>>74 殿 山神シナリオ 石川弁(穴水地方)方言Ver ネタばれ部分削除済み
「よう、暇そうやじ。なんかして遊ばん?」(BGM 梓 )
腰に手を当てそう言ったのは、もちろん梓だった。
「お前なあ・・・。普通に話しかけて来れねーのか?」
「だらな顔しとったから、目を覚ましてやったがいね」
相変わらずの生意気な口調でそう言った。
「眠たくない。考え事してたんだ」
「なんなん、悩みでもあるんけ?俺が相談に乗ってやるじ」
「やめやめ」
「え?なんでなん?」
俺がそう言ったとき、居間のほうから初音ちゃんと楓ちゃんが駆け寄ってきた
「耕一お兄ちゃーん。一緒に遊びまっしー」
「遊びまっしー」
ふたり同時に俺の手を引っ張った。
ふたりともまだ小さく、背は俺の半分くらいしかない。
「いや、俺、いまちょっと、梓と・・・」
言いかけて、やめた。ま、いっか。梓に相談するのはやめだ。
「遊びまっしー」
もう一度初音ちゃんが言った。
「うん、じゃあ、いいけど。遊ぶって、なにして?」
「動物のお医者さんごっこしまっし?」
「お、お医者さんごっこ・・・?」
「うん。わたしのお部屋にいっぱいあるじ、ぬいぐるみ」
初音ちゃんは真っ直ぐ俺の目を見て言った。
ああ・・・。お医者さんって獣医さんのことか。
「あー、何だらな事言うとるわいや!耕一はおれと遊ぶぞいね」
梓が言った
「そんなら、梓お姉ちゃんと一緒に遊ぶわいね」
にっこり笑って言った初音ちゃんに対し、梓が意地悪な顔をした
「へえ?、いいんか?ハシゴ使って屋根の上に登るんやじ、登れるんか、初音?」
「え・・・」
初音ちゃんは怯えた顔で後に下がった。
「ははは。初音は高いの苦手やわいね。楓は平気なんやけど、な?」
「うん」
楓ちゃんはうなずいた。
「だったら意地悪しないで、違う事して遊べばいいじゃん」
「違う事って、なんなん?」
「なにって・・・うーん・・・」
俺が悩んでいると
「みんなー」
後から声がして、全員振りかえった。
千鶴さんだった。(BGM 千鶴 )
「アイス買ってきたじ。みんなの分」
千鶴さんはそう言って、コンビニのビニール袋を見せた。
「うわー、ほんま?らっきー」
早速梓が嬉しそうな顔で飛びついた。
「ほんなら。おれ、グレープシャーベットにしよ」
楓ちゃんはチョコクッキー初音ちゃんはバナナプリンをそれぞれ選んだ。
「耕ちゃんは?あとはバニラとチョコナッツがありまっし?」
「べつにどっちでも・・・」
「どっち?」
「じゃあ。チョコ・・・」
「はい」
俺はにっこり笑って差し出す千鶴さんからチョコナッツを受け取った。
「よーし、食うぞいやー」
そう言うと、梓は包み紙をめくって、裏側を舐めた。(BGM ためいき )
楓ちゃんと初音ちゃんも、梓を真似して同じように舐める。
「こら、行儀悪いじ。みんな」
「そんな事言うたって、もったいないがいね」
「もう・・・。ゴミ、庭に捨てたら駄目やわいね?」
「わかっとるじ」
「あ、耕ちゃん。ほれ、アイス溶けとりまっし?」
「え・・・あ・・・」
溶けて落ちそうなアイスを慌てて舐めた。
それを見て、千鶴さんはにっこり笑った。
萌える・・・か?