葉鍵大震災

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207名無しさんだよもん:03/03/04 22:14 ID:2S9AMtZ2
あぁ、ちなみに雅史はまだ死んでませんよ(笑)
208名無しさんだよもん:03/03/04 22:59 ID:jFsSPwuU
>雅史はまだ死んでませんよ

それは次の書き手次第ダネ(・∀・)
209FARE-M ◆7HKannaArk :03/03/04 23:11 ID:4nYGWdr6
とりあえず、ここまでの分は揚げ終わりました〜

ページの方に掲示板とかいるかなぁ……とか思ってみたり。
いるなら設置も検討しますが。

210亡父への決意と祈り1:03/03/06 01:43 ID:QQ6ssd16
「本当は救急箱が見つかれば良かったのですが……」
「しょうがないよ。いや、それが見つかっただけかなりラッキーじゃないかな」
「……そうですね。割れずに一本残っただけでも……」

元々、お酒は余り買ってませんでしたし、と続けて瓶の蓋を開け。
きゅっと口をつける。

「……しっかり眼を瞑ってくださいね」
「え、あ、ちょ――」

霧状のアルコールが俺の顔にかかる。
襲いくる物凄い痛み。俺は叫びだしそうになるのを危うく堪えた。
半壊したタンスから引っ張り出した自分の服で、楓ちゃんが俺の顔についた水分を押し付けるようにして拭ってくれる。
少女のいい匂いが俺の気を少しだけ紛らわせた。

「ぐ……そういえば、楓ちゃんに怪我は無いかい?」
「私は揺れると同時に力を解放できたので……」

穏やかに微笑みながら答える。
その美しい顔を見ていると俺は怪我をしたのが自分で良かったとすら思った。
211亡父への決意と祈り2:03/03/06 01:43 ID:QQ6ssd16
いよいよ火勢が強くなる。
燃える柏木邸。人生の全てをこの家で過ごしてきた少女の想いは、俺には計り知れなかった
千鶴さんと梓は今、隆山にいないはずだ。
初音ちゃんもまた、少し離れた学校に通っていたがゆえに、今近くにいるのかいないのか解らない。
たまたま学校が近くだった楓ちゃんと、家にいた俺はもしかしたらとんでもない幸運なのかもしれない。

少し高い場所にある柏木邸からは、隆山という町が見下ろせる。
いや、この場合見下ろせてしまった、だろうか。
…世界の終わりさえ感じさせる風景。
鬼の力により強化された五感が今は恨めしい。

きゅっと楓ちゃんが手を握ってきた。
俺もしっかりと握り返す。

(……何が起こったのか、まだ何か起こるのか俺には全然解らないけど……
必ず……必ず、今手の届く楓ちゃんは俺が守ってみせる。だから……俺たちが出会えるまで、千鶴さん、梓、初音ちゃんの事、守ってやってくれ……頼むよ……親父……)
212亡父への決意と祈り書き手:03/03/06 01:51 ID:QQ6ssd16
前回、全部読んで設定らしきものも目を通して書いたんですが見落としてしまって…
千鶴さんと梓は少し前からいなかったんですね…前回の楓の台詞、脳内で昨日→一昨日辺りにしてもらえると助かります…

地震前、地震中、地震後が終わったら(と、いうのも少しおかしいですが)どういう…うーん…ネタ、かな?にしたもんでしょうね
いや、リレーのままに、だとは思うんですが
今からある程度ネタだしいていった方が良いかな…と
街の復興、かな?まぁ、地味ですけど^^;
この地震が単なる自然災害かどうかもまた関係するでしょうし…
>>209
そういった話のできる場は欲しいかもしれません
けど、現状のペースならこのスレでネタだしも兼ねても良いかもしれませんけど
HOS
214名無しさんだよもん:03/03/08 09:42 ID:HFB39W8j
ほしゅ
215目が覚めれば1:03/03/08 18:37 ID:soeOUmMx
「ったく、なんてこったよ!」
 廃墟と化した商店街を駆け抜けながら、南明義はそう愚痴った。

 今日は久しぶりに暇ができたので、商店街を当ても無くぶらぶらしていた。
 意味もなくゲームセンターや服屋をめぐり、そろそろぶらつくのにも飽きた来たころ、唐突にそれはやってきた。
 始めは小さな揺れ。
 地震か?と思いつつ、歩みを止め、周囲を見渡した。
 周りには幸せそうに歩く親子連れや、談笑している男女。
 本当に何も無い、平和な世界が広がっていた。
 その日常の風景に安心したかのように、歩みを再開したとき。
 ぐらり。
 踏み出した右足の先のアスファルトが、急に傾いた気がした。
 バランスを崩し、倒れかけた南に今度は、地面が突き上げるように襲い掛かった。
 跳ね飛ばされたように宙を舞い、そこで南の意識は暗転していった。

 どれだけの時間気を失っていたのかわからなかったが、気がついた自分が目にしたものは、地獄とも呼べる惨状だった。
 看板が落ち、ショーウィンドウが割れた服屋。
 瓦礫と化し、原型を留めていない喫茶店。
 ワッフルが人気だった山葉堂からは火の手が上がっている。
 そして、つい先ほどまで親子連れやカップルがいた場所には、瓦礫の山が降り積もり、人の姿は見えなかった。
216目が覚めれば2:03/03/08 18:43 ID:soeOUmMx
「ちくしょう!」
 幸い、数ヶ所を擦り剥くだけですんだ自分は、その場に留まるのは危険だと判断し、すぐにそこから走り出した。
 行く当てなど当然無かったが、とりあえず簡単には崩れないだろうという理由と、折原や住井がいるかもしれない、という理由で自分の母校へ向かうことにした。
 そして、もう少しで学校が見えるかというころ。
 うちの学校の制服を着た女生徒が目に飛び込んできた。
「おい、あんた!大丈夫かっ!?」
 座り込んだ女生徒に駆け寄り、声をかけた。
「う〜、いたいよ〜。目がちかちかするよ〜」
 どうやら頭を打ったらしく、頭を押さえ涙目になって情けない声を出していた。
「ちょっとごめんね」
 簡単に傷を調べてみたが、少したんこぶになっているだけで特に大したことはないようだった。だが、素人判断なので安心はできない。頭の怪我の場合は特にそうだ。
 学校に行けば保健の教師がいるかもしれない。
 とにかくここにいるよりかは、学校へ行ったほうがずっといいだろう。
「とにかく学校まで一緒に行ってみよう。立てる?」
 そう言って、女生徒の前に手を差し伸べた。
 だが、女生徒は不安げな表情で、差し出した自分の手を探るように右手を空中でぶらぶらさせている。
「えっと……どこにいるのかな?」
 もしかしたら、うちの学校の三年に盲目の生徒がいるって話を聞いたことがあったけど……まさかこの人が……。
(よく無事だったな……)
 とにかく盲目だと知ったら、なお更放っておくわけにはいかない。
217目が覚めれば3:03/03/08 18:45 ID:soeOUmMx
「よっ、と」
 自分から女生徒の手を握り、それを引っ張って立ち上がらせる。
「あ、ありがとう」
 立ち上がった女生徒の身体を見てみるが、どこにも外傷はないようだった。
「どこか痛むところとかありますか?」
「うん・・・頭以外は大丈夫みたいだよ」
 そう言って、女生徒は自分の制服をパンパンはたいている。
「地震があったんだよね……?」
「そう……だと思います」
 記憶が途切れる前、商店街にいたときのあの突き上げるような揺さぶり。
 そして、目が覚めたときに廃墟となっていた商店街。
 多分間違いないだろう。
「とにかく、うちの学校に行ってみましょう。あそこなら滅多なことじゃ崩れないだろうし、他にも誰かいるかもしれませんから」
「え?」
「あっ、俺、南明義っていいます。先輩と同じ学校の二年です」
「わたしは川名みさきだよ。よろしくね、南君」
 そうしてにっこり微笑む川名先輩。
 この惨劇の中でこんな風に笑えるなんて、すごく強い人なのかもしれない。
「それじゃ、行きますよ。じゃ、俺の背中につかまってください」
「え?そ、そんな恥ずかしいよ〜」
「だめですよ。危ないじゃないですか。先輩目が見えないんでしょう?こんな瓦礫だらけの中歩けないですよ」
「え?」
「ほら早く」
「う、うん。じゃあ…」
 そうして、おずおずと背中におぶさってくる先輩。
「じゃ、しっかりつかまっててくださいね」

 そうして俺は盲目の先輩を背負って、学校を目指した。
218不安:03/03/08 20:44 ID:fpVDQGrc
高校までの道すがら、俺はみんなのことを考えていた。
住井や七瀬。茜や柚木。繭や澪。みさき先輩や深山先輩。
ついさっきまで長森の事ですっかり失念していたが、はたしてみんなは無事なのだろうか。

ふいに後ろを振り返ってみた。商店街から出火した火はかなり燃え広がってしまった。
商店街の方だったら住井が数人連れ立って繰り出しているかもしれない。
そういえば、茜が無理やり柚木にカラオケに誘われたとか言っていたような気がする。
まさか……
219不安 2:03/03/08 20:44 ID:fpVDQGrc
「ん、どうしたんだい?」
急に立ち止まったのが不思議だったのか、千堂さんが声をかけてきた。

「いえ、なんでもないです」
「そうかな?俺には何か考え事でもしてたような気がするけどね」
「やっぱりそうみえましたか」
「こんな時だからこそ、悪い方向に考えるよりみんな生きてるって信じている方がいいと思うな。」
「…千堂さんは、不安じゃないんですか?」
「え?」
「長森の家からここに来るまでの間に人が何人死んでいました?もしかしたら千堂さんの幼馴染だってもう――」

少し言い過ぎたかと思ったが、千堂さんはあまり怒ったような素振りを見せず言った。

「不安じゃないって言ったら嘘になる。でも、君はまだ生きてるって信じていたから瑞佳ちゃんを助けたんだろ?」
「!」
「生きてるって信じていれば助けることができる。それは君自身が証明したじゃないか。もっとも、こんな状態だから俺の街には戻れないけどね」
「ならどうして…」
「だから、俺はみんなを助けられない分、ここで一人でも多く助けようと思ったんだ」
「…」
「…ちょっと偽善者っぽかったかな?」
「いや、さっきはあんなこと言ってすみませんでした。俺、長森の事で気が滅入ってたんだと思います。高校についたらコイツと一緒に休みますよ」
「うん、休んだ方がいいよ。君も体に怪我してるようだし」

そうこうしている内に、高校が見えてきた。
220名無しさんだよもん:03/03/08 20:48 ID:fpVDQGrc
瑞佳は寝ていると脳内補完お願いしますw

明日中には続きを投下できると思うので、今しばらくお待ちください。
221名無しさんだよもん:03/03/09 23:55 ID:qUQQBIVS
>>220
続きどうした?
222名無しさんだよもん:03/03/10 10:08 ID:/6YgjXUK
 そう急くなって。ゆっくりまとうや。
223名無しさんだよもん:03/03/11 15:46 ID:6pqfl9vm
保存
224FARE-M ◆7HKannaArk :03/03/11 23:49 ID:4N8+Bcio
とりあえずページ更新〜
……やっとテスト終わった。
225名無しさんだよもん:03/03/13 07:47 ID:tMLYbW5m
保守
226名無しさんだよもん:03/03/13 12:14 ID:XSkUH/yg
       ∧_∧    ∧_∧     ∧_∧    ∧_∧
地震キタ━( ゚∀゚  )っ ━(  ゚∀゚ )っ━( ゚∀゚  )っ ━(  ゚∀゚ )っ━!!!!
     (つ   /     (つ   /   (つ   /     (つ   /
      |  (⌒)      |  (⌒)   |  (⌒)      |  (⌒)
     .し⌒ ̄      .し⌒ ̄   . し⌒ ̄      .し⌒
227名無しさんだよもん:03/03/13 12:31 ID:aEMDV54Q
上がったのは今の地震のせいかな?
…と思って覗いて見たらまさにその通りだった。
228名無しさんだよもん:03/03/13 13:29 ID:d8JdMKIz
ここは
ビジュアルアーツビルが地震で崩壊して
clannadが幻と消えることを仮定するスレですか?
229名無しさんだよもん:03/03/13 14:03 ID:9DC8mQi6
http://www.pink-angel.jp/betu/linkvp2/linkvp.html
★その目で確認すべし!!★超おすすめ★
230名無しさんだよもん:03/03/14 20:28 ID:iekO57L+
保守
231名無しさんだよもん:03/03/15 02:03 ID:MEjfVqSu
保守してみる
232名無しさんだよもん:03/03/16 04:00 ID:wnLDwxH/
もう少しだけ見守っていたい。
233165:03/03/16 21:55 ID:ywGSphcw
ども、岩切&観鈴書いた165ッス。
今週中に何か上げる予定。
多分、>204のあゆの続きで、秋○さんや○雪がでるかも。
岩切&観鈴の続きは・・・もちっと待ってクダサイ(汗
234名無しさんだよもん:03/03/16 22:26 ID:LPLiSNSH
kita-
235名無しさんだよもん:03/03/17 17:30 ID:tZSFl6uF
>>233
がんがれ〜
236安堵 1:03/03/17 23:14 ID:oQp67/zy
長森の家から高校までの間には倒壊した建物しかなかったため、校舎もだめじゃないのかと思っていたが、
少なからず崩れてはいるものの十分避難所の役割は果せていた。
校庭は被災者でごった返していて、とてもすぐに診てもらえそうになかった。
看護婦の一人に尋ねてみたところ、怪我の軽度の人から優先的に治療しているそうだが、
まだ当分先とのことだった。ここから少し離れた小さな病院で重度の患者を優先している、と付け加えてくれたが、打撲程度ではここと同じように待たされるのが関の山だと思い、ここに留まることにした。
校庭の端の方に、ボランティアの人からもらったシートを敷いて長森を横たえた。俺はその脇に座った。

「まだ痛みは引かないのか?」
「うん…ちょっと痛い」

最初はあまり気にならなかった腫れだったが、だんだん酷くなってきている。応急処置として冷やした布
を巻いて固定したが、すぐにでも専門の人に診てもらう必要があるだろう。
千堂さんが、紙袋と携帯を持ってうろうろしていたかと思うと、こっちにやってきた。

「そうだろうとは思ってたけど、やっぱりダメだね」

と言って携帯のディスプレイを見せてきた。そこには“圏外”の文字が躍っていた。

「そりゃそうですよ、こんな状態じゃ」
「やっぱりそうだよね…」
237名無しさんだよもん:03/03/17 23:24 ID:oQp67/zy
明日とか言っといて一週間以上空けてしまって申し訳ありませんでした…
中途半端なところで悪いですが、明日必ず投下します。

重ね重ね申し訳ありません(吊
238名無しさんだよもん:03/03/18 01:48 ID:Vm3aZyyk
>>237
乙彼
グッジョブ!
239名無しさんだよもん:03/03/18 04:24 ID:9gc/xR8p
おお、今日も楽しみ。
240名無しさんだよもん:03/03/18 05:05 ID:vrjMGkk5
楽しみにしてます
241安堵 2:03/03/18 20:19 ID:t68HQ5qM
「やっぱりそうだよね……俺って肝心なときにアイツに何もしてやれねえなぁ…」
「アイツ?」
「ああ、高校からの腐れ縁でここまできたんだけどね。ほんと苦労かけてるよ…」
「アイツってどn」
「どんな人なんですか?」

いきなり長森が話しに割り込んできた。

「なんていうか…瑞希って言うんだけど…面倒見がいいから俺も助かってるし…」
「じゃあ、恋人さんなんですか?」
「ち、違う違う。そんなもんじゃないよ、腐れ縁だって」
「俺たちみたいなもんだな」
「…腐れ縁?」
「まぁそんな感じかな。本当はもっと長い付き合いのヤツもいるし」
「そうなんですか。じゃあ、千堂さんの幼馴染ってどんな人なんですか?」
「ろくでもない奴だからあまり聞かない方がいいと思うけどね…」
「聞かせて欲しいです」
「そいつはな………」

いつもは自分から進んで話そうとしないはずの長森に、会話の主導権が乗っ取られてしまった。
悔しい。長森のくせに。
ま、そのくらい元気になったと思っておけばいいか。後は冗談を一発かまして…

「どなたか手の空いている方はいらっしゃいますか!?人手が足りませんのでご協力を願います!」

校舎の方から救援を求める声が聞こえてきた。かなり深刻らしい。無理もないだろう、商店街から
住宅地にかけての広い間で助かった人たちがここに来ているのだ。地震発生から少し経っているわけ
だし、そろそろ被害の少ない所から医療機関とか自衛隊とかが来てもいい頃合いなのだが、一向に
来る気配がない。それほど広範囲に被害を及ぼしたのだろうか。
242名無しさんだよもん:03/03/19 23:47 ID:bjOLdl6w
隔日連載、なのかな?
安堵というには、未だそれっぽくないし、続きそうな気配だもんな。
243名無しさんだよもん:03/03/20 18:18 ID:aLzwd2Ii
俺も投稿したいのだが、間に割り込むのは悪いから書き込みにくい…
244165:03/03/20 21:46 ID:G7J+X2Sb
>236、241
えっと、まだつづくのかな?
続くんだったら、終わってからにしよっと。
245安堵 3:03/03/21 00:50 ID:QLrXczCB
「よし…ちょっと行ってくるか」
「あ、俺も…」
「何言ってるんだ?君は瑞佳ちゃんと一緒じゃなきゃだめだろ?」
「あ、そうでした。そろそろ布取り替ないと」
「じゃ、浩平君、瑞佳ちゃん、また」

と言うと、千堂さんは仮設テントの方へ走り去っていった。
246安堵 4:03/03/21 00:50 ID:QLrXczCB
空は完全に闇に包まれた。俺たちは、煌々と校庭を照らしているライトの明かりに照らされていた。

「ほら長森、新しい布だぞ。取り替えるからな」
「うん…」

ぎこちない手つきで布を取替え始める。すると、突然長森が声をかけてきた。

「ね、浩平」
「ん?何だ?」
「…助けてくれてありがとうね」
「どうしたんだ、今更?」
「私、ずっと怖かったんだよ?気が付いたら天井が目の前にあって…助けてって叫んだり天井を叩いたりしたけど誰も来てくれなくて…だんだん声が枯れてきて助けが呼べなくなって」
「長森…」
「もう怖くて怖くてしょうがなかったんだよ。駄目なんじゃないかって思った。そしたら浩平の声がして。最初は空耳かなって思ったんだけど、本当に浩平の声で。嬉しかったけど声が出ないからずっと天井を叩いてたんだよ」
「俺がお前を見捨てるわけ無いだろ?じゃなきゃお前と毎朝一緒に走れなくなるからな」
「学校…こんなになっちゃったけど」
「ぐはぁ…それでもだ」
「浩平…変わらないね」
「お前もな」

どちらからともなく笑みがこぼれた。

「心配するな、お前には俺がついててやるから」
「…うん!」

長森が、俺に抱きついてきた。
247名無しさんだよもん:03/03/21 00:54 ID:QLrXczCB
投下完了です。これで「安堵」は完結しました。
皆さんには迷惑をかけたようで、(165さんとか、243さんとか…)すみませんでした。次回からは一まとめで投稿するよう努力します。
248別離と再会1:03/03/21 08:34 ID:OHDBIHqN
ども、165っす。

>247
別に気にしなくてもいいっすよ。では、>204の続きいくっす。あ、一応3〜4回を予定です。

*****

あれからどれぐらい経ったのだろう。ぼくは何もない真っ暗な空間を漂っていた。
『……ぼく、死んじゃったの?』
「いいえ、違うわ」
突然、声が聞こえたと思ったら、ぼくの目の前に薄い光に包まれた女の人が立っていた。

『……!』
その人を見たぼくはびっくりしてしまった。だって、その人はぼくの大好きな、大好きな……。
『……お母さん!』
「ふふふ、大きくなったわね、あゆ……」
嬉しくて飛びついたぼくをお母さんは優しく抱きとめると、軽く頭をなでてくれた。

『お母さん……ここはどこ? どうしてぼくは動けるの?』
ぼくが尋ねると、お母さんは嬉しいような悲しいような不思議な表情を浮かべた。
「ここはね、死と生の狭間……といっても、あなたがいた夢よりも彼岸に近い場所……」
『……え?』
「現世に帰れる限界点……そして死者が生者を迎えに来る場所でもあるわ」
『……何……言ってるの……お母さん?』
ぼくは少し不安になってお母さんから離れた。

「私は貴方を迎えにきたの……あゆちゃん」
249名無しさんだよもん:03/03/22 10:30 ID:2z3hljhL
最下層sage
250別離と再会2:03/03/22 14:34 ID:2j2iYaoO

『それって……』
「そう、お母さんと一緒に霊界……つまり、『あの世』に来てほしいの」
びっくりしてるボクに向かって、お母さんは真剣な顔でそう言った。

『うぐぅ……やっぱり、ボク死んじゃうの?』
「いいえ、これは貴方……あゆちゃん自身が選択すること……だから貴方が思うとおりに

していいのよ」
『……うぐぅ』
お母さんの言葉にボクは困ってしまった。だって、このまま帰っちゃったら、お母さんが

独りぼっちになっちゃうし、かといって、一緒に行ったらボクは死んじゃう訳で……でも

、お母さんには悪いけどボクはまだ死にたくない。だってまだボク祐一君に会ってないか

ら……戻ったって身体は動けないけど、生きていればいつか会える気がするんだもん。

「ごめんね困らせちゃって……わかってる、あゆちゃんはまだ生きていたいんでしょ?」
お母さんは困ってるボクを見て、苦笑いするとボクの頭の上に手を乗せた。
「いいのよ、その祐一君って子に会いたいんでしょ? それに貴方を呼んでる人たちがいるみたいだし……ね」
『えっ……』
「ほら、耳をすませてごらんなさい」
ボクは、お母さんの言葉通りに耳をすませた。すると遠くに光が現れ、そこから微かだけどボクの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「さあ、お行きなさい……お母さんは大丈夫だから」
『……うんっ!』
お母さんに背中を押され、ボクは走り出した。光さす場所へ……生きる場所へと戻るために。

「さよなら、あゆ……強く生きていくのよ、あなたは一人じゃない……」
光の中へ飛び込む瞬間、そんなお母さんの声が聞こえた気がした……。
251名無しさんだよもん:03/03/22 14:36 ID:lwcwmIle
252別離と再会3:03/03/22 18:13 ID:2j2iYaoO
「あ……ちゃん……ゆちゃん、あゆちゃん!」
ボクは身体を揺すられる感覚と名前を呼ぶ声、そして、ぽたぽたと顔にかかる水滴を感じて、ゆっくりと目を開けた。
「……?」
目を開けたボクの目に最初に飛び込んできたのは、泣きながらボクに呼びかける女の子の顔だった。それは少し祐一君に似ている優しくて少し懐かしい人……。

「……な……ゆ……きさん?」
「あ、あゆちゃん!」
ボクがゆっくりと名前を呼ぶと、その人……祐一君の従兄妹の名雪さんは、いきなりボクをギュッと抱きしめた。
『うぐぅ……うれしいけど、痛い……』
「お母さ〜ん! あゆちゃんが気がついたよぉ〜!」
少し苦しくてじたばたするボクをよそに名雪さんは自分のお母さん……秋子さんを大声で呼んだ。

「あらあら、名雪、あまり大声出すと他の皆さんに迷惑よ……それに、抱きしめるのは良いけど、あゆちゃん苦しそうよ?」
 秋子さんはそう言うと、ボクの身体を名雪さんから引き剥がして寝かせてくれた。
「う〜、嬉しかったんだから仕方ないよ〜」
「はいはい……」
秋子さんは拗ねる名雪さんを軽くあしらうと、ボクのそばのパイプ椅子に腰掛けた。それと同時に名雪さんがしゃべりだす。
「でも、本当に驚いたよ。お買い物帰りに病院の前を通ったら突然地震が起きちゃって……それで揺れが止まったらお母さん、崩れて火が燃えてる病院に飛び込んだと思ったら、あゆちゃん抱えて出てくるんだもの」
「……え?!」
びっくりして秋子さんを見ると、秋子さんはなんでもないような顔をしていた。
「仕事で慣れてますから……ちなみにどうやって助けたかは、企業秘密ですけどね♪」
「「企業秘密……(汗」」
ボクと名雪さんが同時に呟く。どうやら名雪さんもよく分からないみたい。秋子さんの仕事って一体(汗)。

「でも、どうして秋子さん、ボクが病院にいるってわかったの? それにここは?」
気を取り直してボクが秋子さんに尋ねると、一瞬、秋子さんは辛そうな顔を表情をした後、ゆっくりと話し始めた。
253165:03/03/23 20:47 ID:8k3WX4rM
うぐぅ……次で終わりなんだが、ちと書き直してるのでチョイ待って(泣
254名無しさんだよもん:03/03/26 11:04 ID:LjRV3EaO
保守
255別離と再会4:03/03/26 22:01 ID:j1cfkQXB
「まず、ここがどこかですけど……ここは私立×○高校……名雪や祐一さんが通っている高校の教室の一つよ。とはいっても今は臨時の救急センターになってますけど……」
そう秋子さんに言われて周囲を見回した。ボクの寝ているベッドの右のすぐそばに黒板があり、左の方には怪我をした人たちが寝ているベッドが並んでいて、その向こうに机や椅子が積み上げられていた。
「元々、避難場所に指定されてるし、6年ぐらい前に倉田財団の援助で最新の耐震構造に改築されてるから、ここにいれば安心だよ〜」
「名雪、はしたないですよ……」
何がうれしいのかボクの手を握ってブンブン振り回す名雪さんを呆れたようにたしなめると、秋子さんはボクの方に顔を向きなおった。
「あゆちゃん、貴方が聞きたいのは私が何故、貴方が病院にいることを知っていたかということでしたね……。実は私は以前から貴方のことを知っていたんです。そう、あの日……7年前に貴方が木から転落して昏睡状態になった時から……」
「え……?」
(今、秋子さん、なんて言ったの? ボクを知っていた? 昏睡状態になった当時からって、一体?)

****

あと2回ぐらい続く(汗
256別離と再会5
「あの事故の後、私は姉夫婦……祐一さんの両親から、事故にあった子が目覚めるまで経済的な

面倒を見ることになったと聞いていました。ですが、一週間前に病院から貴方が目覚めたという

連絡が来るまで私は、それを忘れていたんです……いえ、意図的に忘れていたんです、あの時、ざした祐一さんが名雪を拒絶して酷く傷つけたという記憶を消すために……」
秋子さんはそう言うと、ボクに向かって頭を下げた。
「ごめんなさい、あゆちゃん……私がつまらないこだわりを持たずにいれば、こんなことになる

前に、祐一さんに会わせる事ができたはずなのに」
「秋子さん……」
秋子さんはボクの手を握り締め、俯いたまま泣いていた。そんな秋子さんに何て言ったらいいの

か分からずボクがおろおろしているとふいに名雪さんが口を開いた。
「お母さん、それを言ったら私だって同罪だよ……」