心の氷とかして……千鶴さん(柏木千鶴スレ18)

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726名無しさんだよもん
広大なる柏木家の奥の奥。 普段は誰も立ち入らない開かずの居間があるという。

ピピピピピピ… カシャ ジーー
「なんの音だろ? 」
その微かな音を聞きつけて、耕一は柏木家の奥へと進んでゆく。

ピピピピピピ… カシャ ジーー
「こっちか… あれ!? こんなトコにも部屋があったのか 」

『よーし、次はちょっと大胆なの撮っちゃいましょ 』
ピピピピピピ… カシャ ジーー
「千鶴さんの声… だよな? なんか、ちょっと違和感あるケド 」
耕一は軽くフスマをノックして声をかけた。
「千鶴さん何してるの? 入ってもいいかな 」

『こっ、耕一さんっ! 今は、その… ちょっと… ごめんなさーい!! 』
ゴゾゴソ ガタッ ガサガサガサ ガッシャーーーーーン
「ちっ、千鶴さん一体何を! 」
驚いた耕一が部屋に飛び込むと、
其処にあったのは、脱ぎ散らかされた数点の衣類、そして内側から破壊された窓。
727名無しさんだよもん:03/05/12 23:31 ID:pF8JlmrV
「千鶴さん… なにも、窓ブチ破って逃げなくても…… 」
あきれた耕一が部屋を見回すと、窓の近くに数枚の写真(>674>678>702)が落ちていた。
「こっ、これはッッ! 中学生時代の千鶴さんッッ!! 」
思わぬお宝に狂喜乱舞しつつも、見落としがあってはならぬと更に細心に部屋中を調べる耕一。
その執念が実ってか、更に1枚の写真(>674)を発見することができた。

「おおっ、こんな所にもあったか〜 (はぁと 」
耕一は部屋の隅に転がっていたポラロイドカメラから、
半ば吐き出されていた写真を手に入れた。
じわじわと像を浮き上がらせていくソレを、満面の笑みで見つめる耕一。
「オォ! 下着姿ァァ!! 中学生ち〜ちゃんの下着姿ァァァァ!! 」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、ちょっと待て。
 なんで千鶴さんの中学生時代の写真が、今、ポラロイドカメラから出てきてるんだよ!?」
すっかり舞い上がった耕一がそれに気付くまで、たっぷり数分が経過していた。

「そうか… 今年も、もうそんな季節なんだね… 」
「うおっΣ(゚д゚) 梓、いつのまに後ろに… 」
「あんだけ騒いでれば、誰だって気付くわよ! 」
「そっ、そうか… ところで、『今年も』ってどういう事だ? 」
728名無しさんだよもん:03/05/12 23:32 ID:pF8JlmrV
梓は神妙な面持ちで語り始めた。 もはや恒例行事と化している、姉の悲しい一面を…
「なぁ、耕一。
 あたし達には鬼の力があるよな。
 そして、鬼の力ってのは、ただ力が強くなるだけじゃない、
 いわば、強い願いを形に変える、心の力みたいなものなんだ 」
「ああ、判るよ。
 あの時、俺は、千鶴さんを助けるためにあの姿を手に入れた。
 いわばあの鬼の姿は、俺の千鶴さんを助けたい気持ちが形を変えたものだからな 」
「そこまでわかってるなら、話は早い。
 つまり、その写真に写ってるのは、千鶴姉ぇの願いが形になったものなんだ 」
「へ? 」

「ここ数年、千鶴姉ぇ誕生日のたびに憂鬱そうでさ。
 歳をとるのを異常に気にしてるみたいなんだよね。
 まぁ、主に耕一と一時的にでも歳の差が開くのが嫌みたいなんだけど 」
「そうだったのか… 気付かなかった… 
 千鶴さん、年より若く見えるし、そういうの気にしてないのかと思ってたよ… 」

「で、ここからが問題なんだけど、
 千鶴姉ぇは、歳をとりたくない思いが強いばっかりに、
 誕生日が近くなると 若 返 る んだ 」
「(゚Д゚)ハァ? 」

「別に若作りするとか、そんなことじゃなく、本当に一時的に若くなるんだ。
 特に今年は三十路の大台を前にして、だいぶ派手に若返ったみたいだな。
 まさか、中学生になってるとは… 」
「・・・・・・・・」
729名無しさんだよもん:03/05/12 23:33 ID:pF8JlmrV
「さすがに若返った姿を誰かに見せるわけにも行かないから、
 いじましく一人で写真に撮ったりしてるみたいなんだよ…
 まぁ、これも耕一を思う気持ちの現れな訳だから、
 優しい言葉の一つもかけてやってくれよ。 って、耕一何やってるんだ! 」
「(*゚∀゚)=3  (゚Д゚≡゚Д゚)キョロキョロ 」
 
「まさか、中学生になった千鶴姉ぇに手を出そうってのか… 淫行だぞ! 」
    _, ._
  ( ゚ Д゚)

「なんだ、その不満そうな顔は… って、ヲイ待て… 行っちゃった…… 」

たとえ三十路を迎えようと、莫迦ップルは莫迦ップルなんだなぁと、呆れつつ、
せめて姉夫婦が幸せでありますようにと、願う梓でありました。


〜 後日談 〜
「ねぇ、千鶴さん。
 確かに中学生時代の千鶴さんは、俺の恋心の原点で特別な存在なんだけど、
 でも、今の俺がこうして抱きしめて幸せを感じるのは、今の千鶴さんだけなんだよ 」
「はい… 私も今の耕一さんが大好きですよ 」
「一緒に歳をとっていこうね、千鶴さん 」
「はい 」


「・・・・でも、中学生の私を散々手篭めにしてから言っても説得力無いですよ。
 痛かったんですからね 」
「ごっ、ごめん… マサカ マクマデ サイセイシテルト オモワナクテ 」