「はぁっ…はぁっ…はぁ…はぁ……」
「あぅー、美汐、大丈夫?」
「はぁ、はぁ、だ、大丈夫です。……落ち着いて……きました」
「あぅー、よかったぁ〜」
「ところで、真琴……」
美汐の目がキラリと光った。やな予感……。
「次は真琴の番ですよ」
「あぅっ!?」
「負けたら脱ぐ約束です」
「あぅぅ……」
「そうそう」
詩子も美汐に加勢する。
なんで真琴が脱がなきゃいけないのよぅ。
「あぅー、でも、もう脱いでるひといっぱいいるし、今さら真琴が──」
「……」「……」「……」「……」
脱がなくてもいいでしょ。
そう言いかけて周りの視線に気付いて言葉を止めた。
助けを求めて視線を向けた美汐も許してくれなさそうな目をしていた。
「わ、分かったわよぅ。脱げばいいんでしょ、脱げば」
まあ、まーじゃんに熱中して暑くなってきたから、ちょうどいっか。
そう思ってジャケットに手を掛けたとき、美汐がポツリと言った。
「4枚脱ぐんですよ」
「えっ!?」
「この前、負けていたのに脱いでいませんでしたから」
「あぅっ!?で、でも、真琴、リボン取ったよ」
「ええ、それはいいんです。でも、その後、確か3回負けているはずです」
「あ、ほんとだ。3回も負けてるのに一枚も脱いでない!」
詩子が満面の笑みを浮かべて真琴の方を見た。
「真琴ちゃ〜ん、ごまかしちゃ駄目だよ。ほら、さっさと4枚脱ぐ!」
「あぅぅ……」
「そうだー!4枚だ〜!」「4枚〜!」「4枚〜!」
4枚って……。そんなに脱いだら下着が見られちゃうじゃないっ!
でも、周りはもう4枚脱がなきゃ許してくれなさそうな雰囲気になってる。
4枚。4枚。ジャケットを脱いで、あと3枚。
「しかたないか……」
とりあえず脱いでも大丈夫なところから。そう思って靴下に手を掛けようとしたら、
「あ、そうそう、靴下は脱いだ物の中にカウントしないからね」
詩子がにこーっと笑いながら言った。
「あぅっ!?な、なんで?」
靴下だって服の一つでしょ?詩子をちょっと睨みながらそう言おうとしたら、
「ふふふ、さっきのお返し。『靴下だけじゃ許さないんだから! 』」
「あぅ……」
さっき真琴が言った言葉をそのまま言い返された。
詩子のいじわる……。
「手伝いましょうか?」
靴下が駄目ならどうしようかと考えてたら美汐が真琴の服に手を掛けてきた。
「い、いいっ!自分で脱ぐっ!」
「まあまあ、遠慮しないで」
詩子までいっしょになって真琴の服に手を掛ける。
「私たちに任せてください。ね?」
「うんうん。任せて任せて」
二人はそう言って真琴の真琴のセーターとスカートをするりと脱がせた。
「きゃああああぁぁぁっ!」
恥ずかしいっ!顔が真っ赤になってるのが自分でもわかった。
「あと1枚……。ここはやはりこれでしょうか?」
そう言いながら美汐が真琴のブラジャーをくいくい引っ張る。
「あぅ……。お、お願い。も、もう、やめて……」
体が熱くなってきた。
「それとも、思い切ってこっち行くのはどうかな?」
詩子も楽しそうに真琴のパンツをぐいぐい引っ張る。
体中が熱い。
「あぅ、やめ……」
なんだか訳のわからない気持ちになって、体中が熱くてたまらない。
もう、だめ。
「あぅーーーっ」
ぽんっ!
「あっ!何これ!?かわいいー!」
突然、真琴の頭とお尻のところから耳と尻尾が飛び出した。
「あら、ちょっと怖がらせてしまったみたいですね」
「あぅ……?耳と尻尾っ!?なんで!?真琴、どうなっちゃったの!?」
「落ち着いて。怖がらなくていいのよ、真琴」
美汐はやさしい声でそう言いながら真琴の耳を撫で始めた。
「あ、あぅ……」
「かわいいー」
詩子は詩子で尻尾を撫で始める。
「さ、さわらないでよぅ……。あぅっ!」
ヘンな感じ……。耳と尻尾を触られているだけなのに体中電気が走ったようにビリビリする。
「あれー?真琴ちゃん、もしかしてー」
「どうやら耳と尻尾が弱点のようですね」
「あ、あぅー、や、やめてよぅ……」
「ほら、みんな!ちょっと触ってみてっ!」
詩子の言葉に周りのみんなも集まっきて真琴の耳や尻尾を撫で始めた。
「わー、ふさふさしてて柔らか〜い」なでなで
「やめ…あっ……」
「ほんとだー。気持ちいいー」なでなで
「あぅ…、ほ…んと、や…め…」
「あったかくて、すべすべしてるー」なでなで
「やっ、やめてって言ってるでしょっ」
バッ!
「あ!逃げちゃった」
何とか最後の力を振り絞って逃げることができた。
危ないところだった……。
「残念!逃げられちゃったか。さて、あと1枚どうしよっか」
「今回はこれでいいでしょう」
「えー、どうしてー?」
詩子が抗議の声をあげる。周りのみんなも不満そう。
「一度に3枚も脱いでもらったことですし、これ以上はかわいそうです」
美汐……。やっぱり、美汐はいい人だ。やっぱり、美汐は助けてくれた。
真琴が美汐に感謝の目を向けると美汐はちょっと微笑んで言った。
「それに」
「ん、『それに』?」
「お楽しみは後に取って置きたいですから」
「ああ、なるほどねっ」
……美汐、助けてくれたんだよね?