1 :
名無しさんだよもん:
200×年、日本は未曾有の大地震に襲われた――――
雪の街、ひとり、またひとりと傷ついていく少年少女たち。
愛した景色には火の手が上がる。
憎しみ合いの果てに芽生える絆。
俺たちに、明日はあるのか?
まあ、雪兎をつぶされて涙する名雪だの、
食糧問題で紛糾する北川と秋子さんとかがみたいわけで。
いっそ、病院壊滅で死にかかる郁美とか。
>3 え…?
200×年、葉鍵板は未曾有の大地震に襲われた――――
2chの街、ひとり傷ついていく童貞中年
>>1。
愛した景色に火の手が上がる。
憎しみ合いの果てに立つ駄スレ。
>>1に、明日はあるのか?
まあ、雪兎をつぶされて涙する
>>1だの、
食糧問題で紛糾する
>>1がみたいわけで。
いっそ、病院壊滅で死にかかる
>>1とか。
6 :
名無しさんだよもん:03/02/04 05:28 ID:x0Q4/t8X
とりあえず、みさきは殺しとけ。みんなのためだ。
(#゚Д゚)
みさき先輩は自責の余り自殺を図り、皆から逃げ出す。
そこを千鶴さんと楓に保護され、束の間の幸せを(略
煽られても眠くても俺はへこたれないよ(涙
もう寝るけどな。
10
ドラゴンヘッド@葉鍵?
地震ならさいとうたかをの「サバイバル」か
未満都市・ドラゴンヘッド・はだしのゲンあたりで考えてみた……
寝ます今度こそ
ラーメン食いてえ
14 :
名無しさんだよもん:03/02/04 10:03 ID:K4ytQa+Q
[だからね。貴方達は救われないの]
【決して】未来永劫【ありえない】
「…………仕方ないのよ。こうする他なかったわ。あれじゃ香里は生き残れない。栞のところへ逝かせないと、きっとあなたが身代わりにされて」
「でも、そんなのって……晴香さんが可哀想です」
「黙って楓。あなたを見てると腹が立つわ。一人にして、おねがい」
姉妹ということ。兄妹ということ。家族ということ。仲間。
「瑞穂ちゃんは、やさしいね」
「……そんな」
手首の傷がうずく
残り少ない食料
アローアロー氷上、元気か? この日本はいったいどうなっちまったんだよ?
「アイドルなんて何の役にも立たないよ……!」
「落ち着きなさいよ由綺!ここで歩かなかったら死ぬわよ!いいの!?」
「もういい……」
「ばか! 彼に会うんでしょ!」
「理奈ちゃんだって知ってるくせに!! 冬弥くんは――」
死んじゃったのに。
『えいえんはどこにもないよ。ここは血と炎の色で染め上げられた天国だから』
>13
詩ね
ONEネタはうんざり
17 :
名無しさんだよもん:03/02/04 10:39 ID:K4ytQa+Q
「どうしてこんなことになっちゃったんだって思う?」
「さあ……運命かなあ?」
「そんな台詞、わたしは嫌いだよ」
ちりちりちりちりちりちりちりちりと、毒が街中に満ちてゆくのが分かる。
結局僕らは周りのことなんて何も分かっていやしないのだ。
そんなこととっくに気づいていたつもりだったのに。
「はわわわわー!あぶなぃぃぃぃでぇぇぇぇすぅぅぅーーーーー!!!」
「何しとんねんアホ!ハリセンでしばき倒されても文句いわれへんでアンタ!
辛味亭なめんなや!」
動かない衛星。世界/世界。
星を見つめながら駅の中で少女は一人涙を流し続ける。
シャボン玉は飛ばない。
「……誰だよアンタ?」
「似ても似つかない顔になったわね。最悪にサイコウなツラだわ」
「うっさい黙れ」
だれかがたすけてくれるだなんて、かんがえないほうがいいぜ?
帰るんだ。変えるんだ。あの場所まで戻るために。
――いつになったら?
ロワ、もしくはサバとかぶりすぎですか。すいません。
でも地震なんだよ!違うんだ!俺は訴える!電波か!?わかってる!
むしろファンタジーバリバリじゃなくてリアル寄りで!RRはいいから!
日本全土ってところがもう完璧に絶望的にアレで最高なんですが俺的には。
へんたいですね。そうですね。
19 :
名無しさんだよもん:03/02/04 10:45 ID:xsRe0RRy
なんか地震つーより北の核が落ちてきたみたいだ
核戦争後の荒廃した地球で生きる葉鍵キャラたち
「おねえちゃん……ラーメン、食べたかったな……っ」
「……私が、私がお姉ちゃんですから!だから死んだらダメ!
お医者さんなんだから!わたしが助けます!絶対!」
もう何もかもネタスパイラル。死にそう。
>19 萌え
21 :
名無しさんだよもん:03/02/04 10:58 ID:i/B4XZdg
淀んだ街角で俺たちは出会った。
むしろ最終兵器彼女だのイリヤだのエヴァだのしほのこえだの新海系がまじってますか?
新海っていうと柳川作家の彼を思い出します。
それが、ポテトと繭のファーストコンタクト。
……俺は鉄>猫>イリヤ=EGなんだが。
進行中のはちょっとまだきっちり真面目に評価できない。
もえーとかは言えるが。はやくデストローイしてよ。
ああ、ブチ切れてデストローイして炎に特攻する観鈴とかみてえなあ。
俺との愛を守るために、往人さんは旅立ち、
明日を見失った・・・
>>22 俺も新海の名前を見るたびに、柳川作家の方が頭をもたげてくる。誰かてすけた……。
『……こんな時にこそ、信者を増やすんだってさ。馬鹿だね、そんなことしてもしょうがないのに』
『……こんな時だから、信者になりたいんだって。入信しても、待っているのは絶望ばかりなのにね』
『こんな時でも、郁未は強いね』
『こんな時でも、強くないとお母さんに申し訳が立たないから』
『……愚民どもを、今こそ、どんどんどんどん入信させるんだあ〜!!』
『秩序のない世界で、不可視の力を操るFARGOこそが、FARGOこそが、覇権を握るんだあぁ〜!!』
『俺様の新しい野望! 新しい力! 新しい世界の王!! いいのかぁ〜!? 』
『本当に俺なんぞに支配されたいのかぁ〜!? 俺様に支配されたくて仕方ないのか、可愛い奴らめえぇ〜!!』
『……月は出ているか!?』 (……なんかやりたいことが混じって変になっちった)
2月1日。
真琴が帰ってきたのを見つけた。嬉しい。嬉しい。
これはきっと特別な事だ。
神様が私に遣わしてくれたんだ。
うんと優しくしてあげよう。
ずっと一緒にいてあげよう。
今度こそ、私は相沢さんのように
この子の良い家族になるんだ。
――そう信じていた。
春には少し早いけれど、きっと頑張った真琴へのご褒美なんだと思った。
私はたくさん真琴と遊んだ。ご飯を食べた。勉強を教えた。
数え切れないほど抱きしめてあげた。よい姉のような存在でありたかった。
カップルみたいだな、とクラスメイトに冗談でからかわれたこともあるが、あまり気にせず流した。昔の私のように刺々しく怒っていてはいけないと、
相沢さんと真琴が教えてくれたから。強くあって下さい、それを言った私が
弱くては笑われてしまうではないか。
だから私は、日々を懸命に楽しもうとした。
相沢さんの友人である女の子たちとも会話を交わせるようになり、同じクラ
スの栞さんとは今では親友と呼んでもいい間柄だ、と自負している。
でもそれは、買い物帰りの夕暮れに、突然終わった。
大地がぐらぐらと煮立ったスープ鍋のように振動した。
私は、買い物袋を持ったまま意識を失った。
真琴は、どこにいるのだろう。
灰羽も最終話で糞になったからな〜
えっ クソだなんて!
ショックだよ オイラ儲なんだよ
悲しいからおいちゃんもうねるよ
嘘じゃないよ!
あの中身スッカラカンの百合アニメのどこが良かったと?
それはいつもと変わらぬ晩餐だった。
来栖川の姉妹は豪華なテーブルについて箸を進めていた。
時折、綾香が他愛もない話題を出し、芹香がか細い声で答える。
セバスチャンと居並ぶメイドロボ達はその間もてきぱきと仕事をこなし、
姉妹が何か言いつけをするならばすぐにでも対応出来るようにしていた。
それに最初に気付いたのはメイドロボ達だった。
彼女等は次々に足を止め、その電脳を働かせて何かを察知しようとしていた。
怪訝に思った人間達にも、やがてその異変は感じられた。
テーブルの上の食器がカタカタと音をたてて揺れる。
「やだ、地震?」
「…………」
綾香と芹香の顔が不安げに変わる。
セバスが何か言おうとした、その時だった。
その場にいる全員を強烈な揺れが襲った。
地面の下にある巨大な何かが凄まじい力で地表を揺らしている。
メイドロボ達は主人を守る為に動こうとしたが、不規則な振動に次々と転倒した。
綾香も芹香も床に倒れ、混乱の中で身動きもとれなくなっている。
最新の耐震技術をもって設計された筈の屋敷が崩れだし、天井から破片が降り注いだ。
「お嬢様っ!!」
最後に動いたのは、セバスとHMX-13セリオだった。
その時、一際大きな瓦礫が姉妹に襲いかかり、
そこから先を彼女達は覚えていない。
あーおりゃ百合に命を懸けているので。ヴァカと呼ぶもいいさ(涙
……耕一さん。
……耕一さん。
……耕一さん。
「ぅ、」
おかしな時間に目が覚めた。喉がいがらっぽく、身体が重い。頭がぼやけている。
昨日の来栖川さんのところとの食事会兼腹のさぐり合いが相当に堪えていたようだ。
はるばる北の町まで来ているのは何故かといえば、隆山の温泉産業にメイドロボを導入してみないか、という話だった。
もはや顔なじみに成りつつあったお嬢様二人は相変わらず綺麗で、親しみやすい。
だが彼女たちに惑わされてしまっては話にならない。
煙幕となった彼女らを不快にさせぬようなギリギリのラインで、あの長瀬源五郎主任とやりあわなくてはいけないのだから。
それが柏木家長女の私の役目だと、思う。
今後の世間勉強よ、と連れてきた梓は不満げだったが、綾香さんと気があったのはよいことだ。格闘と陸上、ジャンルは違えどアウトドア寄りな気性が幸いしたのだろう。
梓がいれば少しは相手との交渉に有利になる。
……何が長女だろう。
梓は、こういう駆け引きごとをあまり好まないと誰より知っているのに……
「……水」
気分を変えたかった。
冷蔵庫からミネラルウォーターを出す。指にひやりとした感触が伝わる。
ココチヨイ。
コップ一杯を飲んだところで、備え付けのテレビのリモコンを手に取る。
ぶち。
ニュースは北との緊張、アメリカの失業率から始まって殺人事件、植物状態から目覚めた少女の心温まる話。
ぼうっと画面を見つめていたところで、千鶴の身体を先ほどとは比べものにならない違和感が走り抜けた。
電気の粒が通り抜けていった、といえばいいのか?
以前鬼と対峙したときにも似たこの嫌悪、高揚、叫び出したくなる。
は、と気づいて梓の身を案じた瞬間――――ガラスにひびが入った。
交流会の頭数なら、考えたあげく千鶴&梓がいちばん的確かなと思った。
初音&楓は学業やらせたいんでねえかとか。妄想。
ああ、初音にすればよかったかもなあ。ちょいへこむなあ。
36 :
長瀬祐介 ◆byOpP9bzLM :03/02/04 19:57 ID:HY6LUX/a
僕が望んだとおりの世界になった。
皆争い、欺き、屍を食らう。
今度終わるのは、僕の番だ。
37 :
名無しさんだよもん:03/02/05 02:16 ID:S/YvVZ47
裕介はなんかこういう世界になったら
逆に前向きに生きようとするような気がする
前向きというか、ニヤニヤしてそうだな。
視界にフィルターがかぶせられているような感覚。現実味がない。
夢に違いない。
夢に違いない。
――そんなはずはなかった。
首を小刻みに振っても、それでも一度染みこんだ恐怖はこびりついて離れてはくれない。
テレビでこんな光景を見たことはあるけれど、それはわたしたちが生きている間には関係ないって思ってた。
昔の話だ、漫画だけだって油断していた。バカだ、バカだ。
富士山噴火。阪神大震災。奥尻島。日本海中部地震。磐梯山。雲仙普賢岳。有珠山。三宅島。関東大震災。
日本は安全なわけがないのだ。この島はいつも不安定で壊れかけて居るんだ。
ああ思いこみって怖い。怖いなあ。
目の前で、骨董品の山に押しつぶされて倒れている少女の顔をわたしは知らない。見知らぬお客さん。高校生くらいだろうか。長い髪に洒落た服。きっと偶然立ち寄ったんだろう。いいところのお嬢さんかもしれない。
そんなことはどうでもいい。どうでもいいことだ。なのに思考が止まらない。
まるで儀式の失敗みたいだ、とさえ考えてしまう。いやだ。いやだ。止めたいのに。
今も彼女の頭から血はゆるゆると広がっていく。
割れた壺。倒れた家具。鏡。天球儀。ありとあらゆるものをひっくり返した惨状。まるで墨絵の墨を流したみたいに赤く。彼女が。
皿の破片が私の腕を刺したけど、痛みもよくわからなくなっていた。
店長さんはどこに行ってしまったんだろう。他のみんなは?
声は喉で堰きとめられてしまっていて、私は震えることしかできなかった。
私のココロは、何も答えない。
40 :
名無しさんだよもん:03/02/05 04:20 ID:8UQggvdv
俺はパクリ作家です。すいません。超先生と罵られても結構です。
美汐=灰羽連盟ネタ
千鶴=江國香織ネタ
なつみ=なんかのエロゲーのタイトル
誰かもうそうを書いて。俺一人でバカでさみしいぽ。
ていうか来栖川さんちと祐介妄想の人は神。ありがとう。
灰羽連盟って絶対ラッカ観鈴だよな
カラス出てきたし
時刻が訪れると機械的に明かりを灯すそれが。
未だ明るいというのに、今日もまた、明かりを灯し始めた。
電灯。
ふと、何かの拍子に、寿命か何かで嫌な音をたてて明滅し始める。
それは思い出せない何かを彷彿とさせて。
……電波?
それがなんの意味を持つ言葉なのかは分からない。
だけど、それが良くないものだということだけが何となく分かる。
電波は嫌。
電波はいや。
電波はいやでんぱはいやでんぱはイヤデんぱはいヤでンぱはイや……。
電波は嫌!!
何かから逃れるように頭を抱えてあたしは走り出した。
全ての電灯が耳障りな音をたてて明滅している気がする。
あたしを狂わせたいの!?
地面が、壁がうねる。
平衡感覚さえ失って、あたしは地面に投げ出された。
そして気がつく。
電灯の明滅は、気のせいなんかじゃなかった。
地面の脈動もまた、現実のものだった。
投げ出されたあたしの眼下に、街が広がっている。
下校の際にいつもあたしが下る坂の頂上。
そこから見渡せる街全体が、何かの予兆のように明滅して、
何かを訴えかけるように揺れていた。
良スレの悪寒
44 :
そして降りゆく夜の帳:03/02/05 06:41 ID:8UQggvdv
神尾晴子の編集者としての最後の仕事は、担当者への引き継ぎを兼ねた出張
だった。
新鋭の舞台脚本家、澤倉美咲へのインタビューを終え(彼女はやや緊張して
いたようだが、意欲に溢れたいい作家だったな、と思う)家路に向かって高速
を飛ばす。度重なる納屋とのバトルで愛車は少しガタが来ていなくもない。
だがしかし晴子にとって、彼、もしくは彼女は慣れ親しんだ戦友なのだ。
それと共に、観鈴と国崎の居る我が家へと戻る。今日は観鈴が頑張ってふん
ぱつすると言っていたから楽しみだ。自分と前後して、橘も来てくれるだろ
う。彼の家はやや遠いが、長い空白を経てようやくわかりあうことができたのだ。明日は四人で水族館に行こう。マグカップでも買ってやろう。おそろいの
カップ。楽しみだ。本当に。
だから急がないと。
45 :
そして降りゆく夜の帳:03/02/05 06:42 ID:8UQggvdv
常々思うが、都会まで出る仕事は、こういうときには殊更つらい。
地元で保母の仕事をしよう、と決意したのはそれも理由の一つだ。
一週間後からの新しい生活を思い、僅かに微笑みを浮かべながら晴子は愛車
を駆る。
まだまだ住み慣れた街へは遠い。
ああ、左手に広がる街は――障害者支援に力を入れている学校のある街か。
前に来たことがある。あのしっかりものの少女と、健気な子の演劇部はどう
なったろうか。
とりとめなく記憶をかきまぜながら、前の車を追い越す。
少しムチャな走りだったろうか。クラクションが鳴る。運転者の眼鏡の男に
睨みを効かされる。
ぞく、と妙な寒気が走った。カタギではないのかもしれない。
焦っているんだろうか……早く帰ろう。事故を起こさない程度に。
そしてその瞬間、晴子はバイクと共に横っ飛びに吹き飛ばされた。
後ろでブレーキのかかる音。耳障りなせっぱ詰まった音。
さらに事態を理解する余裕さえ与えず、轟音が晴子の全身をつんざいた。
なんだ。なんだ、なんだ、なんだ!?
前方を行く車たちが数台、玉突きを起こして、炎上していた。
平衡感覚が戻らぬまま、晴子は身を蹲らせて耐えるしかなかった――。
街の場所の正確位置とかもうわかってねえし無茶苦茶ですか。
こみパ・東鳩・ONEは関東(雫もそれっぽい<さいたまぽい印象もある)。
写真的には町田=鳩、ONE=横浜?
痕は高山近辺。マジアンが謎。海に行けるあたりですね。
AIR・誰彼は関西くせえかんじでしたっけ。
バムは北ぽいですが悠凪市は東京なのか?
ていうかナイトライターてありなのか?ギリギリっぽいですよね。
MOON.は折原母が宗教がらみだった話があるので、郁未の家はONEの街に近そう。
あとのキャラはわからん。FARGOは上九一色村ですか?
(フィルスは……どうなんだろう…うたわれも世界観的に微妙な気がする)
(あとルーツと蔵ってどこなんだよ。わかんねー。わかったら電波だが)
全作品網羅にはしんどいかなあ、という感じなんですが。
ていうか初期位置がこれ日本全土じゃん。風呂敷広げて失敗しそう。
やれるだけやります。自信ねえー。
はるかはヨコハマへ買い出しに。
>>46 うたわれは微妙というより無理
どうしても出したいなら地震の影響で空間がつながって強制召還されたとかの力押しつかうしかない
もしくはフィルスともども芹香の召還で呼び出されたとか
>49 やっぱ完璧ファンタジーはそぐわないよな、現時点では。
いや俺の独断で決めるのもおかしいと思うんで好き勝手やってくれって感じなんだが。
やってくれなんてなんてえらそうなんだ俺は!
やってください。くれると喜びます。
なんで俺はここまで燃えているんだろう。
いや、自然災害という(一応)誰が悪いわけでもない絶望の中あがき倒し
っていうのがいいかなあ、と。黒幕とかは今はどうでもいいです。
>48 またーるはるか萌え
いっそハクオロたちは行政側の人間というのは?
もがき苦しむ国民の声と無能な首相や大臣との間で苦しむ若手議員とか。
>>52 それは……
1.原作の世界観のままで地続きってこと?
2.それとも、痕連中のように前世の記憶を持った状態で、現代に転生とか?
3.そうでなければ、性格は原作のままに、あくまで現代人として普通に生活してるパターンか。
アイヌの末裔とかで。
葉鍵ファンタジーのキャラどもは、3に近いスタンスでファンター時世界に息づいているわけだが。
まぁ、無理して違う世界の住人出さなくても良いともうけどね。
あ、自然災害が良いんじゃねーかという1さんの主義に反したところでは、
異界との門を開き、新たな力を得ようという国家的プロジェクトの末路こそが、
今回の震災の原因だったとか。そうすると、今度はサバに近くなってくるな……鬱。
>53 IDが「サイコロどきっに」。ナンカオモロ。
俺的にはもう、なんでもいいです。面白ければ。
ただの哀れな偶然の崩壊でもキタチョンの野望の失敗の核ミサイルでも。
情報が遮断され、ロワのように放送もなく、ただ這いずって生きるしかない
人間のたくましさが書きたいので。あとやるせない弱さも。
>52 うたわれ長いらしいんでやれてねえんですわ。弱くてすいません。
ただ、熱い話だとは聞いてるので、入れるなら53氏の2か3を希望。
きっとアボパの終末みたいな奴が理想なんでしょう。多分。
あの諦観と希望はいとおしい。ネタバレしすぎですか。すいません。
俺は真女神転生1の崩壊後の世界観を思い出した(アレは地震じゃないが)
悪魔という常識外の恐怖に立ち向かうってのも面白いかも・・・・・・ってますます鯖っぽいな
「しゅわっしゅわ〜♪」
世間では団欒の一時、と呼べるだろう時間。
この家からは少女のノリノリな歌声がする。
どうやら録画しておいたアニメを観て、曲に合わせて踊ってさえいるようだ。
「あははははは、おっかし〜! もーだめあはははははは」
ポテチを囓る音。ばたばたと布団の上で暴れる音。端から見てくつろぎすぎである。
ここ五月雨堂の居候、自称敏腕魔女でグエンディーナ第一王女のスフィー・
リム・アトワリア・クリエールは先の健太郎の頼みを忘れきり、だらだらと時
間を過ごしていた。
『悪ィ、晩メシの野菜と調味料切らしてたわ! 店番よろしく!』
あいあいー、と生返事。一分後にはテレビに釘付け。
有能ではあるのだが、こういうどうしようもない子供っぽさが玉に瑕だ。
しかも彼女、外見はグラビア女優共もビックリのばいんばいーん。
ギャップの魅力、とでも言うのであろうか。マニア受けしそうだ。
さてしかし、彼女の日常はあっさりと崩れ落ちることとなる。
――轟きと共に、苦労して手入れをし、買い付け、売ってきた商品が割れた音がスフィーの耳に届いた。
ビデオデッキが奇妙な呻きを上げて作動を停止させる。どうでもよかった。
すさまじい揺れをものともせずに起きあがり、転び、起きあがり、店内に
辿り着いた時には既にそこは地獄のような場所と化していた。
当然だ。骨董品屋など災害時には命取りなものと相場が決まっている。
だがしかしこの店はスフィーの家なのだ。健太郎や皆で愛した店だ。
見捨てるなんて誰が許してもあたしが許すものか。
かっと真っ赤に燃えた感情を振り払い、リアンや結花がいないかと必死で辺りを見回す。
「……あ…」
「なつみ!大丈夫、怪我ない!?しっかりして!」
「あ、こ、この、この子が……」
弱々しくなつみが指さした先には、少女が横たわっていた。
その姿を確認すると同時、スフィーは自らの魔力を全開にして術を行使し始めた。レベルダウンなどより、目の前の彼女を救うことが先だ、と魔女の
信念が訴えていた。
どうか、助かって。
「……だいじょうぶ?」
「う…あ…」
ぱちり、と少女が目を開けた。なつみとスフィーの表情に安堵の色が戻る。
「痛いところない?」
「は。はい…………」
「よかったね。スフィーに感謝するといいよ?」
「ありがとう……ございます」
「平気? うちのお客さんなんだよね? ごめんね、酷い目に遭わせて」
「いえ……平気です。あの、わたしは、良い店があるよって聞いて、作品の
資料にしようって見に来たんです……」
「ああ、成程」
なつみが頷き、スフィーが困ったような顔を見せる。店を預かる者として、
不可抗力とは言えお客さんをこんな目に合わせるなんて、と言わんばかりだ。
「ごめんね……。でも、これからも五月雨堂を贔屓にしてくれると嬉し……」
言い終わる前に、揺れの第二波が来た。
「っきゃ」
「わわわわわわわ!!!」
「……!」
全員が、これはやばいと感じた。なつみが側にあったラジオのスイッチを入れる。
雑音。雑音。そして無音。
明らかな異常事態だった。
「あ、あたし、何か荷物取ってくる!ね、みんなで避難しよ、ここは危ないよ!」
早口でまくしたて、スフィーが奥へと消える。
すぐに出られるよう入口前で待機している二人は明らかに動揺していた。
特に魔術の心得があるなつみは、尚のことこの街に起きた異常に敏感だ。
「やばいかも……」
「え?」
「気をつけないと死ぬよ。家が遠いなら、今夜は少なくとも一緒にいたほうがいい」
「…………」
「わたし、牧部なつみ。ここの常連。あの子はスフィー。店の子。あなたは?」
「…………長谷部彩です」
「そう。短いつきあいになると良いね」
溜息が、五月雨堂に重く響いた。
メイフィア・エリア・芹香・スフィーで魔女娘は四代目だったか。スマン。
最近はうたわれも術師姉妹がいたり、テネレツ斎様が降臨されたりしてますっけ。
波がさざめく砂浜に腰を下ろし、岩切花枝はぼんやりと沈みゆく太陽を眺めていた。
手に余るほど大きなおにぎりに喰らいつきながら、時代は変わってもこの光景はいつまでも同じなのだな、などと物思いにふける。
この時代に目覚めてからどれほどの時間が経ったろうか。
鏡間市依代町での騒動の後、岩切は犬飼や御堂の元を離れ今の世を知るために旅に出た。
五十年という時の間に変わり果ててしまったこの国は彼女をひどく混乱させ、旅は驚愕の連続であった。
それでもどうにか世間に馴染もうと各地で様々なことを経験し、今は海際の小さな町を訪れている。
片田舎だが良い場所だと思った。
高い建物が並ぶ都会よりも、比較的ではあるが自分が生まれた時代に近い風景で落ち着く。
住民も素朴で好感が持てた。 いま食べているおにぎりは、この町の漁業組合に属する婦人から頂いたものだ。
暫くはこの町に留まり、旅の疲れを癒すのも良いかも知れない。
くちゃくちゃと口を動かしながら岩切は少し笑った。
何気無く首を巡らしてみると、少し離れた堤防の上に一人の少女が立っているのが見えた。
ぱっ見た感じでは中学生かそれくらいの歳に見える。
少女は海に、いや空に向かって両腕を広げ、夕暮れの風を気持ち良さそうに受けていた。
岩切にはその姿がいま飛び立とうとする鳥の様にも見えた。
五十年眠った後でも、人は飛行機に頼らねば空を感じることは出来ない。
乗物などではなく、ちょっとした装備で人が飛べるようになるのは何時なのだろうかと、岩切はふと思った。
そしてその思考は、唐突に中断された。
岩切の強化兵としての感覚が、地面の中から微かな振動を感じ取った。
すわ、地震か?
そう思う間も無く振動は爆発的に大きくなり、やがて大地が狂った様に暴れ出した。
咄嗟に身を屈めようとした岩切の目に、バランスを崩して堤防から落ちる少女の姿が映った。
海沿いの雑木林の一角に、そのゴミ捨て場はあった。
正確にはゴミ捨て場ではなく、不埒な不法投棄現場であったのだが、そんなことはみちるには関係ない。
彼女にとってそこは種々の遊び道具をもたらしてくれる宝の山であったのだ。
その日も彼女は一人、新たな宝を持ち帰らんとこの魔法の山に挑んでいた。
うず高く積みあがったガレキの中腹からひょっこり覗いている銀色の棒、それが今日の目的のブツである。
それが何なのか彼女にはわからない。が、その正体の知れぬところがみちるの好奇心をそそる。
よって彼女はソレを手に入れるべく、昼過ぎからずっと奮闘していた。
邪魔なガレキを除いたり、隙間を作るべくギシギシと棒を動かしてみたり。
そういった様々な努力の結果出した結論は、やはり力任せに引っこ抜くのが手っ取り早いであろう、という単純なものだった。
30センチほど飛び出た棒を両手でしっかりと握り締め、悪い足場を踏みしめる。
そしてそのまま後ろに思いっきり体重をかけた!
ギシギシガチガチと耳障りな音を立てながら、ゆっくりと棒は引きずり出されていく。
「むむっ、こ、これは意外に長いぞーっ!?」
ならば短期決着! とばかりに、めいいっぱい体をそらしたとたん。
あっさりと棒は抜け、支えを失ったみちるは危うく後ろに転がりそうになった。
「……っとっとっと」
慌てて体制を整え―――。
その瞬間。
奇妙なゆらぎを体に覚えて、思わずたたらを踏む。
……今のは?
きょときょとと周りを見回すが、風一つない。
と。
カラカラッと、目の前のガレキの山の頂上から一つのガラクタが転がり出し―――
次の瞬間には轟音と共に凄い勢いで山が崩れ出した。
みちるは反射的に逃げようとしたが、もんどりうって倒れてしまう。
地表が激しく振動していたためであったのだが、混乱した彼女はそのことに気付く間もなく、
雪崩と化したガレキに飲み込まれてしまった。
……みちるって物理的に氏ねるのか?
64 :
雲丹:03/02/05 21:58 ID:l2ejWar8
地震が発生した時間軸を揃えた方がいいような……
夜か昼かで全然事情も変わってくるだろうし。
俺的には一応、夕方、一番人が移動してそうな時期を選びました。
まあ、場所によって時間差的に地震でもありだと思うけど。
一応俺はそろえてます。ひょっとして柔軟性のない1と叩かれますか。
……反省。
もしかして、そろそろ本格起動か?
で、時間軸があってないのはどれになるんだろ。
67 :
雲丹:03/02/05 23:57 ID:l2ejWar8
夕方か、なるほど。
千鶴さん視点で時刻が出て無かった事と、来栖川姉妹の夕食がちょっと早いかな、
ってのが気になったけど、時刻としては面白いとおもふ。
34,48,44-45,61辺りがかなり好きだな。
57-59が次点。
まぁ、他も嫌いじゃない。
今後の展望が楽しみである。
オラぞくぞくしてきたぞ。みんなネタに乗ってくれて有り難う。
>67
6時のニュースとかそのへんかなあと。
辻褄合わなくてすいません。
みちるアホでいいなあ、岩切姉さんはやはり良いキャラだなあ、
沙織絶望的でニヤニヤ、とか。萌える。祐介もはるかもらしいなあ。
ああ。ああ。
てか、スフィー話の描写は微妙におかしいですね。
「店を見捨てない」言うてるのにあっさり翻してるし。
状況変化が著しいんだと言い訳もしたいけど、やっぱここはミスだわ。
もう一文くらいつけりゃよかった。ハァ…
夕暮れと言えば、やっぱり屋上の瑠璃子さんとみさき先輩なのだが。
そして夕暮れの屋上を実体験に重ね合わせると、やっぱり、
演劇部の発声練習かなぁ、とも思ったり。
澪って、発声練習の時とか、見ててどう思ってたんだろう。
演劇中も喋ることが出来ないのは寂しいと思うけど、発声練習って本当に、
あれだけを延々とやるモノだからなぁ……。
見てるだけだと退屈だと思うんだよね。
……んー。
「……遅いな」
「いつもこんなもんスよ」
「ああ、そうか……編集者だったか」
「今日で最後の日だとか。来週からは知っての通り、ほら」
「成程な」
「どうせならぱーっとうまいもんを土産に買ってきてくれりゃいいんだが」
「君は僕のケーキじゃあ不満なのか……」
「いや。そういう意味じゃない」
「チーズケーキは嫌いか? かぼちゃのタルトとも迷ったんだけどね」
「好きだぞ。食えるモノはなんでも食わせてもらう。それが俺のポリシーだ」
「ありがとう」
「でもな、ほら。食うなら晴子と、観鈴を待った方がいいと思うんだ」
「ああ……そういう意味、か」
「しかしあいつ、遅いな」
「うううん……僕が下ごしらえでもしておいたほうがいいのかな。自炊はこれでも得意でね」
「うらやましいこった」
「じゃあ、何か軽く作るよ。お腹空いたんだろう?」
「いや、観鈴のメシのがいいし」
「…………そうか……まあ、そうだな……殆ど見ず知らずのよりの男よりは、
観鈴の方が良いよな……」
「あーあーあーあー。わかった、俺も何か手伝う。
後に響かないくらいに軽めなら良いんだろ? すまんな、菓子もろくになくて」
「?」
「ゲテモノの駄菓子やジュースばっかりなんでな……」
「ぅぷ、く、は、あははははははは」
「なんだなんだ!失礼な!」
「いや、君も相当に苦労してるんだなと思って……はは」
談笑のさなか、ちかちかとうるさいほどに電球が明滅した。
だけどそれはきっとよくあることなんだろう、と僕はそれを見過ごして
ようやく手に入れた平和さに埋もれさせてしまっていた。
国崎くんと僕が地獄を見ることになるのは、僕らが語れる話の始まりまでは、
まだもうじき待って欲しい。
話を蒸し返すようで悪いが、旧宅も扱っていいんだよな?
「北川ぁ! こっちに人が居る! 早く!」
町は混乱に包まれていた。相沢祐一と北川潤は、久しぶりに男同士で街に遊びに出ていた。ここの所、祐一の身辺で色々な出来事が多発し、ゆっくりと男同士の時間をすごくことが無かったのだ。ゲームセンター、カラオケなどを巡っていたときだった。
その時二人は商店街を歩いていた。これからラーメンでも食べに行こうと思っていたときだった。二人が覚えているのは、激しく揺れて倒れたこと。そして、町が地獄絵図と化したことだ。
「よし! 瓦礫をどかすぞ!」
二人は、急ピッチでほんの十数分前まで普通の洋服店だった瓦礫をどかしていく。
「たす…けてぇ」
か細いが、声が聞こえる。まだ生きているのだ。
「待ってろ! 絶対に助けてやる!」
町のあちらこちらで火の手が上がっている。恐らく、飲食店から発生したのだろう。
「よし! 北川! この瓦礫でラストだ!」
「うっしゃ!」
そう掛け声をかけて二人は巨大な瓦礫に手をかけた。
「痛い…痛いよぉ」
瓦礫の隙間から女性の顔が見えた。恐らく、ここの店員だろう。血をガフガフと吐いている。
「「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」
二人は叫びながら瓦礫をどかそうとするがびくともしない。
「誰か! 誰か手伝ってくれ!」
瓦礫を持つ手を休めず、北川が叫ぶ。だが、町は喧騒に包まれており、北川の声は誰にも届かなかった。
「早く、早く…痛い」
女性が泣きながら血を吐いている。
「畜生! 畜生畜生畜生!」
いつの間にか、祐一も泣いていた。瓦礫は持ち上がらない。その時、女性が一際大きく血を吐いて、何も言わなくなった。動かなくなった。
「…なんでだよ」
北川も泣いていた。地震直後から、救助活動をしていた。助けられた人も居た。もう死んでいる人も居た。だが、助けられなかった人は初めてだった。
「畜生! 目の前で、助けてって言ってたのに!」
「相沢…」
北川は、祐一の方に手を置いていた。祐一もわかっていた。ここで泣いている暇は無い。この間にも誰かが救助を待っているかもしれない。そして、自分たちは今、人を救うことができる。
「行こう、北川」
「あぁ」
阪神大震災では、地元住民が協力して救助活動を行い救えた命が大勢居たらしい。というわけでこんなのを書いてみた。
77 :
名無しさんだよもん:03/02/06 22:45 ID:c4dMUVDb
もとネタあるの?
わからない
>77
ロワ、鯖などのリレー小説なくしては出来なかったスレだと思うけど、
直接パクリましたっていうのはないはず。たぶん。自信ないが。
影響受けたのは「はだしのゲン」「ドラゴンヘッド」「秋山瑞人」「新海誠」
「未満都市」「木曜の怪談シリーズ」とか。パニック生き延びろ系ですね。
自分個人的には陰謀とかより、生き様重視で行きたいです。
良作揃いで泣けるよ。みんなが天使に見えます。俺、壁を越えていいかな?
あ、ガンダムだ! あと幽遊! 忘れちゃいけなかったぜ
そういう意味ではリヴァイアスとかもいいよなあ。空気が黒い。
ニトロプラスとかも。きひひひひ。
「……でだな、ちょうどその時沢口が…」
「…あはは、里村さんらしいね。でも少し沢口君かわいそうだよ」
「まあ、茜はああいう性格だからなぁ」
その日も俺と長森は他愛も無い会話を電話口で繰り広げていた。
宿題の範囲をうっかり聞きそびれたため確認の電話を入れただけだったのだが、いつの間にか談笑に変わっていた。
本当にとりとめの無い会話。ただ学校で起きた出来事をそこはかとなく話していただけなのに。毎日繰り返している事なのに。
今にして思えば、随分と充実した時間を過ごしていたように思える。
そう、それは束の間の幸せ。
日常から非日常への一本道を俺たちは進んでいたことに、このときはまだ気付いていなかった。
「でね、そしたら七瀬さん何て言ったと思う?」
「…名無しさんがどうした?」
「な・な・せ・さ・ん!!…浩平、これで26回目…もういいよ…」
「っと忘れるところだった。おい長森、いくらトイレに行きたいの我慢してるからって電話切るなよ」
「我慢してないよ!」
「唐突だが、明日までの宿題の範囲を教えて欲しい」
「宿題?…数学と化学でいいかな」
「ああ」
「まず数学から…えっとね…88ページの…」
そのとき。
僅かな振動が床を介して伝わってきた。咄嗟に全身を走る言い知れぬ悪寒。
だが、予想に反して揺れはそんなに大きくならずにおさまった。震度で言うなら2くらいだろうか。
「地震…かな?」
「そうだろうな。あんまり揺れなかったから、遠くの方だろ」
だが次の瞬間。
深く唸るような地鳴りと共に強烈な振動が二人を再び襲った。
よくテレビでやっている再現映像のような、いやそれ以上の揺れだった。
クローゼットが倒れ、テレビが宙を舞う。部屋を出ようにもベッドから立ち上がることさえできない。
「おっ、おい長森!?大丈夫か?おい!」
「わっ!……きゃ…こうへ…きこ……てる…だい…ツー、ツー、ツー」
「おいっ!おいっ!うわぁ!!」
床が裂け、浩平はベッドもろとも天井に押し潰された。
まず最初に…浩平は死にません(w
なにかと使えるキャラですしね。
いや、次に誰かが浩平死ぬ展開書いたら、問答無用で死ぬのだが。
85 :
悪夢:03/02/07 00:14 ID:cIHTFfZJ
目覚めは最悪だった。目の前は何も見えない…わけではないか。辺りは薄暗くなってきてはいるが、行動するのには差し障りはない程度だ。
しかも幸いなことに、這って行けばなんとか出られる穴があいている。
「うぅ…」
どこか打撲しているのだろうか。体が思うように動かない。しかし、長森の安否の方が心配だ。
体に鞭打って長森の家へと向かう。
街は惨憺たるものだった。街灯や街路樹は根こそぎ倒れ、両側に建っていただろうビルや住宅は殆ど倒壊している。
その周辺には瓦礫の下敷きになって死んだ人の遺体や、負傷者でいっぱいだった。
思わず目を逸らしてしまいたくなるような光景を目の当たりにしながら、浩平はひたすら走った。
火の手は商店街の方で上がってはいるが、まだこちらに来る気配は無い。
だが、それも時間の問題だろう。
渋る茜をなだめすかしおだてて泣き落とし、ようやくのことでカラオケに付き合わせることに成功したのが一時間前。
詩子は現在連続五曲目となるナンバーを歌い上げながら悦に入っていた。
彼女曰く、「密かに家で練習していた自信の曲」とのこと。
事実なかなかの歌いっぷりであったのだが、たった一人の観客であるところの茜はほとんど興味を示していなかった。
ポリポリとポッキーをかじりながら、無表情で分厚い目次本の一ページを眺めている。
もっともこんな光景はこの二人にとってはいつものことであり、実のところ双方ともそれなりに楽しんでいたりするのだった。
詩子、六曲目突入。
一方の茜も、そろそろ一曲ぐらい歌ってもいいかな、と考え出した。
ペラペラとお目当てのアーティストを求めて本のページをめくる。
その時、茜の背中に違和感が走り抜けた。
(……地震?)
それは地震国・日本に住む者ならば一度や二度は体験する、不快な振動。
見ると、テーブルの上の烏龍茶が細かく波打っている。
「……詩子」
茜は詩子に声をかけるが、彼女はまったく気付く様子もなく、肺活量のいるサビを朗々と熱唱している。
もう一度、今度は少しばかり大きな声で。
「詩子、地震で」
瞬間、轟音と共に烏龍茶が弾け飛んだ。
詩子が目を見開いてつんのめり。
まるで打ち出されたかの如く、カラオケのモニターが茜に飛び掛ってきて―――
茜の視界は暗転した。
87 :
恩と守護:03/02/07 03:32 ID:ICXc/gX7
彼は、走っていた。いや、走るというには少々物足りない速度であるが。その分、背中に背負った少女が原因ということは一目瞭然なのだが。
「チクショウ! 早くしねぇと!」
彼、と呼ぶのはいい加減失礼だろう。彼、住井護は背中に背負った少女を助けるために走っている。その少女が何者かはわからない。全くの見ず知らずの人物である。
「……」
少女は、頭と制服を真っ赤に染めている。長い髪も、すっかり赤く染まっている。出血は止まらない上に呼吸が荒い。
事のあらましはこうだ。住井は本屋で今日発売の雑誌を立ち読みしていた。気づけば6時前になっており、帰途についていたその時だった。そして、道を歩いている時ふと気がついた
「…? 地震か?」
気がつけば、激しく揺れていた。そして、倒れて、目の前まで迫っている電柱。よけようとした、だが。無理だった。
「わぁぁぁぁぁぁぁ!」
叫び声をあげた。死を覚悟する時間すらなかった。だが、電柱は倒れてこない。目を開いてみてみれば、電柱が自分のほんのすぐ上で「止まって」いる。重力やら物理法則やらを無視した非現実的な光景。
「あ…え?」
思わず絶句する。すると、その電柱は少しずつ向きを変え、住井の横に電柱は倒れた。住井は呆然としながら、ふと横を見た。
少女が立っていた。制服を着ており、恐らく住井と同じ高校生。少女は、まさに1000mを全力で走ったように呼吸を荒くしていた。
「…なぁ、あんたが」
助けてくれたのか? と言おうとしたときだった。少女の頭上から瓦礫が振ってくる。飛び出そう、声をかけようと思ったときにはもう遅かった。少女の頭頂部のやや後ろのあたりに鈍い音を立てて直撃した。
頭部に損傷を負った場合、動かしていけないことは知っていた。だが、こんな状態ではまず救急車は着てくれない。そして、住井は走っている。
「あんたが何者か知らない。あんなことをできるんだから…まぁ、超能力者なのかどうかしらないが…絶対助けてやる」
そして、住井は走る。
今度は、自分が彼女を護るために
88 :
痛み。:03/02/07 06:43 ID:cDkGVT/k
逃げ出して逃げ出してあたしは生きています。
のうのうと、生きています。
お姉ちゃんの行方は分かりません。死んでしまったんじゃないかと薄々気づいてはいるけれど、
それでもお姉ちゃんはまだ生きているに違いないと思う心だってあるんです。
心があります。壊れることも出来ずあたしの中に、心はあります。
郁未さんたちの協力を得て、あたしはあの悪夢のような場所から逃げ出しました。
晴香さんのことも郁未さんのことも見捨てて(彼女たちがあたしを気遣ってくれたからこそ、
あたしはあの逃亡に成功したのですが)ただ必死に逃げました。
こんな選択で良かったんだろうか。
間違ってはいないだろうか。
たくさん考えました。毎日考えています。
今、私はヤクドナルドで働いています。先月店内でスマイルMVPを取れました。
嬉しかったです。
元気ですか、晴香さん、郁未さん。会いたいです。無事でいて下さいね。
89 :
痛み。:03/02/07 06:43 ID:cDkGVT/k
――今日のシフトは随分と楽で、目が回るほど倒れそうなほどの客入りではありませんでした。
女子高生。老人。親子連れ。サラリーマン。たくさんの人が居ます。
疲れた人も幸せそうな人も。精一杯に生きています。
あたしはそんな皆を見るのが好きです。おいしい気持ちを作る手助けがしたいです。
「ていうかね、聞いた? あの話さあ」
「うん」
よくこの時間にやってくる赤髪の女の子。その友達の元気な女の子。
そのやりとりを見ていると、やっぱりあの辛くとも優しい日々を思い返してしまいます。
だけどお仕事だから、笑っていらっしゃいませ、と挨拶をします。
挨拶を、
こちらでお召し上がりですかご注文は何になさいますかその言葉も言い切ることが出来ずあたしは倒れ込みましたカウンターに頭をぶつけました
とてもいたいですイタイです痛いですこぶができます一瞬意識が飛んだかもしれませんけれど気が付いたら階段が崩れていて調理場から火が出ていてポテトがああポテトが燃えちゃうよ、
「逃げてください!」
叫びました。けれど何人かはもう動いてくれませんでした。怖かった。怖かった。
もうここはだめだ。
そんな直感に駆られました。
目の前で足を痛めたのか、立てない立てないと先の茶色の髪の子が泣きじゃくり、赤い髪の子が必死に肩を貸していました。後ろを振り返ります、もう、一階にあたしたち以外に動いている人は、居ません。
「行きましょう! 火が、もうすぐ火が」
ごう。
後ろで嗅ぎ慣れた油のいやな匂いがしました。火です、ひとの髪が焼けています。怖い。イタイ。血が出てる。
でも叫びました。カウンターをよろよろと出て茶色の彼女に肩を貸しました。
赤い髪の子と頷きあって、あたしたちはなんとかヤックを抜け出しました――
俺は「。」氏ではありません(そんな誤解だれもするわけねー)
「いいか! 下敷きになっていた奴の足はきつく縛っておけ! 物を退かしたとたん鬱血した血が全身に回ってしまうぞ!」
まだ若い女性が叫びながら粗末なテントの仲で目の前の患者の治療をしている。彼女の名は霧島聖。ここの人間ではないのだが、大学時代の友人が学会で論文を発表するとというので招待され、聞きに来ていた。
(佳乃は無事だろうか…かなりの規模らしいな、この地震は)
彼女には妹が居る。ここからはかなり遠くに。だが、心配だからといってこの状況じゃ交通機関もマヒしており帰れそうに無いし、何より医者としてこの状況は見過ごせなかった。
舌打ちをしながら、右腕を骨折し、足に深い切り傷を負った男の治療が終わった。
「次っ! 早くしろ!」
ここは町の小さな病院の前。建物は半壊したが、薬や医療器具を入れた棚はきちんと補強してあったために無事だった。聖は元々この病院の近くを通りかかったため、そのまま手伝いをしている。
「お願いします!」
テントに入ってきたのは少年だった。背中に少女を背負っている。二人とも制服は違うが高校生のようだ。
「よし、患者をここに寝かせろ」
少年はその言葉を聞いて少女を下ろす。
「少年、名前は?」
「えっ? あぁ、住井護。この人の名前はわからない」
「よし、住井。この子はどうした?」
「あぁ、瓦礫がこの子の頭に」
その言葉を見て患部を見る。かなり大きくぱっくりと割れている。CTやMRIなどを行いたいが、あいにくこの病院には無いし電力もダウンしている。
「とりあえず、傷を塞ぐか」
そういうと、聖ははさみを取り出して患部付近の髪の毛を切る。
「あっ…」
「安心しろ。なるべく切らないようにする」
何か言おうとした瞬間にさえぎられる。そして、髪の毛を切った後針と糸で患部を縫う。
頭に針が通っているのに少女は目を覚まさない。縫い終わった後、聖は少女のポケットを漁り財布を発見する。
「姫川…琴音というのか」
少女の学生証を見て呟く。住井も、その時初めて命の恩人の名前を知った。
「住井、姫川さんを向こうのテントに寝かせてくれ。で、手が空いているのなら治療の手伝いをしてくれ。人手が足りないんだ」
「あっ、え? はい」
少し迷いながらも頷く。住井は来たときと同じように、琴音を背負って出て行った。
基本的に、修羅場のシーンのほとんどが地震発生時になるな。
現代の日本では食糧不足でパニックになったりしないと言うのは証明済みだし。
いや、規模にもよるかな。
異常気象で次々に災害が襲ってくる葉鍵ディザスター……は無理か。
災害は、日本全土を襲った様子だし、下手すると海外も……という雰囲気だから、
パニックには充分なると思う。
というか、ならないと1さんの要望通りの展開にはならないので、
海外がどうなってるかはともかくとりえず、混乱のウズには巻き込まれて貰おう。
いや 俺の意向なんかはあくまで参考でいいんですよ
ナンデモアリですよー
みんなで芹香さんの魔法で異世界に避難だ! まじかるすてーじ!
とかになっちゃうと「それ葉鍵ファンタジー」になるんで
そゆのは個人的には泣きたいですが。
俺のことはいいので書きたいの書いてください
基本的にはこのスレに人が居るだけでなんつうか 奇跡? みたいな
参考だって! 超えらそう!
ごめんなさい マジでいやな1だなあ
葉鍵大震災は笑えた!
死者(中略)
どちらにしろヘリからの映像はまさに温泉町のようで壮観だった!
気持ちの良い夕刻でした
>96
そのコピペが貼られるのが夢でした(悪趣味すぎ)
>97
一緒にむぎ茶でもどうですか?1さん。
葉鍵大震災は笑えた!
死者1人ごとにカウントしてたのって私だけ?
(よっしゃー2人突破する?よーし次は3人突破しろーって)
でも結局は誰も死んでないんだよね。全然、騒ぐほどじゃないし。
葉鍵大震災は笑えた。まじで
ニュースで知って、手を叩いてわらったなぁ。
おまえらが震災にあってる間、家で立派な吸血鬼になってた
アホだなーこいつらって思いながら
わざわざ北の街まで行って記念撮影しようかと思ったよ。
でも葉鍵大震災のおかげで何かしらの利益を得た人だっている訳だし
結果的には良かったんじゃないかな。
たしか住井や北川が被災者の救援を頑張ってたけどさ、
あそこらへんって脇役が多いからそのまま活躍させたかったんだよね。
今でも生死不明のやつがいるらしいけど、
せこいんだよ!きちんと落ちをつけろよ。むかつく。
ところで震災直後は特殊能力者ってどうしてたの?
もしかして魔法で異世界に避難?汚ねぇなぁー。
どちらにしろヘリからの映像はまさに温泉町のようで壮観だった!
気持ちの良い夕刻でした。
葉鍵@ドラゴンヘッドてな感じにまでなれば、かなりキツくなりそうだが。
こみパ開催中に大地震発生。
こみパキャラは全員その他大勢のヲタと共にガレキの下敷きとなったうえ東京湾に沈んだ。
夕方遅くまでこみパはやってないだろ……
時間帯的には、大手は既に帰投済みで、小手などで最後まで居た連中が
各種交通機関でごった返してる頃かな。フェリー組は命が助かるかも。
あとは、一般人が参加できる片づけが、何時までやってるかだな。
って、ネタにマジレスって奴だなこれは。
>>92 アラブが石油の財力で穀物を買い占めると
日本にぜんぜん穀物が入ってこなくなって日本は飢餓に見舞われるそうだよ。
米の買占めもあるだろうしパニックが起きる。
ただ・・・あんまりネタにはならないだろうな・・。
こみっくパーティー。
有明で月に一度開催され、驚異的動員数を記録する同人誌の祭典。
普段は偏見の目で蔑まれ、ケの日々を過ごすオタクが待ち望むハレの日。
スタッフ、サークル、一般、コスプレイヤー、その他様々な人間が作り上げる夢の空間、とも言えるだろう。
その経済効果は決して侮れないものとなっており、超人気実力派アイドル声優、桜井あさひが
コンサートを度々行うことでも知られている。
だが今まで目立った事故はなく、スタッフと参加者の努力によりその巨大イベントはギリギリで成り立っていた。
しかし、今日は、あまりにも、運が悪すぎた。
「きゃああああああ!」
「押すな! 死ぬぞ!」
「踏まないで、踏まないでくれぇぇぇぇぇ、あが、ががが、ぐ」
「いやいやいやいやだいやだこんなとこでしにたくねえよ!」
買い込んだ同人誌やグッズをばらまき逃げ惑う観客。スタッフの誘導も、ここまでの非常時では限界があった。
こみパそのものは撤収中、コンサートではアンコールでの惨事だ。
最高潮の盛り上がりでの最悪の中断に、会場は餓鬼の暴れ回る生け簀と化した。
そんな中、警備をかいくぐりあさひの出待ちをしていた少年が居る。
年齢は14,5歳、コンサートに興味津々な年頃だろう。
右手には肉帽が握られている。
棒ではない。帽子のような肉なのだ。
全体的にひょろりとした彼の身体で、そこだけが異様に盛り上がっていた。リオのカーニバルである。
右手が動く。自慰である。もはやギャグとしか呼べない。こすこすと擬音がつけられそうだ。
左手にはあさひバッグ。その中にはTシャツ、ペンライト、他多数。
厨房のくせにご丁寧にブラザー2&辛味亭のモモちゃんえっち同人誌〜まで購入しているようだ。表紙、見えてるぞ。このまま電車に乗るなよ。
だがしかし彼の肩にがし、と手がかけられた。
振り返る。
眼鏡をかけた不敵な面構えの男だった。歴戦の勇者、と呼ぶのがふさわしいか。
「貴様、何をしている?」
ハァハァしていた少年――ネットではわたぼうと呼ばれていたこともある――は彼女を目前にティムポ丸出しで、九品仏大志に取り押さえられた。
その瞬間……!!
大志が打ち付けた頭を押さえながら、衝撃からかろうじて立ち上がる。
気が付いた瞬間、大志を建材から護るように肉の塊となった少年がいた。
ちんこまるだしで。
「彼が我が輩を護ったというのか……皮肉だな」
超やるせない、と形容するしかない状況だが、
「こんなところで感慨にふけっている場合ではない!あさひちゃんは無事か!くそ、同志和樹はどこだ!」
詠美や由宇、玲子やすばるはもう撤収済だろうか。南女史、鈴香らはさらに危険だ。心配の火種は尽きない。
だがしかし、大志にはあさひを救うという信条があった。
客らには申し訳ない、だが、ここで彼女を死なせるわけにはいかない!
大志はスタッフ専用口へと駆けだした。
歌姫を救うために。
――――こうして、一人の少年が死んだ。
【わたぼう 死亡】
懐かしい名前だなあ。
彼、今人並みの人生送ってるんだろうか…
わたぼうはネット環境がないので、訴えられたりはしないはずです。
ごめんね(w
110 :
名無しさんだよもん:03/02/08 22:26 ID:3HH3JKMn
ageてみる。
みんな、こんな死に方はしないようにな。マジで。怖いな。
111 :
名無しさんだよもん:03/02/08 22:33 ID:fA66w3d9
注目あげ
ごめんなさい
撤収なんて(六時だかそのへん?とりあえず夕方)もうとっくに終わってるよね……
4:00終了だったべ、こみパ。確か。
あと コンサートも多分こみパ名義で借りてるんだから(違うかもしれないが)
なんつうか時間がおかしいわ
ご め ん な さ い
俺のミスです。
保守。
114 :
名無しさんだよもん:03/02/11 21:48 ID:gi2PSWlz
義手age
この時、生徒会室にいたのは3名のみだった。
特にこれといった仕事がなかったため、生徒会長たる久瀬が早々に解散を決定したためだ。
ところがその後になって、執行部の一員である斎藤が問題を持ち込んでくれた。
渡り廊下の床に亀裂が生じ、タイルが数枚剥がれているのだと言う。
「――というワケさ。一応、見に来てくれるかい?」
にこにこと、何を考えているのかよくわからない笑顔を浮かべ、斎藤は告げた。
シャープペンシルをペンケースへ仕舞いながら、久瀬はいつもの無表情で頷く。
そのペンケースを鞄へ放り込むと、初めて斎藤へ視線をやる。
眼光は些か冷たく、軽く睨みつけるかのようであった。
「斎藤。急を要する程度なのかそうでないのかくらい、判断して来てもバチは当たらないぞ?」
「判断を下すのは生徒会長じゃないのかい? 職務放棄は感心できないね」
「判断するに足る情報を持って来いと言っているんだ。少しくらい調べて来てもらいたいな」
「さっさと今日の生徒会の仕事を切り上げて解散させたのはどこの誰だい?
その誰かさんまで帰ってしまわないうちに情報を届けた方がいいと判断したのは、失策だったかな?」
「く…まったく、口の減らない奴だな」
「それはお互い様さ」
両手を開いて肩を竦める斎藤に、久瀬は眼鏡を押し上げながら口の端を僅かに歪めた。
フンと小さく鼻を鳴らし、立ち上がる。チラリと視界に現れた壁掛け時計は、午後6時を少し回った事を示していた。
それから部屋の片隅で後片付けに没頭する少女へ声を掛ける。
「天野さん、その辺りは今日片付けなくても大丈夫だ。遅くなるから、もう帰った方がいい」
天野美汐少女は彼の声に顔を持ち上げた。
自分の腕時計に目を落とすと、今度は久瀬へ視線を送って小さく頷いた。
それを確認した久瀬が斎藤を伴って廊下へ出ると、後を追うように彼女も生徒会室から姿を覗かせる。
久瀬と斎藤は渡り廊下へ行くため、右に曲がった。彼女が帰ろうとするなら、左へ曲がるはずだった。
しかし、彼女は二人を追うように右折する。
それに気付いた久瀬が美汐へやや驚きの成分を含んだ視線を投げかけると、
「私も見に行きます。ついでですから」
と、極めて簡潔な答えを寄越した。
久瀬は、そうか、と短く返事をすると再び視線を前方へ向け、歩き始めた。
調査官が2人から3人になったところで、気にする要因は全くないだろう。
程なくして渡り廊下に辿り着いた。
この廊下は校舎の北棟と南棟を2階で連結している。
いつもなら廊下の真下でダンス同好会あたりが練習に励んでいたはずだが、今日は軽快な音楽が聞こえてこない。
幸いにして、誰もいないようだな。何となく久瀬はそのように感じていた。
(…幸いにして? 何だ、それは)
自分の思念に引っかかりを覚えた。
人がいないと言う事が、何故幸いなのだろうか。
人がいると、幸いではない?
自分の感情ながら、釈然としなかった。
何故こんな事を思ったのだろうと考えようとしたが、突然眩暈に襲われる。
歩行が乱れ、ぐらりと体勢が揺らいだ。
壁に手を付き、どうにか転倒する事は避けることが出来た。
「大丈夫かい?」
いつもの笑みを消した斎藤が、不安と不審の両方を湛えた視線を覗き込ませていた。
壁に触れていない方の手をひらひらと振って、大丈夫だ、と答える。
当然ながら、説得力に欠けた。
「久瀬さん…お疲れですか?」
あまり表情に変化を見せない美汐も、流石に心配そうに眉の形状を変えていた。
二人揃って、心配のしすぎだ。ただ眩暈がしてよろけただけの事じゃないか。
苦笑して、本当に大丈夫だ、と二人へ向けて親指を突きたてた。
彼女の言う通り、ただ疲れているだけだろう。
さっきの世迷い事も眩暈も、それで全て説明がつく事だった。
その点に関して久瀬は楽観しており、不安を自分の心から打ち払った。
「まあ、あまり無理しないように。執行部の代わりはいても、会長の代わりなんてそうそういるものじゃない」
「いざと言うときは、お前に後を託すつもりだ」
「久瀬会長の後継とは、全く光栄だね。とても迷惑な話だけど」
会長を抑えておいて、と美汐へ言い残し、再び顔に笑みを蘇らせた斎藤が渡り廊下を進む。
久瀬はその後姿を引き止めたい衝動に駆られる。
理由は判らない、ただ何となくそう思っただけだ。
何となく――そうだ、さっきもそうだった。一体、僕の頭はどうしてしまったのだろうか。
自身への不信は募る一方だった。
「で、これが問題のタイルなんだけど」
ひょいと何かを飛び越えるように跳んで、斎藤はこちらを向いて着地した。
その音と声で久瀬は我に返り、彼の足元を見た。
ひび割れたタイルが認められ、なるほど、話に聞いた通り剥がれてしまいそうだ。
しかも通路のほぼ中央だった。
早めにタイルを交換するべきだろう。
不意に、タイルがコトコトと小さく音を立て始めた。
ガラス窓がカタカタと微振動を繰り返している。
校舎全体が揺れているらしい。
「…地震でしょうか」
美汐がぽつりと呟いた。
その時、久瀬の脳内にバチリと火花が散った。
これが何であるのか、彼には理解する余裕は与えられなかった。
床と壁の両方を蹴り飛ばして美汐の至近距離にまで接近。
右手で彼女の頭を抑えて自分の胸へ押し込み、左腕は彼女の背をしっかりと抱きかかえた。
「く…久瀬さん!?」
彼女は明らかに狼狽していた。
別の知り合いが見たら、何かと冷やかしのネタになりそうな慌てぶりだ。
抵抗を試みるが、久瀬はがっしりと彼女を捉えて離さない。
美汐には何が起こっているのか理解する事が出来なかった。
久瀬自身も自分で何をやっているのか理解している訳ではなかったから、当然かもしれない。
しかしこの行動は、美汐がパニックの頂点へ登りつめようとした時に効果を発揮する事となった。
突然、揺れが激化する。
剥がれたタイルが床を跳ね回り、蛍光灯の落下を合図にガラス窓が軋んで破砕のメロディを奏でていた。
とても立っていられる状況ではない。
久瀬は彼女をかかえたままその場に座りこむ。
次に襲って来たものは、轟音と砂煙だった。
目を開けている事はおろか、呼吸さえ困難となる。
ひとしきり咳き込んだ。
喉と胸の痛みに涙の溢れる思いがする。
腕の中の少女もこほこほと苦しげに呻いていた。
こればかりはどうする事も出来ず、不甲斐なさに奥歯を噛み締めた。
砂煙が晴れたのは、それからしばらく経った後の事だった。
なおも咳き込みつつ、すっかり拘束してしまった少女を何分振りかに解放する。
代わりに軽く肩を掴んで、
「天野さん…大丈夫だったか?」
「…はい、なんとか……」
彼女の返答はおぼつかなかった。
突然の大地震だ、呆けてしまっても仕方ないだろう。
そう納得した久瀬は、どこか怪我はないかと注意深く彼女の様子を探った。
ふと、彼女の顔が横を向いた。
そしてその表情が驚愕の色に支配される。
口をパクパクと開閉させ、目は皿のように大きく開かれていた。
「あ…あ…」
様子がおかしかった。
何があるのだろうかと、彼女の視線を追いかけて久瀬も横を向いた。
そして、愕然とした。
「廊下が…ない…」
渡り廊下が忽然と姿を消していた。
向こう側に見えるのは校舎の2階で、間にあるべきモノが存在していなかったのだ。
そして彼はようやく轟音と砂煙の正体に気付いた。
なるほど、あれは渡り廊下の崩落が原因だったのか。
困ったなと、眼鏡を押し上げる。
渡り廊下がないと、北棟と南棟の移動に手間が掛かる。
狭いとか暗いとかであまり評判はよくなかったが、やはりなくてはならないものなのだ。
廊下が健在であった頃の情景が思い起こされる。
最後に見たのは、タイルの破損状況を調べに行った時で――
「……」
――渡り廊下に、人が、いたはずだ。
「……斎藤?」
返事はなかった。
それから階下を見下ろして硬直する。
眼下には、瓦礫と果てた渡り廊下が埋め尽くすのみだった。
彼に続いて残骸を目にした美汐もピタリと石化した。
何も言葉が出ない。
何も動作が起きない。
何もやる気になれない。
結局二人を発見した教員が声を掛けるまで、彼らは人形の如く動く事を忘れ去っていたのだった。
面白いんだけど、みしおたんが分裂しているのに気が付いた。
えーと……ファイト!
>>122 ああ、あの赤い髪の少女と、元気な茶色い髪の女の子、って誰なのかな、
と思ってたけど、あれが美汐と真琴だったのか……。
>>115-121は、実のところ美汐タンでなくても話しは通じそうなので、
差し替えて貰うとか。まぁ、シチュを楽しんでいくだけなら、
気にすることもないけど、続けるつもりなら早々に手を打った方が……。
あああ、みっしーハケーン。
分裂させちゃったYO!
吊って来る ∧‖∧
↑の妙なIDは115-121でつ。
言い忘れちゃったYO!
吊ってk ∧‖∧
「待て、待つんだ、
>>115-121(以下115)〜ッッッ!!」
俺は今しもロープに首をかけようとした115に向けて叫ぶ。
「確かにあんたは、一つの失敗をしたかも知れネェッ!
……けどよ!? けど、一回失敗する毎に首吊ってたら、
俺なんかもう、百万回も信じ待ってるぜ!?」
最初は叫ぶように、後半は少しずつ諭すように言葉を送り出す。
115は、俺の言葉に少しだけ興味を持ったのか、踏み台身から、
を躍らすことを送らせていた。
「失敗したら、その分、償えばいいじゃネェか!? でなきゃ、
今の世の中生きていられる人間なんていやしねぇよ」
ゆっくりと、言い含めるようにしながら、少しずつ、歩み寄る。
「少なくとも、俺はあんたの文章で楽しませて貰った。だから、ホントは、
償いなんて必要ねーんだ。そして、これからも楽しませてくれると嬉しい」
よし、もう充分な距離だ。
「それに、あんたみたいな奴が死んじまうなんてもったいなさ過ぎるしな」
言いながら、ロープから身を離させる。
「そう、勿体無さ過ぎる。ところで、俺も文章書いてるんだ。な?
今度、俺の文章読んでくれよ。まぁ、読んでくれなくても良いけど。
でも、ここで死ぬなんてやめてくれないか?
俺の言葉に、115が何らかの言葉を返そうとしていた。
「──」
「ッ!?」
瞬間。激震が建物を襲う。
この激しい揺れは一体!?
馬鹿な、ばかな、バカナ!?
これは、これではまるで、俺達がネットで共有していた……!?
NOT TO BE CONTINUED
俺はあかりと志保かと思ってた。なんとなくなんだけど。
あー、ちょっと待ってくれ。
美汐は
>>27で既出ではないのか?
>>88-89の赤い髪&茶色い髪って
1:沙織&瑞穂
2:あかり&志保
3:スフィー&結花
のどれかだと思ってたぞ。
さて、1さん、そろそろネタで終始させるか、本気で離陸させるかの、瀬戸際に
なってきたような気がします。
で、マジに続けるのなら、編集サイトも欲しいにゃぁ〜、と。1さん作らない?
……というわけで、設定を勝手にまとめに入る。
●時代背景:現代とほぼ同じ模様。
見落としたくない描写としては、WAに関しては作品時よりも数年が経過してる(44)様子がある。
痕、THも(32,34)辺りから、時制の進みを感じ取れなくもないが、87で琴音がまだ高校生だし、
原作通りの時制とした方が良さそうである。
(個人的には、THの世界はWAより前か、平行辺りが望ましかったのだが、まぁ、面白いので良し)
●時 期:カレンダー的にはよく分からないが、ニュースが伝える内容が現実と
シンクロしてたので2月前半かね? 対応が不味いと、寒さでも被害が出るな……。
(
>>27から、大規模震災が起こったのはどうやら『 2月1日 』か? と思ったら、
真琴が帰ってきた日が2/1だったのか……。結構忘れてるネェ)
●本編外の話:
>>14,
>>17,
>>20,
>>36、
>>48あたりは、良い感じなのだけど、
イメージってことにさせて貰った方がよさそう……。
しかし、
>>105は、扱いどうなのかね? 良く知らないのでわからん。
あと、26のは、時期が早すぎるので、一旦除外。(ああ、26書いたのは私です。
だからそれは問題なし。他も書いたけどそれは秘密)
その他設定まとめ:
>>46,
>>52-56,
>>78,
>>92,
>>93,
>>103
>>27 :さよならは突然に
舞台:夕暮れの買い物の帰り道
人物:天野美汐(学生)。真琴はそばにいない
>>32 :(無題)
舞台:お屋敷夕食時。
人物:綾香と芹香、セバスちゃん、セリオと、マルチ、他HMシリーズ達
>>34 :冷静と情熱のあいだ
舞台:北の町(隆山の温泉街かと思ったが、千鶴さん達はここへ『来て』いる。
作者さんの説明があった方が混乱がないと思うが、あくまでリレーの可能性に懸けるべきか?)
人物:柏木千鶴。梓も同宿。同室かどうかは不明。
来栖川姉妹も近くの地域に。
(来栖川姉妹は既に企業体に組み込まれている様子?)
>>39 :赤と朱と紅の祭壇
舞台:五月雨堂?
人物:なつみとココロ。怪我人(高校生位の長い髪に洒落た服の見知らぬお客さん。
いいところのお嬢さんかもしれないらしい→57から、長谷部彩?)
>>42 :(無題)
舞台:下校途中にある坂。
人物:新城沙織
>>44 :そして降りゆく夜の帳
舞台:車道。ONEの学校からは近い。
人物:神尾晴子(編集者来週からは地元で保母)。
(家には観鈴と国崎が居る。橘も来訪予定)
(澤倉美咲は新鋭舞台脚本家として成長)
>>57 :まじかる魔法ウィッチ☆(たぶん三代目)
→まじかる魔法ウィッチ☆(四代目) ……に改題?
舞台:五月雨堂
人物:スフィーLV高→低、なつみ。長谷部彩
(健太郎は晩飯材料調達中)
備考:しっかりと39からリレーしてるっぽい。
>>61 :(無題)
舞台:AIRのまち? (何処だったっけ)
人物:岩切、少女(わかる人には分かるんだろうけどスマン)。
>>62 :(無題)
舞台:廃材置き場(不法投棄現場)
人物:みちる
>>71 :男はつらいぜ
舞台:神尾家
人物:国崎最高
橘啓介
(観鈴は不在)
>>75 :(無題)
舞台:街
人物:相沢祐一、北川潤
>>81 :束の間の幸せ
舞台:それぞれの部屋
人物:浩平と長森(共に学生)
>>85 :悪夢
舞台:街
人物:浩平
>>86 :(無題)
舞台:カラオケBOX
人物:茜、詩子
>>87 :恩と守護
舞台:
人物:住井護
>>88 :痛み。
舞台:ヤクドナルド
人物:名倉由衣(ヤック店員。FARGO教団からは脱出であり、晴香、郁未のその後を知らない)
赤い髪の女の子と、元気な茶色い髪の女の子。(現在の所、あかりと志保説が生存。他の説は矛盾)
(名倉有里は死亡した『らしい』)
>>91 :(無題)
舞台:聖の地元から遠く離れた何処か。聖の大学時代の友人に招待されて……。
直接の舞台は街の小さな病院の前。
人物:霧島聖、住井護。琴音(断髪)。
>>115:(無題)
舞台:カノンの学校
人物:久瀬、斉藤、美汐(? 27に一人の美汐が居る)
備考:アナザー扱いにするには惜しい出来。人物差し替えとかでどうか?
>133
115について美汐を栞のことを心配していたクラスメートにしてはどうか?
いやぶっちゃた話サブキャラですらないキャラが好きなだけですが
設定に拘りすぎるのは(・A・)イクナイと思うですよ、お兄さん。
「もういいよ。僕はもう持たない。君も早く逃げたほうがいい」
目に見えるのは闇。そして、背中に感じる水の感触。それが、自分の血液だということは容易に想像できた。
「ふざけないで! 勝手に死のうとしないで!」
聞こえるのは、若い女性の声。そして、自分にのしかかっている瓦礫をどける音。
「ふざけてるつもりは無いさ。元々…まぁ、こんな時に言うのもなんだけど、僕は病気だから大した時間を生きられないんだよ」
「そんなこと知ったことじゃないわよ! 絶対に助けてやるから覚悟しなさい!」
「やれやれ。さっきから君が瓦礫を除去するほかに崩れる音がする。恐らく、近辺にある建物が崩れ初めているんじゃないかな?」
彼の言う通り、彼が生き埋めになった近くにある建物が、倒壊しようとしているが、瓦礫を除去している少女は一切気を留めない。
「いいから黙ってなさい! でも、そんだけ喋る体力があるんだったら、それ以上死ぬなんていわせないから」
「やれやれ」
彼は、死に瀕しているというのに、微笑んだ。その時、目の前の闇が切り裂かれ、新たな闇が差し込んでくる。いつの間にか、外は夜になっている。
「大丈夫?」
そして、覗き込んでくる一人の少女。手を隙間から差し込んでくる。
「お陰さまで、ね」
その手を、何とか自由に動く左手で掴んだ。
「とりあえず、お礼を言わなくちゃいけないね」
少女に肩を貸してもらい、倒壊しそうな建物から離れた。少女は、長い黒髪を垂らした氷上と同年代に見える少女だった。少女は、かなり薄汚れている。
「別に、いいわよ。気にしないでさっさと歩きなさい」
苦笑しながら氷上は足を進める。正直、かなり重症だった。右足は、恐らくかなり酷く折れている。左手も恐らくヒビぐらいは入ってるだろうし、肋骨も折れているかもしれない。そして、頭から流れ出た血液の量はかなり多かった。
「やれやれ、強引な人だね。まぁ、お互い大変だったね。酷い地震だったからね」
夕暮れ迫る道を、病院帰りの氷上が歩いていたら、酷く揺れてそして上から瓦礫が降ってきたこと。地震の瞬間の記憶はそれしか無い。
「地震…なのよね。この様子を見る限りじゃ」
少女の言動に疑問を感じながら、氷上は言葉を続けた。
「まだ名乗ってなかったね。僕はシュン。氷上シュンだ」
「私…は? 私…?」
少女は、ぴたりと歩みを止める。氷上はその顔を覗き込んだ。
「どうしたんだい?」
「私…わからない…誰? 私の名前? 名前って? えっ?」
氷上は、言葉を失った。地震のショックか、東部に外傷でも負ったのかはわからないが、とにかく記憶が失われてしまっている。
「私…名前?」
「無理に思い出さなくてもいいよ」
氷上はすかさずフォローを入れたが、少女は言葉を続ける。
「…エクスト……ねえさん……セバス……かくと…?」
ねえさん、と言う言葉以外は少年は理解することができなかった。少女は言葉を続ける。
「私…くる…くる……綾…綾…綾…」
「君は、綾って言うのかい?」
「…判らない。まだ何か後についたような気がしたけど」
少女は顔を伏せる。氷上はひとつ息をついた後、
「まぁ、思い出すまでは綾、だね。よろしく、綾」
「うん。よろしく、シュン」
名前をいきなり呼ばれて少々驚いた。もしや外国育ちかな? と思ったが飛躍しすぎと自分でその意見を笑い、一蹴した。
舞台…
(恐らく)同じ地区に在住……TH、ONE、こみパ、MOON。聖は現在この地区に訪れている模様
上記の地区に比較的近く……まじアン(
>>57にて彩が店を訪れているためさほど距離は離れていないと思われる)
AIRの地区は海辺の町。聖が原作で通天閣のTシャツを着ていたことを考えると関西のようだが、まじアンの舞台が海に比較的近いことを考えると、まじアンの舞台の地区がAIRの舞台の近く、と言う設定にすると…
「TH、ONE、こみパ、MOON、AIR、まじアン」が比較的同一地区に住んでいることになりキャラが絡めやすくなる。これを便座上、地区A(関東)とする。
だが、
>>91で「聖は遠く離れた地区に」と言う描写があるので、同じ関東地方に居るのに「遠く」と言うのは考えにくい。よって、AIRの舞台は関西というのが筋が通っていると思われる。誰彼も関西なのでそう考えると
「AIR、誰彼」の舞台が比較的同じ地区だと考えられる。これを便座上地区B(関西)とする。
だが、これでも矛盾が生じ、
>>61で岩切が旅をしており、文面を察するに遠くまで旅をしていると考えられる。だから、AIRの町を地区Bと仮定するとまだ同じ地区をうろうろしているのはおかしい事になる。
長くなってしまったが、AIRは日本のどこか…恐らく太平洋側、恐らく静岡、愛知辺りの東海地方ではないかと考える。
痕は高山近辺と比較的はっきりしている。高山は岐阜県なので、AIRの舞台を愛知、静岡付近と考えればこの2作品を絡ませられないことも無い。これを地区C(東海)とする。
ちなみにKanonとWAは雪国ということで同一地区に住んでいる、と言うほうが絡めやすいのでこの設定を提案する。これを地区D(雪国)とする。
雫だが、これは全く手がかりが無い。妥当に、地区Aとする。
まとめると…
地区A(関東)…TH、ONE、こみパ、MOON、まじアン、雫
地区B(関西)…誰彼
地区C(東海)…痕(AIR)
地区D(雪国)…Kanon、WA
舞台設定を考察してみた。
いや、せっかくのご高説ですが、
WAは別に雪国というわけではなかったですよ?
むしろ、関東圏だったはず……。
ゆえに、バムも、地区A(関東)
143 :
141:03/02/16 14:09 ID:GZGXm9UV
フォロースマソ。WAは未プレイなので、よく調べてなかった…。
西の空に傾いている太陽が、海沿いに広がる街を赤く染め上げていた。
勤め先や学校から帰る人々が行き交うこの時間帯、坂神蝉丸もまた本日の仕事を一段落させていた。
彼は××運送との看板が掲げられた建物から出て来て、そこの主任が見送りに現れると軽く頭を下げた。
「では、お先に失礼します」
「蝉さん、明日もよろしくな」
「はい」
蝉丸はくるりと踵を返し、帰るべき場所へと足を進めていった。
犬飼の企みも光岡との決着も、全てが終わった後に蝉丸はこの鏡間市依代町に腰を下ろしていた。
寝床は杜若裕司が姉と共に五十年以上を過ごした家だ。 そこに居候という形になっている。
長い眠りから覚醒した蝉丸ときよみ。 裕司の家の生活費は一気に三倍に跳ね上がった。
彼はそれでも構わないと言うが、二人とも黙って世話になっているつもりは無かった。
それぞれに適当な仕事を探し、蝉丸の場合は小さな運送会社で荷物運びの労働に励んでいる。
普通の家に済み、普通に働き、普通に日々を暮らす。
五十年前の蝉丸が考えもしなかった平穏な時の流れが、ここにはあった。
(帰ったら月代に電話をかけねばならないな)
蝉丸が仕事から戻る時間を見計らい、毎日の様に月代が電話をかけてきていた。
三井寺月代や砧夕霧はもともとこの辺りの住人ではなく、夏休みを利用して祖父(=覆製身の蝉丸)の家に遊びに来ていたのだ。
夏が終われば当然、ここに住むことになった蝉丸とはお別れである。 月代が泣きそうな顔をしていたのを今も忘れない。
次の週末にはきよみも暇が取れそうなので、こちらから訪ねてみるのも良いだろう。
帰宅すれば電話でその旨を伝えるつもりだった。
元気な少女達の顔を思い浮かべると、蝉丸の顔に自然と笑みが浮かんだ。
しかしその予定は、予想外の事態により中止を余儀なくされる。
不意に、蝉丸は微かな振動を感じた。
地面が揺れているのだ。 少し遅れて、同じ道を歩く周囲の人間も異変に気付き始める。
(地震か…)
蝉丸は無意識のうちに両足でしっかりとバランスを取っていた。
最初は本当に小さな振動だったそれが、徐々に大きくなってくる。
会社帰りであろうスーツ姿の男が、セーラー服を着た学生達が、不安げに辺りを見回した。
そして。
「これは… いかん!」
蝉丸は思わず声をあげた。
その一瞬の後、何かが爆発したような轟音と同時に、大地が荒れ狂った。
それから何がどのようになったのか、蝉丸にはよく認識できていない。
強化兵の中で唯一完全体と言われる彼も、上下左右に激しく揺さぶられる中で周囲の状況を把握するのは困難だった。
そして全てが終わった時、目の前に広がっていたのは地獄の様な光景だった。
古い建物も新しい建物もほとんど倒壊し、瓦礫の下から泣き叫ぶ声が聞こえる。
道路はひび割れ、木や電柱までもが横倒しになって、その下で潰された者までいた。
死の臭いが充満し、生者はみな絶望の淵に立たされる。
ふと見上げると、空を無数の爆撃機が埋め尽くしているように見えた。
しかしそれは蝉丸の脳裏にある記憶が見せた幻覚に過ぎなかった。
「…きよみ!」
蝉丸は走った。
愛しい人がまだ失われていないことを願って。
保全します
保守らせていただきます
ほす
149 :
名無しさんだよもん:03/02/20 22:14 ID:mhPuWfq+
あげ
一通り落ち着くと、理奈はラジオの電源を入れた。
なかなかつながらない。
放送局も壊滅しているのか?
ジー、ジー…
あるチャンネルにつながった。どうやらNHKだけは機能しているらしい。
理奈は耳を澄ました。
「…CIAは今回の災害を北朝鮮の新兵器によるものと断定、
これを受けてブッシュ大統領は報復攻撃を加えると発表しました…」
「……っ」
パラパラッと顔にかかる砂で来栖川綾香は眼を覚ました。
狭い。
暗い。
次第に眼が慣れてくるが、そこは見たこともない廃墟が広がるだけである。
ちょうど崩落した天井と床の隙間に自分はうつぶせになっているようだ。
すぐに身体の各部位をチェックをする。
頭……ちゃんと考えてるこの思考が狂っていない限りは大丈夫だろう。
上肢……指の一本一本を丹念に動かしてみる。……大丈夫。
下肢……足先に何かあるのが感じられるけど、自分自身には問題はなさそうだ。
(……廃墟?)
(いいえ、これは認めたくないだけ。ここは夕食を待って姉さんもセバスチャンも居た私の家)
現在の綾香の位置から見えるのは右側の壁と無惨に押しつぶされたテーブルの一部だけ。
芹香の居た位置やセバスチャンが居た当たりはちょうどこの位置からでは判別できない。
(……姉さん、セバスチャン、セリオは大丈夫かな?)
パラッ……
また砂が顔にかかる。それに混じって固いものが髪にはじかれて落ちる。
(……固いもの?)
「……かさ……ま……」
呟くように聞こえてくる声。
「セリオ? セリオなの?」
確かに聞き覚えがあるセリオの声。かすれてしまっているので近くであることぐらいしかわからない。
綾香はその声を聞くとなるべくまわりに衝撃を与えないように身体を隙間から抜き出す。
周りを見回すが、誰もいない。
ガタン
軽い音共に何かが倒れる音。そこに自分がさっきまで居たところの奥が崩れたらしい音が重なる。
綾香が足下に視線をうつすとそこにはさっきまではなかった指先が見える。
「セリオ、そこなの、今すぐ出してあげるからね!」
十分後。助け出されたセリオの姿はひどいものだった。
さっき当たったのはこれだったのだろう、左の耳当ての部分が取れている。
特に左肩の損傷が大きい。すでに一時間ほどたっているがずっと綾香が潰されないように支えてきた、その証だ。
声の機能にも障害が起きているらしくあまりしゃべれないようだ。
「……ぁゃか様……ご……ぶじですか……」
「私は無事よ……セリオ……」
綾香は涙を落としながらセリオを抱きしめる。
そのとき後ろから声が聞こえてきた。
「お嬢様〜!」
セバスチャンも無事だったらしい。
「セバスチャン、ここにいるわよ」
「ご無事でしたか、綾香お嬢様。芹香お嬢様もお待ちですので、一度避難所へ向かいます」
「セリオもつれていくわ。セバスチャン、お願い」
「わかりました、お嬢様」
そして綾香はセリオを背負ったセバスチャンと共に歩き出した。
>>139-140 の方が先出だし、雰囲気も好きなんだけどなぁ……。
ただ、
>>32を見て、全員が食卓に着いていたことを前提に改めて考えると、
おそらく
>>139-140の展開では、他のメンツは既に死亡してるか、まだ瓦礫の下、
或いは、早々に瓦礫の下を脱したが、綾香を見つけられずに何処かに去った、
という展開が予想されるわけで……。
それと比べると
>>151-153の方が流れが自然なような気もしてくるが、
でも、後出だしなぁ、とかも思うし。
ええと、なんだか良くわかんなくなってきた。
……当事者同士で話し合って貰うのが良いんじゃないかな?
多分、自分が読み落としてたのが原因のような気がします……
うーん。
いや、せっかくだから他作品のキャラ同士を絡ませてみるか、と考えてこれを書いたのですが…
別にほかのメンツが死んだとか生きてるとかそういう事は全く考えて無いので…後の書き手さんに任せて居たつもりなのですが
このさい、あえてレスの順と時間経過は無視して、
>>151-153 から
>>139-140の間を埋めるシチュを考えてみるってのはどうですか?
あとで、職人さんに頑張ってSSにしてもらうとか。
例えば、上から巨大な瓦礫が降ってきて、それをよける為に分かれざるを得なかったとか・・・。
崩壊した屋敷から脱出するのは意外なほどに時間がかかる。
早くでなければ二次的な倒壊が起きることだって考えられる。
二人の足は自然と速まる。
「綾香お嬢様。お怪我はありませんか?」
少々急ぎながら瓦礫を避けつつ外へと向かう。
綾香は少々心配そうな顔でセリオを見ているが、何も答えない。
「綾香……様……」
うわごとのように繰り返すセリオの声が少し悲しい。
「お嬢様、お怪我はありませんか?」
もう一度セバスチャンが綾香に問いかける。
出口はもうすぐそこだ。
「ええ、大丈……」
綾香がその答えを返そうとしたその刹那。
何かが壊れる音。綾香には全てがスローモーションに見えた。
大きな塊が降ってくる。
目の前のセバスチャンはセリオを背負いながら反対側に見えなくなる。
疲れているからだろうか、多少反応が遅れた綾香は致命傷さえ
逃れたものの側頭部に衝撃を受けそのまま昏倒した。
どれくらい立ったのだろう。
気がついたらこんな壊れたところに綾香は一人転がっている。
目の前には大きな瓦礫。
(私……私は何でここにいるの?)
自答してもわからない。何でこんなになってるのかわからない。
そして自分が何者かも……
街に行ってみれば状況がわかるかもしれないと思い、
綾香はゆっくりと起きあがると街へと歩き出した。
セバスチャンは不覚を取ったと思いつつ眼を覚ました。
「綾香お嬢様!」
綾香がいた場所には大きな瓦礫がある。
顔面から血がひいていく感覚がセバスチャンを襲った。
しかしまだ決まったわけではない。そう考えると避難所に戻って救援を
呼んできた方が確実だと思い、セバスチャンは避難所へ向かった。
一応こんな感じで間埋めるつもりで書いてみたんですが
どうでしょうか……
グラッときたら
押さない
駆けない
喋らない
あーリレー小説なのか
>>162 うちのとこは
押すな
走るな
転ぶな
だった
>61 続き
次の瞬間、岩切はとっさに少女の方へと身体を跳躍させていた。
地上でも人並み以上の瞬発力はあるとはいえ、水中に特化した強化兵である岩切にとって少女との距離は能力限界ぎりぎりであったのか、岩切の身体は少女の手前でグラリと失速した。
「チッ……!」
岩切は短く舌打ちすると、不安定なままの姿勢でもう一度地面を蹴って、落下する少女に飛びついた。
「あわわ……」
飛びつかれてわたわたする少女を腕に抱えたまま、岩切は海へと飛び込んだ。 一瞬、大きな水柱と共に2人の姿は海中へと消えた。
……数十分後。
「こ、これは……」
少女を抱いたまま砂浜に戻ってきた岩切は、目の前に広がる光景に思わず絶句した。
わずか数十分前まで、十数街と砂浜を区切っていた堤防はみるも無残に引き裂け、パックリと口をあけたその裂け目の向こうに、建物が崩壊し、炎と黒煙につつまれ地獄絵図と化した街が広がっていた。
「この規模、関東大震災並み……いや、それ以上か……」
岩切は状況からこの地震が自分が想像した以上の被害であると判断した。
「とすれば、今後ありうるのは……津波か?」
そう口に出してから、岩切は自分の予測に慄然となった。
「……と、ともかく、ここより高い場所にせねば」
「……くしゅんっ!」
岩切がこの場の危険さに気づいて、移動しようと歩き始めた時、腕に抱いた少女がくしゃみをした。どうやら目を覚ましたようだ。
166 :
出会い(2/2):03/02/24 18:18 ID:0GAJGUyB
「……大丈夫か?」
「あれ、私、、どうなったの?」
岩切が声をかけると少女は不思議そうな顔で周囲を見渡す。
「……地震で堤防から落ちたから、私が受け止めて海に飛び込んだ」
「それで身体びしょびしょ……えっと、おねーさん、抱っこ、もういいよ」
少女は岩切の話に納得すると、岩切の腕から降りようとする。
「いや、ここから一刻も早く移動せねばならんからな。私が抱えて走った方が速
いし、安全だ」
「え、でも家に帰らないと……」
非常時と理解していないとしか思えぬ少女の言葉に、岩切はイライラしつつも冷淡に切って捨てる。
「無理だ、あきらめるんだな……それより、ここらで一番の高台はどこだ?」
「ええっと、山の神社かな」
少女はわたわたと山の方を指差す。
「そうか山の神社だな、案内しろ!」
「いいけど……ちょっとまって」
さっそく神社へと走り出そうとした岩切を少女が引き止める。
「なんだ? 早くしろ!」
「にはは、私、観鈴……神尾観鈴だよ。んと、おねーさんは?」
「……?」
一瞬、岩切はいぶかしんだ後、この観鈴という少女が自分の名前を聞いているのだと気づいた。
「岩切……岩切花枝」
この時、岩切はこの少女に長い間かかわる事になろうとは想像だにしなてはいなかった……。
つー訳で、岩切の続き書いてみた(w
で、この子、観鈴でいいんだよね(汗
>165、166
げ、誤字がある・・・・・・スマソ、自分で吊っとく。
◎===◎
‖ ∧||∧
‖ ( ⌒ ヽ
‖ ∪ ノ
‖ ∪∪
‖
__Ω__
| 不要品. |
えっと、テストが終わったらで、需要がありましたら
まとめようかと思うんですけど。
でも、なんか寂れちゃってるなぁと。
>>169 リレー的に微妙だった時期があったから少し停滞してたけど、
それも解決したし。
新作も上がってきたんだから、まとめて下され。
それでこのスレもまた加速するって。
各作品ごとの時代経過を考察してみました。
基本的には流れが違う可能性が高いので時間的に見たものだけ。
雫→1年以内?
痕→すぐあと〜数年。
梓は卒業後? かと個人的には思います。
TH→最大2年後。琴音が高校生であるが、他のメンバーは高校生である表現はまだされていないため。
琴音が3年であるとすれば住井の話でも高校生で通るはず。
また来栖川姉妹がすでに企業関連に取り込まれて居るところからも数年は経っているのではないか。
WA→2〜3年ぐらい?
美咲さんが新鋭脚本家であるというところから数年は経っていると見ても良いと思う。
まじアン→すぐあとか? 多分なつみは学生じゃないかな?
こみパ→まだ、あまりでてないのでわからない
誰彼→終わった後、しばらくしてそれなりに生活した後だと思われる。蝉丸の話より。
MOON→すぐ後からちょっと? まだまだ由依がこだわってる所からの類推。
ONE→まだ浩平達は高校生。どんなに経ってても1年ぐらいじゃないかと。
Kanon→すぐ後からちょっと経ったときぐらいまでの間だと思われる。いろいろあったからって
久しぶりに北川と……って言ってるから。
Air→そんなには経ってないはず。 どのような経過を辿ったかは不明。
まとめ、お疲れ様です。
単なる過去ログ集ではなくて、それ以外のまとめも在るのが良い。ただ、何処が、
というわけじゃないんだけど、なんとなく見易くないような感じが……。
曖昧な指摘が一番困ると思うんだけど、ごめん、とりあえず、そう感じた。
あと気が付いたところでは、簡単な日本地図を作って、どの地区がどの辺、
ってのを大まかに決めちゃった方が良いかも。
大震災設定ということで。
特にAIR組が各地に散らばってるし、位地関係を決めてしまった方が
今後の混乱が少ないんじゃないかと思う、とか言ってみるがどうか。
どんなに離れた場所にい様と、どんな時にだって、僕らは分かりあえるはずだった。
例え、そのちからの源が、深い哀しみをたたえていたとしても、大切なのは
これからをどう生きるかだ。
それを僕に気付かせてくれたのは、他の誰でもない。
――瑠璃子さん、君だったのに……。
確かに、僕は電波を感じ取った。
あれは、錯覚なんかじゃなく。
瑠璃子さんが僕に呼びかけてくれたんだ。
そういう電波だった。
だから、僕は瑠璃子さんの元にいかなければならないんだ……。
帰宅して自室でくつろいでいた僕を襲った、信じられないほどの大地震。
崩れかけた建物の中から飛び出した僕が見たのは、一面崩れ去った住宅の
山々だった。
それに唖然とする僕の後ろで、今さっきまで僕がくつろいでいたはずの
我が家が力尽きるようにぺしゃんこになった。
僕が逃げ出すまで、頑張ってくれてありがとう。
なんとなく、そんな事を思う。
そして、頑丈な家を建ててくれた両親に、少しだけ感謝した。
学校のある僕を置いて何年振りかに海外へと旅だっている二人。
あっちは無事なんだろうか。
付き合いの薄かった隣家への心配は沸きあがってこなかった。
脳裏をかすめるのは、クラスのみんな。
太田さん、藍原さん。
新城さん……。
そして、瑠璃子さんの事だった。
他の誰の安否も心配だったが、皆自分の足で歩くことが出来る、一人前の人間だ。
いざとなれば、自分の力で何とかするはずさ。
だけど、瑠璃子さんは……。
瑠璃子さんはあの事件以来ずっと、伯父さんの経営する病院で月島さんと
共に眠り続けているんだ。
他の人達とは状況が違う。
いや、そんな理屈はどうでも良かった。
僕は、瑠璃子さんが心配だった。
瓦礫にまみれた街を、僕は月島医院に向けて駆け出した……。
道中、僕が見たのはまるで地獄のような光景だった。
ある意味、僕が少し前まで思い描いていたような、妄想の爆弾に焼き尽くされた世界のように。
誰もが状況を飲みこめず、誰かに救いを求めるような瞳で、全てを諦めきったような瞳で、
自我を失ったような瞳で、街をさまよい、或いは,座り込み、また、身体を横たえていた。
思いの他、怪我人は少ないように見えた。
いや、あの瓦礫の山々の下を覗きこんだら、そんなことは言えないだろう。
僕は、こんな光景を望んでいたのか……。
そう考えると震えが止まらない。
今の僕には、こんな世界は必要無かった。
必要なくなってから、こんな世界を現実に作るなんて……。
だから僕は神様を信じたりしない。
こんな不条理な神様など、存在を見とめてなどやるもんかっ!
そうこうするうちに、僕は目的の場所に辿り着いた。
「辿り着いたんだよ……ね?」
誰にともなく、呟く。
なにぶん、ことごとく建物が倒壊しているせいで、景観が掴めない。
数こそ少ないが、そこここで火災も起こっていて、本当にここが自分の目指した場所なのか、
それさえ疑わしくなってくる。
「誰かいませんかっ!?」
そう言いながら、少しだけ周りを歩く。
ああ、やはり、ここなのだ。
医院を囲んでいたはずの壁、その見覚えのある塗装が僕の目に入ってくる。
粉々に砕けて、ともすれば見落としそうなその特徴に、僕は何とか気がついた。
そしてその直後、医院の入口だったらし居場所の付近に倒れている一人の女性を見つける。
ナース服。
この医院の人か?
助け起こし、問う。瑠璃子さんのことを。
「それが、何が何やらさっぱりで……。ああ、院長先生も恐らくはこの下に……」
僕に起こされて、改めて医院の現状を見た看護婦さんは嘆くようにして肩の力を落した。
「そんな奴のことはどうでもいいっ!!」
月島さんの心が弱かったのが全部悪い。だけど、ここの院長さえ、
もう少しだけまっとうであれば、悲劇は起こらなかったんだ。
そうしたら、僕は瑠璃子さんと出会うこともなかったかもしれないけど、それはそれで
とても悲しいことだけれど、でも、瑠璃子さんは傷付かずに済んだんだ。
そんな、そんな奴は死んでしまえば良いんだっ!
看護婦さんを身体から離し、僕は医院の、瑠璃子さんたちの病室が
在ったはずの場所辺りに呼びかける。
瑠璃子さん、返事をしてくれ。
何処にいるんだ、瑠璃子さん。
僕が救けに来たんだ。
だから返事をしてよっ!
懸命に呼びかけながら、瓦礫を少しずつ遠くへ放る。
だめだ、こんなんじゃダメだ。
もっと早く、もっと早く……。
早くしないと、瑠璃子さんが……。
くそっ、何でこんなに大きい瓦礫が、どけよっ!
消えて無くなれってば!!
だけど、無機物は僕の電波の言いなりになってはくれない。
くそっ、くそっ、くそっ!!
瑠璃子さん、瑠璃子さん、瑠璃子さん、瑠璃子さん。
瑠璃子さん、返事をしてッ!!
……くそ、何で僕はこんなにも無力なんだ!!
瑠璃子さん、返事をしてくれよっ、でないと僕は、おかしくなってしまいそうだ……。
瑠璃子さん、瑠璃子さん、瑠璃子さん……。
僕が必至に瓦礫をどかそうとするうちに、日は完全に沈み、空には星が瞬き、
月は煌煌と荒廃した街を照らし出していた。
僕は一度だけ月を見上げて、そして泣いた。
突貫で作ったページじゃだめかなぁ……
180 :
名無しさんだよもん:03/03/01 22:31 ID:yG6g3ZJ0
とりあえず、普及のためage
181 :
名無しさんだよもん:03/03/02 00:00 ID:C+STPH8i
史上空前の名スレの予感
安易に狂わないで絶望しながらも足掻いていく人間模様が見られる悪寒
秋子さん辺りがスタートから諦観していない事を祈るばかり
Airグループはこれからが修羅場だな・・・
他のグループも2次災害はあるが、なんといっても場所がとんでもない。
とりあえず、更新完了。
色使いとか変えてみました。
……またもや現実逃避中です。
サイトへは
>>171のリンクからどうぞ。
途中、何ヶ所か瓦礫で道が塞がっている所を回り道したので到着は遅れたが、十数分で家まで辿り着いた。
しかし、そこにあったのは、変わり果てた長森の家だった。
「ここだよな…」
ここへは小学校の頃から来ているとは言え、ここまで変わってしまうと本当に長森の家なのかわからなくなってしまう。
ここは違う。長森の家ではない。
そう思いたい衝動にかられてしまうが、そんな場合ではない。一刻も早く見つけ出さなくてはならない。
しかし、なぜ自分がこんなにも冷静でいられるのかが不思議だ。もっと感情的になってもいいはずなのに。
いつの間にか辺りはもうかなり暗くなってきていた。
「長森ーっ!!返事しろーっ!!おーいっ!!」
もう何回叫んだかわからない。とにかく部屋であっただろう所の瓦礫を取り除く作業に取り掛かったのだが、
まったく埒があかない。
健全な男子高校生をもってしても、コンクリートの欠片を退かす作業は困難を極めた。
「くそっ…長森……!」
自然と涙が出てきた。本当にこれで終わりなのか。さっきまで電話で話していたのに。あっけなさ過ぎる。
涙をこらえ、半ば自暴自棄になりつつ、瓦礫をどかした。
と、突然地面が激しく揺れた。
「うわっ!?」
思わず尻餅をついてしまう。余震は地震発生直後から度々発生していたが、今のはやたら大きかった。
瓦礫の裂け目に片足が落ちてしまう。
片足を抜こうともがいているところで声をかけられた。
「君っ!大丈夫か!?」
「は、はい、大丈夫です」
程なくして足は抜けた。改めて声の主を見てみる。大学生くらいか。この辺りでは見ない顔だけど、
手には画材の入った紙袋を持っているから、買い物帰りかもしれない。
「ここは危ないから、早く逃げた方がいい。一緒に避難所まで行くかい?」
「い、いや、この下に俺の幼馴染がいるんです。早く助けないと…」
「幼馴染…」
その大学生は、“幼馴染”のフレーズを何やら反芻するように唱えていたが、すぐに向き直り、
「わかった。手伝おう」
「あ、ありがとうございます」
早速救出作業に取り掛かった。流石に男二人もいれば瓦礫の撤去は容易であり、
間もなく屋根の瓦礫は部分的に無くなった。変わって現れたのは、天井の部分の柱と板だった。
見た目にはすぐにどかせそうな太さである。
「もうすぐだ……せーのっ!」
だが、柱はビクともしない。しかも、火の手が段々と近付いて来ている。
と、大学生は紙袋の中を漁りはじめた。
「お、あった。いや〜次の作品のためにコレ買っといて良かった」
取り出したのは、大きめの鋸だった。
「なんでそんな物持ってるんですか…」
「ちょっと参考にね。さあ、軽口言ってる暇はないぞ」
と言って柱を切りはじめた。ゴリゴリという鋸特有の音を響かせて。
見た目どおり、すぐに柱は切断できた。こんなものでよく天井を支えられていられるものだと思う。
「後は板を剥がすだけだ」
「「せーのっ!!」」
ばきっばきっ、という盛大な音を立てて板は剥がれた。
剥がれた板の隙間から顔を出して中を見ようとしたが、暗くてよく見えない。
しかも、床が数十センチのところまでにきていた。運が悪ければ潰されているだろう。
考えがどうしても最悪の方へいってしまう。もう生きていないのではないか、そう思えてきた。
「長森ーっ!大丈ぶ…」
「叫ぶな!」
急に制された。
「どうしてですかっ!?早くしなければ…」
「前にテレビでやってたんだけど、一旦静かにしてみるといいらしい」
「何でですか?」
「被災者が助けを求めている声が聞こえる場合があるそうだよ。実際それで何人も助かってるし」
それに一縷の望みを託して、作業を一旦止め、長森の部屋付近でじっとしていることにした。
悠長にしていられないとは言え、闇雲に探すよりいいだろう。
五分くらい過ぎただろうか。コンクリ造の家が多いためか、火のまわりは弱いが一向に声が聞こえない。
焦燥感で集中力が削がれてしまう。早く見つけなければいけないのに。
不意に“コツコツ”という音が聞こえてきた。例の大学生かと思ったが、音とは別の方にいた。
一瞬空耳かと思ったが、また“コツコツ”と音がした。場所はさっき穴を空けた場所のすぐ近くだ。
「長森か!?」
咄嗟に大声を上げてしまった。大学生が振り向く。
「いたか!?」
「はい、この下のあたりに!」
「じゃ、いくぞ!」
めきめきと音をあげながら板がまた剥がされていった。板の下には不自然な形で布団がしいてある。
いぶかしみつつそれをめくると、埃で顔や服が所々汚れている長森の姿があった。
「瑞佳っ!!」
無意識のうちに長森を抱き寄せていた。また涙が出てきた。もちろん、さっきとは違った意味の涙だ。
「…ぅへい…来てくれてんだ…」
喉が枯れて酷い声になっている。天井に挟まれてから、ずっと助けを求めていたようだった。
「もう大丈夫だぞ、痛い所はあるか?」
「…足」
「うーん、これは打撲だな。重くは無いけど早く手当てした方がいい」
振り返ると大学生がいた。そうだ、あの大学生がいたんだ。しかも名前を聞いていない。
「さ、避難所へ行こう。坂の上にある高校が避難所らしいんだけど、場所わかるかな?」
「大丈夫です。そこへ通ってますから」
「そりゃ丁度いい。その女の子は大丈夫?」
「はい、自分で担いでいきますから」
そして三人は高校へ向かった。瓦礫を避けながらでも、30分もあれば到着するだろう。
「あの、名前は何て言うんですか?」
「人に聞くときはまず自分から、っていうだろ?」
「俺は折原浩平っていいます」
「俺は千堂。千堂和樹っていうんだ。よろしくな」
と、長森×浩平をつなげてみたり。
やっぱり和樹を出すのはかなりマズいですかね?
ちょっと感動
>>185-189 グッジョブ。リアルタイムで見てました。
早速まとめサイトに追加させて頂きました〜
>>184 なんだか、今までのサイトに比べて眼に優しい感じ。
見やすいんじゃないかね?
>>190 不味くない、不味くない。
むしろ美味しかったです、ご馳走様。
しかし、幼なじみのことを反芻する和樹か……。
瑞樹はどうなってるんだろ。気になるっ。
おお、早速まとめサイトに…ありがとうございます
「もう…サッカーはできないかな」
苦笑しつつ、そして悲しそうに少年は自分の右足を見つめた。その右足は、皮一枚で繋がっている。肉も骨も見えて、おびただしく出血している。
「…動けないし、頭はボーっとしてきたし。こりゃ死んだかな?」
少年の名は佐藤雅史。サッカー部のエースだったのだが、その右足はもはや使い物にならない。この状況では、足の接合手術など夢のまた夢だろう。
「それ以前に、ここを動けないってば」
仰向けに倒れこむ。ここは住宅街の一角。そこに雅史の家はあった。
「助け…こないよなぁ」
彼は、その住宅街の外れにある空き地に居た。そこで、まぁ、秘密特訓と言うほど大げさなものではないのだが練習していたのだ。そして地震。運が悪いことに、空き地の隅に積んであった土管に足を踏み潰された。
「浩之…あかりちゃん、志保……みんな大丈夫かな?」
思い浮かべるのは友人の顔。幼馴染の顔。悪友の顔。彼らの安否を気遣う。
「アイテテテ…足痛いなぁ…千切れかけてるもんなぁ」
今更ながら、鈍い痛みが襲ってきた。足が熱い。
「…死にたく、ないなぁ。誰か…助けて欲しいよ」
そして、襲ってくる恐怖。彼は、一人泣き始めた。
「本当に死んじゃうんだよな、僕。嫌だなぁ…死にたくないよ。まだサッカーで全国へ行く夢も果たしてないし、サッカーで有名な国立大学へ行く夢も果たしてないし、それに…SEXだってしたこと無いし」
つらつらと語られる、人生の後悔。他人から見れば大した事ではないのかもしれない。死に瀕する者の言葉ではないかもしれない。それでも、全て彼の夢であり願望であり欲望であった。
「痛い…死にたくないよ。誰か…助けて」
しかし、誰も彼の姿を発見するものは居ない。彼は、理不尽にもその命を終えようとしている。彼は、目を閉じた。
「生きていますか?」
見てわからない? もう死にそうなんだけど?
彼は目をつぶったまま答える。
「…私も酷い目にあいました。友人とカラオケに居たんですけど画面が倒れてきて頭を直撃しました。気絶して、気が付いたら友人がいませんでした」
…そりゃ、災難だったね。
「で、友人を探そうと思って、何とか瓦礫から抜け出したら街中は混乱してますし。友人を探そうと町をうろうろしていたんですが…」
居たんですが?
「気が付いたらここに来てしまいました」
へぇ? 何で?
「…ここは思い出の場所なんです。大切な人が消えた場所」
この空き地がそうなんだ……君も色々大変だね。
「いえ、別に……!」
ん? どうしたの…ってあぁ、やっとこの怪我に気が付いた? 酷いよねぇ、これでも僕はサッカー部のエースだったんだよ? …でもこれじゃあサッカーできないよね?
「…わかりません」
ごめんごめん、変な話振っちゃったね。まぁ、見ての通り僕は死にかけてるんだ。まぁ、助からないだろうから君も早く避難したほうがいいよ?
「…嫌です」
嫌ですって言われても…君、さっきモニターが倒れてきたって言ったよね? 君も少なからず怪我をしているんじゃないかな? 早く避難したら?
「嫌です」
そんなきっぱりと言わなくても…っと! 僕は一応男だよ? 女の子の君にはちょっと重いんじゃないかな?
「…よく私が女の子ってわかりましたね」
…さぁ? 勘かな?
「そうですか…取り合えず、病院にいきましょう。どこかの病院の前にお医者さんがいるようです」
無理だと思うけどねぇ…。
「それだけ喋れるのなら十分生きられます。血はたくさん出てますけど、輸血すれば大丈夫です」
…そんな安易な。大体、下手すると頭部を強く打った君のほうが酷い怪我を負ってるかもしれないんだよ? 余り動かないほうが…
「嫌です」
…また。まぁ、いいや。……まぁ、僕は目を開ける体力も無いほど死にそうだけど、一応名乗っておくよ。僕は佐藤雅史」
「…里村茜です」
茜ちゃんか…。取り合えず、無理だけはしないようにね。
「嫌です」
…また言った。
なんか・・・このスレ良い
>>184 乙彼様です。
まさか、某スレのまとめをしてる、あなただったとは…。
いつもお世話になってます。
崩れた家の下で、一人眼が覚める。どれだけ気を失っていたのか。一時間?一分?
身体に力を篭める。
少女は鬼の娘であった。すぐ上の姉には及ばずとも力には自負がある。
だが、それでも身体に重くのしかかってくるものを跳ね除ける事はできなかった。
息が苦しい。
ただの人間ならば肋骨が折れ、肺が潰され既に事切れていてもおかしくは無い。
「私……」
かぼそい息とともに呟きが漏れる。
無駄に酸素を使ってしまったか、窒息しそうになる。
一体、何がどうしたというのか。
いつものように家に帰り、玄関にあった靴を見て少し心を弾ませながら部屋に鞄を置いて。
いつものようにこたつに入ってお茶を飲もうと思っていて。
なのに――
(足元が…熱い…)
首を捻る。
ごつっと何かに頭が当たった。狭い。
それでも、かろうじて足の方を見やる事ができた。
視界の隅にゆらゆらと揺らめくオレンジの光が飛び込んでくる。
(火…炎…火事…?逃げ…ないと…)
四肢を動かそうとする。
だが、指は動くものの腕も足も何かに挟まれているようでうまく身動きが取れない。
ヒュー…ヒュー…かぼそい呼吸にやがて煙が入り込んでくる。
(私……死ぬの……?)
ぼんやりとしてくる意識の中で、それに至る。
昨日はあんなに楽しかったのに。
夏の終わりからつかえのとれたような穏やかな笑みを浮かべるようになった一番上の姉。
どこか距離を感じていた二番目の姉に思い切って料理を手伝いたいと言ったら、にっこり笑って頭をなでてくれた。
ただ一人の妹はいつも以上ににこにこと楽しそうに笑っている。
そして――
「こ……いち……さ……」
大学の休みを利用し遊びに来ていた従兄。
「また……会えなく……なる……」
(どうして――私たちは――)
紅い瞳から涙が溢れても拭う事もできず。
既に声を発するための呼吸ができない少女は口をぱくぱくと動かす。
(嫌…死に…たく…ない…
助けて…助けて…耕…一…さん…!!!)
(――聞こえてるよ、楓ちゃん。大丈夫)
ガラッ……ズゥン……
突然の音と共に、胸の圧迫がすっと無くなる。
煙を吸ってしまい意識の朦朧としている鬼の娘を、二本の逞しい腕がすくいあげる。
鬼の娘は腕の主の顔を見た。
右半面に、ざっくりと一本、線が入っている。
男もまた鬼ゆえに、その傷は大分塞がっているようだが、顔に止まらず首やTシャツの襟元まで赤黒く染まっていた。
鬼の娘は男の顔に手を伸ばした。
「耕一……さん……」
「少し、はくがついたかな」
ふっと男が笑う。右目は開かない。
鬼の娘もまた、笑う。泣き出したいのを堪えながら。
冷静に見える男の乱れる心を感じたから。
お互いの笑顔を、今一時、心の支えに。
リアルタイムで見てたんだけど、どうやら、4でお仕舞いかな。
楓も『らしい』感じで良かったし、耕一もまた、絵になる登場で良い感じだ。
四姉妹はこれで、二人が生存確認だね。あとの二人の運命やいかに。
なんにしても、最近また良い感じのがあがりはじめて、嬉しいね。
早く続きが見たいなぁ。
眼を覚ましたボク。
あの夢の時間のようには身体が動かない。
目の前に広がる白い天井がそれを夢だったと思い知らせてくる。
ボクが眼を覚ましてはじめて見たものはこの白い天井だった。
本当に素っ気なくて、あんまり動かない身体と一緒ですごく嫌だった。
ボクが眼を覚ましたことは祐一君は知らない。
「祐一君……会いたいよ……」
ボクがそう呟いたときに起こった悪夢のような出来事。
世界がごちゃ混ぜになって……ベッドから放りだされて
それから先は覚えてない。
「佐藤さん? 大丈夫ですか?」
茜が話しかけてくる。雅史は、朦朧とする意識をつなぎとめて答えた。
「…辛うじてね。はぁ、隠れて練習なんてするもんじゃないのかな?」
苦笑しながら答える。茜は、雅史の体を必死に支えながら言った。
「そう言えば、サッカー部のエースって言ってましたね…」
「まぁね。全国大会に行くのが夢だったんだ。そして、サッカーで有名な国立大学に行ってプロになって…」
「……いい夢ですね」
目を閉じているため茜の表情は窺い知れないが、微笑んでいるようだった。
「茜ちゃんは夢とか無いの?」
ずいぶん、青臭い、青春臭い会話だと自嘲した。
「…わかりません。夢…ですか? そんなこと考えたことなかったです」
「そっか…まぁ、最近はそんなもんだよね」
「……あの人が居なくなってから、惰性で生きてきた気がします」
茜は、自分が何故始めて出会った男にこうもペラペラと喋っているのを疑問に思った。……死ぬ可能性が高い人間だからだろうか? そう考えると嫌悪感がこみ上げてくる。
「…きっと、やりたいことなんて見つかるさ。まぁ、こんな状況で言うのもなんだけど」
今度は、朗らかに笑った。
「…夢を信じて、生きていけばいいさと、君は笑っただろう」
茜ちゃん? …あぁ、懐かしい歌だなぁ、それ。
「明日へ走れ、破れた翼を…」
…あぁ、僕の翼は治るのかな?
「心のままに、生きていけばいいさと…」
…チクショウ、死にたく無いなぁ。せっかくこんな可愛い女の子と知り合えたのに…。
「君は、叫んだだろう」
……あぁ、眠いや。
「佐藤さん?」
ごめんね、茜ちゃん。僕眠くなってきた…って喋るのも億劫だなぁ。
「佐藤さん、起きてください」
大丈夫、死にはしないよ。ちょこっと、ほんの少し、眠らせてくれない?
「佐藤さん、寝てはダメです。もうすぐで病院です」
茜ちゃん、そんなに揺らすと足が千切れちゃうよ。皮一枚で繋がってるんだから。
「佐藤さん、お願いだから眠らないでください。寝たら嫌です」
「ごめん、茜ちゃん…眠いから寝てもいい?」
おっ、やればできるな僕。声が出たじゃないか。
「嫌です。絶対に嫌です」
茜ちゃん、嫌ですって口癖だね? さて、じゃあ、お休み。
「絶対に寝かせません。死んじゃ嫌です」
茜ちゃん、そんなに揺らさないで。ほら、足がブラブラ揺れてるから。
「佐藤さん!」
…茜ちゃんの、大きな声、始めて聞いた。
佐藤雅史の意識は闇へ沈んでいった。
あぁ、ちなみに雅史はまだ死んでませんよ(笑)
>雅史はまだ死んでませんよ
それは次の書き手次第ダネ(・∀・)
とりあえず、ここまでの分は揚げ終わりました〜
ページの方に掲示板とかいるかなぁ……とか思ってみたり。
いるなら設置も検討しますが。
「本当は救急箱が見つかれば良かったのですが……」
「しょうがないよ。いや、それが見つかっただけかなりラッキーじゃないかな」
「……そうですね。割れずに一本残っただけでも……」
元々、お酒は余り買ってませんでしたし、と続けて瓶の蓋を開け。
きゅっと口をつける。
「……しっかり眼を瞑ってくださいね」
「え、あ、ちょ――」
霧状のアルコールが俺の顔にかかる。
襲いくる物凄い痛み。俺は叫びだしそうになるのを危うく堪えた。
半壊したタンスから引っ張り出した自分の服で、楓ちゃんが俺の顔についた水分を押し付けるようにして拭ってくれる。
少女のいい匂いが俺の気を少しだけ紛らわせた。
「ぐ……そういえば、楓ちゃんに怪我は無いかい?」
「私は揺れると同時に力を解放できたので……」
穏やかに微笑みながら答える。
その美しい顔を見ていると俺は怪我をしたのが自分で良かったとすら思った。
いよいよ火勢が強くなる。
燃える柏木邸。人生の全てをこの家で過ごしてきた少女の想いは、俺には計り知れなかった
千鶴さんと梓は今、隆山にいないはずだ。
初音ちゃんもまた、少し離れた学校に通っていたがゆえに、今近くにいるのかいないのか解らない。
たまたま学校が近くだった楓ちゃんと、家にいた俺はもしかしたらとんでもない幸運なのかもしれない。
少し高い場所にある柏木邸からは、隆山という町が見下ろせる。
いや、この場合見下ろせてしまった、だろうか。
…世界の終わりさえ感じさせる風景。
鬼の力により強化された五感が今は恨めしい。
きゅっと楓ちゃんが手を握ってきた。
俺もしっかりと握り返す。
(……何が起こったのか、まだ何か起こるのか俺には全然解らないけど……
必ず……必ず、今手の届く楓ちゃんは俺が守ってみせる。だから……俺たちが出会えるまで、千鶴さん、梓、初音ちゃんの事、守ってやってくれ……頼むよ……親父……)
前回、全部読んで設定らしきものも目を通して書いたんですが見落としてしまって…
千鶴さんと梓は少し前からいなかったんですね…前回の楓の台詞、脳内で昨日→一昨日辺りにしてもらえると助かります…
地震前、地震中、地震後が終わったら(と、いうのも少しおかしいですが)どういう…うーん…ネタ、かな?にしたもんでしょうね
いや、リレーのままに、だとは思うんですが
今からある程度ネタだしいていった方が良いかな…と
街の復興、かな?まぁ、地味ですけど^^;
この地震が単なる自然災害かどうかもまた関係するでしょうし…
>>209 そういった話のできる場は欲しいかもしれません
けど、現状のペースならこのスレでネタだしも兼ねても良いかもしれませんけど
HOS
ほしゅ
「ったく、なんてこったよ!」
廃墟と化した商店街を駆け抜けながら、南明義はそう愚痴った。
今日は久しぶりに暇ができたので、商店街を当ても無くぶらぶらしていた。
意味もなくゲームセンターや服屋をめぐり、そろそろぶらつくのにも飽きた来たころ、唐突にそれはやってきた。
始めは小さな揺れ。
地震か?と思いつつ、歩みを止め、周囲を見渡した。
周りには幸せそうに歩く親子連れや、談笑している男女。
本当に何も無い、平和な世界が広がっていた。
その日常の風景に安心したかのように、歩みを再開したとき。
ぐらり。
踏み出した右足の先のアスファルトが、急に傾いた気がした。
バランスを崩し、倒れかけた南に今度は、地面が突き上げるように襲い掛かった。
跳ね飛ばされたように宙を舞い、そこで南の意識は暗転していった。
どれだけの時間気を失っていたのかわからなかったが、気がついた自分が目にしたものは、地獄とも呼べる惨状だった。
看板が落ち、ショーウィンドウが割れた服屋。
瓦礫と化し、原型を留めていない喫茶店。
ワッフルが人気だった山葉堂からは火の手が上がっている。
そして、つい先ほどまで親子連れやカップルがいた場所には、瓦礫の山が降り積もり、人の姿は見えなかった。
「ちくしょう!」
幸い、数ヶ所を擦り剥くだけですんだ自分は、その場に留まるのは危険だと判断し、すぐにそこから走り出した。
行く当てなど当然無かったが、とりあえず簡単には崩れないだろうという理由と、折原や住井がいるかもしれない、という理由で自分の母校へ向かうことにした。
そして、もう少しで学校が見えるかというころ。
うちの学校の制服を着た女生徒が目に飛び込んできた。
「おい、あんた!大丈夫かっ!?」
座り込んだ女生徒に駆け寄り、声をかけた。
「う〜、いたいよ〜。目がちかちかするよ〜」
どうやら頭を打ったらしく、頭を押さえ涙目になって情けない声を出していた。
「ちょっとごめんね」
簡単に傷を調べてみたが、少したんこぶになっているだけで特に大したことはないようだった。だが、素人判断なので安心はできない。頭の怪我の場合は特にそうだ。
学校に行けば保健の教師がいるかもしれない。
とにかくここにいるよりかは、学校へ行ったほうがずっといいだろう。
「とにかく学校まで一緒に行ってみよう。立てる?」
そう言って、女生徒の前に手を差し伸べた。
だが、女生徒は不安げな表情で、差し出した自分の手を探るように右手を空中でぶらぶらさせている。
「えっと……どこにいるのかな?」
もしかしたら、うちの学校の三年に盲目の生徒がいるって話を聞いたことがあったけど……まさかこの人が……。
(よく無事だったな……)
とにかく盲目だと知ったら、なお更放っておくわけにはいかない。
「よっ、と」
自分から女生徒の手を握り、それを引っ張って立ち上がらせる。
「あ、ありがとう」
立ち上がった女生徒の身体を見てみるが、どこにも外傷はないようだった。
「どこか痛むところとかありますか?」
「うん・・・頭以外は大丈夫みたいだよ」
そう言って、女生徒は自分の制服をパンパンはたいている。
「地震があったんだよね……?」
「そう……だと思います」
記憶が途切れる前、商店街にいたときのあの突き上げるような揺さぶり。
そして、目が覚めたときに廃墟となっていた商店街。
多分間違いないだろう。
「とにかく、うちの学校に行ってみましょう。あそこなら滅多なことじゃ崩れないだろうし、他にも誰かいるかもしれませんから」
「え?」
「あっ、俺、南明義っていいます。先輩と同じ学校の二年です」
「わたしは川名みさきだよ。よろしくね、南君」
そうしてにっこり微笑む川名先輩。
この惨劇の中でこんな風に笑えるなんて、すごく強い人なのかもしれない。
「それじゃ、行きますよ。じゃ、俺の背中につかまってください」
「え?そ、そんな恥ずかしいよ〜」
「だめですよ。危ないじゃないですか。先輩目が見えないんでしょう?こんな瓦礫だらけの中歩けないですよ」
「え?」
「ほら早く」
「う、うん。じゃあ…」
そうして、おずおずと背中におぶさってくる先輩。
「じゃ、しっかりつかまっててくださいね」
そうして俺は盲目の先輩を背負って、学校を目指した。
218 :
不安:03/03/08 20:44 ID:fpVDQGrc
高校までの道すがら、俺はみんなのことを考えていた。
住井や七瀬。茜や柚木。繭や澪。みさき先輩や深山先輩。
ついさっきまで長森の事ですっかり失念していたが、はたしてみんなは無事なのだろうか。
ふいに後ろを振り返ってみた。商店街から出火した火はかなり燃え広がってしまった。
商店街の方だったら住井が数人連れ立って繰り出しているかもしれない。
そういえば、茜が無理やり柚木にカラオケに誘われたとか言っていたような気がする。
まさか……
219 :
不安 2:03/03/08 20:44 ID:fpVDQGrc
「ん、どうしたんだい?」
急に立ち止まったのが不思議だったのか、千堂さんが声をかけてきた。
「いえ、なんでもないです」
「そうかな?俺には何か考え事でもしてたような気がするけどね」
「やっぱりそうみえましたか」
「こんな時だからこそ、悪い方向に考えるよりみんな生きてるって信じている方がいいと思うな。」
「…千堂さんは、不安じゃないんですか?」
「え?」
「長森の家からここに来るまでの間に人が何人死んでいました?もしかしたら千堂さんの幼馴染だってもう――」
少し言い過ぎたかと思ったが、千堂さんはあまり怒ったような素振りを見せず言った。
「不安じゃないって言ったら嘘になる。でも、君はまだ生きてるって信じていたから瑞佳ちゃんを助けたんだろ?」
「!」
「生きてるって信じていれば助けることができる。それは君自身が証明したじゃないか。もっとも、こんな状態だから俺の街には戻れないけどね」
「ならどうして…」
「だから、俺はみんなを助けられない分、ここで一人でも多く助けようと思ったんだ」
「…」
「…ちょっと偽善者っぽかったかな?」
「いや、さっきはあんなこと言ってすみませんでした。俺、長森の事で気が滅入ってたんだと思います。高校についたらコイツと一緒に休みますよ」
「うん、休んだ方がいいよ。君も体に怪我してるようだし」
そうこうしている内に、高校が見えてきた。
瑞佳は寝ていると脳内補完お願いしますw
明日中には続きを投下できると思うので、今しばらくお待ちください。
そう急くなって。ゆっくりまとうや。
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とりあえずページ更新〜
……やっとテスト終わった。
保守
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
地震キタ━( ゚∀゚ )っ ━( ゚∀゚ )っ━( ゚∀゚ )っ ━( ゚∀゚ )っ━!!!!
(つ / (つ / (つ / (つ /
| (⌒) | (⌒) | (⌒) | (⌒)
.し⌒ ̄ .し⌒ ̄ . し⌒ ̄ .し⌒
上がったのは今の地震のせいかな?
…と思って覗いて見たらまさにその通りだった。
ここは
ビジュアルアーツビルが地震で崩壊して
clannadが幻と消えることを仮定するスレですか?
229 :
名無しさんだよもん:03/03/13 14:03 ID:9DC8mQi6
保守
保守してみる
もう少しだけ見守っていたい。
233 :
165:03/03/16 21:55 ID:ywGSphcw
ども、岩切&観鈴書いた165ッス。
今週中に何か上げる予定。
多分、>204のあゆの続きで、秋○さんや○雪がでるかも。
岩切&観鈴の続きは・・・もちっと待ってクダサイ(汗
kita-
236 :
安堵 1:03/03/17 23:14 ID:oQp67/zy
長森の家から高校までの間には倒壊した建物しかなかったため、校舎もだめじゃないのかと思っていたが、
少なからず崩れてはいるものの十分避難所の役割は果せていた。
校庭は被災者でごった返していて、とてもすぐに診てもらえそうになかった。
看護婦の一人に尋ねてみたところ、怪我の軽度の人から優先的に治療しているそうだが、
まだ当分先とのことだった。ここから少し離れた小さな病院で重度の患者を優先している、と付け加えてくれたが、打撲程度ではここと同じように待たされるのが関の山だと思い、ここに留まることにした。
校庭の端の方に、ボランティアの人からもらったシートを敷いて長森を横たえた。俺はその脇に座った。
「まだ痛みは引かないのか?」
「うん…ちょっと痛い」
最初はあまり気にならなかった腫れだったが、だんだん酷くなってきている。応急処置として冷やした布
を巻いて固定したが、すぐにでも専門の人に診てもらう必要があるだろう。
千堂さんが、紙袋と携帯を持ってうろうろしていたかと思うと、こっちにやってきた。
「そうだろうとは思ってたけど、やっぱりダメだね」
と言って携帯のディスプレイを見せてきた。そこには“圏外”の文字が躍っていた。
「そりゃそうですよ、こんな状態じゃ」
「やっぱりそうだよね…」
明日とか言っといて一週間以上空けてしまって申し訳ありませんでした…
中途半端なところで悪いですが、明日必ず投下します。
重ね重ね申し訳ありません(吊
おお、今日も楽しみ。
楽しみにしてます
241 :
安堵 2:03/03/18 20:19 ID:t68HQ5qM
「やっぱりそうだよね……俺って肝心なときにアイツに何もしてやれねえなぁ…」
「アイツ?」
「ああ、高校からの腐れ縁でここまできたんだけどね。ほんと苦労かけてるよ…」
「アイツってどn」
「どんな人なんですか?」
いきなり長森が話しに割り込んできた。
「なんていうか…瑞希って言うんだけど…面倒見がいいから俺も助かってるし…」
「じゃあ、恋人さんなんですか?」
「ち、違う違う。そんなもんじゃないよ、腐れ縁だって」
「俺たちみたいなもんだな」
「…腐れ縁?」
「まぁそんな感じかな。本当はもっと長い付き合いのヤツもいるし」
「そうなんですか。じゃあ、千堂さんの幼馴染ってどんな人なんですか?」
「ろくでもない奴だからあまり聞かない方がいいと思うけどね…」
「聞かせて欲しいです」
「そいつはな………」
いつもは自分から進んで話そうとしないはずの長森に、会話の主導権が乗っ取られてしまった。
悔しい。長森のくせに。
ま、そのくらい元気になったと思っておけばいいか。後は冗談を一発かまして…
「どなたか手の空いている方はいらっしゃいますか!?人手が足りませんのでご協力を願います!」
校舎の方から救援を求める声が聞こえてきた。かなり深刻らしい。無理もないだろう、商店街から
住宅地にかけての広い間で助かった人たちがここに来ているのだ。地震発生から少し経っているわけ
だし、そろそろ被害の少ない所から医療機関とか自衛隊とかが来てもいい頃合いなのだが、一向に
来る気配がない。それほど広範囲に被害を及ぼしたのだろうか。
隔日連載、なのかな?
安堵というには、未だそれっぽくないし、続きそうな気配だもんな。
俺も投稿したいのだが、間に割り込むのは悪いから書き込みにくい…
244 :
165:03/03/20 21:46 ID:G7J+X2Sb
>236、241
えっと、まだつづくのかな?
続くんだったら、終わってからにしよっと。
245 :
安堵 3:03/03/21 00:50 ID:QLrXczCB
「よし…ちょっと行ってくるか」
「あ、俺も…」
「何言ってるんだ?君は瑞佳ちゃんと一緒じゃなきゃだめだろ?」
「あ、そうでした。そろそろ布取り替ないと」
「じゃ、浩平君、瑞佳ちゃん、また」
と言うと、千堂さんは仮設テントの方へ走り去っていった。
246 :
安堵 4:03/03/21 00:50 ID:QLrXczCB
空は完全に闇に包まれた。俺たちは、煌々と校庭を照らしているライトの明かりに照らされていた。
「ほら長森、新しい布だぞ。取り替えるからな」
「うん…」
ぎこちない手つきで布を取替え始める。すると、突然長森が声をかけてきた。
「ね、浩平」
「ん?何だ?」
「…助けてくれてありがとうね」
「どうしたんだ、今更?」
「私、ずっと怖かったんだよ?気が付いたら天井が目の前にあって…助けてって叫んだり天井を叩いたりしたけど誰も来てくれなくて…だんだん声が枯れてきて助けが呼べなくなって」
「長森…」
「もう怖くて怖くてしょうがなかったんだよ。駄目なんじゃないかって思った。そしたら浩平の声がして。最初は空耳かなって思ったんだけど、本当に浩平の声で。嬉しかったけど声が出ないからずっと天井を叩いてたんだよ」
「俺がお前を見捨てるわけ無いだろ?じゃなきゃお前と毎朝一緒に走れなくなるからな」
「学校…こんなになっちゃったけど」
「ぐはぁ…それでもだ」
「浩平…変わらないね」
「お前もな」
どちらからともなく笑みがこぼれた。
「心配するな、お前には俺がついててやるから」
「…うん!」
長森が、俺に抱きついてきた。
投下完了です。これで「安堵」は完結しました。
皆さんには迷惑をかけたようで、(165さんとか、243さんとか…)すみませんでした。次回からは一まとめで投稿するよう努力します。
ども、165っす。
>247
別に気にしなくてもいいっすよ。では、>204の続きいくっす。あ、一応3〜4回を予定です。
*****
あれからどれぐらい経ったのだろう。ぼくは何もない真っ暗な空間を漂っていた。
『……ぼく、死んじゃったの?』
「いいえ、違うわ」
突然、声が聞こえたと思ったら、ぼくの目の前に薄い光に包まれた女の人が立っていた。
『……!』
その人を見たぼくはびっくりしてしまった。だって、その人はぼくの大好きな、大好きな……。
『……お母さん!』
「ふふふ、大きくなったわね、あゆ……」
嬉しくて飛びついたぼくをお母さんは優しく抱きとめると、軽く頭をなでてくれた。
『お母さん……ここはどこ? どうしてぼくは動けるの?』
ぼくが尋ねると、お母さんは嬉しいような悲しいような不思議な表情を浮かべた。
「ここはね、死と生の狭間……といっても、あなたがいた夢よりも彼岸に近い場所……」
『……え?』
「現世に帰れる限界点……そして死者が生者を迎えに来る場所でもあるわ」
『……何……言ってるの……お母さん?』
ぼくは少し不安になってお母さんから離れた。
「私は貴方を迎えにきたの……あゆちゃん」
最下層sage
『それって……』
「そう、お母さんと一緒に霊界……つまり、『あの世』に来てほしいの」
びっくりしてるボクに向かって、お母さんは真剣な顔でそう言った。
『うぐぅ……やっぱり、ボク死んじゃうの?』
「いいえ、これは貴方……あゆちゃん自身が選択すること……だから貴方が思うとおりに
していいのよ」
『……うぐぅ』
お母さんの言葉にボクは困ってしまった。だって、このまま帰っちゃったら、お母さんが
独りぼっちになっちゃうし、かといって、一緒に行ったらボクは死んじゃう訳で……でも
、お母さんには悪いけどボクはまだ死にたくない。だってまだボク祐一君に会ってないか
ら……戻ったって身体は動けないけど、生きていればいつか会える気がするんだもん。
「ごめんね困らせちゃって……わかってる、あゆちゃんはまだ生きていたいんでしょ?」
お母さんは困ってるボクを見て、苦笑いするとボクの頭の上に手を乗せた。
「いいのよ、その祐一君って子に会いたいんでしょ? それに貴方を呼んでる人たちがいるみたいだし……ね」
『えっ……』
「ほら、耳をすませてごらんなさい」
ボクは、お母さんの言葉通りに耳をすませた。すると遠くに光が現れ、そこから微かだけどボクの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「さあ、お行きなさい……お母さんは大丈夫だから」
『……うんっ!』
お母さんに背中を押され、ボクは走り出した。光さす場所へ……生きる場所へと戻るために。
「さよなら、あゆ……強く生きていくのよ、あなたは一人じゃない……」
光の中へ飛び込む瞬間、そんなお母さんの声が聞こえた気がした……。
251 :
名無しさんだよもん:03/03/22 14:36 ID:lwcwmIle
「あ……ちゃん……ゆちゃん、あゆちゃん!」
ボクは身体を揺すられる感覚と名前を呼ぶ声、そして、ぽたぽたと顔にかかる水滴を感じて、ゆっくりと目を開けた。
「……?」
目を開けたボクの目に最初に飛び込んできたのは、泣きながらボクに呼びかける女の子の顔だった。それは少し祐一君に似ている優しくて少し懐かしい人……。
「……な……ゆ……きさん?」
「あ、あゆちゃん!」
ボクがゆっくりと名前を呼ぶと、その人……祐一君の従兄妹の名雪さんは、いきなりボクをギュッと抱きしめた。
『うぐぅ……うれしいけど、痛い……』
「お母さ〜ん! あゆちゃんが気がついたよぉ〜!」
少し苦しくてじたばたするボクをよそに名雪さんは自分のお母さん……秋子さんを大声で呼んだ。
「あらあら、名雪、あまり大声出すと他の皆さんに迷惑よ……それに、抱きしめるのは良いけど、あゆちゃん苦しそうよ?」
秋子さんはそう言うと、ボクの身体を名雪さんから引き剥がして寝かせてくれた。
「う〜、嬉しかったんだから仕方ないよ〜」
「はいはい……」
秋子さんは拗ねる名雪さんを軽くあしらうと、ボクのそばのパイプ椅子に腰掛けた。それと同時に名雪さんがしゃべりだす。
「でも、本当に驚いたよ。お買い物帰りに病院の前を通ったら突然地震が起きちゃって……それで揺れが止まったらお母さん、崩れて火が燃えてる病院に飛び込んだと思ったら、あゆちゃん抱えて出てくるんだもの」
「……え?!」
びっくりして秋子さんを見ると、秋子さんはなんでもないような顔をしていた。
「仕事で慣れてますから……ちなみにどうやって助けたかは、企業秘密ですけどね♪」
「「企業秘密……(汗」」
ボクと名雪さんが同時に呟く。どうやら名雪さんもよく分からないみたい。秋子さんの仕事って一体(汗)。
「でも、どうして秋子さん、ボクが病院にいるってわかったの? それにここは?」
気を取り直してボクが秋子さんに尋ねると、一瞬、秋子さんは辛そうな顔を表情をした後、ゆっくりと話し始めた。
253 :
165:03/03/23 20:47 ID:8k3WX4rM
うぐぅ……次で終わりなんだが、ちと書き直してるのでチョイ待って(泣
保守
「まず、ここがどこかですけど……ここは私立×○高校……名雪や祐一さんが通っている高校の教室の一つよ。とはいっても今は臨時の救急センターになってますけど……」
そう秋子さんに言われて周囲を見回した。ボクの寝ているベッドの右のすぐそばに黒板があり、左の方には怪我をした人たちが寝ているベッドが並んでいて、その向こうに机や椅子が積み上げられていた。
「元々、避難場所に指定されてるし、6年ぐらい前に倉田財団の援助で最新の耐震構造に改築されてるから、ここにいれば安心だよ〜」
「名雪、はしたないですよ……」
何がうれしいのかボクの手を握ってブンブン振り回す名雪さんを呆れたようにたしなめると、秋子さんはボクの方に顔を向きなおった。
「あゆちゃん、貴方が聞きたいのは私が何故、貴方が病院にいることを知っていたかということでしたね……。実は私は以前から貴方のことを知っていたんです。そう、あの日……7年前に貴方が木から転落して昏睡状態になった時から……」
「え……?」
(今、秋子さん、なんて言ったの? ボクを知っていた? 昏睡状態になった当時からって、一体?)
****
あと2回ぐらい続く(汗
「あの事故の後、私は姉夫婦……祐一さんの両親から、事故にあった子が目覚めるまで経済的な
面倒を見ることになったと聞いていました。ですが、一週間前に病院から貴方が目覚めたという
連絡が来るまで私は、それを忘れていたんです……いえ、意図的に忘れていたんです、あの時、ざした祐一さんが名雪を拒絶して酷く傷つけたという記憶を消すために……」
秋子さんはそう言うと、ボクに向かって頭を下げた。
「ごめんなさい、あゆちゃん……私がつまらないこだわりを持たずにいれば、こんなことになる
前に、祐一さんに会わせる事ができたはずなのに」
「秋子さん……」
秋子さんはボクの手を握り締め、俯いたまま泣いていた。そんな秋子さんに何て言ったらいいの
か分からずボクがおろおろしているとふいに名雪さんが口を開いた。
「お母さん、それを言ったら私だって同罪だよ……」