鍵キャラに阪神タイガースを絡めたSSを!

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1名無しさんだよもん
書ける人は・・・いるか?
2名無しさんだよもん:02/10/20 13:35 ID:Pr49X8Xb
2ゲット
3名無しさんだよもん:02/10/20 13:36 ID:kRnVziKl
            o
            /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /
           /   このスレは無事に  /
           /  終了いたしました    /
          / ありがとうございました  /
          /                /
         /   モララーより      /
         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
  ∧_∧  /                /∧_∧
 ( ・∀・) /                /(・∀・ )
 (    )つ               ⊂(    )
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 (__)_)                  (_(__)
4名無しさんだよもん:02/10/20 13:37 ID:tl04ofUg
ねえ…舞次の授業は体育だから早く着替えようよ。
5名無しさんだよもん:02/10/20 13:40 ID:Pr49X8Xb
ID:Pr49X8Xb・・・伊達と片岡かぁ
伊達はともかく片岡はなぁ・・・
6名無しさんだよもん:02/10/20 14:08 ID:SfBJsrCy
♪      \\  大根おろしを颯爽と  秋刀魚の焼ける七輪の ♪        //

      ∩ ∧∧  ∩ ∧∧   ∩ ∧∧   ∩ ∧∧   ∩ ∧∧  ∩ ∧∧
 ♪ ∩ ∧∧*゚ー∩ ∧∧(*゚ー゚∩ ∧∧(*゚ー∩ ∧∧ (*゚ー∩ ∧∧(*゚ー∩)∧∧(*゚∩゚)∧∧♪
   ヽ (*゚∩∧∧ヽ (*゚∩゚∧∧ヽ (*゚∩゚)∧∧ヽ(*゚ー∩ ∧∧ヽ ∩゚ー∧∧ヽ (∩ー゚∧∧(*゚ー゚)∧∧♪
   ∩ ∧∧*゚ー゚)∩ ∧∧*゚ー゚∩ ∧∧(*゚ー゚)∩ ∧∧*゚ー∩ ∧∧*゚ー∩ ∧∧(*゚ー∩ ∧∧(*゚ー゚)
──ヽ (*゚ー゚) ⊂ ヽ (*゚ー゚)⊂ ヽ (*゚ー゚) ⊂ ヽ (*゚ー゚) ⊂ ヽ (*゚ー゚)⊂ ヽ (*゚ー゚)⊂ ヽ (*゚ー゚) ⊂ ヽ─♪
    ヽ ⊂ ヽ-、 )ヽ ⊂ ヽ-、 )ヽ ⊂ ヽ-、 )ヽ ⊂ ヽ-、 ヽ ⊂ ヽ-、 .)ヽ ⊂ ヽ-、 ヽ ⊂ ヽ -、 )〜
     O-、 )〜∪ O-、 )〜∪ O-、 )〜∪ O-、 )〜∪ O-、 )〜∪O-、 )〜∪O-、 )〜 ∪
  ♪    U       U       U        U       U      U       U
7名無しさんだよもん:02/10/20 14:10 ID:SfBJsrCy
♪   \\    ハラワタの味ほろ苦く ご飯がすすむ秋の味覚 ♪ //

          ∧∧     ∧∧     ∧∧      ∧∧     ∧∧     ∧∧
  ♪   ∧∧(*゚ワ゚)つ∧∧*゚ワ゚)つ∧∧(*゚ワ゚)つ ∧∧(*゚ワ゚)∧∧ (*゚ワ゚)つ∧∧(*゚ワ゚)  ∧∧♪
      (*゚ワ゚) ∧∧ (*゚ワ゚)つ∧∧*゚ワ゚)つ∧∧ (*゚ワ゚)∧∧(*゚ワ゚)つ∧∧ (*゚ワ゚) ∧∧ (*゚ワ゚) ∧∧
   ヽ と ∧∧ (*゚ワ゚)つ∧∧(*゚ワ゚)つ∧∧*゚ワ゚)つ∧∧(*゚ワ゚)つ∧∧(*゚ワ゚)つ∧∧(*゚ワ゚)つ∧∧(*゚ワ゚)つ♪
── ⊂ (*゚ワ゚)つ  ノ (*゚ワ゚)つ ノ (*゚ワ゚)つ ノ  (*゚ワ゚)つ ノ (*゚ワ゚)つ ノ  (*゚ワ゚)つ ノ (*゚ワ゚)つ ノ─♪
 ♪ ヽ と  丿_  ヽ と  丿_  ヽ と  丿 /ヽ と  丿_  ヽ と  丿_  ヽ と  丿_  ヽ と  丿_ /
    ⊂ _  /  し ⊂ _  /  し ⊂ _  / し  ⊂ _  /  し ⊂ _  /  し ⊂ _  /  し ⊂ _  /  し
       し        し        し        し        し        し       し
8名無しさんだよもん:02/10/20 14:11 ID:SfBJsrCy
♪  \\    オウオウオウオウ秋刀魚の塩焼き♪  クレクレクレクレ ♪    //

     ♪    ∧ ∧     ∧ ∧   ∧ ∧     ∧ ∧    ∧ ∧     ∧∧   ♪
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       |  ∪  | |  ∪|   | | ∪. |   | |  ∪|  | .|  ∪|   | | ∪ |  | |  ∪ |  |〜    ♪
  ♪   |  | U U .|  | U U  |  | U U. |  | U U .|  | U U  |   | U U  |  | U U ♪
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9名無しさんだよもん:02/10/21 03:31 ID:oFnQZ1uo
設定
KANONキャラは大抵阪神ファンとする・・・
月宮あゆ「うぐぅ、阪神優勝がボクの願いだよ・・・」阪神ファンになって食い逃げやめた
水瀬名雪「阪神来年こそ優勝だお〜」家族ぐるみで応援している
水瀬秋子「FA補強・・・了承(1秒)」意外と熱狂的ファン
美坂栞「万年最下位なんて言う人、嫌いです」チーム事情に詳しかったりする
美坂香里「私には阪神ファンの妹なんていないわ」それでも心の奥底では阪神を愛している
沢渡真琴「あう〜っ!しっかり打ちなさいよ〜っ」打線が湿りがちなのが気に食わない模様
天野美汐「応援が上品だといってください」・・・実は巨人ファン
川澄舞「四番はエースを討つ者だから・・・」舞自身も相当な長打力があるが、観戦の方が好き
倉田佐祐理「あははー、浜風がきついですよー」守備の達人やバント職人をこよなく愛する

・・・この設定で書く!!・・・かも。
10名無しさんだよもん:02/10/21 21:02 ID:oFnQZ1uo
ネタ考案中・・・
11名無しさんだよもん:02/10/21 21:02 ID:oFnQZ1uo
って、あげちまった・・・
12名無しさんだよもん:02/10/21 21:32 ID:t5WOTuth
斬新で良いタイトルだとは思うが・・・
13星野と人形と熱狂と観鈴:02/10/21 21:49 ID:moLxK70W
ようやく着いた。これが阪神甲子園球場か……
俺の名前は国崎往人。旅の人形術師だ。
何故俺がここに居るか、もちろん人形劇で金を稼ぐ為だ。
旅費は晴子に前借りした。たんまり儲けて二倍返しの条件で快く往復の電車代を貸してくれたという訳だ。
日本人といえば野球。とりわけ甲子園での阪神巨人戦となれば、かなりの客数が期待出来る。
その客を俺の人形劇でごっそり奪おうという、壮大かつ完璧な作戦だ。…ただ一つの誤算を除いては…
「にはは、凄い人だね、往人さん」
そう、これが俺の最大の誤算。大の阪神ファンの観鈴である。どうやら晴子の影響らしい。
必ず俺の役に立つから、どうしても付いていくと言って聞かなかった。しかし、この観鈴が劇の役に立つとも思えない。
「そらそうだ。今日は巨人戦だからな。」
答えた俺の声はいつも以上にぶっきらぼうだった。自分でもわかる。
「さて、そろそろ始めるか。」
「ねえ、往人さん。中でやろうよ。中で。」
「どうしてだ、ここで充分だろ?」
「でも、まだ試合開始まで二時間ある。先に入ってるお客さん、退屈してると思う…」
ほう、なかなか良いことに気付いたな。
「そうだな。入ってみるか。」
こうして俺達はチケット売場へと歩き始めた。
14名無しさんだよもん:02/10/21 22:09 ID:Lg5VIi1u
♪  \\    オウオウオウオウ秋刀魚の塩焼き♪  クレクレクレクレ ♪    //

     ♪    ∧ ∧     ∧ ∧   ∧ ∧     ∧ ∧    ∧ ∧     ∧∧   ♪
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15 ◆8zfr/MOON. :02/10/21 22:14 ID:mRme4w7t
前人未到の名スレの予感。。。
16名無しさんだよもん:02/10/21 22:22 ID:Wgsch/Xb
その時、巨人の野球生命体長嶋が
17名無しさんだよもん:02/10/21 22:25 ID:t5IGQHMN
>>9さん。先書かせてもらいます。無視しても構いません。

阪神といえば猪名川なんだが、あまりにもありきたりなので・・・
名雪「ねぇ、母さん。なんで北海道って巨人ファンが多いんだろう。
   こんど日本ハムが移転してくるのに。」
秋子「それはね、野球知らない人は巨人ファンですっていえば失敗しない、
   こういうことが絡んでいるの。北海道には地元球団が無いから、
   しかたのないことなのよ。それに、巨人は北海道にも巡業するから。」
名雪「ふーん・・・」
祐一「ところで名雪はどこのファンなんだ?その前に野球わかるのか?」
名雪「わたしはもちろん阪神だよ。昔は新庄さんが好きだったけど、
   今は井川さんかな。あの速球はすごいんだよ。それから桧山さんも大好きなんだよ。」
祐一「・・・なんか妬けてくるんだが、まぁいっか。秋子さんは?」
秋子「私は八木さんですね。神様としていい仕事しますしね。
   後は広澤さんかしら。往年の力は衰えているけれど、
   いまだに渋いヒットを打つところがかっこいいわ。まるであの人みたい・・・」
祐一「あの人?あの人って・・・まさか・・・」
秋子「さ、ジャム作りジャム作り♪」
祐一「・・・・・・。お、真琴。お前は野球に興味あるのか?」
真琴「あったりまえでしょー。真琴は阪神の今岡さんのファンなの。」
祐一「おまえな、まさか『まこと』つながりだからとか言わないだろうな?」
真琴「あぅー、それもあるけど、今年はちゃんとレギュラーとして頑張ってるじゃない。
   去年の成績からは想像できない活躍してるの!!」
祐一「わかったわかった。さて、そろそろ時間だな。」
 ピッ(テレビをつける。ちなみにスカパーなので、試合開始直後から観戦)
名雪「あ!!今日は先発井川さんなんだおー。ということは、勝つということだね。」
秋子「あらあら、じゃあ今夜は八木さんの出番は無しかしら。」
真琴「あ、今岡さん3番に入ってる。ねえ祐一、今岡さんヒット打つかな?」
祐一「そうだな。1本くらいは打つだろ。とにかく、今夜は・・・
   阪神-巨人 IN甲子園かぁ。客の入りものすごいな。」
18名無しさんだよもん:02/10/21 22:52 ID:dg7X8tTn
一人一人ひいきの球団を変えた方がからみが面白くなる気がする
19名無しさんだよもん:02/10/21 23:00 ID:qo2s3BHV
>>18
確かにそれなら面白そうやな。幅も広がるし。
20名無しさんだよもん:02/10/21 23:08 ID:dg7X8tTn
219:02/10/22 00:15 ID:zFPpFjE5
「―ボクの、もう一つの、願いは―」


これは、夢だろうか・・・
誰かが、マウンドに立っている。
その顔は、つらそうで、だけど、うれしそうで。


これは、過去の情景だ。
そう遠くない、過去の。
思い出したくなかった、もう一つの記憶。
投手はゆっくりとふりかぶった。
その投手は、俺自身だった。
「投げちゃダメだっ!!!」
しかし、無情にも白球は投手の指先から離れていく。
刹那、鋭い打球が投手の左肘めがけて放たれた。
かわせっ!かわせっ!!かわしてくれっ!!!
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
229:02/10/22 00:21 ID:zFPpFjE5
「祐一、祐一、大丈夫っ!?」
誰かが俺を揺さぶっている。

誰だ・・・?

「名雪・・・か」
目の前には同居中のいとこの少女。
「祐一すっごくうなされてたんだよ?」
「そうなのか?」
「うん。怖い夢でも見たの?」
怖い夢。思い出したくない夢。
「まあ・・・な」
俺は不快な寝起きから立ち直ろうと、
リビングに下りることにした。
23:02/10/22 00:30 ID:zFPpFjE5
リビングでは、朝のニュースを見ながらパンをかじっている
真琴の姿があった。えらく不機嫌そうだ。
「・・・・」
「・・・・」
会話が成立しなかった。
むしろ、ここで変にもめると、俺自身が
なにかキツイこと言ってしまいそうで、あまり話したくはなかった。
数分の沈黙。
しかし先に怒声を上げたのは真琴だった。
ニュースがスポーツの話題に移った時だった。
「あうーぅ!!ホントにムカつくーっ!!」
「お、おい、どうしたんだよ!?」
「ちょっと祐一、テレビみてよっ!!」
ふとテレビをみると、プロ野球、阪神の試合結果を流していた。
24:02/10/22 00:41 ID:zFPpFjE5
―阪神の先発はエース井川、巨人は入来が先発―
井川・・・左腕か。ふと自分の左肘に目がいく。
―両投手の投げ合いで幕を開けたこの試合、阪神は7回―
阪神が先制かな?だけど真琴は強烈な阪神ファンだったはず。
それなのになんでこんなに機嫌が悪いんだ?
―入来を攻めてノーアウト1,2塁。しかし赤星が送りバント失敗、
片岡アリアスと連続三振に倒れ、チャンスを潰します―
・・・昨日8時半ごろなにやら叫んでたのはこれか・・・。
―0対0で迎えた9回、2アウト2塁から片岡が痛恨のタイムリーエラー。
これが決勝点となり、守護神河原が締めて試合終了。1対0で巨人が勝ちました―
・・・はぁ、真琴の気持ちもわかるけど・・・

「祐一さん、朝ごはんはトーストでいいですか?」
ふと、秋子さんが声をかけてきた。
25:02/10/22 00:53 ID:zFPpFjE5
「はい、マーガリンでお願いします。」
塗るもの指定しておかないと、怖い目にあう。
そういえば、秋子さんも名雪も阪神ファンだったはずだ。
ちなみに俺も俺の両親も阪神ファンだ。
「阪神、負けちゃいましたね。」
「ええ、打線に活気がありませんね」
「片岡つかってるのがいけないのよぅっ!!」
そこに名雪も下りてきて、阪神談義となった。

「だから、打線のテコ入れが必要なのよっ!!!」真琴が打線を非難する。
「でも、ピッチャーも先発が不足してるよ?」名雪が投手にも言及する。
「確かに左腕投手の不足は深刻よ。」秋子さんが口をはさむ。
「左腕かぁ・・・」

「そういえば、祐一さんも、野球やってたんですよね?」


思い出したくない過去。
そう、俺は野球をやっていた。
この町から離れた7年間・・・。
26:02/10/22 00:56 ID:zFPpFjE5
長駄文失礼しました。
今回はここまでです。

文章能力はないですが、頑張ろうと思います。



KANONやってからしばらく経つんで、キャラの
話し方や雰囲気がおかしかったらごめんなさい。

そういう点での指摘、野球についての考証の
甘い点などがあったら、教えていただけると幸いです。
27 ◆8zfr/MOON. :02/10/22 01:40 ID:Qu0hiXvx
>9,17
続編期待してまつ〜
28名無しさんだよもん:02/10/22 05:41 ID:5nIv4VWW
以前、某パソ通に「虎好〜」シリーズなる委員長モノがあったんだが
あれネットには掲載されてないのかなぁ??結構好きだったんだが。
29星野と人形と熱狂と観鈴 2:02/10/22 09:08 ID:S0bgbzwq
チケット売り場で俺は絶句していた。
「外野席で1200円……」
高い。ラーメンセットが二回食える。
しかも予算をオーバーしている。中で稼ぎに失敗したら帰りの電車賃がなくなってしまう……
などと俺が悩んでいると
「はい、往人さん」
笑顔で観鈴が俺にチケットを渡してきた。
「…なあ、観鈴。」
「どうしたの往人さん?」
「このチケットは?」
「え?買ってきたんだけど、駄目だった?」
「…金は?」
「にはは、甲子園に行くって言ったら、お母さん諭吉さん二枚もくれたの。はい、チケット。」
何か釈然としないが、ここは黙って貰っておくのが吉だろう。
「…えらい羽振りがいいな。晴子…」
「でも、ユニフォームのレプリカ買って帰らないといけないんだ、八木さんと赤星さんの。」
「そ、そうか……」
以外にミーハーのようだ。
などとやりあいながら、俺たちは1塁側外野スタンドに入っていった。
30星野と人形と熱狂と観鈴 3:02/10/22 09:33 ID:S0bgbzwq
広い……そして汚い……
素直な感想だ。
観鈴はというと、なにやらキョロキョロしている。
そして何かを見つけたのだろう。俺の手を引いて走り出した。
「往人さん、こっちこっち。」
「お、おい。どうした観鈴!?」
観鈴に連れられて来たのは外野席の片隅に陣取った小さな応援団の所だった。
若い男女。20人弱といったところか。そのうち一人の男が観鈴に気付いたようだ。
「お!観鈴じゃないか。久しぶりだな。今日は晴子さんは?」
「お母さん、今日は仕事が忙しくてこれないって。代わりに往人さんに連れてきてもらったんだ。」
観鈴が笑顔で返す。どうやら顔なじみのようだ。
「どうも。この施設阪神応援団『鍵虎会』の副会長の相沢祐一です。よろしく。」
男が手を差し出す。取りあえず手を握り返した。
「国崎往人だ、よろしく。で、観鈴とはどういう知り合いなんだ?」
すると祐一はきょとんとした顔で
「え?観鈴も晴子さんもこの『鍵虎会』の会員ですよ。去年も20回ほど二人で来てましたし。」
「……成る程な。」
俺は取りあえず会のメンバーと軽く挨拶をした後、ここで劇をやってみることにした。
31星野と人形と熱狂と観鈴:02/10/22 09:34 ID:S0bgbzwq
今日はここまでで。
32名無しさんだよもん:02/10/22 10:37 ID:qInFLASD
星野「遠山…、あかん! ゴールしたらあかん!!」
33:02/10/22 11:19 ID:zFPpFjE5
野球を始めた、あの頃・・・
俺は、全てを忘れて野球をやっていた。
この町での悪夢を振り払うために。

俺の左腕がうなりをあげた。
速球、フォーク、スライダー。
この3つが武器だった。
面白いように三振がとれた。
インの直球で追い込んで、外の変化球。
こんな単純な配球でも、めったに打たれなかった。
地元でも俺の評判はうなぎのぼりだった。

俺はいつからかプロを、憧れの阪神タイガースに
入団することを夢見るようになっていた。

プロになって活躍すれば、全てが遠い「思い出」に
なってくれると信じていたから。
34:02/10/22 11:30 ID:zFPpFjE5
―そして、「悪夢」は再び起こった―

中学に入った俺は、学校の野球部でなく、
リトルリーグに所属していた。
もちろんそのほうが有名高校の覚えがよいからだ。
強豪校に入って甲子園に出れれば、プロへの近道となる。
大学や社会人野球はもとより視野に入っていなかった。

そして、中2の夏、はやくも高校のスカウトがやってきた。
おりしも俺たちのチームが全国大会への切符を手にした頃だった。
「今度の大会で決勝まで進めれば、我が校への進学を保障します」
その言葉を胸に、俺は勝ち続けた。

そして迎えた決勝。相手はあの思い出の北国だった。
嫌な予感がした。
進学は確保したが、ここで負ける気は毛頭なかった。
目標はプロだ。こんなところで負けてはいられない。
俺は自分を奮い立たせた。
「悪夢を払拭するいい機会さ。」

思えば、明らかに俺は動揺していた。
35:02/10/22 11:42 ID:zFPpFjE5
試合は投手戦となった。
相手は全国でも有名なチームだ。
向こうの「エースで4番」の実力は凄まじかった。
中学3年にして140キロを超える速球に、ドロンと落差の
大きいカーブ。鋭くきれるスライダー。
俺一人のワンマンチームに打てる相手ではなかった。
バッターとしても凄い資質を秘めていた。
決勝までの5試合で、5ホーマー。
ほとんどが敬遠気味の四球のなかでの成績だった。
スイングスピードが尋常ではなかった。

甘い投球は出来ない。
必然的に球数が増えていった。
試合は8回まで0対0。もっとも味方は完全に抑えられていたが。
「一点もやれないな・・・」

俺はそうつぶやいた。
36:02/10/22 11:53 ID:zFPpFjE5
そいて、奴の打席がやってきた。
四番。最強の相手。
「こんな凄い男と試合をしているのか―」
俺は心底嬉しかった。

第一、第二打席は三振させていた。
第一打席は外、外、でカウントをとって、インコースで奇襲。
第二打席は反対に外のフォークで空振りを誘った。
同じ配球は通じないだろう。さあ、どうしたものか・・・

その時、奴がつぶやいた。
「そろそろマウンドから引きずり降ろしてやろう。」
何を言うか―そう思った。実力は認めるが、2打席連続三振だ。
ここも抑えて3三振にしてやるっ!!

俺は迂闊にも挑発に乗ってしまった。
37:02/10/22 12:04 ID:zFPpFjE5
3球勝負・・・それも全部ストレートだ!!
インハイに直球を投げ込む。ストライク。
相手は動けなかったようだ。
もう1球・・・
続けざま同じコースに投げた。
今度は奴も振ってきた。物凄く鋭いスイング!!
しかし、バットはボールの下を通過した。
追い込んだ・・・次はどこに投げるか・・・
同じところか、あるいは外で仕留めるか・・・
3球連続同じコースはさすがに打たれるだろうな。
よし、外で決める。相手は長打力もあるから高めは
厳禁。アウトロー一杯で勝負だ!!

俺は振りかぶった。
そして渾身のストレートをアウトローコースギリギリに
投げ込んだ。

その時、奴が一瞬にやりと笑った気がした・・・
38:02/10/22 12:13 ID:zFPpFjE5
―そして―

俺の左腕は打球によって破壊された。
マウンドから俺が去った後は、もう好き放題に打ち込まれたようだ。
結局5対0で負けたらしい。

俺はそのまま病院に搬送された。
しかし、医者の言葉はあまりにも無情だった。

「日常生活に支障はないでしょう。しかし、野球は・・・
もう二度と、野球はできないでしょう。」


―モウニドト ヤキュウハ デキナイ―
39:02/10/22 12:19 ID:zFPpFjE5
その後、俺は、一応約束どおり、高校に推薦された。
一応約束はしたから―ということらしい。

しかし、スポーツができないスポーツ特待生など、
誰が目に掛けるだろうか。

俺は学校でも浮いた存在となった。

行きたくなんてなくなった。

周りの冷たい視線があまりにも辛かった。

そんな折、両親が転勤となり、この町に来ることになった。

その時には既にもう忘れていた。

この町の辛かった記憶を。

昔のことは全て、わすれたかったから。
40:02/10/22 12:24 ID:zFPpFjE5
「そういえば・・・」
「え?どうしたの?」
名雪が尋ねてくる。
そういえばなんて名前だったかな?あの
相手チームの4番の名前・・・
「いや、なんでもない」
「変なの・・・」
名雪は不満げだが、別に、今更思い出しても
仕方がない。また悲しくなるだけだ。

気が滅入る・・・
「ちょっと散歩にでも行ってくる。」
「ふ〜ん・・・外は寒いから気をつけてね」
「ああ、わかった。」

気分転換がてら、外に散歩にいくことにしよう。
41:02/10/22 12:25 ID:zFPpFjE5
とりあえずここまでで。

回想と現在がごちゃまぜになって、読みにくい・・・ですか?
42:02/10/22 15:54 ID:zFPpFjE5
俺は散歩しながら思い出そうとしていた。
「確か『く』から始まった苗字だったような・・・」

倉田?・・・は佐祐理さんか・・・
久瀬?・・・あそこまでいけすかない奴ではないな。

そんなことを考えながら歩いていると公園に着いた。
栞とよく遊びに来た公園だ。
「そういえば、雪玉は投げられたんだよなぁ・・・」
ふと、栞との雪合戦を思い出して苦笑する。
雪玉に石を入れようとしていてちょっと恐ろしかったが。

栞はいま、検査入院中だ。
なんだかんだでまだ完治とはいかないようである。
そういえば、あゆも同じ病院でリハビリしていたはずだ。

「見舞いにでもいくかな」

アイスと鯛焼きを買い込んで、見舞いに行くことにした。
43名無しさんだよもん:02/10/22 22:24 ID:1NpX3ht6
良スレ上げ
44名無しさんだよもん:02/10/22 22:26 ID:fAINA0jB

 虎 基 地 害 必 死 だ な (ワラ
45星野と人形と熱狂と観鈴4:02/10/22 23:02 ID:qGFs5tEM
「さあ、楽しい劇の始まりだ!」
『鍵虎会』のメンバーからまばらに拍手が起こる。
人形に念を込めると人形が歩き出す。ここで大歓声が……
起こらない。おかしい、こんなはずじゃないのだが……
とりあえず劇を続けてみる。しかしやはり反応が薄い。
仕方が無い。夜な夜な練習した、あの大技を出すしかないようだ。
俺が人形に集中した念を送る。狙う技はウルトラCのムーンサルト。
人形がキリモミ状に回転して……ぶざまに地面にたたき付けられる。つまりは失敗だ。
ここで始めて歓声が起こった。どうやら大失敗が面白かったらしい。…ちくしょう。
人形に礼をさせ、取りあえず劇は終了する。
「うぐぅ、お人形さん痛そうだよ。」
あゆとかいう女の子が涙目に訴えてくる。
「こいつは強い子だから大丈夫だ。それより凄いだろう。人形が独りでに動くんだ。」
「あははー、確かに凄いですねー。」
佐祐理とかいう少女が手を叩きながら言う。
「でも、国崎さん。舞のはもっと凄いですよー。」
「はちみつくまさん」
舞の返答は意味不明だったが、佐祐理の発言は聞き捨てならない。
俺はこの芸一つで生きて来たんだ。俺にもプライドがある。
「ほう、どうすごいんだ?見せてくれないか。」
「はちみつくまさん」
すると突然、俺の体の自由が効かなくなる。
こうして俺は甲子園外野席にて、散々ムーンサルトをさせられる羽目になった。……ちくしょう

「……魔物の力の応用。」
46名無しさんだよもん:02/10/23 00:34 ID:1n7PC2xZ
意外に面白いのでage
職人さんの頑張りに期待。
ついでに来年こそ優勝祈願
47代打名無し :02/10/23 00:51 ID:jHJU4YOk
面白いけどあまりにも板違いすぎるぞ。つか

春先と同じアホ騒ぎを繰り返すつもりなのか?
48名無しさんだよもん:02/10/23 03:17 ID:0fAntaQy
水瀬邸にて・・・
ナレーター「さー、アウトは2つになりました。阪神対巨人23回戦。3-1で巨人がリード。
      しかし、河原が大誤算。何とか2アウトまではこじつけたものの、
      今岡、アリアス、桧山と打ち込まれて1点を失い、なおも2アウト2,3塁。
      まさに絶体絶命。そして、でてきました、星野監督。今、審判を呼びます。
      代打のようです。場内コールを聞きましょう。」
球場がざわめく・・・
ウグイス「バッター、関本に代わりまして・・・八木。バッターは八木。背番号3」
  ・・・・・うぉぉぉぉおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
ナレーター「やはり出てきました。代打の神様、八木がここで登場です。」
名雪「お母さん、八木さんだよ。八木さんが代打だよ。」
秋子「了承」
佐祐理「あははー、これで河原もお終いですねー。」
舞「はちみつくまさん」
真琴「ねえ祐一。この後どうなるのかな?」
祐一「決まってるだろ。八木がレフトへHR打ってサヨナラ勝ちだ。」

ナレーター「さぁー、八木がバッターボックスに入り、ゆっくりと足場を固める。
      河原、明らかにあせっています。一打でれば同点、さらにHRがでれば
      サヨナラです。まさに伝統の一戦にふさわしい展開となりました。
      今、球審のプレイがかかった。河原。ゆっくりとセットポジションに入る。
      足を上げて、八木に第1球を・・・・投げました!!」


49名無しさんだよもん:02/10/23 03:17 ID:0fAntaQy
 カッ!!
ナレーター「初球からいった!!いいあたりがレフトに飛んでいるーーー!!
      レフトバック!!清水バック!!バックバック!!」
祐一「うぉおおおおおお!!!!!!」
名雪「だおーーー!!」佐祐理「あははー」舞「・・・・・・・」
真琴「いけーーーー!!」あゆ「うぐぅ!!」秋子「了承」

ナレーター「清水バック!!フェンスについた!!いったか!?いったか!?
      打球がおちてくる!!清水、フェンスについて・・・構えました!!
      失速!!失速です!!清水、こちらをむいて・・・取りましたーーーーー!!
      八木のレフトへの大飛球はいつもの浜風とは逆の風に戻され失速!!
      レフトフライ!!レフトフライで試合終了ーーーーーー!!!!」
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
名雪「私・・・もう笑えないよ・・・」
あゆ「ぼくのこと、忘れてください」
真琴「あぅ・・・したい・・・・・・けっこん・・・・ちりんちりん・・・・・」
美汐「こんな酷なことはないでしょう・・・」
舞「・・・・・・私は河原を討つものだから・・・・・・」
秋子「あら、河原さんのところにいくのでしたら、このジャムもついでに
   届けてくれるかしら。」
舞「はちみつくまさん」

タイガースよ、今度こそ!!
50名無しさんだよもん:02/10/23 12:56 ID:efyDzm9B
来年新庄帰ってくるの?
51:02/10/23 13:35 ID:JcMBFI4F
>>50
来期の契約次第。
SFがださないと思われ(控えの一番手ですんで。)
52:02/10/23 13:53 ID:JcMBFI4F
「え〜と、栞とあゆの部屋は・・・503号室か」
あの二人は相部屋である。
知り合い同士がいいという事で頼み込んだらしい。
あった・・・「月宮あゆ」「美坂栞」・・・ここだ。
部屋のなかから妙にテンションの高い声が聞こえる。
場所をわきまえろよな・・・あゆ。
ノックして返事を待つ。
「どなたですか?」栞とおぼしき声が尋ねる。
「あ、俺だけど・・・」
「あら、相沢君?」どうやら香里が来ているようだ。
「ああ。入るぞ?」
「うぐぅ、祐一くんだっ」
「だからさっきからそういってんだろ。」
「祐一さん、『俺』としか言ってませんよ?」
「それもそうね。相沢君の負けね」
一体いつの間に勝負になったんだ?

軽く眩暈を覚えながら病室にはいった。
53:02/10/23 14:02 ID:JcMBFI4F
「!?」
病室に入った瞬間愕然とした。
部屋が一面阪神グッズで埋め尽くされていた。
「これ、どうしたんだ?」
「お姉ちゃんが買ってきてくれたんですよ」
栞が答える。今日はいつものストールではなく、
阪神の法被を着ている。
「この間、北川さんと試合を見に行ったんですよ。
北川さんがよくチケットを手配してくれるんだそうです。」
「北川くんのお父さんが阪神関係者らしいのよ。
チケット余ったから来ないかって。」
あいつらしい言い回しだ。
「そしたらあゆちゃんも阪神ファンっていうのよ。
そこで二人にお土産買って来たって訳よ。」
「祐一君、メガホンだよっ」
あゆは病室でメガホンを叩いている。
あいかわらずにぎやかな奴だ。
54名無しさんだよもん:02/10/23 14:07 ID:uY2UF+/u
このスレのSSが面白くて仕方ないのは、俺が虎キチだからだろうか。
楽しく読んでますんで職人さんがんばってー。
55名無しさんだよもん:02/10/23 17:05 ID:thacMcGC
56星野と人形と熱狂と観鈴5:02/10/23 22:06 ID:1n7PC2xZ
ひとまず仕事だ。何とか稼がないと晴子子飼いのヒットマンに消される。
祐一に少し出掛けると声を掛け、観鈴と共に仕事に向かう。
ターゲットは既に出来上がったオヤジ達。酒の肴に人形劇は古来からの伝統!成功間違いなしだ。
取りあえず近くのオヤジに劇を見せる。おお、予想通りの反応で、かなり驚いてる。
「兄ちゃん、凄いナァ。タネがわからんわ。ほれ、見物料300円と差し入れのビールや。」
怖いくらいの大成功だ。ビールまで頂いた。幸先が良い。
こうして約一時間半、晴子に返すのを差し引いても、かなりの額が手に入った。阪神ファンは気前が良いらしい。
しかし、大分混んできたし、警備員にも目を付けられ始めたので、ここらで切り上げる。引き際が肝心なのだ。
観鈴と共に『鍵虎会』に戻ると、既に臨戦体制が整っていた。
手製の『鍵虎会』のバナー、各選手の名前が書かれたプラカード。そして縦縞のハッピ。
「おかえり、首尾はどうでした?」
祐一に声をかけられる。
「ああ、上々だ。」
「良かったですね。ところで、国崎さんは阪神ファンですか?」
祐一の表情が微妙に変わった。プロ野球は分からないが話を合わせよう。
「ああ、勿論だ。」
「それは良かった。今日は一緒に精一杯応援しましょう」
表情が戻る。正直、恐かった。
そして、場内アナウンスで、今日のスターティングメンバーの発表だ。
57星野と人形と熱狂と観鈴6:02/10/23 22:42 ID:1n7PC2xZ
メンバー発表は滞り無く進んだ。しかし……
「8番、キャッチャー 浅井」
このアナウンスでライトスタンドに一気にどよめきが起こった。
「ちょっと、何で矢野じゃないのよ!星野、出て来て説明しなさいよ!うるぁ〜!!」
七瀬とかいう少女がキレまくっている。さっきは大人しい子だったのに…
「浅井は経験面が心配ね。それ以外はいい物持ってるけど」
「あ、雪見ちゃん、カレーもう一杯お願いできるかな?」
みさきの横には早くもカレー皿が5枚になっている。何しに来たんだ、お前は。
そして
「9番、ピッチャー ムーア」
さっきを越える大どよめき。甲子園球場全体が揺れる
「がお…予想じゃあ井川さんだったのに、ローテーション変えて来た…」
『あのね、納得いかないの』
「あぅ〜、井川を出せぇ!」
「…詩子、どう思います?」
「うーん、井川は調子落としてたから、調整で、矢野は古傷再発で大事を取った、ってとこかな。」
口々に色々喚きたてている。
そんな中、俺は『鍵虎会』の端でひそひそ話している二人に気付いた。たしか天野と長森とかいったな。
聞き耳を立ててみる
(キャッチャー浅井、先発ムーア。こんな幸運な事は無いでしょう)
(まったくだよ。巨人の先発は入来だよ。今日の試合貰ったもん)(瑞佳さん)
(美汐ちゃん)
((私たちの巨人軍は永遠に不滅です!))
なんと、『鍵虎会』内で謀反が起こってる!?これは面白い。

こうして6:00ジャスト。試合が開始した。
58名無しさんだよもん:02/10/23 22:51 ID:0i9UGDie
やべ…。思わんところに良スレあり!!
職人の技が光ってる。
59名無しさんだよもん:02/10/24 12:30 ID:I2BBW/Vx
(`・ω・´)ホシューン
60星野と人形と熱狂と観鈴7:02/10/24 18:00 ID:tVApz69A
今日のムーアは調子が良いらしい。素人目に見ても球のキレが違う。
住井「おい、北川。今日のムーア、結構良くないか?」
北川「ああ、球が良く走ってるし、変化球のキレも良い。」
広瀬「そうね。とても中二日とは思えないわ。浅井のリードもまあ、合格ね。」
脇役どももムーアの好調に御満悦のようだ。
一回の表、ジャイアンツ三者凡退。
さあ、阪神の攻撃だ。いやが上にも盛り上がるライトスタンド。そこへ……
七瀬「秋子さん!みんな、秋子さんが来たわよ!」
声の方向を見ると、30前後と思われる女性が悠然とこちらに歩いて来ていた。
秋子「あらあら、先発はムーアさんですか?これは以外でしたね。」
名雪「そうなんだよ。でも調子は良いみたいで、一回は三者凡退に取ったんだおー。」
秋子「そう、それは頼もしい限りね。あら?」
俺と隣の観鈴に気付いたようだ。声を掛けられる。
秋子「ひさしぶりね、観鈴ちゃん。ところで、こちらは……」
俺「ああ、こいつの保護者の国崎だ。」
秋子「あらあら、そうなんですか。私、ここの会長の水瀬秋子と言います。宜しくお願いしますね。」
丁寧に頭を下げられる。礼儀正しい人だ。
秋子とひとしきり挨拶を済ませた頃、ちょうど阪神の一回裏の攻撃が始まった。
秋子「祐一さん、メガホンを一つ取って頂けるかしら?」
秋子がメガホンを手に取る。さぞかし上品な応援なんだろう。これまでの彼女の言動からそう思う。
秋子「こらぁ、今岡ぁ!死ぬ気で打てよ、死ぬ気で!塁に出んかったらどうなるかわかってるやろなぁ!」
前言撤回。バリバリの虎キチのようだ。
61:02/10/25 01:21 ID:AkNo+nnb
病院からの帰りは香里と話しながらとなった。
「いや、香里が熱烈な阪神ファンだとは知らなかったな。」
「そこまで熱烈じゃないわよ」照れながら香里が言う。
照れるということはあながち間違ってもいないのだろう。
「栞が大好きだったからよ。」
「そうなのか。誰のファンだったんだ?」
「マイク仲田。微妙なキャラよね・・・」
・・・確かに微妙な投手だ。

そういえば、香里はこの町に長いこと住んでるんじゃないか?
もしかしたら「奴」のことを知ってるかも・・・


「なあ、香里尋ねたいことがあるんだが」
「何よ」
「何年か前、この町の少年野球に、凄い選手がいなかったか?」

あれだけの逸材なら、騒がれていてもおかしくはない。
俺はそこに懸けることにした。
62:02/10/25 01:35 ID:AkNo+nnb
「凄い選手ね・・・いたかしらね・・・?」
「いたはずなんだ。凄く球が速くて、バッティングも上手いんだ。」
「う〜ん・・・」
香里は考え込んだ。思い当たる人がいたのかも知れない。
「そういえば・・・」
「知ってるのか!?」
「相沢君の聞きたい人かどうかはわからないけど・・・
確かにいたわね。さすがに名前は忘れたわ。悪いわね。」
「そうか、いや、いいよ。」
「確か、その人、この辺の人じゃないのよね。あっちこっち
ぷらぷらしてるみたいよ。学校とか行ってないかも知れないわね」
「そうなんだ。じゃあ、もう会えないな・・・」
「まあ、その人が本当に凄かったらプロにでもなってるんじゃないの?
出てこないってことは大したことなかったんでしょうね。」

そんなことない。

俺は密かに反発した。

奴は、「本物」だ。
63:02/10/25 01:51 ID:AkNo+nnb
「プロか・・・」
俺はつぶやいた。
結局、香里からはそれ以上のことは聞けなかった。

部屋に戻ってひとりで考える。
「もし、俺がプロ野球選手に・・・阪神の選手になったら
みんな喜んでくれるかな?応援してくれるかな・・・?」

俺はその光景を想像してみた。
プロのマウンド。9回の守備のようだ。
あと一人コールが鳴り響く。
優勝が懸かってる。
相手は巨人。相手は4番。
・・・奴だ。奴が打席に立っている。

カウント2−3。
俺は捕手、矢野のサインにうなずいた。
インハイのストレート。
150キロに迫るその速球に、奴のバットは空を切った。

その瞬間、皆が周りに集まってくる。
みんな、歓喜の笑顔で。
矢野が、アリアスが、今岡が、関本が、田中秀太が。
檜山が、赤星が、濱中が。

スタンドで、秋子さんが微笑んでいる。
あゆが、名雪が、栞が、真琴がおおはしゃぎだ。
舞も佐祐理さんもうれしそうだ。

そして、俺がお立ち台に―
64:02/10/25 01:57 ID:AkNo+nnb
だけど、それは有り得なかった。
なぜなら、俺の肘は壊れてしまったから。
夢は絶たれてしまったから。

その、夢を断ち切った「奴」でさえもプロには
なれていない。それが現実だ。

「そうだよな。そんなもん・・・だよな」

なぜか涙が流れていた。
とっくに諦めたはずなのに。
かなわぬ夢と知っているはずなのに。

もし俺の肘が無事だったなら。

この町に戻ることもなかっただろう。

みんなにも、会えなかったんだ。

だから・・・悔しくなんて、ないんだ。

そう自分に言い聞かせた。
また今夜も嫌な夢が見れそうだ。
65名無しさんだよもん:02/10/25 14:54 ID:CKKI82dX
「第一回選択希望選手・・・阪神タイガース・・・」
ここはドラフト会場。今年も再びさまざまな人間のドラマが生まれる。
そして、今年から新たに加えられた、「女性枠」・・・
 「・・・阪神タイガース・・・柏木千鶴、23歳、内野手、鶴来屋会長・・・」
 「・・・阪神タイガース・・・猪名川由宇、19歳、内野手、サークル辛味亭・・・」
 「・・・阪神タイガース・・・七瀬留美、17歳、投手、御音高校・・・」
こうして、阪神に指名された3人は、断る理由があるはずも無く、
めでたく阪神のユニフォームを着ることとなった。
後日談だが、秋子さんとの交渉は一瞬で終わったらしい・・・
 そしてあっという間にキャンプ、オープン戦と終わり、開幕となった。
1回戦・・・阪神対巨人 in 東京ドーム
開幕セレモニーが終わり、後は両チームのスタメンの発表。ドームがシーンとなる。
 ウグイス「1番・・・ショート・・・猪名川、ショート猪名川、背番号538」
ざわめきが起こる。星野は開幕にルーキーを使ってきた。しかもG戦。
まだHM(ヒッティングマーチ)も決まってないようなルーキーを開幕に使って大丈夫だろうか?
誰もがそう思った。ちなみに背番号538は「コミパ」のことだろう。
しかし、この後さらに客は驚く事となる。
 ウグイス「6番・・・ショート・・・柏木、ショート柏木、背番号51(こういち)」
 ウグイス「9番・・・ピッチャー・・・七瀬、ピッチャー七瀬、背番号01(one)」
片岡と関本を外し、しかも開幕投手は井川でなく、七瀬であった。
66名無しさんだよもん:02/10/25 15:20 ID:CKKI82dX
興奮がいまだに冷めないなか、Gのナインが守備につき、上原が投球練習を始める。
縦じまに身を包んだ猪名川が、ペンをバットに変えて、
ネクストバッターズサークルで素振りをする。顔は・・・楽しそうだった。
 ウグイス「1回の表、タイガースの攻撃は・・・1番サード猪名川、サード猪名川、背番号538」
バットに滑り止めのスプレーをかけ、ゆっくりと打席に向かう。物凄い歓声がおこる。
打席に立ち、バットを持つ右手をだらりと下げる。目は上原を見ている。
 猪名川「審判、これがうちの構えや。プレーかけてええで。」
 審判(≠ジャンパイア)「・・・プレイボール!!」
上原は戸惑いつつも振りかぶり、開幕の初球、ストレートを投げる。
そのとき、ふわっと猪名川の右手が上がり・・・
 ズバーーーーーーン!!
右手だけでボールを打った。打球はそのまま阪神ファンで埋まるレフトスタンドに突き刺さった。
   ざわざわ・・・・・・ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
呆然とする上原に猪名川が言った。
 猪名川「ハリセンは両手で使うもんやないで。これからもよろしゅうな。」
こうして、奇跡のような幕開けで、奇跡のようなシーズンが始まった・・・・


リレーでいこうとおもうんで、好きなようにすすめて構いません。
67名無しさんだよもん:02/10/25 17:50 ID:DewMUSMC
>>66
イイ!
68星野と人形と熱狂と観鈴8:02/10/25 21:40 ID:pQS28Rbp
巨人の先発、入来。こちらも調子が良いようである。
一番 今岡は三振。二番 赤星に四球も、三番 片岡が併殺打。三人で押さえる力投だ。
七瀬「片岡ぁ!しっかり打たんかぃ!ドアホゥ!」
佐裕理「片岡さんは今日も駄目ですね…バットが振り切れていません」
『鍵虎会』は片岡に不満のようだ。
続いて二回表、阪神はあの男を迎えることとなる。
背番号55 松井。プロ野球に疎い俺でも、こいつの評判は聞いている。
長森(さあ、松井だよ。)
天野(はい。この人の打席は安心して見てられますね)
例の二人の声も聞こえる。さて、どうなるか……
ムーアが振りかぶり、強烈なストレートが浅井のミットに収まる。まずは見逃しのストライクだ。
栞「わ、凄いですー。良い球が決まりましたー!」
沸き立つ『鍵虎会』だが、ただ一人だけ違う反応を示した人物がいた。
秋子「…まずいですね。」
祐一「どうしてです?良い球ですよ。これは松井でも簡単には打てませんよ。」
秋子「いえ、今日のムーアさんは力み過ぎです。そして……松井はそれを見抜います。」
秋子の言葉と同時に快音が響く。
見れば、ボールが歓喜のレフトスタンドに突き刺さるのを呆然と見送るムーア。文句なしのホームランだ。
あゆ「うぐっ、たまたま甘い球が入っただけだよ!」
澪『そうなの。まだまだこれからなの』
あっ、例の二人小さくガッツポーズしてる。そしてその二人に…
真琴「あう〜、美汐〜、松井に打たれたぁ…」
繭「みゅ〜!みゅ〜!」
天野「だ、大丈夫ですよ、野球は筋書きのないドラマですから。」
長森「そ、そうだよ、まだまだこれからだもん。ほら繭、泣かないで。」
瞬時にポーズを解き、二人を慰める。
成る程、普段は阪神ファンを装ってるのか。
69名無しさんだよもん:02/10/26 01:05 ID:xvkwvQH+
あ、そういえばここって鍵キャラであって、葉鍵キャラではないんだった・・・
猪名川と柏木と出してしまったが・・・ここの住人は許してくれるだろうか。
というわけで続き。

ゆっくりとダイヤモンドを1周し、ホームを軽快に踏む。そのあと赤星とハイタッチし、
ベンチからでてきた選手に祝福される。
 猪名川!! だんだんだん 猪名川!! だんだんだん 猪名川!!
選手だけではない。恐らくこのゲームを見ている日本中の阪神ファンが祝福している。
六甲颪も流れる。万歳も連呼される。
 当の猪名川はというと、ベンチに座り、おもむろにスケブを取り出し、
かなり真剣な表情で何かを書き始める。
 桧山「なにやってんだ猪名川?」
 猪名川「猪名川なんて他人行儀は嫌やで、ひーやん。由宇ってよんでな。」
 桧山「あ、ああわかった。で、何書いてんだ?」
 猪名川「対戦の記録とか球種とか、いってみりゃデータや。」
 桧山「データという割には字よりも絵のほうが多いような気がするンタんだが・・・
    それに上原も妙にデフォルメされてるし・・・そのまえにそれってスケッチブックじゃないか。」
 猪名川「図説があったほうが見やすいやろ?それにノートよりもスケブのほうが
     手になじんどるからなぁ。ま、ええやん、そんなこと。」
みると、猪名川の荷物入れにはグローブなどの他、ハリセン、ペン、同人誌など、
野球に関係の無い物が山ほど入っている。
 桧山「そ、そうだな・・・とにかくナイスバッティングだったぞ、由宇。」
桧山はそれ以上追及しないことにした。とにかく、ベンチのムードメーカーとしても
かなり期待できそうだとおもった。
先頭打者HRをルーキーに打たれた上原ではあったが、さすがにGのエースだけあって
赤星、今岡、濱中と後続を断ち切る。結局この回は1点。
阪神ナインが守備につくためにベンチを飛び出す。そして、今日の先発、
七瀬留美もゆっくりとマウンドへと向かう。まさに威風堂々といったところか。
 七瀬「いよいよ出番ね・・・折原、見ていなさいよ・・・」
                           
70星野と人形と熱狂と観鈴作者:02/10/26 01:38 ID:iNlvTBKe
>>69
俺は別に良いと思うよ。
つーか、9氏といい69氏といい、面白いなあ。
折れも精進しないと……改行ミスなんかしてる場合じゃないな
71:02/10/26 18:38 ID:mNKRc0et
―野球をやりたい―

いつ頃からそう思ったのだろう。
野球を始めたのはそう、この町を離れてからだ。

「祐一くん、野球好き?」

・・・この一言だ。
あゆはあんなことになってしまったけど・・・
俺は完全に忘れ去ることができなかったんだろう。
無意識に白球を握っていた。
忘れたくて、でも忘れられなくて。
でもどこかで、忘れたくはなくて―
「阪神タイガースっていう、素敵なチームがあるんだよ・・・」

「森の学校」で俺とあゆは毎日野球に興じた。
72:02/10/26 19:39 ID:mNKRc0et
・・・夢か。

なんか不思議な感じだ。
思い出したくなかったはずだけど、
不思議と悪い気はしない。
楽しかったから・・・か?

そういえば、今日は北川に呼び出されていたな。
北川のことだ、どうせ大した用でもないんだろうが。

仕方ない、行ってみるか。

俺は秋子さんに出かける旨を伝え、北川に会いに行った。
73星野と人形と熱狂と観鈴9:02/10/26 21:44 ID:iNlvTBKe
その後、ムーアは何とか立ち直ったが、完全復活とまではいかなかった。
六回を終わって入来が許したヒットは檜山の放った二本のみ。檜山の孤軍奮闘だ。
対してムーアの被安打は七本。松井の一点だけで済んでいるのが奇跡的である。
そして、事件は七回裏に起こった。
この回、阪神の先頭打者は四番濱中。そして入来の放った第一球。

ゴッ!

鈍い音が聞こえる。肩へのデッドボールだ。
ネクストバッターズサークルのアリアスがエキサイトしてマウンドヘ歩み寄り、濱中も怒りの表情で詰め寄る。
その挑発を受けた入来。ベンチから両チームが出て…乱闘が始まった!
そしてスタンドでは…
七瀬「こらぁ!阪神ナメてとんちゃうぞ!聞いとんのか、高橋ぃ!」ライト高橋に喧嘩を売る者。
澪『巨人なんて○△×※▲なの』放送禁止用語をスケッチブック一杯に書き込む者。
(後日談だが、これを偶然テレビが映し、画面が『しばらくお待ち下さい』になったらしい)
秋子「ふふ、そうですか…了承…」恐い含み笑いを漏らしながら、意味不明のことを呟く者。
あゆ「うぐぅ、うぐぅ、うぐぅ!」グラウンドに向かってタイヤキを投げる者。(良い子はまねしないように)
真琴「あうっ、あうっ、あうっ!」負けじと肉まんを投げる者。(これもまねしないように)
舞「……濱中を傷つけた…絶対ゆるさない」真剣を抜き、さらに魔物を解放する者と、必死に止める祐一(苦労人)。
名雪「くー」寝る者。
みさき「雪ちゃん、カレーもう一杯だけ、ね。」27皿目に突入する者。
とにかく大騒ぎだ。虎ファン恐ぇ……
そして、もう一人。

パァン

破裂音と共に濃厚なピンク色の物体が飛び散る。
恐々、隣の観鈴を見てみると、さっきまで握っていたジュース(持参品)のパックが無残な姿で握られていた。
観鈴ちん、顔恐い……
74:02/10/27 01:13 ID:iq/+WfUR
一息つきつつ保守しようかと。

毎度毎度へたれな内容ですみません。
7569の続きを勝手に。:02/10/27 05:50 ID:5NhbB1vg
打席にゆっくりと入りつつ、巨人の核弾頭・清水は思考を巡らせていた。
投手の七瀬留美、元剣道少女で身体能力は折り紙付き。ただし故障持ちらしい。
打席を足で慣らす。
脳裏に浮かぶのは、レフトを守る彼の頭上を高々と飛んだ猪名川選手のホームラン。
彼女達は客寄せと言うわけでもないか・・・ならば、この打席は気を抜くことが出来ない。

矢野もまた、キャッチャーボックスで思考を巡らせていた。
表の猪名川選手のホームランは、女だからと言う油断もあっただろう。
しかしあのホームランで相手も実力に気が付いて対処してくる。
・・・七瀬がブルペンと同じ球を投げられれば問題ないのだが。

七瀬は「先発エースって乙女かな?」などと呑気に考えていた。
76勝手に。:02/10/27 05:57 ID:5NhbB1vg
やや棒立ち気味に構える清水。
リードを出し腰を落とす矢野。
ゆっくりと振りかぶる七瀬。

ぺチ!
主審「ストライク!」
乾いたミットの音、主審の声。スイングも出来ないまま、清水は挙げた右足を降ろす。
清水「・・・消えた!?」
ボールすら捕らえられないまま見逃したのが信じられず、スコアボードを見る。
103km。
確かに投球はされた・・・しかもプロとしては遅い。
マウンドで不敵に笑う七瀬に動揺した清水は、思わず打席を外し
3塁コーチャーズボックスを仰ぐ。
77勝手に。:02/10/27 06:03 ID:5NhbB1vg
(次の1球はみろ。絶対に振るな。)
球筋が見えないのに振れる訳がない。しかし清水にもヒットマンの意地がある・・・
清水(一応サイン通り見る、しかし合うなら振る!)

やや棒立ち気味に構える清水。
リードを出し腰を落とす矢野。
ゆっくりと振りかぶる七瀬。

リリースの瞬間、ボールが浮く。
そして、それが手元に来ると一気に沈む。
地面にワンバウンドする。
その上を、清水のバットが空を切る。

3塁コーチの怒鳴り声を聞き流しながら、清水はひとつの閃きを受ける。
清水(彼女は、恐らくナックルボーラーだ・・・)
78勝手に。:02/10/27 06:09 ID:5NhbB1vg
ナックル。
指を立て、ボールを押し出す事により極力回転を押さえた変化球。
球速は非常に遅いが、その遅さと回転の少なさに途中で一気に減速。
球場を吹く風の影響を受けて揺れ動く魔球である。

その変化は投げた本人にも分からず、本人に分からないから打者に分かるはずもない。
きちんと落ちてくれる限りは非常に厄介な変化球。

そして、そのナックルしか投げない投手の事をナックルボーラーと言う。
ある大リーグの高名なナックルボーラーは、その生涯の投球の実に9割がナックルだったと言う。
それでもエースで投げつづけられる。それがナックルなのだ。
79勝手に。:02/10/27 06:12 ID:5NhbB1vg
投げる。空振り。
清水を三振に捕らえながら、七瀬は思う。

七瀬(硬球の握りって、これでいいのかな?)

-二番ショートニ岡に続く-
8069:02/10/27 17:54 ID:Inu8gDLL
七瀬をナックルボーラーにしてしまうとは、恐るべき発想ですな。
というわけでそれに乗っかりましょう

 七瀬「(・・・今日も切れてる・・・これも折原のおかげね)」
ナックルを投げるのに不可欠なもの。それは、
恐るべき握力から生み出される指の力である。コントロール以前の問題として、
握力が無ければ話にならない。ならば、なぜ七瀬はナックルを投げれるようになったか。
簡単である。毎日毎日毎日毎日毎日毎日、文字通り1日も欠かすことなく、
折原を殴っている内に、自然とついたのである。
握力の詳細は不明だが、風の便りによると、握力の計測中に「カチッ」という音が
何回か聞こえ、計測器の手のひらに当たる部分がひしゃげていたという・・・
 二岡「やっかいだな・・・」
打席に立ちながら、いろいろと考えてみる。ナックルの打ち方なんてきいた事も無い。
恐らく、ナックルが落ちなかったときを確実に捕らえるしかないであろう。
そうこうしているうちに七瀬が振りかぶる。野茂張りのモーションから、
村田兆治のように沈み込み、投げる。
   ゴォッ!!
 二岡「!!」
   ズバァン!!!!
審判「ッスットライーーーク!!」
ど真ん中への直球だった。球速は・・・・・147q/h!!
女としては以上ともいえる数字に、冷たい汗を感じる二岡。
 猪名川「ええで、ななぴー!!走ってる走ってる!!」
サードからの声に、七瀬が振り向く。
 七瀬「あたりまえでしょ。マウンド上でも乙女なのよ、あたしは!!」
威勢のいい返事を返す。矢野からの返球を受け取り、
すぐに振りかぶる。・・・
 結局二岡も三振に倒れた。試合前まで女の登板に面白がっていたGベンチが沈黙する。
松井も清原もあっけにとられている。Gベンチだけでなく、Gスタンドも同様である。
対照的に、阪神スタンドは大盛り上がり。巨人の攻撃とは思えないくらいの様相だ。
 ウグイス「3番、ライト高橋。ライト高橋。背番号24」
8169:02/10/27 18:24 ID:Inu8gDLL
 高橋「(なんとかしないと、これじゃいい笑いものだ。ナックルか?ストレートか?
     それともまだ何かあるのか?)」
頭の中をいろいろな考えが走る。そして考えがまとまらぬまま、七瀬は振りかぶる。
 ヒュッ・・・パス。「スットライーーーー!!」
投げたのは球速114q/hのチェンジアップ。恐るべき球速の差である。
相変わらず七瀬のテンポは速い。すでに振りかぶっている。
球種は・・・ストレート、146q/h!!
 カキッ・・・「ファーール!!」
 高橋「(ふぅ、何て速さだ・・・)」
確かに速いが、それ以上に110`代のチェンジアップを見た後では
余計に速く感じる。なんとかバットに当てた高橋もさすがというべきか。
 高橋「(考えても仕方が無い。カウント上、次はボールになるナックルだろう)」
矢野からのサインにうなずき、モーションに入る。まさに豪快な七瀬流マサカリ投法。
  ゴォォォオオ!! スドォォン!!!!「・・・ボール!!」
 七瀬「こらぁ!!どこに目つけてんのよ、ジャンパイア!!いまのがボールだっての!!?」
外角低めにズバッと148q/hのストレートが決まったが惜しくもボール。
不服そうに矢野からボールをもらい、サインを確認。さっさと振りかぶる。
 ヒュッ・・・
 高橋「(ナックルキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━ー!!!)」
山を張っていたナックル。しかし・・・ボールはバットにかすりもしなかった。
ボールは矢野の前にワンバウンドするほど落ちた。矢野がそれを体で止め、
高橋にタッチする。  「・・・アウト!!」
審判のコールを確認し、マウンド上で七瀬がほくそえむ。
 七瀬「開幕戦でGの1,2,3番を三者三振に切ってとる。乙女にしかなしえない技ね。」

 【上月澪の阪神語録口座その1】
 澪『ジャンパイアは、ジャイアンツをひいきするアンパイアのことなの。
   阪神ファンのあいだではみんなつかっているの』
82星野と人形と熱狂と観鈴10:02/10/27 21:32 ID:oZWRXrZW
取りあえずグラウンドの乱闘は収まったようだ。それに伴いスタンドも徐々に沈静化する。そして審判の説明
審判「ただ今のプレーで、阪神、アリアス選手を挑発行為で退場、及び阪神、星野監督を審判への暴言により退場
  及び阪神田淵コーチを暴力行為で退場処分と致します!」
…………地獄絵図再び。
竹刀を取り出し、なおも高橋に喧嘩を売る七瀬。
カッターナイフを取り出し、完全にイった目で何かを呟いている栞。
しきりに「了承、了承」と呟きながらオレンジ色のビンを取り出す秋子。
まあ、さっきよりエラい騒ぎになっているということだ。
天野(ラッキーですね。入来にはお咎め無しです。)
長森(当然だよ。阪神から売って来た喧嘩だもん。これで、今日の勝ちは堅いんだよ。)
天野(ふふ、所詮はその他大勢の貧乏チームとは、戦力と財力が違うんですよ。)
長森(その通りだよ。所詮は貧乏人だよ。少ない金であがくだけだもん。)
キュピーン
貧乏人差別発言に俺の目が怪しく光った。
お の れ 長 森 と 天 野 。 目 に も の 見 せ て く れ る
俺「おい、祐一」
祐一「何ですか、国崎さん?」
異常に声が低い。しかし、構わず俺は続ける
俺「裏切り者がいる」
祐一「はあ?何言ってるんです?」
俺「あれを見ろ、天野と長森だ」
祐一「……」
俺「巨人ファンだ」
祐一「………」
黙って立ち上がる祐一。ゆっくりと秋子の元へ向かう。
二言三言話した後、秋子が立ち上がる。手にはビン。満面の笑み。悠然と歩く秋子。
そして祐一は……引きつった顔でその場にヘタりこむ。
秋子「天野さん、長森さん」
ビクゥ!!
秋子「よりによって巨人とは……粛正です」
そしてビンからオレン(以下は割愛させてもらう。思い出したくない……)
83:02/10/28 09:38 ID:jHiZpnvk
「どういう風の吹き回しなんだ」
「いや、余ったんだ。」
「余ったって・・・お前と香里は行けないのか?」
「残念ながら美坂は忙しいらしい。で、相沢にやろうと思ったんだ。」
「まあ・・・もらっておくか。」
何故か北川からチケットを貰った。
北川にとって香里と行けない野球観戦は意味をなさないらしい。
阪神―巨人  阪神甲子園球場  ライト側外野指定席  2枚。

2枚。
・・・2枚か。
だれか誘って行けって事・・・だよな?
名雪?あゆ?栞?舞?真琴?

・・・誰を誘おうか?
84:02/10/28 09:39 ID:jHiZpnvk
・・・毎度駄文を書かせてもらってます9です。
実は、話の展開、ここまでと、最後の終わりのほうしか
考えてなかったりします(w

メインヒロイン誰にしようか考え中です。
85星野と人形と熱狂と観鈴作者:02/10/28 23:05 ID:ANzvVjQK
>>9氏イイ!
ワシのいきあたりばったり駄文なんかより全然面白いよ。

しかし、このスレ人少ないなぁ。取りあえずageてみて様子を見よう
86名無しさんだよもん:02/10/28 23:24 ID:j58yw2U1
ん。ろくに感想つけてなかったけど俺毎回楽しみにしてるよ。
どれも「阪神」をテーマにしながら
それぞれ毛色の違った話が同時進行してて面白い。
87名無しさんだよもん:02/10/28 23:25 ID:XIVSJCxS
    /~ ̄ ̄ヽ    ____________________
   _i_T___l   /
    | ・ ・ モミ <   一緒や!全年齢版でも18禁版でも!!
    〈 / し ヽ 〉.9)  \
    | Д   |      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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88名無しさんだよもん
阪神じゃなきゃ・・・・・・だめ?