葉鍵的 SS コンペスレ 7

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547独断と偏見@おまけ
年間設定賞『パンツ物語』
 「よう。俺はパンツだ。ふざけちゃいないぜ。正真正銘のパンツ様だ。」冒頭の部分ですが、
これだけでも読者を世界に引きずり込む力があるかと思います。こんな主人公、誰も思いつき
ません。単なるギャグかと思いきや、本編とも絡めたストーリーテリングもさることながら、
やっぱり設定の面白さに尽きるのではないでしょうか。

同『発露』
 文章力も高く、構成も一級品な「五月雨堂奇譚」と重なってしまったがために、埋もれて
しまった感もあるSSです。切ない試作機の想いと、長瀬たちの研究者魂。読者を深い余韻に
浸らせてくれるのは、この試作機の設定に依るところが大きいかと思われます。哀しくなる
わけでもなく、かといって笑うわけでもなく。これをTRUEENDと呼ぶのかもしれません。

年間テーマ賞『逃げ水と』
 第五回は豊作の回でした。発想の「居酒屋にて」、卓越した文章力「決別」、構成が面白い
「嘘の世界」などなど。いずれも最優秀になってもおかしくないSSなのですが、本作品は
圧倒的な力をもって最優秀を掻っ攫ったように思います。段違いの描写力、独自性のある
設定、どれを取っても素晴らしいのですが、特に、テーマである“嘘”を非常に巧く使った
曼珠沙華の暗喩が印象的です。