* 空想科学あさひたん * 《カードマスター編》 第二回
「……モ、……モモ、……モモッ!」
んん……ヘモヘモ?
「やっと起きよったか、毎度起こす方の身になってや」
「ん……ま、またパトロール(下見)に出かけるの?」
「最近派手に動きすぎたさかい、今日は待機や」
「ふーん、じゃ何しに……」
あれ、ヘモヘモの後ろに誰かいる……
「モモに新人を紹介しに来たんや」
え?新人?
「さ、挨拶しぃ」
「あの、あたし瑞希と言います。先輩、ふつつか者ですがよろしくお願いします!」
あ!この人!? どこかで会った事があるような……
うーーーん、どこだっけぇ? うーーーん
「眉八の字にして何悩んでるんや、モモ」
「え?あ、えと、その……う、ううん、何でもないよ」
見ると、その瑞希と名乗る女の子は、あたしと同じ例の派手なピンクの戦闘服に
身を包み、はにかみながら胸の前でステッキを揺らしていた。
でも、あたしの目はステッキより、むしろその後ろの立派な膨らみに釘付けになってしまった。
がーーーーーん!「お、大きい……」
それに……あたしより似合ってるかも……
「先輩!どうしたんですか?急に落ち込んで……」
「ヘモヘモ……、あ、あ、あたし……じ、自信なくなってきちゃった……」
「何ゆうとんねんモモ、瑞希はまだヒヨッ子や。実力じゃモモと比較にならん」
「じ、じゃあ、まだ大きくなるってことじゃ……」
「当たり前や、そうなってもらわんと困るわ」
「ううぅ……ぐすっ」
「あの〜失礼ですが、お二人話がかみ合って無いみたいなんですけど……」
「ま、とにかくや。よろしゅう頼むわ、新人の面倒しっかり見ったってや、モモ」
「う、うん。よ、よろしくね、瑞希ちゃん」
「はい、先輩!」
ヘモヘモの話によると、近頃この業界も競争が激しくなって
どうにも人手が足りないので、急遽スカウトしたらしい。
きっと、この人も強引に契約させられたんだろうな。
それにしても、いったいどういう基準で人選してるんだろ……?
「ねえ、ヘモヘモ……」
「んー?あーそれか。素人に専門的な話しても分らんやろけどなー、簡単に言えば相性やな」
「あいしょう?」
「そや」
「この戦闘服を身につける事ができるのは、ある特性を持った人間に限られるんや」
「とくせい?」
「これらの戦闘具は単なる道具やない。それぞれが自らの意思を持ってマスターと認めたモン
意外の命令には従わん呪的アイテムなんや」
「ま、ますたあ?」
「つまりなー、気に入られたちゅうこっちゃ、こいつらに」
ええーーーーっ!?
そんな理由で……あたし戦ってたの!がーーーん
「せやからな、扱う事のできるカードにも当然相性があってなー、上級精霊はそれなりに
えり好みが激しいねん」
「…………」
「その点モモは優秀やで、どういう訳かレアカードに好かれるタチみたいやし」
「ま、マニア好みってこと?……そ、それ、喜んでいいの……ぐす」
「でも、先輩凄いです!あたしなんてまだレアカード一枚しか使えないし……」
「み、瑞希ちゃんのレアカードって?」
「これです」
手渡されたカードには一本のバットが描かれていた。しかもよく見るとバットの周辺
には至る所に折れ曲がった釘が打ち付けてある。
「釘バットの精霊や……」
「くぎばっと?」
「見た目に騙されたらあかん!ごっつう恐ろしいカードやで」
「!?」
「上級精霊の中でもレア中のレア……正にその破壊力は全精霊トップクラスや。
せやけど今まで誰もこのカードを扱えたモンはおらん」
「な……、なんで……」
「……ゅう好きやねん」
「え?」
「巨乳好きやねん!横ポニテの!!」
がーーーーーーん!!
「あ、あ、あたしには……使え……な……い」
こうして新たなる同志を向かえる事となったモモ、地球の未来は君達の手に委ねられている!
戦えあさひたん!戦えカードマスターピーチ!!
(次回未定)