表舞台に立てず、ひっそりと消えていく…
そんなSSの安置所。
良スレを立てられず、ひっそりと消えていく…
そんな
>>1の最期。
終了
2get!!
このスレ自体、ひっそり消えていきそうだな・・・
基本的にどんなSSでも引き取ります。
・コンペに出しそびれたSS
・トレーニングルームに投下するのは何か嫌だ
・推敲してない(未完)
・他スレで投下すると、必ず荒れるであろうシロモノ
・本文が日本語でない等
これはつまり、SS投稿スレの後継ということかな?
あそこほど規律がしっかりしていません。
どんな糞SSでも許される場所が前から欲しかった。
いちSS書きとして。
「秋子さん、でも俺本当に秋子さんのことが…」
秋子は人差し指を祐一の唇に軽く押し当てる
「その先は言っては駄目」
「そんな…秋子さん」
「だから、祐一さん。貴方が…私のことを引きずらないように一日だけ…今日一日だけ許してあげます。」
祐一の唇に柔らかいものが触れる。秋子の舌先が祐一の唇を舐め割り開きながら口腔へと侵入してくる。
「んっ…ちゅく…ちゅ…ちゅる…んむ」
秋子の舌が祐一の口内を舐る。舌と舌が絡み合いお互いの唾液を交換しながら、蛇のように絡み合う。
祐一は下に下ろしたままの手を2、3度指を動かすと決心したかのように秋子の後頭部へ両手を廻し、
押し付けるながら舌を貪り、秋子のものと自分のものが混ざり合った唾液を飲み下す。
「んっ…ぷは…ちょっとぎこちないわね…祐一さん…女性の経験は…ないの?」
「う…は、はい」
祐一はそれだけのことがとても気恥ずかしく耳まで真っ赤に染め、肯定する。
「そうですか…じゃあ祐一さんの初めては私が貰うんですね。大丈夫。優しくしてあげますから……」
秋子は祐一のズボンの上へと手を這わせる。股間の部分に固くいきり立ち、自己を主張しているソレを優しくズボンの上から撫でる。
「あ…秋子さん……」
ベルトを緩め、ファスナーを下ろしズボンと共にトランクスを下ろすと祐一の肉茎が露にされる。
秋子は指で輪を作り茎を優しく、時には強く、上下に擦りだす。
「う…うあ…秋子さん。く…」
しゃがみ込み、祐一の股間へと顔を近づけると、亀頭に唾液で滑る舌を這わせそのまま口の中へ含んだ。
茎を手で刺激され、もう片方の手は陰嚢をやわやわと揉まれる。敏感な亀頭に舌が押し付けられ、ずるりと擦れると腰の辺りに鈍い痺れのようなものが走りビクリと震える。
自分でするのとは比べ物にならない快感が与えられ、祐一は高みに一気に押し上げられた。
「くっ…うぁっ!」
「んっ……んんっごくっ…っむ…ごく…」
口内へと濃く粘り気のある精を大量に吐き出され、秋子はを喉を動かし全てを飲み干そうとする。
射精し亀頭をビクビクと震わせながら、秋子が自分の吐き出した精を飲み込んでくれていることが嬉しく、またその倒錯した現実に情欲が刺激される。
生臭く濃い精液を全て飲み下すと亀頭についた精を舌を這わせて舐め取る。
「んっ、は…ぁ…ふう…いっぱい出しましたね。それにとっても濃い…祐一さん、今度はベッドに…」
秋子はベッドへと歩いていくと一枚、また一枚と服を脱ぎだした。
祐一の前に一糸纏わぬ姿の秋子の裸体が現れた。
「祐一さん?どうしたの、ぼうっとして…」
「あ、いや…凄く…綺麗だと思って…」
「ふふ、おだてたって何も出ませんよ?」
「いえ!ほんとです…とっても綺麗です…」
「ありがとう。祐一さん。でも今は……こっちに来て…」
秋子はベッドの上に仰向けになり足を大きく割り開く。
祐一が秋子の股間に顔を近づける。
「んっココが…ヴァギナよ」
そう言ってピッタリと閉じた場所を指で示す。
「ここの…上にある突起がクリトリスで周りのビラビラが小陰唇、その外側の太腿の付け根の辺りまでの周りが大陰唇よ」
指で閉じている秘裂を開くと小さな孔が露にされる。
「ん…此処が、膣口…クリトリスは特に敏感だから優しくするの…こんな風に」
秋子の指がクリトリスの包皮を剥き、指の腹で軽く触れる。
「んっんんっ……ん…うん…」
そのまま指を少し揺らすようにくるくると廻すとクリトリスが勃起し、膣口からとろりとした液が僅かに出てくる。
「あ、秋子さん…濡れてきてる…」
「祐一さん。まずは…ゆっくり小陰唇を撫でて…」
祐一は言われたとおりビラビラとしたその肉に指を軽く当て、ゆっくりとなぞる様にする。
「ん、んんっそう…ゆっくり…優しく」
そうして小陰唇をなぞり、時に淫核を軽く押さえ、拙いが一生懸命な祐一の愛撫を受け秘裂は愛液を潤わせてくる。
祐一は股間へ顔を押し付けると舌を伸ばし膣口から溢れる液を舐め取る。
「んっ…あ…うあ」
「秋子さんの愛液…おいしい…」
「ふふっ、無理しなくていいのよ。しょっぱいだけでしょう?」
「いや、凄くおいしい…もっと欲しい」
淫裂に舌を伸ばし小陰唇をつうと舐め淫核を舌先で軽く押しつぶし、膣口に舌を軽く埋め、秋子の官能を引き出そうとする。
「あっ…んん…く…うぁ…はぁ…あっ…はぁ」
艶のある声が漏れ聞こえる度に祐一の脳髄に甘い響きとなって走り、情欲を高め、もっとその声を引き出そうと熱心に愛撫を続ける。
「あっ…ん、祐一さん…胸も…お願い……」
手を伸ばし形の良い大きな胸へ手を這わせる。軽く掴むと弾力のある肉の実は指の形に歪められる。
柔らかな肉の感触が指に心地よく伝わる。
つんと隆起した乳首を指で挟むとこりこりと捏ねまわしてやる。
「はぁ…んっ、ふう…あっん…ぅ…うんっ……」
秋子の切ない喘ぎは祐一を狂わせる猛毒となり、じわじわと脳の奥深いところへ染み込んでいく。
既に秋子のヴァギナは膣口から溢れる愛液と唾液でドロドロになり、男のモノを迎え入れる準備が整っていた。
「ん、祐一さん…もういいわ。膣内に…入れて……」
祐一は右手で竿を支え、愛液と唾液で濡れそぼった膣口に宛がいゆっくり挿入する。
「く…うぁ…秋子さん…凄い…壁と、奥の襞(ひだ)が締め付けてきて…」
濡れた粘膜が柔らかく肉棒を包み込み、きゅうっと締め付けてくる。
「うご…いて…祐一さ…あ…あぁっ…うぁっ」
祐一の腰が腹の上側に向かって擦り上げる様に動き出す。亀頭の先端がGスポットを擦り、秋子は官能の声を漏らす。
「あっああっ…そっ、そこ…いいっ…そこをもっと…擦って……あぅっ…はっあ」
祐一は腰の律動を止めるとぐりぐりと腰をまわし、そこを擦りあげる様にこね回す。
「あっああっ…い…い…気持ち、いい……あぁっ」
祐一の背中に手がまわされ、秋子の足が腰に絡み付いてくる。
瞳を涙で潤ませ、淫らな喜びの声をあげながら。
12 :
ここまで:02/12/29 15:49 ID:SE/OJhLc
再度腰を突き入れる。突く度に亀頭の先端と奥の襞が擦れ、お互いの快楽を高めあっていく。
腰の動きが単純な前後動になり更に激しく膣を突き上げだす。
秋子の声に余裕がなくなり突き上げられる度切羽詰った喜悦の声が漏れる。
「あっあっあっあっあっ…イ、いっ…いいっ…はぁっだ…め…イク…イクっ!…」
「秋子さん…俺も……もう」
「あっうあっ…な、かに…そのまま…うあっ…出してっ…ああっ」
>>7-12 あ、割り込んですまんかった。
確かに途中で投げ出すと、再び書くのが苦痛になるときってあるね。
原則として、ここで捨てたSS(未完SS)は再起不能とみなします。
完成したとしても、二度と他スレであげてはいけません。
sage保守
初めてのお客さんだ。
特別に教会の方を呼んで、祈りを捧げて貰おう。
真琴「肉を失いし哀れな子羊に、主の幸あれ〜」
真琴「…これでいい? もう終わったからお礼の肉まん食べていい?」
「速すぎです。もう少し死者に対してねぎらいの言葉を掛けてあげてください」
真琴「あう〜。尻切れSSに書ける言葉なんて見つからないよ…あ、かんぺだ」
真琴「7−12よ、次に生まれてくるときは、最低限の状況説明くらい書きましょう〜」
真琴「あーめん」
クソSSを告発するのもアリですか?
arideath
日曜の夜なのに閑古鳥…。
葉鍵のSS書き達は皆、責任感あふれる創作野郎
ということなのか?
>>19 …スレタイが短くて、内容を表しきれてないからだと思います…
IEの人にはちょっと見つけ辛いかと。墓場、だけじゃ内容も一寸分かりづらいし。
ぼくはSS書き始めようと思っているSS童貞なんで、機会があればお借りするかも…
>>20 機会があれば…だと?
フ━━ヽ(;゚Д゚)ノ━ザ! ケンナー!(;゚∀゚)=○)Д゚)
書く前から失敗した時のことを考えるなっ。
>>21 全くだ。
このスレを使おうと思った瞬間に、そいつは敗北者だな。
23 :
敗北者:02/12/29 23:57 ID:SE/OJhLc
>21
>6に
>どんな糞SSでも
ってあるので
最初から自信のある人なんてそういないからここで練習したいってことでは?
>>21 サンクス!やってみるよ!
明日あたり。何の予備知識も無しで。
>>22 いや、そこまで貶めなくても…ああ、人が逃げていく。
まああれだ、とにかく糞SS・未完ものをがしがし書いて、
このスレを活性化させよう!
メンテしとく
あ、ところでクソSSの告発は葉鍵板の物だけかい?
>27
葉鍵板以外もか!
それ楽しそうだな(w俺は否>1
DNML用に書いたが、作るのが面倒になって一年半放置。
朝のざわつく教室。
ドアが開かれ、一人の少女が笑顔とともに入ってきた。
七瀬「おはよー」
男子「あ、おはよっ七瀬さん」
男子「おはよーさん」
数人の男子が、つられて愛想よく返事する。
住井「やっぱ、七瀬の男子人気は高いよなぁ」
浩平「そーか?」
住井「さすが人気投票一位の女子は、オーラがあるって言うか…」
浩平「ああ、確かに七瀬にはオーラが見える」
熱く燃え上がる、戦いのオーラがな。
住井はこぶしを握り、さらに七瀬を語る。
住井「いつ見ても笑顔でさ、なんか和むんだよな…」
男子「そうそう!とくに、あのでかいリボンが俺のすさんだハートを…」
隣で聞いていた男子が割り込んできた。
そのまま、二人きりで美少女談義に花を咲かせてしまった。
浩平(…ふむ)
世間一般では、あの猛獣七瀬はちょっとしたアイドル扱いらしい。
みんなだまされてるよな…。
ここはひとつ、俺が目を覚まさせてやるか。
七瀬の座る席へおもむろに接近する。
浩平「よ、元気か」
七瀬「…何か用?」
目で邪険にされる。
浩平「なんだ、人が折角さわやかな挨拶してやったのに」
七瀬「あんたが普通に話し掛けてくるときって、たいてい何かあるのよね…」
浩平「朗報を持ってきた」
七瀬「なんか怪しいけど…とりあえず話してよ」
浩平「さっき住井達が、七瀬をべた褒めしてたぞ」
七瀬「えっ…ほんと!?そ、それ詳しく教えて!」
浩平「聞きたいか」
七瀬「そりゃ、決まってるでしょ。…一応女の子だし、噂とか気になるわよ」
七瀬「ねえ、なんていってた?」
浩平「ああ。住井のやつが…」
七瀬「うん」
頬を紅潮させて解答を待つ七瀬。
そんなに期待されては、俺も応えなければならない。
浩平「この学校で一番たくましい男っていったら、やっぱ七瀬だなーと」
七瀬「嘘」
浩平「悔しいよなぁ…俺も次に男として生まれてくるなら、七瀬みたいなガッツ溢れる漢になりたいとも言っていた」
七瀬「本当は何て言ってたの? 早く教えなさいよ……!」
浩平「昨日のK−1、七瀬が出てたらなぁ…」
七瀬「私のどこをどう見たらそんな感想出てくんのよ!! さっさと内容教えなさいよどあほ!」
しー――ん…。
七瀬の怒号が、ざわついていた教室を一瞬にして沈黙させた。
住井たちなんかは、口を半開きにして唖然としている。
七瀬「あ…これは、…あはは」
笑ってごまかすがもう遅い。
浩平「一声で静まるこのカリスマ…っ! 俺の目に狂いはなかった」
七瀬「…あんたのせいで…っ」
こぶしを振り上げようとするが、
七瀬「…仕方ないわね、折原君は…」
視線を気にして猫をかぶった。
七瀬の必死の演技が功を奏し、何事もなかったように活気が戻った。
七瀬「もうやめてよね」
浩平「気が向いたらな」
七瀬「ったく…そんなことより、今日はあんたに相談があるんだけど…」
浩平「相談?」
七瀬「そう。けっこう大事」
浩平「金は勘弁してくれ。今月はピンチなんだ」
七瀬「誰が金の話をした!……髪型のことよ」
浩平「なんだ、イメージチェンジでもするのか?」
七瀬「そういうわけじゃないけど…男子っておさげとロングどっちが好きかなって思って…」
俺の意見をおしゃれの参考にしたいらしい。
ここは迷わず、スポーツ刈りを進めたいところだが…。
朝からぶちのめされるのは嫌なので、無難な線でいくことにする。
浩平「俺はロングに一票だ。綺麗な女性の代名詞だからな」
七瀬「そっか…折原って、ロングの子がいいんだ…」
妙に納得してうなずく。
浩平「いや、やっぱおさげ」
七瀬「どっちよ!」
浩平「七瀬を呼ぶとき、おさげの方が引っ張りやすくて便利だから」
七瀬「あんたは…そんな理由で…」
わなわな震えていたが、やがて深いため息をつく。
髪の先をいじくりながら、とろんとした目でこちらをうかがう。
七瀬「じゃあ、今の私の髪型、気に入ってるんだ?」
何かを期待するように聞いてくる。
浩平「まあな。でも、ロングにするんだろ」
七瀬「ん…やっぱやめた」
浩平「なんだそりゃ…」
話の終わりを見計らって、住井が顔を出してきた。
住井「さっそく作戦会議か?」
浩平「はあ?」
住井「とぼけるなよ。今回も七瀬さんを後押しするつもりだろ」
浩平「何のことだ」
住井「本当に知らないのか?ミスコンだよ。全校一の美少女を決める…」
そういえば、そんな行事もあったような…。
最近、クラス中で女子の人気投票を秘密裏に行ったばかりだった。
さすがに短期間に二回目もやると、テンションも失せる。
浩平「…で?住井、お前の予想は?」
住井「俺は断然、長森さんを押すぜ」
自信ありげに答える。
浩平「長森が?」
住井「下級生から上級生まで、幅広く指示されるタイプだからな」
住井の論にいまいち納得できない。
瑞佳のどこに、人を寄せ付ける要素があるのだ。
ちらりと瑞佳をみる。
瑞佳「?」
もし、住井の予想通り瑞佳がトップでも取ろうものなら、いったいどうなるのか。
少し想像してみる。
常に男子生徒の視線に晒され、登下校の際にはストーカーの尾行に気づいてしまい、胃を壊してしまう長森。
俺に冷やかされるたび真っ赤になる長森。
周りの男にアタックでもされたら、見苦しいくらいにおろおろあたふた…。
これはこれで、からかうネタが出来て面白いかもしれない。
浩平「乗った!今回は俺も瑞佳を推すぞ」
七瀬「ーっ!」
住井「そうか。仕掛け人のお前の力があれば、長森さんに向かうとこ敵無しだ」
七瀬「駄目っ!」
突然叫んだかと思うと、七瀬は俺の襟首を掴んだ。
七瀬「あんた、前回は協力してくれたのに…何いまさら裏切ってんのよ…!」
浩平「お…落ち着け」
七瀬「見捨てる気?」
周りの視線を気にも留めず、涙目で俺を抗議する。
七瀬「そんな勝手なこと許さないから!」
浩平「わ、わかった…協力するから……ぐっ!」
七瀬「わかれば…いいのよ…ハア…ハア……」
肩で息をしながら、ようやく落ち着きを取り戻す。
住井「お暑いねえ…」
七瀬「おだまり」
住井を一言でねじふせる。
七瀬「さっそく会議だけど…浩平は何か策はある?」
浩平「急に言われても…な」
七瀬「全校生徒が投票者なんだから…どうやって大勢にアピールできるかがポイントね」
大勢に…か。難しい注文だな。
しばし思案に暮れる。
浩平「この後の朝会をのっとるとか」
七瀬「まじめに考えてよ…」
浩平「いや、これは効果的かと思うぞ」
七瀬「あんな厳粛な中で騒いだら、逆にひんしゅく買うわよ」
浩平「まあ、俺に任せてみろよ」
わずかな勝機を感じて、にやりと笑った。
体育館の中。
今まさに、俺たちが主役の朝会が始まろうとしていた。
浩平「いいか七瀬、チャンスは一回きりだ」
七瀬「…変なこと考えてんじゃないでしょうね」
思い切り疑った目。
浩平「問題ない。うまくいけば、お前の知名度は全クラスへと知れ渡る」
七瀬「…どうするのよ」
浩平「まず、校長が出現した瞬間、速やかに壇上へ乱入してマイクを奪え」
七瀬「できるか!」
浩平「お前の体力なら、年老いた校長からマイクを奪うことくらい、わけないだろう」
七瀬「武勇伝広めてどうすんのよ!」
浩平「気に入らないのか」
七瀬「はあ…あんたに頼った私が馬鹿だった……」
肩を落としてそっぽを向いてしまった。
意外とシャイのようだ。
しばらくして朝会が始まり、退屈な時間が訪れる。
白髪の校長が壇上へ上がって、だらだらと最近あったことなどを話す。
校長「最近の若者はバイクで事故を起こすものが急増していましてな…あれは危険だ」
校長「私が教えていた生徒の一人も、バイク事故でお亡くなりになって…」
しんみりした話だった。
さすがにこの湿っぽい空気の中、平気で私語を交わすものはいない。
チャンスは今しかない。
浩平「今だ!壇上に踊り出てじじいを倒せ!」
七瀬「やらないわよ…」
軽くあしらわれてしまった。
浩平「瑞佳に負けてもいいのか?」
七瀬「う……で、でも…」
わずかにためらいが生まれた。
もう一押しだ。
七瀬「やっぱりそういう強引なのは…」
浩平(ええい、じれったい…)
こうなれば、俺がじかに手を貸してやるしかない。
そっと七瀬の後ろに回る。
その時、校長の話は泣かせどころのクライマックスだった。
校長「亡くなった少年は、熱心な受験生だったというのに…あまたの可能性が一瞬で費えてしまい…」
こちょこちょ…
七瀬「キャっハッハッハ!」
七瀬の馬鹿笑いが、しんみりとした空気を台無しにした。
しー――ん…
皆の視線が、いっせいに七瀬に降りかかる。
七瀬は震える声で、
七瀬(あ…あんた、何てことを…っ)
浩平(笑顔が大事だと思って…)
俺の答えに、七瀬の顔が見る見るうちに鬼と化していく。
校長は怒るというよりも、あきれたように言った。
校長「…今の話のどこに、笑えるとこがあったのだね?」
校長「まったく、非常識極まりない…」
浩平(これで知名度は急上昇だ。やったな)
七瀬「よけいなお世話だ!この腐れハゲ!!」
しー――ん…。
またしても、七瀬の汚い怒号が校長の台詞にかぶった。
しかも絶妙なタイミングで。
七瀬「もう…最悪だわ……」
青い顔で頭を抱える。
浩平「泣くなよ…」
七瀬「あんたのせいよ!」
朝会が終わったあと、七瀬は数人の教師に呼び出されてこってりしぼられたそうだ。
哀れな…。
教室で先にまっていると、やつれた七瀬が帰ってきた。
浩平「大変だったな。だが次の作戦は…」
七瀬「話し掛けてこないで」
浩平「…七瀬?」
七瀬「あんたはもうお払い箱よ。今回はあたし一人で頑張るから…」
完全にへそを曲げてしまった。
まあ、あんな仕打ちに会えば無理もないか…。
少しやりすぎたかもしれない。
素直に謝ろうとしたが、
七瀬「いい?ミスコンが終わるまで、一切話し掛けてこないで」
浩平「……」
謝る機会をそがれてしまった。
浩平(…地道に機嫌取るか…)
気まずいまま、授業のため席に戻った。
住井「おまえ、まじめにやってないだろ」
昼休み、学食のパンをかじりながら、住井が言った。
浩平「いや、本人はいたってまじめのつもりなんだが…」
住井「七瀬さんも可哀想だよな。お前みたいなの選んでさ」
浩平「ミスコンの件なら、ついさっき解雇された」
住井「そういう意味じゃなくて…もう、いいや」
あきれたようにつぶやき、パンの袋をぐちゃぐちゃにする。
住井「…で?まだ諦めてはいないよな」
浩平「もちろんだ。…何か策を持ってきてくれたのか?」
住井「まあな」
自信ありげに、テープレコーダーを片手でもてあそぶ。
浩平「じらさないで教えろよ」
住井「待てよ」
急に真剣な顔つきで俺を見据える。
住井「教える前に、ひとつ約束しろ」
浩平「…なにを?」
友人のめったに見せない真剣さに、少し動揺しながらも聞き返した。
住井「次はまじめにやると誓え」
浩平「なんだよ、急にマジになって…」
住井「お前は軽い気持ちだろうけどな、七瀬さんは相当な覚悟だと思うぞ」
浩平「……」
住井「下手に目立とうとすれば、前みたいにいじめにあう可能性だってあるのに…」
浩平「…そうだな」
住井「何をそんなに頑張るのか知らないけど、並みの覚悟じゃない」
――譲れない物がある。
七瀬を見ていて、時々そんなふうに思う。
人に良く見られたいという願望よりも、その決意に意味があるんじゃないだろうか。
…結局は本人にしかわからないことだが。
俺は住井の目を見返し、強い口調で言った。
浩平「七瀬は…俺が優勝させる」
住井「誓うか?」
浩平「ああ」
住井「そうか……へっへっへ…」
住井の下品な笑いが、シリアスな雰囲気をぶち破った。
住井「いやー、今度のトトカルチョは長森×七瀬に賭けててさ」
浩平「……」
住井「お前に本気でやってもらわなきゃ困るんだよ。私的に」
通りでこいつが真剣だった訳だ…。
シリアスやって損した・・・。
放課後の通学路。
七瀬と長森が、並んで下校していた。
七瀬「長森さんの家って、結構近いんだ」
瑞佳「うん。浩平の家もすぐ近くだよ。ちょっと寄ってく?」
七瀬「…………何で?」
瑞佳「ううん、何でもない。あはは…」
乾いた笑い。
冷や汗をかきながら、七瀬を家へと先導する。
数分後、二人はある建物の前に到着した。
七瀬「へぇ…ここが長森さんの家なんだ…」
瑞佳「えーと…とりあえず上がって」
あいまいに笑いながら、七瀬を中に入れる。
中で七瀬を待ち受けていたのは…。
浩平「ごくろうだったな長森。そしてようこそ、七瀬」
七瀬「なんであんたが、ここにいるのよ!」
浩平「自分の家にいちゃ悪いか」
七瀬「はあ?」
瑞佳「ごめんなさいっ、七瀬さん!…浩平に脅されて仕方なく…」
浩平「おい、お前も乗り気だっただろが」
七瀬「私帰る…」
きびすを返し、扉を開けて外に出ようとする。
すんでのところで、七瀬の腕をつかんで引き止めた。
浩平「今度はまじめにやる。だから、もう一度チャンスをくれ」
七瀬「もういいわよ…」
露骨に目をそらす。
浩平「頼むっ! 俺を信じてくれ!」
七瀬「ちょ、ちょっと、…手」
突然の出来事に、七瀬は掴まれた両手を振り払う事もできない。
浩平「お前を全校一のヒロインに仕立て上げてやる。そのためなら…俺は何でもやるさ!」
七瀬「折原…」
雰囲気に飲まれ、瞳を潤ませる七瀬。
その背後で住井が、浩平へのカンペを掲げている事など全く気づかずに。
七瀬「わかったから、離してよ。…皆見てるから」
浩平「おう」
七瀬「…で?今度は何するつもりなわけ?」
住井「校内ラジオに向けて特訓だ」
七瀬「あんた誰?」
住井「住井だ!同級生の名前忘れるな!」
七瀬「ごめん。なんか印象薄くて」
住井は息を整えた後、持っていた台本を掲げた。
住井「ミスコンの有力馬には、校内ラジオでプレゼンテーションの場が与えられるんだ」
住井「その放送でうまくアピールできれば、トップも夢じゃない」
七瀬「なるほど…で、そのラジオいつ撮るの?」
浩平「明日。そういうわけで、お前には今夜俺の家に泊まってもらう」
七瀬「なっ…」
浩平「二人きりで、夜の秘密特訓だ。…くっくっく…」
七瀬「いやだいやだ絶対帰るっ―――!!」
泣き叫ぶ七瀬を捕獲し、おれ達は行動を開始した。
台詞の前にキャラの名前書くのはやめたほうがよいかと。
DNML用だからであろ。
普通に面白かった……。
って作者さんはもうここ見てないかな?
視点が1箇所切り替わったのが気になったけど、続きが読みたいー。
44 :
流離幽斎:03/01/04 17:36 ID:uvUkRKf1
カタカタ……、カチッ――
「ふう。 まあこんなモンだろう」
俺は要約出来上がったSSを眺めて、タバコの箱を手に取った。
かれこれ四時間もの間、試行錯誤を重ねて出来た作品だ。
それなりに出来も良いと思うし、その後の一服も格別な物。
後はエディタ上でレス分けしてスレに投下するだけなのだが、
これも意外と大変だ。
「1、2、3……、16っと。 これで良し」
俺が舞台としている葉鍵板は、通常一般のブラウザでは
1レス辺り16行までしか一度に表示出来ないのだ。
それ以上を表示させようとすると“続きを読むには――”が出て、
読むのに手間が掛かる事がある。
勿論、専用ブラウザを使って見れば解決するのだが、
細かい所に気を配るのも忘れない。
この度俺が書いたのは、Kanonの真琴をヒロインとした18禁物。
自分の趣味、いわゆる“属性”って奴のせいで、ついつい
鬼畜な展開にしてしまう。
今回はそう言った部分を徹底的に無くし、らぶらぶHを目指していた。
さて、と。 あー……、結構緊張するなぁ」
俺が使っているブラウザは、ギコナビと言う専用ブラウザだ。
レスエディタ機能が付いていて、予めレスウィンドウをSSのレス数だけ
開いておき、全てコピペで貼り付けてから一気に投稿するのが
俺のやり方だが、たまに投下する順番を間違えてしまう。
うっし、スレの流れはいい感じだな。 頼むから空気悪くするなよ」
投下先スレの過去ログをざっと流し読みし、断りのレスを書き込んで、
いざ投下。
「さあて、どうなることやら……」
途中連続投稿規制に引っ掛かり、焦りはしたが、横レスが
入る事無く無事投下に成功した。
「ううむ、この瞬間がたまらんな」
誰でもそうだと思うが、やっぱり投下後の最初に来る感想は
色んな意味で楽しみだ。
『ハアハア(´Д`;』とか『キタ━(゚∀゚)━!!!!!』と言った物から、
マジレスを返してくれたり、少し辛いが酷評を貰ったり。
その時一番辛いのは……、広告だ。
無言ageが初弾で来て、すかさず『無修正動画見放題!』とか来ると、
やはり乾いた笑みが漏れそうに為る。
まあ、それも楽しみの一つではあるけど。
「おっ……、感想レス来た」
数分後、名無しさんからの感想レスが届いた。
内容はここでは伏せるが、嬉しかった事に変わりは無い。
「おお、また来た」
その後も数分事にポツポツレスが付いて、今回の投下は無事
終わったかに見えた。
だが、ようやく流れが以前の様に落ち着いてきた頃、
一つのレスが目に止まった。
『続きキボンヌ』そのたった一言。
その一呼吸も掛からず言える文字列は、俺をこの上なく喜ばせた。
思わず個人レスを付けようかと思ったくらいに。
まだ書き出してから、そう日の経ってない俺には
その言葉が何よりも嬉しかった。
数日後、再び前に投下したSSの続編を書く俺が居た。
内容はあまり進歩して無い事は自分でも解ってはいたが、
それでもあの日、あの時続編を希望してくれた名無しさんの為に、
色々なシチュエーションを考える。
例え、その言葉が適当な投槍レスでも。
やがて完成し、再び投下された続編SS。
またあの名無しさんは読んでくれているだろうか?
そんな子供染みた考えを聞かせながら、今日もSSを書く。
『待ってた甲斐があった』
その言葉のために。
|-`).。oO( おしまい。
続きキボンヌ
ここの閑古鳥が鳴くということは
板にとってはいい事と思うべきなのだろうか…。
トミーめ
もう勝った気でいるらしい
ぐ〜ぐるるる〜♪
「うわっ……」
突然、自分の腹が鳴りだしてしまい、思わずエディフェルの顔を見て、赤面
する。
それを見て、エディフェルが思わず苦笑した。
「お腹が空いたのでしたら、食堂車へ行きましょうか?」
「ん……あ、ああ、そうしようか?」
エディフェルが提案すると、気まずさに少しどもりながら、耕一は同意した。
現在998は、機関車をのぞく11両で運転されている。
1両は最後尾の電源車で、他に衛生車両1両、個室2両、開放寝台車4両、
座席車2両。そして、そのほぼ中央に食堂車が連結されている。
その内部は他の車両同様、20世紀中ごろの洋式で、シンプルながらも上品に
まとめられている。
耕一はその中に入り込んで、きょろきょろとあたりを見回してしまった。
白いクロスの敷かれたテーブルに付いても、耕一は落ち着かない様子だ。
「どうか……したのですか?」
少し不安げに、エディフェルが耕一に問いかける。
「いや……俺……こんな豪華なところで食事したことって、あまりないからさ
……」
「そうでしたか……大丈夫ですよ、なんでも好きなものを頼んで下さい」
エディフェルはニコッと微笑んで、優しい口調で耕一に行った。
「えっと……」
テーブルに置かれたメニューを手にとり、耕一は開いて中身を見る。
わずかに間をおいて、
「失礼いたします?」
と、ちょうど耕一の背後の方から、透き通るような高い声がかけられた。
「え……わ!」
メニューに気をとられていた耕一が、声にふっと視線をあげると、そこには
……曇りがなく透き通った、水晶の女性が立っていた。
「どうかなさいましたか?」
「い、いえ、その……えっと、メニュー……が……注文だっけ?」
わたわたと、慌ててメニューを持ち直してから、それを凝視するようにする
耕一。
「じゃあ、す、ステーキ、サーロインの……いいよね?」
メニューから視線を上げ、正面のエディフェルに問いかける。
「もちろんですよ……じゃあ、私も同じものをお願いします」
「焼き方はいかがいたしましょうか?」
エプロン姿の、水晶の少女は再度、耕一達に聞いた。
「えーっと……なんて言えばいいんだっけ? 良く焼いてある方がいいんだけど
……」
「ウェルダンですね、かしこまりました。……こちらは?」
今度はエディフェルに向かう。
「私はレアでお願いします」
「かしこまりました。それでは、失礼いたします」
注文をとり終えると、水晶の少女はぺこりと礼をして去って行った。
「水晶……ガラス、って事はないよな……アクリルかな?」
厨房に入る少女の姿を視線で追いつつ、耕一は呟いた。
暫くして、トレイに食事を載せて、その透明な少女が再びやってきた。
「お待たせしました」
そう言って、テーブルの上に料理の載った、皿を並べて行く。
「…………」
耕一は、その様子を惚けたように見ていた。
「……どうかなさいましたか?……顔が赤いようですが、暖房が強すぎますか
?」
淡々、とした感じで、水晶の少女は言い、首をかしげた。
「いっ、いやっ、そのっ……」
不意をつかれた形になり、耕一は口籠ってしまう。
「くす……耕一さんは、貴女の身体に見とれていたのですよ」
横からエディフェルが、苦笑気味に笑って、水晶の少女に言った。
「えっ……それは…………ぽ」
照れたようにうつむく、水晶の少女。
「いや……その……綺麗な、と思って……その身体は……」
「ありがとうございます……この身体は、私の母が、見栄の為に私に与えたも
ので……正真正銘のクリスタルです……」
少女は、やはり、淡々とした口調で、そう説明した。
「クリスタル……水晶……」
「ですので、私は……この998のウェイトレスとして働いて、そのうち、生身の
身体に戻ろうと思っているのです……」
「え……そんなに綺麗なのに……?」
耕一は意外そうな表情になって、聞き返した。
「……ぽ……ですが……私の身体は、光さえも通り抜けてしまう水晶……でも
……それは、とても寂しい……」
水晶の少女は、相変わらず淡々とした、しかしどこか寂しげな口調でそう言
った。
「よろしければ、お名前を聞かせていただけませんか?」
そうたずねたのは、エディフェルの方だった。
「はい……美凪と申します……」
自分の名前を言った後、美凪はすっ、と、右手の手のひらを上に向けて、テ
ーブルの方に差し出す。
「それでは……どうぞ……冷めないうちにお召し上がり下さい」
「……あ、……そ、そうだね……いただきます」
耕一はハッと我に返ったように言い、少しぎこちなくナイフとフォークを扱
いはじめる。エディフェルも、こちらはスマートに食器を扱いはじめた。
「うまいっ、さすが998の食堂車だけはあるな」
耕一が、そう素直に言う。すると、傍らに立っていた美凪が、
「有り難う……ございます」
と言って、頭を下げた。
しばらく2人が食事を続けていると、突然、
フッ
と客車の電灯が消えた。黄色い保安灯がまばらにつくが、その周りをほのか
に照らしているに過ぎない。
「? どうしたんだ? 停電?」
「トンネルに……入ったのです」
慌てたように声を出す耕一に、美凪がそう説明した。
「トンネル? 宇宙の真ん中で?」
「太陽系の外側に広がっている、高密度のガス帯を突き抜けるトンネルなんで
す」
と、この説明はエディフェル。
「……ガス体を構成する物質が……強大なエネルギーを帯びているため……動
力が干渉を起こしてしまうのです……機関車は物理シールドされていますが…
…電源車は機関車程完全ではありませんので……」
「なるほど……」
美凪の説明に、耕一はため息をつくように言った。
「申し訳ありません……ですので……」
美凪は淡々と言うと、突然、美凪の身体がぱぁぁっ、と輝きはじめ、あたり
を照らしだした。
「わっ!?」
耕一が驚いて、美凪を凝視する。フォークにささっていた肉の切れ端が、ぽ
ろっと落ちる。
「しばらくの……間ですが、私の代謝活動を活発にすると……あたりを照らす
ことができます……照明のかわりをつとめますので……どうぞ……お食事をお
続け下さい……」
「あ……え、あ、じゃ、じゃあっ……」
耕一はそう言って、慌てたように食事を再開した。
暫くして耕一が、少し間を置いてエディフェルがナイフとフォークを下ろす。
「あー、旨かった〜」
「くす」
耕一の大仰なジェスチャーに、エディフェルは笑ってから、
「それでは、私は精算を済ませて行きますので、耕一さんは先に座席に戻って
いてください」
と、言う。それから、2人は席を立った。
「私が……座席までお送りします……」
傍らにずっと立っていた美凪が、そう言って耕一の手をとった。
「え……あ、ああ……」
耕一は少し顔を赤くしながら、しかし美凪のなすがままに、手を引かれて、
食堂車を後にした。
1両通り過ぎて、次の車両のデッキに2人が立った時、ぱっ、と車内の照明
が点いた。
そのとたん、耕一は思わず美凪と顔を見合わせてしまい、耕一は照れくさそ
うに赤面してうつむいた。
「ぽ……」
美凪もそう言ってうつむくと、ゆっくりと戻すようにして耕一の手を離した。
「ありがとう、ここからは1人で戻れるよ」
そう言って、耕一は苦笑した。
「どういたしまして……ぽ」
美凪がそう応える。
そして、2人が互いにきびすを返そうとした、その次の瞬間。
ギギィッ
「うわっ、わぁっ!?」
「きゃっ……」
998が急ブレーキをかけた。そして、デッキの天井に取り付けられた警告灯
が点灯する。
「……え?」
耕一が、デッキの折り戸の窓から外を見ると、そこは漆黒の空間のはずが、
なぜか列車の照明がすぐそばで、壁に当たっているようになっていた。
「またトンネルかい?」
「もう……トンネルは通過したはずです……」
耕一が窓の外を向いたまま聞くと、美凪は多少はうろたえたかのような口調
で答えた。
「じゃあアレは……」
「たいへんたいへんたいへんーっ」
耕一たちの背後から声がして、いきなり、連結側の扉が開かれた。
「しゃ、車掌さん!」
「っととっ、ハイハイ」
耕一の呼び止める声に反応したのは、タイタンの解説に来た霧島とは、また
別の車掌だった。やはり女性だったが、背はすらりと高く、霧島よりずっと年
上のようだ。
「いったい、何があったんですか?」
耕一は気にせず、ストレートにそう聞いた。
「それが……」
目の前の車掌は、自身はあまりうろたえはしていないようだったが、困りき
った表情で答えた。
「正体不明の船が並走していまして」
「船……?」
耕一は再び、窓の外へと視線を移す。
わずかに間を置くと、今まで光が当たっていた黒い壁が、ゆっくりと下がっ
ていき、窓の光が徐々に小さくなっていく……
「……あれは……まさか!?」
やがて窓からもそのシルエットが確認できるようになった。それは、
「私たちはターン・クルーセイダー(逆さ十字騎士団)……998、進路が交差しま
す、接触に警戒しなさい……」
その船首には、大きな逆さ十字を掲げるジャンヌ・ダルクの彫像(もっとも、
耕一にはその女性が誰であるのかは分からなかったが)が載せられている。船
……いや、全周型フェーザー・バンクを備えた戦闘艦だった。
「待ってくれ!」
耕一は思わずドアを両の拳で叩き、何度も打ちながら絶叫する。
「鹿沼葉子! 聞きたいことがあるんだ!」
ガンガン、と叩くが、当然その声が相手に聞こえるはずもない。
「クソッ……」
やがて絶叫が効果がないことを知ると、耕一はドアを叩くのをやめ……おも
むろに、腰のホルスターから銃を抜いた。
「な、何を……!!」
車掌は慌てて耕一を制止しようとする。が、逆に自分が別の腕に制された。
「…………?」
車掌がその腕の主を見ると、エディフェルがそこに立っていた。
その間にも、耕一は銃のセイフティを外し、火薬式拳銃の撃鐵にあたる圧縮
機構のピストンを引き上げる。
そして、ドアのガラス越しに、海賊船ターン・クルーセイダーへと銃口を向
け、引き金をしぼった!
ビシューッ!!
銃口からまっすぐ伸びた光芒は、まず折り戸のガラスをやすやすと突き破り、ターン・クルーセイダーにむかって疾走った。
「っ、な、なんてことをっ……」
車掌が耕一の背後から憤りの声を上げる。
「車掌さん、耕一さんはどうしても葉子さんと……」
エディフェルが耕一を庇うように言う。すると、車掌は今度はエディフェル
に食って掛かるように、
「だからって……! 今のご時世でも、宇宙列車用のガラスは安くないんです
から!」
車掌が、周囲の雰囲気とは完全にズレた憤りを口にした、直後、
ズズ・スズンッ!
「うわっ!」
「きゃっ……」
衝撃がデッキにいた一同を襲った。
ターン・クルーセイダーは進路を998と完全に並行させ、フェーザー・バン
クが998めがけて光芒を放つ!
それは未だ、998の客車を掠めているだけだったが、それでも拡散するエネ
ルギーの余波で客車は激しく揺さぶられた。
<今回ここまで……中途半端でスマソ>
64 :
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65 :
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66 :
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67 :
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68 :
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69 :
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91 :
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こんなところに998の続きが・・・
前スレどこだっけ?
998とはなんぞや…
それはいいとして、ここは連載物をあげるのに適してそうだな。
糞だろうが長かろうが、文句は言われない訳だし。
ここは続きキボンヌするスレになりました
test
「遊びに」の続きもあったらいいな、キボンヌ。
>>98 日付が変わりまくってるけど、続きキボンヌ
しかし、
>>44のSS(?)は素晴らしい。続きキボンヌw
100 :
52:03/01/09 08:46 ID:KtN1R1zY
本気の人が多い様なので…すまん、俺は冗談。
スレタイと住人の意がことごとくそりあわんな(w
いっそ長編スレとして再起を目指すとか…。
―ということで
ようこそ。ここは葉鍵SS職人の集まる(予定の)SSサロンです。
ここでは住人を楽しませる場所ではなく、職人が楽しむための慰安所として使用する事ができます。
習作、未完、クロスオーバー等、どんな中途な形態で投下されても結構です。
気軽なSSライフを楽しみましょう。
住人も優しい(適当?)人達ばかりです。
サンデーサイレンスの墓かと思った。
>>101 だからここは続きをキボンヌするスレだってば(w
>>102 続きキボンヌ。エルコンあたりで。
由依たんが最強のSSありませんか?
∧_∧
< `ш´> <私が書こうかね?
_φ___⊂)_
/旦/三/ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 誰彼百円 |/
「YUI!〜最強ゲーマーへの道〜」
と言うのを書こうと思ったがさゆりさんに勝てそうに無かったからやめた。
∧_∧
< `ш´> <
>>107君、がんばりたまえ。
_φ___⊂)_
/旦/三/ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 誰彼百円 |/
ん?佐祐理さんが師匠かチャンピオンで最終目標又は真の敵なんじゃないの?
佐祐理は町に巣食う悪ゲーマーを倒すために活動。
主人公が歩いていると突然ゲーマーの血が暴走し、気が付くと佐祐理んを完封していた。
清楚なお嬢様は微笑む。
「佐祐理を倒した責任、とってもらいますからね」
111 :
名無しさんだよもん:03/01/10 00:16 ID:rJaF3fCI
放課後のグラウンドを、体操服の名雪が、竹刀を持って歩いていた。
祐一「………それ何に使うんだ?」
名雪はいい笑顔で答えた。
名雪「わたし陸上部の部長さんなんだよ〜」
このシーンだけ思いついて墓場送り。
こーゆー墓場送りのシーンがたくさんある。
>>98 なんであのスレ、メール欄で会話するようになったんだ?
シーンだけってのも珍しい…のか?
人の作ってる様なんぞ観た事ないからわからんけど
はたはたはたはた……
晴天の下、はためく桜の代紋の旗。
しかしその下にある建物は、警察のものというより、どう見ても工場か倉庫
と言った雰囲気。しかもその立っている周囲も、見渡す限りの埋め立て地。は
るかに東京ビッグサイトの特徴的な建物が見える。
その、建物の正面、門の前に、変型フレームのサングラスをかけた1人の男
が、腕を組んで仁王立ちになっている。
その後ろ、建物の巨大な扉の周囲に、作業着姿の人間が何人もたむろしてい
た。
ペレレレレレ、ガチャ。
扉の一方の端の側、内側の壁にかけられていた、飾りっ気のない白いプッシ
ュホンがなったかと思うと、ワンコールも鳴り終わらないうちに受話器が上げ
られた。
「ハイ、特車二課整備班」
受話器を上げたのは、こちらはオーソドックスなメガネをかけた男。彼はは
じめ、やる気なさげな口調で電話を受けたのだが、直後、
「班長〜ぉ!!」
がらりと態度が変わり、声を弾ませて、門の前で立っている男のところへ走
って行く。
「13型パトロールリーフ3機、メーカー取手工場を出荷したとのことであり
ます!」
直立不動で敬礼しながら、駆け寄った男の方がそう報告した。
「うむ……」
115 :
114:03/01/10 01:08 ID:OYP0cs/M
サングラス男が返事をした後も、しばらく敬礼したまま、やがてぶるぶると
震えだしたかと思うと、突然、ぐっ、と前屈みになりつつ両の拳を腰の前で握
りしめる。
「班長、俺はもう嬉しくて……」
そう言って顔をあげると、今度は情けない表情になって行く。
「未来警察の先駆者、21世紀の警視庁の象徴等といわれながら、その実予算
がどうの計画がこうので、実際配備されたのはセコハンを白黒に塗り替えただ
けの年増がそれもたったの3体……落ちこぼれ! お荷物! 粗大ゴミ!! な
どと言われ蔑まれどれだけの間苦渋をなめ続けた事か……」
そこまで言ったかと思うと、不意に直立不動の体勢に戻った。
「しかし、本日、最新鋭リーフ3機の導入を持ってその名を返上、名実共に警
視庁のエリートの一員になるわけであります!」
メガネ男が長いセリフを言い切ると、サングラス男はふぅ、と軽く息を吐い
て、
「同志繁夫よ。我輩は小学生の頃に幼い好奇心から鉛筆画のエロマンガを描き、
親父殿にしこたま殴られた経験がある」
セリフは全然締まらないのになぜかカッコをつけて、右手の中指でサングラ
スを直しつつ、
「それ以来ただただ萌えに向かって1年365日閏年は366日邁進してきた我輩に
とって、別に他人の評判や能書き等はどうでもいいのだよ!」
大仰に手を広げるポーズをとって、サングラス男は言う。
116 :
115:03/01/10 01:10 ID:OYP0cs/M
大仰に手を広げるポーズをとって、サングラス男は言う。
「しかるに今日の有り様と言えばどうだ、巨大メカ娘……誰が始祖か今となっ
てははっきりしないが、えむえすしょうじょなるものが出現して以来、萌えの
究極形態の1つとも言うべき存在が、今や町中を歩いているのだ! いわんや、
その最新鋭機種と日頃触れられる機会を得られるとなれば、この我輩程の男が
警察の整備員を目指さずしてどうしろと言うのだハッハッハ! 違うかね同志
繁夫?」
倒錯したセリフを口走りつつくるっと振り返るサングラス男、こと九品仏大
志だが、しかし、そこに先ほどのメガネ男、こと芝繁夫はいなかった。
「すいません、今お仕置き中なので……」
他の整備員が慌てて大志に言う、その後ろで、繁夫が逆さ釣り状態にされて
いる。
「誰が年増なんですか、キーッ!!」
と、工場の建物と同じくらいの背丈もある、巨大な、しかし見た目幼い感じ
の少女が、繁夫をつかんでヒステリックに叫んでいた。
大志はキメポーズ?のまま、じわりと汗をかいた。
Liner-actuated
Enormous
Assistance
Figure
搭乗型大形アンドロイド。
自律型AIとマニュアルオペレーションの併用で従来の重機では到底不可能
だった、複雑さをともなう重作業の機械化を可能とした。
しかし、それを最初に実用化した者たちは、なぜかそれを少女のシルエット
を持たせ、以降、特にその事に言及される事もなくそのままの方向性で発展し
て行った。
高所作業や建設現場等に急速に普及したLEAFだが、同時に、都市犯罪の手段
として新たな脅威ともなった。
増大するLEAF犯罪に対抗する為、警視庁は警備部特科車両二課パトロールリ
ーフ中隊を新設した。通称パトリーフの登場である!!
∧||∧
( ⌒ ヽ シーン的に萌えが足んねぇ……
∪ ノ 葉キャラ大志しか出てねェし。
∪∪
>>117 続ききぼんぬ
けっこう良いスレになるんじゃないのかなぁ。
書きかけであきらめたやつとか、みんないっぱいあるだろ
119 :
asge:03/01/10 20:58 ID:+CiMSCGg
墓場行きにしたシュチュとか書いていいんだろ?
いろんなシュチュ拝めるじゃん。
というわけで、ここは良スレに認定。
漏れもいくつか馬鹿なシュチュあるから、暇があったら書くよ。
ねえ、何かいても良いの?
中途半端どころか、ほんとにどうしようもないので良い?
きっと、ほんとにどうしようもなかったら黙殺されるんだろうな
墓場に来て指導してもらおうってのも虫が良すぎる話だし、仕方ないか
完成させる気が無いものに最後の日の目を見せるスレだからね。
良いと思うよ。ココ
もっと良悪未完取り混ぜて混沌としててもいいと思う。
読み手のためではなく、書き手のためのスレということね。
完成してても、酷すぎて御蔵入りのやつとかも持ってこようぜ。
メタとか、葉鍵成分の低いまぜこぜとかでも気軽に
投稿できそうな雰囲気はいいな。
マターリ待つか…
「はぁ〜」
建物の3階に位置する部屋の窓から、ベリーショートの女性がぼーっとしつつ、正門前の光景を見ていた。
ガチャ、バタン……ドアが開かれ、1人の男性が室内に入ってくる。
「いよいよ今日でしたね、新型の搬入日」
「ああ、巳間さん……ええ、何事も無事に終わればいいんですけど……」
入ってきた男の方、巳間良介に声をかけられ、ぼーっとしていた女性の方、
河島はるかは振り向き、応えた。
その直後、開け放たれていた窓から、車が加速して行く音が聞こえた。
「本庁の連絡車ですね、こんな所まで来るなんて珍しい」
巳間が言う。するとはるかが、めんどくさそうに立ち上がった。
「どうやら人間の方が先に到着したみたいですね」
ボーゼン
その場に降り立った人間は、まさにそんな状態で立ち尽くしていた。
やがて、その中の1人の青年がぼそぼそと言いはじめた。
「……オレこんなのビデオの映画で見た事ある、零戦なんとか一家とか……
男ばっかりで酒飲んで博打やって殴り合って仲直りして……そんな恥ずかし
いヤツ」
「それは軍隊じゃない……」
一緒に突っ立っていた女性の1人が、少し呆れた口調でそう返した。する
と、青年の方も言い返す。
「階級があって鉄砲が持ってて、何が違うってんだよ」
「少なくとも都内の光景には見えないよなぁ……」
別の、一番背の高い青年がそう呟いた。
「逃げ出すんなら今のうちだと思わないか?」
先ほどの青年が冗談半分、しかし残り半分は確実に本気でそう言った。
「逃げ出したいならそれでもいいわよ、脱走者として私が制裁してあげるか
ら」
と、女性が物騒なセリフをさらりと言う。
「それじゃ軍隊ですよ……」
それまで黙っていた、さらにもう1人の小柄な青年が、呻くようにそうい
った。
「はーいはい、ようこそ特車二課分署へ。全員辞令をもって隊長室に集合ぉ〜」
と、窓からメガホンで、はるかが怒鳴る。
「ほーら、見つかっちゃったじゃないか」
言いつつ、青年達は荷物をもって、建物の方へと走り出す。
「それにしても、5人じゃ欠員が出てるじゃないですか、大丈夫なんですか
?」
巳間がはるかに聞き、はるかは何が嬉しいんだか笑いながら答える。
「なに、いざとなったら私も入れれば6人です、なんとかなりますよ」
「……カミカゼ管理職ですね」
巳間が呆れたように言うと、はるかは悪戯っぽくウィンクして、
「それは、お互い様です♪」
と言ってから、軽く一息つく。
「だいたい、まだ本庁のリーフ搭乗車要請の体勢ができてないんですから…
…5人確保できただけでも……あれ?」
そこまで言って、はるかはある事に気が付いたように、再び窓の外を覗き
込む。
「ひとり足りないですね……?」
そう呟いた時、今度は外から、軽い音質の爆音が聞こえてきた。
バォーンッ!!
「うわっとと」
正門から建物の入り口へと至る通路を、歩いていた青年達が、背後からの
爆音に驚いて飛び退く。そこを、250ccか400ccぐらいの大形スクーターが走
り抜け……たかと思うと、すぐ前方で、ターンしながら停まった。
ヘルメットを脱いだのは、少女と見紛うばかりの小柄な女性。
「葵ちゃん!?」
と、先ほど悪態をついていた青年が驚いたように言った。
「おひさしぶりです、先輩!」
葵と呼ばれた小柄な女性が、青年に対して答える。
「久しぶりはいいけど、こんな所でなにやってんの?」
「貴方みたいなカワイイ子が、こんな所にいると、変なお兄さん達に食べら
れちゃうわよ?」
青年の言葉に割り込むようにして、一緒にいた女性が苦笑しながら言っ
た。青年は、どう言う意味だよ、と視線で返すが、女性には堪えていない。
すると、葵は直立不動で敬礼して、
「申告します、松原葵は、本日付けで特車二課第2小隊に配属になりました
!」
そう言ってから、今度は深々と頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「では、まず配置を発表します」
隊長室に、直立不動の1列横隊で並んだ隊員に、はるかがメモ書きのよう
なものをみながら言う。
「特車221、フォワード、松原葵。指揮車、藤田浩之。特車222、フォワード、
太田香奈子。指揮車、長瀬祐介。電源クルー、柏木耕一。以上」
一気に言い終えて、それだけで疲れたと言う表情で、はるかは軽くため息
を付いてから、
「さて、これよりメーカーより新型リーフの受領ならびに初期設定を行うわ
けですが……」
と、濁すようにしてとこで言葉を止めた。
その時、窓の外から、
「班長ぉ〜」
という、繁夫の声が聞こえてきた。
「まだもう少しかかるようですから、とりあえず先にお昼にしちゃってくだ
さいな」
∧||∧
( ⌒ ヽ今 日 は こ こ ま で
∪ ノ
∪∪
少し思うところがあったけど
遺棄物にかける言葉は無いので黙っておく
132 :
忍:03/01/13 19:38 ID:/ClI3uYq
「よう」
店の前で、みちるの姿を見つけたので、俺は声をかけた。
「あ、いらっしゃい。ひさしぶりだね、どっか行ってたの?」
「戦争行ってたんだよ、南の果てまで」
「うわ、そりゃ大変だったねぇ。ケガとかしなかった?」
「俺も死ぬ覚悟して国を出たんだけどな、結局、俺の乗ってた艦は、砲弾一発も撃たないで返ってきたよ」
「それはそれで、よかったじゃん」
そうだな、と言いながら頭を撫でてやると、みちるは気持ちよさそうに目を細めた。
「美凪さんは元気だったか?」
「うん。でも、美凪は今、店に出てないんだ」
「どうして?」
「身請けがきまったの」
呆然とする俺を余所に、みちるは身請け先のことを語りはじめた。まるで自分の事のように嬉しそうだった。
相手は大金持ちの跡取りで、本人も相当にいい男らしい。親の反対を押し切っての大恋愛で、いずれは正式に祝言を上げるとか。あの美凪さんが嬉し泣きしていたと聞かされて、俺は兜を脱いだ。
「そんなことになってるとはなぁ。俺も金貯めてたんだけど、無駄になっちまったな」
「へぇ、貯めたって、どれくらい?」
俺はみちるを手招きすると、そっと耳打ちした。艦に乗ってる間、ほとんど金を使わなかったせいで、俺の貯金はかなりの額になっていた。
「あのね、言いにくいんだけど、それじゃぁちょっと……」
「ダメか?」
「普通のお店なら、それで足りると思うんだけどね。ほら、葉鍵楼っていちおう高級ってことになってるでしょ? しかも美凪は看板だったから」
「そうか」
思わずため息が漏れた。所詮、高嶺の花だったか。
「葉鍵楼にいて、それくらいのお金で身請けできるのは……」
「できるのは?」
何の気なしに聞き返した俺に、みちるは照れたような笑みを浮かべて言った。
「みちるくらいのもんだよ」
133 :
忍:03/01/13 19:39 ID:/ClI3uYq
葉鍵楼みちる編 EpilogueのボツVer.
最後の一言から逆算して組んだストーリーだったので
どうにかして使いたかったのだが
説明不足感が漂ったので無念の廃案
確かに葉鍵楼にはどうかと思うしキャラを演じ切れてないが…萌え要素は
完 璧 だ 。
>>忍
葉鍵楼のと両方読んだが、こっちの方が私好みです。ごめんなさい。
萌えシチュどんと来い。
映画版・『デスゲーム』は、隆山でロケが行われることとなった。
クライマックスのロケに使われる、旅館『鶴来屋』に協力も依頼した。
次は主題歌だ。しかしここで思わぬトラブルが発生した。
まず、人気NO1音楽プロデューサー・緒方英二の傘下のアイドル、緒方理奈と森川由綺の二人が候補に上がった。
早速打診を行おうとしたが、『デスゲーム』の原作者・川松新一を始め、出版社側から強く反対された。
緒方英二は確かにカリスマプロデューサーの名にふさわしく、大ヒット曲を何曲も生み出してきた。
しかし、あまりに独裁的なやり方なので、反発を買うことも少なくなかった。
映画やドラマのタイアップ曲でも、何回となくもめごとを起こしていた。
川松新一の親友であり、ライバルでもある作家・西江孝信の原作『旋風都市』のドラマ化で
主題歌に森川由綺が選ばれ、緒方プロデュースで曲が作られることになった。
原作者の西江が作詞を手掛けるのが話題の一つだったが、ここで事件が起こった。
歌詞が先に作られ、緒方が曲をつける形が取られたのだが、
「こんな歌詞は使えない」「自分の作った曲に合わない」と西江の作った歌詞を断わりもなしに没にして、
自作の全く別の歌詞に変えてしまったのだ。
西江を始め、出版社は「OKを出したはずじゃないか、これじゃ話が違う」と激しく抗議したが、
緒方は取り合おうとしなかった。
テレビ局も「今更そんなことでは困る」と抗議したが、「それなら、森川を引き上げる」と
脅しまがいの言葉に屈し、やむを得ず了承することになった。
この一件で、マスコミは緒方を「何様だ!」と攻撃した。
これにより、「うちの作品がドラマ化されても、緒方には主題歌を作らせるな」と
あちこちの出版社からそっぽを向かれてしまったのである。
川松や出版社に「緒方に作らせるくらいなら、主題歌はいりません」「それでも作らせるなら、
『デスゲーム』は中止です」と言われてしまっては、緒方を擁立するのは無理だ。
次に候補に上がったのは、1、2を争う人気バンドに上り詰めた、チャイルディッシュ・アン・アワー(略称CAH)。
しかし打診したところ、「忙しすぎてとても無理です」と断られてしまった。
だが、それは表向きの事で、本当は緒方の圧力がかかっていたのは誰もが知るところである。
『デスゲーム』の主題歌問題が一向に解決しないのとは裏腹に、撮影は言うことがないくらい
順調に進んでいた。
隆山ロケも、地元住民、旅館『鶴来屋』の献身的な協力により、枯れ葉を焼く火のように
進んだ。
迷宮入りとなった連続殺人事件のせいで、温泉街・隆山の評判はメチャメチャに
ぶち壊され、街は瀕死の状態に陥っていた。そこへ降って湧いた、話題映画のロケ。
街が立ち直る、願ってもないチャンスだ。
瀕死の状態なのは日本映画も同じことだ。この映画が当たれば、日本映画はよみがえる。スタッフたちはそう信じていた。
そう信じたいだけなのかもしれなかったが・・・。
そう、街も制作側も、よみがえるために戦っていたのだ。
そして、ついに映画は完成。試写会が行われた。
だが、その試写会でハプニングが起こった。
映画のラスト、敵の本拠地(鶴来屋がロケ地)に陣取っていた最後の敵を倒し、
妻と娘の救出に成功した主人公。やがて迎えのヘリコプターが来て、三人を乗せて
飛んでいく。
主人公の娘がつぶやいた。「パパ、夕日がきれいだね」主人公が言う。
「そうだな・・・」そしてモノローグ。「きれいだよな、人間が何人も死んだ
殺伐とした街なのに、どうして夕日がきれいなんだろうな・・・」
そしてエンディングテーマ、スタッフロール・・・のはずだったのだが・・・
「あれ?何も音がしない?」
客席がざわめきだした。真っ黒なバックに無音でスタッフロールが流れているだけだ。
「主題歌なしでやるつもりか」
「最後の最後で、一体何をやっているんだ」
スタッフは批判を浴び、散々な目に会った。もっとも、映画の出来そのものは
大好評だったので、それが救いだったが・・・。
とにかくもう、一般公開まで時間がない。みっともない主題歌は作れないし、
どうすれば・・・。
だめだまとまらん。
誰か続き書いて(w
そ ん な こ と い わ れ て も
なんかどっかで読んだ事あるような・・・気のせいかなあ。
漏れも見たことある気がする
半年以上前に板内のどっかで…
盗作疑惑勃発か!?
それとも…
気のせいではないな。
討論スレだか、投稿スレだかで出てた。
もうちょっと長かったはず。
わた某でしか?
もうちょっと長かった…と。
ラストが気に入らずにわざわざ削って投稿し直したということか…な?
ああ、確かにあった。投稿スレだな。呼んでないので覚えてないが、続きはあったはず。
確か前後して『木風たん』が来襲したため、それどころじゃなくなったようなw
しかしなんで文頭凸凹なんだ。改行も変だし。
まぁ、墓場なんだから素直に埋葬してやるのが筋だろう。
ぽくぽくぽく……ちーん。
ずんずんずん…… ぱーん。
「折原〜っ!」
「なんだ、七瀬。朝からそんな拳王みたいな顔して」
「だれがラオウか! それはともかく、昨日何処いってたのよっ!!」
拳王といっただけなのにすかさずラオウが出てくるとは……さすが七瀬だ。
「昨日か……確か一日中商店街をぶらついていたな」
「あたしが折原の家にいくって、約束してたじゃないの!
何時いっても居なくて、どうしようかと思ったわよッ!」
そういえば、先週そんなことをいっていた気もする。
「いや、それはだな……」
俺が言い訳しようとすると、ふと七瀬が下を向いて。
「あたし、折原に嫌われたんじゃないかって、そう思ったらもうなにも考えられなくなって……」
……泣きそうになってしまった。
「……あたしのこと…きらいになったの……?」
いって、抱きついてくる。
最初の勢いは何処へやら、本当に泣き出してしまった。
「……昨日は、すまなかった。どうしても欲しい物があったんだが、なかなか見つからなくてな。
気付いたらほとんど一日使ってしまったんだ」
「………おりはらは、あたしよりそっちのほうがだいじだったの………?」
「そんなことはない。というか、お前が大事だからだ」
意を決して、言う。
「受け取ってくれないか? 婚約指輪だ」
そのシルバーリングを見た途端、七瀬はさらに泣き出してしまった。
151 :
150:03/01/14 01:13 ID:FCbw3HeR
昔の過ちを葬ってみるテスト
いいんだが、シルバーリングは婚約指輪ではなく結婚指輪ではなかったか?
そのへんが折原らしいといえばそれまでだが。
マジレスっぽくてすまん
ラスト4行の展開が早すぎ
155 :
山崎渉:03/01/14 09:37 ID:V2LeKOI0
(^^)
「……朝か」
いつものように、部屋の寒さで目が覚めた。
目覚めってのはやはりいい気分じゃない。
また、いつものように名雪を起こしに行こうと立ちあがろうとした時。
『朝ぁ〜朝だぁよぉ〜』
「ぐわっ!」
切り忘れた目覚まし時計からの声にずっこけた。
『朝御飯食べて学校いくよぉ〜』
文章で見れば特に変わったことはない。
少々間延びしてるように見えるだけだ。
だが実際聞くと、この声の違和感に驚きを隠せない。
そう、聞こえてきた声が大山○ぶ代に似て…。
…いや、モロにそのままだったからだ。
『朝ぁ〜朝だぁ…』
繰り返し再生される前に目覚ましのスイッチを切った。
「はぁはぁ…」
そして呼吸を整えた。
「……」
落ちついた所で、もう一度聞いてみようとスイッチを入れた。
これは何かの聞き間違いだと思いたいからだ。
『朝ぁ〜朝だよぉ〜』
だが、俺の聞き間違いではなかった。
「……」
何度再生しても聞こえてくるのは大山○ぶ代の声だった。
「これは夢だ」
そう自分自身に言い聞かせるべく、ベッドの中へ逃避しようとした。
だがその時、ドアをノックする音と共に声が聞こえてきた。
「祐一〜、朝だよ〜」
名雪?
いや、聞こえてくる声はさっきの目覚ましからの声と同じモノだった。
まさか…。と思っていると声の主はドアを開け、部屋に入ってきた。
「あ、起きてたんだ」
こいつ誰だ。
その言葉が一番最初に頭に浮かんだ。
「もう、起きてるならちゃんと起きてるって言ってよ」
俺の目の前には某猫型ロ…そう、ヤツの姿をした何者かが立っている。
おそらく名雪なのだろうが、どう見てもヤツにしか見えない。
俺の期待を嫌な方向で裏切らずに具体化している。
「…どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
俺は頭を抱えながら思った。
夢なら早く覚めてくれ、と…。
「もぐもぐ…」
目の前のヤツ…いや、名雪は当たり前のように朝飯を食べている。
「……」
秋子さんが何事もなかったかのように「名雪」と呼んだのを俺は聞いた。
#…アレだな。SSと言えるかわからんようなブツだ。
そのままドラスレに投稿したれ。
ロボットじゃなくてメイドロボがいい。道具出さなくてもいいから思う存分やらせてくれと。
ふと思ったんだが、思春期になったのび太は
どらえもんが邪魔にならなかったのだろうか?
邪険にするよりも、同情を買って助兵衛な道具出してもらう方が効率的だ。
もまいらは心が汚れきっている
ピュアなあのころにもどってくれ
163 :
山崎渉:03/01/17 00:07 ID:wQSLQnEa
(^^)
SSを書いた。
貼ってみた。
反応がない。
悲しかった。
待つことにした。
一日待った。
変わらなかった。
二日待った。
書き込みがあった。
嬉しかった。
「保守」と書いてあった。
悲しかった。
三日待った。
変わらなかった。
四日待った。
変わらなかった。
五日待った。
書き込みがあった。
嬉しかった。
「保守」と書いてあった。
嬉しかった。
六日待った。
変わらなかった。
七日待った。
スレが落ちた。
少し泣いた。
(つД`)
ワラタよ。
現実として身に降りかかったら、さすがに笑えんが。
「くそっ、緒方英二のヤツ!」
ガンッ!
男は叩き付けるように言って、実際に自動販売機を右の拳で殴りつけて
いた。
この緒方と同じ歳ぐらいの青年もまた、主題歌問題に翻弄される劇場版
『デスゲーム』の企画チームの1人だった。
もっとも、組織の中ではまだまだ下っ端に近い。
だからこそ、なお緒方の態度は気に入らなかったのかも知れない。
「スタッフだって……アレだけ一生懸命やってきたのに……くそ、あんな
1人の男の為に全て台無しにされちまうのかよ!」
さんざ毒つくと、急に倦怠感が襲ってきた。無理もない、ここ数日、そ
の件で首都圏、大阪圏、そしてここ隆山を奔走しているのだ。
遂に立っていられなくなってしまい、先ほど殴りつけた自販機にもたれ
かかる。
ふぅ、息をつく。そのままアスファルトの上に、構わず、腰を下ろした。
しばらく、その場に佇む……
「…………」
不意に、聞こえてきた声。それは……
「♪」
日本語ではない? 理解できない言語の、しかしそれでも人を引き付け
るような、そしてどこか物悲しさを感じさせる、歌。
「?」
青年は立ち上がって、声のする方を見た。
「…………あれ?」
妙な感覚、疲労のせいだろうか? そこにいた歌の主が一瞬、像がダブ
って見えた。大人の、痩躯の美女が立っていたようにも見えたが、実際に
立っていたのは少女が1人だけだった。
「君……」
はっと我に返ったかと思うと、その少女に声をかけていた。
168 :
167:03/01/18 01:56 ID:JtqzKgUL
「え……?」
少女が、驚いて青年を見る。
「きゃっ」
そう言って、少女は顔を真っ赤にした。
そして、おずおずと照れくさそうに青年を見上げる。
「聞いてました……今の?」
「あ、ああ……すごい……綺麗な歌声だな、と」
「え〜、そ、それほどでもないですよ」
青年は掛け値無しに言ったが、少女は苦笑して否定した。
「いや、ホントだよ……プロの歌手かと思った」
「それは言い過ぎですよ、あ、でも……」
言いかけて、少女は何かを思い出したような仕種をした。
「歌のせいかも」
「歌?」
少女の言葉に、思わず青年は聞き返す。
「雨月山の鬼伝説、御存知ですか?」
少女が聞いてくる。青年は迷わず肯定した。
「もちろんだよ、このあたりじゃ有名な言い伝えだからね」
「その……鬼の娘が、人間の男の人を好きになってしまったんです、禁忌
の恋と知ってて……その鬼の娘が、自分の悲恋を歌った歌なんです」
少女は説明して、なぜか寂しげに苦笑した。
「種族の壁に阻まれた恋なんだ?」
「はい、でも、それだけじゃなかった……」
「それだけじゃなかった?」
青年が聞き返す。いつしか、少女の口元から笑みが消えていたのを、青
年は気がついていなかった。
「相手の男の人は、歌い手の姉の事を想っていたから……」
169 :
168:03/01/18 02:01 ID:JtqzKgUL
「そうなんだ……」
人の言葉ではない、物悲しい歌。
これ程心を揺さぶられる歌なら……いや待て、彼女は素人だ……それに、
すこしテーマもズレてしまう……だが……
「お嬢ちゃんッ」
青年は、とりあえず行動する事にした。
「名前、教えてくれない? あと、ど、何処に住んでるの?」
「え? え?」
突然の青年の行動に、少女は目を円くする。
「い、いや、ボクは別に怪しいものじゃないんだ、あ、こ、これ、名刺なんだけど……
170 :
169:03/01/18 02:04 ID:JtqzKgUL
差し出された名刺を見ると、少女はまた苦笑して、言う。
「あの、うちの旅館でロケしてた……」
「そうそう……」
と、一度は肯定しかけた青年だったが、
「え? うちって……」
不意に気がつき、少女を指差してしまう。
「まさか、柏木会長の……」
「妹です、初音って言います」
>>139 とりあえずここまで書いてやった。
後なんとかしろ。
>164
少し切なくなったよ(´ー`)
まだだ、まだ落ちんよッ!!
175 :
164:03/01/22 01:11 ID:whpBCMGJ
あ、半分以上は実話だから…
ま、自然淘汰が2chの掟ではある
「はぁ〜」
建物の3階に位置する部屋の窓から、どう見てもくたびれたサラリーマ
ン警官、といった感じの中年男が、禁煙パイプをくわえながら外を見てい
た。
ガチャ、バタン……ドアが開かれ、1人の女性が室内に入ってくる。若
く見えるが、大体30中頃と言った所か。
「いよいよ今日でしたね、新型の搬入日」
「ああ、小坂さん……ええ、何事も無事に終わればいいんですけど……」
入ってきた女性の方、小坂由起子に声をかけられ、ぼーっとしていた中
年男の方、長瀬源三郎は振り向き、応えた。
その直後、開け放たれていた窓から、車が加速して行く音が聞こえた。
「本庁の連絡車ですね、こんな所まで来るなんて珍しい」
由起子が言う。すると源三郎が、めんどくさそうに立ち上がった。
「どうやら人間の方が先に到着したみたいだな」
ボーゼン
その場に降り立った人間は、まさにそんな状態で立ち尽くしていた。
やがて、その中の1人の青年がぼそぼそと言いはじめた。
「……オレこんなのビデオの映画で見た事ある、零戦なんとか一家とか…
…男ばっかりで酒飲んで博打やって殴り合って仲直りして……そんな恥ず
かしいヤツ」
「それは軍隊じゃない……」
一緒に突っ立っていた女性の1人が、少し呆れた口調でそう返した。す
ると、青年の方も言い返す。
「階級があって鉄砲が持ってて、何が違うってんだよ」
「少なくとも都内の光景には見えないよなぁ……」
別の、一番背の高い青年がそう呟いた。
「逃げ出すんなら今のうちだと思わないか?」
先ほどの青年が冗談半分、しかし残り半分は確実に本気でそう言った。
「逃げ出したいならそれでもいいわよ、脱走者として私が制裁してあげる
から」
と、女性が物騒なセリフをさらりと言う。
「それじゃ軍隊ですよ……」
それまで黙っていた、さらにもう1人の小柄な青年が、呻くようにそう
いった。
「はーいはい、ようこそ特車二課分署へ。全員辞令をもって隊長室に集合
ぉ〜」
と、窓からメガホンで、源三郎が怒鳴る。
「ほーら、見つかっちゃったじゃないか」
言いつつ、青年達は荷物をもって、建物の方へと走り出す。
「それにしても、5人じゃ欠員が出てるじゃないですか、大丈夫なんですか?」
由起子が源三郎に聞き、源三郎は何が嬉しいんだか笑いながら答える。
「なに、いざとなったら私も入れれば6人だ、なんとかなりますよ」
「……カミカゼ管理職ですね」
由起子が呆れたように言うと、源三郎は悪戯っぽくウィンクして、
「それはお互い様でしょ」
と言ってから、軽く一息つく。
「だいたい、まだ本庁のリーフ搭乗車要請の体勢ができてないだから……
5人確保できただけでも……あれ?」
そこまで言って、源三郎はある事に気が付いたように、再び窓の外を覗
き込む。
「ひとり足りないな……?」
そう呟いた時、今度は外から、軽い音質の爆音が聞こえてきた。
バォーンッ!!
「うわっとと」
正門から建物の入り口へと至る通路を、歩いていた青年達が、背後から
の爆音に驚いて飛び退く。そこを、250ccか400ccぐらいの大形スクーター
が走り抜け……たかと思うと、すぐ前方で、ターンしながら停まった。
ヘルメットを脱いだのは、少女と見紛うばかりの小柄な女性。
「葵ちゃん!?」
と、先ほど悪態をついていた青年が驚いたように言った。
「おひさしぶりです、先輩!」
葵と呼ばれた小柄な女性が、青年に対して答える。
「久しぶりはいいけど、こんな所でなにやってんの?」
「貴方みたいなカワイイ子が、こんな所にいると、変なお兄さん達に食べ
られちゃうわよ?」
青年の言葉に割り込むようにして、一緒にいた女性が苦笑しながら言っ
た。青年は、どう言う意味だよ、と視線で返すが、女性には堪えていない。
すると、葵は直立不動で敬礼して、
「申告します、松原葵は、本日付けで特車二課第2小隊に配属になりまし
た!」
そう言ってから、今度は深々と頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「では、まず配置を発表する」
隊長室に、直立不動の1列横隊で並んだ隊員に、源三郎がメモ書きのようなものをみながら言う。
「特車221、フォワード、松原葵。指揮車、藤田浩之。特車222、フォワード、太田香奈子。指揮車、長瀬祐介。電源クルー、柏木耕一。以上」
一気に言い終えて、それだけで疲れたと言う表情で、源三郎は軽くため息を付いてから、
「さて、これよりメーカーより新型リーフの受領ならびに初期設定を行うわけだが……」
と、濁すようにしてとこで言葉を止めた。
その時、窓の外から、
「班長ぉ〜」
という、繁夫の声が聞こえてきた。
「まだもう少しかかるようですから、とりあえず先にお昼にしてくれや」
181 :
ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI :03/01/26 08:37 ID:XtaecPG0
l、、_ _,/'}
|ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
/_,,,.. ..,,,_.`v_'`、
/: ━ ━ | ニ_} / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:: ∈∋ ヽ | < まったく糞の役にも立たない人たちですね(怒)
//:: -=,=.ヮ. |ヽ、| \________
/'../:: /∠.._ |、.ノ この素晴らしき番組を見て
/':::|:::  ̄ ̄ |./ 少しは社会に貢献しなさい(怒)
!-'L|::. v' ===放送日程===
. ヾ:::.. / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
. , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
'ー┐,,..、_ ノ l_,,,...、 _,,一`大阪 テレビ大阪 (日)9:30〜10:00
~ ~ ~ 福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:
http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50
182 :
ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI :03/01/26 08:38 ID:XtaecPG0
l、、_ _,/'}
|ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
/_,,,.. ..,,,_.`v_'`、
/: ━ ━ | ニ_} / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:: ∈∋ ヽ | < まったく糞の役にも立たない人たちですね(怒)
//:: -=,=.ヮ. |ヽ、| \________
/'../:: /∠.._ |、.ノ この素晴らしき番組を見て
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!-'L|::. v' ===放送日程===
. ヾ:::.. / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
. , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
'ー┐,,..、_ ノ l_,,,...、 _,,一`大阪 テレビ大阪 (日)9:30〜10:00
~ ~ ~ 福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:
http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50
「保守」と書いてあった。
悲しかった。
艦長日誌、宇宙暦5427・10・3。
この宙域に入ってから、出会う船全てに同じ警告を受ける。
とある種族に気をつけろ、死の箱舟を見たら逃げろ、と。
デルタ宇宙域へと飛ばされた連邦宇宙艦ヴォイジャーは、遥か3万光年彼方の
故郷に向け、旅を続ける。
「艦長、救難信号を受信しました」
事の起こりは、ハリー・キムの報告だった。
「何処から?」
艦長席のジェインウェイが振り返り、聞く。
「左舷0,8光年です。信号は数秒で消えました」
「該当空域に停泊中の船を確認」
即座にセンサーを操作したトゥヴォックの補足が入る。
「通信を」
「了解。……応答がありました」
相手の反応まで、数秒の間がある。
「スクリーンに。こちら連邦宇宙艦ヴォイジャー。救難信号を受信しました。
何かトラブルでも?」
ジェインウェイの呼びかけから更に数秒後、前面スクリーンに相手の姿が映った。
眼鏡をかけた若い女性。おそらく20歳前後だろう。
『こちら宇宙船エディフェル。信号はこちらのミスです。お気になさらないで下さい』
「とてもそうは見えないけど?」
怪我は確認できないが、女性の顔は煤けて酷い有様だ。背後に見える船内も、
煙が立ち込めている。
『いえ、トラブルがあるのは確かですが、迷惑をかける訳には』
船舶間の通信に不慣れなのか、どうも要領を得ない。
「困った者を助けるのは宇宙の大原則よ。迷惑だなんて思わないわ。船長と
話が出来る?」
『船長は、その……』
『大丈夫です、由美子さん。話くらいなら出来ます』
画面の向こうで、女性の横から声がする。
そして画面が切り替わると、別の女性の姿が映った。
先の女性より更に若い、というより幼い。イチェブより年下に見える。
こちらは明らかに負傷しており、粗末な治療しか施されず、半ば寝るように
座席に収まっている。
『私がエディフェルの艦長、柏木楓です』
怪我を負いながらも、少女は意外と平静な、無機的な口調で名乗る。
その痛々しい姿に、ジェインウェイは思わず隣の副長席のチャコティと顔を
見合わせる。
『現在私達は危険な状態にあります。救援はとても欲しいですが、私達の船は
少し特殊な事情があります。それを知ったなら助けて貰えないでしょう』
「一体どんな事情が?」
『センサーの反応を偽装していますが、このエディフェルはヨークです』
か弱い少女は、この宙域で最も恐れられる名を語る。
命を狩る種族エルクゥの、死の箱舟の名を。
ジェインウェイは再び、チャコティと顔を見合わせた。
リニュ痕の山神シナリオをやって思いついたネタの、冒頭部分でつ。
知る人ぞ知る米TVドラマ、スタートレック・ヴォイジャーの1エピソードとして
考えますた。
一部で不評の山神シナリオの続きで、マイナー番組のキャラはレギュラー総登場
なのに、葉鍵キャラは終盤まで3人しか出ないという凄まじさ。
まともなスレッドには投入不可能。
それ以前に話も子ネタなのに長く複雑で、漏れの構成力ではたぶん完成不能な罠。
一応この後、セブンによるトレック世界でのエルクゥの解説、生きた宇宙船ヨーク
に興奮するヴォイジャークルー、楓の治療をするドクター、トゥヴォック恋の悩み相談、
柳川とセブンの罪の償いについての会話、エルクゥのヨーク襲来、と続く予定ですた。
判る人だけ判れ。
むしろ出来たらここに落として欲しい。
そう思うのは俺だけだろうか…
下に同じ…。
作者本人は未練を断ち切るつもりで
墓場に投棄してるのかも知れないし
死体に「起きあがれ」と言うのも酷な話だ
お墓参りみたいなものさ。
今は亡き死者に思いを馳せ、死者は空からその想いを見届ける。
今から投稿します。結構長いっす。15レスくらい。
エロ・グロはありません。
『雪の中』
一
日常が繰り返されていた。真琴がものみの丘で消えた後の水瀬家は、最初こそ暗い
空気を纏っていたが、もとの明るさに戻るのにそれほど長い時間は要さなかった。
オレ達は、確かに真琴を失った。だが、オレたちの家族として一緒に暮らした時間まで
が失われるわけではない。
心に残る暖かい記憶が真琴を失った悲しみを優しく包んでくれていた。人は、それを
現実逃避というかもしれない。死を真っ向から受け止めていない、となじるかもしれない。
真の強さを手に入れるために、正面から向き合う必要がある、と偉ぶるかもしれない。
だがそんなことはどうでもいい。オレたちは真琴のいたずらを冗談のネタにできるほど
になっていた。そして、そんな雰囲気に満足していた。あるのかどうかすらよく分から
ない「真の強さ」なるものよりも、毎日を楽しく過ごせるほうがよっぽど重要だ。
強い人間にも弱い人間にも、平等に「毎日」は訪れるのだ。楽しく過ごせるなら、
そちらのがいいに決まっている。
いつか、オレたちの対応が間違っていた、と気付くときがくるかもしれない。その
ときは、それを謙虚に受け止め、対処していこう。出来そこないの哲学者みたく、眉間
に皺を寄せて、難しいことを考える必要はないのだ。
オレたちは満足している。名雪がいて、秋子さんがいて、香里や北川がいて、互いに
支えあい補い合っている。オレたちは一人ではなく、みんなで生きているのだ。
ああ、そういえば水瀬家の平和に一躍買ったぴろのことも忘れるわけにはいかない。
真琴がいなくなってからしばらくの間、ぴろは消息不明だった。真琴と一緒に消えて
しまったのか、と思ったが、何日かしてひょっこり戻ってきた。学校帰りのオレと
名雪を迎えるように、玄関先で日向ぼっこをしていたのだ。
名雪が喜んだのは言うまでもない。ねこーねこー、と何かに取り憑かれたように
にじり寄るのを防ぐのが大変だった。
結局ピロは水瀬家に居着くことになった。こんな小さな命を寒空の下に放り出すわけ
にもいかないし、なにより真琴の忘れ形見だ。邪険にすることもできない。名雪のアレルギーが心配だったが、ぴろは目の色を変えた名雪に、心なしか恐れを抱いているよう
だった。ぴろのほうから近づくことはないだろう。あとは名雪に近づかないよう言って
おきさえすればよかった。
ただ、アレルギーは猫の毛でも発生するため、掃除だけは入念に行わなければならない。
とはいっても、ぴろがいるのは一階のリビングが中心で、それほどの手間というわけで
はなかった。
二
ぴろが水瀬家の一員となってから、雰囲気は爆発的に改善した。小動物と触れ合う
ことによって、心を安らかにするアニマルセラピーというものがあるそうだが、まさしく、
そんな感じだった。
ぴろは、基本的にはリビングの暖かいところを根城にしていた。ヒーターの近くと、
昼間だったらガラス窓のそばで、ひがなごろごろしていた。たまに外に遊びにいく、
かと思えばすぐに帰ってくる。
勝手気ままな生活だったが、食事だけはオレたちと一緒だ。朝と昼は秋子さんが用意
し、夜はオレがあげることにしている。といってもドライタイプのキャットフードだから、
手間はかからない。
ただ、気になるのは、秋子さんには擦り寄ってご飯をねだるのに対し、夜はお気に
入りのヒーターの前から動こうとせず、にゃーと不機嫌に鳴いてオレを急かすことだ。
なんだか舐められているような気がする。ぴろのなかでの序列では、秋子さんしか上に
いないのだろう。オレは名目上飼い主だが実質的に召使みたいなものだ。
だが、それも当然である。躾を施したのはすべて秋子さんだし、オレは学校があって
あまり面倒を見れてやれない。大体オレ自身、秋子さんには頭が上がらないのだ。
そんな様子を見れば、ネコだってオレを舐めるだろう。
そんなこんなで、ぴろは家族の一員として確固たる地位を築き上げていた。
三
ある日、この街に雪が降った。どか雪だった。いくら北の街とはいえ、山脈と太平洋
に囲まれたここでは、それほど積もることはない。せいぜい膝下くらいだ。それも一冬
に一回か二回程度。山脈が気流を変え、雪は全て隣の県に降り積もるのだ。隣のY県
にはご愁傷様というしかない。
もちろん、いいことばかりではない。乾燥した空っ風が季節を選ばず山を吹き降ろ
してくるのだ。これは非常にこたえる。夏は涼しくていいのだが、冬は骨身に染みる。
身体の芯まで凍り付いてしまいそうだ。
その日の雪は、例年とは違っていた。昼過ぎから降り始めた雪は、翌朝には二階付近
まで埋めてしまうほどだった。もちろん玄関の扉は開かない。二階のベランダが出入口
になった。
十年に一回ほど、こういうことがあるそうで、話には聞いていたが、オレが直接体験
するのは初めてだった。朝、カーテンを開けたら、目の前が真っ白な海になっており、
本来二階建ての建物が一階建てになって、屋形船のごとく漂っていた。しかも雪は弱い
ながらもまだ降っている。夜までにはどれくらいになるだろうか。
オレはわくわくした。そりゃそうだろう。窓から出てスキーで登校なんて、これ
までは想像上のことでしかなかったが、それが現実となったのだ。
だが、そんなに甘くなかった。いつも通り名雪を起こして、うきうきしながら
リビングに下りていくと、秋子さんが早速言った。
「今日は学校もお休みですね」
オレのわくわくはあっさり打ち砕かれた。なんでですか、と尋ねるオレに答えて
「だって、雪下ろししなければいけませんからね」
そうなのだ。この街は北国とは言え、あまり雪の降らない地域。窓は二重になっては
いるが、屋根の構造は、関東以南とまったく同じ造りになっている。つまり、これほど
の雪が積もることを想定していないのだ。脆い屋根なら崩壊しかねない。
事実、テレビでは雪がもたらした混乱が、延々と流されている。「今日の占い」や
芸能人裏情報なども全てカットされ、今回の寒波の被害を放送していた。
既に公共交通機関は麻痺。教育施設は私立・公立問わず全て休校。企業もまともに
動いていないそうだ。当然受験も中止。幸いここは大丈夫だったが、水道管が破裂した
地域もあったようだ。また、雪で潰れた家屋が五軒あると聞いて、オレは肝を冷やした。
今は小降りだが、午後から再び強くなる見込みらしい。
ふと見ると、ぴろはのんびりと湯気の立つミルクを舐めていた。
雪下ろしはオレと、いつにもましてゆっくり起きてきた名雪の仕事となった。文句の
一つもいいたいが、住む家がなくなり、こんな寒空の下に放り出されるのは困る。
数時間で骨までカチカチに凍りつくに違いない。そんなのは勘弁願いたい。
今のオレたちの姿は、まるでダルマのようだった。何重にも服を重ね、上にスキー
ウェアを着ている。耳あてをした上にフードを被り、同じくスキーのゴーグル、手袋を
つけている。ちなみに手袋と靴下は二枚重ねだ。幾つものホカロンを装備するのは基本だ。
こうしてぶくぶくになったオレと名雪は、ベランダから梯子で上がり、作業を開始
した。仕事内容は二つ。雪下ろしとつららの除去だ。つららは余りに大きくなると、
窓を突き破ることがある。そのため、できるだけ除去しなければならないのだ。
オレたちはスコップで雪下ろしをした。すくっては投げ、すくっては投げ・・・・・・。
慣れない仕事に自然と言葉も少なくなった。せいぜい「あっちお願い」「うん」
「こっち終わったから手伝うよ」「サンキュ」程度だ。
ふと周りを見渡すと、あちこちの屋根に、オレたちと同じような丸い人たちが雪下
ろしをしていた。その影の一つに、なんとなく手を振ってみた。しばらくは何事も
起こらなかったが、少しすると幾つかの影から、手が振り返されたのが分かった。
こんなときだが、なんとなく楽しくなった。
実際は一時間足らずだったが、もっと長い間、作業は続いたと思った。いくら
スコップを振るっても寒いままなのがこたえた。なんとか終わらせ、着替えた後
リビングで熱いコーヒーを飲んで身体を温める。最初は手がかじかんでいたが、
カップから伝わる熱さで、すぐに元通りになった。
ぴろはヒーターの前で眠っていた。のんきなものだ。
「困ったわ・・・・・・」
言葉の通りあらあらという顔をして、秋子さんがリビングにやって来た。お茶受けの
ビスケットを手にしていた。
「どうしたんですか?」
「いえ、たいしたことではないんですが、今電話で確認したところ、商店街もコンビニ
も今日はお休みらしいんです」
オレは不安そうな表情だったのだろう。慌てて付け加えた。
「まだうちには食べるものがありますから平気ですよ」
そういってにっこりと微笑んだ。
なんとなく心の中にむくむくと黒い雲が沸き立ってきた。今は大丈夫。それは間違い
ないだろう。だが、この雪がずっと降り続いたら? 水瀬家の冷蔵庫の大きさなど、
たかが知れている。干し物や缶詰がどれだけあるか分からないが、早晩食べ尽くすに
違いない。
また、今は問題ないが、水道・ガス・電気が駄目になったら? オレたちは薄暗い家
の中で抱き合いながら凍えるのだろう。なんだか悲観的になっているようだ。オレの
考えを読み取ったかのように、
「大丈夫ですよ。こういう大雪は長続きしませんから」
と言った。
「そうだよ〜」
と、お気楽な名雪。大体二三日、長くても四五日程度で収まるらしい。オレは無理矢理
不安を押し殺すことにした。
ふと脇に目をやると、名雪が甘いビスケットにさらにイチゴジャムをつけて頬張って
いる。その姿からは危機感の欠片も見えない。
やれやれ、とオレはため息をついた。
その日は何事もなく過ぎていった。今のところ電気もガスも水道も食料も問題ない。
何の心配もいらないのだ。
ただ唯一の問題点といえば、退屈なことだった。普段は学校に行って、決められた
スケジュールに従っているため、今回のような急な休みのときには何をしていいか
分からないのだ。家から出ることさえ出来れば、いろいろと時間も潰せようが、降り
込められた状態ではそれも叶わぬ望みだ。
じゃあ、本でも、と思うが、本棚にあるのは読み終えた推理小説だけ。タネの
分かったミステリを読み返す気にもなれない。雑誌も同様だ。
かといって、部屋で勉強を・・・・・・などという気分にはなれない。なんとなくお祭り
気分になってしまい、ゆっくり机に向かう気にもならない。と、これは勉強をしたく
ない言い訳かもしれないな。本来は一年後に受験を向かえるため、そろそろ準備しな
ければいけないのだが・・・・・・。
結局、オレはボケッとリビングでテレビを見ることにした。ニュースは、この大雪の
ことを大々的に取り扱っているが、他の番組を占拠するほどではない。こうしてその日
の午後はワイドショーとドラマの再放送で時間を潰すことになった。
名雪は退屈を持て余したのだろう。オレの隣ですやすやと眠っていた。いや、名雪の
場合、退屈じゃなくてもよく寝ているが。
夕食の準備はいつも通り名雪が手伝った。冷蔵庫や冷凍庫をパタパタ開けて、食材を
出していく。オレよりもよっぽど役に立つ。
夕食の食卓は、普段と変わらなかった。実際はいろいろやりくりしたのだろうが、
そんな苦労を見せない出来栄えだった。
その後、北川と香里から電話がかかってきて、互いの無事を確認した。
四
翌日も、家から出ることができなかった。この日は大して面白いことはなかった。
廊下の奥の物置から缶詰を運び出しただけだ。それ以外は昨日と同じく、雪が小降りに
なったときに雪下ろしをし、あとはテレビを見たり、トランプをしたりして時間を潰
した。
名雪と秋子さんが夕食の準備をしているとき、ちょっと悪戯心を出して、ぴろの
尻尾を引っ張ったら、思いっきり引っかかれた。手の甲から血が垂れた。
騒ぎに気付いた名雪が救急箱を持ってきて、治療を手伝ってくれた。といっても、
消毒してガーゼを当てただけだが。
オレはぴろをメッと叱ったが、ぴろはどこ吹く風と、お気に入りのところで丸くなり、
小馬鹿にしたように尻尾をふりふり動かしていた。
夕食は・・・・・・食材の買出しがなかったにも関わらず、いつもと同じだった。秋子さんの
腕に、改めて感服した。しかし、秋子さんが言うには、今日で肉類を使い切ったらしい。
明日からは卵と魚になるとのことだ。野菜は冷凍野菜と根菜類が中心だ。これは昨日からのことで、
葉っぱ系は痛むのが早いから仕方ない。
もう一つ、食材に関連しているが、不覚にもぴろのエサたるキャットフードも底を
ついたらしい。翌日からはネコまんま。ツナ缶でもいいのだろうが、あまり甘やか
すわけにはいかない。オレ様を引っ掻いた罰だ。ざまあみろ。
それからさらに二日。オレたちは、この家に閉じ込められたままだった。狭い空間
での生活にも慣れてきて、改めて人間の適応能力を確認した。少々息が詰まるが、どうって
ことない。前日までと同様、雪が弱まったときに雪下ろしをし、あとはみんなで過ごした。
その日は、先日録画しておいたビデオを見ることにした。『霧超館殺人事件』という
作品だ。推理小説大賞受賞作の映像化ということで、当時はそれなりに期待されたものだ。
ストーリーは奇しくも、吹雪で霧超館に閉じ込められた一行の中に殺人事件が起きる、
という昔ながらの展開だ。
確か、そのときは裏番組の動物ものを見ていたはずで、これを見るのはオレも初めてだった。
オレは原作も読んでいるが・・・・・・なんだこりゃ? シーンのカットは仕方ないとしよう。四百頁を超える小説を二時間でまとめるのだ。しかし、問題は、とある女性キャラを
演じている役者だ。下手すぎ。最近売り出し中の新人タレントらしいが、こいつが
しゃべると折角の神秘的な雰囲気が台無しになる。端役でよかった、と思った。
ストーリーはつつがなく進行し、オレ達は楽しんで観ることができた。トリックを変え
られたら困るが、そんなことはなさそうだった。名雪も途中で寝てしまうこともなく、所
々で自らの推理を披露して見せた。
「だからね、○○が×××××だから☆☆が犯人だと思うんだよ。・・・・・・あってる?
祐一」
「さあな」
オレはそっけなく、でもニヤニヤして名雪の意見を受け流した。いくら原作を読んで
いるからといって、話の途中で正解をバラすわけにもいかない。
ちなみに名雪の推理は、オレも原作を読んでいるときに思ったものだった。当然正解は
違う。この作者のトリックは当たり前に考えていては絶対に分からないのだ。何冊か
読んだだけだが、見事に心理の盲点をついている。
まぁ、そんなこんなで夕方にはビデオも終わった。トリックに釈然としないのか名雪は
う〜と唸っていた。いや、自分の推理がことごとく的外れなのが悔しいのかもしれない。
それにしても、雪に閉じ込められたとはいえ、みんなまったく普通だ。ビデオみたいに
互いが疑心暗鬼になったり、殺人事件が起こったり、という雰囲気すらまったくない。
もちろん、心の中まで読めるわけではないから、確かなことはいえないが、少なくとも
水瀬家は大丈夫だ。
電話で話をする限り美坂家も問題ないらしい。栞の薬も問題ないそうだ。この時期
では降り込められることも考えて、多めにもらって来ているらしい。ただ、北川家は
違った。共働きの北川家では食料の備蓄が少なく、早々に底をついてしまったのだ。
話を聞くと、商店街は昨日から動きだしているらしく、この雪のなか、北川が買い出し
に行ったらしい。勿論完全装備、スキー着用だ。雪もあまり降ってなかったから、
遭難することもなかったらしい。
五
翌日。この日は降り込められた最終日となった。朝の天気予報によると、夜半には
雪も上がり、雲も晴れ、星が顔を見せるという。いくら慣れたとはいえ、久々に外の
空気も吸いたい。
とは言っても、雪は未だに降りつづけている。止むまで外に出れないのは、昨日まで
と同じだ。今ひとつ、実感がなかった。
みんなとの昼メシをのんびり食べる。ピザトーストと温野菜のサラダ。ぴろもネコ
マンマに慣れてきたようだった。
だが、午後から空が明るくなってきた。明日は学校・・・・・・ということは宿題か!?
宿題は生物と世界史、英文法で出ていた。明日は世界史はないが、後の二つは午後に
ある。午前中だったら、雪かきで・・・・・・とか言って遅刻することもできるだろうが、
午後だと、そういう言い訳も通用しそうもない。
オレと名雪は、その後一緒に宿題に取り組むことにした。場所は名雪の部屋のおこた
だ。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
静かだ。二階ではコトリとも音がしない。気付くとオレのシャーペンの動きも
止まっている。名雪は……言うまでもない。
いかん。ここ何日かまともに勉強してないせいか、教科書に向かうのが苦痛だ。しかも
昼メシ後ということもあり、血液が胃に向かっている。意識が混濁してきた。
結局、名雪を叩き起こし、宿題を片付ける……つもりが、どうでもいい雑談に華を
咲かせてしまった。今更ながら思う。二人で一緒に勉強すれば、半分で終わるというの
は絶対に嘘だ。分担すれば半分だろうが、そこには雑談の時間が考慮されていない。
しかもオレたちの場合、名雪が居眠りするというリスクもある。
さすがのオレ達もそれに気付き遅まきながら取り掛かる。が、名雪は目を離すと
直ぐに船を漕ぎ始める。額をシャーペンで突っついて起こすものの、その効果は短時間だ。このままじゃ埒があかない。
眠気覚ましのコーヒーを淹れに階下に下りたとき、秋子さんは台所にいた。覗いてみると、
なにやら大仕事をしていたらしい。生臭い匂いが台所に立ち込めていた。換気扇がフル
稼働している。コンロの上には大きな鍋が小さな蒸気を吹き上げていた。
「秋子さん、なにか手伝いましょうか?」
「あら、祐一さん。大丈夫ですよ。晩御飯の仕込みはもう終わりましたから、あとは
これを片付けるだけです」
と言って、厳重に封された黒いビニールのごみ袋を勝手口の前に持っていった。
「なんか変な匂いがしますけど・・・・・・」
「ちょっと食材を腐らせてしまって・・・・・・。ここは寒いから大丈夫だろう、と思って油断
してしまいました。・・・・・・それより宿題は終わりましたか?」
「それが・・・・・・名雪が眠ってしまいそうで・・・・・・それで眠気覚ましにコーヒーでも、と」
「それじゃあ、私が用意しますから、祐一さんは名雪を呼んできてください。一緒にお茶
にしましょう」
「分かりました」
オレはそう応えて、名雪を呼びにいった。夢の世界に旅立つ寸前だった名雪をなんとか
こちらの世界に呼び戻し、リビングでお茶にした。
お茶の片づけも秋子さんがやってくれた。オレが手伝いを申し出たが、すげなく
断られた。宿題が残ってるんじゃありませんか、との言葉に頷くしかなかったが、
なんとなく秋子さんの態度が不審に思えた。
(疲れているのかな・・・・・・)
もう閉じ込められて五日。表面上はいつもと変わらずニコニコしているが、精神的に
参っているのだろうか。残り少ない食材をやりくりしなければならないし、年長者として、
状況に動揺するわけにもいかない。心労も溜まるというものだ。
結局、宿題が終わったのは夕食の直前だった。
その日の夕食はシチューだった。香草をきかして肉と野菜を煮込んである。台所で蒸気を
上げていた鍋の正体はこれだろう。
口に含むと、香草の複雑な香りと共に、なんともいえない臭みが鼻についた。これは
何の肉だろう。今まで食べた記憶がない。昔、家族で北海道旅行に行ったときに食べた
ジンギスカン(羊肉)とも違う。鉄っぽい味。
なんだか怪しい。
「これって、何の肉ですか?」
「ヤギ、ですよ」
「でも、肉類は全部食べ尽くしたんじゃ……」
「ええ、でも、冷凍庫の奥に残っていたんです」
名雪が顔を上げた。
「あれ、私が見たときは冷凍庫には、ホントに何もなかったけど……」
「うーん、見つけにくいところにあったから……」
名雪の顔にハテナマークが浮かんでいるが、すぐ消えた。何もなかったかのように
パクパクと食べている。オレは、ふと周りを見回した。いつもの位置にぴろがいない。
「そういえばぴろは? 晩メシ、まだあげてなかったと思うんですが」
「さっき、あげちゃいましたよ。どうもお腹が空き過ぎたらしくて。本当は甘やかし
ちゃいけないのだけど」
と、周りを見回し、小首を傾げた。
「変ねぇ。さっきまでそこにいたのだけど……」
まぁ、気まぐれなネコのことだ。雪が止んだ嬉しさに外に飛び出したのだろう。
その後他愛ない会話をし、晩メシはなごやかに終わった。
六
翌日、待望の太陽が顔を出した。雪が塵を綺麗にしてくれたため、空気が透明に感じる。
冷たいには冷たいのだが、それほど不快なものではなかった。精神的な開放感があった
ためかもしれない。
夜のうちに除雪車が通ったらしく、道路を埋め尽くした雪は端の方に集められていた。
高い壁となっているが、日常生活には問題なさそうだ。悔しいことに学校に行けてしまう。ニュースも公共交通機関、学校の再開を告げていた。
「あ、手伝いますよ」
秋子さんがごみ袋を出しているのを見てそう申し出た。秋子さんは両手に大きなごみ袋を
持っている。
「台所ですよね?」
と確認して、向かおうとしたが呼び止められた。
「じゃあ、こちらをお願いします」
手に持っていた袋をオレに手渡すと、ぱたぱたと台所に向かった。オレは、何とはな
しに違和感を感じながらも、外のゴミ回収所に捨てにいった。そこには既に燃えるゴミが
山のように積み上げられている。これじゃあ、ゴミ回収も一回で終わりそうもないなぁ、
などと考えながら、適当なところに積んだ。とりあえず道路にはみ出さなければいい
だろう。
手ぶらになって戻ってくると、玄関先で何やら黒い袋を抱えた秋子さんとすれ違った。
袋はそれほど大きくはないが、ガムテープで頑丈に封されている。オレが持っていき
ますよ、と言ったもののすげなく断られた。祐一さんは気にせず学校の準備をしてくだ
さい、とのこと。
雪に降り込められた日々が終わり、五日ぶりに学校が始まった。結局宿題は完成しな
かった人も多かったが、英文法の偏屈教師は別にして、世界史も生物もうるさく言わ
れることはなかった。家の手伝いでできなかった北川(明らかに言い訳だが)のような
生徒を考慮したためだ。
翌日からの好天で積もった雪はみるみる溶け、再開三日後には、名雪に言わせる
ところの「いつも通り」に戻った。寒すぎる反動で暖かくなり、バランスがとれるの
だろう。
こうして日常が再開した。ぴろが行方不明になったことを除いて。
<fin>
209 :
192:03/01/27 22:39 ID:Fo7NsVPa
>193-208
『雪の中』でした。
夏に書き始めて、結局放置してしまったSSです。久々に書いたら
文章力落ちてるし…。
100行くらいのショートショートのはずが、だらだらとした短編になって
しまいました。
一応完成したのですが、「動機」がさっぱり描けず、墓場での公開と
相成りました。
210 :
192:03/01/27 22:40 ID:Fo7NsVPa
三点リーダと・・・・を混在させてますが、お願いだから見逃して……。
>>192 死して屍拾う者なし
南無〜〜
もしかして、南の方に住んでる人かな?
212 :
192:03/01/27 23:18 ID:Fo7NsVPa
>211
一時期仙台に住んでいたんです。気候の描写はそれを元に、
大雪に関しては新潟出身の友人の話を元にしてます。
つららは動物のお医者さんです。雪下ろしはまったくいい加減ですが。
私は東京に住んでます。
オチに対して、前置き部分が冗長すぎるように感じますた。
ダークさを出したかったら、秋子さんがもっとピロをかわいがるところを強調するとか、
とにかく、ピロをもっと表に出せばよかったのではないかと。
とりあえず、お悔やみ申し上げます。
213に全くもって同意。
ぴろを前面に押し出さないと怖さが感じられない。。。
(・ワ・)
ぴろが怖くない