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987名無しさんだよもん
 玉座の前に、微笑を浮かべる秋子は佇んでいた。
 その脇には一振りの刀が差されている。
 微笑も全く崩さず言う。
「こんなところで話し合うのも味気ないでしょう。……空中庭園へ行きましょうか」
「何処へなりとも」
 歩き出した秋子に対し、祐一は恭しく頭を垂れた。
 
 空中庭園……ヒンメルの中でも秘匿中の秘匿と言われる、その区画。
 秋子のみしか立ち入ることの許されない、小さな箱庭。
 専用のドアを越えた祐一が見たもの。それは、常に太陽の光を浴びれるよう計算して作られた小さな花壇の群れと、その中心に据え付けられた小さな十字架だった。
「墓……?」
「祐一さんは十字架は大丈夫なんですよね?」
「もちろんです」
「……このお墓、どなたのものかわかりますか?」
「…………?」
「あなたの、お母さんです」
988名無しさんだよもん
「!」
 祐一の顔が驚愕に歪む。
「馬鹿……な……!? 馬鹿な!」
「あなたが今まで姉さんの墓だと思っていた共同墓地の墓碑。あれはただの形だけです。土の下には何もありません。
 彼女の亡骸は……ここに、埋まっています。水瀬家至上、最も美しく、最も気高く、最も強く、そして……最も愚かだった、あの人は」
「やめろッ!!!!」
 ドン!
 記憶の底をぶん殴られたような衝撃を覚えた祐一は、思わず引き金を引いた。
 しかしほとんど狙いは定まっておらず、放たれた弾丸は秋子を逸れ、花壇の一角を削るに終わった。
「あの人は純粋すぎました。純粋すぎ、そして賢すぎました。賢すぎたゆえ、水瀬の教えに疑問を持ち、そして………」
「やめろ……! やめろ! やめるんだ…………!」
 銃を乱射する祐一。しかし秋子の言葉は止まらない。
「死にました。覚えていませんか祐一さん? 姉さんが死んだその場所に、あなたはいたんですよ? あなたは見たんですよ? 姉さんが死ぬ、その瞬間を?」
「やめろ……やめてくれ! それ以上……話さないでくれ! 思い出させないでくれ!」
 頭をおさえ、身をよじって頭痛に耐える祐一。
 しかし……

A そんな祐一に秋子の一撃が突き刺さる。
B 秋子の言葉は止まらない。