1 :
1:
むかーしむかしとある山奥の一軒屋に祐一と美汐の夫婦が住んでいました。
祐一はいつものように山へ芝刈りに、美汐は川へ洗濯をしに行きました。
美汐がいつものように川で洗濯をしていると、なんとまぁ、大きな桃が
どんぶらこどんぶらこと上流から流れてきました。
美汐はたいそう驚き迷わず家にもちかえりました。
さて、いざ喰おうと桃を一刀両断すると、なんと!中から赤子がでてきたではないか!
初めはびっくりした夫婦ですが、これを天からの贈り物ときめ、育てることにしました。
赤子は『真琴』と名づけられ、はれて祐一と美汐の子供になりましたとさ。
一方そのころ、都では柏木一族と呼ばれる鬼達が暴れ、久瀬が率いる反政府組織が
自爆テロをひきおこして、都を恐怖に底に陥れていました。
この事態を重くみた政府は、プロジェクトMOON.を発案、実行に移す。
そして16年後――時はまさに暗黒時代を迎える。
2 :
名無しさんだよもん:02/10/24 06:15 ID:6hvfmaxC
\ │
__ __ __ __, -、__ \`ヽ\ノし'
`つf__ii´ f‐-,Xn/__)、\ ) ○ ←
>>1 \V iiヾ-‐テフ |ヾ\ ) ┴
l lilTriイll ]ノ/\\  ̄)ズバァ ┬ァン!
ミl l^uxレ/ / ̄ V / 人
, ヘ. ト、 /ヽ/j二二│ ノ/i/⌒,, "
/ // \l_〉ミi/_/| | ,, ''
/ /,((ハノソヽj/(‐ ')‐j!ノ┘ ,,
.///しi i iヾ/ ̄ /`l!' ,, ''
///i ノ' / /i /\ ,, .''" ,, ''
/ ~ ノ_/ ./二二ヽ i/,,. ; ''" ,, ''
, ヘ/ / (二fi^i^i⊂ '(('''",,,ヽ... i ' "
/ \∧/____ `ヾ-- ' ̄\\n)_、iし'_____
>>
…柏木一族の辺りが藁った。
で、ここはSSを書くスレですか?
5 :
1:02/10/24 07:05 ID:DaBquuuG
ここは昔話を書くスレッドです。
白雪姫とかシンデレラとか。
ゴン真琴とか、ぶんぶく美汐とか、ピロの恩返しとか。
一発ネタから連載までなんでもいいです。
まぁ、思いついたら適当に書きましょう。
また l o n g l o n g a g o ですか
と思った俺を許してほしい。
怪談百物語・葉鍵版は有りですか?
9 :
1:02/10/24 11:36 ID:DaBquuuG
あり。
昔話をミックスしてもかまいませんしホラーでもなんでもよいです。
『鶴の恩返し』なぬ『千鶴さんの恩返し』とかね。
いっそのこと暴れん坊将軍とか水戸黄門とかかけたりして。
しかしまぁ、オチが想像ついたりつかなかったり。
ぜんぜん思いつかん。頑張れとだけ言っておく。
11 :
名無しさんだよもん:02/10/24 13:04 ID:K1if4jDd
流れ予想 千鶴の恩返し。
1 罠に掛かったちーちゃんを救う。
2 夜中、美女が訪ねにくる。
3 料理を作ってもらう。
4 アボーン
天女の話とか、神奈に使えそうだな。
12 :
名無しさんだよもん:02/10/24 13:11 ID:GXqJn+ul
日本酒葉鍵話
>>1 文体は統一したほうがいいよ。
「この事態を重くみた政府は」で急に語り口が変わったから
バランスが崩れて昔話というコンセプトが台無し。
落ちのつもりでわざと崩してるんだろうけど。
1のは何でもありと言う意味を込めた混合煽り文であるとESP
16 :
1:02/10/24 17:37 ID:DaBquuuG
歳月は流れ――赤子だった真琴はすくすくと育ち立派な少女になっていました。
そのころ都では、鬼達が茜姫をさらったことで、大きな衝撃を与えていました。
その話を聞くと、真琴は祐一と美汐に鬼退治に行くと告げました。
「あうー、お爺ちゃん、お婆ちゃん、真琴は鬼退治にいく」
祐一と美汐は必死に止めました。だが真琴の決意は堅く、ついに祐一も美汐を
折れました。そしてある条件を告げました。
「まだお前は幼い。16だ。16の誕生日を迎えるまで待て」
あとで真琴は知ったことですが、真琴は妖弧と呼ばれる種族で、16歳になると
不思議な力で草花を操つることができるようになるのです。
真琴は感謝しました。本当の子ではない自分を実の娘として育ててくれたことを。
真琴は感謝しました。妖子と呼ばれる呪われた自分を人として育ててくれたことを。
16歳の誕生日を迎えた真琴は、祐一と美汐に鬼退治に行くと告げ旅にでました。
右手の風呂敷にはお婆ちゃんが作ってくれた大きな肉まんじゅうが三つ。
左手にはお爺ちゃんが夜店で買ってくれた大切な宝物が巻かれています。
続く。
妖子と呼ばれる・・
真琴=魔物ハンター?
ごめん揚げ足とって。
続けて。
むか〜しむかしあるところに、浩平という働き者の漁師がおったそうな。
ある日のこと、浩平が浜辺を歩いているとなにやら騒がしい。
みるとちびみずかが子供たちにいじめられておった。
「これこれ、ちびみずかをいじめてはいけないよ」
浩平は子供たちをさとして帰してやった。
「ありがとうだよもん浩平さん。お礼にえいえんのせかいへ
以下略
まっさかりかついだ七瀬留美〜
ク〜マといっしょに相撲のけいこ〜
以下略
\ │ /
/ ̄\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
─( ゚ ∀ ゚ )< 駄スレ駄スレ駄スレ!!
\_/ \_________
/ │ \
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
白チーズ村. |
へようこそ |. _ _ へヘ
〃┏━`ヽ /〃⌒⌒ヽ ニハハッ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ∩.| ノノハ)))∩ ∩〈〈 .ノノノハ))∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
駄スレ〜〜〜〜! >\リリ ´∀`)リ/ \|ヽ|| ´∀`||/ < 駄スレ駄スレ駄スレ駄スレ駄スレ!
________/ i ~ ∞.~ / \`∨†∨} \__________
< ∞ イ < / l 」
/ヽ/\」 /ー/-ヽ」
し´ し´
>1は続けないのか…
こういうのは嫌いじゃないんだが
保全
24 :
1:02/10/26 22:37 ID:ff1J3Hh1
真琴が最初についた村は、花咲お爺さんで有名な観光名所でした。
だけど桜はどれも枯れていて花をつけていませんでした。
どうやら花咲お爺さんは、桜に灰を撒くことをやめてしまったようです。
そればかりか、花咲お爺さんは桜の木を妖しい妖術で枯らしていました。
村人達が困っているのを見ておれず、真琴は花咲お爺さんに会いに行きましたがあっさりと追い返されてしまいました。
「奴はかわってしまった。わしはこれから説得しにいく。もしわしに何かあった場合は後の事を頼む」
一晩宿を貸してくれた親切な意地悪お爺さんはそう真琴に告げると、友人である花咲お爺さんの説得にいきました。
その夜、意地悪お爺さんは帰ってきませんでした。
意地悪お爺さんが飼っていた灰色山猫は泣きながらお爺さんを助けてくれるよう真琴に頼みました。
「あうー、じゃあ真琴、助けいく」
こうして真琴は花咲お爺さんの家に行きました。
「あうー、お爺さんを返さないと本当にひどいんだから」
「ぬぅぅぅぅ、我が鬼だときづかれたか。いかにも我は柏木一族次女柏木梓様だ。ばれてしまってはいた仕方がない。小童め!こうなれば貴様の臓腑を喰らってくれようぞ」
なんと、花咲お爺さんはいつのまにか鬼がなりすましていたのです。
初めて相対する鬼に、真琴は次第に傷つき、おいつめられてしまいます。
あわや、といその時!なんと灰色山猫が助けにきたのです。
仲間に勇気づけられた真琴は、ついに柏木梓をたおしました。
そして囚われていた、花咲お爺さんと意地悪お爺さんを助け出したのです。
こうして花咲村は元の平和をとりもどしました。
別れる際、友情を感じた真琴は、山猫に肉まんを一つ与えました。
山猫は恩義を感じると、真琴に旅に連れてってくれるお願いしました。
「あうー、じゃあ、君の名前はピロね」
かくして真琴の旅に心強い仲間がくわわりました。
注>ピロ 猫科 3M
1さん来た!
ぜひがんがってくだされぃ
昔、ある村に浩平という歳若い男が妻と二人で暮らしていました。
この男は、どうしようもない甲斐性なしの上に、畑仕事もろくすっぽやろうとしないので、
とうとう家は落ちぶれて、挙句親戚からも見放される駄目人間っぷりでした。
しかし、こうなるとさすがに浩平も悔しい。
浩平はなんとか金儲けの方法はないものかと、無い頭をひねっていました。
その頃、絹の仕入れをしに毎年京からこの地方に下っている、七瀬という商人がいました。
知人を訪ねるために何度かこの村を訪れており、ちょうど今も村にいるらしいという事を
知った浩平は、ある考えが閃めいたのでした。
「(七瀬について京で商いをする→ぼろ儲け→貧乏脱出→びっくりするほどユートピア?)」
とても浅はかな浩平ではありましたが、幸い彼には己の閃きに身を任せられるという特技
が備わっていたため、急いで七瀬のもとへ走り、強引に了承を得たのでした。
さてそうと決まれば、祖父の代からの田畑になんら未練のない浩平はそれらを全て売り尽くし
てしまい、旅の用意を整えています。
けれどそれを見ていた、美しくて賢い妻の瑞佳はただただ心配するばかりでした。
「(浩平の性格は素直でお調子者・・・)」
「(はぁっ、どう考えても商人には向いてないよ・・)
瑞佳も何度か浩平を諌めようとしましたが、あほの浩平は遠足にでも行くかのごとくに
浮かれまくっておりました。
そして出立の前の晩のこと、浩平が晩酌しているとなりで瑞佳はなにやら無言で縫い物
などをしています。
浩「・・まだ反対か、瑞佳?」
瑞「・・・・」
浩「み〜ず〜か〜」
瑞「はぁっ、だって浩平は行きたいんでしょ?」
「はい、これ。道中着ぬってあげたから、明日はこれ着ていくんだよ。」
浩「おおっ!さすがは瑞佳!『裁縫の鬼』と呼ばれてるだけあるな。」
瑞「呼んでるのは浩平だけだよっ、縫い物って大変なんだからね、肩だってこるし。」
浩「わかってるよ。ありがとうな。」
瑞「もぅっ、じゃあもう寝るよ、浩平。明日早いんでしょ。」
そうしていつものように瑞佳が敷いてくれた布団に、二人で横になるのでした。
瑞「・・・ねぇっ、浩平」
浩「んん?」
瑞「・・あのね、」
浩「ああ。」
瑞「浩平がね、出て行っちゃうと私一人ですごく心細いよ・・。」
浩「・・・・。」
瑞「浩平さえ・・無事ならいいんだけど、わたしがっ・・」
「わたしが、待ってること・・・っぐすっ・・忘れちゃ、だめだよっ」
浩「・・お前っ、ばかっ、泣くなよ。」
瑞「っだってっ・・」
浩「はぁ、わかったよ。ほら、約束するから。」
瑞「・・うぅ・」
浩「遅くても秋には帰ってきてやるから。」
「ほら・・・指きったっ。」
瑞「・・・・」
浩「ほら、もう放せよ。」
瑞「やだもん、手・・握って、寝るもん。」
浩「・・わかったよ。おやすみ。」
瑞「うんっ。おやすみ、浩平。」
そして朝になると浩平と絹売りの七瀬は京に向かったのでした。
瑞佳は昨夜自分が縫った道中着を着た夫の背を、家の前の松の木から、
見えなくなるまで見送ったのでした。
続・・・・くかも?
32 :
1:02/10/27 19:24 ID:tgLrTc1B
ある朝、真琴とピロが鬼ヶ島に渡るため船を探していると、
大人たちが集まってなにかを騒いでいました。
おや?と思い近づいてみると、なんと!ちびみずかが大人たち
にいたづらされているではないか。
真琴は不憫に思うと、大人たちにちびみずかを渡すよう言いました。
「ふざけるな。今からこいつといいことするんだ」
「餓鬼はあっちいけ」
真琴は怒りました。正義の怒りが爆発です。
決して子供扱いされて怒ったわけではありません。
「あうー、真琴は一人前のれでぃなんだから」
非道な行いをする大人たちに真琴の鉄拳制裁雨嵐。
ピロも唸りを上げ大人たちを追い払います。
「あうーもうだいじょうぶ」
「ありがとうだよもん」
どうやらちびみずかは助けを求めるため海辺にあがった所を
悪い大人たちに捕まってしまったようです。
ちびみずかは真琴にみさお姫を助けてくけるようお願いしました。
なんと浩平という釣師が、えいえんのせかいのみさお姫に民の命と
引き換えに婚姻を迫っていたのです。
「あうーそんなことは許せないの」
こうして真琴とピロはちびみずかに連れられ、えいえんのせかいに旅立ちました。
33 :
1:02/10/27 19:25 ID:tgLrTc1B
そのころ、えいえんのせかいでは浩平とみさお姫の結婚式があげられていました。
「みさお姫、あなたが私と結婚しないと、えいえんのせかいの民はとても
ひどいことになりますよ。素直に私の愛を受け入れなさい」
「………わかりました」
みさお姫は愛する民のため、その身をささげようとしていました。
その時!
「あうー、その結婚、待つのよ!」「にゃー!」「まつだよもん!」
「何奴!」
「悪人は真琴が許さないんだから」
「おのれ、小童が!このえいえんのせかいを乗っ取る計画を邪魔するかっ!
ならば容赦せん!この柏木一族が一人、鬼の浩平が貴様らを滅してくれようぞ!」
「そんなことさせないんだから!」
なんと!浩平と名乗っていた青年は、鬼だったのです。
正体を現した鬼はたしかに強かった。だが怒りに燃えた真琴の敵ではありません。
鬼はじょじょに追い詰められていきます。
だが、追い詰められた鬼は、卑怯にもみさお姫を人質にとったのです。
「がっはっはっは、それ以上、一歩でも動いたら姫の命はないと思え!」
「あうー」「にゃー」
鬼は口から火を吐くと、真琴とピロにあびせます。
真琴はついには力尽き倒れてしまいました。
みさお姫は泣いて、鬼にやめるよう許しをこいます。
「ふっふっふ、それでは誓いの接吻をしようぞ」
鬼はみさお姫に口付けを強要します。
その時、みさお姫が流した涙が奇跡を起こしました。
34 :
1:02/10/27 19:25 ID:tgLrTc1B
それは銀色の髪。
伝承にはかくあります。
『そうだな。なんたって神の使いだ』
『者観丘では古神と呼びならわし、異名を地妖、古き名では地真理ともいう』
『肌はびろうど、瞳はめのう、涙は金剛石』
『やんごとなきその姿はまさしくいにしえよりたましいのみつかい』
銀髪の妖弧となった真琴は力をふり絞り立ち上がりました。
「そんなことっ!させないんだから!」
真琴の『声』に、編成、圧縮された言霊は、光の渦となり鬼を飲み込みました。
鬼は光の粒となり、その粒は雨となり、えいえんのせかいに降り注ぎます。
浄化の光。
えいえんのせかいに平和が戻ったのです。
「真琴様、鬼ヶ島には海流が激しく船で渡ることができません」
「あうー、じゃあどうするの?」
みさお姫は真琴に一つの蒼い宝玉をさしだしました。
「伝説の不死鳥の力を借りるのです。これと同じ物が世界にはあと五つあります。
それを全て揃えた時、新たな道が開きます」
そしてみさお姫は真琴に口付けしました。
「みさお姫は真琴様の旅の無事をお祈りします」
かくして真琴は新たな旅路につきます。
その行く先にいかなる困難があろうとも。
35 :
1:02/10/27 19:29 ID:tgLrTc1B
誤字脱字はかんべんしてください。
あと
>>18氏からネタを租借しますた。
ついでに三年ねたろうと金太郎の話しを知っている人は、
どういうお話か要約して書き込んでくれると嬉しいです。
さて、浩平が出発した後の夏に世に大きな動きがありました。
関東一帯は戦乱の渦になり、諸国の領主達も好き勝手に暴れている始末。
戦火は小さな村や里にも広がり年寄りや女子供らは山の中に隠れたり、東へ西へと
逃げ惑わなければならないなどと、まさに世は乱世に入ったのです。
そしてその波は瑞佳の暮らす村にも押し寄せてきました。
瑞佳がいつものようにわずかに残った田畑で農作業をしていた、ある暑い日のことです。
なにやら畑の隅のほうで5,6人の村人達が話しあっているのが見えます。
そしてその内の一人が瑞佳に気付き、声をかけてきました。
男「瑞佳さん、瑞佳さん。」
瑞「こんにちは。今日も暑いですね。」
男「そんなことより瑞佳さん、噂は聞いたか?」
瑞「いえ・・どんな噂ですか?」
男「なんでも近いうちにこの村にも敵の兵がやってくるって話だ。あんたもすぐに
逃げたほうがいい。」
瑞「え?えっと、でも・・わたしは・・・。」
男「女一人で頼るところもないなら俺らと山に隠れればいい。とにかくこの村にいるのは
危ないぞ。」
瑞「はい。でも、わたしはいいんです。」
男「何を言ってるんだ、瑞佳さん。兵たちに見つかれば、恐ろしい目にあわされるぞ。」
瑞「でも・・家を空けるわけにはいかないんです。」
「あの人が秋には帰ってくるって、そう約束してくれたから。」
結局瑞佳は村人達の再三の説得に応じず、村に残りました。
それはとても恐ろしく不安なもでありましたが、瑞佳は兵たちがやってきてもうまく隠れ、
浩平が帰ってくる秋を指折り数えて暮らしていました。
「(浩平、疲れて帰ってくるだろうな。帰ってきたら『おかえりっ』って言ってあげるんだ)」
そして時折そのような事を考えては、不安をまぎらわせるのでした。
37 :
:02/10/28 12:59 ID:+e2f9eRa
金太郎というお話はな、世界最強を目指す一人の少年の物語だ。
ラストは確か灰色熊と相撲で勝負。
ピンチになったらまさかりで脳天直撃。
38 :
名無しさんだよもん:02/10/28 13:34 ID:/1INljyX
>>1氏
桃太郎伝説?
いや、鬼退治に逝くのに、最初花咲かじいさん絡ませてるし
金太郎や三年寝太郎ネタも書こうとしてるし…
いや、個人的には
グ ッ ジ ョ ブ
です。
42 :
42:02/10/29 01:02 ID:k/XBvQka
金太郎の話や三年寝太郎の話はこちらを参照してください
金太郎
ttp://www003.upp.so-net.ne.jp/hokuyo/sub4_09.htm 三年寝太郎
昔々、京の都に明けても暮れても道ばたで寝ているだけの男が居ました。
その男は、道行く人から食べ物を分けて貰って生活していました。
ある時、その男は餅を3つ分けて貰いました。
男は、その餅の一つをこぼしてしまいました。
けれど、男は餅を取りに行くのもめんどくさかったので、
ちょうどその時通りかかった、馬に乗った侍に、
「その餅をとってください」
と言いました。
お付きの者は、「なんと無礼な」
と、怒りましたが当の本人は、怒るどころかわざわざ餅を拾って男の前まで持っていてあげました。
男に近づくと、その侍は男が顔立ちや雰囲気から高貴な人ではないかと思いました。
それで調べてみると、帝の落とし種であるとわかり、
宮中に迎え入れられ、男は宮中で活躍したそうな。
と言う話だったと思います(俺の記憶だとそうだった)。
もしこれが役に立てば幸いです。
駄文&長文失礼。
>>42 それは確かものぐさ太郎のほうじゃない?
三年寝太郎の話は実は俺も良く知らないんだが…
どんどんいろんな話が混ざっていく予感……
誰かAAにして劇をつくってくれ。
秋…
秋だ……
夏も終わり、あたりの景色も秋の色を帯び始めると、瑞佳は何をしていても思うのは浩平のことばかり。
時には何をするでもなく一日中家の前の松の下でぼぅっと遠くを眺めては、風邪などをこじらせて
しまうこともありました。
しかしどれだけ待っていても、便り一つありません。
あれほど焦がれていた秋は、無情にも過ぎ去ってゆくのでした。
あの鳥は、京の方へ飛んでゆくのだろうか…
ならばあの人に伝えてほしい、わたしはここで待っていると……
どんよりとした冬の空を見上げながらそのような事を取り留めもなく思っていますと、いよいよ
心細さが増してきます。
まさかわたしは捨てられた?
……いや、ばかな事を考えるのはよそう
何か遅くなる事情があるに違いない
約束だってしてくれたのだから
指切りだってしてくれたのだから……
瑞佳は、すっかりあかぎれてしまった自分の指を見つめながら、そう自分に言い聞かせるのでした。
……世の中が物騒になると、えてして人の心は浅ましくなるものです。
稀に訪ねてくる人は、瑞佳の美しい容姿を見ると口々に言い寄ってきます。大抵は冷たくあしらう
のですが、不意に押し倒されて、あわや、というところで戸口にあった鎌を男につきつけたことさえ
ありました。
さらに、以前村から逃げる際に、一緒にと誘ってくれた男までもが彼女をそのような目で見ていた
ことは、瑞佳をことさら絶望させたのでした。
瑞「浩平…わたしこわいよ……浩平っ…」
追い打ちをかけるように、ただ一人残ってくれた下女も逃げ去っていきました。
一緒にこないかと誘われたのですが、それでも瑞佳は断りました。
恨みはしない、いままでありがとうと笑顔で言うと、下女は涙など落とすのでした。
それからしばらく後にわずかな貯えもつき、むなしくその年も暮れてゆきます。
……あくる年になっても戦乱はおさまりません。
それどころか治安は乱れてゆくばかりで、いつ終わるとも見えません。
野武士夜盗はあちこちで放火略奪を繰り返しており、もはや関東八州には安全な場所などどこにも
なくなっておりました………
くはぁっ、萌汁でまくり
51 :
1:02/10/30 02:30 ID:6oXGlA5+
真琴はみさお姫の言葉を信じ宝玉を求め旅を続けてます。
季節は初夏。
蝉の音がみーんみーんと山々に響き渡ります。
そんな山奥の村、真琴とピロは一人の少女と出会いました。
七瀬留美、乙女を夢見る少女です。
「あうーおとめってなに?」
「乙女、それは最高の女の子に与えられる名誉の称号よ」
そうです。乙女の称号を手に入れるためには山の動物たちに相撲で勝たなければいけないのです。
これは山と村に伝わる古くからのしきたりです。
「あうー……おとめ……なんかちがう……」「にゃー……」
真琴とピロは疑問に思いながらも、七瀬留美のお手伝いをすることになりました。
七瀬の師匠である川澄舞とともに修行をします。
そしてある朝、乙女を賭けた試合が始まりました。
まず七瀬は老獪な狐を倒しました。
次に年老いた古だぬきを倒しました。
かわいいうさぎさんも倒しました。
森の栗鼠さんも倒しました。
鹿さんも鼬さんも猪さんもみんなみんな倒しました。
ついに七瀬は乙女の称号をえるため、あと一歩のところまでやってきたのです。
最後の相手は、四方の山を統べる王、奥羽山脈総大将『赤兜』
五百貫をこす巨熊で身の丈は20尺にもおよびます。
これに相撲で勝てば領主から乙女の称号が送られるのです。
52 :
1:02/10/30 02:31 ID:6oXGlA5+
少女は負けるわけにはいきませんでした。
自分を男と謗り馬鹿にした村のみんなをみかえすためにも。
巨熊は負けられない理由がありました。
山の守り手である自分が負けたら、山は領主の手によって焼き掃われてしまいます。
いよいよ、山の動物たちと村の観衆が見守る中、七瀬と赤兜の戦いが始まりました。
この戦いは七瀬の一方的な勝利で終わります。
七瀬は知りませんでした。
この時、赤兜の子が領主によって人質にとられていたことを。
そんな中、七瀬は師匠である川澄舞から領主の悪逆非道を聞かされます。
53 :
1:02/10/30 02:32 ID:6oXGlA5+
七瀬はくやみ、己を恥じ涙を流すとマサカリを手にもち、いままさに森をやきはらんとする
領主の前に立ち塞がりました。
「貴様っ! 乙女の称号を欲しくないのかっ!」
「悪逆非道を見逃し、何が乙女か!」
七瀬は吼えました。
その咆哮は大気を震わせ、その四股は大地を揺らします。
七瀬の戦いが始まりました。
しかし多勢に無勢、領主の軍勢によってやがて七瀬は追い詰められていきます。
その時、赤兜が助けにきました。
師である川澄舞も駆けつけます。
山の動物たちも、村の人々も応援しにきました。
「赤兜、貴様は息子の命が惜しくないのか!」
「あうー、その子なら真琴が助けたんだから!」
「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
領主は正体を現しました。
領主は物欲にとりつかれ、ついには魔物になっていたのです。
54 :
1:02/10/30 02:33 ID:6oXGlA5+
「私は魔物を討つ者、覚悟」
「乙女の拳をうけてみよ」
師弟の剣と拳が領主を打ちたおしました。
・・・
七瀬と赤兜の試合はしきりなおしです。
赤兜は己の意地をかけ、七瀬は乙女を夢見て。
戦いは三日三晩続き、そして友情がうまれました。
もう戦う理由はありません。
村と山の平和を守った七瀬には、乙女の称号が送られました。
最高の乙女の誕生です。
七瀬は礼を言うと母の形見である紅の宝玉を真琴に渡します。
赤兜は礼を言うと翠の宝玉が北の大地にあることを伝えます。
「もっていけ、魔物を討ち滅ぼす剣だ。貴様には使う資格がある」
別れ際、真琴は舞から友情の証として退魔の剣を受け取りました。
あまたの出会いと別れを繰り返し真琴たちは旅をつづけます。
55 :
1:02/10/30 02:39 ID:6oXGlA5+
オーブを六つ集めてラー○アの復活……
57 :
:02/10/30 13:19 ID:LdkAwxAZ
age
58 :
YahooBB219027060030.bbtec.net:02/10/30 13:43 ID:m1iXowCu
fusianasan
>56
ドラ○エ3か…。
>>49 浩平は京で七瀬とくっついて、瑞佳がっかりってオチでしょ。
61 :
49:02/10/30 19:38 ID:COyypzto
>>60 七瀬にあんまり意味はないですよ。ちょっと名前を借りたって程度です。
あ、それと読みにくくてスイマセン。全然素人なんで…
話の展開は今半分の手前くらいです。
赤兜かよ、良いのかそれでw
時間はさかのぼり、ここは京の都。
村を出た七瀬と浩平は無事京にたどり着くことができ、早速絹の取引を始めたのですが、これが意外
なことに大変な売れ行き。またお調子者である浩平の気性も、京の人々の目には「如才ない商人より
親しみやすく、かえって信用もおきやすい」と映り、ますます商売がうまくいくので浩平の頬も自然と
ゆるみっぱなしになります。
そしてこの日もたんまりと稼いだ二人は、茶屋で一息いれておりました。
浩「だっはっはっは!」
七「……な、何よ急に」
浩「どうしてだ! どうしてこんなにうまくいくんだ! 神か? 商売の神が俺に降りてきていらっしゃるのか!?」
七「なに馬鹿なこと言ってんの。ついてだけよ、あんた」
浩「神を愚弄する気か?」
なにが神か。
七瀬は心の中でそう思いつつもこの馬鹿に理由を話してやりました。
京は今、華美が好まれていること。それは東山文化とやらの影響だということ。
だから浩平は時機に恵まれたのだということ。
説明し終えた七瀬は、どうしてこんな事も知らないのかというような目で浩平を見やりました。
浩「ふーん。ま、俺はとっとと絹売っちまって村に帰れればなんでもいいよ」
七「そーね、早く帰ってあげなさいな」
平均以上に世事に疎い浩平です。この男に商売人の話などするだけ無駄と悟った七瀬は話題をそらす
ことにしました。
七「かわいい奥さんが待ってるんだから」
浩「ん? 瑞佳のことか? …そうだな、あいつには苦労しかさせてないからな」
七「…なんとなく目に浮かぶわ…」
浩「だがこれからは違うぞ。儲けた金で少しは楽をさせてやれるだろ」
「(もうすぐ戻れるからな。待ってろ、瑞佳)」
……故郷や瑞佳が恋しくなってきた浩平は、その後もますます商売に精をだします。
しかしある日ふとした拍子に聞こえた噂は、そんな浩平をはげしく動揺させたのでした。
――管領上杉が鎌倉公方を追って攻め込んで、関東一帯が戦場になっているらしい――
もはや浩平は気が気でありません。急いで帰り支度を整え、予定より少し早く京を離れました。
だが帰りを急いだばかりに、人気の少ない近道を選んでしまったのが運の尽き。
盗賊にその行く手を阻まれてしまい、数分後には彼の荷物は着ている服だけとなっていました。
「―くそったれっ!」
儲けを全て持っていかれたことにひどく腹が立ちましたが、もはやどうにもなりません。
仕方なく歩いていた浩平に、さらに悪い景色が目に入りました。
それは以前来た時にはなかった新しい関所。聞けばここより東へは、一切通行を禁止しているらしい。
これでは文すら送れません。
浩平はなんとか頼み込みました。下総には自分を待つ妻がいる、どうか通してほしいと。
しかし返ってきた役人の答えは浩平をさらに絶望させるものでした。
「下総? あそこはもう焼け失せてるよ。お前の妻がそこで待っているとしたら生きてはいまい。
もし生きててもとっくに何処かに逃げてるだろう」
しばらくその場で茫然と立ちつくしていた浩平ですが、やがてふらふらした足取りで歩き出しました。
浩「…瑞佳……死んでしまったのか? それとも何処かに無事に逃げることができたのか?」
「(いや、あいつには親族がいない…頼る者も俺が知る限りではいない。だとすれば他の男にでも
頼って逃げたのだろうか。あいつは器量がいいからな……)」
「(どちらにせよ、もう会えない。瑞佳の消息を知る手掛かりは、何もない……)」
浩「俺が…お前を置いて、京にきたばかりに……」
やむなく京に引き返そうと休むことなく歩きつづけた浩平は、近江のあたりに来たところで急に高熱を
発して、倒れてしまうのでありました……
シンデレラ、白雪姫、赤ずきんちゃんとか。
そこら辺もネタになりそうだな。
69 :
age:02/10/31 20:49 ID:DMfR7FZW
age
てすと
両方ともいいな〜。
旅の途中、真琴とピロは休息のため、美しい泉にたちよりました。
その泉は人の願いをかなえる女神が住むことから願いの泉と呼ばれています。
真琴は水を飲む際、お弁当をあやまって泉の中に落としてしまいました。
「あうぅー……」
うなだれた真琴は水の中を覗き込むと、なんと泉から美しい女神が現
れたではありませんか。
「あなたは…………」
女神は真琴にやさしく問い掛けます。
「あうー相沢真琴ぉ……」
「そう、私は美凪。お弁当を落としたのはあなた?」
「うん……」
「どっち」
右手がさす方向には豪華な食事。
左手がさす方向には大量の肉まん。
真琴は涎をたらします。
おもわず肉まんと言いそうになりました。
でも、ふと美汐の言葉を思い出しました。
(真琴、嘘をついてはいけません)
「あうー……どっちも違うのよぉ」
「正解」
美凪はにっこりと微笑むと、懐から紙の束を取り出しました。
「お米券、進呈」
「あう―……おこめぇ」
真琴はそれを使って町でお米券を使って大量のお米を買いました。
もう食料にこまることはありません。
そんな中、美しい女神の噂を聞いた奴隷商人の北川は、女神を捕まえて
売ろう考えます。
北川は爆薬を泉にしかけます。
泉の水を全部抜いてしまおうという作戦です。
森が助けを呼びます。
泉が助けを呼びます。
土が助けを呼びます。
鳥も獣も、みんなみんな助けを呼びます。
真琴は自然の呼び声をきいてかけつけました。
しかし火を手にした北川に近づくことはできません。
その時、ピロが水の中から北川に襲い掛かりました。
ピロに驚いた北川は、足をすべらせ泉の中に落ちてしまいました。
真琴が北川の心配をしていると、泉から北川を捉えた美凪がでてきました。
意外に力持ちです。
美凪は落し物を聞いてきます。
真琴は素直に北川を指差します。
「ぱちぱち。進呈」
美凪はお米券を渡そうとしますが、真琴は断りました。
「残念……」
そうすると、今度は紫の宝玉をお礼に取り出しました。
これで宝玉は三つです。
真琴は礼を言うと泉をあとにしました。
数日のち……
女神に助けられた奴隷商人が、これまでの悪行を悔い改ため改心したことを真琴は耳にしました。
そして、この奴隷商人は女神の泉を悪人たちの手から命をかけて守ったそうです。
シンデレラ書いて壮絶に失敗しますた。これで勘弁。。。かはっ
>>72-
>>74 = >1さんですよね?
お疲れです。
good job です。
あれ?
72が光らん。
やりかたちがうんだろうか
77 :
名無しさんだよもん:02/11/02 00:13 ID:QyjJ+rs2
Kanonの昔話ネタは良く見かけるが、
ONEは初めて見るな。
浩平の話の方が、メル欄のようになってしまわないかとハラハラしてます。
どうか最後は幸せな記憶を。
良スレなんだろうけど、すぐにでも消えてしまいそうなタイトルだね
>>79 浩平は怠け者とかいうイメージ無いなぁ…結婚したらバリバリ働きそうだ。
怠け者といえば浩之の出番やな。
>>79 ぐぐってみました。えらい古いアニメですね。
早速借りて見てみます。
てかレンタルできるんだろうか。
sage
近江には武佐という里があります。
そこには住井護という者がおり、なかなか裕福な暮らしをしているのですが、この人は浩平が京にいた時の
商売仲間で、短い間ですが親しくなった間柄でありました。
浩平がなんとかおぼつかない足取りで住井家にたどり着いて助けを求めたところ、彼は親切にも浩平の窮状を
憐れんで、医者を呼び、手厚く看病してくれたのでした。
……しばらくたって浩平はだいぶ回復しました。
謹んでお礼を述べて出発しようとしましたが、どうにもまだうまく歩ける様子ではない。
住井は住井で面倒見のよい人柄でしたので、そんな彼を引き留めてゆっくりさせ、また浩平もそんな彼の好意に
素直に甘えているうちに、思いがけずその地で年を越してしまうことになったのでした。
そうして暮らしているといつのまにかこの里にも友人ができ、浩平はだんだんと住井家での暮らしに慣れはじめ
ました。
もともとが素直でお調子者の浩平です。
里の人々ともすぐに打ち解け、住井家も浩平を家族のように扱ってくれるようになりました。
全快した浩平は、京に上っては七瀬や住井らと共に商売に励み、武佐に帰っては住井家に身を寄せます。
こうして、食客のような生活をしながらずいぶんと長い年月を送りました……
浩平23歳。
下総の故郷をはなれてから、実に7年もの月日がたった夏のことです。
戦はなおも続いており、近頃では京の近辺ですら大変物騒になっていました。
その上春ごろから疫病が流行りだし、行き倒れた死者の遺骨が街路の脇に積み重なっている有様。
……まさにこの世の終わりのようでありました。
住「ふぅっ、すさまじい限りだな…」
浩「…………」
商いからの帰り道、住井は腐敗臭の漂う死体の山に顔をしかめながら、つぶやくように言いました。
こんな光景はいまや珍しくもありません。
住「地獄っていうのはまさにこの世の中のことだな」
浩「…………」
住「戦は終わらず、病は流行る、か。情けないもんだよ」
浩「…………」
住「……?」
浩「…………………」
住「……おい、浩平? どうした、暑さにやられたのか?」
浩「情けない、か……」
住「はい?」
浩「なぁっ、住井」
住「何だ?」
浩「俺、村に帰るよ…」
住「村? 村って…下総の?」
浩「そうだ」
住「…何でいまさら……?」
浩「俺はこんな所で何をしてるんだろうなって思ってな…」
住「だってお前の故郷はもうないじゃないか。それに奥さんにだってもう会えないんだろう?」
浩「そうなんだけどな…、でもこれ以上親族でもないお前に筋のない恵みを受けるわけにはいかないからな」
住「別に俺は迷惑だなんて思っちゃいないぞ」
浩「……それに、瑞佳が待っている」
住「だからお前の奥さんは…」
浩「いや、生きていてもいなくても、だ」
住「…?」
浩「確かにいまさらかもしれないが、俺は約束してたんだ。必ず帰るって。今思えば俺は瑞佳とはもう会えない
ものと信じ込んでいて、あいつの消息すら知ろうとしなかった。7年の間、知ろうと思えば出来たことなの
にだ。不実にもほどがある」
住「……でもそれはこんな世の中のことだ。お前は悪くないよ」
浩「こんな世の中だからこそだ。こんな明日もままならない世の中だからこそ、このまま何のあてもなく暮らし
いてはいけないんだ。たとえ瑞佳に会えなくても、……この世にいなくなっていても、あいつの夫としてせ
めて一度帰ってやらないといけない。……約束したんだから」
住「……………」
浩「もちろん、お前にはとても感謝している。本当は他人であったはずの俺を家族として養ってくれた恩義は、
決して忘れない」
住「……決心はかたいのか?」
浩「ああ」
住「そうか……」
後日、住井家にもう一度厚く恩義の礼を述べた浩平は、里の人々にも挨拶にまわり、故郷への帰路につきました。
八月のはじめの、天気の良く暑い日のことでありました。
87 :
:02/11/03 12:59 ID:0TYknGa+
88 :
名無しさんだよもん:02/11/03 15:47 ID:h+KkI+Ik
ところでこの話のもとねたなんなの?
よく分からないけど、
もしかして南総里見八犬伝あたりが混じってる?
雨月物語の『浅茅が宿』(上田秋成)ですな。
この後の非常に切ない展開を思うと今から泣けてまいります・・・
と、引っ張りだしてきた高校の国語の教科書を片手に書き込むのだった(w
(いや、習ったというのは覚えてたんだけどね、タイトルが思いだせんかった)
91 :
:02/11/04 21:43 ID:botscKZ3
92 :
名無しさんだよもん:02/11/04 21:51 ID:ilU5SP99
まだだっ! まだ死なせはせんよっ!
>>90 はい。元ネタは『浅芽が宿』(あさぢがやど)からもってきました。
けれど実際に参考にしているのは、木原敏江という人の雨月物語の学習マンガ
みたいなやつです。
しかもそれすら脚色して書いてるので、細かい部分が原作と違ってます。
特に違うのが瑞佳ですかね…。原作ではもう少し強い感じの人なので。
あと七瀬と住井の部分でも無理が出ちゃってます。逆にすりゃ良かった。
今言うのもなんですが、ラスト付近でも違っちゃってます。
ちなみに『浅芽が宿』の話は、「母性への遡行(そこう)」であるとした見方も
あります。
なんだか浩平と瑞佳にはピッタリな話ですね。
>>94 まだ続きますよ。
書くの遅くてごめんなさい。
駄スレかと思ってたんだが、見てみたら良スレ。
頑張ってください。
雨月物語は吉備津の釜も良い
京をでた浩平は十日ほどで故郷下総にたどり着きました。
日はすでに沈んでおり、どんよりとした雲が落ちかかるばかりに垂れこめていましたが、古くから住み慣れた土地なの
で迷うこともあるまいと、浩平は夏草をかきわけて歩いております。
すると、水の流れる音が聞こえてきました。
草の背が高くてはっきりとは見えませんが、どうやら川があるようです。
浩平は途端に心が弾みだしました。
「(ここに川があるなら、あの橋もあるはず…!)」
それは古歌でも名高い真間の継橋。
なにより浩平にとっては、昔から通い慣れた橋です。
しかしそこに橋はありませんでした。
代わりに朽ち果てた橋の残骸が、川瀬のあちこちに見えるばかりでした。
浩平は少しの間呆けたようにそれを眺めていましたが、やがて意を決して、川をなんとか越えて再び歩き出しました。
………………
もう村は見えているはずなのです。
その証に、大変荒れ果ててはいるものの、田や畑らしきものは見て取れます。
けれども昔の景色は、浩平が記憶している景色はかげもかたちも見当たりません。
家などはほとんどが崩れ落ちており、人が住んでいるとはとても思えません。
浩平は途方にくれて立ち尽くしてしまいました……
……いつまでそうしていたのでしょうか。
ふと漆黒の夜に雲間からわずかな月光が洩れました。
すると導かれたように、浩平は目の当たりにしました。
20軒ほど先に、雷に砕かれたと見える、高い松の木を。
それは昔からずっと、家の目印になっていたものでした。
嬉しくなった浩平が夢中で駆け寄ってみると、意外にも彼の家は元のままそこにありました。
しかも誰かが住んでいるらしく、古戸の隙間からともし火の灯影がちらちら洩れています。
「(誰か別のやつが住んでいるのか、それともまさか……)」
浩平は心をときめかせながら、門を静かにたたいてみました。
すると……
「どなたですか?」
と、尋ねる声がします。
それは、まぎれもなく瑞佳の声でした。
浩平はその声が聞こえると、不意に涙が溢れそうになりました。
浩「瑞佳っ! 俺だ! 浩平だ!」
戸が急にあけられました。
そこには妻がたっていました。
とても痩せており、顔色もすぐれていませんが、それは本当に瑞佳でした。
瑞「こ…うへい?」
浩「瑞佳……お前、どうしてこんなところで…」
瑞「浩平なんだよね? ……帰ってきてくれたんだね…」
浩「まさか……ずっと待ってたのか…?」
瑞「だって……浩平が待ってろって言ったもん…」
浩「…ばかだな……」
瑞「…うくっ…浩平…」
浩「いや…ばかは俺だな。…約束、破っちゃったんだからな」
瑞「……待ってたんだよっ、ずっと会いたかったんだよっ! 浩平……!」
そう言って瑞佳は浩平に抱きついて、たださめざめと泣くのでした。
なんだか終わりっぽいんですが、終わりじゃないです。もう少し続きます。
>>98 はい。いいですよね、吉備津も。
あとは菊花の約とか蛇性の淫とか…
元ネタは知らないけど、おもろい!
続けてクレー。
あと、桃真琴の話はどーなったの?
しかしモトネタ通りだとするトラストが悲しくて悲しくて仕方無い折れ。
保
桃真琴期待age
107 :
名無しさんだよもん:02/11/06 21:49 ID:qkVCl+pF
108 :
:02/11/06 21:57 ID:QTcH6172
109 :
bloom:02/11/06 22:02 ID:rHJidLa9
110 :
名無しさんだよもん:02/11/06 22:03 ID:qkVCl+pF
上げたとたんに広告4連発かよ…
112 :
:02/11/07 10:53 ID:AKWUK6+x
保守しとくかな
このスレ読んで懐かしくなって雨月読もうと思ったら、
本屋さん数軒回っても見つからず。古典中の古典なのに。
少なくとも十年前はこんなことなかったような……
……しばらくは互いに何も話しませんでした。
まるで7年の時を埋めようとするかのように、ただ抱き合ったままで時間を過ごしていました……
そのうちにやっと落ち着きを取り戻した浩平が、ぽつぽつと語り始めました。
京でよからぬ噂を聞いたことから話は始まって、急いで引き返そうとしたが途中で山賊に何もかも奪われて
しまったこと。
関所が設けられていてすぐには帰ることができなかったこと。
絶望し、行き倒れたが、親切な知り合いが助けてくれて、そこでそのまま七年も世話になってしまったこと。
せめて消息だけでもと思い、今更になって帰郷を思い立ったこと。
思い出すように話しているうちに、浩平は心底情けない気持ちになり、自らの浅はかさを悔やむのでした。
浩「…瑞佳、本当にすまなかった……」
瑞「…………」
浩「お前は俺を信じて待っていてくれたのに……お前とはもう会えないって勝手に決めつけて…」
瑞「…………」
浩「挙句に他国で七年ものうのうと暮らしていたなんて………最低だ、俺は…」
瑞「………いいんだよ、浩平」
浩「……え?」
瑞「浩平がこうして帰ってきてくれた……わたしはそれだけでいいんだよ」
浩「……でも、俺は…」
瑞「約束…ちょっと遅くなっちゃったけど、ちゃんと守ってくれたしね…」
浩「瑞佳…」
瑞佳はよほど嬉しいようで、泣きながらもとても幸せそうに笑っていました。
多少やつれてしまっていても、その花のような笑顔は昔と全く変わっていませんでした。
やがて瑞佳のほうも、涙をぬぐって静かに話し始めました。
浩平が出発した後に大きい戦が起こり、村の人々はみんな逃げてしまったが、自分は村に残って隠れていたこと。
稀に訪れる人は、瑞佳の独り身を好都合とばかりに言い寄ってきたが、なんとか追い払ったこと。
頼みにしていた秋になっても浩平がもどらず、下女も去っていったが、それでもと思い独り寂しく暮らしてきたこと。
そして浩平に会えたことで、全てが報われたこと。
瑞「信じて待ってて本当によかったよ」
最後にそう言って、瑞佳はまた涙をこぼすのでした。
浩「もう大丈夫だ、瑞佳。明日からは俺がいる。……もう二度と寂しい思いはさせない」
瑞「浩平…」
浩「今日はもう休もう。布団、敷いてやるから」
瑞「うんっ…」
浩平は瑞佳を言い慰め、二人で床につきました。
「(瑞佳…こんなに痩せてしまって……)」
浩平は瑞佳の手をにぎって、あらためてそう思いました。
瑞佳は相変わらず、泣きながら嬉しそうに笑っていたのでした……
おそらくは次の次あたりがラストになると思います。
>>114 たぶん図書館に行けばおいてありますよ。
新しいやつがいいです。
古いやつは訳が味気ないですから。
>79の元ネタも浅芽が宿やね。
あれは翻案としても優れた作品であった。
>115 >118
情報どうもです。いや、多分市街中心地の大きな本屋さんに行けば
あると思いますのでまずはそちらを。
>114で書いたのは、どちらかというと日本の文化度の低下の
象徴のように感じられたためで……
何と言いますか、雨月に限らず古典とかのスペースが相当減った気がして。
age
めんて
今更 >1 読み直して爆笑。いや、読み飛ばしてたんで。
しかし、こういうノリも好きだな〜。
それにしても>>1さんはどこへいかれたのか。
忙しくて書いてられないんかなー?
真琴のやつもぜひ続けて欲しいですね。
期待です。
洋ものとかもあり?……と思ったらタイトルが「日本」でしたな。
ま、強引に日本昔話風にしてみるのは考えられるかも。
いや、別に今ネタがあるわけではないけど。
>>125 もう昔話ならなんでもいいんじゃない?
>1もシンデレラ書こうとしてたし。
127 :
:02/11/10 00:33 ID:h6qY1hks
保
♪
It's a メンテ time.
131 :
名無しさんだよもん:02/11/12 17:00 ID:GS4GuYJB
ぼうや〜 よいこだ ねんねしな〜 葉も鍵も萌え萌えだ〜
132 :
1:02/11/12 18:46 ID:i9B2ETaI
すまねぇ・・・MOON.をクリアしたらしばらく何も手がつかなくなった。。。
何をやるにもだらだら過ごして・・・・欝だ。
SSは明日か明後日書きます・・・・・・・・
MOON.すげーよかった。俺は葉鍵ッ子でよかったよ。。。。。
>>132 MOON良いよね。
俺は主人公が淫乱な女子高生っつーのがとても斬新に感じたな。
雨月良スレ保守
続編期待sage
MOON.は郁未オンリーエンドしか見てない…続きやるべきか。
ここで落ちたら非常に後悔しそう。
キャストがはまり過ぎてるよ
怖いくらいに
うむ。同意ナリ。
待つ女長森と悪気はないが……の浩平か。
真琴太郎も待ってますし……。
140 :
:02/11/14 18:10 ID:49pj8qbV
遅くなっていて本当にすみません。
最近鬼のようにバイト入れられちゃってて書けませんでした。
続きは明日に必ず書きます。
それにしても今日すごいたくさんスレたってましたよね。
落ちてなくてよかったです。
いやホント、残っていてよかった。
めんて
144 :
名無しさんだよもん:02/11/16 00:28 ID:4uImcJOT
あげ
窓障子の破れ紙が風を通してかなり冷え込みましたが、長い旅路の疲れもあって浩平はぐっすり眠っていました。
もうすぐ夜も明けようかという頃です。
夢心地にもなんとなく寒く、布団をかけ直そうと探ってみますが、指は一向に布団にふれることが出来ません。
少しいらついたように手を動かす浩平の顔になにやら冷たいものがしたたり落ちてきて、はっと目を覚ましました。
雨漏りでもしているのか。
まだ覚めていない頭でそう考えた浩平が天井を見上げると、そこには月がありました。
やや白みがかった空に、有明の月。
「(屋根が無い…!?)」
いくらなんでも夜の間に屋根が無くなっていることなどありえません。
浩平は大変驚き、部屋を見回しました。
部屋の中は浩平をさらに驚かせる有様でした。
戸ははずれかかっており、床は腐ってしまって隙間から雑草が高く生い茂っています。
天井は半分以上が風でめくりとられて、朝露がそこからこぼれ落ち、見ると袖がずいぶんと濡れております。
昨夜の家の面影は全くありません。
浩平はあっけにとられていました。
しかしふと何か思いたって、もう一度部屋を見回しました。
さきほどから瑞佳の姿がどこにも見当たらないのです。
「瑞佳! 瑞佳っ!」
名を呼んでみてもただ声が空しく響くだけです。
浩平は急いで庭に出てみました。
庭は屋内と同様に、ひどく荒れ果てていました。
浩平が振り返りあらためて自分の寝ていた家を見てみると、やはりそれはとても人の住む場所ではないような廃屋です。
眠気はとうに消え、これが夢でないことははっきりとしていましたが、それでもにわかには信じがたい事でした。
「(これは…狐にでもだまされたのか? それとも昨日のことは全部俺の夢だったんだろうか…)」
「(…考えてみれば、やはりそうなのかもしれない。瑞佳はとうにいなくなって、この家もすでに獣の住み処に
なっているのだろう。それならば狐に騙されたというのも、あながちありえない話ではない)」
「(なんのことはない…予想してたことと少しも違わなかったんだ。昔のままなのは、俺だけなんだ…)」
なんともやりきれない気持ちになった浩平は、家の中を呆然と見てまわりました。
変わり果ててはいますが、以前自分の住んでいた家に間違いはないようです。
見覚えのある我が家の造りに少し懐かしく思っていると、寝所であった部屋におかしなものを見つけました。
他の部屋と違い、そこだけ床板が取り払われています。
土がむきだしとなっており、その中心には盛りあがった土。
そしてその部分が雨風にさらされぬように、板を屋根のようにして立てかけてあります。
明らかに自然にできたものではありません。
なんだろうと思い近づこうとして、浩平は不意にそれがなんであるかが分かりました。
さきほどは板の陰にかくれて見えなかったのですが、盛りあがった土には木片がささっており、そのすぐ傍に水を入れた
器が置かれているのが目に入ったのです。
浩平は寒気をおぼえました。
今目の前にある墓。それはもちろん見知らぬ人のものである可能性だってあります。
瑞佳がいなくなった後、人のいなくなったこの家に住みついた者の墓かもしれません。
それでもこの墓は瑞佳のものであるとはっきり感じたのでした。
浩平はそれに駆け寄って、じっと見つめました。
墓標がわりの木片はところどころ腐っており、器の水もずいぶん古くなっています。
ふと器の下に折りたたまれた紙があるのが見えました。
取って開いてみると文字がかいてあります。
あちこち薄れ消えてるため読みづらいのですが、よく見ればそれはまさしく瑞佳の筆跡でした。
前のほうはほとんどが消えてしまっていて読めなかったのですが、最後の方はかろうじて読むことができました。
……ずっと待って…が……もう……ない…
……それでも…かはきっと……てくれる…
……おかえりと……げられな……残念でならない…
…………浩平……浩平……
これを見た時初めて浩平は瑞佳の死を如実にさとりました。
もはや疑うことなどありません。
昨夜の瑞佳。
それは帰ってきた自分を出迎えるために姿をあらわした、すでにこの世のものでない魂。
たった一夜のためだけの、瑞佳の願い。
「(ずっと…待っててくれたのか……)」
約束通り自分を待っていた瑞佳。
七年も遅れて帰ってきた自分に恨みごと一ついわず、ただ嬉しそうに泣きながら迎えてくれた瑞佳。
そしてそんな瑞佳を待たせたまま、絶望のうちに死に追いやった自分。
浩平は大きく叫ぶように、長い間泣いていたのでありました……
。・゚・(ノД`)・゚・。
しんみりしました…イイ仕事でした。
長くあけてすいませんでした。
前に『次の次で終わり』と書きましたが、ちょっとあやしいです。
次回はなるべく早く書きます。
(TД⊂)
age
ヨイ!!
一途やねぇ
めんて
age♪
159 :
名無しさんだよもん:02/11/17 21:55 ID:le62TcGv
雨月物語、素晴らしい!感動した!
すばらしい。。・゚・(ノД`)・゚・。
161 :
名無しさんだよもん:02/11/17 22:15 ID:K7Q7ufio
感動した。いい話だ・・・
こんなエロゲないかな・・・
ONE似ているといえば似ているかも。ストーリーがね。
しんみり…
影響されて雨月物語予約しますた。
163 :
:02/11/18 02:01 ID:yLIbO4du
164 :
名無しさんだよもん:02/11/18 02:21 ID:Ga2hjrHQ
つまんね・・・
あれ?これで終わりじゃないのか。
確かに原作でももう少しあるけど……
期待しよっかな、と。
ネタが乏しいのでせめてキャスティングでも考えてみる。
分福茶釜
かちかち山
美汐「……失礼な」
桃太郎ハーレム編
某四姉妹「……」
168 :
名無しさんだよもん:02/11/18 18:44 ID:6c0D0pt7
昔、あるところに住井という若者がいました。
彼の一家は代々商人でしたが、彼は家業を継ぐのを嫌がりました。
この太平の世だからこそ、、日本中をまわってみたい。
親の心子知らずというやつですね。
彼がいつものように悪友達のたまり場へ行った時のことです。
「いいじゃないか。遊んでいこうぜ」
「どっから来たんだ?派手ななりだけど」
またナンパでもしているのか、と、彼は勇んでその輪に入ろうとしたその時です。
シュピ!!
彼は血しぶきを浴びました。
死屍累々‥
そう形容するにふさわしい光景でした。
「峰うちです‥」
どう見ても刃のほうで切ってるぞ‥おい。
と、声に出す勇気は彼にはありませんでした。
「あれ、もうひとりいるよっ、茜」
金髪の大きなお下げの人殺しが、彼を見ました。
「あなたも峰打ちさせていただきます‥」
「ま、まってくれ!」
彼は命乞いをしました。
惨めかつ無様に。
「なんかかわいそうになっちゃったね」
「哀れです‥」
てめえら、岡引に突き出してやる!と、また声には出さずにおきました。
「この人達しつこかったんだよねえ〜」
「しつこいナンパ‥嫌です」
「だとしても‥殺すまではせんでも‥」
と、言い切る間もなく彼ののどにピンク色の傘が突きつけられました。
「峰うちです‥」
話を聞くと、この二人組みは甘いものを食べ歩いて旅をしているとの事。
黒髪のほうが詩子。
仕込み傘を持っているのが茜。
ということでした。
「ところで、住井商事って知ってる?」
「え?そりゃあ俺の親父の会社だけど‥」
二人の目が輝きました。
「ホントに?じゃあ連れてってよ」
「お願いします‥」
いくら殺人犯といっても美女二人に頼まれて断れるはずもありません。
彼は二人を案内しました。
新作ハケーン!
がんばってくだされぃ
マーベラス!
今回のdat落ちのメンテ猶予3時間弱だったらしい。
>169氏にマジ感謝
社屋に行った三人に父親は怒鳴りつけました。
「護‥お前はまた女遊びか!」
「ちげーよ。なんか知らんけど来たいって…」
「ソフ倫シールはピカピカだ‥」
詩子がボソッとつぶやくと、父親の顔は真面目な商人のツラになりました。
「護、お前はあっちに行ってなさい」
「なんだよ、突然‥」
「じゃあねえ〜」
「さよなら…」
二人は父親に連れられて奥の部屋に入っていきました。
でばがめ精神にゆり動かされた彼は、勿論聞き耳を立てました。
「さあ、どれが欲しい‥全部10両だ‥」
「ん〜っとね、これと、これと、、あとこれも」
「こいつは最新式ですぜ。南蛮のほうでもまだ出回ってない」
鈍い彼にも分かってしまうぐらい、やばい取引をしてました。
おやじ‥そんな商売もしていたのか‥
乾物屋は確かにいいカモフラージュに‥
と、彼が思い悩んでいると、
「野郎ども、やっちまえ!」
と、親父の悪役全開な叫び声が響きました。
あわてて扉を開けてみると、中でとんでもない殺陣が。
彼も顔を見知っている社員がドスを振り回したり、切られたり、撃たれたり。
唖然としてその光景を眺めている彼でしたが、終に父親一人になった時はあせりました。
「く、く、、」
「金を払わないからってそんなに怒んなくてもお〜」
「怒りっぽい人‥嫌です」
明らかに父親が正しいと思いましたが、飛び出すに飛び出せません。
「じゃあだそっか、あれ」
「分かりました‥これが目に入りませんか?」
茜が取り出したものは、なんと、徳川家の印籠でした。
「おじいちゃんが死んだからあたしが代わりにこうやって悪人を退治してるんだよね〜」
「な、、なんと」
父親はがっくり膝を付きました。
この時代に女が‥とか考える事はやめて、彼は一つの決心をしました。
俺も付いていこう‥
「さあ〜て、今度はどこいこっか、茜?」
「甘味物の有名なとこがいいです‥」
楽しく会話する二人の後ろに影一つ。
さあ、旅は始まったばかりです。
水戸黄門 始まり始まり〜
始まりと書きましたが、これで終了です。
突発的に浮かんだだけなので‥
>177
乙です。
終了ですか… なにげに続き気になります。
旅モノは面白そう。
久遠の絆の『絆』聞きながら雨月読んでたら感動しました。
切ない話です…
ここってわらべ歌とかマザーグース(同じようなもんだけど)でもいいのかな?
180 :
名無しさんだよもん:02/11/19 22:50 ID:ow7rleve
お話のパロならなんでもよさそうだ。
クトルゥ―神話をモチーフにしたりしてもおもろそうだ。
183 :
名無しさん:02/11/20 22:46 ID:f/DfvS01
メンテ
寝る前にもっかいメンテ
マーベラスメンテ
葉鍵な日本クトゥルー話!
……それは凄そうだ。
>>187 嗚呼、そのリゾットは形状し難き容姿と風味をもって、わたしの灰白色の器官に侵入してきたのだ。
フングルイ・ムグルウナフー・ツキミヤ・ル・リエー・ウガ=ナグル・フタグン
(死せる月宮が、ル・リエーの家で、夢見ながら待っている)
190 :
:02/11/21 17:26 ID:JlG1c6yZ
マチカネメンテ
>188-189
ワラタ。意外にハマるシチュあるものですな。
(^^)
(^^)
むかし、むかしあるところに一組の夫婦が住んでおりました。
旦那さんの名は祐一、奥さんは美汐といいました。
祐一と美汐はものみの丘で木の実を集めることを生業としておりました。
ある日、二人がいつものように丘へ行くと、どこからともなく
赤子の声が聞こえてきました。
はて、こんな丘に赤子の泣き声とは?と二人は不思議に思いながらも泣き声が
聞こえてくる方へと向かっていきました。
すると丘のてっぺん辺りに、赤子が一人きりで置かれてるではありませんか。
赤子は赤い布で包まれており、辺りには人影がありません。
捨て子、その言葉が二人の頭をよぎりました。
けっして裕福ではない時代、口減らしのためという理由で赤子を捨てる者は
少なくありませんでした。
そして、やはり裕福でない二人は色々考えたすえ、この子を自分たちの子にすることにしました。
理由は、複雑にして単純なモノでした。
二人はすでに子供を授かっていましたが、その子をはやり病で亡くしていました。
その記憶が二人に子供もつことをを拒否させていましたが、
見つけてしまった以上、見捨てることは二人にはできませんでした。
そして美汐が赤子を抱き、二人で登った丘を三人で下っていきました。
またも新作ハケーン!
禿しく期待
めんて〜〜〜
さて家に帰った夫婦はまず冷え切った赤子を暖めようと思い、
お風呂を沸かし、三人で入りました。
お風呂に入って分かったことですが、赤子は女の子でした。
それは、まぁ些細なことです。
二人はお風呂から上がると、娘にご飯を食べさせ、べべを着せて、寝かしつけました。
娘が完全に眠ったのをみて、二人はこれからどうするか話し合おうとしましたが、
ついつい亡くした自分たちの子のことを思い出してしまい袖を濡らしてしまいました。
二人はこれからどうするかは、生活していくなかで決めることにし、
まずは拾ってきた娘に名前を付けることにしました。
二人は色々考えた末、
亡くした子、短い間二人の息子だった『真』から採って『真琴』と名づけました。
メンテ最高!
メンテで200ゲット
う〜む。流石に昔話だと真琴人気だな〜。
メンテ
四国が舞台なら美汐の独壇場?
そうなん?
メンテナンス
>203
ぶんぶく美汐でつかw(いやアレは四国じゃないけど
どうか起きたとき落ちてませんように…
朝になったら落ちてたなんてことになりませんように…
二重だし…
俺はスコールよりかっこいい中3なんだけど、
うちの学校にすげーユウナに似てる女子がいるんだ。
うらやましいだろ?
四国は化け狸の総本山だからねぇ。
……えーと、ガープス妖魔夜行のルールブックはどこに行ったかなぁ……?
まあ、ラノベ板兼葉鍵板の俺から言わせて貰えば、
「佐藤ケイ!!お前の出番だ!!」と。
職人さんがたこの人の本とか参考になるかも知んないんで見てみるといいかもです。
えー、なるかー?アレ。普通に昔話調べた方がいいぞきっと。
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真琴と暮らすことで夫婦の生活は少々変わりました。
二人は木の実を取りに行くときには真琴を連れていきました。
二人だけのときは奥さんの性分からか二人とも黙ったままで、丘は静かでしたが、
今は真琴がいます。
まだ幼い真琴はしゃべれません。
それゆえ泣きます。
一生懸命、父に母に届くように。
それを聞いて、美汐は背中の娘に語りかけるように、子守り歌を丘に響かせます。
その声は祐一に娘の存在を確かに知らせるのでした。
保
Long long ago
222 :
:02/11/25 20:02 ID:RbDmTFbS
魚の浮き袋と言おう。
ぷかぷか
グリム童話は…、日本葉鍵話だしダメか。
>225
そんなことはない。
グリムだろうがクトゥルーだろうがなんでもあり。
裸の王様・・・・・・高槻。
……どれほど時間がたったのでしょうか。
すでに日は高く昇っておりました。
浩平は涙をぬぐい、よろよろとした足取りで表へ出ました。
外は快晴で、昨夜とはうって変わって辺りは穏やかな光に包まれていました。
雷に砕かれている家の前の松の木でさえ、夏の陽光を受けて、昨夜のおそろしげな雰囲気を全く感じさせぬほどです。
しかしそれはかえって浩平を暗い気持ちにさせるのでした。
さきほどから思い浮かぶのは瑞佳の顔ばかり。
ことに松は、生きている瑞佳を見た最後の時を思い出させます。
またも涙が溢れてきましたが、ぐっと堪えて、自らのすべき事を考えるようにしました。
浩平は自分の手であらためて瑞佳を弔ってやりたいと思いました。
ですが自分は妻の死んだ年月日すら知りません。
せめてそれくらい知っておかねば夫としてあまりに情けないと思ったので、誰か知っている人でもいないものかと、とり
あえず辺りを歩いてみることにしました。
浩平はまず近所の家を訪ねてみました。
昨日の夜は気付きませんでしたが、村には崩れていない家もあり、まばらながら人も住んでいるようでした。
しかし一軒一軒まわってみても見知った顔は一人としてなく、逆に『どこの国の人か』などと、こちらが問い返されて
しまいます。
聞けばここには最近になって移ってきた者しか住んでいないらしいのです。
皆、瑞佳のことは名すら知りませんでした。
それでもと浩平があちこち訪ねまわると、ようやく昔から住んでいる人を知っているという者に出会えました。
話によると、その人は滅多に家の外に出ることはないのですが、何年も前からこの村に一人で住んでいる、まだ年も若い
女であるそうです。
村のはずれに家があると聞き浩平は、最後の望み、とそこに訪ねていきました。
……確かに家はありました。
ですがその家は大変みすぼらしいもので、崩れてはいないものの、とても人が住んでいるようには見えません。
もしや場所を取り違えているのではと思いましたが、とりあえず戸の前に立ち、声をかけてみました。
するとやや間をおいて、静かに戸が開けられました。
浩「あんたは…ひょっとして里村か!?」
思わぬ見知った顔に、浩平は驚きました。
この女、里村茜は、浩平がこの村に移ってきた以前からこの村に住んでいる人です。
決して親しい間柄ではありませんでしたが、浩平や瑞佳と歳が同じということもあり、話をしたことも何度かありました。
お互いに以前とは風貌も変わっておりますが、向こうもこちらを覚えているようでした。
浩平は顔見知りが生きていたことを素直に喜び、安堵の笑みをこぼしましたが、茜の方は表情を変えぬままでした。
茜「…どうして今頃になって帰ってきたのですか」
てっきり茜も再会を喜んでくれると思っていた浩平は、意外にもやや怒気のこもった声に狼狽しました。
少しの間返す言葉を失っていましたが、すぐこの茜の言葉に何かを感じ取り、あらためて彼女を見つめました。
茜はさきほどの無表情とはうってかわり、悲しげな目をしています。
浩平もようやく事情を察しました。
浩「もしかして…里村があの塚をたててくれたのか?」
茜「……はい」
浩「…それで瑞佳は、いつに?」
茜はすぐには答えませんでした。
やがて、最初からお話しします、と言って静かに語りだしました。
茜「あなたが遠くへ発った後、この村は夏の頃から戦に巻き込まれました」
浩「……」
茜「村の人たちは逃げていき、若い人は兵に連れていかれて、村にも敵の兵たちが攻めてくるようになりました」
「…美しかった田畑は荒れて、村は獣たちが棲む薮原になってしまいました」
「…そんな中で瑞佳さんは、気丈にもどこへも逃げずにあなたの約束を信じて家を守ってました」
浩「里村は? 逃げなかったのか?」
茜「…私は生まれつき足が弱いから、一日に一里も歩けないです」
「…夫はそんな私を残して逃げてしまいました。でも、蓄えだけは沢山残してくれた。それで私は家に固く閉じ
こもっていたんです」
浩「そう…か」
茜「…瑞佳さんも村に残ってること知ってたから、時々訪ねました。訪ねるたびに痩せてるようだったから、食べ物
を持っていったりもしたけど、それもほとんど受け取ろうとはしませんでした」
「…そのうち外にも出られないくらい物騒になって、ようやく久しぶりに会いに行ったときには病に臥されてました」
「そしてその五日後には、もう……」
「…あなたが約束した秋の…その翌年の八月十日のことです……」
そこまで語った茜は短く息をついてから、浩平に再び悲しげな目を向けました。
茜「…どうして、こんなに遅くに……」
最後の茜の言葉には責めるような語気はなく、消え入りそうな声でした……
前回に『早く書く』などと言ってましたが、ひどく遅れてしまいました。
本当にすみません。
茜がこんなに喋ってるのは少し違和感ありますね…
原作では老人ということになってますが、やはり葉鍵話ということで強引に茜に
しました。
次回、最後です。
前回の例があるのでうかつなことは言えませんが、頑張って早く仕上げます。
おお、お疲れです。次が最後か…。
なんか感慨深いな。
元の話を読んで待つかな。
age
元ネタの雨月物語って完全に知らなかったんだけど、これって有名なの?
>235
いや、それほどには有名じゃないと思う。
まぁでも名前だけなら知ってる人も多いはず。
>>雨月さん
ずっと待っていたんだよもん
…どうして、こんなに遅くに……
なんつったりして。
すごくイイので、ゆっくり書いてください。気長に待っています。
雨月さん乙〜。
今回も(・∀・)イイ!
雨月さん乙カレー。毎回楽しく読ませて頂いてます。
ところでみなさん「世田谷城名残常盤記」ってご存知ですか?これをネタにSS書きたいんですがあらすじくらいしか手元にないんで…
ご存知でしたら情報をよろしくお願いします。
241 :
:02/11/27 21:31 ID:txeRPlQY
暴れん坊将軍でSS書いていいですか?
水戸黄門でSS以下略
老人=茜は意表を衝かれました。
確かに茜なら適役かもですね。
>>240さん
は、早い…情報ありがとうございました。早速作業に取り掛かります。
245 :
240:02/11/28 00:49 ID:nO7lPX8O
あい。
がんばってください!
246 :
:02/11/28 04:20 ID:ECyrTlSz
>235
雨月自体は日本史の教科書に出てくるレベルの知名度。
中でも浅茅が宿は結構翻案もされてたりするし定番ではあるかな?
501……
今夜あたりかな。
というわけでメンテ。
251 :
:02/11/28 17:31 ID:SpwCe3Wl
保守
もういっちょ
>242
征夷大将軍高槻……危険すぎる
松平健と高槻を置換した暴れん坊将軍OP……
マーベラスメンテ
>204
四国の民話では怪しいことはみんな狸のせいにされていたりする。
なので>211と言われる。
ほほう
258 :
:02/11/29 01:48 ID:/siCZWyw
でも昔話のたぬきってあんまり幸せになってない気が……
美汐たん、不幸?
260 :
保守:02/11/29 13:13 ID:oKoqYsx6
ここは俺が引き受ける。お前は生きろ…
261 :
舌きり澪:02/11/30 01:12 ID:Ra2J8RKt
昔々、あるところで折原浩平と里村茜が寿司屋を営んでいました。
甘いところのある浩平は、毎日店にやってくる澪に安いものですがお寿司をあげていました。
澪「浩平さん、ありがとうなの」
澪は浩平のことが大好きでした。
けれども茜は浩平が、毎日澪にお寿司をあげるのを快くは思ってませんでした。
茜「浩平、お寿司をあげることができるならワッフルでも買ってきてください」
浩「いや、安物の寿司だし、いいじゃないか」
ある日、浩平が留守の時に、茜がワッフルを作ってから、洗濯をしていると、
澪がワッフルを食べてしまいました。
怒った茜は澪を捕まえると、布きりバサミで舌を切ってしまいました。
舌を切られた澪は泣きながら家に帰っていきました。
262 :
舌きり澪:02/11/30 01:15 ID:Ra2J8RKt
ありがちネタで一つ。
茜ゴメン、今回は泥を被ってくれ。
今日の夜には後半落とします。
なんか茜って嫌味を言ってもかわいいな…
そして今回もONEな罠。
でも葉でやろうとすると鬼ものになってしまう罠。
ど う す れ ば い い ん だ(w
>>264 東鳩で「セリオの恩返し 大人向」書いてくらはい。
大人向
天正十八年四月五日、豊臣秀吉率いる十一万の大軍は、関東を雄として北条早雲以来五代にわたって勢力を伸ばした根拠地の小田原城を囲みました。
城を守る将兵は六万人余り、兵の数が明らかに劣っていた北条氏は、同胞の世田谷勢の加勢も空しく百日あまりの戦闘の末、七月七日にあえなく落城してしまったのです。
その北条氏と共に世田谷を中心として栄え、北条氏と七代浩平、八代浩朝と二代にわたって婚姻を結び親交を重ねた住井氏も運命を共にしました。
時は戦国時代、絶え間なく続く戦乱に、田畑は荒れ人は路頭に迷う動乱の世に生を受け、浮世の無常さに武士の身分を捨て仏門に入って久しい修善寺の僧、七瀬は、
一つには先の戦いで倒れ、誰一人として弔う者もない数多の霊魂を慰め、二つにはこの戦いをもって終わりとしまた諸国に平和が蘇ることを願おうと諸国巡礼を思い立ちました。
「…これって乙女の為せる技よね…」
その七瀬が、伊豆、相模と巡っているうちに世田谷に入り、ちょうど些かの疲れを感じていた七瀬は大山へと続く街道を横切る清い流れに架かる小橋のほとりに体を休めました。
このあたりはまだ戦の気配を感じさせない静かで清らかな場所です。
「この辺ではまだ戦は起っていないみたいね。どこもこうだと良いんだけど…」
梅雨に入りたての空はどんよりとしていて暗く、風も止んでいます。曇っていて分りませんが、晴れていたなら日はもう西にかなり傾いている頃合でしょう。
小川に足を浸して旅の疲れを癒し、どこか雨露をしのぐ場所はないかと思いを巡らし、一人心細くしていました。
ふと、目を上げると、ほの暗い林の中から特徴的な髪結を付けた青い髪の活発そうな年の頃十三、四ほどの童女を従え、
五つ重の小袖を着て、赤い袴の袖を取り、静々と近付く十六、七歳の髪が黄金色に染まった美しく気高い女性が居り、驚きのあまり口が開けなくなっている七瀬に女性は静かに語りかけました。
「そこにおられる旅のお坊さん、この小橋には世田谷城にまつわる聞くも涙、語るも涙の哀れなお話があります。私の語る物語、しばしお聞きください」
と、身動きも出来ず呆然と立ち尽くしている七瀬の耳に、赤い唇から紡がれる物語が低く、しっかりと響くのでした。
導入部です。
>>240さん提供の資料をもとに書いてみたのですが…モロパクリですな(W
初めてな者で書き方がよくわからず文章がほぼパクリになってしまいましたが、
次はできるだけパクリにならないように(次はあるのか?)頑張ります。
おお…来てる。
>239氏ですね。
茜をもってきましたか。
ONEキャラって日本の昔話のイメージになんか合いますよね。
次はあるのか、なんて言わずどうか続けて下さい。
期待してますから。
270 :
舌きり澪:02/12/01 00:36 ID:Wc1S5qV/
家に帰った浩平は、その話を聞いて、あわてて澪を探しに出ました。
浩「みおー、どこだー」
そう浩平が叫んでいると、何人かの人影が近づいてきて。
?「あなたが浩平くんだね、澪ちゃんはこっちにいるよ」
と浩平を案内し始めました。
竹やぶに中に澪の家がありました。
舌を切られた澪が寝ていましたが、浩平を見ると顔を綻ばせ、冊子を開くと
『浩平さん、お見舞いに来てくれてありがとうなの』と書き綴りました。
澪と仲間達は浩平にご馳走をたくさんだしました。(ある者が一人でほとんどを食べましたが)
そして澪が主役の劇を見せて、浩平を楽しませました。
「楽しかったぞ澪、さて俺はそろそろ帰るとするよ」
浩平がそう言うと、澪は言いました。
『それではお土産に、この大きな箱か小さな箱、どちらかを選んでくださいなの』
「うむ、ここはあえて大きな箱を選んでみるか」
浩平は大きな箱をせおって、家に帰りました。
1日ずれた上に終わりきれなかった罠。
>267
密やかに待ってましたw
がんばって下さい。
>雨月さん
今まで感想書いてなかったですが、切ない二人の話好きです。
この橋より西北の方に、草生した古城跡があります。盛んだった時のこの城には、城主「折原氏」が源氏の正統を誇って住み、
過ぎ去った室町幕府の時代には将軍の縁戚として八代およそ二百余年の間、世に「折原御所」と敬い呼ばれていたのです。
中でも七代「浩平卿」の時代が最も盛んで、支配する領地は、世田谷・目黒全域をはじめ太田・品川にまたがり、南は川崎に至り横浜には蒔田城を構えていました。更に西には府中・調布・狛江を含むなど広大なものでした。
なお、北条氏と共に鎌倉八幡宮を造営する際には、大量の木材を寄進しただけでなく、延べ五万人の人夫を派遣するなど、飛ぶ鳥も落とす勢いでした。
浩平は、朝にはめっぽう弱いのですが智・仁・勇の三徳を備えた名将で、隣国もその風に靡き、またその人格を慕って集まった二十九家三十六人の優れた侍大将を従えていたのです。
その良き家来に囲まれた浩平は、春には花を愛し、夏には玉川に漁し、秋は多摩のもみじに鹿を追い、冬には駒澤で鷹狩りと、優雅な日々を送っていました。
たまたま、白雪がまばゆい冬のある日、深沢、野良田、等々力と馬に乗り、多くの従者を従えて鷹狩の獲物を探していた時のことです。
「なぜここぞというときに限って獲物がいないんだ?ど う す れ ば い い ん だ」
天気は快晴で、獲物の一羽や二羽は飛んでいそうなものですが、何故か今日はまだ一羽も捕らえていませんでした。
「…お?」
と、澄み切った青空に一羽の白鷺を見つけた浩平は、拳に乗せた鷹を放ちました。ものの十数秒で鷹は見事に鷺を捕らえ、奥沢城下「大出空き地守」の屋敷近くに落ちました。
「よしっ!さすがは俺の『山葉』だ!」
喜んだ浩平は、馬を飛ばし自らその鷺を抑えました。獲物を取り立て、ふとその脚を見ると、和歌の書かれた短冊が結び付けられていたのです。
「…なんだこれ?」
驚きつつも見入ったその短冊には、
狩人の今日はゆるさん白鷺のしらじらし夜のあけぼの
と一首だけ書いてありました。
不思議に思った浩平は、南・中崎などの家来たちともどもこれを見て思いを巡らしましたが、謎は解けないまま城に帰りました。
続けてみました(笑
まだまだ序盤です。しかも会話の部分が少ないですよね…精進します。
城に帰った浩平は、改めて短冊を見ました。水茎の跡の麗しさに思わず見ほれてしまい、いつのまにか未だ見ぬ書き手の女性に、想いを寄せるようになりました。
「どんな女性(ひと)なんだろ?はやくこの目で見てみたいもんだな…」
その想いは日に日に募り、誰にも言えず、悶々とした日が続いていたのです。しかし、あまりの苦しさに耐えかねて、密かに小姓の川名みさきを呼び寄せました。
「なあ先輩、このあたりをまわってあの和歌を書いた人を探し出して欲しいんだけど、頼まれてくれるか?」
「うんっ、浩平君の頼み事ならなんでもするよ……カツカレー三杯で」
「……わかった。条件を飲もう」
少し強引に引き受けたみさきは、直ちにその探索に取り掛かることになりました。しかし、
「あ、でも私、なんの手がかりも持ってないんだった」
探すあてもないので、まずは品川橋の上に立って、行くべき方向を占う事にしました。意を決して「国家太平」を祈る真言秘密の勝国寺を皮切りに、松原から赤堤、そして経堂・八幡山と、探すあてのない主を求めての歩行を続けました。
粕谷・船橋・廻沢、さらに祖師ヶ谷と、田畑に働く人々に問い、農家の戸口で訪ねては、あの白鷺の飼い主を、藁にもすがる思いで求めるのでした。
「浩平君、やっぱりカツカレー三杯じゃ足りないよ…」
疲れた足に鞭打ちながら、なおも調布の里、狛江・喜多見へと足を運びましたが、それも空しく過ぎました。
「うー疲れたよ…雪見ちゃんも、こっそり連れてくればよかったかなぁ。一人じゃ、心細いよ…」
挫けそうになる心を励まし、浩平の願いを叶えようと、更に大蔵・用賀・岡本・鎌田などを巡りにめぐりました。後に残るは額田の里、諏訪・上野毛・等々力と、はやる心を抑えての、入念な探索が重ねられた事は言うまでもありませんでした。
しかし、その願いも空しく、該当する者はいませんでした。みさきはほとほと疲れ果て、等々力渓谷に降りて清流に喉を潤しました。
ふと上流を見ると、左右から川が流れぶつかりあって下って来るではありませんか。余りの不可思議さに、しばらく疲れを忘れて見とれていました。
その時です。静けさを破ってあわただしい足音が聞こえてきました。思わず立ち上がって身構えるみさきに、一人の若侍が挨拶もなく問いかけてきました。
「あのね、わたしのごしゅじんさまがたいせつにしてたさぎがね、かごからでてどこかにいっちゃったの。おねえちゃんしってる?」
「本当?私もね、今そのことで人を探してるんだよ!」
聞こうと思っていたことを逆に聞かれたみさきは、あまりのことに驚いて、自分の目的を詳しく語りました。
「みゅっ?ほんと?やったー」
みさきと繭、それぞれに課せられた難題の解決が、偶然ここにあったことを知った二人の喜びは、例えようがありませんでした。
あまりの喜びに二人は、それぞれ腰にぶら下げていた、「てりやきバーガー」と「カレー弁当」を食べながらお互いの願いが叶ったことを祝いました。
みさきは、問うことを逆に問われた縁から、右手から流れ来る川を密かに「逆川」と名付けたといいます。
連続カキコすみません。なんか調子に乗ってしまったもので…
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>>276 いやいや、オモロイ。
元ネタをさっぱり知らないので、続きが非常に気になるっす。
まあ気長に生暖かく見守っていて下さい(笑
雨月さんも言っていましたが、やはり日本の昔話のキャラはONEのキャラだとしっくりくるんですよね。
他のも考えたんですけど、浩平というキャラは使いやすいので、やはりどうしてもONEになってしまうんです。
澪は? 澪は?
a long long ago
284 :
:02/12/03 21:43 ID:rxPe0UBV
age
たった今、ラスト書き終えました。
夜が明けてますね…いつの間にか。今日は辛そうだ…
少し見直すので、投下は今夜します。
毎回言ってますが、やはり今回もです…
遅くなってすいませんでした。
>271
ありがとうございます。
澪は次が最後ですか? オチが気になります。
茜の、「〜ワッフルでも買ってきて下さい」のとこが個人的に好きです。
なんかかわいい。
>281
ですよね、やっぱり。
とりわけ茜。
なんででしょうね…
あと原文読みましたけど、かなり長い話ですね。
頑張ってください。
286 :
舌きり澪:02/12/04 21:38 ID:o3NWja7t
家についた浩平が箱を開けてみると、
中には、一体の大きくて変な人形が入っていました。
浩平はこの変な人形をどうしようか迷いました。
そして。
浩「………いっそ売るか」
そんな決断をしかけた時、浩平は背後から視線を感じたので、振り返りました。
そこには頭を少し出した茜が目を光らせてました。
茜「嫌です」
反論は許さない、とでも言うような響きで茜は言いました。
浩「いや、でもこれh「嫌です」……」
茜「売ってはいけません」
浩「一応これ俺がもらって「嫌です」…了解……」
敗れ去った浩平をしり目に、茜はしばらく黙って何か考えていましたが、唐突に
茜「こんな素晴らしいものをくれた子にはお礼をしなくてはいけませんね」
と言い、お寿司(竹)セットの支度をするし、
茜「浩平、これを届けてください」
浩「俺か……」
茜「私はあの子の舌を切ってしまいましたから」
浩「……」
その言葉聞いた、浩平は無言で茜を担ぎ「きゃっ、浩平!?」手にお寿司セットを
持つと、一路、澪の家へ駆け出しました。
何か違うものになってる罠(鬱
次回、ホントのホントに終りだといいなぁ(鬱だ吊ろう
>285 雨月さん
>茜の、「〜ワッフルでも買ってきて下さい」のとこが個人的に好きです。
ありがとうございます。
茜といえばワッフルということで作ったセリフですが自分でもお気に入りです。
「…なぁ、里村」
二人の間にはしばらく沈黙がありましたが、やがて浩平が口を開きました。
茜は答えるかわりに静かに顔をあげました。
浩平はうつむいたまま、ゆっくりと続けました。
浩「…昨日の夜な、瑞佳が家で俺を迎えてくれたんだ」
茜「………」
浩「あいつ、俺を見てすごく嬉しそうだった…。あんなに嬉しそうな顔をしてたのは、俺が嫁にしてやるって言ったとき
以来だったよ…」
茜「………」
浩「愚かにも俺は何も気付かなかった…。瑞佳と同じ布団で寝ていても、あいつずっと笑っていたから、俺は何も気付か
なかったんだ……」
茜「………」
浩「信じられないかもしれないけどな…」
茜「…信じます」
「…瑞佳さんは、ずっとあなたに会いたいと想いつづけていましたから」
浩「………」
茜「…今からもう一度お弔いに行きましょう。お墓もだいぶ荒れているでしょうから」
茜がそう言うと浩平は頷いて、二人は歩き出しました。
足が悪いという茜の歩みは、なるほどすこぶる遅く難儀そうでありましたので、途中から浩平は彼女をおぶってゆくこと
にしました。
互いにほとんど言葉を交わさず、ようやく松の木が見えてきた頃にはすでに日が落ちかけておりました。
……薄暗がりの中、灯す明かりもないままに二人は墓をととのえました。
とはいっても、もとより間に合わせのような墓でありますので、すべきことは多くありません。
せいぜい墓のまわりに生えた草をぬいたり、器を洗って中の水を取り替えたり、朽ちた木片を新しいものにするといった程度
の事です。
それでもやり終えた後には、ずいぶんきれいになっておりました。
浩平は茜に、改まって礼を言いました。
生前に瑞佳を気遣ってくれたこと、亡くなった後に墓を築いてくれたこと、そして今一度こうして弔ってくれたことに対する
礼です。
少し涙声になっていたのを知ってか知らずか、茜は優しげに返事をしてくれました。
すると浩平はそんな茜の優しさにすがるように、声をあげて泣きだしてしまいました。
そして茜も堪えきれなくなり、一緒になって泣いてしまうのでありました……
月がでていました。
雲の間に隠れたりしながらも、その淡い光で夜道を照らしてくれております。
背中には茜がいます。
浩平は足元に気を付けながらも、時折月を仰いだりしながら歩いていました。
…二人はさきほどまで、瑞佳の墓の前で、無心に念仏を唱えていました。
そうしているうちにすっかり夜も更けてしまったので、浩平が茜を送ることにしたのです。
浩平は泣き疲れてぼぅっとした頭で、色々考えておりました。
茜が不意に何事か話し掛けてきましたが、それもまるで夢の中の出来事のように感じました。
茜「…瑞佳さんは……」
浩「………」
茜「…強い人でした。とても…」
浩「………」
茜「…でも私は、それだけではないと思います」
「瑞佳さんは素朴で純粋で、女性らしい一途さやひたむきさを持っていました」
「…ただ強いというのとは違います。一途にあなたを信じてたんです」
「…それだけに辛くて悲しかったことでしょう…… どうかそれを覚えていてあげてください…」
浩「………」
まるで眠る子供に昔語りをしているような声でした。
それゆえ茜の言葉は、けして責めなどではなく励ましだと浩平は思いました。
浩平は何も答えず、また茜もそれきり何も言わぬまま、村はずれの家にたどり着いたのでした。
浩平はもう一度、丁重に茜に礼を述べました。
そしてそのままもと来た道を帰ろうとするので、茜は少し驚いた風に浩平を呼び止めました。
茜「どこに行くんですか?」
浩「どこって…帰るんだが…?」
茜「…遠慮しなくていいです。行くあてが無いのなら、私の家にしばらく泊まっていってもいいですから…」
浩「いや、いいんだ…。少し一人でいたい…」
茜は、先ほどから表情の乏しい浩平の顔をじっと見て、そして少し心配になり、訊ねました。
茜「…これからどうするのですか? 村を離れるのですか…?」
浩「……いや、離れない。ずっと瑞佳のそばにいるつもりだ」
茜「…そうですか。でしたらまた訪ねてください」
「きっとまた会いましょう…」
浩「里村… 本当にいろいろとありがとうな…」
それだけ言って、浩平は踵を返しました。
茜は思うところもありましたが、浩平が存外早足で歩いていってしまったので、少し見送った後に家に入ったのでした。
「(いつの間にか、雲がはれたんだな…)」
浩平は瑞佳の墓のある寝所で座っていました。
屋根が半分はずれているため、月のあかりが入ってきます。
そのあかりが墓を照らしていて、部屋の中は青く光って幻想的ですらありました。
浩平は色々と思い出していました。
幼馴染みで小さい頃からずっと一緒だった、瑞佳との暮らしを。
いつも邪険にしていたけど、本当はとても好きだった…
「(ずっと言いたかったけど…結局言えなかったな……)」
「(…でもこれからはずっとそばにいてやるよ……瑞佳…)」
……ふと部屋に風が吹いたように感じました
浩平は風にむかってなんとなく手をのばしてみました
そこに瑞佳がいるようで……
瑞佳の声が聞こえた気がして……
―――だって浩平は行きたいんでしょ―――
―――はい。明日はこれ着て行くんだよ―――
笑顔の瑞佳が……
「は………」
…浩平はあふれる想いを抑えるすべもなく絶句しました……
―――おかえりっ、浩平―――
…その後里村茜は、浩平と二度と会うことはありませんでした。
茜は、瑞佳の墓があったところの隣に、もう一つ新たな墓を築きました。
二つの墓が寄り添っているさまは、誰が見ても、仲の良い夫婦のようでありました。
『昔ここには、ある不器用な男と美しい妻がいた……』
……下総の国にでかける商人が、聞き伝えて語った話であります……
これで「浅芽が宿」は終りです。
読んでくれた人たちには、ホント感謝です。
しかし長かった……
終わってみるとなんか感慨深いです。
ラスト、もうすでに元の話とは違います。
全然違います。主人公、死にません。とはいってもその後はなにも語られてないんですが。
さて…実は新しいのも少し考えてます。
書けたらまた書かせてもらうかもしれません。
最後まで付き合ってもらって、ありがとうございました。
それでは……
ヨカターヨ(ノД`)
マジ泣きそうになった。
緊急メンテ&age
うぅぅ感激・・・ホンマ泣きそう・・・・・
すげーよかた。
終わり方がうまかった。最高
凄く良かったです。やっぱり物語はラストが肝心ですよね。
新しいものの方も期待していますよ。がんばってください。
………さて、自分も頑張らねば(汗
緊急メンテに入ります。
感動。マジ良い。
あの不思議な出来事の後、夕暮れ近くにみさきは城へ戻りました。
み「早く門を開けて〜!川名みさきが帰ってきたよ〜!」
短冊の主発見の一報を浩平に一刻も早く伝えたかったみさきは、門番が門を開けている時ですらもどかしく思っていました。
み「浩平君、見つかったよ〜!」
みさきはものすごい勢いで浩平の下へ行きました。伊達に城内対抗競走連続一位なだけはあります。そのころ、従兵からみさきが帰ってきた事を聞いた浩平は、該当する者がいたと察して満面の笑みを浮べていました。
浩「ありがとうな、先輩。で、誰だったんだ?」
み「その前に約束のカレーは?」
浩「…カレー?何のことだ?」
み「ううっ、ひどいよっ。私、頑張ったんだよ?」
と言ってみさきは拗ねてしまいました。
浩「悪い、冗談だ。心配するな、ちゃんと用意するからいくらでも食べていいぞ」
み「さすが浩平君だね。今日はいっぱい食べるよ」
(…先輩のいっぱいってどのくらいなんだ?)
へたをしたらこの城の備蓄米が無くなってしまうのではないかと末恐ろしい想像をしてしまった浩平ですが、すぐに忘れることにしました。
浩「…っと忘れるところだった。で、結局誰だったんだ?」
み「誰って、浩平君のよく知ってる人だよ。私もびっくりしちゃった」
み「何を隠そう里村空き地守様の愛娘「茜姫」だよ」
中途半端ですが、今日はここまで。
今回から書き方を少し変えてみました。
併せて、今までの分に若干修正を加えたいのですが(そうしないと今回のと話が繋がらなくなるため)、スレ汚し承知で改訂版を投下しても良いでしょうか?
>307
異議なしです。
穂朱
遅くなりましたが、雨月さん乙彼。
感動のラスト、とても面白かったです
つのつの一本、赤鬼(千鶴)さん。
つのつの二本、青鬼(梓)さん。
何が言いたいのかというと、
人に溶け込むために、良い鬼のふりをする赤鬼さんは偽善sy………
hoshu
314 :
孫悟空 ◆yGAhoNiShI :02/12/09 16:20 ID:8e9H33bS
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315 :
孫悟空 ◆yGAhoNiShI :02/12/09 16:40 ID:S3lHRpVQ
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ふふふ… 誰もいないのかい…?
…寂しいぞチクショウ(TД⊂)
景気付けに点呼でもとるか。 1
318 :
旧雨月:02/12/10 22:34 ID:RFwOyrFK
何気に。 2
3?
4
5
6だゴルァ ( ゚Д゚)
7?
便乗8
いまさらながら9
遅ればせながら。 10
327 :
舌きり澪:02/12/11 15:35 ID:qS9yvL3a
こっそり11
328 :
名無しさんだよもん:02/12/12 19:42 ID:hkaxc878
ごんぎつね
レミィと真琴でやるとオチがアレですが。
12
雨月さんヨカタヨ
おかげで瑞佳が皿に一層好きになりますた。
SSとはかくあるべきだね。。
浩「…へ?」
浩平は、あまりの事に驚きました。
茜姫と言えば、かねてから雨が降るたび誰も従えずに六本松の空き地へ向かい、いつ降り止むとも知れない雨に打たれながら一日を過ごしているという噂が立っており、大層気味悪がられていましたが、なかなかの美人であるともいわれていました。
かくいう浩平も実は一度茜姫には会っていたのです。それは、小雨の降る初夏のことでした。用事を済ませ、奥沢城から世田谷城へ帰る途中だった浩平は、ちょっとした空き地に人影を見つけました。
浩「おい、そんなところで何やってるんだ?」
?「誰…ですか?」
浩「折原浩平だ。浩平ちゃんでいいぞ」
?「そうですか」
ボケも無視され、さらに愛想なくされたとあって浩平はかなりがっかりしたようでした。
浩「仮にもこの土地を治めてる者に対しての態度じゃないと思うんだがな…」
?「私に何か用があるんですか」
浩「いや、全然ないけど」
?「私もです」
あまりにも愛想のない返事の所為で二人の間に居心地の悪い空気が漂いました。
この重苦しい沈黙の中で、ややあって浩平が口を開きました。さすがにこの場に歓迎されていない存在だということくらいは理解できたのです。
浩「お互い用がないみたいだし、俺、行くから」
浩「あんまり雨の中で突っ立ってると風邪引くぞ」
?「大丈夫です」
浩「…そうか」
その言葉を最後に、浩平は空き地を去りました。
この後、あの空き地で出逢った女性は誰であるかみさきに調べさせ、茜姫であるということがわかりました。
無愛想にされただけで興味を無くすようなやわな神経を持ち合わせていなかった浩平は、その日から何通も文を送りましたが、そのことごとくに返事が帰ってきませんでした。さすがの浩平も諦めかけたそのとき、例の短冊の件が起ったのというわけです。
投稿遅れてすみませんです。次は早くできるかも…
おお… 乙鰈です。
面白くなってきて(・∀・)イイ!
保守ミ,,゚Д゚彡
保守
み「空き地守様はね、茜姫をこの上ないくらい愛してて、片時もそばを離れないらしいんだよ。でも姫はもう年ごろでしょ?早く自由になりたくてもなれなくて、憂鬱な毎日を送ってるんだって」
み「あの白鷺も姫が集めた鳥の中の一羽なんだけど、籠の中に入れられてる姿を見ていたら自分の哀れさを感じたらしくて、七夕の夜に鵲の諺にならって自由と恋愛を詠んだ短冊を託して白鷺を解き放ったらしいんだよ」
みさきの話に聴き入っていた浩平は、もう一度ねぎらいの言葉をかけた後帰しました。この話を聞いてからというもの、どうすれば茜姫が相手にしてもらえるのかを部屋に引きこもったまま考え続けました。
そして十日目の朝、突然「誰でもいいから南・中崎を呼んでくれ」と大声を上げました。程なくしてやってきた両名に、
浩「あの短冊の主は、奥沢城の茜姫のものだったんだ。実は少し前から茜姫へ文を送っていたんだが、ことごとく返事がこなくてな。ついてはお前たちに少し協力をしてもらいたいんだが…」
打ち明けられた二人は、事の大きさに困り、いずれ相談の上と引き下がりました。ただ、ここで二人が勘違いしたことによって、事態が意外な方向へと向かいます。
中崎「まいったね、こりゃ」
南「しかし折原の奴、とうとう茜姫にまで手を出すとはな…」
中崎「とにかく二人をくっつければいいんだよね。まずは『あの二人』に相談してみようか」
南「ああ。『あの二人』ならなんとかなるかもしれねえな」
中崎の言葉遣いが微妙です。これでもいろいろ調べたんですけどね。
キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
禿しく続きキボンヌ
339 :
名無しさんだよもん:02/12/18 00:24 ID:a7Z0ip6I
こんなに(・∀・)イイ!話がたくさんあるのにdat落ちなんてもったいない!
よって、続きもしくは新作期待age
保守
細菌の話ですか?
うう…雨月さ〜ん……
良スレ応援保守
浩平からの意外な相談を受けた南・中崎の二人は、まず浩平の叔母でもある「由起子の大公」の力を借りることにしました。
由起子の大公は、京都の公家に嫁いでいたのですが中務殿に先立たれてしまい、帰郷して御所の西に仮の御殿を建てて住んでいます。
由「あら。私に何か用かしら?」
南「それがですね、浩平の奴がまた女に手を出しまして。で、その相手がなんとあの茜姫なんですよ」
由「まあ…」
中崎「それで浩平は僕たちに二人の仲を結ぶよう命じたんです。ですが…」
南「この二人だけでは埒があくはずもありません。そこで大公のお力をお借りしたいのですが…」
由「成る程、事情はわかったわ。後は私がやっておくから二人とも下がっていいわよ」
南・中崎「「あ、ありがとうございます!」」
南と中崎を帰した由起子は、早速大奥に仕える華穂局に使いを出して呼び寄せ、浩平の様子を聞き、茜姫についても問いただしました。
問われた華穂局は、
華「浩平君はここのところ気分がすぐれなく、側に仕える者一同心配していたのですが、悩みの原因が茜姫様だと聞いて安心しました。茜姫様は世田谷城の重要な支城である奥沢城の城主ですし、かの里村氏も信頼が厚いですからね。」
由「姫はよくても浩平は大丈夫でしょうか」
華「大丈夫だと思います。茜姫とは十分うまくやっていけると思いますよ。ところで、奥沢城への使いは私にさせて頂きたいのですが」
由「もちろんです。いつもありがとうございます。」
華「いえいえ。浩平君には借りがありますし、これくらいしかする事がありませんから」
と、浩平の知らない間に水面下で着々と準備が進んでいったのです。
数日後、由起子を通しての使いを受けた空き地守は、喜んでお受けする旨を答えました。この朗報で世田谷城は沸き返り、その報は早速浩平に伝えられました。
南・中崎「「やったぞ、浩平!!」」
浩「ん?どうした?」
南「どうしたもこうしたもねえよ!茜姫様から返事があってな」
中崎「それが見事にYESだったんだよ」
浩「なに!それは本当か!さっそくワッフルでも作るとするか」
南「二月五日に十番目の妾としてここに来ることになったぞ」
浩「…は?ちょ、ちょっと待て、妾ってなんだよ?」
中崎「だって、文を出したってことは求婚したってことだろ」
南「それで俺たちは由起子さんに頼んでここまでお膳立てしてやったんだぞ」
といって二人は部屋を後にしました。
浩「ま、いいか。しかし、これで相手にされなかったら最悪だな…」
やがて、天文二年二月五日の良き日を選んで、茜姫を乗せた輿は華やかな行列を整え、沿道の人々の見守の中を奥沢城から世田谷城へ向かいました。
このとき姫は十七歳。父の命に従い、自由になることも出来ず、また恋も出来ずに浩平の十番目の妾として仕える身となった哀れを感じてか、その美しい顔には憂いの影がさしていました。
これで物語の序盤が終わりました。ここまで来るのにかなり労力を使ったような…
書き込むのが遅れて本当にすみません。次回も遅れるかも…
↑の名前の部分が大変な事になっているのは気にしないでください。
保守ってか。
保守。
保守
新年早々保守
hosyu
352 :
最下層民:03/01/03 15:33 ID:c5cz6hiv
最下層
緊急保守
点呼ってまだやってんの〜?とかいいつつ13
355 :
名無しさんだよもん:03/01/03 23:21 ID:TXCLxs5A
保全age
356 :
名無しさんだよもん:03/01/06 11:55 ID:YglrThxz
保守
357 :
名無しさんだよもん:03/01/11 18:16 ID:nBFTNa4l
ほす
358 :
名無しさんだよもん:03/01/12 21:30 ID:qiMM1Fd/
醜い葉鍵の子
359 :
名無しさんだよもん:03/01/12 22:33 ID:E1ykbI5L
360 :
山崎渉:03/01/14 09:23 ID:V2LeKOI0
(^^)
361 :
名無しさんだよもん:03/01/14 23:16 ID:+2ItFXRp
保守
362 :
名無しさんだよもん:03/01/16 12:28 ID:e4Qr8juR
保田守です。よろしく。
363 :
山崎渉:03/01/16 23:39 ID:ucO0hS7K
(^^)
364 :
名無しさんだよもん:03/01/18 23:50 ID:r9raHhN6
山崎さんも保守に協力してくれてます
365 :
名無しさんだよもん:03/01/18 23:51 ID:ilPZIXTi
よーし、おじちゃんSSつくって明日書き込んじゃうよ♪〜
葉鍵で源氏物語とか無理かなぁ……。
368 :
名無しさんだよもん:03/01/23 22:10 ID:tn21IEsl
偽紫葉鍵源氏
369 :
名無しさんだよもん:03/01/23 22:15 ID:uDdnZbJT
370 :
転載:03/01/25 15:59 ID:guTB9nU8
むかーしむかし、あるところに祐一おじいさんと、美汐おばあさんが住んでいました。
祐一おじいさんは山へ芝刈りに、美汐おばあさんは川に洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きなイチゴがどんぶらこどんぶらこと流れてきました。
「美味しそうなイチゴですね、おじいさんと一緒に食べましょう」
おばあさんは早速イチゴを家にもって帰りました。
おじいさんが家に帰ってきて桃を見ると、これは大きくて美味そうだ、と言いました。
すぐにおじいさんは日本刀を持ち出してきて、イチゴをまっぷたつに割りました。
イチゴに吸いこまれた刀は、途中で止まってしまいました。
「ん? なんだ」
おじいさんがイチゴを割ってみると、なんと中には可愛い赤ちゃんがいました。しかも真剣白刃取りをしています。
「一体どうしたことでしょう……」
美汐おばあさんは困ってしまいました。
「女の子か……、よし! 家で育てよう。これはがんばりにがんばりを重ねても子どものできかったわしらへのご褒美じゃ!」
「そんな都合のいい解釈を……、警察に捕まってしまいますよ」
「警察上等」
ところで、なんで日本の話だけなん?
372 :
ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI :03/01/26 08:00 ID:Qr6CcaIf
l、、_ _,/'}
|ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
/_,,,.. ..,,,_.`v_'`、
/: ━ ━ | ニ_} / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:: ∈∋ ヽ | < まったく糞の役にも立たない人たちですね(怒)
//:: -=,=.ヮ. |ヽ、| \________
/'../:: /∠.._ |、.ノ この素晴らしき番組を見て
/':::|:::  ̄ ̄ |./ 少しは社会に貢献しなさい(怒)
!-'L|::. v' ===放送日程===
. ヾ:::.. / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
. , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
'ー┐,,..、_ ノ l_,,,...、 _,,一`大阪 テレビ大阪 (日)9:30〜10:00
~ ~ ~ 福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:
http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50
373 :
ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI :03/01/26 09:30 ID:jnRHDmmr
l、、_ _,/'}
|ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
/_,,,.. ..,,,_.`v_'`、
/: ━ ━ | ニ_} / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:: ∈∋ ヽ | < まったく糞の役にも立たない人たちですね(怒)
//:: -=,=.ヮ. |ヽ、| \________
/'../:: /∠.._ |、.ノ この素晴らしき番組を見て
/':::|:::  ̄ ̄ |./ 少しは社会に貢献しなさい(怒)
!-'L|::. v' ===放送日程===
. ヾ:::.. / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
. , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
'ー┐,,..、_ ノ l_,,,...、 _,,一`大阪 テレビ大阪 (日)9:30〜10:00
~ ~ ~ 福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:
http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50
>>370 数十年前の夜な夜ながんばりにがんばりを重ねていた描写キボ(略
世界中でいいってコンセンサスが取れてなかったか?
1が「日本」ってつけたのは単に語呂が良かったからと予想。
名もないような村の、他愛のない夫婦の生活。
夕方が夜へと落ちていくと、薄紫の空に星が輝きだしました。
春から初夏へと移り行く夕暮れには、虫たちが一斉に鳴き声をあげて、夜空へと響かせています。
祐一は足取りも軽いまま、それでも機嫌よさそうに歌を歌いながら家路につこうと畦道を歩いていました。
ぼろく汚れた着物、袴はなく、腰紐で縛った黒いひとえだけを着ています。
気分も良く、家の戸を勢いよく開けると、囲炉裏から魚の焼ける匂いと、鼻に馴染んだ妻の赤出汁の匂いが漂ってきました。
「おう、帰ったぞ美汐」
「おかえりなさい、随分遅かったですね。夕餉ができていますよ」
「いやあ、稽古の後で塾頭に酒を馳走になってな」
「そうですか…」
美汐は頬に手を沿えて返答を返した後、祐一の草鞋を脱がしました。
「あ、先に顔洗ってくる。ついでだから体も流してくる」
「待ってください、いくら夏だからとはいえ風邪を引きますよ」
「大丈夫、体は鍛えてるからな」
祐一は村にある剣術の道場で、村の若者に剣術を教えています。
それもありますが、普段は田畑を耕しています。そのせいか、祐一の体つきは見事なもので、村における力仕事においてもよくその力をふるうことになります。
祐一は水を浴び、家に戻ると美汐に体を拭いてもらい、ようやく夕食にありつくことができました。
二人で黙々と食を進めていきますが、静かだというわけでもなく、外では蛙や虫が鳴き、囲炉裏の火もまだぱちぱちと音を立てています。
食べ終えると、美汐がうつむきながら、呟くようにして言います。
「祐一さん……」
「ん?なんだ?」
「幸せ、ですか?」
その質問に、祐一は頬を固くすると、言いました。
「美汐は幸せなのか」
「私は幸せです。でも、あなたは私のために地位も家も捨ててしまいました。
そんなあなたに、私は何も不満はありません」
「俺は、美汐が幸せなら幸せだ」
「どういうことですか?」
「お前を絶対幸せにしてやる。そう言って、俺はお前を攫った。こんな俺と一緒に居て、美汐が幸せになれるのか、不安だった。俺にとって幸せっていうのは、お前が幸せなことだけだ」
「だから、だから私は不安なんです……。私だけが幸せだなんて、そんな酷なことはないでしょう。
あなたが私の幸せを思うように、私もあなたに幸せであってほしいんです……」
「美汐…」
祐一は美汐の後ろへとまわり、抱きすくめると言いました。
「ありがとう。そう思ってくれるだけで、多分俺は幸せなんだ」
美汐は体の正面にある祐一の手を、そっと握りました。
「私と一緒にならなければ、あなたは名の有る道場で目録を頂いた腕前です。末は塾頭としてやっていけたでしょう。
家柄だって、私とは比べ物にならないんですよ。白足袋も、袴も裃だって、私達の逃避行のために売ってしまったでしょう。
あなたがこうやって、畑に入って汚れて、私と食を共にしていること自体ありえないことだったんですよ……」
「じゃあ美汐は、俺と出会わなければ良かったというのか」
「いやですっ! そんなこと、考えたくありません」
ぎゅっ、と祐一の手を握ると、美汐は首を大きく横に振りました。
祐一は美汐の右肩に顎を乗せるようにすると、お互いのかすかに届く頬を擦り合わせました。
耳に感じる、祐一の髪に美汐は全身に走る粟をを感じました。
「んっ…」
379 :
名無しさんだよもん:03/01/29 14:53 ID:/an/wzUl
美汐は握った祐一の手を、自らの袖の中へと引きいれました。
そのまま右腕を導いていくと、美汐の乳房へと祐一の手が被さるように触れました。
「覚えていますか?」
「ん、ああ……」
後ろから抱きすくめる格好になった祐一は、手に力をこめて、ゆっくりと胸をほぐしていきます。
決して乱暴に扱うことなく、撫でるようにして美汐に接しています。
「私達が逢瀬をしていた時、こうやってあなたにしていましたね」
「ああ、覚えてるよ。まさか美汐がこんなことするとは、その時は思わなかったな」
祐一の言葉を耳に浸すと、くすっ、と美汐が笑いました。
「私もそんなことをしようと思うなんて、全然考えてませんでしたよ。
ただあなたの気を引きたかったのと、なんだか申し訳無くて……」
「結果、俺はお前に引かれたってわけか」
「はい、してよかったかもしれませ、あっ……」
喋り終わるより前に、祐一は手の平により強く力をこめます。
甘い刺激に口から息が漏れました。
「手にこんないいものを貰って、俺はまたお前に逢いたくて逢いたくて、ずっとお前のことを考えてた」
「私も、あなたのことをずっと思っていました。一緒になりたいと、何度も夢見ていました、けど」
「身分が違ったな……」
「はい、そしてあなたは将来を有望されていた若者です。私ごときが想っていい相手じゃなかったんですよ。
けれど、いくらあなたを忘れようとしても、忘れられませんでした」
美汐はただの町娘にしか過ぎず、それに対して祐一は上士の家柄であり、文武において白眉と称されていました。
同輩からは信頼され、将来を約束されていた祐一に、美汐は劣等感を抱いていました。
身分の差、そして人としての在り方からして大きな差があったのです。
「私ごときが、あなたをどうこうしようなんて畏れ多いことでした。
忘れたほうが、あなたのためになることは分かっていたんです。けど、できませんでした」
「……俺だって、悩んださ。どう考えたってお前と一緒になることはできなかった。
このまま美汐を忘れて生きていけば、俺はそれなりに出世できただろうし、平凡にやっていけただろう。
でもな、お前を忘れることができなかった。絶対にお前だって思ってた」
祐一は左手で美汐の頭を引き寄せて、そのまま唇を奪いました。
振り向くような格好の美汐は、突然のそれに驚きましたが、まぶたを震わせながらゆっくりと閉じました。
小柄な美汐に覆い被さるようにして、祐一は美汐の柔らかい唇を強く吸いました。
ゆるやかに唇を動かして、唾液に濡れている唇を味わうように、甘く噛みましたが、じれったく思ったのか、美汐は祐一の口腔へ舌を挿し入れてきました。
祐一は突然の挿入に驚きましたが、少し先を尖らせた美汐の舌に、自らの舌を重ねて柔らかくほぐしていきました。
乳房に重ねた手は、今まで柔らかく触れさせていましたが、唐突に指で先端の蕾を摘みました。
美汐は思わぬ刺激に、体中がぴりぴりするような刺激を感じました。
閉ざされた視界の向こうに、愛する夫の暖かさを感じると、美汐は胸の奥から突きあがってくる熱に思わず股間をじゅく、と濡らしてしまいました。
きゅん、と胸が鳴ってくると、もっと欲しいと思う気持ちが湧き上がり、美汐は気が違ってしまいそうになりました。
祐一がさっ、と唇を離すと、美汐は名残惜しむかのように、あっ。と声を出しました。
子どもが玩具を取られたかのような、少し悲しみの入り混じった感情を瞳にだしてしまいました。
目が合うと、途端に美汐は恥ずかしそうに俯いてしまいます。祐一は美汐の瞳から、美汐の劣情を汲んでしまったのです。
当然美汐は祐一に心を読まれたことを知り、顔が燃えあがるほど強い羞恥の炎に包まれました。
にやついて祐一が言葉を出します。
「美汐は可愛いなぁ…」
「そ、そんな」
美汐は対する言葉が何も思いつかず、口をつくのは意味のない言葉だけでした。
>>383 乙
やけに艶っぽい話だが元ネタはあるのかな。
>>384 元ネタはお〜い!竜馬です。
っていうか全然昔話じゃないんですよね…。
374を読んで適当に書き始めたんで、どうなることやら。
このまま行くと、絶対エロ突入だし。
エロシーンなんか書いたことないよ。
めっさスレ主旨と違ってきたし(;´Д`)
>>385 お〜い!竜馬だったのか。
取り合えず期待しているんで保守。
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
祐一は左手を美汐の左胸に当てました。
袖から入れた右腕とは違い、左手は小袖の上から手を置いています。
美汐は徐々に高まる情欲に、追い討ちをかける愛撫に声をあげると、くたっ、として後ろにいる祐一に体を預けました。
一旦右腕を美汐の袖から引き上げると、祐一は両腕を使い、美汐の胸元を大きく広げました。
そのまま力の抜けた美汐の腕を袖から抜くと、美汐は上半身を晒した扇情的な姿になってしまいまいます。
すでに美汐の顔は紅に染まり、ぼんやりとした頭で半身を外気に当てていることを知ると、両手を顔に沿えて顔を隠してしまいました。
祐一は直に美汐の裸体に触れ、首筋を舐めながら指先で美汐の固くなった乳頭を強く挟みこみます。
「そういえばな、昔俺がお前の袖に手を入れてる時、お前のことを押し倒したくてしょうがなかったんだぞ」
そういって祐一は、美汐の胸を下から掬い上げるように揉みました。溶けるように馴染む指先は、胸の底へ近づくと押し上げる力が強くなり、美汐の胸の鼓動に跳ね返されるようにすら感じられました。
舌で祐一は美汐の白い首筋を舐め上げます。赤い後髪をかきあげて、舌先が産毛を捉えると、撫でつけるようにして強く舌を押しつけました。
逆立った産毛が、祐一の唇と舌の脇をやんわりと刺激し、くすぐったさを感じさせていきます。
ほのかに浮かびあがってきた美汐の汗を、祐一は舐め上げました。
少し舌に辛い液体は、酒よりも強烈に祐一の髄を麻痺させていきます。
そのまま生え際を舌で移動しつつ、胸への愛撫は忘れないようにします。
舌はやがて美汐の右耳へと達し、祐一は耳介を前歯で甘く噛みました。
「ひぅっ」
皮膚を駆け巡る快感は、知らずのうちに声になって表われます。
嬌声は祐一の鼓膜を叩きつけて、麻薬のような電流へと変わり脳髄を痺れさせていきます。
上から覗きこむようにして、祐一は美汐の体の前面を眺めました。
山のようになっている胸には自分の手があります。手を使って、祐一は左右にその山を広げました。
谷間の奥に見えるのは、小袖に隠された美汐の秘唇です。思わず祐一は唾を飲みこんでしまいます。
「祐一さん……」
「え、なに?」
「私も…、私もあなたに胸を預けてる時。私もあなたに抱かれたかったんです。その場で、あなたに押し倒されてしまいたかった」
とろりと、溶けているような美汐の瞳。口の端からはだらしなく涎が垂れていました。
熱い視線がぶつかると、祐一の理性は一片の雪よりも容易く溶け去ってしまいました。
乙〜
しかし、このスレやはり住人減ったのかな。
ちょっと目を離した隙にdat落ちしそうで不安だ。
がんがれ。俺もいずれ投下するよ。
あの……
世田谷城名残茜記
の続き、書いて良いでしょうか?
世田谷城名残茜記、まだ?
あぼーん
期待保守sage
禿げしく良スレ。今更ですが。
保守
結局SSの続きは……。
未完で止まっているのも幾つかあるし、俺も期待しているのだが・・・
一日一レスくらいのペースで誰かがまた書いてくれれば活気が出てくると思うんだけどねえ。
姫が世田谷城に入って二週間が経ったある日のこと、どこか気分のすぐれない姫に浩平は問いました。
「茜、どこか悪いのか?」
「いいえ。なんでもないです」
「…本当か?」
「本当です」
いつもならここで終わるはずだったのですが、城に入ってからというもの姫はずっとこの調子だったので、
浩平はさらに問い詰めました。
「もう二週間もこの調子だろ?どこか悪い訳ないだろう」
「本当に何でもないですから…少し一人にさせて下さい」
「茜っ…!」
「…お願いです」
「………。」
浩平は歯がゆい表情で茜を見つめていましたが、そのまま無言で立ち去っていきました。
明くる日の朝、城内は騒然としていました。
「浩平!浩平!」
「瑞佳…頼む、あと五寸……」
「そんな事言ってる場合じゃないよ!茜さんが…茜さんがいなくなっちゃったんだよ!」
その言葉は浩平の目を覚ますのには十分でした。
「な、何!?」
「今、総出で探してるんだけど見つからないみたい…」
「見当もつかないのか?」
「…うん。でも、空地守様に伝えたら向うでも捜索するって言ってるし、この雨じゃあまり遠くへは…」
「…雨?」
「うん、昨日の夜から雨降ってるじゃない」
その瞬間、浩平の脳裏にある光景がフラッシュバックしました。
「…六本松の方へは誰か向かってるのか?」
「六本松?ううん、その辺りまでは行けないだろうからまだ誰も行ってないよ」
「そうか…」
そう言うと、家来の中崎を呼びつけ馬を出すよう命じました。
「浩平、まさか」
「思い当たるフシがあるんだ。ちょっと行ってくる」
「ちょ、ちょっと浩平!?」
そう言うや否や、馬に飛び乗り六本松へと走り去っていきました。
書くといっておきながら、一週間以上遅れて申し訳ないです…
本文にかなり端折った部分がありますが、ご愛嬌というやつで勘弁して下さい(吊
応援してます。焦らずゆっくりと続けてください。
とてもイイッ!!
がんがれ
期待!
ほっといたら落ちそうで怖いな……。
まぁ、昔話らしくまーたり待ち。
マターリもいいが、とりあえず保守くらいはしとこうか…。
420 :
名無しさんだよもん:03/02/19 13:26 ID:j2mhxesQ
421 :
名無しさんだよもん:03/02/19 21:38 ID:fp81gSSh
がんばっ
保守
期待しているんだけど・・
ku
二人は寝室へと移動し、崩れるようにして互いの衣服を捨て去ると重なり合いました。
美汐は仰向けに倒れると祐一の首筋に腕をまわし、そのまま抱き寄せようとします。
「おいおい、布団敷こうぜ」
「いいじゃないですか……、このままでも」
美汐は瞳を潤ませながら祐一に甘く囁きました。
「そんなわけにもいかないって」
しかし、祐一はそんな美汐を引き離すと立ち上がりました。
裸のまま置かれた美汐は、少し不満そうに口を尖らせています。
たいする祐一は、そそり勃つ自らの男根を隠そうともせず、手早く布団を敷き終えました。
「さて、これでいいな」
「はぁ………」
意気揚揚とした祐一に対して、美汐は溜息をついてしまいます。
今すぐにでも抱きしめて欲しかったというのに、夫はそんな心も汲まずに体を離してしまう。
それは燃えている心に水を注す行為に他なりません。
少しずつ高まりつつあった美汐の欲情は、短い時間の間に冷えつつありました。
「よし、美汐」
そう言うと祐一は美汐を抱え上げて、布団の上に落とすようにして放り投げました。
「いたっ、な、何を…」
裸のまま投げられるなどということは、美汐にとって初めてのことであり、無様な姿を晒してしまったと思うとつい顔が赤くなってしまいます。
ところが祐一はそのまま美汐に覆い被さるようにすると、素早く唇を合わせました。
唐突な口付けに、美汐は目を丸くさせ、体を固くしてしまいましたが、やがて力も抜けていきます。
ぐちゅぐちゅ、という音をたてて舌は絡み、唾液は混ざり合っていきます。
二人は舌を尖らせて、相手の唇を舌を舐めていきました。上になっている祐一は屹立したものを美汐の腹で擦るようにして刺激しています。
それが保っている熱は、直に美汐の皮膚の性感を熱くたぎらせて行きます。
火傷を負ってしまうのではないかと危惧するほど、美汐はそれを熱く感じてしまいました。
祐一の手は、美汐の肌を舐めていき、やがてその手を胸に置くと幾分強く揉みしごきます。
一旦冷めてしまったはずの美汐の性欲は、以前より強くなっていきます。
おお、久々の投稿。
期待しているんで頑張ってくれ!
残念ながら連続物の投稿待ちだけに陥っているスレのようですね。
なんか葉鍵板でよく見るような気もするけど一応保守る。
待ち
前屈み
431 :
名無しさんだよもん :03/03/03 17:09 ID:FAL+IkaI
世田谷城のほうはまだこないのか…。
むか〜しむかし、あるところに浩之と雅史という
二人の若者がおりました。
二人は猟師を生業として生活しており、村では
並ぶものがないほどの腕前でした。
冬とは思えないほど暖かなその日、二人はいつものように
山へ狩をしに入っていきました。
浩之「しっかし、今日はあったけぇよなぁ〜」
雅史「うん、師走とは思えないよね」
浩之「それでか、まだ一匹も獲物に出会えないのは」
雅史「それは関係ないと思うよ。でも珍しいね」
適当なことを話しながら山を歩きまわりましたが
一向に獲物には出会えません。
そして日も大分傾いてきた頃、
浩之「あ〜、こりゃ今日はダメだな」
雅史「随分冷え込んできたし、もう村に戻ろうか?
・・・・・・・あっ、雪」
浩之「げっ、昼間は暖かかったのに。
ついてねえなぁ、ったく」
二人は足早に山を下っていきました。
浩之「あれ、おかしいな。いつもの道、だよな?」
雅史「間違えてはないはず・・・・
だけど・・・・」
浩・雅「「・・・・・・・・・」」
いつもの山を降りる道、なぜか途中で道が
なくなっていました。
雅史「どうする、浩之」
浩之「どうするって、道を探すしかないだろ」
そうして二人は道を探して歩き始めましたが
段々暗くなり、雪も強くなってきました。
寒さに震えながら歩きまわりましたが
ますます山奥に迷いこんでいるような
錯覚に陥ります。
体が重く、いつもは苦にならない銃の重さが
ズッシリと肩に食い込み始め、
浩之「・・・・(もうだめぽ)」
と思い始めたそのとき
雅史「浩之、あそこに・・・灯りが見えない?」
紫色になった唇を震わせながら言って来ました。
浩之「どこだ?」
雅史「ほら・・・・、あそこ」
確かに、吹雪に見え隠れしながらも灯りが見えました。
とりあえず、保守がわりに投下。
ss初心者なんで話の展開の拙さは
生暖かい目でみてやってください。
雨月さんだよもん氏並みの文才がホスィ
435 :
名無しさんだよもん :03/03/04 00:08 ID:8cGcbDjg
おお、新作登場。
技術的なことに関する応援はできないけど、頑張って。
>>432-433 『注文の多い料理店』だったら、バックアップするから、頑張ってくださいな。
技術よりも、やる気が一番のスレですからな。
義犬物語
山々から赤い炎が昇るようにして、朝が生まれようとしていた。
空を覆う青の天幕は、広がりを増し夜を終わらせようとしていた。
木々に射し込む白色の光が、枝葉に付着する朝露を輝かせていた。
森にも等しく朝が訪れ、霜が降り、しっとりと濡れた枯葉の残骸は土と同化し、柔らかな土壌へと変わっていた。
冬が近づいていた。
往人は猟を行うため、いつものように狩猟犬のポテトを連れて山の深いところへ向かった。
鬱蒼と茂る枝葉の間を、音を立てぬようにすり抜けてゆく。
朝の光が森を濡らし、薄く広がる霧の中に鳥の鳴き声が渡っていく。
静かだと言っていい。
多少の空腹感を感じながら、往人は歩みを進めた。
やがて日が昇ってくるのだが、往人はまだ獲物を見つけきれずにいた。
疲れも出てきたため、往人は腰に着けた包みから握り飯を取り出した。
妻の美凪が「日本人はお米族」などと言い、毎日包んでくれるのだった。
それを頬張りながら、往人は今後の算段を立てようとしていた。
ここ最近の猟は不調続きで、今では食うものに困る有様だった。
妻の美凪は口には出さないものの、少しやつれてきていた。
この握り飯も貴重な食料の残りだった。
「くそっ、このまま獲物が見つからなきゃどうしようもねぇ……」
呟きは中天に上る日の光に消されてゆく。
自分が空腹に耐えるのは特に問題が無いのだが、妻の美凪だけは違った。
夫としても、妻を空腹に晒すのは忍びなく思っていたのだ。
何より美凪は自分を差し置いて、往人を優先している。
往人は何度も美凪に、我慢する必要はないと言うのだが、首を横に振るばかり。
今日はきっと成功します。という美凪の言葉も、いつから聞き始めたか分からない。
「お前もちゃんと働けよな」
足元にいるポテトに言う。
「ぴこ」
分かったのか分からないのか、ポテトは返事をした。
空腹を癒すと、往人は立ち上がった。
「お前のためにも絶対成功させるからな……」
ここ最近、兎の一羽ですら捕らえられない自分を、往人は不甲斐なく思い拳を握り締めた。
背に負った猟銃も、ここ最近吼えることはない。なにせ獲物を見かけることもないのだ。
一旦銃を出し、一度丹念に調整を行った。
特に問題というものはなさそうであった。
それを終えると、往人は銃を立てる。
鉄でできた銃身を眺め、思案に耽った。
「落ちつけ…」
自分の道具を見つめる行為は、一般的に見られる集中法の一つである。
美汐と祐一のエロシーンが思いつかず、他に浮気してみたり。
妻の生活を保つために、往人は必ず猟を成功させなければいけなかった。
「よしっ」
決意を胸に往人は歩き出した。
獣道をゆき、足跡や糞がないかを調べていく。ポテトも匂いを獣の匂いを嗅ぎつけようとしていた。
往人は左腰に下げた山刀を取り出し、近くに生えている木に印をつけた。
猟師独特の文字で、これは猟師によって使い方も意味も違ってくる。
こうやって範囲を色々と変えて、往人は獲物を狭めていく。
この場所は、紀州から泉州にかけての山であった。
また、往人は弘法大師が建立した高野山の修験者をしていたものの子孫だった。
この山より奥へ進んだ場所にある高野山で、修行をしていた女性、それも数百年にひとりの逸材とまで呼ばれた女性の子孫であった。
しかし、それも数百年以上前の正歴時代であり、往人はおぼろげにしかその事を知らなかった。
その子孫は、高野山を離れ散り散りとなり、紀州へ行くものや大坂、京へ行くものなどが多かった。
森に落ちる木陰を縫い、往人は進んだ。
しばらく山を行くと、鹿を見つけることができた。
それも良いことに、大きく艶のある毛並みをしていた。
喜びの感情に包まれた往人だが、仕留めなければと思い、気を取り直した。
往人は気配を消し、銃を出すと鹿との間合を埋めた。
気配を察したポテトも、同じく意識をみなぎらせているようだ。
落ちつけ、これで成功すれば美凪に楽をさせてやれる。
往人は心の中で呟いた。
血の流れる音が、往人の耳をつく。
体の腑が上へ上り詰めるのを感じていた。
落ちつけ…
力を抜き、腑を落とす。
重心が上ずれば、何もうまくいくことはない。往人はそれを知っていた。
丹田に意識を置いて、背を伸ばす。
よし…
鹿は往人に気づくことはなく、少し急になった斜面の上にいる。
往人は全神経を鹿へと向けた。
世界からすべてを消して、鹿と二人になる。
集中できているのが自分でも分かった。
矢を構え、銃を構えた。
しっかりした重みを肩で感じながら、息を殺す。
細く長く息を吐き出す。
美凪を楽にさせてやれると思うと、嬉しくて仕方がなかった。
その時。
「ぴこーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」
唐突だった。
「なっ?!」
往人が声をあげた時にはもう遅い。
鹿というのは元来周囲によく気を遣うものだ。
その鹿が、これだけの大音声に気づかぬわけもなく、すぐさま駆け出した。
「くそっ!!」
往人は慌てて引きがねを絞ったが、弾は木に刺さっただけで、鹿に吸いこまれることはなかった。
轟音に鳥が飛び立ち、木々が騒めいた。
往人の脳裏に微笑みを浮かべる妻の姿がよぎった。
本当は辛いのに、そんな顔も見せることのない妻。
幸せにしてやりたい、そう思っていた。
今、できると思った。
何故できない、何故本当に笑わせてやれない。
往人は問うた。
答えは、足元に居た。
「この馬鹿犬っ!!!」
往人が一喝しても、ポテトはまだ吼えたてるばかりだ。
その態度に往人は全身の血液が頭に上るのを感じた。
否、血が昇っていることにも気づいてはいない。
山刀を取り出し、往人はそれを高く掲げた。そしてポテトへと振り下ろした。
白い毛並みに吸いこまれた銀の刀は、赤い血を吐き出す。
ポテトの白い毛に赤く染まる命の残骸。
首を切られたポテトだが、首だけが突然動き出した。
驚いた往人の上を、首だけが飛び越えていく。
飛んだ首は、そのまま近くに居た大蛇の首元に噛みついた。
なんと、往人のすぐ近くに見たこともないような大蛇がいたのだ。
顎を広げれば、往人をひと呑みしてしまうほど大きく、爛々紅々とした瞳を持つ大蛇。
蛇は噛まれたことに気づき、体をくねらせるがポテトの牙は、確実に蛇の体に致命傷を与えていた。
土の上で格闘が始まったが、結局ポテトは蛇から一度も歯を外さなかった。
やがて蛇は逃出し、藪の中へ消えていった。
しかし、死ぬだろう。
山に訪れた静寂の中。
そこには往人だけがいた。
ポテトは生き絶えていた。
「お前……、まさかこれに気づいて…」
往人は思い出していた。
自分とポテトが共に狩りに出ていたことを、そしてよき相棒としてやってきたことを。
よくよく考えれば、ここ最近の不調にもポテトは着いてきていた。
自分だってロクにものを食べていないのに、ご主人に付き添い仕事をこなしてきているのだ。
「俺は、なんてことをしてしまったんだ…」
考えていたのは妻のことばかり。
大事なのは、自分の狩猟犬であるポテトだってかわりありない。
なのに、ここ一番の大切な時、ポテトの心に気づいてやることはできなかった。
もう遅かった。
一度流れた血は二度と体に戻ることはない。
往人の視界がぐらつく。
膝をついて、動くことのないポテトを見下ろした。
長い間、一緒にやってきた。
俺は何故信じてやれなかった。
仲間だったのだろう。
双眸からこぼれる涙を拭おうともせず、往人は自分に問い掛けた。
涙もまた、心へ戻ることはない。
その後、往人はポテトを丁重に埋葬をした。
猟師の言語を用い、山の神に感謝するのと同じように心を込めておくった。
「すまなかった、お前を信じてやれなかった……」
最後に詫びた。
往人は今日あったことを、妻にすべて話した。
ポテトを誤解し、斬り殺したことも、埋葬したことも。
美凪は黙って頷き、最後に往人を胸に抱いた。
何も言うことはなく、ただ往人は涙で美凪の胸元を濡らした。
そして一ヶ月が経った。
往人は翌日から猟に出かけ、めざましい成果をあげていた。
しばらくは食べるものに困らないほどのお金を貯めた。
そのすべてを、美凪に渡した。
神妙な面持ちで、往人は妻と向かい合った。
「美凪、お前に言うことがある…」
「はい…」
「俺は高野山へ行こうと思う。俺が殺してしまった命の償いを、高野山での修行で供養したい」
「はい…」
「お前を連れていくことはできない…、だから」
往人は言わなければならない。信じてやれず殺してしまったポテトへの贖罪をするためにも。
「だから、お別れだ」
「……」
何も言葉を出さない美凪、首を振ることもしない。ただ、俯き黙っている。
そして唇が微かに動いた。
「…いやです」
「明日、出ようと思ってる」
「いやです」
「だから、明日の朝。最後に握り飯を作ってくれ」
「いやです」
「今日は、一晩中お前を抱いていたい」
「いやです、そんなことを…、出ていくだなんて」
美凪の瞳からぼろぼろと雫が流れ出た。うつむいたまま、頬を伝い落ちていく
「これだけの金があれば、山を降りてもやっていけるだろ」
言葉では答えず、美凪は首を横に振った。
「俺は、自分が許せない。あの時、怒りに任せて刀を振るってしまった」
「仕方が、なかったんです。あなたは悪く、ありません」
「ダメなんだ、それじゃ」
「私も連れていってください、高野山へ。こう見えても私、不思議な力とかあるんですよ」
「それはできない…」
「どうしてです。あなたのご先祖の女性も修行をしていたんじゃないんですか」
「大昔のことだ、今じゃ山に女は入れない」
沈黙がまとわりついていた。
「どうしても行くんですか…?」
わずかな時間を置いて、往人は言った。
「ああ」
たった一言に、別れの決意があった。
美凪はついに首を縦に振らなかった。ただ、横に振ることをやめただけで。
その晩、お互いの跡を残すために、夜の死に際まで抱き合った。
新しい朝が生まれるころになって、ようやく二人の体が離れた。
そして、日が昇ってしばらくしてから往人は身支度を整えた。本当は朝に出ようと思っていた。
腰には妻の握り飯。もう食べることはないのだろうそれは、いつもより重く感じられた。
「じゃあ、行ってくる」
往人は玄関に立ち、美凪に行った。
「はい」
「すまないな、こんな俺で」
「はい」
「そこは頷いてほしくなかったな…」
「だって、そうですし」
思わず笑みをこぼす往人。
「そうだな、本当に」
「私、がんばっちゃいます。ひとりでもやっていけるよう」
笑いながらそう言うが、目元が潤んでいた。
「あなたがいなくても、大丈夫です。凄いですね」
「ああ…、そうだな」
「えっへん」
「馬鹿、威張るなって」
再び見つめ合った。
美凪の目元は、泣き腫れていた。
往人は夜、泣きながら抱かれていた妻の姿を思い起こし、胸を締め付けられたが、どうしようもないことだった。
最後に、その頬に触れようと往人は手を動かしたが、途中で止める。
触れてしまえば、それだけで何かが壊れてしまいそうだった。
何が壊れるのか。
それは往人だったのかもしれないし、美凪だったのかもしれない。
もしかしたら二人ともだったのかもしれない。
美凪いいなあ・・・
保守っ!!
age nascatur potio amoris
保守
振りかえり、視界から妻の姿を消した往人は、言った。
「じゃあな」
「…はい」
愛別離苦を立て続けに味わうのは、往人にとっても辛いことだった。
辛いせいか、往人は幻を見ていた。
「ぴこっ♪」
「フ……、よほどお前別れたくないのか、ポテトの幽霊が見える。
それとも、俺を恨んで出てきたのか」
「いえ、違うと思いますが…、私にも見えますし」
「……」
「……」
「ありえないって」
そう往人が言葉を出した瞬間、木々の茂みから5,6匹のポテトが出現した。
ぴこぴこ言いながら、彼らは走りだし往人のもとへと来る。
「な、なんなんだ一体?!」
「なんなんでしょうか」
すると突然ポテトたちは走りだし、森のほうへと行く。
そしてついて来いと言わんばかりに、ぴこぴこ鳴いて往人を見つめていた。
夢か現か幻か、いずれか知らぬが往人はその後を追った。
それが何なのかは分からない、黄泉の国へ連れていこうというのなら行ってやろう。
そういう気持ちもあった。
やがて森の奥へとつくと、ポテトの墓へと辿り着いた。
そこで往人が見たものは、頭を軽く破壊してくれる奇怪な光景だった。
ポテトを埋めた場所から、ポテトが何匹も生まれてきた。
わらわらと増え続け、今では20匹を越えているようだ。
「一体これはどういう…」
「はぁ、やはり芋(ポテト)ですから埋めれば増えるのでは」
「いきなり現れて、必死で積み上げたものを一瞬で壊すようなツッコミはやめてくれ…」
「酷いです。愛する人を追ってついて来た可愛い妻なのに……」
「ああ、かわいいな」
増え続けるポテトの大群を眺めながら、無表情に往人は呟いた。
「ぽ……」
ひと照れしたところで、混乱気味の往人に美凪は切出した。
「これはきっと、ポテトの分身。この子たちを育てることが、あのポテトにとって最大の供養です」
「本当か…?」
「はい、そうです」
美凪は口からでまかせを言い、なんとか往人を引きとめようとしていた。
「ほら見てください。この子たちを、ポテトの生き写しです。生きているもののために生きることが、やはり尊いですよ」
「そうか……、そうだよな」
「はい、一緒に育てましょう」
往人は心に巣食う、どろどろとした雲が晴れるのを感じた。
自分の過ちを、新しい命をもって償おう。
それが自分の贖罪だ。
「よし!! お前ら、今日から俺が世話をしてやるぞ」
その声を聞いたポテトたちは、一斉にぴこぴこ鳴き出した。
あまりの数と大音声に、山という山が震えて鳥たちが飛び立っていく。
往人の肌が音でびりびりと痺れた。
「ぐあっ、うるさい…」
直接聞いてしまった往人に対して、美凪はちゃっかり耳を塞いでいた。
それから数ヶ月。
「てめーらあぁぁ!!!」
往人の怒号が響くが、ポテトたちの鳴き声にはかなわない。
「ぴこっ」「ぴこぴこ」「ぴっこり」
結局、すべてのポテト引き取ったのだが、彼らは手間がかかりすぎて仕方がない。
毎日彼らの世話に時間をあてなければやっていけないほどである。
しかも、以前のポテトのように訓練されているわけでもないので、猟に連れていくことはできない。
それどころか吼えたてるため、足手まといにしかならなかった。
毎日山からぴこぴこと鳴き声が聞こえてくるので、泉州の平野に住む農民たちは怪訝に思うこともあった。
やがて往人は猟師をやめ、興業の旅にでることになった。
何故か直視できないほど怪しい踊りをする犬と、人形を自在に操る男はそれなりに評判になった。
もちろん妻の美凪を連れての興業だ。
やがて二人の子孫も、おなじように興業で身をたて、法術とよばれる力を遣い各地をまわるようになった。
こんな話を聞いた帝は、犬の忠義にいたく感動し、山の名前を「犬鳴山」と改めたそうな。
義犬物語、終。
うい、義犬物語終了です。
HDが死ぬとか色々ありましたが、ようやく終わりました。
本当は息抜き程度に書き始めたのに (つД`)
そんなわけで、長々とお目汚しすんませんでした。
ついでにいうと、元ネタは「犬鳴山」と理由とか由来とかでググればわかります。
ホントは妻と別れるんですが、なんか美凪が可愛そうなのでやめに…。
(・∀・)b ナイース
(・∀・)イイ!!
ほっしゅー。
名スレ保守
464 :
名無しさんだよもん:03/03/22 08:08 ID:lwcwmIle
保守
保
守
。
と、いうか他の方の続きは……。
めでたしめでたし。
さて
4月11日まで、このスレが保守されていたら俺が投下しよう。
471 :
名無しさんだよもん?:03/04/01 22:57 ID:Jx7/FkDx
保守
二人は助かったと思い、必死で小屋まで辿り着きました。
中に入り、囲炉裏に薪を放り込んで火をつけました。
そうして暖を取り、ようやく一息つくと今度は
腹が減っていることに気づきます。
浩之「そういや、昼飯食ったきりだったな・・」
雅史「ここには何もないみたいだね、
それより勝手に上がりこんじゃったけど
よかったのかな?」
浩之「良いも悪いもこうしなきゃ、二人して凍死だぜ?
ここに住んでる奴がきたら訳を話しゃいいこった」
そういって、もう一本薪を放り込みます。
薪のはぜる音
ごうごうとなる吹雪の音
それ以外なにも聞こえません。
朝まで我慢するしかねぇか、と浩之が考えていると
雅史「浩之、子供の頃聞いたおばあさんの話、
覚えてる?」
浩之「あん?」
雅史「ほら、雪の日に山に入ると・・・」
浩之「ああ、もののけに取り殺されるってやつか」
みると雅史は薄ら寒そうな顔で浩之の方をみています。
浩之「なんだ、お前あんな話信じてるのか?
あの話の6割がガゼネタの栗頭ババァの」
雅史「そう言うわけじゃないんだけど・・・
なんとなく思い出しちゃって。
浩之はあの話どう思ってるの?」
浩之「俺は・・・」
1.そんなもん信用できるか!
2.なんだかなぁ
続き(・∀・)ハケーン!!
分岐式ですか?
475 :
名無しさんだよもん:03/04/03 18:18 ID:AWO7HOeH
保保保保
昔、むかし在るところにお爺さんとお婆さんがいました。
お爺さんは山へ芝刈りに、
お婆さんは……寝てました。
名雪「く〜、く〜」
だがいつまでも寝ているわけにはいかないので川へ洗濯をしに行きました。
すると川上からどんぶらこ、どんぶらこを大きな桃と……それにしがみついている男の子がいました。
名雪…もといお婆さんは急いでその桃を引き上げました。
苺だと直ぐに食べられてしまう可能性があるので、この時点で桃という選択は正解です。
祐一「寒いっ!裸のまま2時間も流されたぞ。出てみたらまだ川を流れてるし、どういうことだ?」
名雪「わあ…びっくり。まだ2時ぐらいかと思ってた」
祐一「それでも1時間の遅刻だ」
名雪「7年ぐらい流されても良かったんじゃない?」
祐一「うっ……」
この2人には7年前に何かあったようです。
ただこの場では明かさないことにしましょう。
名雪「これ、あげる」
お婆さんは男の子に缶コーヒーを渡しました。
せめて脱脂粉乳の方が良いと思います。
名雪「名前はねぇ……次郎」
祐一「違うっ!」
名雪「花子」
祐一「俺は男だっ!」
名雪「じゃあ行こうか」
祐一「結局、名前はどうしたっ!」
見よう見まねで書いてみました。
478 :
名無しさんだよもん:03/04/07 14:32 ID:L9QyKWO7
ほしゅ
480 :
名無しさんだよもん?:03/04/10 20:14 ID:ybsIzcrE
超先生保守
保守
むかーしむかし、キプロスとか言う島国に、長瀬源五郎という王様がおりました。
「発明は爆発だッ!!」
あぼーん
この王様は王であると同時にマッドなサイエンティストでもありました。
女には目もくれず、毎日毎日訳の分からない発明を爆発させる王様を民はとても心配していました。
そして民は神に祈りました。
『どうか王様が女性にも興味を示すようにして下さい。国の跡取りが心配です』
『つーか毎日毎日あんなに爆発してたら某国が大量破壊兵器があるとか因縁をつけて戦争をs』
「でぃすいずながせげんごろおぉッ!!」
あぼーん
王様は今日も絶好調。
国民の血税で作り上げた発明品を気前よくあぼーんしていると、民の祈りが天に通じたのか、王様の頭に天恵が降り注ぎます。
「めっ、めいどさんッ!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!」
王様はそのまま研究室に逝ってしまいました。
―そのままおにぎりでおまちください―
「めいどろーぼ、めいどろーぼー♪」
狂喜乱舞する王様の前には、この世の物とも思えない美女が立っておりました。
「ご命令を、ご主人様」
栗色の髪、すらりと伸びた足、豊かな胸、無表情な顔、とんがった耳。
王様はそのメイドロボを『セリオ』と名付けました。
「せ〜りおさぁ〜ん」
王様はどこぞの三世のようにセリオさんの胸に飛び込みます。
「・・・複雑です」
王様はすっかりセリオさんの虜でした。
そんなある日――
「神よ、どうかセリオさんを人間にして下さい」
王様は跪いて神に祈ります。何があったのでしょう?
ともあれ民はその傾向を喜んではいました。
「(・・・メイドロボでは・・・孕ませて(;´Д`)ハァハァできんじゃないかッ!!)」
王様は鬼畜でした。
『・・・・・・』
王様の頭に天からの言葉が響き渡ります。
「え?おっけーです?」
しゃらんら〜
不思議な光が辺りを包み込みました。
『・・・・・・』
「え?これでもうセリオさんは人間です。って?」
王様は叫びながらセリオさんの元に駆け出しました。
「妊婦縛り!母乳プレイ!あ(以下検閲削除)」
『・・・・・・』(汗
え?失敗だったかもしれません。って?
「すぅぇ〜っりおすわぁぁぁん!!!」
王様は例のジャンプで振り向きざまのセリオさんに飛び込みます。
べいん!
と、王様の顔面にフライパンがヒットしました。
「私はもうメイドロボではなくなりました。よってあなたに仕える理由はありません。」
セリオさんは吐き捨てるように言います。
「むしろ今前のセクハラのお礼参りをさせて貰います」
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリーヴェデルチッ!!(さようならッ!!)」
「では。もう二度と会うこともないでしょう」
「せぇーりおー!かんばぁーーっくっ!!」
セリオさんを追いかけた王様は、そのままどこか遠くに行ってしまいました。
その後この国は見事に栄えたそうです。
ギャフン。
駄文スマソ。
もとはギリシャ神話のピグマリオン。
ピグマリオンという王が自分の作った彫刻に恋をして、女神アフロディーテにその彫刻を人間にして貰って、それをガラテアと名付けて嫁さんにする。そんな話。
ヨーロッパ、クレタ島。
浩之@旅人「ここが鍛冶の神ヘファイストスの作った青銅の人造人間が守護する島か」
浩之が目の前の火山を見上げると、火口からよろよろと女の子が這い出してくるのが見えた。
浩之「!?」
緑色の髪と尖った耳の女の子は「はわわ〜」と声を上げながら斜面を転がり落ちてくる。
浩之はとっさに身を乗り出し、女の子を受け止めた。
ジュー
浩之「ギャアアアアアアアアッッ!!!」
火山の中で加熱された少女の身体は、容赦なく浩之の身を焼く。
マルチ「はわわ〜」
哀れ浩之はそのまま焼け死んでしまいました。
マルチ「後は死体をお掃除です〜マルチはりっぱな番人です〜」
ギャフン。
二発目。またもやギリシャ神話。
元はクレタ島の番人、青銅の人造人間タロスです。
攻撃方法が「石を投げる」or「火山の中で自分を加熱して相手に抱きつき焼き殺」と言うバイオレンスぶり。
踵の栓が弱点だったらしい。
・・・連投スマソ。もう書きません。
>482-487
ワラタ
たまに、大作の間にこういうのがくると、グッド!
>・・・連投スマソ。もう書きません。
そんなこと言うなよ、漏れはイイとおもたよ。
グッド。
(・∀・)イイね。
良スレですな。
491 :
山崎渉:03/04/17 15:51 ID:POPg0HZN
(^^)
24.237.68.63 , 63-68-237-24.gci.net , ?
うん
しゅっぽっぽ
ふむ、そろそろ書いてみようかな…
ここって編集サイトは立てないの?
編集ではないが、自分がここで書いたSSは、自分のサイトにひっそり置いてたり…。
正式なSSとして置いてるわけじゃないですけど。
またそのうち新しいの書こうかな。
今度は海外の童話あたりで。(嘘つくと頭の毛が伸びる北川ピノキオとか)
人魚姫の涙
海に一条の光に似た歌声が響き渡りました。
青く、深い海の底にある岩に、一人の少女が腰掛けています。
闇に似た黒い髪と、光より眩しく光る白い肌。そして海に似た青く澄んだ瞳。
美麗な少女でしたが、腰から下は魚と同じように鱗やひれを持っています。
少女は人魚でした。名を舞といいます。
静かな夜が降り注ぐ日は、こうやって空に浮かぶ月を眺めて歌を歌うのです。
彼女の歌は千里を越え、どの魚にも、どの人魚にも聞こえました。
静かな夜。それは彼女の歌によっても支えられていて、その歌声を聞いて争うという心を起こすものはいませんでした。
たった一人を除いて。
しんしんと夜は深みを増し、すべての命に等しく静かな眠りを与える中、舞は空を眺め続けていました。
海から望む空は、波のうねりに滲んだ世界だけを写しています。
それが舞にとっては不満でした。すぐにでも、海の上に顔を出し空を眺めたかったのです。
人魚は、若いうちに外の世界へ行くことはできません。ただ、約束の日がくれば外へ出ることが許されます。
舞にとって、その約束の日は二日後でした。
早く空へ。
その想いをのせて、舞は歌い続けました。
空を飛ぶように、綺麗で流れるような旋律と、荒れ狂う海のような情熱を込めて。
海底に広がる洞窟のひとつで、一人呟く女がいました。
「なんて忌々しい……」
舞の歌声を聞いても、彼女の心は苛立ちに溢れるばかりでした。
彼女は舞の歌声が羨ましかったのです。それは妬みに代わり、いつか彼女の声を奪ってやりたいと考えていました。
魔女。そう呼ばれる女は、すでに老齢でした。元々人間でしたが、魔法を使い海の底で隠棲しています。
自らの顔にある皺を、またひとつ深みを増すようにして彼女は悲痛な表情を作りました。
あの美しい声は、自分が持つしゃがれ、潰れたような声とはまったく違いました。
澄みきった海よりも綺麗な音。それこそ、乾いた喉へと水が染みこむように、聞く者の耳へと収まるのです。
「ああ、なんという声の持ち主だろう」
彼女は歌い続ける舞の声を聞くまいと、耳を塞ぎました。
魔法で彼女の声を奪ってやる。そう決意を胸に秘めました。
翌日。海から陽が登るはずでしたが、それも見えません。
空を覆うのは、黒い塊のような雲たちだけです。
嵐。それは海に覆い被さり、雨を垂れ流し、雷を打ち続けました。
その海に、一隻の船が乗り出していました。大きな船でしたが、波は船ごと壊してしまいそうな勢いです。
やがて船は海に飲まれ、乗組員はすべて強暴な海の喉へと流しこまれていきました。
船には、一人の王子も乗っていました。
すぐ近くの国の王子で、今回は船上パーティに呼ばれていたのです。
王子は海へと投げ出され、しばらくは泳ぎつづけました。
水は口に入ってきて、呼吸を止めます。何度も水を吐き、腕を動かし続けました。
けれど、体は海の底へと不思議な力で飲まれるようです。
「くそっ、剣が邪魔だ」
空と海の間に、雨という梯子が延々と続き、黒く輝く雲を切り裂くように雷は落ちていきます。
もがき続ける王子は、剣を外しました。そして泳ぎつづけました。
いけどもいけども、海は果てを示すことはなく。やがて王子は力も尽きてきます。
波のうねりに遊ばれ、体は何度も上下を繰り返し、もはや天と地がどちらにあるかも分かりません。
もうだめだ…。
王子はそう思うと、海へと沈んでいきます。
暗い海の底へ。
舞は明日から外へ行けるということで、心を静かに鳴らせていました。
外は嵐でしたが、やがて収まるだろうと舞は思っていました。この季節、こうやって嵐が来ることは知っていました。
嵐よりも、舞は海の外へ顔を出して、空を、月を見られるということが、何よりも楽しみでした。
胸は大きく音をたて、舞の耳へと届きます。
この鼓動に合わせて、歌いだそうと思った時です。
「人……」
海面より、人が降りてきます。外は嵐なのに、一体何故。
そう思い、舞は人へと近づきました。その人とは、王子に他なりません。
海に沈みゆくなかで、王子は一人の少女を見ました。
薄れ行く意識のなか、海と同じ色の瞳の少女が近づいてくるのです。
天の迎えか。そう思うのも仕方ないほどに、少女は人並みはずれた美しさの持ち主でした。
少女と目が合う。王子はにこりと笑い、何処にでも連れてってくれ、と目を閉じました。
嵐はやがて異国へと旅立っていき、翌日には穏やかな空が広がっていました。
一人の少女が砂浜を歩いていました。
少女は白いワンピースに身を包み、隣に侍女を連れていました。
侍女は赤い髪を、肩の上でカールさせています。背はさほど高くありませが、不思議な気品を感じさせています。
落ちついた様子で、隣を歩く少女に声をかけました。
「姫、今日はいい天気ですね」
「はい。昨日は嵐で、外には出られませんでした。今日はゆっくりと海を眺めたいと思います」
少女、佐祐理は海が好きでした。毎日のように海を見つめ、海と語り合いました。
その色合いや、海に生きる魚たち。そのすべてが大きく偉大に見え、佐祐理はみずからの小ささを知るのでした。
この海のような、広く美しい心を持ちたい。佐祐理はそう願っていました。
佐祐理はこの国の王女であり、姫でした。
長く伸びた金の髪に、白い肌。誰もが美しいと言って憚らない少女です。
何をやらせても一流でありましたが、それを自慢することもなく、優しい心を忘れてはいません。
ただ、海へ行くことだけは、誰にも反対されても止めることはありませんでした。
佐祐理は周りより優れすぎているがゆえに、友達という友達もいません。
侍女は立場が違うと言いますし、同じ年頃の女の子でも佐祐理には、友達というより尊敬の眼差しを向けるだけでした。
一人であることを、佐祐理は悟られることもなく、ただ笑顔を浮かべていました。
海だけに、佐祐理は心を許すことができたのです。
ふっ、と佐祐理は海へと目を向けます。
潮の香りが漂い、涼しい風が吹き渡って髪を薙いでいきます。
足元の砂は、昨日の嵐の影響で水を沢山含み、重たくなっていて、歩きづらいようです。
それでも佐祐理は、一歩一歩進んでいきます。
「あれは……?」
佐祐理は砂浜の先に、倒れている人を見つけました。
すぐさま昨日の嵐で海に投げ出された人だと思い、佐祐理は駈け寄りました。
肩をゆすり、声をかけました。
「大丈夫ですか! 美汐さん、人を呼んでください」
美汐と呼ばれた侍女は、短く返事をすると、スカートの裾を持ち上げて走っていきました。
「大丈夫ですか」
「う………」
青年は目をうっすらと開け、今自分がどういった状況にあるのかを、把握しようとしました。
しかし、頭は働かず、全身は油の切れた機械のように軋むばかりです。
「凄い熱…」
佐祐理は顔を青くしながら言いました。
やがて、侍女が呼んだ男たちが男を城へと運んでいきました。
その運ばれた青年は、隣の国の王子、祐一でした。
空だ。
舞が感じたのは、それだけでした。
嵐の海から降りる青年に近づいた舞。青年は目を開き、舞を一瞬見つめたのです。
舞はその瞳に、空を見ました。遠く、何処までも続く空。
青年は一度だけ笑い、そのまま目を閉じました。
まるで、嵐によって空が落ちてきたよう。
一度だけ見せた笑み。
それは今まで舞が見たことのない笑みでした。ただ一度の笑みは、舞の心をとらえてしまいます。
心はいつまでも鳴り続け、青年を思い出す度にぎゅっ、と胸が苦しくなるのです。
あの後、舞は密に近くの砂浜へと青年を連れて行き、そこへ横たわらせたのです。
本当はもう少し待たなければ、外へと出ることは許されなかったのですが、舞は青年を救うために砂浜へ行きました。
海面に顔を出してやり、息をしているかどうか確認をしました。
人は海の中で息ができないということを、舞は知っていたからです。
そのまま、波打ち際まで行くと、波の流れに乗せるようにして砂浜へ横たわらせました。
もうすぐ潮が引くということは、舞には分かっていました。
じきに来る満月に向け、潮は大きく動いているのです。
hoshu
海の底へ戻った舞。心は苦しみの腕に掴まれたまま。
舞は体を鳴らすようにして歌い続けました。
悲しい旋律は海すらも涙してしまいそうです。
恋を歌い続けました。たとえ、自分自身で恋だと気づいていなくても、聞くものすべては恋の心を感じていました。
胸が苦しくて、張り裂けそうな想いは歌へと滲み、何処までも伝わっていきます。
あの人に会いたい。触れていたい。想いは言葉になり、旋律になり、何処までも流れていきました。
海の魚や人魚たちは、舞が一体誰に恋をしたのかという話で持ちきりでした。
舞は美しいものの、誰にも恋心をしめしたことはありませんでした。
その舞が、これほどまでに激しい想いを込めて歌っているのです。
明日、外へ行ける。
舞はそう思い、歌い続けました。
自由へ、空へと近づけるのだと。
いいね
祐一はうっすらと目が開きました。
「ここは、何処だ…?」
祐一は起きあがると、そう呟きました。
石造りの部屋には、天井からランプが吊るされているだけです。
まわりを見渡すと、金属製の医療用具のようなものが見えました。
ベッドに寝ていることを知ると、祐一は体を起こします。
真っ白いシーツと、知らない服を着た自分。
「そうか…、俺は船から落ちて、それから…」
祐一が記憶への旅に進みかけたその時。
「あ、気づいたんですね」
美しい。祐一は一目でそう思った。そういえば、少し前に同じようなことを思ったような気がする。
ああ、そうか。あの海で、つまりあの後死んでしまったのか。祐一はそう考え、目の前の少女をこう結論づけました。
「天使様?」
「あははーっ、佐祐理は天使じゃないですよ。ただの人です」
そういうと、佐祐理はからからと笑います。
「そうか…。ここは何処なんだ」
「ここは医療室です。あなたは砂浜で見つけられて、ここに運ばれてきたんです」
「思い出した。俺は君を砂浜で見た覚えがある。助けてくれたのか」
祐一がそういって、立ちあがろうとすると、急に眩暈がして再びベッドに倒れてしまいました。
「ダメですよ。まだ熱があるんですから…」
「そうなのか…」
それは自分の体が証明しているので、疑うことはできませんでした。
「はい、だからしばらくは佐祐理が看病させていただきます」
「佐祐理、っていう名前なのか。俺は祐一」
「祐一さんですねー。分かりました。あと数日すれば治ると思いますから、安静にしていてくださいね」
「佐祐理さん、ひとつ聞きたい」
「なんですか?」
無邪気に笑みを浮かべる佐祐理。それにたいして、祐一の顔は真剣だった。
「俺のほかに、助けられた人はいないのか……」
途端に佐祐理は、今までの笑顔を嘘にするかのように、顔を歪めました。
「はい……。あの後、城のものに探させましたが、結局誰も……、ただ遺体はいくつかあがって、もう埋葬を済ませたそうです」
「そうか…、俺だけか。俺だけが助かったのか、なんてことだ…」
祐一は頭を抱えて、静かに泣きはじめました。
佐祐理はそんな祐一を胸に抱いて、泣き止むまで一緒にいました。
「大丈夫です。今はゆっくりと休んで、それから家に帰ればいいんですから」
「家?」
ああそうか。と祐一は思いました。
自分が王子であることなど、分かるはずがありません。
祐一はそのことを黙っておこうと思いました。
まさか、黙っておこうと思った相手が、隣の国の王女だとは考えもしませんでした。
「困った……」
舞は空に呟きました。
折角外へ出られるようになったものの、足はありません。
足がなければ、陸をゆくことはできません。
舞はもう一度でもいいから、あの空色の目をした青年に会いたかったのです。
こんな日々を、舞は数日過ごしていました。
あの嵐の日から、もう何日経ったことか。すぐにでも会いたいというのに……。
ただ海面から空を眺めているだけでは、あの青年に会うことはできません。
そんな折、舞は人間の足をくれるという人の情報を知り、急いでそこを訪れました。
海の底、洞窟の一室。
「足が欲しい」
「おやおや、急だねぇ」
「ここにくれば、足が貰えると聞いた」
「ああ、可能だとも」
舞の話し相手は、魔女でした。黒いローブを被ったその魔女は、人魚にも魚にも嫌われていて、誰も近づくことはありませんでした。
けれど、ここ最近魔女は外に出てきては、人魚に足を与える薬があると言い触らしていたのでした。
それは、舞が歌う歌に、外への意志と人間への恋心を感じた魔女が、舞の歌声を奪うために考えたことでした。
「足はやれる。ただし、お前さんは声を失う。永遠にね」
「……それでもいい。私に足をくれるのなら」
「ああ、いいだろう。ただし、三日間しか人間にはなれない」
舞はあからさまに不機嫌な顔をして、魔女を睨みつけました。
「なに、永遠に人になる方法はある。ただ、それは2日目の夜に教える」
「……わかった」
不明なところは多かったものの、舞が青年に会いたいという気持ちは押さえきれませんでした。
魔女の顔が、醜い笑みへ歪んだことに、舞は気づきませんでした。
結局、舞は魔女から受け取った薬を、砂浜の近くで飲みました。
すぐさま、ひれは足へと変りました。
人になった! そう叫んでも、声は出てきませんでした。
あっ、と思い、声が消えたことを自覚しました。声を無くしたことは悲しかったけれど、早く王子に会いたいと思う心が出てきて、悲しみはよそへ追いやられました。
さて、どうしようか。舞は悩みました。よく考えれば、どこの誰だということもよくわかっていないのです。
舞はもってきた布だけを体に巻き、砂浜を歩きました。
516 :
名無しさんだよもん:03/05/18 12:25 ID:LV4Mv/B8
(´ー`)
ほしゅー
まとめサイト無いならデスクトップ復活後にやっちゃおっかな…
これは、わたしが小さいときに、村の美汐という語り部から聞いたお話です。
昔は、わたしたちの街の近くに、ものみの丘という丘があって、たくさんの狐が住んでいたそうです。
その丘から少しはなれた場所に、「かわずみ まい」というまものがいました。
まいは、ひとりぼっちの子供のまもので、しだのいっぱいしげった森の中の、ほらあなに住んでいました。
そして、夜でも昼でも、村に来て、ひとりであそんでいました。
麦畑へ入っていつまでもかくれんぼをしたり、
さわさわと麦穂を撫でながら通り抜ける風とかけっこしたり、
麦穂でわっかを作って頭にかけたり、いろんなことをしました。
けれども、ほんとうは、まいは、すごくさびしかったのでした。
久々の新話キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
と、いうわけでヒッソリと期待。
ある冬のことでした。雪がふり続いたその間、まいは、
外へも出られなくて、あなの中でしゃがんでいました。
ようやく雪が止むと、まいはじっとしていられず、あなからとび出ました。
空はからっと晴れていて、空気はつやつや澄んでいました。
まいは、村の小川のつつみまで出てきました。
辺りいちめんで、雪が日の光をあびてきらきら光っていました。
川には、いつもはたくさん水が流れているのですが、数日分の雪で、川は埋まっていました。
ただのときは行くことのできない、川のまんなかあたりまでもが、
蒼くすきとおった氷におおわれています。
まいは、川下の方へと川べりを歩いていきました。
ふと見ると、川の中に人がいて、何かやっています。
まいは、見つからないように、そうっと草の深い所へ歩きよって、
そこからじっとのぞいてみました。
「女の子だ。」と、まいは思いました。
女の子は、ぼろぼろの青い着物をまくし上げて、氷の上をすべってあそんでいました。
わらっている顔のほっぺたが、寒さでほおずきみたいに赤くそまっていました。
しばらくすると、女の子は、川の向こう側へあらわれた男の子のところへ、
ついっとすべっていきました。
男の子は、もうすぐお昼になるからかえってきて。といいましたが、女の子は、
もうすこし遊んでいたいと言って、お迎えにきた男の子を追い返しました。
男の子は、しぶしぶ土手を上がり、川上の方へかけていきました。
男の子がいなくなると、まいはぴょいと草の中から飛び出して、女の子のそばへかけつけました。
どうしても、お話がしたくなったのです。
まいは、どきどきしながら、女の子に話しかけました。
ところが、まいの、お友達になりたいという思いは、
女の子を地面にたたきふせました。
まるで、けわしい斜面をころげおちてきた岩のように。
おもいきりふりかぶってから、ふりおろした丸太のように。
まいは、なにがおこっているのかわかりませんでした。
あわててたおれた女の子のそばにかけよって、抱き起こそうとしましたが、
思いを伝えようとするたびに、血飛沫があがり、雪をあかく染めました。
まいは、なにがおこっているのかわかりませんでした。
うまく考えがまとまりません。
まるで、あたまのなかで、何かわっかのようなものが、ぐるぐるまわっているようでした。
だいぶ長い間、ぼぅっとしていました。
さっきの男の子がまたやってきて、悲鳴をあげるまで。
まいはびっくりして飛び上がりました。
まいは、倒れた女の子をそのままにして、一生けんめいににげていきました。
ほらあな近くのはんの木の下でふり返ってみましたが、男の子は追っかけては来ませんでした。
まいはまだどきどき音をたてている心臓をしずめようとして、血で汚れたところを葉っぱでふいて、
真っ暗なほらあなにもぐりこみました。
次の日も、また次の日も、まいは自分が傷つけた女の子が気になって仕方がありませんでした。
そこで、様子を見るために、そっと村までいってみることにしました。
なんと言って謝ればいいんだろう。いや、そもそもじぶんに謝ることができるのだろうか。
こんなことを考えながらやってきますと、いつのまにか、村のはずれにある家の前へ来ました。
その家の中には、大ぜいの人が集まっていました。
よそ行きの着物を着てこしに手ぬぐいを下げたりした女たちが、
表のかまどで火をたいています。
大きななべの中では、何かぐずぐずにえていました。
「ああ、そう式だ。」と、まいは思いました。
「このうちのだれが死んだんだろう。」
どうか、あの女の子のそう式ではありませんように。まいはそう思いました。
元ネタ知らんからなんか怖ぇー
お昼がすぎると、まいは、村の墓地(ぼち)へ行って、六地蔵(ろくじぞう)さんのかげにかくれていました。
いいお天気で、遠く向こうには、ものみのが見えます。墓地も、白い雪で、一面おおわれていました。
と、村の方から、カーン、カーンと、そう式の出る合図です。
やがて、白い着物を着たそう列の者たちがやってくるのが、ちらちら見え始めました。
話し声も近くなりました。
そう列は、墓地へ入ってきました。
人々が通ったあとには、雪の上にいくつもの足跡が残りました。
まいは、のび上がって見ました。すると、あの日女の子を迎えに来た男の子が、
泣いているのが見えました。
その瞬間、まいはこのそう式がだれのそう式なのか、はっきりわかりました。
「ごめんなさい。」まいは、そうつぶやくと逃げるようにほらあなに戻りました。
そのばん、まいは、あなの中でずっと泣いていました。
泣きながら、どうしたらつぐないができるのか、いっしょうけんめい考えました。
珍しくレスが進んでると思ったら…
続きが気になる。マジで。
次の日の朝早く、まいは、女の子のお墓の前でおいのりをしていました。
男の子は、ずっと女の子と住んでいたもので、
女の子が死んでしまっては、もうひとりぼっちでした。
「わたしと同じ、ひとりぼっちか。」まいは、そう思いました。
そして、お墓に野の花で作った花束を置いて帰りました。
次の日も、その次の日も、まいは、花束をお墓にささげに行きました。
その次の日には、花束だけでなく、手を赤くして作った、ゆきうさぎも、持っていきました。
月のいいばんでした。まいは、村に出かけました。
ものみの丘を通って、少し行くと、細い道の向こうから、だれか来るようです。話し声が聞こえます。
まいは、道のかた側にかくれて、じっとしていました。
話し声は、だんだん近くなりました。それは、あの男の子と、その友達でした。
「そういえば。」
と、男の子が言いました。
「ん?」
「おれな、このごろ、とても不思議なことがあるんだ。」
「何が。」
「だれだか知らんが、あいつの墓に、毎日毎日花束をくれるんだよ。」
「ふうん、だれが。」
「それが分からないんだよ。おれの知らないうちに置いていくんだ。」
まいは、二人の後をつけていきました。
「ほんとかい。」
「ほんとだとも。うそと思うなら、あした見に来いよ。その花束を見せてやるよ。」
「へえ、変なこともあるもんだなあ。」
それなり、二人はだまって歩いていきました。
男の子がひょいと後ろを見ました。
まいはびくっとして、小さくなって立ち止まりました。
男の子は、まいには気がつかないで、そのままさっさと歩きました。
村のお寺まで来ると、二人はそこへ入っていきました。
ポンポンポンポンと、木魚の音がしています。
まどのしょうじに明かりが差していて、大きなぼうず頭がうつって、動いていました。
まいは、いどのへりに座っていました。
しばらくすると、また、三人ほど人が連れ立って、お寺へ入っていきました。
まいは、男の子が出てくるまで、いどのそばにしゃがんでいました。
二人は、またいっしょに帰っていきます。
まいは、話を聞こうと思って、ついていきました。
男の子のかげぼうしをふみふみ行きました。
ものみの丘まで来たとき、男の子の友達が言いだしました。
「さっきの話は、きっと、そりゃ、神様のしわざだぞ。」
「えっ。」
と、男の子はびっくりして、友達の顔を見ました。
「おれはあれからずっと考えていたが、どうもそりゃ、人間じゃない、神様だ。
神様が、おまえがたった一人になったのをあわれに思わっしゃって、
花束をくださるんだよ。」
「そうかなあ。」
「そうだとも。だから、毎日、神様にお礼を言うがいいよ。」
「うん。」
まいは、少し寂しいな、と思いました。
その明くる日も、まいは花束を持って、女の子の墓へ出かけました。
しかしその日は、男の子も墓参りに来ていたのです。
男の子の方が、先に気づきました。
あの子を殺したまものが墓の前にいるではありませんか。
「ようし。」
男の子は、墓場のすみにおいてあった鎌を取り、、足音をしのばせて近よって、
ふり返ろうとするまいに、ざんと斬りつけました。
まいの姿が、ふっと消えました。。
男の子はかけよってきました。墓を見ると、墓にはあたらしい花束がささげられていました。
「おまえだったのか、いつも、花束をくれていたのは。」
男の子は、鎌をたん、と取り落としました。
また、そらからゆきが、しんしんとふりはじめました。
まいが人前に姿をあらわすことは、二度とありませんでした。
でも、良く晴れた、月が綺麗な夜には、
風もないのに、麦の穂が、ざざーっと揺れることがあるそうです。
いまでも、まいはひとりで、麦畑であそんでいるのでしょうか…。
はじまりには、あいさつを。そして、やくそくを。
美汐は、呪文のようにそう言って、話を切り上げました。
遠い遠い昔の、お話です…。
これで「ごんぎつね」はおしまいです。
最後まで読んでくださった方、本当に感謝です。
原作の雰囲気を残すため、あえて平仮名にしたところが沢山ありますが、
読みやすさをだいぶ損ねたようで、申し訳ありません。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
次回作があれば、また書かせて頂きます。
それでは。
(つД`)
ごんぎつねかぁ。
小学校の教科書に載っていたような気がするよ。
なんか切なく微妙にいい話しだったのは覚えてる。
しかし、上手い表現が多いなぁ、と。
風とかけっこなんて、そう思いつくものではないと思うし。
なるほどなぁ。そういや最後殺しちゃうんだよねぇ。
よかったっすよ。
保守?
胸にきますた
543 :
名無しさんだよもん:03/06/01 22:04 ID:qk7DNwx6
卍
544 :
名無しさんだよもん:03/06/01 22:40 ID:QjycPwa/
545 :
名無しさんだよもん:03/06/02 00:28 ID:zd79FNam
良スレだから保守
ところで、コメディーものを書いてもよろしいでしょうか?
了承
承認
552 :
名無しさんだよもん:03/06/09 17:09 ID:yE+SSKfV
七瀬の家で生まれた子は、みんな早死にしてしまい、
母はこんどこそと毎日弁財天に願をかけていた。
そんなある日、犬に乗った女神が現れ、不思議な光る珠を手渡した。
その後、母は子を宿し、元気な漢の子を産んだ。
この地方では、願をかけて産まれた漢の子は、乙女として育てると元気に育つ、
という言い伝えがあり、
七瀬の家もその言い伝えに従い、「留美」と名付けた。
555 :
554:03/06/10 22:17 ID:xaMvcvtU
「女として育てられた信乃」で
これが直感で思いついたんだけど、このキャストで続けるのは無理ぽ…
556 :
名無しさんだよもん:03/06/13 00:33 ID:VfLLYuCA
ほしゅ
物書きさんお待ちしてます
じゃあ俺も保守
「一人は、淋しい…」
昔々、或る所に女の子が一人、住んでいました。名前は、川澄 舞。彼女はいつも無表情
で、自分から人と話す事もせず、また誰も話しかけてくる人はいませんでした。皆、彼女
が持っている剣が怖かったのです。それに舞には頭がおかしいという噂がありました。い
つも舞以外には見えない魔物と闘っていると言うのです。おかげで、色々な人から馬鹿に
されていました。
「淋しい…」
自分の家の中で、舞はまた呟きました。一生こんな風に生きていくのだろうか?魔物がい
る限り?
友達でなくてもいい。話相手が、欲しい。
舞はその願いを声に出さず、剣を取って家を出ていきました。実際に、魔物はいるのです。
ただ舞以外には見えないだけで。
夜の森に、魔物はいました。舞にだけ見える、その外見は小さな女の子。爪も牙も無いの
に、手で触れられると何故か痛いのです。いつも何も言わず、悲しそうな顔をしていまし
た。
魔物に一撃を食わせた時、「彼女」が呟く様に問うたのを舞は聞きました。
「ねえ?」と。
舞は気のせいだと思い再び剣を振るいましたが、魔物には当たりません。魔物が口をきい
た事に内心驚いているのです。心なしか、魔物の声が、自分の声みたいだと思いました。
それも、泣きそうな時の。
「友達が、欲しいんでしょ?」
舞は答えません。しかし剣を振るうのを止めました。何で、急に喋りだした?
「あなたは、私だから…」
舞には、意味が分かりません。いや、分かっているのかもしれないと思いました。今、一
番、淋しくて怖いと思っているのは…。
「欲しいんでしょ?友達」
舞は頷きました。
「私が友達を作ってあげたら、あなたは私を認めてくれる?」
何を言うのだろう?何の関係が?それに、認められるわけが…。
「…嫌だ」
「私が、淋しいの。あなたが一人だから」
「…お前のせいだ…」
「私を認めてくれないから。でも、私は」
「…私は、一人でいい…」
その言葉を聞いた魔物は、苦しそうに胸を押さえた後、
「じゃあ、じゃあね…」
と呟いて森の奥へ消えて行きました。いつもなら追えるだけ追ってみようとする舞ですが、
今日はもう何もかもが嫌になって、剣を収め、家に帰っていきました。
次の日。舞が起きると、外がとても慌しく、村の大人達が何か騒いでいる様子でした。舞
は外に出て、辺りを見回しました。すると、例の魔物がクルクル飛んだり跳ねたりしなが
ら、手当たり次第に村の人達を襲っていました。ただ、手を触れているだけなのですが、
それが物凄く痛いのです。襲われた人達は、特に左胸の辺りが痛い様子で、そこを必死に
押さえていました。
舞は咄嗟に剣を携え、魔物に向かっていきました。魔物はそれに気付くと、動くのを止め、
その場にじっと立ちました。少し、怖さを隠す様に、微笑んでいます。舞は剣を構えて
「…何で、今になって関係ない人を襲う」
怒りを抑えている様な表情と声色で訊きました。魔物はそれに答えず、
「私の事、認めてくれる?」
と訊き返しました。やはり微笑んでいる様な、しかし今にも泣きそうな表情で。舞は我慢
しきれず、
「…認めない…!…」
呟いて、魔物を叩き斬りました。魔物は刃が当たると、それだけで霧散する様に消えてい
きました。
舞は疲れて座り込みました。自分でも何故疲れているのか分かりません。
「おい…」
しばらくして、痛みが引いてきたらしい村の男の一人が話しかけてきました。
「魔物っていうのが、ああしたのか?お前が、やっつけたのか?」
舞は注意しないと分からないくらい小さく頷いて、何故か湧き出した虚無感とこれからへ
の期待感を味わっていました。
(どうして、あの子は…?)
心の声に答えられる者は、もういません。
魔物はどこにも、もう二度と出ませんでした。舞は少しだけ明るくなりましたが、しかし
時折、後悔を噛み締めている様な表情をしていたそうです。
これで終わりです。元ネタは泣いた赤鬼ですが、私は内容をあまり知らないので、
余り忠実ではないかもしれません。観鈴ちんの方が赤鬼に向いていた気もしますが、
舞萌えなのと、なんとなくスレの流れとしては舞かな、と思いまして。
私も職人さんをお待ちしております。それと、このスレでまともに読んだのは雨月
さんだよもん氏のお話だけなので、既出だったらスマソ。
寂しくて面白いな。
すげく良い。
全然既出じゃないよ。
567 :
名無しさんだよもん:03/06/19 22:04 ID:gt9jjcDk
保守あげ。というか職人降臨期待あげ。
569 :
名無しさんだよもん:03/06/19 23:08 ID:XEdx8D5X
570 :
名無しさんだよもん:03/06/19 23:09 ID:coE5SLun
ホシュ
シュ
ユ
シュラシュシュシュ
保
守
577 :
564:03/06/26 21:07 ID:ylRjlslN
舌切り雀ベースで舞の話を書いていますが、どんどんそれから離れていく感じです。
舞も飽きたでしょうし、長いし、上記の事もあるしで、書き終わってもUPしない
方がよろしいでしょうか。
ところでこのスレには今どのくらい人がいるのでしょう。
誰かどうです、やってみては。保守してくれている方もいますし。
>>577 別に良いんじゃないでしょうか、多少の逸脱くらい。
まんま再現したって意味ないですし。同じキャラが続くのもあなたの責任でもないでしょう。
気楽にすぽーんと落としちゃってくださいな、すぽーんと。
そうそう、がんばって。
漏れなんか、18禁の昔話でもなんでもないもの書いてたし……。
昔々、或る村に、対照的な二人の男が住んでいました。
一人は、相沢祐一。気性はどちらかというと激しい方でしたが、困った人がいるとつい
助けてしまうという様な、心根は優しい青年でした。
もう一人は久瀬。祐一に比べると静かな性格ではありました。しかし、人の行為を冷や
かに見ていて、どうすれば自分が得をするかという計算をし、それから行動をする癖があ
りました。祐一とは家が隣同士なのにも関わらず、交流はあまり持ちませんでした。ただ、
自分の家に比べ貧相な祐一の家に、たまに少し「汚らわしい」という様な眼差しを向ける
事があるくらいです。
…ある時、祐一が柴刈りをする為山に行くと、歳の頃八つくらいと思われる女の子が一
人、うっそうと茂る木々の間に腰掛けているのを見つけました。何だろうと思い、話しか
けてみますと、彼女は迷子になったというのです。名前は、舞といいました。口数が少な
く、お腹も空いていたのでしょうか、祐一が昼飯に持ってきたおむすびを黙々と食べてい
ます。
…舞が本来なら祐一の昼飯になる筈だったものを全部食べ終わったのを見てから、彼は
問いました。
「なあ、どうして迷ったんだ?誰かと一緒だったのか?」
舞はそれに対しうつむいて、悲しそうに答えます。
「…私、本当は、迷ったんじゃないの」
「ん?」
「お姉ちゃんが虐めるから、逃げてきたの」
良く見ると、舞の体には小さな切り傷や打撲傷が沢山ありました。
「そう、お姉ちゃんが虐めるから、逃げて来たんだな」
鸚鵡の様に答えてから、ああ、この子は可哀想なんだな、と祐一はぼやっとした風に思い、
「なあ、とりあえず村に下りないか?少なくとも、ここに打ち身に効く薬は無いと思うし」
と言ってみました。女の子は「こくん」と頷きます。祐一は柴刈りに使う鎌を後で取りに
来る事が出来る様に分かり易い所へ置き、女の子をおぶって山を降りて行きました。途中、
「ああ…、ガキに惚れる様な趣味は無い筈なんだがなあ…」
と自嘲する振りをしながら。その言葉を聞いた舞は、ペチッと祐一の頭を叩いて抗議しま
した。
舞の傷はいずれも浅く、すぐに外を駆け回る事が出来る様になりました。でも、時々夜
に「お姉ちゃんが来るの!」と叫びだし、泣いてしまう事があります。そういう時、祐一
は、そっと舞の頭を撫でてやるのでした。祐一はいきなり小さな女の子を連れて来た事で
周りから色々と言われたのですが、それもすぐに止み、村の女衆に舞を預かって貰ったり
しながら、親代わりになってこの子を育てていく事にしました。
一方、隣人の久瀬は面白くありません。久瀬は子供が嫌いでした。なにしろ煩いし悪戯
はするし、この前など数えで八つの癖に夜泣きをして、それが久瀬の家まで聞こえてきた
のです。文句を言っても「この子はお姉さん、まあ実の姉かは知らないけど、とにかく身
近な人に虐められて生きてきたのだから、大目に見て下さいよ」と返されるのです。「たま
ったものではない」と思いました。だから、皆の見ていない時に、舞に厳しく「静かにし
ろ」だの「お前の家に帰れ」だのと言います。それで舞が泣くと、頭を打ったりします。
でも、舞は誰にもその事を言いませんでした。
ある時、家でふと、祐一が訊きました。
「なあ、舞。また、あざが出来てないか?」
気付かれた、と思いました。舞は壁の方を向きながら、
「え、なんともないよ…?」
と答えますが、
「なんともあるぜ。誰がやったんだ?」
「転んだんだよ…」
涙目になりながらも、舞は久瀬に打たれたとは言いません。しかし、祐一は、「誰がやった
のか、見ている奴がいる筈だ」と言い、立ち上がって家を出て行きました。舞はどうしよ
うどうしようとしばらく迷っていましたが、久瀬と祐一が言い争う様な声を聞いて、それ
がいたたまれずに家を飛び出し、森の方に走って行きました。久瀬の家の入り口では、本
人から事情を聞いた祐一が久瀬を思い切り殴っている所でした。祐一は舞に気付きました
が、追おうとした瞬間久瀬に思い切り殴り返され気を失い、気付いた時には一人で自分の
家の入り口の前で倒れていました。舞の行方は、分かりません。舞と出会ってから、一月
しか経っていませんでした。
「どうすれば、良かったのだろう…」
舞がどこかに消えてから何日も何日も、祐一はずっと考えていました。しかし、分かり
ません。久瀬もだが、何より自分の所為だと思いました。「俺すらも信じられなかったから
逃げたんだ」と考えたのです。柴刈りにも精が出ませんでした。ごろりと寝転がりながら、
舞が今どうしているか、それだけを考えていました。すると、
「すみません」
戸口から声が聞こえました。女性の声です。村でこんな声を聞いた事は無いので、おかし
いなと思いながらも戸を開けると、自分と同じぐらいの歳だろうと思われる女性が一人、
立っていました。その女性は祐一の顔を見ると、「あははーっ」と笑いました。
「…あなたが、祐一さんですか?」
「…ええ……?」
訝しげに返事をする祐一に、女性は言いました。
「舞を世話してくれて、有難う御座いました」
ぺこりと頭を下げる女性。祐一は(こいつが、『お姉ちゃん』なのか?)と一時思いました
が、とても誰かを虐める様な人には見えません。名前を訊くと、佐祐理だと答えました。
舞の友人だと言います。
「ここが分かったのは、舞に聞いたからなんだろう?」
「はい、そうです。…あの子、可愛かったでしょう?」
「まあ、うん…。で、用件はこれだけなのか?」
佐祐理は、「忘れていた」という風な表情をしてから、
「ああ、舞が家に、招待して欲しいって言ったんです」
「やっぱり、お姉さんと一緒に暮らすのか?」
心配そうに祐一は聞きます。すると、
「……とりあえず、舞の家に行ってあげて下さい。…舞が心配でしたらね?」
と誘拐犯めいた事を言うので、祐一は舞をかなり心配しながら佐祐理について、舞の家に
行く事にしました。その家は、祐一が暮らす村の近くの町中に建っていました。
舞の家は、「普通より少し大きいくらい」と言う事が出来る規模の屋敷でした。舞はこ
こで、佐祐理と、もう一人の違う女性と一緒に暮らしているという事です。祐一はお金持
ちのものらしい屋敷の珍しさと、舞がそこらで遊んでないか探す目的もあって、きょろき
ょろと周りを見渡しながら屋敷の門をくぐりました。そして中に入り、応接間らしき整っ
た部屋に通されました。祐一は驚きます。そこにはもう一人、自分と同い歳くらいの女性
が座っていたのですが、その顔が舞にあまりにも似過ぎていたのです。
「……あんたが、舞のお姉さん?」
「………」
舞に似ている女性は祐一をじっと見つめますが、何も反応を返しません。佐祐理に「舞と
この人はどういう関係なの?」と聞いても、「姉妹みたいなものですよ」としか言ってく
れませんでした。みたいなものというのが祐一には良く分かりませんが、まあ本人に訊け
ば良いだろうと思い、舞の帰りを待ちました。
しばらくして、舞が帰ってきました。祐一は全く無事な様子の舞を見て、嬉しく思いま
した。舞は、祐一以上に嬉しさを感じた為か、びくりと動きが止まっていましたが、それ
からゆっくり二つ数えられる程の時を経て、その間にみるみる顔を真っ赤にさせながら、
「ごめんなさい……」
と呟く様に言いました。佐祐理がなだめる様に「可愛いですねーっ、よしよし」と舞の頭
を撫でて、その後、「じゃあ、夕ご飯持って来ますから、四人で一緒に食べましょうね」と
言いながら台所の方に駆けて行きました。佐祐理が応接間からいなくなった後、祐一は舞
をゆっくり撫でました。舞に似た女性は、わずかに、わずかに羨ましそうな目で舞を見て
いましたが、祐一は彼女の前にいたのでそれに気付きません。舞は喜んでいいのか哀しん
でいいのか分からずに、「お姉ちゃん」の視線を感じていました。
ご飯を食べ、夜が更け、客間にも祐一の為に布団が敷かれました。祐一は行灯の明かり
の中、天井を見ながら布団の上に寝転んでいます。舞に無理矢理「お姉ちゃん」の事を話
させるべきか、それとも、もう虐められなくなったのなら話などさせないでこのまま忘れ
させるべきか迷いながら。
「ねえ?」
考えているうちに眠っていたのでしょう。祐一は、舞が部屋に入ってきた事に気付きませ
んでした。
「…う、ん?何だ、舞。八つの子供は大体寝てるぞ、今頃は」
寝ながら返事をし、舞にも寝るように促しました。しかし
「私はいいの、そういう八歳だから。…ところで、あのね、訊きたい事があるの」
舞らしくなく、もじもじしながら言い出します。
「何?」
「お姉ちゃんと、佐祐理さん、どっちが好き?」
「は?……」
いきなりの質問に対し、祐一はちょっとの間だけ、しかし真面目に考えてから、
「両方初対面みたいなもんだから、分からない。……舞は?」
舞は、寝ている祐一には分かりませんでしたが、まるで相手と斬り合う前の侍の様な、そ
んな思いつめた表情をしていました。そして、
「お姉ちゃんが、好き」
と呟きました。
「お姉ちゃんが、か?」
「信じられないでしょ?お姉ちゃんが嫌でここを逃げ出して来たのにね。でも、お姉ちゃ
んに幸せになって欲しいの、私」
祐一はそういう気持ちが良く分かりませんでしたが、でも、舞が幸せになればいいなと思
って、
「そうだな、お姉ちゃんが幸せになればいいな」
と言ってあげました。舞はまた言います。
「お姉ちゃんは、無口で無愛想で食いしん坊で面倒臭がり屋だけど、貰って欲しいの。祐
一のお嫁さんにして」
舞がさっきから何を言いたいのか祐一には分かりません。
「おい、舞。何でそんな事を言うんだ?確かにお前に似て美人だけどさ、まだ俺はお姉ち
ゃんとは口もきいてないぞ?」
「……お姉ちゃんが、寂しがっているの。私は、お姉ちゃんの本心みたいなものだから、
分かるの。本当に寂しい時に祐一が優しくしてくれたでしょ?それだから、一緒になれた
らいいなって……」
舞は、自分とお姉ちゃんを混同して話しているのだな、と祐一は思いました。舞は祐一が
返事をするのを待っています。祐一はちょっと考えて、舞を説得しようとしました。
「あのな、舞。結婚てのは、まあ武家や公家の方々は政略結婚なんて事をするらしいが、
本当は好きな奴同士がするもんなんだ。俺はお前のお姉ちゃんをあんまり知らないし……」
「それじゃあ、私の事、嫌い?」
「最後まで言わせろって……、まあ、嫌いじゃない、好きだ」
「じゃあ、大丈夫」
舞は微笑して、「じゃあもう寝るから」と言い応接間を出て行きました。祐一は「まあ所詮
子供の言う事さ」と思い直し、そのまま眠りにつきました。
次の日。村に帰ろうとする祐一に、「お姉ちゃん」が一緒についていくと言い出しました。
舞の差し金だな、と直感した祐一はどうしようかと考えましたが、嫌いな人間と一緒にい
ようとは思わない筈なので、しばらく一緒に暮らしてみる事にしました。舞は、来ません。
佐祐理と一緒に残ると言いました。
「じゃあな、舞。また会いに来るからな」
「うん、祐一も元気でね」
舞の家を離れて少ししてから、祐一は自分の隣を歩く女性を「あんた」としか呼んだ事が
無いのに気付き、「そういえば、名前は?」と訊きました。「お姉ちゃん」はこう答えます。
「…舞…、私の名前も、舞って、言う……」
祐一と舞が見えなくなってから、もう一人の小さい舞は佐祐理に謝りました。
「佐祐理、御免なさい。これからは一人で暮らす事になっちゃうね」
「大丈夫ですよ、私は舞があなたに、舞自身に辛く当たる方が嫌なんです。それに、また、
会いに来るでしょうしね」
「うん、ありがとう。……じゃあ、私も、もう行くから」
小さい舞は、そう言うと、しゅうっと夢みたいに消えていきました。それを見届けた佐祐
理は、目に浮かんだ涙を拭いて、これからも自分が住む、大きな家を眺めたのです。
一方、久瀬は、小さな舞を裏で虐めていた事がばれて、一時村八分の様な状態になり、
信用を失ってしばらく淋しく暮らしたそうです。しかし、欲を出して大きなつづらを求め
に行くよりは、いい結末じゃありませんか。ねえ?
593 :
名無しさんだよもん:03/06/29 23:50 ID:IJ7CUD4s
これでお終いです。出来とかは気にしないで。
元ネタは舌切り雀。しかし舌は切られない。ここらへん特に気にしないで。
舞は小さいつづら、佐祐理さんは大きいつづらのつもりです、一応。
御目汚し、本当にすみませんでした。
そして職人降臨期待あげ。誰か頼みます。
594 :
名無しさんだよもん:03/06/30 00:01 ID:idI3QyBZ
>>593 途中まで元ネタがなにか思い出せなかったよ(w
小さいつづら、大きいつづら、か……うまいね。面白かった。
保守しとくな
ほにゅ。
七夕ね
うん
こく
ふるふる
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| _,,.、 -ー''''フ .|
| ―==二,,,__ /
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歌音物語 〜門にてをみなを待ちゐたること
今は昔、摂津守久弥某の任遷り侍りしをりに、其の従者の相沢某なる者同行す。相沢某
が嫡子祐一、かの地に縁ありてとどまりたるに、従七位水瀬某が妻秋子なる者の屋敷に向
かふ。
故知らぬ地ゆえに秋子が娘に案内を頼まむと南大門にて待ちておりしが、日傾けども来
ず。一時ほど雪を衣に待ちてをりしに、手習いのよそほひのまゝ来たるをみなあり。祐一
、雪の衣の冷たきに立つことあたはざればをみなを見ず。「雪ぞ積もりける」をみなが答
へしに祐一応へていはく「一時を待てばこそ」と。をみなたをやめぶる仕草にて「あなや
」と振り返りていはく「半時を遅れ侍りしと思ひたればこそ」と。祐一かぶりを振りてい
はく「さりとて待ちゐたるは同じ」と。日の傾きて疾く屋敷へと心の急ぎたれば案内を頼
みしが、をみないはく「我が名ぞとどめおきたるか。」と言ひて動かず。祐一覚えてをり
たるが待ちたるをりの冷たさを覚えればすぐには答えず。をみな深き面持ちにて走りて戻
らんとするに祐一「な行きそ」と叫びぬ。そのをみなが名を名雪となむ言ひければ「侍り。
」となむ明るき声色にて答へり。
あげ
>>603激しく面白かったYO!
言い回しがすごくイイ
よく書けるな。
>>603 古文が苦手な頭を振り絞って読んでみたが、なるほど……
確かに最後の言い回し方は神だ。
ハッキリ言ってアメリカなどの多民族国家では黒人の方がアジア人よりもずっと立場は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜いアジア人は黒人のストレス解消のいい的。
黒人は有名スポーツ選手、ミュージシャンを多数輩出してるし、アジア人はかなり彼らに見下されている。
(黒人は白人には頭があがらないため日系料理天などの日本人店員相手に威張り散らしてストレス解消する。
また、日本女はすぐヤラせてくれる肉便器としてとおっている。
「○ドルでどうだ?(俺を買え)」と逆売春を持ちかける黒人男性も多い。)
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない日本人は滑稽。
強調か