以下は余談。あの四つのシーンは何だろうかという疑問について。
とりあえず結論から言うと、あれはそらが神奈に出会えたことを意味すると思われる。
AIRは全編を通して主人公の視点から物語が展開するが、時折、
意味不明なシーンが混じることがある。
例えば、佳乃と結ばれた翌朝の夢。(SEEN504.TXT冒頭)
例えば、観鈴と結ばれた翌朝の夢。(SEEN301.TXT冒頭)
まるで誰か他人の、別の視点から観たような情景。
しかもこれは必ず、主人公こと国崎往人が、
羽根や翼人と関係するヒロインと心を通じ合わせた場合に見られるものだ。
(翼人と直接の関係がない美凪と結ばれても、このような情景は出てこない)
これらのシーンは何かといえば、羽根の記憶だ。
佳乃編では、神社に祀られていた羽根に記録されていた情景。
観鈴編では、そのまま神奈の記憶(夢)。
羽根の記憶は、どうやら心を通じ合わせることで共有することができるようだ。
現実にはありえないことだろう。
どんなに心を通じ合わせたところで、他人は他人。心の中まで見えはしない。
だが往人は裏葉の方術を引き継いでいる。
裏葉が囚われた神奈の夢を垣間見ることができた『霊寄せ(たまよせ)の術』、
柳也に対しては『術者が想い描いたままの影像を相手の心に映し出す術』。
裏葉の方術は記憶に干渉する類が多いが、それは方術が膨大な記憶の管理人である翼人から授かったものだからだろう。
それゆえか、方術(法術)使いと翼人(関係者)が出会うと、記憶の共有、または交換が可能になるのではないかと思われる。
そしてラストの四シーン。
二度あることは三度あるというわけで、このシーンもやはり『方術(法術)使い』と『翼人(関係者)』が出会った場面だ。
そして、あれがそらが飛び立った後であるという文脈を考えても、あれはそらと神奈が出会った場面に他ならない。