岡田「チッ…! 吉井は藤田君、松本は佐藤君にチョコ渡し…アイツラいつの間にか色気着きおってからに…!」
智子「………」
岡田「――別に、別に悔しくは無い。…悔しくなんかないわよ! 私はストイックな女なの! 思春期特有の
浮ついた気分なんか、そんな私に似合わないって事よ!」
智子「………」
岡田「大体何よ、ヴァレンタインって…? 全く、菓子メーカーの小賢しい企てに踊らされて、恥ずかしくないの
かしらねー。あげる方も見返りを期待してる感じで何かヤラシーし、貰う方も貰う方よ。…フン」
智子「……なに独りでボヤいとんねん…?」
岡田「別にどうでも――って、どあああああああっ!!!?? ななな何よあんた! いつからそこにっ…!?」
智子「岡田さんがここに来た時からおったわ。…というか、ここ屋上やで? 屋上部部長の私にそんな質問する
とはまたおかしな話やないか……――――ふわぁぁぁ〜〜(あくび」
岡田「……何よ、覇気の無い顔して…。いつもみたいなムッツリ不機嫌顔はどこ行ったのよ?」
智子「…疲れとんねん。こう見えてもやる事たくさんあるしな…――(眠たげに目を擦る」
岡田「………勉強とか?」
智子「ま……、そんな所や…。他の部員も来てへんし、一人でのんびり昼寝するのも、たまには悪ぅない…」
岡田「………。――保科智子」
智子「…? なに…? っ!?――――(ぱしん!…と、いきなり投げつけられた物を反射的に掴む」
岡田「…チョコよ。疲れてる時には甘い物でも食べなさい。美肌効果もあるし」
智子「………何やの…?」
岡田「うっさい! 黙って貰っとけ! 覇気の無いあんた相手じゃ、こっちの気も滅入って来るんだから!
じゃあね! あんま無理すんじゃないわよ!? 食事もちゃんと摂って、体調に気をつけるのよ!?
最近タチの悪い風邪も流行ってるし! 学校休んだりしたら……、とっ、とにかく駄目だからね!」
智子「…解った解った(微笑) 有難く貰っておくわ」
岡田「…フン!(耳まで真っ赤にしながら辞去」
智子「はは……、なんか、エライ奴からチョコ貰ってもうたわ。………つか、これ、手作りとちゃうんか?
誰に渡すつもりやったんやろな…。ま、ええか。…あぐ、ぱきっ―――――……ニガぁ…」