葉鍵サバイバル 公開5日目

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1名無しさんだよもん
リアルリアリティを求め、暴走を続ける超先生。
その一方で参加者の魂と魔力を集めようとする天使、ユンナの目的とは?
様々な思惑と迫り来るモンスターの中、果たして島に残された彼等は無事脱出する事ができるのか?
ジュ○シックパーク 各種漂流モノを元ネタとした葉鍵キャラによるリレー小説。
本編ではまだ5日目なんて遠い未来だけど、スレは5スレ目突入です!

・書き手のマナー
* これはリレー小説です。特に、キャラの死を扱う際は1人で殺さず上手くストーリーを誘導しましょう。
* また過去ログを精読し、NGを出さないように勤めてください。
* 同人作品からの引用はキャラ、ネタにかかわらず全面的に禁止します。
* マイナーモンスター、武器を登場させる場合は話の中か後に簡単な説明をなるべくつけて下さい
* 投稿の最後に、【】で簡潔にキャラクターの現状を簡単にまとめて下さい。
* 初心者の方は作品を上げる前に誤字脱字や文法の間違いが無いか確認しましょう。
 
・読み手のマナー
* 自分の贔屓しているキャラが死んだ場合、あまりにもぞんざいな扱いだった場合だけ、理性的に意見してください。
* 頻繁にNGを唱えたり、苛烈な書き手叩きをする事は控えましょう。

感想&討論スレ
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1028217174/l50
編集サイト
http://www23.tok2.com/home/hakasaba/
リレー小説総合スレ
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1028225552/l50
2名無しさんだよもん:02/08/02 22:47 ID:lyGp+CeK
(;´Д`)ハァハァ
3名無しさんだよもん:02/08/02 22:47 ID:2MzuAkZJ
誰も取らないので2
4美坂香里 ◆KaoriLvQ :02/08/02 22:49 ID:nSbTBxjs
踏み♪
5名無しさんだよもん:02/08/02 22:50 ID:bXVTczu6
>>3
(・∀・)つB
6名無しさんだよもん:02/08/02 22:51 ID:2MzuAkZJ
Bヽ(´ー` )


………くそぅ
7翻弄(1/3):02/08/02 22:54 ID:hqXTL9aV
 ぴりぴりと、岩切は全身を小さなトゲで刺されるような、奇妙な感覚を覚えていた。
 実際に、岩切の身体に何らかの物理的な刺激が与えられている訳ではない。
 目の前で憎々しげにこちらを見下ろす、巨大な熊の殺気が、岩切にはそうした風に感じられたのだ。
 その事に対して、恐れは無かった。
 帝國兵士であった岩切には、他の何者かから殺気を向けられることなど、日常的と言えるほどに慣れたことだった。
 
 岩切は、腕に抱いている少女の方に顔を向けた。
 先刻まで見事な動きで熊の腕をかわしていた少女──御影すばるは、どこか呆然とした顔で岩切の顔を見詰めていた。
 何か、有り得ないモノというか、思いがけないモノが目の前にいる。 そんな感じの表情だった。
 加えて岩切には何となくではあるが、自分に向けられる少女の視線には、羨望や期待といった感情が見え隠れしているように思われた。

 岩切は苦笑する。
 彼女の期待には答えられないだろうな、と思った。

「立てるな」
 小声で訊いた。
「は、はい、ですの…」
 すばるは相変わらずの変な喋り方をしたが、岩切は特に気にしなかった。
 ゆっくりとすばるの身体を離し、両足でしっかりと立たせる。
 そして、すぐに熊の方を向いた。
 熊は唸りながら、微かに腰を低くしていた。 ずっと身体の小さな岩切達に対する攻撃体勢だ。
 岩切は熊の顔を見上げながら、すばるの右腕を取った。
「走るぞ。 3、2、1…」
「え?」
 相手の返事は待たなかった。
 岩切はすばるの腕を引いて猛然と走り出し、数瞬ほど遅れて、熊がその後を追った。
8翻弄(2/3):02/08/02 22:57 ID:hqXTL9aV
「ぱぎゅう〜!?」
「離すぞ、自分で走れ!」
 岩切はそう言うと、すぐにすばるの腕を離した。
 すばるは一瞬、何が何だか分からなくなったが、すぐ背後に迫る熊の唸り声が彼女の足を動かした。
「た、戦ったりしないんですの!?」
「あれを相手にどうしろと言うんだっ」
 あっさりと断じられた。 すばるは何も言えない。
 岩切に助けられた時、すばるは彼女のことを正義の味方だと思った。
 子供向けのテレビ番組に出てくるような、ピンチのときに駆けつけてくれるヒーロー(この場合はヒロインだが)。
 それはあくまで架空の存在でしかなかったが、岩切こそは、現実世界におけるヒーローなのだと信じた。
 だから、思わず期待してしまった。 岩切が格好良く熊を撃退し、この状況を打破することを。
(ぱぎゅう〜、やっぱりそんなに都合良くいかないですの…)
 とはいえ、岩切がすばるの命を救ったのは事実だ。 それによって彼女もまた狙われることになった。
 すばるは、また先刻と同じように、自分を囮として岩切を逃がすことを考え始めた。

 一方で岩切は、少しながら後悔していた。 すばるを助けずに、きよみだけを保護して逃げてしまえば良かったのではないか、と。
 熊に襲われるすばるを見て、岩切は一瞬、彼女を助けるべきかどうかを考えた。
 水挑躰としての実力を発揮できない自分では、行ったところで、まとめて薙ぎ払われるのがオチだろうと冷静に判断を下したのだ。
 だが初音はそうはいかなかった。 熊とすばるときよみの姿を目にした途端に、初音は走り出した。
 そうなると岩切も動くしかない。 まさか初音に熊と対峙させる訳にはいかないので、彼女を追い越しながら、きよみの元へ行けと指示を下した。
 そして自分は、観念したかの様に立ち尽くすすばるに向かって飛び込んだ。
 決死のダイブだった。 少しでも何かが狂っていれば、二人まとめて粉砕されていただろう。
 その瞬間だけは助かったものの、現状はやはり変わらず、死刑待ちと言ってよかった。
 先に死ぬのは自分かも知れないと、岩切は思っていた。 仙命樹を動かす為の飲料水は、邪魔なので放り出して来た。
9翻弄(3/3):02/08/02 22:58 ID:hqXTL9aV

 実際には二人とも、ここまでハッキリと物事を考えていられる訳ではない。
 必死に足を動かしながら、頭の片隅で、自分達が何秒後に死ぬか程度のことを思っていた。


「岩切お姉ちゃん!」
 初音が叫んだ。
 その声に答える者など誰もおらず、熊は初音達に背を向けたまま遠ざかって行く。
「もう遅いわ」
 きよみの言葉に、初音は振り向いた。
 
 遅い。 何が遅い?
 岩切達を助けるには、もう遅すぎる。
 二人と一匹はもう遠くの方にまで走り去っていて、初音達には何も出来ない。
 ただ、岩切とすばるの無事を祈ることしか出来ない。

「岩切… お姉ちゃん…」
 初音の身体から力が抜けて、がっくりと地面に膝をついた。 涙を流し、嗚咽を漏らし始める。
「死なないで… 死んじゃったら嫌だよお…」
 きよみはそれを黙って見ているしかない。

 水中か雨天のような水に覆われた場面でなければ、岩切は実力を発揮できない。
 それでも夜ならまだ常人をずっと上回る身体能力を有しているが、太陽の下であれば、その身体は普通の人間と殆ど変わらない。
 日が昇り始めている今では奇跡でもおきない限り、岩切とすばるの生存は絶望的だろう。
 きよみの脳裏には名倉由衣の最期の姿が浮かび、思わず片手で口を押さえた。

 その時、不意にガサガサと草木を掻き分ける様な音が聞こえ、きよみは反射的に振り向いた。
 そこにいたのは────
10名無しさんだよもん:02/08/02 22:59 ID:hqXTL9aV
【岩切とすばる、熊から逃げ出す】
【初音ときよみの元に、何者かが現れる】


各レス間は一行開けて下さい
11名無しさんだよもん:02/08/03 11:05 ID:0C0wu+Cn
メンテ&狼煙age
12まやかしとその代償:02/08/03 21:34 ID:lybA40TN
「く、くそっ!」
樹のかげから樹のかげへ、久瀬は走る。
その足元を、狸の放つ銃弾とそれによる砂埃が正確にトレースする。
一発、かかとを掠めた。冗談じゃない、久瀬の背中を冷や汗が伝う。
また足もとで地面がはじけた。今度こそ、動けない。
(ここまでか……!)
一瞬、久瀬の脳裏に最悪の予想が浮かんだ。



「なんなんだよあいつらの銃は! 弾切れって言葉知ってるのかちっきしょう!」
「口動かす前に走れ! ジャムになっちまうぞ!」
不謹慎極まりない言葉を吐きながら、祐一と北川は走っている。
「おれら、こんな役回りばっかり、かよ!」
ここに来てから襲う、持久走じみたイベントの数々に対しても不満を漏らしながら。


そのときだった。
「うがっ!?」
祐一が、ビシッという音に続いて、地面に倒れこんだのは。
「相沢ッ!」
北川が、顔色を変えて祐一を呼ぶ。
「相沢ッ! しっかりしろッ!!」
そのよびかけに、苦悶の表情と、脂汗を顔に浮かべながら祐一が北川に応えた。
「いつつ……だ、大丈夫だ北川……」


「それより協力してくれ。あいつらのタネがわかったぜ」
13まやかしとその代償:02/08/03 21:35 ID:lybA40TN
「足をやられたのか、相沢!」
木陰から、北川の声が響いた。
「わかった、久瀬を呼んでくるぜ!」
言うなり木陰から飛び出した彼は、森の奥へと消えてゆく。
にやり、と狸は笑みを浮かべた。そうかそうか、やっぱり当たっていたのかい。
それで、あっちの男を呼びに行くんだね。
残念だなあ、今生の別れだよ。

生憎「そっち」は君が見える位置なんだ-------


その場所に位置を取ると、狸は目の前の樹を見据えた。
物音は立てていない。完璧だ。あとは……
アイツを、殺すだけ。
狸は一瞬だけ手元に眼を落とすと、すいと前方に顔を上げ----------

そして、見た。

かすかに笑みを浮かべた標的たる人間の眼と、寸分違わず自分を狙った、その、暗い銃口を。

そして、聞いた。

「ソコの石は……もう、弾切れだろ?」

最後に、聞いた。

ホンモノの、銃声。
14まやかしとその代償:02/08/03 21:36 ID:lybA40TN
「痛つ……」
じくじくと痛む足を押さえながら、それでも祐一は敵を倒した興奮に体を震わせていた。
北川に大声であんな台詞を言わせたのももちろんわざとで、狸の注意をこちらに惹きつけるためだった。
あとは、北川がアイツを連れてきてくれれば万事オーケイ、と……
-------久瀬の野郎、これで少しは俺を見直し……

じわり、と。
樹にもたれているはずの背後から、冷たい殺意が押し寄せた。
かたかたと、体が震える。明らかに先ほどまでの「震え」とはわけが違うのだ。
「は……はは……は」
目だけ動かして樹を見据えた。ちがう。樹に狸が化けてましたというオチじゃなさそうだ。
手にしたグロックをおもいきり握った。銃口が定まらない。これではだめだ。
"ニンゲン……ニンゲンが!"
意志が。怒りが。祐一の体を侵蝕する。
--------おいおい、聞いてないぜ、こりゃあ-------
"ニンゲン如きが、オレたチを---------------!!"

背後で、殺意が爆ぜた。それが、わかった。

何故って?


何かが破裂するような音を聞いたからさ。



「遅いぞ、北川」
「わりぃ、こいつが思ったより奥の方に隠れてたせいでよ」
15by RTO:02/08/03 21:37 ID:lybA40TN
「……しかしまあ」
吐き捨てるように久瀬が言った。足元には、上半身の無い狸の死体。
「ケモノごときにここまでコケにされるとはね」
狸達は、けして重火器など扱えるわけではなかった。ただ、「扱えるフリ」「撃っているフリ」をしていたに過ぎなかったのだ。
「手だけ、さも銃を握っているように見せて実際にはあしもとの石を投げていただけ、というわけか、くだらん」
「体を張って相沢があいつらの弾に当たってくれたおかげだな」
忌々しい。久瀬は気にいらなかった。狸達に予想外の苦戦をしたのもそうだが……

「大丈夫か、相沢?」
「おぶってくれるか、北川?」
「ヤローの背中で居眠りするほど墜ちたかよ」
「冗談だ……狸の奴、やっぱり仲間が殺されると我を忘れやがった。本気でビビっちまったからな……侮れんぜ」

久瀬には、この二人に助けられた、と言う事実が重く心にのしかかっていたのである……


【狸、撃破】
【相沢祐一、足に負傷 深手】
16名無しさんだよもん:02/08/04 10:54 ID:j6oEklWU
>>RTO氏
編集サイト更新しとくり。
あと、「次の話へ」とかんとこ、
ちゃんとリンクしとくり。
携帯だからないと読めないの…
うぐぅ
17名無しさんだよもん:02/08/05 03:47 ID:eQtN+Gd6
保守
18凶者:02/08/05 23:50 ID:HljTNo5v

「さて、そろそろお前を解き放とうではないか……」
「そうだな……お前のことは『狩猟者』とでもよばせてもらおうか……」
「私の望むリアル・リアリティのために努力してくれたまえ……」
「フフフ……」



 全てのゾンビを再起不能に追い込んで、ようやく光岡は一息ついた。
(浩平君はうまくやっただろうか……)
 すぐにでも追いかけたいところだが、自分には少しばかり休息が必要らしかった。
 ゆっくりとその場に座り込むと、深呼吸を始める。まずは息を整えねば。
「……」
 雨足は遠ざかりはじめたらしい。飛沫が跳ねる音が、だんだんと小さくなってきたようだ。
「……」
 もう一度まわりの気配を伺うと、光岡は酷使した腕をマッサージしてやるために、剣から手を離そうとした。


 ザッ!
 隙の無い速さで立ちあがると、光岡は剣を取り身構えた。
 そして、状況に全神経を張り巡らす。音。気配。視界。聴覚。勘。


 勘。
19凶者:02/08/05 23:50 ID:HljTNo5v
「そこかッ!」
 振り向きざま、光岡は剣を横に薙ぐ。あいにくその切っ先は、美しい軌跡を描くにとどまった。そして……


 ズンっという音と、光岡が小屋の壁まで吹き飛ばされるのは、ほぼ同時だったように思える。


「ごは……ッ!!」
 はじめは背中。続いて腹。頭。つまさき。全身。
 電流が走るかのように、体中を痛みと衝撃が駆けぬけていった。
 吐血する。光岡は考えた。傷は浅くはなさそうだ。

(何故だ?)
(いつのまに、私の背後に回りこんだ?)
(どんな攻撃をした?)


(……奴は、何処へ行った?)


 目を閉じる。そこは闇の世界。
 そして、世界を閉ざしていく。あるものは、自分と、敵。それだけ。
 見てからでは、聞いてからでは遅い。敵がこちらに触れてからでは手遅れだ。
 だから……
20by RTO:02/08/05 23:52 ID:HljTNo5v
 頭上をつむじ風が通り過ぎ、少し遅れてから「ブンッ!」という音がした。
 『敵』の攻撃をかがんで避けたまではよかったが、足の調子が思わしくなく振り向くのが一瞬遅れる。
 光岡は背後の『敵』への攻撃をあきらめると、距離を取るため横っ飛びに跳ねて、それから敵のほうを向いた。
「なっ……!?」
 異形。
 それは、これまで光岡が見てきたどんな怪物よりも、『怪物』という言葉がふさわしいイキモノだった。


 鬼


 ふいに、光岡にそんな言葉が浮かんだ。


【光岡、耕一の細胞を含んだサンプル『狩猟者』と戦闘開始 負傷】



それではツッコミ修正誤字脱字ありましたら指摘お願いいたします。
21名無しさんだよもん:02/08/06 20:16 ID:WQnXv5VC
メンテ
22名無しさんだよもん:02/08/07 00:47 ID:LhJrmO2b
age
23名無しさんだよもん:02/08/08 03:40 ID:N4ivNnu/
保守
24感情(1/3):02/08/09 00:17 ID:COOJZKez
 ドアの向こうには凄惨な光景が広がっていた。
 緑色の液体が入った棺型タンクの中には何体もの実験動物らしいのが入れられていた。
 上半身が蟷螂、下半身が蛙の生物、豹の手足を付けただけのような鮫…。果ては人間の手足と首を大蛇の首に換えられているものまであった。
「英二さん…これは…」
 理緒がその光景を見て思わず声を挙げた。
「…見るんじゃない…」
 英二がただ通路の先を見つめそう言った、そして前だけをみつめそのドアの向こうへ歩みを進める。
 その後にイビル、拓也、レミィ、縦横そして理緒と続き彼の後を追った。
 理緒は前の3人の思いを知ることはできない、しかしこれだけは言える。
(私や縦さん横さんとは何かが違う…)
 雰囲気が違うのである、レミィも彼らと似た雰囲気を出しているが彼らには遠く及ばない。
(これが、本当の「怒り」っていうものなんだ…)
 今まで本当に怒ったことのない理緒である、それがどの様なものかもよくはわからない。
 ただ理緒はこの光景から、感じるものはただの畏怖感だけある、その感情を怒りに変えることはなかなかできなかった。

(2行空けてください)

 通路が長く感じる、一本道の通路は照明が暗いせいか先が見えない、もしかしたら終点の無い通路なのかもしれない。
 その通路と同じくらい7人は沈黙が続いた。
 皆、無言でただ前進していた。沈黙を破ったのはイビルだった。
「なあ、英二。お前はここの研究者を見つけたらどうするつもりだ?」
 いきなり核心を突く。
 たが、英二は臆することなく答えた。
「さあね、その研究者の地位にもよるがとりあえず気が済むまで殴るね」
 その言葉にただでさえ周りの光景でびびっていた理緒と縦横は、ぎょっとした。
「…はっ!殺すなよ、俺が殺すからな」
25感情(2/3):02/08/09 00:18 ID:COOJZKez
 声は笑っているが。顔はマジでさらりとイビルは言う。
 拓也は顔をしかめたままだ、未だに本調子がでないらしい。
「…嫌な電波だ…苦痛しか感じることができない…」
 拓也がぼやく、かつてはその能力を使い他人を操った彼はマイナスの感情には慣れているはずなのだが、その拓也でもここまで言わせるほどこの通路は酷い状況なのだろう。
 一行は通路を曲がる、少し様子が変わったがそれは彼らに更なる嫌悪感を持たせることになった。
 相変わらずの通路の両サイドには生きているのか死んでいるのわからないモルモット、床には手足を千切られた人間の死体。
 腹は引き裂かれ、内臓が引きずり出されている。
 それもただ引きずり出されたのはなく、床に内臓や手足…いや全ての人間パーツが一列に並べなれてあったのだ。
 復数人の人間パーツであろう、頭部もいくつか見うけられる。
「うっ…!」
 縦が嘔吐した。
 しかたのないことであろう、目の前の光景と血の匂いによって耐えられなくなったのであろう。
 それを見た、横が介抱する。
 どうやら、吐く気にもなれなくなったらしい。
「モンスターは…人間を殺して遊んでいるノ…?」
 レミィが呆然と呟く、理緒が泣きそうな顔で続く。
「…両サイドは人間の仕業、通路はおそらく怪物の仕業…。どっちもどっちじゃない…」
 一通り嘔吐した縦がようやく落ち着いた。
「引き返そうでゴザル、こんな場所にいたら拙者達も危険でござるよ」
 もっともな意見だ。
 それに対して英二は黙考した。
「…行こう…。行かないともっと人間が殺されるかもしれない。情報も欲しいし、妹の安否も知りたい…」
 英二は静かだが芯のこもった声で結論を出した、それを聞いた拓也も。
「…僕も行こう。瑠璃子の所在地がわかるかもしれないからね」
「俺は当然賛成だ、こんなへらちょこ二人じゃ心配だからな」
 イビルは最初から一人でも先に進む気でいた。
26感情(3/3):02/08/09 00:19 ID:COOJZKez
 理由は簡単だ、主人と敵に少しでも近づくためだ。
「ワタシは…」
 レミィは残ったメンバーを見た、縦横理緒。
 とても戦闘できそうにない。
「英二達についてくネ」
「後は君達だ…」
 拓也は残った3人を見た。
「えっと…」
 理緒が答えを出そうとした瞬間。
「っ―――――!!」
 通路の奥から何かが聞こえた。
 イビル達は4人は通路の奥に走り出した。
「待つんだなー!!」
 臆病3人組みも後に続く。
 理緒、縦横はこうして流されるままになった…。
27R1200:02/08/09 00:26 ID:COOJZKez
【七人とも、更に通路の奥へ】
【英二、拓也、イビル、レミィ、通路の奥に先行】
【縦横、理緒、周りの状況にかなり怖気つく】

久々の投稿です。
序盤、理緒を主人公に置く目論み10行ちょっとで失敗…。(TT)
28名無しさんだよもん:02/08/10 12:41 ID:2uNZ2FDr
保守age
29名無しさんだよもん:02/08/10 12:41 ID:tp+7pUdw
30名無しさんだよもん:02/08/10 14:01 ID:xFklf0ng
何の努力もせずに「自分は才能がないから」とかほざくボケ共がコソコソ集まって
「職人さん降臨待ち」とかぬかしながらメンテをし続けるスレはこちらですか?
31名無しさんだよもん:02/08/10 15:09 ID:UJD+tTQm
>>30
お前の感(略
32名無しさんだよもん:02/08/10 19:12 ID:bepduMjM
>>30
ファンタジー世界へ(・∀・)カエレ!
33名無しさんだよもん:02/08/12 04:01 ID:5PAVDTdT
保守。
34闇に潜むモノ:02/08/13 00:03 ID:sqj9879h
 ガシャン! という音がだだっ広い屋敷に響きわたる。
「よし……閉まった。これで簡単には入って来れないはず……」

 扉がしっかり施錠されているのを確認した後、冬弥はほっと息をつきながら、
改めて屋敷全体の様子を見渡す。
「しっかし……古風な館だな……」
 
 壁に掛けられた絵や敷き詰められた絨毯が、いかにも西洋の屋敷といったものを連想させられる。
「でもさ冬弥、なんでこんなに暗いんだろう……」
 彰の言う通りホールの明かりは所々をロウソクの灯が照らしている以外光は殆どなく、
 外はもう明け方だというのに、視界がかなり悪い。

「まるで、お化け屋敷みたいですね……」
「薄気味わるいトコだにゃ……」
 先に足を踏み入れた女性陣も、ここにはあまりいい印象をもっていないようで、
 葵ちゃんとたまは、気味の悪そうな表情を浮かべている。
「とにかく早い所どこかに隠れないと……急がないとあの鎧の子が追いついてくる」
 そう言いながら、一番手近にあった扉の一つに手をかけ、開く。

「さあ、行こう」
 冬弥の言葉に、全員が頷いた。
35闇に潜むモノ:02/08/13 00:04 ID:sqj9879h
「これは、食堂でしょうか……」
 最初の扉を開けた時に、いち早く葵ちゃんが声を上げる。
 確かに、一面を長いテーブルと食器棚が占拠している部屋は食堂という他は無いと思う。
 
「食事中、だったみたいだな」
 呟くようなに言ったその言葉にまだ目が慣れてなく、状況を判断できずにいた彰が敏感に反応する。
「だ、誰かいるの?」
「いや、あそこに食事がある。トイレにでもいってるんだろうさ」
 と、部屋の奥を指差す。
その先には食べかけの料理と、ワインなどが並べられていた。
「じゃあ、家の人が来たら事情を話して……」

「おかしいです」
食堂を歩きながら、これまでほとんど口を開く事が無かったフランソワーズさんが呟く。
 そのまま家の人間が飲んでいたであろうグラスに手を伸ばし、その中身をじっと見据える。

「冬弥さん、普通の人間はこんな物を飲むのでしょうか?」
 と、彼女からグラスを受け取った時だった。
 
 闇から、腕が生えてきたのは。
36闇に潜むモノ:02/08/13 00:06 ID:sqj9879h
 現れた腕は、目の前にいたフランソワーズさんを軽々と掴み、
 続いて姿を現した体に彼女を引き寄せる。

 そして、笑った。
 彼女の喉元に、異様に長く伸びた歯――むしろ牙を突き立てながら。

「あ……あ……」
 突然の出来事に、声も出ない。
 それは彰達も同じ事だったようで、後ろから聞こえてくるのは息を呑む音と、掛け声。

 ――待て、掛け声?

「やあああああああああっ!」
 その声の主は、やはり葵ちゃんだった。
 彼女はあっという間に横を通り過ぎ、目の前の男に近づく。

 滑るように男の懐に潜り込んだ葵ちゃんは、絶妙の間合いで回し蹴りを放つ。
 その動きは正に修練を積んだもので、普通の人間では到底避けられるものではない。
 
 だが、その男は違った。
「と、飛んだ?」
 言葉通り男は軽く跳躍したかと思えば、吹き抜けになっている二階まで飛び上がっていた。
 その目は、頭部を掴んでいたフランソワーズに向けられる。
「ふん……血を感じぬと思えば、同族の作った木偶か……馬鹿にしおって!」
 
 そして男は怒りに身を任せたように、フランソワーズの身体を縦に引き裂く。
 
 響き渡る、たまの絶叫。
「そうだ! お前達のその声が、私の食事の最高のスパイスになる!
 やはり眷属を作るためとはいえ、あの程度では私の喉を満たす事は出来ん!」
37闇に潜むモノ:02/08/13 00:06 ID:sqj9879h
 満足げな表情で、たまに負けじと叫ぶ男。
 足元に落としたグラスから漂うのは、血の匂い。
 
 ――やっぱり、コイツは……
 
「我が名はシュベスト! さあ、血の宴は始まったばかりだぞ!」
 
 
 ああ、神様。
 夢なら早く、醒めてくれ。


【フランソワ―ズ 死亡】
【藤井冬弥 七瀬彰 松原葵 たま 吸血鬼シュベストと戦闘開始】
38名無しさんだよもん:02/08/13 00:09 ID:sqj9879h
レス間は全て二行空けけで。

吸血鬼の名前に関しては突っ込まないでやってください……
39名無しさんだよもん:02/08/13 20:59 ID:FRZLAdD7
めんて
40老獪:02/08/14 02:36 ID:ldwlJosl

 微かに響く悲鳴と怒号……

 長瀬刑事は舌打ちすると、じっと目を閉じてこのホテルの構造を思い浮かべる。
 よくあるホテルと同じに、このホテルも1階にインフォメーションがあり、各階のマップが掲載されていた。
 降りた隔壁がどの程度の数かはわからないが、基本的な構造に変化はないはずだ。

「……さて、とにもかくにも、一階に置いてきてしまった武器を、取りに戻らないとな……」
 手にしたコルトガバメントを握り締め、長瀬刑事は走り出した。
 非常階段、そしてエレベーター……
 幾度か隔壁に遮られながらも、長瀬刑事はようやく、下に降りられそうな非常階段に差し掛かった。
 だが、3階に降りようとする彼を邪魔するかのように、巨大な化物がそこにたむろっている。
 ねばねばした糸を張り巡らせるそれは、間違いなく女郎蜘蛛……ただし、全長3メートルはある女郎蜘蛛がいれば、の話だが。

「……こりゃまいったね……しかし、今更他の通路を探す時間は無さそうだしな」
 長瀬刑事はひとりごちると、自前の銃に目を落とす。
 あのサイズでは、この程度の口径では豆鉄砲も同じだ。
 1階の自室に銃火器のほとんどを置いてきてしまったので、手持ちは限られている。
「火でもつけたら燃えんかね……っと、このホテルまで火事になるか」
 どこまで本気かわからない口調で呟くと、長瀬刑事は素早く周囲を見回した。
 蜘蛛の糸は廊下中に張り巡らされており、下手に踏み込むと糸に絡めとられるだろう。

「……ふぅむ。よし、あの手でいくか」
41老獪:02/08/14 02:38 ID:ldwlJosl

 手持ちの武器は、手榴弾が2個と銃が2丁。
 長瀬刑事は銃を構え、そおっと蜘蛛の前に飛び出した。
 ぎろり、と8つある蜘蛛の複眼が長瀬刑事の姿を捉えるが、いきなり向こうから襲いかかってはこない。
 そう、こいつが「ただ巨大化させられただけの蜘蛛」ならば、その習性も普通の蜘蛛とそう変わらないはずだ。

 長瀬刑事は巨大蜘蛛と睨み合いながら、じりじりと「それ」に向かって足を進める。
 かつん、と足が硬いものに触れ、長瀬刑事はぱっとそれを掴んだ。
「ほいっとな」
 ピンを抜き、ノズルを蜘蛛に向け……思いきり消火器のレバーを握り締める。
 ぱしゅうっ、と消火器の先から白い粉が吹き出し、蜘蛛を直撃した。
 自分よりずっと小さな生物から、思わぬ攻撃を受け、蜘蛛は慌てふためく。
 だが、そこは超先生に改造された生物、すぐさま原始的な怒りの感情に火がつき、この生物を食らおうと飛び出した。
「っと!」
 いきなり振り落とされた前足に、長瀬刑事は慌てて床を転がって避ける。
 その先端が、どろりとした液体を滲ませているのを見て、ぞっと背筋が冷たくなった。
「ふぅ、こりゃなんでもアリだな……うわっ!」
 もうもうと沸き起こる煙の中から襲い掛ってきた蜘蛛に、長瀬刑事は廊下を走り出す。

 追うものと追われるもの、8本も足のある巨大な蜘蛛と人間では、明かにその動きに差がある。
 あっという間に長瀬刑事は蜘蛛に捕まり、食われてしまう……はずが、実際はそうならなかった。
 ひいこら、と汗を掻きながら走る長瀬刑事の後ろでは、巨大蜘蛛は目に見えて動きが鈍くなってきていた。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……やっぱり、でかくなっても蜘蛛は蜘蛛だな」
 背後を見やり、長瀬刑事は汗だくの顔でにやりと笑う。

 消火器の粉が大量に蜘蛛の気門に詰まり、巨大蜘蛛は窒息していた。
42老獪:02/08/14 02:43 ID:ldwlJosl

「昆虫や特定の節足動物が、ある一定以上に巨大化出来ない理由のひとつが、その原始的な呼吸器官だ」
 荒く息を吐きながらも、長瀬刑事は緩慢な動きを繰り返す蜘蛛に、講釈を垂れる。
「解放性血管系に加え、腹の横にずらりと並んだ気門で呼吸する方法は、小さな身体には不足は無い。
 だが、肺を通さないこの方式は、ひとたび障害が起こると非常に脆い。
 アレの粉ってのは、人間でさえ肺に吸い込めばむせ返り、息が出来なくなるもんだ」
 手榴弾のピンを引きぬくと、長瀬刑事はごろごろと床を転がした。
 それが蜘蛛の真下に来た時、閃光と爆炎が廊下を揺るがせる。

「……体がでかい分、粉はびっちり気門を塞いでくれただろうよ」

 大量の体液と内臓を撒き散らし、蜘蛛がもがきまわる。
 流石に一撃では死ななかったものの、数時間もあれば確実に死ぬダメージだ。

 長瀬刑事はもはやそれが動けないのを見て取ると、ぐるりと大回りして再び非常階段に向かう。
 張り巡らされた糸にも、消火器の粉を吹きつけてやると、糸は簡単に粘性を失った。
 その糸を踏み越え、手に消火器と銃を持ちながら、長瀬刑事は非常階段を駆け下りる。

「ふぅ、ふぅ……ったく、中年の親父に酷な運動をさせてくれる……」
 額の汗を拭い、長瀬刑事はようやく1階へとたどり着いた。
 そのまま非常ドアに手を掛け、長瀬刑事は一階ホールへと足を踏み入れる。
「……柳川や源五郎は大丈夫かねぇ……ま、こっちはこっちで、出来る事をするだけだ」
43名無しさんだよもん:02/08/14 02:44 ID:ldwlJosl
【長瀬刑事 一階にたどり着く。目的は自室の武器】
44暗闇に求めるは:02/08/14 22:03 ID:hICXhUFE
 熊と共に森の奥へと消えていく岩切たちを眺めるしかなかった初音ときよみ。
 しかし、そこに現れたのは……。

「あ、梓お姉ちゃん!」
「初音……やっと見つけた」

 柏木、梓。
 初音の姉であり、鬼の力を持つものの一人。
 その梓は、初音を抱きしめ、無邪気な笑顔を見せている。
 が、その無邪気な笑顔もすぐに消え、木々のなぎ倒された森に鋭い視線を走らせる。

「初音、この森の有様はなんなんだ?」
「そ、そうだ! お姉ちゃん、岩切お姉ちゃんたちを助けてあげて!! 熊が……ッ!!」

 間に合かどうかは分からない。
 梓が出て言ったところで、どうにかなるかもわからない。
 が……。

「なんだか知らないけど、分ったよ。何を倒してくればいいわけ?」

 そのときはまだ、初音もきよみも、梓の異変など知る由もなかった。
45暗闇に求めるは:02/08/14 22:04 ID:hICXhUFE
 一方その頃。

「はぁ……はぁ……ひとまずはここで休息をとるとするか」
「ですの……」

 雨が溜まって出来たと思われる水溜りの水を手ですくって浴びながら、岩切はその薄闇へと視線を向けた。
 この島において、このような鍾乳洞は自然のものなのか、それともこれもまたアトラクションの一環で作られた人工物であったのか。
 それは分からないが、熊に追われた岩切とすばるは偶然見つけた鍾乳洞へと逃げ込み、熊の爪から逃れていた。
 無論、一時的に休める、というだけにすぎない。外に出ればまだあの熊は潜んでいるだろうし、あの巨体ならば、どうにかすれば鍾乳洞ごと破壊すらできるかもしれない。
 が、度重なる戦闘等で疲労した二人には、ここでの休息は砂漠のオアシスのようなものであった。

 そうして、どのくらい休んだだろうか。
 実際にはまだ数分しかたっていないのだが、二人にとっては随分な長さに感じられただろう。
 そんな、静けさがあたりをつつんでいた。
 その静寂を、さきに破ったのは岩切だ。

「すばる、だったか? 外にはまだ奴がいるだろう。かと言って、これ以上奥に進めば何があるかはわからない。どうする?」
「も、もしかしたらもう……巣に帰ったかもしれませんの」
「それはないな。まだ奴の匂いがぷんぷんする。大方、息を殺して餌が安心して出てくるのを待っているんだろう」
「そ……そうですのね……」

 残るは沈黙。
 そして、次に何かすばるが口を開こうとしたとき、それは響き渡った。
46暗闇に求めるは:02/08/14 22:05 ID:hICXhUFE
『グオオオオオォォォォォッッッッッッッッッ!!!!!!!!』

 獣の咆哮。
 いや、これは断末魔の叫び。
 それに続いて『ズシ・・・ン・・』と、巨大な何かが倒れる振動。
 そしてまた、静寂。

「い、岩切さん……今のは熊の……」
「死にたくなければ静かにしろ。熊以上にヤバイやつが……来る」

 強化兵としての感覚か、それとも岩切花枝の女としての勘か……それが、警告を発していた。
 熊が死んだとしても、次にここに来る奴はそれ以上に危険だ、と。
 すばるもまた、岩切に近いものを感じていた。
 まだ、本当の危険はこれからだ、と。
 緊張が走る。

 そして、その静寂を破るのは、入り口から聞こえてきた、声。

「初音に頼まれたから熊は殺してあげたけどさぁ。初音を危険に巻き込んだ償いは……してもらわないとねぇッッ!!」

 その声の主が駆け出すのとほぼ同時。

「走るぞ!!」
「ですのッ!!」

 岩切とすばるは、ぼんやりと入り込む光を頼りに、鍾乳洞内へと駆け出した。

 その暗闇にすばるが求めるは、希望。
 その暗闇に岩切が求めるは……水脈。
47名無しさんだよもん:02/08/14 22:06 ID:hICXhUFE
【巨大熊、死亡】
【岩切&すばる、鍾乳洞内で梓に追われる】
【初音&きよみ、三人を追い、遅れて森の中を移動中】
レス間は2行空きでお願いします。
48椎名繭との別れ:02/08/15 22:34 ID:Jjf7TBwp
 コロシアム。
 恐らくは、異形の化け物同士の争いを観戦するという、いささか趣味の悪いアトラクションだったのだろう。
 折原浩平と長森瑞佳の二人は、先に出会った魔物、サトリの言葉に従い、このコロシアムまでやってきた。
 すでに人の気配のないこのコロシアムで、二人が見たものは。

「嘘……だよね? 浩平、これって何かの間違いだよね……?」

 破壊されたジープと、その横で息絶えている、異形の化け物、鵺と。

「ねえ……嘘って言ってよ……」

 ここで激しい争いがあったことを物語る、おびただしい血痕と。

「長森……これは嘘じゃないんだ」
「ううん、きっと寝てるんだよ。ほら……もう朝だよ、起きないと駄目だよ……繭、起きよう?」

 家族のように、妹のように思っていた、少女の、椎名繭の。
 血に染まった、亡骸だった。
49椎名繭との別れ:02/08/15 22:38 ID:Jjf7TBwp
「浩平…繭が起きないよ……なんで……ま…ゆ…」
「椎名は……繭はもう動かないんだ、長森……」

 それでも瑞佳は、柔らかいソファに横たわる繭の亡骸に抱きついたまま、離れようとしない。
 繭の名を呼びながら、何度も、何度も、その少女の目が覚めるのを信じて、声をかけ、体を揺さぶる。
 しかし、現実は無情で……。

「浩平、繭とは……ここでいっしょに恐竜を見て、売店でハンバーガーを買って食べて、夜は七瀬さんたちと一緒にトランプする約束をしたんだよ……」
「長森…やめてくれ……勘弁してくれよ……」

 それでも、瑞佳は繭の髪を愛しそうに撫でながら、続ける。

「繭、きっと夜のために今のうちに寝てるんだよね……? だって、繭は…」
「長森……ッ!!」

 浩平は、瑞佳を後ろから、強く抱きしめていた。
 このままだと、瑞佳までが遠くへ行ってしまいそうな気がして。
 だから、決して離さないように、強く。強く。
50椎名繭との別れ:02/08/15 22:42 ID:Jjf7TBwp
「浩平……繭はね、繭はね、何も悪いことしてないんだよ……」
「……ああ」

 瑞佳は、繭をそっとソファに戻し、自分を抱きしめる浩平の手に、優しく自分の手を重ねた。

「それなのに……なんで……どうし…て……」
「椎名は……椎名は………くそッ! なんでだよ!! なんで椎名が……!!」

 限界だった。

『てりやきばーがー、もっと食べたい…』

 もう、椎名は戻ってこないのだ。

『ほら繭、そんなに食べきれないでしょ?』
『そうだぞ椎名。食べ終わって、まだ食べたかったら買えばいい』
『…みゅ〜』

 もう、いつもの「みゅ〜」は、聞けないのだ。

「……ごめんね……まゆ…まゆ……」
「椎名ぁ……怖かったよな…痛かったよなぁ……椎名ぁ……」

 いつしか二人は、ただ、泣いていた。

 もはや帰ってこない幸せを思って、涙を流していた。

 繭との過ぎ去った日々を想って、声をあげて、泣いていた……。
51椎名繭との別れ:02/08/15 22:43 ID:Jjf7TBwp
 それから、どのくらいの時間がたったであろうか。
 太陽はすでに南に向かい、いつもと変わらず、自分たちを照り付けている。
 コロシアム横の花畑で、浩平と長森は、繭の墓を静かに、眺めていた。

「七瀬を……探そう」
「……うん」

 サトリは確かに『二人』と言った。繭と共にいた人物と言えば、恐らくは七瀬なのだろう。
 しかし、ここには七瀬の死体は、無い。

「きっとどこかで、生きてるんだ。俺たちを探してるんだ、七瀬は」
「うん…うん……」
「七瀬だけじゃない、広瀬も、茜も、柚木も、みさき先輩も、雪見先輩も、澪も住井も氷上も……きっといるはずだ」
「それに、他の参加者の人たちも……ね」

 ユンナのことを、ユンナが潜むらしい見えざる塔のことを、皆に知らせなければならない。
 そして、これ以上、犠牲者を出さないためにも。

「椎名、俺たちは仲間を探して、ユンナってやつを止めに行ってくるからな」
「繭、行ってくる、頑張ってくるから、見守っててね」

 そして、二人は歩き出す。

 悲しみと、希望を胸に抱いて――。
52名無しさんだよもん:02/08/15 22:44 ID:Jjf7TBwp
【浩平&長森、繭を埋葬後、人集めのために移動開始】
【時刻は昼前頃】

レス間は二行でお願いします。
53名無しさんだよもん:02/08/15 22:50 ID:Jjf7TBwp
うわ、修正御願いします!

>サトリは確かに『二人』と言った。

いいえ、言ってません。ここを、

>サトリは確かに『彼女たち』と言った。

に修正御願いします(涙
54逃走と闘争:02/08/16 14:54 ID:SlDTqHwK
「……鬼、だと?」

 光岡は島のセキュリティー関係のスタッフであり、更に実際に現場に出る数少ない人間だ。
 大抵の化け物ならば名前や姿形ぐらいは頭に入っている。
 だからこそ、思考が停止した。
 彼の管区……どころか、この島のどこを見まわしても、このような生物はいないはずだった。
 日本の古書などに出てくるような鬼ならば開発中との話もあったが、それとも何か違う気がする。
 しかし、悠長な考え事をするには些か危険過ぎる状況と相手だった。
 『狩猟者』はその空白を見逃す事なく、更に攻撃をかけてくる。

「クッ!」
 対して、光岡は瞬間的に剣を攻撃の軌道上に置く。
 ……が。

「何ィッ!?」
 理想的な形で受けているにも関わらず、爪と剣のかち合った衝撃だけで弾き飛ばされた。
 それどころか刃の部分を相手の腕にも合わせるように受けたというのに、『狩猟者』は傷付く事など気にも留めず腕を振り抜いてきた。
 そして、吹き飛んだ光岡を油断なく睨みながら、手首の内側から滴る自らの血をベロリと舐めあげる。
 舌の通った後にはうっすらと赤い線が残っているだけだった。

(……勝てない。少なくとも昼のオレでは絶対に勝てない!)
 背筋に氷を突っ込まれたような感触と共に、理性、本能、経験、その全てでそう理解できた。
 そんな光岡に構う事なく、間髪入れずに『狩猟者』の豪腕が迫る。
 が、それは空気を切るだけにとどまった。
 光岡は理解したから側から、背を向けて全力で逃げ始めていた。
 元来、彼は無謀と見られる所さえある性格だが、どうあっても勝てない相手では話が別だ。
 それに別れてしまった浩平達や他の招待客達を思えば、個人的な感情で無駄死には出来ない。
 例え無様だろうと生き残って、この化け物に対抗する術を考えるのが使命だと思った。
55逃走と闘争:02/08/16 14:58 ID:SlDTqHwK
 ここまで思い切りの良い逃走は『狩猟者』にとっても予想の外の出来事だったのか、追撃が一瞬だけ遅れた。
 その一瞬で距離を稼ぐとばかりに、光岡は負傷を圧して更に加速しながら建物の縁をピッタリと沿うように走る。
 しかし、僅か4歩を踏み出した所で差が詰まった。
 気を取り直した『狩猟者』の出鱈目なまでのスピードだった。
 そして背後を取った『狩猟者』は、そのままの速度で再び必殺の一撃が繰り出してくる。
 それに対して光岡は、後ろに目が付いているかのごとく走りながら横に跳び、難なく避けた。
 壁を横にする理由の一つは、片側を塞げば取れる動きが大幅に限定される為である。
 そこに、自身の先を読む能力が加われば、このように攻撃の軌道を見切る事はそれほど難しくなかった。
 しかし、相手の動作が読めようとも如何ともしがたい速度の差が、次第に彼を圧倒し始める。
 
――身を捻る。
 避けきれず胸部に血の線が走った。

――跳ねる。
 取り残された腕が深く切り裂かれた。

――かがむ。
 なびいた長髪がバッサリと切り落とされた。

 ほとんど奇跡のような動きで、攻撃を避け続ける光岡。
 曲がり角を盾の様に利用しながら、爪の一撃をやり過ごす。
 そして、なおもそのまま小屋の周囲を駈け続ける。
(もう少し、もう少しだ……)
 そう、ゾンビとの戦いの前に見た記憶が正しければ、あと少し。

――滑りこむ。
 背中が爪に抉られた。

――横転。
 転がる側から、地面に穴が幾つも穿たれる。
56逃走と闘争:02/08/16 15:00 ID:SlDTqHwK
(見えたッ!)
 そして、起き上がりざまに大きく跳んだ。
 その先にあるのは、壁際を移動したもう一つの理由である、窓。
 そのままの勢いで、老朽化した硝子と冊子を派手に吹き飛ばし、小屋の内部に入りこむ。

(いったん姿を隠してしまえば、後は隠行でどうに……!?)
 しかし、最後の一手で詰めを誤ったか、横凪の一撃がコンマ数秒の差で、半ば窓枠を通りすぎている光岡に襲いかかった。
 今度ばかりは不安定な体勢で回避どころか防御もままならず、声を上げる余裕も無く血煙が空を舞った。
 裂傷・打撲と共に凄まじい加速をつけられ、光岡は更に小屋内部の床にも叩きつけられた。



 ……そして、『狩猟者』からしても小屋の中に逃げこまれてしまった。
 最後の一撃は中々深く入ったのだが、相手の居場所が悪かった為にどうも全力で腕を振り切れなかった。
 あの人間の強さを加味すれば、あの程度では致命傷とはいかないだろう。
 まだ狩りは終わっていないようだ。

 そこまで考えて、『狩猟者』は憎々しげに窓を見据えた。
 光岡が突き抜けたのは大人一人がどうにか入れる程度の窓だが、『狩猟者』が潜るには小さすぎる。
 そして、怪物がごく普通に徘徊するこの島の建造物は基本的に頑強だ。

(このまま篭城して時間を稼ぐ積もりか?)
(あるいは反撃への布石か、逃走への足がかりか?)

 そう思ったかのかどうかはわからないが、ここで初めて『狩猟者』が笑った。
 獲物のちっぽけな企みを嘲ける、獰猛な嗤いだ。
57逃走と闘争:02/08/16 15:02 ID:SlDTqHwK
「グオオオォォォォォー!!」
 
 『狩猟者』は咆哮に喜悦を滲ませながら、まっすぐに拳を突き出した。
 拳は吸い込まれるように窓枠の下の外壁へと衝突し……。
 凄まじい轟音・粉塵と共に分厚いコンクリートが真正面から粉砕された。

「オオオオオォォォォォ!」

 更に噴煙も消えぬうちに別の側面をも手当たり次第に殴り、蹴り、蹂躙する。
 瞬く間に壁面の大部分が破壊され、小屋全体が崩れ始めた。
 だが、『狩猟者』はそのままゆっくりとした崩壊を待つ事もなく、一跳びで屋根の上に飛び移り豪雨のような拳の乱打を降らせる。

 それから10秒も経たないうちに小屋は戦場さながらの瓦礫の山と化した。

「グウゥゥゥゥ……」
 『狩猟者』は暫しの間、無茶苦茶に倒壊した小屋の跡を満足げに眺めていた。
 しかし、埃が晴れても、瓦礫の山に埋もれてしまったのか、光岡の姿は影も形も見えなかった。
 狩猟者は少し物足りなさそうに唸ったが、すぐに興味を無くしたかのように踵を返し、草むらの中へと消えて行った。


【狩猟者 狩りの開始】
【光岡悟 不明】

以上です。
誤字、脱字、ツッコミなどがありましたら、よろしくお願いします。
58The Wild Wind!:02/08/17 02:30 ID:YeyEtAuI
「はぁ……仙命樹、ですか」
 
 パソコンの前にあるイスにだらっと腰かけている俺は、
 きっと今まで生きていた中で、一番納得のいかない顔をしていたに違いないだろう。

「君の考えは尤もだ。普通はこんな話、だれも信じようとはしないだろう」
 と、俺の目の前ので昨日の事情を話してくれた蝉丸さんは、至極当然といった表情で頷いている。

「普通……だったらなぁ……」
 と、そこで俺はパソコンに視線を移動させ、島の全体図をモニターに映し出す。
 そこに記されている場所は、竜の巣、大蛇の棲む沼など、
 どれもこれも普通じゃ考えられない物ばかりだ。
「まぁ、こんな状況だったら蝉丸さんみたいな人がいても変じゃない……って気もしてきましたよ。」
 我ながら、見事な対応力の早さだとは思うが。
59The Wild Wind!:02/08/17 02:32 ID:YeyEtAuI
「まぁいい、重要なのはこれからの行動なのだからな……」
 そう言って坂上さんは俺の近くに寄り、地図の画面を指差す。
「とりあえずホテルに移動する。こんな事態になったのだ、まともな園内の人間なら、
 一般人が大勢移動すると思われるここで何らかの指示を出すだろう。」
  坂上さんはそこまで喋った後、俺の方を無言で見つめてくる。
 
 ――俺に考えを言え、ってトコか。

「……俺は行けません。坂上さんはあの姉妹と郁美ちゃんを連れて、
 ホテルに戻って下さい」
 きっぱりと、断言する。
「何故だ? 解かっているのだろう? お前の話した耕一とやらは恐らく、もう死んでいる」

「そんなわけねぇ! あの耕一さんがそんなに簡単に死んじまうわけ……」
「彼は管理施設の制圧に一人で乗り込んだんだろう? それにここも安全とは言い難い。
 早い内に離れないと、君達まで危険になる」
 
 坂上さんの話は、実に正鵠を射ていた。
 
 昨日は気付きもしなかったが、小高い丘の上にあるここはいつモンスターの
 標的になってもおかしくない。
 加えて、ここにいるメンバーを考えれば、取るべき行動は一つだろう。

 ――だが、それでも……

「坂上さん……俺は、やっぱり俺は……」
60The Wild Wind!:02/08/17 02:33 ID:YeyEtAuI
「すまないが、議論は後だ」
 開きかけた口を手で制しながら、坂上さんは目を瞑って、何かを探すような表情を見せる。
 そして、数秒後。
「向かってくる気配がある。この足取りは恐らく人間ではない」
「じゃあ……」
「うむ、もんすたぁとやらであろう。住井、この施設に武器は無いのか?」
「武器、ですか……」

 困った事にこの建物は、ガイド用に作られた物のようで島に点在している武器庫とは毛色が違う。
 
 ――武器になりそうな物など……待てよ?

「そ、そうだ、俺まだ見てない部屋がありますから、そこを見てきます!」


「美坂さん! 入るぜ!」
 返事も待たずに、部屋に入る。
「ちょ、ちょっと!」
「おおっ! 踏み入ったその先には、
 どうやら着替え中だったようで、スカートを半分降ろしていた香里さんが……」

「何解説してるのよおおおっ!」
 唸りを上げて、再び俺の顔に鉄拳がめり込む。
61The Wild Wind!:02/08/17 02:34 ID:YeyEtAuI
「ガハアアッ!」 

 錐揉み状に体を飛ばし、俺は物凄い勢いで頭から部屋の隅に合った机に激突する。
「どうした住井! 物凄い音が聞こえたぞ!」
 それを敵襲と勘違いしたのか、坂上さんが部屋に飛び込んできた。

「い、いや……ちょっとしたアクシデントですので、ご心配は……ゴフッ!」
 どうにか立ち上がりかけた途端、頭部に机の引出しが当たる。
「むっ、住井! よくやったぞ!」
 失礼にも蝉丸さんはその光景を見て、何故か喜びだしている。

「そ、そんなに人が痛むのを見てお、面白いですか?」
「何の事だ? 俺が誉めているのはこの銃を見つけた事についてなのだが……」
 
 と、蝉丸さんは恐らくは机の中に入っていたであろう。
 足元に転がっている拳銃(銃にはH&K USPと書いてあった)を拾い上げ、俺に見せる。

 ――ハ、ハハハ……、俺は殴られ損って奴ですか。もう勘弁してくださいよ……。
62へタレ書き手だよもん:02/08/17 02:36 ID:YeyEtAuI
【モンスター 住井達のいる施設に接近 正体不明】
【坂上蝉丸 H&K USPを入手】


 レス間は全て二行空けで、RTO氏お願いします。
63名無しさんだよもん:02/08/19 03:20 ID:scMafa4J
いや、また落ちるからこの位置は。
64名無しさんだよもん:02/08/19 22:20 ID:rx3q2icB
じわじわとメンテ。
65名無しさんだよもん:02/08/20 21:43 ID:KWi7cvHY
保守。
66名無しさんだよもん:02/08/21 02:23 ID:gSi3gnas
67名無しさんだよもん:02/08/21 22:30 ID:SpQROIzl
メンテ
68名無しさんだよもん:02/08/22 18:55 ID:ztEF95no
保守っとこう。
69ただ愛しき娘の為に:02/08/22 21:36 ID:P+yENmp+
 雨はもう降っていない。 暗雲は去ったが、東の空に太陽が姿を見せるにはまだ時間があった。
 
 ロクに舗装もされていない道を、一台のジープがガタゴトと揺さぶられながら走っている。
 運転席には水瀬秋子、隣りの助手席には来栖川芹香の姿があった。 後部座席には誰も座っていない。
 二人の間に流れている空気は重く、もともと無口な芹香はともかく、秋子ももう何十分も口を開こうとはしなかった。
 無論、悪路ゆえに運転に集中しなければならないという事もあるが、それとはまた別の事情が彼女達の言葉を強く拒んでいた。

 不意に、前方に一本の木が横倒しになっているのが見えた。
 細い木だが、まるでジープの行く手を遮るようにそうなっている様だった。

「気を付けて下さい、揺れます」

 秋子はようやくそれだけを喋り、アクセルを踏んで加速した。
 芹香は言われた通りにぐっと身を固くして、シートーベルトを握り締めた。

 前輪が勢い良く木を踏みつける。
 ガタン、と音がして車体が大きく跳ねた。
 女性達は短く声をあげた。 秋子は反射的にブレーキを踏み込む。
 濡れそぼった地面のせいでジープは急激にスリップしたが、幸いにも傷害物に激突することはなく、停止した。

 ふぅーっと、どちらからともなく大きな息を吐いた。

「…芹香さん、大丈夫?」

 秋子の問いに、芹香は尻をさすりながらコクリと頷いた。
70ただ愛しき娘の為に:02/08/22 21:37 ID:P+yENmp+
 秋子はジープを降りてその車体を眺め回してみたが、特に故障は無いようだった。 こんな悪路を車で走るのは初めてだったが、頑丈に出来ているんだなと変に感心した。
 運転席に戻ってメーターを見てみるが、燃料もまだ暫くは心配無用らしい。
 何も問題は無いということだ。 芹香にぼんやりと見詰められながら、秋子はハンドルを握った。

 それから数分は経った。
 秋子はいつまでもアクセルを踏もうとはせず、何か難しい顔をしながらフロントガラスの向こうにある光景をじっと見詰めていた。
 そこに何か障害がある訳でも無い。 今このままアクセルを踏めば、ジープはどこへなりと走り出すだろう。
 だが秋子はそうはせず、代わりに、

「芹香さん」

 相手の方を見ずに、微かに俯いたまま、そう呼んだ。 
 芹香は何となく呼ばれるのが分かっていたので、殆ど聞こえないくらいの声で「はい」と返した。
「こんな時に、こんなことを言うのは… 良いのか悪いのか判りませんけど…」
 自嘲的に笑いながら、遠慮がちな声で、秋子は話し始めた。

「…私、芹香さん達を守ろうと思っていました。 四人の中で私一人だけおばさんですし… それが年長者の務めだと、そう、思ってたんです」

 芹香は口をはさまない。

「資料館でゴブリンに襲われた時は… 上手く逃げることができましたよね。 怪物に襲われても、大丈夫なら… このままいけるって…」

 秋子は顔を上げて、芹香を見た。

「でも、無理でしたね」

 芹香は驚いた。 秋子の笑顔は、その目は、余りに暗い。
71ただ愛しき娘の為に:02/08/22 21:37 ID:P+yENmp+
「綾香さんが焼かれた時に… 怖くなって… 一刻も早く離れないとって思ったんです。 芹香さんと琴音さんに声をかけるのも、殆ど命懸けだったんですよ。 モタモタしてると、私まで燃やされるんじゃないかって不安でした」

 深く、溜め息。

「琴音さんを救わなかったのも、冷静な判断とか、そういうのじゃありません。 ただ、私まで同じ目に遭わされるのが怖かっただけなんですよ」

 芹香は目を逸らした。 秋子の視線を受け止めることが、出来ない。
 秋子が次に口を開くまでに、少しの間があった。

「芹香さん、私、娘がいるんですよ」

 違う話になった。

「名雪といって、私とあの人との間にできた一人だけの子供です。 私にとって、この世で何よりも大事な娘。 祐一さんよりも、あゆちゃんよりも、真琴よりも…」

 芹香の知らない名前が出てくる。 しかし誰かと質問できる様な雰囲気ではない。

「……そして芹香さんよりも、です」

 自分の名も呼ばれたが、それは予想していた。

「あの子はもう高校生で、芹香さんと同じ位の年齢ですけど… まだ私がいないと駄目なんです。 私がいないと何も出来ない。 私はあの子の為に、死ぬ訳にはいかない。 だから芹香さん」

 秋子は一度、息を吸い。 そして吐き出すように。

「今後、もし芹香さんが危険な目に遭って、それでもまだ助かるかも知れない、としても…  無理だと判断すれば、私はあなたを見捨てて逃げます」
72ただ愛しき娘の為に:02/08/22 21:38 ID:P+yENmp+
 車上の空気は今まで以上に重くなる。
 芹香には反論する気は起きなかった。 秋子の言い分は、どうしようも無いほど、理解できる。
 だから、ただ頷いた。

 すると、秋子は笑った。
 何故かこの場面で、今までのような自嘲的なそれではなく、母親の笑顔を浮かべた。

「だから私が危なくても、芹香さんは一人で逃げて下さいね」

 芹香はどう答えていいのか分からず、それでもやはり頷くしかなかった。
 秋子はそれを確認すると、一息付いて、ハンドルを握り締めた。

「さあ、行きましょう」

 今までに無く明るい声で、秋子は言った。 まるで、家族と一緒にピクニックに行くかの様な声。
「それと、芹香さんにお願いがあります」
 アクセルを踏みジープを発進させながら、秋子はもう一度 芹香に話しかけた。

「名雪と会ったら… あの子の友達になってあげてくれませんか? そして綾香さんや琴音さんにも紹介してあげて下さい」

 芹香はハッとして秋子の顔を見て、
 今度こそは、はっきりと自分の意思で頷いた。

 秋子は嬉しそうに、「ありがとう」と言った。



【秋子と芹香、ジープで島内を移動中】
73名無しさんだよもん:02/08/22 21:39 ID:P+yENmp+
「ただ愛しき娘のために」ですた。
各レス間は二行開けてやって下さい。
74名無しさんだよもん:02/08/23 00:19 ID:jkri6rY1
特級メンテん師 
75名無しさんだよもん:02/08/24 00:30 ID:eVVCYus4
らーメンテなんでこんなに美味しいんだろう。
76名無しさんだよもん:02/08/25 01:26 ID:G/Bs6+A1
普通にメンテ
77名無しさんだよもん:02/08/25 18:28 ID:pdDVEUWF
なんか、もう終わってるならメンテするのやめたほうがいいか?
78名無しさんだよもん:02/08/25 23:22 ID:hBOzWt4N
23日間で11本の作品、少なくは無いとは思うんだが……
79耕一の後を追って:02/08/26 01:34 ID:aIdLKzfK

 何かに導かれるように、すたすたと歩を進める楓に、マナは仕方なくその後を付いていた。
 楓は恐竜公園の丘を越え、中央にそびえたつ巨大な岩山に向かっている。
 丘の上で草を食べている恐竜たちにびくびくしながら、マナは隣りを歩く瑠璃子にそっと耳打ちした。
「……瑠璃子ちゃん、今朝から思ってたんだけど、楓ちゃんますます雰囲気が張り詰めてない?」
「そうかもね」
「ずっとぴりぴりした感じだし、勝手に先に行っちゃうし……」
 呟いてから、マナはばつが悪そうに顔をしかめた。
「……耕一さん、だっけ。楓さんの大切な人が死んじゃったって言ってたけど……」
 こういうのも、『超常現象』の範疇にはいるのだろうか。
 そんな事を考えて、マナは一人溜息をついた。
 二人が特殊な力を持っている、といきなり言われても、マナとしては簡単に信じれるものではない。
 だから、見知らぬ耕一の死も、マナにとっては全く実感が無かった。

 すぐ横で恐竜が嘶きをあげ、マナがびくっと体を震わせる。
「……ジープに乗ってた時は平気だったけど、こうして見ると、結構怖いよね」
 瑠璃子は話相手としてはあまりいい方ではなかったが、恐怖を紛らわせる為に、マナはしゃべりつづける。
「そう言えば瑠璃子ちゃんは、お兄さんがいるんだっけ。どんな人?」
「……」
 瑠璃子の表情に、ちょっと困ったような笑みが浮かんだ。
 それを見て、マナは自分の言葉を後悔した。人には、誰だって触れられたく無い事の一つや二つはあるものだ。
「ごめんね、瑠璃子ちゃん、言いにくかったら……」
「ううん、そんな事ないよ。私のお兄ちゃんは、何て言うかな……ちょっと過保護なんだ」
「過保護?」
 言われてみれば、瑠璃子は深窓の令嬢といった感じではある。
80耕一の後を追って:02/08/26 01:36 ID:aIdLKzfK

「ここに来る時も、私と別のジープに乗るの、凄く嫌がってたんだよ。
 でも、お兄ちゃんがいると、お友達ができにくいって言って、無理やり一人で来ちゃった」
「ふぅん、そっかぁ……」
 瑠璃子の兄、シスコン、とマナは脳内で注釈をつけた。
 あまり会いたい人種ではなさそうだ。
「本当はちょっと不安だったけど、マナちゃんや楓ちゃんとお友達になれたから、良かったよ」
「はは……」
 本当に嬉しそうに呟く瑠璃子に、マナは戸惑ったような笑みを浮かべた。
「友達、かぁ」
 ちらりと前を行く楓の背中を見つめ、マナは複雑な表情で溜息をつく、

 その時、ようやく岩山の前にまで来た楓が、立ち止まった。
「……ここに、何があるの?」
「恐らくは、モンスターの管理室か何かだと思います」
「この岩山が!?」
 驚いたマナは、改めて五階建てのビルほどもある岩山を見上げた。
 言われてみれば、確かに人工っぽいかもしれない。
「耕一さんがたった一人で向かうとすれば、それぐらいしか思い当たりません」
「って事は、ここをどうにかすれば、もうモンスターには襲われないんだよね……でも、どこから入るの?」
 かなり近くからでも、それは普通の岩にしか見えなかった。
 ぺたぺたと岩に触れ、マナは隠しドアが無いか探ってみる。
「スタッフが出入りする必要があるのですから、そんなに複雑な場所にあるとは思えないんですが……」
「……楓ちゃん、マナちゃん、あれがそうじゃない?」
 そう言って瑠璃子が指差す先には、岩場の裏に隠れるようにして、鋼鉄の扉があった。
81耕一の後を追って:02/08/26 01:38 ID:aIdLKzfK

 マナは真っ先に扉を開けようとしたが、残念ながら鍵が掛っていてビクともしない。
「ダメ、開かない……」
 がっくりと肩を落とすマナとは対照的に、楓は静かに扉に手をかけると、振り返った。
「……お二人には悪いですが、ここからは私一人で行きます」
「へ?」
 一瞬言われたことがわからずに、マナはぽかんと楓を見返した。
 一人で、と言った事もそうだが、鍵が掛っているのにどうやって入るつもりなのだろうか。
「どのような手を使ったのかはわかりませんが、相手は耕一さんを倒すほどの相手。私達なんかが行けば、必ず死にます」
 あまりにもきっぱりと断言され、マナは絶句する。
 楓によって紡がれた「死」という言葉は、驚くほど実感を伴ってマナの脳に浸透した。
 普段だったら、笑い飛ばすような台詞のはずが、この島の状況か、楓の雰囲気か、それは紛れもない“事実”なのだと直感させられる。

「それってつまり、楓ちゃんは死ぬつもりって事なんだよね」
 ぽつんと呟いた瑠璃子に、マナははっと楓の顔を凝視した。
「か、楓ちゃん……」
「………」
 楓は黙ったまま、鋼鉄のドアを押し開いた。
 ぎきゅぎきゅぎきゅ、と鉄がひしゃげる異音が響き、マナはぎょっと目を見開く。
 鬼の力によって無理やり扉をこじ開けた楓は、呆然とする二人を残し、再び扉を閉めてしまった。
 ご丁寧に、マナ達が後から入れないように、鍵の部分の金属を変形させる念の入れようである。
「……な、何今の……」
 捻じ曲がった鍵の部分を凝視し、マナは自分の目が信じられない、という風に何度も目を擦った。
「ど、どーしよう、瑠璃子ちゃん……」
「……このままにはさせられないよね」
 いつもはほとんど表情の変わらない瑠璃子が、その顔にうっすらと決意の表情を浮かべていた。
82名無しさんだよもん:02/08/26 01:38 ID:aIdLKzfK

【マナ、楓、瑠璃子、耕一が辿り着いた管理室に到着】
【楓、裏口をこじ開け、管理室の中に進入。マナと瑠璃子は置いてけぼり】
83名無しさんだよもん:02/08/26 22:18 ID:VEv2zthp
さすがにメンテだろう。
84惑う心:02/08/26 22:43 ID:U230VACN

「よし、こっちも大丈夫だな……」
 すっかり腕になじんだM16を左右に向け、辺りにモンスターがいないことを確認した後、
 久瀬は細心の注意を払いながらゆっくりと進む。

 いつもならこの後ろにあのコンビが居る筈なのだが、今回は違う。
 ――しかし、意外にキツイな……やはり北川にやらせるべきだったか……。


「偵察?」
 目の前の火を気にしながら、相沢の手当てを終えた北川に目を向ける。
「……その前に俺から質問させてくれ。久瀬、
 お前一体何を焼いているんだ? なんか異様な匂いがするんだが……」
「何って、見ての通り狸さ。ちゃんと皮も剥いであるし、血も抜いてある」
「そ、そういう問題じゃなくてよ。今俺達が撃ったのを食えって言われても、正直ちょっと……」

 ――ああ、そういうことか。
「大丈夫だ、こいつらの体の中にあった弾丸もしっかり抜いておいたぞ」
「いい、っていうかもういいや、俺は絶対食わないからな。ソレ」
 ――くっ、ここまで否定するとは……凡人にはそんなに不味く見えるのか。

「……まあいいさ、それより偵察とかいったね、急どうしたんだい?」
「相沢の怪我が予想以上に酷い。あれじゃあ怪物に襲われた時逃げる事は不可能だ」
 僕の真向かいに腰を下ろし、北川は眠そうに瞼を擦る。

「だから襲われる前に、僕に付近の安全を確かめて来いっていうのか?」
「おっ、さすがは生徒会員。頭の回転も速いな」
85惑う心:02/08/26 22:44 ID:U230VACN
 ――他人。
 そう、同じ街に住んでいようが、学舎を共にしていようが、結局の所僕達は他人同士。
 あの時助けたのも、武器を貸してやるのも、全ては自分が生き残る為。
 別に自分から誰かを助けようとか思うつもりなど、無論の事ない。

「……そう言うと思ったよ。まぁ、無理に頼むつもりも無かったし、俺が行けばいい事だからな」

 ――だからその言葉を聞いた時、僕は耳を疑った。
 


 急に険しくなった地面をを踏みしめながら、ゆっくりと前に進む。 

『……助けてもらった借りもある。偵察には僕が行くよ』
『借り、ねぇ……お前にはいないのか? 大事な友達って奴は?』

 あの二人から離れる時に北川の口から出た言葉が、耳朶を打ち続ける。
 答えは――否。碌に人付き合いもしなかった自分では、そうなるのも当たり前だ。
 
 いつもそうだ、僕はああいったタイプの人間を理解できずにいた。
 立派な人間――子供の頃からそれだけを強要されてきた僕に、他を気遣う余裕などあっただろうか?

 ――そう、もしかしたら、僕は……
86惑う心:02/08/26 22:45 ID:U230VACN

「っと、随分と来てしまったな……辺りにモンスターの気配もないし、そろそろ戻るか……」
 思考を中断し、踵を返しかけたその時、目線の端に何かが移る。

 ――あれは……何かの施設か? それにしてはやけに形が悪いな……。
 
 辺りに動く物の気配がないことを確認した後、慎重にその妙な形をした建物に近づく。
 そして、三百メトール程進み、建物の前に立った所で理解できた。
 既に、それは崩壊していた後だという事に。


「ど、どうやったらこんな滅茶苦茶な状態になるんだ?」
 ガレキの山と化したそれを見ながら、足元に目をやると、そこにはおびただしい血の跡。

 ――まさか……この出血で動いたのか?

 驚嘆しながらも、膨大に流れ落ちたと思われる血の跡を辿っていくと、その先には川。
 そして、全身を血塗れにしながらも、しっかりと右手に何かを握り締めている、一人の男が倒れていた。 


【久瀬 崩壊した廃屋の近くで光岡を発見】
87へタレ書き手だよもん:02/08/26 22:46 ID:U230VACN
レス間は全て二行空けで、RTO氏お願いします。
88名無しさんだよもん:02/08/27 02:02 ID:+egPtXIr
保守    
89名無しさんだよもん:02/08/27 22:19 ID:dlJFVFFm
リレー小説総合より

197 :サバ書き手 :02/08/27 07:42 ID:SsXoXZpx
サバ感想スレ死亡、これ以上落ちるのを防ぐために今度こそ本スレと統合だと思うんだが他の人の意見を求む。

198 :名無しさんだよもん :02/08/27 10:42 ID:HfajGe0O
まあ、感想スレ統合するかどうかはともかく、サバにはもう感想スレいらないだろうな。
感想なんて新作1つにつき1つあるかないか、ってレベルだし。

199 :名無しさんだよもん :02/08/27 15:49 ID:JjHInLhy
同意

203 :名無しさんだよもん :02/08/27 20:44 ID:f8fYY7RF
じゃあ今後はサバイバルも統合ってことか、本スレに書いておいた方がいいかな?


ってなわけで、今後はこちらで感想・討論も同時進行という方向性で問題ないですね?
90名無しさんだよもん:02/08/28 00:18 ID:MBZySa4y
じゃあ今後はここが本スレ+討論&感想スレってことで。
皆さん、頑張っていきましょう。
91支援サイト製作者:02/08/28 00:48 ID:l3yphyxZ
 感想スレが逝ったので需要ないかもしれないが一応貼っときます

(一日目降雨〜降雨後)
 
 聖=アレイを倒した後、再び雅史を探す 最終四日目37〜38『策士』 

 葉子・友里=由衣を探す 最終四日目48〜52『希望』  

 芳晴・エビル・コリン・美汐・シュン=休憩所で遭遇 最終二日目20〜23『死神の思いは』

 イビル・理緒・レミィ・英二・拓也・縦・横=さらに施設の深い奥へ 最終五日目24〜27『感情』

 なつみ=往人たちから離れ、自身の本体を探しに 最終二日目294〜298『覚悟』
 
 あさひ・麗子・結花・詩子=見張り中の麗子の前にユンナが現れる 最終四日目201〜204『イレギュラー』 
  
  麗子グループ=電動釘打ち機・マチェットを入手 
 
 みさき・弥生・美咲=トレントの近くに、座敷童付き 最終四日目224〜228『みさきの絆』

 秋子・芹香=妖孤から逃亡後、名雪を探す 最終五日目69〜72『ただ愛しき娘の為に』

 メイフィア=七瀬の身体を借りて行動。アレイを追う 最終四日目143〜147『魔女と契約』 

  メイフィア=ソードブレイカー装備、煙草(セブンスター)

 リアン=サトリに塔に連れ去られる 最終四日目85〜88『寂しき心』
92まとめ:02/08/28 00:49 ID:l3yphyxZ
 セバスチャン=来栖川姉妹の救出に 最終四日目90〜92『この島で愛を語る者』

  セバスチャン=負傷

 朝鮮製=予想外の展開に苛立つ 最終四日目183『朝鮮製回想』
 
(ホテル組) 
 
 長瀬警部=蜘蛛を倒し、自室の武器を求め一階に 最終五日目40〜43『老獪』

  長瀬警部=拳銃×2、手榴弾装備

 柳川・佳乃・高子・高槻・少年=柳川はホテルから逃走。少年は郁未探し 最終四日目220〜223『鬼の心』
 
  高槻=拳銃装備 少年は現在十二階

 長瀬主任・橘・マルチ・セリオ=セリオは交戦中、三人は二階へ 最終四日目168〜170『T2』

  長瀬主任・橘=拳銃装備

 名雪・彩・真琴=名雪は目覚める、彩と真琴は宿泊室に逃げ込む 最終四日目163〜166『ヤミ』

 行動が不明のキャラ=郁未(12階にいる?)
93まとめ:02/08/28 00:49 ID:l3yphyxZ
(二日目)  
 
 浩平・瑞佳 繭と別れを済まし、仲間集め開始 最五日目48〜52『椎名繭との別れ』
    
  浩平=拳銃を装備

 祐一・北川・久瀬・光岡=一人偵察に出た久瀬は、光岡を発見する 最終五日目〜『惑う心』
 
  久瀬=M16・ベレッタM8000装備、超先生ライター(その他武器の入った鞄持ち) 
  祐一=グロック17装備 北川=SPAS12・コルトガバメント装備 光岡=跋扈の剣装備

 葵・冬弥・彰・たま=吸血鬼シュベストと戦闘開始 最終五日目34〜37『闇に潜むモノ』  

 蝉丸・住井・香里・栞・郁美=何処かの施設にて合流 最終行動話『The Wild Wind!』
  
  蝉丸=H&K USP入手

 雅史=ソフィアと共に浩之とあかりを探す 最終四日目27〜29『懺悔』

  ソフィア=現在ミクロ化(夜間は元の姿に戻る) 

 すばる・岩切・梓・初音・きよみ(黒)=すばると岩切は鍾乳洞へ 最終五日目44〜47『暗闇に求めるは』
  
  すばる=右手負傷 岩切=仙命樹増加
 
 マナ・瑠璃子・楓=恐竜公園の前に到着 最終五日目79〜82『耕一の後を追って』

  楓=残りの二人を置いて裏口から進入
94まとめ:02/08/28 00:50 ID:l3yphyxZ
 舞・佐祐理・南・大志・和樹・瑞希・みちる=みちる合流、現在パーティは分断中
 最終四日目158〜161『伝わりしもの、その名は』
 
  和樹=サーベル装備 舞=自前の剣を装備 みちる=七瀬と広瀬のリボンを受け継ぐ
 
 アレイ=死霊化、思考はルミラの為に八人を殺すことだけ 最終四日目177〜180『存在論』

  アレイ=クレイモア装備

 ルミラ=ユンナの手によって拘束中 最終四日目177〜180『存在論』

 往人・千紗=ポテトと出会い、砂浜で休憩 最終五日目207〜211『休息』

  往人=S&W M86装備、IDカード サバイバル用具一式 千紗=オートボウガン装備?

 立川雄蔵=往人たちと別れ、郁美を探しに 最終四日目15〜17『光差す彼方へ』

 (博物館メンバー)
 
 祐介・浩之=早朝から色々と食料を漁っている 最終二日目414〜415『覚醒』

  浩之=クロスボウ装備

 エリア・ウイル=ユンナの事を考える 最終二日目592〜598『一つの推理』

 残りの博物館メンバー=沙織・あかり・サラ・ティリア 

  沙織=モーニングスター装備
95まとめ:02/08/28 00:51 ID:l3yphyxZ
(病院メンバー)
 
 茜・香奈子・矢島=抗体材料を発見後、施設に警報が鳴る 最終四日目65〜69『フラッシュバック』

  茜=抗体材料入手 香奈子=電波により狂気に墜ちる 矢島=デザートイーグル入手

 あゆ・智子・観鈴・瑞穂・晴子=晴子の一言で、四人は現実を知る 最終四日目172〜175『残酷な現実』
 
  あゆ・瑞穂=吸血鬼化が進む 晴子=澪の武器を奪う

 動きの無い病院メンバー=良祐・白きよみ・澪・子ドラゴン  

(三日目、その他)

 清水(略)=平穏な生活を送る=最終一日目287『平穏』

 河原崎夫人=夫の元へ、テレビつけっぱなし 最終一日目647〜648『夏は終わりゆくものへ』

 天界の一角=何やら相談中 最終二日目156『密談』
96RTO:02/08/28 15:56 ID:XpcueZRW
>>91-94
まとめお疲れ様です。今後の指針になりそうです。
サイト期待しております。
あわよくば私をお払い箱に(略

とりあえず今後の課題としてはホテル組ですな。どうしたものか。
97RTO:02/08/28 15:57 ID:XpcueZRW
>>91-95でした。訂正と謝罪。申し訳無いです。
98名無しさんだよもん:02/08/28 17:05 ID:pZ012mbH
残りの一日目はホテル組と英二チームか?
99名無しさんだよもん:02/08/29 00:58 ID:vDZ5Bd3M
もう……だめぽ?
100名無しさんだよもん:02/08/29 01:42 ID:FfpmcpN3
俺も駄目な気がしてきた。
いわゆる精神的疾患ならいいのだが。
101名無しさんだよもん:02/08/29 01:52 ID:LvESyNJK
俺に任せろ
102名無しさんだよもん:02/08/29 11:33 ID:zikg5tDT
最後まで書くぞ〜って気合のある人、何人いる?
103RTO:02/08/29 13:12 ID:bQBZQH5c
( ゚д゚)ノ ウボァー

英二組は確かR1200殿が続きを書かれるということだったはず(記憶違いでしたら申し訳ない)
なので差し当たって進めたいのはホテル組ですか。
医務室が一階なのか五階なのかというところをなんとか作中で埋めることが出来ればなあ、などと。
104名無しさんだよもん:02/08/29 17:45 ID:aOhAK49+
俺も最後まで付き合いたいんだがいかんせん盛り上がりに欠ける……
ああ、他人を引き付ける文章力が欲しい……
105名無しさんだよもん:02/08/29 21:41 ID:IrptxGJf
今までにだいたい300話あるとして、俺は名無しながら10話分書いた。
俺、頑張ったよな。
もう、ゴールしてもいいよな。
106名無しさんだよもん:02/08/29 21:58 ID:ASJktcWj
>>105
まだだ! 後ニ、三十話書いてくれるまで俺はお前を離さないw
 でも真面目な話、ここまでで一番書いてる書き手って誰だ?
107102:02/08/29 22:16 ID:zikg5tDT
かく言う俺も、名無しながら10話以上書いてる。

でも、俺、もう疲れたよ…
108105:02/08/29 23:20 ID:IrptxGJf
自分も人の作品に感想ちゃんと書いてるわけじゃないから、全然人の事言えないんだけどさ。
正直、感想は書き手の原動力ってのは本当だな。感想全然無いからやる気も起きないし。

エゴを言わせてもらえば、書き手が書いてる文だけロム専は感想書いて欲しかったよ……+*
109名無しさんだよもん:02/08/30 02:25 ID:MckfSxhQ
コテ&名無し合わせて30話近く書いてるや……むぅ。
110名無しさんだよもん:02/08/30 07:38 ID:2X96a2/7
俺も結構書いてるな……15話位か。
でもあんまり感想がもらえない。
感想がないのも感想だと思ってやってきたけど。正直鬱。
111名無しさんだよもん:02/08/30 15:18 ID:/BjH4Djc
>ALL書き手
スマヌ、今度からは必ず感想書くんでどうか書き続けてやってください。
112名無しさんだよもん:02/08/30 17:18 ID:y0+GAT6W
久瀬チームのVS狸戦は全部通して面白かったですよ。
ただの人間が機転きかして戦うってのは燃えます。
誰が本物か分からない状況になった時は「このギャグ風味な連中もついに死ぬか?」
と、どきどきしましたし、久瀬が腹刺された描写なんか最高でした。
マジで久瀬死んだかと思いましたよ。
ガトリングガンまで出して来て、でもやっぱり化かしあいってオチも上手いと思いました。

以上、小学生みたいな感想でした。
113名無しさんだよもん:02/08/30 18:47 ID:0HmFRMl1
>>112
激同、俺も全編通してあの一連の流れが一、ニを争うお気に入り。
 佐祐理が最初に出てきたときは「おいおい、過去ログ位ちゃんと読めよ・・・」
 と思いながら先を読むと・・・ああ来るかコンチクショウ!
 おのれ、高野山(w
114名無しさんだよもん:02/08/30 21:01 ID:yQzLlAO8
結構あそこらへん話好きな奴多いのな……
俺はいくら術とはいえガトリングを実は石でしたってオチがどうかと思ったが。
115名無しさんだよもん:02/08/30 23:16 ID:xOONhrip
今度からは俺もマメに感想書くか……
書き手の方には頑張ってとしか言えん……歯痒い。
116名無しさんだよもん:02/08/31 00:00 ID:i5kTlqfX
>>114
「狸が重火器扱うのはどんなもんか」との感想があったからそう言う話になったんじゃないかな。
所詮見様見真似、狸の浅知恵っつ感が出てて漏れ的にはGoodだったわけだが。

そう考えるとやっぱり感想ってのは様々な面でかきてに影響与えるもんなのかな。
117名無しさんだよもん:02/08/31 00:09 ID:RcILKxhN
>>114
むしろそこがほのぼのしてて漏れはお気に入りだった。
やっぱり人によって、違うんだな。
118名無しさんだよもん:02/08/31 00:28 ID:ol30i0+o
しかしいくらなんでもあの三人がトリオ(特に久瀬)が活躍したのは
数多ある企画モノでもサバが初めてだろうなw
俺が無知なだけかもしれんが。
119112:02/08/31 03:37 ID:MkrLlnZp
狸との一連の戦いは好きだが
やはり、ガトリングガンが石だったという設定は無理があるように思えたし
そこらへんの描写も曖昧だったと思う。
だけど、それ以上に展開に面白みがあったしピンチからの逆転ってのは燃える。
こういう化かしあいみたいな、というかジョジョっぽいバトルって人気あると思う。

まあ、あくまで主観なんだけども。
これからも、なるべく感想書いていくから書き手さん頑張ってくれ。
120名無しさんだよもん:02/08/31 07:46 ID:x1Sj2REv
やっぱ、核であるモンスターとのバトルが面白い作品が評価が高いのか。
121名無しさんだよもん:02/08/31 16:59 ID:h7Q2m9P/
しかし新作が来ないな……
122名無しさんだよもん:02/08/31 21:15 ID:eUg8tUEc
まぁ仕方ないさ、気長に待とう……
123名無しさんだよもん:02/08/31 23:40 ID:9y8oi43p
雑談だけで進んでるな…
124名無しさんだよもん:02/08/31 23:56 ID:89QpnidF
スレの保持は恐ろしく楽になってるけど…。
これはちょっと考え物だな。
125名無しさんだよもん:02/09/01 01:53 ID:37c3f470
落ちないだけマシだよなぁ。
126精神外傷(1/4):02/09/01 10:34 ID:UdL8+RL2
 彼らは争うことに疲れていた。
 数年前、二人の東洋人は民族紛争が続く途上国を走っていた。
 焼けつく硝煙の匂い…周囲を飛び交う怒声と悲鳴。
 逃げ込んだ森の中の廃屋の周りはその片割れがしかけたイージートラップで時間を稼げるのであろう…。
 工作兵として雇われ、各地を転戦した結果がこの状態である。
 もう一人のトラップを仕掛けた男の相棒がスリングショット(軍事用に開発されたパチンコ)でタイマーを遅らせた手榴弾を敵のいない方向に放つ。
 テンポが遅れてそれは爆発、敵の小隊は爆発した方向を反射的に振り向く。
 敵の小隊長はそれを手榴弾による威嚇と判断し、歩みを進めた。
 手榴弾は囮、本命は彼らの目の前…。
 トラップを仕掛けた男の口が歪む。
 ドン!
 そして爆発、廃屋のヒビだらけの窓ガラスや外れて使い物にならないドアが吹き飛ぶ。
 森の中なのにその周りだけは何も無くなった。
 ただ、彼らの足元にあった不発弾が爆発しただけだ。
 飛んでくる爆弾にばかり注意して、足元を見なかった結果、拠点攻撃用の爆弾で消し飛ばされたのである。
127精神外傷(2/4):02/09/01 10:35 ID:UdL8+RL2
(2行空けてください)
 さらに二人は自軍の拠点に逃げる。
 さっきの爆弾で最後だったからだ。
 追撃がさらに厳しくなる。
 自軍の勢力圏が近くなり、その日の夜はすでに放棄された洞窟を利用することにした。
 夜は寝ずに見張りを続けたが何も変化は無かった。
 変化は起こっていた…。
 拠点に二人はそれを目の当たりにした。
 拠点が襲われたのだ、犯人が何者かさえもわからない。
 ただ、残っているのは全滅した自軍の兵士達のみ、それもただの殺されかたとは違う。
 人が与えた傷では無く、獣に噛まれたものや引掻かれたものがほとんどだ。
 しかし、野獣が起こしたという訳でもない、獣の仕業なら死体が食い散らされているはずだ、これらの死体は「ただ、トドメを刺されている」ものだった。
 食われていない故に、人間の臓物がそのままの形で飛び出ている。
 それに付け加え腐臭によって、彼等に吐き気を覚えさせた。
 二人は絶望した、人間がどう足掻いても勝てない生物がいると…。
「…もう、止めにしよう…」
128精神外傷(2/5):02/09/01 10:36 ID:UdL8+RL2
(2行空けてください)
 また二人は走っている、ただし今回は自分が生きるために。
 しかし、過去のあの映像をデジャ・ヴさせながら。
「4人とも、足が速いんだな…」
 横が息を切れ切れさせつつ愚痴を吐いた。
「二人とも運動不足なんですよ」
 理緒がペースを崩さずに先行の4人を追っている。
「これでも、昔は…やっぱいいでござる」
 縦が何かを言おうとしたが途中で止めた、どうやら縦と横の間には昔の話は禁句のようだ。
(昔は捨てたでござる…)
 縦は少し自嘲気味に笑って横を見た。
(もう、厄介ごとはイヤなんだな)
 横も同じ顔をしている。
 やがて、先行4人に追いついた。
 4人は何者かと対峙している。
「離れろ!!」
 拓也が後ろの理緒達に怒鳴る、その瞬間相手が手に掴んでいた何かを投げはなつ。
 慌てて避ける3人、その真ん中に人間上半身が落ちる。
「おい!ラミア!てめぇ、何が目的でこんなに人間を殺した!?」
 イビルの台詞に、下半身が大蛇で上半身が人間の女のモンスターは全てを妬む目でイビルを見据えた。
「お前達もあたしを弄ぶ気か!!」
 ラミアは後ろに回ろうとしたレミィをその強靭な尻尾で牽制をする。
 もう蛇を越えて小型の恐竜並の質量を持つ彼女の尻尾がレミィの脇をかすめる。
 ガシャン!
 生態サンプルのタンクが音を立てて割れる。
 ラミアの尻尾がレミィの後ろのタンクに直撃したのだ。
 ガラスの破片がレミィに襲いかかるが、レミィはラミアの牽制に反射的に場所したために直撃はしなかった。
「ナンテ、パワーね…」
 偶然で命が助かったレミィは、ラミアのパワーに少し怖気づくした。
129精神外傷(4/5):02/09/01 10:37 ID:UdL8+RL2
 ラミアは真正面にいた拓也目掛けて突進した。
「死ねぇ!」
(予想以上に速い!?)
 拓也はラミアのスピードに動揺し、慌ててバックステップをした。
 ラミアの毒の爪が空を通りすぎる。
 しかし、拓也の後ろにはもう壁しかない。
(…この空間の狭さに、能力を制限された二人か…正直有利とはいえないな…)
 つかず離れずの位置にいる英二は一つ賭けに出ることにした。
「…研究員を殺すことがお前の目的か?」
 ラミアが反応を示す。
 それに構わず英二が続ける。
「だったら、研究員でない俺達に構う暇は無いのではないかな?」
 ラミアが英二を見る。
「この間に連中に逃げられたらお互いの利益にならないのではないだろう?」
「……」
「生憎、俺達もここの研究員を探している身。連中にはある程度、訊きたいことがあるからね」
 ラミアは英二達の顔を見渡す。
「…確かに研究員って顔じゃないね」
 その間に追い込まれた拓也は気づかれずに移動する。
「あんたらには危害を加えない…だが、奴らに与することがあれば容赦はしない…」
 ラミアが背を向ける、未だに奥にいるであろう彼女の敵がいるであろう方向に。
「なあ、一つ訊いていいか?」
 拓也の言葉にラミアは顔だけこちらを向けて聞く意志を伝えた。
「この先に何がある?そして、何故人間をあんな殺し方をした?」
 口元だけ微笑を浮かべ、ラミアはさらりと答えた。
「地上の施設への出口…。殺しは私…私達の奴等へ報い」
 ラミアは簡潔に答えだけ述べ、さらに奥への通路を進む。
 その彼女の背を目にし、理緒は英二に尋ねた。
「彼女について行くんですか?」
「しかたないよ、道も一本道だし…」
130R1200:02/09/01 10:39 ID:UdL8+RL2
【英二一行、地下の通路(地上施設への道)をラミアについてくかたちで進む】
【縦横、過去の経験によりトラウマ再発】

自信無いですが…前作で指摘された「縦横がヘタレすぎる」という問題点を克服できたでしょうか…?
131名無しさんだよもん:02/09/01 10:54 ID:5jvtRNTW
新作が上がってるので感想を。

縦横の昔話は言い悪いはともかく、現時点であの二人のへタレ加減に理由はついたからいいと思う。
気になるのは話テンポの悪さ、文章が亜説明的になりすぎて戦闘の緊張感が伝わってこない。
後ラミアって名前のモンスターが良くわからないので、簡単に説明してくれるとありがたい。
132名無しさんだよもん:02/09/01 10:55 ID:5jvtRNTW
亜説明ってなんだよ……説明だな。
133名無しさんだよもん:02/09/01 12:26 ID:AYuAY6N5
>>131にほぼ同意かな

過去と現在の切り替えが分かりづらいかと。
文章が説明的で、ついでに誰が話してるか判別しづらい。
ラミアってのは人魚みたいなモンスターだっけ?
FFとかで出てきて知名度はあるけど、やはりどんなのかは書いた方が良かったかな。

でも、もう少し頑張れば結構面白く出来るんじゃないかと思う。ラミアの設定も面白いし。
敵でも味方でもない知能のあるモンスターって出てくるの初めてか?
134名無しさんだよもん:02/09/01 12:49 ID:c4xZatpK
みんな、>>104-111を読み直せ! 感想書くのはもはや義務だぞ!

>精神外傷
縦横にフォローが入ってちょっと安心。
が、やっぱり上の感想と同じく、文章のテンポを改善したらもっとよくなるんじゃないか?
断定系の細かい文章を並べるよりも、中には接続詞で結んだ方が読みやすくなる部分とかもあるみたいだし、そういうのを気を付けてみるのもいいかも。
……と、まあ漏れも人の事言えないんだが。
ラミアの能力とかの説明は次回以降の作者次第、ってことだよな。

ラミアの立場は妖狐妹に似た物なのだろうか……。
135名無しさんだよもん:02/09/01 13:48 ID:jc33ovyq
 結構みんな厳しいw
 マンセー意見だけだと見てて痛々しいが

 >新作
 R1200氏は『〜は○○を見た』とか『〜にだった』とかの脚本っぽい書き方が
 目に付くなぁ。そこらへんを改善すればかなりいい感じになると思う。
 でも戦闘を上手く書くってホントに難しいと思う。
 とはいえ中盤〜後半はかなりの戦闘シーンが予測されるので書き手の皆様には頑張って欲しい。 
136名無しさんだよもん:02/09/01 23:23 ID:L5MIoXBo
やはり一週間に一回ペースになっちゃったかな?
137名無しさんだよもん:02/09/02 16:27 ID:zC+LEhRe
なんか進む気がしない。俺もなんか書くか…
138名無しさんだよもん:02/09/02 21:54 ID:PutKP1sr
この寂れっぷりの原因はなんだ?
139生存手段(1):02/09/02 23:24 ID:4SV+lh11
「どうして……どうしてこんな事になるのよぉ!」
 横で震えつづける彩を見ながら、真琴は誰にともなく大声で叫ぶ。

 外からは少しずつ何かが千切れるような音、あのゼリーみたいな奴が扉を壊している証拠だ。
「うっ、うっ……名雪、秋子さん、祐一ぃ……誰でもいいから助けて!」
 生存本能というものであろうか、ここにいない自分の家族に必死で真琴は助けを求める。

 そして、閃いた。
 と言うより、思い出したと言う方が正解かもしれない。
 倒れたドアの部屋名に、『10F 宿泊室』と表記いるのを見て、思わず真琴は叫ぶ。
「そ、そうよ! 真琴もああやって逃げればいいじゃない!」

「わっ! スゴイ!」
 三日ほど前。夕食を終え、テレビに見入ってた真琴が歓声を上げる。
 その内容はアクション映画のワンシーンで、
 ホテルでギャングに追い詰められた主人公が、一か八か窓から飛び降りる所であった。
「ねぇ祐一! 真琴にもあれできるかな?」
「余裕で無理。百階から飛び降りでもしたら普通の人間はバラバラになるもんなんだよ」
「あう〜。じゃ、じゃあどの位なら大丈夫なの?」 

 真琴の質問に祐一は暫し考えこみ、ゆっくりと口を開く。
「そうだな……下に木とか川とかがあってたとしても、せいぜい十階ぐらいじゃないか?」
140生存手段(2):02/09/02 23:24 ID:4SV+lh11
 ガシャン! という大きな音と共に、最後の隔たりであった扉が押しつぶされ、
 スライムたちが部屋に入ってくる。
 しかもはるかの体を喰らい尽くしたせいか、何匹かは分裂し、ますますスライムの数が増えている。

「ひっ、ひいいいいいいいっ!」
 その姿を見、半狂乱になった彩は更に奥に逃げ込ももうと、
 扉の近くにあるバスルームに駆け込み、ドアを閉めようとする。
 だが、それを目ざとく見つけたスライムの一匹がドアの間に割り込み、動きを妨げる。
「ああっ! いやぁ!」
 ヒステリックな声色で彩はドアを開け閉めし、スライムを押し出そうとするが、
 ゼリー状の物質は少しのへこみを見せるだけでびくともしない。
 そしてその隙を縫って、とうとうスライムの一匹が彩の足に絡む。

「やぁ! いやっ!」
 纏わりついたスライムを彩は取り除こうと、ドアから手を離した瞬間。
 今か今かと待ちわびていたように、大量のスライムがトイレに押し入った。
 
 彩の絶望の悲鳴が、部屋中に響く。
 
 その声も、時間がたつにつれ、
 ゆっくりと、少しづつ、弱くなっていった。
141生存手段(3):02/09/02 23:25 ID:4SV+lh11

「あ、彩まで……」
 あまりの出来事に、足が竦む。
 はるかに続き、彩もあの緑色の怪物に殺されてしまった。
 
 ――もう、誰も助けてくれない!
 
 そう、名雪もいない今、この場を乗り切るには、自分が頑張るしかない。
 急いで部屋の隅に走り、窓から首を出して下を見てみる。

「あう〜。凄い高い……」
 幸いにもホテルの裏側には川が広がっていたが、、
 普段あまり経験のない高さの上、折から吹く横殴りの風がさらに恐怖感を煽る。
 半泣きの表情で後ろを見ると、何匹か食事にありつけなかったスライムがすぐそこまで来ている。
 
 
 迷っている時間は、無い。
 意を決し、窓枠に足をかけ、大きく息を吸う。
「祐一が……祐一が大丈夫って言ったのよ!」
 
 その声とほぼ同時に、数匹のスライムが真琴に飛び掛る。
 そして真琴も、勢いよく体を宙に投げ出す。
 
 それは正に、一瞬の違い。

 速く、それでいてどこかゆっくりとした落下を見せながら、
 真琴の意識は、闇の中に消えていった。 
142名無しさんだよもん:02/09/02 23:27 ID:4SV+lh11
【長谷部彩 死亡】
【沢渡真琴 川に落下、気絶 怪我の具合は不明】

 レスの間は全て二行開けで。 
 ホテル組みの進み方が悪いので書いてみましたが、酷い出来だ……。
143名無しさんだよもん:02/09/03 00:56 ID:upfH0gvZ
新作お疲れ様です。

面白いですね。テンポもよく読みやすいです。
ただ、ちょっと行空け多用しすぎかなと。
この書き方なら回想シーンは二つくらい空けるといいかも。
ってもほとんど小言みたいなものです。読み手としての贅沢です。

で、話の流れとしては
「はるかがあの死に方したなら彩もあっさり死ぬのも違和感ないかな」
と思いました。
僕はやけにあっさり死なれるの嫌いなんですけどね。はるかとか晴香とか。
でもこの場合はアリかなぁと。
しかし、完全に真琴が主役ですね。彩の死が真琴の行動を後押ししてるし。
妖狐の関係でここで死なれても困りますが。

テレビとか祐一の戯言を信じてしまうのも真琴らしくていいですね。
ホントはイマイチ信じてないけど、この状況ではそれしかないから仕方なくやると。
これが超先生の見たかったRRなのやも。

長々と済みません。少しでも参考になればと思ってつい。
えっと、要するに面白かったので次も期待してます。
144名無しさんだよもん:02/09/03 01:31 ID:ptAQVR+g
これで、地面にキスしてトマトになった真琴を誰かが発見するってのもそれはそれでいとをかし。
145名無しさんだよもん:02/09/03 07:33 ID:GrGY63sG
>>144
ん? 真琴は川に飛び込んだんじゃないのか?

話のテンポはいいな。やや練りこみ不足ってところも二、三見えるけど。
彩はまぁ……マイベスト萌えキャラだったんだけど死臭プンプンだったしなぁw
146名無しさんだよもん:02/09/03 13:37 ID:NfWCQ4Iz
飛び降りもへ
147名無しさんだよもん:02/09/03 15:26 ID:0zUDu7b+
真琴はダイビングで逃亡か……
ホテル編も面白くなってきたな。
148名無しさんだよもん:02/09/03 23:12 ID:La8xnYFA
以前点呼した時は十五人ぐらい書き手が居たが、
正直今は何人いるかが気になる。とりあえず今後も書く気がある人は答えてくれ。とりあえず俺が一。

>生存手段
 彩が死んだが……真琴と比べると、やっぱり妖孤の伏線もあるし、仕方の無い事だったのかもな。
 これで真琴も死んでたら、不覚にも笑ってしまいそうだがw
149名無しさんだよもん:02/09/04 18:53 ID:IZdxF4xK
オイオイ、俺が二人目かよw
150名無しさんだよもん:02/09/04 20:46 ID:H9SkzO0H
3と言ってみる
151表裏:02/09/04 23:18 ID:fcB1cxuw
「これは……随分と凄いのがで出てきたなぁ……」
 この状況にしては余りにゆったりとした物言いで呟きながら、目の前に居るモノに目を見据える。
 
 そこに鎮座していたのは体長2メートルを越す人間の怪物。
 外観はかなり人間に近く、コートのような服を着ているので遠めに見ればただ
 背の高い人と思う程度で済むが、
 ハッキリと対峙するとその考えはすぐに消える。
 
 感情の無い瞳、異常に盛り上がった全身、そして、
『ウッ、ゴオオオオオオオッ!』
 余りの大音量に場が震え、空気が張り詰める。
152表裏:02/09/04 23:18 ID:fcB1cxuw
「うるさいなぁ……時間も無いし、さっさと終わらせるよ」 

 普段の調子と共に、少年は動いていた。
 一気に間合いを詰めた後軽く跳躍し、怪物の背後に回り込む。
 全く反応できていない怪物を見て、少年は肉薄する。 

 ――よし、このまま力を……ぐっ!

 思考を終える前に、身体を走る衝撃。
 受身を取る間も無く地に叩き付けられ、全身の骨に軋みを覚える。

 ――い、今のは……

 かろうじて視線が捉えていたのは、一瞬で旋回し、拳繰り出して来たという事だけ。
 見くびっていた。鈍重そうな外見に似合わず、動きは速い。

 その怪物は、真下に這いつくばる少年を見ながら、両手を組み合わせ、勢いよく振り下ろした。
 少年は痛みを堪えながら身体を滑らせ、一撃をかわす。

 響き渡る。轟音。
  
 怪物の想像以上の圧力にホテルの床が耐え切れず、
「くそっ! 見た通り腕力もあるのか!」
 辺り一面が崩れ、二人とも足場をなくし、一つ下の階に落ちる。

 ドスン! と重い音の後、煙と共に立ち上がった影は、一つ。
 その怪物が見渡しても、少年の姿は何所にも無かった。
153表裏:02/09/04 23:19 ID:fcB1cxuw
身体が重い、一発喰らっただけでこの深手だ。
 さっきは落下のドサクサにまぎれて何とか逃げられたが、
 次に、あの怪物と対峙した時も同じように行くだろうか?

「無理……だね、少なくとも、僕一人じゃ」
 階段を必死に下り、郁未の部屋を目指す。
 その後高槻達と合流し、何とかホテルを抜け出すしかないだろう。

 そうこう考えているうちに、七階までたどり着く。
 降りてすぐ、目の前にある『遊戯場』と書いてある所に立つ。
 高槻の話では、どうやらこの部屋を通りに抜けた先に郁未の部屋があるらしい。

 ここでグズグズしている暇は無い。
 ドアノブにを回し、ゆっくりと引いた。


 
 中に足を踏み入れた少年を待っていたのは、無数の光だった。
 幾筋もの光を放ち、室内を彩るライト。
 いかにも高価そうなバーや、ビリャード、スロットなどが所狭しと置かれている。
 そして、中央のダンスホールには、
「また、君か……いい加減にしてくれないかい?」

 そこに立ち尽くしていたのは、やはり先程の怪物だった。
154表裏:02/09/04 23:20 ID:fcB1cxuw
 いつの間に追いついたのかと溜息をつきながら天井を見ると、
 吹き抜けになっているところの一部が、ぽっかりと空いていた。
 足元に散乱しているガレキから察するに、先程と同じように床をぶち抜いてきたのであろう。
 
「ねぇ、そこまでして僕を殺したいのかい? 君の価値観から考えて、これは無益な争いだ。断言できる」
 呆れるような少年の問いかけにも、怪物は答えない。
 ただ、その無機質な瞳で少年を見据えるだけ。

「そうか……問答無用って事か……」
 独り言のように呟いた言葉と同時に、少年の様子が、豹変する。
 今まであった飄々とした感じは微塵も無く、変わりに現れたのは、猛禽類を思わせる雰囲気。

「それなら僕も手加減はしない。さあ、始めよう」
 その声はどこか、冷たかった。
155へタレ書き手だよもん:02/09/04 23:28 ID:fcB1cxuw
【少年 七階遊戯場で戦闘開始】

*巨躯の怪物の身体能力以外については次以降の書き手に委任。
 レス間は全て二行空けで、RTO氏お願いします。
 
 しかしホテル組は自ら振っておいたイベントの癖に関わるのは最初以外今回が始めて。
 ダメ書き手ですな、自分(w
156へタレ書き手だよもん:02/09/04 23:30 ID:fcB1cxuw
 書き忘れw 書き手その4、と言う事でw
 一応最後まで付き合っていきたいのですが、いかんせん時間が……
157名無しさんだよもん:02/09/05 02:40 ID:IPDQ1Dr5
5…かな。
158名無しさんだよもん:02/09/05 22:04 ID:ljnTp4kZ
6! 書き手自体は結構居るな。

>表裏
 戦闘の緊張感が上手く現れてると思います。
 巨躯の怪物もまだ本気でないようなので、これからの展開にも期待大。
159名無しさんだよもん:02/09/05 23:20 ID:TkD/u2Xk
>表裏

んー……俺はダメだわ。これ。
少年らしくないっていうか、少年っぽいのがいるっていうか。
少年というより氷上みたいだなぁ。
戦闘の緊迫感は出てるかもしれないけどスピード感がないんだよなぁ。

>――よし、このまま力を……ぐっ!

この一文がどうもねぇ。
余計な事考えてないでさっさと不可視の力叩き込まんかい。と思ってしまった。
160名無しさんだよもん:02/09/06 19:19 ID:Sm3q5/Lg
>>159
まぁ、相手が相手だから鈍重そうな表現を使ったのかもとかおもったが、
モンスターも結構速いっぽいので、結果としてどこかイマイチになってしまったのかも。
あと氷上っぽい少年てのは同意。
161心の澱:02/09/06 22:45 ID:9qoPOSU5

 御堂、千鶴、そして志保の3人は、見失った初音と岩切を探す為に、森の中に分け入っていた。
 その道すがら、御堂はふたりに自分と仙命樹について、話して聞かせていた。
 旧日本軍に開発された強化兵の事、その後50年の眠りから覚めた事、そして“完成躰”の事。
 野生の仙命樹を得た事で一時は蝉丸に迫ったが、結局倒され、完成躰になれなかったと御堂は話す。

 一通り説明を聞いてから、志保はしみじみと御堂の顔を見上げる。
「そっか、おじさんってばそんな過去があったのね。やっぱ顔に似合って悪人だったわけねぇ」
「ああ……っておいこら、顔は関係ねぇだろ、顔は」
「まぁまぁ……」
 険悪な声を出す御堂と睨み返す志保を、千鶴が宥める。

「俺は、蝉丸には一歩及ばなかった。だが今度こそ、俺は完成躰になる方法を見つけ出す。
 犬飼が研究してやがったこの島になら、それがあるはずだ」
 本来なら、梓が言っていた“人魚の島”に行きたかった御堂だが、水に触れない以上、断念するしかなかった。
「本当なら、団体行動で仲良しこよし、なんてのは全然俺の性じゃねぇんだよ。
 ただ、この島に犬飼がいる以上、下手な動きは身を滅ぼすからな。
 こうやって一般人に混じってりゃ、向こうも簡単に手出しはできねぇ……はずだったんだがな」
 そう言ってから、御堂は苦笑を浮かべた。
「んでさおじさん、結局の所その“完成躰”とかになって、何がしたい訳?」
「へ?」
 志保のあっけらかんとした問いに一瞬、御堂は絶句してから、慌ててがなった。
「てっ、てめぇには関係ねぇだろが、ゲェーック!」
「そりゃまぁ、そうだけど」
 胡散臭そうにじっと御堂を見詰めてから、志保は千鶴に視線を移した。
162心の澱:02/09/06 22:47 ID:9qoPOSU5

「それより千鶴さん、初音ちゃんの居場所わかるの?」
「ええ、大体の場所はわかるわ……ただ、梓の気が強すぎて、正確な位置までは……」
 溜息混じりに呟いて、千鶴は力無く笑みを浮かべる。
「それで御堂さん、梓を元に戻す方法は、無いのでしょうか?」
「一度吸収しちまった仙命樹を、分離する方法か……思いつくとしたら、犬飼しかいねぇだろうが……」
「そうですか……」
 御堂の表情から、それがかなり困難だという事を悟り、千鶴は暗い表情を浮かべる。
「結局私も、御堂さんと一緒に、その犬飼という人を探すしかないようですね」
「ああ……けど、あんま期待しねぇ方がいいぜ」
 例え犬飼といえども、一度同化した仙命樹の分離など、不可能に近い。
 それがわかっているからこそ、御堂も歯切れが悪かった。

「悩んでたって始まんないって。きっと上手くいくわよ、千鶴さん」
 わかっているのかいないのか、気楽に言う志保に、千鶴は苦笑した。
「そう言えば志保ちゃん、あなたの包帯、そろそろ取替えた方がいいわね」
「へっ?……あ、いいってば。今は初音ちゃん達を追いかけるのが先決でしょ」
 慌ててパタパタと手を振る志保に、千鶴は厳しい表情を向けた。
「ダメですよ。傷が化膿したらどうするんですか。それに、いつまたモンスターに襲われるかわからないのよ。
 少しでも余裕のある時に手当てしておかないと、取り返しがつかなくなるわ」
 こうまで言われては、志保も黙るしかなかった。
 千鶴は森の中を見回し、耳をそばだてた。
「……ああ、ちょうどいい所に、川があるみたい」
 微かなせせらぎの音が、森の奥から聞こえてきていた。
163心の澱:02/09/06 22:48 ID:9qoPOSU5

「御堂さん、志保ちゃんの包帯を代えて来ますので……」
「見張ってりゃいいんだろ。安心しな、頼まれたって、ンな奴の裸なんぞ見ねぇよ」
「どういう意味よ、それは〜!」
 ぶーぶーと騒ぐ志保を引っ張って、千鶴は森の中の小さな川に足を踏み入れた。
 川と言っても随分と浅いせせらぎで、千鶴は大きめの岩に志保を座らせ、無理やり服を脱がせる。
「………やっぱり」
 千鶴の手が包帯に触れた瞬間、志保はびくりと身体を強張らせた。
 きつく背中に巻き付けられた包帯は、滲んだ血で真っ赤に染まっていた。
 べったりと血を吸った包帯を剥がしていくごとに、千鶴は憂鬱な表情に変わっていく。
「っつつ……」
「志保ちゃん、どうして私に言わなかったの?」
 血に染まった包帯の下から現れた傷を見て、千鶴は溜息をついた。
 無理な運動と強行軍のせいで傷は開き、醜く盛りあがった傷口からは、血を滲ませている。

 痛くない筈がなかった。
 現に、傷口を拭っている間にも、志保の額にはびっしりと汗が浮かび、身体が震えている。
 千鶴は耕一の死と初音との再会、そして梓の変貌と、次々に起こる出来事に気を取られ、志保の傷を忘れていた事を悔やんだ。
 どう考えても、立って動き回れる傷ではない。
「こんなになるまで黙ってるなんて……」
 厳しい千鶴の声に、志保はばつが悪そうに頬を掻いた。
「痕、残るかな」
 志保のその呟きは、疑問と言うよりも確認だった。
 千鶴は無言のまま、ハンカチを水で濡らし、その部分を拭いていく。
 ハンカチを漱ぐ川の水が紅く染まり、千鶴は呆れかえった。
164心の澱:02/09/06 22:50 ID:9qoPOSU5

 かなりの重傷にも関わらず、志保はずっと平気な振りを通してきたらしい。
「まったくもう……やせ我慢も程々にしなさい。本当に死んじゃいますよ……」
「へーきへーき。こんぐらいの傷、どうってことないわよ」
 どん、と自分の胸を叩いたせいで痛みがぶり返したのか、志保はおかしいくらいに顔を歪めた。
「げほげほ………それにさ、あたしが死んでも、悲しむ奴なんていないでしょうし」
「馬鹿な事言わないで!」
 思いもかけない強い口調で叫ばれ、志保はびくっと身を強張らせる。
 千鶴はぐっと唇を噛むと、溜息と共に言葉を吐き出した。
「志保ちゃんのお友達だって、ご両親だって、志保ちゃんが死んだらきっと悲しむわ」
「……そーかなぁ」
 志保は疑わしそうに呟くと、青く澄み切った空を見上げる。
 あかり、浩之、雅史、そしてその他の友人達の顔を順に思い浮かべ、志保は苦笑した。
「ヒロはきっと悪態はつくだろうけど、大して悲しまないだろうし……
 あかりだったら、泣くかもしれないけど、それだってヒロがいたら、きっとすぐ忘れちゃうと思うし。
 雅史や他の面々は………はっきり言ってあたしの存在自体、忘れてる可能性大ね〜」
 あっけらかんと言う志保に、千鶴は頑なに首を振った。
「……志保ちゃん、悲しい事言わないで。あなたが死んだら、私も、そして御堂さんも悲しむわ。
 あなたのお友達だって、きっと今頃、あなたの事を心配してくれてるわ……」
 ぎゅっと背後から身体を抱き締められ、志保は驚いたように振り返る。
 志保の体に回された腕が、微かに震えていた。
「千鶴さん……」
「死ぬなんて、軽々しく言わないで……お願いだから」
 背中に感じる千鶴の温もりを感じながら、志保は溜息を漏らした。
「やっぱり……千鶴さん、何かあったんでしょ。今朝から、様子が変だと思ってたのよ」
165心の澱:02/09/06 22:53 ID:9qoPOSU5

 千鶴は一瞬躊躇ってから、ふっと疲れた笑みを浮かべる。
「……ばれちゃったみたいね……隠し通せると思ってたけど、無理だったみたい」
「千鶴さん、あたしにやせ我慢だなんて言ってるけど、千鶴さんの方がよっぽどやせ我慢してるじゃない」
 包帯の上から、首筋に滴り落ちた熱い雫を感じ、志保は千鶴の腕に手をかけた。
「何があったのか知らないけど、意地張らずに、辛い時は辛いって言った方が、すっきりするわよ」
 千鶴は泣き笑いの表情を浮かべて、目尻の涙を拭う。
「ふふふ……ありがとう、志保ちゃん。ええ、そうね。
 耕一さんと出会う前の私は、ずっとやせ我慢をしてて、辛い事も苦しい事も、全部一人で心の中に閉じ込めていたわ。
 でも、耕一さんと出会って……耕一さんの温もりが、その氷を溶かしてしまった。
 辛い事を全て自分一人で背負い込まずに、分かち合う事を教えてくれた………
 でも………!」
 そこまで呟いて、千鶴の唇が戦慄いた。
 ずっと封じ込めていた感情が、堰を切ったように溢れ出す。
「耕一さん………耕一さんっ……! どうして、どうして死んでしまったの……
 ……私達あなた無しで、これからどう生きていけばいいの…………!」
 後はもう、言葉にならなかった。無意味な嗚咽と零れ落ちる涙が、後から後から溢れ出してくる。
 戻れない、と千鶴は思った。
 感情全てを氷の中に閉じ込めていた、あの頃には戻れないのだ。
 耕一の温もりを知ってしまった事で、自分の中にあった、一番強いものが消えてしまった。
 そして今、耕一の死を感じ、その復讐を誓っても……あの氷の心は、戻ってこない。

 どれほどそうしていただろう。
 志保の首筋に顔を埋めて泣いていた千鶴は、照れくさそうに顔を上げた。
「………ごめんね、志保ちゃん。志保ちゃんの言う通り、全部吐き出したらすっきりしたわ」
「でしょ。想いってのは、自分の中に閉じ込めておくべきじゃないのよね」
166心の澱:02/09/06 22:54 ID:9qoPOSU5

 しみじみと言ってから、志保は馬鹿馬鹿しそうに手を振った。
「……ま、あたしにそんな事言う資格は無いんだけどね〜」
「……?」
 本当に微かな呟きは、千鶴の聴覚をもってしても、少ししか聞き取れなかった。
「けど千鶴さん、やせ我慢って言うけど、調子がいいのは本当なのよ」
 脇に置いた服を着ながら、志保はひょうひょうと言う。
 確かに、志保の言葉には強がり以外のものも混じっていた。
「なーんか知らないけど、目が覚めてから妙に調子がいいのよねぇ。
 樹とか草とか地形とか、変に見覚えあるし……この島を散々歩き回った事があるみたい。
 まるで、かつて知ったる故郷に帰ってきたみたいな……」
「故郷!?」
 ぎょっとする千鶴に、志保は慌てて手を横に振った。
「あ、勘違いしないでよ。あたし、ここに来た事なんか一度もないし。
 ……超先生とかが作ってから、あたし達初めての客でしょ」
「そう、そうよね」
 志保も、自分と同じくこの事件に“巻き込まれた”のだ。

(……この島を散々歩き回った事があるみたい……)
 歩き回った事があるとすれば、製作者の超先生ぐらい……だが、志保と超先生は何の関係も無いはずだ。
「さぁ、御堂さんが待ってるわ。行きましょう、志保ちゃん」
「はーい」
 千鶴は無理やりに不吉な想像を振り払い、志保に声をかけた。
 そうだ、自分の思い過ごしに過ぎない。
 千鶴は自分を納得させながら、志保の後姿を眺めていた。
167名無しさんだよもん:02/09/06 22:56 ID:9qoPOSU5
長くなってすいません。

【千鶴と志保、御堂の三人は、初音と梓の後を追う】
168名無しさんだよもん:02/09/06 23:36 ID:+OAY96Wg
>心の澱

巧いなぁ。他に言う事ないわ。
うん、頑張って続き書いて下さいねぇ。
169名無しさんだよもん:02/09/07 07:25 ID:sliysI/5
>新作
志保の異変については未だ明かされず、か……。
一体どうなってしまうんだろうな、次も期待。
170名無しさんだよもん:02/09/07 11:37 ID:lur+eEKG
志保と言えば、長瀬氏最近みないな。
171緊急浮上必要?:02/09/07 23:09 ID:DwhpsGCL
ただいま449なのでageちゃいました。
age不要だったらごめんなさい。
172長瀬なんだよもん:02/09/08 02:36 ID:/CSXPKNw
|  >>170俺、まだいるよ。
\  コテ使ってないだけで。
 . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

         ∧_∧ 
        ( ´Д`)
    ____/  /
  σ/.∴∵/   | 
   ( _チキン | 
   //|.| ̄| | ̄| |         
  // |.|  | |  | | 
  ∪ ヽ>. | |  | | 
       | |  | | 
       ヽ) ヽ)
173名無しさんだよもん:02/09/08 21:59 ID:oANkwvGX
めんて
174凍れる男:02/09/09 02:20 ID:mvf8BgzA
数年前、行方不明になっていた考古学者と思われる
仮面をつけた男が某遺跡において日本人調査団によって発見された。

不思議な事に同行していたと白人と思われる遺体は既に腐敗していたのに対し
男の体はまるで凍結保存されているかのように原型を留めており微弱ながら生命反応も存在した。


日本政府はこの事実を公表せずこの奇怪な現象を解明すべく男の肉体をあらゆる角度から研究た。
その結果遺伝子配列が常人とは全く違っている事までは発覚したが
それ以上は現代の科学力では手におえぬと言う事で研究は凍結した。
男の肉体は現在都内某所の施設内に保存されている。

事になっていた。

だが現実には当時研究員の一人であり最終輸送を行った超先生が摩り替えて
現在モンスターパーク地下研究施設の一室に保存されている。


その男がこの島内の未曾有の混乱の中覚醒しようとしていた。

【仮面の男 覚醒】
【人格が考古学者のものであるかは次の書き手に委任】
175ななしれるもの:02/09/09 02:31 ID:mvf8BgzA
 まともにやったら絶対誰も出れない作品から一人引っ張り出してみました。

 あの主人公と同様の人格を持つと見なして扱っても
 あのボスと同様ジョーカーとして敵味方問わず使うのもよしかと。
176名無しさんだよもん:02/09/09 03:16 ID:6EC5dhXf
>凍れる男
うたわれキャラなのか?
正直、うたわれ知らないから何とも言えない。
っていうか、本音を言えば、これ以上無意味に葉鍵ゲーキャラを増やさないでほしかったんだが……。
177名無しさんだよもん:02/09/09 04:12 ID:uvy+wXPy
>凍れる男

えーと……ハクオロ出すの?
現状でも終わりが見えないのにキャラ増やすのはどうかと。

それにその書き方だと「お前そのキャラ出したいだけちゃうんか?」と問い詰めたい。

つまらないとかそういう以前にやめてくれ
178ななしれるもの:02/09/09 05:52 ID:vO6QKYrA
ならいいですよ。取り消します。
179名無しさんだよもん:02/09/09 07:24 ID:S2c/OBHI
まぁ、せっかく書いてくれた氏には申し訳ないがタイミングが悪かったとしか言いようが無いな。
180ななしれるもの:02/09/09 07:31 ID:vO6QKYrA
>>179
自分でもそう思います。
ますます書き手が減ってきてるから
一石を投じてみようかと思って書いてみたのですが。
何か別なの考えてみます。
181名無しさんだよもん:02/09/09 11:12 ID:QObVXTRP
一石を投じる方向を間違えたんだな(w
話を広げるよりも、今は話をまとめる方向の一石が欲しかった……。
まあ、今後もがんばてくだちい。
182名無しさんだよもん:02/09/09 16:04 ID:6JhWfZSM
話の纏めで思い出したんだが、
神奈、清水なつき、天界の一角、河原崎夫人。
ここらへんの今後って考えてる人いる?
183名無しさんだよもん:02/09/09 19:49 ID:mvf8BgzA
それより確認したいんだが103人てハッキリしてるの?
184mvf8BgzA:02/09/09 19:58 ID:mvf8BgzA
つかようやく帰ってレスを見れたと思ったら騙られてるし。
本物の凍れる男作者です。
とはいえ基本的にはほぼ偽者さんと同意なので流してください。
場を荒らしたようで申し訳ない。

一応自分としては最強の一角である耕一が既に無く
そのクローンが暴れまわっててジリ貧な状況を
打破できる存在としてのウィツを置いてみてはどうかと思ったのですよ。
うたわれ好きとて寂しいものもあったし。
185名無しさんだよもん:02/09/09 21:32 ID:Xd5+gIJp
げっ、騙りだったのかよ。真面目にレスして損した。
本物の作者さんは頑張ってくれぃ。
186名無しさんだよもん:02/09/09 22:42 ID:36CGvMuj
>>182
神奈と言っても、国崎があの夢見るのはある意味普段からだし、言ってしまえば夢に出ただけの神奈を無理に出す必要はさほど無いんじゃないかと思う。
天界の連中は、ユンナの元のゲーム知らんからなんともかんとも。
知ってる人が書いてくれるのを待ちます。

夫人と清(略)は、おそらく全く話に無関係なネタの続きを考えるのもばからしい……。
187名無しさんだよもん:02/09/10 00:25 ID:onPGv3HB
正直サバまで神奈がらみにするこたぁないとシンキング
188名無しさんだよもん:02/09/10 21:22 ID:8KsrmviX
しかし総合にも書いたが伏線はできる限り回収したいとは思う。
それが例え他の書き手の食べ残しでも。
189名無しさんだよもん:02/09/10 23:11 ID:ftcy0GRu
…止まったねぇ…
190名無しさんだよもん:02/09/10 23:45 ID:AG6bknlo
俺に任せろ
191名無しさんだよもん:02/09/11 00:17 ID:moP5H6lj
いてもいいと思いますよ。仮面の男。(名前は出しません)
そのまんまうたわれみたいに徒党を組んでモンスターと戦っても面白いんではないかと。
その場合、サバイバルというよりは戦争に近くなりますけど。
192絶望の再会:02/09/11 02:26 ID:KdPLbf7u

 無機質な廊下には、いくつものドアが立ち並んでいる。
 十数時間前に耕一が通った場所を、楓もまた黙々と足を進めていた。
 唯一違うのは、耕一の時には開いていた扉が、楓の時には閉まっていた事だ。
 薄い自動ドアやただの扉なら、鬼の力によって無理やりこじ開ける事も出来たが、本格的な隔壁ともなると話は別だった。

「………困りました」
 分厚いジェラルミンの扉を前に、楓は溜息をつく。
 耕一とは違い、どうやら自分は招かれざる客のようであった。
 厚さ数十センチの扉ともなれば、モノをいうのは戦闘力ではなく純粋な腕力である。
 鬼化した耕一ならばともかく、今の自分ではこの隔壁を破れそうになかった。

 取り合えず引き返した楓は、手近なドアを次々と開けていく。
 ベッドに机、そしていくつかの家具に、打ち捨てられた書類の山。
 そのひとつを取り上げてみたが、モンスターの実験に関する内容ばかりで、役に立ちそうなものはなかった。
「どうやらこの辺りは、スタッフルームだったみたいですね……」
 くるりと首を巡らせ……楓の視線が、1箇所で止まった。
 部屋の中央の天井に、換気用の格子がはまっている。
 どうやら、エアダクトに繋がっているらしかった。

「……上手くいけば、超先生の喉元に一気に迫れるかもしれない」
 そう考えるや否や、楓は身軽に跳びあがって、鉄格子を引き抜いた。
 さすがに超先生も、2メートルはある天井の格子を壊し、あまつさえ狭いダクトを垂直に登って、進入できる人間がいるとは思わないだろう。
 平らな部分にまで上って一息つくと、楓は気を引き締め、ダクトの中を進み始めた。
193絶望の再会:02/09/11 02:27 ID:KdPLbf7u

 ダクトの中を移動するにつれ、次第に身体が埃で汚れていく。
 どうやら超先生がここを掌握してから、一度も稼動していないらしい。
 髪に張りついた蜘蛛の巣に顔をしかめながら、楓は黙々とダクトの中をつき進んでいく。
 途中、幾度か室内に通じている窓があったが、無人の部屋が立ち並ぶ以外の光景は見えてこなかった。
 普通なら循環しているはずの空気も、閉ざされた空間の中で澱み、不快感が増すばかりだ。

 その時楓の耳に、微かに水が泡立つ音が届いた。
 ごぽごぽと耳障りな異音は、ダクトの先、緑色の光を覗かせている鉄格子から聞こえてくる。
 楓は僅かに躊躇ってから、鉄格子の奥に目を落とした。
「…………!!」
 ごくり、と唾を呑み込む音は、やけに大きく感じた。
 そこには水が満たされた巨大なガラス管が、幾つも立ち並んでいる。
 ガラス管の中には、異形の影が浮かび、下からの緑色の光を受けて、時折痙攣していた。
 それは、あまりにも歪で禍禍しい、子宮の模倣であった。
 ガラス管の中の胎児達は、無数のコードとパイプを通じて、栄養素を与えられているらしい。
「ここは、モンスターの製造所なのかしら……?」
 鉄格子に力を込め、思いきり中に引っ張る。
 それを何度か繰り返す内に、枠が嵌め込まれているネジが緩み、やがて弾け跳んだ。
 楓は慎重に鉄格子をダクトの中に入れると、今度は自分がそこを通って、部屋の中に飛び下りる。

 ごぼごぼという水音と、機械の放つ、ぶうぅぅぅんという小さな音以外は、不気味な静寂が支配していた。
 音も無く着地した楓は、ガラス管のひとつに顔を近付ける。
 獣にも似た異形の化物は、溶液の中で身体を丸め、眠りについていた。
 その下には一枚のプレートが嵌め込まれている。
194絶望の再会:02/09/11 02:28 ID:KdPLbf7u

「ES−03………ESM融合実験ケース13、“アビスハウンド”……?」
 プラスチックのプレートに、無造作に書かれた文字をなぞり、楓は目を細める。
 奇妙な焦燥感が、楓の内にあった。
 気付かなければならない何かが目の前にあるのに、それを見落としているような、漠然とした不安。
 羊水の中に浮かぶ獣を見ている内に、その焦燥感は嫌になるほど高まってきていた。
「……なに……なにがあるというの……」
 じりじりと脳髄の奥が痺れるような、熱い疼きを感じる。
 その感覚に、楓ははっと顔を上げた。

 柏木家の中でも、特に感応力が高い楓だからこそ、それに気付いたのかもしれない。

 楓は驚愕の表情で、ガラス管を覗き込む。
「エルクゥ……エルクゥの血が混じっている!?」
 非常に微弱な信号ではあったが、それは確かにエルクゥが持つ精神感応だった。
 目の前のこの獣から、エルクゥと同じ信号が流れ込んできている。
 自分の口の中が、からからに干上がっていくのがわかった。
「どういう事……どうしてエルクゥの血が、こんな動物に移植されているの……?」
 いや、そうではない。そんな事はどうでもいい。
 一番知りたい事は、そんな事ではない。

 楓は弾かれたように走り出していた。
 リノリウムの床が、澄んだ足音を響かせる。
 無機質なガラス管と、異形の胎児たちの間を、楓は必死になって“それ”を探し求める。
195絶望の再会:02/09/11 02:31 ID:KdPLbf7u

 心臓が口から飛び出そうなほど、激しく高鳴っていた。
 恐怖が背中から這い上がり、楓の全身を支配しようとしている。
 足がもつれ、楓はその場に倒れ込んだ。
 はっと顔を上げた楓は、眠っていたはずの胎児たちがいっせいに目を見開き、自分を見詰めているのに気付いた。
「………………!!!!」
 全身からどっと汗が吹き出し、カラカラに乾いた口からは、かすれた悲鳴すら出なかった。

 無数の濁った瞳は、何の感情もなしに、倒れた楓を見下ろしている。

 どうして、この胎児達は、私をこんなに見詰めるのだろうか。
 どうして、この胎児達は、懐かしい気配がするのだろうか。
 この胎児達は…………………“誰から”エルクゥの血を与えられたのだろうか。

 全ての答えが、楓の目の前のガラス管にあった。
 楓は立ち並ぶ異形の胎児たちに見つめられながら、のろのろとそのガラス管に手を伸ばす。
 中に浮かぶぶよぶよとした肉の塊。
 プレートに刻まれた名前。

『柏木耕一』

 楓は絶叫した。
196長瀬なんだよもん:02/09/11 02:37 ID:KdPLbf7u
【柏木楓 朝鮮製のラボに侵入。耕一と再会】


コテではお久しぶりです。
自分何か、暗い話ばっかり書いてるような気が………
それでは、誤字脱字修正ありましたら、指摘よろ。
197名無しさんだよもん:02/09/11 20:45 ID:0PQi4Hfm
長瀬氏は久しぶりだな……
>絶望の再会
 カラカラという表現を二度使っているのと楓の口調が少し気になったけど後は良かった。
 
 つうか皆稚拙でも辛口でもいいから感想書こうぜ、
 それが読み手にできる精一杯の事だと思ふ。
198名無しさんだよもん:02/09/11 21:00 ID:fZ/cPC82
ファンタジーの後を追いたくなければ……ね(w
199名無しさんだよもん:02/09/11 21:53 ID:NBeSv+CF
>新作
 楓は耕一と違ってコソコソ潜入していく所が違いがあっていいな〜と思いますわ。
 さて、楓は今後どうなってしまうのか……
200名無しさんだよもん:02/09/12 00:43 ID:GkSzAGeW
>>199
A:廃人
B:復讐鬼

の多分どっちか・・・・
201名無しさんだよもん:02/09/12 01:11 ID:iOXS2mhU
C:材料
202名無しさんだよもん:02/09/12 02:15 ID:zvGwMFig
D:リョジョーk
203名無しさんだよもん:02/09/12 05:49 ID:5Q8EpeSU
とりあえずDで。
204名無しさんだよもん:02/09/12 07:16 ID:PNIDSS3w
俺もDだな
205名無しさんだよもん:02/09/12 12:23 ID:udvI7Sm+
Dきぼんぬ
206名無しさんだよもん:02/09/12 12:47 ID:I2OIUnAP
ときに、ここの編集サイトはRTO氏だっけ?
鯖をカノンSSリンクに登録したりはせんの?
漏れが前にロワを初めて知ったのはカノンSSリンクだったんで……。
207名無しさんだよもん:02/09/12 18:53 ID:4bP4+WsK
そろいも揃ってDばっかかよw
>>206
宣伝にはいいかもな。
208名無しさんだよもん:02/09/12 21:33 ID:GIGZuz4x
本当に登録した方がいいかも。
見てる人間も多いしそれによって新規書き手は確実に増えると思う。
質については責任はもてないが。
209名無しさんだよもん:02/09/13 02:37 ID:FR8vHUtZ
SSリンクに登録か。
水を注すようで悪いんだが
Kanonキャラがある程度の段階、下手すると中盤辺りで
全滅する可能性があるのはどうしようか?
つーか、カノンがメイン張ってるってわけではないから
規約的に厳しいような。
いや、規約読んでないから、本当は知らないんだけど。
知ってる人、出来たら判定頼む。
210名無しさんだよもん:02/09/13 03:43 ID:ShdGaTeh
規約的に難しいと思ったら、RTO氏が登録の際に問い合わせてみる、とかがいいだろうな。
なんか人任せみたいでアレだが。
少なくとも、厳しいようだから登録見合わせる、なんて消極的なのはどうかと。

ちなみにあそこのお勧めSS掲示板には未だにハカサバちゃんと残ってるな。
211210:02/09/13 03:44 ID:ShdGaTeh
サバじゃなくてロワ、の間違い。すまそ。
212名無しさんだよもん:02/09/13 19:41 ID:wrGUVvCI
まぁなんにしろRTO氏の意見も聞いてみたい所。
213名無しさんだよもん:02/09/13 21:08 ID:gCL+tymK
うーん、停滞気味だな。
214ハカサバ支援サイト製作者:02/09/13 23:04 ID:oraXmCfT
どうも、お久でした。現状報告ですw

支援サイト、とりあえず下地は完成しました。公開まであと一週間といった所です。
が、やはりリアルタイムデータベースは現状の人数を考えると無理があるので、
期待されていた方には申し訳ありませんが、やはり死者の生き様禄を作っていく事にしました。

ですが、更新していくコンテンツがこれだけでは酷いので、なにか変わりになるようなものを考えておきます。
う〜ん何が喜ばれるのでしょうか……。
215TOP LEVEL:02/09/14 01:30 ID:RoiR08u8
 柏木耕一、死亡。
 この事実は鬼達の間に瞬く間に広がっていった。
 そして、その事実は鬼達に大きな影響を与えることとなる。
 復讐を誓う者。
 精神を病む者。
 死を決意し、後を追う者。
 死に対して過剰に臆病になる者。
 柏木耕一の死は様々なところで様々な影響を与えた。
 そして、ここにも一人、耕一の死によって変わっていく者がいる……

 どこからか銃声が聞こえた。
 それを聞いた柳川はその方向に走り出す。
 木々をかいくぐり、障害物を飛び越えて行く柳川の動作は常人をはるかに凌ぐものであった。
 すると、柳川はちょっとしてからふっと足を止めた。どうやら、銃声のなっていた場所に辿り着いたらしい。
 そこで柳川が目にしたものは人間とモンスターの対決。
 人間の方は初めのジープのメンバーであろうか、一人ではなかった。
 だが、よく見ると実際闘っているのは一人だけである。他のメンバーを見ると、
 なにもできずにただそれを見ているという感じだ。柳川は闘っているほうの人間に目を向けた。
 その人間はあきらかに常人の動きではない。おそらくはかなり鍛錬をつんだのであろう、
 なんとか致命傷は避けている。
 だがしかし、相手が悪い。モンスターとの強さの差は歴然としていて、これではやられるのも時間の問題だ。
「よし、いくか……」
 その言葉とともに柳川の体は鬼へと変化していく。骨格が変わり、筋肉が増幅する。
 そして、変化が終わると同時に地をけった。
216TOP LEVEL:02/09/14 01:33 ID:RoiR08u8
 人間から見ればまさに一瞬、柳川はあっという間にモンスターとの間合いをつめ、
 それと同時にモンスターを殴り飛ばす。
 モンスターはそのまま飛ばされて木に激突した。しかし、柳川はそれを見て気を抜くことはしなかった。
 この程度では致命傷にもならないということを、さっきの戦闘で感じとっていたからだ。
「巻き添えをくいたくなかったら動くな」
 柳川は人間たちに向かってそう言うと、再びモンスターの方を見た。

 あまりにも一瞬のできごとに蝉丸の頭は少しの間ついていけなかった。
 さっきまで闘っていたモンスターがいなくなり、また同じようなモンスターが目の前に現れた。
 そんなふうに見えた。
 木に叩きつけられたモンスターはすぐに立ち上がり、柳川の方を睨みつける。
 その目は完全に標的を柳川にかえたことを意味していた。
「どうやら、さっきの一撃は全然効いてないみたいだな。しかも、よく見れば……鬼。
 それも俺と同じ種類か」
(きっと朝鮮製が俺達に似せて作ったんだろう)
 そう思うと同時に鬼が迫ってくる。
 自分の狩りを邪魔されたのが、よほど頭にきたのだろう。その表情は怒りに満ちていた。
 それを見た柳川は構えをとる。
「狩を始めようか。次はお前が狩られる番だ」
217TOP LEVEL:02/09/14 01:35 ID:RoiR08u8
――時間は戻り、ホテルを脱出した少し後

『やっと決心がついたようね。これから、あなたは鬼としてこの島を生きるのよ』
 また知らない女の声が聞こえる。

『さあ、遠慮はいらない。一人残らず人間を狩りなさい。』
「鬼……そう俺は鬼であり、狩猟者」
「そして……柳川裕也という人間であり、刑事でもある」
 柳川はつぶやいた。正体を見られた時、なぜか頭の中に柏木耕一が横切った。
 あいつなら、たぶんなんの躊躇もなく正体を明かして助けただろう。

 なぜそんなことができるのか?

 柳川はその疑問についてさっきからずっと考えていた。そして、彼なりに答えはでた。
 それは自分がやるべき時にやれる行動をとった結果なのだろう。守れる力があるから、守った。
 そんなところか。
 そして、その行動はすべてを事実として受け止めているからできる行動だ。

 自分は人間であり……鬼。
 両方ともが正しいことであり、変えられない事実。

『ん、なにか言った?』
「……」
「はっきりしていることは、今ここにいるのが自分ってことだな」
 柳川誰に言うでもなくそう言った。しかし、その声から今までの迷いは感じられない。
 そして、それはその女も伝わってきた。女は少々ばかり焦る。

『な、なにがあったか知らないが、お前を認める人間なんて…』
「なにを言っても無駄だ。俺はこの島で自分のするべきことをするよ」
 結局、なにを言っても変わらない意志。今回女はひくことにした。
218TOP LEVEL:02/09/14 01:38 ID:RoiR08u8
『ちっ…』
 それを最後に女の声は聞こえなくなった。
「俺のするべきことは、この島に来た理由……任務の遂行。後は人の保護ってところか」


 もう5分は経ったであろう。柳川と鬼はまだ交戦中だった。しかも、お互いまだ目立った傷がない。
(力はやつの方が上か。長期戦はまずいな。それと俺達鬼よりもはるかに上回る治癒能力が気になる)
 鬼が突進して来て、そのまま右腕を振り下ろしてくる。それをうまくかわす柳川だが、
 鬼は走り抜けていくので、反撃にはうつれない。
 今までとは違いなかなか攻撃のあたらない鬼は苛立ちを覚え始めていた。
 柳川はその表情を見逃さない。
(初めに一撃いれた方が勝ちだ。その後はどんどんとおされていくだろう。次で勝負に出る)

 そう思っていると鬼はまた突進してくる。そして、右腕を上げた。
 その瞬間。

 ドン!!

 鈍い音がした。それと同時に鬼の動きも止まる。
219TOP LEVEL:02/09/14 01:40 ID:RoiR08u8
 柳川は鬼の腹部(正確にはみぞおち)にカウンターとして蹴りをいれて動き封じたのだ。
 今まで、爪だけで闘っていた鬼にとっては意外な攻撃に対応しきれなかった。
 そしてその結果、腹部に蹴りをいれられ、鬼は激痛によりひるむこととなる。
 柳川はそのチャンスを逃すはずはなく、蹴りをいれた足をそのまま地面におき、1歩踏み込む形になる。

「ウオオオオオオオオォォォォォォォォ!!」

 柳川は声とともに渾身の一撃を放つ。
 鬼の頭は4本の爪によって引き裂かれた。柳川は一撃目が終わると続けて首に手刀をあびせる。
 鬼の頭は勢いよくとんでいき、胴体もそのまま後ろに倒れていった。
 すると、柳川は胴体に自分の手をめりこませたかと思うと、心臓を抜き取った。
「お前の敗因は突進というワンパターンな攻めと利き腕だからといって右しか使わなかった
 稚拙な闘い方だ」
 そう言うと心臓を握り潰した。

(これだけやれば、あの異常な治癒能力でも生き返りはしないだろう。あとは人間たちの方だが、
 近くにモンスターもいないし、まともに話し合えるかわからんしな。このまま退散するか)
 行こうとする柳川に対して、ふと住井が声をかけた。

「……耕一さん?」

 その言葉に足を止める柳川。
(耕一だと!)
 柳川の闘っている姿を見て、耕一とダブったのだろう。
 自然と出た住井の言葉は柳川をひきとめるのに十分な効果があった。


【柳川 鬼を撃破。蝉丸達に会う】
【蝉丸 いくらかのかすり傷をおう】
220まかろー:02/09/14 01:41 ID:RoiR08u8
久しぶりに作品を出しました。
誤字、脱字、矛盾点がありましたら、指摘お願いします。


既出かもしれないのですが、この作品を書いていて疑問点を一つ。
柳川って鬼化したら、眼鏡どうなってるんでしょう?
今までの作品を見ると普通に眼鏡をしているようなかんじなのですが
221名無しさんだよもん:02/09/14 18:17 ID:RkvzM75b
>TOP LEVEL
いや、なんかさ……異様に唐突っていうか、消化不良っていうか、
煽りっぽい言い方だけど正直なんかスッキリしない話だったよ。
222名無しさんだよもん:02/09/14 19:01 ID:2UJzT+jT
つーか鬼殺すなよ勿体無い。
223名無しさんだよもん:02/09/14 19:43 ID:TC/i8WJr
禿同
224名無しさんだよもん:02/09/14 23:25 ID:7HrMHW3E
これ通しなの?……すっげー萎え。
せっかくいい感じだったのに作者の自己満足により鬼アボーンですか。
225名無しさんだよもん:02/09/14 23:28 ID:MIw9Cpqt
( ´∀`)
226名無しさんだよもん:02/09/15 02:08 ID:vrfVSx6j
ちょっと待て、少し冷静に。
鬼は2種類居る。
・耕一と戦った、元から島にいる通常タイプ。(酒呑童子、死んだけど量産型っぽい)
・その後作られた、エルクゥ&仙命樹のハイブリッド型。(狩猟者、一点もの?)

読んだ感じは後者っぽいが、触れられたのは
エルクゥに似ている? という外見だけで
どちらの鬼であるかは明確には書かれていない。
叩きっぽいのは作者さんの反応を待った後でも良いと思うぞ。
227名無しさんだよもん:02/09/15 03:43 ID:ZLh4N5i5
つーかどんだけ不満があろうと
>>224みたいな意見では以降の議論に移りようも無い罠。
228名無しさんだよもん:02/09/15 07:07 ID:Lcd0iyip
でもあの鬼って酒呑童子とかいう伝説の鬼なんだろ?
量産型って感じでもないし、やっぱり鬼はワンオフな気がする。
229名無しさんだよもん:02/09/15 11:10 ID:xR9GFzz3
この狩猟者って光岡とも戦った奴なの?
それとも狩猟者自体が複数いる?
230名無しさんだよもん:02/09/15 11:34 ID:bx5Rj5K9
>>229
 サバでは朝鮮製が耕一の細胞を元に作り出した鬼が狩猟者と命名されているから
 これは光岡と戦った奴と考えるのが妥当だと思う。
231名無しさんだよもん:02/09/15 12:46 ID:ZsQXP868
さて、どうしたもんか…
232名無しさんだよもん:02/09/15 13:12 ID:+xVmtZPA
>死に対して過剰に臆病になる者。
って誰? 消去法で行くと初音になるんだが……。
そもそも、出だしで「鬼たち」とは言っても、狩猟者以外では四姉妹と柳川だからな、残るエルクゥは。
何か表現おかしい気がする。
233名無しさんだよもん:02/09/15 14:08 ID:6IMTqDU7
そこの表現、耕一がやたら尊大に見えるよな。
いろんな人間と面識があるわけでもないし、ちょっと誇大かと

それとこの作品なんだけど、俺としては特に目立った矛盾点も無いし、
この程度の事でNGにすると悪い前例を作ってしまいそうなので、ここは通しで言いと思うんだが。
他の人の意見も聞いてみたい。
234名無しさんだよもん:02/09/15 14:48 ID:BeHRpZjy
ゾンビ化とかしてさらなるパワーアップとかまだ使う術はあると思う。
無理にNGにするほどの事ではないかなあとは思う。
235名無しさんだよもん:02/09/15 14:58 ID:74zWC/kG
漏れもNGはいやだ。
が、やとぱり展開が説明不足だったり、一部表現にハテナマークだったりもするから、まかろー氏に余裕があればでいいけど、軽く修正がほしいと思う。

あと、リレーとは言っても、やっぱり全部の話をあわせて一つの作品なわけだからさ。
他で『狩猟者』と呼ばれてるものは、まかろー氏もそれに合わせて『狩猟者』と表現するべきだよ。
それとも狩猟者とは別種ならば、ちゃんと説明をいれるべき。
そういうのにも気を使えば、もっと良くなりますから(w
236まかろー:02/09/15 17:48 ID:OoeLe6l8
あれてますね。すいません、スレをあらしちゃって

えーと、まず鬼と表現についてですが、今思えばわかりにくかったと反省しています。
鬼はとりあえず、皆さんの思っている通りで光岡と闘った鬼です。
それと「鬼」という表現ですが、これは前の文と含めて修正させていただきます。
あと、不明な表現と説明不足のところをできればどこかを指摘してもらえると
どこを直せばいいのか指摘してもらえればこちらとしてもわかりやすいので
お願いします。

狩猟者を殺しちゃった件ですが、これは作品にもサンプルと書かれていたし、
耕一(オリジナル)がいれば、大量生産できるものだと思い殺しちゃいました。
楓もなんかたくさんのサンプル(?)を目撃していたし。
もしかして、俺の思い違いでこの狩猟者は一点ものだったのですか?
もし、そうだとしたら、そこらへんも修正します。
237名無しさんだよもん:02/09/15 19:27 ID:vrfVSx6j
ぐはー、やっぱ狩猟者死亡なんですか。
文章とか説明は別に気にならなかったけど、展開にちょっと不満。
NGとか言う気は全然無いッすけど。
このままじゃ、柳川とか梓が無敵過ぎて興ざめしそうな予感。
実際、現行の敵じゃ、もうどうしようもないでしょうし。
あー、でも実は大量生産できそうだし平気なのかなあ…。

何かピラニアっぽいけど
これも感想だと思って、スミマセン…。
238名無しさんだよもん:02/09/15 20:46 ID:kyY412BV
>>18-20>>192-195がこのスレでは狩猟者関連かな。
今のところ外に解き放たれた狩猟者は一体で、残りの成功例は楓次第と思われ。
もちろん、他の場所に、鬼×仙命樹の成功例がいる可能性だってあるが。

で、感想だけども、その狩猟者が弱すぎてどうかと思った。
この狩猟者は男鬼×仙命樹の、いわばこの島においては事実上最強キャラなんだし。
実際にあの光岡が手も足もでなかったし、恐らく女鬼×仙命樹の梓よりも戦闘力は上だろう。
いわば、この作品では朝鮮製側の『ジョーカー』なわけだ。
もし、サンプルで他に成功例がいたとしても、その『ジョーカー』を単なるやられモンスターとして書いてしまったのは、今後のキャラの戦闘力を考える上で、ちょっといただけないと思う。

ちなみに、ユンナ側の『ジョーカー』がサトリ&妖狐タッグだと漏れは思ってるんだがどうか?
239238:02/09/15 21:04 ID:kyY412BV
追伸。
>>54-57も、狩猟者です。抜けてました。

>耕一(オリジナル)がいれば、大量生産できるものだと思い殺しちゃいました。
大量にいるものが弱い、だなんて法則はないです。
それに、その『大量生産できるものだと思い』なんて理由で強いはずのキャラをあっけなく殺されたら他の方々がたまったもんじゃありません。
240名無しさんだよもん:02/09/15 22:13 ID:Fmyx90wg
何故かメタルクウラを思い出してしまったw
241名無しさんだよもん:02/09/15 22:22 ID:sDV1G0g4
>>240
やっとの思いで一匹倒したと思ったら、崖の上から百体の(以下略
242名無しさんだよもん:02/09/15 23:05 ID:aOX7lFsG
まかろー氏、とりあえず一言だけ。

>不明な表現と説明不足のところをできればどこかを指摘してもらえると
>どこを直せばいいのか指摘してもらえればこちらとしてもわかりやすいので
>お願いします。

これだけ不満点が上がっているんだし、なによりこういうのは自分で吟味するもんじゃないのか?
考える事を放棄して、他の人に頼りっきりだと一生上手くなれないぞ。経験談。
243名無しさんだよもん:02/09/16 20:03 ID:EXEXitTy
まぁ、修正を待つしかないのか……。
244名無しさんだよもん:02/09/16 22:16 ID:Bc5fRszl
スレ数がやばいな・・・明日辺りには一本書いておきたい所。
245名無しさんだよもん:02/09/16 23:30 ID:pEZIEAXP
書きたくとも手が出せませぬ。
丁度鬼うんぬんのところだったもので、ええ。さらば柳川。

煽るわけではないが、やはり鬼が弱過ぎた。
漏れ的には光岡≦柳川くらいに考えていたのでなー
246名無しさんだよもん:02/09/16 23:58 ID:ZVK88e5P
まあまあ、先に書いたもん勝ちだろ。
247名無しさんだよもん:02/09/17 00:39 ID:Bo0OArNG
そも仙命樹関係の設定が便利に使われすぎているのでは。
例えば梓は水中で仙命樹の力を発揮してるけどあれで日差しにも強かったりしたら完全躰。
一応完全躰の蝉丸だって日中や水中じゃ五感や再生力は落ちる訳だし。
エルクゥとのハイブリットだからって弱点無視した無敵キャラ扱いじゃあまりに稚拙だと思うよ。
今回の鬼も過度に期待されてただけとちがうかな。
248名無しさんだよもん:02/09/17 00:46 ID:jegb+NNV
確かに過度の期待もあったかもしれないが今回は余りにもあっけなすぎた。
出てきていきなりあぼーんじゃ面白さも何もあったもんじゃいと思うんだが。
249名無しさんだよもん:02/09/17 00:47 ID:Th2KDHUW
まあ、仙命樹関係についてはまだ実際にその影響が具体的に語られてないから。
エルクゥの血との相乗効果で今はとんでもないことになってるけど、漏れ的にはそのうち絶対梓にも狩猟者にも、何かしらの『反動』がくるんじゃないか、と思ってる。
思ってるだけで、誰かがそう書かないトそうはならないんだけどな(w
250TOP LEVEL (修正版):02/09/17 07:38 ID:EKqwkcnP
一つの足音が聞こえる。
木におおわれて暗闇となった森を……
降り終った雨によって泥となった地面を……
一歩一歩、確実に歩いていく。
そいつは狩猟者。
この島で狩りをするために生まれてきた存在。
狩猟者は施設を見つけた。
そこからする確実な獲物の匂い。
また狩りを始めることができる。
そいつはそう思った……


どこからか銃声が聞こえた。
それを聞いた柳川はその方向に走り出す。
木々をかいくぐり、障害物を飛び越えて行く柳川の動作は常人をはるかに凌ぐものであった。
すると、柳川はちょっとしてからふっと足を止めた。どうやら、銃声のなっていた場所に辿り着いたらしい。
そこで柳川が目にしたものは人間とモンスターの対決。
人間の方は初めのジープのメンバーであろうか、一人ではなかった。だが、よく見ると実際闘っているのは一人だけである。
他のメンバーを見ると、なにもできずにただそれを見ているという感じだ。柳川は闘っているほうの人間に目を向けた。
その人間はあきらかに常人の動きではない。おそらくはかなり鍛錬をつんだのであろう、なんとか致命傷は避けている。
だがしかし、相手が悪い。モンスターとの強さの差は歴然としていて、これではやられるのも時間の問題だ。
「よし、いくか……」
251TOP LEVEL (修正版):02/09/17 07:39 ID:EKqwkcnP
 その言葉とともに柳川の体は鬼へと変化していく。骨格が変わり、筋肉が増幅する。そして、変化が終わると同時に地をけった。
 人間から見ればまさに一瞬、柳川はあっという間にモンスターとの間合いをつめ、それと同時にモンスターを殴り飛ばす。
 モンスターはそのまま飛ばされて木に激突した。しかし、柳川はそれを見て気を抜くことはしなかった。
 この程度では致命傷にもならないということを、さっきの戦闘で感じとっていたからだ。
「巻き添えをくいたくなかったら動くな」
 柳川は人間たちに向かってそう言うと、再びモンスターの方を見た。

 あまりにも一瞬のできごとに蝉丸の頭は少しの間ついていけなかった。
 さっきまで闘っていたモンスターがいなくなり、また同じようなモンスターが目の前に現れた。
 そんなふうに見えた。
 木に叩きつけられたモンスターはすぐに立ち上がり、柳川の方を睨みつける。その目は完全に標的を柳川にかえたことを意味していた。
「どうやら、さっきの一撃は全然効いてないみたいだな。しかも、よく見れば……鬼。
 それも俺と同じ種類か」
(きっと朝鮮製が俺達に似せて作ったんだろう)
 そう思うと同時に『狩猟者』が迫ってくる。
 自分の狩りを邪魔されたのが、よほど頭にきたのだろう。その表情は怒りに満ちていた。
 それを見た柳川は構えをとる。
「狩りを始めようか。次はお前が狩られる番だ」
252TOP LEVEL (修正版):02/09/17 07:42 ID:EKqwkcnP
――時間は戻り、ホテルを脱出した少し後

やっと決心がついたようね。これから、あなたは狩猟者としてこの島を生きるのよ
 また知らない女の声が聞こえる。

さあ、遠慮はいらない。一人残らず人間を狩りなさい。
「狩猟者……そう俺は狩猟者であり、鬼」
「そして……柳川裕也という人間であり、刑事でもある」
 柳川はつぶやいた。正体を見られた時、なぜか頭の中に柏木耕一が横切った。
 あいつなら、たぶんなんの躊躇もなく正体を明かして助けただろう。

 なぜそんなことができるのか?

 柳川はその疑問についてさっきからずっと考えていた。そして、彼なりに答えはでた。
 それは自分がやるべき時にやれる行動をとった結果なのだろう。守れる力があるから、守った。そんなところか。
 そして、その行動はすべてを事実として受け止めているからできる行動だ。

 自分は人間であり……鬼。
 両方ともが正しいことであり、変えられない事実。

ん、なにか言った?
「……」
「はっきりしていることは、今ここにいるのが自分ってことだな」
 柳川誰に言うでもなくそう言った。しかし、その声から今までの迷いは感じられない。
 そして、それはその女も伝わってきた。女は少々ばかり焦る。
な、なにがあったか知らないが、お前を認める人間なんて…
「なにを言っても無駄だ。俺はこの島で自分のするべきことをするよ」
 結局、なにを言っても変わらない意志。今回女はひくことにした。

ちっ…
 それを最後に女の声は聞こえなくなった。
「俺のするべきことは、この島に来た理由、任務の遂行。後は……人の保護ってところか」
253TOP LEVEL (修正版):02/09/17 07:45 ID:EKqwkcnP
 もう5分は経ったであろう。柳川と『狩猟者』はまだ交戦中だった。しかも、お互いまだ目立った傷がない。
(力はやつの方が上か。長期戦はまずいな。それと俺達鬼よりもはるかに上回る治癒能力が気になる)
『狩猟者』が突進して来て、そのまま右腕を振り下ろしてくる。それをうまくかわす柳川だが、『狩猟者』は走り抜けていくので、
 反撃にはうつれない。
(さっきから感じているこの感覚は同族と同じもの。しかし、完全なものではない。なにか感覚が薄いようだ。
 ということは……なるほど、わかってきたぞ)
 今までとは違いなかなか攻撃のあたらない『狩猟者』は苛立ちを覚え始めていた。
 柳川はその表情を見逃さない。
(初めに一撃いれた方が勝ちだ。その後はどんどんとおされていくだろう。次で勝負に出る)

 そう思っていると『狩猟者』はまた突進してくる。そして、右腕を上げた。
 その瞬間。

 ドン!!

 鈍い音がした。それと同時に『狩猟者』の動きも止まる。
 柳川は『狩猟者』の腹部(正確にはみぞおち)にカウンターとして蹴りをいれて動き封じたのだ。
 今まで、爪だけで闘っていた『狩猟者』にとっては意外な攻撃に対応しきれなかった。
 そしてその結果、腹部に蹴りをいれられ、『狩猟者』は激痛によりひるむこととなる。
 柳川はそのチャンスを逃すはずはなく、蹴りをいれた足をそのまま地面におき、1歩踏み込む形になる。
254TOP LEVEL (修正版):02/09/17 07:47 ID:EKqwkcnP
「ウオオオオオオオオォォォォォォォォ!!」

 柳川は声とともに渾身の一撃を放つ。
『狩猟者』の頭は4本の爪によって引き裂かれた。柳川は一撃目が終わると続けて首に手刀をあびせる。
『狩猟者』の頭は勢いよくとんでいき、胴体もそのまま後ろに倒れていった。
 すると、柳川は胴体に自分の手をめりこませたかと思うと、心臓を抜き取った。
「お前の敗因は突進というワンパターンな攻めと利き腕だからといって右しか使わなかった稚拙な闘い方だ」
(さらに言うなら、血をわけたことか。おそらく、この鬼は完全なものになにかを加えたものではなく、
 もともとあった1つの器に鬼の血を何割か組みこんだのだろう。それによって、狩猟者としてのセンスは落ち、
 結果、戦闘力の低下となる。実際、闘い方が鬼と同じだったから、他の戦闘用モンスターの血を入れたとは考えづらい。
 しかし、その代わりといったばかりの異常な回復力。戦闘力重視しないところ、
 まるで新乍モンスターの組み合わせについてのサンプルみたいだ。)
 柳川は今まだ鼓動する心臓を握り潰した。


(これだけやれば、あの異常な治癒能力でも生き返りはしないだろう。あとは人間たちの方だが、
 近くにモンスターもいないし、まともに話し合えるかわからんしな。このまま退散するか)
 行こうとする柳川に対して、ふと住井が声をかけた。

「……耕一さん?」

 その言葉に足を止める柳川。
(耕一だと!)
 柳川の闘っている姿が耕一と重なったのだろう。
 自然と出た住井の言葉は柳川をひきとめるのに十分な効果があった。
255TOP LEVEL (修正版):02/09/17 07:48 ID:EKqwkcnP
――総括管理室

「なるほど、柏木耕一と仙命樹のはうまく交じり合ったか。どうしても、作り出したものじゃこれが限界だ。
 だが、もともとあるものに上乗せすれば、この問題は解決される」
 先ほどの柳川と『狩猟者』の戦闘を見て、朝鮮製が言った。
「それでは、始めようか。本当の『狩猟者』の製作を!
 100%(オリジナル)にさらにプラスしてできる限界をも超えた存在を!」



【柳川 鬼を撃破。蝉丸達に会う】
【蝉丸 いくらかのかすり傷をおう】
【朝鮮製 真の『狩猟者』の製作にとりかかる】
256まかろー:02/09/17 07:52 ID:EKqwkcnP
修正版です。
意見等お願いします。

『狩猟者』という表現ですが、過去の作品で挑戦製が『狩猟者』と名づけていました。
ここのところは深くお詫び申し上げます。
257名無しさんだよもん:02/09/17 11:57 ID:PrzNYzhF
>TOP LEVEL(修正版)
かなり良くなったと思います。
しいて意見を言うならば、最後の柳川の(さらに言うなら〜)がどうも説明文くさいけど、別に気になりはしない程度かと。
こういう展開だと、真の『狩猟者』が楽しみになってていいんじゃないかと思うッス。楓絡みにもなりそうなヨカソ……。
258名無しさんだよもん:02/09/17 16:02 ID:8CG9ENgf
う〜ん、私的には朝鮮製がちょっと。
鬼をカップラーメンでも作るような感じで言っているのが気になった。
259名無しさんだよもん:02/09/17 23:23 ID:cYjbyOL1
っていうか、「サバイバー」は
「バトルロワイアル」とは違うよ。
age
260名無しさんだよもん:02/09/17 23:35 ID:gU0ucv1X
>>259
うん、違うな。
……で? マジデナニヲイイタイノカワカランゾ?
261闇姫(1/3):02/09/18 00:15 ID:dmC/S4fu
 ここもアトラクションの一つなのだろう、鍾乳洞の中は意外と整備されていた。
 いや…予め作られていたのかもしれないが…。
 そこを二人の女が走る。
「…まだ、追ってきますの!」
 すばるがジリジリとその差を詰めてくる追跡者を見ようとする。
「いちいち言わんでもいい!」
 まともに灯りも無い道を、全速力で二人は駆け抜ける。
(ここまで幾つ、分かれ道があったと言うんだ!音だけで追ってくるとは!)
 岩切は分かれ道を曲がる、すばるがそれに続く。
「一体、なんなんですの!?後ろの人は…」
「わからん!…といいたいところだが…あの気配は!」
 すばるが眉をひそめる、岩切が続ける。
「…あたしと同じなんだ!」
 更にすばるは眉をひそめる。
「言ってる事がわかりませんの」
 この事態の中、すばるに仙命樹について説明しても意味のないことだ。
 不規則に曲がり角を曲がりながら岩切はこれまで事態を考えた。
(まずは…後ろだ!アレは間違い無く仙命樹の力を得ている、しかし知らない力もある?)
 二人は段差を飛び越える。
(仙命樹を摂った知っている奴にあんな気配は出せない…ということはヤツはここで仙命樹を得た?)
 すばるの走るペースが遅れてきた。
 流石に長時間を全速力で走るのに限界が近づいているようだ。
(仙命樹を…得る…?)
 岩切の中でパズルのピースが繋がり出した。
「アズサか!?」
「…2号ですの?」
 すばるの訳のわからない返しはとりあえず無視をして、岩切はこの後の対策を考える。
「外が近いですの!」
 すばるが曲がり角の先を指差す。
「出るぞ!」
262闇姫(2/3):02/09/18 00:16 ID:dmC/S4fu
(2行空けてください)
 梓は前の二人を正確無比に追っていた。
 仙命樹の力により五感が研ぎ澄まされている梓は、その音と目だけを頼りに二人の通った道を走り抜ける。
(あたしの周りに起こっていることは何もかも、わかる気がする)
 梓は初音達のことも心配だが、自分の力が起こす欲求を満たすことしか考えなれなかった。
 前の気配が一瞬動きが止まる、梓自身は更にスピードをあげる。 
 まるで真昼の道を走るかのように梓は一気に岩切達との距離を縮めた。
 だが、この今の自分について「何故?」という部分を省みなかったことが岩切達との接触に大きく影響した。
(2行あけてください)

 岩切とスバルは愕然とした。
 出口だと思った場所は行き止まりで竪穴がぽっかり空いているだけの場所だった。
 事態が事態でなければ太陽の光が竪穴を流れる水に反射して綺麗だと感じることもあるだろうが…。
「どうしますの?」
「どうするも何も…覚悟するしかないぞ…」
 その瞬間、梓が飛び出してきた。
「ぐぁあ!?」
 慌てて身構える二人、しかし断末魔をあげたのは梓の方だった。
 目を抑えて倒れこむ梓、それをポカンとしながら見つめる二人。
「なんですの…?」
 警戒をしつつ梓に近づくすばる、その足音に反応して目を抑えて無い方の腕を使って威嚇をする梓。
「不完全体…?」
 岩切が呟いた、その言葉に反応した梓が目を抑えつつ、ふらふらと立ちあがって岩切に襲いかかった。
「あたしに何をした!?」
「知らん!」
 岩切が軽く避ける、そこにすばるが、
「勝負ですの!」
「この程度でぇぇ!!」
263闇姫(3/3):02/09/18 00:18 ID:dmC/S4fu
 だが梓はすばるに襲いかかることはなかった、何故なら岩切が後ろから無言で梓の後頭部にハイキックをきめたからだ。
 そのまま前のめりに倒れる梓、そのまま失神してしまったようだ。
「覚悟を決めて、勝負まで申し込んだのに…。後ろからなんて岩切さん外道ですの」
「事態が事態だ、しかたないだろう?」
 岩切が首を振って自分で自分を納得させている。
「しかし、これはどうしてですの?」
 すばるが今の展開に疑問を投げかけた。
「恐らく…日光だ…」
「??」
「あたしは水に強い代わりに火に弱い。知り合いはその逆だ…もし梓もそれと同じようであれば…」
「岩切さんはゲームの敵さんと同じですの?」
 また、すばるが訳のわかんないことを言っていると思った岩切だが、それに構わず続けた。
「よく考えてみろ…。外で梓が大熊を倒した時は曇っていた、今は晴れている。洞窟の中で追ってこれたのも…」
 すばるがやっと合点がいったという顔で、
「つまり、暗闇に強くて光に弱いということですの?」
「ああ…偶然だったが…」
「…でこれからどうしますの?」
 岩切とすばるは梓をみつつ、少し困った顔をした。
「一休みしたら、持って帰るか…」

(2行空けてください)
 その後、洞窟の入り口に立ち往生してたきよみと初音に合流できたのは、移動開始後から1時間経っていた。
 岩切、すばるの二人共帰り道なんて覚えてなかったからである。
264R1200:02/09/18 00:21 ID:dmC/S4fu
【岩切、すばる。梓を失神させる。その後、きよみと初音と合流】
【梓、仙命樹不完全体と判明。弱点は光】

 前回指摘された点は直っておりますでしょうか…(〜_〜; 
 
 あと梓が無敵超人すぎると思いましたので弱点つけさせていただきました・・
265名無しさんだよもん:02/09/18 00:27 ID:wtdjAyXo
>闇姫
リアルタイムで読ませていただきました!
というか、すばるのいかにもこみパキャラらしい思考回路とか(それに対する岩切の思考がオモロです)、
梓に致命的な弱点があったりとか、かなり好きです。

岩切&すばるのコンビもこうして見ると中々(・∀・)イイ!!
266名無しさんだよもん:02/09/18 00:52 ID:Z7mh6LOa
>新作
やっぱり話のテンポの悪さが気になる。 
>だが梓はすばるに襲いかかることはなかった、
>何故なら岩切が後ろから無言で梓の後頭部にハイキックをきめたからだ。

特に上の辺り、なんか説明的かな〜とか思った。
話自体は面白いんで、この後の作品も期待。

しかっし仙命樹って日光に弱かったんだったな。
誰彼なんて一回しかやる気なかったからすっかり忘れてたよw
267黒の陰謀:02/09/18 01:00 ID:+Ug73F1+
「そうだ、霊的磁場が強いからすぐに解かる。奴の生死は問わん。とにかく『アレ』を奪い返すのだ」
「……了解」

 なにかの通信機器であろうか、細長い小箱を仕舞いこみ、男は周囲に合図を送るように右手を上げ、そのまま音も立てず走り出す。
 やがて、その男を追うように幾つもの影が男を追いかけ始める。
 全員が全員、身をすっぽりと黒のフードで覆ったその姿は、誰が見ても異様なものであったが、
 その動きは豹のように素早く、彼らが目的の場所まであっという間に辿りつくのに左程時間はかからなかった。

『武器博物館』

 フードの一人がその建物を確認した後、周りに素早く目で合図すし、ゆっくりとその扉を開け、踏み入る。

「はぁっ!」
 瞬間、宙を舞ったのは――鞭打。
 鞭は幾筋もの軌跡を描き最初に入ってきたフードの男に襲い掛かる。
 肉と骨が砕け、男は博物館の外にまで飛ばされ、そのまま絶命した。
 それを見た女――サラは、してやったりといった表情でフードを被った男達を見据え、口を開く。
「あんたら……人間じゃないね。知っての通りこの島は大変な事になってるんだ。
 そんな所に一体なんの用なんだい? 答えな!」
268黒の陰謀(2):02/09/18 01:01 ID:+Ug73F1+

 激と共に、再びサラは鞭を放つ。
 破砕音が鳴り響き、入り口付近にあった飾りや備品が砕け散る。
「なんだ! 今の音は!」
 慌てふためく声と、廊下を走る足音。
「ティリア! 浩之!」
 一瞬、ほんの一瞬だけ声のした方向をサラは見た。
 途端、空を切り裂くように男達の手からナイフが放たる。
「くっ!」
 突然の反撃に戸惑いながらも、素早く男達に向き直り、鞭で何とかナイフを弾く。

 それが、命取り。

 先ほど部下に合図を送っていた男が、腰に下げていたミドルソードを抜き、跳んだ。
 まさに常人とは一線を駕した、信じられないようなスピードで男は迫る。

「しまっ……鞭が!」
 やっとサラは気付く。
 男達の狙いが、鞭を伸ばしきった状況を作り出すためだった事に。

「くそっ! ダイコル……」

 慌てて呪文を詠唱するが、それよりも早くサラの眼前に着地した男がその右手を掴み、 

「すまない」 

 短く呟いた後、男はミドルソードを突き出した。
269黒の陰謀(2):02/09/18 01:01 ID:+Ug73F1+
 その出来事から一瞬遅れ、ようやくサラが見える位置に浩之とティリアが駆けつける。
「サラ!」
 ――テ、ティリ……ア。
 
 声が、出ない。
 それどころか、顔の動きが少しおかしい。
 言葉を発しようにも、口から漏れるのは微かな空気の音。

 そこで、理解した。
 もう、自分は死んでいる。
 
 でも、最後に、せめて最後に一言だけ。
 大切な、仲間に……

「あたしみたいに……死ぬんじゃ、ないよ……」


「サラアアアアアアアアアアッ!」
 
 目の前で崩れ落ちるサラを見、ティリアは叫ぶ。

 何故?
 何故サラは殺されなきゃいけなかった?
「アンタ達が……アンタ達が……」
 怒りに身を震わせ、ティリアは剣に手を伸ばす。
 それを見た浩之も、クロスボウを構える。

「許さない……アンタ達は、絶対に殺してやる!」


【サラ 死亡】
【黒フードの男達 人数不明 全員が何らかの武装を施している】
270名無しさんだよもん:02/09/18 01:02 ID:eiYEvXIF
俺も岩切達の話を考えてたんだが、先にやられたか…
271名無しさんだよもん:02/09/18 01:06 ID:+Ug73F1+
*黒フードは『密談』で示唆されていたウィルへの追っ手です。


最後は(3)だったな。失礼。
初めてキャラを殺しちまったけど、扱いが酷い思う人ばっかりだろうな……
272名無しさんだよもん:02/09/18 01:53 ID:/dUSjsEf
イキナリ殺されてる事よりも
イキナリ殺してる事の方が圧倒的に
扱いが酷いと思うのは俺だけでしょうか…?

いや、何か全体的に唐突な印象。
273名無しさんだよもん:02/09/18 02:06 ID:HnfEHdE9
サラもいきなり襲い掛かって返り討ちにされてりゃ世話はない訳で。
エンカウント即戦闘。
RPG出身らしい短慮さでしたなぁ(w
274名無しさんだよもん:02/09/18 07:24 ID:FvAoykLV
>黒の陰謀
とりあえず、フィルスキャラが死んだ事はまぁ仕方ないのかなと思いつつ。
俺もやった事無いって理由で敬遠してたし。
それ以外の点で意見を幾つか。

とりあえず、短い話なのに視点がめまぐるしく変わるので話が解り難い。
黒フードの視点なりサラの視点なりで固定すべきだったと思う。
ついでに、黒フードはモンスター達と違ってそれなりの思惑や葛藤なりがあるはずだから、そこら辺も描写すべきだったのでは。
後は他の人も言ってるように先にサラの方が手を出して殺しちゃまずいだろう、と。
多分、侵入者の存在にいち早く気づいたサラは〜って感じの展開にしたかったんだろうけど、
これじゃサラの短絡さとあっさり侵入に気づかれる黒フードの間抜けさばかりが目に付いてしまう。

ここら辺、次からは注意してくれれば嬉しいな、と。
275名無しさんだよもん:02/09/18 17:54 ID:RxDoTxcQ
誰かが書かねば進まない。
だからといってこれはちょっと……。
276名無しさんだよもん:02/09/18 19:05 ID:Rxk2SVwY
まぁフィルスキャラは登場時からこうなるのはなんとなく予想できたことだ。
277名無しさんだよもん:02/09/18 19:11 ID:/dUSjsEf
これ以上突っ込むのもアレだけど……ティリアさんの地の文。
>何故?
>何故サラは殺されなきゃいけなかった?
だって殺してるじゃん。しかも先手。
ちょっと身勝手な感じ?

>>275-276
IDケコーン気味。
278名無しさんだよもん:02/09/18 21:38 ID:vSLRaTfK
まぁ公開二日目辺りの文自体が破錠しているヤシに比べれば幾分かマシだが
それでも今回のはハカサバで一、二を争う不条理な話だったな。
279名無しさんだよもん:02/09/19 07:33 ID:ztx2Qa3w
>それでも今回のはハカサバで一、二を争う不条理な話だったな。
それは言い過ぎ。

ただ、納得がいきかねる点があるのは事実。
280名無しさんだよもん:02/09/19 19:58 ID:t/XnkYBZ
生き残れないと決め付け里奈を殺すエビル。
なぜか光岡をシカトしていった浩平&長森。

この二つに勝てる不条理話は今の所上がっていないな。
281名無しさんだよもん:02/09/19 22:10 ID:uI0YtRVt
メンテ代わりに誰かネタでも振ってくれ
俺は前回浩平主役説を振ったから今回はパス
282名無しさんだよもん:02/09/19 23:21 ID:gJLsjmRa
>>280
浩平が光岡に声をかけなかったのが不条理だとでも?

>「だから行け!私は一人でも何とかなる! だが彼女達は何の力も無いのだぞ!」
>「わ…解った! でも死ぬなよ、光岡さん!」
浩平と光岡はこの会話で別れて、その後浩平は雨の中ジープを30分以上走らせて移動している。
ちなみにジープはそのときの事故で使用不可に。

その後、車で30分走った距離を歩いて、どこにいるか分からない光岡を探して、そして光岡に声をかけてからどこかへいけと?
言うまでもないが、その方が不条理だぞ?

文句を言うならせめて自分が話を読み直してからにしてくれ、>>280よ。
283名無しさんだよもん:02/09/19 23:30 ID:gJLsjmRa
ちなみにRTO氏は元気なんだろうか。
>RTO氏
編集サイトで、瑞佳の名前が瑞香になってるので、余裕があれば直しておいてやってください(w

>>281
ネタか……。
浩平主人公なら、岩切ヒロイン説とか?
284名無しさんだよもん:02/09/19 23:48 ID:cicH4BtJ
そう言えば見ないなあの人。

>>283
 岩切はヒロインって言うより姉御肌。
 ヒロインとなると……囚われのリアンとかルミラ辺りを。
285名無しさんだよもん:02/09/19 23:53 ID:E9MJ3HGK
誰かが前のスレで言ってた、現状の主力コテ別のよかったと思う作品をあげてみるか?

RTO  氏:「槍」「策士」。やはり、アクション方面に対して上手い印象が持てる。そーいえば最近見ないな…
長 瀬  氏:「一難去って」「悪夢の檻」。展開のスマートさは凄いと思う。名無しで活動中?
R1200氏:「犠牲」「葛藤」。登場キャラの心情や台詞回しが上手いと思う。話の展開などが悪く、戦闘面の表現が苦手?
ヘタレ  氏:「探求者・住井護」「死の館」。イベントやお笑い担当の印象がある。久瀬や高槻などの男性キャラの描写が得意?

自分の身勝手な今まで感想でした。
286285:02/09/19 23:54 ID:E9MJ3HGK
ネタ振るために作品読みなおしていたらネタ振られてた…スマソ…
287名無しさんだよもん:02/09/20 00:30 ID:ZO0P6wKL
岩切が囚われのリアンを助ける…(想像中)…すまん、その後の展開がどうしても宝塚になるんだが(w
288名無しさんだよもん:02/09/20 21:24 ID:Z9/9Ztg9
>>285 少し前まで殆どコテが書いていた印象も合ったしな。少し全体感想などもいいかもしれん。

RTO氏はなんていうか…ちょっと話によって評価か全然変わってくる。
晴香が死ぬ話とかはちょっとなぁ、とか思うが「槍」や浩之組とかはオモロイ。
長瀬氏はコンスタンスに仕上げてる印象。その中でも「遺志と魂と」には脱帽。
へタレ書き手氏は>>285も言っている通り野郎の描写が萌え&燃え。「偽者」は全編を通してもかなりの出来なのでは。
反面女性中心の話になると名の通り少しへタレにw
やっぱりこの三人は頭一つ違うかな。名無しの人にも面白い話は多々あるが。
289名無しさんだよもん:02/09/20 23:30 ID:NZVEen78
ヘタレ氏の住井と香里が大好きで仕方がない(w
290名無しさんだよもん:02/09/21 00:11 ID:xXCITK5C
ハカロワ→鯖と読んでおります。

コンセプトは似てるけども、鯖には鯖独自の面白いところがありますね。
ロワ→負の作風 鯖→正の作風というか。
前者が悲劇なら後者は喜劇というか、鯖はアメリカ映画の、いい意味でさっぱりした感じですな。面白い。
291名無しさんだよもん:02/09/21 00:54 ID:DMNLYRic
>>289
 俺も異作品カップルとしてあの二人が大好きだw
292名無しさんだよもん:02/09/21 02:07 ID:HFjjcmjo
辛い選択してそうですね。皆さん。
293繰り返される過去:02/09/21 02:33 ID:de18u9QB

「愛する人の変わり果てた姿……それを見た君の反応は、実に素晴らしい」
 ぱんぱん、と場違いな拍手の音が、実験室に響いた。
 高いハイヒールの音に、楓は呆然と顔を上げる。
「君の反応こそ、私の求めたRRと言えるだろう」
 何時の間に現れたのだろう、長い髪を無造作にポニーテールに結んだ女が、そこに立っていた。
 整った顔立ちはあまりにも無機質で、血が通わない人形のようだった。
 “彼女”は愉しげに笑うと、楓に向かって軽く一礼して見せる。
「ようこそ、柏木楓。君は柏木耕一に次いで、この私と直接接触した2番目の参加者だ」
「……あなたが……」
「そう、私だ」
 彼女は満面の笑みを浮かべ、茶目っ気たっぷりに片目をつぶる。
「朝鮮製と、そう呼んでくれたまえ」

 次の瞬間、楓は風よりも早く朝鮮製に跳びかかっていた。
 抜き身の鬼の爪が、朝鮮製に触れると思われた瞬間、残像を残して姿が消える。
 鬼の爪は、朝鮮製のポニーテールの先を虚しく掠めただけだ。
「っ!?」
 しゃがまれた、と判断した瞬間、楓は躊躇う事無く、足元の朝鮮製の顔面に膝を叩きこむ。
 だが、朝鮮製はまるで予知していたかのように、その攻撃も難なく避けていた。
 2度までも攻撃をかわされ、楓は戦慄を覚えながらも、続けざまに手刀を繰り出す。
 その切っ先が、ようやく朝鮮製の胸を掠めた。
 だが、楓が感じたのは肉と血飛沫ではなく、金属とケーブルの冷たい感触だった。
294繰り返される過去:02/09/21 02:34 ID:de18u9QB
「ふむ、やはり基本的な能力差は、なかなか埋められないものだな」
「ろ、ロボット………!?」
 淡々と胸元の傷を見下ろし、批評を下す朝鮮製を見て、楓は驚愕の声を上げた。
「ロボットか。正しくはメイドロボなのだがね……まぁ同じと言えば同じだが」
 朝鮮製は肩を竦め、傍らのガラス管に手を置いた。
「まぁこれで、実戦におけるこの素体の可能性が、大まかながらわかった。
 柏木耕一や柏木千鶴、それに柳川裕也の交戦データを検証し、それを元に戦闘用データを組んだのだが……
 やはりこの身体は、戦闘向きとは言えんな」
「あなたが、耕一さんをこんな目に……!!」
 耕一の名に敏感に反応した楓は、叩き付けるように叫んだ。
 それを聞き、朝鮮製の顔に苦笑が浮かぶ。

「やれやれ、そんな事も確認せずに私を壊そうとしたのか。決断力は素晴らしいが、やや無鉄砲と言える。
 ……君の予想通り、私が柏木耕一を倒し、その肉体を有効利用させてもらっている。
 そしてその細胞を、ごらんの通り様々なモンスターに注入し、より強大なモンスターを生み出したのだ。
 見てみるがいい、この私の芸術的な作品の数々を……全く素晴らしい」
「……言いたい事は、それだけですか?」
 みしり、と楓の足元の床に、放射線状にヒビが走った。
 鮮血のように染まった瞳孔は縦に裂け、切り裂くような冷気が楓の周囲を覆う。
 それを見て、朝鮮製は口元を歪めた。
「安心したまえ。柏木耕一と共に、君の細胞も充分に活用させてもらうよ。
 ………この私が、何の勝算も無しに、姿を現すと思っているのかね?」
 ぱちり、と鳴らされた指に合わせ、ガラス管のひとつが大量の羊水と中身をぶちまけた。
 中に収められていた肉塊が、のそり、と身を起こすのを見て、楓はびくりと身を震わせる。

「君の愛しい人間の細胞から培養したモンスターだ。さぁ、存分に君のRRを見せてくれ……柏木楓」
295繰り返される過去:02/09/21 02:36 ID:de18u9QB

 床に落ちた肉塊は、幾度も痙攣を繰り返しながら、ゆっくりとその身体をもたげた。
 目の前に立ちはだかったそれを見て、楓は息を飲む。
 まるで胎児がそのまま直立歩行をしたような姿は、あまりにも冒涜的で、同時に悪魔的であった。
「鬼の血……高い生命力と、他に類を見ない変化能力……まるで、この私の為にあるような実験材料だよ。
 この実験体は、モンスターの胎児に、試験的に鬼の細胞と仙命樹を移植したものだがね。
 ……これでなかなか、優秀な戦闘力を秘めているのだよ」

 朝鮮製の講釈の間にも、脈打つ肉塊は、まだ分かれてすらいない指先を、楓に向けた。
 楓は唇を噛むと、床を蹴り、一気に実験体へと肉薄する。
 鬼の血を与えられたと言う割には、実験体の動きは鈍かった。
 楓は難なく掴みかかって来る腕をかわすと、実験体の懐に飛び込んだ。
「はっ!」
 鋭く気を吐くと同時に、楓は鋭利な刃物と化した手刀を、胎児の眼球に突き刺す。
 だが、苦痛の声をあげたのは、楓の方だった。
 慌てて引き抜いた手からはうっすらと白煙が昇り、肉の焼ける嫌な臭いが鼻をつく。
「これは………酸!?」
「そうそう、言い忘れていたが、こいつの体液は強酸でね。うっかり傷付けてしまうと、ごらんの通り大火傷をしてしまう」
 額に汗を浮かべながら、楓は焼け爛れた右腕を背後に庇う。
 しかし、異変はそれだけに終わらなかった。

 楓の手刀によって抉られ、失われたはずの眼球が、異常なほどの速度で再生していく。
 今までの肉に埋もれるような小さな目ではなく、巨大な濁った眼球が、楓に憎悪の視線を注いだ。
「そして、再生能力に付加した進化……成長。まさに、胎児だとは思わないかね?」
296繰り返される過去:02/09/21 02:37 ID:de18u9QB

 朝鮮製の言う通り、目の前の実験体は、驚くべき速度で成長を続けていった。
 もっとも成長と言っても、胎児のシルエットのまま、腕や足が筋肉で膨れ上がり、先端に爪が生えるという歪なものだったが。
 あまりにおぞましい変形に、楓のただでさえ白い肌から、いっそう血の気が引いた。
「なんて……酷い」
「醜いだろう、柏木楓。だが、これもまた、こいつが望んだ姿なのだよ。
 無限の成長性と、無限の再生能力……これが、鬼の細胞と仙命樹のハイブリッドの結果だ。
 ……とはいえ」
 そこで言葉を切り、ぶよぶよとした肉の塊に視線をやって、朝鮮製は苦笑を浮かべた。
「やはり、そう何もかも上手くいくとは言えなくてね。
 ひとつ長所を与える度に、ひとつ弱点が増えてしまう。まったく、仙命樹とは厄介な代物だよ。
 紫外線への耐性を強めれば水に弱くなり、水に強くすれば紫外線への耐性が消えてしまう。
 この実験体も、高い戦闘力とは裏腹に、空気中では1時間ともたずに溶解してしまうのだ」
「………!」
 朝鮮製の言葉に、楓は驚いたように彼女の端正な顔を見返した。
 その表情には、薄ら笑いしか浮かんでいない。
「つまりだね、この実験体の成長と進化を掻い潜り、1時間耐え続けられれば、君の勝ちという事だ。
 悪くない条件だろう? このままでは、君の絶対的敗北は避けられないのだからね」
 
 次の瞬間、実験体は咆哮と共に、楓に跳びかかった。
「なっ!?」
 さっきとは比べ物にならない程の速度に、楓は一瞬硬直した。
 慌てて身を捻ってその爪を避けるものの、逃れ損ねたニの腕から、ぱっと血がしぶく。
 実験体は続けざまに楓に突進すると、その爪を次々に繰り出してきた。
297繰り返される過去:02/09/21 02:41 ID:de18u9QB
 速度も、そしてそこに込められた力も、今までの攻撃とは桁違いだった。
 だがそれでも、まだ速度に関しては楓に分がある。
 とはいえ、このまま攻撃を避け続けて、1時間を過ごす訳にはいかなかった。
 あの朝鮮製が、自分のモンスターが時間切れで死ぬのを、黙って見ているはずがない。

 実験体の動き自体は単調で、攻撃するだけならいくらでも隙がある。
 しかし、傷口から吹き出す酸が、楓の攻撃を躊躇わせていた。
(それに下手な攻撃は、再生と成長を促すだけ……だったら、一撃で倒すしかない)
 次第に速くなってくる攻撃を紙一重で避け、楓は徐々に後ろに下がっていく。
 苛立った実験体は、少しずつ攻撃が乱雑になり、力任せになっていった。
(……今!)
 
 残像すら残して消えた楓の後ろには、ガラス管のひとつに繋がっている、コンピューターがあった。
「何いっ!?」
 狙い通り、実験体の爪は基盤を突き破り、ふかぶかと内部にめり込む。
 そして……電線にでも触れたのか、凄まじい火花が飛び散った。
「これで終りですっ……!!」
 通電し、仰け反った実験体の背後に回った楓は、一陣の風のように舞う。
 そして次の瞬間、実験体の頭と両腕は、根元から断ち切られていた。
「ほう………素晴らしい」
 ブレーカーが落ちたのか、一瞬暗闇に染まってから、すぐさま非常灯の赤い光が周囲を照らし出す。
 その一瞬の隙を突いて、楓は朝鮮製の胸元を貫いていた。
「……がっ……!」
298繰り返される過去:02/09/21 02:44 ID:de18u9QB

 無数のコードと電子部品を破り、楓は手刀を朝鮮製の胸から引き抜く。
 がくん、と朝鮮製の膝が落ち、黒いオイルが床に飛び散った。
 楓は荒い息を吐き出すと、震えながら、ぎゅっと自分の身体を抱き締める。
「耕一さん……仇は、取りました……!」
「ギ……ソレハ…ザ…ドウカナ」
 耳障りな人工音が、壊れたはずの朝鮮製から響いた。
 ぎょっと目を見開く楓の前で、金属の軋む音をさせて、朝鮮製の頭が180度回転する。
「私ハ、12ノスペアノ内ノ、一体デシカナイ。本物ノ私ハ、別ノ所ナノダヨ」
「………っ!!」
 とっさに、楓は怒りに任せて朝鮮製の首を切り落とした。
 首は甲高い音を立てて床を転がり、柏木耕一と書かれたガラス管の前で止まる。
「ソウソウ、柏木楓。君ハアノ実験体ガ、ソノ程度デ死ンダト思ッテイルノカネ?」
「っ!?」
 朝鮮製の狂躁的な笑い声と共に、楓の身体が、宙に吊り上げられた。
 ぶよぶよとした指に両手足を掴まれ、楓は必死になって逃れようと、身体を捻る。
 肩越しに見えたあの実験体は、全身から腕を生やし、頭のあった部分には、憎悪を湛えた眼球が突き出していた。
「オヤオヤ……コレハ予想外ダ」
 朝鮮製の面白そうな声に、楓はぎょっと目を見開く。
 実験体の股間から、血管の浮いた生白い突起が、びくびくと宙を向いてそそり立っていた。
 それの意味する所を悟り、楓の顔から血の気が引く。
「ドウヤラ、君ヲ徹底的ニ汚シ尽クスツモリラシイ。コレモ生存本能トイエルダロウ」
「っ……嫌あああぁぁぁっ、放して、放してえええぇぇっ!」
 髪を振り乱し、半狂乱で叫ぶ楓を、実験体は無表情でじっと見詰めていた。

 そしてその先端が、楓のスカートの中に潜り込んでいく。
299長瀬なんだよもん:02/09/21 02:48 ID:de18u9QB

【楓 朝鮮製のコピー一体を破壊。実験体に捕らわれる】


ネタに困ると、長くなるみたいです……すいません。
D:リョジョーk……になるんでしょーか。
それでは、誤字脱字修正ありましたら、指摘よろ。
300名無しさんだよもん:02/09/21 03:27 ID:5l+WHYFm
どんどん朝鮮製関連の事態がおかしな方向に……とは言い過ぎですか。
話は面白いんだけど、漏れはちょっと首を傾げてしまうな……
301名無しさんだよもん:02/09/21 03:52 ID:zLtlqJnb
まぁ、スペアボディに「12体」という制約をつけたのは如何とは思うが……。
それ以外は別にいいんじゃないかと思うが。
ロワも主催側はジョーカーなり神奈なりで迷走したからなぁ。

とゆーか、本当にD:リョジョーk……なのか?
まぁ、それはそれでいいが。
302名無しさんだよもん:02/09/21 04:30 ID:KSXMPGtP
る、瑠璃子さーん、出番だってばー!!
303名無しさんだよもん:02/09/21 05:23 ID:7xRunLL9
>繰り返される過去

話としてはなかなか面白かった。
楓らしさが出てていいと思う。
ただ、耕一の時と比べて楓が少し強い気がした。
けど、そこらへんは愛のなせるわざということで、あまり気にならなかったのです。

この話にちょっと疑問に思ったことが多少あり、
>私と直接接触した2番目の参加者だ
やっぱり、こういう場合セバスは数に入れないのかなと思った。
流れて的にはいれない方がいいけど、事実は接触してるわけだし、そこらへん微妙ですね。
それともう1つは、コピーが12体あるというところですが、かなり前の作品で
残り2体と書かれていたような気がした。そこらへんはどうなるのでしょう?
参照:89話「ああ苦悩」
304名無しさんだよもん:02/09/21 21:17 ID:oFB7cLvA
リョジョーク書きたいなぁ……
でも正直今の葉鍵板で受け入れられるかが心配。
305名無しさんだよもん:02/09/21 22:32 ID:8U88eI9e
D:リョジョーkきぼんぬ
306名無しさんだよもん:02/09/21 22:34 ID:5brcnWhU
数の修正はわりかし簡単だと思う。
瑠璃子さーん・・・・・
307名無しさんだよもん:02/09/22 16:25 ID:yBHA08qb
うむ、めっきり書き込みも減ったな…
308名無しさんだよもん:02/09/22 21:00 ID:KdUJO1Vo
新作が上がるのが一番なんだが、と人に欲しがってても仕方ない。
自分で書かなきゃな・・
309名無しさんだよもん:02/09/22 21:05 ID:+mPKnhGz
ジュラシックパーク見て勉強するか…
310名無しさんだよもん:02/09/22 21:41 ID:jd4Seprq
>>309
ロストワールドの時も同じような事を言ったヤシが居た気がするw
311雲丹:02/09/23 01:05 ID:VJ6yEf/5
メンテ
312名無しさんだよもん:02/09/23 10:49 ID:m3zVO1mN
陵辱描写を飛ばして陵辱後にするとか。
陵辱シーンはどっかの糞スレにでも書いてリンクさせとけば
見たくない人は見なくて済むし。
313名無しさんだよもん:02/09/23 17:05 ID:K5onJ88l
>>312
いいんでない?
314名無しさんだよもん:02/09/23 22:23 ID:ZuxDnzB5
よし!>>304!君の出番だ!w
315名無しさんだよもん:02/09/24 18:33 ID:XLfVn0QK
話の展開としてリョジョークがあるなら普通に書くべきだろ。
ロワと比べるのもあれだけど、あれでもあかりのリョジョークはちゃんと後々まで尾を引いてたし。

が、リョジョークが目的で、話の展開は二の次ってぇなら書かないでほしいぞ。
リョジョクはヒく人がいるのは確かなんだから。
316名無しさんだよもん:02/09/24 22:34 ID:Vzxx9xoT
オイオイ、陵辱確定かよ(w
ってか鯖ってLF97準拠だから楓両手足封じられてもまだ打つ手あるんだけどな。
317名無しさんだよもん:02/09/24 23:11 ID:NPX1i/Ug
まあ、基準とか陵辱とかここで色々言ったところで、次の書き手次第なんだけどな。
318名無しさんだよもん:02/09/24 23:12 ID:LJIKs71U
リョジョークな展開にするなら催淫効果残した方が良かったんじゃねぇ?
強酸性の血液なんてエイリアンな設定つけずにさ。

でもあれか、リョジョークするなら素面で嫌がってるのをやったほうがいいって判断か。
うーん、マニアめw
319名無しさんだよもん:02/09/24 23:34 ID:KX1BMmIK
陵辱もありだと思うが、あまりヘビーなのは勘弁。
ただでさえ新規が来にくい古今のリレー小説スレなんだから、昔誰かが書い香里×栞の話程度のHさで十分だと思う。
320名無しさんだよもん:02/09/25 00:10 ID:o1aWalac
嫌がるのを無理矢理やらずして何がリョジョークかw
321名無しさんだよもん:02/09/25 01:03 ID:pgpyCEiV
陵辱が書きたいのかハカサバが書きたいのかどちらかにしてもらいたい。
322名無しさんだよもん:02/09/25 02:30 ID:TWgn9Le0
だから>>312でいいじゃん。
323名無しさんだよもん:02/09/25 03:10 ID:rTP5j6Pf
>>312
わざわざリンクはってまで別な場所に書くなら最初から書くな、といいたい。
無くてもいいような陵辱シーンを書きたいだけならそれこそ別スレでどうぞ。
324名無しさんだよもん:02/09/25 03:23 ID:zJVY3lKn
今なら言える…


 <(_ _)>
どうかこのとおりだから止めてくれ>陵辱
325名無しさんだよもん:02/09/25 06:41 ID:fbjSMguJ
一つだけ言うとなれば
リョジョークか否かという事は、OKNGの判断とは何の関係もないということだ。
326名無しさんだよもん:02/09/25 10:50 ID:ZWQdzatm
今回の話は陵辱って案が先にあって、後から話をつけくわえたデキレースだしな。
正直、そういうやり方は萎える。
327名無しさんだよもん:02/09/25 11:11 ID:dOMZdXqA
>>326
禿同。
陵辱したいだけならわざわざここでやらんでも(以下略)
328名無しさんだよもん:02/09/25 11:30 ID:5K1Ltpiu
>>326
同じく禿同。
読み手のウケをねらうってのも悪くないが、
そのせいで書き手達が本来書いていきたい話が書けないというのはどうかと思う。
今回の陵辱の件でも325のレスがなきゃ陵辱以外NGっぽいもんな。
もっと書き手を生かしたスレにしたいものだ。
329名無しさんだよもん:02/09/25 13:25 ID:NLfzkyMI
アンコールキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
330名無しさんだよもん:02/09/25 19:11 ID:TVvm5eUV
書き手を生かすって・・・・例えばどういうふうに?
331名無しさんだよもん:02/09/25 21:01 ID:qJ8Vbo8T
感想とリクエストをはき違えない、とかな。
リクエストなんて無視して自分の書きたい展開を書けばいいじゃん……とか思うかもしれないが、書き手からすれば精神的にくる。
たとえば今回みたいにリクエスト過剰な状態だと、陵辱無しの話をアップするには結構度胸がいる。

まあ、軽いリクエストならともかく、書き手を誘導しかねない書き込みは、すなわち書き手を殺す書き込みだろうな。
332名無しさんだよもん:02/09/25 21:28 ID:In59eI6S
>>331
なるほど。感想は感想だしな。

リクエストするくらいなら自分で書いてみよう。漏れは無理。だからリクエストしません(w
333名無しさんだよもん:02/09/25 22:12 ID:+/9n6FrF
昔の長森浩平あたりのほのぼのラブが(w
334ちっぽけな勇気:02/09/25 22:31 ID:syqZEZ1w
「あの子は、大丈夫なんでしょうか……」
 言いながらドッペルゲンガーを思い出したのか、沈痛な面持ちで敬介は階段を上がっていく。

「ああ、セリオならなんとかしてくれる。あの場を任すのは彼女が一番適任だ」
 一方、敬介の前を走る長瀬主任は、こちらを振り返ることなくそう断言する。
「それに私達が今すべき事は、最上階にあるコンピュタールームの制圧だ。急ごう」

 と、長瀬主任が六階の階段に差し掛かった時。

「すいません!」
 その声とほぼ同時に、
「マルチ! 何をしている!」
 彼女がなにを考えているのか解かったのだろう。
 階段を駆け下りていくマルチを、長瀬主任と敬介は全力で追いかける。
 
 五階、四階、三階。
 
 そして階段が二階に差し掛かる頃には、もうその差はほとんど詰まっていた。

「お前が言ってもなんの役にもたたん! 大人しく戻ってくるんだ!」
「ダメです! セリオさんが一人頑張っているのに、
 同じロボットの私が何もしてないなんておかしいです!」

 そう言って、マルチがさらに下の階段に消える。
 すぐさま、その後を追いかける二人。だが。

 ガシャアアアアアアアン!

 寸前、一階へと続くその道にシャッターが下ろされる。
「なっ! なぜ今更システム動く? くそっ! マルチ! 戻って来い!」
335名無しさんだよもん:02/09/25 22:33 ID:syqZEZ1w
【マルチ セリオの救援に向かうために一階へ】
【西側の一階へと続く階段はシャッターによって移動不可能に】

余りにも進まないためにちょっとホテル組みを進めてみる。
内容は一レス強しかないけどなw
336名無しさんだよもん:02/09/25 22:37 ID:H8RDEfom
おつ。状況から考えて朝鮮製が監視してるのかな。
337名無しさんだよもん:02/09/25 22:54 ID:VfD9Smb2
>>336
まぁそれこそ書き手次第だしな。
んでやっぱこういうのこそリレーっぽいっていうか。
短い話(1,2レス程度)をがんがん上げていった方がいいよな、これなら比較的簡単にかけるし
338名無しさんだよもん:02/09/25 23:28 ID:FsVB8Hhp
>>337
そうだな。我々は原点を忘れていたのかもしれない。
339名無しさんだよもん:02/09/26 00:13 ID:i/IclbVY
そういやぁ1レス程度の話って本当に久々だな。ある意味新鮮
340名無しさんだよもん:02/09/26 21:10 ID:lcmVT9bu
朝鮮製は忙しいなw
341名無しさんだよもん:02/09/27 22:29 ID:+ksSOTeq
随分と介入が多い気もする
342サバゲの人 ◆SUbcHrtA :02/09/27 23:40 ID:7t/v2EGx
サバイバル関連はここ
と。

http://hobby.2ch.net/gun/
343極秘:02/09/27 23:41 ID:zfYtO3Eu
344名無しさんだよもん:02/09/28 01:34 ID:Td7WSek5
>>342
マジレスすると、サバイバルはサバイバルでも、サバゲじゃなくて『魔物の巣くう島で生き残れるか』系のサバイバル。
345名無しさんだよもん:02/09/28 21:59 ID:ZXjc1Ub8
携帯からメンテ
346@:02/09/28 21:59 ID:FDD27ryJ
★期間限定完全無料★
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347least 60:02/09/29 00:09 ID:9BhjWYbc
無機質で、無慈悲なアナウンスが施設内に響き渡った。
香奈子の発言以来、時が止まったかのようにその場を動く事の出来なかった矢島の思考能力は、そのアナウンスを聞いた直後にようやく機能を復旧させた。
[全隔壁の降下を確認 二次災害防止ならびに機密維持のため1時間後に本施設は爆破されます 
エマージェンシーロックを解除 本施設の全ての扉の鍵は解除されました 施設内に残留している職員は速やかに施設南の緊急脱出口より退避しなさい]


「……ッ!」
矢島は青ざめた。
爆破、確かにそう言っていた。それがどんな規模のものであれ、施設内に居る自分達がそれに巻きこまれて助かる確率は
ゼロと見て良いだろう。とすればやる事は一つ、脱出だ。
「ねえ」
そこまで考えた矢島の思考を遮ったのは、香奈子の矢島を呼ぶ声だった。
「するんでしょ?」

「お……太田さん、今はそんな事を言ってる場合じゃ……」
「どうせ、死ぬのよ? だったら、その時までなにをしててもいいと思わない?」
感情のうかがえない顔。どろりと濁った眼。両端が少しだけ持ちあがった唇。
矢島に僅かな焦燥が芽生える。それと同時に、心の何処かで彼はこんな声を聞いた。

-----------こんな気違い女、置いていけば良いじゃないか----------
----------足手まといを連れて行く時間的余裕があるのかい---------

たしかにその通りだ。置いていけばいいだろう。太田さんを連れて行かなければどれだけ脱出が楽になるか知れない。
時間的余裕も確かにない。一時間後に施設もろとも挽き肉になりたくないのなら、今すぐ行動を開始すべきだ。
(……だが……)
348least 60:02/09/29 00:10 ID:9BhjWYbc
俺は知ってしまっている。太田さんがその「事件」の間どういう目に遭っていたか。
そこに至る経緯、その後彼女がどうなっていたかまで、事件に関する記憶をその狂気と共に俺は共有してしまった。
誰か第三者が記憶を封印するだけでは事足りるには、その事件は根が深過ぎた。
げんに、狂気と電波のリバウンドに耐えられなかった太田さんは、ツキシマと言う奴の操り人形だった頃に戻ってしまった

そう、俺は知り過ぎたのだ。
だから……いた、そうでなくても……きっと、そうだっただろう……
たとえその事を知らなくても、俺は太田さんを置いて逃げたりはしなかったはずだ……
つまらない同情? 気まぐれ? 下心? ……好きに言ってくれればいい。


「……」
無言のまま、矢島は香奈子を抱きしめた。
この行動に出た理由が自分でもわからない。もっと他にうまい方法はあったのかもしれない。衝動的に行動を起こす癖を何とかしなければ。
「……」
何故か、香奈子は何も言わなかった。
「太田さん……今は、そんな場合じゃない。俺も太田さんも、死んじまったら意味がないんだ……
ここから二人とも脱出できたら、俺を太田さんの好きに使っていいから、だから、今は俺に従ってくれ、頼む……!」

矢島は、香奈子の顔を見た。香奈子は、きょとんとした目つきでこちらを見つめている。
何を、言われるだろうか? 矢島は緊張した面持ちで、返答を待った。
(……あ)
ふっ と、香奈子が笑う。先ほどまでのいやらしい笑みではなく、自然な微笑み。けれども口調は、やはり先ほどのまま。
「……うん、わかった」
濁った瞳、感情無き声、一瞬見えた微笑の真意は分からぬままに。
「言う通りに、する」
349名無しさんだよもん:02/09/29 00:11 ID:9BhjWYbc
【研究所 一時間後に爆破】
【研究所内の全ロック解除】
【「緊急事態」の正体は不明】


停滞気味の矢島ペアを進めてみました。
ツッコミ等ありましたらよろしくおねがいします。
350合流、そして別れ:02/09/29 02:21 ID:9OY4NH1v

「初音!」
「千鶴お姉ちゃん!」
 聞き慣れた声に、初音ははっと顔を上げた。
 ようやく再会できた姉に気が緩み、初音は涙を浮かべながら、千鶴の胸に飛び込む。
「千鶴お姉ちゃん……怖かったよぉ……」
「初音…ごめんなさい……もう大丈夫だからね」
 小さな妹の身体をしっかり抱き締めながら、千鶴はひとまず安堵の溜息を漏らしていた。
 そうして、初音を抱き締めたまま、岩切、すばる、きよみと視線を動かし、倒れている梓に目を留めた。
「どなたかは存じ上げませんが、ずっと初音を守って下さって、ありがとうございます……
 それから、梓が迷惑をおかけしたみたいで……」
「ああ……いや、私にも責任の一端がある」
 人魚の事を知っている岩切は、いまいち歯切れが悪かった。
「おい岩切、お前何を知ってやがる」
「……御堂か」
 千鶴の後ろに知った顔を見つけ、岩切は目を細める。
 クラーケンに襲われた時はどちらも必死で、とても顔を合わせる暇などなかったのだ。
「取り合えず情報交換といこうや……後、この胸のデカイ姉ちゃんが、何で気絶してんのかも知りたいしな」
 御堂の提案に、全員に異論はなかった。
 一応周辺は安全だという事で、千鶴、初音、御堂、岩切、それに志保にすばる、きよみの七人は、車座になって焚火を起こす。
351合流、そして別れ:02/09/29 02:22 ID:9OY4NH1v

「ふぅい、やっと飯にありつけるぜ」
 背負ってきたリュックからなけなしの食料を出し、御堂は溜息をついた。
 ビスケットに干し肉、それにドライフルーツの袋。
 それを無造作に口にいれようとした御堂は、じいいぃ、と見詰めてくる二つの視線に気付いた。
「………」
「ねーおじさん、それまさか一人で食べようってんじゃないでしょーねー」
「ちょっと酷すぎますの」
 志保とすばるの恨みがましい視線に、御堂の頬が引き攣る。
「か弱い女の子ズがこうやってお腹空かしてんのに、自分だけお食事?」
「お腹ぺこぺこですの……朝から何も食べてないですの」
「結局悪人なのよ、悪人。自分さえよければーって奴」
「自己チュ―な人って、嫌われますの」
「だあああーーーっ、わかったわかった! お前らにもくれてやればいいんだろ!!」
 ふたりの畳み掛けるような口撃に、さすがの御堂もお手上げだった。

 志保とすばるは顔を見合わせると、にっと笑って、手と手を打ち合わせる。
「なかなかやるわねー。あたし長岡志保。よろしく」
「御影すばるですの☆ 志保さんとはお友達になれそうですの」
 さっそく御堂からドライフルーツを奪い、袋を開ける。
「えっと……そこの……」
「きよみよ、長岡さん」
「きよみさん、何食べる?」
「そうね……何があるのかしら?」
352合流、そして別れ:02/09/29 02:24 ID:9OY4NH1v

 早くも打ち解けたらしい3人に、御堂は渋い顔でビスケットを口にほお張る。
「……くそ、志保だけでもうっとおしいってのに、3倍になりやがった」
「それよりも御堂、貴様犬飼について、何か掴んでいるのか?」
 こちらは干し肉を齧りながら、眼光鋭く岩切が問う。
 御堂はちらりと、梓の看病をしている千鶴に目をやって、肩を竦めた。
「収穫はゼロだ。仙命樹があっちこっちに使われてる所から見ても、仙命樹の実験場になってるのは確かだろうが」
「………そうか」
 岩切は目を閉じると、残りの干し肉を無理やり口の中に捻じ込んだ。

 食事がてら、岩切たちはお互いに情報を交換し合った。
 鬼の血のこと、仙命樹のこと、人魚の島のこと、そして梓の仙命樹の弱点のこと……
「……そうか、太陽光……紫外線か。つまりお前と同じってわけだ」
 梓の顛末を聞き、御堂はいわくありげに岩切に視線を落とした。
「人魚の仙命樹を得た事から、薄々予感はしていた。
 人魚に使われていたという事は、私と同じ処理を施され、耐水性を上げられた仙命樹だろうからな」
 今だ目を覚まさない梓を見て、岩切は溜息混じりに呟いた。

「岩切さんしつもーん」
「何だ……確か、長岡と言ったか」
 志保がひょいと手を挙げ、岩切に訊ねる。
「太陽光線に弱いって事は、梓さんはこれから一生、外を出歩けないの?」
 志保の質問に、千鶴と初音はぎょっと岩切を見た。
 岩切は顔をしかめて、じっと梓の寝顔を凝視する。
「……わからん。梓の中の仙命樹がどうなるのか……鬼の血とやらと反応して変化する可能性もあるが……」
353合流、そして別れ:02/09/29 02:25 ID:9OY4NH1v

「梓さん、可哀相ですの……」
 ついさっき殺されかけた事も忘れ、すばるは同情する。
 志保も自分と似た所があると聞いているだけに、複雑な表情をうかべた。
 ぱちぱちと爆ぜる炎を見詰め、千鶴はゆっくりと首を振る。
「これは、梓が選んだ事です……なるようにしかならないでしょう」
「それはそうだけど」
 釈然としないまま、志保は炎に枯れ木を放り込んだ。
「……このままこうしていても始まらねぇ。さっさとホテルに向かいてぇんだが……」
「御堂さん、私はここに残ろうと思います」
 思わぬ千鶴の発言に、全員がはっと彼女を見詰めた。
 千鶴は膝の上に乗せている梓の髪を撫ぜ、ふっと優しげな表情を浮かべる。
「梓の問題は、柏木の問題です……この私が何とかします。
 ですから、その間御堂さんたちは、先にホテルに行ってください」
「千鶴さん……」
 心配そうな志保に笑いかけ、千鶴は真っ直ぐ御堂を見た。
「………わかった。その代わり、無理するんじゃないぞ」
「ええ。御堂さん、初音と志保ちゃんを、よろしくお願いします」
「お姉ちゃん………私一緒に……」
 だが、千鶴が厳しい表情で首を振ったのを見て、一瞬泣きそうな表情を浮かべたが、すぐさまそれをぐっと飲み込んだ。
 動けない梓だけでも足枷になるのに、これ以上お荷物が増えたら、千鶴の危険が増すだけなのだ。
「大丈夫、初音。梓が目を覚ましたら、私もすぐあなた達の後を追うから」
 御堂は髪をがしがしを掻き毟り……ふと、目を丸くしている岩切に気付き、唇をへの字に曲げる。
「何だ、何か言いたい事でもあんのか」
「…………まさか、お前が女に優しい言葉をかけるとは……天変地異が起こらねばいいが」
「……うるせぇ」
 本気で心配している岩切に、御堂はますます顔をしかめた。
354名無しさんだよもん:02/09/29 02:27 ID:9OY4NH1v

【岩切・初音・すばる・きよみ組と、千鶴・御堂・千鶴組合流。情報をディスカッション】
【千鶴・梓、その場に残る。残りのメンバーはホテルへ】
【梓の意識はまだ戻らず】


大所帯な面子は動かしにくいです。
355名無しさんだよもん:02/09/29 19:20 ID:8HqUhofZ
オオッ! 漏れが出張で一日家を空けてたら新作ラッシュかよw

>least 60
 香奈子は正気に戻ったわけでもなさそうだし……施設は何が起こるか目が離せませんな。
>合流、そして別れ
 徐々にここらへんのメンバーも動き出してきたな。
 千鶴と梓との会話が楽しみ楽しみ。
356名無しさんだよもん:02/09/29 21:47 ID:v5tvD4Av
矢島組は先が気になる終わり方だな、面白い。
ところでもう全グループ二日目に入ったよな?
357名無しさんだよもん:02/09/29 22:36 ID:tZIBPrde
英二組は施設をでたら夜が明けたってことでいいかもな
358名無しさんだよもん:02/09/30 13:15 ID:5meRfo7X
そういやぁ食料問題ってどっかのスレででてたよな?
食べ物が無くなって餓死って有りなの?
359名無しさんだよもん:02/09/30 13:43 ID:GxGx+5Y8
それもまたRRということでアリかと。
でもよっぽどのことが無い限り餓死はなさそう。
人間、何も口にしなくても3〜4日は死なないからね。
腹減って力の出ないところに襲われて、走れずに死ぬというくらいでは。
360名無しさんだよもん:02/09/30 15:31 ID:jfFxjNiB
>>359
 IDがすげぇw
>>358
人数の多い組は3日目ぐらいになったらその問題がでてくるかもな
361名無しさんだよもん:02/09/30 23:55 ID:cWg+6CYo
3日目後半までにはある程度完結に向けて動いておきたい所……
362名無しさんだよもん:02/10/01 06:16 ID:oI5QEhFv
でも残り少ない食料を奪い合うような展開は
葉鍵キャラだと難しいかな?多少ピンチでも遠慮しそうなやつばっかだし。
よっぽど飢えて肉体的、精神的に追い詰められていないと。
363名無しさんだよもん:02/10/01 11:06 ID:zrFme6qy
そんな事するの高槻ぐらいしか思いつかないな。
いざとなったら怪物倒してそれを食料にするかもね。
364名無しさんだよもん:02/10/01 11:09 ID:5oXYtRzD
国崎チームは絶対イカ食うと思う。
365名無しさんだよもん:02/10/01 12:01 ID:Q6HYiFc5
奴ならやりかねんなw
366名無しさんだよもん:02/10/01 14:32 ID:D0D86tYB
八月総作品数 12本
九月総作品数 14本

ちょっと本数UPw
367名無しさんだよもん:02/10/02 19:12 ID:sYDFWWzN
思うところあって葉子さんのパーティ書こうと思ってるんだけど友里って不可視の力使えるの?
月やってないし、ハカロワじゃ友里瞬殺だったから良く解らんのだけど。
368名無しさんだよもん:02/10/02 20:39 ID:dtAi2i0v
確か使えなかったと思うが自信が無い。
解かる人答えてくれ。
369名無しさんだよもん:02/10/02 23:03 ID:XpmFzpAI
使えない
370名無しさんだよもん:02/10/02 23:16 ID:UbkCoHvw
ロスト体になって暴走はしたが
371名無しさんだよもん:02/10/02 23:47 ID:OIR/3y5B
不可視の力は郁未と葉子以外使いこなせない模様。
晴香と友里は発動したが最後暴走…だったような。

ところで不可視の力の習得方法・条件ってどんなだっけか。
なんか少年とやってるのが条件であとはトラウマほじくってればOKだったように覚えているのだが。
372名無しさんだよもん:02/10/02 23:59 ID:Hay0j7vE
というか、不可視が使えるかどうかすらわからんのにそのキャラ書こうってのは勇敢だな。
せめて一人称とかくらいは調べてくれよ?
373雲丹:02/10/03 03:09 ID:GleLcTIS
月やった事ねぇ……
374名無しさんだよもん:02/10/03 17:42 ID:oszh0AbF
メンテ
375名無しさんだよもん:02/10/04 01:47 ID:SheEg/ek
ここの所、ずっと人が居ないな……
376「巻き起こる風」:02/10/04 22:29 ID:C9khsdDM
「なんで、何で死なないんだ!」
そんな疑問が湧き出たのは、数発『力』をその巨躯に叩き込んだ時だった。
手は抜いていない、いやむしろ完全に殺しつくす為に全力でいっている。
少年の持つ常識では、どんな生物も内側を破壊されれば死は免れない。
その常識の元、少年は怪物の体内に『力』のベクトルを向けていた。
だが倒れるはずの怪物は何事も無かったかのように猛然と襲い掛かってくる。
凄まじい拳圧が鼻先を掠める、拳の過ぎ去った後には突風!
その風に遊戯場のビリヤード球が弾け飛ぶ。

…何かがおかしい

すんでの所で拳をかわしながら少年は違和感を感じていた。
この巨躯の怪物に『力』を放っても、空に放った時のように手応えが全くないのだ。

信じられない…いや、認めたくない話だがこいつの中身はハリコの虎のようにカラッポなのだ。
何も無い、骨格も血も肉も臓物さえも!
外皮だけの生命体。
そんな生物がいるのか?
いや、現実にいたとしても、どうやって床をブチ抜けたんだ?
どんなに巨大な肉体であれ、質量の無いハリコの肉体でそんな力は出ないはずだ。
377「巻き起こる風」:02/10/04 22:32 ID:C9khsdDM
理解は出来ないが、現実にこの巨躯の怪物はかなりの速さで動き、少年を端へ端へと追い詰めている。
苦し紛れに外皮へと『力』を放つも怪物の纏う何かによってダメージを与えられず、
後ろに弾き飛ばし間合いを保つ程度の効果しか得れなかった。
それならばとビリヤード台を吹き飛ばし、その巨体に叩きつけるも全くの無傷。

分からない
どうすればこの化け物を倒せるのか

分からない
この外皮だけの生物がどういう構造で動いているのか

分からない
あの体で床をブチ抜いた、そのトリックが

ただ分かる事は、このクソッタレで最低な問題を解かなければ、そこには死しかないということだけだ
そんな方法を僕は見つけられるのか?
少年は自分の常識を超えた現実にひどく狼狽していた。

人間に酷似した巨躯の怪物はハタハタとコートを風に翻し、少年にジリジリと迫る。
不可視の力を封じられた今、少年と怪物の立場は超常個体どうしの闘いでは無く、
人間と化け物の一方的な闘いへと変貌していた。
378巻き起こる風:02/10/04 22:33 ID:C9khsdDM
そんな絶望の中、少年はちっぽけだが奇妙な現象を発見した。

     風

どうして窓の開いていないこのホテルでこんな風が吹くんだ?

見逃してしまう所だった
普段なら気にも留めない風
怪物の体躯からコートをはためかせ漏れる大量の風
怪物が高速移動や攻撃する時に必ず吹く風
生きるために本能が引き当てた勝機。
理由など分からない。
ただこれだけは言えるこの『風』が本能に裏打ちされたトリックのヒントであることを。
絶望に包まれていた少年の脳裏に文字道理、一陣の風が吹き抜ける。

もしこいつが自由に風を操れるとしたら…
そうこのカラッポな肉体も空気圧を生み出すための装置だと考えるなら全てに説明がつく
ダメージを与えられなかったのは、おそらく空気圧を体内で操れることにより
あいつの肉体の周りに風の防護層を作り上げ、『力』を拡散させたからだろう
床を砕いたのも空気圧で説明がつく
つまりはこいつの周りから空気を無くせば、行動不能になるわけだ
少年の顔にいつもの余裕が生まれる

「さぁ、終わらせようか――自分の常識を超えた現実ってやつを、ね」
379巻き起こる風:02/10/04 22:38 ID:C9khsdDM
【少年、七階遊戯場で戦闘】
巨躯の怪物は中身が無くハリコのような肉体
能力はその空白を生かして空気圧を体内で操る

少年の話が進まないので書いてみました
至らない所もございますが、読んでもらえれば幸いです
380名無しさんだよもん:02/10/04 23:24 ID:ZvVbKHsg
>巻き起こる風
 前の話で巨躯の怪物は名前の通りかなり大きめなモンスターだったはず。
 『あの体で床をブチ抜く』という表現は少し適切ではないかと。
 あと少年が少しオロオロし過ぎなんじゃないかと、どんな状況でも奴は常にポーカフェイスなんじゃなかったかな?
 でもそれ以外は前の話も上手くリレーしているし面白かったと思うよ。
381名無しさんだよもん:02/10/06 01:26 ID:cw8cQ4+s
もうだめぽ
382名無しさんだよもん:02/10/06 01:29 ID:XHH2j47m
駄目なのか… もう誰もこのスレ見てないのか…
383名無しさんだよもん:02/10/06 01:48 ID:Rwz3U/eJ
みてるよ〜〜〜
384名無しさんだよもん:02/10/06 02:30 ID:9y2g5wtX
メンテ・ナンス
385名無しさんだよもん:02/10/06 03:35 ID:mTLsZvJO
見るだけならね。
386名無しさんだよもん:02/10/06 06:17 ID:xIRW8aEa
しかし編集サイトを編集しなくなったらもう終わりだな。
387名無しさんだよもん:02/10/06 21:08 ID:QKvOwEOb
逃亡したのかな……
388心理戦(1/3):02/10/06 23:50 ID:PPF1X2WI
「単刀直入で言うわ…私に手を貸しなさい」
 ユンナが麗子を見下しながら要求を簡潔に言った。
「…ホント、一言で言ってくれるわね」
「答えだけをYES、NOかで言いなさい」
「貴方は誰?目的は?理由は?主催者との関係は?」
 麗子はユンナの言葉を無視して捲くし立てた。
「石原麗子、貴方は本能的に私の存在を知覚してるはずよ」
 ユンナがゆっくりと地面に降りる。
「ねえ、『野生』の仙命樹の摂取者さん?」
 麗子の眉が少し動く。
「へぇ…そこまで知ってるの。よく調べたわね」
「それだけではないわ。人類で初めて仙命樹を摂った人間でもある」
「ご苦労なことを…そんなことまで調べたの。天使ってのもわりかし暇な生物なのね」
 麗子はショットガンで肩を叩きつつ苦笑した。
「じゃあ、そこまで勝手に私のプライベートを知ったのならば、次は私の番よ。貴方の目的は何?」
 麗子もまた核心をついてきた。
「聞いてどうするつもり?」
「貴方の要求に対しての回答に影響するわ」
 ユンナが少し黙った、おそらく言うか言わぬかを迷っているのだろう。
「このゲームを止めたいから」
「嘘を言わないで」
 ユンナが答えた回答に麗子は即断で嘘と決めた。
「判断が早いわね」
「貴方の雰囲気がそう言わせるのよ。貴方が人間という存在価値を見下している雰囲気がでまくりなのよ」
389心理戦(2/3):02/10/06 23:51 ID:PPF1X2WI
「…わかったわ、貴方に嘘は通じないというのね…。いいわ、本当のことを言ってあげる」
 ユンナの目つきが少し変わった。
(やっと本腰をいれてくれるのか…)
「私はただウィルと暮らしたいだけよ、それにはただ天界が邪魔だけよ」
 ユンナが枯れ木を掴み、そのまま言葉を続ける。
「貴方なら、邪魔者がいてどうしても手に入らないものをあるとしたら、どうする?」
「それは絶対必要なもの?」
「そう、それがないと生きていけないもの」
「なら、どんな手を使ってもその邪魔者を排除するわね」
「私はそれを実行するだけ。しかし一人で天界に反抗するのにも力が足りない」
 ユンナの言葉に麗子が続ける。
「なら、足りないものは足せばいい」
「力を手に入れるには魂を食らえばいい」
「それでこのゲームを考えついた…」
「この島には異能者が多数いる、それらの魂も得ることができれば、更に力がつく」
 麗子が黙っている、それに構わず彼女は続ける。
「天界でトップになれば、私とウィル二人だけの世界が作れ、願いも叶う」
 麗子は一瞬考えたが、しっかりとユンナの顔を見て答えた。
「答えはNOよ」
「…そう…無駄だと思うけど理由だけも聞かせてくれない?」
「私にとってメリットがない、それに…」
 麗子が苦笑を浮かべる。
390心理戦(3/3):02/10/06 23:53 ID:PPF1X2WI
「貴方はさっき『私とウィルの二人だけの世界』と言った、つまり仮に手を貸したとしても用が済み次第、私を殺し、全人間も殺すということよ」
 ユンナの顔が険しくなる。
「正義感振るうつもりないけどね、間違ってもそんな要望には答えられないわ」
「クズのくせに私に歯向かう気か」
 枯れ木を落とす、だがその枯れ木は地に落ちる前に灰になる。
「なら、これならどうする?」
 ユンナが魔法で純白の光球を手から生み出し、あさひ達の寝ている小屋に手を向ける。
「ならば、こうするだけよ」
 ユンナの目のから麗子が消える、ユンナは顔を横に向ける。
 麗子のショットガンの銃口が至近距離で頭に向けられていた。
「この距離なら確実に貴方を殺せるわよ?」
 ユンナの脅迫に対して、麗子も脅迫で対抗した。
「…交渉決裂ってわけね…いいわ、引き下がりましょう…」
 ユンナが魔法を収める、それに合わせて麗子も銃を下げる。
「次、会うときは良い回答を期待してるわ…」
 ユンナが羽根を散らしながら飛び立った、麗子は彼女の姿が消えるまでユンナの舞った空を眺めていた。
「可哀想な娘…」
 麗子が大きくアクビをした、周囲は少しづつ明るくなってきている。
「もうそろそろ朝ね…少し仮眠でも取りましょうか」
391R1200:02/10/06 23:54 ID:PPF1X2WI
【ユンナ、が判明。麗子との交渉決裂に終わる】
 荒れるの覚悟でユンナの野望を作ってしまいました。
 麗子の設定も、自分の予測で作ってしまいました。指摘とかお願いいたします
392名無しさんだよもん:02/10/07 00:49 ID:DJ9TVeGb
>新作
俺的にはここで一勝負あったほうが面白いかなぁとおもったけど間かこれはこれでアリかと。
ユンナの目にはやはりウィルしか写っていないのか……
393名無しさんだよもん:02/10/07 01:52 ID:KA/a/BAI
別に内容自体は構わないんだけど……。
微妙に59話で語ってる野望『魔力を溜め込んで展開にモンスターを発生させ、混乱してるスキにウィルを助け出す』とくらべると、
今回はなんか無理矢理なこと語ってるなぁって印象が。

正直、天使の階級による力の差は人間だとか鬼だとかの魂を食らった程度じゃいかんともしがたいと漏れ的には思うしな。

とりあえず、魂を集めてユンナ自信が直に食らうのか、それともそれを使って何かするのか、そこらへんの詳しい説明が欲しかった……。
394名無しさんだよもん:02/10/07 21:32 ID:x6nmzHs2
メソテ
395名無しさんだよもん:02/10/08 01:17 ID:JRCqn3MB
>>393
まぁ、その辺りは後の書き手がフォローするということで。
そう言えば、ウィルはユンナに反対ぽかったよなぁ……
396名無しさんだよもん:02/10/08 21:32 ID:xbzOe2Gg
葉鍵サバイバルサバイバルの生き残りコテハンは一人だけか……。
397名無しさんだよもん:02/10/08 23:04 ID:XXRW5evX
まぁ仕方ないだろ
398ミーティング:02/10/09 00:51 ID:34Pesjvi
 対峙は一瞬。
 サラを殺した男のフードが大きく広がる。直後、無数の鋭い光が空を切り裂き飛んでいく。
 狙い過たず、光はある一点、ティリアの急所めがけて宙を走る。ティリアは回避行動に移ろうとはせず、少し腰を落とした。
 光がティリアの体に触れるその刹那、ティリアの剣が半円の美しい軌跡を描いた。
 ティリアとて元をただせば光を司る戦士である。この程度の数のナイフを剣の一振りに打ち落とすのは造作もない事だった。
 軌跡に弾かれたナイフは耳障りな音を立てながら床に散らばり、それでもなお日を受けて強く、白く輝いていた。


 ……浩之が戦いの傍観者であったのは、そこまでだ。

 フードの男の一人と目が合う。……相手の目元が見えたわけではないのだが。
 なんにせよ、自分はアイツにロックオンされたらしい。そう思うと、クロスボウを握る手に汗がにじんだ。
 あいつらの目的がなんなのかは知らない。だが多分、奴らはモンスターなんかじゃない。何か目的があるだろう。
 これも朝鮮製とやらの差し金かもしれない。とすると、目的は皆殺しだろうか。

 どうあれ、守らなければならない。この通路を通してしまえば、奥に居るのはあかりと、祐介。沙織とエリア。あとピッケ。
 誰も、武器を持っていないのだから。
(あの傷だらけの男に、まともに戦う力があるとは思えないしな……ウィルって言ったっけか……)

 ……いや待て。ひょっとしたらこいつらが、ウィルの言っていた「追っ手」なのか……?
399ミーティング:02/10/09 00:52 ID:34Pesjvi
 話は少し遡る。
「……驚いたな。信じてくれるはずもないと思っていたんだが」と、ウィル。
 その場にいる全員は、ウィルの告白に特に異議を申し立てるような事は無かった。サラは見回りに行くと言い残して、席を外してしまっていたが。
「あいにく、荒唐無稽なことに慣れてしまったみたいで……と、つまり」
 何とか体が動かせるようになったらしいウィルは、その場にいる全員に、自分の身分と目的を明かすことにした。
 八方塞に過ぎる今の状況を考えると、早めに協力者を作っておく事が重要だと考えたからである。
「ジャーナリストのあんたが、天界政府の幹部の汚職を追っているうちに殺人犯の濡れ衣を着せられて投獄、ね……
 やる事はどの世界も変わらないって言うのかね……」
 うんざりした様子で浩之が呟いた。
「で、それが証拠のディスクって奴?」
 興味津々と言ったまなざしで、沙織がウィルの持つ板のようなものに目をやった。
 英語と梵字を駆け合わせたような呪文の刻印がなされたそれは、およそヒトの作りしものでないことは誰の目にも明らかだった。
「こっちは重要度Bってところだな。これでもあのクソジジイどもを告発するには十分なんだが……
 もう一つ、天界政府幹部以下全員の首を吹っ飛ばしてもツリが来るような証拠だってあるんだ。こいつもディスクなんだが」
「見せて見せて!」
「これは駄目だ」
「けち」
「沙織ちゃん……落ちついて」
400ミーティング:02/10/09 00:52 ID:34Pesjvi
「で、だな。ここで会ったのも何かの縁だ。さっきも言ったが、俺の目的はこの島にいるユンナって女に会うことだ。
 こいつが天界の……まあ警察みたいなもんか……そんな組織の者でな。信用できる。そこで、だ」
 ウィルは先ほどのディスク(には見えないが)を祐介に差し出した。
「え?」
「俺の見立てでは、ユンナが何かの形でこの島の事件に関わっている気がしてならん。そうじゃなくても、
 ユンナを見つけ出す事が多分ここからの脱出に繋がるはずだ。悪い話じゃないと思うが」
「……」
 無言のまま、祐介はディスクを受け取った。フロッピーディスクに似たそれは、しかしこの世界のものでないことは間違いない。
「多分、もうすぐ俺への追っ手が来る。だがお前らがそのディスクを持っていることは奴らは知らない。
 俺より、自由に行動できるだろう。どうだ?」
 発言権は、ディスクを託された祐介にある。祐介は少しだけ考える。この申し出は、自分達にとって吉と出るのか凶と出るのか。
 だが、脱出手段を手探りに探すところからはじめなければならない今の状況よりは、いくらか光明が見えている目的を取った方が良いのかもしれない。祐介は応えた。
「……受けますよ。今のところ、それが一番脱出に近い選択でしょうから」
 それを聞き、ウィルはにっと笑った。不敵な笑みではあったが、悪意は無いように見えた。
「決まりだな。よし、まずは……」

 ガラスの割れる音が廊下に響き渡ったのは、まさにそのときだった。
401By RTO:02/10/09 00:56 ID:34Pesjvi
 駆けていった浩之とティリアに一歩遅れて、ウィルは入り口に向かうべく背中から翼を広げる。
 鷲か、そうでなければ鷹といった空の王者と呼ばれる鳥の翼のように広がるそれは、まぎれもない天界人の物であった。
「ま、まだ無理をしちゃ駄目ですよっ! 応急処置に過ぎませんから!」
「分かってるさ。あんた、エリアって言ったっけな。恩にきるぜ。それと、祐介」
 名前を呼ばれ、祐介は顔を上げた。
「悪いがそのディスクの使い方を説明してる暇はねぇ。だから詳しい説明は省くが、そのディスクはレーダーみたいになってるんだ。
 光の波長をユンナの奴に合わせておいたから、ソイツが反応する方向に行けばユンナがいるはずだ。頼んだぜ!」
 後は振り向かず、一目散に入り口の方へと翼はためかせ飛んで行く。彼が戦闘地帯にたどり着こうかという、そのとき。


「サラアアアアアアアアアアッ!」


 悲鳴が、廊下を包み込んだ。


【祐介一行 ウィルの正体と目的を知る 祐介がディスクを受け取る】


お久しぶりで御座います。約2ヶ月ぶりにネットに戻ってまいりました。
リハビリ半分にウィルの目的を出してみましたが如何なものでしょうか……?
編集サイトもこれから更新作業に入りますのでしばしお待ちを。
それでは突っ込み、修正、誤字脱字ありましたら指摘をお願いいたします。
402名無しさんだよもん:02/10/09 08:40 ID:+D/6FDHR
晒し上げ
403名無しさんだよもん:02/10/09 21:42 ID:UmiNYJGt
晒されsage
404へタレ書き手だよもん:02/10/09 22:30 ID:YnvROugQ
便乗して登場w 毎日ちゃんと見てはいます。
実際書き手としては……スンマセン。
紙媒体の方の手直しが終わったら必ず戻ってきます。
405名無しさんだよもん:02/10/10 22:30 ID:kpqT/9Ou
早朝に晒し上げてやったのに感想一つついてないのかよ(プ
しゃあないから俺が”かんそうぶん”をつけてやるよ(リソ
ありがたく思えやクズどもが!(クイ
つっても最初から読むのめんどくせえから401のみな(テェ!

てんかいじんってきったねえいろのはねなんだけどかっこよいんだなあ
とおもいました。ところでサラアアアアアアアアアアッって
ひととゆんなってだれだろうとかんがえてしまいました。
あとれーだーってすてきですね。おしまい
406名無しさんだよもん:02/10/11 00:39 ID:jGbcbfaO
どんどん知性を失っていく<<405…
花束はあげておくから安心してください(。´Д⊂)゚。
407名無しさんだよもん:02/10/11 01:06 ID:LnunGwY0
荒ルジャーノンと名付けよう。
408名無しさんだよもん:02/10/11 22:00 ID:QJmK9nha
メンテ
409名無しさんだよもん:02/10/12 02:10 ID:NGkUkAnF
保守
410運に命を任せる、それが運命です:02/10/13 01:41 ID:eExAsqWK
悲鳴が聞こえた。
しかし、名雪はその悲鳴が誰のものか考えようとは思わなかった。
いや、思わなかったんじゃない、そんな余裕がなかったのだ。
名雪はしばらくその場で立っていることしかできなかった。

「え…今のゼリーみたいなのはモンスター?ということはさっきの悲鳴は…まさか」
名雪は一瞬壁に近づいて、向こう側にいる人達とコンタクトをとろうと考えた。
しかし、その考えはすぐに頭から消える。
なぜなら、名雪は見ていたからだ。ゼリー状のモンスターが壁の隙間を通っていくところを。
さらには、対モンスター用隔壁。例え、コンタクトがとれたとしてもこの壁に遮られている限り自分は何もできない。
それどころか下手に壁に近づけば、自分があのモンスター達に襲われてしまう。
「えーと、とりあえずこの場から逃げることが先決だよね」
名雪はそう言うと後ろを向く。
壁と逆の方向にはエレベーターが存在していた。名雪はそれを思い出し、エレベーターの方に走り出す。
2、3歩踏み出した時だろうか、後ろで「ビチャッ」という音が聞こえる。名雪は反射的に音のする方を振り返る。
すると、名雪がさっき立っていた場所にゼリー状のモンスターがゆらゆらと揺れながらいた。
もう少し走り出すのが遅かったら、と恐怖を感じつつ名雪は走るスピードを上げる。
名雪のいた場所とエレベーターはそんなに遠くはない。ちょっと走ればすぐ着ける距離にあった。
さらにはそのモンスターの行動は鈍く名雪の走力なら十分に逃げきれた。

走り出してから数秒、エレベーターに近づくにつれて安心感が増していく名雪。
しかし、その時エレベーターの奥にある階段から足音が聞こえる。
その足音はやけに重々しく聞こえ、安心しきっていた名雪にまた緊張感を走らせる。
すでに名雪の中ではその足音の主がモンスターであると確定していた。
スライム見たことにより、ホテル中がモンスターだらけと連想してしまっていたからだ。
411運に命を任せる、それが運命です:02/10/13 01:44 ID:eExAsqWK
 エレベーターの前に着いた後も足音は一向にやむことはなく、それどころかどんどんと近づいてくる。
 名雪はボタンを必要以上に押す。しかし、エレベーターのボタンは光ることはなかった。
 世間一般では、エレベーターのボタンは押すと光るようになっている。このホテルのものも例外ではない。
「もしかして、壊れちゃったの?」
 名雪は気弱に言う。実際、エレベーターは動く気配をみせなかった。
 その時、名雪は気がついた。それは自分がすでに逃げ場をなくしていること。しかも、再びスライムの方を見ると、
 スライムが増えていた。どうやら、まだたくさんいたらしく、他にもぞろぞろと通風孔から出てきていた。
 名雪はたまらず部屋の中に非難した。

 部屋に入ったものの、これで助かったとは思わない。
 早く逃げ道を探さなくては、そう思い部屋であたふたしていると、窓が目に入った。
 名雪は窓を開けて下を見る。
 高さ10階。どう考えたってここからは無理だ。下には運良く川が流れているものの、飛びこむ勇気などはなかった。
 しかし、今のところ窓以外に逃げ道はない。他に窓を使って逃げる方法はないかと窓の外を見回す。
 すると、名雪はとんでもないものを見ることになる。
 自分から右の方向を見ると、そこには真琴がいたのだ。
412運に命を任せる、それが運命です:02/10/13 01:45 ID:eExAsqWK
「あれは…真琴?」
 名雪がそう言うや否や真琴は窓のサンに足をかける。
「え!ちょっと…真琴!」
 名雪が慌ててる中、真琴はそのまま川に飛びこむ。「ドブン!」という音して、川には水柱が立った。
「…落ちちゃった」
 少しの間、沈黙が続いた。真琴はというと、川に飛びこんでその後は見失ってしまった。
 名雪の頭にふと今週の星座占いがよぎる

『今週のあなたの運勢は最高です!
 何事にもチャレンジしましょう。きっとうまくいきますよ。
 ラッキーカラーはブルーです。』

 窓から顔を出している名雪に風がふいてくる。
「やけに風が冷たいよ〜」


【名雪 部屋の中に非難】
【スライム 名雪を狙う】
【足音の主 不明】
413まかろー:02/10/13 01:46 ID:eExAsqWK
誤字・脱字指摘よろしくお願いします.
414名無しさんだよもん:02/10/13 02:13 ID:LnHan9rz
ハカサバの……もとい、名雪の存在なんてすっかりわすれてますた。
内容は次の書き手に繋がる感じでいいと思います。

ただ、誤字が。
『非難』ではなくて『避難』ですね(w
415名無しさんだよもん:02/10/13 05:25 ID:CA3zTh+1
実に4日ぶりの新作…ってあんまり空いても無いのか。

状況の割りには、口調のせいか名雪がやたら冷静に見えます。
まあ、壁の向こうではるかが死んでるとは思って無いのかもしれないけど。
さて、ここからどうなるのか。

てか、分断された後、名雪と真琴は両者ともに
余り移動して無いのに合流寸前だったのは大丈夫なんでしょうか?
416名無しさんだよもん:02/10/13 07:11 ID:LnHan9rz
>>415
>余り移動して無いのに合流寸前だったのは
もともと廊下の向こうとこちらで分断されただけだから、そこで逃げ込む部屋が近いのは自然な成りゆきと思われ。

>>まかろー氏
なぜか410の部分だけが文頭1マス空いてないのだが……それが気になると言えば気になるかな。
417名無しさんだよもん:02/10/13 09:39 ID:kOf0DuyG
名雪、なんか(・∀・)イイ!
418名無しさんだよもん:02/10/13 23:28 ID:WdNQSJzh
>>ミーティング
後半、ウィルとユンナのやりとりが面白くなってきそうですね
他にも、浩之が微妙にピンチかもしれませんね、なにしろ相手は油断してたとはいえ皿を倒した連中ですから。

>>運を〜
名雪、追い詰められてますね、ここらで強そうな味方と合流できれば生存確立があがるかも、はたして占い通りにいくのでしょうか?
419目覚めは最悪(1):02/10/14 01:53 ID:IHLEAOe+

「何だ今の化物はあああああぁぁ!?」
 医務室に飛び込んだ高槻は、開口一番に叫んだ。
 高子は柳川の飛び下りた窓を見詰め、溜息を漏らす。
「……わからないですけど……柳川さんだと思います」
「柳川なんて知らん!!」
 きっぱりと言われて、思わず高子は足をもつれさせた。
 しかしよく考えて見れば、高槻と柳川が顔を合わせたのはただの一度きり、しかも自己紹介も無しである。
 むしろ、見知っている方が不自然ではあった。
「や、柳川さんというのは刑事さんで、長瀬さんとか言う人達と一緒に来た方なんです。
 この島で遭難している人達に、防衛のため武器を持ってきたそうなんですけど……」
「………防衛だとぉ?」
 高槻はふと考えるような仕草をしてから、胡散臭そうに高子に視線を戻した。
「で、その柳川とかいう奴が、なんで化物になって暴れてるんだ?」
「そこまでは私にもわからないですけれど……」
「ひょっとしてだな、奴は実はショッカーに掴まって改造」
「………」
「冗談だ」
 じと目で高子に睨まれ、高槻は汗など垂らしながらそっぽを向く。
 実際、FARGOもやっていた事は、ショッカーと大差なかったのだが。
「……ちょっとぉ、さっきからぶつぶつぶつぶつ、一体何の騒ぎなの? うるさくて寝られないんだけど」
 ベッドから身を起こし、面倒くさそうに大あくびをした郁未を見て、高槻はあんぐりと口を開ける。
「き、貴様ああああぁぁっ、何故ここにいぃ!?」
「へ?」
420目覚めは最悪(2):02/10/14 01:54 ID:IHLEAOe+

 寝ぼけ眼を擦りながら、大声の主を見た郁未は、表情を強張らせる。
「高槻!? あんた、また性懲りも無く………!」
「わっ、待て! 俺はまだ何もしてない!」
 とっさに不可視の力を使おうとした郁未に、高槻は顔を引き攣らせながら、制止の声をあげた。
「まだ何もしてないって、あんたがFARGOで私達にした事を思えば……」
「待て、待て!! いいか、今は非常事態なのだ、ここでいがみ合ってる場合ではないぞ!!」
 必死の形相で説得する高槻に、郁未は溜息ひとつついて、振り上げた片手を下ろした。
 高槻には言いたい事が山ほどあったが、確かに今はそんな場合ではない。

 そこまで考えて、郁未はふと部屋の中を見回した。
「………って、そう言えばここどこ?」
「ここはホテルの中だ。お前が気絶してる間に、ここまで運び込まれてきたのだ」
「そっか、じゃああの子達にお礼言わないとね」
 ふんふんと頷いた郁未に、高子ははっと我に返った。
 そう、ホテルに着てからずっと眠りっぱなしだった郁未は、何の事情も知らないのだ。
「郁未さん、実はこのホテルはモンスターの巣窟だったんです。 それで、すぐに脱出しなければならないんです」
 緊張感に満ちた高子の言葉に、郁未は驚いたように高槻に目をやった。
「それって本当なの!? みんなは?」
「知らん。どうやらこのホテルは、超先生とやらが張った罠だったらしい。
 化物どもがわんさか出てきて、みんな分断されちまったぞ」
 高槻の言葉に、郁未は慌ててベッドから身を起こす。
「それじゃあ、急いでみんなを助けないと……!」
「馬鹿言うな、誰がどこにいるか、俺達は全然知らんのだぞ?」
421目覚めは最悪(3):02/10/14 01:56 ID:IHLEAOe+

 冷静な高槻の言葉に、郁未は唇を噛んだ。
 確かに例え郁未でも、化物がうろつくホテルの中で、どこにいるかも解らない人間を見つけ出すのは、不可能に近い。
「……だからって、見捨てられる訳ないじゃない」
「ではどうしろと言うのだ」
 冷たく言う高槻に、郁未はきっぱりと言い放った。
「探す」
「あほかあああぁぁぁっ!! ちんたら探してる間に、化物の餌になるのがオチだあああぁぁっ!!」
「ちゃんと考えはあるわよ」
 郁未は高槻の声を遮って、医務室の天井の角を指差した。
「……?」
「監視カメラ?」
 訝しげに言う高子に、郁未は大きく頷く。
「超先生の罠だって言うなら、このホテルを監視するカメラがそこらじゅうに有っても不思議じゃないわ。
 それに大きなホテルなら、廊下に監視カメラぐらい普通についてるでしょ」
「……なるほど、カメラの管理室を押さえるつもりか」
「そしたら、みんながどこにいるかもすぐわかるでしょ」
 高槻は嫌な顔をしながらも、渋々と承諾した。
「わかった。確かコントロールルームは1階にあったはずだ」
「じゃ、善は急げね」
 高子は一瞬不安そうな表情を浮かべたものの、佳乃を背負って、ふたりの後を追う。
 ドアを出た瞬間、襲い掛ってきた巨大な蜂の化物を、郁未は素早く不可視の力で叩き落した。
「……本当にモンスターだらけみたいね」
「だからそう言ってるだろう」
 潰れた蜂の死体をちらりと見てから、郁未は高槻の後を追って走り出した。
422目覚めは最悪(4):02/10/14 01:59 ID:IHLEAOe+

 幸いにも、途中で何にも出くわさずに、4人はコントロールルームに辿り着く。
「……おい、俺達以外に、同じ事を考えた奴がいたみたいだぞ」
 開け放たれた引出しの群に、電源がついたままのPCを見て、高槻が呟いた。
 だが、郁未はそれらには目もくれずに、モニタールームと書かれたドアに駆け寄る。
「高槻さん、郁未さんが……」
「わかってる」
 高槻は面倒くさそうに高子に応えてから、PCの前に座り込んだ。
「……このホテルの地図……コンピュータールームは西棟の最上階か……」
 手早くホテルの地図をプリントアウトしてから、高槻は二人の後を追って、モニタールームに入った。
 郁未の予想通り、立ち並ぶモニターの群れには、ホテルの様々な場所が映し出されている。
 ふたりは、佳乃を椅子のひとつに寝かせながら、食い入るようにモニターを見ていた。
「何だ、何か面白いものでも見付かったか?」
「高槻、あいつ……!?」
 郁未が指差すモニターを見た高槻は、うげ、と喉の奥で呻いた。
 廊下のかなり端で、少年とおぼしき後姿が、巨大な化物と戦っているのが映ってる。
「……いかん、忘れてた」
「ちょっと高槻、忘れてたってどういう事!?」
 小さく呟いたつもりが、はっきりと聞き返され、高槻は言葉に詰まった。
「……あー、別に隠していたわけではないんだが……実は俺は、さっきまで奴と一緒にいたのだ。
 で、奴に、お前が7階の部屋にいるから連れて来いと……」
「怪我で寝込んでる私が、なんで7階に行かなきゃなんない訳……?」
 押し殺した声が僅かに震えているのに気付いて、高槻は冷や汗を垂らす。
423目覚めは最悪(5):02/10/14 02:02 ID:IHLEAOe+

「ま、待て待て。誰にだって間違いというモノはある。
 それに奴だって、不可視の力の使い手だ。あの程度の化物でどうにかなるもんじゃ……」
 そう言った傍から、少年が化物の腕に吹き飛ばされ、画面の外に消えた。
「ぬううぅっ、何て情けない奴だ!! あれで世界で最も邪悪な一族の末裔かああぁぁっ!」
 郁未の刺すような視線に、高槻はナウシカネタで誤魔化そうとするが、成功しているとは言いがたかった。
「……高槻。私はあいつを助けに行ってくるから、あんたはここで中継お願い」
「ぐぬ……し、しかし…………いや、わかった」
 血管が切れそうになっている郁未に気付いて、高槻はこくこくと頷く。
「郁未さん、そこのトランシーバーを持っていったらどうですか?」
「そうね、ありがと」
 高子から、警備員が使うトランシーバーを受け取り、郁未は部屋を飛び出していった。
 高槻は嫌そうに、コンソールの前に腰を下ろす。
 そして、コンソールに並ぶ、郁未のトランシーバーと同じ番号のボタンに触れた。
「くそっ、何で俺がこんな事……おい郁未、聞こえるか!?」
 コンソールについたマイクに向かって高槻ががなると、すぐさま郁未の声が響く。
「聞こえるわよ! ていうかあんた、地声が大きいんだから、もっと小さな声でしゃべってよ」
「余計なお世話だああっ! ……そこの角を右に曲がれっ。地図によれば、エレベーターがある!」
 文句を言いながらも、高槻はモニターとプリントアウトした地図を見比べ、素早く郁未に指示を下した。
 他人に命令し慣れている高槻だったが、今はそれがプラスに働いていた。
 的確に指示を下しながら、高槻は郁未を誘導する……その時だった。
「……た、高槻さん……これっ!!」
「むっ……」
 小さく悲鳴を上げ、高子が指差したモニターを見て、高槻は顔色を変えた。
「………こいつは、確か髪の短い方の女だったか」
 そこには、スライムによって消化された少女の、変わり果てた姿が映し出されていた。
424名無しさんだよもん:02/10/14 02:05 ID:IHLEAOe+

【天沢郁未 目を覚まし、1Fモニタールームから少年のいる階へ】
【高槻&高子 1Fモニタールームから、郁未に指示を出す】


ホテル組の高槻グループを進めてみました。
郁未の場所は、色々議論されてましたけど、結局1階になりました。
伏線はなるべく意識しましたが、変な所があったら、指摘よろしくお願いします。
425名無しさんだよもん:02/10/14 09:52 ID:r+IrY2Wg
晒し上げ
426名無しさんだよもん:02/10/14 10:23 ID:ZKMUk0S4
読んだ。
名雪の話、面白い。
でもちょっと死相があるから生き残るか微妙。

高槻&郁未
面白い。
話がまとまっていく形がみえてきたようだなぁ。
427名無しさんだよもん:02/10/14 20:29 ID:/E4zNVTx
佳乃は高槻達と一緒にいたのではなかったっけか
それともモニターの「消化された少女」がそうなのか どうも記憶があいまいだが
428名無しさんだよもん:02/10/14 21:24 ID:Xy9W9zsm
消化されたのは河島はるかだな。
429名無しさんだよもん:02/10/15 00:43 ID:Ba3/8DKB
そして今日もホシュ。
430まかろー:02/10/15 01:54 ID:JB+cUovf
>>416
すいません。
410はミスです。書きこんだ後文頭に1マスあけてないことに気づき、次のレスから
あけたということです。深い意味はありません。
>>414
誤字の指摘ありがとうございます。
431名無しさんだよもん:02/10/15 14:56 ID:VDD37nsI
メンテ
432名無しさんだよもん:02/10/15 22:27 ID:EWHGu9no
なんか終わりが見えないな……いつまでたっても抜け出せない泥沼に居る感じ
433名無しさんだよもん:02/10/16 00:02 ID:0KKuacqD
ハカロワみたいに殺すのが目的じゃないからね。
434名無しさんだよもん:02/10/16 00:44 ID:P1f7rKpO
しかし、漠然とラストが脳内に浮かんでいる……
435名無しさんだよもん:02/10/16 02:38 ID:ykiI2hTI
美汐獣の槍入手キボン
エビルにエレザールの鎌キボン
436名無しさんだよもん:02/10/16 03:03 ID:zDOqs+/U
>>435
それだと最後の敵が真琴or真琴妹になるぞ(w
437名無しさんだよもん:02/10/17 00:43 ID:rSTd5qwo
めんてなんすうぃざーど
438名無しさんだよもん:02/10/17 01:20 ID:gJOjjsn4
>>435-436
みさき先輩の父親になろうとするサトリとか(w
4391書き手:02/10/17 02:10 ID:4/kByWwu
なんとかラストに向けて話を進めようとは思っているのですが怖かったりします。反応が。
RTO氏みたいに思いきった設定は出せないし何分「今を生きるのでいっぱいいっぱい」なパーティと
そこそこ物語の核部分にいるパーティとの落差が激しいもんで。
これはこれでメリハリが利いて良いのかもしれませんが。
440名無しさんだよもん:02/10/17 21:46 ID:L60hZelC
逆に俺はどの参加者も随分余裕が有るように見える。
なんつーか、あんまりサバイバルしてないなぁとw
441名無しさんだよもん:02/10/18 15:34 ID:EHJkC9bb
殺しあうわけじゃないからねえ。
ハカロワみたいなどんどん死ぬのも違和感あるし。
最終決戦あたりなら一気に死んでも良さそうだが…。
442名無しさんだよもん:02/10/18 18:03 ID:khHMLxEm
>>441
そんな大味な・・・と思ったが、実はその展開も見てみたい・・・
443名無しさんだよもん:02/10/18 18:40 ID:2mGsBqXc
俺は後半の100話で二十人は殺したいと思っていますが何かw
444名無しさんだよもん:02/10/19 00:48 ID:ikcf+S1M
謎は全てほったらかしで、『みんな死んで終り』だけは勘弁な(w
445名無しさんだよもん:02/10/19 01:48 ID:bgZ8P7o1
よし!

そろそろ皆でハカサバの想い出話でも語ろうぜ?
446名無しさんだよもん:02/10/19 14:49 ID:ILPIR7a+
つーか現時点までのサバで面白かったのって殆どギャグだけだな。
住井×香里とか、超先生ライターとか
447名無しさんだよもん:02/10/19 16:51 ID:bgZ8P7o1
>>446
え〜そうか〜?
448名無しさんだよもん:02/10/19 16:54 ID:bgZ8P7o1
漏れはサブキャラ男を典型的なギャグキャラ・便利な引き立て役にするSSとかは好きじゃないから、住井のところもさほどは……。
449名無しさんだよもん:02/10/19 21:25 ID:d+0LdSIw
おいおい、もう終わったかのように想い出を語るなよ…

にしても、ロワに比べてサバの岩切はやたらと男前だったなあ
450名無しさんだよもん:02/10/19 21:57 ID:jLsSO/WS
じゃあギャグ抜きでハカサバのいいところを振り返ってみよう
451名無しさんだよもん:02/10/20 11:19 ID:94P8ZBGz
sage
452名無しさんだよもん:02/10/20 14:44 ID:u6TS0GC9
保守。
453名無しさんだよもん:02/10/20 15:25 ID:/RUvEj5V
メンテ
454名無しさんだよもん:02/10/20 21:05 ID:9edc6BN/
ハカサバのいいところは

sage
保守。
メンテ

に決まりましたw
455雲丹:02/10/21 02:37 ID:9dKLMdC3
投稿無しでついに1週間か………
456名無しさんだよもん:02/10/21 17:23 ID:lC4pSsPM
本格的にクリクロ化してきた。ヤバイ。
457名無しさんだよもん:02/10/21 18:14 ID:5sgdU13M
ファンタジーよりは生き残りたい。
458名無しさんだよもん:02/10/21 19:37 ID:q9HM/nk7
書きたいことは書きたいけど…編集サイトも止まっているし、イマイチやる気がでない…
459名無しさんだよもん:02/10/21 22:00 ID:TslkRDYZ
どうせ書いてもすぐ止まってそのうち落ちる。
……とか考えると書く気もなくなるな。
460名無しさんだよもん:02/10/22 00:45 ID:EdXGWyKT
普通に想い出なんか語るよりは反省会のがいいかもよ
461ぎりぎりの決断:02/10/22 01:06 ID:5aJyi4Tp

 ねっとりとした粘液に包まれた触手は、何の躊躇いも無く楓の身体を這い回る。
 そのあまりにおぞましい感触に、楓は小さく悲鳴を上げた。
 剥き出しの太ももをなぶり、実験体の触手は、楓の秘部にぞろりとした表面を押し当てる。
「ひっ……!」
 ぴくん、と身体を震わせながら、楓は必死でこの化物から逃れようとしていた。
 だが、どれほど鬼の力で身を捻っても、触手から放れる事が出来ない。
「あ…くっ………!」
 嫌悪感に顔を歪めながら、楓は必死でこの化物から逃れる術を考える。
(何か……絶対何か、逃げる方法がある筈っ………)
 ぎり、と涙を浮かべながら、触手の蹂躙に耐えていた。

(……でも、何をされても死ぬわけじゃない)
 一瞬、思考をよぎったその考えに、楓ははっとした。
 この化物は自分を陵辱しようとしている。
 だが、例えどれほど辱められようと、その間は死ぬ事は無い。
 そして、運が良ければ陵辱されたまま1時間が経ち、この化物は死を迎えるのだ。

「………耕一さん」
 培養液の中に浮かぶ耕一を見て、楓の瞳に涙が浮かんだ。
 そう、もう愛しい人間はいない。
 ならば、また来世で会える事を夢見て………今はただ、復讐にだけ身を委ねればいい。
 もはや一度捨てた命なら、得体の知れない化物に蹂躙されたとしても、仇が討てればそれでいいのだ。
 そう考えた瞬間、ふっと楓の身体から力が抜けた。
462ぎりぎりの決断:02/10/22 01:08 ID:5aJyi4Tp

「オヤオヤ、抵抗ハオシマイカネ。マァ、ソイツノDNAハ、半分ハ柏木耕一トオナジダカラ、君モ満……」
 床に転がった朝鮮製の生首は、そこで沈黙した。
 今まで泣き叫んでいた楓が、一転、冷徹な仮面を纏ったまま、冷ややかな目で朝鮮製を見下ろしている。
 まるで、崖の上から得物を狙う、狼のような冷酷で醒めた表情だった。
「……例えどのような目に合おうとも……私が生きている限り、あなた達は一体残らずスクラップにします」
「ぐ………」
 そして、楓はゆっくりと耕一から目を逸らし、瞳を閉じた。
 その頬を伝って、一滴の涙が零れ落ち……小さな音を立てて、触手の上で消滅する。
「……?」
 そのおかしな音を聞き咎め、楓は訝しげに触手を見下ろした。
 触手は楓の身体中を這い回りながら、その粘液で少しずつ服を溶かしていっている。
 その触手の一本に、火傷のような焦げた跡が残っていた。
 その時、楓の脳裏に朝鮮製の言葉がよみがえる。

「………そう、でしたか」
 楓は低い声で呟くと、僅かに苦笑を浮かべた。
 全てを捨て受身になった瞬間、一筋の光明が見えたのは、皮肉としか言いようが無かった。
 触手は楓を自分の身体に引き寄せると、剥き出しになった彼女の肌に、己の粘液を擦り付ける。
 薄い胸の頂きを掠める様にして触手が弄り、蹂躙する。
 だが、楓はそのおぞましい感触にも、じっと耐えていた。

 チャンスは一瞬、ただその時のみを待ち続ける。
463ぎりぎりの決断:02/10/22 01:11 ID:5aJyi4Tp

 触手が秘部をぞろり、と舐めあげ、楓はぴくん、と身体を震わせる。
 すでに服の大半が溶けて流れ落ち、露になった楓の全身を、触手は執拗にのたうっていた。
 触手の先端が、楓の両足の間に押し付けられる。
 そして、まだ幼いその部分をこじ開けようと、実験体が楓を自分に近づけた時だった。

「……っ!!」
 瞬間、楓は唯一自由に動かせる首を回して、己の右腕の付け根に、深深と食らい付いていた。
「ナ!? 気デモ狂ッタカ!!」
 ぶちり、と肉を食い千切る音が響き、動脈を抉られた腕から、大量の鮮血が吹き出す。
 噛み切った肉片を吐きだし、己の吹き出した血に紅く染まりながら、楓は壮絶な笑みを浮かべた。

「すでにヒントは与えられていたんです………要は、気付くか否かの問題なだけで」
 ギオオオオォォォッ!!!!
 楓の吹き出した鮮血が滴り落ちた瞬間、触手が酸でも浴びたかのように、無数の白煙が上がる。
 楓は己の血で深紅に染まった唇を、笑みの形に曲げた。
「あなたは言いましたよね。
 仙命樹とは、紫外線への耐性を強めれば水に弱くなり、水に強くすれば紫外線への耐性が消えてしまうと。
 この改造を重ねた哀れな化物は……私の血に含まれる水にすら、耐えられなかったみたいですね」

 連鎖するように、次々と触手が爆ぜ、楓は宙に放り出された。
 だが、素早く受身を取ると、ふらつきながらも、何とか立ち上がる。
 実験体は、楓の鮮血を大量に浴びた部分から溶解しながら、それでもなお戦闘意欲は失っていなかった。
「己ノ血デ、仙命樹ノ弱点ヲツクトハ……ダガ、ソレホド大量ニ失血シ、立ッテイルノモヤットデハナイカネ」
464ぎりぎりの決断:02/10/22 01:11 ID:5aJyi4Tp

 嘲るように朝鮮製が叫んだ瞬間、そのすぐ傍のドアが、内側から爆発するように弾け跳んだ。
「グバァァアアッ!?」
「っ!」
 へし曲がったジェラルミンの扉が崩れ落ち、奥からそうぞうしい叫びが響く。
「楓ちゃんっ、ここにいるのっ!?」
「迎えに来たよ、楓ちゃん」
「……マナさん、瑠璃子さん……」
 呆然と呟く楓の前に、巨大な体躯が圧し掛かった。
 反射的に逃れようとした楓の頬を、ぺろりと何かが舐める。
「きゃっ!?」
 パニックをおこしかけた楓の目の前に、恐竜の無骨な顔が突き出された。
 その恐竜……パキケファロサウルスの首筋にしがみ付きながら、マナが涙混じりに叫んだ。
「よかったよぉ、楓ちゃんが無事で…!」
「……マナさん……」
 マナは転げ落ちるようにその恐竜から滑り落ちると、全裸に近い楓にしがみ付いた。
「マナちゃん、取り合えず逃げるのが先だよ」
 こちらはトリケラトプスに乗りながら、瑠璃子が呟いた。
 マナが乗っていたのは、頭突きを得意とする頭蓋骨の硬い恐竜で、大きさからするとまだ子供らしい。
 瑠璃子は、トリケラトプスを巧みに操って、実験体を牽制している。
「……よく、恐竜が言う事を聞いてくれましたね……」
「うん、瑠璃子ちゃんが、電波で操ってるんだって………ここに入るのも、この子達に手伝ってもらったんだよ」
 マナと共に恐竜に乗りながら、楓はふと、朝鮮製の頭があった辺りに目をやった。
 だがそこには、恐竜に踏まれたらしい、壊れた残骸が落ちているだけだった。
465名無しさんだよもん:02/10/22 01:14 ID:5aJyi4Tp
【柏木楓  実験体から逃れる】
【瑠璃子&マナ 恐竜に乗って楓と合流】


あえて虎の尾を踏んでみるテスト。
陵辱派と非陵辱派の折衷案って事でお許しを。
にしても、ツッコミどころ満載っスね……
466名無しさんだよもん:02/10/22 01:46 ID:q+2Y9ogt
誰彼やってないから良くわからないが仙命樹は液体ならみんな駄目なのか?
それだと御堂は血を流すだけで…
467名無しさんだよもん:02/10/22 03:03 ID:1B7OU4T4
恐竜! おお、意外な戦力だ(w
今後行動を共にするとしたら、
このチームのサバイバル能力は少しは上がるだろうか? 
468名無しさんだよもん:02/10/22 08:56 ID:n/cHKAS5
>>466
月代の処女の鮮血を嬉しそうに集めてましたが。
まあ、貂蝉製のRR進化によって水への耐性が極端に低くなったという解釈で良いのではないかと。
469名無しさんだよもん:02/10/22 09:19 ID:sq1w2wIG
このスレの存在そのものがサバイバル
470名無しさんだよもん:02/10/22 15:28 ID:vesu/N9t
もとより血中に潜んでる仙命樹が血液に弱くちゃダメだろうw
あれかな…宿主以外の血じゃダメとか?
471名無しさんだよもん:02/10/22 16:16 ID:RmFPDda3
朝鮮製が改良したんじゃないか? 強くするかわりに弱点も極端にパワーアップってのはよくある話。

まあどちらにしろ、来月あたりにはスレ自体がいい想い出になってるんだし議論するのも無駄っぽいが。
472名無しさんだよもん:02/10/22 16:55 ID:sJlIMbDw
やる気の人がいる限り終わらない。
そう信じたい。
473名無しさんだよもん:02/10/22 20:32 ID:4IJ3VtfG
ファンタジーには勝て。
474名無しさんだよもん:02/10/22 22:26 ID:NNEi397V
>>468
なら水じゃなくて液体と明記した方がいいのでは?
475名無しさんだよもん:02/10/22 23:22 ID:5aJyi4Tp
実は放尿とどちらにするか迷いますた。
476名無しさんだよもん:02/10/23 11:18 ID:hStIToCc
>>473
ならファンタジー並にこまめに編集してくれる過去ログサイトを作れ。
477468:02/10/23 17:03 ID:GmY1PSD8
>>474
今更だが。
そんなこと言われても・・・
漏れ、作者じゃないし。

>>475
密かに楓ちゃんと放尿は相性がいいのではないかと思った秋の夕暮れ。
478名無しさんだよもん:02/10/23 20:09 ID:fRysUuYM
そろそろ河 唯が白昼夢から覚めるオチをだれか書かないか?
479名無しさんだよもん:02/10/23 20:47 ID:kncA+EKh
塾長が宇宙から帰ってきて島を壊すオチでもいいな。
480絶たれた手段、新たな糸口:02/10/23 22:57 ID:fxr/VdIg
白い廊下は、あいかわらず警報音と赤い光を明滅させている。
およそ人の気配がしない建物の中を、足早に二つの人影が進む。
険しい表情で手を引いて歩く少年と、彼に手を引かれて無表情に従う少女。
(非常口……こっちか)
天井からぶら下がった緑色のランプを頼りに、彼……矢島少年は、脱出を試みていた。



「所員室か……? っと。出口は……」
会社のオフィスのように机がずらり並んだ部屋。散らかっていたり、片付いていたり、はたまた何も無かったり。
どうやらここでは、確かに人が働いていたらしい。矢島の心に、なぜか安堵が浮かぶ。
「どうか、した?」
背後から香奈子が問う。そうだ、立ち止まっている暇はない。すぐに……
「すぐに……?」
矢島は、目の前のテレビに繋がれたもの……一昔前のゲームマシン……で目を留めていた。
「私物」というステッカーが貼られたソフトが転がっている中に、一つ「モンスター開発資料」と書かれたソフトがある。
吸い込まれる様に、矢島はそのソフトに手をのばした。
それは、小太りで長髪の男が大々的に宣伝をしていたゲームソフト。確か内容は……
(宇宙船の中で、見えない怪物とサバイバルゲームを……)

見えない怪物。

フラッシュバック。
見えない、犬のような怪物に食い殺された晴香の姿。血飛沫。見開いた目。銃声。
胸元から覗いた紅い肉。止まらぬ血の合間から、白い骨が見えていて-------
481絶たれた手段、新たな糸口:02/10/23 22:58 ID:fxr/VdIg
「大丈夫?」
びくっ、と体を震わせた矢島が最初に見たものは、自分の顔をのぞきこむ香奈子の姿だった。
「ああ……ご、ごめん 太田さん」
電波にあてられたときのような、鮮明なヴィジョン。頭をいくら振ってみても、なかなか頭からはなれない。
喉からこみ上げてくるものを必死に押さえつける。かわりに、今日何度目かの汗が、体中に現れた。
透明な怪物。馬鹿な。無敵じゃないか……まだ、何体かいるのだろうか? あの、見えない「何か」は?
「出口だ……出口へ行こう。太田さん」
不意に立ちあがると、矢島は「緊急脱出口」へと歩き始める。無論、香奈子の手を引きながら。


カギがかかっていた。
その扉にだけ、カギが。そこに、出口が見えるのに。
「なんてこった……網膜センサーってやつか……こりゃあ……」
機械の音声が無情に告げる。所員データベースニ該当シマセン……
扉に持たれかかり、矢島はへなへなと崩れ落ちた。
(畜生……ここまで……なのか?)
アナウンスの嘘吐きめ……カギは全部開いてるはずだろうが……そこに、出口があるってのに……!
考えろ、俺! ここ以外に脱出できるかもしれない方法を……あるいは、ここを使って脱出できる方法を……!!
窓にはシャッターが下りていた……地下や二階への階段には隔壁が降りている……
……外への脱出口は、もう事実上ここしかない……
「あきらめたら?」
背後から、感情のなさげな声が。
「もう……未来は無いでしょう?」

「嫌だ。俺は、まだあきらめない」
「どうして? もう、ここから出る事は出来ないの。もう私たちに明日は無い。明日が無いのなら、イマの快楽を貪るのが摂理じゃない?」
「……!」
矢島の中で赤い色つきの怒りが爆発する。理性を失った拳は香奈子の顔へと飛んでいき……
482絶たれた手段、新たな糸口:02/10/23 23:00 ID:fxr/VdIg
その、手前で止まった。
「駄目ね、わたしは」
香奈子の頬を、とめどなくつたう涙。矢島の拳を止めたのは、それだった。
「こんなわたしでも……ひょっとしたら、を信じているのだから」
「太田さん……いつから?」いつから、正気に?
「言う通りにする、って……言ったときくらいだったかしら」
「……」
「どうして、私は生きているの……? 狂う事も、壊れる事もせずに、瑞穂をあんな目に遭わせながら、私は未だ生きているっていうの……!?」
あんな目……ああ、そうか……
「それを忘れて、私はまた瑞穂を危険な目に遭わせて……さっきの電波は、私への罰だと思っていたのに……この傷も、この記憶も……抱え込んで、狂ってしまえると……」
頬の傷。香奈子が何より気にしているもの……

呆気に取られていた矢島であったが、皮肉にもこのことが矢島の頭を冷却し、彼に天啓といえるアイデアを生み出させる。
脱出への糸口。恐らく、最期の手段。
(そうだ……あのセンサーの下の数字のボタン……もう、あれしか残っていない……)
時間がない。施設内……おそらくはあの所員室にあるはずのナンバーキーの答えを探し出さなければならない。
(でも……)
俺に……彼女を見捨てることは……
(どうすれば……どうすればいい……!?)


【現在位置 緊急脱出口前】
【網膜センサー設置 ただしナンバーキーの入力による開錠が可能であるらしい】
【香奈子は正気に戻っていた】


誤字ツッコミ等ありましたらおねがいします
483名無しさんだよもん:02/10/24 04:11 ID:pitoP6uq
484名無しさんだよもん:02/10/24 12:06 ID:I2BBW/Vx
(`・ω・´)ホシューン
485名無しさんだよもん:02/10/24 15:59 ID:CP6QJCB2
むむ、俺の思ってた展開とは大分違った物になったな。
これだからリレーは面白い。
486悲哀:02/10/25 00:44 ID:WaC+Ukqv
 ――ああ、言わなきゃよかった。
 改めて正面に佇んでいる鬼を目にし、つくづくそう思う。

 コイツが、耕一さんであるはずは無い。
 そんなことは、解っているはずなのに――

「なぁ、どうなんだ? 黙ってちゃわかんねぇよ……答えてくれよ」
『違う』
 にべも無く言い切り、鬼、と思われる怪物俺達に背を向け、
「そもそも、お前の知っている柏木耕一は、既に死んでいる』
 俺達がもっとも恐れていた事を、口にした。
487悲哀:02/10/25 00:44 ID:WaC+Ukqv
「なっ……嘘だろ……」
『嘘ではない。同族の死を関知できるのは、エルクゥの能力の一つであり、長所だ』
 混乱しているのか、考えがが上手く纏まらない。だが、これだけは解る。
 目の前の鬼は、冗談などを言うようなヤツではないってことだ。
 けど――信じられない。
 ここに来るまで、疲弊しきった俺達を励まし、導いてくれたのはあの人だ。
 表れたモンスターを一撃の下に倒していったのもあの人だ。
 そして、自身をもってあの人はは俺達と離れた。『必ず戻る』という一言を残して。

 なのに、それなのに。
「畜生……なんで、なんで死んじまったんだよ! 耕一さん!」
『慢心だ』
 鬼が、冷ややかに答える。
『確かにエルクゥはあらゆる生物は凌駕する身体能力を持つ。戦闘ともなれば最強だろう。
 だが、それはあくまで原始的な戦い、素手や剣、槍などといった肉体を使う物においてのみだ。
 即ち、対地地雷やフェ―ルセーフなどの科学的な戦いにおいて、所詮、俺達鬼の力は大したものではない。
 それを理解してなかったから、奴は死んだ』
488悲哀:02/10/25 00:45 ID:WaC+Ukqv
「貴様、怪物にしては随分と饒舌だな」
 隣で今まで黙っていた蝉丸さんが、油断なく、といった表情で鬼を睨み、詰め寄る。
 掠り傷が目立つが、致命傷となるものは無かったらしい、その動きには、些かの衰えも無かった。
『まぁ……この餓鬼から見知った名が発せられたのでな。鬼の気紛れというのも……』
 僅かに、口元に笑み(推測)を浮かべ、その鬼が再び口を開きかけた時、
 ドサッ、という人の倒れたような音が、背後で響いた。


「ううっ……くぅ……」
 見れば、郁美ちゃんが胸を抑え、苦しげな表情を浮かべていた。
「た、立川さん?」
 慌てて香里さんが彼女を抱き上げ、具合を見る。
「な、何なんだ突然?」
「わからない……今朝は何ともなかったし、風邪でないのは確かだと思うんだけど」
 会話の間にも、郁美ちゃんはさらに激しく呻き、呼吸も荒くなっていく。
「まずいな……突発的に苦しみだしたことから考えて、恐らくは何かの発作だと思うが、
 こんな所では何もないぞ」
 ポーカフェイスの蝉丸さんも、珍しく切羽詰った表情だ。

 ――ヤバイ、考えろ護。こんな時はどうすれば……。

「そうよ! 栞、あなたの持ってる薬は?」
 その声に、あっという表情を浮かべる栞ちゃん。
「く、クスリ? んな、対処法がわからないからってとりあえず楽にするって選択はどうかと……」
「違うわよ! 私が言ってるのはあの子のもっている常備薬の事よ!」
 ――ああ、納得。
489悲哀:02/10/25 00:46 ID:WaC+Ukqv
「確か、ストールと一緒にバッグに入れてたと思います。あの部屋の中です」
「取りに行くわよ!」
 と、二人は立ち上がって、すぐそこの施設に向かって走る。
 今の郁美ちゃんの症状を止められる薬を彼女が常備しているかどうかは疑問だが、
 これは持っている可能性に懸けるしかないだろう。
 そして、首を残りの二人と、いつの間にか近くに立っていた鬼(正直、かなりビビった)の方向に戻し、
 苦しげな表情を続ける彼女の近くに膝をついたその時、

「グオオオオオオオオッ!」

 森が震え、同時に飛び出したのは――首。


 勢いよく飛び出した鬼の首は、そのまま一気に距離を詰める。
 しかも、こちらではなく、薬を取りに行った二人の方を狙って。
『クソッ!』
 舌打ちと共に、恐ろしい速さで自らが手に掛けた鬼の首に跳躍する鬼。
 一瞬遅れたが、こちらも常識では考えられない速さで走る蝉丸さん。

 共に速い――が、不意を突かれた上、この距離では到底間に合わない。
 そして、一人取り残された俺に出来た事は、
「逃げろぉ―――――――っ!」
 馬鹿のように、大声を上げる事だけだった。
490悲哀:02/10/25 00:47 ID:WaC+Ukqv
 その声で、ようやくその存在に二人は気付いた。
 だが、気付いただけだ。
 あのスピードで襲いかかる首の一撃をかわすのは、人間には難しすぎる。

 そして鬼の首が、獲物を射程に入れる。
 首の狙いは、後ろを走る香里さんだ。
 一気に間合いを詰め、鬼の首が、その巨大な牙を閃かせる。
 当の香里さんは、気付いた時に諦めたのか、これから我が身に起こることを想像し、目を瞑る。

 ――ダメだ、見れねぇ……。
 情けない。
 情けないが、俺は顔を背け、香里さん以上にしっかり目を閉じる。
 
 そして、俺の耳に響いたのは、ゴリッ、という今まで聞いた事もない、奇妙な音。
 
 
 ああ、凄ぇ痛いだろうな。香里さん。
 その証拠にほら、あんなに叫んで――
「しおり! しおりっ――――――!」
 
 栞……ちゃん?

 どうにか瞼を抉じ開け、目の前に広がっている光景は、
 体の左側を、ごっそりと食い千切られ、血を噴出している栞ちゃんと、
 泣き叫びながら妹の名を叫ぶ、香里さんの姿だった。
491悲哀:02/10/25 00:48 ID:WaC+Ukqv
 ――庇っ、た……?
 間違いない、栞ちゃんは、自分の身を顧みず、香里さんを助けたんだ。
 その代償として、彼女は身体を引き千切られて。

 ――そうだ、ヤツは……鬼は?

 急いで辺りを見回すと、『ソレ』は、思いのほか彼女達の近くにいた。
 引き千切った肉を、遊ぶように何度も咀嚼し、消化する身体もないのに、美味しそうに飲み込む。
 
 それを目にした瞬間、俺の中で、何かが弾けた。
492へタレ書き手だよもん:02/10/25 00:51 ID:WaC+Ukqv
【住井護グループ 柳川裕也 鬼の首と交戦中】
【立川郁美 発作で倒れる 意識不明】
【美坂栞 左半身損失 重傷】

かなり久々なせいかなんかイマイチ調子が掴めていないので、かなりヤバヤバですw
やはり最初はリハビリに適した話にするべきだったでしょうか……。
493名無しさんだよもん:02/10/25 01:11 ID:VRgP0EFp
お、Kanon初の死者の予感。
あと誰も氏んでない作品って何だっけ?
494名無しさんだよもん:02/10/25 07:32 ID:z3zTSu4u
雫も死んでない筈。

>新作
うわ、一気に緊迫した展開に。
しかし首だけが飛ぶってのは倒したと思った敵の反撃としては基本ですな。
495名無しさんだよもん:02/10/25 09:02 ID:CrupaW3k
>>480のゲームソフトで思わずニヤケた。
あんなもん、クリアできるかっつーの。
496名無しさんだよもん:02/10/25 22:44 ID:BxzYyoWL
>>495
漏れ、クリアしたよ。
がんがってクリアしたよ。
即手放したよ。
しばらくゲームはやりたくないと思ったよ……。
497名無しさんだよもん:02/10/26 16:47 ID:8Y5B6QGC
エネミーゼロですか?
498名無しさんだよもん:02/10/26 21:01 ID:0cxIwLGF
保守がてらに報告。

葉鍵リレー小説総合スレッド 第4巻
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1035555283/
復活したようです。
499名無しさんだよもん:02/10/26 23:39 ID:yZfkFY+g
しかし、もうすぐ編集サイトの更新無しで三ヶ月か……。
正直、他の誰かが後を引き継いだ方がいいと思う。
500名無しさんだよもん:02/10/27 01:01 ID:hwC3lK4d
住井の初めての見せ場は栞の弔い合戦になってしまうんだろうか・・・・
501名無しさんだよもん:02/10/27 02:31 ID:1BRQLJaM
ただ、現実的に考えればここで住井が下手にやる気を出しても柳川と蝉丸の足をひっぱりかねない罠。
見せ場を作ってやりたいってのもあるけど、力の差ってのをふまえた上での話がハカサバだからなぁ……。
戦闘に限っていえば、見せ場を求めるのは酷かも。
502RTO:02/10/27 02:57 ID:i119hgEF
>>499
そうだそうだ やる気がないなら 閉鎖 しろ


……冗談はさておき、サイト更新いたしました。
突貫工事のためまだ「瑞香」バグの修正は不完全です。申し訳無い
その他不具合等ございましたら指摘お願いします
503名無しさんだよもん:02/10/27 06:21 ID:jx8WjZKi
>>RTO氏
おつかれ〜
編集サイトを見て、
一度けしてまた見たら、いきなり増えていたのでビビッた。
不具合はないと思います
504名無しさんだよもん:02/10/27 22:29 ID:4UEJjnoK
>>501
まぁ、そのへんも含めて期待だね。
何かやらかしてくれそうな意外性が住井にはあると個人的には思う。
505名無しさんだよもん:02/10/27 22:43 ID:k+5zijtS
今日やってる映画もある意味サバイバルだ
なんかヒント得られないかな
506名無しさんだよもん:02/10/28 17:37 ID:dxo7bAJQ
危機的状況による裏切りはやはり見てみたい所。
507名無しさんだよもん:02/10/28 23:53 ID:ff6CWsSN
む。
508ひとつの決着:02/10/29 02:05 ID:j7GusIgf

 イメージするものは、巨大な球体。
 全てを覆い尽くす、シャボン玉。

 それが、少年を含め、怪物とその回りを大きく取り囲んだ。
「悪いけど、そろそろ終わりにしたいんだ」
 口の中で小さく呟き、少年は己の力を限界まで高める。
 その圧倒的な力を本能的に察したのか、呻き声をあげながらも、怪物はすぐさま跳びかかろうとしない。

 あれほど荒れ狂っていた風が――――――止んだ。

 怪物は一瞬訝しげな顔をしたものの、再び少年に襲い掛かる。
 少年は軽いフットワークで、振り下ろされる爪をかわしながら、僅かに顔をしかめた。
 きぃん、と耳鳴りが響き、鼻の奥に鈍い痛みが走る。
 だがそれすらも、全ての前兆に過ぎない。
 次第に動きが鈍くなり、膨れ上がってくる怪物を見ながら、少年は唇の端をつりあげた。
「……思った通り、気圧が低くなると、風船みたいに膨れるんだね」
 空気が減ったせいで痛む頭を押さえながら、少年はくすりと笑う。
 がらんどうの中身を、風で支えている怪物にとっては、僅かな気圧の変化すらも、致命的だった。
 もしこの場に郁未か高槻がいれば、蛙の尻にストローを差し込んで、膨らました姿を思い浮かべただろう。
 もはやまともに身動きが取れ無くなった怪物の前で、少年は鋭く息を吐く。
 鋭い槍。
 全てを貫く、一条の穂先。
 不可視の力によって与えられた仮初めの形が、少年の目の前に破壊の像を描く。
「………当たれ」
509ひとつの決着:02/10/29 02:05 ID:j7GusIgf

 かざされた手の先に向け、少年の囁きと共に「力」が迸った。
 不可視の槍が、内圧で風船のように膨れ上がった怪物の腹に、突き刺さる。
 瞬間、怪物は轟音を立てて、内側から破裂した。
 ばらばらと飛び散る破片を防ぎながら、少年は溜息を漏らす。
「ふぅ、思ったより疲れる相手だったね」



「……よしっ、やったみたいだな」
 監視カメラから届く映像を見ながら、高槻はにやりと笑った。
 これで、後は郁未が少年と合流すれば、万事解決だ。
 階段を駆け上がる郁未の後姿を見ながら、高槻は上機嫌でトランシーバーに連絡を送る。
「おい郁未、奴はもう一人で怪物を倒したぞ。どうやらお前の出番は無さそうだ」
『本当? まぁ、それならそれで良かったけど……』
 安堵の響きを匂わせつつ、いくらか残念そうに郁未は呟いた。
 その時、横から高子が身を乗り出す。
「郁未さん、今何階ですか?」
『え……えっと、今やっと6階まで来たわよ』
「そのまま10階まで上がってくれませんか」
『ええっ、あいつは7階にいるんじゃないの?』
 突然理不尽な事を言い出した高子に、高槻は不審な顔を向ける。
「一体どうしたんだ。いくら奴が怪物を倒したとはいえ、ぐずぐずしている暇なぞ……」
「生存者がいたんです!」
 高子の鋭い叫びに、高槻も郁未も、はっと息を飲んだ。
510ひとつの決着:02/10/29 02:06 ID:j7GusIgf

「あの男の子は、一人でも何とかなる人みたいですが、この子はそうはいかないんです!」
 言いながら、高子が指差す先には、ぼんやりと立ち尽くす名雪の姿があった。
 その無防備な姿を見て、高槻は舌打ちする。
 正直な所、高槻は人質の救出などは、どうでもいいと考えていた。
 自分が助けた高子や郁未はともかく、他の面子の面倒までは見きれない。
『………わかった、10階まであがってみる』
「お願いします」
 だが、助ける気満々の高子や郁未を見て、いちいち反対するのも面倒だった。
「急げよ。スライムどもが奴らを溶かすのは、時間の問題だ」
 マイクに向かってぶっきらぼうに言い放ち、高槻はそのディスプレイを睨む。
 その近くには、名雪だけでなく、真琴や彩の姿もあった。
 だがその二人は、泡を食うように部屋の中に飛び込んでしまい、もはや姿を見る事が出来ない。
 そうこうしている内に、ドアは破られ、スライム達は中になだれ込んでいった。
「………駄目だな」
 高子に睨まれるのを感じながら、高槻は溜息を漏らす。
 幸い、もうひとりの名雪とかいうのはまだ無事なようだが、それも時間の問題に思えた。
『はぁ、はぁ、はぁ……い、今9階まで来たよ!』
 さすがに陸上で馴らした郁未とはいえ、10階の階段を駆け登るのは重労働だ。
 息が上がり、トランシーバーから聞こえてくる声も苦しげだった。
「頑張ってください、名雪さんは今階段のすぐ傍に………あ、あれ」
「……何やってやがるんだ、こいつは」
 戸惑った顔の高子と、苛立たしげにうめく高槻の前で、何と名雪は階段から離れて、部屋の中に入ってしまった。
『ちょっと、いないわよ!』
 まさに一瞬の入れ違いで、さっきまで名雪がいた場所に辿り付いた郁未の声が、虚しく響く。
511ひとつの決着:02/10/29 02:07 ID:j7GusIgf



 郁未が階段を駆け登った瞬間、無数のスライムが跳びついてきた。
 とっさに不可視の力を使って、それらを内側から破裂させる。
 びちゃびちゃと周囲に散らばるスライムを見ながら、郁未はトランシーバーに向かって怒鳴った。
「ちょっと、いないわよ!」
『……お前の目の前の部屋の中に入った。その気があるなら追いかけろ』
 いかにも投げやりな高槻の返答に顔をしかめながらも、郁未は言われた通りに部屋に向かう。
 不可視の力を使って扉を撃ち抜いた瞬間、郁未の目の前にとんでもない光景が飛び込んで来た。

「っ!!!???」
 それは、今まさに、名雪が窓から飛び下りた瞬間だった。
「っだあああああああああああああああああ!!!!!!!」
 あまりの出来事に不可視の力を使うことすら忘れ、郁未はダッシュしていた。
 名雪の姿が完全に消える寸前、その右腕を掴み取る。
「っわああ!!!」
「ぐあああっ!!」
 窓の枠にぶつかりながら、郁未は必死で自分の身体を支えていた。
 いきなり腕を掴まれた名雪は、パニックを起こしてじたばたと暴れる。
 その度に、腕が抜けそうな苦痛に耐えながら、郁未は絶叫した。
「名雪さんっ!! 名雪さんっ!! 名雪さんっ!! しっかりして!!」
「……そ、その声は郁未さん?」
 ようやく正気に返った名雪は、呆然と郁未の顔を見返した。
「ぐぐぐ……ちょ、ちょっと待ってて、すぐ引き上げるから」
 言って、不可視の力で名雪を、下から押し包むようにして支える。
512ひとつの決着:02/10/29 02:08 ID:j7GusIgf

 腕の負担が格段に減り、郁未は安堵の溜息を漏らしながら、じりじりと名雪を引き上げる。
 だがその瞬間、べちゃりと右足が何かに包み込まれた。
「………?」
 一瞬、何が起こったかわからなかった郁未だったが、貫くような苦痛が走り、思わず名雪を取り落としそうになる。
「っつああ……く、くっ」
「きゃああああっ!!」
 再び落下しかけ、名雪は悲鳴を上げた。
 何とか名雪を支えたものの、肩と足から発する凄まじい苦痛が、脳天を直撃している。
「い、郁未さんっ、大丈夫!?」
「だいじょうぶっ!!」
 青い顔で叫び返すものの、郁未は決して大丈夫ではなかった。
 不自然な体勢で名雪を支えたせいで、郁未の肩は完全に脱臼していたし、足にはどうやらスライムが貼りついているらしい。
「ぐ……ぐうううっ!!」
 郁未は不可視の力で強引に名雪を引っ張りあげると、床に転がりながら、自分の足に向けて不可視の力を放った。
「っく……」
「郁未さんっ……そ、その足……!」
 短時間であったにも関わらず、郁未の足は靴もろとも皮まで溶かされ、筋肉が剥き出しになり、骨まで見えていた。
「へ、平気よ……このくらいの傷……」
 だらりと垂れ下がった右腕を庇いながら、郁未は無理に笑う。
「さ、7階まで降りるわよ……そこに仲間がいるから」
 かなりの重傷を負った筈なのに、郁未は片足でよたよたと立ちあがった。
 その彼女を支えながら、名雪は思わず涙ぐむ。
「……ごめんなさい……私のせいで……」
「気にしないで」
 脂汗をびっしり浮かべて呟く郁未に、名雪はずっと涙ぐんだままだった。
513名無しさんだよもん:02/10/29 02:11 ID:j7GusIgf
【少年 怪物との戦闘に決着】
【郁未 7階を通り過ぎ、十階へ。右足負傷、右肩脱臼】
【名雪 郁未と合流。郁未と共に7階へ】


あちこちを繋げて、強引に進めてみました。
推敲が足らんですね……では。
514名無しさんだよもん:02/10/29 10:47 ID:EgG3x982
晒し上げ
515名無しさんだよもん:02/10/29 17:08 ID:ItjMN1bD
総合スレもうdatかい。
516名無しさんだよもん:02/10/29 18:28 ID:pGbxPShh
>新作
 ゴタゴタしているホテル編をまとめてくれているのは有難い。
 この地獄もいよいよ終盤。はたして、生き残るのは……って感じですな。
517名無しさんだよもん:02/10/29 22:20 ID:1IrRS443
郁未にも死の影が……旧宅ヒロインは死人ばかり。
鍵組はいまだ美凪一人。

 こ れ が な に を 意 味 す る の か !
518名無しさんだよもん:02/10/29 23:59 ID:JzZ+vE2b
>>517
むぅ・・・この策士め!
そんな事言ったら元祖ハカロワのように次々と・・・
519名無しさんだよもん:02/10/30 07:39 ID:C7nCjaVU
>>517
雫最強。
奴らは全員生き残る。
520名無しさんだよもん:02/10/30 10:27 ID:9dCGwyR8
ハカロワではロクな死に方してなかったからな>雫キャラ
521名無しさんだよもん:02/10/30 17:45 ID:lTvCKuiM
雫は祐×沙だけはどんなにヤバイ状況でもある御方が奇跡のような展開に持ち込んで生き残らせます。
522517:02/10/30 20:03 ID:B0ZWyVNu
いや・・・俺の言う元祖ってのは広瀬が生き残ったヤツ・・・
523名無しさんだよもん:02/10/30 21:25 ID:t6ZivVJ5
>>517
バ鍵っ子パワー全開ってことだろ
524名無しさんだよもん:02/10/30 22:48 ID:zWTk0AHL
そんなアホなw
525名無しさんだよもん:02/10/31 00:54 ID:U9Er/PM7
>>521
ああ、編集サイトの。
526名無しさんだよもん:02/10/31 07:35 ID:3PZhBcQn
>>521
何を今更
527名無しさんだよもん:02/10/31 16:35 ID:U9Er/PM7
ということはあれだね
奇跡のような展開に持ち込む隙を与えずスパッと二人とも殺せばいいわけだね
誰かキボンヌ
528名無しさんだよもん:02/10/31 18:31 ID:D3ANNtXO
>>527
もれなく編集サイトが更新されなくなります。
 おかげで誰も手が出せません。
529名無しさんだよもん:02/10/31 19:12 ID:tHHqWZse
じゃあ他のチームの話でいいから書き進めてくれよ。
なあ。
530名無しさんだよもん:02/10/31 19:13 ID:6BcXZ6ba
なんか異様に殺伐としているw
531名無しさんだよもん:02/10/31 22:22 ID:tcbXkGsQ
ケチつけるしか脳のない私怨が沸いて出てきたな。
ま、メンテ代わりになってるからいいか。
532名無しさんだよもん:02/10/31 23:07 ID:9FP4hX5K
ケチだと思うかか感想として受け止めているかは本人次第。

ちなみに俺もあのカップルは好きくない。
なんか初登場時からデフォでくっついてて、その後も明らかな贔屓に見える展開が多いから、
正直、自己満足で話を書いてるようにも思えた。
キャラに愛情をもつのはいいんだが、ちょっと行き過ぎには感じる。
533名無しさんだよもん:02/10/31 23:46 ID:GQ719UmK
ついにRTO氏までもが……
534名無しさんだよもん:02/11/01 16:24 ID:pbyiBFVp
いくらなんでも通った話に後から難癖つけるのはいただけないな……
535RTO:02/11/01 23:40 ID:3tVsx6+5
ども、ハカサバのごくつぶしRTOです。
あのカップルをカップルとしてはじめに登場させてしまったのはほかならぬ僕自身ですし、
ついつい贔屓になってしまうような展開に運んでしまっていた部分もあります。申し訳ない。
正直な感想として受け止めさせていただきます。

編集サイトですが、書き手としてのRTOがどれだけ叩かれようと批評されようと
サイトの更新はハカサバが終了するまで続けていきます。
ああいうものを自ら始めた以上は最後までやるのが義務だと思っておりますので。
ガンガン叩いちゃってください。感想は書き手の原動力。
536名無しさんだよもん:02/11/02 00:04 ID:7TTK3G7S
532 :名無しさんだよもん :02/10/31 23:07 ID:9FP4hX5K
ケチだと思うかか感想として受け止めているかは本人次第。
ちなみに俺もあのカップルは好きくない。
なんか初登場時からデフォでくっついてて、その後も明らかな贔屓に見える展開が多いから、
正直、自己満足で話を書いてるようにも思えた。
キャラに愛情をもつのはいいんだが、ちょっと行き過ぎには感じる。


はぁ?
『ケチだと思うかか感想として受け止めているかは本人次第』だと?
……っていうかお前、人がRTO氏批判したの見て自分も金魚の糞みてぇに一緒になって批判してるだけじゃん。
なんかいかにも正論風に言ってるが、感想なら作品が出た時に自分の口から意見をだせよ。
他の奴が話題出したのをいい事に、それに紛れて言いたい事言ってるだけだろ?
とりあえずお前みたいな自分が卑怯なのを言葉で正当化しようとする奴が一番嫌いなんだよな。
いいから死んでくれない?
537長瀬なんだよもん:02/11/02 00:28 ID:LzLEvi0i
みんなおちけつ。
議論もいいけど、荒れるのだけは勘弁。
話の方は……………もうちょっと待って。

>>535
お互いに頑張りましょう。
キャラ贔屓は……………自分もよくやりましたし(泣笑
538名無しさんだよもん:02/11/02 04:44 ID:N+FPzX63
批判されない程度にうまく贔屓しれ。
贔屓は気付かない限り不快じゃないから。
岩切ももしかしたら贔屓されてるのかも知れないしなぁ。
ただ、誰彼キャラだからそんな事はないという先入観があるがな。
539名無しさんだよもん:02/11/02 14:45 ID:bauHvPRp
岩切とかはおそらく複数の書き手が書いてるから(名無しだから断定は出来ないけど)、
あまり個人的な贔屓を感じないな。
まあ、贔屓したいキャラがいても、連続でそのチームばかり書かないのがいいってことか?
540名無しさんだよもん:02/11/02 16:04 ID:SSrHSive
>>536は良くも悪くも熱血漢w
贔屓……久瀬にもけっこうソレっぽいものを感じる。
いや、久瀬スレ住人だから彼の活躍は大歓迎だけどさw
541名無しさんだよもん:02/11/02 17:08 ID:AyA6Ftkg
RTO氏、長瀬氏よりも読み手の感想の方が贔屓に感じる。
542名無しさんだよもん:02/11/02 17:36 ID:WkRigkdp
>>541
俺の頭が悪いせいか意味がわからん。
読み手は好き嫌いせずものを見ろってことか?
543いち書き手:02/11/02 18:57 ID:AyA6Ftkg
>>読み手は好き嫌いせずものを見ろってことか?
贔屓する=好き嫌いがあり、贔屓しない=好き嫌いがないですか?

>>俺の頭が悪いせいか意味がわからん。
例えをだすと、
どの作品とは言わないけど、読み手が期待していた展開にならなかったら、伏線がどうこうと言いNGや修正を要求するところ。
逆に期待されてないキャラは伏線関係なしでもそのまま通るところかな。
544名無しさんだよもん:02/11/02 19:14 ID:bauHvPRp
ま、読み手は結構お客様気分なのが多いしなぁ。
自分では書かないくせに、同じキャラばかり書くな、文章が下手、etc……とまあ、かって気ままな文句(自称感想)だけは一人前だったりするのも多い。
その割に、自分の気にしないチームとかキャラがどうなろうと何も言わない。

ってことか。
545名無しさんだよもん:02/11/02 20:04 ID:G3B6Yfrx
つまり書き手が批判に対して思っていることは
「文句があるならテメエで書け」
546名無しさんだよもん:02/11/02 20:42 ID:sHjgQVPj
書き手は何時でも読み手なんだし、
読み手は何時でも書き手になれる。
547名無しさんだよもん:02/11/02 23:39 ID:XFNZnqLF
こんな事言うと叩かれるかもしれないけどさ。
ハカサバって、つまんないチームはホントつまんないし、面白い所は本当に読んでて楽しい。
そんだけ。ホント何が言いたいのか自分で言っててわからん(w
548名無しさんだよもん:02/11/03 00:28 ID:xMsawAIZ
しかし、書き手が感想や批評やった方があれるだろうな。
名無しならともかく。

俺は読み手だけどさ、好きなキャラがいい扱い受けてないからって文句は言わないよ。
ホワルバやった事無いし、オガタリーナ全然知らなかったけどあの死に方は納得いかなかった。
済んだ話だけど、例としてね。
逆に好きな久瀬とかあゆの扱いが酷くても批判しづらい。贔屓だよな。って思ってしまって。

他の奴はどうなんだろ。
素直に萌えキャラ贔屓したがるんだろか。
549伝達:02/11/03 01:13 ID:R/H1CAv+
 トランシーバーを抱えながら、高槻はコントロールルーム内をせわしなく歩き回っている。
 高子にはよくわからない機材やモニター、アナログディスプレイなどを片っ端から見てまわり、時折ちっと舌打ちする。
「流石にそういうもんは絶ってあるか」
 十何回めかの舌打ちの後、高槻ははき捨てるように行った。
「するとここを遊園地にするつもりが「どこ」まであったかが問題になるか……」
 そして高槻は黙り込む。陳腐な表現ではあるが悪の組織の頭目として生きてきた彼の思考を総動員し、考える。


 心理戦であることは間違いない。どうあれこのホテルは現在この島の施設の中でも一、二を争う危険地帯であることに疑いの余地はない。
 この中に誘い込んだ客をどう料理するつもりであったのか。そもそもこのホテルはホテルとしての機能を備えているのか。
 最初から用途を招待客殺戮ショーの舞台として設定してあったのか、それとも最低限宿泊施設としての機能は残してあったのか。
 ……この部屋の中を見る限り、おそらくは前者なのだろう。
 この部屋がホテル内の中枢機構である事はまず間違いない。空調の操作からオートルームロックの動作状況まで
 ここにいればホテル内の様子は一通りわかる。
 ……だが、それだけだ。この部屋の中で操作できることはあくまで「ホテル」としてこの施設が使われていた際に必要となることばかり。
 そのくせ肝心な防災対策機構など、まるで狙い済ましたかのように使用不能だったり、そもそも存在しなかったり。
 玄関を塞いだあの分厚い隔壁といい、うまく階段を塞いでいるらしい防火シャッターといい、できすぎている。
 誰かの意思が介入しているか、それとも最初からこうなるように設計されていたのか……
550伝達:02/11/03 01:14 ID:R/H1CAv+
トランシーバーから聞こえてきた悲鳴に近い叫び声が、高槻の思考を一時中断させた。
「なんだ、どうした!?」
トランシーバーに向かって高槻は叫ぶ。聞かなくとも、少し顔を上げればその様子を克明に映し出しているモニターがあったのだが。
『ちょ、ちょっとしたアクシデントよっ……』
明らかに不自然な声色。高槻は顔を上げてモニターを見る。角度的に微妙な映像だったが、状況は飲み込めた。
「ち……」
あの様子では歩くことは難しいだろう。まして、名雪という荷物を抱えてしまっては。
決断。郁未を少年の元に向かわせるか、少年を郁未の元に向かわせるように仕向けるか。
仕向ける。それには少年との通信手段が必要だ。そもそもやつは今郁未の部屋に向かっている。
奴は郁未が1Fにいたことを知らないからだ。奴がいる7Fの部屋……あそこへの通信手段……
ここでも、この施設が宿泊施設ではなかったことが浮き彫りになる。普通こういう部屋には、必ず内線電話というものがある。
しかし、探してみてもそれがない。つまり、たとえば火災時などにここを基点とした連携をとることができないことがわかる。
無論、そんなことはありえない。普通は。
「仕事がキッチリしてやがる……」
また、高槻は一人ごちた。

551伝達:02/11/03 01:14 ID:R/H1CAv+
見るだけで痛みが伝わってきそうな右足の惨状に、さすがの郁未も動揺する。
傷口が空気に触れてちくちくと痛み、加えて傷そのもののじくじくとした痛みが足の感覚を奪い、かわりに泣き叫ぶ痛神経はひりひりとした痛みを郁未の右足に贈呈する。
『おい』
トランシーバーから、高槻の声が聞こえる。応答しなければ。
右手……動かない。こちらも肩の辺りが猛烈に痛む。外れているのか、それとも折れているのか?
「ちょ……名雪。代わりに出て」
相変わらず涙ぐんでいる名雪だったが、言われるがままにトランシーバを受け取り、マイクに向かって話しかける。
『まあ郁未は動けんだろうから、そこのお前。今から俺の言うとおりにしろ』
「なにを……企んでるの、高槻?」
訝しげな口調で、郁未が問う。
『説明するのが面倒だ。そこのお前、トランシーバーを窓の外に出せ』
「え……」
『はやくしろッ! 奴が部屋から出て行く!』
「は……はいっ!」
苛立ち混じりの高槻の声に恐怖を覚えた名雪は、すばやく受話器を手に持って窓の外に掲げた。
瞬間。
『7F遊技場にいる奴に告ぐ!!!!』
「うわぁ!」
前触れなしに耳を襲った高槻の鋭いがなり声に、名雪は思わず手を放す。
『今すぐ窓の外に顔を出し……て、落とすなバカ者ォォォォォォッ!!!!!』
垂直落下するトランシーバーは高槻の怒声を撒き散らし、あわれ眼下の川底へ……
「聞こえてるよ」
552By RTO:02/11/03 01:18 ID:R/H1CAv+
『普段表に出ないからってこんな迷惑なやり方で自己表現するのは感心しないね、高槻』
不可視の力でキャッチしたのか、それとも自ら手を伸ばしたのかわからないが、高槻の目論見どおりトランシーバーは少年の手の中に。
『ちょっと梃子摺ったけど、もうすぐ郁未の部屋につくよ。それで、何か用?』
その冷静な口調に、高槻は何か一言いってやりたかったのだが、痛む喉に阻まれてそれは声にならなかった。


【名雪 郁未 10Fの部屋で待機】
【トランシーバー 少年のもとに】
【高槻 叫びすぎて喉が痛い】


巻きすぎたかもしれませんが。
少年の位置関係がいまいち不明瞭な気がしたので辻褄があってないかもしれません。
ツッコミ誤字脱字そのたもろもろありましたらよろしくお願いいたします。
553名無しさんだよもん:02/11/03 15:42 ID:5Z9mQCf2
保守
554名無しさんだよもん:02/11/03 17:52 ID:E8DcORp/
なんだかんだとケチはつける割に、肝心の感想は結局だれも書こうとしないリレー小説はここですか?
555名無しさんだよもん:02/11/03 19:22 ID:U97YVCQj
>>554
そうです。>>532とかみたいにあとからグダグダ言い出すスレです。
556名無しさんだよもん:02/11/03 23:04 ID:RfUaqO8B
土日は遊び呆けて今帰ってきたんだよ!

>伝達
 繋ぎの話ですな。結構こういうのには感想はつけづらいもんですw
 次の人に渡す展開としては十分な物ではないかと。
 不当な非難には負けず氏には頑張ってもらいたい物です。
557名無しさんだよもん:02/11/04 00:39 ID:XBL2KKn+
良い繋ぎ方だと思う。
しかし、高槻の思考って意外とまともなんだな。
558名無しさんだよもん:02/11/04 14:13 ID:w0C0qidS
鍵のなかでは高槻は結構理知的な方。
559名無しさんだよもん:02/11/04 18:45 ID:bhghpfQC
ここでまともだからといって原作がそういうわけではない罠
560名無しさんだよもん:02/11/04 23:35 ID:C/p0PCRk
ホテル編もいよいよ終わりが見えてきた……つうか最初に始めてから半年ぐらいたったな。コレ
561名無しさんだよもん:02/11/04 23:53 ID:3G5MbA5I
>>560
企画自体はもうすぐ一周年。
562名無しさんだよもん:02/11/05 21:13 ID:8Mz0cvRs
>>561
560はホテル編の事を指していると言ってみるテストw
563名無しさんだよもん:02/11/06 00:35 ID:ztOUrbmY
>>561
正確には
いつで1周年?よかったら教えてくれ
564RTO:02/11/06 02:31 ID:PODzbfOx
事実上の第一話、スフィー死亡の会が書き込まれたのが去年の12/26です。
……あと、ひと月ちょっとですな。

名鑑作成時に過去作品を再度見直してみたのですが
初期のころは舞台基盤の無さっぷりがよくあらわれています(ぉ
それがいい方向に作用しているところがあるのがリレー小説なのでしょう……

目標:一周年突入前にすべての話を二日目の物語に導く(?)


(初代スレの1さんはまだ見ているのだろうか……)
565名無しさんだよもん:02/11/07 01:02 ID:roIK5fno
まだ1日目の所って、どのくらい残ってた?
566まかろー:02/11/07 01:11 ID:7hmulvPd
確定しているのは英二組だけ。
ホテル組、セバスチャン、霧島聖、鹿沼葉子&名倉友里ペア、
城戸芳晴組、石原麗子組はどっちらかわからない。
ここらでまとめ出したほうがいいかな?
567名無しさんだよもん:02/11/08 01:52 ID:teFE8EbY
動かないな……
568名無しさんだよもん:02/11/08 22:23 ID:q3N+vLJG
動かないさ……
569名無しさんだよもん:02/11/09 01:19 ID:0cWFeAQm
他のリレーどうなってる?
総合スレ逝ってしまったしどうすればいいんだ
570名無しさんだよもん:02/11/09 02:36 ID:5tDfXhbI
なあ、耕一っていきかえしちゃだめ?
液化窒素で凍った人間は運が解ければ助かると思うんだが。
鬼ならなおさら。
571寂滅:02/11/09 02:44 ID:QYlBo7bY
「……こ、の野郎ーーーーー!!」
 胸の奥で何かが破裂するのを感じ、俺は首に向かって駆け出した。
 蝉丸さんの声が聞こえる。危険だ、行くな。そんな風に言っているらしい。
 聞こえない。聞こえてはいるが、それを理解することはできない。
 憎悪の対象まであと2M……1M…30cm…
 瞬間、首が跳ねた。全力で走っていた俺はその勢いを殺すことができず足をもつれさせ無様に、転倒――――――
 施設の硬いコンクリートにしたたか体を打ち付けるのかと思ったが、そうではなかった。
 着地したのは、やけにやわらかい、ぬるりとした――――――

 肉屋の店頭。そんな明るい代物ではない。
 ここにあるのは、俺が頭から飛び込んだものは、そんなものじゃない、こんな――――――
 紅く、やわらかく、鉄さびのにおいと、「カラダ」特有の独特のにおい。
 濃密で、残酷な死の臭いを放つ、俺が身をうずめている物体は――――――
「あ……!!」
 声が出ない。見えない何かに、喉をがっちりと締め付けられているような錯覚。情けないことに、心底恐ろしかったのだ。
 これが何の「肉」なのか? この血は「誰」のものだったのか?
 考えるまでもない、わかりきっているじゃないか……!
572寂滅:02/11/09 02:44 ID:QYlBo7bY
 それから、ほんの数秒の間に起こったこと。
 別の角度から俺に向かって飛びかかってきた首を、鬼が天井に打ち上げて。
 今度はそれを蝉丸さんが叩き落して、最後にまた鬼がその爪で首を八つ裂きにした。それだけだ。
 ばらばらになった鬼の首は今度こそぴくりとも動かないし、ましてや俺たちを襲うことなどありえない。

 あっけない。
 なんて、あっけない。

「栞! しおり!!」
 香里さんが、栞ちゃんに必死で呼びかけている。
 右側しかない栞ちゃんの体が、びくんと跳ねた。痙攣という奴だろうか。
「しおり、お願い返事をして……栞ッ……!!」
 香里さんはなおも栞ちゃんの体をゆする。足元に広がっていく血だまりも、栞ちゃんの体からこぼれ落ちる体の中身も、
 香里さんの意には介していないようだった。
 栞ちゃんの体で、無事なのはもう顔だけで。
 その顔ですら、開きながらも何も写してはいない瞳、そしてそこから流れ出る血、
 半開きになった口と、やはりそこから噴出した鮮血で目も当てられないほど汚れていた。
「……お……」
 声。
 水をうったように、部屋が静まりかえった。
 声。返答を期待していなかった人物の、それは声だった。
「栞……!」
 香里さんの顔に、僅かに笑みが浮かぶ。笑み、というよりは単に顔の緊張が和らいだだけなのか。
「ご……め」
 
 それっきり栞ちゃんが声を発することはなかった。香里さんも、栞ちゃんを呼びかけることはやめようとしなかった。
 俺と、蝉丸さんと、鬼は、それをただ呆然と見ていただけだ。
 体中についた血肉の臭いも忘れて、おれは、それを見ていることしか。
 かける言葉も見つからず、ただ、この短い間にあっけなく失われた命のことを、俺は、逡巡し続けた。
573寂滅:02/11/09 02:45 ID:QYlBo7bY
【美作栞 死亡】
【鬼の首撃破】


誤字脱字突っ込み修正etcありましたら。
574名無しさんだよもん:02/11/09 02:49 ID:QYlBo7bY
>>570
一瞬で凍る、ってもやっぱり脳に損傷とかあるだろうし、あかんと思われ。
そもそもいつまでも耕一の体のままにはしておかないだろう。
575名無しさんだよもん:02/11/09 03:45 ID:EQqmBeSx
うおっ……微妙な……
576名無しさんだよもん:02/11/09 04:07 ID:Qpcm1jNK
>>570
まあそういう手もあったのかもしれないが、今となってはもう手後れなのは確か。
今じゃもう肉片になってビーカーに浮いてるし。
577名無しさんだよもん:02/11/09 10:19 ID:345YyRpw
再建しました。

葉鍵リレー小説総合スレッド 第5巻
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1036804700/l50
578名無しさんだよもん:02/11/09 10:23 ID:345YyRpw
ごめんなさい。ageてしまいました。
579名無しさんだよもん:02/11/09 11:18 ID:BPGFnpE3
>新作
 とりあえず明らかなツッコミどころが見つかったので一つ。
>別の角度から俺に向かって飛びかかってきた首を、鬼が天井に打ち上げて。
 森林で戦闘しているのに天井って表現はおかしくない?
 揚げ足取りみたいで悪いけど。ちょっと気になった物で。
580寂滅作者:02/11/10 00:35 ID:vLwSQupg
>>579
仰せのとおりです。すいません。
「天井」を「上空」に置き換えてください。サイト収録時もそのように訂正お願いします>RTO氏
お手数ですがお願いいたします。
581寂滅作者:02/11/10 00:36 ID:vLwSQupg
油断…ageてしまいました…
582名無しさんだよもん:02/11/10 02:25 ID:BxVJzsDr
>>570
クローンでも出したら?
583名無しさんだよもん:02/11/10 03:00 ID:vf5FhU8w
実は、楓死亡の後、耕一の種と楓の卵を使って体外受精、
最強の鬼の血統を作ろうと企んでた。
ずっと2ch離れしてたからなあ。
584名無しさんだよもん:02/11/10 03:55 ID:4DUVkZ/v
ていうか、今いる「狩猟者」で十分だろ。
クローンだしたら? もなにも、狩猟者は耕一のクローンなんだがな。

それにそもそも、ただでさえキャラが減らないでいつまでもだらだらやってるのに、ここで生き返りや新キャラ加入は正直やめてくれって思う。
585名無しさんだよもん:02/11/10 04:03 ID:c4DNv95N
一気に1パーティ潰すくらいでいいのかなぁ?
586名無しさんだよもん:02/11/10 04:24 ID:pp0832Cd
>>570
文章中に凍死って書いてあったから、生きかえすのは無理なんじゃない。
それにユンナが耕一の魂を捕獲してたから、そこに矛盾が生まれるし

>>585
それもまたサバイバルでいいと思う。
ただ今はどうかわからないけど、昔は一人死ぬだけでも騒がれてたし、けっこう難しいかも。
それにそういうのばっかりになるのもつまらないしね
587名無しさんだよもん:02/11/10 16:34 ID:2d5cuqv3
狩猟者、耕一のクローンとしては弱すぎるよなあ。
ほとんどやられ役だしな。
まあ、真の狩猟者ってのに期待しよう。
文章から凄みが伝わってくるようなのキボン。
588名無しさんだよもん:02/11/10 18:33 ID:yBdLCH7e
いや、最初は問題無く強かったよ。
セフィロスを雑魚キャラの如くあしらってた。
ただ、その後 何かする暇も無く柳川にあっけなく瞬殺される。
パワーダウンでもしたのだろうか。
合掌。
589名無しさんだよもん:02/11/10 19:45 ID:4DUVkZ/v
もしかしてその書き手って光岡を雑魚キャラだと思ってたんじゃないか?
590名無しさんだよもん:02/11/11 00:47 ID:PPPmihrj
みんな忘れ去っていたであろう伏線を使って無理なく
ラスボス的な存在が出てきたなと楽しみにしていたのだがなぁ狩猟者。
初登場時の描写も漏れは「あの光岡が」と…
まあ いまさらだけどね。アノ話をNGにって雰囲気でもなかったし。


ときに朝鮮製はまるでホイポイカプセルでも持っているかのように
鬼やら仙命樹系異形うやらを量産しているが いいのか?
真・狩猟者のあとに覚醒・狩猟者とか次々とクローンが出てくる気がするのだが。
あたかもメタルクウラのように…ってこれは前に誰かが言ってたか…
591名無しさんだよもん:02/11/11 01:07 ID:+CzwuCep
最強の一角である耕一が、序盤で退場したのは結構良い感じだな。
どんな強キャラも油断できないっていう緊張感が出た気がする。
今の最強は梓っぽいが、それも弱点ありだし。
個人的に戦闘シーン大好きなので、先が楽しみだ。
592名無しさんだよもん:02/11/11 01:43 ID:epP7/9hm
やっぱり単純な強さで言えば、鬼×仙命樹の梓or狩猟者が最強なんかな?
不可視の力とか電波も勿論強いが……。

もともと強い強化兵が更に鬼になって瑠璃子さんor少年ともHしたら最強なんだろうか(w
593名無しさんだよもん:02/11/11 01:59 ID:+CzwuCep
キャラ強化は、全くするなとは言わないが、最小限にして欲しいな。
インフレがおきそうだし。
594名無し募集中。。。:02/11/11 14:00 ID:25mw/RdA
フッフッフ…
強くなりすぎたキャラがいれば、そいつを味方にすればいいのさ…
洗脳系のモンスターも当然いるだろうから、そいつを使ってチョチョイと…

…それではハカロワのマーダーと何にも変わらない罠。
595名無しさんだよもん:02/11/11 14:23 ID:pGgJoFB7
いや、強い奴が敵か味方かじゃなくてさ。
強いはずのキャラと弱いはずのキャラの区別がついてないのは困る。
梓は話の展開上で手に入れた強さだからまだいいが、一部のキャラはノリだけで強く描写されてるからな。
その逆に、最強であるべき狩猟者が単なるやられ役だったりとか……。

書き手の理想の力関係を押しつけられてる気がする。

関係ないけど、鬼連中は身体能力こそ凄いが、戦いにおける技術においては強化兵の足元にも及ばないはずだと思うんだがどうよ?
結局は一般人……温泉屋姉妹や警官だし。
596名無しさんだよもん:02/11/11 14:44 ID:KbPjjUiz
>>595
うーん、どうだろ?
体系化された技術はたいした事ないと思うが、
エルクゥ連中は気配を殺したりできるので、野生の勘というべきものには秀でてると思うな。
まあ正面から戦えば、強化兵最強クラスと初期梓が互角くらいでない?
597名無しさんだよもん:02/11/11 15:41 ID:qXmmbWaP
>>596
野生の勘はともかく、気配を殺すのはちと疑問。
鬼化しただけで周囲の体感気温が三度下がったり
自重で地面が凹んだり、山中の野生生物が尻尾巻いて逃げたりする連中に
隠密行動が出来るとは思えない。

どっちかつーと比較スレとか最強スレ向きの話題だね。スマソ。
598名無しさんだよもん:02/11/11 17:26 ID:9DtNTIn3
鬼は戦闘力は最強だが、強化兵みたいに頭の中までソルジャーではない…って感じかなぁ。
強い弱いとは別に、あくまで思考回路の違いとして。

とりあえず、書き手にはそういう所の差別化をはかってほしいと思う。
599コリドーア:02/11/12 01:00 ID:zBzVHQ99
 英二たちは、無言のまま通路を進んでいた。
 先頭には、両の手は言うに及ばず既に全身を人の血で紅く染めつつある異形、ラミア。
 ふと怪物が足を止めた。が、後続の英二たちがそれに倣って足を止める間もなくラミアはまた前進を始める。
「『いた』のかい?」
 英二がラミアに問いかける。ラミアは、それには答えない。
 彼女のあたりに立ち込める気配がうっすらと殺意をまとい始めたことが、
 英二の問いに対する答えを代弁しているかのようだった。

 通路を進むにつれ、この施設の狂気の度合いがだんだんと増してくる。
 そこいらにあふれる、惨殺された研究員。ラミアの仕業であることは、聞かずともわかったことだった。
 加えて、おそらくはラミアの仲間のものなのであろう異形の屍。
 通路内の色の比率の大半を赤い色が占めるまでに、長い時間はかからなかった。
「頭が痛くなりそうだ」
 拓也が少し顔をしかめた。この思念、けして人のものばかりではない。
 むしろ、思念の強さという点では研究員のものよりも人ならざるモノ……怪物達のほうが勝っているといっていい。
「君の言うことにも、それなりに筋が通っているようだね……見る限りでは」
 ときおり通路の両脇にのぞく、ガラス窓の向こう側。
 いかにも悪の研究室然とした室内。そこに鎮座する肉、肉、肉……
「趣味が悪りぃや」
 言葉少なに、エビルが悪態をついた。
600コリドーア:02/11/12 01:01 ID:zBzVHQ99
「ま、待ってほしいんだな」
 間延びした声が一行の後方から聞こえ、ラミアを除く全員が立ち止まり、振り返る。
「みんなおかしいんだな、普通こんなところを真顔でなんて歩けないんだな」
 涙目になりながら、小走りに横が追いついてきた。その後ろには、理緒を背負った縦が続く。
「どうかしたネ?」
 理緒の方に目を向けながら、レミィが聞いた。
「この有様を見て気絶してしまったでゴザル。というか、お主が何故この状況下、平気な顔でいられるのかが不思議でならないでゴザル」
「映画で見たネ」
 さらりと言ってのけたレミィに対して、縦横はもう何も言わなかった。
「や、ずいぶん彼女と離れてしまったな」
 言うなり英二は歩みを始める。先ほどよりも幾分、歩調を速めた上で。
「も、もう行くでござるか……?」
601コリドーア:02/11/12 01:01 ID:zBzVHQ99
「い、生きていたのか、貴様!?」
 ラミアを追って通路の曲がり角に差し掛かったころであろうか。
 一行の耳に、そんな言葉が響いたのは。
 続いて、ダァンという銃声。先頭に立っていた英二の脇の壁に穴があく。
 縦横が、ひっと叫んだ。
「お前は、ここの責任者……私の同胞が死んだのは、すべてお前の指示……」
 バシンと何かを叩くような音。続いて、転がってくるなにか。
 拾い上げてから、横はそれを拾ってしまったことを後悔した。護身用の銃だった。
「ち、違う! 私は!」
「……黙れ」
 曲がり角越しに聞こえる、ラジオドラマのようなやり取り。
 聞こえる。骨の軋む音。
「我らサーペントのみならず……」
 ごきっ、という音が聞こえる。とどろく悲鳴。腕かな、とエビルがつぶやいた。
「……来たか。そんなところで見ていなくとも、こちらに来ればいいだろう」
 ラミアが言う。どうやら、こちらに気づいたらしい。それとも、最初から気づいていたのか。
「地上への出口はこの先だ。そこがお前たちの望む場所であるかどうか、私は知らない」
 言い終えると、ラミアは男の肩に置いた手に力を込める。ごりっという音がして、男が悲鳴を上げた。白衣の中年だ。
「案内ありがとう。ついでに、その男に少し質問がしたいんだが、いいかな」
 ラミアが英二をきっと睨む。
「そいつの命を助けたいわけじゃない。その手は離さなくてもいいから、少しその男と話をさせてほしい」
 ラミアは少し黙っていたが、やがて「はやくしろ」とでも言うように、視線を下に落とした。
「さて」
 英二、エビル、拓也の三人が、男をじっくり見下ろした。
 レミィはそれを興味深げに見つめ、残りの二人と気絶者一名は地上への出口側からそれを遠巻きに見つめている。
「この延命は、果たしてあなたにとってプラス、だったといえるだろうか?」
602by RTO:02/11/12 01:05 ID:zBzVHQ99
【英二一行現在位置 地下施設地上連絡口前】
【理緒 廊下の惨状のショックで気絶中】
【横 銃を拾う】

ホワルバはほとんどプレーしてないので英字の性格付けが……
誤字脱字、その他突っ込み等ございましたらよろしくお願いします。
603名無しさんだよもん:02/11/12 01:43 ID:AGH1dCeL
晒し上げ
604名無しさんだよもん:02/11/12 02:29 ID:Rb/3cKOT
AA大辞典、2典に続く新プロジェクト!
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605名無しさんだよもん:02/11/12 03:34 ID:8IRUeLOa
ところで、かなり前から思ってたんだけど唐突に今言ってみる。
>>1

* 自分の贔屓しているキャラが死んだ場合、あまりにもぞんざいな扱いだった場合だけ、理性的に意見してください。

ってさ。『自分の贔屓しているキャラが死んだ場合』ってところ、おかしくないか?
あまりにぞんざいな扱いだったら、贔屓してなくても理性的に意見するべきだろうと思うんだがどうか?
606名無しさんだよもん:02/11/12 15:14 ID:f7RCSOIN
>コリドーア
時間軸の遅れ以外は良いんじゃないかと。
個人的には、腐っても雇兵・博士である縦横に期待。(マイナーとはいえ設定は無視すべきじゃないと思うし)

しかしなんだな。
この肉辺の中に真琴の実母も含まれてるのかと思うと複雑だな。
607名無しさんだよもん:02/11/12 15:16 ID:K0xbNjNg
ところで、感想も書かずに議論したがるのはおかしくないか?
少しは感想書いてからにしろよと思うんだがどうか?

>コリドーア
題名の意味はなんですか?

話の流れはいいんじゃないですかね。
ただ、ラミアと研究員(責任者か?)のやりとりがわかりづらいです。
>拾い上げてから、横はそれを拾ってしまったことを後悔した。護身用の銃だった。
これ余計じゃないかなぁ。無くすかもっと描写増やすかしないと混乱するような。

英二の性格は、そんな感じじゃないですかね。掴み所無い部分もある人ですし。
608這い寄る混沌:02/11/12 19:16 ID:CysTDEMI
食 喰 食 喰 食 喰 食 喰 食 喰 
 喰 食 喰 食 喰 食 喰 食 喰 
食 喰 食 喰 食 喰 食 喰 食 喰 
 喰 食 喰 食 喰 食 喰 食 喰 

 もはやその生物の頭の中には『それ』しかなかった。
 本能の命令に従い、動き、噛み、貪る。
 幸いなぜか今この島には腐るほど(文字通り腐ったものも多々あるが)餌がある。
 だが、彼らに腐肉も生肉ものべつはなかった。
 目の前の肉の塊を、喰らう。
 それだけだった。

「チッ……仕方、ない……な!」
 久瀬は舌打ちしながらも足元に転がる人間を担ぎ上げた。

 普段の彼からすれば思いもよらない行動だった。実際、彼も自分のことながらその行動を不思議に思った。

 ――なぜ僕はいまさらこんな足手まといを助ける?
 ――僕が彼を助けたところで得るものは少ないはずだ。

 沸いた疑問に、彼は理由をつけることで自身を納得させた。

 ――そうだ。今の僕らには情報が足りない。
 ――この島の、他の場所の状況。一体何が起きているのか。
 ――このまま終わらぬ戦いを続けてもジリ貧だ。
 ――情報を聞き出そう。
 ――それにこの男、かなりいい体をしている。
 ――怪我さえ大したことがなければ、あの二人より戦力になるかもしれない。
609這い寄る混沌:02/11/12 19:17 ID:CysTDEMI
「よし……ふぬ……ぬぅぅぅぐぐっ!!!!」
 筋肉の鎧をまとった男。さらには完全に気を失っており、彼の体重は久瀬が全て背負い込む必要があった。
「……歩けないことも……ない、か……!」
 よたよたと、だがなんとか足場を確保しつつ、久瀬は歩き出した。

 ……獲物だ。
 それは感じとった。光岡の流した、多量の血を。
 ……肉がある。近くにある。
 
 
 全ては本能の命じるままに、追跡を開始した。
 ズズズズズ……
 黒い地面を蠢かせて。

「偵察? 久瀬がか?」
 目を覚ました相沢祐一が聞いたのは、意外な言葉だった。
「ああ。あいつは今のお前の足じゃ化物どもからは逃げ切れないって言ってな、今はこの辺を調べて……っと、焼けたぞ」
 火にかけていた肉が程よい具合に焼きあがる。北川は串を一本取ると、祐一に手渡した。
「お、センキュ」
 そのまま迷わずガブリとかぶりつく。ちなみに、何の肉かは教えていない。
「……信じられないな」
「だが事実だ。あいつはお前のためを思って今行動している」
 祐一の知る久瀬という人間は、どうひっくり返っても『他人のため』などという言葉と結びつく男ではなかった。
「……あいつ、一人で逃げる気じゃねえのか?」
 それは軽い冗談……でもないが、少なくとも本気で言ったつもりはなかった。
 だが
「……相沢」
 北川の声が低い唸りをあげた。
「いい加減にしろ」
「……っ」
610這い寄る混沌:02/11/12 19:18 ID:CysTDEMI
 普段の北川からは想像もできない、厳しい一言だった。
「今俺たちは仲間だ。俺も、お前も、もちろんあいつも。俺たちはなんとしても美坂や水瀬たちを助けだし、この島から脱出しなければならない。
 そのためには今俺たちは協力しなければならない。もちろんあいつもそれはわかっている。……お前たちの間に何があったかはわからない。
 けどな、お前がいつまでもそんなんでどうするんだよ。あいつは俺たちを信じたんだ。なら、俺たちもあいつを信じてやらないでどうする?」
 
「…………」
 祐一は反論しようと思った。そんなんじゃない。俺だってあいつを信じている。
 今は仲間だ……そんな言葉を使って。
 だが、それを言う前に(あるいは言えなかったかもしれないが)少し離れた場所から久瀬の声が聞こえた。

「君たち……そこに、いるかい? もしいたら……少し、手伝ってもらいたいんだが……」
「久瀬か?」
 立ちあがろうとした祐一だが、北川がそれを制する。
「お前は大人しくしていろ。声からするにそんな緊急の事態でもないようだし、俺一人で十分だろ」
 祐一も、これには素直に従った。

「おい久瀬、どうしたんだ――――?」
 近くの土手を登り、北川はその向こうにいた久瀬を見下ろす格好になる。
「まぁ……ちょっと怪我人を拾ってね。どうにもこうにも脱力した人間というのは重く……」

「伏せろ久瀬!!!!」

 北川は叫ぶと同時にSPASを久瀬らのいる方向に構えた。
「ッ!!?」
 状況が飲みこめない久瀬だが、ともかく言われたようにその場に伏せる……が、背中にかかる重みのせいで傍目からはつぶれたようにも見えた。

 バァァァァーーーン!!!!

611by R.E.D.:02/11/12 19:21 ID:CysTDEMI
 林間に一つの銃声が響き、同時に久瀬の真後ろの地面が丸く削られた。
 同時に、そこにいた『それ』も体液を撒き散らして死んだ。だが、その数は全体から見れば微々たるものでしかない。

「……ッッ!? これは!」
 振り向いた久瀬が見たもの。それは―――――

「蟻!?」

 地面を黒く覆い、今まさに自分らに迫る無数の……いや、そんな言葉すら生ぬるいほどの蟻の群れだった……

【久瀬 光岡を保護】
【肉食蟻 久瀬&光岡に迫る】
【祐一はまだ焚き火の場所に(足の怪我は簡単な応急処置のみ)】
612名無しさんだよもん:02/11/12 20:13 ID:V9eAgq50
乙。なんかシーンを想像しただけで全身にさぶいぼがw
613RTO:02/11/13 01:42 ID:y+erJktC
どもRTOです。

>>新作
おお……巧い……描写のゾワゾワさ(?)がすばらしい。
話も面白いですな……蟻は盲点だった

>>607
その一文は推敲時の消し忘れでございます。
>拾い上げてから、横はそれを拾ってしまったことを後悔した。護身用の銃だった。
この一文は削除でお願いします。申し訳ない。
書き上げてみたら長くなってしまったので縦横の描写をバッサリ切り捨てまして……その名残で。
突っ込みありがとうございました。

コリドーア=Corridor 廊下、とか回廊とかの意味合いです。
あえてカタカナ表記にして奇をてらってみたのですが ビーンボールでしたか。
614名無しさんだよもん:02/11/13 01:53 ID:s2WPBryg
>>613
corridorはコリドー、あるいはコリドールだと思う。せめてコリドワ。百歩譲ってコリドアー。
コリドーアはちょいと無理矢理に過ぎるかと。ていうか素直にCorridorじゃダメだったのか?
615RTO:02/11/13 02:11 ID:y+erJktC
>>614
イシターと遠藤雅伸とシャッタードスカイに騙されましたと言っておきます(何
発音記号みてみましたところ確かにコリドーアでは無理がありすぎるようです。勝手ながら、
サイト収録時には英字にさせていただきます。しかし申し訳ない……
616名無しさんだよもん:02/11/13 02:42 ID:z52V6Mox
ちと話を書いていてつまってしまったので質問。
国崎はいつ、S&Wを入手したんだ?
617絶対的戦力差:02/11/13 16:54 ID:mJ8uqawu
「な゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!!」
 2階から自分たちを見下ろす―――たった今、己の仲間を引き裂いたその吸血鬼。
 たまは今までの彼女からは想像も出来ないような震える声を上げると、その場に飛び上がった。
「ホォ、化け猫が! 腐っても我が同族というところか!」
 吸血鬼はフランソワーズ『だったもの』をまるでゴミのように(空き缶でも捨てるかのように!)無造作に放り投げると、迎撃体勢をとる。
「殺した! 殺した! 殺したぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
 ……そう。それは、『殺した』だ。『壊した』ではなく。

 天井に吊るされた豪華なシャンデリア。たまはいったんそこに手をかけ、とりつく。
 そして改めて対象を睨みつけた。
「フーーーーッ、フーーーーーッ、フーーーーーッ、フーーーーーーッ………」
 浅い呼吸を繰り返す。それは飛びかかる直前動作だ。
「クックックック……そうか。我が憎いか」
 猫の血に流れるかつての狩猟動物としての血が騒ぐ。それが怒りと合いまり、彼女の体の中をかつてないほどの力が駆け巡っていた。

 ……しかし、それでもその戦力差は埋まらない。
 ……フランソワーズが生きていたなら、迷わずこう言っただろう。『逃げろ』と。
 ……だが、彼らにとって不幸なことは、今この場に彼我の戦力差を冷静に判断できる人間がいなかった、ということだ。

「ガァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーー!!!!」
 咆哮。そして跳躍。シャンデリアを蹴り飛ばし、自分の斜め下で薄ら笑いを浮かべる吸血鬼へと襲いかかる。
 両手の爪は鋭利な刃と化し、敵の肉を引き裂かんと欲す。
 人より長い八重歯は牙と化し、敵の喉笛を噛みきらんと欲す。
 ……だが、その敵はあまりにも格が違いすぎた。
618絶対的戦力差:02/11/13 16:54 ID:mJ8uqawu

「ハ! 笑止!」

 キャッチボールの球を受けとめるように……
 戸棚の上に置かれた皿を取るように……
 愛しい我が子の頭を撫でるように……

 冬弥たちが受けたのは、そんな印象だった。それほどまでに吸血鬼の動きは滑らかすぎて、自然すぎて、そして……余裕があった。

 パシッ

 振るわれたたまの手首を、事も無げに受けとめる。
「なぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」
 それでも、たまは空いているもう片方の手を振りかざす。
「悲鳴を上げろ」

 ミシィ!!!

「が………」
 吸血鬼は気にせず、掴んだたまの手首を握りつぶした。
 手の中で水音と固いものがヘシ折れる嫌な(だが吸血鬼当人にとってはたまらなく甘美な)音が聞こえる。
「豚の様に」
 そのまま、たまの体を階下の冬弥たちがいる場所へ投げ飛ばした。

 ドン! バン!! ドゴォ!!!
619絶対的戦力差:02/11/13 16:55 ID:mJ8uqawu
 何度かのバウンドを繰り返した後、ようやくその身は床に体重を預けることが許された。
 慌てて冬弥たちは駆け寄る。
「た、たま! 大丈夫か!?」
「たまさん! しっかりしてください!」
 彰は声が出せなかった。……たまの右手を見てしまったからだ。
 そこはもう皮一枚で繋がっているというのもおこがましい……何本かの、腱の『ようなもの』血管の『ようなもの』。
 そんなもので体との関係がギリギリ保たれている……それだけだった。

「ククククク……化け猫風情が。この高貴たる我に勝てるとでも思ったのか……身の程を知るがいい。低級魔族が」
 吸血鬼がゆっくりと降り立つ。四人から見ると食卓を挟んだ反対側だ。

「……冬弥さん、彰さん……たまさんを、お願いします」
「お、おい葵ちゃん、何を……」
「ハァァァァァァァァ!!!!!」
 葵は冬弥の問いに言葉ではなく、行動で答えた。
 先ほどたまを子供扱いしたその魔族に、単身挑む。
「ほぅ小娘、次は貴様か」
「あなたは……許しませんッ!!!」
 純白のテーブルクロスがかかった食卓の上を走る。長い長いテーブルの上を、反対側に佇む吸血鬼めがけて。
「下賎な……」
 吸血鬼の体がふわりと宙に浮く。そしてそのまま食卓の上を滑空するように葵に迫る。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
 だが葵は臆さない。すでに敵が人外なのは承知の上。ならば、敵の能力に惑わされるのではなく、いかにして己の一撃を叩きこむか。
 重要なのはそれだ。人の形を成している以上、急所も同じと考えるが上策。
「……乳臭いが、一応処女のようだな……」
 吸血鬼がポツリと漏らす。
 そして、交錯。食卓中央部分で二人の影が重なった。
620絶対的戦力差:02/11/13 16:56 ID:mJ8uqawu

「葵ちゃんッ!」
 冬弥の悲痛な叫び声がホールに響く。だがその声の中には一抹の希望もあった。
(ひょっとしたら……葵ちゃんなら……)
 そんな希望だ。

 見事に裏切られた。

 吸血鬼と交錯した葵の体がグラリと崩れ、そのまま吸血鬼に担ぎ上げられる。
「安心しろ……この小娘はまだ殺しはしない……一応処女のようだからな。せいぜい楽しませてもらう」
 そしてクックック、と下品な笑いを浮かべた。
「な、なんだと……」
「まぁお前たちには関係のないことだったか……」
 不意に、吸血鬼はその笑いを止めた。

「お前たちは、ここで死ぬのだからな」

【葵 気絶。吸血鬼シュベストに囚われる】
【たま 瀕死、右手首が潰れる】
621R.E.D.:02/11/13 17:03 ID:mJ8uqawu
 えっと……一応確認しておきたいんですけど、『シュベスト』って特に元ネタはないですよね?
 ぐぐってみましたが、何も出なかったので。

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88&lr=
622浜辺のおでん種:02/11/14 02:39 ID:cGt53t/d
 砂浜の適当な場所を選び、そこに枯れ枝を集め火をつける。 
 火が大きくなってきたら、小枝で作った即席の串にイカの切り身を刺し、その焚き火にくべる。
「そして、しばらく待てばイカの焼けるいい香りがしてくるわけだ」
 と、イカを焼きながら説明しているのは国崎往人。
「にゃあ〜、国崎さんは物知り博士なんですね〜」「ぴっこり」
 イカを焼けば香りがする、というだけの説明に拍手を送るのは、まだ幼さの伺える少女である塚本千紗と、謎の毛玉生物であるポテト。
 彼等は、海辺で偶然発見した巨大イカを、焚き火であぶって食べている最中であった。

「しかしアレだな。お前も思ったよりタフだな」
 イカの肉片を、サバイバルナイフで切り分けながら、往人は千紗に話し掛ける。
 ちなみに、サバイバルナイフはスタッフ河田から受け継いだサバイバル用品のうちの1つで、先程火をつけるのに使ったマッチもその1つだ。
「ぴっこり?」「毛玉には聞いてない」
 ポテトが返事をするが、それは軽くあしらって話を続ける。
「普通、あんな巨大なイカを見たら食べる気力なんてなくしそうなもんだが」
「そんなことないですよ、賞味期限が切れてないから、新鮮で美味しいですよ」
「……健康でなによりだ」
 そしてしばらくは、イカの味はどうだ、醤油がどうだ、味噌がどうだとどうでもいい話を続けているのだった。
623浜辺のおでん種:02/11/14 02:39 ID:cGt53t/d
 どれくらいそうして過ごしただろうか。
 自分達では食べ切れないと判断し、保存食、或いは他の参加者たちへの食料として、袋に焼いたイカを詰め込んでいるそのときだった。
「あ、あの、国崎のお兄さん。あれ! あれッ!!」
「ぴこッ! ぴこぴこッ!!」
 千紗が、往人の服の裾を引っ張って、しきりに浜辺の一点を指差している。ポテトも言葉こそはわからないが、千紗と同じようなものなのだろう。
 何ごとかと往人が目を細めてそちらを伺うと、そこには……。
「ありゃあ、人か? 子供じゃないか? ……おい、ちょっと2人はここで待ってろ!」
 言うが早いか、イカを詰めていた袋を無造作に千紗へと放り、その浜辺に打ち上げられた子供のもとへとかけていく。

「……息はしているな。見た所怪我もない、大丈夫だ」
 その少女の年の頃は13、4だろうか。
 栗色の髪をツインテールにしたその少女の、浜辺に打ち上げられていたという状態からいって、どこかで溺れかかったのだろう。
 幸い命に別状は無いようで、今は濡れた衣服の代わりに、往人のシャツを羽織った姿で、焚き火の横に寝かせられている。
「お兄さん、この女の子、なんであんなところに溺れてたんでしょうか……」
「なんでってそりゃあ……」
 魔物にでも襲われて、水に落とされたか、あるいは自分から水に飛び込んだか。
 どちらにしろ、あえて千紗に答えなかった。この場に居もしない怪物のことで、無闇に千紗を怖がらせても意味がない。
「まあ、溺れた理由なんてのはどうでもいい。重要なのはこの子が無事だってことだ」
「ぴこ〜♪」
「とりあえずポテト、温めてやれ」
 無造作にポテトを掴み上げ、気を失ったままの少女の胸元に押し込んでやる。

「…………ぴ……ろ……」

 ポテトの温もりを感じた少女の寝言が、聞こえたような気がした。
624ブッチー:02/11/14 02:41 ID:cGt53t/d
【国崎、千紗、ポテト 焼きイカで再び満腹。食事の貯えをゲット】
【真琴、命に別状はないが意識不明】

今まで名無しだったけど、気合いをいれるためなんとなくコテハンを名乗ってみたり。
レス間は2行空けで御願いいたします。
625名無しさんだよもん
晒し上げ