葉鍵板でエロゲー制作したい奴等が集うスレ #1

このエントリーをはてなブックマークに追加
67ひよこまんじゅう ◆Agp5Gh4I
やはり昼間眠ったせいだろう。
真夜だというのに、俺は眠れないでいた。
明かりは消しているが、晴れた空に輝く月光に、室内が青く照らされている。
俺は、見なれない天井を眺めながら、あの少女のことを思い出していた。

初めて出会った場所は、ススキ野原だったか。
ちょうど季節は今と同じ、夏の日の出来事だ。
一人ぼっちで、その少女は立っていた。
楽しそうには見えなかったが、なにかの罰でそうしているわけでもなさそうだと、俺は思った。
麦わら帽子から伸びる長い黒髪が、風になびくたび、彼女は嬉しそうに笑っていたから。
それから、どういう経緯でそうなったかは忘れたが、白いワンピース姿の少女と俺は、友達になった。
それから毎日、俺はススキ野原へ通った。
少女は外見よりも運動神経がよくて、いつも俺は翻弄されていた。
鬼ごっこ、かくれんぼ、じゃんけん、あげくに相撲でも勝てなかった。
それでも負けた悔しさよりも、彼女と遊ぶ楽しさのほうがずっと大きかったように思う。
俺の姿を見つけたときに見せる、彼女の笑顔。
青く透き通った空の下で、いつでも彼女は俺を待っていた。
だから、俺もあの場所へ向かうときは、いつも心がはやり、駆け出していた。
――そう、彼女は俺にとって。
68ひよこまんじゅう ◆Agp5Gh4I :02/07/19 19:32 ID:2vUcY07o
気がつくと、なにごとか語りかけながら、誰かが俺の身体を揺すっていた。
仕方なく目を開けると、眼前に名雪の顔があった。
「おはよう。もうお昼だよ」
壁掛け時計を見ると、針が十二時を指していた。
「学校が始まるまで、まだ一週間あるけど、ちゃんと規則正しい生活しないとダメだよ」
「母さんみたいなこと言うなよ……」
「うちに来て、祐一が堕落しちゃったら、わたしやお母さんの責任問題にもなっちゃうもん。早く着替えて、ごはん食べてよ」
もう一眠りしたかったのだが、そう言われては仕方ない。
「わかったよ……」
そう言ってベッドから出ようとした俺は、あることに気づいた。
「名雪、先行っててくれよ」
「そんなこと言って、わたしがいなくなったらまた寝る気でしょ」
「違うって。逆におまえがいると出られないんだよ」
「どうして?」
「どうしてもだ。すこしは察してくれ」
しかし、名雪は俺の言葉の意味がわからないように、首をひねっている。
「察するって、なにを……」
「いや、もうおさまった。行くか」
俺は勢いよく立ちあがると、名雪をおいてさっさと部屋を出ていった。
「もう、なんなの〜」