477 :
1/5:
浩之ちゃん・・・はぁ・・・はぁ・・・。ダメだ・・・、ダメだ。
なんで私ってばいつもこうなんだろう、はぁ・・・。
せっかくの修学旅行だってのにさ、はぁ・・・、こんな・・・、はぁ・・・、熱なんか出しちゃっ
て、はぁ・・・。
今頃、皆はさ、はぁ・・・、楽しく、部屋でゲームしたりさ、買い物したりさ、はぁ・・・、彼
氏いる子なんかはさ、はぁ・・・、2人でこっそり会ったりしてさ、はぁ・・・、キスなんかしち
ゃってたりするんだよねきっと、はぁ・・・。それに引き換え私は、はぁ・・・、こんな部屋にさ、
一人で閉じ込められてさ、布団に包まってさ、はぁ・・・、それに、はぁはぁ・・・言ってさ、や
んなっちゃよホント。
私だってさ、はぁ・・・。風邪なんかひかなかったらさ、はぁ・・・、浩之ちゃんと、あんなこと
やこんなこと、はぁ・・・、してさ、楽しむんだったのに。
はぁ・・・。それにしても・・・、浩之ちゃ〜ん、ってさっきから心の中で、はぁ・・・、呼び続け
てるのに、はぁ・・・、なんで全然来てくれない、はぁ・・・、の?はぁ・・・。
ん?ドア、開いた?はぁ・・・、だ、誰?浩之ちゃん・・・、かな?
「神岸さん、具合どうかしら?」
せ、先生だぁ・・・、はぁ・・・、がっくり・・・、で、でも、一人っきりよりかは、はぁ・・・、まし
だよね、はぁ・・・。
「辛そうね」
辛そうね?はぁ・・・、当たり前だよもう、あ、反応反応、はぁ・・・、首をくいっと、これでいい
んだよね、はぁ・・・。
「今日のうちに治れば、また明日皆と一緒に楽しく過ごせるから、頑張りなさい」
首をくいっと、はぁ・・・、もう、これ疲れるんだからね〜、当たり前なことばっか言わないで
よ先生、はぁ・・・。
「じゃあ、先生もういくよ。神岸さん、大人しくしてなきゃダメよ」
わかって、はぁ・・・、るってば、もう、さっさと行ってよ、先生が、はぁ・・・、早く行ってくれ
る呪文ってあったっけ?はぁ・・・、唱えなきゃ、・・・・・・、って、私は、はぁ、呪文なんか使えな
いんだった、はぁ・・・、使えるのはサリーちゃん、はぁ・・・、だった。
478 :
2/5:02/12/12 05:03 ID:F+/02J9P
先生が行っちゃったよ、さびしい、はぁ・・・、さっきまでは、ウンザリだったのに、はぁ・・・、
今では先生が、はぁ・・・、恋しい、愛しい、狂おしい、ABC、って、はぁ・・・何いってんだ私
は、はぁ・・・。
あれ?なんか、意識薄れてない?はぁ・・・、いや、さっきから薄れっぱなし、なんだけど、はぁ
・・・、今度のは、なんか、眠る前のような、はぁ・・・、あ、そうだ、やっぱり、はぁ・・・、そうだ、
眠る前な感じ、だ、ああ、うう、やっぱ、り、ほら、ほ、ら・・・。
浩之ちゃん、はぁ・・・はぁ・・・。ダメだ・・・、ダメだ。もうダメだよ、はぁ・・・、私。
「何がだめなんだよ」
「え・・・」
あ、ひ、浩之ちゃんだ、そうだ、はぁ・・・、この顔、一寸の狂いもなく、はぁ・・・、浩之ちゃん・
・・、だ。
「あかりさぁ、今からディズニーランド行かねえか?」
ディズニー?ランド?はぁ・・・、浩之ちゃん、北海道まで来といて、はぁ、なんでディズニーラ
ンドに、行かな、はぁ・・・、きゃ、いけないの、はぁ・・・。
「前、約束しただろ?2人で行こう、って」
したような、気もするね、はぁ・・・、で、でも、無理じゃ、ないのかな、はぁ・・・、その、ことを、
言わなきゃ、はぁ・・・。
「無理・・・だよ」
はぁ・・・はぁ・・・、一言漏らすだけで、はぁ・・・、こんなに疲れるとは、はぁ・・・。
「何が無理なんだよ。ほら、これ使えば大丈夫だろ」
え?何?それ・・・、あ、わかった、はぁ・・・、CMで、中居君が、はぁ・・・、ゴォォォって飛んでっ
ちゃう、アレだ、はぁ・・・、あのジェットだ、へぇ、浩之ちゃん買ったんだ、はぁ・・・、で、でも、
私はこんな状態、だから、はぁ・・・、やっぱり無理、じゃないかな、はぁ・・・。言わなきゃ・・・。
「無理・・・だよ」
「あん?無理?ったく、おめえみたいな奴はもう彼女じゃねえよ、幼馴染でもねえ!」
ガーン、はぁ・・・、怒らせちゃった、浩之ちゃん、待って、行かないで、はぁ・・・。
「じゃあな、あかり」
う、うわぁぁ、はぁ・・・、凄い風、何もこの部屋でジェット、使わなくても、はぁ・・・、いいじゃ
ん、あ、行っちゃった、はぁ・・・。
479 :
3/5:02/12/12 05:05 ID:F+/02J9P
先生に、はぁ・・・、続いて、浩之ちゃんまで、はぁ・・・、行っちゃった、さびしい、はぁ・・・、こん
なことなら、無理、はぁ・・・、してでも、浩之ちゃんと一緒に、はぁ・・・、ディズニーランド、ゴォ
ォォォって、はぁ・・・、行っとけば、よかった、なぁ。
はぁ・・・、夜空が、綺麗だな、はぁ、浩之ちゃんが、天井を、はぁ・・・、ジェットで、ぶち破って、
くれたから、はぁ・・・、空が丸見え、うれしい、はぁ・・・、浩之ちゃん、ありがとう。
あ、これは、はぁ・・・、浩之ちゃんのジェットだ、そうか、はぁ・・・、私の分もあるんだよね、これ
を、使えば、浩之ちゃんの、はぁ・・・、元に、いける、かな、はぁ・・・、行こう、そうしよう。
え〜っと、こうやって、はぁ・・・、背中にしょって、これ押せば、いいのかな、はぁ・・・、えい、と、
わぁぁぁぁあああ、一瞬でお空だ、北海道の、町並み、綺麗だな、はぁ・・・、あれ、でも、ディズニ
ーランドはどこだろ、はぁ・・・、っていうか、ずっと上昇、し続けて、はぁ・・・、るんですけど。
ほら、もう宇宙だよ、はぁ・・・、あれ?宇宙と分かると、息が、苦しい、はぁ・・・はぁ・・・、苦し、は
ぁ・・・はぁ・・・、ひ、浩之ちゃん、はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・、助けてぇぇぇぇ!
「左端のスイッチを押せ!あかり」
「え・・・?」
ああ、浩之ちゃんだ、はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・、良かった、来てくれたんだね、左端?はぁ・・・はぁ・
・・はぁ・・・・、えっと、手を、背中に回さなきゃ、はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・、きつい、・・・・・・、よし、
押せた。
「それで体中に酸素が行き渡るようになるんだ。もう苦しくないだろ?」
ほ、ほんとだ、で、でも、やっぱり、はぁ・・・、苦しい、のは、風邪のせい、だよね、はぁ・・・。
「ディズニーランドもいいけどさ、今回は『宇宙の旅』に変更しようぜ」
『2001年、宇宙の旅』、はぁ・・・、ってやつね、科学も、進歩、はぁ・・・、したんだなぁ・・・。
「どうだ?綺麗だろ」
はぁ・・・、凄い、私、月に、立っちゃった、はぁ・・・。
「俺はもう15回目だからどうも感じねえけどな」
す、凄い、はぁ・・・、さすが浩之ちゃん。
あれ?地球が、はぁ・・・、見当たらない、どうして?訊いて、はぁ・・・、みよう。
「あ?地球?バカ。今、夜だから真っ黒で見えねえに決まってるだろ」
そ、はぁ・・・、そうなんだ。
480 :
4/5:02/12/12 05:08 ID:F+/02J9P
「ねえ、あれは?」
「銀河鉄道だよ」
「じゃあこっちは?」
「バルタン星」
浩之ちゃん、詳しいなぁ。私、宇宙のことなんか、はぁ・・・、全く知らないのに。
「なぁ、あかり。少し元気出てきたんじゃないか?」
「そういえば」
本当だ。月の上に立って色んな星とか見てると、はぁ・・・、なんだか、はぁ・・・、元気が、
出てくるような、はぁ・・・、気が、するな・・・、はぁ・・・はぁ・・・。
「・・・まだダメみたいだな」
「・・・うん、ケホッ!」
周りでは、色んなウサギが、はぁ・・・、お餅ついてるし、銀河鉄道には、はぁ・・・、機関車
が何両も何両も、はぁ・・・、くっついて、はぁ・・・、走ってるし、宇宙って、賑やかな所、な
んだなぁ。
「んじゃ、そろそろ行くか」
「え?」
・・・・・・。浩之ちゃん、またゴォォォォ、って、行っちゃった、はぁ・・・、って、私も、行か
なくちゃ、え〜っと、はぁ・・・、このボタンだっけ、それ、ゴォォォォォ!わぁぁ、はぁ、相
変わらず、凄い勢い、はぁ・・・、早く、浩之ちゃんを、追わなきゃ、て、あれ?なんか、上手
く、操縦が、はぁ・・・、効かないぞ?あれ?ちょっと、そっちじゃない、はぁ・・・、ちょっと、
どうしよう、なんかボタン押さなきゃ、はぁ・・・、これはどうかな?えい!・・・・・・。はぁ・・・
はぁ・・・はぁ・・・、しまった、息が、さっきの、酸素送るやつの、はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・、解
除ボタン、だったんだ、どうしよう、はぁ・・・、息が、はぁ・・・、ダメ、続かない、はぁ・・・。
助けて、はぁ・・・、浩之ちゃん、はぁ・・・、助けてぇぇ!!!!
「おい、あかり!おい、大丈夫か」
え?あ・・・、あれ?
「気がついたか?あかり」
あ、あれれ?ここは・・・、元の部屋?天井もある。浩之ちゃんが私の顔、覗き込んでる。あれれ?
481 :
5/5:02/12/12 05:09 ID:F+/02J9P
「どうしたんだよ、随分うなされてたぜ」
そう言って浩之ちゃんは私の額に湿ったタオルをのせた。
つ、冷たい。あ、お礼だ、お礼。
「あ、浩之ちゃん。ありがとう」
「ああ、どういたしまして」
そうか、分かった。夢だったんだ。そういえばさっき、先生が部屋から出てった頃、かな?そんな
感じがしたもんね。な〜んだ、良かった。夢かぁ。
「ったく、世話がやけるよな本当。でも、けっこう元気になったみたいだな。明日一日、二人でしっ
かり遊ぼうぜ」
「え?」
ほ、本当だ。苦しくなくなってる。これなら明日までには良くなるかな。浩之ちゃんが看病してく
れたおかげだよ。
あれ?それにしても浩之ちゃん、いつからここにいたんだろう?私が眠ってる間に来たんだろう
けど?
「ねえ浩之ちゃん、いつからそこにいたの?」
私がそう問うと、浩之ちゃんは半ば呆れたような口調で答えた。
「何言ってんだよ。お前がここに連れてこられてから俺、ずっとここにいるだろ?覚えてないのか?」
はぁ。そうなんだ、ってあれ?じゃあさっきの先生は?
「ねえ、浩之ちゃん。先生こなかった?誰だかわかんなかったけど、女の先生」
「先生?誰も来なかったぜ?」
「おかしいなぁ・・・」
おかしい。考えられるのは2つだ。先生が来たのが夢だったか、今まだ夢の途中なのか。
「夢でもみたんだろ?これで目、覚ませよ」
そう言うと浩之ちゃんは私の唇にそっと口をつけた。何度も味わったこの感触、夢じゃない。
「あはは、やっぱり先生が来たっての、夢だったみたい」
私は今、浩之ちゃんとここにいる喜びを噛み締めるように笑顔で言った。
「ったく、何言ってんだよ。まだ目、覚めてねえんだろ?頭冷やしに行くか?」
そう言って浩之ちゃんは、どこからかまた例のジェットを取り出した。
・・・・・・、今度は上手く操縦できるかな、はぁ・・・。