「なぁみさお、欲しい物ないか?」
「……お兄ちゃん、誕生日3日前に本人にそんなこと聞く?」
「…すまん。実は、当初計画していたプレゼントがお陀仏になってしまったんだ」
「ちなみに、何?」
「それは…まぁ秘密だ。そんなわけでどうしようもなくなったので、直接欲しい物を言え」
「はぁ…分かりました。…え、えっと、お、おに「ちなみに、俺が欲しいとか言ってもやれんぞ」
「…そ、そうなの?…じゃあもう少し考えてみるから…ちょっと待ってて」
「言うつもりだったのか…」
「…考えてみたんだけど…」
「…胸が大きくなる方法か…すまん兄ちゃんが悪かったから笑顔で人の頭潰さないでくれ」
「はぁ…そんなわけ……ないでしょ」
「…その間は?」
「…とにかく、考えてたのは…その、記念日…みたいなのがほしいなって」
「記念日?」
「うん。ほら、わたし達の誕生日って、由紀子さんとか瑞佳お姉ちゃんとか
…みんなが祝ってくれるよね」
「ああ。こないだ俺の誕生日も祝ってもらったばかりだし…ありがたいことだな」
「うん、それはそうなんだけど…」
「何か不満なのか?」
「えっと、誕生日もそうなんだけど、わたしの退院日とか、
みんなとわいわいやるのも祝ってもらうのも嬉しいんだけど、
…お兄ちゃんと二人っきりになれる時間があまりないでしょ?」
「……ああ、そうだな」
「だから、みんなが邪魔とかそういうんじゃなくて…
…ただ、一日ずっとお兄ちゃんと二人きりで過ごせる、特別な日があったらな…って。
しかもそういう日が毎年決まった日にあったらさ…すごく幸せなんじゃないかなって」
「…それで記念日か?」
「うん。…変かな?」
「…よし、今日にしよう。3月27日が折原記念日だ」
「え?」
「思い立ったが吉日だな。都合よく二人の誕生日のちょうど中間だし。何か問題は?」
「あ、ありません」
「よし、ちょっと待ってろ」
「あ、うん」
「ふー」
「おかえり、何してたの?」
「玄関の鍵を閉めて電話の線を抜いてきた。これで完璧に二人きりだ」
「そ、そこまでしなくても…」
「やるとなったら徹底的が俺のモットーだ。しかしあと半分しか残ってないな…みさお、何がしたい?」
「え、え?急にそんなこと言われても…ただ二人でいたいぐらいしか頭になかったし…」
「まぁ、記念日だからって特別に何かする必要もないか…」
「…あ、やりたいこと、あった」
「ほう、何だ?遠慮せずに言ってみろ」
「…お兄ちゃんに触れていたい、ずっと」
「触れて?」
「ほら、一緒に抱き合って寝たり、たまに手を繋いだりすると…わたし幸せだから…
ずっと触れ合っていたら、きっと、たくさん幸せになれると思うんだ」
「…なら、とりあえず手でも繋ぐか…ほら」
「……なんか間抜けだね。二人で並んで座って、手なんか繋いで」
「…でも、幸せだろ?」
「うん、凄く。…これから、毎年この日はこんなに幸せな気分になれるんだね…へへ」
「そうだな……やっぱり誕生日のプレゼントは別に用意しないといけないな」
「急にどうしたの?わたし、これだけでも嬉しいよ?」
「俺が勝手に思っただけだ。期待してろ」
「…うん、そうする」
誕生日の話を書こうとしたら失敗してこうなりました。まぁいいや。