますか?」
>「え?誰それ?」
>「・・・そうですか」
>時間は刻々と過ぎ、もう一年になっていた。
詩子さんの性格が淡白すぎない?
茜が唐突に男性らしき名前を尋ねてきたら、詩子さんならもっと突っ込みいれるんでないかい。
あと、ふたりが話を交わした場所はどこなの?
第二段落の冒頭から察するかぎり、場所は学校(の中庭とか)なのかもしれない。
でもさ、桜が咲いているこの時期って、茜も詩子さんも長森も卒業しているのでは。
先輩シナリオにしたがえば卒業式は3月3日前後だったよなー。
それ以降(?)の時期に中庭で弁当をつつく理由は?
それと、茜に対する長森の呼びかたって「茜さん」だったっけ?
ごめん、感想できたの四作分だった。
『桜の下で』
野郎ども三人で花見か……むさくるしいな、まあいいんだけど。
いきなり話が飛ぶけど、このスレ住人って無論たいがいは男だと思う。
そして男って生き物はふつう女に甘く、おなじ男相手には厳しくふるまう。
女が食い逃げ常連だったり、リストカッターだったり50万円のぬいぐるみを欲しがっても許せるが、
男がおなじ言動に走ったら、もうどやしつけるしかないかも。
読者層を考慮に入れれば、登場人物が男だらけってことは、かなり過酷なハンデだって気がするな。
言うまでもなく、そのこととSSの評価じたいは直結しないにせよ。
『サクラノハナガサキマシタ』
改行のやりかたや句点の少なさによって、独自の魅力ある文体を作るのに成功している。
(掌編用の文体だとは思うけど)
口移しのシーンのなまめいた描写もよし。ひとことで言えば萌えた。
次回のテーマ。
前回は、投票する前に「大勢は決まったね」と言われ
さらに進行役氏に締め切られてしまったのでw
「過去のお題」のリベンジも含めて、もう一度、
一回限りの『なんでもあり』(『テーマ無し』)をリクエスト。
過去間に合わなかった作品の蘇生、リベンジをしたくて
推してる作者さんが多いみたいね。
自分もそれもキボンだけど、個人的には一度だけ、
縛りなしのここのSS作家のSSガチンコ勝負を見てみたいっていうのが。
いま自分に出せる一番の作品を出して、住人や感想人に見せてくれというか。
実際気に入らない人もいるだろうけど、
「アイディア」を評価してもらえるのは、その回の
「テーマの処理の仕方」に限ったことじゃないと思うし。
(ネタとか、構成上のトリックとか)
それに、全テーマに毎回投稿してる人のほうが少数だと思うから、
気に入らないテーマに決まることもあるだろうけどそういう場合は
次々回か、直下の今回テーマに力を注ぐ、その回はお休みするっていうのも
選択肢のひとつだよね。
とりあえず「一回限りということでやろう」って言ってるのもその辺で。
もし採用されたら具体的に書きたいものがあれとかこれとかあるんだよなあ。
>『なんでもあり』(『テーマ無し』)をリクエスト
基本的に賛成だが、次回のテーマにするのはいただけない。
作家さんたちにもいろいろ都合があるからいきなりはつらいと思う。
一周年記念としてそれをとり上げてほしい。
数回先のテーマとして告知をしておいて、過去の作家さんたちにも
参加してもらうようにある程度の猶予期間をつくり。祭りのようにしてほしい。
「なんでもありなら」これぐらいのことはしてほしい。
祭りは祭りらしく華やかに。
>>443 …多分当たり…
どうも。
というかよくそんなところまで知ってましたね。
少し失礼してご挨拶させて下さい。
今回「桜の下で」を投稿した鍵系SS書きです。
同率最優秀……でいいんでしょうか?
前回の「名前」でいろんな意味で懲りまして、今回はもう少し肩の力を抜いて、最優秀なんて関係の無いところで楽しめるネタ物を……と思ったんですが……
本人の予想とは裏腹に高い評価を頂いたようで、さすがはネタが命の葉鍵板、と言った感じでしょうか。
まあ「でんぱのさくら」は他にも曖昧な票が幾つかあるようですし、実質的には二番手なのでしょうが、それでもびっくりした事には変わりないわけで。
ええと、かなり動揺してますw
それでは、以下個別にお返事などを。
基本的に敬称略で失礼します。万が一漏れがあったら申し訳ありません。
>>281 一番面白いと言って頂いてありがとうございます。
鍵作品の良い所を突けていた、と言う言葉はとても励みになりました。
締め方も気に入っていただけたようで。実は書いた本人としても最後の部分は気に入っているので、とても嬉しかったです。
>>283 最後の一言は俺ですよね。
>頭がおかしくなった人が多くて面白かった
実にイイ感じの褒め言葉ですw
>>291 むう。最後の部分を気に入って頂けたのに「感」が3……ちょっと悲しかったかも。
前半が冗長だと感じたなら、それは俺の実力不足ですね。ネタ物で、9レスぐらいすんなり読ませられなかったならネタのキレが足りなかったと言う事。精進します。
構成的には間違ったとは思っていません。前半の内輪ネタをカットすると、ラストの辺りが上滑りする……そう思っています。
やはりネタを気に入って頂けなかったというのが全てでしょう。
ついでに、
>>299 >だったら書けば良かったのにw 読んでみたかったな。
書こうかとも思ったのですが、前回の二の舞は勘弁なので踏みとどまりました。残念なような、これでよかったような。
>>313 年度の節目……それを類比に使えるほどKEYが作品を……ゲフゴフ
>>328 ネタで描きわけが出来ていたというのは嬉しい言葉。ありがとうございます。
俺的イメージ全開で描きわけたのですが、受け入れていただけたようでほっとしました。
埋まっていた○○は……言わぬが華という物でしょうw
最優秀に推して頂いた上に前回の言葉にレスまで頂いて恐縮です。
確かに、この板以外でこういう物が読める機会は無いかもしれませんね。
……そうですか。ONEは絵が。
まあ、いたる絵ですしね。塗りも粗いし。
……すみません白状します。
俺はONEを
「 絵 買 い 」
しますた。ひー
>>338 はい、開き直りましたw まあ花見ですし無礼講ってことでw
上でも少し触れましたけど、内輪ネタに始終したのは狙いです。失敗したのかなw
まあネタが受け付けなかったらそれまでの作品なので、なにも弁解しません。
>>373 仰る通り、一応ちょっとだけ戯曲を意識してみました。締めの言葉はそこから派生した物ですね。
ううむ、やはりネタの切れ味がいまいちですか。往人の「もういっちゃうのか」と言う言葉を上滑りさせないためにと頑張ってはみたのですが……精進しますです。
インサイドストーリーとはいい得て妙かもしれません。
なんというか、彼ら主人公の「中の人」の会話と言うのを意識してました。彼らはゲームにおいてはプレーヤーの分身であり、こちらの決断に従わざるを得ない。
そんな彼らが花見と言う場を借りて、ゲームという束縛から離れ本音を漏らす……桜の魔力によって。
そういった感じを目指してみようかと。
だからメディア展開を冷めた目で見させたりもしてみました。うまく機能してはいなかったような気もしますが。
とにかくそれなりに楽しんでいただけたようでなによりです。
この特別賞というのは、まさに俺がターゲットとした位置付けだったりしますw
>>448 そうでしょうか?
俺にはむしろ心情を汲み易いぶん、巧く書いたらいろいろ伝えやすいような気がします。
まあ、華が無いのは確かですけどねw
今回は
>>373の言ったように忌み嫌われる……というより相手にされない事の多い台本形式を押し通したこともあり、賛否両論に漕ぎ着けたら上々と思っていたので、自分的には大成功です。
形式自体に難を言う人がいなかったのは、ここの住人の見識の広さを感じさせてくれました。
ちょっと思ったのですが、こういったネタ物は通常賛否両論出る物ですが、「否」の方の評価がカウントされないここの最優秀選出はネタ物に優しいのかな、と。
それから書き忘れてしまったのですが、
>>328 俺は主人公スレの住民ではありません。ちょっとテンプレを覗いたことがあるぐらいです。お茶汲みってどう言う意味なんでしょうね。
最後に、このSSを読んで下さった全ての方に最大限の感謝を。ありがとうございました。
そしてHMX氏、このスレを纏めるのは大変だと思いますが、新進行役頑張ってください。
457 :
メンテ:03/05/05 08:03 ID:dx/BNAB5
「あなたが来栖川綾香ね! この春日野さくらと勝負よっ!」
セーラー服にハチ巻きの少女が、びしっと綾香を指差した。
「あなたの名前は聞いてるわ。もちろん、受けてたつわよ!」
綾香も自身ありげな笑みを浮かべる。
「勝負は激辛ラーメン大盛り早食いよ!」
おりゃびし、とさくらを逆指差し。
「応!」
「……ってなんでよっ!」
ゴトン、と鍋のようなどんぶりがふたつ置かれる。
店内注目の中、勝負は、浩之戦で自信を付けていた綾香の圧勝に終わった。
次々回テーマは「海」、
その次のテーマを「過去のお題」
でそれぞれキボンヌします。
次々回は六月半ばあたりになるだろうし、「海」はいい感じだと思います。
そして「過去のお題」で夏祭りだっ!w
「過去のお題」にするんなら、3つ以上使うとかにしたらどうかな。
あんまり制約を多くするのはどうかと、、、
>>459 それだと過去のお題で書き損ねた、まだ参加していなかったけどいいネタを思いついた、という人の作品が出せなくなる。
せっかくだからとおねコンペに行ってみたのだが……
やべえ。読む気がしねえ。数も量も半端じゃないし。
投票は諦めて、評判の良かったのを読んでみることしたよ。
つーかダーク物ってニ作品しかないのね。ちょっとがっかり。
おねの世界観ならかなりキてる物が書けると思うんだけどなあ……
次回があったら俺が書いてみよっと。
ぐは、誤爆……失礼しますた
ご挨拶が遅れました。『でんぱのさくら』を書いた者です。
読んでいただき、ありがとうございました。
なお、前回は『十八の夜』を書きました。
この話の元ネタ、いくつかご指摘いただいた通り、古典落語の『頭山』(またの名を『さくらんぼ』『頭ヶ池』など)です。
ちなみにずっと以前に書いた『雨乞いの神奈』という作品も元ネタは落語です。元ネタよりはるかに出来が悪いので、あんまり触れたくない作品けど。
まあ、今回は「さくらんぼを食べて頭から木が生える」ということ以外は全然違う話になっていると思います。
ちなみに元ネタの落語、その後の展開は……
頭の桜に花見客がたくさん訪れ、うるさいので木を抜いてしまう。
その跡にできた穴に水が溜まって池となり、魚釣りはされるわ、舟遊びで騒がれるわ。
とうとう嫌になって、自分の頭めがけて身投げする……
というトンデモない話です。
「桜」というテーマを見てこの落語を思い出したので、では瑠璃子さんの頭に桜の木を生やそう、と思いたちました。
※イメージ画
http://banaga.axisz.jp/cgi-bin/hakagi/img-box/img20030505232534.jpg 思いついた時には、これは面白くなりそうだ、と結構自信があったのですが……
どうも読む人に好き嫌いが出やすいネタだったようです。
特にラストの締めくくり方なんか、概ね不評でしたね。
作品の狙いがどこにあるのか、曖昧だったというところでしょうか。
不思議なところがあるけど心優しい瑠璃子さん自身のような、和める作品にしたかったんですが……
このラストが良い、と言ってくれた人は1人もいなかったので、そういう意味では失敗でしょうね。
それでは、いただいた感想にちょっとレスさせていただきます。
>>278さん
気に入っていただけてよかったです。
ちゃんと『雫』の話になっているかどうか不安だったので、ちょっとほっとしました。
>>279さん
こういうのは苦手でしたか。それは残念。でも仕方がありませんね。
>というか「桜」は何を象徴していたんだろう。
実はこれといって象徴させようとしたものはありません。
──というのは無責任なので、敢えて言うますと……瑠璃子さん自身でしょうか。
優しさとか純粋さとかは彼女の持っている美点ですが、そういうものを持つ人は桜のように美しくも儚いイメージがあると思います。
それにそういう人は時として周りから受け入れられなかったり、美質が逆に生きていくのに重荷になることもありますよね。
でも、それを理解し、共感することができてこそ、真の絆が深まるのではないかと……
……すみません。後から考えたこじつけな上、イマイチな解説でした。
>>281さん
とりあえず飽きずに読んでもらえたようで、よかったです。
それにしても、『頭山』がアニメになっているのは知りませんでした。是非観てみたいです。
>>285さん
ありがとうございます。
そういえば、スイカのタネを食べてヘソから蔓が出たとか、同じような昔話や民話もあるようですね。
>>294 :辛口批評 さん
>電波の可能性云々の話をどうこうするのであれば、唐突な闖入者であった桜に
>関してもう少し描写があれば、とも思うが、
そうですね。どうも私は詰めが甘いところがあるようです。
>>315さん
面白い見立て、ありがとうございます。
>>331 :名無しくん、、、好きです。。。 さん
う。評価のしようがないですか。残念。
>もともと壊れている瑠璃子さんが、さらに壊れてもインパクトが弱いかな。
>むしろイメージとしてははるかっぽい印象を受けました。
実はそれも考えました。他にも芹香先輩とか、候補にあげた人物は何人かいましたが、瑠璃子さんが絵的に一番似合うと思いましたので。
よく頭にアンテナ立ててますしね(いや、本編では立ててませんど)。
>あえてまとめずに、不条理のまま突っ走ってもよかったのではないかと思います。
それも考えたんですけど、あまりいい終わり方にできそうになかったので……
どちらにせよ、ヒネリが足りなかったかもしれませんね。
>>341 : ◆DIkaNSOFOg さん
>もっと周囲が瑠璃子に対して、リアクションを起こした方が良かったかもしれない。
ええ、そうですね。さおりんとか他のキャラも出してリアクションさせるべきでした。
長くなるし、場面転換が多いと煩わしくなりそうなので、やめにしましたが……
でも、話を膨らます必要があるならこの部分ですね。
>もともと幸せそうに見えるカップルゆえ、「幸福の上乗せ」
>をしているようで、ピンと来なかった。
それは考えが至りませんでした。
祐介君はきっかけがないと、自分の想いを改めて口にしたりはなかなかしなさそうなので、この話にも意味はあると思ったのですが……
よく考えたらこの二人、言葉なしでも理解しあえそうな気もしますね。
>>378 :独断と偏見@星付 さん
別に欲張って二兎を追うつもりはなかったのですが……
というより、どんなジャンルにするかはあまり気にせずに書いてしまいました。実は毎回そうなんですが。
今回は、あえて言うなら「ナンセンスほのぼの」みたいなのが書きたいと思いました。そんなジャンルがあるかどうかは知りませんけど。
それにしても、二回連続で「構成」星1をもらってしまいました。これはさすがに反省しないといけませんね。
>>401さん
>頭の上に身長以上の木を生やした人が、儚げに見えるかなあ(w
いえ、まあ……儚げな美少女が頭に木を生やしてるのも、バカバカしくていいかと思ったんですけど。
>最大の問題はさくらんぼと桜は別種だということですが、
>この部分は元ネタがそうなんでしたか?
ええ、元ネタがそうです。というより、さくらんぼは桜の実だと思いますが。
もちろん、日本の桜の多くを占めるソメイヨシノには実はできませんけど。
普通のさくらんぼはセイヨウミザクラという桜(およびその改良品種)の果実です。
ちゃんと綺麗な花も咲きますよ。
なお、瑠璃子さんに生えてたのはあくまで突然変異体です。
それから
>>390 の
>
>>49にも書いたけど、あなたのSSは好きです。
ありがとうございますー。そう言っていただけると、本当に書いて良かったと思えます。
でも、今回のはやっぱりラストがお気に召さなかったようですね。
では、感想をくれた皆様、いろいろご指摘いただき、まことに有難うございました。
また書けそうな時はがんばろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
そう言えば、テキスト版って何に使うんだろ?
携帯で読んだりでもするのかな?
WEBだと見づらいって人用かもね。背景色とか好みがあるだろうし。
まあ本文だけコピペすればいいだけなんだけど。
1.「過去のお題」ってのもいいね。
2.あまり使わないけれど、シンプルな2ch風のガいいんではなかろうか。
3.
エディタに突っ込んで、縦書きで整形したり、フォントを変えてみたり……。
今回の「桜紗抄」のようなSSは、やはり縦書き楷書体で読んでみたくなるし。
もっとも>470の二行目どおり、あったら便利という程度で、無くてもそこまで困らないんだけれど。
それよか、保管所へのUpをはやめにして欲しいな〜、なんて。
次々回のテーマは「結婚」に一票。
死体、血痕。
感想は、自由討論形式だと全レス感想出しにくいと言われてたけど、
そういう人は全レス感想形式の方がいいの?
極端な話、一つずつ小出しに、討論のネタフリみたいな感じにすると、
いろんな感想がつきやすいんじゃないかと思うんだけど。
まあ、全SSの比較には向いてないけど。
次々回のテーマ、「過去のお題」に一票!
間に合わなくて、いまだに悔やんでいるネタがあるもので・・・
>>449 >次回のテーマ。
次々回の間違いかな?
個人的に、次々回のテーマに、「なんでもあり(テーマ無し)」を推したい。
如何にお題を上手く調理するか、だけでなく、如何に美味い「食材」を持ってくるか、
のコンペティションも一度見てみたい気がする。
>472
いや、どんと長文レスを投入することになるから、
せっかくの議論の流れを遮断してしまうことにならないか……
と躊躇したということだろう。
必ずどちらかを選ばなきゃいけないとか、1か0かで考えては
できれば欲しくないな。
477 :
472:03/05/07 00:05 ID:9TSNZhxk
>>475 それ以前に、自分も全レスしないといけないような雰囲気になるんじゃないかと何度か言われてるし、
>>442でも問われている事。
バランス良くなってればいいとは思うけど、今まで自由討論形式なんてほとんど0だったじゃない?
それを1にしろと言ってるわけではないよ。
いや、475=442で、実は自分も全作品感想は書くから
逆に全作品感想に言いたいことがある人がいたら、
その反応を聞いてみたくて
>>442を書いてみたんだ。
>>422なんかも見てそう思い。
>問題意識に関してはわからんでもない。
っていうのも、「自分もそう思っている」わけじゃなくて、
「そういう問題意識を持っている人もいることに関しては、わかる気がする」
っていうこと。まあ、442にレスは付かなかったけども。
>自分も全レスしないといけないような雰囲気になるんじゃないかと何度か言われてる
あった……っけ? これは具体的に何番のレスとか?
472は、「全作品感想の人は全員が全作品感想になって欲しいと
思っている(討論形式をやめて欲しがってる)」と思ってるような気がする。
もしそうなら、それは誤解じゃないかな。
俺は逆に「472は全員が討論形式になって欲しいと
思っている(全作品感想をやめて欲しがってる)」と思った。
これも誤解であることを祈る。
「感想が増えて欲しい」って思いはたぶん俺も472も同じだと思うんだけど。
つまり、あれか。
全作感想書いて、その後自作自演でそれに無理やり討論を吹っかけてみよう。
これで流れも止まらない(゚∀゚)
とまぁ、出来たら一番な気もしないでもないけど。
全作感想をつける身としては、自分の感想がこのスレの発展を妨げていないか心配なのです。
純粋なる一行感想の大きな障害になっているのなら、別のスタイルを考えようかなぁと。
議論の最中失礼します。
『桜紗抄』を書いた者です。
読んでくださった方、ありがとうございました。
なにより受け入れの余地が狭かったようで、反省点の多い作品になりました。
ひとつ目先を変えてみようと思ったんですが、なかなか難しいものです。
ふだん使わない回路を酷使したせいで鼻血でそうでした。
作りすぎが鼻につくというのは、やはり技量とまとめ方の問題なのでしょう。
木の視点というのが頭の隅にありましたので、
無関心で硬くて突き放した感じを意識していました。
ネタに引きずられた感があるという御指摘はその通りだと思います。
>>281 ありがとうございます。
多分に絵をイメージして書きましたから、
それを感じていただけたとしたら嬉しいところです。
>>285 う、読みづらいですか…。
やはり、もう少し別のやり方があったんでしょうね。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いですが。
>>294 意図を伝えきれなかったか、あるいは無価値に見えて目に留まらなかったかだと思います。
読んで釈然としなかった方は他にも居られた様子。
どちらにしても至らぬ点が多いようなのです。
鵜愚卯。
>>315 年ごとに木に訪れる季節を小サイクルとして、
それを重ねた上に木の一生があるという感覚ですね。
ゲーム本編では繰り返す悲劇というモチーフがありました。
ラストでその終止符をイメージした感じです。
>>332 文章がこなれない上に鬱陶しかったですか。これは返す言葉もありません。
>感覚に流れすぎなのと同時にカメラを切り替えすぎなのかな。
ある程度意図してそうした部分が不快感につながってしまった気もします。
もともと情緒偏重型のネタでしたが、前半はそれさえ弱かった…かな。
読み手に違和感を与えてしまったことを受け止めるべきですね。
>>343 ゴテゴテした文体に加えて、当然あるべきものがない…。
ナニがしたいんだコイツは? という感じでしょうか。
このネタはお見せした分が全てですから、
空洞と言われてしまったらうぐぅの音も出ないのです。
至らなさを恥じるばかり。
>>379 意図したことをそのまま評価していただいたようで幸いです。
(目先を変えようとしたことも“込み”で…)
原作の心の動きを軸にテーマにつなげてみよう、と目論んだのですが、
中途半端な出来になってしまったようですね。
>何らかの工夫(例えば、「桜」の項にかかる暗喩)が必要なのではないでしょうか。
ラストを意識した(意識させる)方向付けのようなものでしょうか。
やはりこのままでは弱いということでしょうね。
>>399 表現上の細かな違和感の指摘というのも非常に参考になります。
自分では気が付かないところが多いですから。
しかし、読むのがしんどくて物足りないというのはドツボですね。
同様の感想を他にもいただいてるのを含めて…。
浮かれてタイトロープから落っこちたというところでしょうかw
>>410 こちらも文体への違和感ですね。
「――」の使い方は正直あまり意識しなかったので、
これから気を付けることにします。
自分では
>>414で言われているように現代文のつもりでした。
そういう視点で見た方がいる、というのは留意すべきことですが。
以上です。
運営人と感想人諸氏に深く感謝します。
議論をブツ切りにして申し訳ない。
483 :
472:03/05/07 02:26 ID:9TSNZhxk
>>478 >>自分も全レスしないといけないような雰囲気になるんじゃないかと何度か言われてる
>あった……っけ? これは具体的に何番のレスとか?
前スレ前々スレ辺りの素朴な感想云々とか。
0か1かなんて意味無いけど、あんまり相容れない性質のものではあるかも。
「投票」というのが難しいんだなあ、きっと。
>>482 >議論をブツ切りにして申し訳ない。
やっぱり、討論一辺倒でも他のレスがしにくくなるという事になるのかな。
484 :
471:03/05/07 22:16 ID:/WYdlLEd
投稿数を集めるためというなら、先延ばしには賛成。
どうせ自分は直前一気書きだろうけど(w。
ただ、テーマ「過去のお題」とすると、直前の回の投稿を減らしてしまいそうな予感……。
普段とは別物ということで、「テーマ制限なし」としたほうがいいかな。
「テーマ制限なし」をコンペスレでやる意義が感じられないのは私だけですかそうですか。
>投稿数を集めるためというなら、先延ばしには賛成。
締め切りに間に合わせるのも技術のうちだと思うので、安易な先延ばしには反対しる
別に、いままでのテーマに間に合わなくたって、
SSを投稿する場所は確かに他にもあるだろうから、やる意味が無いと思う。
というわけで
>>485氏に同意。
読むときに、テーマがあるってわかってるからこそ読みやすいわけだし、
書き手より読み手を気にするのが、こういった書き物の催しでは常じゃないの?
>>487 コンペスレは「読み手を楽しませる」ためではなく、「書き手が競う」ために存在していると思う。
故に、487的意見は本末転倒に過ぎる気がする。
読み手を意識しすぎた企画は、詠美シナリオの初期段階の詠美に近い展開になる可能性が高い。
それはそれとして
>>485には同意するけどさ。
こみぱしたことないんで知らないけれど、何かを書いて投稿するっていうのは
読んでもらうために在ると思うんだけれど…
>>488 >コンペスレは「読み手を楽しませる」ためではなく、「書き手が競う」ために存在していると思う。
他人と腕を競いあうもよし、ネタで盛り上げるのもよし、テーマに沿っていれば何でも(・∀・)イイ!!
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん参加してみましょう。
読み手や書き手のどちらかが優位か、などという話は
どうでもいいでしょ。大切なのは両者のバランスなので。
「過去のテーマ」で落穂拾いをするのも良いんじゃないかと。
意義なんて自分で見つけるもんだろ。
俺は他人が読むことを意識した上で、自分のために書いている。基本的には自己満足。
このスレの方向性がどんなもんであろうが気にしない。ルールは守るが。
で、テーマなしに反対する人は、ついでに次々回はどのテーマがいいか、述べてくれると嬉しい。
俺はもう投票済みなんで。
>>489 「読み手にウケる」ことを意識しすぎて、「読み手にウケる」ものを書こうとして、
「自分が書きたいもの」を見失う、って感じに思いねぇ。
「読んでもらうため」が暴走したらいかんだろ、って感じで。
>>490 確かにその通りだ。許せ。俺は書き手の意志を疑った。
>>491 優位を語ったつもりはないが、そう捉えられたことは謝罪しよう。許せ。
えぇと、かなりわがままな意見を書くことになると思うので「こう考えてるやつもいる」
くらいに思ってください。というわけで先に謝ります。ごめんなさい。
自分は書くほうの人間なんですが、最近ここで投稿しはじめたこともあり
過去のお題や、テーマ無しでやれっていうのは正直歓迎できない気がしてしまうんです。
それこそ「競う」ことを前提としたところで、条件を揃えているからこそのコンペだと思うので…。
主題選択もまた、センスのひとつと言われるかもしれませんが、
それなら別のところですれば言いだけの話であり、
「決まったテーマ」でやるというのがやっぱりコンペに参加するうえでの楽しみなんです。
だったら参加するなって言われそうですね…。
正直、ここで力試しってわけじゃないけれど、いろいろと学べる点があると思うので
できれば参加したいと思っています。だからこそ、テーマ無しにはちょっと…。
あぁ、別に煽りじゃないのです(T■T)
テーマ投票は、もうしちゃったので。
>>494 悪い、正直、いいわけうざい。
せっかく匿名なんだから、虚勢でもいいからしゃんとしろよ。
>テーマ無し・過去のお題
反対してる人たちの言う事もわからんでもないけど、
一回限りの祭りならそんなに気にすること無いんじゃないかな。
これからずっとテーマ無しになるなら、そりゃ嫌だけど。
>6SzoO4Jo
とりあえず、おちけつ
>これからずっとテーマ無しになるなら、そりゃ嫌だけど。
そりゃ嫌だな(w
反対の人もいるっていうのは前回以前から了解済みだし、
それもちゃんと個人の意見としてみんなちゃんと聞いてると思うよ。
でも、やりたがっている人間もけっこういるってほうの事実も、
どうか捨てちゃわないでホスィ。
とりあえず一回きりのイレギュラーだってことも、
推してる人間のほうはみな前提として踏まえてると思うし。
参加し始めたばかりの人の声も確かに大事だけど、おなじように
何度か参加してる人間にも希望の声があることも了解してくれるよね。
最初は、投票で最優秀を決めることもしない、で始まったスレだし、
でも、したい住人が多かったら、なんとなく、ノリ、でやってみようって感じになる
いい意味でのいい加減さもこのスレの美点だと思うから、
(その「最優秀“ぽい”」とかw 何事かを「する」「しない」や
スレに参加する意識も住人それぞれに任せるとか)
希望者が多ければやってみてもいいかなと思うんだけど。
全員一致、満票で決まったテーマも過去ないと思うしね。
賛成反対の両意見や、いくつかの意見の中から決まるのが通例なわけで。
まあイレギュラーではあるけど、
俺個人は「同じ期間、同じ条件でSS書きたちが並んでSSを創作、投下する」
っていうところは外してないと思うし。一回なら、どうだろ。
モチベーションが湧くかどうかは、人それぞれだろうが。
(湧いた人たちは確認済み。推している人たち)
これからコンペスレの性質を永遠に変えようとかいうわけじゃない、とりあえず
一回きりのつもりなんだけど…。それでもそんなに拒否反応感じるかなあ。
気に入らないテーマ、書けない、ネタ思い付かない、書く気が起こらないテーマの回は
スルーするってのは一般的だと思ってたんだけど、毎回必ず参加する人のほうが
多いんじゃろか……。
「フリーがいい! このスレの、テーマルールいや!」って
言ってるわけじゃないんだよな。何も考えずに。
「ここで、『コンペスレで』、『一回』、フリーをやってみたい」のが希望なわけで。
推してる人にも聞いたほうがいいだろうけど、
個人的には「なんでもあり(過去のテーマ含む)」を推すんだが、(投票済み)
「なんでもあり」「過去のテーマ」を推してる人の中でもどっちを押してるのか
はっきりさせといたほうがいいかな。
(「なんでもあり」は過去のテーマも自動的に含められるだろうけど)
「過去のテーマ」を推してて、あとから訂正のない人は
「過去のテーマ」だけに一票を入れてるって感じでいいかな。
開催時期。次々回じゃ早い、次々々回以降にしようって意見。
開催期間、「風」がたぶん五月頭〜六月頭ぐらい。
で、次々回のテーマの投稿締め切りは、六月二十○日、ぐらいになるかな。おそらく。
時間短い?
じゃあ俺は今頃議論で盛り上がってて嬉しいと思いつつも
どうやってまとめようかと頭を抱えているHMXタソに萌えておきますか。
漏れ的には、一年に一回くらい『過去のテーマ』をやってもいいかなと思う。
まあ、来年までスレが継続しているかどうか不明だが。
>>502 それだったらキリのいいとこでやりたいね。
次々回は15回だから微妙。
20回記念って事にしたらどうだろう?
>>504 このスレ立つ前からコンペは始まってるし。
15回って十分キリ良くないか?
20回記念だと下手すると半年後だぞ。
そのへんの話もしたいがこんなこと言われてますよ皆様!
>99 :名無しさんだよもん :03/05/08 21:48 ID:7/w5pawA
>
>>98 > コンペスレの作品は可もなく不可もない、印象に残らないものばかりというのが正直な感想。
> SS投稿スレが懐かしく思えなくもない。
>100 :名無しさんだよもん :03/05/08 21:54 ID:gxuKua3H
> 縛りがあるんで書きにくいし読んでいても面白くない。
> まあ題目がなかったらあそこまで続きはしないだろうが。
個人的には目茶苦茶悔しい。
これ読んで「うわくそ、やってやろうじゃねえか」と思った俺。
もう全開でいくしかねえ。
>>506 あれ?今すぐやった方がいいって意見だったっけ?
半年後だと歳末大売出し、大晦日(あるいはクリスマス)締め切りみたいな、
特別なテーマだからお祭りにしてみたいような気もする。
次々回のテーマは、「過去のお題」を推していたけれど、それは先送り、
改めて「結婚」に一票。
>508
半年も延ばすのはさすがに…。
7,8月ごろの夏祭りってことでいいんじゃない?
>507
印象に残らないって……まあ、否定できないか。
自分が書いたものも、「ありがち」とか「目新しくない」とか評価されることが多いな。
先発のSSに比べて自分の筆力が(・A・)ダメダメ-だから、そういう評価になるんだろうけどね・゚・(ノД`)・゚・。
◆HMX73059.I に質問します。
総括期間はいつまで続ける予定なのでしょうか?
結論が出ないのであれば、主催者権限で次々回のテーマを決定したほうが良いと思います。
あと、新スレには何時移行するのでしょうか?
HMX73059.I氏も忙しいんでしょうね。
どの程度が氏の負担になるかも分からないですし。
次々回のテーマはひとまず多い『結婚』にしてテーマ自由や過去のお題は、
やる方向で検討して、夏祭り企画とかにしたらいかがでしょう?
まあ、これもいち意見ですが。
>>507 きっとインパクトが足りない作品が多いせいだ。
最強祐一を登場させれば、食いつきが良いかもな。
次々回テーマに「U−1」?
ガクガクブルブル
今回奇抜なものが比較的好評だったのは、その辺に起因するのかなあ、なんてオモタ
次々回のテーマだけど、『結婚』にしていましたが撤回して『過去のお題』
にします。
業務連絡です。
>>468 2番と3番に関しては、あまりに寄せられる意見が少ないので
(決して意見を下さった方を軽視しているわけではありませんが)、
とりあえず現状維持とし、次回の総括期間にまた意見を求めたいと思います。
>>471 >それよか、保管所へのUpをはやめにして欲しいな〜、なんて。
努力しますです。
最初見たときは「保管所へのUpをやめにして欲しいな〜」に見えて「なんでやねん!?」と思ったのは、まあさておきまして(w
>>501 趣味悪いです。えぐえぐ。
>>510 総括期間は二週間を目安に、話し合いにある程度の区切りが見えるまで、と考えています。
特に今回は、テーマ決め以外の話題もありましたので。
新スレについては、450kbを超えたあたりで用意したいと思っています。
>「過去のお題」「なんでもあり(テーマ無し)」
これに関しましては、「せっかくなら祭りっぽく盛り上がった方がいい」との意見を採りまして、
恐らく休みを取れる人が多いであろう「8月期のお題」にしたいと思います。
「過去のお題」「なんでもあり(テーマ無し)」のいずれにするかは、次回の総括期間に持ち越します。
「8月期のお題を決める予定だった総括期間」が寂しいものになりそうではありますけれども(w
>次々回テーマ
ざっとカウントしたところ、「海」と「結婚」が有力のようです。
というわけで、あと数日ご意見を求めたいと思います。
もちろん「海」「結婚」以外の提案も歓迎しますが、ややスタートラインが下がるとお考え下さい。
期限は13日(火)の夜までとさせていただきます。
また、総括期間終了、並びに次回テーマ「風」の投稿期間開始は、
14日(水)の9:00とさせていただきます。
以上の件に関するご意見やご要望などもお待ちしております。
>「保管所へのUpをやめにして欲しいな〜」に見えて
なんか俺もそう見えたw
兄貴、総括期間二週間は長すぎませんか?
今まではだいたい約一週間、議題がずれ込んだときは延長、てな感じでしたが。
>>520 すみません。一週間の間違いでした。
「今回は少し長めに取ってみようか」と思ってたのが
>>517に出てしまったようです。
……なんでやねん。
そでしたか。今回長めだったんで、二週間主義に転向されたのかと思ったのでありました。
んでは。
「なんでもあり」とか「過去のテーマ」をやるとしたら、
締め切りを競うって発想はあんまり意味がない気がする。
一年間前からコツコツ温めてた作品が出てくるかも知れないわけだし。
個人的に、イレギュラーの落ち穂拾いなら、
むしろ思う存分クオリティを上げてきてほしいかな。
条件を揃えて競い合うという形式も上手くいってるし楽しいけど、
たまに違うスレの使い方をするのもいいでしょう。
「形式はあるけど目的は住人次第」ってのがこのスレだと思ってるから。
おっ、八月は夏祭りですか。ヒャッホウ!
かなり前から徹底的に温めてたネタを落とせるよう努力しますわ。
>>517>>519 俺も、今の今までそう見えてたw
どうHMXタン対応するんだろう、なんてムダな心配してたり。
>>523 なんちゅうか、
>>507のような反応が悔しすぎるのよ。
俺らの、作品を書く意識も甘かったということなのかもしれんが。
いつの間にか、参加者以外は誰も読まないスレになっていたんだろうか。
元々見に来てない人も507のコピペ元のカキコ読んで
「そういうレベルなんだ」と思っちゃうかもしれんし、
こんな評価や印象が定着してしまうのは残念。
もちろん参加する意識は参加者の自由だし全員に全力を強いたりは有り得ないけど、
(「人それぞれ自由」「楽しいコンペ」「参加しやすいコンペ」は大事にしたい)
しかしながら自分だけじゃなくて、他のやる気の書き手さんたちにも
力の入った快作を期待してる。
悔しい、というより悲しかったりする。
一周年ってことで気張った人が多かったのに、なんだかどうでもいい
みたいな言われかたされてるんだもんなあ。
>>526 >>527 とりあえず、もちつけ
/\⌒ヽペタン
/ /⌒)ノ ペタン
∧_∧ \ (( ∧_∧
(; ´Д`))' ))(・∀・ ;)
/ ⌒ノ ( ⌒ヽ⊂⌒ヽ
.(O ノ ) ̄ ̄ ̄()__ )
)_)_) (;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)(_(
このスレはあくまで、
『ここは、期限内に与えられたテーマに沿った SS を書くスレです』
であって、人が楽しむかどうかは二の次で良いのでは?
ここはSS初心者が集まって腕を磨くスレであり、下手で当たり前。
他人が何を言おうが、ここの住人が楽しめ技術が向上すればそれでいいじゃない。
少なくとも漏れはいろいろ書いてきたが、得るものはたくさんあったよ。
>>523 人間、時間がどれだけあろうが、締め切りが無いと書かないものなんです。
529 :
471:03/05/11 09:11 ID:1mYLfy5H
ドキッとするだろうなあ、と狙ってました( ̄ー ̄)ニヤリッ
……たいして意味ないけど。
>>528 >SS初心者
そうなのか…?
確かに切磋琢磨の場ではあるけど、みんな一緒くたで初心者扱いされるのは、
そういう所だと思われるのはやっぱり悔しい。
…俺の作品がどうとかじゃなくてさ。
いい作品もいっぱいあったと思うのよ…
同意かな。
> ここはSS初心者が集まって腕を磨くスレであり、下手で当たり前。
スレ「でも」あり、
なら全然その通りなんだけど。
あくまで428の見解だよね。
まえ、某ガテラー星人氏なんかも参加してたけど、彼は初心者じゃないし、
その参加がイレギュラーだってこともないし。
初心者が修行のために参加してもいいし、
ちょっと思い付いたネタを見せるために気軽に参加してもいいし、
上級者が名無しで腕試しのために参加してもいい、
参加する人次第のスレってことで。
>507さんの書き込みにも一理ありますが、スレの性質上、お題に合わせることを主眼としたSSが中心になるのは当たり前でしょう。
「お題を話の中で『消化』させる」のでは無く、
「お題を話の中で『昇華』させる」というのが名作と呼ばれる作品なのかな。
つか、このスレ自体、投稿スレに書き込むのが憚られることを自覚している方々が
立てたのでは?
スレ立ての準備の際、確かしたらばでそんなことを話し合った。
>>534 投稿スレで「企画」をするのを憚っただけ。
>>532 つまらない面白くないと言ってる人たちに「面白い」と言わせたい。
言わせるものを書きたい。個人的には。
そういうこと。
>>534 スレがたった経緯なんて些細なことだよ。
重要なのは今のここの住人の意思。
>>537 些細なこと……っつーか534みたいな経緯は辿ってないし。
まぁそれはそれ。
評価が悔しければ口で吼えるのではなく、SSで示せってことやろな。
逆に投稿スレでやっていたら追い出されたのになぁ。
遠からず投稿スレは自然消滅してしまったが。南無。
で、「海」と「結婚」と、今どっちが勝ってるんだ?
ありゃ。海負けたか。残念。
でもこれで心置きなくスルーできるw
【告知】
第十四回投稿テーマ:『風』
投稿期間: 5 月 14 日の午前 9:00 から 5 月 28 日の午前 9:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>2-4 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
# また、次回のテーマは『結婚』で、開催時期は 6 月になる予定です。
# 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を
# 注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
544 :
動画直リン:03/05/14 09:04 ID:075yIl0Z
545 :
「風」:03/05/14 20:45 ID:tBrZ91c9
「ハックション!」
完
「それは風邪だろ!」
完
「俺が考えていたネタ使うなよ!」
完
548 :
「嵐」:03/05/14 23:01 ID:xVnnL316
(^Д^)ギャハ
完
(・∀・)ハイーキョ
(・∀・)ハイーキョ
(・∀・)ハイーキョ
今から投稿します。
題「掌の世界」
ONE〜輝く季節へ〜より、折原浩平です。
どのシナリオとも限定しませんが、ネタばれ気味。
恐らく2レス分になると思います。
552 :
掌の世界:03/05/18 09:02 ID:bxOzNPKV
目を覚ます。
日は既に高い。
(長森、今日は起こしに来なかったんだな。)
そんなことを考えながら、窓を開ける。
部屋に風が吹き込む。
柔らかな、暖かい風。
(あぁ、今は春なんだな。)
そんなことにふと気がつく。
そして、そんなことに気がついた自分に、はたと気がついた。
どうして、今が春であること自体に気がついた、などと感じたんだろう。
(……そうか。)
昨日――昨日という言い方が正しいかどうかはわからないが――までは、春なんてものはなかった。
そこにあったのは、ただ、『永遠』という時間。
暑くもなく寒くもなく、何の変化もなく、ただ時が流れていくだけの世界。
全てが漠然としていて、世界が存在することを感じさせる、現実感のカケラさえも無かった。
(帰ってきたんだ。)
喜びや感動をかみしめながら、窓の外を眺める。
ふと、彼女が待ってくれているような気がした。
カレンダーなんて気が利いたものはないから、今日がいつなのかはわからない。
自分が『永遠』に旅立ってから、一体どれくらい経つのかも。
(でも、彼女は待ってくれているはずだ。)
確証は無い。
でも、確信はあった。
(行かなくちゃ。)
もう一度、外からの風を大きく吸い込む。
胸いっぱいに満たされる、春の空気。
現実感。
それを十分に感じると、部屋から駆け出した。
彼女のもとへ――。
553 :
551:03/05/18 09:06 ID:bxOzNPKV
ゴメンナサイ、試しに全文突っ込んでみたら、
1レスで入ってしまいました。
ということで、以上です。
失礼しました。
(・∀・)ハイーキョ(・∀・)ハイーキョ (・∀・)ハイーキョ(・∀・)ハイーキョ
めんて
ちょっと点呼してみる。
Routesやった人、増えたー?
【告知】
締め切りまで一週間を切りました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『風』で、締め切りは 5 月 28 日の午前 9:00 です。
また、次回のテーマは『結婚』で、開催時期は 6 月になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
559 :
あぼーん:03/05/21 10:05 ID:G34JO0UN
560 :
名無しさんだよもん:03/05/21 10:10 ID:YGz0iiLX
561 :
名無しさんだよもん:03/05/21 10:29 ID:L5X9EJcW
ひょっとして今回マジでやばい…?
今のところ、5作品のみ、か。
「作者は挨拶とか感想へのお礼を言え」という雰囲気がやなので
コンペスレで書くのあんまし気が進まんのだー。
まあ、あれが好きな人に文句言うつもりはまったくないが。
漏れは性に合わないだけで。
↑創作する気力がないスレからのコピペ。
毎回毎回やばいと言われつつ、なんとかなってるから今回もなんとかなるだろう。
(・∀・)ハイーキョ (・∀・)ハイーキョ
いちおう作品書いているのですが、うまくまとまらなくて投稿できません。
締め切りまでには出したいです。
(・∀・)ハイーキョ
っていうか、いまさらながら風は難しいよな、うん。
>>571 そう、それよ(笑) 半分ぐらい書いたけど……漏れはダメかもしれん。
(・∀・)ハイーキョ (・∀・)ハイーキョ
ヒューーーッ
ピラッ
美汐「キャッ」
祐一「おおっ」
美汐「・・・み、見えましたか?」
祐一「いや、全く何のことやらさっぱり」
美汐「・・・本当ですか?」
祐一「もちろんだ」
美汐「おかしいですね・・・」
祐一「えっ?」
ヒューーーッ
ピラッ
栞「きゃっ」
祐一「……?」
栞「……み、見えましたか?」
祐一「……おかしいな」
栞「はい?」
祐一「いや、見えるはずの物が見えなかったんだが……」
【告知】
締め切りまで 32 時間を切りました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『風』で、締め切りは 5 月 28 日の午前 9:00 です。
また、次回のテーマは『結婚』で、開催時期は 6 月になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
むがっ。上げ忘れ。
今から投稿します。全10レスです。
『ToHeart』松原葵。一応、シリアスっぽいのです。
「――は!」
気合の一声とともにグローブに包んだ拳が伸びるが、綾香さんはくすっと笑ってそれをいとも容易くかわす。別の角度から強引にハイキックを放っていたが、それも見切っていたのか綾香さんは軽く体を前後して、一気に私との間合いを詰めた。
「まあまあ、ね。でも隙が大きいわ」
次の瞬間、私は御腹を掌で打たれていた。
全身を揺れるような衝撃に襲われる。私はその場に崩れ落ちていた。
「大丈夫か葵ちゃん?」
藤田先輩の声に辛うじて頷く私では綾香さんの顔を見ることまでは出来なかった。
打撃系の衝撃とは異なり一部分が痛いという訳ではない。体全身を襲った揺れは長時間乗り物になったような気だるさと吐き気を私にプレゼントしてくれたのだ。
しかも、これは――
「あれ……崩拳か?」
「ええ、そうよ」
藤田先輩の言葉に、綾香さんは相槌を打った。
「葵と敏恵との勝負を見た時、なかなか使えると思っったのよね」
少しショックだった。
同じ技を使われたこともだけど、それよりも容易く同じ技を使いこなすことができる綾香さんを見ていると、私の道場に通っていた時間は何だったのかと思えるから。そして、自分が練習台になったことも含めて。
それに付いては練習を見てほしいと言った私が言える科白ではなかったけど。
体を襲っていた気だるさも無くなったところで、
「綾香さん凄いです!」
私は綾香さんに向かって笑顔を向けていた。
「あのね、葵」
困った表情で綾香さんは私の目を見て言った。
「負かされた相手を褒めてもどうするのよ?」
「……はい?」
「もっと悔しがらないと駄目じゃない」
私は目をぱちくりと瞬いて、
「でも、相手は綾香さんです。私では負けても仕方ないと思います」
「うーん、浩之、あんた葵の彼氏でしょう? 何とか言ってやってくれない?」
「あ、綾香さん」
「うん? 何なに? 今更照れる仲でもないでしょう?」
と、言われても顔が火照ってしまう。
それに藤田先輩自身は、苦笑のみでその言葉を交わしていたので、
(あう、私は修行不足なのでしょうか?)
武道家たるもの精神の鍛練が疎かなんて格好つかないと思った。
藤田先輩は、難しそうに眉根を寄せて、
「憧れもほどほどにってことか……」
「……え?」
と言うので、何のことやら分からない。
「葵ちゃん」
「は、はい!」
思わず背筋を伸ばして起立した。
真面目な時の先輩の言葉はそうするにたるものがあった。
「葵ちゃんは、いつか綾香に勝ちたいって思ってるんだろう?」
「もちろんです」
綾香さんに勝つ。
物凄くそれは甘い響きを持って私の耳に響いた。
「でも、葵ちゃんはいつまで思ってるままなの?」
「……え?」
いつまで? どういう意味だろう。
努力は続けている。一日だって練習は休んだことはない。他の道場にも通ってエクストリームのための技の研究も怠っていない。
「葵、よく聞きなさい。あなたは、私に負けても良いと思ってるのよ。どこか心の奥底で私相手だったら負けても構わない仕方ないってね」
「そ、そんな……」
綾香さんは憧れの存在で、強くて綺麗で優しくて、非の打ち所のないお嬢様で、私なんかじゃ叶うわけないってやっぱり思うけど、負けてもいいなんて一度たりともも思ったことはない。
私は格闘技が好きだし、その目標は綾香さんに他ならないから。
「それは、誤解です」
胸を張ってそれだけは言えた。
「違わないわね」
でも、それはすぐさま否定される。
「……そんなこと」
「葵は力を付けて来てるわ。私でも本当は気を抜けないくらいにね」
嬉しい言葉だけど、過大評価だった。
現にさきほどの立ち合いはものの数瞬で綾香さんにKOされた。
「公式試合だと葵も少しは気を張って戦えるんでしょうけど……それ以外だと、てんで駄目ね。
私はね、葵、あなたならライバルになってくれると期待してるのよ? エクストリームを私が始めたのは、より実践向きでより強くなれると思ったから。そして、あなたと敏恵の決闘を見て確信したわ。怖いのは、あなただったてね」
「…………?」
綾香さんが私を怖い? 私はまさかと頭を振った。
あれは本来、私が負けていても可笑しくなかった。それを坂下先輩を差し置いて、私のことをライバルとか怖いとかなんて、冗談としては出来すぎて笑えない。
「分からない? 私はあなたの技を真似ることが出来た。いえ、これは技と言う形態がある以上、誰にでも扱える技術に過ぎないわ。あなたを怖いと思ったのは、こんな小手先の技じゃないのよ」
「……小手先の技」
容易に私の学んでいた技を会得した綾香さん。
確かに小手先の技なのかもしれない。
「でも、だからこそ余計に力の差を感じるんです……!」
一瞬、はっとした。何を言ってるんだかと思った。
それなのに、言葉は止まらなかった。
「綾香さんは凄いです。凄いんです。私が一生懸命練習して来た技をすぐに出来て。ずるいくらい何でも出来て。だから、勝てなくて……それを、仕方ないと思うくらい許してくれていいじゃないですか!」
綾香さんは憧れの人。
手の届かない存在。
遠くから眺めているだけで満足だと思ってた。
(でも……)
ああ、何だ。綾香さんの言った通りだ。
(綾香さんになら負けても良いって思ってた)
それは、仕方のないことだから。
勝てなくて当たり前だから。
「葵……」
綾香さんの哀れみを含んだ目。
当然だろう。
――私は、綾香さんに嫉妬していた。
自分でも気づかないくらいに。
日々、その気持ちが膨れていたなんて。
「……荒療治が必要かしら」
溜息を吐き出して綾香さんは藤田先輩を見つめる。
うーん、と頭を掻いて、
「葵、弱くなったわね」
「…………」
弱くなった。そうかもしれない。
泣き言を吐くなんて自分でも信じられなかった。
綾香さんのこと盲信していたら良かったのに。
そうしていれば、今も前向きに頑張っていられたと言うのに。
どうして、それが出来なくなったんだろう?
「浩之を懸けて私と勝負しない?」
私は、呆然とした。
「そうね、場所はここ。日時は、一週間後。審判は敏恵にしてもらおうか」
「……おい、綾香。聞いてた話と違うぞ」
「浩之は黙ってて。いいわね、葵?」
良い訳がなかった。
私は無理だと首をぶんぶんと横に振った。
「じゃあ、不戦勝ってことでいい? 浩之と別れてもらうわよ?」
「そ、そんなっ!」
「だって、葵が弱くなったのは浩之がいるせいだもの」
「……え?」
それは、違うと思う。
藤田先輩が居なくて寂しいと思ったことはあるけど、
居てくれたのは嬉しいことだし、弱くなったなんて理屈はなんにしても強引過ぎる。
(でも、先輩が居ることで安心もしてしまってる……)
それに、頼ってしまう。
綾香さんの言葉を、私は否定できなかった。
「俺は、物じゃねーぞ」
「まあまあ、商品は黙ってなさい」
どうする? と綾香さんは目で合図を送ってくる。
私は、綾香さんに勝てるのだろうか?
答えは、決まっていた。
――勝てるわけがない。
でも女には多分、男の人とは少し違うけど、退けない時もあるのだと思う。
「……分かりました」
気が付いた時には、私は頷いていた。
夕暮れの帰り道、カラスの鳴き声が遠くで聞こえた。
途中まで藤田先輩と歩く過程は同じだったけど、今日はその泣き声が否応にも耳に残った。
「気にしなくていいぜ、葵ちゃん」
「……」
「綾香はあんなこと言ってたけど、別れるつもりねーからさ」
「……先輩」
藤田先輩の言葉は嬉しいけど、
「綾香さん強いです」
「まあ、そりゃそうだと思うけど……」
「それに、綺麗ですよね」
「まあ、それもそうだと思うけど……」
「その上、優しいです……」
「……ん? どうしたんだ、葵ちゃん」
「私は、綾香さんに勝てません」
どれを取っても。何をしても。もしかしたら、藤田先輩のことさえも。
「大丈夫だ。また、練習すればいい」
「……ごめんなさい、先輩。試合までは、ひとりで特訓したいんです」
空手に戻れ、と坂下先輩に言われた時は、どうにかなるかもしれないと漠然に思った。
でも今度の相手は、綾香さんだ。
普通に、稽古しても勝てるとは思わない。
藤田先輩が助けてくれるのならそれ以上心強いことはない。
――浩之のせいで葵は弱くなったのよ。
だけど、その言葉が胸を締め付ける。
藤田先輩の助けなく訓練して綾香さんに勝たなくてはいけない。
そうしないと駄目だと思う。
「さようなら、先輩」
私は、気遣ってくれる人に背を向けて駆け出した。
だって、綾香さんは多分……。
藤田先輩のことが好きだから。
稽古に身の入らない日々が続いた。
藤田先輩は駄目だと言ったのに神社の方まで来るので通っていた町道場で私は練習させてもらっていたが、どうにも落ち着かない。
新しい技を会得しようとも思ったけど、一週間で身につけた技がどれほどのものかと先生に叱られた。
かじった程度の技で私も綾香さんに勝てるわけがない。
その時の私は、それすら気付かなかったらしい。
(でも、何か決定打がほしいな……)
綾香さんが崩拳を身に付けたのは、その方が封じ手を見つけ易いからだろう。
知らない技こそ対戦者にとっての脅威はない。
「綾香さんは……」
きっといくつも技を持っているに違いない。
私にとって未知なものもそこに含まれていることは想像に難くなかった。
どう想像を巡らせても勝てる要素が見出せない。
時間だけが過ぎていく。
「松原さん」
道場に通っている同門の人が私を呼んだ。
何だろうと思っていると、
「お客さん来てるよ」
「……あ、はい。分かりました」
まさか、藤田先輩だろうか。
私は、なんだか複雑な思いで玄関の方まで赴いた。
「よう。葵、元気?」
そこにいたのは、制服姿の坂下先輩だった。
「とうとう綾香と試合するんだってね」
「はい……」
居間よりも中庭でとの坂下先輩の希望で私たちはそこにいた。
木々が青々しく茂って、ししおどしの音も雅を感じさせる庭は、確かに居間よりもいいかもしれない。
それに気を使ってくれたのか、ここには誰の姿もなかった。
「元気ないね。大丈夫か、それで?」
「……勝てないですよ、綾香さんには……」
「勝てないか……」
坂下先輩は、微妙に口元をへの字に曲げた。
「葵……少なくても、わたしは綾香に勝てないなんて思わない。その自信もある」
「…………」
「そのわたしにあなたは勝ったのよ? どうして、信じないの自分の力を」
「坂下先輩に勝てたのは、ほとんど偶然です」
「偶然?」
「そうですよ。崩拳が当たらなかったら負けてました」
「……形意拳の基本にして最強の技。『五行拳』のうちの『劈拳・鑽拳・崩拳・砲拳・横拳』という5つの技のうちのひとつ。崩拳(ほうけん)。まあ、正しくは『ぽんちぇん』というらしいけど……」
「坂下先輩……?」
すらすらと暗証ごとのように言葉が滑り出してくるのを聞いて、私は驚いた。
「あのね、葵。自分が遅れをとった技よ。調べるのは当然でしょう? わたしは空手を最強だと思ってる。でもね、勘違いしないで。中国拳法を知ろうとする行為自体に、こだわりは無いわ」
「…………」
「偶然わたしに勝ったと言ったわね、葵。
確かに、試合において運の要素を無視するわけにはいかないわ。でも技とは、技術に過ぎない。使い手次第で、技もまた小手先のものになる。わたしが葵に負けたのは、偶然でも崩拳のせいでもない。あなたが、松原葵という格闘家だったからよ」
ししおどしの音がかこーんと中庭に響いた。
木の葉が風に踊っていた。
「綾香さんにも似たようなこと言われました」
「……そう。本当は黙っていようと思ったけど、ここに来るまでに二人の人間に出会ったわ。そして、申し合わせたようにこう言うの。葵を頼むってね。でも、やになるわよね。そんなこと言われなくても、わたしはここに来たもの」
誰のことか分かる。
それに、坂下先輩のことも。
「ありがとうございます」
「いいわよ。でも、腑抜けた試合したら許さないからね」
「はい!」
憑き物が落ちたように、私は爽やかに笑うことが出来た。
今、ようやく分かった。
私が格闘技を始めた時、体重を増やそうとして食べすぎで御腹を壊したこと。
格闘技においてウェイトは多いほうが有利。
小柄な私ではそれだけで不利だった。
でも、私は思った。
まず自分の武器は力があるとか技があるだとかそういうことじゃない。
私の小さな体。これこそが私の武器なのだ。
それは、スピード。
何よりそれを身につけたくて訓練していたあの日々。
技に頼るようになったのは、良くも悪くも空手を止めてから。
寝技も入ったエクストリームでは、まず技を知らないと始まらないから。
坂下さんは言った。
――知ろうとする行為自体に、こだわりは無い、と。
本当にそうだ。
技は頼るものじゃない。技は体にあるもの。それを忘れては小手先のものに変わる。
「坂下先輩、私、用事ができました」
「ああ、行っといで」
そうだ。行かないといけない。藤田先輩に会いに。
これも、忘れていたから。
藤田先輩なくして、今の――ううん、これからの私はないんだって。
時は過ぎて、試合当日。
ユニフォームに着替えた綾香さんと私は向き合う。
「いい顔になったわね、葵」
「はい!」
試してみたい。
私という存在がどこまで大きくなれたのか。
どこまで通用するのか。
胸がどきどきするほどの高揚感に包まれる。
「頑張れよ葵ちゃん!」
大切な人の声援に応えるかのように、体は羽のように軽くなる。
坂下先輩が手を上げる。
緊張の一瞬。私は大きく息を吸い込んだ。
「――はじめ!」
手が振り下ろされる。
開始の合図とともに綾香さんは華麗なフットワークで間合いを詰め出した。
でも、私も負けていられない。
今日はもちろん。これからも。ずっとこの先も。
綾香さんは生涯の好敵手だったから。
(先輩、見ていてください)
綾香さんに負けじと私も軽やかにステップを踏んだ。
「松原葵、行きます!」
――そして、今、私は風になる。
以上です。お粗末さまでした。
長文ウザイ。
>>590 冗談にしても、書き手の気が削ぐようなことをいうのはやめれ。
廃墟って書き込んでこのスレ定期保守していたやつだろ。
阿呆はほっとけって。
【告知】
締め切りまで残り 12 時間を切りました。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『風』で、締め切りは 5 月 27 日の午前 9:00 です。
締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、
前もってお伝えください。それについて考慮いたします。
また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。
締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、最悪の場合、アクセス禁止が
かかる可能性があります。焦らず、落ち着いて投稿してください。
>>576 代理ありがとうございました。
594 :
動画直リン:03/05/27 21:04 ID:klcbUE3R
『軍人は有能か無能か、そして働き者か怠け者か、これらによって4種に分類できる。
有能な怠け者は司令官に、有能な働き者は参謀にせよ。
無能な怠け者は…そうだな、連絡将校ぐらいならできるだろう。
無能な働き者? それは処刑するしかあるまい。』
ハンス・フリードリヒ・レオポルド・フォン・ゼークト(1866−1936)
フォン・ゼークトについては、彼が軍事的には有能な働き者であったものの、
政治的には無能な働き者であったことを知ってないとクスリと出来ないでやんす。
投稿します。
タイトルは『屋上には紅い風が吹く』
6レス予定。
鉄製の重い扉を開いて屋上に出たとき、そこは紅であふれていた。
没しかけの陽光に瞳を細めると、そこにひとつのシルエット。
朱色の逆光の中、来客に注がれる優しげで焦点の合わない瞳。
夕暮れの時を送る屋上に、二つの影が佇んでいる。
ぱち、ぱち……。
空気中に漂う電子の粒が、統一された意識に沿って運動を始める。
円を描き、渦を巻き、指向性を持って、遠く離れた場所へと。
その中心には一人の少女。両手を広げ瞼を下ろし、ゆらゆらと揺れて。
「……いくよ」
閉じられていた瞳が、ぱちりと開く。
意識が、飛ぶように疾る。
「……来たね」
脳裏に現れる明確な気配。長い黒髪を風に遊ばせて、くるりと振り返った。
開かれた瞳には何も見えない。それでも彼女には視えている。
耳、鼻、肌、そしてそれを越えた第六感とも呼べるものが、彼女の世界を広くする。
構えはない。ただ微笑みを浮かべ、待ち受ける。
風が、真正面から吹き付けてきた。
それを不動のままに、迎え撃つ。
腕を振るう。その何の変哲もない動きが、風を裂いて、雷を纏う。
いち、に、さん。
立て続けに三振り。全て空を切る。
自らの脊椎を軸にして左右左と捻られた胴体が、きり、と少しだけ悲鳴をあげる。
それでも、止まらない。
頬を掠め撫でていく風を感じながら、背に真紅の陽光を浴びて。
加速する。加速する。
ゆらり、とまるで蜃気楼のように身体を揺らす。
びゅうびゅうと彼女の周囲を、静電気を纏った風が吹き抜けてゆく。
そのお返しに一度だけ、広げた手を繰り出した。
手応えはない。細くたおやかな指先は、ただ大気を裂くのみ。
顔に胸に、そして瞳に、ただ暖かな光を感じながら。
びゅう、と一際強烈な風が、彼女の豊かな髪に覆われた背を襲う。
一撃。
両手を揃えて突き出した。
手応えがあった。ゆらめく。広がる。弾ける。
瞬間、再びその手に衝撃。突風。バランスを崩して、慌てて体勢を整える。
わずかな減速。靴底がしっかりと体重を支え、屋上の床にゴムが擦れて。
そのまま上体を反らす。風が首筋を撫でていく。
背後に向けて跳ぶ。そしてまた、加速する。
前に一、二歩たたらを踏む。ずしん、と胴体に響く衝撃。
人並みはずれて頑強な内臓が、ぎゅうと声を上げた。意識を集中させ、押さえ込む。
そのまま姿勢を沈めて身体をひねる。前によろけた分の間合いを、一歩で縮める。
自らを徹したものに、全身を肩からぶつけ、捻る。衝撃が散る。
音。靴底が擦れる音。匂い。ゴムが擦れ、摩擦で焼ける匂い。
その方向に目掛け、貫手を振るう。動きが鈍る。肌を掠めた。
滑るような足捌きで追いかける。
ぱりっ。
全身が静電気を纏う。空中で姿勢を前傾に修正する。
ぶわっ、と全身を突風と、悪寒が襲う。
真正面、先程背にしていた夕陽が、瞳を灼いた。
胸の前で両腕を十字に交差させる。思っていた衝撃はない。
代わりにゆっくりと、おだやかに、風が近づいて。
「あ……」
しまった、と思う間もなく、腕をつかまれた。そのまま引き寄せられ――。
どんどんと間合いを詰める。
手が届くギリギリの射程から、更に半歩踏み込んで手を伸ばした。
目と鼻の先で気配が固まる。そこに向けて指を突き立て……ようとして、思い直す。
ぱちっ。
「……っ」
静電気。反射的に腕を引っ込めようとして留まった。ゆっくりと腕を掴む。
ぎゅー、と逃さないように握り締める。そのまま腕を畳み、引き寄せ――。
ぱちき一閃。
額と額が、激突した。
「瑠璃子さん!」
祐介は、目の前で糸が切れたように倒れそうになった瑠璃子を、慌てて抱きとめた。
そこは、いつもの学校の屋上。
くるくると、おどけたように踊る瑠璃子に、祐介は見とれていた。
電波のリズムに乗って舞う彼女を眺めていたら、不意に瑠璃子が力を失ったのだ。
「……長瀬ちゃん?」
「瑠璃子さん、大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込む祐介に、微笑んで応える瑠璃子。
目尻には涙。ちなみに彼女の頭の中は、いまだくわんくわんと回っている。
「瑠璃子さん、何をしてたの?」
「イメージトレーニング」
「い、いめ?」
「これができると、遠くにいる人と、自由に組手ができるんだよ」
「……何を言ってるのかよくわからないよ瑠璃子さん」
狼狽する祐介に構わず、言葉を続ける瑠璃子。
「そのうち、長瀬ちゃんにもわかるよ。……アストラルバスターズ、万歳」
そこまで言って、かくん、と首の力を失い瞳を閉じる瑠璃子。
「瑠璃子さん!?」
すー、すー、と寝息。ホッとする祐介。
彼女の言動はいつも唐突だ。そんなことを考えながら、寝顔を見て和む。
さわやかな風を感じながら祐介は、彼女が起きるまで一緒にいてあげようと思った。
「……浩平君?」
「あ、ああ、うん。俺だよ。折原浩平」
そこは、いつもの学校の屋上。
浩平は、何か見えないものを見ているようなみさきを、呆然として見ていた。
何かを掴むように手を伸ばし、何かに押されたように前によろけて。
そして何かを追いかけるように走り、何かを捕まえて、引き寄せて……動きを止めた。
――びしぃっ! と、空気が震えた気がした。そして、冒頭の会話に続く。
「みさき先輩、何やってたんだ?」
「ん、よく判らないけど、誰かが風に乗ってやってきたように感じたんだよ」
そう言いながら、少しだけくらり、とよろけるみさき。
が、すぐに体勢を立て直して、いつかのように両手で額を抑えた。
「うー、まだちょっとくらくらするよ〜」
「うん? どこかぶつけたのか?」
「大丈夫だよ。キメた瞬間に接続が切れたみたいだから、一撃でKOだよ」
「……これはかなりの重症だ。深山さんはどこだ!? みさき先輩の頭が重症だっ!」
「ひ、酷いよー、浩平君!」
そこで、きゅう、と可愛らしい音が響く。浩平は思わず音の主を見つめてしまった。
視線が合う。いや、本来は合うはずがないのだが、浩平はロックオンされたように思った。
「浩平君、運動したらお腹すいちゃったよ。食堂で何か食べたいなあ」
「……深山さんはどこだ!? 俺の財布が危篤寸前だっ!」
慌てて校内に飛び込もうとする浩平と、それを笑いながら追いかけるみさき。
そんな二人に吹く風は、暖かな幸せに彩られているかのように優しげだった。
今から投下します。6レス予定。
タイトルは「思い出は風と共に」
基本的にはKanonですが、Kanonと言えるかどうか……。
606 :
名無しさんだよもん:03/05/27 23:37 ID:7S9zS3Sk
長文うざい
私は風に憧れる。
自由な風に憧れる。
私はここから動けない。
大地に一人、根を下ろす。
だから私は憧れる。
自由な旅人に憧れる。
そう、私は木であった。
かってはこの街を見守る、大きな大きな木であった―――。
しかし今となっては、私の頭上にはただ空が四角く広がっているに過ぎない。
地上に広々と影を落とした幾千もの葉も枝も今は失われ、もう風に揺られながらざわめきを奏でることもない。
かっては私より背の低かった木々が、いまや私よりはるかに高くなって視界を塞いでしまったため、
ここからでは街など見ることも、もはや到底かなわない。
……すなわち、私は退屈だった。
だから私は待っている。
あの旅人を、待っている。
また話を聞かせてほしい。
また世界のことを教えて欲しい。
ここを動けない私を、遥か遠い場所へ連れていって欲しい。
こうしてここでじっとしているだけで、彼のことをつい考えてしまう。
人間は、風などすべて同じものだと思っているかもしれない。
しかし、違うのだ。
毎日世界中に風が吹いていることから予想できるように、風は一つではないのだ。
ここにだって毎日風は吹くが、その風は毎日違う。
しかし、彼は特別なのだ。
私と同じように、この地で生まれた風なのだから。
この地で生まれた風もまた、世界を巡ってここに戻ってくる。
私よりずっとずっと昔に生まれたあの風は、気まぐれにここに立ち寄る。
そして、私のような退屈している者とおしゃべりをして時間を潰し、一休みしてまた去っていく。
まったくせわしがない。
生まれ故郷でくらい、ゆっくりしていけばよかろうに。
だから人間は旅人のことを風来坊などと呼ぶのだよ。
……おや、大気が揺らぎ始めた。
混沌とした水の底をかき混ぜたかのように、
下から上へ、上から下へと大気が流れていく。
来る。
旅人が。
私の旧友が。
このぽっかりと空いた空間を駆け回り、
ざわざわと周囲の木々すらも揺らして、
うっすらと降り積もった粉雪をも舞い上げ、
そして、
風が―――――来た。
ああ、久しぶりだな。
元気か? いや、私は元気だよ。
こんな姿になっても、死んだわけではないからな。
相変わらず、本当に楽しそうに世界を駆け回っているな。
いやいや、私も君が来てくれて嬉しいよ。
そうだな、久しぶりだな。
また一緒に、積もり積もった話をしようか。
なぜか今日の私はちょっとセンチメンタルな気分でな。
ちょっとしゃべりすぎてしまうかもしれん。
君に落ち着いてというのは無理な注文かもしれないが、ふふふ、
まあゆっくり聞いてくれたまえ。
たまにはいいものだぞ、他人の思い出話を聞くというのも。
私がこの地に芽吹いたとき、私はまだ何も知らない赤ん坊だった。
そんな私に最初に話し掛けてきてくれたのは、その全身を雄大に構えながら私を支えてくれていた大地だったが、
本当に私に色々なことを教えてくれたのは旅人である君だったな。
君と話をするようになって、もうどれほどの月日が流れたのだろうか。
ここを動けない私のために、君は私の知らないいろいろなことを話してくれた。
はるか昔、君が話してくれた翼を持つ者たちは、今どうしているのだろう?
今も遥か青空の彼方にて、風をその身に受けながら気持ちよさそうに飛んでいるのだろうか?
それとも、今は地上に降りて、空を見上げながらその足で地上を歩いているのだろうか?
君も1000年前からずっと彼女たちに会っていないそうだが、どうしたのだろうな?
彼女たちにとって、君はなくてはならない存在だ。
翼だけでは空は飛べない。
翼で風を掴むから飛べるのだ。
君の手で、彼女たちをまた空に飛ばせる日が来るといいものだな。
そういえば、あの少女は元気だろうか?
ほら、屋上でいつも君を待っていた少女のことだよ。
君は人間の目には見えないが、人間は誰しもその身で風を感じることが出来る。
そして彼女は目が見えないからこそ、彼女は全身で君の全てを感じようとすることが出来たのだろう。
出来ることなら君が、たまにでいいから、彼女の側にいてやって欲しいものだ。
彼女に世界を見せる……いや、感じさせるために。
彼女に一欠片の勇気を、届けるために。
しっかりやれよ、君。
まあ、そういった、この街を遠く離れた地の出来事を私が知れたのも、ひとえに君のおかげに他ならない。
まるで子供に絵本を読んであげる母親のように、時には優しそうに、時には楽しそうに、
尽きることのない物語の数々を語ってくれたものだったな。
本当に感謝しているよ。
君がいなければ、私の人生はひどく退屈なものになっていたかもしれないのだから。
君は風だ。
どこにでも行ける。
どんな人にも会える。
もしかしたら君は私のことも、異国の誰かに話しているのかもしれないな。
しかし、やはり私はこの街が好きだ。
この街を離れたいなどと考えたこともないよ。
私が生まれて幾年月。
いつからだろう、私がこの街を見下ろせるほど大きな存在になれたのは。
そのころにはこの地にも人が集まり、やがて大きな街へと発展していった。
その街と、人々が成長する様を見るのは本当に楽しかった。
私は常にこの街を見守ってきた。
そんな街の出来事が、やはり私にとっては何より印象深い。
そう、例えば……。
そうそう、君の記憶が見せてくれたあの麦畑は、本当に奇麗だった。
ここからでは、遠すぎてただ金色の絨毯が敷かれているようにしか見えないからな。
君があそこを通り過ぎるたび、黄金色に輝く幾千もの麦穂が揺れる様は、春の華やかな桜吹雪に勝るとも劣らない。
そんな麦畑を無邪気に駆け回っていたあの少女も、今は麦畑が無くなって少し寂しい思いをしていないだろうかね?
うんそうだ、君はこの街に立ち寄るとかならずあの丘に行っていたな。
あそこはこの街には数少ない、今でも君が自由に駆け回ることの出来る場所だからな。
……ほう、あの丘でずっと待っていたあの子に、あの人間の匂いを届けたというのか。
それはそれは、さぞかしあの子も待ちくたびれていただろう。
あの子のことだ。匂いが届いたやいなや、すぐにでもあの人間に会いに行ったのではないのかね?
ふふ、君も意外とおせっかいなことをするじゃないか。
いやしかし、やはり君と私の思い出は、あの少女を抜きにしては語れまい。
彼女のことは―――君も私も、おそらく一生忘れられまい。
彼女との付き合いは、私にとってもほんのわずかな時間でしかなかった。
だが、その短期間で彼女の存在は私の中に永遠に刻み込まれることとなった。
あの人間に連れられ、私の元へきたあの少女。
私の上に登り、私が見ている景色を共に眺めるのが好きだったあの少女。
私が普段何気なく眺めていた街の全景も、彼女にとってはこの上ない絶景だったようだ。
彼女の抱いた新鮮な感動が、私にまで伝わってきていたよ。
…もう、彼女がその景色を眺めることはできないのだがな。
ああ、君が謝る必要はない。
君がわざと彼女を突き落としたわけではないことぐらい、十分承知している。
彼女をしっかりと支えられなかった私も悪かったのだ。
誰が一番悪いというわけではない。
結局、みんながみんな、どこかで悪かったのだろう。
もちろん、それで彼女に対する責任を逃れるつもりはないさ。
この身が切り倒されようと、それでもまだ彼女に償いきれない気持ちでいっぱいなんだ。
私達は……どうすればよいのだろうな?
そして、ついさっき―――
彼女は、空に帰っていったのだよ。
私の目の前で、君とは違う風に乗って、遥かな高みへ。
誰も届かない、遠い遠い雲の上まで……。
よほど私は、彼女と縁があるらしい。
目の前で二度も、彼女との別れを経験するとは。
彼女はちゃんと帰れたのだろうか?
帰れたのならいいのだが。
願わくば、今度こそ……今度こそ彼女には幸せが訪れて欲しいものだ。
……
…………
………………
だいぶ長話になってしまったな、申し訳ない。
年を取るとどうもいかんなぁ。退屈ではなかったかね? ああ、それならいいのだが。
おやおや、もう行ってしまうのか。
ふふ、やはり君は旅人だよ。
誰も君を縛ることは出来ない。
誰も君を止めることは出来ない。
風来坊の名は、君にこそふさわしい。
私はおそらく、君の旅の終着点をいっしょに見ることは出来まい。
命あるモノ、全てに終わりはやってくる。
君は大気が……いや、この星がある限り生き続けることが出来るからな。
いや、それとも君の旅に終着点などないのかな?
この世界は諸行無常。
人も、街も、景色も、すべてが変わって行く。
そのたびに君の旅は、また新しい旅へと変わることができるのだから。
まあ、私は今や切り株だけの存在となってしまったが、なぁに、私とてまだまだ生きているよ。
もうしばらくは、君の旅に付き合わせてもらうとしようか。
もしも私が死のうとも、いつの日か、私にもまた新しい生命が宿る日が来るだろう。
その時は、君の旅に付き合う役目も、この命と共に受け継がせればよいのだ。
命は続く。
どこまでも続く。
出会いと別れを繰り返しながら。
そして全ての命が、その長い長い旅路の中を、風と共に、この星と共に歩んで行く。
ここは、風の辿り着く場所。
そして、君の帰るべき場所。
長い長い旅に疲れたら、いつでもここに来るがよい。
さあ、しばしのお別れだ。
行け、風よ。
悠久の旅人よ。
また出会えるその日まで、私はここで待っている――――。
完
>>607−613
以上です。
そしてやってしまいました、「改行が多すぎます」のためにレスが予定よりオーバー……。
気をつけなくては。
今から投稿します。
KANONの美汐で、11レス予定。
風が吹くと思い出す。
『いつか見た夢』
ブラウン管の向こう側では、極めて無表情な顔をしたアナウンサーが、至極ありふれた
六時のニュースを伝えていた。曰く、どこどこで傷害事件が起きた。曰く、誰かが誰かを訴えた。
今日も日本は全国的に平和日和だ。
「『もし右のカードを取るならば、左のカードはジョーカーである』が真実だとすれば」
重大な秘密を告げるような押し殺した声で、祐一が真琴に囁いているのが見える。真琴は
円い瞳を一層大きくして、身じろぎ一つしない。
「左のカードはお前がこれを取らない限り、ジョーカーではない。よってお前は左のカードを
取らない。ゆえに、ジョーカーを引く。これは理論的に同値であり、トートロジーだ」
真琴が小さく喉を鳴らして唾を飲み込んだ。祐一は両手に一枚ずつカードを持ったまま、
クッションに坐り直している。
「だから、真琴。右のカードを引け。いいな」
ずい、と差し出された二枚のカード、日本全国厳選狐表情パターン集が背面に印刷された
美汐愛用トランプのカードを均等に見比べて、真琴は明らかに肩を強張らせた。ちかちかと
点滅する蛍光灯の下、相沢宅の居間を烈しい痛みのように張り詰めた空気が支配する。
「じゃ、じゃあ右……と見せかけて祐一は絶対右にジョーカーを持ってるから、左を取ると
リロン的に同値でとーとろじーだから、やっぱり右を取ると左にジョーカーがない時を考えて、
ひ、左……でも右?」
蜃気楼で囲まれた迷宮に踏み込んでしまった真琴は、あぅあぅ唸りながら祐一の手元を
凝視する。祐一の唇は笑みを作るが、そのすぐ脇を一筋の汗が伝っていく。
壁時計に目をやり、一人離れてソファーに坐っていた美汐はついに立ち上がって、言った。
「二人とも、カードを引くだけのことにいつまで時間を掛けているんですか。ちゃっちゃと進めて
下さい。たかが、ババ抜きでしょうに」
「たかが、だと!」祐一が視線を真琴に向けたまま、声を張り上げた。「ああ、これはババ抜きだ。
子供のお遊戯だ。だがな。言うなれば、俺と真琴のプライド、いや尊厳を賭けた一世一代の
大勝負なんだ。部外者は口を挟まないでくれ」
「そうよぅ。一人で勝手にあがっちゃった美汐は部外者なんだから!」
全くもって、始末の悪い二人組みだった。言葉の端々に込められた八つ当たりの感情を
体一杯に受け止めて、美汐はカード二枚分のため息を深深と吐き出した。
「あーもう、美汐がそんなこと言うから、わからなくなっちゃったじゃない。えっと、右、じゃなくて
左がジョーカーである、が真実なら、左はジョーカーじゃなくて、ゆえに右を取ると……」
「いや待て。大前提として、果たして本当にどちらかがジョーカーなのか? もしかしたらどっちも
ババじゃないかもしれないぞ。そうだ、その可能性があった。とにかく、引いてみればわかる。
ほらほら」
「あ、そっか――ってそんなことあるわけないわよぅっ」
「ならば、引け。さぁ早く」
「じゃ、じゃあ……こっち?」
「ああ! そのカードは」
「と見せかけて左!」
「よっしゃあぁぁっ!」
派手なガッツポーズをつくる祐一と、その場に糸が切れたように崩れ落ちる真琴。
「あぅぅ。とーとろじーに負けた……」
「……二人とも楽しそうですね」
美汐の語調に浮かぶ微妙な変化に気がついたのか、祐一は急にこちらを振り向いて、
にやにや笑った。
「ああ、楽しいとも。さっきから疎外感があって寂しいんだろう? よしよし、そんなみっしーに
一つ仕事を与えてやろう」
つい、と天井の蛍光灯を指差す。余力を振り絞って瞬きを繰り返すそれは、命が燃え尽きる
寸前の蝋燭を思わせた。
「さっきから、こいつが集中力を奪うんだ。どこだったけな、たぶん庭の物置にスペアがあると
思うから、持ってきて取り替えてくれないか」
そうしたら次のゲームに入れてやらないこともないかもしれないぞ、と祐一は言って、顎を
しゃくった。何時の間にか、テレビの画面には天気図が映し出されている。日本地図の下部に、
混乱の象徴である白い塊。さっきの事務的なアナウンサーが、やはり淡々と、台風が迫ってきて
いることを告げていた。
「雨が降り出さないうちに庭へ出ておいた方がいいと思うね、俺は」
祐一は肩をすくめると、再び真琴とのにらめっこに戻った。
忘れているのか、それとも作戦なのか。ババ抜きを始めたのは、誰がこの蛍光灯を取り替えるか
ということで揉めたからだったでしょうに、などと言うことも面倒になって、美汐は庭に向かった。
結局のところ、実際に自分は少し嫉妬しているのかもしれない、と思う。
祐一に、真琴に、そして彼ら二人に。
「しかし、この街にも台風は来るんだな」
居間を出る時に、そう祐一が呟いたのが妙に耳に残った。
ぎしぎしとガラス戸が悲鳴を上げていた。靴を履いて玄関から回ってきた美汐は、たった
数メートルのその距離の間に、風に舞う塵の竜巻と何度か遭遇した。過ぎ去っていこうとする
夏の熱を未だに孕む九月の大気は、莫大なエネルギーをもって攪拌されている。樹々が
共鳴し、雲が空を流れ、埋め尽くす。低くを舞う鳥が、鳴き声もあげずにどこかへと消えていく。
自然は自身の殻に閉じ篭る支度を終えた。
台風が来るのだ。
もうすぐ、あの雲から落ちる雨が世界を叩き付けるだろう。それはさながら大地の感情を
原色のままパレットに流し込んだように。川は歓喜に震え、アスファルトの道路は喜悦の
旋律を奏でる。
そして、風は嵐へと変化する。
こんな時、あの娘なら何と言うだろうと美汐は思った。どんな反応をするかと想像した。
悲しみの沈黙を守るか、喜びの囁きを漏らすか、怯えた笑いを浮かべるか。どれもが正しい
ようであり、どれも当てはまらない気がした。全て理解していたようで、何もわからない。
風が吹くと思い出す。
思い出さずにはいられない。
ぽつねんとして天に腰掛けている雲に朱の線が交じり、太陽が静かに稜線の陰へ沈んでいく
夕暮れ。夜が迫るものみの丘に吹くそよ風に、彼女はよく抱擁するような仕草をしていたもの
だった。風に靡(なび)く髪を撫で付けることもせずに、微笑すら浮かべて目を閉じているので、
美汐は一度尋ねたことがある。
『何が、そんなに嬉しいのですか』
しばらく黙り込んでいたが、やがて山彦のように答えを返してきた。
『美汐は、なんで嬉しくないの?』
さわさわと足元の枯草が波打ち、やはり朱に染まった鴉が遠くの空で仲間を呼んでいた。
その鳴き声が響き渡る度に、臆病な雀が樹から樹へ飛び廻る。
『風も、嬉しいな、楽しいなって、言っているんだと思うよ』
夕陽に引き伸ばされた二人の影は、緩やかに大地へ溶け込もうとしていた。
『そよ風は風が気分がいい時なの。特に、夕焼けとセットで吹く時は、さいっこうにご機嫌な時。
スキップしながら口笛吹いてる感じ』
『そう想うのは、何故ですか』
『どうして、そう想わないの』
『どうしてでしょう』
『なんでだろう』
言葉遊びのような掛け合いの末に、彼女は不思議そうに、幾分断定的な口調で言った。
『風だって生きているんだから、そう言うのは当たり前じゃない。いくら美汐だって嬉しい時は
スキップぐらいするし、口笛だって吹くでしょ』
その横顔は、その瞳は、誰よりも何よりも緋色を反射して。
『美汐は、どうしてそう想わないの』
おそらく、あまりにも有り触れていたから。手を伸ばせば、すぐにその存在を感じ取ることが
できたから。いつまでもそこに在るものだと思い込んでいた。
なんででしょう、と言ったあの時、僅かに強さを増してきた風の中で、彼女は少しだけ口を
尖らせていた。
遥か彼方のサイレン音が静寂を切り裂いて、けれど静謐さは弾力性をもって維持される
初冬の夜更け、月が煌煌と闇を濡らす空。慎ましいくしゃみをしながら、彼女は星に目も
くれずにベランダで虚空を見据えていた。“儀式”は三十分と決まっていた。時計の長針が
半回転すると、寸分の狂いもなく彼女は部屋へ帰るのだった。
来る日も来る日も繰り返されるその儀式に、美汐は毛布を抱えながら、しばしば付き合った。
二人して何も語らないまま、握り合っていた右手と左手のように心の中では二人同じことを
考えていると信じていた。
清冽な空気に混ざり込んだ不純物のように、木枯らしが轟々と鳴り響く。彼女に屋内へ
入ることを勧めるのは、とうに止めていた。その代わりに、時折遠慮がちにこちらを向いて、
いいよ、部屋に入ってても、と目で言う彼女を、柳のように流し、石のように頑としてベランダに
美汐は立っていた。この儀式が彼女なりのルールであるならば、一緒に外で頬杖をつくのは、
美汐なりのルールであった。
今でも思う。果たしてあの時、本当に二人は分かり合っていたのだろうか。
同じ月を見て、同じ風を感じて、それでも実際は同じものを見ていなかったのではないか。
彼女がちらちら美汐の様子を窺っていたのは、別の何か、とても大事な何かを伝えたかった
からだったのではないだろうか。
彼女の想いを推し量ろうとしても、記憶の中の彼女はいつも俯いていて、樹海を覆う薄霧の
ように何も見えない。
風だけが世界を支配していた。世界は風だけに全てを見せていた。
美汐が彼女の不思議な儀式を生活の一環として認識できるようになった頃、彼女も美汐の
ルールを尊重して共にベランダにいることを自然なものと受け止めるようになった頃のこと。
いつにも増して、彫像のように動かなかった彼女が唐突にぴくり、と首(こうべ)を回(めぐ)らせた。
彼女が儀式の中で言葉を発したのは、その日が最初で最後だった。
『明日は、降るみたい』
何が、とは訊かなかった。ちょうど晩のニュースで、もうすぐこの地方に今年最初の雪が降ると
予報士が天気図を棒で指しながら言っていた。
それきり、嫌だなとも、楽しみだなとも言わずに、彼女は象徴的な彫像へと戻った。
風を愛し、風に怯えた彼女が美汐の手からすり抜けるようにして消えたのは、皮肉にも風が
全く吹かない大雪の日だった。
しんしんと雪が積もり、病室の窓を埋めてゆく。生まれ立ての灰色な朝は音を吸い込み、二度と
吐き出さない。太陽は垂れ込めた雲に阻まれて、地上には白い悪魔ばかりが、乱舞することも
なく、ただ垂直に自らの責務を果たしていく。
ゆっくりと熱を失っていく彼女の体を、美汐は一晩中抱きしめていた。まるで自分の体温を
彼女に分け与えるかのように力を込めること以外に、彼女を守る術を知らなかった。
『おそとに、でたい』
うわ言のように、彼女は呟いていた。だらりと垂れた右手は、見えない出口を捜し求めるように
シーツの上でもがいていた。それでも、美汐は彼女を決して離さなかった。早々に匙を投げた
医師を憎んで、昇らない朝日を恨んで、美汐はたった独りで彼女を繋ぎ止めようとしていた。
けれど、彼女は消えた。髪の毛ほどの痕跡も残さず、吐く息ほどの感触も奪われて。
その日、風は一度たりとも吹かなかった。
あれから、ずっと自問している。どうして彼女は消えたのか。何のために彼女は現れたのか。
彼女の何を見ていたのか。
時が経つ毎に、彼女の姿は朧げになっていく。腕の中の喪失感だけが、美汐の中で肥大する。
何もできなかった。
川原を二人で散歩して春一番に顔をしかめることも、五月のピクニックに出かけてハーブティーと
一緒に風を味わうことも、笹の葉に吊るした短冊を揺らす夜風を楽しむことも、シャツ一枚で
寝転がって涼やかに鳴る風鈴に耳を澄ますことも、枯葉を踏みつけながら秋風とステップをとる
ことも、何も。
時々、特に風が吹いた日は、彼女を夢に見る。いつも決まって、彼女は妖精のように空を舞って
いる。美汐が飛ぼうとしてもちっとも羽は生えてこない。ジャンプして、手を伸ばして、なんとか傍に
行こうとしている内に、彼女がこちらに気づく。靄がかかったような雲の上で、表情が見えないまま、
彼女は何かを言って、どこかに飛び去ってしまうのだ。
その言葉がわからないことが腹立たしくて、悔しくて、どうにもならなかった。
後ろでわざとらしい咳払いが聞こえて振り向くと、祐一が胡乱な目つきで美汐を見ていた。
「どうかしたんですか」
そんな所に立ち尽くして、と美汐は言った。声を張り上げないと、横からの風に遠くへ運ばれて
掻き消されそうだった。空を見上げれば、南の方から灰色の夜が足音を立てて、すぐそこまで
迫っている。
「そうか」と祐一は唇の端を吊り上げて、美汐が好まない笑い方をした。「みっしーは、時間の
使い方によほど長けていると見える。たかだか、そこの物置に電球を取りに行くだけで三十分。
真琴とのトートロジー決戦をうっちゃってまで探しに来たこの俺に、『どうかしましたか』なんて、
冗談も随分上手いな、みっしー?」
「考え事をしていたんです」
「ほぉ。すまん、風が煩くてよく聞こえなかった。自分に課せられた使命を忘れて、まさか考え事を
していたなんて言うまいね。さぞかし、立派な考え事なんだろうな」
「そうですね、祐一さんがいつも学校帰りに用もないのにわざわざ商店街に立ち寄って、肉まんを
買っていることとか、デパートでコスプレ用の狐耳を発見してにたにた陶酔されていたことや、
真琴の写真を財布に入れて常時持ち歩かれていることとか、主にそんな感じのことです」
「――ごめんなさい」
「よく聞こえませんよ? 風が煩くて」
薄紅色の花を咲かせたサルスベリが、美汐の頭上でぱら、と湿った音を立てた。次いで、足元の
芝生からも一オクターブ低い音。
「ほら、降ってきたっ」
祐一が救われたように叫んで、美汐の手を強引に引っ張った。
「でも、まだ蛍光灯が」
「それはもういい。真琴が素晴らしいアイディアを披露した。あいつも、やる時はやる奴だった」
働き盛りの風と、産声を上げた雨に追い立てられるようにして、二人は玄関へ飛び込んだ。
ほんの少し、風に煽られて雨が吹き込んできたが、ドアを閉めると全ては平穏無事な状態に
落ち着いた。
扉に備えられた飾り棚は深く闇の底に沈んでいる。青白い光だけを発するブラウン管は、逆に
正常時のそれよりも存在感があった。床に敷かれたカーペットは部屋の端へ近付くにつれて、
影のグラデーションをつくっている。部屋の中央には燭台に置かれた蝋燭と、満面の笑みで正座を
している真琴がいた。
「そこの棚にあったの。こないだ、秋子さんが出し入れしてるのをちらっと見た気がして」
「よしよし、誉めてつかわす」と祐一が真琴の頭を撫でる。
子供扱いしないでよ、手足を振ってじたばたしていた真琴が、ふと止まった。
「……でも、その蝋燭たくさんあって、数えたら三十八本あったのよぅ。一体何の数なんだろう」
祐一が腕組みをして宙を睨んで、すぐに青ざめる。
「そ、それは誰にも言ったらダメだ。いいいいいいいな。ぜぜ絶対だ」
「あぅ……わかった」
炎の動きに合わせて、天井や壁に映った三人の影が揺らめく。この幻想的な世界なら、隣を
妖精が羽ばたいていても頷けるだろうと美汐は思った。風が大好きな妖精でも、きっと。
「さ、やろやろ。もうカードは配って置いてあるから」
「またババ抜きですか」
「今度は一番に上がってみせるわよぅ」
「はっはっは。俺のトートロジージョーカーが見破れるかな」
高笑いをする祐一を尻目に、美汐は真琴の隣にそっと膝をつき、形のいい彼女の耳朶に口を
寄せた。
「祐一さんはカードを取られる時に、必ずジョーカーに目を走らせる癖があります。注意深く
観察すれば、絶対にババは引かないでしょう」
「え、ホント?」
「ええ。大体、先ほどのゲームで祐一さんが言ったのは、見せかけだけのロジックです。あれ
自体に大した意味はありません。そもそもトートロジーというのは、命題が前提の真偽如何に拘らず
真と解釈される時に使う論理学用語です」
「えっと……」
「つまり、前提はすっぱり無視して、右といったら右。左といったら左、と言うように結論だけを見れば
いいのですよ」
何時の間にか傍ににじり寄っていた祐一が、よくぞ見破った天野探偵今夜はわたしの負けの
ようだなだがしかし次はこうはいかんぞうんちゃら、とぶつぶつ言っているのを遮って、真琴がぱん、
と手を叩いた。
「例えば、風が吹いても吹かなくても、真琴が嬉しければ笑うのはトートロジーなのね」
似ているないつもバカみたいに笑っているからな、と祐一が美汐の代わりに相槌を打つ。それに
真琴は蹴りを入れつつ、人差し指を立てて言った。
「あ、でも。風がたくさん吹いたら、トートロジーじゃないのかな」
「どうしてですか」
「だって、今日はもう美汐帰れないでしょ。そうしたら嬉しくて、笑うもん。明日も風が吹けば、もっと
嬉しいし、台風が一週間ぐらいこの街にいたら、もっともっと嬉しいわよぅ」
あーバカだな。しみじみと祐一が頷くのに真琴がドロップキックを飛ばす。
ちらちら揺れる蝋燭に照らされて、真琴の顔は刻一刻と陰影が変化する。顔のつくりはほとんど
似てやいないのに、その表情がどうしてか風を受け止める時のあの娘に似ているように見えて、
美汐は何度か目を擦った。
「わかった。早く始めようよ。トートロパー祐一をコテンパンにしてやるんだから」
真琴が手札を整理していく。その動作を見守りながら、ぼんやりと思った。彼女がもしこの場に
いたら、ということ。彼女が台風をどう思うかは依然わからない。きっとこれからもわからないままだ。
けれど、一つだけは確信を持って言えた。
彼女は、外に飛び出していくだろう。全ての行動に優先して、風を胸に吸い込んだだろう。
そして、風がもっと吹くことを願ったに違いない。何故なら、美汐があの娘を愛するようなやり方で、
あの娘も風と付き合っていたのだから。
「美汐、早くペア捨てて」
真琴が美汐の視線に気づいて訝しげに言う。祐一はジョーカーを持っているのだろう、頻りに
ある一枚をつまんで場所を微調整している。光源である蝋燭は若々しく燃え盛っている。
時計の文字盤は暗くて見えなかったが、時間がたっぷりあるということはわかった。
「……楽しいですね」
と、美汐はぽつりと言った。
「いまさら、なによぅ」と真琴が噴き出す。
祐一は、また唇の端で笑った。「ババ抜きに入れてもらって嬉しいだろ?」
風が吹くと思い出す。
風が止んでも忘れない。
外を暴れる風の音にじっと耳を澄ませ、それから美汐は、トランプカード、狐の笑い顔と泣き顔とが
背面に印刷されているカードのペアを順番に、手札から床へ並べていった。
これより投稿します。
タイトル『風を祈る二人の姉妹』
登場人物は綾香・芹香およびセリオです。
豪華客船だろうがなんだろうが、沈むときは沈むのである。
乗客であった来栖川綾香と姉の芹香、それにメイドロボのセリオは、海に投げ出され漂流した。
そして彼女たちが流れ着いたのは、無人島だった。
砂浜に打ち上げられた三人のうち、最初に目覚めて起き上がったのは綾香だった。
「姉さん、しっかりして……セリオ、大丈夫?」
芹香もその声に目を開けた。どうやら無事なようだ。
セリオもスリープ状態から意識を回復させたが、彼女は電力のほとんどを消費してしまっていた。
「申し訳ありません、お嬢様方。節電モードに入らせていただきます」
節電モードになると、動力系への電力供給はストップされる。
「動くことはできなくなりますが、会話はまだしばらくできますので」
「ええ、これ以上無理しないでね、セリオ。あなたは本当によくやってくれたわ」
綾香も言う通り、セリオは実によく働いた。
船が沈み、海に投げ出されてからの彼女の活躍は、まさにメイドロボの鑑というべきものであった。
芹香はもともと泳ぎは不得手だし、運動能力抜群の綾香といえども体力には限りがある。
そんな二人を励まし助けつつ、この島まで泳ぎついたのだ。
さらに悪いことに、セリオのサテライト・システムは完全にダウンしてしまっていた。
「本来ならば、衛星に私たちの位置を知らせることができるのですが……」
セリオは大変に無念な様子である。
「肝心な時にお役に立てず、申し訳ありません」
「何を言うのよ、セリオ……あなたはあんなに一生懸命やってくれたじゃない」
綾香は胸は痛めた。セリオ自慢のサテライト・システムの故障も、自分たちを助けるために体に過重な負荷をかけた結果なのだ。
「バッテリーはあとどれくらいもつの?」
「通常モードで1分30秒、節電モードで約1時間です」
「そんな少しなの……?」
綾香は絶句したが、もともとメイドロボの稼動時間はそんなに長いわけではない。まして、激しい救助活動の後である。
まだ残量があるだけでも奇跡的なくらいだ。セリオがエネルギー配分を必死で調整した成果といえた。
とはいえ、セリオはもうすぐ止まってしまうのだ。綾香も芹香も、不安は隠しきれない。
「あまり悲観しないで下さい。航路からさほど離れていない筈ですから、救助が来る可能性は低くないでしょう」
「ええ……そうね」
「お役に立てないのは残念ですが、それまでなんとかお二人で力を合わせて生き延びて下さい」
「わかったわ」セリオの言葉に二人は頷いた。
「きっと一緒に帰りましょうね、セリオ」
「はい。及ばずながら、サバイバル技術について簡単にお伝えしておきます」
セリオは、水や食料の確保や、寝る場所の選び方など、無人島での生存に必要な基本的な情報を二人に教えた。
サテライト・システムが故障する前に、セリオはこれらのデータをダウンロードしておいたのである。
二人はセリオが口頭で伝えるこれらの情報を必死で学習した。幸いにして二人とも記憶力は良い。
「それから、船からナイフを二本持って来ました。ベルトに挟んでありますので、使って下さい」
「ありがとう。使わせてもらうわ」
綾香はセリオのベルトからナイフを抜き取ると、一本を姉に渡し、もう一本を自分で持った。
使いやすそうなサバイバルナイフで、無人島では非常に役に立ちそうだ。
セリオの機転に、二人とも改めて感心した。
「もう時間がありません。最後にお伝えしておくことがあります。もしも何か私の助言が必要なことがありましたら、非常用の発電方法があります」
「どうするの?」
「風力発電です」
「風力発電……?」
綾香にとってそれは意外だった。セリオに風力発電とは、イメージが噛み合わない。
「はい。電圧が不安定になるので、短い時間しか稼動できませんが」
「ちょっと待ってよ。それなら風車がいるんじゃないの?」
「私の脚部に必要な部品が組み込まれています。脚を分解して、組み立てて下さい」
「どうやって?」
「詳しいマニュアルは右腿の側面にあります。皮膚を切って下さい」
「そ、そんな可哀想なこと、できないわよ!」
「私は痛みを感じませんので、お気遣いはご無用です」
「で、でも……」
「申し訳ありません。このような作業は本来私が行うべきなのですが……」
「そういう問題じゃないのよ。あなたの体を傷つけるなんて、私には……」
「私の体は修理すれば直ります。しかしそのためには、お嬢様方に日本に帰っていただかねばなりません」
彼女の言う事はもっともである。自分たちが生き延びなければ、セリオもどのみち再起動できないのだ。
「……わかったわ、セリオ。あなたの知恵が必要な時は、そうする」
「お願いいたします。……どうやら、そろそろ…バッテリーの限界のようです……」
彼女の声は次第にか細く、途切れがちになっていった。
「芹香様…綾香様…どうか、ご無事で……」
それを最後に、セリオの言葉は絶えた。完全な静寂が彼女を支配した。
「セリオ……」綾香は忠実なメイドロボを抱擁し、その額にそっと口づけた。
永遠にこのままというわけではないが、死んだように動かなくなってしまうのは心細い。
自分たちのことばかり心配してくれたセリオ。その心情を思いやると、涙をこらええない綾香だった。
ふと気がつくと、芹香はセリオを囲むように地面に何かを書いている。
「姉さん……何してるの?」
「………………」
「『セリオちゃんが起きるように魔法をかけてみます』? ちょっと、馬鹿なことはやめてよ!」
綾香はつい声を荒げた。
平生なら姉の変な趣味につきあうのもいいが、今はそんな場合ではない。
「セリオは科学技術が生んだロボットなのよ!? 魔法なんかで動くはずがないじゃない!!」
「………………」
芹香は、綾香の剣幕にたじろぎ、悲しそうに肩を落とした。
「あ……」姉の様子を見て、すぐに綾香は後悔した。
もちろん、芹香だってセリオのためを思っていたはずだ。
今まで自分が足手まといになっていた、とすら思っていたのかもしれない。
芹香は芹香なりに、何か役に立とうと必死だったのだろう。
「ごめん、姉さん……力を合わせないといけない時なのに」
今度は綾香のほうがうなだれた。
姉の気持ちを傷つけた自分が、とても恥かしい人間である気がした。
そんな綾香を見て、芹香は頭を撫でてやった。
──気にしないでください。綾香ちゃんが悲しむと、私も悲しくなります。
そう言ってくれていることは、妹である綾香にはすぐにわかる。
「姉さん……」
姉の手に、綾香は不思議な心のやすらぎをおぼえた。やっぱり自分はこの人の妹なのだな、と思う。
心の深い部分で、姉の存在に頼っているところがある。自分もできる範囲で姉を守らなければならない。綾香はそう決心した。
気がつけば、日が暮れるまでさほど時間がなくなっていた。いつまでもそうしているわけにもいかない。
セリオがポケットに少しだけ缶詰を持ってきてくれていた。今日はそれを食べて、明日から食料を探すことにする。
暗くなる前に寝る場所も探さなければならない。深入りしないように注意しながら、浜辺のそばの森に行ってみた。
幸い、浜に面した場所に、洞のある大きな木が見つかった。眠るにはちょうどよさそうだ。
セリオを砂浜に放置することもできないので、二人は彼女をそこまで運んだ。
「………………」
「え? 『セリオちゃんも一緒に寝ましょう』って? そうね、そのほうがきっと喜ぶわ」
二人はセリオを挟んで横になった。セリオの人工皮膚は保温力が高いのか、その体は思ったよりも冷たくない。
「おやすみ、姉さん。おやすみ、セリオ……」
どちらからともなく、姉妹はセリオの体越しに手を繋いだ。
お互いの手の温もりが伝わりあう。
こんな状況だが、さほどの不安を感じずに眠りに落ちることができた。
とんでもない災難に遭ったが、自分が孤独でないことに、綾香は感謝したい気分だった。
次の日。
食料を調達するのに、綾香は狩猟担当、芹香は採集担当と、自然と役割分担が決まった。
綾香はナイフを手に獲物を探しに行った。
彼女の並み外れた運動神経のおかげで、それはうまくいった。
何かはわからないが、サケのような川魚やら、ネズミの化け物のような獣やら、飛べない大きな鳥やらが獲れた。
(これ、何ていう生き物だろ……? まあ、食べられないことはないでしょ)
こんなときに細かいことを気にしては生きていけない。それより早く帰って姉さんに見せてあげよう。
綾香が上機嫌で帰ってくると、芹香はかまどを作って火の準備をしていた。
「ただいま、姉さん。ほら、凄いでしよ。いろいろ獲れたわよ」
すごいです、と芹香も大喜びだ。
「姉さんは何を採ってきたの?」
芹香は地面にならべたものを指さした。
綾香は木の実か何かを期待していたのだが、それは見事に裏切られた。
「これは……キノコ?」
芹香はこくりと頷いた。ちょっと得意げだ。
しかし姉には悪いが、綾香としてはイヤな予感がする。
「姉さん、キノコって素人が採ると危ないわよ。これなんか、いかにもヤバげな色してるし」
細かい事は気にしないと言っても、限度というものがある。
「………………」
「『でもかわいいです』って、そういう問題じゃ……」
芹香は自分が採ったキノコに随分と執着があるらしい。
困った。姉も変なところで頑固な一面があるのだ。
この様子だと、自分だけでも食べかねない。
これはセリオに聞いてみたほうがいいかもしれない。彼女の言う事なら、芹香も納得するだろう。
ちょうど、浜への風が吹いている。綾香は風力発電を試してみる決心をした。
ナイフを手に、綾香はセリオに近づいた。
「右の太ももの側面、だったわね……」
その部分に刃を当てたが、やはり躊躇せずにはいられない。
(セリオ、ごめんなさい……日本に帰ったら、すぐに直してあげるから)
心の中で呟きつつ、綾香は思い切ってナイフの刃を横に引いた。
それは意外に軽い手応えで切れた。切り口から機械部分が覗いている。
皮膚をめくると、数枚綴りの薄いプラスチック製のプレートが出てきた。
『緊急用風力発電ユニット取扱マニュアル』とある。
綾香はそのマニュアルに目を通した。
「ええっと……まず工具を取り出して……ふむふむ」
解説に沿って両脚の部品を分解し、組み立て始める。
「ふうん。骨格の外板が風車の羽になるわけね」
よく出来ている、と綾香は感心した。
半時間程度で組み立て終わった。
今のセリオは脚の代わりに風車へと伸びたケーブルを接続した形となっている。
綾香は風の通り道に風車を設置し、ストッパーを外した。
風車はすぐに回転しだし、だんだんとその勢いを増していく。
やがて、緑色のランプが点灯した。それを見て、綾香は起動スイッチを押した。
ぶうん、と低い音がしたと思うと、セリオはゆっくり目を開けた。
セリオは目を覚ますと、両脚の感覚がいつもと違うことを認識した。
非常用風力発電装置で目を覚ましたのだ、と彼女はすぐに気がついた。
脚が使えないのは不便ではあるが、どうせ節電モードの時も動けないのだ。そのことに特に感慨はない。
「セリオ、気分はどう?」綾香が顔を覗きこんできた。
「──良好です」彼女はそう答えたが、実は電圧がこうも不安定だと、非常に気分が悪い。
だが、そんなことは報告する必要はない。
「しかし、この電圧状態で連続稼動できるのは、せいぜい三分です。ご用は早くお願いいたします」
「わかったわ。セリオ、あなたの知恵を借りたいの」
「はい。なんでしょう」
「キノコがあるんだけど、どれが食べられるのか教えて欲しいの」
綾香は、キノコをセリオの視界に持って行った。
セリオは前にダウンロードしていた植物に関するデータを参照した。
「これはベニテングダケといって、幻覚症状が出る毒キノコです。決して食べてはいけません。
それはワライダケです。食べると異常な興奮状態になり発作的に笑い出します。食べられません。
それからこれはセイカクハンテンダケといって……」
こうしてセリオは芹香の採ってきたキノコを鑑定した。
「………………」
「……結局、全部食べられないじゃない」
危ないところだった。
やっぱりセリオの意見を聞いて良かった。綾香は心からそう思った。
ともかくも、姉妹は力を合わせて生活した。
綾香はナイフやら石器やら、時には素手で獲物を倒し、芹香は芹香で何処からか食料らしき物を集めてくる。
食べられるのかどうか怪しいときは、セリオの意見を聞いてからにする。芹香の集めた物は半分くらい駄目だったが。
そうして何日かが過ぎた。
綾香はいつも通り、狩りに出ていた。
その日は見晴らしの良い高台に登ってみた。島全体が見渡せる。
ふと海に目をやっととき。
綾香の鋭い眼力は、水平線付近にあった小さな点を見逃さなかった。
あれは……船だ。
助かった。日本に帰れる。
心臓がドキドキする。宝くじに当たった人はこんな気持ちだろうか。
「そうだ、早く姉さんに知らせてあげなくちゃ」
はずむ足取りで斜面を駆け下り、姉のもとへと急いだ。
「姉さん、船よ、船が来た!! 日本に帰れるわ!!」勢い込んで帰ってきた綾香。
「………………」芹香も興奮しているようである。見た目は普段と変わらないが。
「早く私たちのこと知らせないと。えーっと、どうしよう」
回転の早い綾香の頭も、から回りしているようだ。
「そうよ、狼煙よ、のろし! 姉さん、火をおこしましょう」
「………………」
「えっ、『薪を切らしてしまって、すぐには用意できません』? そんな、こんな時に……」
綾香は嘆いたが、そもそも普通の焚き火の煙が遠くの船に発見してまらえるのかも疑問である。
「えーっと、それじゃあどうすればいい? うーーーんと、えーーーっと……」
いくら考えても、焦って混乱した綾香の頭にアイデアは出そうにない。
「そうだ! こういう時こそセリオに……」
綾香は風力発電装置をセットしたが、大きな問題に遭遇した。
風がない。
凪になる時間帯でもないのに、なぜかそよ風ひとつそよいでいなかった。
「なんでよ!?」
綾香は運命の非情を呪った。
風車を手で回してみたが、もちろんそんなことで十分な回転は得られない。
「どうすればいいのよ……!?」
綾香は、もう泣き出したい心境だった。
その時、芹香は地面に何かを書いていた。
「姉さん……何してるの? え、『魔法で風を呼びます』?」
まかせて下さい、と芹香は自身ありげに頷いた。
「そう……じゃあ、やってみて」
綾香は魔法なんて信じていなかったが、この時は姉に賭けてみる気になった。
セリオを直すのは無理だろうが、相手は風という自然現象である。魔法の効く余地はあるかもしれない。
芹香は魔方陣を書き終わると、何やら妖しげな呪文を唱え始めた。
どうしていいのかわからないが、いつのまにか綾香も風が吹くことを一心に祈っていた。
(風よ、吹いて……お願い、吹いて!)
しばらくして突然、芹香の呪文が止んだ。
「どうしたの、姉さん?」
どうやら、儀式に必要なものがあるらしい。
「何? 何が必要なの?」
もうこうなったら、全面的に協力するつもりだった。
「『処女の滴り』? ……何それ?」
芹香の説明を必死で聞き取ろうとしたが、なかなか意味がわからない。
「まだ異性と交わらない清らかな乙女の体液? それも性的な……つまり、愛液!?」
「………………」
「『私もやってみますが、できれば綾香ちゃんも手伝って下さい』って……な、何よ、それ!?」
確かに綾香には男性経験が無いので、その資格はあるだろう。
だがいきなり愛液を出せ、と言われてすぐ出せるほど器用な体質はしていない。
それに第一、姉とはいえ人前でそんなことをするのは心理的抵抗が大きすぎる。
綾香が逡巡しているうちに、芹香は服を脱ぎ捨て全裸になっていた。
白日のもとに晒されたその裸体は、同性である綾香でさえ息を飲むほど見事なものだった。
豊かな乳房や、張りのある腰のライン。白い肌も、こんな生活にもかかわらず、瑞々しさをいささかも減じていない。
魅せられたように視線を注ぐ妹の前で、芹香は自らを愛撫し始めた。
円を描くように乳房を這う手。その円は次第に狭まり、桃色をした頂上を目指す。
ふくらみの頂点に達した指は、その先の突起物をつまみ上げる。指先が乳首を転がし始めた。
片手は乳房をまさぐったまま、もう片方の手は愛撫の範囲を次第に下の方にずらしていった。
その手はやがて、彼女の秘密の花園へと到達した。
しなやかな指が、蜘蛛の脚のように妖しく律動する……。
綾香は、姉のあられもない姿から目を離せなかった。
いつも大人しくて淑やかな姉が、こんな痴態を演じるとは。しかも白昼に。
目の前で、芹香の息づかいは次第に荒くなり、肌は紅く染まってゆく。
それを見ていると、なぜか綾香も体の奥が疼くような、変な感覚に襲われるのだった。
「わ、わかったわよ姉さん。私も手伝うわ」
服を脱いだ綾香は、姉と向き合った。
対峙する二つの肢体。その均整の美しさは、やはり似通ったものがある。
ただ、より丸みを帯びて柔らかい芹香の体と比べると、綾香の体の方が引き締まっていて無駄が無いという違いはあった。
綾香は姉に倣って自らの体を愛撫し始めた。
乳房を弄びつつ、秘部へと手を伸ばす。
自分の手の動きは姉に比べて不器用だと感じつつも、綾香は懸命に自分の肉体を刺激する。
(えっと、こういう時は何を考えればいいのかしら?)
幼い頃の淡い初恋の相手や、姉の学校の藤田浩之とかいう男の子、さらにはなぜか格闘技のライバル坂下好恵や松原葵の顔までが、頭の中をぐるぐる回る。
(ああっ、もう、集中できない!)
必死になって掌で恥丘をこねまわすも、いっこうに濡れてこなかった。
その時、綾香は顔の前に気配を感じた。
姉の顔がそこにあった。
綾香が身構えもしないうちに、芹香は唇を重ねてきた。
一瞬、身を硬くしたが、すぐに綾香は力を抜いた。思わず目を閉じる。
芹香は大胆にも舌を絡めてくる。綾香もおずおずとそれに応えた。
実の姉とこんなにも濃厚なキスを演じているという背徳感が、綾香の頭を痺れさせる。
やがて芹香はゆっくりと唇を離していった。混じり合った二人の唾液が糸を引く。
綾香は目を開けた。頬を染めた芹香の、とろんとした瞳と視線がぶつかる。
姉のその蠱惑的な表情に、綾香の中で何かが決壊した。
「姉さん……っ!」
綾香は芹香を抱きしめると、その唇を貪った。
溢れる唾液は顎を伝って、胸までも濡らした。
体と体を密着させて、全身で互いを愛撫する。
滑らかな芹香の肌は、上等の絹よりもはるかに心地良い。
肌と肌との触れ合いがかくも甘い陶酔をもたらすことを、綾香は生まれて初めて知った。
二人は自らの乳房を握ると、やや荒々しく相手のそれになすりつけた。
乳首どうしが擦れ合い、弾き合う。その刺激がますますそれを硬く尖らせていく。
綾香の秘部は、すでにいくらか潤いを帯びていた。
激情のままに、彼女は姉とその部分を重ね合わせた。
二人は体を後ろに反らせるかたちとなった。いまや密着しているのは秘部のみである。
しかしお互いの最も敏感な部分、最も秘められた部分が触れ合っていることで、何よりも二人は一体感を得ていた。
互いの蜜がその部分をぬめらせ合う。
(なんか……あったかいコンニャクみたい)
こんな時に変な事を考えている自分に、綾香は内心で苦笑した。
いまや、溢れ出た蜜は二つの柔肉のあいだで泡立たんばかりである。
愛液そのものが呼び水となって、さらにその部分を濡らしていくようだった。
やがて綾香は、体の奥から何かが高まりつつあるのを感じた。
「姉さん……私、いっちゃいそう……」
芹香は黙って、こくん、と頷いた。芹香も達しようとしているらしい。
全身を貫く、甘く激しい快美の感覚。
綾香はもはや声を押し殺すこともしなかった。
「ああッ、姉さん…だめ……いく……いく、いくッ……いっちゃうッッッ!!!」
「………………」
二人はまるでシンクロしたように、同じタイミングで絶頂に達した。
ひくひくと痙攣する蜜壷から、いっそう激しく熱い奔流が溢れ出た。
交じり合った二人の愛の蜜が、魔方陣を描いた地面に滴り落ちる。
けだるい体を横たえた綾香は、汗ばんだ肌にひんやりとしたものが走るのを感じた。
「風……?」
はっとして身を起こした綾香の髪は、たしかに風になびいていた。
「風だわ……風が吹いた……魔法が、姉さんの魔法が効いたんだわ!」
普段の綾香なら単なる偶然と片付けただろうが、その時ばかりは魔法の効果としか思えなかった。
「早くセリオを……」
まだ腰に力が入らない。綾香は這うように風車に近づいた。
すでに風車は勢いよく回転していた。起動可能の緑ランプが点灯している。
綾香は起動スイッチを押した。
セリオが目を覚ますと、視界に入ったのは全裸の綾香と芹香だった。
二人とも頬を紅潮させ、息づかいが荒い。
「綾香様、芹香様、これは一体……?」
どういう状況なのか、セリオには全く見当もつかない。
「説明は後よ。セリオ、船が遠くにいるんだけど、連絡を取る方法がないの。どうすればいい?」
「私の腕に信号弾が装備されています。それをお使い下さい」
セリオは手首のロックの外し方を説明した。
「ありがとう、セリオ。早速やってみるわ」
綾香はセリオの手首を外した。充電用コネクタの隣に、銃身のようなものがある。
それを真上に向けて、安全装置を解除し、トリガーボタンを押した。
風を引き裂く甲高い音を立てて、信号弾が空中高く撃ち出された。
無事に救出された三人は、日本への帰りの航路に就いていた。
セリオは船上で充電と応急の修理を受けた。
一応は動けるようになったとはいえ、脚などは機械が剥き出しのままだ。
「ごめんね、セリオ。あなたをこんな目に合わせて……」
「いいえ。少しでもお二人の役立てたのなら、私にはそれ以上の喜びはありません」
「もちろん、私たちが助かったのはあなたのおかげよ。ねえ、姉さん」
芹香がこくこくと頷いた。
「帰ったら、すぐに修理できるよう準備をしてもらってるからね。なんならドリルでもロケットパンチでも、好きな装備にしていいわよ」
「……お気持ちだけでけっこうです。今まで通りの体にして下さい」
セリオは表情こそ変えないが、心底嫌がっているようだった。
相変わらず冗談が通じないところがセリオらしくて、綾香はなんだかほっとする。
「じゃあ、何か欲しい物とかない? セリオのお願いだったら、何でも聞いてあげる」
「それでは一つ、お二人にお願いしたいことが……」
「何なに?」二人は身を乗り出した。
「次に風を祈る儀式をする時は、ぜひ私にもお手伝いさせてください」
「………………」
「や、やだもう、セリオったら」
姉妹は、ひどく赤面してうつむいた。
以上です。
途中でタイトル等が変になっていて、すみません。
では失礼しました。
今から投稿します。
AIRのアフターで、『手向けの鈴』。
登場人物は晴子と敬介です。4レス予定。
夏。
アブラゼミの鳴き声と刺すような日差し。
一陣の風が運んできた夏草の青さが、ふっと鼻梁に香った。
「せやけど暑すぎやで、今日は」
Tシャツをパタパタとさせながら、晴子は愚痴をこぼした。
「夏らしくていいじゃないか」と僕は返す。
晴子は呆れたような顔をした。
「アホいいな、ものには限度がある。四十度やで、四十度。ほんま異常気象やわ」
嫌がらせのように居座り続ける太平洋高気圧の影響で、今年の夏は各地で気象観測史の最高気温を塗り替えていた。
そんな猛暑の中を、僕らは歩いている。
海沿いの住宅地からクルマで三十分ほどの所にある小さな山の麓に、こぢんまりとした墓地がある。
そこは時の流れから取り残されたような場所で、墓地の他には放置されて荒れ果てた畑と木造の廃屋があるだけだった。ただその代わり、静かに海を眺めることができる。そんな場所。
その墓地に向かって、僕と晴子は草を掻き分けたようなあぜ道を歩いている。
あれから、もう一年が経つ。今日は娘の、観鈴の命日だった。
墓地に着いた僕らはそのまま水汲み場に向かう。ステンレスと木で出来た杓とポリバケツを借りて、参道に入った。
墓地の真ん中に見える大きな樫の木。それが観鈴の墓の目印だ。
「もっと近くにある墓地を探しても良かったんじゃないのか?」
僕は訊いた。
「ほらっ、見てみ」
晴子は右手に広がる景観を指す。
「見事な眺めやないか。あの子、海が好きやったから。多生不便でもここがええんや」
この墓地は山の傾斜に沿って段状に墓石を並べてあるから、麓に広がる街並みとその先の夏らしい青に輝く海をよく見渡せる。
「まあ晴子がそう言うなら、いいさ」
彼女らしい解答に、僕は頭をかいた。
やがて、僕たちは観鈴の墓の前に立った。それは、ただそこにあった。
「来たで」
観鈴に語りかけるように、晴子は言った。そのまま静かに立ち尽くす。そこには無言で交わされる、母と子の親密な会話があった。そしてそれを、僕は少しだけ妬ましく思った。
蝉時雨の中、緩やかに時間は流れていく。樫の木がさわさわと風になびいて、日差しを浴びた枝葉の落とす影が、辺りに揺らめいていた。
「ん? なんやろ……あれ」
不意に、晴子は言った。訝しそうに指を指す。
御影石でできた石柱の下、水鉢の脇に何か光るものがあった。晴子はしゃがみ込んでそれを手に取る。
「鈴や……」
朱に染められた布で縛らた二つの鈴は、くすんだような金色をしていた。その色合いから、かなり古い時代の物だと分かる。
「誰かが忘れていったのかな?」
僕は訊いた。
「さあ、うちが訊きたいわ。……あ、でもこれ、きっと高価なもんやで」
鈴に付いた朱色の布を、晴子は手触りを確かめるように撫でる。
「これ、絹や……。なんか、髪飾りかも知れへん」
「髪飾り?」
晴子は頷いた後、そのまま食い入るように、じっとその鈴を見つめる。
やがて、はっと目を見開いて僕の方を振り向いた。
「……これ誰かが、――手向けてくれたんやろか?」
悲しみと希望とが複雑に入り交じった表情で、晴子は僕に訊いた。
観鈴には僕ら以外、何かを手向けてくれる人がいなかった。友達と呼べる人を作れなかったから。――いや、ただ一人だけいたと聞いたけど、その人は何処かへ行ってしまったのだという。
そのことを晴子はずいぶんと悔しがっていた。そしてそれは、僕の悔いでもある。だから、
「……そうかも知れないな」
可能性はゼロじゃないから、僕はそう答えた。
その時だった。
さわさわと木々がざわめいた。墓地全体の空気が、震え始めた。
「え? なに?」
空気の変化を感じた僕と晴子は、キョロキョロと辺りを見渡す。
「――あそこっ!」
僕は叫んでいた。
遠くに見える峰の木々が、見えない何かに撫で付けられるように揺れていた。その何かはこの墓地を目指して、一直線に近づいてくる。――速い。
「晴子! 伏せるんだ!」
「ええ? ――きゃっ!」
突然の横殴りの突風に、声が掻き消される。ごうごうと、風の轟音が空気を裂く。晴子の頭を抱きかかえながら、僕は目を細めてその突風をやり過ごそうとした――その刹那だった。
――礼を言うぞ。
女童の声を、確かに聞いた。薄目を開けて、頭上を見る。ほぼ水平にしなる木々の向こうに、ほんの一瞬、飛翔する何かの影を見た。それは夏の陽炎のように儚げな像を結んで、そして消えていった。
その突風は通り過ぎていった。
僕と晴子は一つ息を吐いて、惚けたように顔を見合わせた。
「えらい季節外れの風やな。春一番なら、とっくやで」
僕は肩を竦めた。
「せやけど、なんや……おかしな風やったわ」
「え?」
「なんか……、女の子の声が聞こえた」
気のせいだったかとも考え始めていたから僕は、驚いて訊く。
「晴子にも、聞こえたのか?」
「あんたも聞いたんか? 礼を言うとかなんとか」
僕はゆっくりと頷いた。
僅かな静寂の後、蝉の声が再び木霊し始める。まるで何事もなかったかのように。
晴子はうんせと立ち上がって言う。
「不思議なことも、あるもんやな」
僕らが聞いた声が何だったのか。それは、きっと分からない類のことなんだろう。でも、二人とも、確かに聞いたのだ。誰かの言葉を。でもそれは、
「たぶん……、観鈴に、だろうな」
観鈴は何かと戦っていたと、晴子から聞いていた。
「せや」
晴子は短く答えて、過ぎ去った風を見送るように、夏の大気を見上げていた。
「この鈴、どうしよう。ここに置いとくんもなぁ……」
「いいんじゃないか? 預かっておけば」
晴子は少しの逡巡の後、「……分かった。そうする」と言った。
鈴を手にとって、りんと鳴らす。
意外なほど綺麗な音色に、僕らは思わず口許を綻ばせる。
何処までも、時間も空間も飛び越えて鳴り響いていくような鈴の音。それはあの一瞬に僕が見た、翼を持った少女の、観鈴への手向けなのかも知れないと、僕に思わせた。
それは、そんな音色だった。
以上です。
>>649の名前欄は手向けの鈴(2/4)になります。失礼しました。
#あと、一行が長すぎるらしかったです(汗
無改行長文、ウザイ。
それなりに長めのSS。
内容はAIRだけれど、中身しらんでもわかる。ネタバレ無し。
シリアスなんだかなんだかよくわからん内容。
なんて暑いんだ。
暑い暑い暑い暑い。暑すぎる。
梅の木は一身に太陽の光を浴びながらその緑々とした葉を大きく広げていて、空の青にその緑が映えてなんだか眩しい。よく見ると家の塀の上には少しだけ陽炎が揺れていた。土は完全に水気を失い少しだけひび割れていて、塀の影に申し訳程度の雑草が群生していた。
「雑草じゃないよ」
観鈴が後ろから俺に声をかけて来た。
「あれはね、往人さん。大葉って言って、食べるとおいしいの」
と彼女は言う。
そうして、どこから汲んできたのか律儀に上呂の水をその大葉にぴしゃぴしゃかけている。妙に涼しそうに揺れる大葉が、少しだけ気持ち良さそうに俺には見えた。
一通りかけ終えた観鈴はにこりと笑い、俺のほうに振り返った。
縁側にぼけっと座ったまま彼女の顔を見る。
「ねぇ、往人さんは旅人だよね?」
不意にそんなことを観鈴は言った。
「あぁ」と俺は答える。「それがどうした?」
「だったら、暇だし何かおもしろいお話をしてくれないかな?」
俺は暇じゃない、と言おうとしてやめた。理由は簡単で、誰がどう見ても暇だったからだ。昨日も今日も明日もずっと暇だった。泣きたくなるくらい暇だった。
「話なんて言われても大それた体験談なんて、俺は生憎持ち合わせてないぞ。どこかの秘密組織と戦ったこともなければ、追っ手と血で血を洗うような抗争もしたことないし、お宝を求めて遺跡の中に入って、大岩に危なく潰されそうになった経験も無い」
言いながらやっぱり俺は泣きたくなった。
「いいよ、私も往人さんがそんなたくましい人だって思ってないもん」
むかついた。
観鈴はそれでも笑顔でいて、ゆっくりと歩き俺の隣に腰をかける。
俺たちはしばらくそうやって陽の当たる縁側に腰をかけ、何もせずぼーっと空を眺めてい
た。端から見ればボケた老夫婦である。
「ねぇ」
また先に観鈴が口を開く。
「例えばお祭りとか何か、いろいろ見たことあるんじゃないかな?」
「祭りねぇ」
「うん。珍しいお祭り」
「まぁ、あると言えばあるな」
俺は暖かな日差しの中、そんな記憶を少しだけ呼び起こした。
舵狩地詰祭という祭りがある。かじかりちづめ祭。
これはかなり東北の奥深くに、たまたま俺が歩みを進めたときに見つけた町の、いわゆ
る伝統行事だった。語源は風怒り鎮め(かぜいかりしずめ)といって、それがいつのまに
やら訛って「かじかりちづめ」などという言葉になったらしく、舵狩地詰という字はただ
の当て字みたいなもので実際のところ意味は無いらしい。
その字の如く、祭りは風の怒りを鎮めるために平安時代の百姓が興したものだ。当時は
蝦夷地などとも呼ばれた東北のかの地では、農耕技術などは明かに関東以下のそれとは劣
っていた。さらにその辺り一帯は「やませ」という初夏の北東から吹く冷たい風で、冷害
が絶えなかったという。
そういう環境下で厳しい生活を強いられていた農民達は、その原因をやませであると考
えた。そしてその風を治めるべく生まれた祭りが、風怒り鎮め祭だ。
この祭りの奇妙なところは、風が吹かないときは皆が一斉に動きを止めるというところ
にある。風が吹いている間は皆で神輿を担ぎ、わいわいと騒ぎあげながら山の頂にある風
鎮神社に向かうのだが、風が止んだと判断した瞬間先導が指示をだし、皆はどのような状
況であれ動きをぴたりと止めなければならない。指示を出す先導はいつもその町一番の美
女と決まっているがもまた、他の祭りとは違いおもしろいところだ。
「どうだ?おもしろいだろう?」
俺は観鈴が一応わかりやすいよう、大方の概要を説明して見せた。
彼女の反応はなかなかに食いつきがよく、「へぇ」と何度も相槌をいれながら俺の話を聞
いていくれていた。
しかし、調子に乗り饒舌に喋りすぎたのがよくなかった。
彼女は眼を輝かせながら俺にこう言ったのだ。
「じゃぁ、二人でその祭りしよっ!」
観鈴がこう言い出すと終わりである。絶対逆らえない。
しかしそうだとわかっていても俺は反論しないと気がすまないのである。
「祭りを二人でするだって?本気で言ってるのか?」
「うん」
「ありえない」
「どうして」
本気でわからないという顔で観鈴は俺に迫る。
「祭りってのはみんなでやるから祭りって言うんだ!二人でやったってそりゃただの大騒ぎだ!」
「じゃぁ、風怒り鎮め大騒ぎ!」
これである。
そしてこの家の住人で最もまともな人間でさえも俺にこう言うのだ。
「なんやぁ〜?観鈴その居候と遊びいきたいんか?」
「うん、そうだよお母さん!」
「よっしゃ!いって来い居候!」
そうやって、真昼間から酒瓶を片手に持った女が、部屋の奥で高笑いをする声を俺は聞く。
この一家が、何かずれていると思うのはこういうときだ。普通じゃぁない。
しかしながらこれ以上の反抗がそれはそれで無駄なことであると言うのも実はわかって
いた。観鈴に反抗すること、即ちそれは飯抜きを意味する。飯は命の次に重要なものだ。
人間でなくとも生物は飯を食うために生きているといったって過言じゃない。その権限を奪おうと言うのは全くの暴虐だ。人間の道に反している。絶対悪だ。
そういうわけで俺は観鈴に連れられて出かける羽目になるのだった。
真夏日和の中、「おみこし」と書いたダンボールを頭に被り、少女に黙ってついていく寡黙
な2枚目青年が居る。それが俺だ。何かこう、居たたまれなくなってくることもあるが。
観鈴は何が嬉しいのか、家を出たとたん終始スキップで俺の前を歩いている。にははとい
う笑い声がする度、ぶん殴ろうとして俺は思いとどまる。
風は比較的穏かに流れつづけていた。今のところ止まる気配は無い。というか、止まっ
て欲しくは無い。さっきも言ったとおり、ここで俺たちが緊急停止するということに命令
権を持っているのは、今のところ自称町一番の美女の観鈴である。彼女が「止まった!」
といえば俺はぴたりと止まらなくてはならない。そしてそれは、実に恥ずかしいことだ。
そもそもこの照りつける太陽の中、じっと風が吹くのをぼさっと待つなんて間違っている
。ありえないことだ。
神社へと続く石階段に足をかけた瞬間、そんなわけで俺は少しだけほっとした。何しろ
ここは山林の中である。余程のことが無い限り人はそんなに居ないだろうし、日光も草木
にさえぎられて涼しいものだ。だがその安心は次の瞬間絶望へと変わり果てる。
「止まった!」
何かの冗談だと思った。しかし観鈴はマジで、体をまっすぐにしたまま足を次の石段に
進めようとしたポーズので止まっていた。俺はというと、そんな格好の観鈴に呆れて、ぼ
けっと突っ立っていただけだった。頭には相変わらず「おみこし」と書かれたダンボール
がぶら下がっている。
「動いちゃ駄目だよ、動いちゃ駄目だよ〜!」
観鈴はずっとそんなことをずっと言いつづけている。何かまるで、変な悪魔にでも取り付
かれたかのごとく。考えてみれば俺は言われた瞬間に止まったわけではなく、言われたこ
とに一瞬気付かずにいたわけで、結果的に居直ってしまっていた。
「卑怯だよ往人さん、ルール違反!」
観鈴はしきりにそんなことをわめいていたが、無視することにした。
さらにまずいことになった。小学生どもがわめく声が聞こえ始めた辺りで、それはよく
わかっていた。ガキどもが俺たちの奇妙な構図に気付いたのはそれからまもなくだった。
「おい、なんか変じゃねぇ…?」
ガキの一人がそういいながら観鈴に近づき、「ん?」という顔で見ている。
観鈴はどんなに見られても動かず、結構しんどいであろうポーズのままぐっとこらえていた。
頼むから風が流れてくれと俺は祈った。法術で空気を動かせないかともがんばってみた
が、イメージが何ともしづらく俺には無理だった。自らの扇風機にすら及ばない能力を呪
ってみたりもした。
ガキどもが四、五人ほどぞろぞろ近づき「なんだ?なんだ?」と騒ぎ出す。俺のほうに
もいよいよガキどもがあつまり、
「おい、お前何やってんの?」
と言い始めていた。
そりゃ、こんなところに奇妙なポーズをしてる女とダンボールを頭にかぶった男が、微
動だにせずぼさっと突っ立ていれば、気にもなるだろう。だがこれには飯がかかっている。
ある意味じゃ仕事みたいなものだ。こんなところでは手を抜いてはいけないと俺は強く自
分に言い聞かせ、それこそ念を唱えるかのごとく眼をつぶり目黙然と精神集中を始めたと
いうのは全くの嘘で、耐え切れなくなった俺はガキども全員に
「うるさいガキンチョども!ホモバーに売り飛ばすぞてめぇら!」
と啖呵を切ってみた。
俺の叫び声にびびったガキどもは、餌に群がった蟻の緊急非難の如くあたりに散ってい
った。軟弱なやつらである。俺は誰もいなくなったのを確認すると、観鈴に声をかけた。
「なぁ、そろそろ上に行こうぜ」
観鈴は黙ったまま口を開こうとはしない。
どうやら本気で風の到来を待つつもりらしく、ただじっとスキップの途中のポーズをしていた。
風はなかなか来ない。いらいらする。俺はこの事態を打破すべく、一計を案じた。
「観鈴、白はくんだな、お前」
「えぇ!!」
そうだ。
実はずっと見えていたりした。
段差ということもあるんだろうが、足を上げっぱなしのままの観鈴はじっと同じポーズ
をしようとするあまり、少しずつ体制がくずてしまっていた。それでもバランスをとろう
とすると、足がどんどんあがってしまうわけだ。
「ほぉ、なかなか大人っぽい感じのパン」
言い終わる前に、蹴りが俺の頭部を吹き飛ばしていた。
「もう、せっかくきちんとやれてたのに…往人さんのせいで台無し」
俺は腫れた頭をすりすりと撫でながら観鈴の言葉に黙って頷いていた。
まさか彼女に蹴られるとは思わんだな、だったので少々驚いていたりする。
結局仕方がないので、風が吹いてるわけじゃないのに俺たちはそのまま進むことになった。
一応は怪我の功名としておくべきだろうと思う。
道の両側は、延々と背の高い竹林や林に囲まれている。セミの鳴き声がけたたましく、
せっかくの涼しい空気を台無しにしているようにも思えた。石段をある程度昇り頂上が見
えてくる頃には、さすがの俺もそれなりに疲れていた。観鈴もやはり疲れているらしく
、「ふぅふぅ、きついきつい」なんておどけていっていた。
頂上につくと、そこは夏祭りでしか見る機会のないような立派な社がたっていた。
まぁ見るからに結構な年代モノであるし、古びたというよりは既に寂れた感じがしてな
んとも言えない感慨を持ってしまう。とはいえ今の俺にはそんなことはどうでもいいわけで。
観鈴がぐっと体を伸ばして思う存分、日の光を浴びていた。その顔は何か妙に満足げだったように見える。
「風、気持ちいい」
風はいまのところそよそよと髪がなびく程度に流れていた。やませが吹く東北では、風
というものはもっと切実な悩みの種なのだろうけれど、少なくともこうやってぼうっとし
ている分にはそんなものには全く思えないから不思議なものだ。
俺たちはそのまま境内の方に足を運び、その縁側に腰を下ろした。
「おい」
俺はそんな開放的な気分からか、なんとなく話してみるかと思いたった。
「何?往人さん」
くるりと観鈴が体をこちらに振り向かせた。
「頂上に上った後、まぁ今はしてないんだが…昔は先導の女はどうなったかわかるか?」 彼女は何を言っているのか最初わからかったと見え、む?と表情を変える。
「何かするの?」
「あぁ」俺は答える。「一番大事なことをする」
「何?」
「崖から飛び降りてな、生贄になるんだよ」
俺はそういい、観鈴を崖から蹴り落とした。
………。
……。
…。
いや、嘘だけど。つぅか崖なんかないし。というかそれはどうでもいい。
観鈴はいつものどこか間の抜けた顔で俺の顔をじっと見ていた。
「なんだか、かわいそう」
「そりゃ昔の風習だからな。そういうことをすることもあるだろう」
俺は少しだけわざとおどけたような仕草をしてそう言ったが、彼女はやはり悲しそうな顔
をした。
「でもな、一人だけそれに反対した女がいたんだよ、昔」
「え?」
その女は町1番の美人で、いつも活気に溢れよく働く女だったと言う。名はわからない
。町の人間からの信頼も高く、笑顔で毎日皆を和ませていた。そんな女であるのだから当
然、舵狩地詰祭の先導へと抜擢されるのも遅くなかったらしい。彼女は当初、喜んで町の
みんなの為に命を捨てましょうといっていた。
彼女のことを悲しむ人間は多かった。町のことより、彼女のことを想う人間も多かった
のだ。それに彼女には将来を誓った相手も居た。彼は彼女を何度も何度も説得したが、と
うとう祭りの日までに彼女のことを止めることはできなかった。
当日、例年のように滞りなく祭は進んでいった。彼女が生贄に向かう瞬間も、刻一刻と
近づいてきていた。彼女も己に与えられた仕事をひとつひとつきちんとこなしていく。そ
して彼女が崖の上に一人で上り、まさに祭りのクライマックスである、生贄の崖降りにな
った折。その時、彼女は想わぬ言葉を皆に投げかけたのだ。
「わたすはこの腹に、新しか赤ん坊(おぼっこ)さ抱えとるでな。まだ見ぬおぼっこば見
ずして、どうあんして死ぬことができましょう?」
「その人はじゃぁ」
観鈴はじっと俺の顔を覗き込んでいる。朝よりも尚一層、俺の話を聞きこんでいた。
「あぁ、飛び降りなかったのさ。彼女がその言葉を口にした瞬間、町の皆は黙り込み、そ
してしばらくすると口々に彼女を罵った」
「酷い…」
「そういうご時世のときだったんだ。仕方がないんじゃないか?」
俺が言うと、彼女は視線を今度は下におろし、何かやはり悲しそうに下を見ていた。
風がひょうひょうと、今度は少しばかり強く流れていた。
辺りの木々がそれに答えるように、かさかかさ音を立てながら小さく揺れていた。
観鈴は何を思い立ったか、急に立ちあがり、俺にこう言った。
「ねぇ、一緒についてきて」
俺は何も言わず、その言葉に従い彼女についていった。
観鈴は黙ったまま、社の横を通り、ちょうどその裏側にあたるような場所に入った。さら
にその奥、道のない竹林の中へとわけ入る。どこへ行こうとしているのかまったく予測も
つかなかった。時折、竹林が風で大きく揺れていた。徐々に風が強くなってきているんだ
ろうと思う。もしかしたら一雨くるだろうか、と思っていた頃
「着いたっ」
と観鈴が前方で言っている声が聞こえた。
そこは隣の町が一望できるような、かなり急な崖の上にある高台だった。
高台とはいっても家二、三件分くらいの広さしかなく、そこはなかなかに狭い。雑草もぼ
うぼうと繁茂して、とても人の来るためような場所のようには思えなかった。とはいえ、
その風景は絶景と言うに相応しいものだった。
「へぇ」
と俺は思わず声を洩らす。
「ここはね、私しか知らないとっておきの場所」
観鈴はそう言いながら、少しずつ前へと歩いていく。
「おい、あんまりそっち行くと危ないぞ」
「大丈夫だよ」
彼女はにっこりと笑ってそう答える。
「ねぇ、往人さん」
彼女はじっと俺とは反対の方の空を見ていた。
「なんだ?」
「さっき言ってた女の人がもし私なら、きっと飛び降りてたと思う」
「そうか」
観鈴の目はうつろだった。風はより一層強さを増し、あたりの植物たちを揺らしていた。
がさがさという擦れる音。その中に立つ少女。
「嘘じゃないよ?だって、私はみんなに幸せになって欲しいもん。赤ちゃんも、幸せにな
って欲しいけれど…でも、その子もまた私なんだから。だから私、私だったら飛び込んで
るな」
その意見は、少し飛躍しすぎている感があったが、それはそれで彼女らしいと俺は思っ
たから「そうか」とだけ、もう一度答えていた。
「でも、悲しむやつもいるんじゃないか?」
「居ないよ」
その瞬間、観鈴はその崖の向こうに足を進めていた。
一瞬で、彼女の姿がその場から「消えた」のだ。いや、落ちた。
そうとわかるまでにどれだけの時間を要したのかよくわからなかったが、気付けば走り出
し、やはり彼女と同じ方向に俺も落ちていた。
何度か石壁で腰を打ち「観鈴!」と口が勝手に叫んでいたような気がする。
しばらくそうやって落ちていると、どさりと、平らな地面に落ちたのを肌で感じだ。
何がどうなったのかよくわからない。
咄嗟に観鈴のことを思いだし、もう一度「観鈴!?」と叫んでいた。
「往人さん、大丈夫?」
「……あんまり…」
観鈴が当たり前のように俺の目の前に現れた。瞬間、拍子抜けした俺は、そのばでぐったりと四肢を伸ばした。
「何でお前が無事なんだよ」
「あれ」
観鈴はそう言いながら俺たちが落ちてきた方の崖を指差した。
よく見るとそれはなだらかなカーブを描いており、ここはちょうど高台からでは死角にな
るぎりぎりの平地だったのだ。つまり、観鈴にはめられたわけである。
「おまえさ、頼むから変なことするなよ…」
「ごめんなさい、往人さん…その、そんなに急に飛び降りてくるなんて思わなかったから」
どうも、ゆっくり降りれば怪我をせずとも普通に降りれる場所のようだ。
それを無理矢理、それこそ落ちるように転がってきた俺は、結構全身をすりむいていたみたいだった。
「その…あの…往人さんが追ってくるなんて思わなかったから?」
「あ?」
「あの…往人さんは私のことなんか見てないだろうしって…」
俺はひとつため息をつき、そして満身創痍の体を無理矢理起こして立ちあがった。
観鈴の頭の上に手をのせ、がさつにその髪をくしゃくしゃにした。
「わっ…ゆ、往人さん?」
観鈴は不思議そうに俺の顔を見つめていた。
「お前そういや、あそこで最後に変なこといってたよな?」
「え?」
「俺が悲しむやつがいるだろ、って聞いたら『居ない』とかいってたろうが」
そんなことを言うのは、寂しいことだ。
「でも…」
「お前がどうでもいいんだったら、俺だってお前のことを追いかけたりはしない」
「…」
「観鈴は俺の友達なんだろう?」
彼女は何も答えず、下をうつむいてしまった。
しばらくして、「にはは、往人さん…ともだち!」と言っていた。
少し涙を浮かべた、満面の笑みだった。
それにしても…。
あの話には実は続きがある。
結局あの女は、町の皆から追いたてられるように突き落とされそうになるのだ。それは
町のしきたりなのだからそうなるのは当然であり、むしろ女のそんな身勝手な理由で生贄
が生き延びていいわけがないのだ。そして最後に女が突き飛ばされ、落ちそうになった瞬
間、彼の旦那が彼女を抱きとめた。二人はそのまま抱きしめ合い、崖から落ちたのである。
そんなわけでその崖の名は…
この話を聞いたとき、まず俺はこんなことはしないだろうと考えて居たんだが…。
馬鹿げたラブロマンスは、大抵の場合作り話なんだからな。
しかしどうもそれは違ったらしい。
人間、一人じゃ生きてはいけないと言うことだろうか?
しばらくいろいろと考えてみたが、馬鹿らしくなってやめた。
「観鈴、もう帰るぞ」
まぁ、それでもいいかとも思う。
じりじりと嫌味のように照り付ける日光が、未だ続く夏を予感させる。
まったく。
夏はまだまだ続くわけである。
668 :
名無しさんだよもん:03/05/28 03:05 ID:4L1IU5DU
ん?
670 :
_:03/05/28 03:27 ID:+OusWpQB
みんな最後まで溜めすぎ……
もうちょっと早く落とそうぜ。
もうスレ容量が限界だ。
げ、まじか。投稿しようかと思ったのに入りそうにない……立ててみるわ。
675 :
名無しさんだよもん:03/05/28 08:05 ID:grg5tqeN
676 :
名無しさんだよもん:03/05/28 08:10 ID:aTCfin/Y
心配なので保守
678 :
名無しさんだよもん:03/06/02 14:37 ID:EfNZVx0X
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