DQNなお母さんは好きですか? 神尾晴子スレ

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242名無しさんだよもん
ここ数日は毎晩のように、観鈴と晴子との三人で酒盛りが続いている。
今日も夜が更けるまで飲み明かしていた。
無理やり酒を飲まされた観鈴が、横でひっくり返っている。
「なー居候ぉー」
「なんだよ」
べろべろに酔っ払った晴子が胸に寄りかかってきた。
「えっちしよー」
「俺らはいつからそんな関係になったんだ」
肩をつかんで引き離そうとしても、すぐにひっついてくる。
「観鈴がおると、こんなこともよーできんからなー」
「って隣にいるだろっ」
「ええやん、よう寝とるわ」
観鈴はぐうぐう寝息を立てている。
「目を覚ましたらどうするんだ」
「それならそれで、見せたったらええわ」
「バカいうな」
「大人のおべんきょうや」
ぐいっと顎を引き寄せられたかと思うと、そのまま口づけられる。
息が相当に酒くさい。
かじるように唇をねぶられ、舌を強引にねじこまれるに到って、俺はやっと晴子を引き離した。
「やめろって」
口の中にゲソのかけらが残っていた。
2432/13:03/07/15 13:22 ID:Nz6At4iN
「な、居候」
潤んだ瞳でしなだれかかってくる。
「セックスしよ」
「ダメだ」
「上げ膳据え膳、棚からぼたもち。若い男が遠慮するもんやないで」
「別に遠慮してるわけじゃない」
そっぽを向く。
「なんや、下半身はやる気まんまんやないか」
「どこ見てるんだっ」
あわてて身体ごとあさっての方へ向き直る。
「あ、ひょっとして」
ぎく…。
「居候、初めてなんか?」
「…悪いか」
 ぷーっ
晴子が噴きだした。
「あっはっはー、その年でチェリーかいな!」
「寝る」
「あ、嘘や嘘。そんなに怒らんといて」
「もう寝た」
横になって、大げさにいびきまでかいてみせる。
「大丈夫や」
ごそごそと毛布をまくりあげる感覚。
背中ごしに胸を押しつけてくる。
「うちかて初めてや」
後ろから抱きつかれていた。
2443/13:03/07/15 13:23 ID:Nz6At4iN
「バカいうな、それじゃあ観鈴は―」
どうして、と言い返そうとして思い出す。
観鈴の実の母は、すでに他界していたのだと。
「姉貴の子やねん」
耳に口を近づけて、つぶやくように告げる。
熱い吐息が首筋にかかってくすぐったい。
「だから問題ない」
「でも俺は―」
晴子のことが嫌いなわけではない。
だがただでさえ観鈴に振り回される毎日で疲れ果てているのに、
これ以上ややこしい関係を築くつもりもなかった。
「体だけなら、ええやろ」
晴子の手が胸から下半身にじわじわと下りてくる。
くすぐるように指をうごめかせながら、触れるか触れないかの加減で服の上をなでていく。
「なんや、居候もやっぱりその気やん…」
体は正直だ…。
俺の下半身は充血しきってガチガチだった。
ジーンズ越しに肉棒の形に指をそえられて、そのまま上下にゆるゆるとこすられる。
「な、しよ」
「今さら冗談でした、じゃ済まないぞ」
「うちは本気や。居候は―」
言葉を選びなおすだけの間があいた。
「往人は、遊びでもええけど」
「遊びでこんなことはしない」
2454/13:03/07/15 13:23 ID:Nz6At4iN
「若いんやな」
「あんたよりかはな」
いつものように軽口を叩いてやる。
晴子は怒らなかった。
代わりにカチャリとジーンズのベルトを外されて、晴子の手が直接俺のモノに触れる。
「ほんと、若いわ」
その硬さを楽しむように、握ったりゆるめたりしている。
俺は晴子の手に自分の手を添えた。
細い指。やや骨ばった手の甲。
その手は家事をほとんどやっていないにもかかわらず荒れていて、仕事の苦労を感じさせた。
「がんばってるんだな」
「…ん」
「観鈴のためか?」
「……」
背中越しに、晴子がうなずくのを感じた。
「素直じゃないんだな」
返事の代わりに、晴子の手に力がこめられる。
 きゅっ
しごき出すように上下させると、鈴口に人さし指をあててなでまわす。
そこはすでに濡れていて、ぬるぬるとした感触が俺にも伝わってくる。
「くっ…」
刺激が上半身に駆け抜けた。
2465/13:03/07/15 13:23 ID:Nz6At4iN
「素直になりたくても、なれない事情があるんや」
「どうして」
「観鈴は本当のうちの子やないから」
「そんなの関係ないだろ」
「…居候にはわからへんねん」
「ああ、わからない。バカだからな」
晴子の手をつかんで行為をやめさせると、俺は彼女に向き直った。
「観鈴の笑顔に引きかえられるものなんかない、違うか」
瞳をじっと見つめる。
深い藍色の光が沈んでいた。
「あんたに何がわかるんや…」
「晴子は、観鈴を、大好きだってことだ」
区切るように、言葉をつむいだ。
じっと見つめ返される。
普段の晴子からは考えられないほど不安そうな瞳。
観鈴の瞳と似ていると思った。
寂しくて、触れてほしくて、でも、素直に言い出せなくて。
今にも泣き出してしまいそうなくらい、壊れそうなほどに張りつめている心。
2476/13:03/07/15 13:24 ID:Nz6At4iN
「…居候は観鈴のこと、どうなん?」
「好きってのとはだいぶ違うと思うが」
観鈴と出会ってからの、ほんのわずかな日々を思い返す。
「なんなんだろうな」
それはほんの一週間のことなのに、まるで家族のように馴染んでいる自分に気付いていた。
「まるで…」
「まるで妹ができたみたい?」
晴子は微笑んでいた。
「そうだな。妹がいたら、あんな感じなのかもしれないな」
俺も微笑みを返していた。
「あんたら、はたから見ててもそんな感じやもん」
クスクス笑う。
「できの悪い兄貴と、すぐ転ぶドジな妹ってとこや」
「じゃあ晴子は」
「うちは、なんやろなー」
2487/13:03/07/15 13:25 ID:mHu6IV0W
「そない説明できるほどの関係やあらへんもん」
「そうか?」
晴子と観鈴がそろっている場面を俺は数えるほどしか見ていない。
だが観鈴に言わせると、それでも俺が来る前よりは長く一緒にいるのだという。
観鈴はすぐ寝てしまい、晴子は泥酔するまで飲んで帰ってこない。
二人はただ一つ屋根の下に暮らしているだけなのだろうか。
そんなことはないと思った。
「自分のことはわからないもんだ」
すぐ目の前に、晴子の思案顔。
気が強くて、いいかげんで、怒りっぽくて。
そんな晴子がふと垣間見せる、さびしそうな瞳。
誰よりも観鈴のことを心配しているのは、きっと晴子だった。
晴子の顔にかかる前髪をわけてじっと見つめる。
ぼんやりと見つめ返してくる瞳。
「往人…」
「ん」
「キスして」
瞳を閉じて俺の返事を待つ。
自分から言い出したくせに晴子は震えていた。
返事の代わりに、俺は晴子を抱き寄せる。
2498/13:03/07/15 13:25 ID:mHu6IV0W
長い、それは長いキスだった。
熱く湿った舌を絡めてつつきあい、互いの唇をあま噛みする。
その途中、観鈴の方にふと目をやる。
かすかに開いていた目をあわてて閉じるのが見えた。
「…晴子…」
「…知ってる…」
「…どうする?」
「…初めに言うたやろ。おべんきょうや…」
そうささやいて、再び唇を重ねてきた。
くちゅくちゅと互いの唾液を交換しあう淫猥な音が響く。
初めこそ酒の苦味が残っていたが、やがて晴子そのものの味になっていた。
服を脱がせ、舌と手をすべらせて愛撫する。
首筋に舌を這わせ、胸をこすり合わせて。
身体を一撫でするごとにビクンと跳ねる晴子の身体。
だんだんと吐息も激しく、あえぐ声も激しくなってくる。
「…んっ、往人…初めてにしては上手やん…」
「…そうか?」
「…うんっ、あ、そこぉ…」
晴子が感じるところを探し出そうと、全身くまなく唇でくすぐり、音が出るほど強く吸う。
手指の先。短く切り揃えられた爪。
首筋。いつも外を走り回っているからだろう、そこだけ浅黒く日焼けしていた。
胸から脇の下。鼻をこすりつけると、くすぐったそうに脇を閉じようとしてくる。
押しのけて脇の下を舌でつつく。
「ひゃうっ!」
「晴子、ここ弱いんだな」
「ちゃうて…、くすぐったいだけや…」
2509/13:03/07/15 13:26 ID:mHu6IV0W
無視して舌で愛撫を続けながら、へそ周りから脇腹を手のひらでゆっくり撫でまわす。
初めはくすぐったそうだった晴子も慣れてきたのか、ただ感じるままに声をあげるようになっていた。
「あっ、ダメやて…あんまりキスマークつけんといて…」
せがむ晴子を無視して首筋にキスをあびせ、噛み跡を残す。
「はあ…」
逆効果だと知って、それ以上は何も言わなかった。
下半身の茂みに到着した頃には、そこはすっかり濡れそぼっていた。
ふくらみに手を這わせ、やわやわとした恥毛の感触を楽しむ。
「…じらさんといて……」
晴子が苦しそうな顔でせがむのを見て、愛しさがこみあげる。
まだ男を受け入れたことのないピンク色のつぼみ。
「処女だからな、大事に扱ってやらないとな」
紳士のごとく優しく接してみる。
もちろん嫌がらせだ。
「痛いの、嫌だろ」
「……」
ふいっと目をそらす。
いつもの晴子から受ける気強いイメージとは違うしぐさ。
「怖いのか?」
「……」
弱々しくにらみ返すだけで、何も言わない。
いや、言えないのだろう。
その表情には恥じらいすら垣間見えていた。
「かわいいぜ、晴子」
「な…」
25110/13:03/07/15 13:26 ID:mHu6IV0W
「おまえ気の強い振りしてるけど、実は怖がりだろ」
「…アホ…何を言い出すんや」
「普段は酒の力を借りてるだけだ。それを証拠に、ほら」
首筋に手を添わせる。
震えていた。
指の先に感じる、激しい脈動。
「さびしがりやで、怖がりだ」
「あ…」
指でそのままくすぐる。
ぎゅっと目を閉じて、ビクンと身体をちぢこませる。
「怖いから、それが現実になる前に避けようとする」
「違う…」
「怖くてさびしいから、何でも勝ち負けに持っていこうとする」
「……」
首に唇を這わせる。
「家庭も、恋愛も」
「…だって」
「ん?」
「…だって、しょうがないやんか…」
「何が」
ぎゅっ。
俺の手をつかむと、そのまましがみついてくる。
「うち、誰も家族おらへんもん…誰も…」
25211/13:03/07/15 13:26 ID:mHu6IV0W
「いるだろ、家族」
「……」
ふるふると首を振る。
「そう思い込んでるだけだ」
「……う…」
「…泣いてるのか?」
「…だって……」
耳元で吐息が深く漏れたかと思うと、激しくしゃくりあげる。
「…ひくっ…だって、うち…観鈴…」
「ああ」
優しく頭をなでてやる。
子どもをあやすように。
「両親も姉貴も死んで…もう誰も家族いなくなって…悲しくて…もう誰も要らないって…。
 男だって、遊びで、ゲームで…だって、そやろ…結婚する気もあらへんのに…本気になったって…」
「そうだな」
ぎゅうっ。
背に回された腕に力がこもる。
「…もう…遅いんかな…」
「おまえはどう思ってるかは知らんが」
ちらりと観鈴を見やる。
「おまえがそう言ってくれるのを、馬鹿正直にずっと待ってる奴がいるってのは、確かだな」
「…そっか…せやな…」
「ああ」
「な…居候…」
「ん?」
「…お願い」
「…ああ。俺でいいなら」
25312/13:03/07/15 13:27 ID:mHu6IV0W
………。
……。
…。
「うち、行かなあかんとこがあるねん」
翌朝、まだ暗い居間。
夜も明けきらないうちに、晴子は準備を終えていた。
「どこに」
「温泉巡りや」
目をこすりながらたずねると、そう言って笑った。
迷いの消えた瞳で。
「おまえ、ほんと素直じゃないな」
起き上がろうとする俺に、しーっと声を下げるよう指で合図する。
「…だから、素直になるために行くんやないか…」
晴子は、観鈴に聞こえないようにささやいた。寝ている観鈴の頭をやわらかくなでながら。
今さら観鈴に聞こえないようにしても意味がないだろうと思う。
単に照れくさかったのだろう。
25413/13:03/07/15 13:27 ID:mHu6IV0W
「…夢を見ているんだ」
「ん?」
「…観鈴は今、夢を見ている」
晴子がいぶかしげに俺を見る。
急いでいるのに、何を言い出すのかと。
「空を飛ぶ夢だ」
「…ああ、何かそないなこと言うとったな」
言ったところでどうなるものでもないのだろう。
だが、もし俺の母の言葉が真実なら。
言っておかねばならない。
「昨日の朝、悪夢に変わった」
「それが…どうかしたんか」
呪いのように重苦しく響く悪夢という言葉が、晴子の顔を曇らせる。
「いや、説明してもどうせ信じないだろう。ただこれだけは覚えておいてほしい」
仰々しげな物言いに、晴子も思わずゴクリとツバを飲む。
じっと見つめて、俺は言った。
「後悔しないようにな」
「なんや、そんなことか……」
「ああ、そんなことだ」
「もちろん、初めからそのつもりや」
ニコリとウインクする。
「だろうな。言うまでもなかったな」
「…ほな、うち行くわ」
「ああ」
踵を返し、歩き出した。
「またな」